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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1358141 |
審判番号 | 不服2018-6912 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-05-01 |
確定日 | 2019-12-16 |
事件の表示 | 特願2016- 51602「情報配信システムと情報配信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 8月25日出願公開、特開2016-154022〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年9月5日に出願された特願2011-208074号の一部を平成28年2月26日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年 2月 2日付け:拒絶理由通知書 平成29年 4月 9日 :意見書、手続補正書の提出 平成29年 9月 4日付け:拒絶理由通知書 平成29年10月29日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年 2月 2日付け:拒絶査定 平成30年 5月 1日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和 元年 5月21日付け:拒絶理由通知書 令和 元年 7月26日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、令和元年7月26日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「 WebサイトURL情報を含むリンク先情報を近距離無線通信を利用して送信するリンク先情報送信サーバと、このリンク先情報送信サーバからリンク先情報を近距離無線通信を利用して受信すると、自己に搭載されたアプリケーションソフトウェアによって自己の機器識別情報を近距離無線通信が成立している状態の間に前記リンク先情報送信サーバに近距離無線通信を利用して返信するクライアント機器とを備えることを特徴とする情報配信システム。」 第3 拒絶の理由 令和元年5月21日に当審が通知した拒絶理由の理由1は、概略、次のとおりのものである。 本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2004-030168号公報 引用文献2:特開2003-016341号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1.引用文献1の記載及び引用発明 引用文献1には、図面(特に、図1、7)とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下、同様。)。 (1) 段落【0001】 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、会員登録方法及び会員登録システムに関し、例えば、パチンコやパチスロ、カラオケ等の遊技施設等の会員登録により種々のサービスや情報を取得することができる施設やシステムに好適である。」 (2) 段落【0025】-【0037】 「【0025】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態について、図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の会員登録システムの構成を説明するためにブロック図である。 なお、以下では、本発明の会員登録方法及び会員登録システムを、パチンコやパチスロなどを設置した遊技施設等において会員を登録し、さらにはこの会員登録に基づいてポイント管理を行う会員システムに適用する例について説明する。 ・・・(中略)・・・ 【0027】 図1は、本発明の会員登録システムの全体構成を説明するための概略ブロック図である。なお、図1は、一遊技施設における構成例を示しているが、同様の構成を他の遊技施設や、遊技施設以外の会員制が適用される施設に適用することができる。 図1において、会員登録システム1は、携帯端末2と会員登録装置3とを備える。会員登録は、携帯端末2から会員登録装置3に識別データを送信し、会員登録装置3は送信された識別データを記録することにより行われる。 【0028】 携帯端末2は、例えば携帯電話等であり、少なくとも近距離無線通信機能を有する通信装置である。本発明において、携帯端末2は、会員登録のみの機能を実現する場合には、表示機能や音声通信機能は必須の機能ではない。携帯端末2は、特定の利用者が会員登録を行うために、携帯端末の機器の固有の識別データを保持し、外部信号に基づいてこの識別データを送信する機能を備える。近距離無線通信機能は、赤外線通信(例えば、IrDAの仕様)や非接触IC通信やBluetooth(登録商標)を利用することができる。