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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1355355
審判番号 不服2018-884  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-23 
確定日 2019-09-19 
事件の表示 特願2017-104982「センサ付きカテーテル」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日出願公開、特開2017-209501〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月10日に出願した特願2014-209357号(以下「原出願」という。)の一部を平成29年5月26日に新たな特許出願としたものであって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月29日付け:拒絶理由通知
平成29年 8月29日 :意見書、手続補正書
平成29年10月18日付け:拒絶査定
平成30年 1月23日 :審判請求
平成31年 4月10日付け:審尋
令和 元年 6月11日 :回答書

第2 本願発明
平成29年 8月29日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「先端が開口し、軸方向内部がメインルーメンに形成されたインナーチューブと、
先端が開口し、軸方向内部がインナーチューブのメインルーメンより大径のルーメンに形成されるとともに、該ルーメンとインナーチューブとの間に環状のバルーンルーメンが形成されたアウターチューブと、
前記アウターチューブの先端部とインナーチューブの先端部間にわたり設けられたバルーンと、
前記バルーンルーメン内のインナーチューブの外周面に長手方向に沿って接着して配置された光ファイバーと、
前記光ファイバーの先端に設けられた該ファイバーと略同径のセンサと、
前記インナーチューブの先端の外周面に嵌合して配置され、軸方向に先後端開口の孔部が設けられた先端チップと、
前記先端チップの孔部に挿着された先後端開口の金属パイプと、
前記金属パイプ内に挿着され、前記センサを先端に有する光ファイバーの先端部におけるセンサ以外を覆う保護チューブと、
を具え、
前記センサは、金属パイプの先端開口より後側であって、保護チューブの先端開口より前側に位置し、金属パイプの先端開口から先端チップの孔部の先端開口を臨み、かつ金属パイプで緩衝することなく覆われており、前記金属パイプの周壁の厚みは、前記光ファイバーの半径以下の肉薄に形成されていることを特徴とするセンサ付きカテーテル。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献2、3に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
ここで引用文献2、3は、原出願の出願日の時点で頒布されていた引用文献である。

