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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H02P
管理番号 1357655
異議申立番号 異議2018-700629  
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-31 
確定日 2019-11-13 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6272355号発明「回転電機システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6272355号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、11について訂正することを認める。 特許第6272355号の請求項〔1-10〕、11に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第6272355号の請求項1-11に係る特許についての出願は、平成25年12月27日を国際出願日とする出願であって、平成30年1月12日にその特許権の設定登録がなされ、平成30年1月31日に特許掲載公報が発行された。
これに対して、特許異議申立人土田裕介より、平成30年7月31日に、本件請求項1-11に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされ、平成30年9月28日付で取消理由が通知され(発送日:平成30年10月3日)、これに対し特許権者より平成30年11月28日付で意見書及び訂正請求書が提出され、平成31年1月8日付で訂正請求があった旨が通知され(発送日:平成31年1月15日)、これに対し特許異議申立人より平成31年2月14日付で意見書が提出され、平成31年3月14日付で訂正拒絶理由が通知され(発送日:平成31年3月19日)、これに対し特許権者より平成31年4月17日付で意見書が提出され、令和元年6月3日付で取消理由(決定の予告)が通知され(発送日:令和元年6月6日)、これに対し特許権者より令和元年8月1日付で意見書及び訂正請求書が提出され、令和元年8月7日付で訂正請求があった旨が通知され(発送日:令和元年8月14日)、これに対し特許異議申立人より令和元年9月12日付で意見書が提出されたものである。


第2.令和元年8月1日付訂正請求書による訂正の適否についての判断
1.一群の請求項1?10について
(1)訂正の内容
訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記発電された電力を貯蔵するエネルギー貯蔵装置を有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システム。」と記載されているのを、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサと、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置を有し、
前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出することを特徴とする回転電機システム。」に訂正する。
(請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項7?10も同様に訂正する)。

訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、
「請求項1に記載の回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵する第一の変換器と、
前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機に備えられた回転速度検出器と、
前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記第一の変換器の出力指令値を決定する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。」と記載されているのを、独立形式に改め、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機に備えられた回転速度検出器と、
前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。」に訂正する。
(請求項2を直接的又は間接的に引用する請求項4、7?10も同様に訂正する)。

訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に、
「請求項1に記載の回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵する第一の変換器と、
前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。」と記載されているのを、独立形式に改め、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。」に訂正する。
(請求項3を直接的又は間接的に引用する請求項7?10も同様に訂正する)。

訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転する回転電機システムであって、
前記翼、若しくは前記回転機構、若しくは前記回転機のいずれか一つ以上の回転軸に回転速度検出器を備え、
前記回転速度検出器で検出した回転速度検出値の差分から、若しくは前記回転速度検出値を用いて算出される回転速度変化率から回転機構の入力トルクを推定する入力トルク推定装置を備え、
前記推定された入力トルクに基づき、もしくは前記推定された入カトルクに前記回転速度を乗じることで推定される発電出力に基づき、前記回転機から出力される発電出力を制御する電力変換器の交流側制御装置を備え、
前記推定された発電出力を入力として、前記翼の枚数と前記回転速度に応じた時間幅分の入力を平準化処理することで電力系統に出力する発電電力を演算する平準化発電電力演算装置を備え、
前記演算された平準化発電電力と前記推定された発電出力から、前記電力変換器の直流部に設置されたエネルギー貯蔵装置の充電電圧指令値を演算する直流電圧演算装置を備え、
前記演算された充電電圧指令値に基づき前記電力変換器のエネルギー貯蔵装置の充電電圧を制御する前記電力変換器の直流側制御装置を備えることを特徴とする回転電機システム。」と記載されているのを、
「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記翼、若しくは前記回転機構、若しくは前記回転機のいずれか一つ以上の回転軸に回転速度検出器を備え、
前記回転速度検出器で検出した回転速度検出値の差分から、若しくは前記回転速度検出値を用いて算出される回転速度変化率から回転機構の入力トルクを推定する入力トルク推定装置を備え、
前記推定された入力トルクに基づき、もしくは前記推定された入力トルクに前記回転速度を乗じることで推定される発電出力に基づき、前記回転機から出力される発電出力を制御する電力変換器の交流側制御装置を備え、
前記推定された発電出力を入力として、前記翼の枚数と前記回転速度に応じた時間幅分の入力を平準化処理することで電力系統に出力する発電電力を演算する平準化発電電力演算装置を備え、
前記演算された平準化発電電力と前記推定された発電出力から、前記電力変換器の直流部に設置された平滑コンデンサの充電電圧指令値を演算する直流電圧演算装置を備え、
前記演算された充電電圧指令値に基づき前記電力変換器の平滑コンデンサの充電電圧を制御する前記電力変換器の直流側制御装置を備えることを特徴とする回転電機システム。」に訂正する。
(請求項5を直接的又は間接的に引用する請求項6?10も同様に訂正する)。


