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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1357143
審判番号 不服2019-4895  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-12 
確定日 2019-11-14 
事件の表示 特願2016-206065号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成30年4月26日出願公開、特開2018-64811号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月20日の出願であって、平成30年4月10日に手続補正書が提出され、同年8月21日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月5日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年1月21日付けで拒絶査定(謄本の送達日:同年1月29日。以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年4月12日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は、平成30年10月5日付け手続補正書における特許請求の範囲の請求項1?3に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものであると認める(記号A?F1は、分説するため当審にて付した。)。

「【請求項1】
A 遊技媒体を発射して遊技領域に打込むことにより、変動表示を用いる遊技が実行可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機において、
B 前記遊技領域は、遊技媒体が流下可能な経路として、遊技媒体の打分けが可能な第1経路と第2経路とを含み、
C 少なくとも通常状態においては前記第1経路を遊技媒体が流下した方が有利に構成され、
D 少なくとも前記有利状態と、前記通常状態および前記有利状態とは異なる特定状態において、前記第2経路を遊技媒体が流下した方が前記第1経路を遊技媒体が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態に制御する状態制御手段と、
E 前記第2経路への遊技媒体の打込みを促進させることが可能な促進報知を行なう促進報知手段とを備え、
E1 前記促進報知手段は、前記有利状態において前記促進報知を行なうとともに、当該有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときには当該有利状態が終了したときから前記促進報知を行ない、
F 前記促進報知手段が前記促進報知を行なうことに関連して、当該促進報知を実行していることを特定可能な特定信号を、前記遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報として作成する特定信号作成手段をさらに備え、
F1 前記特定信号作成手段は、前記有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、前記促進報知が行われる期間を特定可能な前記特定信号を前記打込み領域情報として作成する遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1及び2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

1.特開2016-131898号公報
2.特開2015-62635号公報

第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(特開2016-131898号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 「【0013】
・・・図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。・・・
【0014】
遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。・・・」

イ 「【0020】
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(第1始動入賞口、第1入球口、固定入球口)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
【0021】
また第1始動口20の右上方には、第2始動口(第2始動入賞口、第2入球口、可変入球口)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。」

ウ 「【0031】
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。」

エ 「【0035】
また図1および図3(A)に示すように、遊技盤2の右下部には第1の表示器類40が配置されている。また図1および図3(B)に示すように、センター装飾体10の右上部には第2の表示器類46が配置されている。第1の表示器類40は、後述する遊技制御用マイコン81によって点灯を制御される表示器類である。これに対して、第2の表示器類46は、後述する演出制御用マイコン91によって点灯を制御される表示器類である。
【0037】
また第1の表示器類40には、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であることを示す右打ち表示器45が含まれている。出玉率とは、遊技領域3に打ち込んだ遊技球の数に対する払出賞球数の割合である。具体的には右打ち表示器45は、例えば1つのLEDから構成されており、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときにはLEDを点灯させ、そうでないときにはLEDを消灯させる。・・・」

オ 「【0039】
特別図柄表示器41では、特別図柄(識別情報)を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた大当たり停止態様の特別図柄(大当たり図柄)である場合には、停止表示された大当たり図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30を開放させる大当たり遊技(第2特別遊技)が行われる。また、停止図柄が予め定めた小当たり停止態様の特別図柄(小当たり図柄)である場合には、停止表示された小当たり図柄の種類(つまり当選した小当たりの種類)に応じた開放パターンにて第2大入賞口35を開放させる小当たり遊技(第1特別遊技)が行われる。・・・」

カ 「【0041】
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図4参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図4参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図4参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値(上限記憶数)は第1特図保留記憶部85aが4個、第2特図保留記憶部85bが1個となっている。
【0042】
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技(大当たり遊技又は小当たり遊技)の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。」

キ 「【0049】
・・・第2の表示器類46には、右打ちランプ47が含まれている。右打ちランプ47は、第1の表示器類40の右打ち表示器45(図3(A)参照)と同様、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であることを示すためのものである。・・・
【0050】
右打ちランプ47は、1つのLEDからなり、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときには点灯し、そうでなければ消灯する。・・・
【0051】
・・・図4及び図5に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。・・・
【0052】
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。・・・
【0060】
図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。・・・」

ク 「【0083】
特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。・・・
【0084】
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図10参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。
【0085】
普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。・・・
【0089】
また、「15R通常大当たり」、又は「16R通常小当たり」に当選して実行された大当たり遊技後の遊技状態は、非時短状態かつ低ベース状態である(図6参照)。この遊技状態を特に、「通常遊技状態」という。・・・
【0091】
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図1参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。」

ケ 「【0092】
5.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図11?図28に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図11に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。・・・
【0093】
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。・・・
【0094】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。・・・
【0095】
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図12に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
【0096】
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図4参照))の検知による検出信号を読み込み、賞球情報としてRAM84の出力バッファに記憶する。・・・
【0097】
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)は、図11の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。・・・
【0098】
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)に次いで、後述するセンサ検出処理(S104)、普通動作処理(S105)、特別動作処理(S106)、振分部材制御処理(S107)、および特定領域センサ処理(S108)を実行する。その後、その他の処理(S110)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。・・・」

コ 「【0111】
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S105)に次いで、図15に示す特別動作処理(S106)を行う。特別動作処理(S106)では、特別図柄表示器41および大入賞口装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特別動作ステータス1,2,3,4,5」を割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合には(S901でYES)、特別図柄待機処理(S902)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合には(S901でNO、S903でYES)、特別図柄変動中処理(S904)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合には(S901,S903で共にNO、S905でYES)、特別図柄確定処理(S906)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合には(S901,S903,S905で共にNO、S907でYES)、大当たり遊技としての特別電動役物処理1(S908)を行い、「特別動作ステータス」が「5」である場合には(S901,S903,S905,S907の全てがNO)、小当たり遊技としての特別電動役物処理2(S909)を行う。・・・」

サ 「【0115】
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1001でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選にはハズレがなく、大当たり当選となる場合を除けば必ず小当たり当選となる上、小当たり遊技では必ず特定領域39を通過することができるようになっている。つまり、第2特図保留に基づく抽選がなされれば必ず大当たり遊技が実行される(大当たりに当選する)ようになっている。・・・」

シ 「【0132】
[特別図柄確定処理]図21に示すように、特別図柄確定処理(S906)ではまず、特別図柄の停止時間が経過したか否かを判定する(S1601)。経過していなければ(S1601でNO)、直ちにこの処理を終える。一方、停止時間が経過していれば(S1601でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1602)。
【0133】
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1603)。大当たりフラグがONであれば(S1603でYES)、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1604)。そして、遊技制御用マイコン81は、時短フラグがONか否かを判定し(S1605)、ONでなければステップS1607に進むが、ONであれば時短フラグをOFFして(S1606)ステップS1607に進む。・・・
【0134】
次いで遊技制御用マイコン81は、右打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための右打ち指定コマンド(第1打方指定コマンドに相当)を所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を点灯させる(S1607)。このようにするのは、大当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第1大入賞口30が開放されるからである。その後、遊技制御用マイコン81は、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットして(S1608)、大当たり遊技のオープニングを開始する(S1609)。・・・
【0135】
一方、ステップS1603において大当たりフラグがONでなければ(S1603でNO)、続いて小
当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1611)。小当たりフラグがONであれば(S1611でYES)、特別動作ステータスを「5」にセットする(S1612)。・・・
【0136】
次いで遊技制御用マイコン81は、右打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための右打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を点灯させる(S1613)。このようにするのは、小当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第2大入賞口35が開放されるからである。その後、遊技制御用マイコン81は、小当たり遊技を開始するべく、小当たりのオープニングコマンドをセットして(S1614)、小当たり遊技のオープニングを開始する(S1615)。」

