• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1356399
審判番号 不服2018-3857  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-19 
確定日 2019-10-24 
事件の表示 特願2015-252910「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月12日出願公開、特開2016- 73694〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月19日に特許出願された特願2013-169499号の一部を平成27年12月25日に新たな特許出願としたものであって、平成28年12月15日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月9日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月7日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年9月7日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月22日に補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定(以下、「原査定」という)がなされ、これに対して平成30年3月19日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成30年3月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年3月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、
補正前(平成29年2月9日付け手続補正)の
「【請求項1】
(A) 始動条件の成立により判定情報を取得する取得手段と、
(B) 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
(C) 前記判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
(D) 前記取得手段により取得された判定情報を所定数まで記憶可能な記憶手段と、
(E) 前記判定情報に基づいて、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
(F) 第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちの何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段と、
(G) 前記記憶手段に記憶されている判定情報ごとに所定の表示態様の保留図柄を表示させる保留表示制御手段とを備え、
(H) 前記保留表示制御手段は、
(H-1) 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、前記特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様で表示させることが可能であり、
(H-2) 前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率と、前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率とを異ならせた、
(I) ことを特徴とする遊技機。」
から、補正後(本件補正である平成30年3月19日付け手続補正)の
「【請求項1】
(A) 始動条件の成立により判定情報を取得する取得手段と、
(B) 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
(C) 前記判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
(D) 前記取得手段により取得された判定情報を所定数まで記憶可能な記憶手段と、
(E’) 前記記憶手段に記憶されている判定情報が前記判定手段に判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
(F’) 前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態と前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態の何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段と、
(G) 前記記憶手段に記憶されている判定情報ごとに所定の表示態様の保留図柄を表示させる保留表示制御手段とを備え、
(H) 前記保留表示制御手段は、
(H’-1) 前記通常遊技状態で遊技が制御されているとき、前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、前記特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様で表示させることが可能であり、
(H’-2) 前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率と、前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率とを異ならせた、
(I) ことを特徴とする遊技機。」

へ補正された(記号は分説のため当審で付した。下線は補正箇所を示す。)。

2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1における、以下の事項に関する補正、すなわち、

(1)補正前の請求項1の発明特定事項Eである「前記判定情報に基づいて、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段」について、願書に最初に添付された明細書(以下、「出願当初明細書」という)の【0043】の「事前判定手段34cは、特図保留記憶手段32に記憶されている判定情報・・・に基づいて、・・・大当り判定手段34a・・・による前記判定・・・と同等の判定・・・(即ち、特別遊技を行うか否かの判定・・・)を事前に行うことが可能である」との記載に基づいて、「判定情報」を「前記記憶手段に記憶されている判定情報が前記判定手段に判定される前に、」とすることにより明確化する補正、

(2)補正前の請求項1の発明特定事項Fである「第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちの何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段」について、出願当初明細書の【0058】の「遊技制御手段50は、複数の遊技状態(図10に示す通常遊技状態、時短遊技状態、潜確遊技状態、確変遊技状態)の何れか1つを択一的に設定し、その遊技状態で遊技を制御する。」、【0059】の「図10に示すように、通常遊技状態、時短遊技状態が設定された場合、確率設定手段37により第1の確率(約1/320)が設定され、潜確遊技状態、確変遊技状態が設定された場合、確率設定手段37により第2の確率(約10/320)が設定される。」という記載に基づいて、「前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態と前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態の何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段」とすることにより、「第1の遊技状態」と「第2の遊技状態」を特定するために必要な事項を限定し、「第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態」を「通常遊技状態と特定遊技状態」に限定する補正、

(3)補正前の請求項1の発明特定事項H-1である「前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、前記特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様で表示させることが可能であり、」について、出願当初明細書の【0104】の「示唆保留表示制御手段63bは、事前判定結果による判定結果に基づいて、通常遊技状態・・・のときには・・・表示態様が変更可能であることを示唆する示唆表示態様の保留図柄・・・を表示させる」という記載に基づいて、「示唆表示態様で表示させることが可能であ」る状態を「前記通常遊技状態で遊技が制御されているとき、」に限定する補正、

(4)補正前の請求項1の発明特定事項H-2である「前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率と、前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率とを異ならせた、」について、(2)の「第1の遊技状態」についての補正と整合するように、「第1の遊技状態」を「通常遊技状態」とする補正、

である。

そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3.独立特許要件
そこで、補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物1
原査定の拒絶の理由において引用された、特開2013-141586号公報(以下、「刊行物1」という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ。)

ア 「【0013】
尚、前記遊技者にとって有益な情報とは、例えば、可変表示結果が大当りとなる可能性、大当り確率が通常よりも高い確率変動遊技状態に制御されている可能性、遊技者にとって有利な操作条件が報知される権利が貯留されている可能性、入賞表示結果の導出が許容されるか否かが決定される割合が異なる複数種類の設定値のうち割合が高い設定値が決定されている可能性等の示唆が分かりやすいことや、あるいは、表示装置等に特定の識別情報を表示し、該識別情報を携帯端末等にて読み取ることにより特定のウェブサイトへアクセスを許可することで遊技者に対し所定のサービスを提供することができる遊技機等において、サービスとして提供されるミッション演出の達成率やプレミア演出の出現率が高くなること等、実際に得ることにより遊技者が有利となる情報を含む。
・・・
【0019】
本発明の手段9に記載の遊技機は、請求項1、2または手段1?8のいずれかに記載の遊技機であって、
始動領域(例えば、第1始動入賞口13、第2始動入賞口14)を遊技媒体(例えば、遊技球)が通過した後、可変表示の開始を許容する可変表示の開始条件の成立(例えば、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれの可変表示も実行されておらず、かつ大当り遊技状態でもないこと)にもとづいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(例えば、第1識別情報、第2識別情報)の可変表示を行い表示結果を導出表示する可変表示部(例えば、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b)を備え、該可変表示部に特定表示結果(例えば、大当り図柄)が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば、大当り遊技状態)に移行させる遊技機であって、
始動領域を遊技媒体が通過したことにもとづいて、特定遊技状態とするか否かを決定するための数値データ(例えば、ランダムR(大当り判定用乱数))を抽出する数値データ抽出手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS1214A,S1214Bを実行する部分)と、
始動領域を遊技媒体が通過したにもかかわらず開始条件が成立していない識別情報の可変表示について、所定の上限数(例えば、4)を限度に、数値データ抽出手段により抽出された数値データを保留記憶として記憶する保留記憶手段(例えば、第1保留記憶バッファ、第2保留記憶バッファ)と、
始動領域を遊技媒体が通過したときに、該始動領域を遊技媒体が通過したことにもとづいて、数値データ抽出手段により抽出された数値データを用いて、特定遊技状態となるか否かを判定する始動時判定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS1217A,S1217Bを実行する部分)と、
開始条件が成立したことにもとづいて、保留記憶手段に記憶された数値データを用いて、特定遊技状態とするか否かを識別情報の可変表示の表示結果が導出表示される以前に決定する開始時決定手段(例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560におけるステップS61を実行する部分)と、を備え、
演出実行手段は、始動時判定手段による判定結果にもとづいて、第1の操作有効期間内に操作手段による操作がなされたことにより、第1演出情報を特定遊技状態となる可能性があることを予告する第1予告情報(例えば、特殊保留表示)に、始動時判定手段による判定の対象となった数値データにもとづく開始条件が成立する以前に変化させ(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ステップS8123を実行してボタン保留表示を特殊保留表示に変化させる)、
開始時決定手段による決定結果にもとづいて、第2の操作有効期間内に操作手段による操作がなされたことにより、第2演出情報を特定遊技状態となる可能性があることを予告する第2予告情報(例えば、特定表示)に、開始条件の成立にもとづく識別情報の可変表示中に変化させる(例えば、演出制御用マイクロコンピュータ100は、ステップS8126を実行してボタン操作示唆表示を特定表示に変化させる)、
ことを特徴としている。
・・・
【0067】
この実施の形態では、確変大当りとなった場合には、遊技状態を高確率状態(確変状態)に移行するとともに、遊技球が始動入賞しやすくなる(すなわち、特別図柄表示器8a,8bや演出表示装置9における可変表示の実行条件が成立しやすくなる)ように制御された遊技状態である高ベース状態に移行(この実施の形態では、時短状態に移行)する。また、遊技状態が時短状態に移行されたときも、高ベース状態に移行する。高ベース状態である場合には、例えば、高ベース状態でない場合と比較して、可変入賞球装置15が開状態となる頻度が高められたり、可変入賞球装置15が開状態となる時間が延長されたりして、始動入賞しやすくなる。」

イ 「【0137】
図8(A)は、大当り判定テーブルを示す説明図である。大当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される大当り判定値が設定されているテーブルである。大当り判定テーブルには、通常状態や時短状態(すなわち、確変状態でない遊技状態)において用いられる通常時大当り判定テーブルと、確変状態において用いられる確変時大当り判定テーブルとがある。通常時大当り判定テーブルには、図8(A)の左欄に記載されている各数値が設定され、確変時大当り判定テーブルには、図8(A)の右欄に記載されている各数値が設定されている。図8(A)に記載されている数値が大当り判定値である。
【0138】
図8(B),(C)は、小当り判定テーブルを示す説明図である。小当り判定テーブルとは、ROM54に記憶されているデータの集まりであって、ランダムRと比較される小当り判定値が設定されているテーブルである。小当り判定テーブルには、第1特別図柄の変動表示を行うときに用いられる小当り判定テーブル(第1特別図柄用)と、第2特別図柄の変動表示を行うときに用いられる小当り判定テーブル(第2特別図柄用)とがある。小当り判定テーブル(第1特別図柄用)には、図8(B)に記載されている各数値が設定され、小当り判定テーブル(第2特別図柄用)には、図8(C)に記載されている各数値が設定されている。また、図8(B),(C)に記載されている数値が小当り判定値である。
【0139】
なお、第1特別図柄の変動表示を行う場合にのみ小当りと決定するようにし、第2特別図柄の変動表示を行う場合には小当りを設けないようにしてもよい。
・・・
【0152】
図9(A)?(C)は、大当り用変動パターン種別判定テーブル132A?132Cを示す説明図である。大当り用変動パターン種別判定テーブル132A?132Cは、可変表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別の判定結果に応じて、変動パターン種別を、変動パターン種別判定用の乱数(ランダム2)にもとづいて複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。
・・・
【0154】
例えば、大当り種別が「通常大当り」である場合に用いられる図9(A)に示す大当り用変動パターン種別判定テーブル132Aと、大当り種別が「確変大当り」である場合に用いられる図9(B)に示す大当り用変動パターン種別判定テーブル132Bとで、ノーマルCA3-1?ノーマルCA3-2、スーパーCA3-3の変動パターン種別に対する判定値の割り当てが異なっている。
・・・
【0160】
図10(A)?(C)は、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135A?135Cを示す説明図である。このうち、図10(A)は、遊技状態が通常状態であるとともに合算保留記憶数が3未満である場合に用いられるはずれ用変動パターン種別判定テーブル135Aを示している。また、図10(B)は、遊技状態が通常状態であるとともに合算保留記憶数が3以上である場合に用いられるはずれ用変動パターン種別判定テーブル135Bを示している。また、図10(C)は、遊技状態が確変状態や時短状態である場合に用いられるはずれ用変動パターン種別判定テーブル135Cを示している。はずれ用変動パターン種別判定テーブル135A?135Cは、可変表示結果をはずれ図柄にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別を、変動パターン種別判定用の乱数(ランダム2)にもとづいて複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。」

