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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B25J
管理番号 1357509
審判番号 不服2019-807  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-01-22 
確定日 2019-12-05 
事件の表示 特願2016-549689「部品供給システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月31日国際公開、WO2016/046897〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)9月23日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 5月21日付け :拒絶理由通知書
平成30年 7月25日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年10月16日付け :拒絶査定
平成31年 1月22日 :審判請求書と同時に手続補正書の提出

第2 平成31年1月22日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年1月22日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「対向する1対の平面を備えたひとつの種類の複数の部品を収納する収納部と、
前記収納部から排出された前記複数の部品を散在された状態で支持する部品支持面と、
前記部品支持面からの部品の脱落を防止するための壁面とを有する部品支持部と、
前記部品支持面により支持されている部品を撮像する撮像装置と、
前記部品支持面により支持されている部品の所定の前記対向する1対の平面を1対の爪部で把持する把持具と、
前記1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、前記把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置と、
着脱可能に取り付けられた前記把持具を前記部品支持面の上方において任意の位置に移動させる移動装置と、
前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像された画像の画像データに基づいて、前記把持具による把持対象の部品である対象部品を特定するために、前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置とを作動させ前記把持具が前記部品を把持する場合に、前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉しないと判定された部品を、前記対象部品として、前記把持具によって把持するように、前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する作動制御部と
を有することを特徴とする部品供給システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年7月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「複数の部品を収納する収納部と、
前記収納部から排出された複数の部品を散在された状態で支持する部品支持面と、前記部品支持面からの部品の脱落を防止するための壁面とを有する部品支持部と、
前記部品支持面により支持されている部品を撮像する撮像装置と、
前記部品支持面により支持されている部品の所定の平面を保持する保持具と、
着脱可能に取り付けられた前記保持具を前記部品支持面の上方において任意の位置に移動させる移動装置と、
前記保持具と前記移動装置との作動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像された画像の画像データに基づいて、前記保持具による保持対象の部品である対象部品を特定するために、前記保持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記保持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉しないと判定された部品を、前記対象部品として、前記保持具によって保持するように、前記保持具と前記移動装置との作動を制御する作動制御部と
を有することを特徴とする部品供給システム。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「部品」について、上記のとおり「対向する1対の平面を備えたひとつの種類の」という限定を付加するものである。また、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「保持具」について、上記のとおり「前記対向する1対の平面を1対の爪部で把持する把持具」と限定するとともに、「前記1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、前記把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置」という構成を付加するものである。また、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「制御装置」について、上記のとおり「前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する」という限定を付加するものである。さらに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「判定部」について、上記のとおり「前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置とを作動させ前記把持具が前記部品を把持する場合に、前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉するか否かを判定する」という限定を付加するとともに、「作動制御部」について、上記のとおり「前記判定部によって前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉しないと判定された部品を、前記対象部品として、前記把持具によって把持するように、前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する」という限定を付加するものである。そして、本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2008-62376号公報(2008年(平成20年)3月21日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある(下線は理解の便のため当審にて付与。以下同。)。

