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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F28F
管理番号 1358442
審判番号 不服2019-2872  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-01 
確定日 2020-01-20 
事件の表示 特願2015- 2170「ハニカム構造体の配置構造」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月11日出願公開、特開2016-125796、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月8日の出願であって、その後の手続きは以下のとおりである。
・平成29年10月12日に手続補正書の提出
・平成30年5月7日付けで拒絶理由通知
・平成30年7月18日に意見書及び手続補正書の提出
・平成30年11月26日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)
・平成31年3月1日に拒絶査定不服審判の請求

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1ないし3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1ないし4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献一覧>
引用文献1:特開2013-19644号公報
引用文献2:特開平11-192430号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:実願昭53-29764号(実開昭54-134755号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2014-148923号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成30年7月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方が、ラジアントチューブヒータのチューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するように、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置されることにより、前記セルに流通させる加熱流体の熱を前記チューブに伝える構造であり、
前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜していると共に、
前記セルが前記ハニカム構造体の前記両端面に加えて側面でも開口していることにより、前記側面で開口している前記セルの内表面は前記チューブへの放射伝熱面である
ことを特徴とするハニカム構造体の配置構造。
【請求項2】
二以上の前記ハニカム構造体が、前記チューブの軸方向に沿って、互いに離隔して直列に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のハニカム構造体の配置構造。
【請求項3】
二以上の前記ハニカム構造体を、互いに離隔した状態で、且つ、前記隔壁が伸びる方向であるセル軸の方向が隣接している前記ハニカム構造体間で異なる状態で、支持している支軸を更に備える
ことを特徴とする請求項2に記載のハニカム構造体の配置構造。」

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「ラジアントチューブ及び加熱炉」に関し、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、理解の一助のために当審が付与したものである。以下同様。)。
「【0001】
本発明は、ラジアントチューブとこれを備える加熱炉に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアントチューブは、ストレート型、U型、L型、T型、W型さらにはO型といった各種形状を有するチューブ本体の内部に配置されるバーナーによってチューブ本体を加熱し、チューブ本体の表面からの放射熱によって被加熱物を間接的に加熱する放射伝熱管である。
【0003】
ラジアントチューブは、炉内雰囲気ガスを汚染しないという特長を有することから、例えば、雰囲気ガスを使用する熱処理炉等の加熱炉に賞用される。チューブ本体の内部の燃焼ガスは、エゼクターで吸引されて外部へ排出される。排出された排ガスと空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱するレキュペレータ付きラジアントチューブもある。
【0004】
図6は、ラジアントチューブ本体の表面温度の一例を示すグラフであり、バーナー先端からの距離(mm)とラジアントチューブ本体の表面温度(℃)との関係を示す。
図6にグラフで示すように、ラジアントチューブ本体の表面温度は、バーナー先端の近傍、例えばバーナー先端からの距離が400mm付近では1170℃超に達するのに対し、バーナー先端からの距離が3000mm付近では1080℃程度にしか達せず、約90℃程度の温度差を生じる。一般的に、ラジアントチューブ本体の表面温度は、バーナーが設置されている位置から排気側へ向かって低下していく。この理由は、バーナー側から排気側へ向かって流れる燃焼ガスの温度が、ラジアントチューブ本体へ伝熱する過程で低下していくためである。このため、ラジアントチューブ本体の排気側ほど燃焼ガスの熱をラジアントチューブ本体に効率よく伝えることが、ラジアントチューブの熱利用効率を高めるために有効である。
【0005】
燃焼ガスからラジアントチューブ本体への伝熱を促進する手段として、ラジアントチューブ本体の内部に伝熱促進体を配置することが知られている。
例えば、特許文献1には、レンガ製の断面十字型の伝熱促進体をラジアントチューブ本体の内部に配置することが開示され、また、特許文献2には、セラミック製のスパイラル形状の伝熱促進体をラジアントチューブ本体の内部に配置することが開示されている。
【0006】
これら伝熱促進体は、ラジアントチューブ本体の内部における燃料ガスの流れを撹拌又は旋回させることによって、燃料ガスからラジアントチューブ本体への対流伝熱の促進を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭63-173613号公報
【特許文献2】特開昭57-112694号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1により開示された発明は、伝熱促進体1個の質量が比較的大きく、熱伝導率が低い。つまり、特許文献1により開示された伝熱促進体は重くて冷め難い。このため、例えばバーナーの燃焼量が高負荷から低負荷に変化した場合には、ラジアントチューブ本体と伝熱促進体とが接触している位置、及びそれ以外の位置の間で、ラジアントチューブ本体の表面温度に大きな差が不可避的に生じてしまい、ラジアントチューブ本体に局所的に熱応力が作用する。さらに、伝熱促進体の質量による応力もラジアントチューブ本体に局所的に作用する。その結果、伝熱促進体の周辺部でラジアントチューブ本体の変形や亀裂が発生し易くなり、ラジアントチューブ本体が短命化し易い。また、断面十字形状では比表面積(単位体積当たりの表面積)が小さいことから、放射伝熱の促進効果が小さい。
【0009】
特許文献2により開示された発明は、伝熱促進体の熱伝導率が高く、かつ比較的軽量であり、チューブの局所的変形は発生し難い。また、比表面積も比較的大きいことから放射伝熱の効果も期待される。しかしながら、伝熱促進体の形状が複雑であることから伝熱促進体の製作費がかなり嵩み、設置時のイニシャルコストの大幅な上昇は避けられない。
【0010】
本発明の目的は、燃焼ガスの熱をラジアントチューブ本体に効率的に伝熱しながら、ラジアントチューブ本体の局所的変形を生じることなく、さらには、設置時のイニシャルコスト面でも有利なラジアントチューブと、これを用いる加熱炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、軽量であって、かつ熱伝導率も高い構造を有する伝熱促進体として、セラミックハニカムに注目した。セラミックハニカムは、広範囲の用途向けの市販品として大量生産されており、比較的安価であり、入手も容易である。そこで、市販のセラミック製のハニカムを、ラジアントチューブの伝熱促進体として用いたところ、非常に有効に伝熱できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
【0012】
本発明は、燃焼ガスをその内部の一方向へ流すラジアントチューブ本体と、ラジアントチューブ本体に配置されて燃焼ガスを発生するバーナーと、バーナーの配置位置とラジアントチューブ本体における燃焼ガスの排出口との中間位置よりも排出口に近い位置に配置される伝熱促進体とを備えるラジアントチューブであって、伝熱促進体は、セラミックハニカムからなり、セラミックハニカムは、その貫通孔の延設方向が前記流れ方向と略平行になるように、配置されることを特徴とするラジアントチューブである。
【0013】
この本発明に係るラジアントチューブでは、伝熱促進体が、燃焼ガスの流れ方向へ互いに離間して複数個配置されることが好ましい。
別の観点からは、本発明は、上述した本発明に係るラジアントチューブを備える加熱炉であって、ラジアントチューブは、伝熱促進体が加熱炉の内壁面よりも炉内側に位置するように、配置されることを特徴とする加熱炉である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃焼ガスの熱をラジアントチューブ本体に効率的に伝熱しながら、ラジアントチューブ本体の局所的変形を生じることなく、さらには、設置時のイニシャルコスト面でも有利であり、例えば工業用加熱炉の熱源として有効に適用することができるラジアントチューブが提供される。」

