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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23B
審判 全部申し立て 2項進歩性  A23B
管理番号 1358672
異議申立番号 異議2019-700850  
総通号数 242 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-02-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-10-24 
確定日 2020-01-24 
異議申立件数
事件の表示 特許第6508778号発明「固化剤被覆削り魚節の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6508778号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6508778号の請求項1?4に係る特許についての出願は、平成27年11月6日に出願され、平成31年4月12日にその特許権の設定登録がされ、令和1年5月8日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和1年10月24日付けで特許異議申立人 野口 夕子より特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件特許発明
特許第6508778号の請求項1?4に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
なお、以下、これらを「本件特許発明1」、「本件特許発明2」などといい、まとめて「本件特許発明」という場合もある。

「【請求項1】
(1)調理液100gに対し、固化剤を0.5?5.0gの割合で混合して加熱溶解させて溶液を得る工程と、
(2)前記工程(1)で得られた溶液100gに対して削り魚節を1.0?50.0gの割合で分散して分散液を得る工程と、
(3)前記工程(2)で得られた分散液を容器に入れて冷却し、固化体を得る工程と、
(4)前記工程(3)で得られた固化体を凍結乾燥する工程と、
を含み、
前記工程(2)に使用する削り魚節の肉厚が、平均で20?100μmの範囲である、お湯と混合させるための固化剤被覆削り魚節の製造方法。
【請求項2】
先端にスリットを備えた切削刃を回転させて魚節に接触させて削り魚節を得る工程を備え、得られた削り魚節を使用する、請求項1に記載の固化剤被覆削り魚節の製造方法。
【請求項3】
前記固化剤が、固形ゼラチンである、請求項1または2に記載の固化剤被覆削り魚節の製造方法。
【請求項4】
前記削り魚節に使用される魚節が、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじおよびあごからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする、請求項1?3のいずれかに記載の固化剤被覆削り魚節の製造方法。」

第3 特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立人 野口 夕子(以下、「申立人」という。)は、証拠方法として以下の甲第1号証?甲第5号証(以下、「甲1」などという。)を提出し、特許異議の申立ての理由として、以下の理由を主張している。

1 特許異議の申立ての理由
(1)理由1(サポート要件)
本件特許発明1?4に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、特許法第36条第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号に該当するから取り消すべきものである。

(2)理由2(進歩性)
本件特許発明1?4は、本件特許の出願前に日本国内において、頒布された甲1に記載された発明並びに甲2、4、5と電子的技術情報である甲3に記載の技術的事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから取り消すべきものである。

2 証拠方法
(1)甲1:特開2013-128419号公報
(2)甲2:特開平6-125747号公報
(3)甲3:農林水産省、「削りぶしの日本農林規格」、
昭和51年12月3日 農林省告示第1122号、
最終改正:平成25年11月12日
農林水産省告示第2770号
(4)甲4:「<決定版>料理の基本と常識」、株式会社世界文化社、
2008年3月25日、14?15頁
(5)甲5:特開2002-154091号公報

第4 甲号証に記載された事項
1 甲1には、以下の事項が記載されている。
(甲1a)「【請求項1】
調味料、セルロース、及びゲル化剤を含むゼリー状調味料。
【請求項2】
調味料を0.1?10質量%、セルロースを0.1?15質量%、及びゲル化剤を1?15質量%含む、請求項1に記載のゼリー状調味料。
【請求項3】
前記ゲル化剤がゼラチンである、請求項1又は2に記載のゼリー状調味料。」

(甲1b)「【0001】
本発明は、加工適正が高く、食肉加工食品にジューシー感(肉汁の多い食感)を付与できるゼリー状調味料及び該ゼリー状調味料を用いた食肉加工食品に関する。」

(甲1c)「【0008】
本発明のゼリー状調味料とは、セルロース、ゲル化剤、及び各種調味料(例えば、食塩、醤油、ソース、ケチャップ、マヨネーズ、酢、味噌、化学調味料、はちみつ、ブドウ糖、果糖、砂糖、異性化糖、麦芽糖、ステビア、トレハロース、オリゴ糖(例えば、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、セロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳果オリゴ糖など)を含み、食品に対して風味を与えることのできる、常圧、25℃でゼリー状である調味料のことをいう。
・・・
【0010】
本発明のゼリー状調味料は、糖アルコール(例えばソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、還元パラチノースなど)、アセルファムK、ネオテーム、スクラロース、水飴、還元水飴、コショウなどの香辛料、出汁調味料(例えば、かつお出汁、昆布出汁、チキンコンソメ、ビーフコンソメ、ポークコンソメなど)、グルタミン酸ナトリウム、タンパク分解物、エキス類(例えば、チキンエキス、ビーフエキス、ポークエキス、エビエキス、カニエキス)などが挙げられる。)を含んでいてもよい。」

