• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G02B
管理番号 1355650
審判番号 不服2018-13034  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-01 
確定日 2019-10-28 
事件の表示 特願2016-545701「偏光板およびこれを含む画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月 2日国際公開、WO2015/046999、平成28年11月 4日国内公表、特表2016-534415、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月29日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2013年9月30日 大韓民国、2014年9月26日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
平成29年3月6日付け:拒絶理由通知書
平成29年6月7日:意見書、手続補正書の提出
平成29年11月10日付け:拒絶理由通知書
平成30年1月19日:意見書、手続補正書の提出
平成30年6月8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
平成30年10月1日:審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定の概要は、この出願の請求項1?9に係る発明は、その最先の優先権主張の日(以下、「本件優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2012-52000号公報
2.特開2009-37223号公報
3.特開2007-46031号公報
4.特開2012-234163号公報
5.特開2013-37057号公報
6.特開2008-151998号公報
7.特開2007-41533号公報
8.特開2012-234165号公報

第3 本願発明
本願発明は、平成30年1月19日に提出された手続補正書で補正された、特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定されるとおりの、以下のものである。

「 【請求項1】
偏光子と、
前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護層とを含む偏光板であって、
前記保護層が、(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物であり、
前記(A)ラジカル重合性化合物の親水性官能基は、ヒドロキシ基であり、
前記(A)ラジカル重合性化合物は、(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物であることを特徴とする、偏光板。
【化1A】

【化1B】

【化1C】

【化1D】

【請求項2】
前記ラジカル硬化型組成物は、ラジカル硬化型組成物100重量部に対して、(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物30重量部超過93重量部以下;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物5?40重量部;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物1?40重量部;および(D)ラジカル開始剤0.5?20重量部を含み、
前記(A)ラジカル重合性化合物の親水性官能基は、ヒドロキシ基であることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項3】
前記ラジカル硬化型組成物の全体水酸基価(hydroxyl value)は、500?900mg・KOH/gであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項4】
前記(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物は、下記の化学式I?化学式IIIで表される化合物からなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【化2】

前記化学式Iにおいて、R_(1)およびR_(2)は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルオキシアルキル基である。
【化3】

前記化学式IIにおいて、R_(3)、R_(4)およびR_(5)は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、R_(6)は、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基、ヒドロキシ基、または置換もしくは非置換のC_(1?10)のアルキル基である。
【化4】

前記化学式IIIにおいて、R_(7)は、置換もしくは非置換のC_(1?10)のアルキレンであり、R_(8)およびR_(9)は、それぞれ独立して、(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリロイルオキシアルキル基である。
【請求項5】
前記(C)ホスフェート化合物は、下記の化学式IVで表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【化5】

前記化学式IVにおいて、R_(10)は、置換もしくは非置換のC_(1?10)のアルキレン基、置換もしくは非置換のC_(4?14)のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換のC_(6?14)のアリーレン基、またはこれらの組み合わせであり;R_(11)は、水素またはメチル基であり;nは1?2の整数で、mは1?2の整数であり、n+m=3である。
【請求項6】
前記保護層の厚さは、0.5?20μmであることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項7】
前記偏光子の保護層が形成された面の反対面に、接着剤層を介して保護フィルムが付着していることを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項8】
前記保護層の上部に粘着層をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の偏光板。
【請求項9】
請求項1?8のいずれか1項に記載の偏光板を含むことを特徴とする、画像表示装置。」

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成24年3月15日に頒布された刊行物である特開2012-52000号公報(以下、「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、公報に付与されていた下線を省き(引用文献8の段落【0106】)、当合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付与した。

(1)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の部材を接着する接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、特には偏光子と透明保護フィルムとの接着剤層を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、および偏光板に関する。
・・・(省略)・・・
【0003】
偏光子としては、高透過率、高偏光度を有することから、例えばポリビニルアルコール(以下、単に「PVA」ともいう)にヨウ素を吸着させ、延伸した構造のヨウ素系偏光子が最も一般的に広く使用されている。一般的に偏光板は、ポリビニルアルコール系の材料を水に溶かしたいわゆる水系接着剤によって、偏光子の両面に透明保護フィルムを貼り合わせたものが用いられている(下記特許文献1および特許文献2)。透明保護フィルムとしては、透湿度の高いトリアセチルセルロースなどが用いられる。
【0004】
偏光板を製造する際に、ポリビニルアルコール系接着剤のような水系接着剤を用いた場合(いわゆるウェットラミネーション)には、偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせた後に、乾燥工程が必要となる。偏光板の生産性を向上させるためには、乾燥工程を短縮するか、乾燥工程を必要としない別の接着方法を採用することが望ましい。
・・・(省略)・・・
【0007】
上述したウェットラミネーションでの問題点を解決すべく、水や有機溶剤を含有しない活性エネルギー線硬化型接着剤が提案されている。かかる活性エネルギー線硬化型接着剤として、大きく分けて光カチオン重合型と光ラジカル重合型とが挙げられる。
【0008】
光カチオン重合は、一般的に水の存在下で重合反応が阻害されることが知られている。よって、湿式延伸したPVA偏光子を完全乾燥後に接着剤中の硬化性成分を重合する場合は支障がない。しかしながら、PVA偏光子を十分に乾燥せず、含水率が高い状態で接着剤層を介して透明保護フィルムをラミネートすると、硬化性成分の光カチオン重合が阻害され、接着剤層が硬化不良を起こす場合がある。また、下記特許文献3に記載のとおり、エポキシ樹脂で硬化性成分を構成した場合、その光カチオン重合の重合速度が遅く、偏光板をロールトゥロール(Roll To Roll)で連続的に生産する場合、巻取り後にも硬化が進行し、偏光板にカールが発生する場合がある。このため、光カチオン重合型は、偏光板のロールトゥロール生産に適さない。加えて、光カチオン重合型で一般的に使用される、低分子量かつ低粘度のエポキシ樹脂には、変異原性や刺激性などの毒性を有するものが多く、安全面でも問題が指摘されている。
【0009】
一方、光ラジカル重合型では、水によって重合反応が阻害されないため、PVA偏光子の水分率が高い状態で接着剤層を介して透明保護フィルムをラミネートしても支障がない。また、光ラジカル重合の重合速度は、光カチオン重合に比して速いため、偏光板のロールトゥロール生産にも適する。かつエポキシ樹脂に比して、光ラジカル重合型で使用される硬化性成分の毒性は低い。
【0010】
本発明者らはN-置換アミド系モノマーを硬化性成分として使用した、ラジカル重合型の活性エネルギー線硬化型接着剤を開発した(下記特許文献4)。かかる接着剤は、高湿度下および高温下の過酷な環境下において優れた耐久性を発揮するものであるが、市場においては、さらなる接着性および/または耐水性を向上できる接着剤が要求されつつあるのが実情であった。
・・・(省略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、2以上の部材、特には偏光子と透明保護フィルム層との接着性を向上し、かつ耐久性および耐水性を向上した接着剤層を形成できる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、偏光板、光学フィルムならびに画像表示装置を提供することにある。
・・・(省略)・・・
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、水系接着剤に比べて耐久性が高い。また、光ラジカル重合型であるため、光カチオン重合型に比して重合速度が速く、生産性に優れる。また、硬化性成分としてN-置換アミド系モノマーと酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーとを含有するため、接着性、耐久性および耐水性に優れる。」