「【0016】
以下、本発明について、図面や実施例を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係るラジアントチューブ1における、セラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3の配置を示す二面図である。図2は、市販のセラミックハニカム4の外観を示す説明図である。図3は、セラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3の支持具5を示す説明図である。さらに、図4は、本発明に係るラジアントチューブ1を加熱炉6に設置した状況を示す説明図である。
【0017】
本発明に係るラジアントチューブ1は、ラジアントチューブ本体7と、バーナー8と、伝熱促進体3と、レキュペレータ9とを備えるので、これらの構成要素を説明する。
ラジアントチューブ本体7は、U型をなしており、その一端でバーナー8により加熱された燃焼ガスを他端へ向けて一方向(図1、4における白抜き矢印方向)へ流す構造をなっている。
【0018】
ラジアントチューブ本体7はU型には限定されず、例えば、ストレート型、L型、T型、W型さらにはO型といった各種形状を有していてもよい。U型のラジアントチューブ本体の場合には、ラジアントチューブ本体7の後流側直管部に伝熱促進体3がほぼ均等な間隔で互いに離間して複数配置されることが好ましい。
【0019】
ラジアントチューブ本体7は、この種のものとして当業者にとっては周知であるので、これ以上の説明は省略する。
バーナー8は、ラジアントチューブ本体7の一部(図示例では一端部)に配置されて燃焼ガスを発生する。バーナー8はこの種のものとして当業者にとっては周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0020】
伝熱促進体3は、ラジアントチューブ本体7のガス流れ方向の後半部、すなわちバーナー8の配置位置とラジアントチューブ本体における燃焼ガスの排出口7aとの中間位置7bよりも排出口7aに近い位置に、望ましくは、燃焼ガスの流れ方向へ互いに離間して複数個(図示例では4個)、配置される
伝熱促進体3は、市販のセラミックハニカム4を加工したセラミックハニカムブロック2により構成される。図2に示すように、市販のセラミックハニカム4は、多数の貫通孔4aが一方向を指向して配列した構造を有する。セラミックハニカムブロック2は、断面四角形の市販のセラミックハニカム4の角を落として断面八角形に加工される。セラミックハニカムブロック2の断面は、例えば四角形のままでも円筒状でもよいが、ラジアントチューブ本体7の内壁面と僅かな隙間を有して挿入可能な形状、大きさであることが好ましい。
【0021】
伝熱促進体3は、格子面をガス流れ方向へ相対させて貫通孔4aがガスの流れ方向と略平行になるように配置される。すなわち、セラミックハニカムブロック2は、その貫通孔4aの延設方向が燃焼ガスの流れ方向と略平行になるように、配置される。
【0022】
セラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3を、ラジアントチューブ本体7の内部へ配置する形態は、例えば配置される位置が水平であれば単に配置するだけでもよいが、ラジアントチューブ本体7に固定されることが好ましい。たとえば、図1、2に示されるように、ラジアントチューブ本体7のガス排気側に取り付けられているレキュペレータ9からチューブ本体側へ向けてセラミック製の支持棒10を取り付け、この支持棒10を、セラミックハニカムブロック2とこれを挟むように管状の固定具11に貫挿し、支持具5を構成する固定具11および支持棒10を溶接して固定することが例示される。固定の方法は溶接以外にボルト止めやリベット止め等でもよい。
【0023】
表1に、図2に示す市販のセラミックハニカム4の放射率の測定結果の一例を示す。
【0024】
【表1】
・・・
【0025】
表1に示すように、セラミックハニカム4は、外壁面よりも格子面からの放射が大きい。つまり、ラジアントチューブ本体7の内部により多くの格子面を露出させることによって、放射によるラジアントチューブ本体7への伝熱効果が大きくなる。また、厚さが比較的薄いセラミックハニカムブロック2を燃焼ガスの流れ方向へ離間して複数配置することによって、燃焼ガスの流れが随所で撹拌されるため、燃焼ガスからラジアントチューブ本体7への対流伝熱も促進される。
【0026】
セラミックハニカムブロック2の厚さ、材質、セル数、配置される個数及び間隔等は、適用するラジアントチューブ1において所定の性能が得られるように、材料コストや加工コストとのバランスで適宜決定すればよい。例えば、セラミックハニカムブロック2の厚さは、あまり厚いとかえって伝熱し難くなることも考えられ、一方、薄すぎるとセラミックハニカムブロック2自体の強度が低下したり、加工性やラジアントチューブ本体7の内部への設置性が低下することも考えられる。
【0027】
セラミックハニカムブロック2のセル数が小さ過ぎると排ガスの流れを阻害する可能性があり、一方大き過ぎると表面積が小さくなる。セル数は5?72セル/インチが適当である。実用上、セラミックハニカムブロック2の厚さは5?100mm程度が適当であり、セラミックハニカムブロック2の材質はムーライト、コージェライト、酸化チタン、アルミナ、ジルコン、シリコンカーバイド、ストーンウエア等が挙げられる。配置間隔は10?300mm程度、配置個数は3個以上が適当である。
【0028】
ラジアントチューブ本体7の排出口7aには、レキュペレータ9が配置される。レキュペレータ9は、ラジアントチューブ本体7の内部の燃焼ガスを吸引して外部へ排出するとともに、排出された排ガスと空気とを熱交換して燃焼用空気を予熱する。
【0029】
本発明に係るラジアントチューブ1は以上のように構成される。この本発明に係るラジアントチューブを加熱炉に適用する場合には、図4に示すように、伝熱促進体3が加熱炉6の内壁面よりも炉内側に位置するように、ラジアントチューブ1が配置されることが好ましい。」

