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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B07C
管理番号 1355430
審判番号 不服2018-13395  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-05 
確定日 2019-10-11 
事件の表示 特願2015-530354「収穫された根菜作物を処理する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月13日国際公開、WO2014/037290、平成27年10月 5日国内公表、特表2015-529154、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年8月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年9月7日、アイルランド共和国(IE))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年 7月24日付け:拒絶理由通知書
同年12月18日 :意見書、誤訳訂正書の提出
平成30年 5月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年10月 5日 :審判請求書の提出
同年11月16日 :手続補正書(方式)の提出

第2 本願発明
本願の請求項1?13に係る発明(以下、「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、平成29年12月18日付け誤訳訂正書により訂正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
収穫された根菜作物を処理する方法であって、
ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像を使用して収穫された根菜作物のバルク流を光学的に撮像して複数の画素を生成するステップであって、各画素は、その画素によって表される物質の反射強度に基づくスペクトル・プロファイルを有する、ステップと、
複数の画素を複数の物体にグループ化してバルク流の中の個々の物体を識別するステップと、
各識別された物体の内のグループ化された画素を統計解析して、優良根菜作物に対応する画素の割合を決定するステップと、
優良根菜作物に対応する画素の割合を少なくとも一つの定量的閾値と比較することによって、各識別された物体を許容可能又は許容不可能のどちらかに分類するステップと、
前記バルク流から許容不可能に分類された物体を除去して、前記収穫された根菜作物の選別された流れを供給するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記物体が根菜作物ではないことを前記比較が示す場合、物体が許容不可能に分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体が腐った根菜作物又は不良根菜作物であることを前記比較が示す場合、物体が許容不可能に分類される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物体が優良根菜作物であることを前記比較が示す場合、物体が許容可能に分類される、請求項1から3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
複数の画素を複数の物体にグループ化することは、少なくとも1つの位置又は近接基準に基づいて、前記複数の画素を複数の物体としてグループ化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の画素は、頂点探索法に基づいて複数の物体としてグループ化される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の画素は、画素伝搬法に基づいて複数の物体としてグループ化される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
各識別された物体を分類する前記ステップは、
前記物体の範囲内でグループ化された画素の分布に基づいて、前記識別された物体に関連する空間的情報を生成することと、
前記空間的情報を少なくとも1つの空間的閾値と比較することとを更に含む、請求項1から7までのいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの空間的閾値は根菜作物の大きさ又は形状に関連する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各識別された物体に関連する前記統計解析及び/又は空間的情報に基づいて、前記バルク流を選択的に処理することを更に含む、請求項1から9までのいずれかに記載の方法。
【請求項11】
光学的に撮像する前記ステップ、解析する前記ステップ、分類する前記ステップ、及び除去する前記ステップの前又は後に、前記収穫された根菜作物を貯蔵するステップを更に含む、請求項1から10までのいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ある期間前記作物を貯蔵することの後、前記貯蔵された作物のバルク流を貯蔵設備から外へ方向付けることと、
前記貯蔵された作物の前記バルク流に関して、光学的に撮像する前記ステップ、解析する前記ステップ、分類する前記ステップ、及び除去する前記ステップを実施することとを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
収穫された根菜作物を処理する装置であって、
ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像を使用して収穫された根菜作物のバルク流を光学的に撮像して複数の画素を生成する手段であって、各画素は、その画素によって表される物質の反射強度に基づくスペクトル・プロファイルを有する、手段と、
複数の画素を複数の物体にグループ化してバルク流の中の個々の物体を識別する手段と、
各識別された物体の内のグループ化された画素を統計解析して、優良根菜作物に対応する画素の割合を決定する手段と、
優良根菜作物に対応する画素の割合を少なくとも一つの定量的閾値と比較することによって、許容可能又は許容不可能のどちらかに各識別された物体を分類する手段と、
前記バルク流から許容不可能に分類された物体を除去して、前記収穫された根菜作物の選別された流れを供給する手段とを含む、装置。」

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?13に係る発明は、本願の優先日前に頒布された以下の引用文献1に記載された発明、引用文献2?5、9に記載された事項、及び引用文献6に記載された周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:米国特許第05903341号明細書
引用文献2:特表2012-513302号公報
引用文献3:特開2002-286647号公報
引用文献4:特表2007-505733号公報
引用文献5:特開2000-084494号公報
引用文献6:特開2001-313945号公報(周知技術を示す文献)
引用文献9:特開2004-113928号公報

第4 引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献1
本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献1には、「Produce grading and sorting system and method」(農産物の等級付け及び選別システム、並びに方法)に関して、図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)