非接触IC通信は、非接触通信用ICを用いた通信である。携帯端末2及び会員登録装置3は、それぞれ近距離無線通信機能のポート(例えば、赤外線ポートや非接触IC通信ポート)を備え、ポート間で送受信を行う。 【0029】 ここで、識別データは、携帯端末2を特定するために携帯端末が固有に備えるデータであり、例えば、携帯端末2の機器自体を特定する製造番号や端末ID、あるいは通信上において携帯端末を特定する番号(例えば、電話番号やIPアドレス)である。本発明は、この携帯端末を特定する識別データを、この携帯端末を保有する個人を特定する登録データとして使用するものである。 【0030】 また、携帯端末は自動ダウンロードのアプリケーションプログラム、及び自動送信アプリケーションプログラムを備える。自動ダウンロードのアプリケーションプログラムは、URL情報に基づいてそのURLで特定されるサーバに自動で接続を行うアプリケーションプログラムであり、サーバから所定のアプリケーションをダウンロードする。本発明では、サーバは自動送信アプリケーションプログラムを保有し、このサーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードする。 【0031】 また、自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末2が保持する識別データを近距離無線通信機能で自動送信するアプリケーションプログラムであり、命令オブジェクト等に含まれる起動信号等の外部信号に基づいて起動し、識別データを送信する。 自動ダウンロードのアプリケーションプログラム及び自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末2に予め格納しておく他、サーバからダウンロードすることもできる。 【0032】 以下の説明では、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムを携帯端末2は予め格納しておき、近距離無線通信機能により外部からURL情報を取り込むことでこのアプリケーションプログラムを起動させてサーバに接続し、サーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードする。 【0033】 なお、携帯端末2に自動送信アプリケーションプログラムが予め格納されている場合には、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムによってサーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードする必要はない。したがって、この場合には、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムを格納しておく必要はないが、他のサーバから所望のアプリケーションプログラムをダウンロードする場合に利用することができる。 また、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムの起動は、外部からURL情報を取り込むことによる起動に限らず、URL情報についても予め格納しておき、メニュー等で接続先のサーバを選択することにより起動させるようにしてもよい。 【0034】 図1において、サーバ10は、インターネットの通信網14と接続するWebサーバ11と、このWebサーバ11と接続するサービスサーバ12やアプリケーションサーバ13とを備える。ここで、例えば、サービスサーバ12はiモード(登録商標)のサービスを管理するサーバとすることができ、また、アプリケーションサーバ13はiアプリ(登録商標)のアプリケーションプログラムを管理するサーバとすることができる。 【0035】 会員登録装置3は、携帯端末2との間に送受信を行う登録機器4と、登録機器4で受信した識別データを記録する記録手段を備える。図1では記録手段として会員サーバ5を備える。登録機器4は、携帯端末2に対して命令オブジェクトを送信する。この命令オブジェクトは起動信号を含み、携帯端末2に対して識別データの送信を行わせる。なお、命令オブジェクトは、起動信号の他にURL情報を含むようにしてもよい。 【0036】 登録機器4は、遊技施設内に単独で設置する他、機遊技施設に設置される種々の機器装置に取り付けることができる。図1では、登録機器4Aを景品POS6に設置する例、登録機器4Bをいわゆるサンド機と呼ばれる遊技機の台間に設置される台間サービス機器7に設置する例、登録機器4Cを遊技機8に設置する例、登録機器4Dを玉やメダルを計数する計数機9に設置する例を示している。各登録機器4は、LAN等の構内配線等を介して遊技施設が備える会員サーバ5に接続される。 【0037】 会員サーバ5は、取得した識別データをデータベース(図示していない)に記録することで会員登録データを形成する。この会員登録データは、識別データの他、本会員登録を行った場合に住所、氏名等の個人情報の他、ポイントデータを格納するようにしてもよい。」 (3) 段落【0052】 「【0052】 携帯端末2と登録機器4との間では、会員登録に伴って命令オブジェクトや識別データを送受信する他、会員サーバ5からメッセージや広告の送信、携帯端末2からの照会とこれに対する会員サーバ5からの回答等を行うこともできる。」 (4) 段落【0072】-【0086】 「【0072】 次に、本発明の会員登録の動作について説明する。 図7は、本発明の会員登録の動作において、携帯端末、登録機器、Webサーバ、アプリケーションサーバ、及び会員サーバー間で行われるデータの流れを説明するための関係図である。なお、ここでは、携帯端末には、サーバに接続して所定のアプリケーションを自動ダウンロードするアプリケーションプログラムは予め格納され、会員登録に用いる識別データを送信するための自動送信アプリケーションプログラムは格納されていないものとする。なお、以下の説明中の( )中に表される番号は、図7中の番号と対応している。 【0073】 登録機器は、赤外線通信や非接触IC通信等の近距離無線通信機能により、命令オブジェクトを送信する(1)。この命令オブジェクトの送信は、所定時間周期で行う他、登録機器の近傍に接近センサを配置し、この接近センサが携帯端末あるいは利用者が登録機器に近づいたことを検出した時点で行うようにしてもよい。なお、接近センサの作動範囲は、近距離無線通信の通信範囲内となるよう設定する。命令オブジェクトを所定時間周期で送信する場合には、この送信時に近距離無線通信の通信範囲内に携帯端末が入ることにより、携帯端末に命令オブジェクトを送ることができる。 ・・・(中略)・・・ 【0075】 なお、命令オブジェクトは、自動送信アプリケーションプログラムを起動させる起動コマンドと、自動送信アプリケーションプログラム等を自動ダウンロードするためのサーバのURL情報とを含む。 携帯端末は、近距離無線通信の通信範囲内に入ることで、登録機器から送信された命令オブジェクトを受信する(2)。携帯端末は命令オブジェクトを受信すると、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムを起動して、命令オブジェクト中に含まれるURL情報が指定するWebサーバに接続し、自動送信アプリケーションプログラムを要求する。なお、このとき、携帯端末のディスプレイに、自動送信アプリケーションプログラムをダウンロード中である表示を行うようにしてもよい(3)。 ・・・(中略)・・・ 【0080】 携帯端末は、Webサーバから送信されたアプリケーションプログラムをダウンロードし記憶する。なお、このとき、携帯端末のディスプレイに、自動送信アプリケーションプログラムのダウンロードが完了したことを表示してもよい(9)。ダウンロードした自動送信アプリケーションプログラムは、命令オブジェクトに含まれる起動コマンドにより、利用者の操作を待つことなく自動で起動する(10)。自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末が固有に備える識別データである端末IDや電話番号を読み出し(11)、登録機器の送信する。送信する識別データとして、端末IDあるいは電話番号の何れを送信するか、あるいは両方を送信するか、また、端末IDあるいは電話番号の何れか一方を送信する場合において何れを優先するかの選択は、自動送信アプリケーションプログラムあるいは携帯端末で予め設定しておくことができる(12)。 【0081】 登録機器は識別データを受信し(13)、受信した識別データを会員サーバに送信する(14)。会員サーバは識別データを受信し(15)、この識別データを会員登録データとして会員登録の処理を行う(16)。 【0082】 なお、携帯端末が自動送信アプリケーションプログラムを予め格納している場合には、命令オブジェクトの受信により上記の(10)のアプリケーション起動行程から開始することができる。 【0083】 上記会員登録の動作における携帯端末の処理例を図8のフローチャート、及び図9の携帯端末のディスプレイの表示例を用いて説明する。 携帯端末では、登録機器からの命令オブジェクトを受信すると(ステップS1)、命令オブジェクトに含まれる起動コマンドで動作するアプリケーションプログラムがあるか否かを検索する。携帯端末による会員登録処理は、自動で行うため、会員登録の動作表示は必ずしも必要ではないが、表示携帯端末のディスプレイに、例えば「会員登録を開始します」の表示(図9(a))や、「会員登録中です」の表示(図9(b))等の表示を行ってもよい。この表示を行うことにより、利用者に会員登録の処理が進行していることを知らせて、安心感を与えることができる(ステップS2)。 ・・・(中略)・・・ 【0085】 自動送信アプリケーションプログラムを取得した後、あるいは、前記ステップS2において予め自動送信アプリケーションプログラムを保有している場合には、命令オブジェクト中の起動コマンドにより、自動送信アプリケーションプログラムを起動する(ステップS7)。自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末の記憶部内に格納されている端末IDあるいは電話番号等の、携帯端末が固有に備える識別データを読み出す。