「【図1】



(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
ア 上記(1)の段落【0001】ないし【0005】、【0010】、【0012】、【0016】、【0017】、【0020】及び【0021】並びに図1の記載によれば、引用文献1には、伝熱促進体3が、ラジアントチューブのラジアントチューブ本体7の内部に配置されることにより、燃焼ガスからラジアントチューブ本体7へ伝熱する構造である、伝熱促進体3の配置構造が記載されていることが分かる。

イ 上記(1)の段落【0016】及び【0020】並びに図1の記載によれば、伝熱促進体3は、多数の貫通孔4aが一方向を指向して配列した構造を有する断面八角形に加工されたセラミックハニカムブロック2からなることが分かる。

ウ 上記(1)の図1の記載によれば、ラジアントチューブ本体7は、断面円形であることが分かる。

エ 上記アと、上記(1)の段落【0012】及び【0021】の記載とを合わせてみると、伝熱促進体3の配置構造において、伝熱促進体3の貫通孔4aに流通させる燃焼ガスからラジアントチューブ本体7への伝熱を促進すること、及びその貫通孔4aの延設方向が燃焼ガスの流れ方向と略平行になるようにされたことが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「多数の貫通孔4aが一方向を指向して配列した構造を有する断面八角形に加工されたセラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3が、ラジアントチューブの断面円形であるラジアントチューブ本体7の内部に配置されることにより、前記貫通孔4aに流通させる燃焼ガスからラジアントチューブ本体7へ伝熱する構造であり、
その貫通孔4aの延設方向が燃焼ガスの流れ方向と略平行になるようにされた、伝熱促進体3の配置構造。」

2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、「排ガス浄化材及びこれを用いた排ガス浄化装置」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディ-ゼル機関などの燃焼機関や産業排ガス中に含有される炭化水素や可燃性炭素微粒子などの粒子状物質(パティキュレート)を除去する排ガス浄化材及びこの排ガス浄化材を用いた排ガス浄化装置に関する。」

「【0024】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明は、内部連続通気空間を有する3次元網状構造の耐熱性無機材料を用いる排ガス浄化材であって、内部連続通気空間の数が1平方インチ当たり5?30個である耐熱性無機材料にIUPAC分類による1a族元素の塩と5a族元素と1b族元素からなる触媒を付着させた構成よりなる。なお、IUPAC分類とは、国際純正応用化学連合による分類によるもので、長周期表において左から1a,2a,3a,4a,5a,6a,7a,8,1b,2b,3b,4b,5b,7b,0族と定義される。
【0025】この構成によれば、構造体に付着せしめた触媒への排出パティキュレートの適度な接触及び未燃のパティキュレートが残存することによる背圧増大の抑制が実現できる。さらに構造体に付着させる触媒が重要であり、パティキュレートなどの炭素基質に対して活性の高い1a族元素とこれを活性化させる5a族と1b族の組み合わせにより、パティキュレートの堆積が問題とならず、構造体通過中に効率良く長時間安定してパティキュレートの燃焼が可能となるという作用を有する。
・・・
【0051】以下、本発明の実施の形態における排ガス浄化材について説明する。図1は本発明の実施の形態における排ガス浄化装置の構成を示す図であり、図2は排ガス浄化材の他の実施の形態を示す排ガス浄化装置の部分拡大図である。また、図3は本発明の3次元網目構造の形態を示す図である。
【0052】図1において、エンジン6に接続した排ガス入口1と排ガス出口2との間にキャン5を形成し、その中に3次元網目状構造体3を組み込み、キャン5をバイパスする流路には差圧計7を配置している。また、図2においては、3次元網目状構造体3の下流側にハニカム構造体4が組み込まれている。
【0053】図1及び図2において、3次元網目状構造体3及びハニカム構造体4がそれぞれ内部連続通気空間を形成する3次元構造体であり、これらの3次元網目状構造体3及びハニカム構造体4の表面に耐熱性無機材料及び触媒(白金属元素を含む)が付着させられている。また、キャン5は真空容器であって断熱手段を自身に備えたものであり、エンジン6との接続点部分が本実施の形態におけるマニホールドに相当する。
【0054】図3において3次元構造体の排ガス流入出面への垂線が排ガス流れ方向に対して鋭角あるいは鈍角をなしている。」

「【図1】

【図3】



(2)引用文献2に記載の技術事項
上記(1)によれば、引用文献2には次の技術事項(以下、「技術事項2」という。)が記載されている。
「エンジン6に接続した排ガス入口1と排ガス出口2との間にキャン5を形成し、その中に表面に耐熱性無機材料及び触媒(白金属元素を含む)が付着させられた3次元網目状構造体3を組み込みした、炭化水素や可燃性炭素微粒子などの粒子状物質(パティキュレート)を除去する排ガス浄化材を用いた排ガス浄化装置において、3次元網目状構造体3の排ガス流入出面への垂線が排ガス流れ方向に対して鋭角あるいは鈍角をなすようにしたこと。」

3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、「ラジアントチューブ及び加熱炉」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「本考案は各種工業用燃焼炉より発生する排ガス中の窒素酸化物をアンモニアの存在のもとに高い効率で接触還元除去する排ガス中の窒素酸化物除去用触媒装置に関するものである。」(明細書1ページ15ないし18行)