(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.一群の請求項について
訂正前の請求項1?4及び7?10について、請求項2?4及び7?10は請求項1を直接的又は間接的に引用しており、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1?4及び7?10に対応する訂正後の請求項1?4及び7?10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項(一群の請求項A)である。
訂正前の請求項5?10について、請求項6?10は請求項5を直接的または間接的に引用しており、訂正事項4によって記載が訂正される請求項5に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項5?10に対応する訂正後の請求項5?10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項(一群の請求項B)である。
一群の請求項A及び一群の請求項Bは、共通する請求項7?10を有するので、共通する請求項7?10を有する一群の請求項A及び一群の請求項Bは組み合わされて、訂正前の請求項1?10に対応する訂正後の請求項1?10は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。


イ.訂正の適否
(ア)訂正事項1
a 訂正の目的について
訂正前の請求項1には、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」が記載されていないが、訂正後の請求項1は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明1」という。)の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項1は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正発明1の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることを特定し、更に限定するものでもあるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

訂正前の請求項1には、「前記発電された電力を貯蔵するエネルギー貯蔵装置」と記載されているが、訂正後の請求項1は、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」と記載され、訂正発明1におけるエネルギー貯蔵装置をより具体的に特定し、限定するものであるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項1には、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」及び「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」が記載されていないが、訂正後の請求項1は、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」及び「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」との記載により、訂正発明1の回転電機システムは、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」及び「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」を特定し、更に限定するものでもあるから、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」及び「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項1には、「前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力する」と記載されているが、訂正後の請求項1は、「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」との記載により、訂正発明1における回転電機システムが本来有している制御手段・制御内容をより具体的に特定し、更に限定しているから、「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」ことを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項7?10における訂正後の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものは、訂正後の請求項1を引用することにより、訂正後の請求項7?10における訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用するものに係る発明を、より具体的に特定し、更に限定するものであるため、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項1の訂正は、「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システム」の構成を「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」によって明瞭なものとし、「エネルギー貯蔵装置」という発明特定事項を概念的により下位の「平滑コンデンサ」にするものであり、また、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」及び「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」は回転電機システムの制御の前提となる構成を特定するものであり、また、「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」によって回転電機システムの制御内容を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
同様に、訂正後の請求項1を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項7?10についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1の「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」は、段落【0008】、【0009】、【0010】、【0012】の「タワー等の支持構造部材」という記載、図面の図10及び図10を参照しながら説明している段落【0033】の記載、並びに、請求項9に記載の「翼の支持構造物」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項1の「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」は、段落【0019】の「平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項1の「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」及び「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」は、段落【0019】の「固定子巻線(9)に電力変換器(2)の順変換器(3)が電気的に接続され、発生した交流電力は順変換器(3)によって直流電力に変換される。順変換器(3)は平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置を介して逆変換器(4)に接続しており、逆変換器(4)によって50Hzや60Hz等の商用周波数に変換され電力系統(1)に出力される。」の記載などや、訂正前の請求項2や請求項3に記載の「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵する第一の変換器」や「前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」及び「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項1の「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」及び「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」は、段落【0021】の「電力変換器(2)を制御する制御装置(6)は、交直変換器(3)によって回転機(7)からその回転速度に応じて所望の電力を発生するように、回転機(7)と電力変換器(2)の間の電流および電圧を制御する。また、電力変換器(2)を制御する制御装置(6)は、逆変換器(4)によって平滑コンデンサ(5)の直流電圧を略一定にするように制御する」、段落【0031】の「以上によって、交流側を制御する電力変換器(3)および直流側を制御する電力変換器(4)は、それぞれ電力変換器制御装置(6)に備わる交流側制御装置(19)および直流側制御装置(20)によって制御され、交流制御側は回転機構に入力されるトルク変動に追随して動作することで、タワーシャドウ効果による軸捩れ振動を抑制し、抑制することで電力変換器への入力電力が変動するが、直流制御側は直流部を充放電制御することで、電力系統への出力を略一定にするように動作することができる。」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置」及び「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」ことを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?11について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


(イ)訂正事項2
a 訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する形式であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式へ書き改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

