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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1357567
審判番号 不服2018-10044  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-23 
確定日 2019-12-04 
事件の表示 特願2016-254891「表示装置および表示装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 6月 1日出願公開、特開2017- 98568〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2012年12月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年12月22日,ドイツ)を国際出願日とする出願(以下「原出願」という。)の一部を,平成28年12月28日に新たな特許出願としたものであって,以降の手続は次のとおりである。

平成29年12月 4日 拒絶理由通知(同年同月12日発送)
平成30年 3月 2日 意見書提出
同年 4月 9日 拒絶査定(同年同月17日謄本送達)
同年 7月23日 審判請求・手続補正
同年12月13日 上申書提出

第2 補正の却下の決定
平成30年7月23日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は,特許請求の範囲を補正するものであり,本件補正の前後で特許請求の範囲は以下のとおりである。
〈補正前〉
「【請求項1】
表示装置(1)であって,
放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有し,かつ複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)と,
キャリア(5)と,
を備えており,
- 前記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されており,
- 前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられており,
- 前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えており,
- 前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在する,
表示装置(1)。
【請求項2】
前記活性領域は,前記少なくとも1つの凹部によってのみ穿孔されている,
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記半導体積層体の成長基板(28)が除去されており,前記キャリアが前記半導体積層体を機械的に安定化させる,
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹部において前記第1の半導体層に導電接続されている第1の接続層(31)を備えている,
請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の半導体層の一部分に導電接続されている第2の接続層(32)を備えている,
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の接続層と前記第2の接続層とが,前記半導体積層体と前記キャリアとの間に配置されている,
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置の上からの平面視において,前記第1の接続層と前記第2の接続層とが重なっている,
請求項5または請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の接続層が,前記ピクセルの前記第1の半導体層の共通の電気コンタクトを形成しており,前記ピクセルの前記第2の半導体層それぞれが,前記第2の接続層によって前記スイッチの1つに導電接続されている,またはこの逆である,
請求項4から請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1の半導体層は,第1の接続層によって連続的に電気的に接触されており,したがって,前記第1の接続層は,前記表示装置のすべてのピクセルの共通のコンタクトを形成している,
請求項4から請求項8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
ピクセルの横方向範囲は,前記第2の接続層の横方向範囲によって決まる,
請求項4から請求項9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
隣り合う複数のピクセルは,共通の凹部を備えている,
請求項4から請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
各ピクセルは,自身の凹部,または複数の自身の凹部を有する,
請求項4から請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体の面に,放射変換要素(6)が配置されている,
請求項1から請求項12のいずれかに記載の表示装置。
【請求項14】
前記放射変換要素が,複数のピクセルにわたり連続的に延在している,
請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている,
請求項13に記載の表示装置。
【請求項16】
複数のピクセル(2a,2b)を有する表示装置(1)を製造する方法であって,
・・・(中略)・・・
【請求項18】
請求項1から請求項15のいずれかに記載の表示装置が製造される,
請求項16または請求項17に記載の方法。」

〈補正後〉
「【請求項1】
表示装置(1)であって,
放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有し,かつ複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)と,
キャリア(5)と,
を備えており,
- 前記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されており,
- 前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられており,
- 前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えており,
- 前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在し,
- 前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体(2)の面に,放射変換要素(6)が配置されており,
- 前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている,
表示装置(1)。
【請求項2】
前記活性領域は,前記少なくとも1つの凹部によってのみ穿孔されている,
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記半導体積層体の成長基板(28)が除去されており,前記キャリアが前記半導体積層体を機械的に安定化させる,
請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹部において前記第1の半導体層に導電接続されている第1の接続層(31)を備えている,
請求項1から請求項3のいずれかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の半導体層の一部分に導電接続されている第2の接続層(32)を備えている,
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1の接続層と前記第2の接続層とが,前記半導体積層体と前記キャリアとの間に配置されている,
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置の上からの平面視において,前記第1の接続層と前記第2の接続層とが重なっている,
請求項5または請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1の接続層が,前記ピクセルの前記第1の半導体層の共通の電気コンタクトを形成しており,前記ピクセルの前記第2の半導体層それぞれが,前記第2の接続層によって前記スイッチの1つに導電接続されている,またはこの逆である,
請求項4から請求項7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記第1の半導体層は,第1の接続層によって連続的に電気的に接触されており,したがって,前記第1の接続層は,前記表示装置のすべてのピクセルの共通のコンタクトを形成している,
請求項4から請求項8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
ピクセルの横方向範囲は,前記第2の接続層の横方向範囲によって決まる,
請求項4から請求項9のいずれかに記載の表示装置。
【請求項11】
隣り合う複数のピクセルは,共通の凹部を備えている,
請求項4から請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項12】
各ピクセルは,自身の凹部,または複数の自身の凹部を有する,
請求項4から請求項10のいずれかに記載の表示装置。
【請求項13】
複数のピクセル(2a,2b)を有する表示装置(1)を製造する方法であって,
・・・(中略)・・・
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の表示装置が製造される,
請求項13または請求項14に記載の方法。」

2 補正事項の整理
本件補正の,請求項1についての補正事項は以下のとおりである。
〈補正事項1〉
本件補正前の請求項1の「前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在する,」を,本件補正後の請求項1の「前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在し,- 前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体(2)の面に,放射変換要素(6)が配置されており,- 前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている,」に補正すること。

〈補正事項2〉
本件補正前の請求項13?15を削除するとともに,本件補正前の請求項16?18を本件補正後の請求項13?15に繰り上げる。

3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討
(1)補正の目的について
前記補正事項1は,本件補正前の請求項13の「放射変換要素(6)」について,本件補正後の請求項1の「前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」ものとして,技術的に限定するものである。
また,前記補正事項2は,請求項13?15を削除するものである。
よって,本件補正は,特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除,及び同第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の追加の有無について
前記補正事項1に係る,「放射変換要素(6)」について,本件補正後の請求項1の「前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」ことは,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の請求項15,段落【0058】,及び図2等に記載されているから,前記本件補正後の請求項1に係る事項は,当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではない。
また,前記補正事項2が,当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないことは明らかである。
よって,前記補正事項1及び2は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たすものである。

(3)小括
上記のとおり,本件補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含むから,以下においては,本件補正後の特許請求の範囲に記載された発明が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項に規定する独立特許要件を満たすか)どうかについて検討する。

4 独立特許要件についての検討
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明は,本件補正により補正された明細書,特許請求の範囲及び図面の記載から見て,その請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(再掲。以下「本願補正発明」という。)。
「【請求項1】
表示装置(1)であって,
放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有し,かつ複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)と,
キャリア(5)と,
を備えており,
- 前記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されており,
- 前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられており,
- 前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えており,
- 前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在し,
- 前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体(2)の面に,放射変換要素(6)が配置されており,
- 前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている,
表示装置(1)。」

(2)刊行物等に記載された発明
ア 引用例1: 米国特許出願公開第2011/0241031号明細書
(ア)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の優先権主張の日前に外国において頒布された刊行物である,米国特許出願公開第2011/0241031号明細書(以下「引用例1」という。)には,図とともに,以下の記載がある。(下線は当審において付加。以下同様。また,日本語訳は,引用例1のファミリ文献である特表2012-513667号公報を参考にして,当審で作成した。)

a「[0002] This disclosure relates to an optoelectronic projection device comprising a semiconductor body, which is an imaging element of the projection device.」
(日本語訳:
[0002] 本発明は,半導体ボディを備えているオプトエレクトロニクス投影装置であって,半導体ボディが本投影装置のイメージ生成要素である,オプトエレクトロニクス投影装置,に関する。)