(甲1d)「【0019】
本発明のゼリー状調味料は、水に、調味料、ゲル化剤、セルロース、必要に応じてその他食品素材・食品添加物をいれ、ゲル化剤が溶解する温度(例えば、ゼラチンの場合、通常は60℃以上)まで加熱・撹拌して、ゲル化剤を十分に溶解した後、冷却などの操作によりゼリー状に固めることにより得られる。本発明のゼリー状調味料は、必要に応じて香料、増粘剤、澱粉類などの1種類又は2種類以上を含んでいても構わない。
・・・
【0022】
本発明で用いるゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、カードラン、ペクチン、アルギン酸類、ジェランガム、寒天、カラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、メチルセルロースなどが挙げられる。これらを一種類もしくは複数併用しても構わない。ゲル化剤の中でも入手の容易さ、食肉類との風味の相性が良い点からゼラチンが最も好ましい。・・・
・・・
【0024】
また、ゼリー状調味料中のセルロースの含有量は0.1?15質量%が好ましい。0.1質量%以上では、本発明の効果である良好な加工適正、すなわち、ゼリーの加工適正が良好で、食肉加工品の原材料との混合の際に適度に砕けて分散すること、ゼリー状調味料添加によるジューシー感がより一層増すという効果が得られる。15質量%以下であれば、セルロースの繊維感が強く出てしまうことが起こりにくい。好ましくは1?10質量%、より好ましくは2?7質量%である。
【0025】
本発明のゼリー状調味料中のゲル化剤の含有量は、調味料がゼリー状に固まる量が必要であり、調味料の量や種類によって異なるが、通常は1?15質量%であることが好ましい。1質量%以上ではゼリー状に固まりやすく、15質量%以下では、ドロッとした重い食感になることも少ない。」

(甲1e)「【0026】
本発明のゼリー状調味料は、例えば、ドレッシングやソースのように食品に直接かけるなどの方法でも利用できるが、特に食肉加工食品の製造に好適に利用できる。」

(甲1f)「【実施例】
【0033】
・・・
(実施例1、2、比較例1、2)
■ゼリー状調味料の作製
表1に記載の配合比でゼリー状調味料を作製した。
【0034】
ガラスープの素を3質量%、粉末ゼラチンを5質量%になるように水に加えた。そこに、セルロース複合体であるセオラスDX-2(製品名、旭化成ケミカルズ(株)製、セルロース含有量36質量%)を外割で5質量%(ゼリー状調味料に対してセルロースは1.7質量%)加え、70℃に加熱して、プロペラ攪拌機で400rpm×15分撹拌してゼラチンを完全に溶かした。得られた調味料液をそのまま冷蔵庫で固めてゼリー状調味料Aを得た。
・・・
【0036】
・・・ゼリー状調味料A及びBは、特に固定しなくても滑ることなく、容易に包丁で切断できたのに対し、ゼリー状調味料C及びゼリー状調味料Dは、切る際にツルっと滑り、しっかりと固定しないと切れない状態であった。・・・すなわち、セルロースを加えたゼリー状調味料A、Bは、非常に作業性が良く、加工適正に優れたものであった。」

2 甲2には、以下の事項が記載されている。
(甲2a)「【請求項1】 次の各工程を順次結合してなることを特徴とする即席スープの製造方法。
(A)加熱された具材に1?2%のゼラチン水溶液を添加、混合する工程。
(B)ゼラチンと混和した具材を一定厚みの板状に成形する工程。
(C)成形された具材を20℃以下に冷却して固化する工程。
(D)固化した具材を一定の寸法に裁断する工程。
(E)裁断された具材をトレイ内に充填する工程。
(F)トレイ内に調味液を充填する工程。
(G)トレイ内の充填物を凍結する工程。
(H)トレイ内の充填物を凍結乾燥する工程。」

3 甲3には、以下の事項が記載されている。
(甲3a)「削りぶしの日本農林規格」における「(定義)第2条 この規格において、次の表の左欄に掲げる用語の定義は、それぞれ同表の右欄に掲げるとおりとする。」の表中の用語「薄削り」の項には、定義として「削りぶしのうち厚さ0.2mm以下の片状に削ったものをいう。」と記載されている。