さらに、訂正前の請求項2を独立形式で書き改めるに際して、訂正事項1と同様の訂正を行っている。
訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項2には、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」が記載されていないが、訂正後の請求項2は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正後の請求項2に係る発明(以下、「訂正発明2」という。)の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項2は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正発明2の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることを特定し、更に限定するものでもあるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項2には、「前記発電された電力を貯蔵するエネルギー貯蔵装置」と記載されているが、訂正後の請求項2は、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」と記載され、訂正発明2におけるエネルギー貯蔵装置をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項2には、「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記第一の変換器の出力指令値を決定する制御装置」と記載されているが、訂正後の請求項2は、「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」との記載により、訂正発明2における回転電機システムは、制御装置の制御手段・方法をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、訂正事項2の「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項4、7?10における訂正後の請求項2を直接的又は間接的に引用するものは、訂正後の請求項2を引用することにより、訂正後の請求項4、7?10における訂正後の請求項2を直接的又は間接的に引用するものに係る発明を、より具体的に特定し、更に限定するものであるため、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項2の訂正は、「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システム」の構成を「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」によって明瞭なものとし、「エネルギー貯蔵装置」という発明特定事項を概念的により下位の「平滑コンデンサ」にするものであり、また、「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」によって回転電機システムの制御内容を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
同様に、訂正後の請求項2を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項4、7?10についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2の「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」は、段落【0008】、【0009】、【0010】、【0012】の「タワー等の支持構造部材」という記載、図面の図10及び図10を参照しながら説明している段落【0033】の記載、並びに、請求項9に記載の「翼の支持構造物」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項2の「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」は、段落【0019】の「平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項2の「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」は、段落【0031】の「以上によって、交流側を制御する電力変換器(3)および直流側を制御する電力変換器(4)は、それぞれ電力変換器制御装置(6)に備わる交流側制御装置(19)および直流側制御装置(20)によって制御され、交流制御側は回転機構に入力されるトルク変動に追随して動作することで、タワーシャドウ効果による軸振れ振動を抑制し、抑制することで電力変換器への入力電力が変動するが、直流制御側は直流部を充放電制御することで、電力系統への出力を略一定にするように動作することができる。」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?11について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


(ウ)訂正事項3
a 訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項3が訂正前の請求項1を引用する形式であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式へ書き改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。

さらに、訂正前の請求項3を独立形式で書き改めるに際して、訂正事項1と同様の訂正を行っている。
訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項3は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」が記載されていないが、訂正後の請求項3は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正後の請求項3に係る発明(以下、「訂正発明3」という。)の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項3は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正発明3の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることを特定し、更に限定するものでもあるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項3には、「前記発電された電力を貯蔵するエネルギー貯蔵装置」と記載されているが、訂正後の請求項3は、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」と記載され、訂正発明3におけるエネルギー貯蔵装置をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項1を引用した訂正前の請求項3には、「前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時開幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」と記載されているが、訂正後の請求項3は、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」との記載により、訂正発明3における回転電機システムは、制御装置の制御手段・方法をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項7?10における訂正後の請求項3を直接的又は間接的に引用するものは、訂正後の請求項3を引用することにより、訂正後の請求項7?10における訂正後の請求項3を直接的又は間接的に引用するものに係る発明を、より具体的に特定し、更に限定するものであるため、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項3の訂正は、「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システム」の構成を「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」によって明瞭なものとし、「エネルギー貯蔵装置」という発明特定事項を概念的により下位の「平滑コンデンサ」にするものであり、また、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」によって回転電機システムの制御内容を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。
同様に、訂正後の請求項3を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項7?10についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

c 願書に添付し良明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3の「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」は、段落【0008】、【0009】、【0010】、【0012】の「タワー等の支持構造部材」という記載、図面の図10及び図10を参照しながら説明している段落【0033】の記載、並びに、請求項9に記載の「翼の支持構造物」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項3の「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」は、段落【0019】の「平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサ」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項3の「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」は、段落【0031】の「以上によって、交流側を制御する電力変換器(3)および直流側を制御する電力変換器(4)は、それぞれ電力変換器制御装置(6)に備わる交流側制御装置(19)および直流側制御装置(20)によって制御され、交流制御側は回転機構に入力されるトルク変動に追随して動作することで、タワーシャドウ効果による軸振れ振動を抑制し、抑制することで電力変換器への入力電力が変動するが、直流制御側は直流部を充放電制御することで、電力系統への出力を略一定にするように動作することができる。」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?11について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項3に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


(エ)訂正事項4
a 訂正の目的について
訂正前の請求項5には、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」が記載されていないが、訂正後の請求項5は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正後の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明1」という。)の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項5は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正発明5の回転電機システムは、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることを特定し、更に限定するものでもあるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