端末IDあるいは電話番号の何れか、あるいは両方を読み出すかは、自動送信アプリケーションプログラムや携帯端末の設定により定めることができる(ステップS8)。 【0086】 自動送信アプリケーションプログラムは、読み出した識別データを赤外線通信、非接触IC通信等の近距離無線通信機能により送信する(ステップS9)。登録機器から会員登録の処理が完了した完了信号を受信した後(ステップS10)、携帯端末のディスプレイに、例えば、「会員登録が完了しました」等(図9(c))の会員登録が完了したことを表示する。さらに、この会員登録により、ポイントの蓄積を可能とする場合には、「ポイントの蓄積サーバが利用できます」等の表示を行うようにしてもよい(ステップS11)。」 上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 「 遊技施設における会員登録システム1は、携帯端末2と会員登録装置3とを備え、 携帯端末2は、例えば携帯電話等であり、少なくとも近距離無線通信機能を有する通信装置であって、特定の利用者が会員登録を行うために、携帯端末の機器の固有の識別データを保持し、外部信号に基づいてこの識別データを送信する機能を備え、 携帯端末2及び会員登録装置3は、それぞれ近距離無線通信機能のポートを備え、ポート間で送受信を行い、 ここで、識別データは、携帯端末2を特定するために携帯端末が固有に備えるデータであり、 また、携帯端末は自動ダウンロードのアプリケーションプログラム、及び自動送信アプリケーションプログラムを備え、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムは、URL情報に基づいてそのURLで特定されるサーバに自動で接続を行うアプリケーションプログラムであり、サーバから所定のアプリケーションをダウンロードするものであり、自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末2が保持する識別データを近距離無線通信機能で自動送信するアプリケーションプログラムであり、命令オブジェクト等に含まれる起動信号等の外部信号に基づいて起動し、識別データを送信するものであり、 ここで、自動ダウンロードのアプリケーションプログラム及び自動送信アプリケーションプログラムは、携帯端末2に予め格納しておくことができるものであって、携帯端末2に自動送信アプリケーションプログラムが予め格納されている場合には、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムによってサーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードする必要はなく、他のサーバから所望のアプリケーションプログラムをダウンロードすることができ、 サーバ10は、インターネットの通信網14と接続するWebサーバ11と、このWebサーバ11と接続するアプリケーションサーバ13とを備え、 会員登録装置3は、携帯端末2との間で送受信を行う登録機器4と、登録機器4で受信した識別データを記録する会員サーバ5を備え、 登録機器4は、携帯端末2に対して命令オブジェクトを送信し、 ここで、命令オブジェクトは起動信号を含み、携帯端末2に対して識別データの送信を行わせるものであって、起動信号の他にURL情報を含むようにしてもよく、 登録機器4は、機遊技施設に設置される種々の機器装置に取り付けることができるものであって、LAN等の構内配線等を介して遊技施設が備える会員サーバ5に接続され、 会員サーバ5は、取得した識別データをデータベースに記録することで会員登録データを形成し、 会員登録の動作において、 登録機器は、近距離無線通信機能により、命令オブジェクトを送信し(1)、 ここで、命令オブジェクトは、自動送信アプリケーションプログラムを起動させる起動コマンドと、自動送信アプリケーションプログラム等を自動ダウンロードするためのサーバのURL情報とを含み、 携帯端末は、近距離無線通信の通信範囲内に入ることで、登録機器から送信された命令オブジェクトを受信し(2)、命令オブジェクトを受信すると、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムを起動して、命令オブジェクト中に含まれるURL情報が指定するWebサーバに接続し、 自動送信アプリケーションプログラムは、命令オブジェクトに含まれる起動コマンドにより、利用者の操作を待つことなく自動で起動し(10)、携帯端末が固有に備える識別データを読み出し(11)、登録機器に送信し(12)、 登録機器は識別データを受信し(13)、受信した識別データを会員サーバに送信し(14)、 会員サーバは識別データを受信し(15)、この識別データを会員登録データとして会員登録の処理を行い(16)、 ここで、携帯端末が自動送信アプリケーションプログラムを予め格納している場合には、命令オブジェクトの受信により上記の(10)のアプリケーション起動行程から開始することができる、 会員登録システム1。」 