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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 A61K 審判 全部申し立て 2項進歩性 A61K |
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管理番号 | 1358618 |
異議申立番号 | 異議2018-700883 |
総通号数 | 242 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-02-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-11-05 |
確定日 | 2019-12-02 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6401362号発明「ジブチルヒドロキシトルエン含有製剤及びジブチルヒドロキシトルエンの安定化方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6401362号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6401362号の請求項1-6に係る発明についての特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6401362号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-6に係る特許についての出願は、2012年(平成24年)12月25日(優先権主張2011年(平成23年)12月27日)を国際出願日とする特願2013-551701号の一部を平成26年7月11日に新たな特許出願(特願2014-143529号)とし、その一部を平成28年12月28日に新たな特許出願(特願2016-256065号)とし、その一部を平成29年10月4日に新たな特許出願(特願2017-193921)としたものであって、平成30年9月14日に特許権の設定登録(請求項の数6)がされ、同年10月10日に特許掲載公報が発行された。 その後、特許異議申立人浜俊彦(以下、「申立人」という。)により、平成30年11月5日に、請求項1-6に係る本件特許について、特許異議の申立てがされた。 その後、令和1年5月30日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年8月5日に意見書及び訂正請求書の提出があった。 そして、申立人に対する訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)に対し、申立人からの応答はなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1.請求の趣旨 令和1年8月5日に特許権者が行った訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、「特許第6401362号の特許請求の範囲を本請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-6について訂正することを求める」ことを請求の趣旨とするものである。 2.訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分が、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む樹脂によって構成されている」 と記載されているのを、 選択肢から「ポリエチレンテレフタレート」を削除して、 「容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分が、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む樹脂によって構成されている」 に訂正する。 (請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2-6も同様に訂正されることになる。) (2)一群の請求項について 本件訂正前の請求項2-6は、訂正請求の対象である請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあるから、訂正前の請求項1-6は特許法第120条の5第4項に規定される一群の請求項である。そして、本件訂正請求は、一群の請求項〔1-6〕に対して請求されたものである。 3.