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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する C12Q
管理番号 1357089
審判番号 訂正2019-390097  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-08-21 
確定日 2019-10-25 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6560465号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6560465号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12、16について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6560465号に係る出願(特願2018-568202号)は、平成29年9月29日に出願されたものであって、令和1年7月26日に特許権の設定の登録がなされた。これについて、令和1年8月21日に本件訂正審判が請求された。

第2 請求の要旨および訂正の内容
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6560465号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項12および請求項16について訂正することを認める、との審決を求めるものである。

2 訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項12に「前記第1のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」とあるのを、「前記第1のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項16に「前記第2のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」とあるのを、「前記第2のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」に訂正する。

第3 当審の判断
1 願書に添付した特許請求の範囲および明細書の記載事項
願書に添付した特許請求の範囲および明細書には、次の事項が記載されている。
(1)特許請求の範囲
「【請求項7】
(a)複数のベイト混合物を提供するステップであって、前記複数のベイト混合物のそれぞれがゲノム領域の第1のセットに選択的にハイブリダイズする第1のベイトセットと、ゲノム領域の第2のセットに選択的にハイブリダイズする第2のベイトセットを含み、前記第1のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって異なる濃度であり、前記第2のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって同じ濃度である、ステップと、
(b)前記複数のベイト混合物のそれぞれを核酸試料と接触させるステップであって、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットを用いて前記核酸試料から核酸を捕捉するステップであって、各ベイト混合物における前記第2のベイトセットが、前記第2のベイトセットの飽和点か、またはそれより高い第1の濃度で提供され、前記核酸試料由来の核酸が、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットによって捕捉される、ステップと、
(c)各ベイト混合物を用いて捕捉された前記核酸の一部分をシーケンシングするステップであって、配列リードの割り当てられた数内の配列リードのセットを生ずるステップと、
(d)各ベイト混合物について前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットについての前記配列リードのリード深度を決定するステップと、
(e)前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度を提供する少なくとも1つのベイト混合物を同定するステップと
を含み、前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度が、少なくとも0.0001%のマイナーアレル頻度(MAF)の遺伝的バリアントを検出する感度を提供する、方法。」
「【請求項12】
前記第1のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、請求項7に記載の方法。」
「【請求項16】
前記第2のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、請求項7に記載の方法。」