ス 「【0143】
[特別電動役物処理1(大当たり遊技)]特別電動役物処理1は、1種大当たり遊技や2種大当たり遊技といった大当たり遊技(第2特別遊技)の実行のための処理である。図23に示すように、特別電動役物処理1(S908)ではまず、大当たり終了フラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当たり終了フラグは、当選した大当たり遊技において第1大入賞装置31の開放が全て終了したことを示すフラグである。・・・
【0150】
またステップS2001において大当たり終了フラグがONであれば(S2001でYES)、大当たり遊技における第1大入賞口30の開放が全て終了しているので、大当たりのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2014)、エンディング時間が経過していなければ(S2014でNO)処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2014でYES)、大当たり終了フラグをOFFするとともに(S2015)、大当たりフラグをOFFする(S2016)。そして、特別動作ステータスを「1」にセットした後(S2017)、後述の遊技状態設定処理(S2018)を行って、本処理を終える。
【0151】
[遊技状態設定処理]図24に示すように、遊技状態設定処理(S2018)ではまず、今回実行した大当たり遊技が時短当たり(すなわち「4R時短大当たり」、「16R時短小当たりA」、「16R時短小当たりB」、「15R時短大当たり」、又は「16R時短小当たりC」)への当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定する(S2101)。・・・
【0152】
これに対して、ステップS2101の判定結果がNOであれば、ステップS2102及びS2103を行わず、ステップS2104に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非時短状態且つ低ベース状態(通常遊技状態)になる。ステップS2104では、第2特図保留があるか否か、すなわち特図2保留球数が「0」であるか否かを判定する。そして特図2保留球数が「0」でなければ(S2104でYES)、特2保留ありフラグをONして(S2105)、本処理を終える。一方、特図2保留球数が「0」であれば(S2104でNO)、左打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させて(S2106)、本処理を終える。このようにするのは、大当たり遊技の終了とともに遊技者に対して左打ちでの遊技を促すためである。」

セ 「【0192】
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図32に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理を行う(S4301)。・・・
【0194】
[受信コマンド解析処理]図33に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から保留増加コマンド(特図1保留増加コマンド又は特図2保留増加コマンド)を受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば保留球数増加処理を行う(S4402)。・・・
【0202】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信したか否か判定し(S4421)、受信していなければステップS4424に進む。これに対して受信していれば、右打ちランプ47(図3(B)参照)を消灯させるための右打ちランプ消灯データをセットする(S4422)。右打ちランプ47の点灯中に、ステップS4422でセットされた右打ちランプ消灯データに基づいて上述のランプデータ出力処理(図31のステップS4202)が実行されると、右打ちランプ47は消灯する。
【0203】
続いて演出制御用マイコン91は、左打ち画像表示処理(S4423)を行う。左打ち画像表示処理(S4423)では、所定の左打ち画像を表示画面7aに表示するための左打ち画像表示コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。・・・
【0204】
ステップS4423でセットされた左打ち画像表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の左打ち画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。このとき、後述の右矢印画像RIの表示は終了する。本形態では左打ち画像は、図50に示すように、左向きの矢印と「左打ち」の文字からなる左矢印画像LI1と、「左打ちに戻してください」の文字画像LI2とからなる。・・・
【0205】
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から右打ち指定コマンドを受信したか否か判定し(S4424)、受信していなければステップS4427に進む。これに対して受信していれば、右打ちランプ47(図3(B)参照)を点灯させるための右打ちランプ点灯データをセットする(S4425)。ステップS4425でセットされた右打ちランプ点灯データに基づいて上述のランプデータ出力処理(図31のステップS4202)が実行されると、右打ちランプ47は点灯する。
【0206】
続いて演出制御用マイコン91は、右矢印画像表示処理(S4426)を行う。右矢印画像表示処理(S4426)では、所定の右矢印画像RI(例えば図47(a)参照)を表示画面7aに表示するための右矢印画像表示コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。・・・
【0207】
ステップS4426でセットされた右矢印画像表示コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、右向きの矢印と「右打ち」の文字からなる右矢印画像RIを、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。右矢印画像RIの表示による右打ち報知は、「打込報知」に相当する。本形態では、原則として、右矢印画像RIの表示は、右打ち指定コマンドの受信時に開始され、左打ち指定コマンドの受信時に終了する。つまり、大当たり遊技中や特図2の抽選に基づく小当たり遊技中、時短状態且つ高ベース状態(特典遊技状態)中、第2特図保留がある状態で通常遊技状態に制御されたときには、右矢印画像RIが表示されることとなる。・・・」

上記ア?セの記載事項を総合すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?f1は、本願発明のA?F1に対応させて付与した。)。