4 甲4には、以下の事項が記載されている。
(甲4a)「昆布とかつお節で「だし」をとる(約4カップ分)
1 昆布(5cm角2枚)の表面を軽くふいて、うまみがよく出るようにはさみで切り込みを入れる。
2 昆布と水(5カップ)を鍋に入れて昆布がふっくらしてくるまで30分つけておく。
3 鍋を弱火にかけて、鍋の縁から細かい泡が出はじめたら、昆布を取り出す。
4 強火にして沸騰したらかつお節(15?20g)を入れて沈め、すぐに火を止める。
5 しばらくおいて、かつお節が鍋の底に完全に沈んだら、ぬらしたペーパータオルを敷いたざるにあけて、こす。」(15頁の図解)

5 甲5には、以下の事項が記載されている。
(甲5a)「【請求項1】ドラム状の回転体に取り付けられて、回転体の回転により、魚節類等の固形食物に接触して固形食物を切削する刃物において、刃物(3)が回転体(1)の軸方向に細長であり、刃先(10)にその長手方向に所定間隔でニック(24)を入れて刃先(10)を断続したことを特徴とする魚節類等の固形食物切削用刃物。」

(甲5b)「【0035】刃物3は回転体1の軸方向の長さと同じ長さ(85mm)で幅が16mm、厚さ5mm程度の細長い板状のものであり、図12に示すようにその刃先10に長手方向に所定間隔で且つ回転方向と平行に幅の細い溝、切込み等の仕切り(ニック)24を入れて刃先(切れ刃)10を所望幅に断続してなる。」

(甲5c)「



第5 当審の判断
1 理由1(サポート要件)について
(1)判断の前提
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。

(2)特許請求の範囲の記載
特許請求の範囲の記載は、前記第2のとおりである。
すなわち、請求項1には、「(1)調理液100gに対し、固化剤を0.5?5.0gの割合で混合して加熱溶解させて溶液を得る工程」、「(2)前記工程(1)で得られた溶液100gに対して削り魚節を1.0?50.0gの割合で分散して分散液を得る工程」、「(3)前記工程(2)で得られた分散液を容器に入れて冷却し、固化体を得る工程」及び「(4)前記工程(3)で得られた固化体を凍結乾燥する工程」を含むこと、「前記工程(2)に使用する削り魚節の肉厚が、平均で20?100μmの範囲」であり「お湯と混合させるため」のものであることを特定した「固化剤被覆削り魚節の製造方法」の発明が記載されている。
また、請求項2には、請求項1の製造方法において、「先端にスリットを備えた切削刃を回転させて魚節に接触させて削り魚節を得る工程を備え、得られた削り魚節を使用する」ことを特定した発明が記載されている。
さらに、請求項3には、請求項1又は2の製造方法において、「前記固化剤が、固形ゼラチンである」ことを特定した発明が記載されている。
そして、請求項4には、請求項1?3の製造方法において、「前記削り魚節に使用される魚節が、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじおよびあごからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする」ことを特定した発明が、それぞれ記載されている。

(3)本件特許明細書の記載
ア 背景技術に関する記載
「【0002】
従来から料理のだしに使用する食材として削り魚節が使用されている。
しかし削り魚節は魚節を薄く削って製造されることから魚節そのものよりも表面積が大きくなり空気の影響を受けやすくなる。
この結果、削り魚節は製造直後から空気中に含まれる酸素との接触により酸化が進み、風味の劣化が始まる。
削り魚節の風味の劣化が料理の質に影響を及ぼさないようにするためには何らかの工夫された方法が必要となる。・・・
【0003】
一方、味噌汁やスープの具材を増粘剤で固化する先行技術が知られている。
この先行技術によれば、味噌汁又はスープの具材を加熱処理した後に混合して、具材100重量部に対して20?100部の増粘剤を含む水溶液を混合してから容器に充填し、凍結乾燥により水分を除去して即席汁食品が得られることが開示されている(特許文献1)。
この先行技術1には、ゼラチンを使用することについての言及がある(特許文献1の段落[0011])。つまり前記先行技術1には前記即席汁食品に含まれる具材をゼラチンにより被覆する技術について開示されている。
【0004】
しかし前記先行技術1の場合、前記即席汁食品の製造工程においてかつお節は使用されているものの、固形の即席汁食品を製造する前に前記かつお節は除去されている(特許文献1、段落[0007])。
だしを取った後のかつお節は、既にその内部に旨み成分が残っていない上に食感も悪い。このためだしを取った後のかつお節を食べても美味しくないから、だしを取った後のかつお節は除去される。
【0005】
次に異なる先行技術として、加熱された具材に1?2%のゼラチン水溶液を添加・混合する工程と、ゼラチンと混和した具材を一定厚みの板状に成形する工程と、固化した具材を裁断する工程とを含むり即席スープの製造方法についての開示がある。この製造方法の場合、裁断された後の固化した具材に調味液を添加してから全体を凍結乾燥することにより即席スープが得られることが開示されている(特許文献2)。
しかしこの製造方法の場合には、一度具材のみをゼラチンで固めてから、再度調味液と一緒に凍結乾燥を行う必要があり、製造に時間が掛かる問題がある。」