(2)明細書
ア 背景技術
「【0003】
背景
腫瘍由来遺伝的バリアントのための無細胞核酸(例えば、デオキシリボ核酸またはリボ核酸)の分析は、がん検出、評価、およびモニタリング用途のための典型的な分析パイプラインにおける重要なステップである。無細胞核酸のがん診断アッセイの最新方法は、腫瘍関連体細胞バリアント、例えば、一塩基バリアント(SNV)、コピー数多型(CNV)、融合、および挿入/欠失(インデル)の検出に焦点を当てており、それらは全て液体生検の主流の標的である。典型的な分析アプローチは、ゲノムの標的領域についての核酸試料の富化、次いで、富化された核酸のシーケンシング、および目的の遺伝的バリアントについての配列リードデータの分析を含み得る。これらの核酸は、それぞれの目的のゲノム領域に関連する制限されたシーケンシングロードおよび有用性を含むアッセイ制約に従った、特定のアッセイのために選択されたベイト混合物を使用して、富化することができる。」
イ 課題を解決するための手段
「【0004】
ある態様では、本開示は、ゲノムの1つまたは複数のヌクレオソーム関連領域について選択的に富化する1つまたは複数のベイトセットを含むベイトセットパネルを提供し、ヌクレオソーム関連領域は、差異のあるヌクレオソーム占有を伴う1つまたは複数のゲノム塩基位置を有するゲノム領域を含み、差異のあるヌクレオソーム占有は、起源の細胞もしくは組織型または疾患状態の特徴である。」
「【0057】
・・・
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
・・・
(項目14)
(a)複数のベイト混合物を提供するステップであって、前記複数のベイト混合物のそれぞれがゲノム領域の第1のセットに選択的にハイブリダイズする第1のベイトセットと、ゲノム領域の第2のセットに選択的にハイブリダイズする第2のベイトセットを含み、前記第1のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって異なる濃度であり、前記第2のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって同じ濃度である、ステップと、
(b)前記複数のベイト混合物のそれぞれを核酸試料と接触させるステップであって、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットを用いて前記核酸試料から核酸を捕捉するステップであって、各ベイト混合物における前記第2のベイトセットが、前記第2のベイトセットの飽和点か、またはそれより高い第1の濃度で提供され、前記核酸試料由来の核酸が、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットによって捕捉される、ステップと、
(c)各ベイト混合物を用いて捕捉された前記核酸の一部分をシーケンシングするステップであって、配列リードの割り当てられた数内の配列リードのセットを生ずるステップと、
(d)各ベイト混合物について前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットについての前記配列リードのリード深度を決定するステップと、
(e)前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度を提供する少なくとも1つのベイト混合物を同定するステップと
を含み、前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度が、少なくとも0.0001%のマイナーアレル頻度(MAF)の遺伝的バリアントを検出する感度を提供する、方法。
・・・
(項目19)
前記第1のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、項目14に記載の方法。
・・・
(項目23)
前記第2のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、項目14に記載の方法。」
ウ 発明を実施するための形態
「【0083】
多重解像度分析の一実施形態は、以下のとおり進行する。ゲノムの複数の領域が、シーケンシングのために選択される。これらの領域は、パネルまたはパネルブロックとして集約的に参照され得る。パネルは、ゲノム領域の第1のセットとゲノム領域の第2のセットとに分割される。ゲノム領域の第1のセットは、バックボーン領域として参照され得、一方で、第2のセットは、ホットスポット領域として参照され得る。」
「【0116】
図6は、x軸のインプットベイト量の関数としてのy軸の特有の分子のカウントを示す例示的飽和曲線を示す。各インプット量(ベイト溶液の一連の体積として示される)で、ベイトパネルの量を滴定して曲線を生成した。例示的実験滴定曲線設計を、下記表1および表2に示す。特有の配列リードの数とインプットベイト量との対比を使用して、図6に示すような滴定曲線を生成することができる。
【表1】


「【0137】
目的のゲノム位置の例示的列挙は、表3および表4に見出すことができる。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3の遺伝子の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、または97のうちの少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3のSNVのうちの少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、または70を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3のCNVのうちの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3の融合物のうちの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または6を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3のインデルの少なくとも1、少なくとも2、または3のうちの少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4の遺伝子の少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、少なくとも75、少なくとも80、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも105、少なくとも110、または115のうちの少なくとも一部分を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4のSNVのうちの少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも55、少なくとも60、少なくとも65、少なくとも70、または73を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4のCNVのうちの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4の融合物のうちの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、または6を含む。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4のインデルの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または18のうちの少なくとも一部分を含む。これらの目的のゲノム位置のそれぞれは、所与のベイトセットパネルについてのバックボーン領域またはホットスポット領域として同定され得る。目的のホットスポットゲノム位置の例示的列挙は、表5に見出すことができる。一部の実施形態では、本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表5の遺伝子の少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、または少なくとも20のうちの少なくとも一部分を含む。各ホットスポットゲノム領域は、関連遺伝子、その領域が存在する染色体、遺伝子座を表すゲノムの開始および停止位置、塩基対における遺伝子座の長さ、遺伝子によって網羅されるエクソン、および所与の目的のゲノム領域の捕捉しようとする重要な特長(例えば変異の種類)を含むいくつかの特徴を伴って列挙されている。
【表3】

