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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A61K
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A61K
審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1356821
異議申立番号 異議2018-700704  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-30 
確定日 2019-10-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6322053号発明「水中油型乳化皮膚化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6322053号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。 特許第6322053号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 特許第6322053号の請求項11に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6322053号の請求項1ないし11に係る特許(以下、「本件特許」ということがある。)についての出願は、平成26年6月5日に出願され、平成30年4月13日にその特許権の設定登録がされ、同年5月9日に特許掲載公報が発行された。その後の手続は以下のとおりである。
平成30年 8月30日 特許異議申立人 大藪 朋子(以下、「申立 人」という。)より特許異議の申立て
平成31年 1月15日 取消理由通知
同年 3月25日 特許権者より意見書の提出及び訂正の請求
令和 1年 5月16日 申立人より意見書の提出

第2 訂正請求について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
特許権者が平成31年3月25日付け訂正請求書により請求する訂正は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?11について訂正することを求めるものである。
その請求の内容は、請求項1?11からなる一群の請求項に係る訂正であって、以下のとおりのものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、「乳化粒子の数平均粒子径が1.0?3.0μm」と記載されているのを、「乳化粒子の数平均粒子径が1.5?2.5μm」と訂正する。請求項1を引用する請求項2?10も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項11を削除する。

2 訂正の適否
(1)訂正事項1について
(ア)訂正の目的
訂正事項1は、訂正前の請求項1における「乳化粒子の数平均粒子径が1.0?3.0μm」と記載されているのを、「乳化粒子の数平均粒子径が1.5?2.5μm」と訂正することにより、乳化粒子の数平均粒子径をより限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
請求項1を引用する請求項2?10も、当該訂正により、乳化粒子の数平均粒子径をより限定するものであるから、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

(イ)新規事項の追加の有無
訂正事項1は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明、例えば【0045】の「乳化粒子の数平均粒子径が1.0?3.0μmであり、1.5?2.5μmであるのが好ましい。」なる記載から導き出される事項であるから、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。

(ウ)特許請求の範囲の実質拡張・変更の有無
訂正事項1は、乳化粒子の数平均粒子径という発明特定事項の範囲をより限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第9項において準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項11を削除するというものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、訂正事項2に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことが明らかであるから、特許法第20条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)訂正請求についての結論
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-11〕について訂正することを認める。

第3 本件特許発明
特許第6322053号の請求項1?10の特許に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(以下、特許第6322053号の請求項1?10の特許に係る発明を、その請求項に付された番号順に、「本件特許発明1」等ということがある。また、これらをまとめて「本件特許発明」ということがある。)。
なお請求項11は削除された。

「【請求項1】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)25℃で液状の油剤 1?10質量%、
(B)25℃で固体状又は半固体状の油剤 1?6質量%、
(C)炭素数12?22の直鎖アルコール 0.7?3.5質量%、
(D)イオン性界面活性剤及び/又はHLB12.5?15の非イオン界面活性剤 0.2?1質量%、
(E)水
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が、0.3?1.0であり、乳化粒子の数平均粒子径が1.5?2.5μmである水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項2】
皮膚化粧料中の粉体の含有量が2質量%以下である請求項1記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項3】
成分(A)がエステル油であり、成分(B)が炭化水素油である請求項1又は2記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項4】
成分(B)が、融点65?110℃の油剤である請求項1?3のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項5】
さらに、(F)屈折率1.46?1.55の水溶性溶剤を0.5?3質量%含有する請求項1?4のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項6】
さらに、(G)セラミド及びセラミド類似化合物から選ばれる化合物を1?3質量%含有する請求項1?5のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項7】
成分(D)が、カチオン界面活性剤と非イオン界面活性剤との組み合わせである請求項1?6のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項8】
成分(D)のイオン性界面活性剤が、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1?7のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項9】
成分(D)の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上である請求項1?8のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項10】
請求項1?9のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料を皮膚に塗布し、皮膚の見え方を調整する方法。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の要旨
(1)取消理由1(新規性)本件特許発明1?4及び10は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(2)取消理由2(進歩性)本件特許発明1?5及び10は、甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
また、本件特許発明6、9及び10は、甲第1号証に記載された発明及び文献Aに記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(3)取消理由3(サポート要件)本件特許発明1?4、10に係る特許は、甲第1号証の比較例9に係る記載をふまえると、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

(4)取消理由4(実施可能要件)本件特許発明11に係る特許は、甲第12号証?甲第16第号証に係る記載をふまえると、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。

2 取消理由通知で引用した証拠
・甲第1号証 特開2009-102281号公報(以下、「甲1」ともいう。)
・甲第5号証 色材、77[10]、p.462-469(2004年)(以下、「甲5」ともいう。)
・甲第6号証 油化学、第18巻第9号(1969)p.521-529(以下、「甲6」ともいう。)
・甲第7号証 特開2006-327952号公報(以下、「甲7」ともいう。)
・甲第12号証 職場のあんぜんサイトにおける「ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリドの安全データシート」、インターネット、
[URL: http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/107-64-2.html]
(以下、「甲12」ともいう。)
・甲第13号証 Chemical Bookにおける「ラウリン酸ナトリウム製品概要」、インターネット、
[URL:https://www.chemicalbook.com/ProductChemicalPropertiesCB7169261_JP.htm]
(以下、「甲13」ともいう。)
・甲第14号証 Chemical Bookにける「ドデシル硫酸ナトリウム製品概要」、インターネット、
[URL:https://www.chemicalbook.com/ProductChemicalPropertiesCB2147453_JP.htm]
(以下、「甲14」ともいう。)
・甲第16号証 サンケミカル社における「酸化チタンの製品安全データシート」、インターネット、
[URL: http://www.sun-chemical.co.jp/pdf/b/ghsmsds2.pdf]
(以下、「甲16」ともいう。)
(甲12?甲14、及び甲16については、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったものであることの確認を行っていないが、化学物質が元来有する物理化学的性状である融点を示すものとして参照することとした。)
・文献A 関根 茂 代表、田村博明 外5名編「新化粧品ハンドブック」(日光ケミカルズ株式会社 外4発行)平成18年10月30日、p.503-517
・文献B 藤本 武彦 著「全訂版 新・界面活性剤入門」(三洋化成工業株式会社発行)1992年8月 第3刷発行、p.81-84

3 取消理由通知で引用した証拠の記載事項
甲1、甲5?7、甲12?14、甲16、文献A、及び文献Bには、それぞれ以下の記載がある。
(1)甲1
(1-1)
「【0069】
[実施例3?7および比較例8?11]
また、下記表3に示す処方で、水中油型乳化組成物であるスキンクリームを下記方法により製造した。
(実施例3?7の製法)
高剪断乳化装置(BERENTS社製BECOMIX RW2.5)を用いて、(1)?(9)を均一溶解した水相を60℃に加温した(水相)。次いで、別の釜に用意した(10)?(22)を60℃で均一溶解した油相を調製する。先の60℃に加温した水相に60℃の油相を添加して、高剪断乳化装置(BERENTS社製BECOMIX RW2.5)で周速20m/sにて3分間乳化した。乳化粒子径が平均1μm以下となっていることを確認したら、(23)を添加して、そのまま35℃まで周速2m/sで攪拌しながら冷却し、目的のスキンクリームを得た。
【0070】
(比較例8?11の製法)
(1)?(9)を均一溶解した水相を70℃に加温する(水相)。次いで、別の釜に用意した(10)?(22)を70℃で均一溶解した油相を調製した。先の70℃に加温した水相に60℃の油相を添加して、ホモミキサー(プライミクス社製 T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型)を用いて、9000回転で3分間乳化する。乳化粒子径を確認したら、(23)を添加して、熱交換機で35℃まで冷却して目的のスキンクリームを得た。
【0071】
評価は、上述した表1の方法と同様の方法により行った。
【表3】


