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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  G01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  G01L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G01L
管理番号 1356836
異議申立番号 異議2018-700652  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-06 
確定日 2019-10-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6274772号発明「センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器を制御する装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6274772号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正することを認める。 特許第6274772号の請求項2,6,7,10-17に係る特許を維持する。 特許第6274772号の請求項1,3-5,8,9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。  
理由 1.手続の経緯
特許第6274772号の請求項1-11に係る発明は、平成25年7月11日に特許出願され、平成30年1月19日にその特許権の設定登録がされ、平成30年2月7日にその特許掲載公報が発行された。その後、平成30年8月6日に、特許異議申立人クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファー ルツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングより請求項1-11に対して特許異議の申立てがされ、平成30年10月24日付けで取消理由が通知され、平成31年1月25日に意見書の提出及び訂正請求がされ、平成31年2月27日付けで手続補正指令が通知され、平成31年4月3日に訂正請求書の手続補正がされ、令和元年5月28日付けで取消理由が通知され、令和元年8月20日に意見書の提出及び訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
ア 特許権者は、特許請求の範囲の請求項1を削除する(訂正事項1)。

イ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項2を以下の事項により特定されるとおりの請求項2として訂正する(訂正事項2)。また、請求項13-17も同様に訂正する。

「【請求項2】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする装置。」(下線は訂正箇所。)

ウ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項3を削除する(訂正事項3)。

エ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項4を削除する(訂正事項4)。

オ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項5を削除する(訂正事項5)。

カ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項6を以下の事項により特定されるとおりの請求項6として訂正する(訂正事項6)。また、請求項7,10-17も同様に訂正する。

「【請求項6】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
センサ測定セル(32)及びこれに付属する電子装置(33)が共通なセンサハウジング(36)内に設けられ、接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口(38)に収容され、貫通孔(38)がセンサ測定セル(32)の接触面(34)に付属していることを特徴とする装置。」(下線は訂正箇所。)


キ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項8を削除する(訂正事項7)。

ク 特許権者は、特許請求の範囲の請求項9を削除する(訂正事項8)。

ケ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項10に
「圧力測定セル(32)が、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成されていることを特徴とする、」
と記載されているのを、
「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、圧力測定セル(32)が、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成されていることを特徴とする、」(下線は訂正箇所。)
に訂正する(訂正事項9)。また、請求項11-13,15-17も同様に訂正する。

コ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項10に
「請求項6?9の1つに記載の装置。」
と記載されているのを、
「請求項6または7に記載の装置。」
に訂正する(訂正事項10)。また、請求項11-13,15-17も同様に訂正する。

サ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項11に
「接触ばね(28)のための圧力センサ(6)の接触面(34)が、圧力測定セル(32)上に直接設けられていることを特徴とする、」
と記載されているのを、
「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、接触ばね(28)のための圧力センサ(6)の接触面(34)が、圧力測定セル(32)上に直接設けられていることを特徴とする、」(下線は訂正箇所。)
に訂正する(訂正事項11)。また、請求項12-13,15-17も同様に訂正する。

シ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項11に
「請求項6?10の1つに記載の装置。」
と記載されているのを、
「請求項6,7または10の1つに記載の装置。」(下線は訂正箇所。)
に訂正する(訂正事項12)。また、請求項12-13,15-17も同様に訂正する。

ス 特許権者は、特許請求の範囲の請求項12を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項12として訂正する(訂正事項13)。また、請求項13,14,16,17も同様に訂正する。
「少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする、請求項6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。」

セ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項13を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項13として訂正する(訂正事項14)。また、請求項16,17も同様に訂正する。
「蓋(10)がその内側に内方へ突出する支持突起(40,42)を持ち、これらの突起に、取付けられた状態で印刷配線板(12)が支持されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?12のいずれか1つに記載の装置。」