訂正の目的の適否、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1による訂正について 訂正事項1による訂正は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1に、容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分を構成する樹脂に含まれるポリマーとして記載されていたポリマーの選択肢から、ポリエチレンテレフタレートを削除するものであり、当該削除により、容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分を構成する樹脂が限定されることになるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、この訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるし、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (訂正後の請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2-6についての訂正も同様である。) (2)まとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1-6に係る発明は、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、請求項1-6に係る発明を、それぞれ、「本件発明1」-「本件発明6」という。)。 「【請求項1】 プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩の光安定化方法であって、 容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分が、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む樹脂によって構成されている容器に、 プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩と、ジブチルヒドロキシトルエンとを含有する製剤を収容することを特徴とする、光安定化方法。 【請求項2】 前記容器が、前記製剤を収容する容器本体と、前記容器本体に収容された製剤を注出する注出口を有する注出部とを少なくとも備え、前記注出部が、前記製剤を液滴状で注出するノズルである、請求項1に記載の光安定化方法。 【請求項3】 前記製剤が、更に界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の光安定化方法。 【請求項4】 前記製剤が、更にキレート剤を含む、請求項1?3のいずれかに記載の光安定化方法。 【請求項5】 前記製剤が液状製剤である、請求項1?4のいずれかに記載の光安定化方法。 【請求項6】 前記製剤が点眼剤である、請求項1?5のいずれかに記載の光安定化方法。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)訂正前の請求項1-6に係る特許に対して、当審合議体が令和1年5月30日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 本件特許の請求項1-6に係る発明は、本件特許出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である、下記甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当該当し、特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 甲第1号証:特開平7-304670号公報 (以下、甲第1号証を、「甲1」ともいう。) (2)甲1の記載記及び甲1に記載された発明 ア 甲1の記載事項 本件特許出願の優先日前に公開された甲1には、以下の記載がある。(なお、下線は当審合議体が付した。以下、この決定において同様である。) 「【特許請求の範囲】 【請求項1】プラノプロフェン水溶液を酸化防止剤との共存下におくことを特徴とするプラノプロフェンの安定化方法。 【請求項2】プラノプロフェン水溶液に酸化防止剤を配合することによる請求項1記載のプラノプロフェンの安定化方法。 ・・・ 【請求項7】酸化防止剤がアルキルフェノール類、ベンゾピラン誘導体、チオ硫酸ナトリウムおよびアミノ酸から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項2記載のプラノプロフェンの安定化方法。 【請求項8】アルキルフェノール類が、ジブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソールから選ばれる少なくとも1種である請求項7記載のプラノプロフェンの安定化方法。 ・・・ 【請求項13】 プラノプロフェン水溶液をプラノプロフェン水溶液への酸素供給の抑制された条件下におくことを特徴とするプラノプロフェンの安定化方法。 ・・・ 【請求項15】 プラノプロフェン水溶液を酸素透過性の低い容器またはシートに封入することを特徴とする請求項13記載のプラノプロフェンの安定化方法。」 「【0002】・・・ところが、プラノプロフェンは水溶液状態では、不安定(特に、光に対して不安定)であり長期保存中に徐々に分解されるという問題がある。」 「【0007】態様Iで使用される酸化防止剤としては、例えばアルキルフェノール類、ベンゾピラン誘導体、チオ硫酸ナトリウム、アミノ酸などが挙げられる。アルキルフェノール類としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸n-プロピル、カテコールなどが挙げられ、特にBHT、BHAが好適に用いられる。 ・・・ 【0010】・・・プラノプロフェン水溶液に酸化防止剤を配合する場合、その配合割合は、通常、プラノプロフェン:酸化防止剤=1:0.0002?5.0(重量比)、好ましくは1:0.002?2.5(重量比)程度が例示される。」 「【0017】・・・プラノプロフェン水溶液を封入するための容器としては、プラノプロフェン水溶液を封入しうるものであれば、特に制限はなく、・・・酸化防止剤を配合した材料から成形された容器、後述する酸素透過性の低い容器などが好適なものとして例示される。・・・脱酸素剤としては、鉄粉、酸化鉄、アスコルビン酸、カテコールなどが例示され、特に酸化鉄が好ましい。脱酸素剤は、好適には酸素透過性材よりなる袋などに充填されて使用される。・・・ 【0018】・・・酸素透過性の低い容器またはシートとしては、酸素透過度が120cc/m^(2) ・24時間(hr)・気圧(atm)〔20℃・90%相対湿度(RH),材料厚み25μm〕以下・・・の材料よりなるものが好適であり、例えばアクリロニトリル系樹脂〔アクリロニトリルスチレン(AS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)〕およびポリエチレンテレフタレート(PET)よりなるものが挙げられ、特にPETよりなるものが好ましい。・・・ 【0019】本発明のプラノプロフェン水性液剤または水溶液に使用される溶媒としては、滅菌精製水、特に注射用蒸留水が挙げられる。・・・ 【0020】本発明のプラノプロフェン水性液剤に使用される酸化防止剤としては、前記態様Iと同様のものが使用される。 【0021】本発明の水性液剤にはさらに緩衝剤、等張化剤、溶解補助剤、保存剤、粘稠剤、キレート剤、pH調整剤、芳香剤のような各種の添加剤を適宜添加してもよい。 【0022】緩衝剤としては、例えば・・・ホウ酸緩衝剤(ホウ酸-ホウ砂)、・・・などが挙げられる。点眼剤として用いる場合、刺激軽減化のため、ホウ酸緩衝剤・・・の使用が好ましい。 【0023】等張化剤としては、・・・ホウ砂などの塩類、ホウ酸などが挙げられる。 【0024】溶解補助剤としては、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(ポリソルベート80)、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン界面活性剤などが挙げられる。 【0025】保存剤としては、例えば塩化ベンザルコニウム、・・・などが挙げられる。 ・・・ 【0027】 キレート剤としては、エデト酸ナトリウム、クエン酸などが挙げられる。・・・」(【0018】-【0027】) 「【0028】本発明の水性液剤は、点眼剤、点鼻剤などとして使用される。点眼剤として用いる場合、pHは通常約6.0?8.5、好ましくは約7.0?8.0に、また点鼻剤として用いる場合、pHは通常約6.0?8.5、好ましくは約7.0?8.0に調整する。」 「【0038】実験例3〔安定性試験(その3)〕 基本処方〔プラノプロフェン(0.05w/v%)、ホウ酸(1.6w/v%)、ホウ砂(適量)、エデト酸ナトリウム(0.01w/v%)、塩化ベンザルコニウム(0.005w/v%)、ポリソルベート80(0.1w/v%)、滅菌精製水(適量)〕に、BHT、BHA、L-アスコルビン酸2-〔3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル-ハイドロゲンフォスフェート〕カリウム塩(EPC-K1 )、メチオニン、トリプトファンまたはヒスチジンを添加し、これらの液を15ml容量の無色ポリエチレンテレフタレート容器にそれぞれ充填した。当該容器を蛍光灯(20W)下に放置し、総照射量が10万ルックス・時間に達したときに、容器中のプラノプロフェンの残存率を高速液体クロマトグラフ法により測定した。その結果は表3に示す通りである。」 【0039】 【表3】 【0040】表3に示した結果から明らかなように、各酸化防止剤添加により、光によるプラノプロフェンの分解に対する抑制効果が顕著に認められた。」 「【0052】 【発明の効果】本発明においては、有効成分であるプラノプロフェンの分解が顕著に抑制され、特に光に対して安定となったプラノプロフェン水溶液(製剤)が得られ、その長期保存が可能となる。」 イ 甲1に記載された発明 (ア) 甲1には、上記アに摘記した記載があるところ、上記の甲1の記載、特に、【0038】-【0039】(実験例3)の記載によれば、甲1には、プラノプロフェン、ホウ酸、ホウ砂、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80及び滅菌精製水を含む基本処方に、BHTを添加し、この液をポリエチレンテレフタレート容器に充填したことが記載されている。 また、特許請求の範囲、【0002】及び【0052】の記載から明らかなとおり、甲1ではプラノプロフェン水溶液(製剤)の光に対する安定化方法の提供を目的としているところ、【0038】-【0040】において、上記基本処方に酸化防止剤であるBHTを添加した系において、光によるプラノプロフェンの分解に対する抑制効果が認められた旨記載されていることは、上記の系においてBHTの添加により、プラノプロフェン水溶液(製剤)を光に対して安定化したことを示しているといえるし、請求項13及び【0018】の記載をあわせみれば、上記した基本処方にBHTつまり、ジブチルヒドロキシトルエンを添加した液をポリエチレンテレフタレート容器に充填したことは、プラノプロフェン水溶液(製剤)を光に対して安定化したといえる。 