(1)「Referring now to the drawings, the basic produce grading and sorting system of the present invention indicated generally at 10 includes a scanning enclosure 12 which is mounted to receive an input conveyor 14 and an output conveyor 16. A gap 18 is provided between the input conveyor and the output conveyor within the scanning enclosure. Produce items 20 to be graded and sorted are fed single file in spaced relationship into the scanning enclosure by the input conveyor which is travelling at a speed sufficient to launch each item of produce along a substantially horizontal path in the air across the gap 18 and onto the output conveyor 16. While travelling through the air, a 360 degree inspection of an item of produce is made in a manner to be described, and the data resulting from the inspection is sent to a central processor unit 22. For each produce item inspected, a record is kept in the central processor unit of the inspection results, and based upon the inspection data, control signals are sent to one of a plurality of mechanical kick-out sorters 24 causing the selected sorter to eject the produce item in one of a plurality of bins 26.」(第2欄下から2行?第3欄18行)

(当審仮訳)
ここで図面を参照すると、概して10で示された本発明の基本的な農産物の等級付け及び選別システムは、入口コンベア14及び出口コンベア16を受容するように取り付けられた走査筐体12を含む。走査筐体内の入力コンベアと出力コンベアとの間に隙間18が設けられている。等級付け、選別される農産品20は、各農産品が、隙間18を横断する空中を実質的に水平な経路に沿って出口コンベア16に向けて伝達されるのに十分な速度で移動する入力コンベアによって、間隔をあけた状態で一列に走査筐体内に供給される。空中を移動する間に、農産品の360度の検査が後述のように行われ、検査から得られたデータは中央処理装置22に送られる。検査された各農産品について、中央処理装置に検査結果の記録が保持され、検査データに基づいて、複数の機械式キックアウトソータ24のうちの一つに制御信号が送られて、選択されたソータによってその農産品が複数のビン26のうちの一つに排出される。

(2)「With reference to FIGS. 3 and 4, a unique scanning assembly indicated generally at 32 is used to scan the produce item 20 as it travels across the gap 18. This scanning assembly includes a frame 34 which is mounted on the interior of the scanning enclosure 12. This frame supports three camera boxes 36 in a circular configuration around the gap 18, with each camera box including a vertical scanning slit 38 positioned at a 120° point on the circle from the remaining two scanning slits. The trajectory of the produce item 20 across the gap is designed to pass substantially through the center of the circle.」(第3欄下から2行?第4欄9行)

(当審仮訳)
図3及び図4に記載されているように、農産品20が隙間18を横切って移動する際に当該農産品を走査するために、概して32で示された特別な走査組立体が使用される。この走査組立体は、走査筐体12の内部に装着されたフレーム34を備えている。このフレームは、上記隙間18の周囲に、円を描くように3つのカメラ箱36を支持し、垂直走査スリット38を含む各カメラ箱は、残りの2つの走査スリットの位置から円上で120°の位置に配置されている。隙間を横切る農産品20の軌道が、当該円の中心を実質的に通過するように設計されている。

(3)「Referring now to FIG. 5, the software system in the central processor unit 22 for processing the photocell and CCD camera video data acquired from the scanning assembly 32 is illustrated generally at 86. This system has processes that execute both in an I-860-based Digital Signal Processing Board and an Intel-80486-based Host computer. In the system 86, digital information will be captured from the three CCD cameras 50 spaced radially 120° apart by a video acquisition and detection software component 88.」(第4欄下から2行?第5欄7行)

(当審仮訳)
図5を参照すると、走査組立体32から取得された画素及びCCDカメラのビデオデータを処理するための中央処理装置22におけるソフトウェアシステムが、概略的に86で示されている。このシステムは、I-860ベースのデジタル信号処理ボード及びインテル80486ベースのホスト・コンピュータの両方において実行されるプロセスを有する。このシステム86において、デジタル情報は、ビデオ取得及び検出ソフトウェアコンポーネント88により、周方向に120°間隔を置いて配置された3つのCCDカメラ50から取得される。

(4)「The classification software component 102 produces an object classification as an output which is used by the CPU 22 to select and control a kick out sorter 24. The size parameter in the complete object description vector will be used for weight computation in a manner to be described, and this with parameters other than the centroid position will be used to determine the class of a produce item.
The produce grading and sorting system 10 has been tested using potatoes as the produce item 20. For potatoes, it is possible to detect knobs or bumps, quantitative deviation in shape from an ellipse, weight, size, blight, cracks or scrapes and other color variations.」(第6欄下から19行?下から8行)