ソ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項14を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項14として訂正する(訂正事項15)。また、請求項16,17も同様に訂正する。
「センサ(6)が圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7、請求項6もしくは7を引用する請求項12またはその請求項12、請求項6もしくは7を引用する請求項13に記載の装置。」

タ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項15を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項15として訂正する(訂正事項16)。また、請求項16,17も同様に訂正する。
「操作器(8)が、流体流を制御できるように形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。」

チ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項16を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項16として訂正する(訂正事項17)。また、請求項17も同様に訂正する。
「センサ(6)及び/又は操作器(8)が保持クランプ(14,16)により基礎ハウジング(4)に取付けられていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?15のいずれか1つに記載の装置。」

ツ 特許権者は、特許請求の範囲の請求項17を以下の事項により特定されるとおりの新たな請求項17として訂正する(訂正事項18)。
「少なくとも1つのセンサ(6)が圧力センサとして形成され、かつ流体技術的に圧力ホース(18,20)又は金属の圧力導管により、基礎ハウジング(4)の圧力流体を導く通路(22,24)に接続されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?16のいずれか1つに記載の装置。」

また、訂正前の請求項1-11は、請求項2-11が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を直接または間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。したがって、訂正の請求は、一群の請求項ごとにされたものである。


(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1,3,4,5,7,8
訂正事項1,3,4,5,7,8は、それぞれ請求項1,3,4,5,8,9を削除するというものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2の記載を、請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項6は、訂正前の請求項1を引用する請求項6の記載を、請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

エ 訂正事項9,10は、訂正前の請求項10の記載において「圧力測定セル(32)」が不明確であったものを、「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、」と記載して明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、また、削除された請求項8,9を引用する請求項から除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

オ 訂正事項11,12は、訂正前の請求項11の記載において「圧力測定セル(32)」が不明確であったものを、「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、」と記載して明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、また、削除された請求項8,9を引用する請求項から除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

カ 訂正事項13は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項2の内容を請求項12に移動して、請求項6及びその従属項を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

キ 訂正事項14は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項3の内容を請求項13に移動して、請求項2並びに請求項6及びその従属項を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ク 訂正事項15は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項3の内容を請求項14に移動して、請求項2並びに請求項6及びその従属項(引用することにより、その内容に矛盾が生じる、請求項10,11及びそれらを直接または間接的に引用する部分を除く)を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ケ 訂正事項16は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項5の内容を請求項15に移動して、請求項2並びに請求項6及びその従属項を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

コ 訂正事項17は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項8の内容を請求項16に移動して、請求項2並びに請求項6及びその従属項を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

サ 訂正事項18は、請求項2,6の記載が独立請求項の形式とされたことに対応して、訂正前の請求項9の内容を請求項17に移動して、請求項2並びに請求項6及びその従属項を引用するようにしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)小括
したがって、上記訂正請求による訂正事項1ないし訂正事項18は、特許法第120条の5第2項ただし書第1,3,4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第3項及び第4項、並びに同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
なお、本件異議申立事件においては訂正前の請求項1-11について特許異議申立ての対象とされていることから、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
したがって、訂正後の請求項〔1-17〕について訂正を認める。


3.訂正後の本件発明
上記訂正請求により訂正された訂正後の請求項1-17に係る発明(以下、それぞれを請求項の番号にしたがって「本件訂正発明2」のようにいう。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(削除)

【請求項2】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする装置。

【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)

【請求項6】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
センサ測定セル(32)及びこれに付属する電子装置(33)が共通なセンサハウジング(36)内に設けられ、接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口(38)に収容され、貫通孔(38)がセンサ測定セル(32)の接触面(34)に付属していることを特徴とする装置。

【請求項7】
接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部の外径が、円筒状貫通孔(38)の直径に合わされて、接触ばね(28)が付属する貫通孔(38)に失われないように保持されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。

【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)

【請求項10】
センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、圧力測定セル(32)が、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成されていることを特徴とする、請求項6または7の1つに記載の装置。