(2)「【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係る活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、硬化性成分として、下記一般式(1)で表されるN-置換アミド系モノマーと酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーとを必須成分として含有する。本発明に係る偏光板は、偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルムが設けられており、当該接着剤層の形成には、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いる。
【0034】
N-置換アミド系モノマーは、下記一般式(1):
CH_(2)=C(R^(1))-CONH_(2-m)-(X-O-R^(2))_(m) (1)
(R^(1)は水素原子またはメチル基を示し、Xは-CH_(2)-基または-CH_(2)CH_(2)-基を示し、R^(2)は-(CH_(2))_(n)-H基(ただし、nは0,1または2)、メチル基またはエチル基を示し、mは1または2を示す)で表される。
・・・(省略)・・・
【0040】
本発明においては、酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーとして、特に下記一般式(2):
(CH_(2)=C(R^(3))-COO-Y)_(r)-PO-(OH)_(3-r) (2)
(R^(3)は水素原子またはメチル基を示し、Yは-(CH_(2)CHR^(4)-O)_(s)-(ただし、R^(4)は水素原子、メチル基またはクロロメチル基を示し、sは1から6までの整数を示す)で表される(ポリ)アルキレンオキサイド基を示し、rは1,2または3を示す)で表されるリン酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーが好ましい。
・・・(省略)・・・
【0043】
本発明においては、硬化性成分を構成するモノマーの合計量に対する酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーの割合が、0.01質量%以上10質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以上5質量%未満であることがより好ましい。
【0044】
本発明においては、硬化性成分として一般式(1)で表されるN-置換アミド系モノマーおよび酸基含有(メタ)アクリレート系モノマーに加えて、2個以上の炭素-炭素二重結合を有するモノマー、特に好ましくは多官能(メタ)アクリレート系モノマーを含有する場合、接着剤層の耐水性が向上するため好ましい。
・・・(省略)・・・
【0047】
また、任意成分として、各種の芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレートなどを使用してもよい。
【0048】
芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートは、芳香環およびヒドロキシ基を有する、各種の単官能の(メタ)アクリレートを用いることができる。ヒドロキシ基は、芳香環の置換基として存在してもよいが、本発明では、芳香環と(メタ)アクリレートとを結合する有機基(炭化水素基、特に、アルキレン基に結合したもの)として存在するものが好ましい。
【0049】
上記芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、芳香環を有する単官能のエポキシ化合物と、(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。芳香環を有する単官能のエポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、t‐ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルポリエチレングリコールグリシジルエーテルなどが挙げられる。芳香環およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートの、具体例としては、例えば、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルポリエチレングリコールプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
・・・(省略)・・・
【0057】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を電子線硬化型で用いる場合、組成物中に光重合開始剤を含有させることは特に必要ではないが、紫外線硬化型で用いる場合には、光ラジカル発生剤を用いることが好ましい。光ラジカル発生剤としては、水素引き抜き型光ラジカル発生剤と開裂型光ラジカル発生剤とが挙げられる。
・・・(省略)・・・
【0070】
本発明に係る偏光板は、偏光子の接着剤層を形成する面および/または透明保護フィルムの接着剤層を形成する面に活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗工した後、偏光子と透明保護フィルムを貼り合わせる工程、次いで、活性エネルギー線照射によって活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化して接着剤層を形成する工程、を有する。
・・・(省略)・・・
【0078】
本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に、上記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物層により形成された接着剤層を介して、透明保護フィルムが貼り合わされている。
・・・(省略)・・・
【0081】
上記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れるものが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどが挙げられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または上記ポリマーのブレンド物なども上記透明保護フィルムを形成するポリマーの例として挙げられる。」

(3)「【実施例】
【0093】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明の実施形態はこれらに限定されない。
・・・(省略)・・・
【0095】
<偏光子>
平均重合度2400、ケン化度99.9モル%の厚み75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水中に60秒間浸漬し膨潤させた。次いで、ヨウ素/ヨウ化カリウム(重量比=0.5/8)の濃度0.3%の水溶液に浸漬し、3.5倍まで延伸させながらフィルムを染色した。その後、65℃のホウ酸エステル水溶液中で、トータルの延伸倍率が6倍となるように延伸を行った。延伸後に、40℃のオーブンにて3分間乾燥を行い、偏光子を得た。
【0096】
<透明保護フィルム>
第1の保護フィルムとして、厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(TAC)を60℃に加温した水酸化ナトリウム10質量%水溶液に30秒間浸漬し、その後熱風乾燥機により乾燥させて用いた。第2の保護フィルムとして、厚さ60μmのゼオノアフィルム(日本ゼオン社製)にコロナ処理をしたものを用いた。23℃における接触角は32°であった。
・・・(省略)・・・
【0099】
(活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の調整)
実施例1?3、比較例1?2
表1に記載の配合表に従い、各成分を混合して50℃で1時間撹拌し、(a)?(e)の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(実施例1?3、比較例1?2)を得た。使用した各成分は以下のとおりである。
【0100】
HEAA(ヒドロキシエチルアクリルアミド、一般式(1)に記載のN-置換アミド系モノマー)、興人社製
4HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)、大阪有機化学工業社製
ワスマー2MA(N-メトキシメチルアクリルアミド、一般式(1)に記載のN-置換アミド系モノマー)、笠野興産社製
ライトアクリレートDCP-A(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、疎水性の多官能(メタ)アクリレート系モノマー)、共栄社化学社製
ライトアクリレートP-1A(2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、一般式(2)に記載のリン酸基含有(メタ)アクリレート系モノマー)、共栄社化学社製
β-CEA(β-カルボキシエチルアクリレート、酸基含有(メタ)アクリレート系モノマー)、ダイセル・サイテック社製
アクリル酸、東亞合成社製
IRGACURE819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィノキサイド(光ラジカル発生剤)チバ・ジャパン社製
【0101】
【表1】