(当審仮訳)
分類ソフトウェアコンポーネント102は、キックアウトソータ24を選択し制御するために中央処理装置22によって使用される出力としてオブジェクト分類を生成する。完全なオブジェクト記述ベクトルにおけるサイズパラメータは、以下で説明されるような方法で重み計算のために使用され、重心位置以外のパラメータを有するこれは、農産品のクラスを決定するために使用される。
農産物の等級付けおよび選別システム10は、農産品20としてジャガイモを用いて試験されている。ジャガイモの場合、こぶまたは突起、楕円からの形状の量的偏差、重量、大きさ、明度、亀裂やこすり傷、及びその他の色変化を検出することができる。

(5)「The central processor unit 22 is programmed, once the digital image of an object, such as a potato, is captured from the line scan cameras 50 and the reflectance spectra of the object is captured from the photocell array 54, to make the computations indicated by the preceding equations to provide scores for color grading (FIG. 6), external grading (FIG. 7), and size, shape and weight grading (FIG. 8). The scores obtained from this calculation are then compared with preset reference values for each characteristic, and based upon this comparison, the product will receive a grade identification. This grade identification is provided to control a specific kick-out sorter 24 so that the product will be discharged into a bin 26 with products of like grade. The grading criteria for a product may be altered if an operator so desires by having the operator change the preset reference value for a characteristic which is preset into the central processor unit.」(第10欄11行?27行)

(当審仮訳)
中央処理装置22は、ジャガイモ等の物体のデジタル画像がライン走査カメラ50から取得され、物体の反射率スペクトルがフォトセルアレイ54から取得されると、前述の式により示される計算を行って、色による等級付け(図6)、外形による等級付け(図7)、並びに、大きさ、形状及び重量による等級付け(図8)のためのスコアを提供するようプログラムされている。この計算から得られたスコアは、各特性について予め設定された基準値と比較され、この比較に基づいて、農産品に等級識別子が与えられる。この等級識別子は、特定のキックアウトソータ24を制御するために提供され、農産品は、同じ等級の農産品と共にビン26内に排出される。オペレータが希望する場合には、中央処理装置内に予め記憶された、所定の特性に対する予め設定された基準値を変更することで、農産品に関する評価基準を変更することができる。

上記の記載事項を踏まえると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「ジャガイモ等の農産物の等級付け及び選別システム、並びに方法であって、
農産品20が入口コンベア14と出口コンベア16の間の隙間18を横切って移動する際に、CCDカメラ50を含む走査組立体32によって当該農産品20を走査し、
走査組立体32から取得された画素及びCCDカメラのビデオデータを中央処理装置22において処理し、色による等級付け、外形による等級付け、並びに、大きさ、形状及び重量による等級付けのためのスコアを提供し、
当該スコアを各特性について予め設定された基準値と比較し、この比較に基づいて、農産品20に等級識別子を与え、
この等級識別子を複数の機械式キックアウトソータ24のうちの一つに制御信号として提供し、選択されたキックアウトソータ24によってその農産品20を同じ等級の農産品と共に複数のビン26のうちの一つに排出する、ジャガイモ等の農産物の等級付け及び選別システム、並びに方法。」