*7;商品名:Sepigel 305(有効分40%),SEPIC社製
*8;商品名:PEMULEN TR-2、NOVEON社製
*9;商品名:EMALEX GMS-8C,日本エマルジョン株式会社製
*10;商品名:NIKKOL BB-20,日光ケミカルズ株式会社製
【0072】
前記表3から明らかなように、本発明品である実施例3?7は、安定性に優れ、肌へののび、べたつき、さっぱりさ、みずみずしさ、浸透感、肌改善効果といった使用性に優れるものである。さらに、同じ処方系である実施例3?6により、油相におけるシリコーン類の比率が高まるにつれ、45℃での粘度が高くなっている。すなわち、25℃付近の常温領域で肌へののびがよい硬度でありながらも、45℃での粘度もクリームとして安定したものとなっていることが分かった。
また、比較例10は、実施例4と全く同じ配合成分であり、水溶性増粘剤の配合量も同じであるため安定性に優れている。しかしながら、比較例10は本発明品に用いる高剪断力乳化機に比較し剪断力に劣るホモミキサーで調製しているため、硬度及び粘度が高く、乳化粒子径も大きく、使用性の評価は低いものであった。さらに、比較例10より増粘剤のポリアクリルアミドを0.3質量%と少なく配合し、乳化剤のPOE(20)ベヘニルエーテルを0.7質量%と多く配合した比較例9においても、ホモミキサーで調製しているため、硬度及び粘度が高く、乳化粒子径も大きいものであり、みずみずしい使用性は改善されたものの、肌へののびやべたつきのなさに劣っているものであった。
そして、ポリアクリルアミドを比較例10より0.3質量%と少なく配合した比較例4においては、使用性については改善されたものの、安定性に劣るものとなった。
【0073】
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体とPOE(20)ベヘニルエーテルを乳化剤として用いている実施例7と比較例11は、製造機に本発明品に用いる高剪断力乳化機と、剪断力に劣るホモミキサーによる違いがある。比較例11は、乳化剤のアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が0.1%の配合量である実施例11に対し、0.2%であるにもかかわらず、平均乳化粒子径が5?20μmであり、肌へののび、べたつきのなさ、さっぱりさ、みずみずしさといった使用性に劣るものであることが明らかとなった。
【0074】
以上により、水溶性増粘剤をあえて多く配合し、高剪断乳化装置を用いることにより水溶製増粘剤を剪断し、さらに乳化粒子径を微小なものにする本発明品である実施例2?6は、安定性を有し、かつ使用性に優れた水中油型乳化組成物を得られることが明らかとなった。」

(1-2)
「【0050】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量は特に断りのない限り質量%で示す。」

(1-3)
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の事情に鑑みなされたものであり、その目的は、高い肌改善効果を有しながらも、肌へののびが軽く、べたつかず、みずみずしくさっぱりとし、浸透感に優れた使用性であり、かつ安定性にも優れた水中油型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために本発明者等が鋭意検討した結果、あえて多くの水溶性増粘剤を添加し、好適な硬度及び粘度を示し、乳化粒子径が平均1μm以下である水中油型乳化化粧料を高剪断乳化装置を用いて調製することにより、高い肌改善効果を有しながらものびが軽く、皮膚へのなじみもよく、みずみずしくてさっぱりとした水中油型の乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(1-4)
「【0044】
多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール,エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。」

(1-5)
「【0024】
(C)乳化剤は以下のものが例示され、単独あるいは任意の組み合わせにより用いられる。ただし、これらに限定されるものではない。
・・・
【0029】
POE(20)ヒマシ油(HLB10.5)、POE(40)ヒマシ油(HLB12.5)、POE(50)ヒマシ油(HLB14.0)、POE(60)ヒマシ油(HLB14.0)、POE(20)硬化ヒマシ油(HLB10.5)、POE(30)硬化ヒマシ油(HLB11.0)、POE(40)硬化ヒマシ油(HLB13.5)、POE(60)硬化ヒマシ油(HLB14.0)、POE(80)硬化ヒマシ油(HLB16.5)、POE(40)硬化ヒマシ油(100)硬化ヒマシ油(HLB16.5)等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類。
・・・
【0031】
POE(2)ラウリルエーテル(HLB9.5)、POE(4.2)ラウリルエーテル(HLB11.5)、POE(9)ラウリルエーテル(HLB14.5)、POE(5.5)セチルエーテル(HLB10.5)、POE(7)セチルエーテル(HLB11.5)、POE(10)セチルエーテル(HLB13.5)、POE(15)セチルエーテル(HLB15.5)、POE(20)セチルエーテル(HLB17.0)、POE(23)セチルエーテル(HLB18.0)、POE(4)ステアリルエーテル(HLB9.0)、POE(20)ステアリルエーテル(HLB18.0)、POE(7)オレイルエーテル(HLB10.5)、POE(10)オレイルエーテル(HLB14.5)、POE(15)オレイルエーテル(HLB16.0)、POE(20)オレイルエーテル(HLB17.0)、POE(50)オレイルエーテル(HLB18.0)、POE(10)ベヘニルエーテル(HLB10.0)、POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5)、POE(30)ベヘニルエーテル(HLB18.0)、POE(2)(C12-15)アルキルエーテル(HLB9.0)、POE(4)(C12-15)アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(10)(C12-15)アルキルエーテル(HLB15.5)、POE(5)2級アルキルエーテル(HLB10.5)、POE(7)2級アルキルエーテル(HLB12.0)、POE(9)アルキルエーテル(HLB13.5)、POE(12)アルキルエーテル(HLB14.5)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類。」

(1-6)
「【0013】
以下、本発明について詳述する。
・・・
【0017】
(2)乳化粒子径は平均1μm以下であることが好ましい。粒子径が1μmを超えると、高温度ではクリーミングを生じる恐れがある。なお、本発明において平均粒子径は、システム工業顕微鏡BX51(オリンパス株式会社製)によって、倍率400倍で観察したものである。
【0018】
通常、水中油型乳化化粧料を調製する際に使用されるホモミキサーを用いても、平均乳化粒子径1μmとするのは困難である。したがって、本発明品の平均乳化粒子径1μm以下とするには高剪断力を有するものが必要である。本発明品を得るのに好適な乳化機は、BECOMIX RW(A.Berents Gmbh&Co.Kg)やTETRA ALMIX(Tetra Pak.com)等が挙げられる。
【0019】
本発明は、上記の高剪断力を有する乳化機を用いることによって、安定性に問題を生じない十分な量の水溶性増粘剤を配合し、強力な剪断力によりみずみずしい使用性を得ることができる。すなわち、安定性確保に十分な量の水溶性増粘剤に強力な剪断をかけることによってみずみずしさを得ることができ、さらに、乳化粒子径を平均1μm以下という微細なものとすることによって、高温側での安定性を確保することができる。」

(2)甲5
(5-1)p.29左欄下から第2行?同ページ右欄第2行
「(3)Nascent-soap法(発生期法):脂肪酸石けんを乳化剤とする場合、脂肪酸を油相にアルカリを水相に加えておき、乳化時に油/水界面に石けんを生成させる方法である。比較的古典的な処方系に応用された乳化法であるが、乳化力は強い。」

(3)甲6
(6-1)p.523左欄下から第12行?同ページ右欄第1行
「さっぱりとした使用感を目的とするので乳化はおもに発生機法のセッケン乳化による場合が多い。すなわち水相に水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを添加し、油相との混合時、油相中のステアリン酸をケン化し、生成した酸性セッケンによって乳化を行わせる。乳化は比較的容易に行われる・・・非イオン乳化剤のみでも親水性クリームは作れるが、使用感が重くなりやすいので、セッケン乳化と併用される場合が多い。」

(4)甲7
(7-1)
「【請求項6】
中和することでアニオン性の界面活性を発現する化合物を含む油相と、水相とを、アニオン性の界面活性が発現しない酸性条件下にて混合し乳化した後、中和剤を加えてアニオン性の界面活性を発現させることを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。
・・・
【請求項8】
請求項6又は7に記載の製造方法において、中和剤が、アルカリ金属類の水酸化物及び塩基性窒素含有化合物からなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法。」