【請求項11】
センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、接触ばね(28)のための圧力センサ(6)の接触面(34)が、圧力測定セル(32)上に直接設けられていることを特徴とする、請求項6,7または10の1つに記載の装置。

【請求項12】
少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする、請求項6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。

【請求項13】
蓋(10)がその内側に内方へ突出する支持突起(40,42)を持ち、これらの突起に、取付けられた状態で印刷配線板(12)が支持されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?12のいずれか1つに記載の装置。

【請求項14】
センサ(6)が圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7、請求項6もしくは7を引用する請求項12またはその請求項12、請求項6もしくは7を引用する請求項13に記載の装置。

【請求項15】
操作器(8)が、流体流を制御できるように形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。

【請求項16】
センサ(6)及び/又は操作器(8)が保持クランプ(14,16)により基礎ハウジング(4)に取付けられていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?15のいずれか1つに記載の装置。

【請求項17】
少なくとも1つのセンサ(6)が圧力センサとして形成され、かつ流体技術的に圧力ホース(18,20)又は金属の圧力導管により、基礎ハウジング(4)の圧力流体を導く通路(22,24)に接続されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?16のいずれか1つに記載の装置。」


4.当審の判断
(1)平成30年10月24日付けで通知した取消理由について
ア 取消理由の概要
当審が平成30年10月24日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。

取消理由1
本件特許は、特許請求の範囲の請求項10,11の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

取消理由2
本件特許の請求項1,3-5,8,9に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内または外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

イ 取消理由1についての判断
上記取消理由1は、具体的には訂正前の特許請求の範囲の記載に関し、
「請求項10及び11において「圧力測定セル(32)」とあるが、請求項10及び11が、請求項6を直接または間接的に引用するものでない場合、引用する先の請求項において測定セルの構成が何ら特定されていないものとなるため、上記「圧力測定セル(32)」なる記載がどのような構成を指すものであるのかが不明確である。」
また、
「請求項10及び11において「圧力測定セル(32)」とあるが、請求項10及び11が、請求項6を直接または間接的に引用するものである場合、引用する請求項6には「センサ測定セル(32)」と記載されており、両記載の関係が不明確である。」
というものであるが、訂正によって、請求項10,11に「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、」との文言が追加されたことにより、上記取消理由1は解消された。

ウ 取消理由2についての判断
(ア)引用文献等
上記取消理由2において引用した文献、及び本件特許異議申立理由において引用された文献は、以下のとおりである。

引用文献一覧(取消理由2において引用した文献)
甲第1号証:特表2008-537517号公報
甲第2号証:特表2002-542107号公報
甲第4号証:独国特許発明第19811610号明細書

その他の文献
甲第3号証:独国特許出願公開第10036086号明細書
甲第5号証:独国特許出願公開第102010063709号明細書
甲第6号証:欧州特許出願公開第1207379号明細書

(イ)引用発明
上記甲第1号証には、以下のように記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による自動車ブレーキシステム用の電気油圧式の圧力調整装置に関する。」

「【0018】
図1には、組み立てられたABS/ESP制御機器が図示されている。コントローラ1、弁ブロック2及び電動モータユニット23は、ブレーキ装置の調整運転をするために通常は自動車に取り付けるために設けられているコンパクトな構造ユニットである。このため、弁ブロック2は、図示してない油圧ラインに接続される。プリント基板6上のコントローラ電子機器7は、コネクタプラグ9を介してケーブルハーネスに接続可能である。プリント基板6は、カバーのボス21によって弁ブロック2の方向に弁コイル4の電気コンタクトに押し付けられる。
【0019】
コントローラの一体的なハウジングは、本質的に薄い壁の下側が開放している金属ボックスに対応するように成形されている。相応に、ボックスは、ハウジング容積領域3とハウジングカバー領域5から成る。」