訂正前の請求項5には、「エネルギー貯蔵装置」と記載されているが、訂正後の請求項5は、「平滑コンデンサ」と記載され、訂正発明5におけるエネルギー貯蔵装置をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「平滑コンデンサ」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

同様に、訂正後の請求項6?10における訂正後の請求項5を直接的又は間接的に引用するものは、訂正後の請求項5を引用することにより、訂正後の請求項6?10における訂正後の請求項5を直接的又は間接的に引用するものに係る発明を、より具体的に特定し、更に限定するものであるため、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項4の訂正は、「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転する回転電機システム」の構成を「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」によって明瞭なものとし、また、「エネルギー貯蔵装置」という発明特定事項を概念的により下位の「平滑コンデンサ」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

同様に、訂正後の請求項5を直接的又は間接的に引用する訂正後の請求項6?10についても、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4の「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」は、段落【0008】、【0009】、【0010】、【0012】の「タワー等の支持構造部材」という記載、図面の図10及び図10を参照しながら説明している段落【0033】の記載、並びに、請求項9に記載の「翼の支持構造物」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項4の「平滑コンデンサ」は、段落【0019】の「平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「平滑コンデンサ」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?11について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項5に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


2.請求項11について
(1)訂正の内容
訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に、
「3枚の翼と、
前記翼により駆動され発電する回転機と、
前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器と、
を有する風力発電設備の運転方法であって、
前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、
電力系統に出力する電力を平滑化処理することを特徴とする
風力発電設備の運転方法。」と記載されているのを、
「3枚の翼と、
前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機と、
前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器と、
を有し、
前記翼の支持構造物としてタワーを備える風力発電設備の運転方法であって、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ、
前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、
電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させることを特徴とする
風力発電設備の運転方法。」に訂正する。


(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正の適否
(ア)訂正事項5
a 訂正の目的について
訂正前の請求項11には、「前記翼により駆動され発電する回転機」と記載されているが、訂正後の請求項11は、「前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機」との記載により、訂正後の請求項11に係る発明(以下、「訂正発明11」という。)における回転機をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項11には、「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器」と記載されているが、訂正後の請求項11は、「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」と記載され、訂正発明11における電力変換器をより具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」を特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項11には、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」が記載されていないが、訂正後の請求項11は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」との記載により、訂正発明11の風力発電設備の運転方法における「風力発電設備」は、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることが特定されている。
そうであれば、訂正後の請求項11は、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」により、訂正発明11の風力発電設備の運転方法における「風力発電設備」は、翼の支持構造物としてタワーを備えるものであることを特定し、更に限定するものでもあるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものでもある。

訂正前の請求項11は、「電力変換器」に関し「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」と記載されていないが、訂正後の請求項11は、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」との記載により、訂正発明11の風力発電設備の運転方法は、電力変換器の第一の変換器の動作内容を特定し、更に限定するものでもあるから、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」ることを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

訂正前の請求項11は、「平滑化処理」に関し「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理する」と記載されているが、訂正後の請求項11は、「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」との記載により、電力変換器の第二の変換器が平滑化処理することを具体的に特定し、更に限定するものであるから、「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」ことを特定する訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

b 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記aから明らかなように、訂正事項5の訂正は、「回転機」の構成をより具体的な「前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機」にするものであり、「電力変換器」の構成をより具体的な「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」にするものであり、また、「風力発電設備」の構成を「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」によって明瞭なものとし、さらに、風力発電設備の運転方法における「電力変換器」の動作内容を「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」、「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」と特定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

c 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5の「前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機」は、段落【0019】の「翼(14)の回転エネルギーは回転機構の軸(12)を介して回転機(7)に伝達される。」という記載、請求項1の「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システム」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項5の「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」は、段落【0019】の「固定子巻線(9)に電力変換器 (2)の順変換器(3)が電気的に接続され、発生した交流電力は順変換器(3)によって直流電力に変換される。順変換器(3)は平滑コンデンサ(5)等の直流電力貯蔵装置を介して逆変換器(4)に接続しており、逆変換器(4)によって50Hzや60Hz等の商用周波数に変換され電力系統(1)に出力される。」という記載、訂正前の請求項2や請求項3の「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵する第一の変換器」、「前記エネルギー貯蔵装置に貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」を特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項5の「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」は、段落【0008】、【0009】、【0010】、【0012】の「タワー等の支持構造部材」という記載、図面の図10及び図10を参照しながら説明している段落【0033】の記載、並びに、請求項9に記載の「翼の支持構造物」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」ることを特定する訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