「本考案の排ガス中の窒素酸化物除去用触媒装置は、従来のこのような欠点および問題点を解決するためになされたものであり、その構成を一具体例として示す第3図に基づいて説明すれば、ハニカム触媒2の互いに平行な多数の貫通孔3の軸線5が排ガス管路1の軸線4に対して斜めに保持されている構造よりなる窒素酸化物除去用触媒装置である。
・・・
また同じ触媒量、同じ触媒面積であっても、ガスの流出方向に対して厚みの厚い例えば第3図に示すような装置よりは、厚みの薄い複数のハニカム触媒2を例えば第4図に示すようにした積層した装置の方が、デッドスペース6が少なくてすむので結果的には脱硝率がよい。
なお本考案は、ハニカム触媒の貫通孔の軸線が排ガス管路の軸線に対して斜めに設置されておればよいものであるので、前記第3図,第4図に示すような一具体例のほかに第5図,第6図,第7図に示すようなものでも勿論よく、これ以外の構造でも本考案の範囲を逸脱しないものであれば勿論よい。
・・・
以上述べたとおり本考案の排ガス中の窒素酸化物除去用触媒装置は、排ガス管路中にハニカム触媒を設置するに際して、ハニカム触媒の貫通孔の軸線を排ガス管路の軸線に対して斜めに設置するという簡単な設置構造をとるだけでガスの「吹き抜け」現象を防止できるとともに、排ガスとハニカム触媒との接触面積を大きくすることにより脱硝効率が大幅に向上し、限られた工場敷地内での管路のスペースの節約にも極めて有効であり、各種の燃焼炉より排出される燃料排ガス中の窒素酸化物の除去に使用できるものとして産業上極めて有用である。」(明細書3ページ17行ないし6ページ8行)





(2)引用文献3に記載の技術事項
上記(1)によれば、引用文献3には次の技術事項(以下、「技術事項3」という。)が記載されている。
「各種工業用燃焼炉より発生する排ガス中の窒素酸化物を接触還元除去する排ガス中の窒素酸化物除去用触媒装置において、排ガス管路1中にハニカム触媒2を設置するに際して、ハニカム触媒2の互いに平行な多数の貫通孔3の軸線5を排ガス管路1の軸線4に対して斜めに設置すること。」

4 引用文献4について
(1)引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、「ラジアントチューブ及び加熱炉」に関し、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
本発明は、排ガス浄化装置に関する。更に詳しくは、圧力損失の上昇を抑制しつつ、排
ガス浄化性能を向上させることが可能な排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスには、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO_(X))などの有害物質が含まれている。こうした有害物質を低減し、排ガスを浄化する際には、触媒反応が広く用いられている。この触媒反応では、排ガスを触媒に接触させるという簡便な手段により、一酸化炭素(CO)などの有害な物質から他の無害な物質を生成することが実現できる。よって、自動車などでは、排ガスの排気系の途中に触媒を設置することにより、排ガスの浄化を行うことが一般的になっている。
【0003】
自動車などの排ガスの排気系に触媒を設置する際には、ハニカム構造体に触媒を担持させたハニカム触媒体が用いられている。ハニカム触媒体では、触媒を担持させた隔壁によって蜂の巣構造(ハニカム構造)が形作られており、隔壁に囲まれた各セルが排ガスの流路として機能する。こうしたハニカム触媒体では、排ガスを複数のセルの各々に小分けして流し、各セル内において、小分された排ガスと隔壁の表面に担持させた触媒との接触を行わせる。ハニカム触媒体では、排ガスを小分けして処理することで、排ガスと触媒との接触頻度が高められ、ひいては、排ガスの浄化効率が向上されている。
【0004】
従来、ハニカム触媒体を用いた排ガス浄化装置においては、ハニカム触媒体を、金属製の缶体内に収納した排ガス浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1?5参照)。このような排ガス浄化装置を、自動車のエンジンの排気系に設置することにより、エンジンから排出される排ガスの浄化を行うことができる。
・・・
【0008】
特許文献1?3に示すような、複数のハニカム触媒体を、排ガスの流れ方向に対して直列に配置する排ガス浄化装置においては、ある程度の排ガス浄化性能の向上は見込めるが、排ガス浄化性能向上効果が十分ではないという問題があった。即ち、複数のハニカム触媒体を、排ガスの流れ方向に対して直列に配置する排ガス浄化装置においては、ハニカム触媒体の個数分だけ、排ガス浄化性能が向上したとしても、複数のハニカム触媒体を用いたことによる相乗的な効果の上昇を見込むことはできなかった。
【0009】
また、特許文献3に記載の排ガス浄化装置においては、流れ抵抗(即ち、圧力損失)の上昇に比べ、排ガス浄化性能向上効果が低く、満足できる性能ではなかった。また、特許文献3に記載の排ガス浄化装置において、複数のハニカム触媒体を缶体に収納する際に、一のハニカム触媒体のみ、軸芯回りに所定の角度だけずらすことは難しく、実際に排ガス浄化装置を製造することが困難であるという問題もあった。
【0010】
また、特許文献4及び5に記載の排ガス浄化装置においては、缶体の形状が複雑であり製造コストが過大となるとともに、缶体内にハニカム触媒体を収納するキャニング作業が困難であるという問題もあった。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものである。本発明は、圧力損失の上昇を抑制しつつ、排ガス浄化性能を向上させることが可能な排ガス浄化装置を提供するものである。」