そうすると、甲1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下、「引用発明1」という。) 「プラノプロフェン、ホウ酸、ホウ砂、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80及び滅菌精製水を含む基本処方に、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加した液を、ポリエチレンテレフタレート容器に充填する、プラノプロフェン水溶液(製剤)の光に対する安定化方法。」 (イ) また、上記(ア)で指摘した甲1の記載に加え、甲1の【0028】に水性製剤が点眼剤として使用されることが記載されていることを踏まえれば、甲1には、以下の発明も記載されていたといえる。 「引用発明1の安定化方法であって、水溶液(製剤)が点眼剤である、方法。」 すなわち、 「プラノプロフェン、ホウ酸、ホウ砂、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80及び滅菌精製水を含む基本処方に、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加した液を、ポリエチレンテレフタレート容器に充填する、プラノプロフェン水溶液(製剤)の光に対する安定化方法であって、水溶液(製剤)が点眼剤である、方法。」(以下、「引用発明2」という。) (2)本件発明1、3-5(引用発明1に基づく新規性について) ア 本件発明1について 本件発明1と引用発明1とを対比する。 ・引用発明1の「プラノプロフェン」は、本件発明1における「プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩」が「プラノプロフェン」である場合に相当する。 ・引用発明1の「ポリエチレンテレフタレート容器」は、内壁を含め、容器の全てがポリエチレンテレフタレートという「ポリマー」で構成されているし、当該ポリマーは「樹脂」であるから、引用発明1の「ポリエチレンテレフタレート容器」は、本件発明1の「容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分がポリマーを含む樹脂によって構成されている容器」に相当する。 ・引用発明1の「プラノプロフェン、ホウ酸、ホウ砂、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリソルベート80及び滅菌精製水を含む基本処方に、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)を添加した液」である「プラノプロフェン水溶液(製剤)」は、本件発明1の「プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩と、ジブチルヒドロキシトルエンとを含有する製剤」に相当する。 ・引用発明1における「充填」及び「プラノプロフェン水溶液(製剤)の光に対する安定化方法」は、それぞれ、本件発明1における「収容」及び「プラノプロフェンの光安定化方法」に相当する。 以上を踏まえて本件発明1と引用発明1とを対比すると、両者は、以下の一致点で一致し、以下の相違点で相違している。 <一致点> プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩の光安定化方法であって、 容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分がポリマ-を含む樹脂によって構成されている容器に、 プラノプロフェンと、ジブチルヒドロキシトルエンとを含有する製剤を収容する、光安定化方法。 <相違点1> 容器の内壁を構成する領域を構成する樹脂に含まれるポリマ-が、本件発明1では「ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、引用発明1では「ポリエチレンテレフタレート」である点。 そして、上記相違点1は実質的な相違点であるから、引用発明1と相違点1で異なる本件発明1について、引用発明1、つまり、甲1に記載された発明であるということはできない。 イ 本件発明3-5について 本件発明3-5は、いずれも、請求項1を直接または間接的に引用する請求項に係るものであって、引用発明1と、少なくとも上記相違点1で相違している。 そうすると、本件発明3-5についても、甲1に記載された発明であるということはできない。 (3)本件発明2-6(引用発明2に基づく新規性について) ア 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1における「容器」を、「製剤を収容する容器本体」と、「容器本体に収容された製剤を注出する注出口を有する注出部とを少なくとも備え、前記注出部が、前記製剤を液滴状で注出するノズルである」ものに限定する発明であるし、引用発明2は、「引用発明1の安定化方法であって、水溶液(製剤)が点眼剤である、方法」の発明である。 