2 引用文献2
本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献2には、図面と共に、次の事項が記載されている。
「【0038】
分類装置は、通常は貯蔵容器から供給される食品、本実施形態では野菜混合物のフローFを自身に沿って送達させる傾斜台3と、異物と識別された物体をフローFから逸らせるよう作用する偏向器5と、フローFを照らす照明ユニット7と、フローFの画像を取得して、フローF内の物体の色及び形状の判定を可能にする第1のカメラ・ユニット9と、フローFの反射強度画像を少なくとも2枚取得して、フローF内の物体の特徴付け(特性化)を可能にする第2のカメラ・ユニット11と、取得された画像から物体を異物と識別し、異物と識別された物体をフローFから逸らせるよう偏向器5を操作する制御ユニット13とを備える。
【0039】
本実施形態では、食品は植物質であり、ここでは、異物を含み得る野菜混合物に含まれる冷凍された植物質である。植物質の例としては、ボルロッティ、ピンク・ボルロッティ、赤インゲン豆、サヤマメ等の豆、ホウレン草、ズッキーニの表皮、ズッキーニの果肉、人参、トマトの表皮、トマトの果肉、ジャガイモ、セロリ、黄レンズ豆等のレンズ豆が挙げられる。異物の例としては、木質材、ボール紙、ブルー・ライナーとブラック・プラスチックとを含むプラスチック材、及び、たとえばイエロー・グローブ等のグローブ材料を含むゴム材が挙げられる。
【0040】
本実施形態では、偏向器5は、空気式の偏向器であり、傾斜台3の幅に亘って横方向に延伸する細長いバーから構成され、バーの長さに沿って複数の別々に稼働可能な空気ジェットを備える。空気ジェットを選択的に稼働させることにより、異物と識別された物体が、フローFから逸らされ、分流した廃棄物フローF´となる。
【0041】
本実施形態では、照明ユニット7は、可視スペクトルから短波長赤外(SWIR)スペクトルにかけての広域スペクトルにわたる放射エネルギー、ここでは、約400nmから約2000nmの範囲の波長を出力する第1及び第2の照明源7a、7b、ここではハロゲン・ランプを備える。別の実施形態では、照明源7a、7bは、第1及び第2のカメラ・ユニット9、11に対してそれぞれ最適化されるべく、異なる種類のものであってよい。
【0042】
本実施形態では、第1のカメラ・ユニット9は、図2に示すような可視スペクトルでのフローFの画像を取得する検出器15、ここでは可視光検出器を備える。必要である場合には、取得された画像から、フローF内の物体の色及び形状を、従来の画像処理を使用して識別することが可能である。
【0043】
本実施形態では、第2のカメラ・ユニット11は、第1及び第2の検出器17a、17b、ここでは、InGaAs検出器と、反射した放射エネルギーを、異なる波長λ1、λ2を有する第1及び第2の反射成分RC1、RC2に分割するビーム・スプリッター21、ここでは二色性要素とを備える。第1及び第2の反射成分RC1、RC2は、検出器17a、17bにそれぞれ検出される。この構成では、検出器17a、17bは、図3、図4の示すように、各検出波長λ1、λ2での反射強度画像をそれぞれ提供する。
【0044】
本実施形態では、二色性要素21は、プリズムから構成されるが、別の実施形態では、鏡により提供されてもよい。
【0045】
本実施形態では、第1の反射成分RC1は、約800nmから約1200nm、好ましくは約850nmから約1110nm、より好ましくは約850nmから約900nmの範囲、さらに好ましくは約850nmの波長λ1を有している。
【0046】
本実施形態では、第2の反射成分RC2は、約1470nmから約1570nmの範囲、より好ましくは約1470nmの波長λ2を有している。
【0047】
本実施形態では、制御ユニット13は、第1のカメラ・ユニット9により取得された可視画像を処理して、必要であれば、フローF内の物体の色及び形状を判定し、第2のカメラ・ユニット11により取得された強度画像を、グラフとしては、図5の2次元強度-強度図として示されるルックアップ機能を使用して処理して、フローF内の物体を特徴付ける(特性化する)画像プロセッサ23を備える。選択された検出波長において図5に示すように、植物質は、強度-強度図の分離領域(不連続部位、discrete region)A内に特徴付けられ(特性化され)、異物の全てはこの領域Aからもれている。この強度-強度図を使用して、フローF内の物体は、植物質又は異物とみなされる(特徴付けられる)。物体が異物と識別された場合、制御ユニット13は、上記のように、偏向器5を操作してその物体を廃棄物フローF´へと逸らせる。」