【0102】
偏光板の製造例1?5
上記透明保護フィルム上に、実施例1?3、比較例1?2に係る活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(a)(以下、単に「組成物(a)という」)?(e)を、MCDコーター(富士機械社製)(セル形状:ハニカム、グラビアロール線数:1000本/inch、回転速度140%/対ライン速)を用いて、厚さ0.5μmになるように塗工し、上記偏光子の両面にロール機で貼り合わせた。その後、貼り合わせた透明保護フィルム側(両側)から、IRヒーターを用いて50℃に加温し(但し、実施例3では加熱なし)、上記活性エネルギー線(A)?(C)を両面に照射して組成物(a)?(e)を硬化させた後、70℃で3分間熱風乾燥して(但し、実施例2では熱風乾燥なし)、偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光板を得た。貼り合わせのライン速度は25m/minで行った。
【0103】
[評価]
実施例および比較例で得られた、偏光板について下記評価を行った。結果を表2に示す。
【0104】
<透明保護フィルムの接着試験>
偏光板を偏光子の延伸方向と平行に200mm、直行方向に20mmの大きさに切り出し、透明保護フィルム(トリアセチルセルロースフィルム、ゼオノアフィルム)と偏光子との間にカッターナイフで切り込みを入れ、偏光板をガラス板に貼り合わせた。テンシロンにより、90度方向に保護フィルムと偏光子とを剥離速度500mm/minで剥離し、その剥離強度を測定した。また、剥離後の剥離面の赤外吸収スペクトルをATR法によって測定し、剥離面の両面が透明保護フィルムに由来するスペクトルであれば○(透明保護フィルムの凝集破壊)、剥離面の両面が接着剤層に由来するスペクトルであれば△(接着剤層の凝集破壊)、剥離面の片面が接着剤層のスペクトル、もう片面が偏光子または透明保護フィルムに由来するスペクトルであれば×(保護フィルムと接着剤層との間の界面剥離)として評価した。
【0105】
<温水浸漬試験>
偏光板を50mm角の大きさに切り出し、60℃の温水に6時間浸漬し、偏光子の透過率が50%以下の面積残存率を測定した。なお、各偏光板の評価は以下の基準に準じて行った。
○;90%以上
△;50?90%
×;50%未満
【0106】
<ヒートショッククラック試験>
15インチの大きさに切り出した偏光板をガラス板に貼り付け、-40℃から80℃のヒートサイクル試験を行い、100サイクル後の偏光子の延伸方向にクラックが発生しているか否かを、下記の基準にて目視で評価した。
○;偏光子のクラック発生なし
△;偏光板の1辺からクラックが発生しているが、対向辺に到達していない
×;偏光板の両対向辺に到達するクラックが発生した
【0107】
【表2】



2 引用発明1
前記1の記載事項(3)に基づけば、引用文献1には、偏光板の製造例1として、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていたと認められる。なお、「保護フィルム」と「透明保護フィルム」は、後者に用語を統一して記載した。

「 ポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素/ヨウ化カリウムの水溶液に浸漬し、延伸させながらフィルムを染色し、その後、ホウ酸エステル水溶液中で、延伸を行った後に、乾燥を行い、偏光子を得、
第1の透明保護フィルムとして、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)を加温した水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、乾燥させて用い、第2の透明保護フィルムとして、ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製)にコロナ処理をしたものを用い、
HEAA(ヒドロキシエチルアクリルアミド)、ワスマー2MA(N-メトキシメチルアクリルアミド)、ライトアクリレートDCP-A(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、ライトアクリレートP-1A(2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート)、IRGACURE819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィノキサイド(光ラジカル発生剤)を混合して、撹拌し、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物(a)(以下、「組成物(a)」という。)を得、
上記透明保護フィルム上に、組成物(a)を塗工し、上記偏光子の両面にロール機で貼り合わせ、加温し、活性エネルギー線を両面に照射して組成物(a)を硬化させた後、乾燥して得られる、
偏光子の両側に透明保護フィルムを有する偏光板。」