そして、上記(2)アにおける本件発明1と引用発明1との対比を踏まえて本件発明2と引用発明2とを対比すると、引用発明2における「ポリエチレンテレフタレート容器」は「水溶液(製剤)」である「点眼剤」を充填するものであって、「点眼剤用の容器」であるといえるから、両者は、上記(2)アで記載した一致点で一致し、以下の相違点1’及び相違点2で相違している。 <相違点1’> 容器の内壁を構成する領域を構成する樹脂に含まれるポリマ-が、本件発明2では「ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、引用発明2では「ポリエチレンテレフタレート」である点。 <相違点2> プラノプロフェンと、ジブチルヒドロキシトルエンとを含有する製剤を収容する容器が、本件発明2では「製剤を収容する容器本体と、前記容器本体に収容された製剤を抽出する抽出口を有する抽出部とを少なくとも備え、前記抽出部が、前記製剤を液滴状で注出するノズルである」ものであるのに対し、引用発明2では「点眼剤用の容器」である点。 そして、上記相違点1’は実質的な相違点であるから、少なくとも引用発明2と相違点1’で異なる本件発明2について、引用発明2、つまり、甲1に記載された発明であるということはできない。 イ 本件発明3-6について 本件発明3-6は、いずれも、請求項2を直接または間接的に引用する請求項に係るものであって、本件発明3-6は、引用発明1と、少なくとも上記相違点1’及び相違点2で相違している。 そして、上記相違点1’は実質的な相違点であるから、少なくとも引用発明2と相違点1’で異なる本件発明3-6について、引用発明2、つまり、甲1に記載された発明であるということはできない。 (4)小活 以上のとおり、本件発明1-6は甲1に記載された発明ではない。 2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)申立人の主張 申立人は、特許異議申立書の15頁下から10行?16頁1行において、訂正前の請求項1-6に係る特許に対して、以下の主張をしている。 「甲1発明では、プラノプロフェン水溶液に酸化防止剤であるジブチルヒドロキシトルエンを配合することによって、『プラノプロフェンの光安定化』が達成されている。ジブチルヒドロキシトルエンが『脂溶性抗酸化剤』であることは点眼剤開発分野の当業者にはよく知られたことであって(例えば甲第2号証参照)、点眼剤等の医薬品中の脂溶性物質が容器に吸着するのを防止するためにポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の硬質合成樹脂を用いることは当該技術分野の常套手段であるから(例えば甲第3号証及び甲第4号証参照)、甲1発明においてポリエチレンテレフタレート以外のポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等の硬質合成樹脂を用いて同様の効果を得るごとは当業者であれば容易に想到し得ることである。」 なお、甲第2号証-甲第4号証は次のとおりである。 甲第2号証:特開2009-173638号公報 甲第3号証:特開2002-68963号公報 甲第4号証:特開平5-261139号公報 (以下、甲第2号証-甲第4号証を、それぞれ、「甲2」-「甲4」という。) (2)本件発明1について ア 甲1に記載の発明は、上記1.(1)で記載した引用発明1である。 そして、本件発明1と引用発明1との相違点は、上記1.(2)アで記載した相違点1である。 イ 甲2-4の記載事項 (ア)甲2 「【0015】 (C)抗酸化剤 本発明の眼科用組成物には、ビタミンA類の保存安定性向上の点から、抗酸化剤を配合することが好ましい。抗酸化剤としては、d-α-トコフェロール、・・・等のビタミンE類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の脂溶性抗酸化剤、ビタミンC、ヒドロキノン、システイン等の水溶性抗酸化剤等が挙げられる。中でも、脂溶性抗酸化剤、ジブチルヒドロキシトルエンが好ましく、ビタミンE類がより好ましく、酢酸d-α-トコフェロールがさらに好ましい。」 上記甲2の記載によれば、眼科用組成物に保存安定性のために配合される抗酸化剤であるジブチルヒドロキシトルエンは、当業者に脂溶性の抗酸化剤として認識されていたことが理解できる。 (イ)甲3 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、脂溶性成分を含有する液剤、この液剤を収容するための容器、及び前記容器を用いた脂溶性成分の吸着の抑制方法に関する。 【0002】 【従来の技術】・・・ 【0003】・・・容器に収容される点眼剤などの液剤には、メントール類、カンフル類などのテルペン系化合物を官能性成分(香料成分、清涼化成分)などとして含有し、これらテルペン系化合物の有する清涼感などの官能的な特徴を製品特性としているものが多い。そして、粘膜のように刺激に対して敏感な器官に適用する製品の場合、官能性成分の配合濃度が高すぎると、灼熱感や過度な刺激を与え不快感を生じるため、配合濃度を低くする必要がある。しかし、官能性成分は脂溶性であるため、容器材料であるポリエチレン、ポリプロピレンなどの軟質合成樹脂に吸着しやすい。このため、前記液剤を軟質合成樹脂製の容器に充填すると、配合濃度がもともと低いこれらの易吸着性成分(官能性成分)がさらに容器に吸着されるため、経時的に官能性成分の濃度がさらに減少し、製品の官能的な特徴が損なわれやすい。 