「a 遊技盤2を備え、遊技球を発射させるためのハンドル60が設けられ(【0013】)、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が形成され(【0014】)、
遊技領域3には、第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられ、第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選の契機となっており(【0020】)、第1始動口20の右上方には、第2始動口21を備える電チュー22が設けられ、第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選の契機となっており(【0021】)、
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく特別図柄抽選の結果を報知し、停止図柄が大当たり図柄である場合には、大当たり遊技が行われ、停止図柄が小当たり図柄である場合には、小当たり遊技が行われ(【0039】)、
第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値は、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85aに記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85bに記憶され、特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化され、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行し(【0041】?【0042】)、
第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行され、第2特図保留に基づく抽選にはハズレがなく、大当たり当選となる場合を除けば必ず小当たり当選となり(【0115】)、
遊技利益に関する制御を行う主制御基板80には、遊技制御用マイコン81が実装され(【0051】?【0052】)、
演出に関する制御を行うサブ制御基板90には、演出制御用マイコン91が実装される(【0051】、【0060】)、
パチンコ遊技機1において(【0013】)、
b 遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bとがあり、左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を左打ち、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を右打ちといい、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を第1流路R1、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を第2流路R2といい(【0031】)、
c 特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動していない状態を「非時短状態」といい(【0083】)、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能が作動していない状態を「低ベース状態」といい(【0085】)、非時短状態かつ低ベース状態を「通常遊技状態」といい(【0089】)、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行でき(【0091】)、
d 遊技制御用マイコン81の特別動作処理では、遊技制御用マイコン81は、特別図柄確定処理、大当たり遊技としての特別電動役物処理1、小当たり遊技としての特別電動役物処理2を行い(【0111】)、
大当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第1大入賞口30が開放され(【0134】)、
小当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第2大入賞口35が開放され(【0136】)、
e、e1 遊技盤2の右下部には第1の表示器類40が配置され、第1の表示器類40は、遊技制御用マイコン81によって点灯を制御される表示器類であり(【0035】)、
第1の表示器類40には、右打ち表示器45が含まれ、右打ち表示器45は、1つのLEDから構成されており、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときにはLEDを点灯させ、そうでないときにはLEDを消灯させ(【0037】)、
遊技制御用マイコン81は、特別図柄確定処理では、大当たりフラグがONであるか否かを判定し、大当たりフラグがONであれば、右打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための右打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を点灯させ、その後、大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニングコマンドをセットして、大当たり遊技のオープニングを開始し(【0132】?【0134】)、
遊技制御用マイコン81は、特別電動役物処理1では、大当たり終了フラグがONであり、大当たりのエンディングの時間が経過していれば、遊技状態設定処理を行い(【0111】、【0143】、【0150】)、遊技状態設定処理では、今回実行した大当たり遊技が時短当たりへの当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定し、判定結果がNOであれば、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非時短状態且つ低ベース状態(通常遊技状態)になり、第2特図保留があるか否か、すなわち特図2保留球数が「0」であるか否かを判定し、特図2保留球数が「0」であれば、左打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させ(【0151】、【0152】)、
遊技制御用マイコン81は、出力処理では、出力バッファにセットされたコマンドを、サブ制御基板90に出力し(【0095】)、
センター装飾体10の右上部には第2の表示器類46が配置され、第2の表示器類46は、演出制御用マイコン91によって点灯を制御される表示器類であり(【0035】)、
第2の表示器類46には、右打ちランプ47が含まれ、右打ちランプ47は、1つのLEDからなり、右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときには点灯し、そうでなければ消灯し(【0049】?【0050】)、
サブ制御基板90に実装される演出制御用マイコン91は、主制御基板80から右打ち指定コマンドを受信していれば、右打ちランプ47を点灯させるための右打ちランプ点灯データをセットし、セットされた右打ちランプ点灯データに基づいてランプデータ出力処理が実行されると、右打ちランプ47は点灯し(【0205】)、続いて演出制御用マイコン91は、右矢印画像表示処理を行い、右矢印画像表示処理では、所定の右矢印画像RIを表示画面7aに表示するための右矢印画像表示コマンドを出力バッファにセットし(【0206】)、セットされた右矢印画像表示コマンドが画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、右向きの矢印と「右打ち」の文字からなる右矢印画像RIを画像表示装置7の表示画面7aに表示し(【0207】)、
演出制御用マイコン91は、主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信していれば、右打ちランプ47を消灯させるための右打ちランプ消灯データをセットし、右打ちランプ47の点灯中に、セットされた右打ちランプ消灯データに基づいてランプデータ出力処理が実行されると、右打ちランプ47は消灯し(【0202】)、続いて演出制御用マイコン91は、左打ち画像表示処理を行い、左打ち画像表示処理では、所定の左打ち画像を表示画面7aに表示するための左打ち画像表示コマンドを出力バッファにセットし(【0203】)、セットされた左打ち画像表示コマンドが画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の左打ち画像を画像表示装置7の表示画面7aに表示し、このとき、右矢印画像RIの表示は終了し(【0204】)、
右矢印画像RIの表示は、右打ち指定コマンドの受信時に開始され、左打ち指定コマンドの受信時に終了するものであり、大当たり遊技中や第2特図保留がある状態で通常遊技状態に制御されたときには、右矢印画像RIが表示される(【0207】)、
f1 パチンコ遊技機1(【0013】)。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献2(特開2015-62635号公報)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。)。

ア 「【0029】
このように本実施形態の遊技機10においては、遊技球が流下する遊技領域32のうち、センターケース40の左方の領域が左側遊技領域とされ、センターケース40の右方の領域が右側遊技領域とされている。そして、遊技者が発射勢を調節して左側遊技領域へ遊技球を発射(いわゆる左打ち)することで始動入賞口36への入賞を狙うことができ、右側遊技領域へ遊技球を発射(いわゆる右打ち)することで普通変動入賞装置37、第1特別変動入賞装置38、第2特別変動入賞装置39への入賞を狙うことができるようになっている。」

イ 「【0038】
さらに、本実施形態の一括表示装置50は、左打ちよりも右打ちの方が有利な遊技状態であることを報知する右打ち報知部を備えている。
この右打ち報知部は、LEDランプ等で構成され、例えば、右打ちよりも左打ちの方が遊技者にとって有利な遊技状態の場合にはランプを消灯状態にし、左打ちよりも右打ちの方が遊技者にとって有利な遊技状態の場合にはランプを点灯状態にする。」

ウ 「【0048】
・・・遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下、遊技用マイコンと称する)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。」

エ 「【0073】
さらに、出力部130には、データバス140に接続され図示しない認定機関の試射試験装置へ変動表示ゲームの特図図柄情報を知らせるデータや大当りの確率状態を示す信号などを中継基板70を介して出力するバッファ133が実装可能に構成されている。・・・」

オ 「【0102】
以下、このような遊技を行う遊技機の制御について説明する。まず、上記遊技制御装置100の遊技用マイクロコンピュータ(遊技用マイコン)111によって実行される制御について説明する。遊技用マイコン111による制御処理は、主に図5及び図6に示すメイン処理と、所定時間周期(例えば、4m秒)で行われる図9に示すタイマ割込み処理とからなる。」

カ 「【0121】
〔タイマ割込み処理〕
次に、タイマ割込み処理について説明する。このタイマ割込み処理は、クロックジェネレータ内のCTC回路で生成される周期的なタイマ割込み信号がCPU111Aに入力されることで開始される。遊技用マイコン111においてタイマ割込みが発生すると、図9のタイマ割込み処理が開始される。・・・
【0123】
・・・次いで、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS108)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS109)を行う。」

キ 「【0180】
〔特図ゲーム処理〕
次に、前述のタイマ割込み処理における特図ゲーム処理(ステップS108)について説明する。この特図ゲーム処理では、始動口1スイッチ36a及び始動口2スイッチ37aの入力の監視と、特図変動表示ゲームに関する処理全体の制御、特図の表示の設定を行う。・・・
【0184】
・・・ステップA9にて、特図ゲーム処理番号が「2」の場合は、特図変動表示ゲームの遊技結果が大当り又は小当りであれば、大当り又は小当りの種類に応じたファンファーレコマンドの設定や、各大当り又は小当りの大入賞口開放パターンに応じたファンファーレ時間の設定や、ファンファーレ/インターバル中処理を行うために必要な情報の設定等を行う特図表示中処理(ステップA12)を行う。」

ク 「【0275】
〔特図表示中処理〕
次に、前述の特図ゲーム処理における特図表示中処理(ステップA12)について説明する。・・・
【0280】
・・・次いで、大入賞口開放情報と、普図変動表示ゲーム及び特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率の状態に対応する右打ち判定フラグを生成する(ステップA726)。本実施形態の場合、ステップA726において、左打ちよりも右打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがONされ、右打ちよりも左打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがOFFされる。
【0281】
次いで、右打ち判定フラグに対応する右打ち報知LEDの表示番号を遊技状態表示番号2領域にセーブする(ステップA727)。本実施形態の場合、ステップA727において、右打ち判定フラグがONである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LED(一括表示装置50に設けられている右打ち報知部)をONする表示番号がセーブされ、右打ち判定フラグがOFFである場合に、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをOFFする表示番号がセーブされる。
次いで、右打ち判定フラグに対応する右打ちに関する信号を試験信号出力データ領域にセーブする(ステップA728)。本実施形態の場合、ステップA728において、右打ち判定フラグがONである場合には、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をON(右打ち)がセーブされ、右打ち判定フラグがOFFである場合には、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をOFF(左打ち)がセーブされる。・・・」