(7-2)
「【0009】
本発明において、アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N-アシルグルタミン酸塩、アシルタウリン塩、アシルアルキルタウリン塩、高級アルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、N-アシルサルコシン酸塩、高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル塩、スルホコハク酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
特に、皮膚に対する安全性の高い、N-アシルグルタミン酸塩やアシルアルキルタウリン塩であることが好ましい。
【0010】
また、これらのアニオン性界面活性剤は、界面活性の発現しない未中和状態で油相に配合しておき、乳化後に中和剤により中和することもできる。界面活性の発現しない未中和状態とは、例えば、N-アシルグルタミン酸、アシルアルキルタウリン、アシルタウリン等として油相に溶解する状態である。
中和剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属類の水酸化物・・・が使用できる。これらの中和剤は一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。」

(5)甲12
(12-1)
「安全データシート
ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド
・・・
別名 ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド
・・・
融点・凝固点 149-151℃:Chapman(2008)
・・・」

(6)甲13
(13-1)
「ラウリン酸ナトリウム
・・・
ラウリン酸ナトリウム 物理性質
融点 310℃
・・・」

(7)甲14
(14-1)
「ドデシル硫酸ナトリウム
・・・
ドデシル硫酸ナトリウム・・・物理性質
融点 204-207℃(lit.)
・・・」

(8)甲16
(16-1)
「製品安全データシート
酸化チタン
・・・
融点/凝固点 1830-1850℃
・・・」

(9)文献A
(A-1)p.506右欄下から第9行?p.513右欄第4行
「3.肌荒れ防止のための成分
肌荒れ防止や改善のための化粧品成分は非常に多く、それぞれ目的に応じて組み合わされて使用されている。・・・ここでは、機能面から、保湿剤、細胞間脂質およびその類似脂質、ビタミン類、そのほかの成分に分類し、それぞれ代表的な成分について記述する。

3・1 保湿剤
・・・

3・2 細胞間脂質およびその類似脂質
化粧品に使用されている油性成分としては、動物性油脂、炭化水素、エステル類、シリコーン、フッ素油のほか、皮脂成分や細胞間脂質の類似物質など非常に多岐にわたっている。油性成分は、肌荒れにより不足した油分を皮膚に補給し、皮膚本来の水分蒸散に対する防御機能を補い、皮膚の正常化と肌荒れの進行防止のために使用されている。ここでは、その中で注目されている細胞間脂質およびその類似物質について、つぎに記述する。・・・

(1)スフィンゴ脂質(Sphingolipid)
・・・

(2)セラミド(Ceramide)
セラミドは、基底層から角層に細胞が移行する際に、セレブロシドがセレブロシダーゼとよばれる酵素により変性を受けることにより生成され、角層に蓄積される。セラミドは、細胞間脂質の重要な成分であり、角層のバリアー機能、すなわち水分保持に深くかかわっている。・・・
化粧品に使用されているセラミドとしては、酵母を利用して生成したセラミド、化学合成による疑似セラミド、植物から得られたセラミドなどがある。
これらのうち、酵母の利用による生成法では、ヒト皮膚に存在するセラミドとまったく同一の構造をもつセラミドが得られている。セラミド1、セラミド3、セラミド6について製造法が確立されているが、すべての系統のセラミドについて合成が可能とされている。この方法によって得られたセラミドの効果については、皮膚の水分保持力の増大、しわの減少、ラウリル硫酸ナトリウムで発生させた肌荒れ状態からの回復などが報告されている。
化学合成による疑似セラミドについては、アセトン・エタノール処理で皮脂および細胞間脂質を除去して人為的に作られた乾燥性皮膚に対しての改善効果が認められている。また、これを主成分としたラメラ構造を有する生体脂質類似化粧品と、その皮膚への効果が報告されている。」

(10)文献B
(B-1)p.82第11行?p.83第9行
「・・・卵黄中にあるレシチンは天然の両性界面活性剤であって、マヨネーズをつくるのになくてはならない身近な例であるということができよう。


レシチンはリン酸エステル塩型のアニオン部分と第4級アンモニウム塩型のカチオン部分をもつ両性界面活性剤である。分子中に疎水基が2つもあるので水にはほとんど溶けないけれども、油の乳化などには大いにその界面活性を発揮する。
両性界面活性剤には、実用化されている種類こそ少ないが、原理的にはたくさんの種類が存在する。両性はアニオンとカチオンの組み合わせでできるのであるから、少なくともアニオンとカチオンの種類の数を掛け合わせただけは合成できるからなのである。」

(B-2)p.81下から第5行?p.82第3行
「広い意味で両性界面活性剤というときには、アニオン、カチオンおよび非イオン界面活性剤のうちのどれか2つの性質を同時に備えた、いわば、あいのこのすべてをさすのである。これらを全部書き上げてみると第2.4.1図に示すように3種類できることになる。
しかしながら、ふつうに両性界面活性剤というときにはとくにアニオンとカチオンとの組み合わせだけを意味するのである。言い換えれば、単に両性界面活性剤と書いてあるときには、疎水基にカチオン(+)とアニオン(-)の両方がくっついている界面活性剤[第2.4.1図の(1)]のことだと思ってよいわけである。



4 取消理由通知についての当審の判断
(1)取消理由1(新規性)について
(ア)甲1発明の認定
上記記載事項(1-1)?(1-2)の、特に実施例3?6および比較例9の記載より、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
実施例3に記載の
「(水相)
(1)イオン交換水 残余
(2)ポリアクリルアミド 0.5質量%
(5)グリセリン 3質量%
(6)1,3-ブチレングリコール 7質量%
(7)フェノキシエタノール 0.5質量%
(8)水添レシチン 0.1質量%
(9)エデト酸塩 0.05質量%
(油相)
(12)デカメチルシクロペンタシロキサン 9質量%
(13)ワセリン 2質量%
(14)セタノール 1.5質量%
(15)マイクロクリスタリンワックス 2質量%
(16)ステアリン酸 0.1質量%
(17)ベヘニン酸 0.1質量%
(18)オクトクリレン 0.1質量%
(19)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB7.0) 2質量%
(20)POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5) 0.5質量%
(21)トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1) 0.1質量%
(22)香料 0.1質量%
(その他)
(23)水酸化カリウム 0.2質量%
を含有し、平均乳化粒子径が1μmである水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」(以下、「甲1-3発明」という)、

実施例4に記載の
「(水相)
(1)イオン交換水 残余
(2)ポリアクリルアミド 0.5質量%
(5)グリセリン 3質量%
(6)1,3-ブチレングリコール 7質量%
(7)フェノキシエタノール 0.5質量%
(8)水添レシチン 0.1質量%
(9)エデト酸塩 0.05質量%
(油相)
(10)スクワラン 2質量%
(11)2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル 2質量%
(12)デカメチルシクロペンタシロキサン 5質量%
(13)ワセリン 2質量%
(14)セタノール 1.5質量%
(15)マイクロクリスタリンワックス 2質量%
(16)ステアリン酸 0.1質量%
(17)ベヘニン酸 0.1質量%
(18)オクトクリレン 0.1質量%
(19)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB7.0) 2質量%
(20)POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5) 0.5質量%
(21)トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1) 0.1質量%
(22)香料 0.1質量%
(その他)
(23)水酸化カリウム 0.2質量%
を含有し、平均乳化粒子径が1μmである水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」(以下、「甲1-4発明」という)、

実施例5に記載の
「(水相)
(1)イオン交換水 残余
(2)ポリアクリルアミド 0.5質量%
(5)グリセリン 3質量%
(6)1,3-ブチレングリコール 7質量%
(7)フェノキシエタノール 0.5質量%
(8)水添レシチン 0.1質量%
(9)エデト酸塩 0.05質量%
(油相)
(11)2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル 2質量%
(12)デカメチルシクロペンタシロキサン 7質量%
(13)ワセリン 2質量%
(14)セタノール 1.5質量%
(15)マイクロクリスタリンワックス 2質量%
(16)ステアリン酸 0.1質量%
(17)ベヘニン酸 0.1質量%
(18)オクトクリレン 0.1質量%
(19)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB7.0) 2質量%
(20)POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5) 0.5質量%
(21)トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1) 0.1質量%
(22)香料 0.1質量%
(その他)
(23)水酸化カリウム 0.2質量%
を含有し、平均乳化粒子径が1μmである水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」(以下、「甲1-5発明」という)、

