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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1355642
審判番号 不服2018-9511  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-10 
確定日 2019-10-01 
事件の表示 特願2013-213609「内燃機関」拒絶査定不服審判事件〔平成26年5月1日出願公開、特開2014-77446〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月11日(パリ条約による優先権主張2012年10月11日、ドイツ連邦共和国)の出願であって、平成29年7月19日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成30年1月22日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年3月6日付けで拒絶査定(発送日:同年3月12日)がされ、これに対して、同年7月10日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出され、同年8月23日に上申書が提出されたものである。

第2 平成30年7月10日の手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成30年7月10日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前(平成30年1月22日の手続補正書)の請求項1に、

「【請求項1】
排気ターボ過給機と排出制御装置とを有する内燃機関、特に重質燃料油を用いて動作する船舶用ディーゼル内燃機関であって、前記排気ターボ過給機が1つまたは複数の排気ターボチャージャ(11、11a、11b)を含み、前記排出制御装置がSCR触媒コンバータ(14)を含む内燃機関において、
前記SCR触媒コンバータ(14)は少なくとも2つのSCR触媒コンバータの段階(15、16)を含み、第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が、排気の流れの方向から見て排気ターボチャージャ(11、11b)のタービン(12、12b)の上流に配置され、第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が、排気の流れの方向から見て前記排気ターボチャージャ(11、11b)の前記タービン(12、12b)の下流に配置されており、
前記排気ターボ過給機が1段式の設計のものであって単一の排気ターボチャージャ(11)を含み、前記第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の上流に配置され、前記第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の下流に配置されていることを特徴とする、内燃機関。」
とあったものを、

「【請求項1】
排気ターボ過給機と排出制御装置とを有する内燃機関、特に重質燃料油を用いて動作する船舶用ディーゼル内燃機関であって、前記排気ターボ過給機が1つの排気ターボチャージャ(11)を含み、前記排出制御装置がSCR触媒コンバータ(14)を含む内燃機関において、
前記SCR触媒コンバータ(14)は少なくとも2つのSCR触媒コンバータの段階(15、16)を含み、第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が、排気の流れの方向から見て排気ターボチャージャ(11、11b)のタービン(12)の上流に配置されかつ当該内燃機関にバイパスされずに接続されており、第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が、排気の流れの方向から見て前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の下流に配置されており、
前記排気ターボ過給機が1段式の設計のものであって単一の排気ターボチャージャ(11)を含み、前記第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の上流に配置され、前記第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の下流に配置され、
共通の還元剤噴射部(17)が、両方の前記SCR触媒コンバータの段階(15、16)のために設けられていることを特徴とする、内燃機関。」
と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付した。)。

上記補正は、発明を特定するために必要な事項である「SCR触媒コンバータの段階(15、16)」について「共通の還元剤噴射部(17)が、両方の前記SCR触媒コンバータの段階(15、16)のために設けられている」ことを限定し、同「第1のSCR触媒コンバータの段階(15)」について「当該内燃機関にバイパスされずに接続されており」と限定し、また、補正前の「1つまたは複数の排気ターボチャージャ(11、11a、11b)を含み」との択一的事項について「1つの排気ターボチャージャ(11)を含み」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 引用文献
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2005-344714号公報(以下「引用文献1」という。)には、「ターボ過給機付発動機」に関して、図面(特に、図2参照)とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審による。以下同様。

ア 「【0001】
本発明は、自己点火式又は電気点火式の往復ピストン式内燃機関、排気ターボ過給機および排気路内に配置された少なくとも1つのSCR触媒を備えた発動機装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の発動機装置は特に大型で中速回転のディーゼル機関およびガス機関であり、例えば船舶や地上に配置された発電所等で普通に用いられている。
【0003】
NO_(X)の排出を抑制し、低い規制値を遵守すべく、従来技術において既に発動機の排気系統内にSCR触媒を配設している。
【0004】
過剰空気で駆動される発動機装置の排気中のNO_(X)含有量を低減すべく、所謂選択触媒還元法(SCR法)が公知である。この方法では、触媒の手前の位置で排気中に還元剤を噴射し、排気に含まれるNO_(X)を、所謂SCR触媒でN_(2)とO_(2)に還元する。還元剤としてアンモニアが使用できるが、通常は操作性の理由から尿素水溶液が用いられる。」

