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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1357184
審判番号 不服2019-4412  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-04 
確定日 2019-12-03 
事件の表示 特願2014-260279「霧吹き可能な複合液出しキャップ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年7月7日出願公開、特開2016-120923、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年8月9日付け :拒絶理由通知
平成30年10月11日 :意見書及び手続補正書の提出
平成30年12月20日付け :拒絶査定
平成31年4月4日 :審判請求書の提出、同時に手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成30年12月20日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-9に係る発明は、以下の引用文献1-2に記載された発明、引用文献4-5に記載された発明及び引用文献3に例示される周知技術に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2010-006462号公報
2.特開2005-075357号公報
3.特開2010-285202号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2010-126191号公報
5.特開2009-040451号公報

第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正によって請求項1に「前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され、」という事項を追加する補正がなされた。
当該補正が、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるか、また、新規事項を追加するものではないかについて検討する。
まず、当該補正は、当該補正前の請求項1に係る発明の発明特定事項である「連通孔」及び「液溜め部」について、その配設箇所を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、「連通孔」及び「液溜め部」については、出願当初の図面、特に図1(本発明の複合液出しキャップの代表的な形態の側断面を容器口部と共に示す図。)、図4(図1の複合液出しキャップについて、上蓋及び第2の液出しキャップが開放された状態での第1の液出しキャップの下面を、第2の液出しキャップ及び上蓋と共に示す図。)及び図5(図1の複合液出しキャップについて、上蓋及び第2の液出しキャップが開放された状態での第1の液出しキャップの上面を、第2の液出しキャップ及び上蓋と共に示す図。)と共に、出願当初の明細書には「上記の第1の液出しキャップの頂板部9には、容器の内部に通じる連通孔19が形成されており、さらに、この連通孔19の近傍には、頂板部9の上面から液溜め用仕切り壁21が無端状に立ち上がっている。この仕切り壁21により囲まれる領域が液溜め部Zとなり、第2の液出しキャップ3から内容液を霧吹き状に排出するために、この液溜め部Zに内容液が一時的に収容される。・・・」(段落0020)、「・・・図示の実施形態においては(図3及び図4に参照)、これらバンドの中心軸線X、Yが90度の角度をなすように離れて位置している。・・・」(段落0024)及び「・・・従って、この仕切り壁21は背の低いものとしなければならず、このために、仕切り壁21により囲まれる液溜め部Zをできるだけ広く、大面積とすることが望ましく、例えば図4及び図5から明らかなように、液溜め部Zが頂板部9の約半分の面積となるように(半円形に近い形状となるように)、仕切り壁21を形成することが望ましい。」(段落0044)と記載されているから、前記補正によって限定された事項は、出願当初の明細書等の記載からみて自明な事項であり、新規事項を追加するものではないといえる。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1-9に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1-9に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」乃至「本願発明9」という。)は、平成31年4月4日に提出された手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-9に記載された事項により特定されるとおりの発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
スクイズ容器の口部に装着される第1の液出しキャップと、第1の液出しキャップに開閉自在に装着される第2の液出しキャップとを含む複合液出しキャップであって、
第1の液出しキャップは、容器口部に係合固定される筒状側壁と、該筒状側壁の上端部を閉じるように設けられている頂板部とを含み、
前記頂板部には、容器内部に通じる連通孔と共に、該連通孔を通って流れる容器内容液を一時的に溜めるための液溜め部が設けられており、前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され、
第2の液出しキャップは、第1の液出しキャップに着脱自在に係合固定される環状壁と、該環状壁の上端を閉じるように形成され且つ液出し案内筒を備えた天井部を含み、
前記案内筒の内部には、霧吹きノズルの先端部分が嵌入固定されており、
