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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1356326
審判番号 不服2018-12554  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-19 
確定日 2019-10-17 
事件の表示 特願2017-151793「葬儀情報提供装置、葬儀情報提供方法及び葬儀情報提供プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 2月28日出願公開、特開2019- 32596〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成29年8月4日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 1月23日付け:拒絶理由通知書
平成30年 5月30日 :意見書,補正書の提出
平成30年 6月 7日付け:拒絶査定
平成30年 9月19日 :審判請求書,手続補正書の提出

第2 本願発明について

1 本願発明
本願の請求項に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項7に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「 【請求項7】
コンピュータが,
各種の条件に応じた葬儀の様子を示す画像情報を記憶部に記憶する記憶ステップと,
葬儀に関する条件として,少なくともユーザが葬儀を行う場所の候補地の入力を受け付ける受付ステップと,
前記受付ステップにおいて前記葬儀に関する条件の入力を受け付けた場合に,当該葬儀に関する条件に応じた画像情報であって前記候補地に対応する場所情報が対応付けられた画像情報を前記記憶部から取得する取得ステップと,
前記取得ステップにおいて取得した画像情報を前記葬儀に関する条件を入力したユーザの機器に提供する提供ステップとを実行し,
前記場所情報は,火葬場または斎場の所在地を示す情報と,前記火葬場または前記斎場の混み具合を示す状況情報とを含む
葬儀情報提供方法。」

2 原査定における拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は,この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の引用文献1?5に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。


・請求項 1-8
・引用文献等 1-5

引用文献1.葬儀のプロが活用する業界初のアプリ『葬ロング』,[online],ZDNet Japan,2017年4月19日,[検索日:平成30年1月22日],インターネット,<URL:https://japan.zdnet.com/release/30188238/>
引用文献2.特開平11-120237号公報
引用文献3.特開2017-016388号公報
引用文献4.特開2002-279085号公報
引用文献5.人混みが嫌い/好きな人に朗報,「Yahoo!地図」アプリに「混雑レーダー」装備,人の多さを地図上でヒートマップ表示,[online],株式会社インプレス,2015年9月24日,[検索日:平成30年6月7日],インターネット,<URL:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/722320.html>(周知技術を示す文献)

3 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由で引用された,本願出願前に,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,葬儀のプロが活用する業界初のアプリ『葬ロング』,[online],ZDNet Japan(2017年4月19日公開,[検索日:平成30年1月22日],<URL:https://japan.zdnet.com/release/30188238/>,以下「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。


「「お葬式の何が分からないのか分からない」「何から聞いたらいいのかわからない」。葬儀社アーバンフューネスには,日々こうした相談がお客様から寄せられます。」


「こうしたお客様のお悩みを解消し,葬儀について考える手助けとなるよう,葬儀をお手伝いする葬祭従事者が,実際の葬儀の総額や画像,場所,担当者など,様々な情報を記録・公開できる葬儀業界初のアプリ『葬ロング』Android版をリリースします。」


「■葬儀業界専用アプリ『葬ロング』
Webサイトに葬儀情報を公開する業界初のアプリ

▼葬儀の画像や情報を保存・検索
葬祭従事者は,葬儀の基本情報を入力するだけで,撮影した葬儀の画像とともに,お手伝いした葬儀の内容を保存できます。保存した情報や画像を利用して,お客様への営業資料も簡単に作成できます。」


「▼葬儀情報をWebサイトに公開
葬儀の情報や画像は,弊社が運用するWebサイト『葬儀ガイド』にアップされます。葬儀ガイドを閲覧するお客様は,葬儀の総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者まで,公開されている葬儀の実例から,知ることができます。また,「シンプル」や「明るく」など,様々なキーワードから葬儀の実例を探せます。」


「▼全国で情報共有できるSNS
葬祭従事者が投稿した葬儀の実例を閲覧することにより,葬儀業界の最新トレンドや新サービスを知ることができます。また,「フォロー」している社員や取引業者が,写真やメッセージを投稿するとリアルタイムに表示されるので,業務連絡や作業報告と言った情報共有が簡単に行えます。」