引用文献2:特開2010-233883号公報
引用文献3:特開平7-286923号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献2の記載事項
(1)上記引用文献2には、図面とともに、次の記載がある。
「【0015】
図1に示す本発明の一実施形態に係るバルーンカテーテル20は、大動脈内バルーンポンピング法に用いるバルーンカテーテルであり、心臓の拍動に合わせて膨張および収縮するバルーン部22を有する。バルーン部22は、膜厚50?150μm程度の薄膜で構成される。薄膜の材質は、特に限定されないが、耐屈曲疲労特性に優れた材質であることが好ましく、例えばポリウレタンなどにより構成される。」
「【0017】
このバルーン部22の遠位端部22aは、先端チップ部25の外周に熱融着ないしは接着などの手段で取り付けてある。この先端チップ部25には、図2および図3に示すように、軸方向に連通するワイヤ挿通孔23が形成してあり、その近位端側に、内管30の遠位端部が入り込み、熱融着ないしは接着などの手段で、内管30の内部とワイヤ挿通孔が連通するように、内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に固定してある。
【0018】
図3に示すように、先端チップ25の内部には、ワイヤ挿通孔23とは別に、センサ収容孔36が形成してある。センサ収容孔36には、後述する圧力センサ40が収容してある。センサ収容孔36の遠位端開口には、柔軟性を有する先端隔壁膜39が熱溶着あるいは接着により接合され、内部を密封状態に閉じている。先端隔壁膜39は、たとえば膜厚が2?20μm程度のポリウレタン膜、シリコーン膜、ポリアミドエラストマー膜、ポリエステルエラストマー膜、ポリエチレン膜、ポリプロピレン膜などで構成される。」
「【0020】
図1に示すように、バルーン部22の近位端部22bは、外管24の遠位端部外周に接続してある。この外管24の内部に形成された圧力流体導通路29を通じて、バルーン部22の内部に、圧力流体が導入および導出され、バルーン部22が膨張および収縮するようになっている。バルーン部22と外管24との接続は、熱融着あるいは接着剤による接着により行われる。
【0021】
内管30は、バルーン部22および外管24の内部を軸方向に延在し、その内部には、バルーン部22の内部および外管24内に形成された圧力流体導通路29とは連通しないワイヤ通路31が形成してあり、後述する分岐部26の第2ポート32に連通している。」
「【0027】
本実施形態では、外管24と内管30とは、接着剤により固着してあることが好ましい。このように外管24と内管30とを固着することで、外管24内の圧力流体導通路29の流路抵抗が低くなり、バルーン部22の応答性が向上する。」
「【0034】
図5に示すように、本実施形態では、先端チップ25のセンサ収容孔36の遠位端部には、短チューブ37が埋め込まれている。短チューブ37の近位端内部には、栓部材35が接着または融着などの手段で固定してある。栓部材35には、その中央部に通孔35aが形成してあり、その通孔35aを通して、光ファイバ33がセンサ収容孔36の近位端側に引き出されている。
【0035】
図3に示すように、センサ収容孔36の近位端側に引き出された光ファイバ33は、先端チップ25に形成してある通孔27を通して、バルーン部22の内部に引き出される。バルーン部の内部では、光ファイバ33は、熱収縮チューブ34により、内管30の外周部に固定される。
【0036】
光ファイバ33の遠位端には、圧力センサ40が接続してあり、光ファイバ33の遠位側の一部は、熱融着、接着、かしめなどの手段で、栓部材35に固定してある。栓部材35と短チューブ37と先端隔壁膜39とで囲まれた空間が、ゲル状物質の充填空間38を構成し、栓部材35が高剛性の後端隔壁を構成し、短チューブ37が周囲壁を構成している。
圧力センサ40としては、特表2008-524606号公報、特開2000-35369号公報などに記載されたものを用いることができる。
【0037】
短チューブ37は、先端チップ25に形成してあるセンサ収容孔36の軸方向長さと同等かそれよりも短く構成してあり、その膜厚は、好ましくは30?150μmであり、たとえばポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーン、ステンレス、ニッケルチタン、ガラス、セラミックスなどで構成される。
【0038】
栓部材35は、たとえば金属あるいはセラミックスなどのような高剛性材料で構成してある。高剛性材料としては、ステンレス、鉄、アルミニウム、ニッケルチタン、ガラスなどが例示される。ステンレスとしては、SUS304、SUS316、SUS440などが例示される。」