「【0022】
プリント基板6上に配設された平坦なSMD板44と、金属棒と、この金属棒を押し付けるスプリング要素45とから成る、図示した接続装置は、必要なモータ電力を問題なく伝送することができる十分確実な電気的結合をもたらす。好ましいことに、相応にSMDコンタクトをコイルの接続のために使用することもできるが、この場合、コイルコンタクトは特にリーフスプリング要素として形成されている。場合によっては使用される圧力センサ要素を同様に相応のスプリングコンセプトに従って接続することも同様に好ましいが、ここではコイルスプリングコンタクトによる解決策が好ましい。」

また、上記図1及び段落【0018】の「・・・プリント基板6は、カバーのボス21によって弁ブロック2の方向に弁コイル4の電気コンタクトに押し付けられる。」との記載から、「弁コイル4」が「弁ブロック2」に取り付けられ、「ハウジング容積領域3」を構成する「金属ボックス」(カバー)が「弁コイル4」を覆って「弁ブロック2」に結合可能に形成されており、また「金属ボックス」(カバー)に固定された「プリント基板6」が押し付けられることにより、「弁コイル4」の上部に設けられた電気コンタクト(導電性接触ばね)がプリント基板6の接触面に接続されることが読み取れる。
そうすると、甲第1号証には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「弁コイル4を有する電気油圧式の圧力調整装置であって、弁ブロック2、弁ブロック2に取付けられる弁コイル4、弁コイル4を覆って弁ブロック2に結合可能な金属ボックス、及びコントローラ電子機器7をその上に備えるプリント基板6を有するものにおいて、プリント基板6が金属ボックスに固定され、プリント基板6の接触面に、弁コイル4の上部に設けられた電気コンタクト(導電性接触ばね)が接続されていることを特徴とする装置。」

(ウ)周知技術1
甲第4号証において、


」(第2欄第26行?同第44行)
(当審部分訳:「図1は、制御装置1を示している。・・・制御装置のハウジングは、金属製の底部プレート10と、プラスチックから成るハウジングカバー30とから形成される。・・・
ハウジング10,30内には、電子的な回路23が位置している。この回路は、図示しない形式で、底部プレート10の隆起部上にも被着されていて良い。・・・」)




」(第3欄第59行?第4欄第13行)
(当審部分訳:「図3aは、圧入結合部の領域における底部プレート10と、ハウジングカバー30の当て付け領域14とを示している。押し込みピン41は・・・
底部プレート10の第1の穴13は、・・・ピン41を中心穴45内に圧入する際に顕著な材料押し退けが圧入ブッシュ内で生じ、この材料押し退けは、生ぜせしめられるプレス嵌めの高い機械的な強度をもたらす。・・・」)




と記載されているように、部材の結合手段として「押し込みピン41」のようなプレスばめ結合手段の利用は周知技術(以下、「周知技術1」という。)である。

(エ)周知技術2
甲第2号証において、

「 【0011】
実施例の説明
図1に縦断面図で示した車両ブレーキシステムのためのブレーキ装置は、いわゆる液圧ブロック10に固定されている。この液圧ブロック内には、ブレーキ回路に接続されている液圧通路11が延びている。ブレーキ装置は、液圧通路11内の液圧を測定する圧力センサ12と、測定値を評価するための制御電子機器13と、制御信号発生器とを有している。圧力センサ12は、液圧通路11に開口するように液圧ブロック10に設けられた孔14内に液密に装着されており、制御電子機器13は、圧力センサ12上に被せられるようにその開放端面で液圧ブロック10に載着されここで固定されたドーム状のケーシング15に取り付けられている。制御電子機器13はこの場合、エレクトロニクボックス16内に収容されていて、手前でケーシング15内に保持されている打ち抜きグリッド17に電気的に接続されている。この打ち抜き成形により形成された打ち抜きグリッド17は、エレクトロニクボックス16とは反対側の下面171に、圧両センサ12との電気的な接続のための全部で4つのコンタクト面18を支持している。」