「【0028】
以下、各図面を参照するのであるが、図1は、ロボット14を用いて整理箱であるビン12内の対象物Aを拾い上げるためのビンピッキングシステム10を図示している。
【0029】
整理箱であるビン12はトレーに似ているが、側壁13も備えており、該側壁13は側壁13の近くに位置する対象物Aの到達範囲を制限する可能性がある一方で、ビン12が移動されたとき、すなわち持ち上げ、傾斜、揺動などされたときに対象物がビンから落ちる可能性を最小にもする。特別に設計したプラスチック製のビンを使用することができるが、ボール箱などの対象物の出荷用に使用される箱も、蓋を取り除くか、閉鎖折り蓋を取り除くか開口位置に保持した場合、ビン12として使用することができる。ビン12は典型的には搬送され、所定のビン位置または場所で停止する。ビン12はロボット14の到達範囲内で、適切な位置に手動で置くこともできる。視覚システム20はビン12内の対象物を認識するのに使用され、所定の許容差内で拾い上げプロセスのためにビン12が適切に位置づけられたか否かを検査するためのビンの位置決め用カメラ24を備えている。もし、該当しない場合、コンベヤ(図示せず)を用いてビン12を置き直すか、ロボット14によってビン12を持ち上げ、後述のごとくそれを移動してもよい。ビン12は、手動で移動してもよい。
【0030】
図示した実施態様において、ロボット14は、関節的結合のアーム18上に取り付けられた把持部16を有する関節的結合のアームロボットである。なお、図1のロボットは、図示のためにだけ提供されたものであり、図1ではアームは三つの平行な運動の軸心を有して図示されているが、当業者には自明のごとく、適切な関節的結合のロボットは典型的には少なくとも三つの異なって配置された軸心を有し、把持部16は、用途分野と拾い上げられるべき対象物の形状に応じて、二つまたは三つの追加の運動の軸心を備えたアーム18に典型的には関節的結合自在に取り付けられることになる。ビンピッキングシステムに適したロボットの例は、関節的結合のロボット、選択的・受容的・関節結合・ロボット・アーム(Selective Compliant Articulated/Assembly Robot Arms)(SCARA)、および直交座標ロボットである。
【0031】
把持部16は、拾い上げられるべき対象物と、把持部16で対象物を把持するのに用いられる対象物上の形体とに適している。典型的には、二本の指を有する空気圧力ハンドグリッパを用いることができる。孔の形の把握形体部を有する対象物は、ロボット指を孔の内部に挿入し、指を拡げて対象物を保持することによって拾い上げることができる。ほぼ平坦な表面を有する対象物は、吸引把持部を用いて典型的には把持することができる。対象物の把握形体部に応じて、単一ロッドまたはプレートなどの、他のタイプの把持部を用いて対象物を把持することができる。
【0032】
ロボットは典型的には対象物を拾い上げることができる操作範囲を有する。この範囲はロボットのそれぞれの関節的結合の角度およびロボットと把持部が占める容積に対する制限を考慮に入れ、把握形体部を備えた対象物にロボットが到達して把持できるように適切な角度と位置で把持部を位置付けることが可能か否かを判定するのに用いられる。対象物がビン内に置かれているこの場合において、対象物はロボットのアームのすぐ下に置いてもよいが、把持部はビンの側壁または他の対象物に衝突することなしに対象物を拾い上げるために適切に回転したり下げることができないので、ロボットは対象物に到達できないままである。
【0033】
必要な場合(後述のごとく)整理箱であるビン12内の対象物を再配置するためにビン12を傾けたり揺動するために、ビン12は把持部を用いてロボットによって把持するのに適合させることができる。把持部16が空気圧力ハンドグリッパである場合、把持部16は側壁13の頂部でハンドを閉じることによってビン12の一つの側壁13を簡単に把持することができる。代案として、把持部16がビンの一つの側壁13または隅を把持して持ち上げることができるように、とくに適合した把握形体部をビンの側壁13または隅に取り付けるか、側壁13と共に画成することができる。ビン12は、把持部16によって把持または持ち上げるのに適合させることができる。例えば、非制限的に、ビン12は、識別され把持部16によって把持される、側壁13内に画成された孔などの、形体を含むことができる。代案としてビン12は、ビン12を載せた作動テーブルを用いて傾け、揺動させることができる。ビン12を揺動するために傾斜自在なコンベヤを用いてもよい。
【0034】
ビンピッキングシステム10は、拾い上げプロセスにおいてロボット14を誘導するための視覚システム20を備えている。視覚システム20は、ビン12内の対象物の2次元画像を取得するためにビン12上に配置された二台の3次元造影ビデオカメラ22を備えている。2次元画像は例えば、立体化方法を用いてビン12内の対象物の3次元画像を提供するために画像処理ユニット26によって処理される。画像処理ユニット26は2次元または3次元画像を処理することによってビン12内の対象物Aを認識する。拾い上げられるべき対象物Aのモデルが、画像処理ユニット26に提供される。モデルには、例えば、対象物の全体的形状または対象物上の判別幾何形状もしくは標的を記述する認識特性、および対象物を把持するために把持部16によって使用され、対象物A上に存在しなければならない、対象物内の孔などの把握形体部の定義が含まれる。例えば、もし、拾い上げられるべき対象物の全てが判別標識、例えば、一端の上の図形や特別な幾何形状を有するとき、判別標識が認識特性を提供するので、対象物を認識するのにその判別標識を認識することが要求されるだけかも知れない。画像処理ユニット26は、認識特性を有する対象物を認識することによってビン内の拾い上げられるべき対象物Aを識別する。把握形体部も画像処理ユニット26によって認識され、後述のごとく、把持部16によって把握可能な対象物を識別するのに用いられる。
【0035】
認識された対象物のリストはビン12内のそれらの位置と配向と共にロボット制御器28に提供され、後者は一つの対象物A’に到達し、それを把持し、それを拾い上げるためにアーム18と把持部16を動かす。それぞれの対象物は、ロボット14によって順次拾い上げられ、ビン12内の対象物の中から所与の時間に拾い上げられるべき対象物A’は、ロボット制御器28によって選択される。拾い上げられるべき対象物を、どれかを選択する際に、ロボット制御器は、対象物の把握形体部の位置と配向の軸心、ビン12の上から視覚システム20によって見た対象物A’の表面視認性および把握形体部の視認性などの、リストと共に画像処理ユニット26によって提供されたいくつかの追加データを計算に入れる。第一のルーチンによれば、ロボット制御器28は、該表面視認性が、拾い上げられるべき対象物A’の上に積み重なり、ロボット14が対象物A’を拾い上げるのを妨げている対象物がないと結論するのに十分であることを確認する。第二のルーチンによれば、ロボット制御器28は、対象物A’の把握形体部が十分に視認できて、把握形体部が十分に対象物A’の頂部の上にあり、重なり合った対象物がないので把持部によって把持されると結論するに足ることも確認する。最後に、第三のルーチンによれば、ロボット制御器28は、把握形体部がビン12の側壁13にほぼ向かい合っていることで把持部16が側壁13にぶつからずに把握形体部に到達するのを阻止しているかを確認して、把握形体部が把持部16によって到達可能であるかを評価する。これらのルーチンは例として提供されるものであり、対象物をロボット14によって拾い上げることができるかを判定するために、ロボット制御器28によってより多い、あるいは、より少ないルーチンを確認することができる。」