訂正事項5の「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」及び「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」は、段落【0031】の「以上によって、交流側を制御する電力変換器(3)および直流側を制御する電力変換器(4)は、それぞれ電力変換器制御装置(6)に備わる交流側制御装置(19)および直流側制御装置(20)によって制御され、交流制御側は回転機構に入力されるトルク変動に追随して動作することで、タワーシャドウ効果による軸捩れ振動を抑制し、抑制することで電力変換器への入力電力が変動するが、直流制御側は直流部を充放電制御することで、電力系統への出力を略一定にするように動作することができる。」という記載に基づいて導き出される構成であるから、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ」及び「前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」ことを特定する訂正は、願書に添付し良明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。

d 特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項1?11について特許異議申立てがされているので、訂正前の請求項11に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


3.むすび
したがって、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項?第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、11について訂正することを認める。


第3.特許異議の申立について
1.本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし11に係る発明(以下、請求項順に「本件発明1」等といい、請求項1ないし11に係る発明を「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサと、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置を有し、
前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出することを特徴とする回転電機システム。
【請求項2】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機に備えられた回転速度検出器と、
前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項3】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の回転電機システムであって、
前記翼により前記回転機構に加えられる入力トルクの変動に追従するように前記第一の変換器が変換する電力を制御する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項5】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記翼、若しくは前記回転機構、若しくは前記回転機のいずれか一つ以上の回転軸に回転速度検出器を備え、
前記回転速度検出器で検出した回転速度検出値の差分から、若しくは前記回転速度検出値を用いて算出される回転速度変化率から回転機構の入力トルクを推定する入力トルク推定装置を備え、
前記推定された入力トルクに基づき、もしくは前記推定された入力トルクに前記回転速度を乗じることで推定される発電出力に基づき、前記回転機から出力される発電出力を制御する電力変換器の交流側制御装置を備え、
前記推定された発電出力を入力として、前記翼の枚数と前記回転速度に応じた時間幅分の入力を平準化処理することで電力系統に出力する発電電力を演算する平準化発電電力演算装置を備え、
前記演算された平準化発電電力と前記推定された発電出力から、前記電力変換器の直流部に設置された平滑コンデンサの充電電圧指令値を演算する直流電圧演算装置を備え、
前記演算された充電電圧指令値に基づき前記電力変換器の平滑コンデンサの充電電圧を制御する前記電力変換器の直流側制御装置を備えることを特徴とする回転電機システム。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機システムであって、
前記回転機の回転軸に第一の回転速度検出器を備え、
前記翼の回転軸に、若しくは前記回転機構の増速機の回転軸に第二の回転速度検出器を備え、
それぞれの前記回転速度検出器で検出された回転速度信号を積分処理し、前記回転速度検出器が具備された位置の回転角位相を算出し、算出した回転角位相から軸捩れ若しくは軸捩れを補正するトルク指令値を算出することを特徴とする回転電機システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅に、前記回転機が発電した電力を逐次移動平均し、電力系統に出力する発電電力指令値を演算する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記時間幅は、前記回転機の運転速度範囲の下限値の回転速度において、翼が1回転するのに要する時間を翼1枚あたりに換算した時間以上の固定時間幅であることを特徴とする回転電機システム。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記翼の上流に前記翼の支持構造物を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の回転電機システムであって、
先行する翼に対して算出された演算値を、それ以降の翼に用いて、前記電力の出力を制御する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項11】
3枚の翼と、
前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機と、
前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器と、
を有し、
前記翼の支持構造物としてタワーを備える風力発電設備の運転方法であって、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ、
前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、
電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させることを特徴とする
風力発電設備の運転方法。」