ウ 「【0205】
図18および図19は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ560(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動入賞口13に遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ13aがオンしていたら、すなわち、第1始動入賞口13への始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また、CPU56は、第2始動入賞口14に遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち第2始動入賞口14への始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして、ステップS300?S310のうちのいずれかの処理を行う。
・・・
【0206】
ステップS300?S310の処理は、以下のような処理である。
【0207】
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ560は、特別図柄の可変表示が開始できる状態になると、保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の可変表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
・・・
【0209】
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータ100に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。」

エ 「【0219】
まず、図20(A)を参照して第1始動口スイッチ通過処理について説明する。第1始動口スイッチ13aがオン状態の場合に実行される第1始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、まず、第1保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第1保留記憶数をカウントするための第1保留記憶数カウンタの値が4でるか否か)を確認する(ステップS1211A)。第1保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
【0220】
第1保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第1保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS1212A)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS1213A)。次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ(図21参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS1214A)。なお、ステップS1214Aの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。
【0221】
図21は、保留記憶に対応する乱数等を保存する領域(保留バッファ)の構成例を示す説明図である。図21に示すように、第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。また、第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値(この例では4)に対応した保存領域が確保されている。
・・・
【0223】
特別図柄プロセスフラグの値が5未満であれば、検出した始動入賞にもとづく変動がその後実行されたときの変動表示結果や変動パターン種別を始動入賞時にあらかじめ判定する入賞時演出処理を実行する(ステップS1217A)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果にもとづいて図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1218A)とともに、変動カテゴリコマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1219A)。また、CPU56は、第1保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1220A)。
・・・
【0225】
また、この実施の形態では、ステップS1218A?S1220Aの処理が実行されることによって、第1始動入賞口13への始動入賞が発生してステップS1217Aの入賞時演出処理を実行したときに、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および第1保留記憶数加算指定コマンドの3つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
・・・
【0229】
次に、図20(B)を参照して第2始動口スイッチ通過処理について説明する。第2始動口スイッチ14aがオン状態の場合に実行される第2始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、第2保留記憶数が上限値に達しているか否か(具体的には、第2保留記憶数をカウントするための第2保留記憶数カウンタの値が4であるか否か)を確認する(ステップS1211B)。第2保留記憶数が上限値に達していれば、そのまま処理を終了する。
【0230】
第2保留記憶数が上限値に達していなければ、CPU56は、第2保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS1212B)とともに、合算保留記憶数をカウントするための合算保留記憶数カウンタの値を1増やす(ステップS1213B)。次いで、CPU56は、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ(図21参照)における保存領域に格納する処理を実行する(ステップS1214B)。なお、ステップS1214Bの処理では、ハードウェア乱数であるランダムR(大当り判定用乱数)や、ソフトウェア乱数である大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納される。なお、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を第2始動口スイッチ通過処理(始動入賞時)において抽出して保存領域にあらかじめ格納しておくのではなく、第2特別図柄の変動開始時に抽出するようにしてもよい。例えば、遊技制御用マイクロコンピュータ560は、後述する変動パターン設定処理において、変動パターン判定用乱数(ランダム3)を生成するための変動パターン判定用乱数カウンタから値を直接抽出するようにしてもよい。
【0231】
次いで、CPU56は、入賞時演出処理を実行する(ステップS1217B)。そして、CPU56は、入賞時演出処理の判定結果にもとづいて図柄指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1218B)とともに、変動カテゴリコマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1219B)。また、CPU56は、第2保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS1220B)。
・・・
【0233】
また、この実施の形態では、ステップS1218B?S1220Bの処理が実行されることによって、第2始動入賞口14への始動入賞が発生してステップS1217Bの入賞時演出処理を実行したときに、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および第2保留記憶数加算指定コマンドの3つのコマンドのセットが1タイマ割込内に一括して送信される。
・・・
【0236】
図22は、ステップS1217A,S1217Bの入賞時演出処理を示すフローチャートである。入賞時演出処理では、CPU56は、まず、ステップS1214A,S1214Bで抽出した大当り判定用乱数(ランダムR)と図8(A)の左欄に示す通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認する(ステップS220)。この実施の形態では、特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、後述する特別図柄通常処理において大当りや小当りとするか否か、大当り種別を決定したり、変動パターン設定処理において変動パターンを決定したりするのであるが、それとは別に、遊技球が第1始動入賞口13や第2始動入賞口14に始動入賞したタイミングで、その始動入賞にもとづく変動表示が開始される前に、入賞時演出処理を実行することによって、あらかじめ大当りや小当りとなるか否かや、大当りの種別、変動パターン種別判定用乱数の値がいずれの判定値の範囲にとなるかを確認する。そのようにすることによって、演出図柄の変動表示が実行されるより前にあらかじめ変動表示結果や変動パターン種別を予測し、後述するように、入賞時の判定結果にもとづいて、演出制御用マイクロコンピュータ100によって演出図柄の変動表示中に大当りやスーパーリーチとなることを予告する先読み予告演出を実行する。
・・・
【0248】
ステップS220またはステップS222で大当り判定用乱数(ランダムR)が大当り判定値と一致した場合には、CPU56は、ステップS1214A,S1214Bで抽出した大当り種別判定用乱数(ランダム1)にもとづいて大当りの種別を判定する(ステップS229)。」

オ 「【0258】
図23および図24は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)を示すフローチャートである。
・・・
【0270】
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域からランダムR(大当り判定用乱数)を読み出し、大当り判定モジュールを実行する。なお、この場合、CPU56は、第1始動口スイッチ通過処理のステップS1214Aや第2始動口スイッチ通過処理のステップS1214Bで抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定を行う。大当り判定モジュールは、あらかじめ決められている大当り判定値や小当り判定値(図8参照)と大当り判定用乱数とを比較し、それらが一致したら大当りや小当りとすることに決定する処理を実行するプログラムである。すなわち、大当り判定や小当り判定の処理を実行するプログラムである。
【0271】
大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態の場合には、遊技状態が非確変状態(通常状態や時短状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている。・・・
そして、CPU56は、遊技状態が確変状態であるか否かを確認し、遊技状態が確変状態であるときは、確変時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行う。・・・大当りとすることに決定した場合には(ステップS61)、ステップS71に移行する。
・・・
【0275】
ステップS71では、CPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセットする。そして、大当り種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、特別図柄ポインタが示す方の大当り種別判定テーブルを選択する(ステップS72)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、図8(D)に示す第1特別図柄用の大当り種別判定用テーブル131aを選択する。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、図8(E)に示す第2特別図柄用の大当り種別判定用テーブル131bを選択する。
【0276】
次いで、CPU56は、選択した大当り種別判定テーブルを用いて、乱数バッファ領域に格納された大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」、「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定する。また、この場合、CPU56は、第1始動口スイッチ通過処理のステップS1214Aや第2始動口スイッチ通過処理のステップS1214Bで抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し、大当り種別の決定を行う」

カ 「【0281】
図25は、特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理(ステップS301)を示すフローチャートである。変動パターン設定処理において、CPU56は、大当りフラグがセットされているか否か確認する(ステップS91)。大当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、大当り用変動パターン種別判定テーブル132A?132C(図9(A)?(C)参照)のいずれかを選択する(ステップS92)。そして、ステップS100に移行する。
【0282】
大当りフラグがセットされていない場合には、CPU56は、小当りフラグがセットされているか否かを確認する(ステップS93)。小当りフラグがセットされている場合には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、小当り用変動パターン種別判定テーブル132D(図9(D)参照)を選択する(ステップS94)。そして、ステップS100に移行する。
【0283】
小当りフラグもセットされていない場合には、CPU56は、時短状態であることを示す時短フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS95)。なお、時短フラグは、遊技状態を確変状態や時短状態に移行するときにセットされ、時短状態を終了するときにリセットされる。具体的には、「通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において時短フラグがセットされる。また、大当り遊技終了後、所定回数(この実施の形態では100回)の変動表示を終了したときにリセットされる。なお、所定回数の変動表示を終了する前であっても、次の大当りが発生した場合にも、時短フラグがリセットされる。また、「確変大当り」または「突然確変大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において確変フラグがセットされるとともに時短フラグがセットされる。そして、次の大当りが発生した場合に、確変フラグとともに時短フラグがリセットされる。
【0284】
時短フラグがセットされていなければ(ステップS95のN)、CPU56は、合算保留記憶数が3以上であるか否かを確認する(ステップS96)。合算保留記憶数が3未満であれば(ステップS96のN)、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135A(図10(A)参照)を選択する(ステップS97)。そして、ステップS100に移行する。
【0285】
合算保留記憶数が3以上である場合(ステップS96のY)には、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135B(図10(B)参照)を選択する(ステップS98)。そして、ステップS100に移行する。
【0286】
時短フラグがセットされている場合(ステップS95のY)には、すなわち、遊技状態が確変状態または時短状態であれば(この実施の形態では、確変状態に移行される場合には必ず時短状態にも移行されるので(ステップS169,S170参照)、ステップS95でYと判定された場合には、確変状態の場合と時短状態のみに制御されている場合とがある)、CPU56は、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135C(図10(C)参照)を選択する(ステップS99)。そして、ステップS100に移行する。
・・・
【0289】
次いで、CPU56は、乱数バッファ領域(第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ)からランダム2(変動パターン種別判定用乱数)を読み出し、ステップS92、S94、S97、S98またはS99の処理で選択したテーブルを参照することによって、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定する(ステップS100)。
【0290】
次いで、CPU56は、ステップS100の変動パターン種別の決定結果にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために使用するテーブルとして、当り変動パターン判定テーブル137A、137B(図11参照)、はずれ変動パターン判定テーブル138A(図12参照)のうちのいずれかを選択する(ステップS101)。また、乱数バッファ領域(第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ)からランダム3(変動パターン判定用乱数)を読み出し、ステップS101の処理で選択した変動パターン判定テーブルを参照することによって、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定する(ステップS102)。
・・・
【0291】
次いで、CPU56は、特別図柄ポインタが示す方の図柄変動指定コマンドを、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS103)。具体的には、CPU56は、特別図柄ポインタが「第1」を示している場合には、第1図柄変動指定コマンドを送信する制御を行う。また、CPU56は、特別図柄ポインタが「第2」を示している場合には、第2図柄変動指定コマンドを送信する制御を行う。また、CPU56は、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS104)。
・・・
【0295】
図26は、表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302)を示すフローチャートである。表示結果指定コマンド送信処理において、CPU56は、決定されている大当りの種類、小当り、はずれに応じて、表示結果1指定?表示結果5指定のいずれかの演出制御コマンド(図13参照)を送信する制御を行う。具体的には、CPU56は、まず、大当りフラグがセットされているか否か確認する(ステップS110)。セットされていない場合には、ステップS116に移行する。大当りフラグがセットされている場合、大当りの種別が「通常大当り」であるときには、表示結果2指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS111,S112)。なお、「通常大当り」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS74で大当り種別バッファに設定されたデータが「01」であるか否かを確認することによって判定できる。また、CPU56は、大当りの種別が「確変大当り」であるときには、表示結果3指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS113,S114)。なお、「確変大当り」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS74で大当り種別バッファに設定されたデータが「02」であるか否かを確認することによって判定できる。そして、「通常大当り」および「確変大当り」のいずれでもないときには(すなわち、「突然確変大当り」であるときには)、CPU56は、表示結果4指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS115)。
【0296】
一方、CPU56は、大当りフラグがセットされていないときには(ステップS110のN)、小当りフラグがセットされているか否かを確認する(ステップS116)。小当りフラグがセットされていれば、CPU56は、表示結果5指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS117)。小当りフラグもセットされていないときは(ステップS116のN)、すなわち、はずれである場合には、CPU56は、表示結果1指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS118)。」