「▼葬祭関連施設を検索,口コミで紹介
斎場・葬儀場や火葬場,安置施設など葬儀関連施設のほか,病院や警察署,コンビニエンスストアなども表示します。」


「■『葬ロング』と連動するWebサイト『葬儀ガイド』

▼分かる
お客様は,『葬ロング』から投稿された葬儀の実例から,総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者まで知ることができます。また,「シンプル」や「明るく」など,様々なキーワードから葬儀の実例を探すことができます。」


「■『葬ロング』と連動するWebサイト『斎場・葬儀場ガイド』
斎場・葬儀場の空き状況が分かる

▼調べる
お客様は,全国7000の斎場・葬儀場の空き状況を調べたり,『葬ロング』から投稿された口コミ情報をみることができます。また,斎場・葬儀場の使用料や収容人数はもちろん,式場内の施設を豊富な画像で確認できます。さらい,斎場・葬儀場の見学の申込みも可能です。」


上記ウから,Webサーバを用いてWebサイトが運営されてること,Webサーバが葬祭従事者により入力された基本情報及び画像を保存する記憶手段を備えること,上記エ,キからお客様はWebサーバが提供するWebサイトにアクセスし「葬儀ガイド」を閲覧するための装置を有することは明らかである。

(2)引用発明
上記(1)に記載した引用文献1の記載によれば,引用文献1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

Webサーバが,
葬祭従事者が,葬儀業界専用アプリ『葬ロング』を用いて,葬儀の基本情報を入力することで,撮影した葬儀の画像とともに,お手伝いした葬儀の内容を記憶手段に保存し,
『葬ロング』と連動するWebサイト『葬儀ガイド』にアップされた葬儀の情報や画像を閲覧できるようにし,
『葬儀ガイド』を閲覧するお客様が,お客様の装置により,『葬ロング』から投稿された葬儀の実例から,総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者まで知ることができるようにし,
『葬ロング』と連動するWebサイト『斎場・葬儀場ガイド』を閲覧するお客様が,全国7000の斎場・葬儀場の空き状況を調べたり,斎場・葬儀場の使用料や収容人数,式場内の施設を豊富な画像で確認できるようにする,
方法

4 引用発明1との対比
引用発明の「Webサーバ」,「記憶手段」,「お客様」,「お客様の装置」は,それぞれ,本願発明の「コンピュータ」,「記憶部」,「ユーザ」,「ユーザの機器」に相当する。
引用発明において,葬儀の基本情報を入力することで,撮影した葬儀の画像とともに,お手伝いした葬儀の内容が記憶手段に保存されることから,この点において,本願発明の「各種の条件に応じた葬儀の様子を示す画像情報を記憶部に記憶する」ことに相当する。
引用発明においては,葬祭従事者が,葬儀業界専用アプリ『葬ロング』を用いて,葬儀の基本情報を入力することで,撮影した葬儀の画像とともに,お手伝いした葬儀の内容が記憶手段に保存され,『葬儀ガイド』を閲覧するお客様は,お客様の装置により,『葬ロング』から投稿された葬儀の実例から,総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者まで知ることができる。このことから,引用発明においては,葬儀に関する条件として,少なくともお客様から検索条件の入力を受け付け,Webサーバが検索条件を受け付けた場合に,検索条件に応じた総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者までの少なくともいずれかを記憶手段から取得するものといえる。検索条件の内容は明らかでなく,撮影した葬儀の画像を記憶手段から取得する点も明らかではないものの,お客様が検索条件を入力し,検索条件に応じた検索結果を記憶手段から取得し,お客様の機器に検索結果を提供する点において,本願発明の「葬儀に関する条件として,検索条件の入力を受け付ける受付ステップと,前記受付ステップにおいて前記検索条件を受け付けた場合に,当該葬儀に関する条件に対応する検索結果を前記記憶部から取得する取得ステップと,前記取得ステップにおいて取得した検索結果を前記葬儀に関する条件を入力したユーザの機器に提供する提供するステップとを実行し」に対応する。