第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが閉じられた状態では、前記霧吹きノズルの他端部が前記液溜め部内に配置され、該他端部を容器内容液中に浸漬させ、スクイズ容器の胴部をスクイズすることにより、前記液溜め部に収容された一定量の容器内容液が前記霧吹きノズルの先端部から霧吹き状に排出され、
第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが開放された状態では、第1の液出しキャップの前記連通孔を通して容器内容液が排出されること、
を特徴とする複合液出しキャップ。」
本願発明2乃至本願発明9は、本願発明1を引用した発明である。

第5 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面と共に次の事項が記載されている。なお、以下の下線は、理解の便宜のため、当審で付した。
「内容物が収容される容器本体の口部に装着される外筒部と、前記内容物を注出する注出口が形成された注出部とを有するキャップ本体と、
前記キャップ本体に第1のヒンジ部を介して連結され、前記注出口を開閉させるとともに、前記内容物を噴射するノズルを有する第1の蓋部と、
前記第1の蓋部に第2のヒンジ部を介して連結され、前記ノズルを開閉させる第2の蓋部と、
を備えていることを特徴とするキャップ。」(特許請求の範囲、請求項1)
「図1に示すように、スクイズ容器100は、キャップ10を容器本体50の口部52に被着した構成である。容器本体50は、内容物を収容する樹脂製のボトルであり、その胴部51がスクイズ可能で復元自在な可撓性を有している。キャップ10が装着される口部52は、略円筒形状の筒部であり、その外周面に雄ねじ53が形成されている。」(明細書段落0015)
「キャップ10は、容器本体50の口部52に装着されるキャップ本体20と、キャップ本体20上に連設された第1の蓋部30と、第1の蓋部30上に連設された第2の蓋部40と、キャップ本体20と第1の蓋部30とを連結する第1のヒンジ部11と、第1の蓋部30と第2の蓋部40とを連結する第2のヒンジ部12とを備えている。」(段落0016)
「キャップ本体20は、円環状の天板部21と、天板部21の外縁部から下方に延びる筒状の外筒部22と、天板部21の外筒部22内部側の面から下方に延びる筒状の内筒部23と、天板部21の内縁部から立ち上がる筒状の突筒部24とを有する。」(段落0017)
「突筒部24の上端部には、突筒部24よりも小径の筒状の注出部27が形成されている。注出部27の内側に、内容物を注出する注出口26が形成されている。注出部27の上端側は、上方に向かって広口の形状となっている。」(段落0019)
「ここで、図2に示すように、パイプ支持部28は、その周壁から四方に延びて注出部27の内壁との間に架設された梁部29a?29dにより注出部27の中心部に支持されるようにキャップ本体20と一体に形成されている。注出部27、パイプ支持部28、及び梁部29a?29dに囲まれた開口部が注出口26である。」(段落0021)
「第1の蓋部30は、図1に示すように、突筒部24と略同径の筒状の外筒部31と、外筒部31の内部を閉塞する円環状の天板部32と、天板部32の内縁部から起立するノズル33と、天板部32のキャップ本体20側の面から下方に延びる筒状の内筒部34と、天板部32の内縁部から下方に延びる筒状のシール筒部36と、を有する。」(段落0022)
「第1の蓋部30は、第1のヒンジ部11を介してキャップ本体20と連結されている。本実施形態において、第1の蓋部30、キャップ本体20、及び第1のヒンジ部11は一体に形成されており、第1のヒンジ部11の弾性変形により第1の蓋部30がキャップ本体20に対して揺動可能になっている。」(段落0023)
「まず、図1及び図3を参照してノズル開口33aを介した注出操作について説明する。
容器本体50に収容された内容物70をノズル開口33aを介して注出するには、まず、容器本体50を把持した状態で、操作片45に手指等を掛けて上方に引き上げる。これにより、第2の蓋部40が第2のヒンジ部12を介して回動し、第1の蓋部30のノズル開口33aが露出する。
そして、容器本体50をスクイズ変形させると、第1の蓋部30により注出口26が閉塞されているので、内容物70はパイプ55とパイプ支持部28の孔部28aとを通じてノズル33の混合室33bに流入する。また、パイプ支持部28とパイプ55との間に設けられた溝部と、孔部28aとを通じて容器本体50内部の空気がノズル33の混合室33bに流入する。このようにして内容物70と空気とが混合室33bで混合される結果、ノズル開口33aから内容物70が霧状に噴射される。・・・」(段落0033)
「次に、注出口26を介した注出操作について図1及び図4を参照して説明する。
内容物70を注出口26を介して注出するには、まず、第2の蓋部40を閉位置に配置した状態で、第1の蓋部30の操作片35に手指等を掛け、操作片35を引き上げる。これにより、第1の蓋部30が第2の蓋部40とともに第1のヒンジ部11を介して回動し、キャップ本体20の注出口26が露出する。そして、図4に示すように、スクイズ容器100を傾けて注出口26を下方に向けることで、内容物70を注出口26から注出することができる。」(段落0035)
「・・・キャップ本体20の外筒部22は、口部52に螺合することで固定されることとしたが、少なくとも口部52に被着されるように構成されていればよい。例えば、外筒部22を口部52に打栓嵌合することで固定されていてもよい。・・・」(段落0042)
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「スクイズ容器の容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に第1のヒンジ部を介して連結された第1の蓋部とを備えたキャップであって、
キャップ本体は、円環状の天板部と、容器本体の口部に被着される天板部の外縁部から下方に延びる筒状の外筒部と、天板部の外筒部内部側の面から下方に延びる筒状の内筒部と、天板部の内縁部から立ち上がる筒状の突筒部とを有し、