キ 「【0306】
図29は、特別図柄プロセス処理における大当り終了処理(ステップS307)を示すフローチャートである。大当り終了処理において、CPU56は、大当り終了表示タイマが設定されているか否か確認し(ステップS160)、大当り終了表示タイマが設定されている場合には、ステップS164に移行する。大当り終了表示タイマが設定されていない場合には、大当りフラグをリセットし(ステップS161)、大当り終了指定コマンドを送信する制御を行う(ステップS162)。ここで、「通常大当り」または「確変大当り」であった場合には大当り終了指定コマンド(コマンドA301(H))を送信し、「突然確変大当り」であった場合には小当り/突然確変大当り終了指定コマンド(コマンドA302(H))を送信する。そして、大当り終了表示タイマに、演出表示装置9において大当り終了表示が行われている時間(大当り終了表示時間)に対応する表示時間に相当する値を設定し(ステップS163)、処理を終了する。
・・・
【0308】
大当り終了表示時間を経過していれば(ステップS165のY)、CPU56は、今回終了する大当りが通常大当りであるか否かを確認する(ステップS166)。なお、「通常大当り」であるか否かは、具体的には、特別図柄通常処理のステップS74で大当り種別バッファに設定されたデータが「01」であるか否かを確認することによって判定できる。通常大当りであれば、CPU56は、時短フラグをセットして時短状態に移行させる(ステップS167)。また、CPU56は、時短回数カウンタに所定回数(例えば100回)をセットする(ステップS168)。
【0309】
通常大当りでなければ(すなわち、確変大当りまたは突然確変大当りであれば)、CPU56は、確変フラグをセットして確変状態に移行させる(ステップS169)とともに、時短フラグをセットして時短状態に移行させる(ステップS170)。」

ク 「【0314】
次に、演出制御手段の動作を説明する。図31は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。
・・・
【0322】
コマンド解析処理において、演出制御用CPU101は、まず、コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されているか否か確認する(ステップS611)。格納されているか否かは、コマンド受信個数カウンタの値と読出ポインタとを比較することによって判定される。両者が一致している場合が、受信コマンドが格納されていない場合である。コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されている場合には、演出制御用CPU101は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す(ステップS612)。なお、読み出したら読出ポインタの値を+2しておく(ステップS613)。+2するのは2バイト(1コマンド)ずつ読み出すからである。
【0323】
受信した演出制御コマンドが変動パターンコマンドであれば(ステップS614)、演出制御用CPU101は、受信した変動パターンコマンドを、RAMに形成されている変動パターンコマンド格納領域に格納する(ステップS615)。そして、変動パターンコマンド受信フラグをセットする(ステップS616)。
【0324】
受信した演出制御コマンドが表示結果指定コマンドであれば(ステップS617)、演出制御用CPU101は、受信した表示結果指定コマンド(表示結果1指定コマンド?表示結果5指定コマンド)を、RAMに形成されている表示結果指定コマンド格納領域に格納する(ステップS618)。」

ケ 「【0345】
図37は、図31に示されたメイン処理における演出制御プロセス処理(ステップS705)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、演出制御用CPU101は、まず、先読み予告演出の有無や演出態様を決定する先読み予告演出決定処理を実行する(ステップS800A)。」
・・・
【0355】
図38は、先読み予告演出決定処理(ステップS800A)を示すフローチャートである。先読み予告演出決定処理において、演出制御用CPU101は、まず、1セットの始動入賞時のコマンド(すなわち、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)のセット)を新たに受信したか否かを確認する(ステップS6001)。
・・・
【0356】
1セットの始動入賞時のコマンドを新たに受信していれば、演出制御用CPU101は、既に先読み予告演出を実行中であることを示す先読み予告実行中フラグがセットされているか否かを確認する(ステップS6002)。なお、先読み予告実行中フラグは、後述するステップS6010においてセットされる。先読み予告実行中フラグがセットされていれば、ステップS6014に移行する。
・・・
【0361】
次いで、演出制御用CPU101は、先読み予告演出の演出態様を決定するための先読み予告演出態様決定用乱数を抽出し、受信した変動カテゴリコマンドにもとづいて、抽出した先読み予告演出態様決定用乱数の値がステップS6005,S6007で選択した先読み予告振分テーブルに含まれるいずれの判定値と合致するかを判定することによって、先読み予告演出の実行有無と演出態様とを決定する(ステップS6008)。」

コ 「【0362】
図39は、先読み予告演出の振り分けを示す先読み予告振分テーブルの具体例を示す説明図である。現在の遊技状態が通常状態あれば、演出制御用CPU101は、ステップS6005で選択した図39(A)に示す通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、受信した変動カテゴリコマンドで示される変動パターン種別の入賞時判定結果にもとづいて、先読み予告演出の演出態様を決定する。この実施の形態では、先読み予告振分テーブルAを用いる場合、例えば、演出制御用CPU101は、変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち、リーチも擬似連などの特定演出も伴わない「非リーチはずれ」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC600(H)を受信している場合)、変動カテゴリコマンドでスーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち、「スーパーリーチはずれ」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC607(H)を受信している場合)、および変動カテゴリコマンドでスーパーCA3-3の変動パターン種別となる(すなわち、「スーパーリーチ大当り」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC612(H)またはコマンドC615(H)を受信している場合)のいずれの場合にも、図39(A)に示すように、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定する。
【0363】
また、現在の遊技状態が確変状態または時短状態であれば、演出制御用CPU101は、ステップS6007で選択した図39(B)に示す確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、受信した変動カテゴリコマンドで示される変動パターン種別の入賞時判定結果にもとづいて、先読み予告演出の演出態様を決定する。この実施の形態では、先読み予告振分テーブルBを用いる場合、例えば、演出制御用CPU101は、変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち、リーチも擬似連などの特定演出も伴わない「非リーチはずれ」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC60A(H)を受信している場合)には、図39(B)に示すように、割り振りがなく、先読み予告を実行しないことに決定する。また、例えば、演出制御用CPU101は、変動カテゴリコマンドでスーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち、「スーパーリーチはずれ」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC609(H)またはコマンドC60B(H)を受信している場合)、および変動カテゴリコマンドでスーパーCA3-3の変動パターン種別となる(すなわち、「スーパーリーチ大当り」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合(具体的には、コマンドC612(H)またはコマンドC615(H)を受信している場合)には、図39(B)に示すように、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定する。」

サ 「【0368】
先読み予告演出を実行することに決定した場合には、演出制御用CPU101は、先読み予告演出の実行を決定したことを示す先読み予告実行中フラグをセットする(ステップS6010)。
【0369】
次いで、演出制御用CPU101は、始動入賞時コマンド格納領域に格納されている最新の保留記憶数加算指定コマンドが第1保留記憶数加算指定コマンドであるか否かを確認する(ステップS6011)。第1保留記憶数加算指定コマンドが格納されていれば、演出制御用CPU101は、合算保留記憶表示部18cにおいて保留表示として第1ボタン保留表示を1つ増加させる(ステップS6012)。
【0370】
この実施の形態では、通常時(先読み予告演出の実行を行っていないとき)には、第1始動入賞口13への始動入賞が発生した場合には、保留表示として赤色の丸形表示(以下、第1通常保留表示ともいう)を1つ増加させ、第2始動入賞口14への始動入賞が発生した場合には、保留表示として青色の丸形表示(以下、第2通常保留表示ともいう)を1つ増加させる。そして、始動入賞が発生したときに「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するときには、通常時とは異なる態様で保留表示を1つ増加させる。この実施の形態では、先読み予告演出を実行する場合には、プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示(例えば、プッシュボタン120の形状を模した態様の保留表示)を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120による操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させる。例えば、第1始動入賞口13への始動入賞が発生したときに先読み予告演出を開始する場合であれば、赤色のボタン保留表示(第1ボタン保留表示ともいう)を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120による操作を検出したことにもとづいて第1ボタン保留表示を赤色の特殊保留表示(第1特殊保留表示ともいう)に変更する。また、例えば、第2始動入賞口14への始動入賞が発生したときに先読み予告演出を開始する場合であれば、青色のボタン保留表示(第2ボタン保留表示ともいう)を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120による操作を検出したことにもとづいて第2ボタン保留表示を青色の特殊保留表示(第2特殊保留表示ともいう)に変更する。
【0371】
なお、この実施の形態では、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出として、最終的に「熱」などの文字を含む丸形表示の保留表示を表示させる場合を示しているが、このような態様にかぎらず、例えば、星形表示の保留表示を表示させたり、金色の保留表示を表示させたり、ハート形の保留表示を表示させるなど、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出の態様は、この実施の形態で示したものに限定されない。なお、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出として、星形表示や金色表示、ハート形表示など複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせるようにしてもよい。
【0372】
最新の保留記憶数加算指定コマンドが第1保留記憶数加算指定コマンドでなければ(すなわち、第2保留記憶数加算指定コマンドが格納されている場合であれば)、演出制御用CPU101は、合算保留記憶表示部18cにおいて保留表示として第2ボタン保留表示を1つ増加させる(ステップS6013)。」

シ 「【0377】
図41は、図37に示された演出制御プロセス処理における演出図柄変動開始処理(ステップS801)を示すフローチャートである。演出図柄変動開始処理において、演出制御用CPU101は、まず、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出す(ステップS8000)。次いで、演出制御用CPU101は、ステップS8000で読み出した変動パターンコマンド、および表示結果指定コマンド格納領域に格納されているデータ(すなわち、受信した表示結果指定コマンド)に応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定する(ステップS8001)。すなわち、演出制御用CPU101によってステップS8001の処理が実行されることによって、可変表示パターン決定手段が決定した可変表示パターン(変動パターン)に応じて、識別情報の可変表示の表示結果(演出図柄の停止図柄)を決定する表示結果決定手段が実現される。なお、変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、演出制御用CPU101は、ステップS8001において、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、「223」や「445」のように、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)も決定する。なお、演出制御用CPU101は、決定した演出図柄の停止図柄を示すデータを演出図柄表示結果格納領域に格納する。なお、ステップS8001において、演出制御用CPU101は、受信した変動パターンコマンドにもとづいて大当りであるか否かを判定し、変動パターンコマンドのみにもとづいて演出図柄の停止図柄を決定するようにしてもよい。
・・・
【0381】
なお、演出図柄についても、大当りを想起させるような停止図柄(左中右が全て同じ図柄で揃った図柄の組み合わせ)を大当り図柄という。また、はずれを想起させるような停止図柄をはずれ図柄という。また、確変状態となることを想起させる図柄(この実施の形態では、奇数図柄)を確変図柄ともいい、確変状態とならないことを想起させる図柄(この実施の形態では、偶数図柄)を非確変図柄ともいう。
・・・
【0383】
次いで、演出制御用CPU101は、変動パターンおよび予告演出を実行する場合にはその予告演出に応じたプロセステーブルを選択する(ステップS8003)。そして、選択したプロセステーブルのプロセスデータ1におけるプロセスタイマをスタートさせる(ステップS8004)。
【0384】
図43は、プロセステーブルの構成例を示す説明図である。プロセステーブルとは、演出制御用CPU101が演出装置の制御を実行する際に参照するプロセスデータが設定されたテーブルである。すなわち、演出制御用CPU101は、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置(演出用部品)の制御を行う。プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている。表示制御実行データには、演出図柄の可変表示の可変表示時間(変動時間)中の変動態様を構成する各変動の態様を示すデータ等が記載されている。具体的には、演出表示装置9の表示画面の変更に関わるデータが記載されている。また、プロセスタイマ設定値には、その変動の態様での変動時間が設定されている。演出制御用CPU101は、プロセステーブルを参照し、プロセスタイマ設定値に設定されている時間だけ表示制御実行データに設定されている変動の態様で演出図柄を表示させる制御を行う。」