b「[0011] We provide an optoelectronic projection device which generates a predefined image during operation. The projection device comprises a semiconductor body, which has an active layer suitable for generating electromagnetic radiation and a radiation exit side. The semiconductor body is an imaging element of the projection device. For making electrical contact with the semiconductor body, a first contact layer and a second contact layer are arranged at a rear side of the semiconductor body, the rear side lying opposite the radiation exit side, and are electrically insulated from one another by a separating layer.
[0012] The first and second contact layers arranged at the rear side of the semiconductor body advantageously prevent shading effects that can arise as a result of a contact layer arranged on the radiation exit side of the semiconductor body. Overall, the radiation efficiency of the semiconductor body and also the radiation homogeneity are improved as a result.
[0013] The semiconductor body is an imaging element of the projection device. In particular, the image generated by the projection device during operation is not generated by a further element such as, for example, a stencil, a transparency or a light modulator such as, for example, an LCD panel or a micromirror array, rather the semiconductor body itself is the imaging element. An optoelectronic projection device which is distinguished, in particular, by space-saving properties and at the same time is flexible in respect of how it can be used is advantageously made possible. In particular, a miniaturized projection device thus arises.
[0014] The semiconductor body is, for example, a light-emitting diode chip or a laser diode chip. The semiconductor body is preferably a thin-film semiconductor body. In the context of the application, a thin-film semiconductor body is considered to be a semiconductor body during whose production the growth substrate, onto which a semiconductor layer sequence comprising the semiconductor body was grown, for example epitaxially, has been stripped away.
[0015] The active layer of the semiconductor body preferably has a pn junction, a double heterostructure, a single quantum well (SQW) or a multi-quantum well structure (MQW) for generating radiation. In this ease, the designation quantum well structure does not exhibit any significance with regard to the dimensionality of the quantization. It therefore encompasses, inter alia, quantum wells, quantum wires and quantum dots and any combination of these structures.
[0016] The semiconductor body has a radiation exit side, through which radiation generated in the semiconductor body can leave the semiconductor body. In this case, the radiation exit side is preferably formed by a main side of the semiconductor body. In particular, the radiation exit side is formed by that main side of the semiconductor body which lies opposite a mounting side of the semiconductor body. Preferably, no or hardly any light emerges through side areas of the semiconductor body.
[0017] Preferably, the optoelectronic projection device generates a predefined image during operation. In particular, during the operation of the projection device, the latter generates an image which is predefined and hence predetermined. The image can be imaged onto a projection area, for example.
[0018] The semiconductor body is provided for emitting electromagnetic radiation from the radiation exit side. A first and a second electrical contact layer are arranged at the rear side lying opposite the radiation exit side. The first and the second electrical contact layer are electrically insulated from one another by a separating layer.
[0019] It is not absolutely necessary for the entire first and/of second electrical contact layer to be arranged at the rear side. Rather, a partial region of the first contact layer extends from the rear side through a perforation in the active layer in the direction toward the radiation exit side. The separating layer is arranged between the first contact layer and the second contact layer, wherein preferably the first contact layer and the second contact layer overlap laterally in a plan view of the semiconductor body.
[0020] Advantageously, the radiation exit side of the semiconductor body is free of electrical connection locations such as bonding pads, for example. The risk of shading and/or absorption of part of the radiation emitted by the active layer during operation by the electrical connection locations is minimized in this way.
[0021] Furthermore, it is advantageously possible to dispense with complicated method steps in conjunction with the production of such connection locations arranged on the/radiation exit side, and/or measures which restrict or prevent the current injection into regions of the semiconductor body below the electrical connection location. By way of example, preferably polishing of the front-side surface of the semiconductor body and/or production of metal webs for current spreading which have a large thickness but a small lateral extent are/is not absolutely necessary. Furthermore, it is advantageously possible to dispense with, for example, the formation of an electrically insulating layer, a Schottky barrier and/or an ion-implanted region below the connection location.
[0022] Preferably, the second contact layer is structured in the form of pixels, wherein at least one part of the predefined image arises as a result of the projection of the pixels during the operation of the projection device.
[0023] Preferably, the completely predefined image arises as a result of the projection of the pixels. The second contact layer can be damaged in places, corresponding to the pixels, such that damaged regions do not conduct, current or hardly conduct current any longer. Regions of the second contact layer which are damaged do not or hardly energize the active layer. In this way, only selected regions of the active layer are luminous. These selected regions of the active layer which generate light are responsible for the formation of the predefined image. In this case, the structuring of the second contact layer can be effected by removal in places, ion implantation or diffusion of dopants into the second contact layer in places.
[0024] Preferably, the pixels are arranged in a two-dimensional segment display. Preferably, the pixels are arranged in a two-dimensional seven-segment display.
[0025] In particular, in this way only regions of the radiation exit side of the semiconductor body below which a pixel with the second contact layer is arranged in a vertical direction contribute to the emission of radiation. Only selected regions of the active layer which are arranged vertically above the second contact layer, in particular the pixels of the second contact layer, are luminous in this case.
[0026] Further preferably, the pixels are arranged in a two-dimensional regular matrix composed of n rows and m columns.」
(日本語訳:
[0011] 本発明は,動作時に,所定のイメージを生成するオプトエレクトロニクス投影装置を提供する。この投影装置は,電磁放射を発生させるのに適している活性層と放射出口面とを有する半導体ボディ,を備えている。半導体ボディは,本投影装置のイメージ生成要素である。半導体ボディとの電気接続を形成するため,第1のコンタクト層および第2のコンタクト層が,半導体ボディの裏面に配置されており,かつ,分離層によって互いに電気的に絶縁されており,裏面は,放射出口面とは反対側に位置している。
[0012] 第1のコンタクトおよび第2のコンタクトが半導体ボディの裏面に配置されているため,コンタクト層が半導体ボディの放射出口面に配置されている結果として生じうる遮蔽効果が防止され,これは有利である。結果として,半導体ボディ全体としての放射効率および放射の一様性が改善される。
[0013] 半導体ボディは,本投影装置のイメージ生成要素である。具体的には,動作時に本投影装置によって生成されるイメージは,さらなる要素,例えば,ステンシル,トランスパレンシー(transparency),光変調器(例えば,LCDパネル,マイクロミラーアレイ)によって生成されるのではなく,半導体ボディ自体がイメージ生成要素である。特に,省スペースであると同時に,使い方に関する柔軟性の高さを特徴とするオプトエレクトロニクス投影装置が可能となり,これは有利である。したがって,特に,小型の投影装置が実現する。
[0014] 半導体ボディは,例えば,発光ダイオードチップまたはレーザダイオードチップである。半導体ボディは,薄膜半導体ボディであることが好ましい。薄膜半導体ボディとは,本出願においては,半導体ボディを備えている半導体積層体を上に(例えばエピタキシャルに)成長させた成長基板が製造中に除去されている半導体ボディを意味する。
[0015] 半導体ボディの活性層は,放射を発生させるためのpn接合,ダブルヘテロ構造,単一量子井戸(SQW)構造,または多重量子井戸(MQW)構造を有することが好ましい。この場合,量子井戸構造という表現は,量子化の次元に関して何らかの指定を行うものではない。したがって,量子井戸構造には,特に,量子井戸,量子細線,および量子ドットと,これらの構造の任意の組合せが含まれる。
[0016] 半導体ボディは放射出口面を有し,半導体ボディにおいて発生した放射はこの放射出口面を通じて半導体ボディから出ていくことができる。この場合,放射出口面は,半導体ボディの主面によって形成されていることが好ましい。特に,放射出口面は,半導体ボディの主面のうち,半導体ボディの実装面とは反対側に位置する主面によって形成されている。半導体ボディの側面領域からは,光がまったく,またはほとんど放出されないことが好ましい。
[0017] 本オプトエレクトロニクス投影装置は,動作時に,所定のイメージを生成することが好ましい。特に,本投影装置は,その動作時,所定の,したがって事前に定義されたイメージを生成する。このイメージを,例えば投影領域上に結像することができる。
[0018] 半導体ボディは,電磁放射を放射出口面から放出するように設けられている。第1の電気コンタクト層および第2の電気コンタクト層は,放射出口面とは反対側に位置する裏面に配置されている。第1の電気コンタクト層および第2の電気コンタクト層は,分離層によって互いに電気的に絶縁されている。
[0019] 第1の電気コンタクト層もしくは第2の電気コンタクト層またはその両方は,必ずしもその全体が裏面に配置されている必要はない。むしろ,第1のコンタクト層の部分領域は,裏面から,活性層における孔(perforation)の中を,放射出口面に向かう方向に延在している。第1のコンタクト層と第2のコンタクト層との間には分離層が配置されており,第1のコンタクト層と第2のコンタクト層は,半導体ボディの平面視において横方向に重なっていることが好ましい。
[0020] 半導体ボディの放射出口面には,例えばボンディングパッドなどの電気接続部が存在しておらず,これは有利である。このようにすることで,動作時に活性層によって放出される放射の一部が電気接続部によって遮られたり吸収されたりする危険性が最小となっている。
[0021] さらには,放射出口面の上に配置されるこのような接続部の形成に関連する複雑な方法ステップ,もしくは,電気接続部の下の半導体ボディの領域内に電流が注入されることを制約あるいは阻止する方策,またはその両方を省くことが可能であり,これは有利である。一例として,半導体ボディの表側の表面の研磨,もしくは,電流拡散のための金属ウェブ(厚さは大きいが横方向範囲は小さい)の形成,またはその両方が,絶対的には必要なく,これは好ましい。さらには,例えば,接続部の下の電気絶縁層,ショットキーバリア,イオン注入領域などを形成するステップを省くことが可能であり,これは有利である。
[0022] 本オプトエレクトロニクス投影装置の好ましい一構造形態においては,第2のコンタクト層がピクセルの形に構造化されており,本投影装置の動作時,ピクセルが投影される結果として,所定のイメージの少なくとも一部が生じる。
[0023] ピクセルが投影される結果として,所定のイメージ全体が生じることが好ましい。第2のコンタクト層を,ピクセルに対応して部分的に損傷させることができ,損傷した領域は,もはや電流をまったく,またはほとんど伝えない。第2のコンタクト層のうち損傷した領域は,活性層にまったく,またはほとんど電流を注入しない。このようにすることで,活性層のうち選択された領域のみが発光する。活性層のうち光を発生させるこれらの選択された領域は,所定のイメージを形成するように機能する。この場合,第2のコンタクト層の構造化は,部分的な除去,第2のコンタクト層への部分的なイオン注入またはドーパントの拡散によって行うことができる。
[0024] 本投影装置の好ましい一構造形態においては,ピクセルは2次元のセグメントディスプレイとして配置されている。ピクセルは,2次元の7セグメントディスプレイとして配置されていることが好ましい。
[0025] 特に,このようにすることで,半導体ボディの放射出口面のうち,縦方向下方に第2のコンタクト層によるピクセルが配置されている領域のみが,放射の放出に寄与する。この場合,活性層のうち,第2のコンタクト層(特に,第2のコンタクト層のピクセル)の縦方向上方に配置されている選択された領域のみが発光する。
[0026] さらなる好ましい構造形態においては,ピクセルは,n行m列からなる2次元の規則的な行列に配置されている。)