イ 課題及び効果に関する記載
「【0007】
本発明の目的は、魚削り節の風味の減少が少なく、かつ簡便に食用に供するための固化剤被覆削り魚節を製造する方法を提供することにある。
【0008】
本発明者らが上記問題を解決するため鋭意検討した結果、調理液と固化剤とを加熱溶解させて溶液を得る工程と、前記溶液に削り節を分散させて分散液を得る工程と、前記分散液を固化させて固化体を得る工程と、前記固化体を凍結乾燥する工程を含む固化剤被覆削り魚節の製造方法が本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。
・・・
【0014】
本発明の製造方法によれば食用に供するための固化剤被覆削り魚節が簡便に得られる。
本発明の場合、削り魚節が直接空気に触れることが防止されているため、削り魚節の風味の減少が少ない。
これまでお吸い物、味噌汁、スープ等の汁物料理に使用されてきた削り魚節はだしを取った後に除去されてきたが、本発明の製造方法により得られる固化剤被覆削り魚節はお湯と混合することにより簡単に汁物料理や料理のだしに変換することができるため、食用の削り魚節の用途を広げることができる。
また本発明の製造方法によれば、削り魚節に旨み成分が残っているため、得られた固化剤被覆削り魚節をお湯に分散した食材をおいしく食べることができる。
また、削り魚節の肉厚が平均で20?100μmの範囲である場合、得られた固化剤被覆削り魚節にお湯を注ぐと、容易に削り魚節がお湯の中に分散する。
さらに削り魚節の肉厚が平均で20?100μmの範囲である場合、前記削り魚節内部に旨み成分が残存しやすく食感もよいため、得られた固化剤被覆削り魚節をお湯に分散した食材をさらにおいしく食べることができる。」

ウ 固化剤被覆削り魚節の製造方法に関する一般記載
「【0018】
以下に本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法を実施する際に、既に製造されている魚節を入手して使用してもよいし、魚節を製造する工程により得られる魚節を使用してもよい。
・・・
【0019】
本発明に使用する魚節の原料魚としては、例えば、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじおよびあご等からなる群から選ばれる少なくとも一つを挙げることができる。前記原料魚はかつおであれば好ましい。
・・・
【0026】
本発明に使用する魚削り節は市販のものを適宜選択して使用することができる。
前記魚削り節は、削り魚節の肉厚が平均で20?100μmの範囲であれば好ましく、平均で20?50μmの範囲であればさらに好ましい。
また本発明に使用する魚削り節は、平均で20?30μmの範囲であれば最も好ましい。
さらに本発明に使用する魚削り節は、肉厚が10μm未満のものを含まないことが好ましい。
【0027】
また前記魚削り節は、魚節の繊維方向に対して魚節を略垂直に切削されたものを使用することがさらに好ましい。
・・・
【0029】
前記切削工程は、スリットを付けた回転する切削刃と魚節を接触させる等の工程により実施することができる。円盤状刃の回転速度、円盤状刃の大きさは使用する魚節の種類、大きさ等により適宜設定することができる。
【0030】
図1は、削り魚節を製造する際に使用する切削刃100の模式正面図である。・・・
・・・
【0033】
図2は、削り魚節を製造する際に使用する切削刃100の模式側面図である。
・・・
【0034】
図3は、削り魚節を製造する際に使用する回転切削装置200の模式部分斜視図である。
・・・
【0035】
図4は、前記切削刃100が前記回転盤120の刃口170に設置された状態を説明するための模式部分断面図である。
・・・
【0036】
図5は、削り魚節を製造する際に使用する回転切削装置200の模式部分斜視図である。
・・・
【0038】
本発明においては、上記の工程により得られた削り魚節を使用することが好ましい。
・・・
【0041】
次に本発明に使用する調理液について説明する。
本発明に使用する調理液としては、例えば、水、液体調味料、だし等を挙げることができる。
【0042】
前記液体調味料としては、例えば醤油、みりん、ソース、酢等の常温で液体のもの、食塩、砂糖、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸、醤油、みりん、ソース、酢等を水に溶解させた水溶液等を挙げることができる。
【0043】
前記だしは、食用に供されるだしであれば特に限定はない。これらのだしは市販品を自由に選択して使用することができる。
・・・
【0049】
次に本発明に使用する固化剤について説明する。
前記固化剤は、食べることができ、加熱した後に冷却する操作により溶液を固化することのできるものであれば特に限定はない。
前記固化剤としては、例えば、寒天、ゼラチン等を挙げることができる。
本発明に使用する固化剤は、常温で固体のものが好ましく、破砕状、板状、フレーク状、粉状等のものを使用することができる。
・・・
【0050】
前記固化剤は、調理液100gに対して0.5?5.0gの割合で使用する。
前記固化剤と調理液とを混合した状態で加熱した後、冷却することにより、前記調理液を固化させることができる。
【0051】
前記溶液100gに対して使用する削り魚節の量は、1.0?50.0gの範囲である。
前記範囲は、10.0?30.0gの範囲であれば好ましい。」