ス 図8、図9、図10には以下の記載がある。




セ 【0205】の「特別図柄プロセス処理において、CPU56は、・・・第1始動入賞口13への始動入賞が発生していたら、第1始動口スイッチ通過処理を実行(ステップS311,S312)・・・第2始動入賞口14への始動入賞が発生していたら、第2始動口スイッチ通過処理を実行(ステップS313,S314)」、
【0219】?【0223】の「第1始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、・・・第1保留記憶数カウンタの値を1増やす・・・とともに、・・・乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第1保留記憶バッファ・・・における保存領域に格納する・・・(ステップS1214A)・・・ステップS1214Aの処理では、・・・ランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納され・・・第1保留記憶バッファには、第1保留記憶数の上限値・・・に対応した保存領域が確保され、・・・CPU56は、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、第1保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」、
【0221】の「第2保留記憶バッファには、第2保留記憶数の上限値・・・に対応した保存領域が確保され、」、【0229】?【0233】の「第2始動口スイッチ通過処理において、CPU56は、・・・第2保留記憶数カウンタの値を1増やす・・・とともに、・・・乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタから値を抽出し、それらを、第2保留記憶バッファ・・・における保存領域に格納する・・・(ステップS1214B)・・・ステップS1214Bの処理では、・・・ランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)が抽出され、保存領域に格納され・・・CPU56は、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、第2保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」という記載から、
刊行物1には「特別図柄プロセス処理において、第1始動口13への始動入賞が発生していたら実行される第1始動口スイッチ通過処理(ステップS311、S312)、または第2始動口14への始動入賞が発生していたら実行される第2始動始動口スイッチ通過処理(ステップS313、S314)において、第1保留記憶数カウンタまたは第2保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタからランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を抽出し、それらを第1保留記憶数または第2保留記憶数の上限値に対応した保存領域が確保された第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納し、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」する「CPU56」が記載されているといえる。

ソ 【0013】の「大当り確率が通常よりも高い確率変動遊技状態」、
【0019】の「遊技者にとって有利な特定遊技状態(例えば大当り遊技状態)・・・とするか否かを決定するための・・・大当り判定用乱数」、
【0067】の「確変大当りとなった場合には、遊技状態を高確率状態(確変状態)に移行する」、
【0258】の「特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)」、
【0270】?【0271】の「CPU56は、第1始動口スイッチ通過処理・・・や第2始動口スイッチ通過処理で抽出し第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、大当り判定を行・・・大当りすることに決定した場合には・・・、ステップS71に移行」、
【0275】?【0276】の「ステップS71では、CPU56は、大当りであることを示す大当りフラグをセット・・・大当り種別判定テーブルを選択・・・次いで、CPU56は、選択した大当り種別判定テーブルを用いて・・・大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」、「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定・・・この場合、CPU56は、・・・第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し、大当り種別の決定を行う」という記載から、
刊行物1には、
「CPU56は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)において、第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で抽出し、第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、遊技者にとって有利な大当り遊技状態とするか否かを決定するための大当り判定を行い、大当りすることに決定した場合には、大当りであることを示すフラグをセットし、大当り種別判定テーブルを選択し、次いで選択した大当り種別判定テーブルを用いて、第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」、大当り確率が通常よりも高い高確率状態である確変状態に移行する「確変大当り」、または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定」することが記載されているといえる。

タ-1 【0205】の「遊技制御用マイクロコンピュータ560(・・・CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理・・・特別図柄プロセス処理において、CPU56は、・・・ステップS300?S310のいずれかの処理を行う」、
【0281】?【0290】の「変動パターン設定処理(ステップS301)・・・において、CPU56は、・・・大当りフラグがセットされている場合には、大当り用変動パターン種別判定テーブル132A?132C・・・のいずれかを選択・・・大当りフラグがセットされていない場合に・・・小当りフラグがセットされている場合には、小当り用変動パターン種別テーブル132Dを選択・・・小当りフラグもセットされていない場合には、・・・時短フラグがセットされていなければ、合算保留記憶数が3未満であれば・・・はずれ用変動パターン種別判定テーブル135Aを選択・・・合算保留記憶数が3以上である場合・・・には、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135Bを選択・・・時短フラグがセットされている場合・・・には、はずれ用変動パターン種別判定テーブル135C・・・を選択・・・CPU56は、・・・第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファからランダム2(変動パターン種別判定用乱数)を読み出し、・・・選択したテーブルを参照することによって、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定・・・CPU56は、・・・変動パターン種別の決定結果にもとづいて、・・・当り変動パターン判定テーブル137A、137B・・・、はずれ変動パターン判定テーブル138Aのうちのいずれかを選択・・・第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファからランダム3(変動パターン判定用乱数)を読み出し、・・・選択した変動パターン判定テーブルを参照することによって、変動パターンを・・・決定」、
【0291】の「CPU56は、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」という記載から、
刊行物1に記載される「CPU56が実行する特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理」において、「大当りフラグや小当りフラグや時短フラグがセットされているか、フラグがセットされていない場合には合計保留記憶数が3未満であるか否かに応じて、変動パターン用種別判定テーブルを選択し、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファからランダム2(変動パターン種別判定用乱数)を読み出し、選択した変動パターン用種別判定テーブルを参照することによって、変動パターン種別を複数種類のうちのいずれかに決定し、変動パターン種別の決定結果にもとづいて、当り変動パターン判定テーブル、はずれ変動パターン判定テーブルのうちのいずれかを選択し、第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファからランダム3(変動パターン判定用乱数)を読み出し、選択した変動パターン判定テーブルを参照することによって、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定し、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する」ものといえる。

そうすると、刊行物1に記載される「CPU56が実行する特別図柄プロセス処理における変動パターン設定処理」において、「大当りフラグや小当りフラグや時短フラグがセットされているか、フラグがセットされていない場合には合計保留記憶数の数に応じて選択された変動パターン用種別判定テーブルと、ランダム2(変動パターン種別判定用乱数)とを用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン種別の決定結果にもとづいて選択された変動判定テーブルと、ランダム3(変動パターン判定用乱数)とを用いて変動パターンを決定し、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する」といえる。

そして、【0295】?【0296】の「表示結果指定コマンド送信処理において、・・・CPU56は、・・・大当りフラグがセットされているか否か確認・・・大当りフラグがセットされている場合、大当りの種別が「通常大当り」であるときには、表示結果2指定コマンドを・・・大当りの種別が「確変大当り」であるときには、表示結果3指定コマンドを・・・「突然確変大当り」であるときには・・・、・・・表示結果4指定コマンドを・・・大当りフラグがセットされていないときには・・・小当りフラグがセットされているか否かを確認・・・小当りフラグがセットされていれば、・・・表示結果5指定コマンドを・・・はずれである場合には、・・・表示結果1指定コマンドを送信する制御を行う」という記載とあわせると、
刊行物1には、
「CPU56は、特別図柄プロセスにおける変動パターン設定処理において、大当りフラグや小当りフラグや時短フラグがセットされているか、フラグがセットされていない場合には合計保留記憶数に応じて選択された、変動パターン用種別判定テーブルと、ランダム2(変動パターン種別判定用乱数)とを用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン種別の決定結果にもとづいて選択された変動判定テーブルと、ランダム3(変動パターン判定用乱数)とを用いて変動パターンを決定し、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信し、表示結果指定コマンド送信処理において、大当りフラグがセットされている場合の大当りの種別、小当り、はずれに応じて、表示結果を指定する演出制御コマンドである、表示結果1?5指定コマンドのいずれかを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」することについて記載されているといえる。

タ-2 また、【0314】の「演出制御用マイクロコンピュータ100(・・・演出制御用CPU101)」、
【0322】?【0324】の「演出制御用CPU101は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出・・・受信した演出制御コマンドが変動パターンコマンドであれば・・・、受信した変動パターンコマンドを、・・・変動パターンコマンド格納領域に格納・・・表示結果指定コマンドであれば・・・、受信した表示結果指定コマンド・・・を、・・・表示結果指定コマンド格納領域に格納」、
【0377】の「演出図柄変動開始処理において、演出制御用CPU101は、・・・変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出・・・読み出した変動パターンコマンド、および受信した表示結果指定コマンドに応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定し、・・・変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、・・・リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)も決定」、
【0381】の「演出図柄について・・・大当りを想起させるような停止図柄・・・はずれを想起させるような停止図柄・・・確変状態となることを想起させる図柄・・・確変状態とならないことを想起させる図柄」、
【0383】の「演出制御用CPU101は、変動パターン・・・に応じたプロセステーブルを選択」、
【0384】の「演出制御用CPU101は、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置(演出用部品)の制御を行う。プロセステーブルは、プロセスタイマ設定値と表示制御実行データ、ランプ制御実行データおよび音番号データの組み合わせが複数集まったデータで構成されている・・・演出制御用CPU101は、・・・表示制御実行データに設定されている変動の態様で演出図柄を表示させる制御を行う」という記載から、
刊行物1には、
「演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出し、受信した演出制御コマンドが変動パターンコマンドであれば、受信した変動パターンコマンドを、変動パターンコマンド格納領域に格納し、表示結果指定コマンドであれば、受信した表示結果指定コマンドを、表示結果指定コマンド格納領域に格納し、
演出図柄変動開始処理において、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出し、読み出した変動パターンコマンド、および受信した表示結果指定コマンドに応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定し、読み出した変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)も決定し、演出図柄については、大当りを想起させるような停止図柄、はずれを想起させるような停止図柄、確変状態となることを想起させる図柄、確変状態とならないことを想起させる図柄であり、
変動パターンに応じたプロセステーブルを選択し、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置の制御を行い、プロセステーブルを構成する表示制御実行データに設定されている変動の態様で演出図柄を表示させる制御を行う」ことについて記載されているといえる。

チ 【0236】の「入賞時演出処理では、CPU56は、・・・大当り判定用乱数・・・と通常時の大当り判定値とを比較し、それが一致するか否かの確認を確認する・・・特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、・・・特別図柄通常処理において大当り・・・とするか否か・・・を決定したり・・・するのであるが、それとは別に、遊技球が第1始動入賞口13・・・に始動入賞したタイミングで、その始動入賞にもとづく変動表示が開始される前に、入賞時演出処理を実行することによって、あらかじめ大当り・・・となるか否か・・・を確認」という記載から、
刊行物1には、「CPU56は、特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りとするか否かを決定するのとは別に、遊技球が始動入賞口に始動入賞したタイミングで、その始動入賞に基づく変動表示が開始する前に、入賞時演出処理を実行することによって、大当り判定用乱数と通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認し、あらかじめ大当りとなるか否かを確認」することが記載されているといえる。