以上によれば,本願発明と引用発明とは,以下の一致点において一致し,相違点において相違する。

<一致点>
「 コンピュータが,
各種の条件に応じた葬儀の様子を示す画像情報を記憶部に記憶する記憶ステップと,
葬儀に関する条件として,検索条件の入力を受け付ける受付ステップと,
前記受付ステップにおいて前記検索条件を受け付けた場合に,当該葬儀に関する条件に対応する結果を前記記憶部から取得する取得ステップと,
前記取得ステップにおいて取得した結果を前記葬儀に関する条件を入力したユーザの機器に提供する提供するステップとを実行する
方法。」

<相違点>
(相違点1)検索条件が,本願発明では,「少なくともユーザが葬儀を行う場所の候補地」であるのに対して,引用発明では,明らかでない点。

(相違点2)検索結果が,本願発明では,「当該葬儀に関する条件に応じた画像情報であって前記候補地に対応する場所情報が対応付けられた画像情報」であるのに対し,引用発明では,葬儀に関する総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者までである点。

(相違点3)本願発明は,「前記場所情報は,火葬場または斎場の所在地を示す情報と,前記火葬場または前記斎場の混み具合を示す状況情報とを含む」のに対し,引用発明では,「前記場所情報は,火葬場または斎場の所在地を示す情報と,前記火葬場または前記斎場の混み具合を示す状況情報とを含む」ことは明示されていない点。

5 判断
以下,相違点について検討をする。

(1)相違点1について
引用発明では,総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者までを知ることができるものであり,お客様は実際に葬儀を行おうとする場所を念頭に検索を行うものであるから,検索条件を「少なくともユーザが葬儀を行う場所の候補地」とすることに技術的困難性は見いだせない。
そうすると,引用発明において,検索条件を「少なくともユーザが葬儀を行う場所の候補地」とすることは,当業者が容易に想到し得た事項にすぎない。

(2)相違点2,3について
引用発明において,上記3(1)ウ,エから,保存される葬儀の情報や画像には,基本情報,葬儀の画像及び葬儀の内容が関連付けられており,上記3(1)キを参照すると,基本情報には,総額,場所,内容,担当した葬儀社から担当者までが含まれる。このとき,「場所」は葬儀が執り行われた斎場・葬儀場の所在地を示す情報であることは明らかである。
このように,所在地を情報として有するものにおいて,検索条件を「少なくともユーザが葬儀を行う場所の候補地」とすることは当業者が容易になし得たことである。このとき,候補地に対応する場所が対応付けられた情報として,保存された葬儀の情報や画像の中から抽出して検索結果として取得することは明らかであるから,「当該葬儀に関する条件に応じた画像情報であって前記候補地に対応する場所情報が対応付けられた画像情報」とすることは当業者が容易になし得た事項にすぎない。
このとき,お客様は,Webサイト「斎場・葬儀場ガイド」で全国7000の斎場・葬儀場の空き状況を調べることができる構成となっており,これは,お客様の知りたい情報であるから,斎場の情報や画像に斎場・葬儀場の空き状況を含め,「前記場所情報は,斎場の所在地を示す情報と,前記斎場の混み具合を示す状況情報とを含む」構成とすることも,当業者が容易になし得た事項にすぎない。

(3)以上より,本願発明に係る発明の構成は,引用文献1の記載に基づき,当業者が容易に想到することができたものである。
そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
よって,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
上記のとおりであるから,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-08-19 
結審通知日 2019-08-20 
審決日 2019-09-02 
出願番号 特願2017-151793(P2017-151793)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮地 匡人  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 石川 正二
松田 直也
発明の名称 葬儀情報提供装置、葬儀情報提供方法及び葬儀情報提供プログラム  
代理人 特許業務法人白坂  

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