「【0024】
(1)排ガス浄化装置:
図1に示すように、本発明の排ガス浄化装置の一の実施形態は、第一ハニカム触媒体10と、第二ハニカム触媒体30と、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30が収納される筒状の缶体50と、を備えた排ガス浄化装置100である。図1は、本発明の排ガス浄化装置の一の実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、缶体に流入する排ガスの流れ方向に平行な断面を示す。図1に示すように、本実施形態の排ガス浄化装置100は、2つのハニカム触媒体(即ち、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30)が、筒状の缶体50内に収納されたものである。
・・・
【0027】
また、図1に示すように、缶体50は、流入口52と、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30が収納される胴部51と、流出口53と、を備えたものである。流入口52は、エンジン排気マニホルド(図示せず)の出口側に排気管等を介して接続され、内燃機関等から排出される排ガス(ガスG0)を、缶体50内に導入するものである。流出口53は、流入口52から流入したガスG0を浄化して、浄化ガス(ガスG3)として流出するためのものである。本実施形態の排ガス浄化装置100においては、この缶体50の胴部51が、胴部51の内径が一定の大きさのストレート形状である。即ち、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30が収納される胴部51が、真直ぐな直管形状である。このストレート形状の胴部51の内部に、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とが、収納される。この際、第一ハニカム触媒体10の第一流入端面11が、缶体50の流入口52側に位置し、第二ハニカム触媒体30の第二流出端面32が、缶体50の流出口53側に位置する。また、本実施形態の排ガス浄化装置100においては、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31までの間隔tが50mm以下である。
・・・
【0029】
流入口52から缶体50内に流入したガスG0は、まず、第一ハニカム触媒体10の第一流入端面11から第一セル2内に流入し、第一セル2を経由して、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から流出する。第一ハニカム触媒体10を通過するガスを、ガスG1とする。そして、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から流出したガスG1は、第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31から第二セル22内に流入し、第二セル22を経由して、第二ハニカム触媒体30の第二流出端面32から流出する。第二ハニカム触媒体30を通過するガスを、ガスG2とする。そして、第二流出端面32から流出したガスG3は、最終的に、缶体50の流出口53から流出する。
【0030】
内燃機関等から排出される排ガス(即ち、流入口52から缶体50内に流入したガスG0)には、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO_(X))などの有害物質が含まれていることがある。本実施形態の排ガス浄化装置100においては、第一ハニカム構造体4の第一隔壁1に担持された第一触媒7、及び第二ハニカム構造体24の第二隔壁21に担持された第二触媒27によって、上記有害物質が浄化される。本実施形態の排ガス浄化装置100においては、上記したように、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とが、第一セル2の延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αが2?15°となるように配置されている。このため、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から流出したガスG1は、第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31から流入する際に、第二隔壁21に衝突し易くなり、また、衝突により第2セル22におけるガスG2の流れに乱れが生じ易くなる。これらにより、第二隔壁21に担持された第二触媒27の排ガス浄化性能が向上する。特に、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31までの間隔tが50mm以下であるため、ガスG1は、第一セル2の延びる方向P1に指向した状態で、第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31に到達し易くなる。また、間隔tが50mm以下であるため、排ガス浄化装置100がコンパクトなものとなり、設置スペースに制限のある車載用途でも十分に搭載可能な大きさを実現することができる。
・・・
【0034】
本発明の排ガス浄化装置は、図8に示すような排ガス浄化装置101であってもよい。図8に示す排ガス浄化装置101は、缶体50の流入口52から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第二セル22の延びる方向P2が傾くように第二ハニカム触媒体30が配置されている。このため、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から流出したガスG1は、第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31から流入する際に、第二隔壁21に衝突し易くなり、また、衝突により第2セル22におけるガスG2の流れに乱れが生じ易くなる。これらにより、第二隔壁21に担持された第二触媒27の排ガス浄化性能が向上する。図8に示す排ガス浄化装置101においては、缶体50の流入口52から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第一セル2の延びる方向P1が平行となるように第一ハニカム触媒体10が配置されている。ここで、図8は、本発明の排ガス浄化装置の他の実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、缶体に流入する排ガスの流れ方向に平行な断面を示す。図8においては、図1に示す排ガス浄化装置100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
更に、本発明の排ガス浄化装置は、図9に示すような排ガス浄化装置102であってもよい。図9に示す排ガス浄化装置102においては、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とのそれぞれが、流入口52から流入するガスG0の流れ方向P3に対して傾くように配置されている。即ち、缶体50の流入口52から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第一セル2の延びる方向P1が傾くように第一ハニカム触媒体10が配置されている。更に、缶体50の流入口52から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第二セル22の延びる方向P2が傾くように第二ハニカム触媒体30が配置されている。そして、図9に示す排ガス浄化装置102においても、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とは、第一セル2の延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αが2?15°となるように配置されている。このように構成された排ガス浄化装置102においても、図1に示す排ガス浄化装置100と同様の効果を得ることができる。ここで、図9は、本発明の排ガス浄化装置の更に他の実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、缶体に流入する排ガスの流れ方向に平行な断面を示す。図9においては、図1に示す排ガス浄化装置100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
なお、第一セル2の延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αが2°未満であると、第一ハニカム触媒体10の第一流出端面12から流出したガスG1が、第二隔壁21に衝突し難くなる。また、第一セル2の延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αが15°を超えると、第二ハニカム触媒体30に対する、ガスG2の流入抵抗が大きくなり、排ガス浄化装置の圧力損失が増大することがある。第一セル2の延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αは、2?10°であることがより好ましく、3?6°であることが更に好ましい。このように構成することによって、圧力損失の増大を抑制しつつ、排ガス浄化性能をより好適に向上させることができる。
・・・
【0039】