「図1



「図3



「図5



(2)上記記載から、引用文献2には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)「この先端チップ部25には、図2および図3に示すように、軸方向に連通するワイヤ挿通孔23が形成してあり、その近位端側に、内管30の遠位端部が入り込み、熱融着ないしは接着などの手段で、内管30の内部とワイヤ挿通孔が連通するように、内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に固定してある」(【0017】)という記載、「内管30は、バルーン部22および外管24の内部を軸方向に延在し、その内部には、バルーン部22の内部および外管24内に形成された圧力流体導通路29とは連通しないワイヤ通路31が形成してあ」る(【0021】)という記載、及び図3には内管30の遠位端が開口している点が見て取れるから、内管30の遠位端は開口し、軸方向に延在する内部にワイヤ通路31が形成された内管30が記載されている。
(イ)「図1に示すように、バルーン部22の近位端部22bは、外管24の遠位端部外周に接続してある。この外管24の内部に形成された圧力流体導通路29を通じて、バルーン部22の内部に、圧力流体が導入および導出され、バルーン部22が膨張および収縮するようになっている。バルーン部22と外管24との接続は、熱融着あるいは接着剤による接着により行われる。」(【0020】)という記載、「内管30は、バルーン部22および外管24の内部を軸方向に延在し」(【0021】)という記載、図4には外管24の遠位端が開口している点が見て取れること、及び図1から、外管24の遠位端は開口し、内部には軸方向に内管30が延在するとともに、内部に環状の圧力流体導通路29が形成された外管24といえる。
(ウ)「このバルーン部22の遠位端部22aは、先端チップ部25の外周に熱融着ないしは接着などの手段で取り付けてある。この先端チップ部25には、図2および図3に示すように、軸方向に連通するワイヤ挿通孔23が形成してあり、その近位端側に、内管30の遠位端部が入り込み、熱融着ないしは接着などの手段で、内管30の内部とワイヤ挿通孔が連通するように、内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に固定してある。」(【0017】)という記載、「図1に示すように、バルーン部22の近位端部22bは、外管24の遠位端部外周に接続してある。」(【0020】)という記載、及び図3から、先端チップ部25における内管30の遠位端部外周にあたる部分と外管24の遠位端部との間にわたりバルーン部22が設けられた、ということができる。
(エ)「図3に示すように、センサ収容孔36の近位端側に引き出された光ファイバ33は、先端チップ25に形成してある通孔27を通して、バルーン部22の内部に引き出される。バルーン部の内部では、光ファイバ33は、熱収縮チューブ34により、内管30の外周部に固定される。」(【0035】)という記載から、光ファイバ33はバルーン部22の内部において熱収縮チューブ34により内管30の外周部に固定される、ということができる。
(オ)「この先端チップ部25には、図2および図3に示すように、軸方向に連通するワイヤ挿通孔23が形成してあり、その近位端側に、内管30の遠位端部が入り込み、熱融着ないしは接着などの手段で、内管30の内部とワイヤ挿通孔が連通するように、内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に固定してある。」(【0017】)という記載、「 図3に示すように、先端チップ25の内部には、ワイヤ挿通孔23とは別に、センサ収容孔36が形成してある。」(【0018】)という記載、「図3に示すように、センサ収容孔36の近位端側に引き出された光ファイバ33は、先端チップ25に形成してある通孔27を通して、バルーン部22の内部に引き出される。」(【0035】)という記載、及び図3にはセンサ収容孔36及び通孔27が、先端チップ25の軸方向に貫通するように設けられていることが見て取れることから、内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に入り込み、固定され、センサ収容孔36及び通孔27が軸方向に貫通するように設けられた先端チップ25が記載されている。
(カ)「図5に示すように、本実施形態では、先端チップ25のセンサ収容孔36の遠位端部には、短チューブ37が埋め込まれている。」(【0034】)という記載、「短チューブ37は、先端チップ25に形成してあるセンサ収容孔36の軸方向長さと同等かそれよりも短く構成してあり、その膜厚は、好ましくは30?150μmであり、たとえばポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、シリコーン、ステンレス、ニッケルチタン、ガラス、セラミックスなどで構成される。」(【0037】)という記載から、先端チップ25のセンサ収容孔36には、ステンレスで構成される短チューブ37が埋め込まれているといえる。
(キ)「短チューブ37の近位端内部には、栓部材35が接着または融着などの手段で固定してある。栓部材35には、その中央部に通孔35aが形成してあり、その通孔35aを通して、光ファイバ33がセンサ収容孔36の近位端側に引き出されている。」(【0034】)という記載、「光ファイバ33の遠位端には、圧力センサ40が接続してあり、光ファイバ33の遠位側の一部は、熱融着、接着、かしめなどの手段で、栓部材35に固定してある。」(【0036】)という記載、及び図5から、短チューブ37の近位端内部には、その中央部に形成された通孔35aに、遠位端に圧力センサ40が接続された光ファイバ33が配置された栓部材35が固定されているといえる。
(ク)「光ファイバ33の遠位端には、圧力センサ40が接続してあり、光ファイバ33の遠位側の一部は、熱融着、接着、かしめなどの手段で、栓部材35に固定してある。栓部材35と短チューブ37と先端隔壁膜39とで囲まれた空間が、ゲル状物質の充填空間38を構成し、栓部材35が高剛性の後端隔壁を構成し、短チューブ37が周囲壁を構成している。」(【0036】)という記載及び図5から、圧力センサ40は、短チューブ37の遠位端より近位端側に位置し、栓部材35の遠位端より遠位端側に位置することで、短チューブ37の遠位端側を向き、栓部材35と短チューブ37と先端隔壁膜39とで囲まれた充填空間38内に圧力センサ40が配置されたものといえる。

