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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61C
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61C
管理番号 1357423
審判番号 不服2018-6925  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-22 
確定日 2019-11-26 
事件の表示 特願2016-542738「シリコンデンタルフロス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日国際公開,WO2016/052969,平成29年 5月25日国内公表,特表2017-512506〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)9月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)10月1日 大韓民国,2014年(平成26年)11月20日 大韓民国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 6月29日 :翻訳文提出
平成29年 6月26日付け:拒絶理由通知
平成29年10月 2日 :意見書,補正書の提出
平成30年 1月11日付け:拒絶査定
平成30年 5月22日 :審判請求書,補正書の提出

第2 平成30年5月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年5月22日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である)
「デンタルフロスの両側にリング形の取っ手(20)が形成され、
高伸縮性のシリコンからデンタルフロスと取っ手が一体に成形され、
前記デンタルフロスの取っ手間の長さは2?3cmの長さであり、取っ手を引っ張ることにより20?30cmの長さに伸び、
前記デンタルフロスは表面に突起が形成されており、
前記デンタルフロスの断面が、左右方向の幅より上下方向の幅が長い楕円形であり、
前記デンタルフロスの上下側または上側に、歯茎に触れる部分に陥没した形態の突起溝(15)が形成されており、前記突起溝(15)の間の突起が歯茎をマッサージすることを特徴とする、シリコンデンタルフロス。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の,平成29年10月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「デンタルフロスの両側にリング形の取っ手(20)が形成され、
高伸縮性のシリコンからデンタルフロスと取っ手が一体に成形され、
前記デンタルフロスの取っ手間の長さは2?3cmの長さであり、取っ手を引っ張ることにより20?30cmの長さに伸び、
前記デンタルフロスは表面に突起が形成されていることを特徴とする、シリコンデンタルフロス。」

2 補正の適否
本件補正は,補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「デンタルフロス」について,上記のとおり限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下,「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,米国特許第6003525号明細書(1999年(平成11年)12月21日公開。以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,仮訳は当審による。

a 「This invention relates to elastomer dental floss, disposable flossing units and dental flossing devices. The new elastomer dental floss is effective, and the flossing units are low in cost and disposable.」(第1欄第11?14行)
(仮訳:本発明は,エラストマーデンタルフロス,使い捨てフロッシングユニット,デンタルフロス用器具に関するものである。新規のエラストマーデンタルフロスは効果的であり,フロッシングユニットはコストが低く,使い捨てである。)

b 「FIG. 10 is a view of a unit similar to FIG. 8, wherein the outer surface of the flossing surface has been molded with circumferential corrugations that provide a rough contoured surface.」(第2欄第42?45行)
(仮訳:図10は、図8と同様の図であり,フロスの表面が,粗い表面を提供する環状の波形に成形されている。)

c 「FIG. 1 shows a product with a simple circular section, which typically ranges from about 0.010 to 0.090-inch in diameter, with a preferred size of about 0.06-inch diameter or equivalent dimensions in an elliptical, rectangular or other cross section.」(第3欄第18?23行)
(仮訳:図1は,円形断面を有する製品を示している。典型的には直径が約0.010?0.090インチの範囲にあり,約0.06インチの直径が好適である。または,楕円形,矩形又は他の断面においても同等の寸法である。)

d 「FIG. 8 is a view of an elastomer flossing unit having ends of increased cross section, which is preferably manufactured by an injection molding process. The ends and stretchable length of reduced cross section are formed together of a common material with the ends providing means for holding the flossing unit and for stretching the length.」(第3欄第65行?第4欄第3行)
(仮訳:図8は、射出成形法によって製造するのが好ましい,断面が増大した端部を有するエラストマーフロッシングユニットの図である。端部と,縮小された断面の伸長可能な長さは,共通の材料で一体に成形される。端部はフロッシングユニットを保持し長さを伸長するための手段をもたらす。)

e 「FIG. 10 is an injection molded elastomer flossing unit where the flossing surface is modified to have a selected rough surface. In the illustrated FIG. 10, the injection mold cavity to produce this part has been made by drilling a typical hole that is about 0.06-inch in diameter and then using a tap or threading device to provide surface corrugations or roughness.」(第4欄第13?19行)
(仮訳:図10は,フロス表面が選択された粗面を有するように変更されている,射出成形されたエラストマーフロッシングユニットである。図10に示されるように,この部品を製造する射出成形金型キャビティは,直径約0.06インチの典型的な穴を穿孔し,次いで表面の波形または粗さを提供するためにタップ又はねじ切りデバイスを用いて作製された。)

f 「FIG. 12 shows an individual using an elastomer flossing unit by holding the ends or tabs of the unit, stretching the unit to provide easy placement between adjacent teeth, and moving the floss back and forth to provide an efficient flossing action.」(第4欄第30?34行)
(仮訳:図12は,ユニットの端部又はタブを保持し,隣接する歯の間に容易に配置するためにユニットを延伸し,効率的な掃除作用を提供するためにフロスを前後に移動させることによって,エラストマーフロッシングユニットを使用する個人を示す。)