第1の蓋部は、その内側がキャップ本体の注出部に嵌合する突筒部と略同径の筒状の外筒部と、外筒部の内部を閉塞する円環状の天板部と、天板部の内縁部から起立するノズルと、天板部のキャップ本体側の面から下方に延びる筒状の内筒部と、天板部の内縁部から下方に延びる筒状のシール筒部と、を有し、
第1の蓋部のノズル開口が露出し、容器本体をスクイズ変形させると、ノズル開口から内容物が霧状に噴射され、
第1の蓋部が第1のヒンジ部を介して回動し、キャップ本体の注出口が露出し、注出口を下方に向けることで、内容物が注出口から注出される、
キャップ。」

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。
「液状物が収納される弾性圧縮可能な胴部を有する容器本体の口部に、前記液状物を噴霧させるキャップ本体とチューブ管と小容器からなる噴射用部材が装着されているスプレー容器であって、該噴射用部材はキャップ本体のキャップの外側の上面中央にスプレー用ノズル部を具備し、該スプレー用ノズル部の上側に液状物が霧状に噴霧されるノズル孔が形成され、さらに垂直断面がU字型で上側周縁に容器本体の液状物を貯液部に一定量注ぎ込み貯える切り欠け口部が形成され、キャップ本体の内側に係合されている小容器とスプレー用ノズル部の内側に挿入され小容器内の液状物を吸い上げるチューブ管が一体化され具備されていることを特徴とするスプレー容器。」(特許請求の範囲、請求項1)
「次に、図2は本発明のスプレー容器の噴射用部材(300)の一実施例を示す斜視図である。噴射用部材(300)はキャップ本体(2)とキャップ本体に接続挿入されているチューブ管(4)と垂直断面がU字型の小容器(3)から構成されている。噴射用部材のキャップ本体(2)は図2に示すようにキャップ本体(2)の後方にヒンジ部(6)を介して開閉蓋(14)が形成され、キャップ本体(2)のスプレー用ノズル部(10)が設けられている反対方向の内側面に支持リブ部が施され、その支持リブ部にチューブ管(4)が接続挿入され、さらにキャップ本体(2)の頂壁部(7)の下側面に形成している環状周壁部および鍔壁部に垂直断面がU字型の小容器(3)の貯液環状周壁部(25)が係合して一体化される。」(段落0038)
したがって、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「液状物が収納される弾性圧縮可能な胴部を有する容器本体の口部に装着される、前記液状物を噴霧させるキャップ本体とチューブ管と小容器からなる噴射用部材であって、キャップ本体のスプレー用ノズル部が設けられている反対方向の内側面に支持リブ部が施され、その支持リブ部にチューブ管が接続挿入され、さらにキャップ本体の頂壁部の下側面に形成している環状周壁部および鍔壁部に垂直断面がU字型の小容器の貯液環状周壁部が係合して一体化された噴射用部材。」

第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明1の「スクイズ容器の容器本体の口部」は、本願発明1の「スクイズ容器の口部」に相当するから、引用発明1の「キャップ本体」は、本願発明1の「第1の液出しキャップ」に相当し、引用発明1の「キャップ本体に第1のヒンジ部を介して連結された」という態様は、本願発明1の「第1の液出しキャップに開閉自在に装着される」という態様に相当するから、引用発明1の「第1の蓋部」は、本願発明1の「第2の液出しキャップ」に相当し、引用発明1の「キャップ」は、本願発明1の「複合液出しキャップ」に相当する。
引用発明1の「容器本体の口部に被着される天板部の外縁部から下方に延びる筒状の外筒部」は、「容器口部に固定される筒状側壁」の限りで、本願発明1の「容器口部に係合固定される筒状側壁」に一致し、引用発明1の「円環状の天板部」は、本願発明1の「該筒状側壁の上端部を閉じるように設けられている頂板部」に相当する。
引用発明1の「天板部の内縁部」は、引用文献1の図1、段落0017及び段落0019の記載によれば、容器本体内部に通じる孔であるから、本願発明1の「容器内部に通じる連通孔」に相当する。
引用発明1の「その内側がキャップ本体の注出部に嵌合する突筒部と略同径の筒状の外筒部」は、本願発明1の「第1の液出しキャップに着脱自在に係合固定される環状壁」に相当し、引用発明1の「外筒部の内部を閉塞する円環状の天板部」は、「該環状壁の上端を閉じるように形成された天井部」の限りで、本願発明1の「該環状壁の上端を閉じるように形成され且つ液出し案内筒を備えた天井部」に一致する。
引用発明1の「第1の蓋部のノズル開口が露出し」という状態は、本願発明1の「第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが閉じられた状態」に相当し、引用発明1の「容器本体をスクイズ変形させると、ノズル開口から内容物が霧状に噴射され」という態様は、「スクイズ容器の胴部をスクイズすることにより、容器内容液が霧吹き状に排出され」という限りにおいて、本願発明1の「スクイズ容器の胴部をスクイズすることにより、前記液溜め部に収容された一定量の容器内容液が前記霧吹きノズルの先端部から霧吹き状に排出され、」に一致し、引用発明1の「第1の蓋部が第1のヒンジ部を介して回動し、キャップ本体の注出口が露出し」という状態は、本願発明1の「第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが開放された状態」に相当し、引用発明1の「注出口を下方に向けることで、内容物が注出口から注出される」という態様は、本願発明1の「第1の液出しキャップの前記連通孔を通して容器内容液が排出される」という態様に相当する。
したがって、本願発明1と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「スクイズ容器の口部に装着される第1の液出しキャップと、第1の液出しキャップに開閉自在に装着される第2の液出しキャップとを含む複合液出しキャップであって、