図1に示す排ガス浄化装置100においては、第一ハニカム触媒体10が、筒状に形成された第一外周壁3の延びる方向に対して、第一セル2の延びる方向が平行となるように第一隔壁1が配置されている。従って、第一ハニカム触媒体10においては、第一流入端面11から第一流出端面12に向かう方向が、第一セル2の延びる方向P1となる。また、図1に示す排ガス浄化装置100においては、第二ハニカム触媒体30についても、筒状に形成された第二外周壁23の延びる方向に対して、第二セル22の延びる方向が平行となるように第二隔壁21が配置されている。従って、第二ハニカム触媒体30においても、第二流入端面31から第二流出端面32に向かう方向が、第二セル22の延びる方向P2となる。図1に示す排ガス浄化装置100においては、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30の外周面の周囲を把持材55a,55bで包み、缶体50の胴部51の内部に、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とを保持している。把持材55a,55bとしては、例えば、セラミック繊維製マット等を挙げることができる。
【0040】
図1に示す排ガス浄化装置100においては、ガスG0の流れ方向P3に向かって把持部分の厚さが異なる把持材55aを用いることにより、ガスG0の流れ方向P3に対して第一セル2の延びる方向P1が傾くように、第一ハニカム触媒体10が保持されている。即ち、ガスG0の流れ方向P3に対して第一セル2の延びる方向P1が傾くように第一ハニカム触媒体10が配置された場合に、缶体50の胴部51の内面と、第一ハニカム触媒体10の外周面との隙間を埋めるように把持材55aが配置されている。一方、第二ハニカム触媒体30については、ガスG0の流れ方向P3に対して厚みが一定の把持材55bを用いることにより、ガスG0の流れ方向P3に対して第二セル22の延びる方向P2が平行となるように保持されている。図8及び図9に示す排ガス浄化装置101,102においても、ガスG0の流れ方向P3に向かって把持材55a,55bの厚さを調節し、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30の傾きを調整している。
【0041】
本発明の排ガス浄化装置においては、第一ハニカム触媒体が、筒状に形成された第一外周壁の延びる方向に対して、第一セルの延びる方向が傾くように第一隔壁が配置されていてもよい。また、本発明の排ガス浄化装置においては、第二ハニカム触媒体が、筒状に形成された第二外周壁の延びる方向に対して、第二セルの延びる方向が傾くように第二隔壁が配置されていてもよい。例えば、図10に示す排ガス浄化装置103は、筒状に形成された第一外周壁3aの延びる方向に対して、第一セル2aの延びる方向が傾くように第一隔壁1aが配置された第一ハニカム触媒体10aを用いた場合の例を示す。即ち、図11?図13に示すように、第一ハニカム触媒体10aは、筒状の第一ハニカム構造体4aと、第一ハニカム構造体4aの第一隔壁1aに担持された第一触媒7と、を備えたものである。第一ハニカム構造体4aが、複数の第一セル2aを区画形成する多孔質の第一隔壁1a、及び最外周に配置された第一外周壁3aを有し、第一外周壁3aの延びる方向に対して、第一セル2aの延びる方向が傾くように第一隔壁1aが配置されている。第一外周壁3aの延びる方向とは、筒状の第一ハニカム構造体4aの軸方向のことである。別言すれば、第一流入端面11aから第一流出端面12aに向かう方向である。第一触媒7は、図2?図5に示す第一ハニカム触媒体10と同様に、多孔質の第一隔壁1aの表面、及び第一隔壁1aに形成された細孔の内部の少なくとも一方に担持されている。図10に示す排ガス浄化装置103においては、第一ハニカム触媒体10aと第二ハニカム触媒体30とが、缶体50の胴部51の内部に直列に配置されている。即ち、第一ハニカム触媒体10aの第一流出端面12aと第二ハニカム触媒体30の第二流入端面31とが平行に向かい合うように配置されている。但し、第一外周壁3aの延びる方向に対して、第一セル2aの延びる方向P1が傾くように第一隔壁1aが配置されているため、第一セル2aの延びる方向P1と第二セル22の延びる方向P2とのなす角度αが2?15°となるようにすることができる。
【0042】
図10に示す排ガス浄化装置103では、第一ハニカム触媒体10aと第二ハニカム触媒体30とが、缶体50の胴部51の内部に直列に配置されているため、把持材55a,55bとして、厚みが一定のものを用いることができる。また、図10に示す排ガス浄化装置103では、缶体50の胴部51への、把持材55a,55bを配置した第一ハニカム触媒体10a及び第二ハニカム触媒体30の収納も簡便なものとなる。
【0043】
ここで、図10は、本発明の排ガス浄化装置の更に他の実施形態の構成を模式的に示す断面図であり、缶体に流入する排ガスの流れ方向に平行な断面を示す。図11は、図10に示す排ガス浄化装置に用いられる第一ハニカム触媒体を模式的に示す斜視図である。図12は、図11に示す第一ハニカム触媒体の流入端面を模式的に示す平面図である。図13は、図12のC-C’断面を模式的に示す断面図である。図10においては、図1に示す排ガス浄化装置100と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。また、図11?図13においては、図2?図4に示す第一ハニカム触媒体10と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
また、図10においては、図11?図13に示す第一ハニカム触媒体10aを用いた場合の例について説明したが、第二ハニカム触媒体30として、第二セル22の延びる方向P2が傾くように第二隔壁21が配置されたものを用いてもよい。また、図示は省略するが、第一セルの延びる方向が傾くように第一隔壁が配置された第一ハニカム触媒体と、第二セルの延びる方向が傾くように第二隔壁が配置された第二ハニカム触媒体とを併用して用いてもよい。
・・・
【0046】
(1-1)缶体:
図1に示すように、缶体50は、本実施形態の排ガス浄化装置100における筐体(別言すれば、外装)であり、この缶体50がエンジン排気マニホルドに接続可能に構成されている。即ち、缶体50は、エンジン排気マニホルドの出口側に接続される流入口52、及び第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30を通過したガスG3を流出する流出口53を有している。そして、この缶体50の胴部51の内部に、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30が収納されている。本実施形態の排ガス浄化装置100により排ガスを浄化する際には、缶体50の流入口52を、エンジン排気マニホルドの出口側に接続する。そして、この缶体50の流入口52から流入した排ガス(ガスG0)を、缶体50内に収納された第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30によって浄化する。上述したように、缶体50の胴部51は、胴部51の内径が一定の大きさのストレート形状である。
【0047】
図1に示す缶体50は、エンジン排気マニホルドの口径、及び浄化済みの排ガスが排出される排気系の口径(例えば、上記の排気管、マフラー等の口径)に適合するように、流入口52及び流出口53が形成されている。
【0048】
また、缶体50の胴部51と、缶体50の流入口52及び流出口53とは、流入口52から口径が漸増する拡管部と、流出口53に向けて口径が漸減する狭管部とを更に有していてもよい。なお、例えば、エンジン排気マニホルドや排気管、マフラー等の口径と、缶体50の胴部51の口径が同一の場合には、上述の拡管部や狭管部については特に有していなくてもよい。
【0049】
缶体の材質としては、例えば、ステンレス製であることが好ましく、クロム系、クロム・ニッケル系のステンレス製であることが特に好ましい。
【0050】
第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30を缶体50の胴部51の内部に保持する方法としては、例えば、以下のような方法を挙げることができる。即ち、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30の外周面の周囲をセラミック繊維製マット等の把持材55a,55bで包み、缶体50の胴部51の内部に圧入する方法等を挙げることができる。セラミック繊維製マット等の把持材55a,55bを用いることにより、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30を、外部からの衝撃から守るとともに、断熱することができる。第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30を胴部51の内部に保持した後、あらかじめ製作しておいた拡管部または狭管部を胴部51に溶接してもよいし、あるいは、缶体50をスピニング加工等によって拡管部または狭管部を作成してもよい。
【0051】
把持材55a,55bとしては、上述したセラミック繊維製マットを好適例として挙げることができる。このようなセラミック繊維製マットは、その入手や加工が容易であるとともに、十分な耐熱性及びクッション性を有するものである。セラミック繊維製マットとしては、バーミュキュライトを実質上含まない非熱膨張性マット、又は少量のバーミュキュライトを含む低熱膨張性マット等を挙げることができる。
・・・
【0054】
第一ハニカム触媒体10を構成する第一ハニカム構造体4のセル密度は、12?200個/cm^(2)であることが好ましく、15?190個/cm^(2)であることが更に好ましく、30?160個/cm^(2)であることが特に好ましい。このように構成することによって、第一隔壁1に担持された第一触媒7と、ガスG1との接触面積を大きくすることができるとともに、第一ハニカム触媒体10の圧力損失が過度に増加することを抑制することができる。セル密度が12個/cm2未満であると、第一ハニカム触媒体10の強度が低下することがある。セル密度が200個/cm^(2)を超えると、排ガス浄化装置の圧力損失が大きくなることがある。」