g 「The preferred elastomers for my elastomer floss invention are olefin thermoplastic elastomer grades that have FDA approval and good elastomeric characteristics. Among the elastomeric characteristics are the ability to be stretched to a moderate elongation or deformed and then return to the original length and shape. Candidate materials were given above. Selected silicone rubber materials are also suitable, but these materials are usually much more expensive than the olefin thermoplastic elastomers that are a preferred material for my invention. Among other suitable materials are polyurethane elastomers and styrene-butadiene thermoplastic elastomers.」(第4欄第54?65行)
(仮訳:本発明のエラストマーフロスに好ましいエラストマーは,FDA承認を有し良好なエラストマー特性を有する,オレフィン系熱可塑性エラストマーである。エラストマーの特性の中には,適度な伸びに伸張しまたは変形して元の長さと形に戻る能力がある。候補物質は,上記のとおりである。選択されたシリコーンゴム材料も適しているが,これらの材料は,一般には,本発明のための好ましい材料であるオレフィン系熱可塑性エラストマーよりもはるかに高価である。他の好適な材料は,ポリウレタンエラストマーとスチレンブタジエン熱可塑性エラストマーである。)

h 「1. A dental floss comprising a filament of elastomeric material having serrated edges throughout a given length and initial cross-section that is stretchable to a reduced cross-section so as to fit between the teeth of a user; the dental floss further including two ends for holding at the length of floss at opposite sides, said ends having a larger cross-section than said initial cross-section of said stretchable filament; said ends being molded in one piece with said stretchable filament, said ends each having a cylindrical portion and a substantially conical portion which tapers from said cylindrical portion down to said initial cross-section of said filament, said cylindrical portions being seized so as to be readily grasped by the fingers of the user.」(第5欄第21行?第6欄第9行(請求項1))
(仮訳:1.デンタルフロスが,与えられた長さ全体にわたって,鋸歯状のエッジと,ユーザの歯との間に適合するように断面が縮小する伸縮自在の初期断面とを有する弾性材料のフィラメントとを有し;デンタルフロスがさらに,両端のフロスの長さで保持する2つの端部を含み,該端部は前記伸縮性フィラメントの初期断面より大きな断面を有し;前記端部が前記伸縮性フィラメントと一体に成形され,前記端部の各々は円筒部と該円筒部から前記フィラメントの初期断面へと先細りしている実質的に円錐形の部分とを有し,前記円筒形部分は,使用者の指によって容易に握られるような大きさとされる,デンタルフロス。)

i 「4. The material of claim 1 having a length stretchable to an elongation of from 20 to 400 percent and having a thickness of from 0.02 to 0.09 inches.」(第6欄第14?16行(請求項4))
(仮訳:4.長さ20?400%の伸びまで伸長可能であり,0.02?0.09インチの厚さを有する,請求項1に記載の材料。)

j 「FIG.8



k 「FIG.10



l 「FIG.12



(イ)上記記載から,引用文献1には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1に記載された技術は,デンタルフロスに関するものである((ア)のa)。

b デンタルフロスの両側に,端部が形成される((ア)のd,h,j,k)。

c デンタルフロスと端部とが一体に成形される((ア)のd,h)。材料としては,シリコーンゴム材料も適している((ア)のg)。

d デンタルフロスの端部間は所定の長さを有する((ア)のj,k)。端部を引っ張ることにより所定の長さの20?400%伸びる((ア)のd,f,i,l)。

e デンタルフロスの表面が環状の波形に成形されている((ア)のb)。

f デンタルフロスの断面形状は,円形のほか,楕円形等もある((ア)のc)。

(ウ)上記(ア),(イ)から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「デンタルフロスの両側に端部が形成され,
シリコンゴムからデンタルフロスと端部が一体に成形され,
前記デンタルフロスの端部間の長さは所定の長さであり,端部を引っ張ることにより所定の長さの20?400%伸び,
前記デンタルフロスは表面が環状の波形に成形されており,
前記デンタルフロスの断面が、楕円形である,
デンタルフロス。」

イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用された,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特開2001-340360号公報(2001年(平成13年)12月11日出願公開。以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯間または歯の歯茎部の隙間に挟まった食片などを歯茎部などを傷つけることなく的確に除去して掃除するデンタルフロスに関するものである。」

「【0013】<第1実施例>本発明の第1実施例を説明すれば、シルクの糸に一定の間隔で結び目を作り、一方ではリング型の取っ手を装備し、反対側にはブラシ手段が具備されたものである。」

「【0014】<第2実施例>図3は、本発明の第2実施例で、ブラシ手段(4)の代わりにリングの形を作った例である。」

「【図3】



(イ)上記記載から,引用文献2には,次の技術が記載されていると認められる。
「デンタルフロスの両端部にリング型の取っ手を設ける技術」

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明は,デンタルフロスに関する技術であり,本件補正発明と,技術分野が共通する。

(イ)引用発明の「端部」は,デンタルフロスの両端に存在し,使用者がデンタルフロスを伸長する際に保持する部分であるから,本件補正発明の「取っ手」に相当する。

(ウ)引用発明の「シリコンゴム」は,大きく伸縮する(上記(2)ア(ア)のi参照。)材料であることから高伸縮性といえ,よって,本件補正発明の「高伸縮性のシリコン」に相当する。