3 引用文献2の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成21年2月19日に頒布された刊行物である特開2009-37223号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、薄肉軽量化と耐久性能とを同時に満足する偏光板を提供し、また、信頼性に優れ、モバイル用途や大型テレビ用途などの液晶表示装置を形成しうる光学部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂からなる偏光子の少なくとも片面に、厚さが20μm 以下の保護膜を有しており、その保護膜は、引張弾性率(単位:N/mm^(2) )と厚さ(単位:mm)の積が40N/mm以上となるように形成されている偏光板が提供される。また本発明によれば、上記の偏光板に、他の光学機能を示す光学層が積層されている光学部材が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明による偏光板は、偏光子と保護膜との良好な密着性を保ちつつ、薄肉軽量性に優れ、さらに高い耐久性能を示すものとなる。その結果、装置組立時の加熱処理や装置使用時の環境条件に十分耐えうる薄肉軽量の偏光板及びそれを備える光学部材を得ることができ、それを用いて、信頼性に優れ、モバイル用途や大形テレビ用途などの液晶表示装置を形成することができる。
・・・(省略)・・・
【0026】
本発明で規定する厚さが20μm 以下の保護膜は、偏光子表面へのコーティングによって形成するのが有利である。コーティングによって保護膜を形成する組成物には、樹脂又はその前駆体を主成分とするものが有利に用いられ、その樹脂として具体的には、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂などを挙げることができる。なお、ここでいう樹脂前駆体とは、重合性のモノマー又はオリゴマーを意味する。
・・・(省略)・・・
【0028】
保護膜を形成するための樹脂は、保護膜形成用のコーティング組成物として、重合体を配合したものを用いてもよいし、モノマーを配合した組成物を塗工後、活性エネルギー線の照射や加熱により重合・硬化させることで形成してもよい。
・・・(省略)・・・
【0034】
本発明において、保護膜を設けた偏光板には、必要に応じてその保護膜の上に、ハードコート層、反射防止層、防眩層、位相差層などの各種処理を施してもよい。
・・・(省略)・・・
【0036】
このようなハードコート性能は、保護膜を形成する組成物として、高硬度の皮膜(ハードコート)を与える材料を選定することで付与できる。高硬度の皮膜を与える材料としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から、紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。
・・・(省略)・・・
【0037】
紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、多官能(メタ)アクリレートを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。ここでいう「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、他に「(メタ)アクリル酸」とか「(メタ)アクリロイル」などというときの「(メタ)」も同様の趣旨である。多官能(メタ)アクリレートの例としては、ポリオール(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0038】
ポリオール(メタ)アクリレートとは、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを意味する。
・・・(省略)・・・
【0041】
また、高い可撓性が付与されるとともに硬化収縮が緩和されたハードコート層を得るために、例えば特開 2007-46031 号公報に記載されるような、ポリオール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、及び少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーの混合物を、紫外線硬化性樹脂とすることもできる。
・・・(省略)・・・
【実施例】
【0067】
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。例中、使用量を表す部は、特記ないかぎり重量基準である。
【0068】
以下の例で塗工液に用いた材料は、次のとおりである(いずれも商品名)。
【0069】
(A)硬化性成分又は組成物
“DN-0081” :無機粒子と光重合開始剤が配合された紫外線硬化性樹脂組成物、液体、オランダDSM社製。
“OX-SQ” :シルセスキオキセタン、液体、東亞合成(株)製。
“A-9530(6A)”:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、液体、新中村化学工業(株)製。
“A-TMM-3L”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、液体、新中村化学工業(株)製。
【0070】
(B)カップリング剤
“KBM-303” :エポキシ基を有するシランカップリング剤、信越化学工業(株)製。
【0071】
(C)光重合開始剤
“UVI-6990”:アリールスルホニウム塩系、ユニオン・カーバイド社製。
“イルガキュア 184”:1-ヒドロキシシクロヘキシル フェニル ケトン、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製。
【0072】
[参考例1]偏光子の作製
・・・(省略)・・・
【0073】
[実施例1]
参考例1で得られた偏光子の片面に、バーコータを用いて、上記した紫外線硬化性樹脂組成物“DN-0081” を塗工し、紫外線照射して硬化させた。偏光子のもう一方の面にも同じ組成物を塗工し、紫外線照射して硬化させた。こうして、偏光子の両面に保護膜が形成された偏光板を作製した。」

4 引用文献3の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成19年2月22日に頒布された刊行物である特開2007-46031号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明なフィルム基材の少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルム及びその製造方法に関する。より詳細には、偏光板等の光学素子・・・(省略)・・・に好適に使用可能なハードコートフィルム及びその製造方法に関する。
・・・(省略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、硬度が大きく、硬化収縮に起因するカールの発生を抑制し、可撓性に優れたハードコートフィルムを提供することにある。
・・・(省略)・・・
【0032】
即ち、本発明によれば、ハードコート層の形成材料にウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート及び水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含むので、弾性及び可撓性に優れ、カールや割れを従来よりも一層抑制し、かつ表面硬度の大きなハードコートフィルムが得られる。また、従来のハードコートフィルムの様に、硬度を大きくする為にハードコート層を二層構造とする必要も無いので、製造工程数の増加を抑制し、生産効率の低下を防止できる。
・・・(省略)・・・
【0037】
前記ハードコート層2は、ウレタンアクリレート(A)、ポリオール(メタ)アクリレート(B)及び水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー(C)を形成材料として構成される。
・・・(省略)・・・
【0045】
前記(メタ)アクリルポリマー(C)としては、水酸基を2個以上含むアルキル基を有するものが用いられる。より具体的には、例えば下記化学式(1)で表される2,3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーや、下記化学式(1)中の繰り返し構造単位及び下記化学式(2)に示す構造単位を分子中に有する2-ヒドロキシエチル基及び2,3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマーが挙げられる。
【0046】
【化1】

・・・(省略)・・・
【0048】
尚、本発明に於いては、この(メタ)アクリルポリマー(C)を含有することによりハードコート層2の硬化収縮を抑制し、その結果カールの発生を防止するものである。ハードコートフィルム等の製造上の観点からは、カールの発生を少なくとも30mm以内に抑制するのが好ましく、その範囲内にカールの発生を抑制することにより作業性及び生産効率を一層向上させることができる。
・・・(省略)・・・
【0162】
(実施例1)
ウレタンアクリレート(以下、A成分)としてペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートから成るウレタンアクリレート100部と、ポリオール(メタ)アクリレート(以下、B成分)としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、B1成分(モノマー))49部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、B4成分(モノマー))41部及びペンタエリスリトールトリアクリレート(以下、B5成分(モノマー))24部と、水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー(以下、C成分)として2-ヒドロキシエチル基及び2,3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名:PC 1070)59部と、全樹脂成分に対し重合開始剤(イルガキュア184)3部と、反応性レベリング剤0.5部とを、酢酸ブチルと酢酸エチルの混合割合が46:54(全溶媒に対する酢酸エチル比率54%)の混合溶媒により固形分濃度が50%となる様に希釈して、ハードコート形成材料を調製した。尚、前記反応性レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6-イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
【0163】
前記ハードコート形成材料を、フィルム基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.48)上に、バーコーターを用いて塗工し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射し、硬化処理して厚み20μmのハードコート層を形成し、本実施例に係るハードコートフィルムを作製した。」

5 引用文献4の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成24年11月29日に頒布された刊行物である特開2012-234163号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の記載事項がある。