2.引用文献2の記載 引用文献2には、図面(特に、図7)とともに、段落【0042】-【0044】に、以下の記載がある。 「【0042】図7は、情報端末(例えばUT1)が、NTTドコモ社が提供しているiモード対応のPDCシステムであったときの、情報端末UT1および情報提供システムSSの処理を示す状態遷移図である。 【0043】図7において、まずユーザU1が情報端末UT1から個人情報を送信することによって、情報提供システムSSから、情報配信を受けるためのアプリケーションを起動する(ステップT00)。情報提供システムSSでは、個人情報を顧客データベースDBに登録する(ステップS01)。 【0044】その後情報提供システムSSが広告を配信すると、情報端末UT1は広告を受信し(ステップT01)、「閲覧定義」を設定し、あるいは閲覧せずとする。」 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 1.引用発明の「携帯端末2」は、「命令オブジェクトを受信すると、自動ダウンロードのアプリケーションプログラムを起動して、命令オブジェクト中に含まれるURL情報が指定するWebサーバに接続」するものであるから、引用発明の「URL情報」は、本願発明の「WebサイトURL情報を含むリンク先情報」に相当する。 2.引用発明の「会員登録装置3」は、「携帯端末2との間で送受信を行う登録機器4と、登録機器4で受信した識別データを記録する会員サーバ5を備え、」「登録機器4」が、「近距離無線通信機能により、」「URL情報を含む」「命令オブジェクトを送信」するものであるから、本願発明の「リンク先情報を近距離無線通信を利用して送信するリンク先情報送信サーバ」に相当する。 3.引用発明の「携帯端末2」は、「携帯端末2が保持する識別データを近距離無線通信機能で自動送信するアプリケーションプログラムであり、命令オブジェクト等に含まれる起動信号等の外部信号に基づいて起動し、識別データを送信」する「自動送信アプリケーションプログラム」を「予め格納しておくことができるものであ」る。 また、引用発明の「会員登録システム1」は、「会員登録の動作において、登録機器」が、「近距離無線通信機能により、命令オブジェクトを送信し(1)、携帯端末」が、「登録機器から送信された命令オブジェクトを受信」する「(2)」ものであって、「携帯端末が自動送信アプリケーションプログラムを予め格納している場合には、命令オブジェクトの受信により」、「(10)のアプリケーション起動行程から開始する」、すなわち、「自動送信アプリケーションプログラム」が、「命令オブジェクトに含まれる起動コマンド」(「起動信号」)「により、利用者の操作を待つことなく自動で起動し(10)、携帯端末が固有に備える識別データを読み出し(11)、登録機器に送信」する「(12)」ものである。 ここで、引用発明の「携帯端末2」は、「起動信号の他にURL情報を含む」「命令オブジェクトを受信」することで、「利用者の操作を待つことなく自動で起動」する「自動送信アプリケーションプログラム」により、「携帯端末が固有に備える識別データを」「送信」するものであるから、引用発明の「携帯端末2」による、「命令オブジェクト」の「受信」から「識別データ」の「送信」までの間、「近距離無線通信」が継続して成立している状態にあると考えるのが自然である。 よって、引用発明の「携帯端末2」は、本願発明の「このリンク先情報送信サーバからリンク先情報を近距離無線通信を利用して受信すると、自己に搭載されたアプリケーションソフトウェアによって自己の機器識別情報を近距離無線通信が成立している状態の間に前記リンク先情報送信サーバに近距離無線通信を利用して返信するクライアント機器」に相当する。 4.引用発明の「会員登録システム1」は、本願発明1の「情報配信システム」と、「システム」である点で共通する。 よって、本願発明と引用発明との一致点・相違点は、次のとおりであるといえる。 [一致点] 「 WebサイトURL情報を含むリンク先情報を近距離無線通信を利用して送信するリンク先情報送信サーバと、このリンク先情報送信サーバからリンク先情報を近距離無線通信を利用して受信すると、自己に搭載されたアプリケーションソフトウェアによって自己の機器識別情報を近距離無線通信が成立している状態の間に前記リンク先情報送信サーバに近距離無線通信を利用して返信するクライアント機器とを備えるシステム。」 [相違点] 本願発明は、「情報配信システム」であるのに対して、引用発明は、「会員登録システム1」である点。 第6 判断 1.上記相違点について 引用発明の「会員登録システム1」は、「会員登録装置3」が「近距離無線通信の通信範囲内」の不特定多数の「携帯端末2に」「URL情報を含む」「命令オブジェクトを送信」するもの、すなわち、「会員登録装置3」が「携帯端末2に」「URL情報を」配信するものであるから、引用発明の「会員登録システム1」を「情報配信システム」と呼ぶことは、当業者が適宜なし得たことである。 なお、仮に、配信される情報が広告である場合についても検討する。 