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審決分類 審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正しない A63F
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない A63F
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない A63F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63F
管理番号 1358493
審判番号 訂正2019-390073  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2019-06-27 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 特許第6374444号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
特許第6374444号(以下「本件特許」という。)は、平成28年6月28日の出願(特願2016-128097号)であって、平成30年7月27日にその特許権の設定登録がなされ、令和1年6月28日に本件訂正審判の請求がなされた後、当審において、令和1年9月5日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったものである。


2 請求の趣旨
本件審判の請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである(以下、訂正前の「本件特許の明細書」、「特許請求の範囲」を、それぞれ、「願書に添付した明細書」、「本件特許請求の範囲」という。また、下線部が訂正部分である。)。

(1)訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1における
「前記複数の単位記憶領域の各々に記憶される前記遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた前記数値情報を前記第1の表示態様で表示させ、前記複数の単位記憶領域の各々に記憶される前記遊技情報の合計値が前記閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた前記数値情報を前記第2の表示態様で表示させる表示制御手段とを具備し、」を、
「前記複数の単位記憶領域の各々に記憶される前記遊技情報の合計値に応じた数値情報が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた前記数値情報を前記第1の表示態様で表示させ、前記複数の単位記憶領域の各々に記憶される前記遊技情報の合計値に応じた数値情報が前記閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた前記数値情報を前記第2の表示態様で表示させる表示制御手段とを具備し、」
に訂正する。

(2)訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0005】の
「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第1の表示態様で表示させ、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第2の表示態様で表示させる」を、
「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第1の表示態様で表示させ、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第2の表示態様で表示させる」
に訂正する。

(3)訂正事項3
願書に添付した明細書の段落【0510】の
「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第1の表示態様で表示させ、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第2の表示態様で表示させる」を、
「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第1の表示態様で表示させ、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が閾値以上の大きさを示す場合、該遊技情報の合計値に応じた数値情報を第2の表示態様で表示させる」
に訂正する。


3 当審の判断
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的について
ア-1
訂正事項1は、
訂正前に、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」とあったものを、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」と訂正すること、及び、
訂正前に、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、」とあったものを、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が閾値以上の大きさを示す場合、」と訂正することを含むものである。
訂正前の請求項1の「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」という記載、及び、訂正前の請求項1の「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、」という記載は、文言それ自体が明瞭であって、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される」「遊技情報の合計値」と「予め定められた閾値」との大小を比較して、「遊技情報の合計値」が「閾値未満」である場合を、「閾値未満の大きさを示す場合、」と表現するとともに、「遊技情報の合計値」が「閾値以上」である場合を、「閾値以上の大きさを示す場合、」と表現しているとその記載の意味を理解することができる。
したがって、訂正前の上記記載に誤りがあったとは認められず、訂正事項1が誤記の訂正を目的とするものとはいえない。

ア-2
上記ア-1のとおり、訂正前の請求項1の「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」という記載、及び、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、」という記載は、文言それ自体が明瞭である。
そして、訂正前の請求項1の「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値」に対応する実施例として、「直近15セットにおけるボーナス作動状態での払出枚数の合計」を例に検討すると、願書に添付した明細書には、
「【0252】
図22に示す通り、割合記憶領域g1は直近ボーナス割合を記憶する。上述した通り、直近15セット(6000回の遊技)の払出枚数の合計は、セット累計記憶領域aに記憶され、直近15セットにおけるボーナス作動状態での払出枚数の合計は、セット累計記憶領域bに記憶される。メインCPU301は、1セットが終了する毎に、セット累計記憶領域bの払出枚数がセット累計記憶領域aの払出枚数に占める割合(%)を算出し、算出結果を直近ボーナス割合として割合記憶領域g1に記憶する。なお、メインCPU301は、算出結果に小数部が含まれる場合、小数部は切り捨てて整数部のみを割合記憶領域g1に記憶する。
・・・
【0260】
図23(c)は、各表示情報Hのうち表示情報HCを表示するメイン表示器40の模擬図である。図23(c)に示す通り、表示情報HCは、識別情報Icと割合情報Rcとを含む。表示情報HCの割合情報Rcは、上述した割合記憶領域g1に記憶される直近ボーナス割合を表示する。具体的には、割合情報Rcは直近ボーナス割合に応じて、数字「00」から数字「99」を可変に表示可能である。例えば、直近ボーナス割合が70%の場合、割合情報Rcは、数字「70」を表示する。なお、直近ボーナス割合が100%の場合、直近ボーナス割合が99%の場合と同様に、割合情報Rcは数字「99」を表示する。図23(c)に示す通り、識別情報Icは、数字「7」と文字「Y」との組合せであり、割合情報Rcにより表示される数字が直近ボーナス割合である旨を識別可能にする。
・・・
【0268】
本実施形態では、点灯態様から点滅態様に変化する各割合情報R(a?e)の数値を当該割合情報Rの閾値という。上述した通り、割合情報Ra、割合情報Rcおよび割合情報Reの閾値は「70」である。また、割合情報Rbおよび割合情報Rdの閾値は「60」である。」と記載される(下線は、当審が付した。)。
上記の実施例は、直近ボーナス割合を表す割合情報Rcは、分母を、「セット累計記憶領域aに記憶」された「直近15セット(6000回の遊技)の払出枚数の合計」とし、分子を、「セット累計記憶領域aに記憶」された「直近15セットにおけるボーナス作動状態での払出枚数の合計」とした割合を、小数部は切り捨てて整数部のみとした%で表した値であり、当該「割合情報Rc」の「閾値は「70」」であるものである。そして、請求項1において、「遊技情報の合計値」と比較を行う「予め定められた閾値」は、上記の分母となる「セット累計記憶領域aに記憶」された「直近15セット(6000回の遊技)の払出枚数の合計」に、当該「割合情報Rc」の「閾値」である「70」%、すなわち、0.7という比率を乗算したものであることが、願書に添付した明細書を見ると理解することができる。
よって、訂正事項1に関し、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面中にそれ自体が意味不明瞭な記載があるとも、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載があるとも認められない。
したがって、訂正事項1が明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。