イ 「【0006】
SCR法は、所定の温度範囲でのみ良好な還元効果を発揮する。付加的な制限として、硫黄分を含む燃料、特に重油(HFO)で発動機を運転する際、触媒被覆および燃料の硫黄含有量に依存する温度値を下回ると、触媒の汚染が生ずることに留意せねばならない。
【0007】
今日、実際上殆ど全ての、1段式過給機を用いて実現される中速回転4サイクルエンジンの場合、排気系統内の触媒は排気ターボ過給機のタービンの後方に配置される。発動機の適切な設計で、大抵の場合、問題のない運転に必要な最低温度を遵守できる。タービンの前方に配置すると、排気温度が高過ぎて、温度範囲の上限を超えてしまう。
【0008】
大容量を達成し、かつ発動機内部でのNO_(X)還元のためのミラー法の使用を可能とすべく、将来的には、必要な給気圧力が上昇するであろう。それはタービン圧力比を高めることにもなる。タービン前方の温度は今日普通であるより高くはないであろうから、タービンの汚染を防止すべく、タービン後方の温度は今日普通であるより低くなろう。このため触媒の問題のない動作に必要な最低温度を下回る可能性がある。
【0009】
図1は、従来技術による発動機装置の一構成例を示す。発動機1は排気ターボ過給機のタービン2に排気を供給し、タービン2は圧縮機3を駆動する。圧縮機3は空気を吸込んで圧縮し、給気冷却器4を介して発動機に供給する。タービン2から流出する排気は触媒5の作用を受ける。
【0010】
同様に、一段過給機付低速二サイクルエンジンは明らかに低い排気温度を持つ。この際排気系統で排気ターボ過給機を正しい温度範囲で動作させるべく、触媒を排気ターボ過給機のタービンの手前に配置せねばならない。図2はこの配置を示す。発動機1から排出される排気をまず触媒5に導入し、その後初めてタービン2に導く。タービン2は圧縮機3を駆動する。圧縮機3は空気を吸込み、圧縮し、給気冷却器4を経て発動機に供給する。
【0011】
この配置は非定常運転時、制御上の問題を引き起こす傾向がある。と言うのは、触媒が蓄熱器として働き、発動機から到来する排気エネルギーを時間遅れをもってタービンに供給するからである。この不都合は、負荷変動時に触媒をバイパス管11でバイパスすることで回避できる。止め弁12と13を適宜操作することで、触媒を経て排気を導く(固定運転時)か、それをバイパスして導く(負荷変動時)ようにできる。」

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「排気ターボ過給機と触媒とを有する1段過給機付低速2サイクルエンジン、特に重油(HFO)で運転する船舶に用いられる1段過給機付低速2サイクルエンジンであって、前記排気ターボ過給機が1つの1段式過給機を含み、前記触媒がSCR触媒を含む1段過給機付低速2サイクルエンジンにおいて、
前記SCR触媒が、排気の流れの方向から見て1段式過給機のタービンの前方に配置されかつ当該1段過給機付低速2サイクルエンジンにバイパス管11と並列に接続されており、
前記排気ターボ過給機が1段式過給機であって単一の1段式過給機を含み、前記SCR触媒が前記1段式過給機の前記タービンの前方に配置される、1段過給機付低速2サイクルエンジン。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2003-184542号公報(以下「引用文献2」という。)には、「ディーゼルエンジンの排気ガス浄化システム」に関して、図面(特に、図1、図2、図4参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0038】図1に示すように、この排気ガス浄化システムが使用されるディーゼルエンジンでは、エンジン本体2に設けられた吸気マニホールド3に接続された吸気管5に、エアクリーナ6、ターボチャージャ8のコンプレッサー82、吸気絞り弁22が設けられ、また、排気マニホールド4に接続される排気管7には、ターボチャージャ8の排気タービン81、排気絞り弁23と、第1の排気ガス浄化装置12が設けられる。また、EGR用に排気管7と吸気管5とを接続するEGR弁11を備えたEGR管9を設けられる。
【0039】そして、本発明では、この第1の排気ガス浄化装置12の上流側の排気管7に第2の排気ガス浄化装置13を備えたバイパス排気通路101が併設され、更に、流路切換弁102がバイパス排気通路101の排気管7からの分岐部位と排気管7への合流部位との間の排気管7に設けられる。
【0040】この第1の排気ガス浄化装置12は、第1の酸化触媒121と第1のDPF122からなる第1の連続再生式DPF12Aと第2(審決注:「第1」の誤記)のSCR触媒12Bを有して構成され、また、第2の排気ガス浄化装置13も同様に、図2に示すように第2の酸化触媒131と第2のDPF132からなる第2の連続式DPF13Aと第2のSCR触媒13Bを有して構成される。」