「 【0015】
圧力センサ12と制御電子機器13との間の電気的な接続は、全部で4つのばねコンタクトピン36(図1及び図2)によって行われる。これらのばねコンタクトピン36は、絶縁部材37に形成されたガイド38に差し込まれている。絶縁部材37はカプセル39に収容されている。このカプセル39は、射出成形により取り囲まれるように被覆された打ち抜きグリッド28,29と、プリント配線板32とを含めて圧力センサ12を同心的に取り囲んでいて、フランジ20に、幾つかの溶接点によって固定されている。カプセル39と、このカプセル39から突出するばねコンタクトピン36とを備えた圧力センサ12は、図2に斜視図で示したように、ブレーキ装置の、予め組み立てることができる完成した下部構造郡を形成している。」

「 【0018】
図7及び図8には、ばねコンタクトピン36の構成のさらに2つの異なる実施例が示されている。これら2つの実施例ではばねコンタクトピン36が2つのコンタクトピン42を有している。これらのコンタクトピン42はスリーブ41内に摺動可能にガイドされていて、両スリーブ端部で突出している。両コンタクトピン42の間で、圧縮コイルばね43が支持されている。各コンタクトピン42には、さらに1つのストッパ44が形成されていて、このストッパはスリーブ41に設けられた対応ストッパ45と協働する。図7の実施例では、各コンタクトピン42がガイド針状部材46を有している。このガイド針状部材46には、圧縮コイルばね43が被せられている。図8の実施例では、このようなガイド針状部材46は設けられておらず、圧縮コイルばねはスリーブ41内でガイドされている。」

と記載されているように、制御電子機器などとの間の電気的な接続手段として、2つのピンを有するコンタクトピンは周知技術(以下、「周知技術2」という。)である。

(オ)甲第3号証の記載の概要
甲第3号証(独国特許出願公開第10036086号明細書)には、以下のように記載されている。



」(第3欄第59?68行)
(当審部分訳:「図1には、電子的な制御器のハウジングが符号1で示されている。・・・ハウジング1には、好適にはハウジングカバーに一体的に結合された複数の当接要素2が設けられている。・・・」)



」(第4欄第44?68行)
(当審部分訳:「図2および図3は、ブレーキ圧制御装置30を示している。・・・ブレーキ圧制御装置は、弁ブロック10内に配置された・・・これらの接触要素14,17は、・・・回路支持体3に、当接面35とは反対の側において、導電的に接触する。コイル9および・・・」)


(カ)甲第5号証の記載の概要
甲第5号証(独国特許出願公開第102010063709号明細書)には、以下のように記載されている。



(当審部分訳:「図1?図3から判るように、・・・第1のコンタクトユニット16と、・・・第2のコンタクトユニット18、18’とを含んでいる。・・・」)


(キ)甲第6号証の記載の概要
甲第6号証(欧州特許出願公開第1207379号明細書)には、



として、「圧力変換器要素30として」の「変形に依存する電気抵抗を備える変換器」について記載されている。


(ク)対比・検討
a 本件訂正発明2について
本件訂正発明2と引用発明とを、主たる構成要件毎に、順次対比する。
まず、引用発明における「弁コイル4を有する電気油圧式の圧力調整装置」は、本件訂正発明2における「操作器(8)を制御する装置(2)」に相当する。
次に、引用発明における「弁ブロック2」、「弁ブロック2に取付けられる弁コイル4」、「弁コイル4を覆って弁ブロック2に結合可能な金属ボックス」、及び「コントローラ電子機器7をその上に備えるプリント基板6」は、それぞれ本件訂正発明2における「基礎ハウジング(4)」、「基礎ハウジング(4)に取付けられる」「操作器(8)」、「操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)」、及び「制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)」に相当するから、引用発明において「弁ブロック2、弁ブロック2に取付けられる弁コイル4、弁コイル4を覆って弁ブロック2に結合可能な金属ボックス、及びコントローラ電子機器7をその上に備えるプリント基板6を有する」ことは、本件訂正発明2において「基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられる」「操作器(8)、」「操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有する」ことに相当する。
また、引用発明において「プリント基板6が金属ボックスに固定され」ている点と、本件訂正発明2において「印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され」ている点とは、「印刷配線板が蓋の内側に固定的に結合され」ている点で共通するといえる。
さらに、引用発明において「プリント基板6の接触面に、弁コイル4の上部に設けられた電気コンタクト(導電性接触ばね)が接続されていること」と、本件訂正発明2において「印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され」ていることとは、「印刷配線板が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面を持ち、操作器が、導電性接触ばねを介して第1の接触面に接続されていること」で共通するといえる。