「【0060】
図6と図7は、把握可能な対象物が把持部によって到達可能かどうかを評価するのに可能な二つの基準を示している。図6の方法によれば、把持部が拾い上げられるべき対象物に到達する間にビンの側壁に当たらないときその対象物は到達可能である。図7の方法によれば、もし、把持部が拾い上げられるべき対象物に到達する間にビンの側壁にも当たらず、ビン内の他の対象物にも当たらないとき、そのときは、その対象物は到達可能である。
【0061】
つぎに図6を参照して説明するが、把握可能な対象物が把持部によって到達可能かどうかを評価するための基準122が提供される。まず、ビンの側壁13のきわめて近くに位置する把握形体部は、把持部が所与の操作範囲を有し、対象物を把持するために動いて自らを位置づけるために所与の空間を必要とするので、把持部によって到達できないだろう。このように、把握形体部はビンの側壁13の内側に定義される所与の拾い上げ区域内に位置することが要求される。したがって、過程610において、拾い上げ区域がビン内に定義される。把握可能な対象物A’の把握形体部がこの拾い上げ区域内にあり、把持部16が垂直に接近することによって対象物A’に到達できるように把握形体部が上を向いているとき、把握可能な対象物は把持部によって到達可能である。この拾い上げ区域は典型的にはロボット14の操作範囲によって、より詳細には把持部16の幅によって定義される。しかしながら、把握形体部が上を向いていないとき、把握形体部がビンの側壁13に向いているならば、対象物を把持できないかも知れない。したがって、過程620において、把握形体部の3次元位置から離れて、ロボットの操作範囲に従って、把握配向の軸心上に位置するクリアランス点が定義される。クリアランス点は、把持部が把握形体部を把持するときの把持部16とロボットのアーム18との間の関節的結合の3次元位置を定義する。この関節的結合は、ビン内の、傾いた位置にある対象物に到達するために把持部を傾けるのに用いられる。過程630において、クリアランス点と把握可能な対象物の把握形体部の位置とが共に拾い上げ区域内にあるとき、対象物は到達可能である。この条件で、対象物が傾いているとき、傾けられた把持部は把握形体部に到達するのにビンの側壁13に当たらない。
【0062】
つぎに図7において、把握可能な対象物が把持部16によって到達可能かどうかを評価するための代替基準122’が提供されている。この基準は把持部の寸法とビンの側壁13とを考慮に入れるが、図6に示した基準とは反対に、ビン12内の他の対象物の位置も計算に入れる。過程720において、把握形体部の3次元位置と把持方向の軸心ならびに把持部の寸法に従って、把握形体部のクリアランス空間が定義される。クリアランス空間は、把持部16が把握形体部に到達するために必要とする、該把握形体部に隣接する空間に対応し、把持部をアーム18に結合する関節的結合を含む、把持部16の寸法を典型的に有する。過程740において、ビン内の対象物によって占められる空間に対応する容積がそれぞれの対象物について定義される。過程760において、少なくとも一つの把握可能な対象物のクリアランス空間に、他の対象物とビンの側壁13とに対応する容積がないとき、対象物は把持部16によって到達可能である。」