(3)引用発明
上記(1)(2)からみて、引用文献2には、以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。
「遠位端は開口し、軸方向に延在する内部にワイヤ通路31が形成された内管30と、
遠位端は開口し、内部には軸方向に内管30が延在するとともに、内部に環状の圧力流体導通路29が形成された外管24と、
先端チップ部25の内管30の遠位端部外周にあたる部分と外管24の遠位端部との間にわたりバルーン部22が設けられ、
バルーン部22の内部において熱収縮チューブ34により内管30の外周部に固定される光ファイバ33と、
光ファイバ33の遠位端に接続された圧力センサ40と、
内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に入り込み、固定され、センサ収容孔36及び通孔27が軸方向に貫通するように設けられた先端チップ25と、を備え、
先端チップ25のセンサ収容孔36には、ステンレスで構成される短チューブ37が埋め込まれ、
短チューブ37の近位端内部には、その中央部に形成された通孔35aに、遠位端に圧力センサ40が接続された光ファイバ33が配置された栓部材35が固定され、
圧力センサ40は、短チューブ37の遠位端より近位端側に位置し、栓部材35の遠位端より遠位端側に位置することで、短チューブ37の遠位端側を向き、栓部材35と短チューブ37と先端隔壁膜39とで囲まれた充填空間38内に圧力センサ40が配置されたバルーンカテーテル20。」

2 引用文献3の記載事項
(1)上記引用文献3には、図面とともに、次の記載がある
「【0004】
前記の血管等に挿入できる圧力センサは、心臓の冠状動脈内狭窄物を治療するためのホットバルーンカテーテルの形成などに必要なものである。すなわちかかるカテーテルは、バルーンへの造影剤の注入によるバルーンの圧力及び造影剤のレーザ加熱による熱により前記狭窄物を拡張する治療を行うものであり、その治療時にバルーン圧による拡張力を高くしすぎると血管が破裂する恐れがあるためバルーンの内圧検知が必須となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のような血管等の生体内や細管に適用することができる超小型物も容易に形成できる圧力センサの開発を課題とする。」
「【0009】
【実施例】本発明の圧力センサは、単繊維からなる光ファイバの先端にその光ファイバと同径以下の半導体からなるダイヤフラムが接合されたものである。その例を図1に示した。1がダイヤフラム、2が単繊維からなる光ファイバである。」

(2)上記記載から、引用文献3には、次の技術(以下「引用文献3技術」という。)が記載されているものと認められる。
「バルーンカテーテルに用いる圧力センサであって、圧力センサとして光ファイバの先端に同径以下のダイヤフラムが接合されたものである技術。」