3 引用文献3
本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献3には、図面と共に、次の事項が記載されている。
「【0014】本発明に係る農作物の搬送処理装置は、図1に示すように、柑橘類などの農作物の傷み具合を判定する判定装置1、この判定装置1を貫通して配置されたベルトコンベヤ2等からなる
【0015】判定装置1は、図2に示すように、暗箱3と、この暗箱3の上に置かれた判定装置本体4と,暗箱3内に配置された紫外線照射ランプ5及び蛍光受光部6からなる。暗箱3は外光を遮断し、測定結果にノイズがふくまれないようにする機能を有する。ベルコンベヤ2が貫通する部位の上部には農作物が出入りする吊り戸3a、3b若しくは開口が設けられている。
【0016】紫外線照射ランプ5は、暗箱3上部に配置されており、ベルトコンベヤ2の上に置かれた判定対象となる農作物に対して紫外線を照射する。一方、CCDカメラを備えた蛍光受光部6は紫外線照射ランプ5近傍に設置されている。この蛍光受光部6は、所定の視野を備え、紫外線が照射された農作物の表皮の腐った部分あるいは傷の部分が発する蛍光を検出し、これを画像処理することで不良品を選別する。
【0017】以上において、図1に示すように、ベルトコンベヤ2の左端に図示しない移載装置から連続して判定対象となる農作物が次々と載せられる。載せられた農作物は、図2からも明らかなように暗箱3に入る際、吊り戸3aを上方に押し上げながなら暗箱3内に進入する。農作物が進入し終わると吊り戸3aは自重で常態に復帰し、暗箱内は所定の暗さに復帰する。
【0018】暗箱3内に進入した農作物は、紫外線照射ランプ5によって紫外線を照射されつつ暗箱3内を矢印方向に移動していく。すなわち、蛍光受光部6の視野内を横断していく。
【0019】CCDカメラを備えた蛍光受光部6は、一点鎖線で示す進入直後の農作物については農作物右側上面及び右側側面が発する蛍光を検出する。実線で示す中央に位置する農作物については、農作物上面が発する蛍光を検出する。暗箱3から外部に出る直前の一点鎖線で示す農作物については、農作物左側上面及び左側側面が発する蛍光を検出する。
【0020】このようにベルコンベヤ2上の農作物は、底部を除くほとんどの表皮を蛍光検出部6に曝しながら、暗箱3内を移動する。従って、表皮に腐りがあった場合、この箇所が発する蛍光を蛍光受光部6のCCDカメラが検出する。
【0021】画像処理の結果、蛍光の量が多い場合には、暗箱3の吊り戸3bを押し上げながら出てきた農作物を、プッシャー7などがベルトコンベア2上から取り除く。また、蛍光の量が少ない場合には農作物は傷んでいないので良品として良品箱内に入れる。
【0022】図3?図5は農作物の底部の傷みも判定できるタイプの別実施例を示し、この実施例にあっては、コンベア2を多数の搬送ユニット8から構成し、各搬送ユニット8には軸9を中心として上下に揺動するベース10と、このベース10に一端が支持された2本の線材からなる農作物載置部11と、農作物載置部11とは逆側のベース10端部に取り付けられたローラ12を備え、更に暗箱3内の農作物載置部11の上方位置及び下方位置に紫外線照射ランプ5および蛍光受光部6を配置している。
【0023】而して、農作物載置部11に載置された農作物が暗箱3内にコンベア2の移動で搬入され、上方及び下方の紫外線照射ランプ5から紫外線が照射される。そして、もし農作物に傷や腐りがあり、エッセンシャルオイルが表面に滲出していると、それを蛍光受光部6のCCDカメラがそれを感知してローラ12をガイドしているレール13を矢印方向に後退させる。すると、載置部11が軸9を中心として矢印方向に揺動し。農作物を下方に落下させて選別する。」

4 引用文献4
本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献4には、図面と共に、次の事項が記載されている。
「【0030】
システム100は異なる物質の種類を区別し、混合した家庭廃棄物の流れ中の様々な物質の種別を識別し、再利用のために所定の物質の種類の物体を排出することができる。システム100はハイパースペクトルカメラ102および従来の広帯域カメラを含み、カメラの出力はプロセッサ108に接続されている。システム100のモニタリングおよび制御は、プロセッサ108に接続され、かつオペレータ端末110を有するコンピュータ112により実行される。システム100はさらにコンベヤベルト112を含み、ベルトの速度は、制御ユニット116と、コンベヤベルト112上の廃棄物の流れから目標物を排出し、対応する容器119、121、123に廃棄物を送る排出ユニット118、120、122とにより、制御される。排出ユニット118、120、122は、フラップゲートまたは空気分離器など公知の排出システムに基づいている。さらに排出ユニットは分類される物質の種別の数によって、必要に応じて追加できる。ハイパースペクトルカメラ102は、帯域幅0.9μmから1.76μmの範囲の128のスペクトル帯で画像化するが、帯域幅最大0.94μmから最大1.6μmの範囲の98のスペクトル帯内のデータのみが、プロセッサ108により処理される。金属検出器アレイ115はプロセッサ108に別のデータを出力するように配列される。
【0031】
システム100は次のように動作する。廃棄物の流れから識別、分類および抽出/再生される目標物を含む混合廃棄物の流れが、システム100のコンベヤベルト112上に供給される。カメラ104は、ハイパースペクトルカメラ102の少し「上流」に配置され、供給廃棄物の流れを走査して、プロセッサ108に画素化画像データを出力する。またカメラ104からのデータは、目標物がコンベヤベルト112上のどこに存在するかを確認する追跡機能を提供する。
【0032】
プロセッサ108は、特に、高信頼性のカメラ104により出力される画像データを分割するようにプログラムされる。廃棄物の流れは、次にハイパースペクトルカメラ102により走査され、その結果生成されたデータはまたプロセッサ108に出力され、プロセッサ108は、ハイパースペクトルカメラ102により走査された各画素を、供給廃棄物の流れ中の特定の物質、および特定の廃棄目標物に関連付けるように動作する。
【0033】
プロセッサ108は分類アルゴリズムを実行し、このアルゴリズムは2つの主分類段階、すなわち、
(i)各画素に関して、その画素について取得されたハイパースペクトルデータに基づいて物質の種類を分類し、
(ii)その目標物の分割された画像内の各画素の分類に基づいて目標物の物質を分類する、分類段階を含む。
【0034】
分割された画像の境界線の外側にある画素は、背景であり対象物質ではないと推定されるため無視される。
【0035】
一旦、供給廃棄物の流れ中の目標物が分類され、目標物の物質、形状、場所、色、方向および位置によって特徴付けされると、プロセッサ108はこれらの特性に対応するデータパケットを生成する。データパケットはコンピュータ112によりベルトの速度と共に評価され、制御信号はコンピュータ112からデータ通信ネットワークを介して、サーバ108にインタフェースで接続された排出ユニット118、120、122の1つに送られ、その結果、目標物の物質の種類または目標物の物質等級に対応する容器119、121、123に、目標物が排出される。」

