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審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1358532
審判番号 不服2018-12848  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-27 
確定日 2020-01-06 
事件の表示 特願2014-211565「キャラクター入力装置、テープ印刷装置およびキャラクター入力方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月 5日出願公開、特開2015-195558〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年10月16日(優先権主張 平成26年3月27日)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 4月16日付け:拒絶理由通知書
平成30年 6月22日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 6月29日付け:拒絶査定
平成30年 9月27日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 平成30年9月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項7の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所を示す。)
「キャラクターコードを利用してキャラクターを入力するキャラクター入力方法であって、
コンピューターが、
キャラクターコードを指定するコード指定ステップと、
指定された前記キャラクターコードに対応したキャラクターを、キャラクターコード表から抽出するキャラクター抽出ステップと、
複数種のキャラクターコード表を選択するステップと、
前記キャラクターコード表における、抽出した前記キャラクター周辺の複数のキャラクターを、前記キャラクターコード表から抽出する周辺キャラクター抽出ステップと、
前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面および指定された前記キャラクターの拡大画像を表示する候補表示ステップと、を実行することを特徴とするキャラクター入力方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成30年6月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7の記載は次のとおりである。
「キャラクターコードを利用してキャラクターを入力するキャラクター入力方法であって、
コンピューターが、
キャラクターコードを指定するコード指定ステップと、
指定された前記キャラクターコードに対応したキャラクターを、キャラクターコード表から抽出するキャラクター抽出ステップと、
前記キャラクターコード表における、抽出した前記キャラクター周辺の複数のキャラクターを、前記キャラクターコード表から抽出する周辺キャラクター抽出ステップと、
前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面および指定された前記キャラクターの拡大画像を表示する候補表示ステップと、を実行することを特徴とするキャラクター入力方法。」

(3)上記補正は、補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項について、以下の補正事項を含むものである。

補正事項:補正前の「キャラクター入力方法」に、「複数種のキャラクターコード表を選択するステップ」を追加する補正。

2 補正の適否
(1)特許法第17条の2第5項(目的外補正)に適合するかについての検討
上記補正は、本件補正前の請求項7に、発明を特定するために必要な事項(発明特定事項)として記載されていなかった、「複数種のキャラクターコード表を選択するステップ」を、新たな発明特定事項として直列的に付加するものであって、補正前の請求項7のいずれかのステップを限定するものではないことが明らかである。
このような新たな発明特定事項の直列的付加は、請求項に係る発明全体からみれば、確かに特許請求の範囲の減縮に該当するといえる。
しかしながら、特許法第17条の2第5項第2号(いわゆる限定的減縮の規定)は、その括弧書きにおいてさらに、補正前の請求項に記載した発明特定事項を限定するもの(これは、補正前の請求項における発明特定事項の一つ以上を、概念的に、より下位の発明特定事項とする補正であると解される。)に限ることを要件としていることから、新たな発明特定事項の直列的付加となる上記補正は、当該要件を満たしていないといわざるを得ない。
よって、本件補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものではない。また、上記補正事項は、請求項の削除、誤記の訂正あるいは明瞭でない記載の釈明を目的とするものではないことは明らかである。
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定される補正の要件を満たさないものである。

よって、本件補正は、その他の補正の実体的な要件について検討するまでもなく、補正の実体的要件を満たさないことが明らかである。


(2)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項に規定する要件に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


3 独立特許要件についての検討
本件補正が目的外補正であることを理由として却下すべきであることは、上記2で説示したとおりであるが、仮に本件補正が特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして、本件補正後の請求項7に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)についても、一応以下で検討することとする。

(1)本件補正発明
本件補正による補正後の請求項7に係る発明(以下、「本件補正発明」と呼ぶ。)は、上記1(1)に記載されたとおりのものである。

(2)引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平9-179855号公報(以下、「引用例」と呼ぶ。)には、次の記載がある。