実施例6に記載の
「(水相)
(1)イオン交換水 残余
(2)ポリアクリルアミド 0.5質量%
(5)グリセリン 3質量%
(6)1,3-ブチレングリコール 7質量%
(7)フェノキシエタノール 0.5質量%
(8)水添レシチン 0.1質量%
(9)エデト酸塩 0.05質量%
(油相)
(10)スクワラン 1質量%
(12)デカメチルシクロペンタシロキサン 7質量%
(13)ワセリン 2質量%
(14)セタノール 1.5質量%
(15)マイクロクリスタリンワックス 2質量%
(16)ステアリン酸 0.1質量%
(17)ベヘニン酸 0.1質量%
(18)オクトクリレン 0.1質量%
(19)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB7.0) 2質量%
(20)POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5) 0.5質量%
(21)トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1) 0.1質量%
(22)香料 0.1質量%
(その他)
(23)水酸化カリウム 0.2質量%
を含有し、平均乳化粒子径が1μmである水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」(以下、「甲1-6発明」という)、

比較例9に記載の
「(水相)
(1)イオン交換水 残余
(2)ポリアクリルアミド 0.3質量%
(5)グリセリン 3質量%
(6)1,3-ブチレングリコール 7質量%
(7)フェノキシエタノール 0.5質量%
(8)水添レシチン 0.1質量%
(9)エデト酸塩 0.05質量%
(油相)
(10)スクワラン 2質量%
(11)2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル 2質量%
(12)デカメチルシクロペンタシロキサン 5質量%
(13)ワセリン 2質量%
(14)セタノール 1.5質量%
(15)マイクロクリスタリンワックス 2質量%
(16)ステアリン酸 0.1質量%
(17)ベヘニン酸 0.1質量%
(18)オクトクリレン 0.1質量%
(19)自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB7.0) 2質量%
(20)POE(20)ベヘニルエーテル(HLB16.5) 0.7質量%
(21)トリステアリン酸ソルビタン(HLB2.1) 0.1質量%
(22)香料 0.1質量%
(その他)
(23)水酸化カリウム 0.2質量%
を含有し、平均乳化粒子径が3μmである水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」(以下、「甲1-9発明」という)。
なお、「甲1-3発明」、「甲1-4発明」、「甲1-5発明」、「甲1-6発明」、「甲1-9発明」をまとめて「甲1発明」ともいう。

(イ)本件特許発明1と甲1発明との対比・相違点の認定
以下、本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「(10)スクワラン、(11)2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、(12)デカメチルシクロペンタシロキサン」は、本件特許発明1の「(A)25℃で液状の油剤」に該当し、その含有量の和は、甲1-3発明?甲1-5発明および甲1-9発明では「9質量%」、甲1-6発明では「8質量%」であって、本件特許発明1の成分(A)の含有量「1?10質量%」の範囲内にあり、また、甲1発明における「(13)ワセリン、(15)マイクロクリスタリンワックス」は、本件特許発明1の「(B)25℃で固体状又は半固体状の油剤」に該当し、甲1発明における、その含有量の和は「4質量%」であって、本件特許発明1の成分(B)の含有量「1?6質量%」の範囲内にあり、相違しない。本件特許発明1では、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が「0.3?1.0」である旨の規定があるが、甲1-3発明?甲1-5発明および甲1-9発明における当該質量比は「0.44(計算式:4/9)」であり、甲1-6発明における当該質量比は「0.5(計算式:4/8)」であって、いずれも、本件特許発明1の規定の範囲内にあり、相違しない。
甲1発明における「(14)セタノール」は、炭素数16の直鎖アルコールであるから、本件特許発明1の「(C)炭素数12?22の直鎖アルコール」に該当し、甲1発明における、その含有量は「1.5質量%」であって、本件特許発明1の成分(C)の含有量「0.7?3.5質量%」の範囲内にあり、相違しない。
甲1発明における「(8)水添レシチン」は、記載事項(B-1)?(B-2)の記載から、カチオン、アニオンの両方のイオン性を有する「両イオン性界面活性剤」と認められるから、本件特許発明1の「(D)イオン性界面活性剤」に該当する。
甲1発明における「(1)イオン交換水」は、本件特許発明1の「(E)水」に該当する。
甲1発明は、「水中油型乳化組成物であるスキンクリーム」であって、本件特許発明1の「水中油型乳化皮膚化粧料」に相当する。
甲1発明は、上記した成分のほかにも、エデト酸塩等の種々成分を含むものであるが、本件特許発明1は、「成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)」を「含有」する水中油型乳化皮膚化粧料であって、成分(A)?(E)以外の成分を含むことを排除していないから、この点は相違点にはならない。
そうすると、本件特許発明1と甲1発明は、
「次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)25℃で液状の油剤 1?10質量%の範囲内、
(B)25℃で固体状又は半固体状の油剤 1?6質量%の範囲内、
(C)炭素数12?22の直鎖アルコール 0.7?3.5質量%の範囲内、
(D)イオン性界面活性剤及び/又はHLB12.5?15の非イオン界面活性剤、
(E)水
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が、0.3?1.0の範囲内である水中油型乳化皮膚化粧料。」である点では一致するが、以下の点で相違する。
(相違点1)
本件特許発明1は、(D)イオン性界面活性剤および/又はHLB12.5?15の非イオン界面活性剤の配合量が0.2?1質量%であるのに対し、甲1発明では、イオン性界面活性剤である水添レシチンの配合量が0.1質量%である点。
(相違点2)
乳化粒子の粒子径が、甲1-3発明?甲1-6発明では「1μmの平均粒子径」であり、甲1-9発明は「3μmの平均粒子径」であるのに対し、本件特許発明1は「1.5?2.5μmの数平均粒子径」である点。

(ウ)本件特許発明1についての判断(新規性)
(相違点2)について甲1には、水中油型乳化皮膚化粧料の平均乳化粒子径が1μmを超えると高温度でクリ-ミングを生じる恐れがあるところ、当該粒子径を1μm以下とするために、通常使用されるホモミキサーではなく高剪断力を有する乳化機を用いて、平均粒子径1μm以下という微細なものを得たことが記載されており(記載事項(1-6))、また甲1の実施例では、製造のたびに、当該粒子径が1μm以下となっていることを逐一確認して水中油型乳化皮膚化粧料を提供しているのであるから(記載事項(1-1)の【0069】等)、甲1には、
上記の「(A)25℃で液状の油剤 1?10質量%の範囲内、
(B)25℃で固体状又は半固体状の油剤 1?6質量%の範囲内、
(C)炭素数12?22の直鎖アルコール 0.7?3.5質量%の範囲内、
(D)イオン性界面活性剤及び/又はHLB12.5?15の非イオン界面活性剤、
(E)水
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が、0.3?1.0の範囲内である水中油型乳化皮膚化粧料。」について、乳化粒子の数平均粒子径が1.5?2.5μmのものなどは、記載されていないと認められる。
したがって、本件特許発明1と甲1発明は、当該相違点2の点で相違するから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ということはできない。
なお(相違点1)については、平成31年1月15日付け取消理由通知に記載の理由(必要であれば、下記「※ 上記相違点1について」を参照)により、実質的な相違点とはならないと認められる。
しかしながら上述のとおり、本件特許発明1と甲1発明とは、(相違点2)に係る乳化粒子の平均粒子径の点で明確に異なるものであるから、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ということはできない。