「【0088】
また、図11?図13に示すようなハニカム構造体(第一ハニカム構造体4a)は、以下のような方法によって製造することができる。まず、上述した方法により、ハニカム構造体を作製する。この際、ハニカム構造体を、その外周形状の大きさが、必要とする大きさ(即ち、缶体の胴部に収納される大きさ)よりも大きくなるように作製する。次に、得られたハニカム構造体の外周部分を斜めに研削加工する。即ち、研削加工後のハニカム構造体が、斜めに傾いた筒状となるように研削加工する。また、必要に応じて、ハニカム構造体の両方の端面を、当該端面が、研削加工後のハニカム構造体の側面に対して垂直な面となるように研削加工する。このように研削加工を行うことにより、研削加工後のハニカム構造体は、セルの延びる方向が傾くように隔壁が配置されたものとなる。」

「【図1】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】 【図12】

【図13】



(2)引用文献4に記載の技術事項
上記(1)によれば、引用文献4には次の2つの技術事項(以下、それぞれを「技術事項4A」及び「技術事項4B」という。)が記載されている。
ア 技術事項4A
「第一ハニカム触媒体10と、第二ハニカム触媒体30と、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30が収納される筒状の缶体50と、を備え、第一ハニカム触媒体10及び第二ハニカム触媒体30の外周面の周囲をセラミック繊維製マット等からなる把持材55a,55bで包み、缶体50の胴部51の内部に、第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30とを保持した、内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化装置において、
第一ハニカム触媒体10と第二ハニカム触媒体30のうちの少なくとも一方を、缶体の流入口から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第一セルの延びる方向P1と第二セルの延びる方向P2のうちの少なくとも一方が傾くように配置するにあたり、
筒状に形成された第一外周壁3の延びる方向に対して、第一セル2の延びる方向が平行となるように第一隔壁1が配置された第一ハニカム触媒体10と筒状に形成された第二外周壁23の延びる方向に対して、第二セル22の延びる方向が平行となるように第二隔壁21が配置された第二ハニカム触媒体30のうちの少なくとも一方の両端面が缶体50の軸方向に直交する面に対して傾斜するように配置すること。」(特に、段落0039及び0040並びに図8及び9を参照。)

イ 技術事項4B
「第一ハニカム触媒体10aと、第二ハニカム触媒体30と、第一ハニカム触媒体10a及び第二ハニカム触媒体30が収納される筒状の缶体50と、を備え、第一ハニカム触媒体10a及び第二ハニカム触媒体30の外周面の周囲をセラミック繊維製マット等からなる把持材55a,55bで包み、缶体50の胴部51の内部に、第一ハニカム触媒体10aと第二ハニカム触媒体30とを保持した、内燃機関から排出される排ガスの浄化を行う排ガス浄化装置において、
第一ハニカム触媒体10aと第二ハニカム触媒体30のうちの少なくとも一方を、缶体の流入口から流入するガスG0の流れ方向P3に対して、第一セルの延びる方向P1と第二セルの延びる方向P2のうちの少なくとも一方が傾くように配置するにあたり、
第一ハニカム触媒体10aが、筒状に形成された第一外周壁3の延びる方向に対して、第一セル2の延びる方向が傾くように第一隔壁1が配置され、また、第二ハニカム触媒体30が、筒状に形成された第二外周壁23の延びる方向に対して、第二セル22の延びる方向が傾くように第二隔壁21が配置されること。」(特に、段落0041及び図10ないし13を参照。)

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者の「貫通孔4a」は、前者の「セル」に相当し、以下同様に、「断面八角形に加工されたセラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3」は「ハニカム構造体」に、「ラジアントチューブ」は「ラジアントチューブヒータ」に、「ラジアントチューブ本体7」は「チューブ」に、「燃焼ガス」は「加熱流体」に、「貫通孔4aの延設方向」は「隔壁が伸びる方向であるセル軸」に、「燃焼ガスの流れ方向」は「チューブの軸方向」に、「伝熱促進体3の配置構造」は「ハニカム構造体の配置構造」に、それぞれ相当する。

・後者の「多数の貫通孔4aが一方向を指向して配列した構造を有する」ことは、多数の貫通孔4aが、単一の方向に延びて列設された隔壁により区画されたものであることは明らかであるから、前者の「単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備える」ことに相当する。