【0004】このような問題を回避するため、容器本体に開口部を有する既存の容器を用いる場合、容器本体をポリエチレンテレフタレートなどの官能性成分成分の吸着のない硬質合成樹脂製にすることが考えられるが、容器本体との嵌合を容易にするため、ノズルには柔軟性のあるポリエチレン等の軟質合成樹脂を用いる必要がある。 【0005】・・・なお、ノズルの材質すべてに硬質合成樹脂を用いることも考えられるものの、成形上制約されるだけでなく、仮に成形できたとしても容器本体もノズルと同様に硬質合成樹脂で作製されているため、容器本体とノズルとの嵌合だけでは密閉性が悪い。これを解決するためには、容器本体にノズルを嵌合した後、嵌合部分を融着、溶着などにより接着することが考えられるが、工程管理上問題が多く、現実性に乏しい。 ・・・ 【0007】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、香料成分、清涼化成分などの脂溶性成分の濃度減少を長期間に亘って防止できる液剤及び容器を提供することにある。 【0008】本発明の他の目的は、低濃度の脂溶性成分であっても長期間に亘って濃度を維持できる液剤及び容器を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、硬質合成樹脂で形成された密封性の容器を用いると、脂溶性成分(特に、香料成分、清涼化成分などの官能性成分)の濃度減少を抑制でき、長期間に亘って安定的に液剤を保存できることを見いだし、本発明を完成した。」 「【0055】硬質合成樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)など)、セルロースアセテート類など、好ましくは、脂溶性成分(特に、テルペン系化合物)に対して低吸着性の樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂など)が例示できる。 【0056】・・・ポリエステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル系樹脂、例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリC_(2)-_(4)アルキレンテレフタレートなど)・・・などのホモポリエステルが挙げられる。・・・。 【0057】ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノール-Aなど)をベースとする芳香族ポリカーボネートである。 ・・・ 【0060】好ましい硬質合成樹脂には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネートなどが含まれる。」 「【0064】前記密封性容器に液剤を充填すると、内面が硬質合成樹脂で形成されているため、長期間に亘って脂溶性成分の吸着を抑制できる。このため、脂溶性薬物、官能性成分などの比較的低濃度で使用される成分であっても、濃度を維持でき、例えば、官能性の喪失を防止できる。そのため、刺激に対して敏感な部分(目や鼻などの粘膜など)に作用する液剤に有利に利用できる。 【0065】 【発明の効果】本発明によれば、内面が硬質合成樹脂で形成された密封性容器に液剤を密封しているため、輸送時や保存時(特に、開封前)に液剤中の脂溶性成分の濃度が低下するのを抑制できる。」 上記甲3の記載によれば、点眼剤などの液剤に含まれる脂溶性成分は容器材料であるポリエチレン等の軟質合成樹脂に吸着しやすい問題があることが従来から知られていたことが理解できる。 甲3は、この問題を解決するために、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの、吸着がない硬質合成樹脂を容器に使用するとともに、容器本体とノズルが別部材の硬質合成樹脂材料からなる場合には嵌合だけでは密閉性が悪いことから、内面が硬質合成樹脂で形成された密封性容器に液剤を密封するようにすることで、液剤中の脂溶性成分の濃度が低下するのを抑制できるようにした技術に関するものである。 (ウ)甲4 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、医薬品の吸着を防止した分包用袋および分包剤に関する。 ・・・ 【0003】 【発明が解決しようとする課題】近年、分析技術の進歩により、医薬品の分包中のわずかな含量変化も測定できるようになり、それにともない脂溶性薬物のある種のものは、分包の包装材料に吸着して、保存中に含量が低下することが判明した。 【0004】 【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、次の手段により、課題を解決できることを見いだし本発明を完成した。即ち、本発明は、エチレンビニルアルコ-ル共重合体、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリビニルアルコ-ル、ポリアクリロニトニル、セルロ-ス、ナイロン6またはポリブチレンテレフタレ-トからなる脂溶性薬物の吸着を防止した分包用袋である。」 「【0006】本発明における脂溶性薬物とは、水に対する溶解性が小さく、油に対する溶解性が大きい薬物を意味し、特に限定されない。