ア-3
訂正事項1は、
訂正前に、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」とあったものを、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」と訂正すること、及び、
訂正前に、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が閾値以上の大きさを示す場合、」とあったものを、複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値に応じた数値情報が閾値以上の大きさを示す場合、」と訂正することを含むものである。
そして、訂正後の請求項1には、「閾値」と比較を行う対象が、「遊技情報の合計値に応じた数値情報」と記載されていることから、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」のほか、「遊技情報の合計値」「に応じた」、すなわち、「遊技情報の合計値」と対応するあるいは相関関係等を有する「数値情報」を含むこととなり、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項の下位概念ということはできず、むしろ、訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」という事項は、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項を拡張するものとなっている。
また、訂正後の請求項1において、「閾値」と比較を行う対象である「遊技情報の合計値に応じた数値情報」が、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」を含まないと解釈する場合、訂正前の「遊技情報の合計値」を訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」とすることは、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」を、「遊技情報の合計値」「に応じた」、すなわち、「遊技情報の合計値」と対応するあるいは相関関係等を有する「数値情報」という別の意味を表すことになるから、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項を変更するものとなり、しかも、訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」という事項は、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項の下位概念ということはできない。
そうすると、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものには該当しない。

また、訂正事項1は、誤訳の訂正、請求項間の引用関係の解消のいずれを目的とするものにも該当しないことは明らかである。

ア-4
請求人は、訂正事項1の目的について、審判請求書において、以下の主張をしている。
・主張1
「しかし、本願明細書の段落0268には・・・以上の記載を考慮すると、上述の段落0267等には、請求項における「遊技情報の合計値」に応じた「数値情報」(割合情報R)が予め定められた割合(以下「割合閾値」という)以上であるか否かに応じて、数値情報の表示態様を変化させるという構成(以下「構成X」)が直接的に記載されるといえる。
本特許の特許権者は、本願明細書に直接的に記載される上述の構成Xを規定するため「・・・前記遊技情報の合計値(例えば、「セット累計記憶領域bの払出枚数」)に応じた数値情報(例えば、セット累計記憶領域bの払出枚数に応じた「直近ボーナス割合」)が予め定められた閾値(割合閾値)未満の大きさを示す場合・・・前記遊技情報の合計値に応じた数値情報が前記閾値以上の大きさを示す場合・・・」という語句(以下「語句B」という)を請求項に記載すべきところ、「・・・前記遊技情報の合計値(例えば、「セット累計記憶領域bの払出枚数」)が予め定められた閾値(枚数閾値)未満の大きさを示す場合・・・前記遊技情報の合計値が前記閾値以上の大きさを示す場合・・・」という語句Aを請求項に記載した。
訂正事項1は、以上の誤記を訂正するためのものである(特許法第126条第1項ただし書き第2号)。」(第6頁第18行-第7頁第9行)
・主張2
「なお、上述の説明から理解される通り、本願明細書では、数値情報の表示態様が変化する「閾値」という文言は、上述の「割合閾値」を意味する一方で、現請求項では、数値情報の表示態様が変化する「閾値」という文言は、上述の「枚数閾値」を意味する。すなわち、現請求項では、数値情報の表示態様が変化する「閾値」という文言の意味は、本願明細書の段落0268に記載の「閾値」の意味と相違しているため、本願明細書との関係で、現請求項の記載は不明瞭であると言える。・・・すなわち、訂正事項1によれば、数値情報の表示態様が変化する「閾値」が、請求項と明細書とで共通なものを意味することとなり、上述の明瞭でない記載が釈明される。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明であるとも言える。」(第7頁第10行-第8頁第1行)