(イ)上記記載から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
段落【0031】の「把持部16は、拾い上げられるべき対象物と、把持部16で対象物を把持するのに用いられる対象物上の形体とに適している。典型的には、二本の指を有する空気圧力ハンドグリッパを用いることができる。」の記載から、拾い上げられるべき「対象物」は、二本の指にグリップされる対向する1対の面を備えており、「把持部16」は、「対象物」の所定の対向する1対の面を二本の指で把持すると認められる。
また、図1の図示内容から、複数の「対象物A」は、散在された状態で「ビン12の底面」に支持されていると認められる。
また、段落【0032】の「・・・把握形体部を備えた対象物にロボットが到達して把持できるように適切な角度と位置で把持部を位置付けることが可能か否かを判定する・・・」の記載から、「把持部」の「二本の指」が対向する1対の面と対向するように、適切な角度と位置で「把持部」を位置付ける機構を有すると認められる。
また、段落【0034】-【0035】、【0060】-【0062】の記載から、「ロボット制御器28」が、「ビデオカメラ22」により撮像された画像の画像データに基づいて、「把持部16」による把持対象の対象物Aである一つの対象物A’を特定するために、前記把持部16と適切な角度と位置で前記把持部16を位置付ける機構と前記ロボット14とを作動させ前記把持部16が前記対象物Aを把持する場合に、前記把持部16と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記把持部16と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉しないと判定された対象物Aを、前記一つの対象物A’として、前記把持部16によって把持するように、前記把持部16と前記機構と前記ロボット14との作動を制御する制御部とを有すると認められる。

(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「対向する1対の面を備えた複数の対象物Aを散在された状態で支持するビン12の底面と、
前記ビン12の底面からの対象物Aの脱落を防止するための側壁13とを有するビン12と、
前記ビン12の底面により支持されている対象物Aを撮像するビデオカメラ22と、
前記ビン12の底面により支持されている対象物Aの所定の対向する1対の面を二本の指で把持する把持部16と、
前記二本の指が前記対向する1対の面と対向するように、適切な角度と位置で前記把持部16を位置付ける機構と、
取り付けられた前記把持部16を前記ビン12の底面の上方において任意の位置に移動させるロボット14と、
前記把持部16と前記機構と前記ロボット14との作動を制御するロボット制御器28と
を備え、
前記ロボット制御器28が、
前記ビデオカメラ22により撮像された画像の画像データに基づいて、前記把持部16による把持対象の対象物Aである一つの対象物A’を特定するために、前記把持部16と前記機構と前記ロボット14とを作動させ前記把持部16が前記対象物Aを把持する場合に、前記把持部16と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記把持部16と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉しないと判定された対象物Aを、前記一つの対象物A’として、前記把持部16によって把持するように、前記把持部16と前記機構と前記ロボット14との作動を制御する制御部と
を有するビンピッキングシステム10。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2007-222971号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。

「【0037】
図13に示すように、上記ロボット25の作動エリアに近接するモジュール待機位置にはフィンガーユニット待機位置としてのモジュール置き台28が用意されていて、そのモジュール置き台28の複数のスタンド29には予めモジュール化されたフィンガーユニット3,4がそれぞれに位置決め載置されて待機している。そして、後述するようにコモンベース2および各フィンガーユニット3,4におけるフィンガーベース7,8の双方には脱着機構を設けてあることから、ロボット25の自律動作とともに上記脱着機構の断接を行って各フィンガーユニット3,4の自動脱着を可能としてある。」

ウ 引用文献3
原査定の拒絶の理由で引用された本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった実願平1-150955号(実開平3-88683号)のマイクロフィルム(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。

「ハンド差替え装置7には、上述したように各種ワークWa?Wcの形状に応じて作製されたハンド3a?3cが備えられ、多関節ロボット3のアーム4が所定のハンド交換位置に移動したとき、コントローラ5からのハンド交換信号に基づいて、現在セットされているハンドに変えて所定のハンドに自動交換する(第2図には、このハンド交換によってハンド3b及び3cがハンド差替え装置7に格納されている状態が示されている)。」(明細書第10ページ第8?16行。)

エ 上記イ、ウの記載から、引用文献2及び3には、次の周知技術(以下「周知技術1」という。)が記載されていると認められる。
「ロボットハンド等の把持装置において、把持具を移動装置に着脱可能に取り付けること。」

オ 引用文献4
この審決で新たに引用する本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平4-240087号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。