(※ 上記相違点1について
甲1発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、記載事項(1-1)の「(実施例3?7の製法)」(【0069】)、「(比較例8?11の製法)」(【0070】)の項目に記載のあるとおり、均一溶解して加温した「(水相)」成分に、別の釜に用意した加温して均一溶解した、「(16)ステアリン酸」や「(17)ベヘニン酸」といった脂肪酸成分を含む「(油相)」成分を添加して乳化してから、「(その他)」成分である「(23)水酸化カリウム」を添加して攪拌・冷却して、スキンクリームを得る方法により製造されるものである。この点、記載事項(7-1)?(7-2)や記載事項(5-1)、記載事項(6-1)に記載のとおり、水中油型乳化組成物の製造において、脂肪酸石鹸のようなアニオン性界面活性剤を用いる際には、「中和することでアニオン性の界面活性を発現する化合物を含む油相と、水相とを、酸性条件下にて混合し乳化した後、中和剤を加えてアニオン性の界面活性を発現させる」こと、すなわち、ステアリン酸等の脂肪酸を含む油相と、水相とを、酸性条件下にて混合し乳化した後、水酸化カリウムのようなアルカリ金属類の水酸化物を加えることにより、脂肪酸石鹸であるアニオン性界面活性剤を発現させて製造することがごく一般的に行われていたことが認められるところ、甲1発明も、(油相)中のステアリン酸、ベヘニン酸といった脂肪酸と、(その他)成分として後から添加される水酸化カリウムは、中和されることでステアリン酸カリウムおよびベヘニン酸カリウムという、アニオン性界面活性剤である脂肪酸石鹸が生成され、実質的に当該成分を含む組成物と認められる。
また甲1発明は、ステアリン酸を0.1質量%およびベヘニン酸を0.1質量%含むのに対し、水酸化カリウムを0.2質量%含むものである。モル質量はステアリン酸が284.48g/mol、ベヘニン酸が340.58g/mol、水酸化カリウムが56.10564g/molであるため、甲1発明において、水酸化カリウムのモル等量は、これらの脂肪酸の中和に必要なモル等量を大きく超える量で含まれており、脂肪酸は、そのほとんどが中和されていると認められるところ、ステアリン酸カリウムは約0.12質量%(計算式:0.1×(284.48+56.10564)/284.48)、ベヘニン酸カリウムも約0.12質量%(計算式:0.1×(340.58+56.10564)/340.58)で、合計約0.24%のイオン性界面活性剤であるアニオン性界面活性剤が甲1発明には含まれていると認められる。
そうすると、甲1発明には、上述の水添レシチンの含有量である0.1質量%と併せて約0.34質量%の、本件特許発明1の成分(D)に該当する成分が含まれることとなり、これは、本件特許発明1の成分(D)の含有量である「0.2?1質量%」の範囲内にあるから、上述の(相違点1)については、両者の実質的な相違点とはならない。)

(エ)本件特許発明2?4、10についての判断(新規性)
上記(ウ)に示したとおり、本件特許発明1は、甲1に記載された発明ではないから、その本件特許発明1をさらに限定した発明である本件特許発明2、3、4、10も、同様に、甲1に記載された発明ということはできない。

(オ)小括
よって、本件特許発明1?4、10に係る特許は、取消理由1によって取り消すべきものではない。

(2)取消理由2(進歩性)について
(ア)本件特許発明1についての判断(進歩性)
次に、本件特許発明1についての進歩性について検討する。
この点甲1発明は、水中油型乳化皮膚化粧料の平均乳化粒子径が1μmを超えることを問題視して、わざわざ高剪断力の乳化機を用いて当該粒子径を「1μm以下」としているものであり(上記(1)の(ウ))、甲1の【課題を解決するための手段】の項にも(記載事項(1-3の【0007】)、「・・・乳化粒子径が平均1μm以下である水中油型乳化化粧料を高剪断乳化装置を用いて調製することにより、高い肌改善効果を有しながらものびが軽く、皮膚へのなじみもよく、みずみずしくてさっぱりとした水中油型の乳化化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」と記載されている。
すなわち甲1には、平均乳化粒子径を1μm以下とすることが、課題を解決するために必須であることが記載されているのであるから、そのような甲1発明の乳化粒子において、その数平均粒子径を1μmより大きい「1.5?2.5μm」とするような動機付けは存在せず、むしろ採り得ることのできない態様として記載されているものと認められる。なお甲1の比較例に係る甲1-9発明は、乳化粒子の平均粒子径が3μmと大きいものであるが、上述のとおり、甲1では課題の解決のために平均粒子径を1μm以下とすることが必須手段とされているのであるから、当該甲1-9発明においても、その数平均粒子径を「1.5?2.5μm」とすることなどを当業者が容易に想到し得たとは認められない。
したがって甲1のいずれをみても、甲1発明について、その乳化粒子の数平均粒子径を1.5?2.5μmとすることを、当業者が容易に想到し得たとは認められない。
そして本件特許発明1の水中油型乳化皮膚化粧料は、その請求項1に記載の発明特定事項をすべて備えることにより、「肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、かつ、べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好」な水中油型乳化皮膚化粧料とする、という当業者に予測外の効果を奏するものと認められる(本件特許明細書の実施例2?5、実施例7?18、実施例20?47、実施例50?55)。
したがって本件特許発明1は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

<申立人の主張について>
申立人は、令和元年5月16日付け意見書において、「本件特許発明1と甲1発明は、乳化粒子径が異なるという数値限定の点のみで異なり、そのような場合、本件特許発明は、引用発明が有する効果とは異質なもの、又は同質であるが際だって優れたものであること(有利な効果が顕著性を有していること)が必要であるが、本件特許明細書に記載の実施例1及び6という、それぞれの乳化粒子の数平均粒子径が1μm、3μmであって、いずれも本件特許発明1の範囲外のものと、実施例2、5(いずれも本件特許発明1の範囲内)とを比較すると、肌の色ムラの見えにくさを示す指標であるΔYが、前者は「3.9」であるのに対し、後者が「3.8」と、差は「0.1」しかなく、これを顕著な効果とすることはできない」旨、「本件特許発明1の範囲内にある実施例7、8、14、15及び16は、ΔYが、それぞれ4.0、4.0、4.0、4.2、4.2及び3.9であって、訂正請求により本件特許発明1の範囲外となった実施例1、6のΔ3.9と同等かそれより劣るものであるから、訂正後の請求項1の全体にわたって顕著な効果が認められない」旨、及び、「発明の効果が、引用発明が有する効果と異質な効果であるか否かについては、引用文献に発明の効果について記載されていないことをもってのみでは十分ではなく、実際に引用発明が有していない効果であるか否かについて検討する必要があるから、甲1に、乳化粒子の平均粒子径の特定による肌の色ムラを見えにくくするという効果が記載されていないことをもって、それを本件特許発明の異質な効果である、とは認められない」旨、主張し、結局、本件特許発明1は、甲1発明と比較して、異質な効果も顕著な効果も有しないから、甲1発明に基づき当業者が容易に発明をすることができた旨、主張する。
しかしながら上述のとおり、甲1発明は、その乳化粒子径として「1μm以下」とすることを必須としており、それを「1.5?2.5μm」とすれば、甲1発明に求められる課題を解決できないものとなるのであるから、そもそも甲1発明の乳化粒子径を数平均粒子径1.5?2.5μmとすることを、当業者が導くことはできない。したがって申立人が主張する効果について検討する以前に、本件特許発明1の発明特定事項を備えた水中油型乳化皮膚化粧料は、甲1に記載された発明から当業者が容易に想到し得なかったものである。そして、本件特許発明1は、当該発明特定事項を備えたことにより、「肌の色ムラを見えにくくする」という、甲1に記載も示唆もなく、また甲1の記載から当業者が想到し得ない効果、すなわち当業者に予測外の異質の効果を備えるものとなっていることが認められるものである。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。

よって、本件特許発明1は、申立人の上記主張によっても、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

(イ)本件特許発明2?5、10についての判断(進歩性)
上記(ア)に示したとおり、本件特許発明1は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができないものであるから、その本件特許発明1をさらに限定した発明である本件特許発明2?5、10も、同様に、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができないものである。