第1の液出しキャップは、容器口部に固定される筒状側壁と、該筒状側壁の上端部を閉じるように設けられている頂板部とを含み、
前記頂板部には、容器内部に通じる連通孔が設けられており、
第2の液出しキャップは、第1の液出しキャップに着脱自在に係合固定される環状壁と、該環状壁の上端を閉じるように形成された天井部を含み、
第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが閉じられた状態では、スクイズ容器の胴部をスクイズすることにより、容器内容液が霧吹き状に排出され、
第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが開放された状態では、第1の液出しキャップの前記連通孔を通して容器内容液が排出される、
複合液出しキャップ。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は、「第1の液出しキャップ」の「筒状側壁」が「容器口部に係合固定される」のに対し、引用発明1は、「キャップ本体」の「外筒部」が「容器本体の口部に被着される」ことで固定されるものではあるが、係合によって固定されるものであるのか否かが不明な点。
(相違点2)本願発明1は、「第1の液出しキャップ」の「頂板部」に「該連通孔を通って流れる容器内容液を一時的に溜めるための液溜め部が設けられており、前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され」ているのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。
(相違点3)本願発明1は、「第2の液出しキャップ」の「天井部」が「液出し案内筒を備え」ており、「前記案内筒の内部には、霧吹きノズルの先端部分が嵌入固定されて」いるのに対し、引用発明1は、「第1の蓋部」の「天板部」は「ノズル」を有しているに過ぎない点。
(相違点4)本願発明1は、「第1の液出しキャップがスクイズ容器の口部に装着され且つ第2の液出しキャップが閉じられた状態では、前記霧吹きノズルの他端部が前記液溜め部内に配置され、該他端部を容器内容液中に浸漬させ」ているのに対し、引用発明1はそのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点2から検討する。
相違点2に係る本願発明1の、「第1の液出しキャップ」の「頂板部」に「該連通孔を通って流れる容器内容液を一時的に溜めるための液溜め部が設けられており、前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され」た構成は、以下に示すように引用発明1及び引用発明2に基いたとしても当業者が容易に想到できるものではない。
引用発明1の「ノズル」に換えて、引用発明2の「スプレー用ノズル部」及び「チューブ管」からなる構成を採用しようとすると、引用発明1の「第1の蓋部」から「キャップ本体」内にまで「チューブ管」が延びるはずのところ、引用文献1の図1、図3及び段落0021の記載からみて、「チューブ管」が引用発明1の「第1の蓋部」と「キャップ本体」とを串刺しするような状態となり、引用発明1における「第1の蓋部が第1のヒンジ部を介して回動」が不可能になるから、引用発明1の「ノズル」に換えて、引用発明2の「スプレー用ノズル部」及び「チューブ管」からなる構成を採用することには阻害要因がある。
仮に、引用発明1の「ノズル」に換えて、引用発明2の「スプレー用ノズル部」及び「チューブ管」からなる構成を採用し、かつ、引用発明1の「キャップ本体」の「天板部」に、引用発明2の「垂直断面がU字型の小容器の貯液環状周壁部が係合し」たとしても、引用発明1の「キャップ本体」の「天板部」の全部に「垂直断面がU字型の小容器の貯液環状周壁部」が配設されるに過ぎず、「前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され」という構成にはなり得ない。
したがって、本願発明1は、その他の相違点を検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明1及び引用発明2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明2乃至本願発明9について
本願発明2乃至本願発明9も、本願発明1の発明特定事項の全てを含み、さらに技術的限定を加える事項を発明特定事項とするものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-2に記載された発明、引用文献4-5に記載された発明及び引用文献3に例示される周知技術に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
理由1(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1-9は「前記連通孔は前記頂板部の片半部に、前記液溜め部は前記頂板部の他半部に夫々配設され、」という事項を有するものとなっており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に記載された発明、引用文献4-5に記載された発明及び引用文献3に例示される周知技術に基いて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-11-19 
出願番号 特願2014-260279(P2014-260279)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 加藤 信秀  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 石井 孝明
渡邊 豊英
発明の名称 霧吹き可能な複合液出しキャップ  
代理人 小野 尚純  
代理人 奥貫 佐知子  
代理人 小嶋 俊之  
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