「【0016】
【実施例】本発明による把持装置構成の一実施例を図2に示す。把持装置は、把持ハンド61とコンピュータ62とで構成される。コンピュータ62はセンサ信号65を入力し、把持ハンド61に手首回転コントロール信号63、把持ハンド開閉コントロール信号64を送り、把持ハンド61の動作を制御する。把持ハンド61は図1に示すように、2本の指を互いに独立に開閉移動させる機構を有する平行開閉型把持ハンド本体52、触覚または近接センサ54を取り付けた指53、ロボットアーム55に取り付けられ把持ハンド本体を同図(a)の矢印の方向に回転させる回転リスト51で構成される。指は把持ハンド本体に取り付けられたものであるため、この回転リスト51の回転により同図(b)の矢印の方向に回転する。触覚または近接センサ54は、指の開動作および閉動作による把持に対応できるように、指の裏表に取り付け、物体が傾いていても接触を検出できるように、できるだけ端に取り付ける。
【0017】図3に、上記センサ54を触覚センサとした把持ハンドを把持ハンドの第1の実施例としてコンピュータ62にプログラムされる把持動作制御のフローチャートを、また、この把持ハンドで物体の把持を行ったときの動作の様子を図4に示す。以下、図3,図4を参照しつつ把持装置の動作を説明する。
【0018】(1)物体は各指から非対称の位置(LA,LB)に、各指の把持面の方向から角度θ傾いて置かれている。
【0019】(2)指Aと指Bは閉動作を開始する。指Aは物体に接触し、触覚センサにより検出された力が、設定された接触荷重値以上になると停止する。
【0020】(3)指Bは閉動作を継続し、物体に接触し(2)と同様の力を検出すると停止する。この時点で、各指の物体からの相対位置が一致する。
【0021】(4)回転リストを非接触側のセンサを接触させる方向に、そのセンサが接触するまで回転させ、物体の傾き角度を認識する。
【0022】(5)回転リストを(4)の回転と逆方向に、物体の傾き角度の1/2回転させることにより、指と物体とが平行、すなわち相対角度がゼロになる。
【0023】(6)安定な把持を行うために両指を閉じても、両指と物体との相対位置が同じで、しかも相対角度がゼロであるため、物体の最初設定された位置,姿勢を動かすことはない。」

カ 引用文献5
この審決で新たに引用する本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭60-217089号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。

「ここで、第6図(d)のように、指(4a),(4b)の把持面と、指(4a),(4b)が接触している面とのなす角度θ_(3)が零でない場合には、z軸まわりのモーメントMzが検出される(第7図のP11)。モーメントMzが零になるまでz軸まわりにモーメントMzの方向ヘハンド(1)の姿勢を変えて(第7図のP12,P13)、指(4a),(4b)の把持面と、指(4a),(4b)の接触している面とのなす角度θ_(3)が零となる状態で、角形物体(3)を把持する。」(公報第4ページ左上欄第1?10行。)

キ 引用文献6
この審決で新たに引用する本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭60-221281号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある。

「物体(2)に接触していない指(4b)は、物体(2)に接触するまで移動させる。第6図(c)に示すように、指(4a),(4b)の両方が物体(2)に接触した状態となると、指位置検出器(13a),(13b)からの距離情報により指間隔lが得られ(第7図のP5)、物体(2)の幅tと指の幅hより、次式からグリッパ(1)と物体(2)との傾き角θが得られる(第7図のP6)。



ついで、物体(2)に接触している接触検出器(5a)?(5d)の相互関係から、物体(2)とグリッパ(1)との傾きの方向を求め(第7図のP7)、たとえば、第6図(c)に示すように、接触検出器(5a),(5d)が接触しておれば、時計回りに角度θだけグリッパ(1)の姿勢を位置決め装置(3)(第1図)で変え(第7図のP8)、指(4a),(4b)の把持面(41)を物体(2)の被把持面(2a)と平行にしたうえで、第6図(d)に示すように、指(4a),(4b)を閉じて物体(2)を把持する(第7図のP9)。」(公報第3ページ左上欄第16行?右上欄第15行。)

ク 上記オ、カ、キの記載から、引用文献4ないし6には、次の周知技術(以下「周知技術2」という。)が記載されていると認められる。
「把持対象物が、対向する1対の平面を備えた部品であり、把持装置が、1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置を備えること。」

(3)引用発明1との対比
ア 本件補正発明と引用発明1とを対比すると、以下のとおりとなる。

(ア)引用発明1の「対象物A」は本件補正発明の「部品」に相当し、以下同様に「ビン12の底面」は「部品支持面」に、「側壁13」は「壁面」に、「ビン12」は「部品支持部」に、「ビデオカメラ22」は「撮像装置」に、「二本の指」は「1対の爪部」に、「把持部16」は「把持具」に、「ロボット14」は「移動装置」に、「一つの対象物A’」は「対象部品」に、「ビンピッキングシステム10」は「部品供給システム」に、それぞれ相当する。

(イ)引用発明1の「1対の面」と本件補正発明の「1対の平面」とを対比すると、「1対の面」という点で一致する。

(ウ)引用発明1の「前記二本の指が前記対向する1対の面と対向するように、適切な角度と位置で前記把持部16を位置付ける機構」と、本件補正発明の「前記1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、前記把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置」とを対比すると、「前記1対の爪部が前記対向する1対の面と対向するように、前記把持具を位置付ける機構」という点で一致する。