「【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低透湿性、かつ、紫外線吸収能を有する(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)とハードコート層との密着性に優れ、かつ、干渉ムラの抑制された光学積層体を提供することにある。
・・・(省略)・・・
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
A.光学積層体の全体構成
図1(a)は、本発明の好ましい実施形態による光学積層体の概略断面図であり、図1(b)は、従来の一般的なハードコート層を有する光学積層体の概略断面図である。図1(a)に示す光学積層体100は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムから形成される基材層10と、浸透層20と、ハードコート層30とをこの順に備える。ハードコート層30は、(メタ)アクリル系樹脂フィルムにハードコート層形成用組成物を塗工して形成される。
・・・(省略)・・・
【0016】
本発明の光学積層体は、例えば、偏光フィルム(偏光板とも称される)に適用される。具体的には、本発明の光学積層体は、偏光フィルムにおいて、偏光子の片面または両面に設けられ、偏光子の保護材料として好適に用いられ得る。
・・・(省略)・・・
【0061】
上記ハードコート層形成用組成物は、硬化性化合物として、単官能モノマーを含んでいてもよい。
・・・(省略)・・・
【0063】
上記単官能モノマーは、好ましくは水酸基を有する。このような単官能モノマーであれば、ハードコート層形成時の加熱温度をより低く、加熱時間をより短く設定することができ、加熱による変形が抑制された光学積層体を効率よく生産することができる。また、上記ハードコート層形成用組成物が、水酸基を有する単官能モノマーを含んでいれば、(メタ)アクリル系樹脂フィルムとハードコート層との密着性に優れる光学積層体を得ることができる。このような単官能モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシアクリレート、1,4-シクロヘキサンメタノールモノアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート・・・(省略)・・・等が挙げられる。
・・・(省略)・・・
【0094】
<実施例3>
ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートとから得られるウレタンアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、2-ヒドロキシエチル基および2、3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー、および光反応開始剤(チバ・ジャパン社製、商品名:イルガキュア184;BASF社製、商品名:ルシリンTPO)を含む紫外線硬化型樹脂(DIC社製、商品名:PC1070、固形分:66%、溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル)100部およびレベリング剤(DIC社製、商品名:GRANDIC PC-4100)5部を混合し、固形分濃度が50%となるように、メチルイソブチルケトンで希釈して、ハードコート層形成用組成物を調製した。なお、上記紫外線硬化型樹脂(PC1070)の組成は以下のとおりである。
ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートとから得られるウレタンアクリレート 100部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 49部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 41部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 24部、
2-ヒドロキシエチル基および2、3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー 58部
製造例1で得られた基材フィルム上に、得られたハードコート層形成用組成物を塗布して塗布層を形成し、当該塗布層を120℃で1分間加熱した。加熱後の塗布層に高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射して塗布層を硬化させて、基材層、ハードコート層および浸透層を形成し、光学積層体を得た。」

6 引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成25年2月21日に頒布された刊行物である特開2013-37057号公報(以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、アクリル系基材フィルムとハードコート層の密着性について、アンカー効果により密着させることを検討したところ、密着性を向上させようとする(代表的には、ハードコート層形成用組成物の乾燥温度を上げる)と、基材フィルム成分がハードコート層に溶出し、耐擦傷性が低下するという新たな課題を見出した。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低透湿性の(メタ)アクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)を用いても、(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)とハードコート層との密着性を確保するとともに、耐擦傷性の低下を防止し得る光学積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・・・(省略)・・・
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は上記光学積層体を含む。
・・・(省略)・・・
【0105】
<実施例1>
下記組成からなる紫外線硬化型樹脂(DIC社製、商品名:PC1070、固形分:66%、溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル)100部・・・(省略)・・・を混合し、固形分濃度が50%となるように、メチルイソブチルケトンで希釈して、ハードコート層形成用組成物を調製した。
製造例1で得られた基材フィルムA上に、得られたハードコート層形成用組成物を塗布して塗布層を形成し、当該塗布層を100℃で1分間加熱した。加熱後の塗布層にメタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射して塗布層を硬化させて、基材層、ハードコート層および浸透層を形成し、光学積層体を得た。
・・・(省略)・・・
紫外線硬化型樹脂(商品名:PC1070)の組成
ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートとから得られるウレタンアクリレート100部、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート49部、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート41部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート24部、
2-ヒドロキシエチル基および2、3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー(分子量:3000、官能基数:10以上)58部、
光重合開始剤(チバ・ジャパン社製、商品名:イルガキュア184;BASF社製、商品名:ルシリンTPO)」

7 引用文献6の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成20年7月3日に頒布された刊行物である特開2008-151998号公報(以下、「引用文献6」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコートフィルムの製造方法、ハードコートフィルム、偏光板および画像表示装置に関する。
・・・(省略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、工程数を増やすことなく、簡易な製造装置を用いて、簡便な方法でハードコートフィルムのカールおよび折れの発生を防止することができ、平坦で高硬度なハードコートフィルムを製造することが可能な、連続生産性に優れたハードコートフィルムの製造方法を提供することを目的とする。
・・・(省略)・・・
【0022】
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート樹脂および溶媒を含むハードコート層形成材料を準備し、前記ハードコート層形成材料を透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させてハードコート層を形成することにより製造される。
・・・(省略)・・・
【0031】
前述のとおり、前記ハードコート樹脂は、下記の(A)成分、(B)成分および(C)成分を含むことが好ましい。
【0032】
(A)成分:ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートの少なくとも一方
(B)成分:ポリオールアクリレートおよびポリオールメタクリレートの少なくとも一方
(C)成分:下記(C1)および下記(C2)の少なくとも一方から形成されるポリマー若しくはコポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合ポリマー
(C1):水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキルアクリレート
(C2):水酸基およびアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキルメタクリレート
・・・(省略)・・・
【0041】
前記(C)成分としては、例えば、2,3-ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジアクリロイルオキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルアクリレート、2-アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3-ジアクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、2-アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2-アクリロイルオキシメタクリレートからなる群から選択される少なくとも一つのモノマーから形成されたポリマー、コポリマー若しくは前記ポリマーおよび前記コポリマーの混合物があげられる。
・・・(省略)・・・
【0090】
(実施例1)
透明プラスチックフィルム基材として、厚み40μm、幅1330mmのTACフィルムを準備した。また、ハードコート層形成材料として、イソシアヌル酸系アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、イソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂(大日本インキ化学工業社製、商品名「GRANDIC PC-1070」)に樹脂固形分100重量部あたり、レベリング剤(大日本インキ化学工業社製、商品名「GRANDIC PC-4100」)0.5重量部を加えたものを、酢酸エチルにより、固形分濃度が50重量%となるように希釈したものを準備した。
【0091】
前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記ハードコート層形成材料を、前記透明プラスチックフィルム基材の幅方向の両側端部から10mmの部分を除いてダイコーターにて塗工し、塗膜を形成した。この際、ハードコート層の厚み(A)が20μmとなるように、前記塗膜の厚みを調整した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射し、硬化処理して厚み20μmのハードコート層を形成し、本実施例に係るハードコートフィルムを作製した。本実施例における前記ハードコート層の厚み(A)と前記透明プラスチックフィルム基材の厚み(B)との比(A/B)は、1/2である。」