2.取消理由
訂正前の請求項1ないし11に係る特許に対して令和元年6月3日付で通知した取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
「本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の(1)、(2)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
(1)明細書【0013】には、「そこで本発明では、一つ若しくは複数の風力発電システムや海流発電システムに適応可能で、風力や海流等の流動性媒体の運動エネルギーの変化に起因する軸捩れを抑制し、回転機構を構成する部品の寿命を長期化させ、かつ、発電システムの入力となる運動エネルギーが変動した場合にも、発電機を制御する電力変換器の直流部のエネルギー貯蔵装置の過充電および過放電を抑制し、出力電力の変動を抑制することができる、回転電機システムを提供することを目的とする。」とあるから、風力や海流等の流動性媒体の運動エネルギーの変化に起因する軸捩れを抑制すること、電力変換器の直流部のエネルギー貯蔵装置の過充電および過放電を抑制して出力電力の変動を抑制することが本件発明1等の解決しようとする課題である。
軸捩れを抑制することに関し、明細書【0025】には、「入力トルク推定装置(16)は、回転速度(ω)信号および1サンプリング前の回転速度(ω)信号から、回転速度変化率を算出する。また、交流側を制御する電力変換器の制御装置(19)によって得られる回転機の発電電力計測値(Pin)を回転速度(ω)信号で割ることで、回転機の負荷トルクを算出し、回転数速度変化率と回転機の負荷トルクおよび予め設定した回転機構を構成する部品群の慣性定数から、回転機構に入力される入力トルクを推定する。推定された入力トルクにフィルタ処理された回転速度(ω)を乗じることで交流側を制御する電力変換器に対する有効電力指令(Pin*)を算出する。有効電力指令(Pin*)は、交流側を制御する電力変換器の制御装置(19)と後段の平準化発電電力演算装置(17)および直流電圧演算装置(18)にそれぞれ入力される。」とあり、上記課題を解決するためには、入力トルク推定装置によるトルク推定と、交流側を制御する電力変換器及び交流側を制御する電力変換器に対する有効電力指令が交流側を制御する電力変換器の制御装置が必要であり、当該記載以外に出力電力の変動を抑制する手段について開示がない。そうすると、請求項1には、軸捩れを抑制する課題を解決するための、入力トルク推定装置と交流側を制御する電力変換器及び交流側を制御する電力変換器の制御装置が記載されていないから、請求項1の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。請求項2?11も同様である。
出力電力の変動を抑制することに関し、明細書【0030】には、「直流電圧演算装置(18)は、前段の処理で得られた発電電力指令値(Pin*)と平準化発電電力指令値(Pout*)、直流側を制御する電力変換器の制御装置(20)によって得られる直流部の直流電圧計測値(V)および直流部のエネルギー貯蔵装置定数(本実施例では平滑コンデンサ(5)の静電容量)から、直流部のエネルギー貯蔵装置で逐次充放電すべきエネルギーを演算し、これにより直流電圧指令値(V*)を演算する。具体的には、直流電圧演算装置(18)では、移動平均時間幅ごとに制御周期発電電力指令値(Pin*)と平準化発電電力指令値(Pout*)の差分ΔPを演算し、それを用いて直流電圧指令値(V*)を演算する。演算された直流電圧指令値(V*)は、直流側を制御する電力変換器の制御装置(20)に入力される。」とあり、上記課題を解決するためには、直流側を制御する電力変換器及び直流側を制御する電力変換器の制御装置、直流電圧指令値を演算する直流電圧演算装置、平滑コンデンサ、平準化発電電力指令値を演算する平準化発電電力演算装置が必要であることが開示され、当該記載以外に出力電力の変動を抑制する手段について開示がない。そうすると、請求項1には、出力電力の変動を抑制する課題を解決するための、直流側を制御する電力変換器及び直流側を制御する電力変換器の制御装置、直流電圧指令値を演算する直流電圧演算装置、平準化発電電力指令値を演算する平準化発電電力演算装置が記載されていないから、請求項1の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。請求項2?11も同様である。
(2)請求項1には、「翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システム」とあり、当該記載ではタワーシャドウ効果を奏しない垂直軸風車等が含まれるが、タワーシャドウ効果を奏しない回転電機システムは発明の詳細な説明に記載は無く、請求項1の記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、請求項1の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。請求項2?11も同様である。
請求項1には、「エネルギー貯蔵装置」とあり、当該記載では平滑コンデンサ以外のもの(大容量コンデンサ、弱電系コンデンサ、二次電池等)が含まれるが、当該事項は発明の詳細な説明に記載は無く、請求項1の記載された範囲まで発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないから、請求項1の記載は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。請求項2?10も同様である。」