上記ア?クの記載事項を総合すると、引用文献2には次の事項が記載されていると認められる。

「遊技者が左側遊技領域へ遊技球を発射(左打ち)することで始動入賞口36への入賞を狙うことができ、右側遊技領域へ遊技球を発射(右打ち)することで普通変動入賞装置37、第1特別変動入賞装置38、第2特別変動入賞装置39への入賞を狙うことができる遊技機10であって(【0029】)、
LEDランプを点灯状態にすることにより、左打ちよりも右打ちの方が有利な遊技状態であることを報知する右打ち報知部と(【0038】)、
遊技用マイコン111、出力部130などからなる遊技制御装置100とを備え(【0048】)、
前記出力部130には、認定機関の試射試験装置へ信号を出力するバッファ133が実装可能であり(【0073】)、
遊技用マイコン111による制御処理は、メイン処理とタイマ割込み処理とからなり(【0102】)、
遊技用マイコン111は、前記タイマ割込み処理における特図ゲーム処理において特図表示中処理を行い(【0121】、【0123】、【0180】、【0184】)、
前記特図表示中処理では、左打ちよりも右打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがONされ、右打ちよりも左打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがOFFされ(【0275】、【0280】)、右打ち判定フラグがONである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをONする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をON(右打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされ、右打ち判定フラグがOFFである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをOFFする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をOFF(左打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされる(【0281】)、
遊技機10(【0029】)。」

第5 本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを、分説に従い対比する。

(a)引用発明における構成aの「遊技球」、「遊技領域3」は、それぞれ、本願発明における構成Aの「遊技媒体」、「遊技領域」に相当し、引用発明における構成aの「ハンドル60の操作により発射された遊技球が」「遊技領域3」を「流下する」ことは、本願発明における構成Aの「遊技媒体を発射して遊技領域に打込むこと」に相当する。
また、引用発明における構成aの「特別図柄」の「可変表示」は、本願発明における構成Aの「変動表示」に相当し、引用発明における構成aにおいて、「特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく特別図柄抽選の結果を報知」することは、本願発明における構成Aの「変動表示を用いる遊技が実行可能であ」ることに相当する。
さらに、引用発明における構成aの「大当たり遊技が行われ」る状態は、本願発明における構成Aの「遊技者にとって有利な有利状態」に相当し、引用発明における構成aにおいて、「大当たり遊技が行われ」ることは、本願発明における構成Aの「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能」であることに相当し、引用発明における構成aの「パチンコ遊技機1」は、本願発明における構成Aの「遊技機」に相当する。
してみると、引用発明の構成aは、本願発明の構成Aに相当するものである。

(b)引用発明における構成bの「第1流路R1」及び「第2流路R2」は、それぞれ、本願発明における構成Bの「遊技媒体が流下可能な経路として」の「第1経路」及び「第2経路」に相当する。
そして、引用発明における構成bの「第1流路R1」は、「左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方」である「左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路」である一方、引用発明における構成bの「第2流路R2」は、「右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方」である「右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路」であることから、引用発明における構成bの「第1流路R1」と「第2流路R2」は、本願発明における構成Bの「遊技媒体の打分けが可能な第1経路と第2経路」に相当する。
してみると、引用発明の構成bは、本願発明の構成Bに相当するものである。

(c)引用発明における構成cの「低ベース状態」は、本願発明における構成Cの「通常状態」に相当する。
そして、引用発明において「左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路」である「第1流路R1」が、本願発明の構成Cの「前記第1経路」に相当することは、上記(b)にて説示したとおりであるから、引用発明における構成cの「低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行でき」ることは、本願発明における構成Cの「少なくとも通常状態においては前記第1経路を遊技媒体が流下した方が有利に構成され」ることに相当する。
してみると、引用発明の構成cは、本願発明の構成Cに相当するものである。

(d)引用発明における「大当たり遊技が行われ」る状態が、本願発明における構成Dの「前記有利状態」に相当することは、上記(a)にて説示したとおりであり、引用発明の構成dにおいては、「大当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第1大入賞口30が開放され」るのであるから、かかる「大当たり遊技が行われ」る状態は、第2流路R2を遊技球が流下した方が、第1流路R1を遊技球が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態であることは明らかである。
また、引用発明の構成dにおける「小当たり遊技」が「実行」される状態は、本願発明における構成Dの「前記通常状態および前記有利状態とは異なる特定状態」に相当し、引用発明の構成dにおいては、「小当たり遊技の実行により第2流路R2上に設けられた第2大入賞口35が開放され」るのであるから、かかる「小当たり遊技の実行により」「第2大入賞口35が開放され」る状態は、第2流路R2を遊技球が流下した方が、第1流路R1を遊技球が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態であることは明らかである。
ここで、引用発明における「第1流路R1」及び「第2流路R2」が、それぞれ、本願発明における構成Dの「前記第1経路」及び「前記第2経路」に相当することは、上記(b)にて説示したとおりであるから、引用発明の構成dにおいて、「大当たり遊技が行われ」る状態、及び、「小当たり遊技の実行により」「第2大入賞口35が開放され」る状態が、第2流路R2を遊技球が流下した方が、第1流路R1を遊技球が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態であることは、本願発明の構成Dの「少なくとも前記有利状態と、前記通常状態および前記有利状態とは異なる特定状態において、前記第2経路を遊技媒体が流下した方が前記第1経路を遊技媒体が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態に制御する」ことに相当する。
そして、引用発明の構成dにおいて、「大当たり遊技としての特別電動役物処理1を行い、」「小当たり遊技としての特別電動役物処理2を行」う「特別動作処理を実行」する「遊技制御用マイコン81」は、本願発明の構成Dの「状態制御手段」に相当する機能を有している。
してみると、引用発明の構成dは、本願発明の構成Dに相当するものである。

(e)引用発明における構成e、e1の「右打ち表示器45」は、「右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときにはLEDを点灯させ」るものであり、かかるLEDの点灯が、遊技者に対して右打ちを促すものであることは明らかである。
また、引用発明における構成e、e1の「右打ちランプ47」は、「右打ちを行った方が高い出玉率で遊技を進行することが可能であるときには点灯」するものであり、かかるLEDの点灯が、遊技者に対して右打ちを促すものであることは明らかである。
さらに、引用発明における構成e、e1の「画像表示装置7の表示画面7aに表示」される「右向きの矢印と「右打ち」の文字からなる右矢印画像RI」が、遊技者に対して右打ちを促すものであることは明らかである。
ここで、引用発明において「右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路」である「第2流路R2」が、本願発明の構成Eの「前記第2経路」に相当することは、上記(b)にて説示したとおりであるから、引用発明の構成e、e1における「右打ち表示器45」の「点灯」、「右打ちランプ47」の「点灯」、及び、「右矢印画像RI」の「表示」は、いずれも、本願発明における構成Eの「前記第2経路への遊技媒体の打込みを促進させることが可能な促進報知」に相当する。
そして、引用発明の構成e、e1において、「右打ち表示器45が含まれ」る「第1の表示器類40」の「点灯を制御」する「遊技制御用マイコン81」、及び、「右打ちランプ47が含まれ」る「第2の表示器類46」の「点灯を制御」するとともに、「右矢印画像RIを表示画面7aに表示するための右矢印画像表示コマンドを」「画像制御基板100に送信」する「右矢印画像表示処理を行」う「演出制御用マイコン91」は、いずれも、本願発明における構成Eの「促進報知手段」に相当する機能を有している。
してみると、引用発明の構成e、e1は、本願発明の構成Eに相当する構成を具備している。