配信される広告を受信するアプリケーションプログラムは、周知である(例えば、引用文献2の記載(上記「第4」2.)を参照。)。 ここで、引用発明の「会員登録システム1」は、「近距離無線通信」により、「会員登録装置3」から「端末機器2」に「広告の送信」をするものであるところ(上記「第4」1.(3)を参照されたい。)、引用発明の「会員登録システム1」において、「近距離無線通信」に代えて、上記周知のアプリケーションプログラムにより、「携帯端末2」に広告を配信するようにすることは、当業者が容易になし得たことである。 2.請求人の主張について 請求人は、令和元年7月26日付け意見書において、以下のとおり主張している。 「 しかしながら、引用文献1記載の会員登録システムでは、たとえば、以下の【0075】、【0080】において、図7の関係図、図8のフローチャートに基づき説明をしているように、携帯端末(本発明のクライアン機器に相当)が、登録機器(本発明の「リンク先情報送信サーバ」に相当)からの命令オブジェクトに含まれるURL情報において指定されたWebサーバと接続した上で、そのWebサーバの自動送信アプリケーションプログラムを要求して、当該プログラムをダウンロードし、そのプログラムを起動して、自己の識別番号を読み出して、登録機器に送信しているものであります。 すなわち、携帯端末は、登録機器からの命令オブジェクトを受信した後、Webサーバと通信をした上で、Webサーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードし、それを起動し、登録機器に自己の識別番号を送信するようにWebサーバとの通信を必要にしております。 【0075】 ・・・(中略)・・・ 【0080】 ・・・(中略)・・・ これに対して本発明では、クライアント機器がリンク先情報送信サーバとの近距離無線通信が成立している状態の間に、自己に搭載されたアプリケーションソフトウェアによって、自己の識別情報をリンク先情報送信サーバに対して自動的に近距離無線通信を利用して返信するものです。 これにより、クライアント機器が、Webサーバ等に接続し、自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードした上で、それを起動して自己の識別情報を返信するようなWebサーバとの通信を行う必要はなく、リンク先情報送信サーバとの近距離無線通信が成立している状態の間に、リンク先情報送信サーバに対して自己の識別情報を返信することができるものです。」 請求人の上記主張について検討する。 引用文献1の図7は、「携帯端末に」、「会員登録に用いる識別データを送信するための自動送信アプリケーションプログラム」が「格納されていない」(上記「第4」1.(4)の段落【0072】)場合の、会員登録の動作についての図であって、引用発明の「携帯端末2」は、「自動送信アプリケーションプログラム」を予め「格納」していない場合には、請求人の上記主張のとおり、「登録機器からの命令オブジェクトを受信した後、Webサーバと通信をした上で、Webサーバから自動送信アプリケーションプログラムをダウンロードし、それを起動し、登録機器に自己の識別番号を送信する」こととなる。 しかしながら、引用発明の「携帯端末2」は、上記「第5」3.のとおり、「自動送信アプリケーションプログラム」を「予め格納しておくことができるものであって、」「自動送信アプリケーションプログラムを予め格納している場合には、命令オブジェクトの受信により」、「自動送信アプリケーションプログラム」が、「命令オブジェクトに含まれる起動コマンドにより、利用者の操作を待つことなく自動で起動し(10)、携帯端末が固有に備える識別データを」「登録機器に送信」する「(12)」ものである。 また、引用文献1の図8を、上記「第4」1.(4)の段落【0083】、【0085】-【0086】とともに参照しても、会員登録の動作において、引用発明の「携帯端末2」が、「命令オブジェクトに含まれる起動コマンドで動作するアプリケーションプログラムがあるか否かを検索」し「(ステップS2)」、「前記ステップS2において予め自動送信アプリケーションプログラムを保有している場合には、命令オブジェクト中の起動コマンドにより、自動送信アプリケーションプログラムを起動」し「(ステップS7)」、「自動送信アプリケーションプログラム」が、「携帯端末が固有に備える識別データを」「近距離無線通信機能により送信する(ステップS9)」ことが記載されていると認定できる。 よって、請求人の上記主張は、採用できない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-09-30 |
結審通知日 | 2019-10-08 |
審決日 | 2019-10-24 |
出願番号 | 特願2016-51602(P2016-51602) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 木村 雅也 |
特許庁審判長 |
▲吉▼田 耕一 |
特許庁審判官 |
白井 亮 梶尾 誠哉 |
発明の名称 | 情報配信システムと情報配信方法 |