ツ 【0271】の「大当り判定の処理では、遊技状態が確変状態の場合には、遊技状態が非確変状態(通常状態や時短状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている」、
【0306】?【0309】の「大当り終了処理(ステップS307)・・・・大当り終了処理において・・・通常大当りであれば、CPU56は、時短フラグをセットして時短状態に移行させ・・・確変大当りであれば、CPU56は、確変フラグをセットして確変状態に移行させるとともに、時短フラグをセットして時短状態に移行させ」という記載から、「時短状態」とは「時短状態であり非確変状態」、「確変状態」とは「確変状態であり時短状態」であるといえ、これらの記載と上記ソの「CPU56は、特別図柄プロセス処理の特別図柄通常処理(ステップS300)において・・・大当り判定を行い」と合わせると、
刊行物1には、
「CPU56は、特別図柄プロセス処理の特別図柄通常処理(ステップS300)における、大当り判定の処理では、遊技状態が、非確変状態(通常状態や時短状態)と、非確変状態の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている確変状態があり、大当り終了処理において通常大当りであれば、時短フラグをセットして大当り遊技終了後の状態を時短状態であり非確変状態に移行させ、確変大当りであれば、確変フラグと時短フラグをセットして大当り終了後の遊技状態を確変状態であり時短状態である状態に移行させ」ることが記載されているといえる。

テ 【0223】、【0225】、【0231】、【0235】の「CPU56は、・・・図柄指定コマンド・・・変動カテゴリコマンド・・・第1保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」、「第1始動入賞口13への始動入賞が発生して・・・図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および第1保留記憶数加算指定コマンドの3つのコマンドのセットが・・・送信され」、「CPU56は、・・・図柄指定コマンド・・・変動カテゴリコマンド・・・第2保留記憶数加算指定コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信」、「第2始動入賞口14への始動入賞が発生して・・・図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および第2保留記憶数加算指定コマンドの3つのコマンドのセットが・・・送信され」という記載から、
刊行物1には、「CPU56は、第1始動入賞口13または第2始動入賞口14への始動入賞が発生して、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数加算コマンド(第1保留記憶数加算コマンドまたは第2保留記憶数加算コマンド)の3つのコマンドのセットを送信」することが記載されているといえる。

そして、【0345】の「演出制御用CPU101は、・・・先読み予告演出の有無や演出態様を決定する先読み予告演出決定処理を実行」、
【0355】?【0356】、【0361】の「先読み予告演出決定処理において、演出制御用CPU101は、・・・1セットの始動入賞時のコマンド(・・・図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、および保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)のセット)を・・・新たに受信していれば、・・・先読み予告演出の態様を決定するための先読み予告演出態様決定用乱数を抽出し、受信した変動カテゴリコマンドにもとづいて・・・先読み予告演出の実行有無と演出態様とを決定」、
【0368】?【0369】、【0372】の「先読み予告を実行することに決定した場合は、演出制御用CPU101は、・・・先読み予告中フラグをセット・・・第1保留記憶数加算指定コマンドが格納されていれば、・・・保留表示として第1ボタン保留表示を1つ増加させ・・・第2保留記憶数加算指定コマンドが格納されている場合であれば、・・・保留表示として第2ボタン保留表示を1つ増加させ」という記載とあわせると、

刊行物1には、「演出制御用CPU101は、先読み予告演出の有無や演出態様を決定する先読み予告演出決定処理を実行し、始動入賞口への始動入賞が発生してCPU56が送信した1セットの始動入賞時のコマンド(図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数加算コマンド(第1保留記憶数加算コマンドまたは第2保留記憶数加算コマンド)のセット)を受信し、先読み予告演出の態様を決定するための先読み予告演出態様決定用乱数を抽出し、受信した変動カテゴリコマンドにもとづいて、先読み予告演出の実行有無と演出態様とを決定し、先読み予告を実行することに決定した場合は、先読み予告中フラグをセットし、第1保留記憶数加算指定コマンドが格納されていれば、保留表示として第1ボタン保留表示を1つ増加させ、第2保留記憶数加算指定コマンドが格納されている場合であれば、保留表示として第2ボタン保留表示を1つ増加させ」ることが記載されているといえる。

ト 【0362】?【0363】には「現在の遊技状態が通常状態あれば、演出制御用CPU101は、・・・入賞時判定結果にもとづいて、先読み予告演出の演出態様を決定」、「現在の遊技状態が確変状態または時短状態であれば、演出制御用CPU101は、・・・入賞時判定結果にもとづいて、先読み予告演出の演出態様を決定」という記載があり、
上記ツにおいて認定したとおり、「時短状態」とは「時短状態であり非確変状態」であり、「確変状態」とは「確変状態であり時短状態」であるといえるから、刊行物1には、「演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態、時短状態であり非確変状態、または確変状態であり時短状態であれば、入賞時判定結果に基づいて先読み予告演出を実行する」ことが記載されているといえる。
さらに、【0370】には「始動入賞が発生したときに「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するときには、・・・プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示・・・を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120による操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させ」という記載があることとあわせると、
刊行物1には、「演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態、時短状態であり非確変状態、または確変状態であり時短状態であれば、入賞時判定結果に基づいて先読み予告演出を実行するものであり、始動入賞が発生したときに「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するときには、プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120の操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させ」ることが記載されているといえる。

さらに、【0371】には、「「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出として、最終的に「熱」などの文字を含む丸形表示の保留表示を表示させる場合を示しているが、このような態様にかぎらず、・・・星形表示や金色表示、ハート形表示など複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせる」という記載があることから、刊行物1には「「熱」などの文字を含む丸形表示の保留表示を表示させる態様にかぎらず、複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせる」ことが記載されているといえる。

以上のことから、刊行物1には、「演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態、時短状態であり非確変状態、または、確変状態であり時短状態であれば、入賞時判定結果に基づいて先読み予告を実行するものであり、始動入賞が発生したときに「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するときには、プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120の操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させ、このような態様にかぎらず、星形表示や金色表示、ハート形表示など複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせる」ことが記載されているといえる。

ナ-1 【0271】には「CPU56は、・・・遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行」、【0283】には「時短フラグは、遊技状態を・・・・時短状態に移行するときにセットされ、時短状態を終了するときにリセットされ・・・通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において時短フラグがセットされ・・・、大当り遊技終了後、所定回数・・・の変動表示を終了したときにリセットされる」という記載があること、上記ツの「大当り終了処理において、通常大当りであれば、時短フラグをセットして」移行する「時短状態」とは、「時短状態であり非確変状態」であることと合わせると、刊行物1には、
「CPU56は、遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、「通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において、遊技状態を時短状態であり非確変状態に移行するときに時短フラグがセットされ、大当り遊技終了後、所定回数の変動表示を終了したときにリセットされる」こと、が記載されているといえる。

ナ-2 【0362】には「現在の遊技状態が通常状態あれば、演出制御用CPU101は、・・・通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、・・・例えば、・・・変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち・・・「非リーチはずれ」となる)・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合・・・変動カテゴリコマンドでスーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち、「スーパーリーチはずれ」となる・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合、および変動カテゴリコマンドでスーパーCA3-3の変動パターンとなる(すなわち、「スーパーリーチ大当り」となる・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合・・・のいずれの場合にも、・・・「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定」という記載があることから、刊行物1には
「現在の遊技状態が通常状態であれば、演出制御CPU101は、通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、例えば、変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち、「非リーチはずれ」となる)、スーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち「スーパーリーチはずれ」となる)、スーパーCA3-3の変動パターン種別となる(すなわち「スーパーリーチ大当り」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合のいずれにも、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定」すること、が記載されているといえる。

ナ-3 また、【0363】には「現在の遊技状態が確変状態または時短状態であれば、演出制御用CPU101は、・・・確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、・・・例えば、・・・変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち・・・「非リーチはずれ」となる)・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合・・・先読み予告を実行しないことに決定・・・変動カテゴリコマンドでスーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち「スーパーリーチはずれ」となる)・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合・・・、および変動カテゴリコマンドでスーパーCA3-3の変動パターンとなる(すなわち「スーパーリーチ大当り」となる)・・・ことを示す入賞時判定結果が示されている場合・・・には、・・・「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定する」という記載がある。
ここで、上記ツにおいて認定したとおり、「確変状態」、「時短状態」とは、それぞれ「確変状態であり時短状態」、「時短状態であり非確変状態」であるから、刊行物1には、「現在の遊技状態が確変状態であり時短状態、または時短状態であり非確変状態であれば、演出制御用CPU101は、確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、例えば、変動カテゴリコマンドで非リーチCA2-1の変動パターン種別となる(すなわち、「非リーチはずれ」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合には、先読み予告演出を実行しないことに決定し、例えば、スーパーCA2-7の変動パターン種別となる(すなわち「スーパーリーチはずれ」となる)、スーパーCA3-3の変動パターン種別となる(すなわち「スーパーリーチ大当り」となる)ことを示す入賞時判定結果が示されている場合には、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定する」こと、が記載されているといえる。

ナ-4 さらに、上記ツにおいて認定した、「時短状態」とは「時短状態であり非確変状態」であること、【0137】?【0139】、【0152】?【0154】、【0160】、【0362】?【0363】の記載、図8の大当り判定テーブル(A)、図9(A)の大当り用変動パターン種別判定テーブル、図10(A)のはずれ変動パターン種別判定テーブル(通常用)、図10(B)のはずれ用変動パターン種別判定テーブル(短縮用)、図10(C)のはずれ用変動パターン種別判定テーブル(確変/時短用)をもとに、通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合と、確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率を比較する。
ここで、【0139】の「第1特別図柄の変動表示を行う場合にのみ小当りと決定するようにし、第2特別図柄の変動表示を行う場合には小当りを設けないようにしてもよい。」との記載から、第1特別図柄の変動表示を行う場合にのみ小当りと決定する場合について検討する。
図8(A)?(B)から、通常時(非確変時)にはずれとなる確率は、大当りにも小当りにもならない確率であるが、通常状態時と時短状態時はどちらも非確変時であることから、等しい値Pをとる
(P=(65536-((1079-1020+1)+(13320-13477+1)+(54217-54000)+1))/65536=65100/65536)
といえる。

(ア) 非リーチはずれの入賞時判定結果が示されている場合に「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率
(ア-1) 図8(A)、図10(A)?(C)より、【0362】?【0363】に例示されている変動パターン種別において、非リーチCA2-1(非リーチはずれ)となる確率は、通常時(非確変時時)にはずれになる確率Pに、はずれ用変動パターン種別判定テーブルにおいて、非リーチCA2-1となる確率とを乗じた確率である。
(ア-1-1) 通常状態で合算保留記憶数が3未満である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*79/251=79P/251である。
(ア-1-2) 通常状態で合算保留記憶数が3以上である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*79/251=79P/251である。
(ア-1-3) 時短状態であり非確変状態である場合
上記のとおり、時短状態で非リーチはずれの場合先読み予告演出が行われる確率はゼロである。

(ア-2) また、図8(A)、図10(A)?(C)より、【0362】?【0363】に例示されている変動パターン種別に限らず、非リーチはずれとなる確率は、通常時(非確変時時)にはずれになる確率Pに、はずれ用変動パターン種別判定テーブルにおいて、非リーチCA2-1?非リーチCA2-3のいずれかとなる確率とを乗じた確率である。
(ア-2-1) 通常状態で合算保留記憶数が3未満である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*99/251=99P/251である。
(ア-2-2) 通常状態で合算保留記憶数が3以上である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*199/251=199P/251である。
(ア-2-3) 時短状態であり非確変状態である場合
上記のとおり、時短状態で非リーチはずれの場合先読み予告演出が行われる確率はゼロである。