(ウ)本件特許発明6、9、10についての判断(進歩性)
本件特許発明6、9、10は、本件特許発明1をさらに限定した発明であって、水中油型乳化皮膚化粧料の数平均粒子径が「1.5?2.5μm」であることが同様に特定されているものである。
上記平成31年1月15日付けの取消理由通知では、訂正前の特許発明6、9、10に対して、甲1に記載された発明及び文献Aに記載の事項に基づき進歩性を有しない旨の取消理由を通知したが、文献Aには、セラミド及びセラミド類似化合物が、皮膚化粧料に配合されて肌荒れ防止などの好適な効果を発揮する周知慣用の化粧料成分であることが記載されているのみであり(記載事項(A-1))、水中油型乳化皮膚化粧料の平均粒子径についての記載はなく、その数平均粒子径を「1.5?2.5μm」することなどは記載も示唆もされていない。
したがって、甲1に記載の発明に、文献Aに記載の事項を組み合わせてみても、甲1発明の水中油型乳化皮膚化粧料の数平均粒子径を「1.5?2.5μm」とすることを、当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
そして上述のとおり、本件特許発明は、その発明特定事項に規定する事項をすべて備えることにより、「肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、かつ、べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好」な水中油型乳化皮膚化粧料とする、という当業者に予測外の効果を奏するものである。
よって、本件特許発明6、9、10は、甲1に記載された発明及び文献Aに記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(エ)小括
よって、本件特許発明1?6、9、10に係る特許は、取消理由2によって取り消すべきものではない。

(3)取消理由3(サポート要件)について
上記平成31年1月15日付けの取消理由通知では、訂正前の請求項1?4、10に対して、サポート要件を満たさない旨の取消理由を通知した。その取消理由の内容は概略以下のとおりである。
「本件特許明細書の【0004】?【0007】の記載を考慮すると、本件特許発明の解決すべき課題は、「肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好である水中油型乳化皮膚化粧料を提供すること」にあると認められるが、甲1の比較例9(甲1-9発明)は、本件特許発明1?4、10に該当する態様のものであるが、記載事項(1-1)の【表3】及び【0072】第2段落の記載のとおり、「べたつきのなさ」が「×」で「劣って」おり、また、「肌へののび」も「×」で「劣って」いて使用感に劣るものであることが認められるから、結局、請求項1?4、10の発明に含まれる種々の水中油型乳化皮膚化粧料の全体にわたって、本件特許発明の解決すべき上記課題を解決できると当業者が理解し得ないものとなっており、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない。」
しかしながら、上記「第2 訂正請求について」と「第3 本件特許発明」で述べたとおり、本件特許発明1は、その乳化粒子の数平均粒子径が「1.5?2.5μm」に特定する訂正がなされたため、上記甲1の比較例9(甲1-9発明)は、本件特許発明の態様には含まれないものとなった。
上記取消理由通知は、当該比較例9(甲1-9発明)が、訂正前の請求項1?4、10の態様に含まれるものであったことに起因して通知された取消理由であるから、この取消理由は、当該訂正がなされたことにより解消した。
そして、本件特許明細書の【0008】?【0059】には、本件特許発明の水中油型乳化皮膚化粧料に配合する各成分の具体例や配合量、そしてそれらを配合する意義が上記本件特許発明の解決すべき課題との関係で詳細に説明されており、加えて【0060】?【0084】に、50を超える実施例が、その製造方法や、上記課題を解決したことを示す評価と共に具体的に説明されているのであるから、当業者は、これらの記載に基づき、本件特許発明を十分に理解することができると認められる。
したがって、本件特許発明は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載されたものである。
よって、本件特許発明1?4、10に係る特許は、取消理由3によって取り消すべきものではない。

(4)取消理由4(実施可能要件)について
上記平成31年1月15日付けの取消理由通知では、訂正前の請求項11に対して、実施可能要件を満たさない旨の取消理由を通知したが、上記「第2 訂正請求について」で述べたとおり、請求項11を削除する訂正がなされたため、この取消理由は、理由がないものとなった。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
以下では、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について述べる。

1 訂正前の請求項11に対する特許異議申立について
申立人は、訂正前の請求項11に対して、進歩性欠如(特許法第29条第2項)、サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)、明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号)、実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)、産業上利用可能性を有しない旨を(特許法第29条柱書き)、主張している。
しかしながら、上記「第2 訂正請求について」で述べたとおり、請求項11は訂正により削除されたので、これらの申立理由は、その対象となる請求項が存在しないものとなったから、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により、これを却下する。

2 進歩性について
(1)本件特許発明7、8について
申立人は、請求項7、8について、甲1に加え、甲第3号証(特開2014-24765号公報、以下「甲3」という)及び甲第4号証(特公昭59-28348号公報、以下「甲4」という)を提示し、「甲3に、カチオン界面活性剤である塩化ジステアリルジメチルアンモニウムと、非イオン性界面活性剤を組み合わせて含む乳化組成物が記載されており(【0041】、【0044】?【0046】)、これが乳化安定性に優れていたことが記載されていること(【0041】?【0042】)、また、甲4にも、カチオン界面活性剤であるアルキルアンモニウム塩と、非イオン性界面活性剤を含む水中油滴型エマルジョンが記載されており(請求項1、p.5の第1表)、これが乳化安定性に優れ、かつ、伸びやべたつき感といった使用感にも優れることが記載されていることから(p.5の第1表、p.6左欄第1?10行)、甲1発明において、乳化組成物の安定性や使用感を向上させる目的で、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを組み合わせて添加することは、当業者が容易に為し得た」旨、主張する。
しかしながら、本件特許発明7、8は、本件特許発明1をさらに限定した発明であって、水中油型乳化皮膚化粧料の数平均粒子径が「1.5?2.5μm」であることが同様に特定されているものであるところ、上記「第4 取消理由通知についての当審の判断」の「4(2)取消理由2(進歩性)について」において述べたとおり、甲1では平均粒子径を1μm以下とすることが必須手段とされているのであるから、当該甲1発明の数平均粒子径を「1.5?2.5μm」とすることを当業者が容易に想到し得たとは認められない。
そして、甲3、4にも、甲1発明に係る、平均粒子径を1μm以下とすることが必須手段とされているような水中油型乳化皮膚化粧料について、その乳化粒子の数平均粒子径を1.5?2.5μmとすることを示唆する記載などは見当たらないから、甲1に記載の発明に、甲3、4に記載の事項を組み合わせてみても、甲1発明の水中油型乳化皮膚化粧料の数平均粒子径を「1.5?2.5μm」とすることを、当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
加えて上述のとおり(「第4 取消理由通知についての当審の判断」の「4(2)取消理由2(進歩性)について」)、本件特許発明は、その発明特定事項に規定する事項をすべて備えることにより、「肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、かつ、べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好」な水中油型乳化皮膚化粧料とする、という当業者に予測外の効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明7、8は、いずれも、甲1に記載された発明に、甲3及び甲4に記載の事項を組み合わせても、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)申立人の提示したその他の証拠について
申立人は、上記「第4の2 取消理由通知で引用した証拠」や上記(2)で挙げた甲号証以外に、以下の甲号証を提示している。
甲第2号証 特開2005-2022号公報(以下「甲2」という)
甲第8号証 特許4373226号公報(以下「甲8」という)
甲第9号証 国際公開第2009/11302号(以下「甲9」という)
甲第10号証 J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn.(1996)Vol.30、No.1p.36-46(以下「甲10」という)
甲第11号証 特開平8-198737号公報(以下「甲11」という)
甲第15号証 特開平6-9329号公報(以下「甲15」という)
甲2は、訂正前の請求項6に対して、申立人が、「セラミド類を含む乳化組成物が公知であり、甲1発明に甲2の当該知見を組み合わせることにより、進歩性を有しない」旨を立証するために提示された証拠である。
甲8及び甲9は、上記「第4の4(1)(イ)本件特許発明1と甲1発明との対比・相違点の認定」において示した「(相違点1)」が、仮に合議体によって「実質的な相違点ではない」と判断されたときの予備的主張として、当該相違点1が当業者に容易に想到できたものであることを示すために申立人が提示した証拠である。なお、合議体は、当該「(相違点1)」については、申立人の主位的主張と同様に、「実質的な相違点とはならない」と判断した(上記「第4の4(1)(ウ)本件特許発明1についての判断(新規性)」)。
甲10及び甲11は、上記訂正請求により削除された請求項11に対して、その進歩性を否定するための証拠として提示されたものである。
甲15も、上記訂正請求により削除された請求項11に対して、「酸化チタン等の粉体を油相成分として用意し、これと水相成分を混合して乳化組成物を製造することが一般的に行われることであることを示す」として、申立人が提示した証拠である。
そして、これらの甲号証のいずれにも、甲1発明に係る、平均粒子径を1μm以下とすることが必須手段とされているような水中油型乳化皮膚化粧料について、その乳化粒子の数平均粒子径を1.5?2.5μmとすることを動機付ける記載などは見当たらないから、甲1に記載の発明に、これらの甲号証に記載の事項を組み合わせてみても、甲1発明の水中油型乳化皮膚化粧料の数平均粒子径を「1.5?2.5μm」とすることを、当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
加えて上述のとおり、本件特許発明は、その発明特定事項に規定する事項をすべて備えることにより、「肌の色ムラを見えにくくし、自然にカバーすることができ、かつ、べたつきがなく使用感に優れ、保存安定性も良好」な水中油型乳化皮膚化粧料とする、という当業者に予測外の効果を奏するものである。