してみると、両者の一致点及び相違点は、以下のとおりである。

一致点
「操作器を制御する装置であって、基礎ハウジング、基礎ハウジングに取付けられる操作器、操作器を覆って基礎ハウジングに結合可能な蓋、及び制御電子装置を持つ印刷配線板を有するものにおいて、印刷配線板が蓋の内側に固定的に結合され、印刷配線板が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面を持ち、操作器が、導電性接触ばねを介して第1の接触面に接続されていることを特徴とする装置。」

相違点1
本件訂正発明2は「印刷配線板がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され」ているのに対し、引用発明においてはプリント基板6の金属ボックスへの固定手段が不明である点。

相違点2
本件訂正発明2においては、「センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続されている」のに対し、引用発明においては、プリント基板6の接触面に、弁コイル4の上部に設けられた電気コンタクト(導電性接触ばね)が接続されているものの、弁コイル4側に電気的に有効な第2の接触面が設けられているか否かは不明である点。

相違点3
本件訂正発明2においては、「少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられている」のに対し、引用発明においてはプリント基板6の金属ボックスへの固定手段が、その数や配置を含めて不明である点。

(a)相違点1についての検討
周知技術1のプレスばめ結合手段を引用発明におけるプリント基板6の金属ボックスへの固定手段として採用することは、当業者が容易になし得たものである。また、周知技術1の採用により、当業者の容易に予想し得ない効果が生じているとも認められない。

(b)相違点2についての検討
周知技術2の、2つのピンを有するコンタクトピンを、引用発明における電気コンタクト(導電性接触ばね)に換えて、プリント基板6と弁コイル4との電気的接続手段として採用することは、当業者が容易になし得たものである。そしてその際に、コンタクトピンに対向する両面に接触面が設けられることは当然である。また、周知技術2の採用により、当業者の容易に予想し得ない効果が生じているとも認められない。

(c)相違点3についての検討
周知技術1のプレスばめ結合手段を引用発明におけるプリント基板6の金属ボックスへの固定手段として採用することは、当業者が容易になし得たものであり、その際にプレスばめ結合手段をいくつ用いるかといったことは、必要とされる結合強度などに応じて適宜選択されるべき設計事項に過ぎない。しかしながら、プレスばめ結合手段を接触面またはその近くに設けるようにする点は、甲第1,2,4号証には記載も示唆もされておらず、また周知であるとも認められない。(なお、この点は甲第3,5,6号証にも記載も示唆もされていない。)
そして本件訂正発明2は、そのようにプレスばめ結合手段を配置することによって、接触ばねから印刷配線板へ及ぼされる力を吸収して蓋へ転送することができるという特有の効果を奏するものである。

したがって、本件訂正発明2は、当業者であっても、引用発明及び周知技術1,2に基づいて、さらに甲第3,5,6号証に記載された発明に基づいても、容易に発明できたものとはいえない。

b 本件訂正発明6について
本件訂正発明6は、本件訂正発明2の相違点1,2に加えて、次の相違点4を備えるものである。

相違点4
本件訂正発明6は「センサ測定セル(32)及びこれに付属する電子装置(33)が共通なセンサハウジング(36)内に設けられ、接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口(38)に収容され、貫通孔(38)がセンサ測定セル(32)の接触面(34)に付属している」のに対し、引用発明においてはそのような構成を備えていない点。