c「[0036] Preferably, the first contact layer is arranged at that side of the second contact layer which is remote from the semiconductor body. Particularly preferably, the second contact layer has a plurality of openings through which the first contact layer runs to the semiconductor body.
[0037] In particular, an electrically insulating separating layer is arranged between the first contact layer and the second contact layer. The electrically insulating separating layer preferably has, in the regions of the openings in the second contact layer, openings through which the first contact layer runs. In particular, the first contact layer is arranged in a manner electrically insulated from the second contact layer. The first contact layer accordingly runs in a manner electrically insulated from the second contact layer through the openings in the second contact layer to the semiconductor body. This can preferably be realized through the electrically insulating separating layer.
[0038] Preferably, a partial region of the first contact layer extends from the rear side through a perforation in the active layer in the direction toward the radiation exit side.
[0039] Particularly preferably, that partial region of the first contact layer which runs through the openings in the separating layer and the second contact layer runs from the rear side through the perforation in the active layer in the direction toward the radiation exit side. Preferably, the first contact layer runs in a manner electrically insulated from the semiconductor body in the semiconductor body to the perforation of the active layer.
[0040] In a further example, the first contact layer has at least one electrical connection region suitable for making electrical contact with the semiconductor body at a side of the active layer which faces the radiation exit side. In particular, the first contact layer is suitable, by the partial regions leading from the rear side through the perforation in the active layer in the direction toward the radiation exit side, for making electrical contact with the semiconductor body at that side of the active layer which faces the radiation exit side.
[0041] In particular, the connection region is arranged at the rear side of the semiconductor body. As a result, shading and/or absorption of the radiation emitted by the active layer in the connection region can advantageously be avoided.
[0042] Preferably, the first contact layer is structured in the form of structures and has a plurality of electrical connection regions, wherein a structure is in each case electrically conductively connected to a connection region.
[0043] In particular, separate electrical driving of the structures of the first contact layer is thus possible. By suitable electrical driving of the individual structures of the first contact layer, different images can thus advantageously be generated, in particular with one and the same semiconductor body. Through corresponding energization of the semiconductor body, the structures of the first contact layer can be energized independently of one another. In this way, with a single semiconductor body, different predefinable images can be generated independently of one another.
[0044] Further preferably, the second contact layer is structured in the form of pixels and has a plurality of electrical connection pads, wherein a pixel is in each case electrically conductively connected to a connection pad.
[0045] The individual pixels can thus be electrically driven separately from one another. Independent energization of the pixels of the second contact layer is made possible in this way, as a result of which different predefinable images can be generated independently of one another.」
(日本語訳:
[0036] 好ましい一構造形態においては,第1のコンタクト層は,第2のコンタクト層の面のうち半導体ボディとは反対側の面に配置されている。特に好ましくは,第2のコンタクト層が複数の開口を有し,第1のコンタクト層はこれらの開口の中を半導体ボディの方に延在している。
[0037] 特に,この場合,第1のコンタクト層と第2のコンタクト層との間に電気絶縁性の分離層が配置されている。電気絶縁性の分離層は,第2のコンタクト層における開口の領域に開口を有することが好ましく,第1のコンタクト層は開口の中に延在している。特に,第1のコンタクト層は,第2のコンタクト層から電気的に絶縁された状態で配置されている。したがって,第1のコンタクト層は,第2のコンタクト層から電気的に絶縁された状態で,第2のコンタクト層における開口の中を半導体ボディの方に延在している。この構造は,電気絶縁性の分離層によって達成されることが好ましい。
[0038] 好ましい一構造形態においては,第1のコンタクト層の部分領域は,裏面から,活性層における孔の中に,放射出口面に向かう方向に延在している。
[0039] 特に好ましくは,分離層および第2のコンタクト層における開口の中に延在する,第1のコンタクト層の部分領域は,裏面から,活性層における孔の中を放射出口面に向かう方向に延びている。この場合,第1のコンタクト層は,半導体ボディから電気的に絶縁された状態で,半導体ボディにおいて活性層の孔の中に延在していることが好ましい。
[0040] さらなる構造形態においては,第1のコンタクト層は,放射出口面に面している活性層の側において半導体ボディとの電気接続を形成するのに適している少なくとも1つの電気接続領域を有する。具体的には,第1のコンタクト層は,裏面から活性層における孔の中を放射出口面に向かう方向に延在している部分領域によって,放射出口面に面している活性層の側において半導体ボディとの電気接続を形成するのに適している。
[0041] 特に,接続領域は,半導体ボディの裏面に配置されている。結果として,活性層によって放出される放射が接続領域において遮られたり吸収されたりすることを回避することができ,これは有利である。
[0042] 本投影装置の好ましい一構造形態においては,第1のコンタクト層は,特定の構造の形に構造化されており,かつ複数の電気接続領域を有し,構造それぞれが接続領域に導電接続されている。
[0043] したがって,特に,第1のコンタクト層の構造を個別に電気的に駆動することが可能である。第1のコンタクト層の個々の構造を適切に電気的に駆動することにより,特に同一の半導体ボディによって複数の異なるイメージを生成することができ,これは有利である。半導体ボディへの対応する通電によって,第1のコンタクト層の複数の構造に互いに独立して通電することができる。このようにすることで,単一の半導体ボディを使用して,複数の異なる事前定義可能なイメージを互いに独立して生成することができる。
[0044] 本投影装置のさらなる好ましい構造形態においては,第2のコンタクト層は,ピクセルの形に構造化されており,かつ複数の電気接続パッドを有し,ピクセルそれぞれが接続パッドに導電接続されている。
[0045] したがって,個々のピクセルを互いに個別に電気的に駆動することができる。このようにすることで,第2のコンタクト層のピクセルに独立して通電することが可能となり,この結果として,複数の異なる事前定義可能なイメージを互いに独立して生成することができる。)

d「[0052] Preferably, a wavelength conversion element is disposed downstream of the semiconductor body on the radiation exit side. In particular, at least part of the light emerging through the radiation exit side of the semiconductor body thus passes through the wavelength conversion element, whereby the radiation of one wavelength that is emitted by the semiconductor body is at least partly converted into radiation of another wavelength. As a result, it is advantageously possible to produce a projection device which emits multicolored light.
[0053] Particularly advantageously, a semiconductor body has a plurality of adjacent selectively luminous regions, wherein a regular arrangement of wavelength conversion elements is arranged on the radiation exit side. In particular, the regular arrangement preferably comprises a green emitting conversion element on each first selectively luminous region, a red emitting conversion element on each second selectively luminous region, and no conversion element on each third selectively luminous region. A green or red emitting conversion element should be understood to mean, in particular, a conversion element which converts radiation emitted by the semiconductor body into radiation in the green or in the red wavelength range, respectively.
[0054] A full-color semiconductor body which can project full-color images in the projection device can thus advantageously he produced.
[0055] The structuring of the different conversion elements can be effected for example by the etching of optical semiconductor materials, for example II-VI semiconductor materials, or by partial, lithographic lift-off, the so-called lift-off method, of ceramic conversion materials deposited beforehand. Ablation of conversion layers by laser irradiation is also possible.」
(日本語訳:
[0052] 本オプトエレクトロニクス投影装置の好ましい一構造形態においては,半導体ボディの下流,放射出口面上に波長変換要素が配置されている。特に,半導体ボディの放射出口面を通じて出ていく光の少なくとも一部は,この波長変換要素を通過し,これによって,半導体ボディによって放出される1つの波長の放射の少なくとも一部分が,別の波長の放射に変換される。結果として,多色光を放出する投影装置を製造することが可能であり,これは有利である。
[0053] 特に有利には,半導体ボディは,複数の隣接する選択的発光領域を有し,放射出口面上に波長変換要素が規則的に配置されている。特に,この規則的な配置は,第1の選択的発光領域それぞれの上の,緑色を放出する変換要素と,第2の選択的発光領域それぞれの上の,赤色を放出する変換要素とを備えており,第3の選択的発光領域それぞれは変換要素を備えていないことが好ましい。緑色を放出する変換要素または赤色を放出する変換要素は,特に,半導体ボディによって放出される放射を,それぞれ,緑色の波長範囲または赤色の波長範囲の放射に変換する変換要素を意味するものと理解されたい。
[0054] したがって,投影装置においてフルカラーイメージを投影できるフルカラー半導体ボディを製造することができ,これは有利である。
[0055] 複数の異なる変換要素の構造化は,例えば,光半導体材料(例:II-VI族半導体材料)をエッチングすることによって,あるいは,あらかじめ堆積させたセラミック変換材料をリソグラフィによって部分的にリフトオフする(いわゆるリフトオフ法)ことによって,行うことができる。変換層に対してレーザ照射によるアブレーションを行うことも可能である。)