好ましい例としては、テプレノン、トコフェロ-ル類、トコフェリルニコチネ-ト、ユビデカレノンまたはインドメタシンファルネシル等を挙げることができる。本発明によると、袋に分包した脂溶性薬物が保存中に袋に吸着せず、含量の低下を起こすことがないが、これが即ち本発明の目的である。本発明における包装用素材は、エチレンビニルアルコ-ル共重合体、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリビニルアルコ-ル、ポリアクリロニトニル、セルロ-ス、ナイロン6またはポリブチレンテレフタレ-トを用いることができるが、特に好ましいものは、エチレンビニルアルコ-ル共重合体である。」 「【0009】 【効果】脂溶性薬物が、本発明に使用する包装材料に吸着しない理由は明らかではないが、その理由のひとつは、包装材料の表面及び内部に親水性の官能基が存在するために、脂溶性薬物との疎水的な結合をしないことにあると推察される。本発明により、分包袋に分包された顆粒等に含有される脂溶性薬物は、長期間にわたる保存によっても含量の低下を起こすことがない。」 「【0013】[実験例]・・・テプレノンを含有する細粒剤を、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリビニルアルコ-ル、ポリアクリロニトニル、セルロ-ス、ナイロン6、ポリブチレンテレフタレ-トまたはエチレンビニルアルコ-ル共重合体性担体を最内層とする多層の包装袋に充填し、経時的に、テプレノン含量を測定した。比較例として、実施例1と同様の方法によって得られたテプレノンを含有する細粒剤を、無延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリプロピレン、塩化ビニルまたはエチレン酢酸ビニル共重合体を最内層とする多層の包装袋に充填し、経時的に、細粒剤中のテプレノン含量を測定した。テプレノン含量は、細粒剤中からテプレノンを酢酸エチルで抽出し、ガスクロマトグラフィ-により測定した。結果を表1に示す。 【0014】 【表1】 」 上記記載によれば、甲4には、脂溶性薬物は、ポリプロピレン素材等のある種の分包の包装材料に吸着して保存中に含量が低下する問題があること、かかる問題が、材料表面及び内部に親水性の官能基が存在し、脂溶性薬物との疎水的な結合をしないと推察される、エチレンビニルアルコ-ル共重合体、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレ-ト等の材料からなる分包用袋とすることで解決できたことが記載されている。 ウ 引用発明1の安定化方法において対象とされているプラノプロフェン水溶液(製剤)は、甲1の【0028】に記載のとおり、点眼剤として使用されるものであるところ、甲2の記載(上記イ(ア)参照)によれば、眼科用組成物に保存安定性のために配合される抗酸化剤であるジブチルヒドロキシトルエンは、当業者に脂溶性の抗酸化剤として認識されていた。 また、甲3の記載(上記イ(イ)参照)によれば、点眼剤などの液剤に含まれる脂溶性成分が容器材料であるポリエチレン等の軟質合成樹脂に吸着しやすい問題があることは従来から知られていた。 しかしながら、引用発明1では、水溶液状態で光に対して不安定であるプラノプロフェンを含有する水溶液(製剤)を、光に対して安定化するために、水溶液に酸化防止剤であるジブチルヒドロキシトルエンを添加し、ポリエチレンテレフタレート容器に充填するという手段を採用しており、かかる構成を備えた水溶液では、甲1の【0039】の【表3】(上記1.(1)ア参照)に示されるとおり、10万ルックス・時間の照射後の水溶液中でのプラノプロフェンの残存率が、酸化防止剤なしで52.5%に対し、水溶液中のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)が0.005%濃度で98.0%、0.0002%という低濃度でも70.8%となっており、光に対して安定化されている。 また、甲1には、BHTが「脂溶性」という性質を有する抗酸化剤であること、BHTの脂溶性という性質により、BHTがポリエチレン等の軟質合成樹脂に吸着され、その結果、水溶液状態で存在するプラノプロフェンの光安定性が損なわれることは記載されていないし、ましてや、BHTが引用発明1のポリエチレンテレフタレート容器に吸着するという問題があることは全く記載されていない。 むしろ、甲3によれば、引用発明1の方法では、プラノプロフェン水溶液(製剤)が、脂溶性成分が吸着されにくい硬質合成樹脂であることが知られるポリエチレンテレフタレート容器に充填されているのであるから、当業者は、引用発明1の方法では、プラノプロフェン水溶液(製剤)が光に対して十分安定化されていると認識することはあっても、引用発明1において、プラノプロフェンを含有する水溶液(製剤)中のBHTの脂溶性という性質に着目して、BHTの吸着の観点から容器の素材を変更する動機付けがあるとはいえない。 さらに、甲1に、引用発明1の方法において、容器を甲3等に示されるポリカーボネート等の硬質合成樹脂素材からなるものに変更する動機付けがないことは、甲1の実施例1(【0044】)において、酸化防止剤としてBHTを含有する点眼剤プラノプロフェン水溶液であって、甲3の【0003】で脂溶性成分が吸着しやすい容器材料として記載された軟質合成樹脂であるポリエチレン(PE)製容器に充填する例が、好適な具体例である実施例として記載されていることからも理解できる。 