3.当審の判断
(1)について
訂正後の請求項1には「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」と記載され、交流側を制御する電力変換器が記載され、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」と記載され、直流側を制御する電力変換器が記載され、「前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置を有し」と記載され、交流側を制御する電力変換器の制御装置、直流側を制御する電力変換器の制御装置が記載され、「前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し」と記載され、入力トルク推定を行って交流側を制御する電力変換器の制御が記載され、「前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する」と記載され、直流電圧指令を演算し、平準化処理を行って直流側を制御する電力変換器の制御が記載されることとなったため、発明の課題を解決できるものとなった。
訂正後の請求項2には「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」と記載され、交流側を制御する電力変換器が記載され、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」と記載され、直流側を制御する電力変換器が記載され、「前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し」と記載され、入力トルク推定を行って交流側を制御する電力変換器の制御が記載され、「前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力する」、「前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有する」と記載され、交流側を制御する電力変換器の制御装置、直流側を制御する電力変換器の制御装置が記載されるとともに、直流電圧指令を演算し、平準化処理を行って直流側を制御する電力変換器の制御が記載されることとなったため、発明の課題を解決できるものとなった。
訂正後の請求項3には「前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器」と記載され、交流側を制御する電力変換器が記載され、「前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器」と記載され、直流側を制御する電力変換器が記載され、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し」と記載され、入力トルク推定を行って交流側を制御する電力変換器の制御が記載され、「前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力する」、「前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有する」と記載され、交流側を制御する電力変換器の制御装置、直流側を制御する電力変換器の制御装置が記載されるとともに、直流電圧指令を演算し、平準化処理を行って直流側を制御する電力変換器の制御が記載されることとなったため、発明の課題を解決できるものとなった。
訂正後の請求項11は「前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器」と記載され、交流側を制御する電力変換器、直流側を制御する電力変換器が記載され、「前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ、前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させる」と記載され、交流側を制御する電力変換器の制御、直流側を制御する電力変換器の制御が記載されるとともに、入力トルク推定を行って交流側を制御する電力変換器の制御が記載され、直流電圧指令を演算し、平準化処理を行って直流側を制御する電力変換器の制御が記載されることとなったため、発明の課題を解決できるものとなった。

(2)について
訂正後の請求項1には「前記翼の支持構造物としてタワーを備え」と記載され、翼の支持構造物としてタワーを有し、「前記回転機構に入力されるトルク変動」と記載され、タワーシャドウ効果を前提とする回転電機システムが記載されることとなったから、発明の詳細な説明に記載されたタワーシャドウ効果を奏する回転電機システムが記載されることとなった。請求項2、3、5、11も同様である。
訂正後の請求項1には「前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し」と記載され、平滑コンデンサ以外のものが排除されたから、発明の詳細な説明に記載された平滑コンデンサを有する回転電機システムが記載されることとなった。請求項2、3、5も同様である。

(3)取消理由(決定の予告)に対する当審の判断のまとめ
したがって、特許を受けようとする発明は発明の詳細な説明に記載されたものであるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。

(4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
特許法第36条第6項第2号
特許異議申立人は、訂正前の請求項1の「前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅」の意味が不明であると主張するが、タワーシャドウ効果は翼が1回転する間に翼の枚数分だけ発生するので、翼が3枚で回転速度がXrpmであればタワーシャドウ効果は1/3Xの時間間隔で発生することが理解できるから意味は明確である。
更に、「平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システム。」の意味が不明であると主張するが、タワーシャドウ効果による平滑コンデンサの過充電・過放電を抑制することが平準化処理であると理解できるから意味は明確である。

(5)令和元年9月12日付意見書による特許異議申立人の意見
ア.訂正の適否に関する意見
特許異議申立人は意見書で、訂正は訂正要件に適合しない旨主張するが、「第2.」で述べた様に、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項?第6項の規定に適合するものである。

イ.取消理由(決定の予告)に関する意見
特許異議申立人が意見書で主張する意見(ア)?(エ)は、訂正の請求に付随して生じた事項ではなく、また特許異議申立の理由では主張していなかった実質的に新たな内容であるため、取消理由としては採用できない。
その上で、意見(ア)?(エ)を検討する。
(ア)風車は、風向計を用いて方位制御を備えるものと備えないものがあり、備えるものは当然に方位制御を行って平準化処理を行い、備えないものは方位制御はできないためできる範疇で平準化処理を行うから、発明が解決しようとする課題は解決している。
また、風車に用いる翼は、通常等間隔に設けられるから、請求項1の記載は発明の詳細な説明に記載したものである。
(イ)請求項9の「前記翼の上流」とは、翼に対して流れる流体の上流側を意味するから、発明は明確である。
(ウ)風車に用いる翼が1枚の場合、重量のアンバランスによって風車が回転する毎に振動が発生するので、これを防ぐために通常翼の枚数は2枚以上の任意で等間隔に配置されるから、請求項1?9の記載は発明の詳細な説明に記載したものである。
(エ)請求項10の「先行する翼」はタワーを横切る翼であり、「それ以降の翼」は、タワーを横切った翼の次以降の翼のことであるから、意味は明確であり、又、当該事項は段落【0054】に記載されている。