(イ) スーパーリーチはずれの入賞時判定結果が示されている場合に「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率
図8(A)、図10(A)?(C)より、スーパーリーチはずれとなる確率は、通常時(非確変時時)にはずれになる確率Pに、はずれ用変動パターン種別判定テーブルにおいて、スーパーCA2-7となる確率とを乗じた確率である。
(イー1) 通常状態で合算保留記憶数が3未満である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*(251-230+1)/251=22P/251である。
(イー2) 通常状態で合算保留記憶数が3以上である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*(251-230+1)/251=22P/251である。
(イー3) 時短状態であり非確変状態である場合
この場合、先読み予告演出を行う場合の確率はP*(251-220+1)/251=32P/251である。

(ウ) スーパーリーチ大当りの入賞時判定結果が示されている場合に「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率
図8(A)、図9(A)より、スーパーリーチ大当りとなる確率は、通常時(非確変時時)に大当りする確率に、大当り時に通常大当りとなる確率と通常大当りのときにスーパーCA3-3となる確率を乗じた確率であって、通常状態の場合と時短状態の場合で等しい値pをとる
(p=((1079-1020+1)+(13477-13320+1))/65536*(15-0+1)/40*(251-150+1)/251)
ものである。

(ア)?(ウ)を総合すると、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率は、通常状態の場合で、合算保留記憶数が3未満の場合と3以上の場合は、それぞれ
(p+(79P+22P)/251)=(p+101P/251)(非リーチCA2-1の場合)または(p+(99P+22P)/251)=(p+121P/251)(非リーチCA2-1からCA2-3の場合)、
(p+(79P+22P)/251)=(p+101P/251)(非リーチCA2-1の場合)または(p+(199P+22P)/251)=(p+221P/251)(非リーチCA2-1からCA2-3の場合)であり、
時短状態の場合は(p+32P/251)である。
そうすると、合算保留記憶数の数にかかわらず、通常状態と時短状態であり非確変状態との先読み予告演出を行う確率は異なることは明らかである。
すなわち、通常状態に通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合と、時短状態であり非確変状態に確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を行う場合の確率は異なるといえる。

ナ-5 ナ-1?ナ-4から、刊行物1には
「CPU56は、遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、「通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において、遊技状態を時短状態であり非確変状態に移行するときに時短フラグがセットされ、大当り遊技終了後、所定回数の変動表示を終了したときにリセットされるものであり、
演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態であれば、通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定し、現在の遊技状態が時短状態であり非確変状態であれば、確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定し、
通常状態と、時短状態であり非確変状態の「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行する確率は異なる」
ことが記載されているといえる。

ニ また、【0019】の記載から、刊行物1には「遊技機」が「遊技制御用マイクロコンピュータ560」と「演出制御用マイクロコンピュータ100」を有することが記載されているといえる。

上記の記載事項ア?シおよび認定事項ス?ナから、刊行物1には、
「(a)、(d) 特別図柄プロセス処理において、第1始動口13への始動入賞が発生していたら実行される第1始動口スイッチ通過処理(ステップS311、S312)、または第2始動口14への始動入賞が発生していたら実行される第2始動始動口スイッチ通過処理(ステップS313、S314)において、第1保留記憶数カウンタまたは第2保留記憶数カウンタの値を1増やすとともに、乱数回路503やソフトウェア乱数を生成するためのカウンタからランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)、変動パターン種別判定用乱数(ランダム2)および変動パターン判定用乱数(ランダム3)を抽出し、それらを第1保留記憶数または第2保留記憶数の上限に対応した保存領域が確保された第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファにおける保存領域に格納し、図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信するCPU56を備え、(認定事項セ)

(b) CPU56は、特別図柄プロセス処理における特別図柄通常処理(ステップS300)において、第1始動口スイッチ通過処理や第2始動口スイッチ通過処理で抽出し、第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り判定用乱数を読み出し、遊技者にとって有利な大当り遊技状態とするか否かを決定するための大当り判定を行い、大当りすることに決定した場合には、大当りであることを示すフラグをセットし、大当り種別判定テーブルを選択し、次いで選択した大当り種別判定テーブルを用いて、第1保留記憶バッファや第2保留記憶バッファにあらかじめ格納した大当り種別判定用乱数を読み出し、大当り種別判定用の乱数(ランダム1)の値と一致する値に対応した種別(「通常大当り」、大当り確率が通常よりも高い高確率状態である確変状態に移行する「確変大当り」または「突然確変大当り」)を大当りの種別に決定し、(認定事項ソ)

(c) CPU56が、特別図柄プロセスにおける変動パターン設定処理において、大当りフラグや小当りフラグや時短フラグがセットされているか、フラグがセットされていない場合には合計保留記憶数に応じて選択された、変動パターン用種別判定テーブルと、ランダム2(変動パターン種別判定用乱数)とを用いて変動パターン種別を決定し、変動パターン種別の決定結果にもとづいて選択された変動判定テーブルと、ランダム3(変動パターン判定用乱数)とを用いて変動パターンを決定し、決定した変動パターンに対応する演出制御コマンド(変動パターンコマンド)を演出制御用マイクロコンピュータ100に送信し、表示結果指定コマンド送信処理において、決定されている大当りの種類、小当り、はずれに応じて、表示結果を指定する演出制御コマンドである、表示結果1?5指定コマンドのいずれかを演出制御用マイクロコンピュータ100に送信し、(認定事項タ-1)
これに対してコマンド受信バッファから受信コマンドを読み出し、受信した演出制御コマンドが変動パターンコマンドであれば、受信した変動パターンコマンドを、変動パターンコマンド格納領域に格納し、表示結果指定コマンドであれば、受信した表示結果指定コマンドを、表示結果指定コマンド格納領域に格納し、
演出図柄変動開始処理において、変動パターンコマンド格納領域から変動パターンコマンドを読み出し、読み出した変動パターンコマンド、および受信した表示結果指定コマンドに応じて演出図柄の表示結果(停止図柄)を決定し、読み出した変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)も決定し、演出図柄については、大当りを想起させるような停止図柄、はずれを想起させるような停止図柄、確変状態となることを想起させる図柄、確変状態とならないことを想起させる図柄であり、
変動パターンに応じたプロセステーブルを選択し、プロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出表示装置9等の演出装置の制御を行い、プロセステーブルを構成する表示制御実行データに設定されている変動の態様で演出図柄を表示させる制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)を備え、(認定事項タ-2)

(e) CPU56は、特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りとするか否かを決定するのとは別に、遊技球が始動入賞口に始動入賞したタイミングで、その始動入賞に基づく変動表示が開始する前に、入賞時演出処理を実行することによって、大当り判定用乱数と通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認し、あらかじめ大当りとなるか否かを確認し、(認定事項チ)

(f) CPU56は、特別図柄プロセス処理の特別図柄通常処理(ステップS300)における、大当り判定の処理では、遊技状態が、非確変状態(通常状態や時短状態)と、非確変状態の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている確変状態があり、大当り終了処理(ステップS307)において通常大当りであれば、時短フラグをセットして大当り遊技終了後の状態を時短状態であり非確変状態に移行させ、確変大当りであれば、確変フラグと時短フラグをセットして大当り終了後の遊技状態を確変状態であり時短状態である状態に移行させ、(認定事項ツ)

(g)、(h) 演出制御用CPU101は、先読み予告演出の有無や演出態様を決定する先読み予告演出決定処理を実行し、始動入賞口への始動入賞が発生してCPU56が送信した1セットの始動入賞時のコマンド(図柄指定コマンド、変動カテゴリコマンド、保留記憶数加算コマンド(第1保留記憶数加算コマンドまたは第2保留記憶数加算コマンド)のセット)を受信し、先読み予告演出の態様を決定するための先読み予告演出態様決定用乱数を抽出し、受信した変動カテゴリコマンドにもとづいて、先読み予告演出の実行有無と演出態様とを決定し、先読み予告を実行することに決定した場合は、先読み予告中フラグをセットし、第1保留記憶数加算指定コマンドが格納されていれば、保留表示として第1ボタン保留表示を1つ増加させ、第2保留記憶数加算指定コマンドが格納されている場合であれば、保留表示として第2ボタン保留表示を1つ増加させ、(認定事項テ)

(h-1) 演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態、時短状態であり非確変状態、または、確変状態であり時短状態であれば、入賞時判定結果に基づいて先読み予告を実行するものであり、始動入賞が発生したときに「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するときには、プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示を1つ増加させ、その後、プッシュボタン120の操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させ、このような態様にかぎらず、星形表示や金色表示、ハート形表示など複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせるものであり、(認定事項ト)
(h-2) CPU56は、遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、「通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において、遊技状態を時短状態であり非確変状態に移行するときに時短フラグがセットされ、大当り遊技終了後、所定回数の変動表示を終了したときにリセットされるものであり、
演出制御用CPU101は、現在の遊技状態が通常状態であれば、通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定し、現在の遊技状態が時短状態であり非確変状態であれば、確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定し、
通常状態と、時短状態であり非確変状態の「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行する確率は異なる、(認定事項ナ-5)

(i) 遊技機(認定事項ニ)」

という発明(以下、「刊行物1発明」という。記号は本件補正発明と対比するため、当審で付した。)が開示されていると認める。

(2)本件補正発明と刊行物1発明との対比

本件補正発明と刊行物1発明とを対比する。(記号は本件補正発明の発明特定事項に対応させて付した。)

A、D 刊行物1発明の構成(a)、(d)について、「CPU56」により実行される始動口スイッチ通過処理は「始動口への始動入賞が発生していたら」実行されるものであり、「ランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)を抽出」することから、「始動口への始動入賞が発生している」こと、「ランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)を抽出」することは、それぞれ、本件補正発明の「始動条件の成立により」「判定情報を取得する」ことに相当する。
そうすると、刊行物1発明の構成(a)の「CPU56」は、本件補正発明の構成(A)の「始動条件の成立により判定情報を取得する取得手段」としての機能を有する。
また、刊行物1発明の構成(a)、(d)について、「第1保留記憶数または第2保留記憶数の上限値に対応した保存領域が確保されたランダムR(大当り判定用乱数)、大当り種別判定用乱数(ランダム1)」「を格納した第1保留記憶バッファまたは第2保留記憶バッファ」は本件補正発明の構成(D)の「前記取得手段により記憶された判定情報を所定数まで記憶可能な」「記憶手段」に相当する。

B 刊行物1発明における「大当り判定」は、「遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り遊技状態)に移行させる」かどうかを判定する。また、「大当り種別判定」も、「大当り確率が通常よりも高い高確率状態である確変状態に移行する「確変大当り」」を含む大当りの種別を判定することから、遊技者にとって有利な遊技状態に移行させるかどうかを判定するといえる。
そうすると、上記Aより、刊行物1発明の構成(b)の「大当り判定用乱数」、及び「大当り種別判定用乱数(ランダム1)」は本件補正発明の構成(B)の「判定情報」に相当し、「大当り判定用乱数を読み出し大当り判定を行い」、「大当り種別判定用乱数を読み出し」「大当りの種別に決定する」「CPU56」は、本件補正発明の構成(B)の「前記取得手段により取得された判定情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する判定手段」としての機能を有する。