(エ)引用発明1の「前記把持部16と前記機構と前記ロボット14との作動を制御するロボット制御器28」と、本件補正発明の「前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する制御装置」とを対比すると、「前記把持具と前記機構と前記移動装置との作動を制御する制御装置」という点で一致する。

(オ)引用発明1の「前記把持部16と前記機構と前記ロボット14とを作動させ前記把持部16が前記対象物Aを把持する場合に」と、本件補正発明の「前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置とを作動させ前記把持具が前記部品を把持する場合に」とを対比すると、「前記把持具と前記機構と前記移動装置とを作動させ前記把持具が前記部品を把持する場合に」という点で一致する。

(カ)引用発明1の「前記把持部16と前記機構と前記ロボット14との作動を制御する制御部」と、本件補正発明の「前記把持具と前記把持具回転装置と前記移動装置との作動を制御する作動制御部」とを対比すると、「前記把持具と前記機構と前記移動装置との作動を制御する作動制御部」という点で一致する。

イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明1との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「対向する1対の面を備えた複数の部品を散在された状態で支持する部品支持面と、
前記部品支持面からの部品の脱落を防止するための壁面とを有する部品支持部と、
前記部品支持面により支持されている部品を撮像する撮像装置と、
前記部品支持面により支持されている部品の所定の対向する1対の面を1対の爪部で把持する把持具と、
前記1対の爪部が前記対向する1対の面と対向するように、前記把持具を位置付ける機構と、
取り付けられた前記把持具を前記部品支持面の上方において任意の位置に移動させる移動装置と、
前記把持具と前記機構と前記移動装置との作動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像された画像の画像データに基づいて、前記把持具による把持対象の部品である対象部品を特定するために、前記把持具と前記機構と前記移動装置とを作動させ前記把持具が前記部品を把持する場合に、前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記把持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉しないと判定された部品を、前記対象部品として、前記把持具によって把持するように、前記把持具と前記機構と前記移動装置との作動を制御する作動制御部と
を有する部品供給システム。」

【相違点1】
本件補正発明は、「ひとつの種類の複数の部品を収納する収納部」を備え、「部品支持面」は「前記収納部から排出された前記複数の部品を散在された状態で支持する」のに対し、引用発明1は、「部品」の種類、及び、「収納部」について不明な点。

【相違点2】
本件補正発明は、把持対象物である「部品」が「対向する1対の平面を備え」ており、把持具を位置付ける機構が「前記1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、前記把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置」を備え、「制御装置」は「把持具回転装置」を制御し、「判定部」は、「把持具回転装置」を作動させ把持具が部品を把持する場合に干渉するかを判定し、「作動制御部」は、「把持具回転装置」の作動を制御するのに対し、引用発明1は、把持対象物である「対象物A」が「対向する1対の面を備え」ており、把持具を位置付ける機構が「前記1対の指が前記対向する1対の面と対向するように、適切な角度と位置で前記把持部16を位置付ける機構」を備え、「ロボット制御器28」は前記「機構」を制御し、「判定部」は、前記「機構」を作動させ「把持部16」が「対象物A」を把持する場合に干渉するかを判定し、「制御部」は、前記「機構」の作動を制御するものであり、「対向する一対の面」が平面であるか、及び、前記「機構」が「把持部16」をその軸心周りに回転させる装置を含むか不明な点。

【相違点3】
本件補正発明は、「把持具」が「移動装置」に「着脱可能に取り付けられ」るのに対し、引用発明1は、「把持部16」が「ロボット14」(の「アーム18」)に取り付けられるものの、着脱可能に取り付けられるかは不明な点。

(4)判断
上記相違点について、判断する。
ア 相違点1について
複数の部品を部品の種類毎に「収納部」に収納して管理することは一般的な事項である。引用発明1において、図1に図示されるように複数の「対象物A」がどのように「ビン12の底面」上に散在されるのかは不明であるが、ひとつの種類の複数の「対象物A」を「収納部」から排出して「ビン12の底面」上に散在すべく、ひとつの種類の「対象物A」を収納する「収納部」を「ビンピッキングシステム10」に付加することは、当業者が適宜なし得る程度の設計変更である。

イ 相違点2について
把持具により把持する複数の対象物を、どのような形状の物にするかは、状況に応じて当業者が適宜選択し得る設計事項であるから、引用発明1において、「対象物A」を対向する1対の平面を備えた物にすることに困難性はない。また、把持装置において、把持対象物が、対向する1対の平面を備えた部品であり、1対の爪部が前記対向する1対の平面と対向するように、把持具をその軸心周りに回転させる把持具回転装置を備えるものは、上記(2)クで「周知技術2」として挙げたとおり本願出願前から周知の技術である。
引用発明1において、二本の指が対向する1対の面と対向するように、適切な角度と位置で把持部16を位置付けるために、前記周知技術2に基づいて、把持部16をその軸心周りに回転させる把持具回転装置を備えさせることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。