第4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-11に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサと、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記第一の変換器と前記第二の変換器への出力指令値を演算する制御装置を有し、
前記制御装置は、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出することを特徴とする回転電機システム。
【請求項2】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機に備えられた回転速度検出器と、
前記回転速度検出器の検出した回転速度の変化率に基づき、前記回転機構に入力されるトルク変動に追随するように前記第一の変換器の出力指令値を決定し、前記平準化処理した電力を出力するように前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項3】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転し発電する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記発電された電力を貯蔵する平滑コンデンサを有し、
前記発電された電力を前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅で平準化処理した電力を出力することを特徴とする回転電機システムであって、
前記回転機が発電する電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、
前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器への出力指令値を算出し、前記第一の変換器への出力指令値を、前記翼の枚数とその回転速度に基づき決定した時間幅で平準化処理した値に基づき、前記第二の変換器への出力指令値を算出する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項4】
請求項2に記載の回転電機システムであって、
前記翼により前記回転機構に加えられる入力トルクの変動に追従するように前記第一の変換器が変換する電力を制御する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項5】
翼によって回転される回転機構を介して回転機が回転する回転電機システムであって、
前記翼の支持構造物としてタワーを備え、
前記翼、若しくは前記回転機構、若しくは前記回転機のいずれか一つ以上の回転軸に回転速度検出器を備え、
前記回転速度検出器で検出した回転速度検出値の差分から、若しくは前記回転速度検出値を用いて算出される回転速度変化率から回転機構の入力トルクを推定する入力トルク推定装置を備え、
前記推定された入力トルクに基づき、もしくは前記推定された入力トルクに前記回転速度を乗じることで推定される発電出力に基づき、前記回転機から出力される発電出力を制御する電力変換器の交流側制御装置を備え、
前記推定された発電出力を入力として、前記翼の枚数と前記回転速度に応じた時間幅分の入力を平準化処理することで電力系統に出力する発電電力を演算する平準化発電電力演算装置を備え、
前記演算された平準化発電電力と前記推定された発電出力から、前記電力変換器の直流部に設置された平滑コンデンサの充電電圧指令値を演算する直流電圧演算装置を備え、
前記演算された充電電圧指令値に基づき前記電力変換器の平滑コンデンサの充電電圧を制御する前記電力変換器の直流側制御装置を備えることを特徴とする回転電機システム。
【請求項6】
請求項5に記載の回転電機システムであって、
前記回転機の回転軸に第一の回転速度検出器を備え、
前記翼の回転軸に、若しくは前記回転機構の増速機の回転軸に第二の回転速度検出器を備え、
それぞれの前記回転速度検出器で検出された回転速度信号を積分処理し、前記回転速度検出器が具備された位置の回転角位相を算出し、算出した回転角位相から軸捩れ若しくは軸捩れを補正するトルク指令値を算出することを特徴とする回転電機システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記翼の枚数と回転速度に応じた時間幅に、前記回転機が発電した電力を逐次移動平均し、電力系統に出力する発電電力指令値を演算する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記時間幅は、前記回転機の運転速度範囲の下限値の回転速度において、翼が1回転するのに要する時間を翼1枚あたりに換算した時間以上の固定時間幅であることを特徴とする回転電機システム。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の回転電機システムであって、
前記翼の上流に前記翼の支持構造物を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載の回転電機システムであって、
先行する翼に対して算出された演算値を、それ以降の翼に用いて、前記電力の出力を制御する制御装置を有することを特徴とする回転電機システム。
【請求項11】
3枚の翼と、
前記翼により回転される回転機構を介して駆動され発電する回転機と、
前記回転機が発電した電力を変換し系統に供給する、平滑コンデンサを備えた電力変換器であって、前記回転機が発電した電力を交流から直流に変換し前記平滑コンデンサに貯蔵する第一の変換器と、前記平滑コンデンサに貯蔵された電力を直流から交流に変換し電力系統に出力する第二の変換器と有する電力変換器と、
を有し、
前記翼の支持構造物としてタワーを備える風力発電設備の運転方法であって、
前記回転機構に入力されるトルク変動に追随して前記第一の変換器を動作させ、
前記翼の回転周期の3分の1の時間の倍数の時間単位で、
電力系統に出力する電力を平滑化処理するように前記第二の変換器を動作させることを特徴とする
風力発電設備の運転方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-10-31 
出願番号 特願2015-554428(P2015-554428)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (H02P)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田村 惠里加  
特許庁審判長 藤井 昇
特許庁審判官 堀川 一郎
長馬 望
登録日 2018-01-12 
登録番号 特許第6272355号(P6272355)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 回転電機システム  
代理人 ポレール特許業務法人  
代理人 黒木 義樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 ポレール特許業務法人  
代理人 小松 秀輝  

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