8 引用文献7の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成19年2月15日に頒布された刊行物である特開2007-41533号公報(以下、「引用文献7」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明なフィルム基材の少なくとも片面にハードコート層を設けた防眩性ハードコートフィルムに関する。より詳細には、偏光板等の光学素子・・・(省略)・・・に好適に使用可能な防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板及びそれらを備えた画像表示装置に関する。
・・・(省略)・・・
【発明の効果】
【0020】
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、微粒子の平均粒径を6μm?15μmとし、ハードコート層に於ける凹凸形状の平均傾斜角θaを0.4°?1.5°とし、更に表示コントラスト特性を60以上にすることで、防眩性と表示コントラストの両方が極めて良好な防眩性ハードコートフィルム、それを備えた偏光板及びそれらを備えた画像表示装置を提供することができる。
・・・(省略)・・・
【0027】
前記ハードコート層2は、ウレタンアクリレート(A成分)、ポリオール(メタ)アクリレート(B成分)、及び水酸基及びアクリロイル基の少なくとも一方の基を有するアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物(C成分)を形成材料として構成される。
・・・(省略)・・・
【0035】
前記C成分に於けるアルキル基としては特に限定されないが、例えば炭素数1?10のアルキル基が好ましい。また、アルキル基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。前記C成分は、例えば下記一般式(1)の繰り返し単位を含むポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物が挙げられる。より具体的には、例えば2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシ-3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジアクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-アクリロイルオキシエチル(メタ)アクリレート等のモノマーから形成されるポリマー、コポリマー又は前記ポリマーとコポリマーの混合物が挙げられる。
【0036】
【化1】

【0037】
前記一般式(1)に於いて、R^(1)はH基又はCH_(3)基を表し、R^(2)はCH_(2)CH_(2)X基又は下記一般式(2)で表される官能基を表す。
【0038】
【化2】

【0039】
前記XはH基又は下記一般式(3)で表されるアクリロイル基を表し、各Xは同種であってもよく異種であってもよい。
【0040】
【化3】

・・・(省略)・・・
【0130】
(実施例1)
下記に示すA成分、B成分及びC成分と、光重合開始剤とを含む樹脂成分を、酢酸エチル及び酢酸ブチルの混合溶媒に固形分濃度66%で含む樹脂原料(大日本インキ(株)製、商品名;GRANDIC PC1071)を準備した。この樹脂原料100部に平均粒子径8μmのアクリル樹脂粒子(屈折率1.49)30部及び反応性レベリング剤0.5部を加え、更に酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=46:54(全溶媒に対する酢酸エチル比率54%)で、固形分濃度が55%となる様に、酢酸エチルを用いて希釈することにより、ハードコート形成材料を調製した。尚、前記反応性レベリング剤は、ジメチルシロキサン:ヒドロキシプロピルシロキサン:6-イソシアネートヘキシルイソシアヌル酸:脂肪族ポリエステル=6.3:1.0:2.2:1.0のモル比で共重合させた共重合物である。
【0131】
A成分:ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートから成るウレタンアクリレート(100部)
B成分:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(49部)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(24部)及びペンタエリスリトールテトラアクリレート(41部)
C成分:前記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するポリマー及びコポリマーの混合物(59部)
光重合開始剤:イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製)
混合溶剤:酢酸ブチル:酢酸エチル(重量比)=89:11
【0132】
前記ハードコート形成材料を、フィルム基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.48)上に、バーコーターを用いて塗工し、100℃で1分間加熱することにより塗膜を乾燥させた。その後、メタルハライドランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射し、硬化処理して膜厚25μmのハードコート層を形成し、本実施例に係る防眩性ハードコートフィルムを作製した。ハードコート層の屈折率は1.52であった。また、ほとんどの微粒子のアスペクト比が1.05であった。」

9 引用文献8の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本件優先日前の平成24年11月29日に頒布された刊行物である特開2012-234165号公報(以下、「引用文献8」という。)には、以下の記載事項がある。

「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、アクリル系基材フィルムとハードコート層の密着性について、アンカー効果により密着させることを検討したところ、密着性を向上させようとする(代表的には、ハードコート層形成用組成物の乾燥温度を上げる)と、基材フィルム成分がハードコート層に溶出し、耐擦傷性が低下するという新たな課題を見出した。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、低透湿性の(メタ)アクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)を用いても、(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)とハードコート層との密着性を確保するとともに、耐擦傷性の低下を防止し得る光学積層体を提供することにある。
・・・(省略)・・・
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、9個以上のラジカル重合性不飽和基を有する化合物(A)を含むハードコート層形成用組成物を用いてハードコート層を形成することにより、低透湿性の(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)を用いても、(メタ)アクリル系樹脂フィルム(基材フィルム)とハードコート層との密着性およびハードコート層の耐擦傷性の両方に優れる光学積層体を得ることができる。
・・・(省略)・・・
【0015】
本発明の光学積層体は、例えば、偏光フィルム(偏光板とも称される)に適用される。具体的には、本発明の光学積層体は、偏光フィルムにおいて、偏光子の片面または両面に設けられ、偏光子の保護材料として好適に用いられ得る。
・・・(省略)・・・
【0106】
<実施例9>
下記組成からなる紫外線硬化型樹脂(DIC社製、商品名:PC1070、固形分:66%、溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル)100部およびレベリング剤(DIC社製、商品名:GRANDIC PC-4100)5部を混合し、固形分濃度が50%となるように、メチルイソブチルケトンで希釈して、ハードコート層形成用組成物を調製した。
製造例1で得られた基材フィルム上に、得られたハードコート層形成用組成物を塗布して塗布層を形成し、当該塗布層を110℃で1分間加熱した。加熱後の塗布層に高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cm^(2)の紫外線を照射して塗布層を硬化させて、基材層、ハードコート層および浸透層を形成し、光学積層体を得た。
・・・(省略)・・・
紫外線硬化型樹脂の組成
ペンタエリスリトール系アクリレートと水添キシレンジイソシアネートとから得られるウレタンアクリレート100部、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート49部、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート41部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート24部、
2-ヒドロキシエチル基および2、3-ジヒドロキシプロピル基を有する(メタ)アクリルポリマー(重量平均分子量:3000、官能基数:10以上)58部、
光反応開始剤(チバ・ジャパン社製、商品名:イルガキュア184;BASF社製、商品名:ルシリンTPO)」