【表4】


エ 実施例
「(実施例2)
ホットスポットおよびバックボーン滴定
【0175】
この実験では、適切なプローブ複製および各パネルについての飽和点を決定した。ホットスポットおよびバックボーンパネルを、デフォルトプローブ複製および最適化プローブ複製の両方について設計した。ホットスポットパネルは、およそ12kbであり、薬物応答、疾患状態(例えば、がん)、および/または全米総合がん情報ネットワーク(National Comprehensive Cancer Network、「NCCN」)ガイドライン下に列挙されたゲノム標的の指標であり得る、ゲノム標的の領域を標的とする。バックボーンパネルはおよそ140kbであり、パネルコンテンツの残りを網羅する。ホットスポットおよびバックボーンパネルは、表3における任意の遺伝子位置を含み得る。表1に示される5ng、15ngおよび30ngのcfDNAで、4つのパネルそれぞれについて、パネルインプット量について滴定実験を行った。図6は、一般的なパネルについて、インプット量と特有の分子のカウントとの対比を示す。特有の分子のカウントはバックボーンベイトについて約体積3X、ホットスポットベイトについて約体積1.2Xで飽和し(データ示さず)、最適化されたバックボーンパネルがデフォルトパネルと比較して変動が少ないことを示唆した。」

2 訂正事項1についての判断
(1)訂正の目的について
審判請求人は、審判請求書において、訂正事項1は特許法126条1項ただし書2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである旨説明するので、以下に検討する。
請求項12には「前記第1のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」と記載されているが、上記1ウ【0116】のとおり、表1には滴定曲線設計が記載されているだけで、遺伝子は記載されていないから、請求項12の上記記載のうち「表1」が誤記であることは明らかである。
請求項12は請求項7を引用するものであるが、明細書には「本発明の実施形態」として(項目14)に請求項7と同一の事項が記載され、(項目14)を引用する(項目19)には「前記第1のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」ことが記載されている(上記1(2)ウ【0057】)。そして、段落【0137】には、「本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3の遺伝子の少なくとも5、・・・のうちの少なくとも一部を含む。」および「本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4の遺伝子の少なくとも5、・・・のうちの少なくとも一部を含む。」の記載に引き続き、表3および表4に「点変異(SNV)」、「増幅(CNV)」、「融合」および「インデル」といった変異の種類ごとに「AKT1」等の遺伝子名が多数記載されている。実施例においても、「ホットスポットおよびバックボーンパネル」(段落【0083】の記載に照らして、これらはそれぞれ「第1のゲノム領域」および「第2のゲノム領域」に相当すると認められる。)は「表3における任意の遺伝子位置を含み得る。」と記載されている(上記1(2)エ【0175】)。
以上のとおりの明細書の記載に照らせば、請求項12の上記記載のうち「表1」が、正しくは「表3または表4」であることは自明であるといえる。
したがって、訂正前の請求項12の「表1」を「表3または表4」とする訂正事項1は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものと認められる。

(2)願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1による訂正後の請求項12の記載は、願書に最初に添付した外国語書面(国際公開第2018/064629号)の特許請求の範囲の請求項19の記載と一致する。
したがって、訂正事項1は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、上記(1)のとおり、願書に添付した特許請求の範囲および明細書の記載から自明なものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項1は、特許法126条6項に規定される要件に適合する。

(4)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること
訂正後の請求項12に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、訂正事項1は、特許法126条7項に規定される要件に適合する。

3 訂正事項2についての判断
(1)訂正の目的について
審判請求人は、審判請求書において、訂正事項2は特許法126条1項ただし書2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである旨説明するので、以下に検討する。
請求項16には「前記第2のゲノム領域が、表1から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」と記載されているが、上記1ウ【0116】のとおり、表1には滴定曲線設計が記載されているだけで、遺伝子は記載されていないから、請求項16の上記記載のうち「表1」が誤記であることは明らかである。
請求項16は請求項7を引用するものであるが、明細書には「本発明の実施形態」として(項目14)に請求項7と同一の事項が記載され、(項目14)を引用する(項目23)には「前記第2のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む」ことが記載されている(上記1(2)ウ【0057】)。そして、段落【0137】には、「本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表3の遺伝子の少なくとも5、・・・のうちの少なくとも一部を含む。」および「本開示の方法において使用されるゲノム領域は、表4の遺伝子の少なくとも5、・・・のうちの少なくとも一部を含む。」の記載に引き続き、表3および表4に「点変異(SNV)」、「増幅(CNV)」、「融合」および「インデル」といった変異の種類ごとに「AKT1」等の遺伝子名が多数記載されている。実施例においても、「ホットスポットおよびバックボーンパネル」(段落【0083】の記載に照らして、これらはそれぞれ「第1のゲノム領域」および「第2のゲノム領域」に相当すると認められる。)は「表3における任意の遺伝子位置を含み得る。」と記載されている(上記1(2)エ【0175】)。
以上のとおりの明細書の記載に照らせば、請求項16の上記記載のうち「表1」が、正しくは「表3または表4」であることは自明であるといえる。
したがって、訂正前の請求項16の「表1」を「表3または表4」とする訂正事項2は、特許法126条1項ただし書2号に掲げる誤記の訂正を目的とするものと認められる。