ア 段落【0013】-【0018】
「【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)図1は本発明の第1の実施形態に係るコード入力機能を備えた文書作成装置の構成を示すブロック図である。本装置は、入力部11、出力部12、制御部13、文字一覧選択部14、コード入力処理部15、コード有効判定部16および記憶部17を有する。
【0014】入力部11は、例えばキーボード等の入力装置からなり、データの入力や指示を行う。出力部12は、例えばLCD (Liquid Crystal Display) やCRT (Cathode Ray Tube) 等の表示装置からなり、データの表示を行う。
【0015】制御部13は、例えばマイクロプロセッサからなり、本装置全体の制御を行うものであり、ここでは文字一覧選択部14、コード入力処理部15、コード有効判定部16を制御して、コード入力による文字選択処理を実行する。
【0016】文字一覧選択部14は、出力部12に文字一覧選択画面を表示し、その画面の中から入力コードに対応する文字を選択する。コード入力処理部15は、コード入力の操作を処理するものであって、ここではコード情報を構成する各桁の数値を上位桁から順に入力し、その入力毎にコード有効判定部16を通じて有効コードか否かを判定し、有効コードと判定された場合にそのコード情報を文字一覧選択部14に返す。コード有効判定部16は、コード入力処理部15から与えられる入力コード情報が有効か否かを判定する。
【0017】記憶部17は、例えばROMやRAM等のメモリからなり、本装置に必要な各種の情報を記憶し、ここではコードテーブル17aを有する。このコードテーブル17aには、各文字に割り付けられているコード情報が登録されている。
【0018】図2は第1の実施形態における文字一覧選択画面を示す図である。例えば入力部11に設けられたファンクションキーの操作あるいは表示画面上に表示されたアイコンの選択操作等によって、文字一覧選択機能を指示すると、出力部12の表示画面に図2に示すような文字一覧表示部21とコード入力部22が表示される。文字一覧表示部21には、所定コード数分の文字の一覧が表示されるようになっている。コード入力部22は、ユーザがコード情報を入力する部分である。」

イ 段落【0020】-【0025】
「【0020】次に、第1の実施形態の動作を説明する。図3は第1の実施形態における文字一覧選択時の処理動作を示すフローチャートである。入力部11からの入力情報は制御部13に送られる。制御部13では、その入力情報を処理し、その結果を出力部12に出力する。
【0021】ここで、入力部11を通じて文字一覧選択機能が指示されると、制御部13は文字一覧選択部14に処理の要求を出す。これにより、文字一覧選択部14は、図2に示すような文字一覧選択画面を出力部12に表示後、入力部11のキー入力に従って以下のような処理を実行する(ステップA11)。
【0022】すなわち、文字一覧選択画面に設けられたコード入力部22にコード情報の入力がなされた場合には(ステップA12)、文字一覧選択部14はその入力されたコード情報をコード入力処理部15に送る。コード入力処理部15では、文字一覧選択部14から送られてきたコード情報を1文字(数値)ずつ上位桁から順に読み込んで、文字一覧選択画面上のコード入力部22に出力する(ステップA13)。
【0023】その際に、コード入力処理部15はコード有効判定部16を通じて、現時点での入力コード情報が有効コードか否かを判定する(ステップA14)。有効コードとは、該当する文字が存在するコードのことである。なお、有効コードか否かの判定は、例えば区点コードの入力であれば、少なくとも3桁分の入力があったときに、その下位2桁を点として定めることにより、そのようなコードがコードテーブル17aに存在するか否かをチェックすることで行う。
【0024】その結果、現時点での入力コード情報が有効コードと判定された場合(ステップA14のYes)、コード入力処理部15はそのコード情報を文字一覧選択部14に返す。これにより、文字一覧選択部14は文字一覧表示部21の中で当該コード情報に対応する文字にカーソルCLを移動させて、その文字を選択する(ステップA15)。
【0025】しかして、入力部11から文字の確定を指示するキーが入力された場合には(ステップA12)、文字一覧選択部14は現在カーソルCLにて選択されている文字を制御部13に通知し、ここでの処理を終了する(ステップA16)。制御部13では、その文字を文書中の指定位置に挿入するなどの処理を行う。」