第5 対比・判断
1 本件発明1
(1) 対比
引用発明1の「偏光板」は、「偏光子の両側に透明保護フィルムを有する」。
そして、引用発明1の「偏光板」、「偏光子」及び「透明保護フィルム」は、それぞれ、その名のとおり、「偏光板」、「偏光子」及び「保護層」である。また、引用発明1の「透明保護フィルム」は、「偏光板」の構成からみて、「偏光子の少なくとも一面に形成される」という要件を満たす。
したがって、引用発明1の「偏光板」は、本件発明1でいう「偏光子と、前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護層とを含む偏光板」である。

(2) 一致点
以上より、本件発明1と引用発明1は、以下の点で一致する。

「 偏光子と、
前記偏光子の少なくとも一面に形成される保護層とを含む偏光板。」

(3) 相違点
本件発明1と引用発明1は、次の点で相違する。
(相違点)
「保護層」が、本件発明1は、「(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物であり」、「前記(A)ラジカル重合性化合物の親水性官能基は、ヒドロキシ基であり」、「前記(A)ラジカル重合性化合物は、(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物である」のに対し、引用発明1は、組成物(a)の硬化物によって張り合わされた透明保護フィルムである点。
(当合議体注:化学式1?化学式24は、前記「第3」に記載のものである。)

(4) 判断
ア 引用文献1には、「偏光子」を保護する「保護フィルム」の材料として、前記「第4」の1(2)に記載のポリマーが挙げられている(段落【0081】を参照。)。
しかしながら、引用文献1には、「透明保護フィルム」の材料として、相違点に係る本件発明1の材料(以下、「本願発明の保護層の材料」という。)を使用することについて、記載も示唆もされていない。

イ 引用発明1は、「透明保護フィルム」と「偏光子」を貼り合わせるための「組成物(a)」の材料として、「HEAA(ヒドロキシエチルアクリルアミド)」、「ワスマー2MA(N-メトキシメチルアクリルアミド)」、「ライトアクリレートDCP-A(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)」、及び「ライトアクリレートP-1A(2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート)」といった「ラジカル重合性化合物」を使用することが記載されている。また、引用文献1には、「接着剤層」を構成する「任意成分」として、芳香族およびヒドロキシ基を有する単官能の(メタ)アクリレートを使用することが記載されている(段落【0047】を参照。)。
しかしながら、引用文献1には、引用発明1の「組成物(a)」の材料を、「透明保護フィルム」の材料とすることについて、記載も示唆もされていない。
また、引用発明1の「組成物(a)」は、機能的にみて、「接着剤」である。したがって、引用発明1において、「透明保護フィルム」に替えて、「組成物(a)」の硬化物を「保護層」とすることの動機づけがない。

ウ 引用文献2には、偏光子を保護する保護膜が開示されている(段落【0007】を参照。)。また、保護膜の材料に関して、引用文献2には、「コーティングによって保護膜を形成する組成物には、樹脂又はその前駆体を主成分とするものが有利に用いられ、・・・(中略)・・・なお、ここでいう樹脂前駆体とは、重合性のモノマー又はオリゴマーを意味する。」(段落【0026】を参照。)、及び「保護膜を形成するための樹脂は、保護膜形成用のコーティング組成物として、重合体を配合したものを用いてもよいし、モノマーを配合した組成物を塗工後、活性エネルギー線の照射や加熱により重合・硬化させることで形成してもよい。」(段落【0028】を参照。)との記載がある。しかし、段落【0037】の「紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができ、例えば、多官能(メタ)アクリレートを1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。・・・(中略)・・・多官能(メタ)アクリレートの例としては、ポリオール(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。」との記載に基づけば、引用文献2における保護膜を形成する組成物における「樹脂又はその前駆体に該当する化合物」は、ポリオール(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートであることは明らかである。
したがって、仮に、引用発明1の「保護フィルム」に替えて、引用文献2に記載された保護膜を採用しても、相違点に係る本件発明1の構成には到らない。

エ そして、引用文献2における、「少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマー」は、ポリオール(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートからなる多官能(メタ)アクリレートを1種又は2種以上組み合わせて用いて得られるハードコート性能に加えて、「高い可撓性が付与されるとともに硬化収縮が緩和された」ハードコート層を得るために、新たに加えられたものであるから(段落【0041】を参照。)、少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーの代わりにそのモノマーを用いるとすると、高い可撓性を付与し硬化収縮を緩和する効果を阻害することとなる。このような阻害要因を勘案すると、引用文献2における少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを混合する代わりに、当該ポリマーを構成するモノマーを混合することは、当業者であっても、容易になし得るということができない。