(2)願書に最初に添付した外国語書面の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2による訂正後の請求項16の記載は、願書に最初に添付した外国語書面(国際公開第2018/064629号)の特許請求の範囲の請求項23の記載と一致する。
したがって、訂正事項2は、「願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(外国語書面出願に係る特許にあっては、外国語書面)」に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項に適合する。

(3)実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2は、上記(1)のとおり、願書に添付した特許請求の範囲および明細書の記載から自明なものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項2は、特許法126条6項に規定される要件に適合する。

(4)特許出願の際独立して特許を受けることができるものであること
訂正後の請求項16に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができる発明でないとする理由は見出せない。
したがって、訂正事項2は、特許法126条7項に規定される要件に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判の請求は、特許法126条1項ただし書き2号に掲げる事項を目的とし、かつ同条5項ないし7項に規定される要件に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゲノム領域について富化するための方法であって、
(a)所定量の試料由来の核酸を、
(i)前記試料由来の核酸のゲノム領域の第1のセットに選択的にハイブリダイズする第1のベイトセットであって、前記第1のベイトセットの飽和点未満である第1の濃度で提供される第1のベイトセットと、
(ii)前記試料由来の核酸のゲノム領域の第2のセットに選択的にハイブリダイズする第2のベイトセットであって、前記第2のベイトセットの飽和点か、またはそれより高い第2の濃度で提供される第2のベイトセットと
を含むベイト混合物と接触させるステップと、
(b)前記ゲノム領域の第1のセットおよび前記ゲノム領域の第2のセットについて前記試料由来の核酸を富化するステップであって、それにより、富化された核酸を生ずるステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記第2のベイトセットが、第2のベイトセットのベイトを、
(i)前記第2のベイトセットのベイトの捕捉効率を、前記ベイトの濃度の関数として測定すること、および
(ii)滴定曲線内の変曲点を同定し、それにより、前記ベイトに関連する飽和点を同定すること
によって生成される前記滴定曲線に供するとき、前記第2のベイトセットのベイトに関連する実質的に全ての飽和点より大きい飽和点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のベイトセットの前記飽和点が、観測された捕捉効率が第1の濃度の2倍のベイトの濃度で第1の濃度の捕捉効率の10%未満で増加するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のベイトセットまたは前記第2のベイトセットが、ゲノムの1つまたは複数のヌクレオソーム関連領域について選択的に富化し、前記ヌクレオソーム関連領域が、差異のあるヌクレオソーム占有を伴う1つまたは複数のゲノム塩基位置を有するゲノム領域を含み、前記差異のあるヌクレオソーム占有が、起源の細胞もしくは組織型または疾患状態の特徴である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(c)複数の配列リードを生ずるために、前記富化された核酸をシーケンシングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
(d)前記試料由来の核酸を表す核酸配列を含む出力を生じるステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(a)複数のベイト混合物を提供するステップであって、前記複数のベイト混合物のそれぞれがゲノム領域の第1のセットに選択的にハイブリダイズする第1のベイトセットと、ゲノム領域の第2のセットに選択的にハイブリダイズする第2のベイトセットを含み、前記第1のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって異なる濃度であり、前記第2のベイトセットが前記複数のベイト混合物にわたって同じ濃度である、ステップと、
(b)前記複数のベイト混合物のそれぞれを核酸試料と接触させるステップであって、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットを用いて前記核酸試料から核酸を捕捉するステップであって、各ベイト混合物における前記第2のベイトセットが、前記第2のベイトセットの飽和点か、またはそれより高い第1の濃度で提供され、前記核酸試料由来の核酸が、前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットによって捕捉される、ステップと、