イ 「【0046】この第2の排気ガス浄化装置13は排気マニホールド4の内部または排気マニホールド4の近傍に設け、温度が低下する前の排気ガスを第2の排気ガス浄化装置13に流入させるように構成する。
【0047】また、NOx浄化用の還元剤としての尿素(還元剤)を供給するための尿素インジェクター(還元剤供給用インジェクター)31が、バイパス排気通路101の分岐部分よりも上流側に配置され、尿素タンク(還元剤タンク)32と、これらを連結する尿素供給管(還元剤供給管)33が設けると共に、この尿素インジェクター31の電磁弁を制御装置10で制御して尿素の噴射及び噴射量の調整を行う。これらの装置でNOx浄化用の還元剤供給手段を構成する。」

ウ 「【0054】以上の構成の排気ガス浄化システムにおいては、次のように制御される。
【0055】エンジンの運転に際して、排気温度領域検出手段が、エンジンの負荷や回転数から排気温度が第1の所定の温度ラインL1より高く、第3の所定の温度ラインL3より低い適温領域Z1にあることを検出した時には、流路切換手段により流路切換弁102を開弁し、排気ガスを直接第1の排気ガス浄化装置12に流す。この時、吸気絞り22と排気絞り23は全開に制御され、EGR弁はそれぞれの運転状態に適したEGR量になるように弁開度を調整制御されるか、全開とする。この第1の所定の温度ラインL1は排気温度が250℃以上、好ましくは300℃以上となるラインである。
【0056】そして、排気温度領域検出手段が、排気温度が所定の温度ラインL1よりも低い低温領域Z2(第1低温領域Z21又は第2低温領域Z22)にあることを検出した場合には、排気温度上昇手段を作動させて排気温度を上昇させると共に、流路切換手段により流路切換弁102を閉弁し、排気ガスをバイパス排気通路101に流して、排気ガスを第2の排気ガス浄化装置13を通過させてから第1の排気ガス浄化装置12を通過させるように制御する。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献2には次の事項が記載されている。

「排気ガス浄化システムがSCR触媒12B、13Bを含むディーゼルエンジンにおいて、
前記SCR触媒12B、13Bは少なくとも2つの第1のSCR触媒12B及び第2のSCR触媒13Bを含み、第2のSCR触媒13Bが、排気の流れの方向から見てターボチャージャ8の排気タービン81の上流に配置されかつ排気管7から分岐するバイパス排気通路101に設けられ、第1のSCR触媒12Bが、排気の流れの方向から見て前記ターボチャージャ8の前記排気タービン81の下流に配置されており、
共通の尿素インジェクター31が、両方の第1のSCR触媒12B及び第2のSCR触媒13Bのために設けられている、ディーゼルエンジン。」

3 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「排気ターボ過給機」は前者の「排気ターボ過給機」に相当し、以下同様に、「触媒」は「排出制御装置」に、「1段過給機付低速2サイクルエンジン」は「内燃機関」に、「特に重油(HFO)で運転する船舶に用いられる1段過給機付低速2サイクルエンジン」は「特に重質燃料油を用いて動作する船舶用ディーゼル内燃機関」に、「SCR触媒」は「SCR触媒コンバータ(14)」に、「1段式過給機」は「排気ターボチャージャ(11)」に、「タービン」は「タービン(12)」に、「前方に配置され」ることは「上流に配置され」ることに、「前記排気ターボ過給機が1段式過給機であって単一の1段式過給機を含」むことは「前記排気ターボ過給機が1段式の設計のものであって単一の排気ターボチャージャ(11)を含」むことにそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「排気ターボ過給機と排出制御装置とを有する内燃機関、特に重質燃料油を用いて動作する船舶用ディーゼル内燃機関であって、前記排気ターボ過給機が1つの排気ターボチャージャを含み、前記排出制御装置がSCR触媒コンバータを含む内燃機関において、
前記排気ターボ過給機が1段式の設計のものであって単一の排気ターボチャージャ)を含む、内燃機関。」
である点で一致し、次の点で相違する。