相違点1,2に関しては、上記「a 本件訂正発明2について」の「(a)相違点1についての検討」及び「(b)相違点2についての検討」に記載したとおりであるので、相違点4について検討する。
例えば、上記甲第5号証にも記載されているように、バネ状のコンタクト(接触ばね)の端部を円筒状の穴に収納するようにした接続構造は周知であるといえる。しかしながら、接触バネの端部が貫通穴に収納され、かつセンサ測定セルの接触面に付属するといった構成は、甲第1,2,4号証には記載も示唆もされておらず、また周知であるとも認められない。(なお、この点は甲第3,5,6号証にも記載も示唆もされていない。)

したがって、本件訂正発明6は、当業者であっても、引用発明及び周知技術1,2に基づいて、さらに甲第3,5,6号証に記載された発明に基づいても、容易に発明できたものとはいえない。

c 本件訂正発明7,10-17について
本件訂正発明7,10-12は、本件訂正発明6の相違点4に係る構成を有しており、また本件訂正発明13-17は、本件訂正発明2の相違点3に係る構成、または本件訂正発明6の相違点4に係る構成を有している。
したがって、本件訂正発明7,10-17は、本件訂正発明2もしくは本件訂正発明6と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術1,2に基づいて、さらに甲第3,5,6号証に記載された発明に基づいても、容易に発明できたものとはいえない。

(2)令和元年5月28日付けで通知した取消理由について
ア 取消理由の概要
当審が令和元年5月28日付けで特許権者に通知した取消理由は、次のとおりである。

請求項14において、
「センサ(6)が圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?13のいずれか1つに記載の装置。」
とある一方、請求項10及び11においては、
「センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、・・・」
と限定されている。
したがって、請求項14が請求項10または11を直接または間接的に引用するものである場合(すなわち、請求項14が請求項10?13のいずれかを引用する場合)、「圧力測定セル」である「センサ測定セル」のセンサが「温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されている」ものを含むこととなり、請求項14の上記記載が、どのような構成を指すものであるのかが不明確である。
したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

イ 判断
訂正によって、請求項14の引用するものから、請求項10,11及びそれらを直接または間接的に引用する部分が除かれたので、上記理由は解消された。

(3)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許異議申立理由の概要
本件特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。

申立理由1
本件訂正発明は、特許法第36条4項1号に規定する要件を満たしていない。
申立理由2
本件の訂正前の請求項1?5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条1項3号に該当する。
申立理由3
本件の訂正前の請求項1?11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と、甲第2号証?甲第6号証に記載の発明との組合せにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 判断
上記申立理由2,3については、上記「(1)平成30年10月24日付けで通知した取消理由について」の「ウ 取消理由2についての判断 」に記載したとおりであるので、上記申立理由1について検討する。

上記申立理由1に関しては、特許異議申立人は特許異議申立書において、
「したがって、本件特許明細書には、センサを制御する手段は開示されているが、センサ測定値を処理する手段は開示されていない。それゆえ、当業者は、・・・センサにより検出されたセンサ測定値を処理するためにどんな手段を設けるべきかを理解することができない。」(第9頁第24行?第10ページ第1行)
と主張している。
しかしながら、一般に圧力センサなどのセンサは、当業者が技術常識をもってすれば、その出力を利用可能な形式(例えば、圧力センサであれば圧力値)に変換処理可能なものとして供給されているのであって、本件特許において想定されているセンサも、そのような一般的なものであると解される。そうすると、単に本件特許明細書の発明の詳細な説明において、センサ測定値を処理する具体的な手段、方法が明示されていないことをもって、本件特許発明を実施することができないとはいえない。
したがって、特許異議申立人の主張は採用することができない。