e「[0069] FIGS. 1A to 1F in each case show a schematic cross section of a projection device having a semiconductor body 1 . The semiconductor body 1 is, for example, a light-emitting diode chip or a laser diode chip. The semiconductor body 1 is preferably in thin-film design and comprises epitaxially deposited layers that form the semiconductor body 1 .
[0070] The layers of the semiconductor component are preferably based on a III-V compound semiconductor material. A III-V compound semiconductor material comprises at least one element from the third main group such as, for example Al, Ga, In and one element from the fifth main group such as, for example, N, P, As. In particular, the term III-V compound semiconductor material encompasses the group of binary, ternary and quaternary compounds which contain at least one element from the third main group and at least one element from the fifth main group, in particular nitride and phosphide compound semiconductors. Moreover, such a binary, ternary or quaternary compound can comprise, for example, one or a plurality of dopants and additional constituents.
[0071] The semiconductor body 1 has an active layer 101 suitable for generating electromagnetic radiation. The active layer 101 preferably comprises a pn junction, a double heterostructure, a single quantum well or a multi-quantum well structure for generating radiation. The active layer 101 of the semiconductor body 1 preferably emits radiation in the ultraviolet or infrared or particularly preferably in the visible wavelength range. For this purpose, the active layer 101 of the semiconductor body 1 can comprise InGaAlP or InGaN, for example.
[0072] The semiconductor body 1 furthermore has a radiation exit side 102 , at which the electromagnetic radiation generated in the active layer 101 emerges from the semiconductor body 1 .
[0073] The semiconductor body 1 is an imaging element of the projection device. In particular, the image generated by the projection device during operation is not generated by a further element such as, for example, a stencil, a transparency or a light modulator, rather the semiconductor body 1 itself is the imaging element of the projection device. A space-saving projection device is advantageously made possible in this way.
[0074] To make electrical contact with the semiconductor body 1 , a first contact layer 2 and a second contact layer 3 are arranged at a rear side 103 lying opposite the radiation exit side 102 of the semiconductor body 1 and are electrically insulated from one another by a separating layer 4 .
[0075] Preferably, the second contact layer 3 is structured in the form of pixels 301 , wherein at least one part of the predefined image 10 arises as a result of the projection of the pixels 301 during the operation of the projection device. By way of example, the pixels 301 of the second contact layer 3 can be structured in a two-dimensional segment display, in particular a seven-segment display, or in a two-dimensional regular matrix composed of n rows and m columns.
[0076] Alternatively, the second contact layer 3 can have at least one structure in the form of a pictogram, character, letter or lettering. Preferably, the second contact layer 3 has a plurality of structures in the form of a pictogram, character, letter or lettering.
[0077] Preferably, regions 305 of the second contact layer 3 which are arranged between the pixels 301 are electrically insulating. In particular, the pixels 301 are electrically insulated from one another by the regions 305 .
[0078] Preferably, the electrical conductivity of the regions 305 of the second contact layer 3 outside the pixels 301 is destroyed or at least reduced. Alternatively, the second contact layer 3 can be removed in regions outside the pixels 301 . In this case, electrically insulating material, for example dielectric material, is arranged between the pixels 301 .
[0079] The first contact layer 2 is preferably arranged at that side of the second contact layer 3 which is remote from the semiconductor body 1 . Preferably, an electrically insulating separating layer 4 is arranged between the first contact layer 2 and the second contact layer 3 .
[0080] The second contact layer 3 and the electrically insulating separating layer 4 preferably have a plurality of openings 302 through which the first contact layer 2 runs to the semiconductor body 1 . That partial region 203 of the first contact layer 2 which leads to the openings 302 extends from the rear side 103 of the semiconductor body 1 through a perforation 104 in the active layer 101 in the direction toward the radiation exit side 102 . The first contact layer 2 is thus suitable for making electrical contact with the semiconductor body 1 at a side of the active layer 101 which faces the radiation exit side 102 . The second contact layer 3 is suitable for making electrical contact with the semiconductor body 1 from the rear side 103 thereof.
[0081] In this example, the first contact layer 2 is therefore connected to the epitaxial layer of the semiconductor body 1 at points via electrically insulated openings or perforations. In particular, the partial regions 203 of the first contact layer 2 which are led through the openings 302 in the second contact layer 3 and through the semiconductor body 1 are led in a manner electrically insulated from the first contact layer 3 and the layers of the semiconductor body 1 . This can be realized through the electrically insulating separating layer 4 b, for example.
[0082] The first and/or second contact layer 2 , 3 can contain a metal or a metal alloy. The electrically insulating separating layer 4 can contain dielectric layers, for example.
[0083] The first contact layer 2 is preferably a planar mirror extending virtually over the entire lateral extent of the semiconductor body 1 . Preferably, the first contact layer 2 is an n-type contact of the semiconductor body 1 .
[0084] The second contact layer 3 is preferably arranged on partial regions of the semiconductor body 1 . Consequently, the second contact layer 3 does not extend over the entire lateral extent of the semiconductor body 1 . Preferably, the second contact layer 3 is a p-type contact of the semiconductor body 1 .
[0085] Preferably, the first and/or the second contact layer 2 , 3 are/is reflective to the radiation emitted by the active layer 101 .
[0086] Particularly preferably, the second contact layer 3 is reflective. This increases the coupling-out of radiation in the imaging regions of the semiconductor body, as a result of which the radiation efficiency preferably increases in the regions.
[0087] In the example in FIGS. 1A to 1F , the first contact layer 2 has an electrical connection region suitable for making electrical contact with the semiconductor body 1 (not illustrated). The second contact layer 3 preferably has a plurality of electrical connection pads (not illustrated), wherein a pixel 301 is in each case electrically conductively connected to a connection pad. Consequently, the pixels 301 of the second contact layer 3 can be electrically driven separately from one another by the plurality of electrical connection pads.
[0088] By the second contact layer 3 structured to form pixels, during the operation of the projection device, the image to be imaged in the projection device is generated directly by a laterally selective emission in the semiconductor body 1 . Different patterns can thus be generated by suitable driving of the pixels 301 of the second contact layer 3 . In particular, by corresponding driving, differently luminous images such as, for example, pictograms, letters and/or letterings can be generated and imaged onto a projection area by a lens system.
[0089] Advantageously, during the operation of the projection device, a single semiconductor body 1 can thus represent a plurality of predefined images which, in particular, can be generated independently of one another. A projection device which can be used flexibly is advantageously made possible.
[0090] FIG. 1B shows a schematic cross section of a further projection device. In addition to the example illustrated in FIG. 1A , radiation coupling-out structures 11 are formed on the radiation exit side 102 of the semiconductor body 1 . In particular, the radiation coupling-out structures 11 are arranged in regions on the radiation exit side 102 .
[0091] In particular, radiation coupling-out structures 11 are arranged, only oh the regions of the radiation exit, side 102 of the semiconductor body 1 below which a pixel 301 of the second contact layer 3 is arranged in a vertical direction. There is an improvement in the radiation coupling-out of the radiation emitted by the semiconductor body 1 in selected regions of the semiconductor body 1 arranged vertically above the second contact layer 3 , in particular above the pixels 301 of the second contact layer 3 . The selected regions of the radiation exit side 102 correspond to the regions of the semiconductor body 1 responsible for forming the predefined image 10 .
[0092] The coupling-out of the radiation emitted by the semiconductor body 1 is advantageously improved in regions of the radiation exit side 102 which have radiation coupling out structures 11 , as a result of which the efficiency of the semiconductor body 1 is advantageously increased.
[0093] At the interface of the semiconductor body 1 , a jump in the refractive index takes place from the material of the semiconductor body 1 , on the one hand, to the surrounding material, on the other hand. This results in refraction of the light at the transition from the semiconductor body 1 into the surroundings. Depending on the angle at which a ray of light impinges on the interface, total reflection can occur. On account of the parallel surfaces of the semiconductor body 1 , the reflected ray of light impinges on the opposite interface at the same angle, such that total reflection occurs there as well. The consequence is that the ray of light can therefore contribute nothing to the emission of light. By virtue of the fact that radiation coupling out structures 11 are arranged on the radiation exit side 102 , the angle at which a ray of light impinges on the surface is altered.
[0094] Radiation coupling-out structures 11 should primarily be understood to mean surface structurings. In particular, improved coupling-out of light can be made possible for instance by a height profile of the radiation exit side 102 , for example a microprism structuring or an increase in the roughness of the radiation exit side 102 . If roughenings of the radiation exit side 102 are provided, an irregular surface that improves the coupling-out of light is formed as a result.
[0095] For the rest, the example in FIG. 1B corresponds to the example in FIG. 1A .」
(日本語訳:
[0069] 図1A?図1Fは,それぞれ,半導体ボディ1を有する投影装置の概略的な断面図を示している。半導体ボディ1は,例えば,発光ダイオードチップまたはレーザダイオードチップである。半導体ボディ1は,薄膜設計に具体化されていることが好ましく,半導体ボディ1を形成しているエピタキシャル成長層を備えている。
[0070] 本半導体部品の層は,III-V族化合物半導体材料をベースとしていることが好ましい。III-V族化合物半導体材料は,第III族の少なくとも1種類の元素(例えば,Al,Ga,In)と,第V族の1種類の元素(例えば,N,P,As)とを備えている。特に,III-V族化合物半導体材料という用語は,第III族の少なくとも1種類の元素と第V族の少なくとも1種類の元素とを含んでいる,二元化合物,三元化合物,および四元化合物の群を包含している(特に,窒化物化合物半導体,リン化物化合物半導体)。さらに,このような二元化合物,三元化合物,または四元化合物は,例えば1種類または複数種類のドーパントおよび追加の構成成分を備えていることができる。
[0071] 半導体ボディ1は,電磁放射を発生させるのに適している活性層101を有する。活性層101は,放射を発生させるためのpn接合,ダブルへテロ構造,単一量子井戸構造,または多重量子井戸構造を備えていることが好ましい。半導体ボディ1の活性層101は,紫外波長範囲または赤外波長範囲の放射,特に好ましくは可視波長範囲の放射を放出することが好ましい。この目的のため,半導体ボディ1の活性層101は,例えば,InGaAlPまたはInGaNを備えていることができる。
[0072] 半導体ボディ1は放射出口面102をさらに有し,活性層101において発生した電磁放射は,この放射出口面102において半導体ボディ1から出る。
[0073] 半導体ボディ1は,本投影装置のイメージ生成要素である。具体的には,動作時に本投影装置によって生成されるイメージは,さらなる要素(例えば,ステンシル,トランスパレンシー,光変調器)によって生成されるのではなく,半導体ボディ1自体が本投影装置のイメージ生成要素である。このようにすることで,省スペースな投影装置が可能となり,これは有利である。
[0074] 半導体ボディ1との電気接続を形成するため,半導体ボディ1の放射出口面102とは反対側に位置する裏面103に,第1のコンタクト層2および第2のコンタクト層3が配置されており,これらのコンタクト層は分離層4によって互いに電気的に絶縁されている。
[0075] 第2のコンタクト層3は,ピクセル301の形に構造化されていることが好ましく,本投影装置の動作時,ピクセル301が投影される結果として,所定のイメージ10の少なくとも一部が生じる。第2のコンタクト層3のピクセル301は,一例として,2次元のセグメントディスプレイ,特に,7セグメントディスプレイとして構造化する,またはn行m列からなる2次元の規則的な行列に構造化することができる。
[0076] あるいは,第2のコンタクト層3は,絵文字,文字,またはレタリングの形の少なくとも1つの構造を有することができる。第2のコンタクト層3は,絵文字,文字,またはレタリングの形の複数の構造を有することが好ましい。
[0077] ピクセル301の間に配置されている,第2のコンタクト層3の領域305は,電気絶縁性に具体化されていることが好ましい。特に,ピクセル301は,領域305によって互いに電気的に絶縁されている。
[0078] ピクセル301の外側の,第2のコンタクト層3の領域305の導電性は,破壊されている,または少なくとも低減されていることが好ましい。あるいは,ピクセル301の外側の領域において,第2のコンタクト層3を除去することができる。この場合,ピクセル301の間には,電気絶縁性材料(例えば誘電体材料)が配置されている。
[0079] 第1のコンタクト層2は,半導体ボディ1とは反対側の第2のコンタクト層3の面に配置されていることが好ましい。第1のコンタクト層2と第2のコンタクト層3の間には,電気絶縁性の分離層4が配置されていることが好ましい。
[0080] 第2のコンタクト層3および電気絶縁性の分離層4は,複数の開口302を有することが好ましく,第1のコンタクト層2はこれらの開口302の中を半導体ボディ1の方に延在している。第1のコンタクト層2のうち開口302の中に延在する部分領域203は,半導体ボディ1の裏面103から活性層101における孔104の中を放射出口面102に向かう方向に延びている。したがって,第1のコンタクト層2は,放射出口面102に面している活性層101の側において半導体ボディ1との電気接続を形成するのに適している。第2のコンタクト層3は,半導体ボディ1との電気接続を裏面103から形成するのに適している。
[0081] したがって,この例示的な実施形態においては,第1のコンタクト層2は,電気的に絶縁されている開口または孔を介して,半導体ボディ1のエピタキシャル層に点において接続されている。特に,第1のコンタクト層2のうち第2のコンタクト層3における開口302および半導体ボディ1の中を延びている部分領域203は,第2のコンタクト層3および半導体ボディ1の層から電気的に絶縁された状態で延在している。この構造は,例えば電気絶縁性の分離層4bによって達成することができる。
[0082] 第1のコンタクト層2もしくは第2のコンタクト層3またはその両方は,金属または金属合金を含んでいることができる。電気絶縁性の分離層4は,例えば誘電体層を含んでいることができる。
[0083] 第1のコンタクト層2は,半導体ボディ1の横方向範囲の実質的に全体にわたり延在している平面的なミラーとして具体化されていることが好ましい。第1のコンタクト層2は,半導体ボディ1のn型コンタクトとして具体化されていることが好ましい。
[0084] 第2のコンタクト層3は,半導体ボディ1の部分領域の上に配置されていることが好ましい。したがって,第2のコンタクト層3は,半導体ボディ1の横方向範囲の全体には延在していない。第2のコンタクト層3は,半導体ボディ1のp型コンタクトとして具体化されていることが好ましい。
[0085] 第1のコンタクト層2もしくは第2のコンタクト層3またはその両方は,活性層101によって放出される放射に対して反射性として具体化されていることが好ましい。
[0086] 第2のコンタクト層3は,反射性に具体化されていることが特に好ましい。これによって,半導体ボディの結像領域における放射の取り出し量が増大し,結果として,この領域における放射の効率が高まり,これは好ましい。
[0087] 図1A?図1Fの例示的な実施形態においては,第1のコンタクト層2は,半導体ボディ1との電気接続を形成するのに適している電気接続領域を有する(図示していない)。第2のコンタクト層3は,複数の電気接続パッド(図示していない)を有することが好ましく,ピクセル301それぞれが接続パッドに導電接続されている。結果として,第2のコンタクト層3のピクセル301を,複数の電気接続パッドによって互いに個別に電気的に駆動することができる。
[0088] ピクセルを形成するように構造化されている第2のコンタクト層3によって,本投影装置の動作時,投影装置において結像させるイメージが,半導体ボディ1における横方向に選択的な放出によって直接生成される。したがって,第2のコンタクト層3のピクセル301を適切に駆動することによって,複数の異なるパターンを生成することができる。特に,対応する駆動によって,異なる発光イメージ(例えば,絵文字,文字,レタリング)を生成し,レンズ系によって投影領域上に結像することができる。
[0089] したがって,本投影装置の動作時,特に,互いに独立して生成することのできる複数の所定のイメージを,単一の半導体ボディ1によって表現することができ,これは有利である。フレキシブルに使用することのできる投影装置が可能になり,これは有利である。
[0090] 図1Bは,さらなる投影装置の概略的な断面図を示している。図1Aに示した例示的な実施形態に加えて,半導体ボディ1の放射出口面102上に放射取り出し構造11が形成されている。特に,放射取り出し構造11は,放射出口面102上に部分的に配置されている。
[0091] 特に,放射取り出し構造11は,半導体ボディ1の放射出口面102のうち,縦方向下方に第2のコンタクト層3のピクセル301が配置されている領域にのみ配置されている。この場合,第2のコンタクト層3(特に,第2のコンタクト層3のピクセル301)の縦方向上方に配置されている,半導体ボディの選択された領域において,半導体ボディ1によって放出される放射の取り出しが改善される。放射出口面102のこの選択された領域は,半導体ボディ1のうち所定のイメージ10を形成するように機能する領域に対応する。
[0092] 放射取り出し構造11を有する放射出口面102の領域において,半導体ボディ1によって放出される放射の取り出しが改善され,これは有利であり,この結果として,半導体ボディ1の効率が高まり,これは有利である。
[0093] 半導体ボディ1の界面においては,半導体ボディの材料と周囲の材料とで屈折率が異なる。この結果として,光は半導体ボディ1から周囲に出ていくときに屈折する。界面に光線が入射する角度によっては,全反射が起こりうる。半導体ボディ1の表面は平行であるため,反射した光線は反対側の界面に同じ角度で入射し,したがって,そこでも全反射が起こる。したがって,結果として,この光線は光の放出に寄与することができない。放射出口面102上に放射取り出し構造11が配置されているため,光線が表面に入射する角度が変化する。
[0094] 放射取り出し構造11は,主として,表面の構造化を意味するものと理解されたい。特に,例えば放射出口面102の高さプロファイル(例えばマイクロプリズム構造),あるいは放射出口面102の粗さを大きくすることによって,光の取り出しを改善することが可能である。放射出口面102の粗面化を行うと,結果として不規則な表面が形成され,光の取り出しが改善される。
[0095] 残りの要素については,図1Bの例示的な実施形態は,図1Aの例示的な実施形態と同じである。)