ウ 相違点3について
ロボットハンド等の把持装置において、把持具を移動装置に着脱可能に取り付けることは、上記(2)エで「周知技術1」として挙げたとおり本願出願前から周知の技術である。
引用発明1においても、把持対象物が常に不変とは限らず、別の種類の物に変更されることはあり得ることであり、把持対象物の種類に応じて「把持部16」を交換する必要性が生じ得ることから、前記周知技術1に基づいて、ロボット14(のアーム18)に取り付けられた「把持部16」を着脱可能にすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された周知技術1、及び、引用文献4ないし6に記載された周知技術2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

オ したがって、本件補正発明は、引用発明1、引用文献2及び3に記載された周知技術1、及び、引用文献4ないし6に記載された周知技術2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)請求書の主張に対して
ア 請求書の主張の概要
請求人は、審判請求書において、おおむね以下のように主張している。
引用文献1に記載の技術では、散在部品として、ネジが採用されており、保持具として、1対の爪部により把持するチャックが採用されているため、チャックによりネジが把持される際に、一対の爪部は、ネジ溝が形成された円筒形状である特定の椀曲面を保持することになる。
よって、引用文献1に記載のチャックは、散在された複数のネジのうち対象部品としてどのネジが特定されようとも、その把持位置は決まっていることから、着脱可能である必要はなく、本件補正発明の重要な構成要素である「部品支持面により支持されている部品の所定の平面を保持する保持具が、着脱可能とされる」ことは、保持する対象部品が所定の平面を備えてはいないことからも、引用文献1に記載されておらず、そのことを示唆する記載も存在しない。
また、本件補正発明は、
(ア)「保持具が保持する散在された部品は、対向する1対の平面を備えた部品である」こと、
(イ)「保持具は、部品の1対の平面を把持する1対の爪部を備えた把持具である」こと、
(ウ)「把持具の1対の爪部は把持する部品の1対の平面と対向するように、把持具を、その軸心周りに回転させる把持具回転装置を備える」こと、
(エ)「当該制御装置が、干渉なく把持可能な部品か否かを判定するとき、および、把持可能な部品と判定された部品を把持するときには、把持具回転装置の動作させる」こと、
という事項を備えている。
これに対して、引用文献1には、上記(ア)のごとく、部品が、『対向する一対の平面を備えた部品』であることや、上記(イ)のごとく、把持具でそれら部品を把持すると特定されるような記載は見当たらないし、ましてや、上記(ウ)の装置を用いて部品を把持すること、そして、上記(ウ)の装置の動作を考慮して、制御装置が上記(エ)を実行すること、に関する記載は見当たらない。
また、引用文献2及び引用文献3には、少なくとも、上記(ウ)及び(エ)に対応した記載は見当たらない。

イ 請求書の主張の検討
しかし、「一対の爪部は、ネジ溝が形成された円筒形状である特定の椀曲面を保持する」ため、「その把持位置は決まっていることから、着脱可能である必要は」ないという上記主張の根拠が不明である。つまり、把持対象物が常に不変とは限らず、別の種類の物に変更されることはあり得ることである。そして、前記周知技術1のとおり、把持具を移動装置に着脱可能に取り付けることは本願出願前から周知であることから、引用発明1において、ロボット14のアーム18に取り付けられた把持部16を着脱可能にすることに困難性はない。
また、引用発明1において、「保持具が保持する散在された部品」を、「対向する1対の平面を備えた部品」にすることに困難性はなく、その場合には、引用発明1の「二本の指」は、「部品の1対の平面を把持」することになる。また、「把持具を、その軸心周りに回転させる把持具回転装置を備える」ものは、周知技術2に挙げたとおり本願出願前から周知であり、引用発明1の「適切な角度と位置で前記把持部16を位置付ける機構」を当該周知の「把持具回転装置」の構成にすると、「制御装置が、干渉なく把持可能な部品か否かを判定するとき、および、把持可能な部品と判定された部品を把持するときには、把持具回転装置の動作させること」になる。
よって、上記請求人の主張は採用できない。