第5 対比
本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。
(1)引用発明の「遠位端」は、その文言の意味、機能または構成等からみて、本願発明の「先端」に相当する。以下同様に、「軸方向に延在する内部」は「軸方向内部」に、「ワイヤ通路31」は「メインルーメン」に、「内管30」は「インナーチューブ」に、「圧力流体導通路29」は「バルーンルーメン」に、「外管24」は「アウターチューブ」に、「バルーン部22」は「バルーン」に、「光ファイバ33」は「光ファイバー」に、「接続された」は「設けられた」に、「圧力センサ40」は「センサ」に、「センサ収容孔36及び通孔27」は「孔部」に、「先端チップ25」は「先端チップ」に、「近位端側」は「後側」に、「遠位端側」は「前側」に、それぞれ相当する。
(2)引用発明における外管24について、「内部には軸方向に内管30が延在する」態様は、外管24は管であることから軸方向を有するとともに、外管24の内部に内管30が延在していることから、本願発明の「軸方向内部がインナーチューブのメインルーメンより大径のルーメンに形成される」態様に相当する。
(3)引用発明における外管24について、「内部に圧力流体導通路29が形成された」態様は、本願発明の「該ルーメンとインナーチューブとの間にバルーンルーメンが形成された」態様に相当する。
(4)引用発明におけるバルーン部22は、先端チップ部25における内管30の遠位端部外周にあたる部分と外管24の遠位端部との間にわたり設けられている一方、本願発明のバルーンは、アウターチューブの先端部とインナーチューブの先端部間にわたり設けられていることから、引用発明と本願発明とは、バルーンはアウターチューブの先端部近傍位置とインナーチューブの先端部間にわたり設けられている限りにおいて一致する。
(5)引用発明における光ファイバ33は、バルーン部22の内部において熱収縮チューブ34により内管30の外周部に固定される一方、本願発明の光ファイバーは、バルーンルーメン内のインナーチューブの外周面に長手方向に沿って接着して配置されていることから、引用発明と本願発明とは、光ファイバーはインナーチューブの外周面に長手方向に沿って固定される限りにおいて一致するといえる。
(6)引用発明における、「内管30の遠位端が先端チップ25の近位端に入り込み、固定され」た態様は、本願発明における「インナーチューブの先端の外周面に嵌合して配置され」た態様に相当する。
(7)引用発明における「センサ収容孔36及び通孔27が軸方向に貫通するように設けられた」態様は、本願発明における「軸方向に先後端開口の孔部が設けられた」態様といえる。
(8)引用発明における「ステンレスで構成される短チューブ37」は、本願発明における「金属パイプ」に相当し、短チューブ37が先後端開口を有していることは明らかである。
(9)引用発明における、短チューブ37が「埋め込まれ」る態様は、本願発明における、金属パイプが孔部に「挿着された」態様に相当する。
(10)引用発明における「短チューブ37の近位端内部には」「栓部材35が固定され」る態様は、本願発明における「金属パイプ内に挿着され」る態様に相当する。
(11)引用発明における「栓部材35」は、短チューブ37内に固定されるとともに、光ファイバ33の遠位端の一部を固定していることから、本願発明の「保護チューブ」に相当する。
(12)引用発明における、栓部材35について「その中央部に形成された通孔35aに」「光ファイバ33が配置された」態様は、本願発明における「光ファイバーの先端部におけるセンサ以外を覆う」態様に相当する。
(13)引用発明における「栓部材35の遠位端」は、栓部材35は通孔35aを有していることから開口を有することは明らかであることから、栓部材35の遠位端の開口は、本願発明の「保護チューブの先端開口」に相当する。
(14)引用発明における「短チューブ37の遠位端側を向き」は、短チューブ37は先端チップ部25のセンサ収容孔36に設けられていることから、本願発明の「金属パイプの先端開口から先端チップの孔部の先端開口を臨み」に相当する。
(15)引用発明における「栓部材35と短チューブ37と先端隔壁膜39とで囲まれた充填空間38内に圧力センサ40が配置された」態様は、本願発明の「センサは」「金属パイプで緩衝することなく覆われて」いる態様に相当する。
(16)引用発明における「バルーンカテーテル20」は、圧力センサ40を有していることから、本願発明における「センサ付きカテーテル」に相当する。
したがって、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。

【一致点】
「先端が開口し、軸方向内部がメインルーメンに形成されたインナーチューブと、
先端が開口し、軸方向内部がインナーチューブのメインルーメンより大径のルーメンに形成されるとともに、該ルーメンとインナーチューブとの間に環状のバルーンルーメンが形成されたアウターチューブと、
前記アウターチューブの先端部近傍位置とインナーチューブの先端部間にわたり設けられたバルーンと、
インナーチューブの外周面に長手方向に沿って固定された光ファイバーと、
前記光ファイバーの先端に設けられたセンサと、
前記インナーチューブの先端の外周面に嵌合して配置され、軸方向に先後端開口の孔部が設けられた先端チップと、
前記先端チップの孔部に挿着された先後端開口の金属パイプと、
前記金属パイプ内に挿着され、前記センサを先端に有する光ファイバーの先端部におけるセンサ以外を覆う保護チューブと、
を具え、
前記センサは、金属パイプの先端開口より後側であって、保護チューブの先端開口より前側に位置し、金属パイプの先端開口から先端チップの孔部の先端開口を臨み、かつ金属パイプで緩衝することなく覆われているセンサ付きカテーテル。」