f「[0122] FIG. 2B shows a further longitudinal section of an example of a projection device. In this example, the first contact layer 2 is structured in the form of structures 202 , in particular in strip-shaped fashion. Accordingly, the first contact layer 2 is not formed in whole-area fashion, but rather has structures 202 electrically insulated from one another.
[0123] Furthermore, the first contact layer 2 has a plurality of electrical connection regions 201 . A structure 202 of the first contact layer 2 is in each case electrically conductively connected to an electrical connection region 201 . Consequently, the structures 202 of the first contact layer 2 can be electrically driven separately from one another in each case via an electrical connection region 201 .
[0124] The second contact layer 3 is structured in the form of pixels 301 , wherein the pixels 301 are arranged in a two-dimensional regular matrix composed of n rows and m columns. The pixels 301 are arranged, in particular, on the strip-shaped structures 202 of the first contact layer 2 . In particular, the pixels 301 which are in each case situated in a common series are electrically conductively connected to an electrically conductive connection pad 303 jointly Via a respective conductor track 304 . In particular, the second contact layer 3 has h electrical connection pads 303 in the case of a matrix arrangement of the pixels 301 comprising n rows. By virtue of the fact that the pixels 301 are electrically conductively connected in rows separately in each case to an electrical connection pad 303 of the second contact layer and in columns separately to a respective electrical connection region 201 of the first contact layer 2 , each pixel 301 can be electrically driven separately.
[0125] If, by way of example, only one column of the first contact layer 2 and only one row of the second contact layer 3 is driven in an electrically conductive manner, then electrical contact is made with only one pixel 301 . An interconnection of pixels 301 that can be individually electrically driven by one another on the rear side of the semiconductor body 1 is thereby made possible. By corresponding driving of the individual pixels 301 on the semiconductor body 1 , differently luminous images such as, for example, pictograms, letters and/or letterings can thus be generated and imaged onto a closely positioned projection area by a lens or a lens system. A projection device which can project flexible images is advantageously made possible.
[0126] As in the example with regard to FIG. 2A , partial regions 203 of the first contact layer 2 lead in an electrically insulated manner through the second contact layer 3 and through the semiconductor body to the radiation exit side of the semiconductor body 1 .」
(日本語訳:
[0122] 図2Bは,投影装置の例示的な実施形態のさらなる縦断面図を示している。この例示的な実施形態においては,第1のコンタクト層2は,構造202の形に,特に,帯状に構造化されている。したがって,第1のコンタクト層2は全面には形成されておらず,互いに電気的に絶縁されている構造202を有する。
[0123] さらには,第1のコンタクト層2は,複数の電気接続領域201を有する。第1のコンタクト層2の構造202それぞれは,電気接続領域201に導電接続されている。結果として,第1のコンタクト層2の構造202それぞれを,電気接続領域201を介して互いに個別に電気的に駆動することができる。
[0124] 第2のコンタクト層3は,ピクセル301の形に構造化されており,ピクセル301は,n行m列からなる2次元の規則的な行列に配置されている。ピクセル301は,特に,第1のコンタクト層2の帯状の構造202の上に配置されている。特に,共通のグループに位置しているピクセル301は,まとめて各導体トラック304を介して導電接続パッド303に導電接続されている。特に,ピクセル301の行列構造がn行を備えている場合,第2のコンタクト層3はn個の電気接続パッド303を有する。ピクセル301が,行単位で第2のコンタクト層の電気接続パッド303に個別に導電接続されており,かつ,列単位で第1のコンタクト層2の各電気接続領域201に個別に導電接続されていることによって,各ピクセル301を個別に電気的に駆動することができる。
[0125] 一例として,第1のコンタクト層2の1列のみと,第2のコンタクト層3の1行のみとが,電気的に駆動されると,1個のピクセル301のみとの電気接続が形成される。これによって,相互接続されたピクセル301を半導体ボディ1の裏面において互いに個別に電気的に駆動することが可能になる。半導体ボディ1における個々のピクセル301の対応する駆動によって,異なる発光イメージ(例えば,絵文字,文字,レタリング)を生成して,近接する投影領域上にレンズまたはレンズ系によって結像することができる。フレキシブルなイメージを投影することのできる投影装置が可能になり,これは有利である。
[0126] 図2Aに関連する例示的な実施形態と同様に,第1のコンタクト層2の部分領域203は,第2のコンタクト層3の中と半導体ボディの中とを,電気的に絶縁された状態で,半導体ボディ1の放射出口面の方に延在している。)