(3)小括
したがって、申立人の主張する本件特許発明1?10が特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるとする、申立理由は、理由がない。

3 サポート要件について
(1)申立人の主張について
申立人は、「本件特許明細書に記載されている、すべての実施例にグリセリン(屈折率1.45)が10質量%または5質量%含まれているところ、表面反射を高め、色ムラを小さくみせることができる成分(F)の屈折率は1.46?1.45であるから(請求項5等)、その屈折率には少し及ばないものの、その差が0.01しかないから、成分(F)の含有量0.5質量%や3質量%と比較して多量に添加されるグリセリンが、本件特許発明の肌の色ムラ低減効果に寄与している割合は非常に高いものと考えられる。そのため、グリセリンを含まない態様であっても、本件特許明細書に記載の実施例と同程度の肌の色ムラのみえにくさという所望の効果が得られるとは考えられない。
したがって、本件特許発明の課題の解決のためには、グリセリンを含有することが必須であると解されるから、グリセリンを含有することの特定を欠く請求項は、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えており、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさない。」旨、主張している。

(2)判断
しかしながら、肌の色ムラについて、本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【0011】
成分(B)の油剤は、25℃で固体状又は半固体状のものであり、高級アルコールは含まない。ここで、25℃で固体状又は半固体状とは、25℃における粘度が10000mPa・sより大きいことをいう。粘度は、成分(A)と同様にして測定される。
25℃で固体状の油剤としては、・・・等が挙げられる。
これらのうち、肌の色ムラを見えにくくする効果の点から、融点が65?110℃のものが好ましく、70?90℃のものがより好ましい。
・・・
【0014】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、肌の色ムラを小さくし、べたつきを防止する点から、含有量は、全組成中に1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、6質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。・・・
【0015】
本発明の皮膚化粧料において、成分(A)と(B)の質量比(B)/(A)は、肌の色ムラを目立たなくし、べたつきを防止する点から、0.3以上であり、0.4以上が好ましく、0.45以上がより好ましく、1以下であり、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。・・・」

「【0025】
・・・
本発明の皮膚化粧料において、成分(A)と(B)の油剤は、組成物では均一に分散し、安定な組成物として得られる。この皮膚化粧料は、肌に塗布後、乾燥過程においては、成分(A)、(B)の油剤と、成分(C)、成分(D)とが複合体を形成して、凝集せず均一に分散して肌に密着することができる。さらに、乾燥後の化粧塗布膜においては、成分(A)、(B)の油剤と、成分(C)、成分(D)とが作る複合体が微小な粒子となり、塗布膜表面に凹凸を形成し、すりガラスのような塗膜が得られる。この結果、肌の色ムラを見えにくくするカバー力を付与できる。」

「【0045】
本発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、肌の色ムラが見えにくくなる点から、乳化粒子の数平均粒子径が1.0?3.0μmであり、1.5?2.5μmであるのが好ましい。乳化粒子径は、上記のように、撹拌速度と撹拌時間をコントロールすることにより、制御することができる。
乳化粒子の粒子径は、化粧料を精製水で2倍希釈し、超音波で60秒分散させた後、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、数平均粒子径を求める。」

「【0082】
実施例48?56、比較例12?15
実施例4の化粧下地を以下の工程で、2Lビーカーを用いて1kg製造し、乳化粒子径を測定するとともに、肌の色ムラの見えにくさ(カバー力)、べたつきのなさ、保存安定性、なめらか感及びしっとり感を評価した。結果を表6に示した。
・・・
【表6】



ここで、上記本件特許明細書の【表6】の比較例12?15は、実施例4と同じ組成のものであるが、投下エネルギー及び数平均粒子径が実施例4と異なり、また、乳化粒子の数平均粒子径が本件特許発明の範囲に入らない化粧料であるところ、その肌の色ムラの見えにくさを示す指標であるΔYが「4.5」と低い評価となっていることが認められる。
そうすると、本件特許発明の水中油型乳化皮膚化粧料の肌の色ムラ低減効果の発揮には、当該【表6】の結果、また【0045】の記載からも理解されるとおり、乳化粒子の粒子径が重要な要素であることが認められる。
そして、上記本件特許明細書の【0011】?【0015】、【0025】にあるとおり、本件特許発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、肌の色ムラ低減効果のある成分(B)を、所定の質量比で成分(A)と配合し、当該油剤である成分(A)、(B)と、成分(C)、(D)とにより特定の数平均粒子径の乳化粒子からなる水中油型乳化皮膚化粧料を得ることにより、成分(A)、(B)と、成分(C)、(D)が複合体を形成し、凝集せず均一に分散して肌に密着することができ、さらに、乾燥後の化粧塗布膜においては、成分(A)、(B)の油剤と、成分(C)、(D)とが作る複合体が微小な粒子となって、塗布膜表面に凹凸を形成し、すりガラスのような塗膜が得られ、結果として、肌の色ムラを見えにくくするカバー力を付与できることが認められる。
確かに屈折率の高い成分(F)やグリセリンを用いることにより、さらに肌の色ムラ低減効果は上がるとは解されるものの、上記のとおり、それらの成分の添加がなくとも、本件特許発明の水中油型乳化皮膚化粧料は、色ムラ低減効果のある成分(B)を用い、成分(A)?(D)を所定量併せて配合して所定の粒子径の乳化粒子の乳化組成物とすることにより、色ムラ低減効果を発揮する化粧料が提供できるものと認められる。
したがって、グリセリンが必須である旨の異議申立人の主張は採用することができない。

(3)さらなる申立人の主張について
申立人は、令和元年5月16日付け意見書において、「本件特許発明の範囲内にある実施例7、8、14、15及び16は、肌の色ムラの見えにくさを示す指標であるΔYが、それぞれ4.0、4.0、4.0、4.2、4.2及び3.9であって、訂正請求により本件特許発明の範囲外となった実施例1、6の3.9と同等かそれより劣るものであること、及び、成分の含有量及び種類の組合せによっては、ΔYの値が比較例8と同等か劣るものとなる蓋然性が高いため、サポート要件違反となる」旨も、主張する。
しかしながら、本件特許明細書の実施例として挙げられている水中油型乳化皮膚化粧料すべてについて、そのΔYをみると、値は3.5?4.2であり、他方比較例として挙げられているもののうちΔYが「4台」のものの最低値は「4.5」であることを考慮すると(ΔYが「3台」のものは、べたつきのなさ、保存性等の評価が低いものであり、ΔY値が劣ることが問題となっている比較例ではない)、ΔYの値が「4.0、4.0、4.0、4.2、4.2及び3.9」の水中油型乳化皮膚化粧料は、肌の色ムラ低減効果を発揮する化粧料であると認められる。
また申立人は、成分の含有量及び種類の組合せによっては、ΔYの値が比較例8と同等か劣るものとなる蓋然性が高い旨の主張もしているが、「蓋然性」を述べるに留まるものであり、その主張が妥当なものと認めることはできない。
一方、本件特許明細書には、上記(2)で示したとおり、肌の色ムラ低減効果を発揮する水中油型乳化皮膚化粧料を提供するための方法が具体的に示されており、また、実際に肌の色ムラ低減効果を発揮する水中油型乳化皮膚化粧料の実施例が数多く示されているのであるから、当業者は、それらの記載から、本件特許発明に係る、所望の肌の色ムラ低減効果を発揮する水中油型乳化皮膚化粧料を理解することができると認める。