5.むすび
以上のとおり、本件訂正発明2,6,7,10-17に係る特許については、取消理由通知に記載した取消理由、及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件訂正発明2,6,7,10-17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1,3,4,5,8,9は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議の申立てについて、請求項1,3,4,5,8,9に係る申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする装置。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器(8)を制御する装置(2)であって、基礎ハウジング(4)、基礎ハウジング(4)に取付けられるセンサ(6)及び/又は操作器(8)、センサ(6)及び/又は操作器(8)を覆って基礎ハウジング(4)に結合可能な蓋(10)、及び制御電子装置(21)を持つ印刷配線板(12)を有するものにおいて、印刷配線板(12)がプレスばめ結合手段(26)を介して蓋(10)の内側に固定的に結合され、印刷配線板(12)が、その蓋から遠い方の側に電気的に有効な第1の接触面(30)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)が、その蓋(10)に近い方の側に電気的に有効な第2の接触面(34)を持ち、センサ(6)及び/又は操作器(8)の第2の接触面(34)が、導電性接触ばね(28)を介して第1の接触面(30)に接続され、
センサ測定セル(32)及びこれに付属する電子装置(33)が共通なセンサハウジング(36)内に設けられ、接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部が円筒状の貫通口(38)に収容され、貫通孔(38)がセンサ測定セル(32)の接触面(34)に付属していることを特徴とする装置。
【請求項7】
接触ばね(28)の円筒状のセンサ側端部の外径が、円筒状貫通孔(38)の直径に合わされて、接触ばね(28)が付属する貫通孔(38)に失われないように保持されることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、圧力測定セル(32)が、伸び測定テープを張り付けられるセラミック体として形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項11】
センサ測定セル(32)が圧力測定セル(32)であり、接触ばね(28)のための圧力センサ(6)の接触面(34)が、圧力測定セル(32)上に直接設けられていることを特徴とする、請求項6,7または10に記載の装置。
【請求項12】
少なくとも5?6個のプレスばめ結合手段(26)が、印刷配線板(12)の接触面(30)に対して正確に又は印刷配線板(12)のこれら第1の接触面(30)の近くで印刷配線板(12)に設けられていることを特徴とする、請求項6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
蓋(10)がその内側に内方へ突出する支持突起(40,42)を持ち、これらの突起に、取付けられた状態で印刷配線板(12)が支持されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?12のいずれか1つに記載の装置。
【請求項14】
センサ(6)が圧力センサ、温度センサ、加速度センサ又は湿気センサとして形成されていることを特徴とする、請求項2、6、7、請求項6もしくは7を引用する請求項12またはその請求項12、請求項6もしくは7を引用する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
操作器(8)が、流体流を制御できるように形成されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
センサ(6)及び/又は操作器(8)が保持クランプ(14,16)により基礎ハウジング(4)に取付けられていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?15のいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つのセンサ(6)が圧力センサとして形成され、かつ流体技術的に圧力ホース(18,20)又は金属の圧力導管により、基礎ハウジング(4)の圧力流体を導く通路(22,24)に接続されていることを特徴とする、請求項2,6,7,10?16のいずれか1つに記載の装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-27 
出願番号 特願2013-157135(P2013-157135)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (G01L)
P 1 651・ 121- YAA (G01L)
P 1 651・ 537- YAA (G01L)
P 1 651・ 113- YAA (G01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岡田 卓弥  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 中塚 直樹
梶田 真也
登録日 2018-01-19 
登録番号 特許第6274772号(P6274772)
権利者 ヴアブコ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
発明の名称 センサ測定値を検出して処理しかつ/又は操作器を制御する装置  
代理人 久野 琢也  
代理人 中平 治  
代理人 中村 真介  
代理人 江崎 光史  
代理人 篠原 淳司  
代理人 中平 治  
代理人 篠原 淳司  
代理人 中村 真介  
代理人 江崎 光史  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 鍛冶澤 實  
代理人 鍛冶澤 實  

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