g FIG1A(図1A)及びFIG2B(図2B)は以下のものである。


h ここで,前記[0069]?[0071],[0083]及び[0084]の記載とともにFIG1Aを参照すると,半導体ボディ1のうち,活性層101に隣接し,放射出口面102側に配置された部分は,第1のコンタクト層2がn型コンタクトとして接続されるn型半導体層ということができ,また,半導体ボディ1のうち,活性層101に隣接し,放射出口面102とは反対側に配置された部分は,第2のコンタクト層3がp型コンタクトとして接続されるp型半導体層ということができる。

(イ)以上を総合すると,引用例1には以下の発明が記載されているものと認められる(以下「引用発明」という。)。
「半導体ボディ1を有する投影装置であって,
半導体ボディ1は,電磁放射を発生させるのに適している活性層101を有し,活性層101は,放射を発生させるためのpn接合,ダブルへテロ構造,単一量子井戸構造,または多重量子井戸構造を備え,
半導体ボディ1は放射出口面102をさらに有し,活性層101において発生した電磁放射は,この放射出口面102において半導体ボディ1から出るものであり,
半導体ボディ1のうち,活性層101に隣接し,放射出口面102側に配置された部分はn型半導体層であり,また,活性層101に隣接し,放射出口面102とは反対側に配置された部分はp型半導体層であり,
半導体ボディ1との電気接続を形成するため,半導体ボディ1の放射出口面102とは反対側に位置する裏面103に,第1のコンタクト層2および第2のコンタクト層3が配置されており,これらのコンタクト層は分離層4によって互いに電気的に絶縁されており,
第1のコンタクト層2と第2のコンタクト層3の間には,電気絶縁性の分離層4が配置されており,
第1のコンタクト層2は,電気的に絶縁されている開口または孔を介して,半導体ボディ1のn型半導体層に点において接続され,第1のコンタクト層2のうち第2のコンタクト層3における開口302および半導体ボディ1の中を延びている部分領域203は,第2のコンタクト層3および半導体ボディ1の層から電気的に絶縁された状態で延在しており,
第2のコンタクト層3は,半導体ボディ1のp型半導体層の部分領域の上に配置され,半導体ボディ1の横方向範囲の全体には延在しておらず,半導体ボディ1のp型半導体層に接続されており,
第1のコンタクト層2は,半導体ボディ1との電気接続を形成するのに適している電気接続領域を有し,第2のコンタクト層3は,複数の電気接続パッドを有し,ピクセル301それぞれが接続パッドに導電接続されており,結果として,第2のコンタクト層3のピクセル301を,複数の電気接続パッドによって互いに個別に電気的に駆動することができるものであり,
第2のコンタクト層3は,ピクセル301の形に構造化されおり,例えばn行m列からなる2次元の規則的な行列に構造化することができ,
ピクセル301の間に配置されている,第2のコンタクト層3の領域305は,電気絶縁性に具体化されていることが好ましく,特に,ピクセル301は,領域305によって互いに電気的に絶縁され,
構造化されている第2のコンタクト層3によって,本投影装置の動作時,投影装置において結像させるイメージが,半導体ボディ1における横方向に選択的な放出によって直接生成される,
半導体ボディ1を有する投影装置。」