3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年1月22日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年7月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2の[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の国際出願日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1に記載された発明及び引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりであるが、さらに次の技術的事項についても記載されているものと認められる。
段落【0031】の「ほぼ平坦な表面を有する対象物は、吸引把持部を用いて典型的には把持することができる。」の記載から、「対象物の所定の平面を保持する吸引把持部」が記載されていると認められる。
また、段落【0034】-【0035】、【0060】-【0062】の記載から、「ロボット制御器28」が、「ビデオカメラ22」により撮像された画像の画像データに基づいて、「吸引把持部」による保持対象の対象物Aである一つの対象物A’を特定するために、前記吸引把持部と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記吸引把持部と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉しないと判定された対象物Aを、前記一つの対象物A’として、前記吸引把持部によって保持するように、前記吸引把持部と前記ロボット14との作動を制御する制御部とを有すると認められる。

したがって、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)も記載されているものと認められる。
「複数の対象物Aを散在された状態で支持するビン12の底面と、前記ビン12の底面からの対象物Aの脱落を防止するための側壁13とを有するビン12と、
前記ビン12の底面により支持されている対象物Aを撮像するビデオカメラ22と、
前記ビン12の底面により支持されている対象物Aの所定の平面を保持する吸引把持部と、
取り付けられた前記吸引把持部を前記ビン12の底面の上方において任意の位置に移動させるロボット14と、
前記吸引把持部と前記ロボット14との作動を制御するロボット制御器28と
を備え、
前記ロボット制御器28が、
前記ビデオカメラ22により撮像された画像の画像データに基づいて、前記吸引把持部による保持対象の対象物Aである一つの対象物A’を特定するために、前記吸引把持部と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記吸引把持部と前記側壁13、又は、前記一つの対象物A’以外の対象物Aとが干渉しないと判定された対象物Aを、前記一つの対象物A’として、前記吸引把持部によって保持するように、前記吸引把持部と前記ロボット14との作動を制御する制御部と
を有するビンピッキングシステム10。」

4 対比・判断
ア 本願発明と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2の「対象物A」は本願発明の「部品」に相当し、以下同様に「ビン12の底面」は「部品支持面」に、「側壁13」は「壁面」に、「ビン12」は「部品支持部」に、「ビデオカメラ22」は「撮像装置」に、「吸引把持部」は「保持具」に、「ロボット14」は「移動装置」に、「ロボット制御器28」は「制御装置」に、「一つの対象物A’」は「対象部品」に、「ビンピッキングシステム10」は「部品供給システム」に、それぞれ相当する。

(イ)引用発明2の「前記吸引把持部と前記ロボット14との作動を制御する制御部」は、本願発明の「前記保持具と前記移動装置との作動を制御する作動制御部」に相当する。

イ 以上のことから、本願発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
【一致点】
「複数の部品を散在された状態で支持する部品支持面と、前記部品支持面からの部品の脱落を防止するための壁面とを有する部品支持部と、
前記部品支持面により支持されている部品を撮像する撮像装置と、
前記部品支持面により支持されている部品の所定の平面を保持する保持具と、
取り付けられた前記保持具を前記部品支持面の上方において任意の位置に移動させる移動装置と、
前記保持具と前記移動装置との作動を制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、
前記撮像装置により撮像された画像の画像データに基づいて、前記保持具による保持対象の部品である対象部品を特定するために、前記保持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記保持具と前記壁面、又は、前記対象部品以外の部品とが干渉しないと判定された部品を、前記対象部品として、前記保持具によって保持するように、前記保持具と前記移動装置との作動を制御する作動制御部と
を有する部品供給システム。」

【相違点4】
本願発明は、「複数の部品を収納する収納部」を備え、「部品支持面」は「前記収納部から排出された複数の部品を散在された状態で支持する」のに対し、引用発明2は、「収納部」について不明な点。

【相違点5】
本願発明は、「保持具」が「移動装置」に「着脱可能に取り付けられ」るのに対し、引用発明2は、「吸引把持部」が「ロボット14」(の「アーム18」)に取り付けられるものの、着脱可能に取り付けられるかは不明な点。

ウ 上記相違点4は、前記第2の[理由]2(3)イの【相違点1】と同様であるから、上記相違点4についての判断は、前記第2の[理由]2(4)の「ア 相違点1について」に記載のとおりである。
上記相違点5について、ロボットハンド等の保持装置において、保持具を移動装置に着脱可能に取り付けることは、上記[理由]2(2)エで「周知技術1」として挙げたとおり本願出願前から周知の技術である。
引用発明2において、ロボット14(のアーム18)に取り付けられた「吸引把持部」を、前記周知技術1に基づいて着脱可能にすることは、当業者にとって容易に想到し得たことである。

よって、本願発明は、引用発明2及び引用文献2、3に記載された周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-02 
結審通知日 2019-10-08 
審決日 2019-10-21 
出願番号 特願2016-549689(P2016-549689)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B25J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 亀田 貴志  
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 青木 良憲
栗田 雅弘
発明の名称 部品供給システム  
代理人 特許業務法人ネクスト  
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