ウ 図2



エ 引用発明
したがって、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「文書作成装置は、入力部11、出力部12、制御部13、文字一覧選択部14、コード入力処理部15、コード有効判定部16および記憶部17を有し、
入力部11は、例えばキーボード等の入力装置からなり、
制御部13は、例えばマイクロプロセッサからなり、ここでは文字一覧選択部14、コード入力処理部15、コード有効判定部16を制御して、コード入力による文字選択処理を実行し、
文字一覧選択部14は、出力部12に文字一覧選択画面を表示し、
記憶部17は、例えばROMやRAM等のメモリからなり、コードテーブル17aを有し、このコードテーブル17aには、各文字に割り付けられているコード情報が登録され、
文字一覧選択画面には、文字一覧表示部21とコード入力部22が表示され、文字一覧表示部21には、所定コード数分の文字の一覧が表示され、
入力部11を通じて文字一覧選択機能が指示されると、制御部13は文字一覧選択部14に処理の要求を出し、文字一覧選択部14は、文字一覧選択画面を出力部12に表示後、入力部11のキー入力に従って、文字一覧選択画面に設けられたコード入力部22にコード情報の入力がなされ、
コード入力処理部15はコード有効判定部16を通じて、現時点での入力コード情報が有効コードか否かを判定し、その結果、現時点での入力コード情報が有効コードと判定された場合、コード入力処理部15はそのコード情報を文字一覧選択部14に返し、文字一覧選択部14は文字一覧表示部21の中で当該コード情報に対応する文字にカーソルCLを移動させて、その文字を選択し、
しかして、入力部11から文字の確定を指示するキーが入力された場合には、制御部13では、その文字を文書中の指定位置に挿入するなどの処理を行う、
文書作成装置。」


(3)[周知文献A]特開平10-143311号公報
[周知文献A]段落【0034】-【0045】には、図3、図4とともに、以下の記載がある。
「【0034】ここで、図1が、ROM22に格納されているコード入力用のプログラムの処理の流れを示すフローチャートである。CPU21は、キー入力部11によりコード入力が指示されたときに、かかるコード入力用のプログラムを実行する。
【0035】CPU21は、まず、図3(B)に示すように、液晶ディスプレイ35の表示画面のうち下半分の部分をコード入力受付け画面に切り替える(ステップ101)。因みに、この時点から入力としては、数字0?9と英字A、B、C、D、E、F以外は受け付けられなくなる。従って、これら以外の入力は拒絶されるか、警告される。図3(C)は、この規則に基づき、コードを形成する数字が「4」、「3」、「2」まで入力された時点での表示画面の様子を示している。
【0036】さて、図3(D)のように、4桁のコードを形成する数字が全て入力されると、CPU21は、自動的に入力コードを確定する(ステップ102)。なおここでは、4桁目の数字が入力された直後自動的に確定するようにしているが、4桁目が入力された後に所定の確定動作がなされた場合にのみ入力された4桁のコードを確定するようにしても良い。勿論、入力コードが確定するまでは、入力コードの修正も自由である。
【0037】このようにして入力コードが確定すると(図3では「4321」)、CPU21は、ROM22に格納してある3種類の変換テーブル22a、22b、22cのそれぞれについて該当するコードが存在するか検索動作に移る(ステップ103?ステップ105)。
【0038】まず、ステップ103では、図4(A)の区点コードテーブル(変換テーブル22a)について、入力コードに対応する漢字の検索が実行される。ここでは、「4321」というコードが存在し、当該コードに「傍」という漢字が対応しているので、「傍」を候補文字としての候補漢字として保持する。この検索動作が終了すると、次のステップ104に進む。