オ また、引用文献3には、ハードコート層に「(メタ)アクリルポリマー(C)」を含有させることが記載されている(段落【0037】を参照。)。そして、引用文献3には、段落【0045】に、「前記(メタ)アクリルポリマー(C)としては、水酸基を2個以上含むアルキル基を有するものが用いられる」ことが記載され、段落【0046】【化1】には、「(メタ)アクリルポリマー(C)」における「化学式(1)」及び「化学式(2)」の構造式が記載されている。引用文献3の段落【0046】に記載の「化学式(1)」及び「化学式(2)」の繰り返し単位は、それぞれ、本件発明の(a-2)の[化学式8]のモノマーを由来とするもの及び[化学式1]のモノマーを由来とするもの(ただし、アクリルモノマーをメタクリルモノマーに替えたもの)に相当する。
ここで、引用文献3に記載された「ハードコート層」は、偏光板に設けることに好適なものであり、また、機能的にみると、「保護層」ということができる。
しかしながら、引用文献3における、「水酸基を2個以上含むアルキル基を有する」「(メタ)アクリルポリマー(C)」は、「カールの発生を防止する」ために加えられるものであるから(段落【0048】を参照。)、少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーの代わりにそのモノマーを用いるとすると、カールの発生を防止する効果を阻害することとなる。このような阻害要因を勘案すると、引用文献3における少なくとも2個の水酸基を含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを混合する代わりに、当該ポリマーを構成するモノマーを混合することは、当業者であっても、容易になし得るということができない。
なお、本件発明の「ラジカル硬化型組成物の硬化物」と、引用発明1の「組成物(a)」に加えて(又はその一部に替えて)、引用文献3の段落【0045】に記載された(メタ)アクリルポリマー(C)を採用してなる組成物の硬化物(以下、「組成物α」という。)は、硬化物としてみたときに同じものではない。
すなわち、本件発明の「ラジカル硬化型組成物の硬化物」は、(a-1)、(a-2)、(B)及び(C)の4成分のランダム共重合体となる。これに対して、上記「硬化物α」は、[A]引用文献3の段落【0045】に記載された(メタ)アクリルポリマー(C)と、[B]引用発明1の「組成物(a)」(又はその一部を除いたもの)の共重合体とのブレンドポリマーとなる(当合議体注:仮に、上記[A]のポリマーに未反応の重合基があったとしても、ブロック共重合体等になり、少なくとも、4成分のランダム共重合体にはならない。)。
そして、上記事項は、引用文献4?8に記載された他の技術事項についても同様である。

カ 上記ウ?オで述べたとおり、引用文献2?8には、「保護膜を形成する組成物」として、「(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物」を使用することが、記載されていない。
そして、当該技術分野における技術常識を参酌しても、偏光板に設ける保護膜を作製する材料として、「(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物」を使用することが、当業者にとって自明であったということもできない。
そうしてみると、引用文献2?8の上記記載は、引用発明1の「透明保護フィルム」を、本件発明1に記載のように調整する動機づけとはならない。

キ そして、引用文献1?8のいずれにも、本件発明1の「前記保護層が、(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物であり、
前記(A)ラジカル重合性化合物の親水性官能基は、ヒドロキシ基であり、
前記(A)ラジカル重合性化合物は、(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物であること」が開示されていない以上、引用発明1に引用文献2?8の技術事項を適用したとしても、本件発明1には到らない。
また、引用発明1において、本件発明1の上記相違点に係る構成とすることが、本件優先日前において当該技術分野において周知又は公知であったということもできない。

ク 本件発明1は、「偏光子および保護層の密着性に優れ、耐水性に優れ、薄型に製造が可能な偏光板およびこれを含む画像表示装置を提供する」(段落【0007】)ために、「保護層は、(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物である」(段落【0008】)という構成を採用したものであり、特に、「(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物」を、「(a-1)分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物(例えば、前記化学式1?化学式6など)と、(a-2)分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物(例えば、前記化学式7?化学式24など)との混合物」とすることにより、「偏光子および保護層の密着性に優れ、高湿環境においても偏光子内のヨウ素イオンの脱色を防止することができるなど耐水性に優れ」(段落【0028】)、「優れた密着性の実現および耐熱性の確保」(段落【0041】)という効果が得られるものである。そして、上記事項は、段落【0120】【表1】の記載によっても裏付けられている。なお、請求人も平成30年1月19日付けの意見書において、「補正前の請求項1に記載した(A)ラジカル重合性化合物を「(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物」に限定しました。」及び「補正後の本願発明においては、上記(A)成分を使用することによって、「優れた密着性の実現および耐熱性の確保」をするという技術的効果を奏することができるものであり、これは本願発明において初めて見出した有利な効果であると思料いたします(当初明細書の段落[0041])。」と主張するところである。
一方、引用文献1?8には、「保護層は、(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物である」こと、「(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物」が「(a-1)分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物(例えば、前記化学式1?化学式6など)と、(a-2)分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物(例えば、前記化学式7?化学式24など)との混合物」であることが記載されていない。そして、引用文献1?8の記載事項からは、本件発明1の要件を満たすことにより、「偏光子および保護層の密着性に優れ、高湿環境においても偏光子内のヨウ素イオンの脱色を防止することができるなど耐水性に優れ」及び「優れた密着性の実現および耐熱性の確保」という点について、当業者であれば容易に予測し得たということもできない。
したがって、本件発明1の効果が、引用文献1?8の記載事項からみて、顕著なものということができる。

ケ 小括
以上のとおりであるから、引用発明1において、引用文献2?8に記載された技術事項を参照して、上記相違点に係る構成とすることは、当業者であっても、容易に想到し得たということはできない。
したがって、本件発明1は、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものということはできない。

(2) 本件発明2?9
本件発明2?9は、保護層について、本件発明1の「(A)分子内に少なくとも1つの親水性官能基を含むラジカル重合性化合物;(B)多官能性(メタ)アクリル系化合物;(C)分子内に1つまたは2つの(メタ)アクリル基を含むホスフェート化合物;および(D)ラジカル開始剤を含むラジカル硬化型組成物の硬化物であり」、「前記(A)ラジカル重合性化合物の親水性官能基は、ヒドロキシ基であり」、「前記(A)ラジカル重合性化合物は、(a-1)化学式1?化学式6からなる群から選択される、分子内に1つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物と、(a-2)化学式7?化学式24からなる群から選択される、分子内に少なくとも2つのヒドロキシ基を有するラジカル重合性化合物との混合物である」こととする構成と同一の構成を備えるものである。したがって、本件発明2?9も、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたということはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本件発明1?9は、当業者が引用発明1及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたということはできない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-16 
出願番号 特願2016-545701(P2016-545701)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G02B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小西 隆  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 高松 大
宮澤 浩
発明の名称 偏光板およびこれを含む画像表示装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 渡部 崇  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