〔相違点1〕
本願補正発明は、「前記SCR触媒コンバータ(14)は少なくとも2つのSCR触媒コンバータの段階(15、16)を含み、第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が、排気の流れの方向から見て排気ターボチャージャ(11、11b)のタービン(12)の上流に配置され」、「第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が、排気の流れの方向から見て前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の下流に配置されており」、「前記第1のSCR触媒コンバータの段階(15)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の上流に配置され、前記第2のSCR触媒コンバータの段階(16)が前記排気ターボチャージャ(11)の前記タービン(12)の下流に配置され」、「共通の還元剤噴射部(17)が、両方の前記SCR触媒コンバータの段階(15、16)のために設けられている」のに対し、
引用発明は、「SCR触媒が、排気の流れの方向から見て1段式過給機のタービンの前方に配置される」点。

〔相違点2〕
本願補正発明は、第1のSCR触媒コンバータの段階(15)がタービン(12)の上流に配置され「かつ当該内燃機関にバイパスされずに接続されて」いるのに対し、
引用発明は、SCR触媒が排気の流れの方向から見て1段式過給機のタービンの前方に配置され「かつ当該1段過給機付低速2サイクルエンジンにバイパス管11と並列に接続されて」いる点。

そこで、各相違点を検討する。
(1)相違点1について
引用発明は、引用文献1の「一段過給機付低速二サイクルエンジンは明らかに低い排気温度を持つ。」(段落【0010】)との記載からみて、低い排気温度で動作するものである。
他方、引用文献2に記載された事項は、引用文献2の「排気温度領域検出手段が、排気温度が所定の温度ラインL1よりも低い低温領域Z2(第1低温領域Z21又は第2低温領域Z22)にあることを検出した場合には、排気温度上昇手段を作動させて排気温度を上昇させると共に、流路切換手段により流路切換弁102を閉弁し、排気ガスをバイパス排気通路101に流して、排気ガスを第2の排気ガス浄化装置13を通過させてから第1の排気ガス浄化装置12を通過させるように制御する。」(段落【0056】)との記載からみて、排気温度が所定の温度よりも低い低温領域にある場合に、排気ガスを第2のSCR触媒13Bを通過させてから第1のSCR触媒12Bを通過させるように動作するものである。
そうすると、引用発明と引用文献2に記載された事項とは低い排気温度で動作する点で共通するから、引用発明において、引用文献2に記載された事項を参酌して、相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(2)相違点2について
引用発明のバイパス管11は、引用文献1の「この配置は非定常運転時、制御上の問題を引き起こす傾向がある。と言うのは、触媒が蓄熱器として働き、発動機から到来する排気エネルギーを時間遅れをもってタービンに供給するからである。この不都合は、負荷変動時に触媒をバイパス管11でバイパスすることで回避できる。」(段落【0011】)との記載によれば、非定常運転時や負荷変動時に触媒をバイパスさせて、排気エネルギーを時間遅れを回避するものであり、定常運転時には使用されないものであることが理解できる。
そうすると、引用発明において、SCR触媒が1段過給機付低速2サイクルエンジンにバイパスされずに接続されるようにして、相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(3)効果について
本願補正発明は、全体としてみて、引用発明及び引用文献2に記載された事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

(4)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成30年1月22日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1?3
・引用文献1、2

引用文献1記載の内燃機関の排出制御装置の配置構成として、引用文献2記載のものを採用することは、当業者が容易になし得たことである。

引用文献一覧
1 特開2005-344714号公報
2 特開2003-184542号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用した本審決の引用文献、その記載事項、及び引用発明は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本願補正発明における「SCR触媒コンバータの段階(15、16)」についての「共通の還元剤噴射部(17)が、両方の前記SCR触媒コンバータの段階(15、16)のために設けられている」との限定を省き、「第1のSCR触媒コンバータの段階(15)」についての「当該内燃機関にバイパスされずに接続されており」との限定を省き、また、「1つの排気ターボチャージャ(11)を含み」を「1つまたは複数の排気ターボチャージャ(11、11a、11b)を含み」との択一的事項としたものである。
そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-04-22 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-21 
出願番号 特願2013-213609(P2013-213609)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01N)
P 1 8・ 575- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小笠原 恵理石川 貴志  
特許庁審判長 水野 治彦
特許庁審判官 冨岡 和人
金澤 俊郎
発明の名称 内燃機関  
代理人 実広 信哉  
代理人 村山 靖彦  
代理人 阿部 達彦  
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