【0039】ステップ104では、図4(B)のJISコード/区点コード変換テーブル(変換テーブル22b)について、入力コードに対応する漢字が検索される。なお、この実施形態では、変換テーブルとして、区点コードとの間で同一のコードに対応する漢字が異なっているJISコードのみをテーブルとして整理したものを用いることにする。従って、このJISコード/区点コード変換テーブル(変換テーブル22b)に入力コードと一致するJISコードが見当たらないことは、区点コードと同じ漢字であることを意味する。これに対して、変換テーブル中に入力コードと一致するJISコードがある場合には、当該テーブルで入力コードの変換が行われる。かかる後、変換後の区点コードに基づいて区点コードテーブルが検索される。この実施形態では、「叩」という漢字が対応しているので、当該漢字を、入力コードがJISコードである場合の候補漢字として保持する。この検索動作が終了すると、次のステップ105に進む。
【0040】ステップ105では、図4(C)のシフトJISコード/区点コード変換テーブル(変換テーブル22c)について、入力コードに対応する漢字が検索される。なお、この変換テーブルの場合も、区点コードとの間で同一のコードに対応する漢字が異なっているシフトJISコードのみをテーブルとして整理したものを用いる。従って、このシフトJISコード/区点コード変換テーブル(変換テーブル22c)に入力コードと一致するシフトJISコードが見当たらないことは、区点コードと同じ漢字であることを意味する。これに対して、変換テーブル中に入力コードと一致するシフトJISコードがある場合には、やはり当該テーブルで入力コードの変換が行われる。かかる後、変換後の区点コードに基づいて区点コードテーブルが検索される。ここで検索された漢字は、入力コードがシフトJISコードである場合の候補漢字として保持される。ただし、この例の場合には、対応する漢字が存在しないので候補漢字の保持はない。かくして、検索動作が終了すると、次のステップ106に進む。
【0041】ステップ106では、3つの変換テーブル22a?22cを検索した結果、入力コードに対応した候補漢字が見つかったか否かが判別される。このとき、候補漢字が一つも見つからなければ、ユーザに対して警告(例えば、警告音による通知)を行った後、現在の入力コードを消去し、図3(B)に示す入力コード受け付け画面に戻る。
【0042】一方、ステップ106で肯定結果が得られ、候補漢字が存在することが分かると、CPU21は、図3(D)に示すように、候補漢字を表示する(ステップ107)。このとき、CPU21は、区点コード、JISコード及びシフトJISコードのそれぞれについて入力コードに対応する候補漢字があれば、3つとも同一画面上に表示する。
【0043】なお、画面上に表示する順番は、区点コード、JISコード、シフトJISコードの順とし、仮に、候補漢字が2つしか存在しないのであれば、その2つだけを画面上に表示する。ただし、候補漢字の存在しないコードの位置にはそれ以降のコードに対応する候補漢字をつめて表示する。因みに、図3(D)では、入力コード「4321」に対して2つの候補漢字「傍」及び「叩」が検索され、表示されている。
【0044】このように複数の候補漢字が表示されれば、ユーザは、普段使い慣れているコード体系によって指定したつもりの漢字がどれであるかを選択するだけで変換作業を完了することができる。例えば、変換しようとした漢字が「傍」であれば図3(D)のようにカーソルが「傍」の上にある状態で当該変換を確定すれば良く、「傍」ではなく「叩」を変換したかったのであれば図3(E)のようにカーソルを「叩」の上に移動させて当該変換を確定すれば良い。
【0045】いずれにしても以上の手順を経て、候補漢字のうちの1つが選択され確定されると(ステップ108)、図3(F)に示すように、確定された候補漢字(この例の場合は「傍」)をコード入力モードに入った時点でのカーソル位置に挿入し(ステップ109)、当該コード入力モードを終了する。なお、引き続きコード入力モードがユーザによって選択された場合には、ステップ101?ステップ109の処理が繰り返し実行される。」