(エ)引用発明の「表面が環状の波形に成形」される点に関し,波形には谷部と山部とが存在し,谷部からみた山部は「突起」であること,また,「成形」すれば,「形成」することとなるから,引用発明の「表面が環状の波形に成形」は,本件補正発明の「表面に突起が形成」に相当する。

(オ)引用発明の「デンタルフロス」はシリコンゴムから成形されるものであるから,本件補正発明の「シリコンデンタルフロス」に相当する。

イ 以上のことから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
【一致点】
「デンタルフロスの両側に取っ手が形成され,
高伸縮性のシリコンからデンタルフロスと取っ手が一体に成形され,
前記デンタルフロスの取っ手間の長さは所定の長さであり,取っ手を引っ張ることにより所定の長さに伸び,
前記デンタルフロスは表面に突起が形成されており,
前記デンタルフロスの断面が,楕円形である,
シリコンデンタルフロス。」

【相違点1】
「取っ手」について,本件補正発明は「リング形」であるのに対し,引用発明はリング形でない点。

【相違点2】
「取っ手間の長さ」について,本件補正発明は「2?3cmの長さ」から「20?30cmの長さに伸び」るのに対し,引用発明は,そのような構成を有しない点。

【相違点3】
デンタルフロス断面の「楕円形」に関し,本件補正発明は,「左右方向の幅より上下方向の幅が長い」のに対し,引用発明は,そのようになっているのか不明である点。

【相違点4】
本件補正発明は「前記デンタルフロスの上下側または上側に、歯茎に触れる部分に陥没した形態の突起溝(15)が形成されており,前記突起溝(15)の間の突起が歯茎をマッサージする」のに対し,引用発明は,そのようになっているのか不明である点。

(4)判断
以下,相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献2には,上記(2)イのとおり,デンタルフロスの両端部にリング型の取っ手を設ける技術が記載されている。
引用発明と引用文献2に記載された発明とは,いずれもデンタルフロスの技術分野に属するものであるし,デンタルフロスの端部に保持するための取っ手を設けるという機能の面でも共通する。
また,引用発明において,取っ手の形状は,保持するという機能を損なわない範囲において適宜変更できることが,当業者であれば理解できる。
してみると,引用発明の取っ手の形状を,引用文献2に記載されたようなリング形状とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

イ 相違点2について
伸長した状態の取っ手間の長さをどの程度とするかは,当業者であれば対象とする使用者等に応じて適宜決定し得ることであるし,伸長した状態の取っ手間の長さを実現するために,伸長前の取っ手間の長さをどの程度とすべきかは,使用する具体的材料等に応じて自ずと決定されるものである。そして,シリコンゴムとして,具体的にどのような材料を使用するかは,コストや伸縮性等を考慮して,当業者であれば適宜決定し得ることである。
よって,引用発明において使用する具体的材料を適宜決定して,伸長した状態の取っ手間の長さを「20?30cm」,伸長前の取っ手間の長さを「2?3cm」とすることは,当業者が適宜決定し得る設計的事項にすぎない。

ウ 相違点3について
楕円形とは,長軸と短軸とを有する形状であるが,断面が楕円形のデンタルフロスを歯の間に入れようとした場合には,歯の間の左右方向の隙間が小さいことに起因して,より長さの短い短軸方向が自然と左右方向となるものと認められる。
よって,引用発明の楕円形も,左右方向の幅より上下方向の幅が長いものと認められるし,仮にそうでないとしても,そのようにすることは,当業者が当然になし得る程度のことである。

エ 相違点4について
引用発明は,表面が環状の波形に成形されるものであり,「環状」は周方向の全てに亘るものであるから,当然にデンタルフロスの上下側にも凹凸(「陥没した形態の突起溝」及び「突起」)が設けられているものである。また,デンタルフロスは,その使用形態から見て歯茎に触れることが明らかである。
そうすると,引用発明も,「前記デンタルフロスの上下側に、歯茎に触れる部分に陥没した形態の突起溝が形成されて」いるものといえる。
また,引用発明において,突起溝の間の突起は,周囲よりも凸であるというその形状に起因して,歯茎に触れた場合に「歯茎をマッサージする」という効果を奏するものと認められる。
よって,相違点4は実質的な相違点ではない。

オ そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

カ したがって,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって,本件補正は特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年5月22日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成29年10月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:米国特許第6003525号明細書
引用文献2:特開2001-340360号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から,「前記デンタルフロスの断面が、左右方向の幅より上下方向の幅が長い楕円形であり、 前記デンタルフロスの上下側または上側に、歯茎に触れる部分に陥没した形態の突起溝(15)が形成されており、前記突起溝(15)の間の突起が歯茎をマッサージする」との限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-17 
結審通知日 2019-06-25 
審決日 2019-07-08 
出願番号 特願2016-542738(P2016-542738)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61C)
P 1 8・ 121- Z (A61C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 立花 啓今井 貞雄  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 寺川 ゆりか
井上 哲男
発明の名称 シリコンデンタルフロス  
代理人 ▲吉▼川 俊雄  

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