(e1)ア 引用発明の構成e、e1において、「遊技制御用マイコン81は、」「大当たりフラグがONであれば、」「右打ち表示器45を点灯させ」るとともに、「右打ち指定コマンドを」「サブ制御基板90に出力し」、「サブ制御基板90に実装される演出制御用マイコン91は、」「右打ち指定コマンドを受信していれば、右打ちランプ47を点灯させる」とともに、「右矢印画像RIを」「表示画面7aに表示」させるものである。
そうすると、引用発明の構成e、e1では、「大当たりフラグがON」である状態、すなわち、「大当たり遊技」が行われる状態において、「遊技制御用マイコン81」は、「右打ち表示器45を点灯させ」、「遊技制御用マイコン81」及び「演出制御用マイコン91」は、「右打ちランプ47を点灯させる」とともに、「右矢印画像RIを」「表示画面7aに表示」させるものと認められる。
そして、引用発明の構成e、e1の「遊技制御用マイコン81」及び「演出制御用マイコン91」が、いずれも、本願発明における構成E1の「前記促進報知手段」に相当する機能を有し、引用発明の構成e、e1における「右打ち表示器45」の「点灯」、「右打ちランプ47」の「点灯」、及び、「右矢印画像RI」の「表示」が、いずれも、本願発明における構成E1の「前記促進報知」に相当することは、上記(e)にて説示したとおりであり、また、引用発明における「大当たり遊技が行われ」る状態が、本願発明における構成E1の「前記有利状態」に相当することは、上記(a)にて説示したとおりである。
してみると、引用発明の構成e、e1は、本願発明の構成E1の「前記促進報知手段は、前記有利状態において前記促進報知を行なう」ことに相当する構成を具備している。

イ 引用発明の構成e、e1において、「遊技制御用マイコン81は、特別電動役物処理1では、大当たり終了フラグがONであり、大当たりのエンディングの時間が経過していれば、遊技状態設定処理を行い、遊技状態設定処理では、今回実行した大当たり遊技が時短当たりへの当選を契機として実行された大当たり遊技であるか否か判定し、判定結果がNOであれば、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非時短状態且つ低ベース状態(通常遊技状態)になり、第2特図保留があるか否か、すなわち特図2保留球数が「0」であるか否かを判定し、特図2保留球数が「0」であれば、左打ちの報知をサブ制御基板90に行わせるための左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットするとともに、右打ち表示器45を消灯させ」るものであるから、引用発明の構成e、e1の「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、特図2保留球数が「0」でなければ、すなわち第2特図保留があれば、左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットすることなく、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させるものと認められる。
また、引用発明の構成e、e1の「遊技制御用マイコン81」は、上記のとおり、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、左打ち指定コマンドを所定の出力バッファにセットしないものと認められ、また、引用発明の構成e、e1の「演出制御用マイコン91は、」「主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信していれば、右打ちランプ47を消灯させるための右打ちランプ消灯データをセットし、右打ちランプ47の点灯中に、セットされた右打ちランプ消灯データに基づいてランプデータ出力処理が実行されると、右打ちランプ47は消灯」するものであるから、引用発明の構成e、e1の「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信することなく、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯を継続させるものと認められる。
さらに、引用発明の構成e、e1の「演出制御用マイコン91は、」「主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信していれば、」「左打ち画像表示処理を行い、左打ち画像表示処理では、所定の左打ち画像を表示画面7aに表示するための左打ち画像表示コマンドを出力バッファにセットし、セットされた左打ち画像表示コマンドが画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100のCPU102は、所定の左打ち画像を画像表示装置7の表示画面7aに表示し、このとき、右矢印画像RIの表示は終了」するものであるから、引用発明の構成e、e1の「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、主制御基板80から左打ち指定コマンドを受信することなく、所定の左打ち画像を表示画面7aに表示するための左打ち画像表示コマンドを出力することもなく、大当たり遊技の終了後も、右矢印画像RIの表示を継続させるものと認められる。
以上のとおり、引用発明の構成e、e1において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させ、「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯及び右矢印画像RIの表示を継続させるものと認められる。
そして、引用発明の構成e、e1の「遊技制御用マイコン81」及び「演出制御用マイコン91」が、いずれも、本願発明における構成E1の「前記促進報知手段」に相当する機能を有し、引用発明の構成e、e1における「右打ち表示器45」の「点灯」、「右打ちランプ47」の「点灯」、及び、「右矢印画像RI」の「表示」が、いずれも、本願発明における構成E1の「前記促進報知」に相当することは、上記(e)にて説示したとおりであり、また、引用発明の構成e、e1における「大当たり遊技の終了後」は、本願発明における構成E1の「有利状態が終了したとき」に相当する。
してみると、引用発明の構成e、e1において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させ、「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯及び右矢印画像RIの表示を継続させることは、本願発明の構成E1の「前記促進報知手段は、」「有利状態が終了したときから前記促進報知を行な」うことに相当する。

ウ 引用発明では、「第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行され、」「第2特図保留」が消化されると、「その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行」する(構成a)のであるから、引用発明において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、大当たり遊技の終了後には、第2特図保留に対応する大当たり乱数の判定結果を示すための特別図柄の可変表示が実行されるものと認められる。
そして、引用発明における「大当たり遊技が行われ」る状態、「特別図柄の可変表示」が、それぞれ、本願発明における構成E1の「有利状態」、「変動表示」に相当することは、上記(a)にて説示したとおりであるから、引用発明において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となり、第2特図保留がある場合に、大当たり遊技の終了後に実行される、第2特図保留に対応する大当たり乱数の判定結果を示すための特別図柄の可変表示は、本願発明の構成E1の「有利状態の終了後に実行される変動表示」に相当する。
また、引用発明においては、「第2特図保留に基づく抽選にはハズレがなく、大当たり当選となる場合を除けば必ず小当たり当選とな」り、第2特図保留に基づく抽選が小当たり当選となった場合には、「特別図柄の可変表示」の「停止図柄が小当たり図柄」となって、「小当たり遊技が行われ」るのであり(構成a)、引用発明における「小当たり遊技が行われ」る状態が、本願発明における構成E1の「前記特定状態」に相当することは、上記(d)にて説示したとおりであるから、引用発明における「停止図柄が小当たり図柄」となる「特別図柄の可変表示」は、本願発明の構成E1の「前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示」に相当する。
そうすると、引用発明において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となり、第2特図保留がある場合であって、大当たり遊技の終了後に、第2特図保留に対応する大当たり乱数の判定結果を示すための特別図柄の可変表示が実行され、当該第2特図保留に基づく抽選が小当たり当選となって、特別図柄の可変表示の停止図柄が小当たり図柄となるときは、本願発明の構成E1の「有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるとき」に相当する。