(4)[周知文献B]国際公開第2006/132021号
[周知文献B]段落【0037】-【0038】には、図1とともに、以下の記載がある。
「【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るGUIコンテンツ再生装置を備えた携帯端末装置の使用状態を示した図である。図1においては、GUIコンテンツ103は、携帯電話機10のメニュー画面として利用された例が示されている。
【0038】
まず、状態Aに示されるように、携帯電話機10の表示画面11には、GUIコンテンツ103によって、複数のアイコンA?Iを備えるメニュー画面が表示されている。そして、アイコンA?Iのうち、中央のアイコンAがフォーカスされ、アイコンAが拡大表示されている。次に、操作キー13を右方向に1回押下すると、状態Bに示されるように、1つ右のアイコンFがフォーカスされ、アイコンFが拡大表示される。更に、操作キー13を上方向に1回押下すると、状態Cに示されるように、1つ上のアイコンDがフォーカスされ、アイコンDが拡大表示される。このように、GUIコンテンツ103を利用することによって、表示画面11に表示される複数のアイコンA?Iのうち選択された1つのアイコンを見やすく拡大表示することができる。」

(5)[周知文献C]特開2008-293112号公報
ア [周知文献C]段落【0035】-【0036】には、図6とともに、以下の記載がある。
「【0035】
また、図6は表示画面の構成例を示す模式図である。図6には、本実施形態1の文字入力装置1が各種の処理を行なった場合の表示画面6(類似・同形リスト)の表示例を示しており、表示画面6は、基準文字表示領域60、類似文字表示領域61、対応部品表示領域62、OKボタン63、キャンセルボタン64等を表示する。」
【0036】
基準文字入力部20は、例えばユーザが操作部(文字入力手段)14を介して入力した文字を、後述する類似文字の選択処理を行なうための基準となる基準文字として取得する。なお、本実施形態1では、ユーザが基準文字を入力する方法は本発明の本質ではないので、かな漢字変換、手書き文字認識、音声認識、漢字一覧表からの選択等、どのような方法を用いてもよい。」

イ [周知文献C]段落【0049】-【0050】には、以下の記載がある。
「【0049】
制御部10は、操作部14を介したユーザからの操作に基づいて、文字入力装置1が行なう類似文字の選択処理のための基準文字が入力されたか否かを判断する(S1)。基準文字が入力されていない場合(S1:NO)、制御部10は基準文字が入力されるまで通常のそのほかの動作を行なって待機する。基準文字が入力された場合(S1:YES)、制御部10は、入力された基準文字を表示画面6中の基準文字表示領域60に表示させる(S2)。
【0050】
制御部10は、入力された基準文字の文字部品を文字構造辞書DB13aから検索し、検索できた場合、基準文字の文字コード及び部品データを文字構造辞書DB13aから読み出してRAM12に記憶させる(S3)。制御部10は、入力された基準文字に対する類似文字を類似文字構造対応辞書DB13bから検索し、検索できた場合、検索できた類似文字データを類似文字構造対応辞書DB13bから読み出してRAM12に記憶させる(S4)。制御部10は、RAM12に記憶させた類似文字データのうちの類似文字コードに基づいて類似文字リストを生成し、表示画面6中の類似文字表示領域61に表示させる(S5)。」

(6)対比
ア 引用発明の「文書作成装置」は、「キーボード」や「マイクロプロセッサ」、「ROMやRAM等のメモリ」といった装置を備えていることから、本件補正発明の「コンピューター」に相当する。

イ 引用発明の「コード情報」は本件補正発明の「キャラクターコード」に相当する。
したがって引用発明の「入力部11を通じて文字一覧選択機能が指示され」、「文字一覧選択部14」によって「入力部11のキー入力に従って、文字一覧選択画面に設けられたコード入力部22にコード情報の入力がなされ」る処理は、本件補正発明の「キャラクターコードを指定するコード指定ステップ」に対応する。

ウ 引用発明において、「文字一覧表示部21に」「所定コード数分の文字の一覧が表示」する際、「表示」のために、その前提として、「所定コード数分の文字」を抽出することは自明のことである。また図2より、「所定コード数分の文字」が、コードテーブル17aにおける、選択された文字と、その周辺の文字であることは明らかである。
したがって、引用発明の「文字一覧選択画面の文字一覧表示部21には、所定コード数分の文字の一覧が表示」する処理は、本件補正発明の「指定された前記キャラクターコードに対応したキャラクターを、キャラクターコード表から抽出するキャラクター抽出ステップ」に対応する。

エ 引用発明において、「文字一覧表示部21に」「所定コード数分の文字の一覧が表示」する際、「表示」のために、その前提として、「所定コード数分の文字」を抽出することは自明のことである。また図2より、「所定コード数分の文字」が、コードテーブル17aにおける、選択された文字と、その周辺の文字であることは明らかである。
したがって、引用発明の「文字一覧選択画面の文字一覧表示部21には、所定コード数分の文字の一覧が表示」する処理は、本件補正発明の「前記キャラクターコード表における、抽出した前記キャラクター周辺の複数のキャラクターを、前記キャラクターコード表から抽出する周辺キャラクター抽出ステップ」にも対応する。

オ 引用発明における「その文字を文書中の指定位置に挿入する」処理は、本件補正発明の「キャラクターを入力する」処理に相当する。
したがって、引用発明の「制御部13では、その文字を文書中の指定位置に挿入するなどの処理」は、本件補正発明の「キャラクターコードを利用してキャラクターを入力するキャラクター入力方法」に相当する。