(4)小括
よって、申立人の主張する本件特許発明1?10が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないものであるとする、申立理由は、理由がない。

4 実施可能要件について
(1)申立人の主張
申立人は、「本件特許明細書の【0040】では、本発明の水中油型乳化皮膚化粧料の製造方法として、
『「(工程1)成分(A)?(D)、(G)及びその他の油剤成分を含む油相を、成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10℃高い温度までの範囲に加熱し、撹拌して混合物(1)を得る工程。
(工程2)成分(E)、(F)及びその他水溶性成分を混合し、混合物(1)の成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10℃高い温度までの範囲に加熱し、さらに、成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10℃高い温度までの範囲に加熱した混合物(1)と混合し、混合物(2)を得る工程。
(工程3)混合物(2)を15?35℃まで冷却する工程。』
なる記載があり、当該記載によると、成分(A)?(D)、(G)及びその他の油剤成分を含む油相を、その成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10℃高い温度までの範囲に加熱すること、及び、成分(E)、(F)及びその他水溶性成分を含む水相も、同様に、上記油相の成分中最も融点が高い成分の融点から融点より10℃高い温度までの範囲に加熱することが必須の工程として記載されているから、融点が149?151℃(記載事項(12-1))の成分(D)塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを含む本件特許明細書に記載の実施例22?24等は、油相、水相を149?161℃の温度範囲まで加熱することが必要となるが、当該温度は水の沸点を大きく超えるものであるところ、そのような高い温度に加熱して、所望の水中油型乳化皮膚化粧料を得る方法などについては、本件特許明細書の発明の詳細な説明に具体的に記載されておらず、また、当該高い温度とするための非常に高い高圧条件を設定して加熱・製造したときにも、所望の水中油型乳化皮膚化粧料が得られることが本件特許出願時の技術常識であったとはいえない。
また、本件特許明細書には、成分(D)として、融点が310℃(記載事項(13-1))のラウリン酸ナトリウムや、融点が204?207℃(記載事項(14-1))のドデシル硫酸ナトリウム等の高融点のアニオン性界面活性剤も用いられることが記載されているが(【0018】)、このような非常に高い温度に加熱して、本件特許発明の所望の水中油型乳化皮膚化粧料を製造することなどは、技術的に不可能若しくは非常な困難を伴うものである。
さらに、請求項2や【0039】の第3段落の記載より、本件特許発明の水中油型乳化皮膚化粧料には、従来技術で用いられているような粉体を2質量%以下の範囲で含む態様の発明も包含されているところ、例えば従来技術で用いられているような、化粧料として汎用の粉体である酸化チタン(融点1830?1850℃(記載事項(16-1))を油相に含めたときには、加熱すべき温度は1830?1860℃となり、本件特許発明の所望の水中油型乳化皮膚化粧料を製造することなどは、実際上実施不可能なことである」旨、主張する。

(2)判断
この点確かに申立人が主張するとおり、水相・油相をそれぞれ加熱して液状としてから、両相を混合して製造する水中油型乳化皮膚化粧料の製造において、その加熱の温度を申立人が挙げるような極端な高温とすることは当業者の技術常識に反するものである。なぜなら、そのような極端な高温下で製造を行えば、液体が気散したり、配合成分が分解・変性して化粧料として使用できないものとなること、また、そもそも水中油型乳化皮膚化粧料を製造することが困難となることなどの様々な障害が当業者に明らかであるからである。
この点、本件特許明細書の【0083】には、実施例48?56の水中油型乳化皮膚化粧料を製造する方法として、
「(工程1)成分(A)?(D)、(G)及びその他の油剤成分を含む油相を、80℃に加熱し、撹拌して混合物(1)を得た。
(工程2)成分(E)、(F)及びその他水溶性成分を混合し、80℃に加熱し、ディスパーを用いて、80℃に加熱した混合物(1)と混合し、混合物(2)得た。撹拌速度と撹拌時間は表6に示した条件で行った。
(工程3)混合物(2)を定量ポンプで振動式撹拌混合装置(冷化工業(株)製のバイブロミキサー)に供給し、装置内で攪拌しながら30℃/1分の速度で、連続的に30℃まで冷却し、水中油型乳化皮膚化粧料を得た。」
なる記載があり、ここで挙げられている加熱温度は、水中油型乳化皮膚化粧料を製造する際の、当業者の技術常識に適うものである。
そうすると、当業者は、本件特許出願時の水中油型乳化皮膚化粧料の製造工程における加熱温度として、技術常識に適う当該【0083】の記載に基づき、本件特許発明に係る水中油型乳化皮膚化粧料を製造することができるから、本件特許発明は、発明の詳細な説明に、当業者がその実施をすることができるように明確かつ十分に記載されたものということができる。

(3)小括
よって、申立人の主張する本件特許発明1?10が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たさないものであるとする、申立理由は、理由がない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、特許法第114条第4項の規定により、本件請求項1?10に係る特許について、結論のとおり決定する。

本件請求項11に係る特許は、訂正により削除された。これにより、本件特許の請求項11に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E):
(A)25℃で液状の油剤 1?10質量%、
(B)25℃で固体状又は半固体状の油剤 1?6質量%、
(C)炭素数12?22の直鎖アルコール 0.7?3.5質量%、
(D)イオン性界面活性剤及び/又はHLB12.5?15の非イオン界面活性剤 0.2?1質量%、
(E)水
を含有し、成分(A)と成分(B)の質量比(B)/(A)が、0.3?1.0であり、乳化粒子の数平均粒子径が1.5?2.5μmである水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項2】
皮膚化粧料中の粉体の含有量が2質量%以下である請求項1記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項3】
成分(A)がエステル油であり、成分(B)が炭化水素油である請求項1又は2記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項4】
成分(B)が、融点65?110℃の油剤である請求項1?3のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項5】
さらに、(F)屈折率1.46?1.55の水溶性溶剤を0.5?3質量%含有する請求項1?4のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項6】
さらに、(G)セラミド及びセラミド類似化合物から選ばれる化合物を1?3質量%含有する請求項1?5のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項7】
成分(D)が、カチオン界面活性剤と非イオン界面活性剤との組み合わせである請求項1?6のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項8】
成分(D)のイオン性界面活性剤が、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムから選ばれる1種又は2種以上である請求項1?7のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項9】
成分(D)の非イオン性界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油から選ばれる1種又は2種以上である請求項1?8のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料。
【請求項10】
請求項1?9のいずれか1項記載の水中油型乳化皮膚化粧料を皮膚に塗布し、皮膚の見え方を調整する方法。
【請求項11】(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-24 
出願番号 特願2014-116481(P2014-116481)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (A61K)
P 1 651・ 536- YAA (A61K)
P 1 651・ 537- YAA (A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森井 隆信  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 田村 聖子
大久保 元浩
登録日 2018-04-13 
登録番号 特許第6322053号(P6322053)
権利者 花王株式会社
発明の名称 水中油型乳化皮膚化粧料  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 中嶋 俊夫  
代理人 高野 登志雄  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 山本 博人  
代理人 山本 博人  
代理人 高野 登志雄  
代理人 村田 正樹  
代理人 中嶋 俊夫  
代理人 村田 正樹  

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