C 刊行物1発明の構成(c)について、CPU56は、ランダムR、ランダム1を用いた大当り判定及び大当り種別の結果に基づいてセットされる大当りフラグ、小当りフラグ、時短フラグがセットされているか否か、フラグがセットされていない場合には合計保留記憶数に応じて選択された変動用種別パターン判定テーブルと、ランダム2?ランダム3を用いて変動パターンを決定して、決定した変動パターンに対応する変動パターンコマンドを送信することから、ランダムR、ランダム1を用いた大当り判定及び大当り種別の結果に基づいて変動パターンコマンドを送信するといえる。
また、CPU56は、決定されている大当りの種類、小当り、はずれに応じて、表示結果指定コマンドを送信することから、ランダムR、ランダム1を用いた大当り判定及び大当り種別の結果に基づいて表示結果指定コマンドを送信するといえる。
そうすると、送信される「変動パターンコマンド」および「表示結果指定コマンド」は、構成bにおけるCPU56による大当り判定の結果に基づいているといえる。
したがって、刊行物1発明の「変動パターンコマンド」および「表示結果指定コマンド」は、本件補正発明における構成(C)と同様に「前記判定手段による判定結果に基づいて」いるといえる。
また、刊行物1の構成(c)について、演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)は、受信した「変動パターンコマンド」および「表示結果指定コマンド」に応じて、大当りやはずれや確変状態となることや確変状態とならないことを想起させる停止図柄を含む演出図柄の表示結果を決定し、読み出した変動パターンコマンドで擬似連が指定されている場合には、擬似連中の仮停止図柄としてチャンス目図柄(例えば、リーチとならないものの大当り図柄と1つ図柄がずれている図柄の組み合わせ)も決定して、演出図柄を表示させ、変動パターンに応じて選択されたプロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って演出装置の制御を行うものであり、本件補正発明の構成(C)の「判定結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段」としての機能を有する。
よって、刊行物1の構成(c)の「演出制御用マイクロコンピュータ100(演出制御用CPU101)」は本件補正発明の構成(C)に相当する。

E 刊行物1発明の構成(e)について、「特別図柄および演出図柄の変動を開始するタイミングで、特別図柄通常処理において大当りを決定するのとは別に、遊技球が始動入賞口に始動入賞したタイミングで、その始動入賞に基づく変動表示が開始する前」とは、刊行物1発明における構成(b)の「特別図柄通常処理において大当り判定を行う前」であり、この時点で刊行物1発明の構成(e)の「入賞時演出処理を実行することによって、大当り判定用乱数と通常時の大当り判定値とを比較し、それらが一致するか否かを確認し、あらかじめ大当りとなるか否かを確認する」「CPU56」は、本件補正発明の構成(E’)の「前記記憶手段に記憶されている判定情報が前記判定手段に判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段」としての機能を有する。

F 刊行物1発明の構成(f)について、「遊技状態が非確変状態(通常状態や時短状態)の場合よりも、大当りとなる確率が高くなるように構成されている確変状態と、非確変状態があ」ることから、遊技状態として非確変状態(通常状態や時短状態)と、大当りとなる確率が高くなるように構成されている確変状態の2種類の状態がある。そして、これらは本件補正発明の構成(F’)の「前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態」と、「前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態」に相当する。
また、刊行物1発明の構成(f)における「CPU56」は、大当り終了処理において、通常大当りであれば時短状態であり非確変状態に移行させ、確変大当りであれば確変状態であり時短状態に移行させることを行うことから、非確変状態と確変状態の何れかで遊技を制御するものといえ、本件補正発明における構成(F’)の「前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態と前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態の何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段」としての機能を有する。

G、H 刊行物1発明の構成(g)、(h)について、演出制御用CPU101は、刊行物1発明の構成(a)の「CPU56」が「始動入賞が発生して送信」した「1セットの始動入賞時のコマンド」を受信して、保留表示として第1保留表示ボタンまたは第2ボタン保留表示を1増加させるといえる。
そうすると、刊行物1発明の構成(g)、(h)における「演出制御用CPU101」は、本件補正発明における構成(G)、(H)の「前記記憶手段に記憶されている判定情報ごとに所定の表示態様の保留図柄を表示させる保留表示制御手段」としての機能を有する。

H-1、H-2 刊行物1発明の構成(h-1)における、「現在の遊技状態が通常状態、時短状態であり非確変状態、または確変状態であり時短状態であれば、入賞時判定結果に基づいて」「「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を開始するとき」の「プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示」について、「プッシュボタン120の操作を検出したことにもとづいてボタン保留表示を特殊保留表示(例えば、「熱」などの文字を含む丸形表示)に変更させ、このような態様にかぎらず、星形表示や金色表示、ハート形表示など複数種類の態様の演出を実行可能に構成し、いずれかの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度(信頼度)を異ならせる」ことは、保留表示を、ボタン保留表示から、プッシュボタン120の操作を検出したことに基づいて、大当りに対する期待度(信頼度)が異なる表示態様に変更するものである。
そうすると、刊行物1発明の上記「ボタン保留表示」と、本件補正発明の「示唆表示態様」とは、「前記通常遊技状態で遊技が制御されているとき、前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様に変更される可能性がある」点で共通する。
ただし、本件補正発明の「示唆表示態様」は、「特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する」のに対して、刊行物1発明の上記「ボタン保留表示」は、大当りに対する期待度の高いことを示唆する態様に変更される可能性を示唆するのではない点で相違する。

次に、刊行物1発明における構成(h-2)の「遊技状態が通常状態であるときは、通常時大当り判定テーブルを使用して大当りの判定の処理を行い、「通常大当り」とすることに決定された場合には、大当り遊技を終了する処理において、遊技状態を時短状態であり非確変状態に移行するときに時短フラグがセットされ、大当り遊技終了後、所定回数の変動表示を終了したときにリセットされるものであ」ることについて検討する。
刊行物1発明における上記「時短状態であり非確変状態」について、大当り遊技を終了する処理においてセットされ、遊技状態を時短状態に移行するときに時短フラグがセットされ、大当り遊技終了後、所定回数の変動表示を終了したときにリセットされることから、上記「時短状態であり非確変状態」は所定の期間にわたり設定されるといえる。
したがって、上記「遊技状態が通常状態であるとき」、「「通常大当り」とすることに決定された場合」、「大当り遊技を終了する処理において移行する時短状態であり非確変状態」は、本件補正発明の「通常遊技状態で遊技制御されているときであって」、「所定条件が成立することによって」、「設定される第1の期間」に相当する。

さらに、刊行物1発明の「通常状態時の先読み予告振分テーブルAを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定」する「通常状態」と、「確変/時短状態時の先読み予告振分テーブルBを用いて、「保留球変化」の演出態様の先読み予告演出を実行することに決定」する「時短状態であり非確変状態」について検討する。
刊行物1発明における「通常状態」は、刊行物1発明の構成(f)において「遊技状態が非確変状態(通常状態や時短状態)」とあるように、非確変状態であり、かつ「時短状態であり非確変状態」とは異なる状態であるから、該「通常状態」は、本件補正発明における「通常遊技状態で遊技が制御されているときであって第1の期間とは異なる第2の期間」に相当する。
そうすると、刊行物1発明における構成(h-2)と本件補正発明の構成(H’-2)とは、
「前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様で表示させる確率と、前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様で表示させる確率とを異ならせた」点で共通する。
一方、本件補正発明の「示唆表示態様」は、「特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する」のに対して、刊行物1発明の「ボタン保留表示」は、大当りに対する期待度の高いことを示唆する態様に変更される可能性を示唆するのではない点で相違する。

I 刊行物1発明における「遊技機」は本件補正発明の構成(I)の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本件補正発明と刊行物1発明は以下の点で一致する。

(一致点)
「(A) 始動条件の成立により判定情報を取得する取得手段と、
(B) 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
(C) 前記判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
(D) 前記取得手段により取得された判定情報を所定数まで記憶可能な記憶手段と、
(E’) 前記記憶手段に記憶されている判定情報が前記判定手段に判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
(F’) 前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態と前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態の何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段と、
(G) 前記記憶手段に記憶されている判定情報ごとに所定の表示態様の保留図柄を表示させる保留表示制御手段とを備え、
(H) 前記保留表示制御手段は、
(H’’-1) 前記通常遊技状態で遊技が制御されているとき、前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、前記特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様に変更される可能性がある表示態様で表示させることが可能であり、
(H’’-2) 前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を前記特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様に変更される可能性がある表示態様で表示させる確率と、前記通常遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を前記特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様に変更される可能性がある表示態様で表示させる確率とを異ならせた、
(I) ことを特徴とする遊技機。」

一方、両者は以下の点で相違する。

(相違点)
上記(H’’-1)、(H’’-2)における「保留図柄を特別遊技が行われる期待度が異なる表示態様に変更される可能性がある表示態様で表示させる」ことに関して、
本件補正発明の構成(H’-1)、(H’-2)における「示唆表示態様」は、大当りに対する期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する表示態様であるのに対して、刊行物1発明の構成(h-1)、(h-2)における「ボタン保留表示態様」は、大当りに対する期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する表示態様であることについては特定されていない点。