5 引用文献5
本願の優先日前に頒布された刊行物である引用文献5には、図面と共に、次の事項が記載されている。
(1)「【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る農産物の検査装置について図面に基づいて説明する。図1に、前記検査装置としての農産物の選別設備が示されている。この設備は、農産物として生産農家から持ち込まれるミカンM(球状の果菜類の一例)を搬送手段にて搬送しながら自動で等級判別して等級別に仕分けるための選果設備として構成されている。
【0027】この選果設備は、収穫されたミカンMが適宜搬入されて搬送手段としての搬送コンベア1により搬送方向に沿って一列状に並ぶ状態で載置搬送されるように設けられる搬入部2、搬送されるミカンMを予め設定されている等級別に仕分ける仕分け部3、搬送コンベア1による搬送途中においてミカンMを撮像して画像情報を出力する撮像部4、この撮像部4から出力される画像情報に基づいて画像処理を実行して選別用の情報(計測情報)を出力する画像処理部5、及び、この画像処理部5から出力される計測情報に基づいて、夫々のミカンMの等級を判別するとともに、その判別結果に基づいて仕分け部3の仕分け動作を制御する制御部6等を備えて構成されている。」

(2)「【0035】前記画像処理部5は、前記複数回撮影される複数の前記画像情報の夫々について、ミカンMの画像領域を抽出して、その抽出領域にミカンMが1個だけ存在している正常状態であるか、又は、複数存在している異常状態であるかを判別するように構成され、その判別結果に基づいて前記計測情報を出力するように構成されている。そして、前記正常状態であることが判別された場合には、その計測情報に基づいて制御部6にて等級判別が行われて、仕分け部3において対応する等級(ランク)に仕分け処理する。又、前記異常状態であることが判別された場合には、その複数のミカンMを仕分け部3において複数の等級別に振り分けられる集積箇所とは異なる専用の回収部21に別途回収するようになっている。
【0036】次に、前記画像処理部5は、マイクロコンピュータを備えて構成され、次のような制御動作を実行するように構成されている。図4に、画像処理部5による順次搬送される夫々1個づつのミカンMに対する画像処理手順を示している。尚、画像の取り込みタイミングとしては、上述したように、ミカンMが約1/4周づつ自転する毎に搬送コンベアの搬送速度と同期させた設定タイミングで順次、撮像画像を取り込むようになっている。画像処理部5は、先ず、画像を取り込むと、その画像における例えば輝度信号等を所定レベルにて二値化処理して、輝度が高くミカンMの領域として認識される領域とそれ以外の輝度の低い領域とを識別してミカンMの領域を抽出する(ステップ1,2)。そして、その抽出領域における外周の周長と面積とを画像処理手法に基づいて演算して、その周長と面積との比率を演算する(ステップ3)。
【0037】ミカンMの場合には、外形形状が略円弧状であり、その外周部の周長と面積との比率は、予め設定されている設定範囲内に収まることになる。そこで、演算にて求めた前記抽出領域における周長と面積との比率がこの設定範囲内に収まっているか否かに基づいて、その抽出領域にミカンMが1個だけ存在している正常状態であるか、又は、複数存在している異常状態であるかを判別する(ステップ4)。
【0038】多くの場合、搬送コンベア1の前後4個のローラ10上の載置対象箇所には1個づつミカンMが載置された状態で搬送されるので前記ステップ4では前記比率が設定範囲内に収まっている正常状態であると判別されることになるが、搬入部2での作業ミスや搬送途中でのミカンMの転がり等に起因して載置対象箇所にミカンMが2個以上同時に載置された状態で搬送されてくることがある。この場合には、ステップ4において異常状態であると判別される。
【0039】異常状態である判別された場合には、その複数のミカンMの夫々の画像を分離させる分離処理を実行し(ステップ5)、分離した後の夫々の画像情報に基づいて、外観検査結果を出力するようになっている。つまり、図5に示すように、画像処理部5は、画像情報においてミカンMとして判別される画像領域の輪郭L(図7参照)を求めて、その輪郭Lに沿って全周にわたり輪郭に対する接線の傾きに対する微分値を順次演算するとともに、その微分値が極大値となる2箇所を求め、その2個所を結ぶ線Qにて前記画像領域を分離することになる(ステップ51?54)。ミカンMが複数載置されていれば円弧状の外周部同士が接触することから図に示すように接触部分は局所的に細くなるので上記したような処理によって画像を有効に分離することができるのである。
【0040】このように分離処理した後の画像を検査対象領域として特定し(ステップ6)、その特定した画像情報に基づく外観検査の判定を行う(ステップ7)。検査の内容としては、例えば、領域の形状判定からミカンMの最大外径(大きさ)を求めたり、明度、彩度、色相等の色彩をあらわす情報から外表面上の傷の存否やその大きさ(全面積に占める割合)等、等級判別のための情報が画像処理手法によって求められる。尚、ステップ4にて正常状態であれば抽出領域の外観判別処理が実行される。」