エ また、甲4に関しては、上記イ(ウ)の甲4の記載事項によれば、甲4には、脂溶性薬物は、ポリプロピレン素材等のある種の分包の包装材料に吸着して保存中に含量が低下する問題があること、かかる問題が、材料表面及び内部に親水性の官能基が存在し、脂溶性薬物との疎水的な結合をしないと推察される、エチレンビニルアルコ-ル共重合体、ポリエチレンテレフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレ-ト等の材料からなる分包用袋とすることで解決できることが開示されているが、当該文献は、固形状の脂溶性薬物の分包包装材料中での保存に関する技術であって、甲1のプラノプロフェン水溶液の安定化に関する技術とは技術分野が異なるから、当業者に甲4に記載の知見を引用発明1に組み合わせる動機付けがあるとはいえない。 仮に、甲4に記載の知見を参酌した場合であっても、イで述べたとおり、引用発明1において、プラノプロフェンを含有する水溶液(製剤)中のBHTの脂溶性という性質に着目して、BHTの吸着の観点から容器の素材を変更する動機付けがあるとはいえない。 オ 以上のとおり、甲2-4を参酌しても、当業者は、引用発明1(甲1に記載された発明)において、プラノプロフェン水溶液(製剤)を充填する容器の素材を、本件発明1で特定されるポリマーからなる樹脂として、相違点1に係る本件発明1の構成を備えたものとすることを動機付けられるとはいえない。 カ 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2-4に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (3)本件発明2-6について 本件発明2-6は、いずれも、請求項1を直接または間接的に引用する請求項に係るものであって、本件発明2-6は、引用発明1(甲1に記載された発明)と、少なくとも上記相違点1で相違している。 そして、相違点1についての判断は、上記(2)のウで記載したとおりであるから、本件発明2-6ついても、(2)で記載したと同様の理由によって、甲1に記載された発明及び甲2-4に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (4)小活 以上のとおり、申立理由2には理由がない。 第6 むすび 以上のとおり、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1-6に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1-6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩の光安定化方法であって、 容器の内壁を構成する領域の少なくとも一部分が、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、及びエチレンビニルアルコール共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種のポリマーを含む樹脂によって構成されている容器に、 プラノプロフェン又はその薬学的許容される塩と、ジブチルヒドロキシトルエンとを含有する製剤を収容することを特徴とする、光安定化方法。 【請求項2】 前記容器が、前記製剤を収容する容器本体と、前記容器本体に収容された製剤を注出する注出口を有する注出部とを少なくとも備え、前記注出部が、前記製剤を液滴状で注出するノズルである、請求項1に記載の光安定化方法。 【請求項3】 前記製剤が、更に界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の光安定化方法。 【請求項4】 前記製剤が、更にキレート剤を含む、請求項1?3のいずれかに記載の光安定化方法。 【請求項5】 前記製剤が液状製剤である、請求項1?4のいずれかに記載の光安定化方法。 【請求項6】 前記製剤が点眼剤である、請求項1?5のいずれかに記載の光安定化方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-11-21 |
出願番号 | 特願2017-193921(P2017-193921) |
審決分類 |
P
1
651・
113-
YAA
(A61K)
P 1 651・ 121- YAA (A61K) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 伊藤 清子 |
特許庁審判長 |
光本 美奈子 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 前田 佳与子 |
登録日 | 2018-09-14 |
登録番号 | 特許第6401362号(P6401362) |
権利者 | 千寿製薬株式会社 |
発明の名称 | ジブチルヒドロキシトルエン含有製剤及びジブチルヒドロキシトルエンの安定化方法 |
代理人 | 田中 順也 |
代理人 | 水谷 馨也 |
代理人 | 迫田 恭子 |
代理人 | 田中 順也 |
代理人 | 迫田 恭子 |
代理人 | 水谷 馨也 |