エ 上記イにて説示したとおり、引用発明の構成e、e1において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となる場合に、第2特図保留があれば、「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させ、「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯及び右矢印画像RIの表示を継続させるのであるから、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となり、第2特図保留がある場合であって、大当たり遊技の終了後に、第2特図保留に対応する大当たり乱数の判定結果を示すための特別図柄の可変表示が実行され、当該第2特図保留に基づく抽選が小当たり当選となって、特別図柄の可変表示の停止図柄が小当たり図柄となるときにも、「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させ、「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯及び右矢印画像RIの表示を継続させるものと認められる。
そして、引用発明において、大当たり遊技後の遊技状態が通常遊技状態となり、第2特図保留がある場合であって、大当たり遊技の終了後に、第2特図保留に対応する大当たり乱数の判定結果を示すための特別図柄の可変表示が実行され、当該第2特図保留に基づく抽選が小当たり当選となって、特別図柄の可変表示の停止図柄が小当たり図柄となるときが、本願発明の構成E1の「有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるとき」に相当することは、上記ウにて説示したとおりであり、また、引用発明の構成e、e1において、「遊技制御用マイコン81」は、大当たり遊技の終了後も右打ち表示器45の点灯を継続させ、「演出制御用マイコン91」は、大当たり遊技の終了後も右打ちランプ47の点灯及び右矢印画像RIの表示を継続させることが、本願発明の構成E1の「前記促進報知手段は、」「有利状態が終了したときから前記促進報知を行な」うことに相当することは、上記イにて説示したとおりである。
してみると、引用発明の構成e、e1は、本願発明の構成E1の「前記促進報知手段は、」「有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときには当該有利状態が終了したときから前記促進報知を行な」うことに相当する構成を具備している。

オ 上記ア及びエより、引用発明の構成e、e1は、本願発明の構成E1の「前記促進報知手段は、前記有利状態において前記促進報知を行なうとともに、当該有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときには当該有利状態が終了したときから前記促進報知を行な」うことに相当する構成を具備している。

(f1)引用発明における構成f1の「パチンコ遊技機1」は、本願発明における構成F1の「遊技機」に相当する。
してみると、引用発明の構成f1と本願発明の構成F1とは、「遊技機」である点で共通している。

上記(a)?(f1)によれば、本願発明と引用発明とは、
「A 遊技媒体を発射して遊技領域に打込むことにより、変動表示を用いる遊技が実行可能であり、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機において、
B 前記遊技領域は、遊技媒体が流下可能な経路として、遊技媒体の打分けが可能な第1経路と第2経路とを含み、
C 少なくとも通常状態においては前記第1経路を遊技媒体が流下した方が有利に構成され、
D 少なくとも前記有利状態と、前記通常状態および前記有利状態とは異なる特定状態において、前記第2経路を遊技媒体が流下した方が前記第1経路を遊技媒体が流下したときよりも遊技者にとって有利な状態に制御する状態制御手段と、
E 前記第2経路への遊技媒体の打込みを促進させることが可能な促進報知を行なう促進報知手段とを備え、
E1 前記促進報知手段は、前記有利状態において前記促進報知を行なうとともに、当該有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときには当該有利状態が終了したときから前記促進報知を行なう、
F1’ 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点](構成F、F1)
本願発明が、前記促進報知手段が前記促進報知を行なうことに関連して、当該促進報知を実行していることを特定可能な特定信号を、前記遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報として作成する特定信号作成手段をさらに備え、前記特定信号作成手段は、前記有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、前記促進報知が行われる期間を特定可能な前記特定信号を前記打込み領域情報として作成するのに対して、引用発明は、有利状態の終了後に実行される変動表示が特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、促進報知を行う促進報知手段を備えるものの、促進報知手段が促進報知を行なうことに関連して、当該促進報知を実行していることを特定可能な特定信号を、遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報として作成する特定信号作成手段を備えておらず、そのため、有利状態の終了後に実行される変動表示が特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、特定信号作成手段が、促進報知が行われる期間を特定可能な特定信号を打込み領域情報として作成するという構成も備えていない点。

第6 判断
1 相違点について
(1)引用文献2記載の事項
上記第4の「2 引用文献2について」にて説示したとおり、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2記載の事項」という。)が記載されていると認められる。

「遊技者が左側遊技領域へ遊技球を発射(左打ち)することで始動入賞口36への入賞を狙うことができ、右側遊技領域へ遊技球を発射(右打ち)することで普通変動入賞装置37、第1特別変動入賞装置38、第2特別変動入賞装置39への入賞を狙うことができる遊技機10であって、
LEDランプを点灯状態にすることにより、左打ちよりも右打ちの方が有利な遊技状態であることを報知する右打ち報知部と、
遊技用マイコン111、出力部130などからなる遊技制御装置100とを備え、
前記出力部130には、認定機関の試射試験装置へ信号を出力するバッファ133が実装可能であり、
遊技用マイコン111による制御処理は、メイン処理とタイマ割込み処理とからなり、
遊技用マイコン111は、前記タイマ割込み処理における特図ゲーム処理において特図表示中処理を行い、
前記特図表示中処理では、左打ちよりも右打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがONされ、右打ちよりも左打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがOFFされ、右打ち判定フラグがONである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをONする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をON(右打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされ、右打ち判定フラグがOFFである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをOFFする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をOFF(左打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされる、
遊技機10。」

引用文献2記載の事項における「右打ち報知部」は、「LEDランプを点灯状態にすることにより、左打ちよりも右打ちの方が有利な遊技状態であることを報知する」ものであるから、該「右打ち報知部」の「LEDランプ」の「点灯」は、本願発明の「促進報知」に相当するものであり、引用文献2記載の事項における「遊技用マイコン111」は、「特図表示中処理」において、「遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをONする表示番号」を「セーブ」することにより、右打ち報知部のLEDランプを点灯させるものであると認められるから、該「遊技用マイコン111」は、本願発明の「促進報知手段」に相当する機能を有している。
また、引用文献2記載の事項の「遊技用マイコン111」が行う「特図表示中処理」では、「左打ちよりも右打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがONされ、右打ちよりも左打ちの方が有利である場合には、右打ち判定フラグがOFFされ、右打ち判定フラグがONである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをONする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をON(右打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされ、右打ち判定フラグがOFFである場合には、遊技状態表示番号2領域に右打ち報知LEDをOFFする表示番号がセーブされるとともに、右打ちに関する信号として、発射位置指定信号をOFF(左打ち)が試験信号出力データ領域にセーブされる」のであり、引用文献2記載の事項においては、右打ち報知部のLEDランプが点灯状態となる期間と、右打ちに関する信号として「発射位置指定信号をON(右打ち)」が出力される期間とが一致するものと認められるから、該「右打ちに関する信号として」の「発射位置指定信号をON(右打ち)」は、本願発明の「促進報知を実行していることを特定可能な特定信号」及び「前記促進報知が行われる期間を特定可能な前記特定信号」に相当し、引用文献2記載の事項の「遊技用マイコン111」は、本願発明の「特定信号作成手段」に相当する機能も有している。
さらに、引用文献2記載の事項における「発射位置指定信号をON(右打ち)」は「右打ちに関する信号」であり、「右打ち」とは、右側遊技領域へ遊技球を発射することであるから、該「右打ちに関する信号として」の「発射位置指定信号をON(右打ち)」は、本願発明の「遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報」にも相当する。
してみると、引用文献2記載の事項は、促進報知手段(「遊技用マイコン111」)が促進報知(「右打ち報知部」の「LEDランプ」の「点灯」)を行なうことに関連して、当該促進報知を実行していることを特定可能であるとともに前記促進報知が行われる期間を特定可能な特定信号(「右打ちに関する信号として」の「発射位置指定信号をON(右打ち)」)を、遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報として作成する特定信号作成手段(「遊技用マイコン111」)を備えるという構成を具備している。