(3)「【0053】(7)上記実施形態では、農産物の一例である球状の果菜類としてミカンMを例示したが、本願発明は、ミカンMに限らず、林檎、桃、梨等の果菜類であってもよく、芋等の根菜類やトマト等の野菜にも適用できる。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比すると、後者の「ジャガイモ等の農産物」、「農産品20」は、前者の「収穫された根菜作物」に相当する。そして、これらの「等級付け及び選別」を行うことは、前者の「処理する」ことに相当するといえるから、後者の「ジャガイモ等の農産物の等級付け及び選別システム、並びに方法」は、前者の「収穫された根菜作物を処理する方法」に相当する。
イ 後者の「農産品20が入口コンベア14と出口コンベア16の間の隙間18を横切って移動する際に、CCDカメラ50を含む走査組立体32によって当該農産品20を走査」することは、「収穫された根菜作物を光学的に撮像して複数の画素を生成するステップ」である限りにおいて、前者の「ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像を使用して収穫された根菜作物のバルク流を光学的に撮像して複数の画素を生成するステップであって、各画素は、その画素によって表される物質の反射強度に基づくスペクトル・プロファイルを有する、ステップ」と一致する。
ウ 引用発明の「各特性について予め設定された基準値」は、「色による等級付け、外形による等級付け、並びに、大きさ、形状及び重量による等級付けのためのスコア」と比較されるものであるから、定量的な閾値であるといえる。
そうすると、後者の「走査組立体32から取得された画素及びCCDカメラのビデオデータを中央処理装置22において処理し、色による等級付け、外形による等級付け、並びに、大きさ、形状及び重量による等級付けのためのスコアを提供し、当該スコアを各特性について予め設定された基準値と比較し、この比較に基づいて、農産品20に等級識別子を与え」ることは、「複数の画素を解析して、少なくとも1つの定量的閾値と比較することによって、根菜作物を分類するステップ」である限りにおいて、前者の「複数の画素を複数の物体にグループ化してバルク流の中の個々の物体を識別するステップと、各識別された物体の内のグループ化された画素を統計解析して、優良根菜作物に対応する画素の割合を決定するステップと、優良根菜作物に対応する画素の割合を少なくとも一つの定量的閾値と比較することによって、各識別された物体を許容可能又は許容不可能のどちらかに分類するステップ」と一致する。
エ 後者の「この等級識別子を複数の機械式キックアウトソータ24のうちの一つに制御信号として提供し、選択されたキックアウトソータ24によってその農産品20を同じ等級の農産品と共に複数のビン26のうちの一つに排出する」ことは、「収穫された根菜作物の選別された流れを供給するステップ」である限りにおいて、前者の「前記バルク流から許容不可能に分類された物体を除去して、前記収穫された根菜作物の選別された流れを供給するステップ」と一致する。

そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「収穫された根菜作物を処理する方法であって、
収穫された根菜作物を光学的に撮像して複数の画素を生成するステップと、
複数の画素を解析して、少なくとも1つの定量的閾値と比較することによって、根菜作物を分類するステップと、
収穫された根菜作物の選別された流れを供給するステップとを含む、方法。」

<相違点1>
本願発明1は、「収穫された根菜作物のバルク流」を撮像するのに対し、引用発明は、「農産品20が入口コンベア14と出口コンベア16の間の隙間18を横切って移動する際」の「農産品20」を撮像する点。