【相違点1】
本願発明のバルーンは、アウターチューブの先端部とインナーチューブの先端部間にわたり設けられているのに対して、引用発明では先端チップ部25における内管30の遠位端部外周にあたる部分と外管24の遠位端部との間にわたり設けられており、その配置位置が異なる点。
【相違点2】
本願発明の光ファイバーは、バルーンルーメン内のインナーチューブの外周面に長手方向に沿って接着して配置されたのに対して、引用発明における光ファイバ33の内管30への固定方法が接着ではなく熱収縮チューブ34によるものであるとともに、その固定位置が外管24の内部ではなくバルーン部22内部である点。
【相違点3】
本願発明のセンサは、光ファイバーと略同径であるのに対して、引用発明では圧力センサ40の径と光ファイバ33の径との関係が明らかでない点。
【相違点4】
本願発明における金属パイプの周壁の厚みは、光ファイバーの半径以下の肉薄に形成されているのに対して、引用発明では短チューブ37の周壁の厚みと光ファイバ33の径との関係が明らかでない点。

第6 判断
上記相違点について、判断する。
(1)相違点1について
カテーテルの技術分野において、患者への負荷を軽減する観点から小径化が進んでいる点はよく知られており(たとえば引用文献2【0004】)、カテーテルの小径化という課題を踏まえ、引用発明に記載されたバルーン部22の配置位置をどことするかは、当業者が適宜決定できる設計的事項といえる。
したがって、引用発明に記載されたバルーン部22の配置位置を内管30の遠位端部とし、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。
(2)相違点2について
引用発明における光ファイバ33は熱収縮チューブ34により内管30に固定されているが、固定する態様として一般的な接合技術である接着を用いることは、当業者が容易に想到できたものである。
また、光ファイバ33は確実に内管30に対して固定できればよく、その固定位置をどの位置とするかは、当業者が適宜決定できる設計的事項といえる。
したがって、引用発明に記載された光ファイバ33を内管30に対して接着により固定するとともに、その固定位置を外管24内とし、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。
(3)相違点3について
引用文献3には第4 2(2)の引用文献3技術が記載されているところ、引用文献3技術の光ファイバ及び圧力センサは、いずれもバルーンカテーテルに用いられる圧力センサ及び光ファイバに関する技術である。
したがって、引用発明に記載された「圧力センサ40」を、引用文献3技術をふまえて光ファイバの同径以下のダイヤフラムとして、相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到できたものである。
(4)相違点4について
引用発明の「短チューブ37」は、充填空間38の周囲壁を構成している(引用文献2【0036】)ところ、短チューブ37の機能及びその技術常識からみて、その厚みは周囲壁を構成できるものであればよく、半径以下とする臨界的意義も見出せないことから、具体的にどの程度の厚みとするかは、当業者が適宜決定できる事項である。
したがって、引用発明に記載された「短チューブ37」の厚みを、光ファイバ33の半径以下の肉薄とすることは、当業者が容易に想到できたものである。

なお、令和1年6月11日付け回答書において請求人は、金属パイプの周壁の厚みについて、金属パイプの径を可及的に小さくすることで先端チップも細くでき、カテーテル自体の小径化も可能となる、旨主張する。
しかし、第6(1)で示したとおり、カテーテルの技術分野において、患者への負荷を軽減する観点から小径化が進んでいる点はよく知られている上に、回答書を参酌しても金属パイプの周壁の厚みが薄ければよい点が示されているに過ぎず、その厚みを光ファイバーの半径以下とした臨界的意義を見出せない。
したがって、請求人が主張する作用・効果は、引用発明及び原出願の出願時における技術常識から予測できるものであることから、請求人の意見を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、原出願の出願日の時点で頒布されていた引用文献2、3に基づいて、当業者が容易に想到できたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、本願の分割要件について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-07-10 
結審通知日 2019-07-16 
審決日 2019-07-30 
出願番号 特願2017-104982(P2017-104982)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 将彦  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 井上 哲男
沖田 孝裕
発明の名称 センサ付きカテーテル  
代理人 五十嵐 和壽  
代理人 五十嵐 和壽  
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