(2)周知の課題
遊技媒体を打込むべき領域が遊技状態に応じて切り替わる遊技機において、遊技機の入賞率や賞球獲得率といった性能を遊技機外部に設けた試験装置による試射試験で確認する際に、遊技状態に応じて切り替わる遊技媒体を打込むべき領域を、試験装置側で正確に把握できるようにして、試射試験を容易かつ正確に行えるようにすることは、以下に例示する特開2013-22250号公報や特開2005-253698号公報に記載されているように、本願出願前において周知の課題(以下、「周知の課題」という。)であったといえる。

・特開2013-22250号公報(以下、「周知例1」という。)の記載事項(下線は当審にて付した。)

ア 「【0003】
このような遊技機としては、第1種パチンコ遊技機における大当り遊技状態、および第3種パチンコ遊技機における権利発生状態のような条件装置作動時に、遊技領域における右側領域に設置されている大入賞口が開放状態に制御されるが、大入賞口を開放状態にしたときに、試験信号として、右打ち(を狙う)に対応する発射位置指定信号を出力するものがあった(特許文献1)。ここで、試験信号とは、遊技機の制御状態を遊技機外部に設けた試験装置で確認できるようにするための試験信号をいい、第三者機関による形式試験を行なうときに出力される。・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のような従来の遊技機では、条件装置作動時において、発射位置指定信号のような遊技球を打込むべき領域を特定する試験信号を、大入賞口が開放された時点から出力する制御が行なわれることが示されているように、たとえば、第3種パチンコ遊技機のような条件装置作動時においてさらに所定領域への遊技球の進入を条件として大入賞口が開放状態となる遊技機については、遊技の進行させ方が、煩雑なものになるという問題があった。」

イ 「【0106】
また、CPU56は、所定の試験信号を作成して外部に出力する。ここで、試験信号とは、パチンコ遊技機1の制御状態を遊技機外部に設けた試験装置で確認できるようにするための試験信号をいい、保安電子通信技術協会のような第三者機関による形式試験を行なうときに出力される。パチンコ遊技機1については、第三者機関による形式試験を受けることが義務付けられており、その試験の結果、所定の規格に適合する機種のみが製品として出荷することが許される。その試験内容は、たとえば、1分間に発射できる遊技球数、1回の入賞で払出される賞球数、電動役物の性能、変動表示装置の性能等、多岐にわたる。このように、パチンコ遊技機1については、量産を行なう前の段階で、試験が行なわれる。
【0107】
CPU56において作成される試験信号には、入賞検出信号、大当り情報、確率変動情報、変動表示装置(第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、演出表示装置9)の作動状態を示す情報、普通電動役物14の作動状態を示す情報、普通図柄表示器10の作動状態を示す情報、発射玉の有無を示す情報、および、右打ち,左打ちのような打込むべき領域を示す情報等の複数種類の信号が含まれている。
【0108】
主基板31においては、CPU56で作成された試験信号を外部に出力するための試験信号コネクタ310を搭載するための電気部品であるコネクタ搭載部311が設けられている。・・・このため、遊技機の試験を行なう際には、前述のような複数種類の試験用信号を一括して外部出力させることができる。これにより、打玉の発射に関する適合性試験、および、賞球の払出しに関する適合性試験、可変入賞球装置15に関する適合性試験等からなる形式試験を容易に行なうことができる。」

ウ 「【0371】
試験端子処理においては、権利発生状態であるとき、開放制御状態であるとき、および、高ベース状態であるときには、試験信号として右打ち信号が出力され、低ベース状態であるときには、試験信号として左打ち信号が出力されるので、変遷する遊技状態に応じて打込むべき領域を特定する信号を試験信号として出力することができる。
【0372】
なお、このような試験信号として、右打ち信号および左打ち信号を出力するときには、試験装置において、遊技機から外部出力された右打ち信号および左打ち信号に基づいて、試験対象の遊技機の打球操作ハンドルをアーム等で操作するこにより、右打ち信号および左打ち信号に応じて、自動的に打球操作ハンドルを操作することで、遊技状態に応じた打球発射試験を行なうようにしてもよい。・・・」

・特開2005-253698号公報(以下、「周知例2」という。)の記載事項(下線は当審にて付した。)

ア 「【0002】
・・・遊技機の遊技領域には複数の入賞領域が設けられ、また、遊技状態が変化すると入賞可能になる領域も設けられている。そのような遊技機では、各入賞領域に対する入賞率や賞球獲得率等が設計値通りになっているかどうか確認するために試射試験を行う必要がある。・・・
【0003】
入賞率や賞球獲得率等を正確に計算するには正確な試験時間を設定しなければならないが、試射試験は人手を介して行われるので、試験時間に誤差が生じやすい。試射試験において試験すべきデータは多種類に及び、また、検査結果の信頼性を向上させるために、試験時において、数万発もの打球発射や10時間以上に及ぶ打球発射を継続しなければならない。このように、人手を介した試射試験は誤差が生じやすく、また、試射試験に要する人的工数は膨大である。・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された発明では、遊技状態に応じて遊技者が特定の強度で遊技球を発射するような遊技方法が採られやすい遊技機において、実際の遊技方法に応じた試射試験を効率的に行うことは困難である。例えば、所定の遊技状態では、いわゆる右打ち(遊技領域における右側の領域を狙った強度で遊技球を発射)を行うことが有利である場合に、そのような遊技方法に応じた試射試験を行うには、試験時の遊技状態に応じて、発射制御手段に与える強度信号を人為的に調整する必要がある。遊技状態に応じた検査データを得るために、試験者は、試験中に、常に、遊技機の遊技状態を判断する必要があるが、判断が遅れたり判断を誤ることによって、遊技状態に応じた正確な検査データが得られない可能性がある。」

イ 「【0069】
発射位置指定信号1,2,3は、CPU56が、遊技状態に応じて作成する信号である。例えば、発射位置指定信号1は、遊技者が左打ち(遊技領域7の左側の領域を狙って遊技球を発射する遊技方法)を行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。発射位置指定信号2は、遊技者が中打ち(遊技領域7の中央領域を狙って遊技球を発射する遊技方法)を行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。発射位置指定信号3は、遊技者が右打ちを行うと想定される遊技状態において出力される(オン状態になる)信号である。このように、発射位置指定信号1,2,3は、遊技領域7におけるいずれの領域に向けて打球発射装置から遊技球が発射されるのかを示す発射状態を示す信号である。」