(3)相違点に対する判断
刊行物1発明の構成(h-1)において、プッシュボタン120の操作を促す態様のボタン保留表示が表示されているときに、プッシュボタン120の操作が検出された場合にはボタン保留表示を特殊保留表示に変更させ、このような態様に限らず複数種類の態様の演出を実行可能にすることは、該「ボタン保留表示」が本件補正発明の「示唆表示態様」として機能することを示唆するといえる。
また、保留示唆演出により高い演出効果をもたらし、遊技の興趣を向上させるために、事前判定による判定結果に基づいて、保留図柄を大当りに対する期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様として表示することは、遊技機における保留図柄の表示態様として周知の技術である。
(例えば、特開2012-200575号公報には、【0007】「本発明は、保留示唆演出によって高い演出効果をもたらすことが可能な遊技機の提供を目的とする。」、【0237】「・・・各記憶部に対応する保留表示画像は、通常、白色の「○」によって表示されている。・・・このとき、保留示唆演出を実行する決定がなされたとする。」、【0241】「保留示唆演出は、対象保留の特別図柄(大当たりの抽選結果)に係る事前判定情報・・・に基づいて、保留表示画像45の表示態様を変化させる演出である。」【0244】「・・・保留示唆演出を実行する決定がなされた場合には、大当たりの期待度が高い保留が含まれているか否かに拘わらず、その時点で表示されている全ての保留表示画像45が、前兆保留表示態様である「爆弾」に変化する。また、このとき、同時に、保留示唆演出の実行対象である対象保留ごとに、保留示唆演出が開始されるまでの時間が決定され、その時間が対象保留ごとにカウントダウン表示される。そして、表示時間が「0」になったところで、保留表示画像45の表示態様が決定され、当該決定された態様で保留表示画像45が表示されることにより、保留示唆演出が行われることとなる。」、【0251】?【0252】「・・・表示態様「白」は、保留表示画像45を白色で表示することを示し、表示態様「青」は、保留表示画像45を青色で表示することを示し、表示態様「黄」は、保留表示画像45を黄色で表示することを示し、表示態様「赤」は、保留表示画像45を赤色で表示することを示し、表示態様「キャラクター」は、保留表示画像45をキャラクターで表示することを示している。・・・各表示態様が決定される確率を図示のように設定したので、大当たりの期待度は、「白」→「青」→「黄」→「赤」→「キャラクター」の順で高くなる。」と記載されており、事前判定情報に基づいて、白色の「○」で表示される保留表示画像が大当たりの期待度が高いことを示唆する表示態様に変更される可能性がある前兆保留表示態様(上記「示唆表示態様」に相当する)を表示することが示されている。
また、特開2013-116317号公報には、【0003】「また、近年の弾球遊技機では、保留記憶された乱数が特定の値(大当りとなる値や、演出図柄の変動表示でリーチとなる値)であるか否かを事前に確認し、確認結果に基づき、該保留記憶についての大当り抽選の前に対応する保留図柄を変化させることで、大当りへの期待感を与える演出(保留予告)が行われる場合がある。」、【0172】「以下では、このような保留図柄を用いて行われる保留予告演出,変化演出,段階演出の内容や発生確率等について説明する。」、【0189】「(c)段階演出について」、【0196】「図20に記載の表は、段階演出A?Dの発生確率を示している。該表における「段階演出」は、段階演出A?Dの態様を示す項目となっている。また、該表における「出現率」における「維持」は、変化演出が行われない場合を意味する。また、「1段昇格」,「2段昇格」は、昇格となる変化演出において、保留図柄の信頼度の順位が、それぞれ、1段階或いは2段階上昇する変化パターンを示し、「1段降格」,「2段降格」は、降格となる変化演出において、保留図柄の信頼度の順位が、それぞれ、1段階或いは2段階低下する変化パターンを示している。」、【0198】「なお、該表が示すように、段階演出Aでは雨降りを示す画像が表示されると共に、段階演出Bでは風が吹く様子を示す画像が表示される。また、段階演出Cでは消火器により消火される様子が表示されると共に、段階演出Dでは薪が表示される。」、【0200】「変化演出が行われた場合には必ず昇格あるいは降格となる段階演出を設けることができ、遊技の興趣を高めることができる」、【0202】?【0209】「(9)変化演出や段階演出の具体例について・・・保留図柄802(特別保留図柄1)が表示される・・・演出図柄の変動表示が開始されると、保留図柄802について段階演出B810が行われるが、変化演出は行われず、保留図柄802の種類は変化することなくそのまま維持される(図21(d)?(f)参照)。・・・保留図柄822(特別保留図柄2)が表示される・・・演出図柄の変動表示が開始されると、保留図柄822について段階演出A830が行われ(図23(d)参照)、その後、保留図柄822が、特別保留図柄2から特別保留図柄1に変化する降格となる変化演出が行われる・・・変化演出が行われた保留記憶に関して、変動開始コマンドと、変化演出が昇格であるか降格であるかとにより、擬似演出の態様を決定しても良い」、【0231】「遊技者は、必ず降格となる段階演出Cが発生しないで欲しいという願いを持つと共に、維持,昇格,降格の可能性がある段階演出A,Bが発生した場合には、降格が生じないで欲しいという願いを持って遊技を行うようになり、より一層、遊技者を遊技に熱中させることができる。」と記載されており、事前判定結果に基づき、保留図柄を変化させる演出であって、保留図柄を用いて行われる変化演出、段階演出において、保留図柄が表示されているときに、保留図柄について画像を表示する段階演出(「保留図柄」と、「保留図柄」についての「段階演出の画像」が上記「示唆表示態様」に相当する)がおこなわれ、その後保留図柄の変化演出を行う場合に保留図柄の信頼度の順位が上昇する場合があるといえる。)
また、刊行物1発明は、保留図柄の表示態様を、複数種類の態様に変更させ、いずれの演出態様であるかに応じて大当りに対する期待度を異ならせ、興趣の向上を図るという技術的課題があることは明らかであり、周知の技術と共通の目的を有するものといえ、刊行物1発明に上記周知の技術を適用する動機付けはあるものといえる。
そうすると、刊行物1発明における保留図柄の表示態様として、上記周知の技術を適用し、上記相違点の構成に到ることは当業者ならば容易になし得たものである。
また、本件補正発明の効果は、刊行物1発明、及び上記周知の技術から予測される効果の範囲内のものにすぎず、格別なものではない。

(4)小括
上記(1)?(3)より、本件補正発明は、刊行物1発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)審判請求人の主張について
審判請求人は平成30年3月19日付け審判請求書の「【本願発明が特許されるべき理由】」の「(3-5) 本発明と引用文献との対比について」において、以下のとおり主張している。

「(1)本発明の特徴について
本発明は、「特定遊技状態では大当り当選確率が高確率に設定されるから遊技者の遊技意欲を高めることができるが、通常遊技状態では大当り当選確率が低確率に設定されるから遊技者の遊技意欲を高め難い」という課題を解決するために、
構成(H-2)に示す、
通常遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において保留図柄を特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様で表示させる確率と、通常遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率とを異ならせた、ことを特徴的技術構成とする。
通常遊技状態において保留図柄を示唆表示態様で表示させる確率を一定に設定した場合には遊技者の遊技意欲を高めることができないが、この特徴的技術構成を備えたので、例えば、通常遊技状態における所定条件が成立することによって設定される第1の期間及び第1の期間とは異なる第2の期間の何れか一方の期間を他方の期間よりも保留図柄を示唆表示態様で表示させる確率を高く設定した場合に、その一方の期間において複数の保留図柄の各々を示唆表示態様で表示することで遊技者に大当り当選への期待を持たせる機会(事前判定結果を知り得る機会)をできるたけ多く与えることができ、他方の期間においては、保留図柄が示唆表示態様で表示される割合が高い期間に突入することを期待しながら遊技を行うことができるから、通常遊技状態でも遊技者の遊技意欲を高めることができる。
(2)引用文献について
引用文献1においては、通常状態時における入賞時判定結果が非リーチハズレの場合に保留球変化による先読み予告を実行する割合と、確変/時短状態時における入賞時判定結果が非リーチハズレの場合に保留球変化による先読み予告を実行する割合とが異なることが記載され、通常状態時において、所定条件が成立することによって設定される第1の期間と、第1の期間とは異なる第2の期間とで、前記先読み予告を実行する割合が異なることについては開示されていない。それ故、引用文献1の技術は、本発明の特徴的技術構成(H-2)を備えていない。
ここで、引用文献1の「大当り遊技状態」が、補正前の請求項1に記載の「第2の遊技状態」であると認定されているが、今回の補正により、本発明の「特定遊技状態」は、「大当り遊技状態」でないことは明らかである。
引用文献1においては、段落[0362]及び図39(A)の先読み予告振分テーブAの記載から、通常状態時における入賞時判定結果(非リーチハズレ、スーパーリーチハズレ、スーパーリーチ大当り)に基づいて先読み予告の演出態様を決定する割り振りが設定され、通常状態時における第1の期間と第1の期間とは異なる第2の期間とで先読み予告の演出態様を決定する割り振りが設定されていない。
引用文献1において、大当り当選確率が低確率状態となる通常状態時での遊技者の遊技意欲を高めるために、例えば、通常状態時において操作手段の操作が有効となる条件が成立すると、その操作有効期間を長い期間設定すると共に、その操作有効期間中に表示される複数の保留球の各々を当り/ハズレの入賞時判定結果にかかわらず変化させる割合を高くすることを想定して先読み予告を実行するか否かの割り振りを設定していない。
そのため、引用文献1においては、「確変状態時は、大当り当選確率が高確率に設定されるため遊技意欲を高めることができるが、通常状態時は、大当り当選確率が低確率に設定されるから遊技意欲を高め難いため、通常状態時における所定条件が成立する期間において大当り当選への期待を持たせる機会(入賞時判定結果を知り得る機会)をできるだけ多く与える」という発明思想は存在しない。それ故、引用文献1からは、「通常状態時において、所定条件が成立することによって設定される第1の期間と、第1の期間とは異なる第2の期間とで、保留球変化による先読み予告を実行する割合を異ならせる」という技術構成は、当業者の通常の創作能力の発揮として設計上当然に行うことができるとは言えない。」

しかしながら、上記(2)のH-2において判断したとおり、刊行物1発明の構成(h-2)は本件補正発明の「通常状態時において、所定条件が成立することによって設定される第1の期間と、第1の期間とは異なる第2の期間とで、前記先読み予告を実行する割合が異なる」構成(H’-2)を備えていることから、刊行物1発明においても、本件補正発明同様に「確変状態時は、大当り当選確率が高確率に設定されるため遊技意欲を高めることができるが、通常状態時は、大当り当選確率が低確率に設定されるから遊技意欲を高め難いため、通常状態時における所定条件が成立する期間において大当り当選への期待を持たせる機会(入賞時判定結果を知り得る機会)をできるだけ多く与える」という発明思想を有することは明らかである。

よって、審判請求人の主張は採用できない。

4.むすび
上記1?3より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成29年2月9日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。

「【請求項1】
(A) 始動条件の成立により判定情報を取得する取得手段と、
(B) 前記取得手段により取得された判定情報に基づいて、遊技者に有利な特別遊技を行うか否かを判定する判定手段と、
(C) 前記判定手段による判定結果に基づいて、当該判定結果を示唆する示唆演出を行わせる示唆演出制御手段と、
(D) 前記取得手段により取得された判定情報を所定数まで記憶可能な記憶手段と、
(E) 前記判定情報に基づいて、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段と、
(F) 第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちの何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段と、
(G) 前記記憶手段に記憶されている判定情報ごとに所定の表示態様の保留図柄を表示させる保留表示制御手段とを備え、
(H) 前記保留表示制御手段は、
(H-1) 前記事前判定手段による判定結果に基づいて、前記保留図柄を、前記特別遊技が行われる期待度が高いことを示唆する高期待度表示態様に変更される可能性があることを示唆する示唆表示態様で表示させることが可能であり、
(H-2) 前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって所定条件が成立することによって設定される第1の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率と、前記第1の遊技状態で遊技が制御されているときであって前記第1の期間とは異なる第2の期間において前記保留図柄を前記示唆表示態様で表示させる確率とを異ならせた、
(I) ことを特徴とする遊技機。」

2.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願請求項1に係る発明は、引用文献1である特開2013-141586号公報(刊行物1)に記載された発明であり特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない、または、引用文献1に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.刊行物1の記載及び刊行物1発明
刊行物1に記載されている、刊行物1発明の認定は上記「第2 平成30年3月19日付けの手続補正についての補正の却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2.に記載した補正事項である、
(1)発明特定事項(E’)の「前記記憶手段に記憶されている判定情報が前記判定手段に判定される前に、前記特別遊技を行うか否かを事前に判定する事前判定手段」から、判定情報が「記憶手段に記憶されている」という事項、「前記判定手段に判定される前に」という事項を削除し、
(2)発明特定事項(F’)の「前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる通常遊技状態と前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる特定遊技状態の何れかで遊技を制御する遊技状態制御手段」について、「通常遊技状態」から「前記判定手段により前記特別遊技を行うと判定される確率が所定の確率に設定される低確率状態となる」という限定を削除して「第1の遊技状態」とし、「特定遊技状態」から「前記所定の確率よりも高確率に設定される高確率状態となる」という限定を削除して「第2の遊技状態」とし、「通常遊技状態と特定遊技状態」という、2つの状態の何れかで遊技を制御するという限定を削除して「第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態」とすることで、第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態のうちの何れかで遊技状態を制御するとし、
(3)発明特定事項(H’-1)について、「前記通常遊技状態で遊技が制御されている」という限定を削除し、
(4)発明特定事項(H’-2)について、発明特定事項(F’)における「通常遊技状態」を「第1の遊技状態」と補正したことと整合するように、「通常遊技状態」を「第1の遊技状態」とした
ものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3.に記載したとおり、(2)の(相違点)において相違するものの、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないことから、本願発明も、刊行物1発明とは上記(相違点)において相違するものの、前記第2の3.(3)で示した判断と同様に、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2019-08-23 
結審通知日 2019-08-27 
審決日 2019-09-11 
出願番号 特願2015-252910(P2015-252910)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 孝徳藤澤 和浩手塚 毅  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 木村 隆一
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 岡村 俊雄  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