<相違点2>
「光学的に撮像して複数の画素を生成するステップ」に関して、本願発明1は、「ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像を使用して」「複数の画素を生成」し、「各画素は、その画素によって表される物質の反射強度に基づくスペクトル・プロファイルを有する」のに対し、引用発明は、「CCDカメラ50を含む走査組立体32によって当該農産品20を走査」することで複数の画素を生成している点。

<相違点3>
本願発明1は、「複数の画素を複数の物体にグループ化してバルク流の中の個々の物体を識別するステップと、各識別された物体の内のグループ化された画素を統計解析して、優良根菜作物に対応する画素の割合を決定するステップと、優良根菜作物に対応する画素の割合を少なくとも一つの定量的閾値と比較することによって、各識別された物体を許容可能又は許容不可能のどちらかに分類するステップ」を有するのに対し、引用発明は、そのような構成を具備していない点。

<相違点4>
「収穫された根菜作物の選別された流れを供給するステップ」に関し、本願発明1は、「バルク流から許容不可能に分類された物体を除去」することで「選別された流れ」を供給しているのに対し、引用発明は、「選択されたキックアウトソータ24によってその農産品20を同じ等級の農産品と共に複数のビン26のうちの一つに排出する」ことで「選別された流れ」を供給している点。

(2)判断
事案に鑑み、相違点2及び3についてまとめて検討する。
引用文献5には、上記「第4 5」において摘記したとおり、画像処理によりミカンMの画像領域を抽出して、その抽出領域にミカンMが1個だけ存在している正常状態であるか、又は、複数存在している異常状態であるかを判別し、異常状態であると判別された場合には、その複数のミカンMの夫々の画像を分離させる分離処理を実行し、分離処理した後の画像を検査対象領域として特定し、その特定した画像情報に基づく外観検査の判定を行う点が記載されている。また、検査対象として、ミカンMに限らず芋等の根菜類にも適用できることも記載されている。
しかしながら、引用文献5に記載の技術は、ミカンM等の検査対象物が画像領域に複数存在している場合には画像を分離し、分離処理後のそれぞれの画像を検査(分析)するものであって、少なくとも本願発明1の相違点3に係る構成のように、「複数の画素を複数の物体にグループ化してバルク流の中の個々の物体を識別」し、「各識別された物体の内のグループ化された画素を統計解析」するものとは構成が異なっている。
また、引用文献2?4にもこのような画像処理、解析に係る構成は記載も示唆もされておらず、このような構成が周知技術であったことを示す証拠もない。
加えて、本願発明1は、「ハイパースペクトルまたはマルチスペクトル撮像」を使用して「物質の反射強度に基づくスペクトル・プロファイルを有する」複数の画素を生成するという相違点2に係る構成を有するからこそ、上記相違点3に係る構成を採用し得たものとも認められる。
そうすると、たとえ引用文献4に記載されているように、流れ中の様々な物質の種別を識別する際にハイパースペクトルカメラを用いることが従来から知られていた技術であったとしても、引用発明において、引用文献2?5に記載された技術に基いて上記相違点2及び3に係る構成を採用することは、当業者といえども容易に想到し得たものとはいえない。

そして、本願発明1は、上記のような構成を採用することにより、「土塊及び石などの異物と土で覆われた作物とを弁別することができ且つ作物への損傷を殆ど起こさない、大量の収穫された根菜作物を処理する方法及び装置を提供」できるとともに、「根菜作物に関して腐敗又は未熟を識別することができる方法及び装置を提供」できるという効果を奏する(本願明細書の段落【0008】参照。)ものであり、かかる効果は引用文献1?5からは予測し得ないものである。

したがって、相違点1、4について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?5に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2?12について
本願発明2?12は、本願発明1の発明特定事項を全て備え、さらに発明特定事項を付加したものであるから、本願発明1についての判断と同様の理由により、引用発明、引用文献2?5、9に記載された事項、及び引用文献6に記載された周知技術から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

3 本願発明13について
本願発明13は、本願発明1の「収穫された根菜作物を処理する方法」を実施するための「収穫された根菜作物を処理する装置」に関する発明であると認められるところ、上記相違点2及び3に係る構成と実質的に同一の構成を有している。
したがって、本願発明13は、本願発明1と同様の理由により、引用発明及び引用文献2?5に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1?13は、引用発明、引用文献2?5、9に記載された事項、及び引用文献6に記載された周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-01 
出願番号 特願2015-530354(P2015-530354)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B07C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中島 昭浩  
特許庁審判長 平田 信勝
特許庁審判官 藤田 和英
尾崎 和寛
発明の名称 収穫された根菜作物を処理する方法及び装置  
代理人 特許業務法人浅村特許事務所  

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