イ 引用例2:特開2002-141492号公報
(ア)原査定の拒絶の理由に引用され,本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である,特開2002-141492号公報(以下「引用例2」という。)には,図とともに,以下の記載がある。

a「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,発光ダイオードディスプレイパネル及びその製造方法に係り,詳しくは,アクティブマトリックス駆動でき,小型,高精細で,かつ駆動回路も一体化した発光ダイオードディスプレイパネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体発光ダイオード(Light Emitted Diode:以下「LED」という。)を用いたディスプレイはそれが自発光タイプであることから,高性能でコンパクトなディスプレイを実現し得るものとして期待されている。実際に,野外での大画面のフルカラーディスプレイとして,赤,緑,青それぞれのパッケージングされたLEDを二次元的にアレイにしてならべることで,高輝度,高コントラストのディスプレイが実現されている。
【0003】しかしながら,上記のように個々のLEDをアレイ化する方法では,小型で高精細なディスプレイを実現することは困難であった。
【0004】
・・・(中略)・・・
【0007】本発明の目的は,上記課題に鑑み,一つのLEDパネルにより,小型,高精細で,かつパネル駆動用の駆動回路,及び周辺回路までをオンチップ化したLEDディスプレイパネル及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく,本発明のLEDディスプレイパネルは,シリコン(Si)基板上に2次元アレイ配列されたLED駆動回路が形成され,そのそれぞれの駆動回路上にLEDが積層されていることを特徴とする。
【0009】また本発明のLEDディスプレイパネルは,シリコン基板上に,行選択線,画素駆動信号線,二つの電源線,及び,複数のMOSトランジスタまたはバイポーラトランジスタからなる発光ダイオード駆動回路が2次元アレイ配列されて形成され,そのそれぞれの駆動回路の上部に,該駆動回路の出力端と一方の電極が電気的に接続された発光ダイオードが積層されていることを特徴とする。この場合,LED駆動回路が,行選択線と画素駆動信号線を入力とするナンドゲートと,そのナンドゲートの出力を入力とするインバータとで構成されていることが好ましい。」

b「【0012】また本発明のLEDディスプレイパネルの製造方法は、一方のシリコン基板上にポーラスシリコン層を介してLEDを構成する層を成長させ、その上に陽極電極を形成し、他方のシリコン基板上にLEDの駆動回路を形成して、一方のシリコン基板上に形成されたLEDの陽極電極の中心と、他方のシリコン基板上に形成された駆動回路の出力パッドの中心とが一致するように対向させ、加熱、加圧して張り合わせた後、上記ポーラスシリコン層を選択的に除去して、LEDを構成する層の成長に用いたシリコン基板を剥離除去することを特徴とする。
【0013】上記LEDディスプレイパネルの製造方法においては、他方のシリコン基板上に、行選択線、画素駆動信号線、二つの電源線、及び、複数のMOSトランジスタまたはバイポーラトランジスタからなる発光ダイオード駆動回路が2次元アレイ配列されて形成されることが好ましい。」

c「【0016】まず,シリコン(Si)基板に通常のCMOSプロセスを用いて,LED二次元アレイ駆動回路を作り込む。LED駆動回路は一つのLED素子に対して一つ設け,行選択線,LED駆動信号線(画素駆動信号線),VCCとGNDの二つの電源線,ナンドゲート一つとインバータ一つで構成し,マトリクス状に配置する。例えば,この駆動回路を縦,横ともに10μmピッチで配置すると,SVGAのパネル(800行×600列)が16mm×12mm(4画素で3色を表示の場合)のサイズで作ることができる。
【0017】LED駆動回路の構成は,ナンドゲートの二つの入力線に,行選択線とLED駆動信号線を接続し,このナンドゲートの出力線をインバータの入力とし,出力をLED駆動回路の出力とする。このような構成にすることで,選択された行,すなわち選択線にHighの信号が与えられた行の駆動回路がLED駆動信号に従って駆動される。LED駆動回路の出力は,駆動回路それぞれの直上に,例えば画素が10μmピッチとすると8μm角の金属による小さなパッドとして引き出される。
【0018】本実施形態のLED駆動回路におけるナンドゲートと,そのナンドゲートの出力を入力とするインバータは,例えば複数のMOSトランジスタまたは/及びバイポーラトランジスタで構成することができる。」

(イ)以上から,引用例2には,次の技術事項が記載されているといえる。
「LEDディスプレイパネルであって,
シリコン基板上に,行選択線,画素駆動信号線,二つの電源線,及び,複数のMOSトランジスタまたはバイポーラトランジスタからなる発光ダイオード駆動回路が2次元アレイ配列されて形成され,そのそれぞれの駆動回路の上部に,該駆動回路の出力端と一方の電極が電気的に接続された発光ダイオードが積層されており,LED駆動回路が,行選択線と画素駆動信号線を入力とするナンドゲートと,そのナンドゲートの出力を入力とするインバータとで構成されたものであって,
一方のシリコン基板上にポーラスシリコン層を介してLEDを構成する層を成長させ、その上に陽極電極を形成し、他方のシリコン基板上にLEDの駆動回路を形成して、一方のシリコン基板上に形成されたLEDの陽極電極の中心と、他方のシリコン基板上に形成された駆動回路の出力パッドの中心とが一致するように対向させ、加熱、加圧して張り合わせた後、上記ポーラスシリコン層を選択的に除去して、LEDを構成する層の成長に用いたシリコン基板を剥離除去して形成されたもの。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明とを比較する。

ア 引用発明の「投影装置」は,「本投影装置の動作時,投影装置において結像させるイメージが,半導体ボディ1における横方向に選択的な放出によって直接生成される」ものであるから,本願補正発明の「表示装置(1)」に相当する。

イ 引用発明の「電磁放射を発生させるのに適している活性層101」は,本願補正発明の「放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)」に相当する。

ウ 引用発明においては,「第2のコンタクト層3は,複数の電気接続パッドを有し,ピクセル301それぞれが接続パッドに導電接続されており,結果として,第2のコンタクト層3のピクセル301を,複数の電気接続パッドによって互いに個別に電気的に駆動することができるものであ」るから,「第2のコンタクト層3のピクセル301」の各々に対応する部分を有する「半導体ボディ1」は,本願補正発明の「複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)」に相当する。

エ 引用発明の「n型半導体層」及び「p型半導体層」は,それぞれ,本願補正発明の「第1の半導体層(21)」及び「第2の半導体層(22)」に相当することから,引用発明の「半導体ボディ1のうち,活性層101に隣接し,放射出口面102側に配置された部分はn型半導体層であり,また,活性層101に隣接し,放射出口面102とは反対側に配置された部分はp型半導体層であ」ることは,本願補正発明の「記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されて」いることに相当する。

オ 引用発明の「第1のコンタクト層2は,電気的に絶縁されている開口または孔を介して,半導体ボディ1のn型半導体層に点において接続され,第1のコンタクト層2のうち第2のコンタクト層3における開口302および半導体ボディ1の中を延びている部分領域203は,第2のコンタクト層3および半導体ボディ1の層から電気的に絶縁された状態で延在して」いることと,本願補正発明の「前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられて」いることとは,「前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記半導体積層体(2)の前記活性領域(20)とは反対側の主面(27)から前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられて」いる点で一致する。

カ したがって,引用発明と本願補正発明とは,次の点で一致する。
「表示装置(1)であって,
放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有し,かつ複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)と,
を備えており,
- 前記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されており,
- 前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記活性領域(20)とは反対側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられている,
表示装置(1)。」

キ 一方両者は,以下《相違点1》?《相違点3》の点で相違する。
《相違点1》
本願補正発明は,キャリア(5)であって,「前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えて」いるものを備えるのに対し,引用発明は当該構成を備えず,また,これに伴い,本願補正発明に係る「凹部(25)」が,「前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達して」いる構成を備えるのに対し,引用発明は「前記凹部(25)」が,「前記活性領域(20)とは反対側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達して」いる構成は備えるものの,「前記キャリア(5)の側」は存在しない点。

《相違点2》
本願補正発明は,「前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在」する構成を備えるが,引用発明は当該構成を備えるのか明らかでない点。

《相違点3》
本願補正発明は,「前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体(2)の面に,放射変換要素(6)が配置されており,」「前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」構成を備えるのに対し,引用発明は当該構成を備えない点。

(4)判断
上記各相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用例1の段落[0122]?[0126](前記(2)ア(ア)f)にも記載されているように,発光ダイオードを二次元アレイとした表示装置は慣用されるものである。
そして,上記引用例1の段落[0122]?[0126]及びFIG2Bに示されたものは,いわゆるパッシブマトリクス駆動するものであるが,二次元アレイとした各素子の駆動を,いずれも周知の技術であるパッシブマトリクス駆動とするか,アクティブマトリクス駆動とするかは当業者が適宜に選択できる事項である。
ここで,前記引用例2にも記載されているように,発光ダイオード駆動回路が2次元アレイ配列されて形成され,そのそれぞれの駆動回路の上部に,該駆動回路の出力端と一方の電極が電気的に接続された発光ダイオードを積層して,LEDディスプレイとすることは,よく知られた構成である。
それゆえ,引用発明について,引用例2に係る技術(前記(2)イ(イ))を適用して,「シリコン基板上に,行選択線,画素駆動信号線,二つの電源線,及び,複数のMOSトランジスタまたはバイポーラトランジスタからなる発光ダイオード駆動回路が2次元アレイ配列されて形成され,そのそれぞれの駆動回路の上部に,該駆動回路の出力端と一方の電極が電気的に接続された発光ダイオードが積層されており,LED駆動回路が,行選択線と画素駆動信号線を入力とするナンドゲートと,そのナンドゲートの出力を入力とするインバータとで構成」されるように,「それぞれの駆動回路の上部に,該駆動回路の出力端と」,引用発明に係る「第2のコンタクト層3」とを接続することにより,相違点1に係る,キャリア(5)であって,「前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えて」いるものとすることは,当業者が適宜になし得たことであり,また,これに伴い,「前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)」も備えることとなる。

イ 相違点2について
引用発明は,「第1のコンタクト層2は,電気的に絶縁されている開口または孔を介して,半導体ボディ1のn型半導体層に点において接続され」ているものであるから,前記引用例1のFIG1Aは,上記「半導体ボディ1のn型半導体層に点において接続され」ている部分を含む断面図であって,当該点において接続される部分以外には前記「開口または孔」は存在しないことから,当該「開口または孔」が存在しない部分における活性層101は連続しており,相違点2に係る「前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在」しているものといえる。
よって,相違点2は実質的な相違点ではなく,仮にそうでないとしても当業者が適宜になし得たことである。