(c)各ベイト混合物を用いて捕捉された前記核酸の一部分をシーケンシングするステップであって、配列リードの割り当てられた数内の配列リードのセットを生ずるステップと、
(d)各ベイト混合物について前記第1のベイトセットおよび前記第2のベイトセットについての前記配列リードのリード深度を決定するステップと、
(e)前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度を提供する少なくとも1つのベイト混合物を同定するステップと
を含み、前記ゲノム領域の第2のセットについてのリード深度が、少なくとも0.0001%のマイナーアレル頻度(MAF)の遺伝的バリアントを検出する感度を提供する、方法。
【請求項8】
前記第2のベイトセットが、滴定に供するときに飽和点を有し、滴定が、
(i)前記第2のベイトセットの捕捉効率を、ベイトの濃度の関数として測定すること、および
(ii)前記滴定曲線内の変曲点を同定することであって、それにより、前記第2のベイトセットに関連する飽和点を同定すること
を含む滴定曲線を生成することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記飽和点が、観測された捕捉効率が第1の濃度の2倍のベイトの濃度で第1の濃度の捕捉効率の10%未満で増加するように選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のベイトセットまたは前記第2のベイトセットが、ゲノムの1つまたは複数のヌクレオソーム関連領域について選択的に富化し、前記ヌクレオソーム関連領域が、差異のあるヌクレオソーム占有を伴う1つまたは複数のゲノム塩基位置を有するゲノム領域を含み、前記差異のあるヌクレオソーム占有が、起源の細胞もしくは組織型または疾患状態の特徴である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記ゲノム領域の第1のセットが、1つまたは複数の行動指針を与え得る変異を含み、前記1つまたは複数の行動指針を与え得る変異が、
(i)投薬標的化可能な変異、
(ii)治療モニタリングのための変異、
(iii)疾患特異的変異、
(iv)組織特異的変異、
(v)細胞型特異的変異、
(vi)耐性変異、および
(vii)診断上の変異
の1つまたは複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
第1および第2のゲノム領域が約25キロベース?1,000キロベースのサイズおよび1,000カウント/塩基?50,000カウント/塩基のリード深度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のベイトセットの飽和点が、観測された捕捉効率が第2の濃度の2倍のベイトの濃度で第2の濃度の捕捉効率の10%未満で増加するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ゲノム領域の第2のセットが、1つまたは複数の行動指針を与え得る変異を含み、前記1つまたは複数の行動指針を与え得る変異が、
(i)投薬標的化可能な変異、
(ii)治療モニタリングのための変異、
(iii)疾患特異的変異、
(iv)組織特異的変異、
(v)細胞型特異的変異、
(vi)耐性変異、および
(vii)診断上の変異
の1つまたは複数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のゲノム領域が、表3または表4から選択される少なくとも5つの遺伝子のそれぞれの少なくとも一部分を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のゲノム領域が、約25キロベース?1,000キロベースのサイズおよび1,000カウント/塩基?50,000カウント/塩基のリード深度を有する、請求項7に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2019-09-25 
結審通知日 2019-09-30 
審決日 2019-10-15 
出願番号 特願2018-568202(P2018-568202)
審決分類 P 1 41・ 852- Y (C12Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 松田 芳子  
特許庁審判長 田村 聖子
特許庁審判官 澤田 浩平
長井 啓子
登録日 2019-07-26 
登録番号 特許第6560465号(P6560465)
発明の名称 無細胞核酸の多重解像度分析のための方法  
代理人 石川 大輔  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 秀策  
代理人 山本 健策  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 山本 健策  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 秀策  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 森下 夏樹  
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