・後者の「伝熱促進体3」は断面八角形であり、「ラジアントチューブ本体7」は断面円形であるから、伝熱促進体3とラジアントチューブ本体7の内壁面との間に空隙が存在することは明らかであるから、後者の「断面八角形
に加工されたセラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3が、ラジアントチューブの断面円形であるラジアントチューブ本体7の内部に配置される」ことは、前者の「ハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方が、ラジアントチューブヒータのチューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するように、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置される」ことに、「ハニカム構造体が、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置される」という限りにおいて一致する。

・後者の「前記貫通孔4aに流通させる燃焼ガスからラジアントチューブ本体7へ伝熱する構造」は、前者の「前記セルに流通させる加熱流体の熱を前記チューブに伝える構造」に相当する。

・後者の「その貫通孔4aの延設方向が燃焼ガスの流れ方向と略平行になるようにされた」ことは、前者の「前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜している」ことに、「前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して所定の位置関係にある」という限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「単一の方向に延びて列設された隔壁により区画された複数のセルを備えるハニカム構造体が、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置されることにより、前記セルに流通させる加熱流体の熱を前記チューブに伝える構造であり、
前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して所定の位置関係にある、ハニカム構造体の配置構造。」の点で一致し、次の点で相違している。

[相違点1]
本願発明1では、「ハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方が、ラジアントチューブヒータのチューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するように、前記チューブ内に前記チューブの内壁面との間に空隙をあけて配置される」のに対して、引用発明では、「断面八角形に加工されたセラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3が、ラジアントチューブの断面円形であるラジアントチューブ本体7の内部に配置される」ものであり、断面八角形に加工されたセラミックハニカムブロック2からなる伝熱促進体3(ハニカム構造体)が、両端面のうちの少なくとも一方が、ラジアントチューブ(ラジアントチューブヒータ)のラジアントチューブ本体7(チューブ)の軸方向に直交する面に対して傾斜するように配置されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、「前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜している」のに対して、引用発明では、「その貫通孔4aの延設方向が燃焼ガスの流れ方向と略平行になるようにされた」ものであり、貫通孔4aの延設方向(隔壁が伸びる方向であるセル軸)が燃焼ガスの流れ方向(チューブの軸方向)に対して傾斜していない点。

[相違点3]
本願発明1では、「前記セルが前記ハニカム構造体の前記両端面に加えて側面でも開口していることにより、前記側面で開口している前記セルの内表面は前記チューブへの放射伝熱面である」であるのに対して、引用発明では、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
相違点1ないし3は、いずれもハニカム構造体に関するものであるので、まとめて検討する。
引用発明は、雰囲気ガスを使用する熱処理炉等の加熱炉に用いられるラジアントチューブに関するものであって(引用文献1の段落【0001】ないし【0003】)、燃焼ガスの熱をラジアントチューブ本体に効率的に伝熱することを課題とするものである(同文献の段落【0010】)。
一方、技術事項2、3、4A及び4Bには、本願発明1の「ハニカム構造体が、両端面のうちの少なくとも一方が、」「チューブの軸方向に直交する面に対して傾斜するように、」「配置されること」及び「前記隔壁が伸びる方向であるセル軸が、前記チューブの軸方向に対して傾斜している」ことに相当する事項が開示されている。
しかしながら、技術事項2、3、4A及び4Bは、いずれもラジアントチューブに関するものではなく、燃焼ガスの熱をラジアントチューブ本体に効率的に伝熱することを課題とするものではないから、引用発明に技術事項2、3、4A及び4Bを適用する動機付けは認められない。
また、引用発明における伝熱促進体3とラジアントチューブ本体7の断面形状からみて、両者の間に空隙が存在することは明らかであるところ、技術事項2、3、4A及び4Bは、排ガスを浄化するパティキュレートフィルタに関するものであり、ハニカム構造体である触媒の構造体と該触媒の構造体を収容する管状部材の内壁面との間に空隙を設けることは有り得ないから、引用発明は技術事項2、3、4A及び4Bを適用する阻害要因を有しているといえる。
仮に、技術事項2、3、4A及び4Bを適用することができたとしても、技術事項2、3、4A及び4Bは、少なくとも「前記セルが前記ハニカム構造体の前記両端面に加えて側面でも開口していることにより、前記側面で開口している前記セルの内表面は前記チューブへの放射伝熱面である」という上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を備えるものではない。
例えば、技術事項4A及び4Bは、第一ハニカム触媒体10,10a及び第二ハニカム触媒体30が、それぞれ筒状に形成された第一外周壁3及び第二外周壁23を有することから、第一ハニカム触媒体10,10a及び第二ハニカム触媒体30の側面でも開口しているとはいえず、また、第一ハニカム触媒体10,10a及び第二ハニカム触媒体30の外周の周囲を、セラミック繊維製マット等からなる把持材55a,55bで包んでいることから、第一ハニカム触媒体10,10a及び第二ハニカム触媒体30の側面から放射伝熱をするものとはいえない。
そうすると、引用発明において、技術事項2、3、4A及び4Bを考慮したとしても、少なくとも上記相違点3に係る本願発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たということはできない。

(3)まとめ
そして、本願発明1は、本願明細書の段落【0022】に記載された、「ラジアントチューブヒータのチューブ内に配置されるハニカム構造体によって、加熱流体からチューブへ効率的に伝熱することができる、ハニカム構造体の配置構造を提供することができる。」という所期の効果を奏するものである。
したがって、本願発明1は、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術事項2、3、4A及び4Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2及び3について
本願の特許請求の範囲における請求項2及び3は、請求項1の記載を他の記載に置き換えることなく、直接又は間接的に引用して記載したものであるから、本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2及び3は、本願発明1と同様の理由で、引用発明及び引用文献2ないし4に記載された技術事項2、3、4A及び4Bに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-12-25 
出願番号 特願2015-2170(P2015-2170)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F28F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 金丸 治之久島 弘太郎  
特許庁審判長 平城 俊雅
特許庁審判官 槙原 進
塚本 英隆
発明の名称 ハニカム構造体の配置構造  
代理人 大矢 正代  
代理人 前田 勘次  

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