ウ 「【0113】
遊技機からの各試験信号は、例えば、パーソナルコンピュータなどの試験装置(外部装置)に入力される。そして、発射位置指定信号1,2,3の出力状態が、例えば試験装置の表示部に表示されることによって、試験者に報知される。タッチセンサ基板91において外部からの発射試験信号に応じて発射強度を調整可能な遊技機を使用している場合には、試験者は、報知に応じて、試験装置に組み込まれている試射試験装置、または試験装置と連動する試射試験装置から、発射位置指定信号1,2,3の出力状態に応じた強度を示す発射試験信号が出力されるように試射試験装置を調整する。従って、遊技機の遊技状態に応じた発射試験信号を直ちに出力することができ、遊技状態に応じた試射試験を実行することができる。
【0114】
また、試射試験装置におけるアーム状の部材を遊技機の操作ノブ5に接続して機械的に操作ノブ5を操作することによって試射試験を行う場合には、発射位置指定信号1,2,3の出力状態に応じて、手動で、または自動的にアーム状の部材の回動量等を調整する。・・・
【0115】
以上に説明したように、この実施の形態では、遊技機の遊技状態に応じた発射位置指定信号1,2,3を試験信号として出力することによって、試験の際に、遊技機の遊技状態に応じて正確な試射試験データを得ることができるようになる。」

(3)相違点についての判断
パチンコ遊技機は一般に、入賞率や賞球獲得率といった性能を確認するために、遊技機外部に設けた試験装置による試射試験を受ける必要があり(周知例1の記載事項イ、周知例2の記載事項アを参照)、引用発明のパチンコ遊技機も、そのような試射試験を受ける必要があることは自明であるから、上記(2)にて説示した試射試験を容易かつ正確に行えるようにするという周知の課題は、引用発明においても存在するものであるといえる。
また、引用発明と引用文献2記載の事項とは、遊技媒体が流下可能な経路として、遊技媒体の打分けが可能な第1経路と第2経路とを含む遊技機において、第2経路への遊技媒体の打込みを促進させる促進報知を行うという点で機能が共通するものである。
してみると、引用発明において、遊技媒体を打込むべき領域を、試験装置側で正確に把握できるようにして、試射試験を容易かつ正確に行えるようにするために、引用文献2記載の事項を適用して、促進報知手段が促進報知を行なうことに関連して、当該促進報知を実行していることを特定可能な特定信号を、遊技媒体を打込む領域を示す打込み領域情報として作成する特定信号作成手段を備える構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、引用発明は、有利状態の終了後に実行される変動表示が特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、促進報知手段が、第2経路への遊技媒体の打込みを促進させる促進報知を行うものであるから、引用発明に引用文献2記載の事項を適用して、促進報知手段が促進報知を行なうことに関連して、特定信号作成手段が促進報知を実行していることを特定可能な特定信号を作成するものとすれば、該特定信号作成手段は、有利状態の終了後に実行される変動表示が特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、促進報知が行われる期間を特定可能な特定信号を打込み領域情報として作成することとなる。
以上より、引用発明に引用文献2記載の事項を適用して、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

2 効果について
本願発明により奏される効果は、当業者が、引用発明及び引用文献2記載の事項から予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

3 請求人の主張について
請求人は、平成31年4月12日付け審判請求書において、次のとおり主張する(当審注:請求人の主張における「引用文献1」は上記引用文献1に対応し、同じく「引用文献4」は上記引用文献2に対応する。)。

「(3-6)上記4.(3-2)?4.(3-5)にてご説明いたしましたとおり、引用文献1、2には、本願請求項1に係る発明が備える「特定信号作成手段」が開示も示唆もされておらず、引用文献3、4には、本願請求項1に係る発明が備える「前記促進報知手段は、前記有利状態において前記促進報知を行なうとともに、当該有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときには当該有利状態が終了したときから前記促進報知を行ない、」という構成が開示も示唆もされていません。

(3-7)上記4.(3-6)の点から明らかなように、引用文献1-4においては、本願発明とは異なり、例えば本願明細書の段落[0393]-[0400]等に記載された、打込み領域情報に応じて発射操作をする発射操作装置を使用した形式試験において、「前記有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示である」ときに、試験の進行および結果に支障が発生する虞がある、という課題が認識されていません。

(3-8)当然、引用文献1-4においては、本願発明とは異なり、上記4.(3-7)の課題を解決することを目的として、本願請求項1に記載された「前記特定信号作成手段は、前記有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、前記促進報知が行われる期間を特定可能な前記特定信号を前記打込み領域情報として作成する」という構成を備える技術的思想が、開示も示唆もされていません。

(3-9)すなわち、引用文献1-4には、上記4.(3-7)の課題を解決することを目的として、当該課題を解決するための手段である上記4.(3-8)の構成を実現するべく引用文献1-4に記載された発明を互いに組み合わせる動機付けが、開示も示唆もされていません。このため、上記4.(3-7)の課題を解決することを目的として、上記4.(3-8)の構成を実現するために引用文献1-4に記載された発明を互いに組み合わせることは、当業者が容易に想到できる工夫ではありません。

(3-10)さらに、たとえ当業者が、上記4.(3-7)の課題を解決することを目的として、上記4.(3-8)の構成を実現するために引用文献1-4に記載された発明を互いに組み合わせることを想到したとしても、引用文献1-4には、引用文献1-4に記載された発明を互いに組み合わせることによって上記4.(3-8)の構成を実現するための具体的な方法が、開示も示唆もされていません。このため、引用文献1-4に記載された発明を互いに組み合わせることによって上記4.(3-8)の構成を実現することは、当業者が適宜なし得る工夫の範疇を超えているものと思料いたします。」(4.本願発明が特許されるべき理由の(3)本願発明と引用発明との対比)

そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記1(3)にて説示したとおり、遊技媒体を打込むべき領域が遊技状態に応じて切り替わる引用発明の遊技機において、遊技機の性能を遊技機外部に設けた試験装置による試射試験で確認する際に、遊技媒体を打込むべき領域を試験装置側で正確に把握できるようにして、試射試験を容易かつ正確に行えるようにすることは、当業者であれば当然に認識し得る周知の課題であり、かかる周知の課題を解決するために、引用発明に引用文献2記載の事項を組み合わせる動機付けは、十分に存在するといえる。
また、引用発明に引用文献2記載の事項を組み合わせることを阻害するような特段の事情も存在しない。
そして、上記1(3)にて説示したとおり、引用発明は、有利状態の終了後に実行される変動表示が特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、第2経路への遊技媒体の打込みを促進させる促進報知を行うものであるから、かかる引用発明に引用文献2記載の事項を適用して、「前記特定信号作成手段は、前記有利状態の終了後に実行される変動表示が前記特定状態に制御可能な表示結果となる変動表示であるときに、前記促進報知が行われる期間を特定可能な前記特定信号を前記打込み領域情報として作成する」という本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-09-04 
結審通知日 2019-09-10 
審決日 2019-09-30 
出願番号 特願2016-206065(P2016-206065)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小泉 早苗  
特許庁審判長 ▲吉▼川 康史
特許庁審判官 田邉 英治
木村 隆一
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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