請求人が主張する上記主張1及び主張2について検討する。
・請求人の上記主張1は、語句Bを記載すべきところ、語句Aを誤って記載したというものであるところ、訂正前の請求項1における語句Aの記載の意味を理解することができることは、上記ア-1で検討したとおりであるから、訂正事項1は、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すものでもないし、上記ア-2で検討したとおり、訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」という事項は、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項を拡張するものとなっていることから、訂正前の記載である語句Aが、当然に訂正後の記載である語句Bと同一の意味を表示するものと客観的に認められるものでもない。
したがって、訂正事項1が誤記の訂正を目的とする請求人の上記主張1を採用することはできない。

・請求人の上記主張2は、「閾値」という用語に関し、願書に添付した明細書では、「割合閾値」を意味する一方、訂正前の請求項1では、「枚数閾値」を意味することから、願書に添付した明細書の記載との関係において、訂正前の請求項1の記載が不明瞭であるというものである。
しかし、訂正前の請求項1の「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値が予め定められた閾値未満の大きさを示す場合、」という記載から、「閾値」とその大小を比較される「合計値は、「複数の単位記憶領域の各々に記憶される遊技情報の合計値」である。ここで、願書に添付された明細書又は図面をみると、「単位記憶領域」「に記憶される」「遊技情報」の「合計値」を求めているのは、「払出枚数」(例えば、1セットにおける払出枚数、直近の15セットにおける払出枚数、総払出枚数)又は「遊技回数」(例えば、規制期間の遊技回数、総遊技回数)に限られ、「割合」(例えば、ボーナス割合やBB割合、規制期間割合、直近ボーナス割合、直近BB割合)は算出されることはあっても、「合計値」を求めるものでないから、訂正前の請求項1に記載される「閾値」が、請求人が主張するところの「割合閾値」に該当するものではないことは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に接した当業者であれば、理解できることは明らかである。
そして、上記イで検討したとおり、訂正事項1に関わる訂正前の請求項1の記載は、文言それ自体が明瞭であって、かつ、訂正事項1に関し、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面中にそれ自体が意味不明瞭な記載があるとも、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載があるとも認められない。
したがって、訂正事項1が明瞭でない記載の釈明を目的とする請求人の上記主張2を採用することはできない。

ア-5
よって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明、請求項間の引用関係の解消のいずれにも該当しないものであり、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。

新規事項の追加の有無について
訂正事項1は、上記ア-2に述べたとおり、願書に添付した明細書の段落【0252】、【0260】、【0268】に記載されるものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更について
上記ア-3で検討したとおり、訂正後の請求項1には、「閾値」と比較を行う対象が、「遊技情報の合計値に応じた数値情報」と記載されていることから、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」のほか、「遊技情報の合計値」「に応じた」、すなわち、「遊技情報の合計値」と対応するあるいは相関関係等を有する「数値情報」を含むこととなり、訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」という事項は、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項を拡張するものとなっている。
また、訂正後の請求項1において、「閾値」と比較を行う対象である「遊技情報の合計値に応じた数値情報」が、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」を含まないと解釈する場合、訂正前の「遊技情報の合計値」を訂正後の「遊技情報の合計値に応じた数値情報」とすることは、「遊技情報の合計値」そのものを直接表す「数値情報」を、「遊技情報の合計値」「に応じた」、すなわち、「遊技情報の合計値」と対応するあるいは相関関係等を有する「数値情報」という別の意味を表すことになるから、訂正前の「遊技情報の合計値」という事項を変更するものとなっている。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。

(2)訂正事項2及び訂正事項3について
訂正事項2及び訂正事項3は、訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と整合させる明細書の訂正であるから、訂正事項1と同様に、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面のすべてを総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、願書に添付した明細書、本件特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであるが、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明、請求項間の引用関係の解消のいずれにも該当しないものである。
よって、訂正事項2及び訂正事項3は、特許法第126条第5項の規定に適合するものの、同法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。


4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合するものの、同法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、また、同法第126条第6項の規定に適合せず、訂正事項2及び訂正事項3は、いずれも、同法第126条第5項の規定に適合するものの、同法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
したがって、訂正事項1、訂正事項2及び訂正事項3は、いずれも訂正が認められない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-29 
結審通知日 2019-11-01 
審決日 2019-11-21 
出願番号 特願2016-128097(P2016-128097)
審決分類 P 1 41・ 854- Z (A63F)
P 1 41・ 855- Z (A63F)
P 1 41・ 852- Z (A63F)
P 1 41・ 853- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安藤 達哉金子 和孝山本 一  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
▲吉▼川 康史
登録日 2018-07-27 
登録番号 特許第6374444号(P6374444)
発明の名称 遊技機  
代理人 鈴木 均  
代理人 池田 雅人  

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