ウ 相違点3について
(ア)まず,本願補正発明に係る「複数のセグメント(6a,6b)」の技術的意味を検討する。
a 本願明細書には,放射変換要素のセグメントについて以下の記載がある。
「【0024】
好ましい構造形態においては,キャリアとは反対側の半導体積層体の面に,放射変換要素が配置されている。放射変換要素は,活性領域において生成される,第1のピーク波長を有する放射の少なくとも一部分を,第1のピーク波長とは異なる第2のピーク波長を有する第2の放射に変換する目的で設けられることが好ましい。
【0025】
放射変換要素は,複数のピクセルにわたり,特に,すべてのピクセルにわたり連続的に延在していることができる。これに代えて,放射変換要素は,それぞれが少なくとも1つのピクセルに関連付けられている複数のセグメントを備えていることができる。例えば,3つ以上のピクセルを1つのカラートリプレット(colour triplet)に結合することができ,カラートリプレットは,赤色スペクトル領域,緑色スペクトル領域,および青色スペクトル領域の放射を生成する目的で設けられる。このような表示装置は,静止画または動画のフルカラー再生に適している。」
「【0056】
図2に概略的に示した第2の例示的な実施形態は,図1に関連して説明した第1の例示的な実施形態と実質的に同じである。第1の例示的な実施形態とは異なる点として,第2の接続層32が,表示装置1のすべてのピクセル2a,2bの共通のコンタクトを形成している。第1の接続層31それぞれはランド35を形成しており,ランド35は,それぞれのピクセルに割り当てられているスイッチ51に導電接続されている。
【0057】
さらには,半導体積層体の放射出口面29に放射変換要素6が形成されている。図示した例示的な実施形態においては,放射変換要素は,複数のセグメント6a,6bを備えた連続的な要素の形をとる。各ピクセルに正確に1つのセグメントが割り当てられる。隣り合うセグメントの間それぞれに,分離ウェブ61が形成されている。分離ウェブによって,セグメント6a,6bを互いに光学的に絶縁することができる。このようにすることで,ピクセル2a,2bの間の光学的分離が向上する。
【0058】
フルカラーの静止画または動画を再生することを目的とする表示装置の場合,相互に異なるピーク波長を持つ二次波長を有する放射を生成するようにセグメント6a,6bを設けることができる。例えば,3つのセグメント6a,6bが,赤色スペクトル領域,緑色スペクトル領域,および青色スペクトル領域の放射を生成するカラートリプレットを形成することができる。当然ながら,放射変換要素6を不連続な構造とし,互いに機械的に分離された個々のセグメントの形の放射変換要素をそれぞれのピクセル2a,2bに形成することも可能である。
・・・(中略)・・・
【0060】
ピクセルヘッドライトの場合,放射変換要素6のセグメント6a,6bを同じ構造とすることもできる。例えば,人の目に白色に見える光が放出されるように,活性領域20において生成される青色の放射を黄色のスペクトル領域の二次放射に変換するセグメントを設けることができる。」

b 前記段落【0024】?【0025】には「好ましい構造形態」として,放射変換要素を,複数のピクセルにわたり連続的に延在させることに代えて,放射変換要素が,それぞれが少なくとも1つのピクセルに関連付けられている複数のセグメントを備えることが記載され,複数のピクセルが異なる色の放射を生成するように,異なる放射変換要素を各ピクセルに関連付けることが例示されている。
また,前記段落【0056】?【0058】には「第2の例示的な実施形態」として,放射変換要素の隣り合うセグメント間に分離ウェブを形成することで,ピクセル間の光学的分離が向上することが記載されているが,当該分離ウェブの存在は,前記段落【0024】?【0025】においては記載されていない事項である。
以上から,放射変換要素は,それぞれが少なくとも1つのピクセルに関連付けられている複数のセグメント,すなわち区画,を備えていることができ,この際,放射変換要素の隣り合うセグメント間に分離ウェブを形成するのは,ピクセル間の光学的分離を向上させる場合である。すなわち,「セグメント」との用語自体は,分離ウェブと一体不可分なものではなく,分離ウェブを設けないで複数のセグメント(区画)が隣接して配置される形態を排除するものではないと解される。

(イ)ところで,引用例1の段落[0052]?[0055]には,複数の隣接する選択的発光領域の放射出口面上に波長変換要素が規則的に配置され,この規則的な配置は,第1の選択的発光領域それぞれの上の,緑色を放出する変換要素と,第2の選択的発光領域それぞれの上の,赤色を放出する変換要素とを備えることが記載されており,当該規則的の配置された,第1の選択的発光領域それぞれの上の緑色を放出する変換要素,及び第2の選択的発光領域それぞれの上の赤色を放出する変換要素は,前記(ア)での検討に照らせば,本願補正発明に係る,「放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」ことに相当するものといえる。

(ウ)そして,上記引用例1の段落[0052]?[0055]に記載された構成は,引用発明に係る構成に関連して記載されているものであるから,引用発明に当該事項を適用して,相違点3に係る,「前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体(2)の面に,放射変換要素(6)が配置されており,」「前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」構成を備えるようにすることは,当業者が適宜になし得たことである。

(エ)平成30年12月13日に提出された上申書(以下,単に「上申書」という。)について
a 請求人は,上申書において,引用例1の記載から,活性層中にトレンチを形成しないことはデバイス特性を悪化させるものであり,当業者はトレンチを形成しないものを望ましくないものと理解し,また,進歩性の判断にあたっては,請求項1に係る表示装置に最も近い引用例1のFIG1Fを出発点とする必要がある旨を主張する。
b しかしながら,引用例1には,トレンチを有さないものも実施形態として記載されているところ,当該実施形態においては,トレンチを設けるための追加のプロセスが不要である等の利点は当業者に明らかなことである。このように,トレンチを設けるか,あるいは設けないことによる利害得失には,当業者が当然に把握できるものがあり,当該利害得失に基づいてトレンチを設けるか否かは適宜に選択できる事項であるから,一概に,トレンチを設けたもののみを選択するとは認められない。
また,一般に,進歩性の判断にあたっては,判断の対象となる発明の構成に比較的類似したものが出発点となる事例が多いとしても,比較的構成が類似しないものを出発点として進歩性を否定することが排除されるものではない。
さらに,引用例1の段落[0052]?[0055]の記載からみて,波長変換部材を備えるものが,引用例1のFIG1Fに示される実施形態に限定されないことは明らかである。
よって,上申書における請求人の主張は採用できない。

(5)小括
よって,本願補正発明は,引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。
よって,本願補正発明は,特許出願の際独立して特許を受けることができない。

5 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年7月23日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明は,願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項13のうち請求項1を引用するものにより特定される以下のとおりのものである。(以下「本願発明」という。)
「表示装置(1)であって,
放射を生成する目的で設けられている活性領域(20)を有し,かつ複数のピクセル(2a,2b)を形成している半導体積層体(2)と,
キャリア(5)と,
を備えており,
- 前記活性領域(20)が,第1の半導体層(21)と第2の半導体層(22)との間に配置されており,
- 前記半導体積層体(2)が少なくとも1つの凹部(25)を備えており,前記凹部(25)が,前記キャリア(5)の側の前記半導体積層体(2)の主面(27)から,前記活性領域(20)を貫いて,前記第1の半導体層(21)の中に達しており,前記第1の半導体層(21)に電気的に接触する目的で設けられており,
- 前記キャリア(5)が,それぞれが少なくとも1つのピクセル(2a,2b)を制御する目的で設けられている複数のスイッチ(51)を備えており,
- 前記活性領域は,複数のピクセルにわたり連続的に延在し,
- 前記キャリアとは反対側の前記半導体積層体の面に,放射変換要素(6)が配置されている,
表示装置(1)。」

2 引用発明
引用発明は,前記第2の4「(2)刊行物等に記載された発明」に記載したとおりのものである。

3 対比・判断
前記第2「1 本件補正の内容」?第2「3 補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についての検討」において記したように,本願補正発明は,本件補正前の請求項13の「放射変換要素(6)」について,本件補正後の請求項1の「前記放射変換要素が複数のセグメント(6a,6b)を備えており,前記複数のセグメント(6a,6b)それぞれに少なくとも1つのピクセルが関連付けられている」ものとして,より限定するものである。言い換えると,本願発明は,本願補正発明から上記限定事項を除いたものである。
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,これをより限定したものである本願補正発明が,前記第2 5「(3)対比」?第2 5「(5)小括」において検討したとおり,引用発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も同様の理由により,当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおりであるから,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-06-26 
結審通知日 2019-07-02 
審決日 2019-07-19 
出願番号 特願2016-254891(P2016-254891)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小濱 健太  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 山村 浩
近藤 幸浩
発明の名称 表示装置および表示装置の製造方法  
代理人 特許業務法人鷲田国際特許事務所  

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