カ 引用発明において、「文字一覧表示部21に」「所定コード数分の文字の一覧が表示」する際、「表示」のために、その前提として、「所定コード数分の文字」を抽出することは自明のことである。また図2より、「所定コード数分の文字」が、コードテーブル17aにおける、選択された文字と、その周辺の文字であることは明らかである。
引用発明には、周辺の文字が入力候補になりうる点について明らかにされていないが、本願優先日時点の技術常識に照らして、カーソルCLを移動させ、表示された周辺の文字を選択して、入力候補とすることは自明な事項である。
したがって、引用発明における、「文字一覧表示部21には、所定コード数分の文字の一覧が表示」する点は、本件補正発明の「前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面および指定された前記キャラクターの拡大画像を表示する候補表示ステップ」と、「前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面を表示する候補表示ステップ」である点で共通するといえる。

したがって、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。

[一致点]
「キャラクターコードを利用してキャラクターを入力するキャラクター入力方法であって、
コンピューターが、
キャラクターコードを指定するコード指定ステップと、
指定された前記キャラクターコードに対応したキャラクターを、キャラクターコード表から抽出するキャラクター抽出ステップと、
前記キャラクターコード表における、抽出した前記キャラクター周辺の複数のキャラクターを、前記キャラクターコード表から抽出する周辺キャラクター抽出ステップと、
前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面を表示する候補表示ステップと、
を実行することを特徴とするキャラクター入力方法。」

[相違点1]
本件補正発明は「複数種のキャラクターコード表を選択するステップ」を実行するのに対し、引用発明はこのような選択するステップを実行することについて特定されていない点。

[相違点2]
本件補正発明は「指定された前記キャラクターの拡大画像」を表示するのに対し、引用発明はこのような拡大画像を表示することについて特定されていない点。


(7)判断
ア [相違点1]について
一般に、漢字などを表すコードテーブルとして複数種類のものがあることは技術常識である。
そして、周知文献A(【0034】-【0045】)に記載されているように、複数種のコードテーブルから、前記コードテーブルごとに、指定されたコード情報に対応した文字を抽出し、抽出された前記文字を、選択可能に表示し、表示された前記文字を選択する処理は周知の技術である。
ここで、複数種のコードテーブルから、前記コードテーブルごとに、指定されたコード情報に対応した文字を抽出し、抽出された前記文字を選択する処理は、複数種のコードテーブルを選択する処理に他ならない。
したがって、引用発明に周知技術を適用することによって、複数種のキャラクターコード表を選択するステップを実行するように構成することは、当業者が容易になし得たものである。

イ [相違点2]について
周知文献B(【0037】-【0038】)及び周知文献C(【0035】-【0036】)に記載されるように、選択領域において選択された項目の拡大画像を表示し、項目を見やすくすることは周知技術である。
引用発明に当該周知技術を適用して、文字一覧表示部21において、カーソルCLによって選択された文字を拡大するようにし、「前記キャラクター抽出ステップにより抽出した前記キャラクターおよび、前記周辺キャラクター抽出ステップにより抽出した前記複数のキャラクターを、入力候補とする入力キャラクター選択画面および指定された前記キャラクターの拡大画像を表示する候補表示ステップ」とすることは、当業者が容易になし得たものである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。


(8)まとめ
よって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者であれば容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。


4 むすび
上記2で検討したとおり、本件補正は特許法第17条の2第5項に違反するものである。
仮にそうでないとしても、本件補正発明は、上記3で検討したとおり特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、いずれにしても本件補正は、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願請求項7に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成30年6月22日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項7に記載されたとおりのものであり、上記「第2」の[理由]1(2)に記載されたとおりである

2 引用例、引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、引用発明は、上記「第2」の[理由]3(2)に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」の[理由]1(1)で検討した本件補正発明から、「複数種のキャラクターコード表を選択するステップ」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]3(6)-(8)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、本願は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、本願は、他の請求項について論及するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-10-29 
結審通知日 2019-11-05 
審決日 2019-11-21 
出願番号 特願2014-211565(P2014-211565)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 572- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 菊池 伸郎  
特許庁審判長 稲葉 和生
特許庁審判官 岩田 玲彦
野崎 大進
発明の名称 キャラクター入力装置、テープ印刷装置およびキャラクター入力方法  
代理人 特許業務法人真菱国際特許事務所  

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