エ 実施例の記載
「【実施例1】
【0053】
本実施例においては削り魚節として削りかつお節を使用した。
前記削りかつお節は平均の厚みが25μmのものを使用した。
削りかつお節および昆布を煮出した後に前記かつお節および昆布を除去して有色透明の濃縮素だしを得た。
この濃縮素だし100gにゼラチン粉体1.6gを加えて加熱溶解して、溶液を得た。
次に固化前の前記濃縮素だし15gに新たに削りかつお節3.0gを分散させて分散液を得た。
前記分散液を製氷皿に入れて冷却して固化体を得た。
次に凍結乾燥を実施した。
凍結乾燥は、0.01?10Torrの範囲の真空度、棚温度-196℃?70℃の範囲、4時間?24時間の範囲で実施することができる。
前記凍結乾燥は、前記固化体を金属板等で挟んで実施してもよいし、前記固化体にを金属板等で押して圧力を加えながら実施してもよい。
【0054】
実施例1においては凍結乾燥の際に固化体が穏やかに発泡し、固化体が飛び散ることはなかった。
上記工程により、固化剤被覆削り魚節を製造することができる。
【0055】
本発明の製造方法により得られる固化剤被覆削り魚節の形状は、直方体状のいわゆるキューブ状であることが好ましい。
前記キューブ状の固化剤被覆削り魚節の大きさは、縦10?30mm、横10?40mm、高さ10?15mmの範囲であればより好ましい。
【0056】
前記固化剤被覆削り魚節にお湯を注ぐことにより、前記削りかつお節はお湯の中に均一に分散する。そして濃縮素だしの香り豊かな削りかつお節入り食材を食べることができる。
前記削りかつお節には十分に旨み成分が残っているため美味しく食べることができる。また厚みが平均で25μmのものは従来の厚みが平均10μm以下のものよりも食感がよく、美味しく食べることができる。
さらに本発明の製造方法により得られる固化剤被覆削り魚節は、内部の削り魚節が固化剤により被覆されているため直接外部の空気と接触することがなく、内部の削り魚節の風味が経時的に減少することを遅延することができる。このため前記固化剤被覆削り魚節は、長期の保存食としても適している。」

(4)本件特許発明の解決しようとする課題
本件特許明細書全体の記載、特に、上記(3)イ【0007】の記載からみて、本件特許発明1?4の解決しようとする課題は、「魚削り節の風味の減少が少なく、かつ簡便に食用に供するための固化剤被覆削り魚節を製造する方法」を提供することにあると認められる。

(5)判断
上記(3)アのとおり、料理のだしに使用する食材である削り魚節は、魚節を薄く削って製造されるため、製造直後から酸化が進み風味の劣化が始まることが知られていたこと、一方で、味噌汁などの具材をゼラチンなどの増粘剤で固化した後、凍結乾燥して得られる即席汁食品はあるが、使用されたかつお節は具材から除去されてしまうことや、製造に時間が掛かる問題があったことが知られていたものである。
それに対し、上記(3)イに、調理液と固化剤とを加熱溶解させて溶液を得る工程と、前記溶液に削り節を分散させて分散液を得る工程と、前記分散液を固化させて固化体を得る工程と、前記固化体を凍結乾燥する工程を含む固化剤被覆削り魚節の製造方法、すなわち、本件特許発明1?4で特定される(1)?(4)の工程を含む固化剤被覆削り魚節の製造方法を採用することで、本件特許発明1?4の課題が解決できることが説明されており、上記(3)ウに、固化剤被覆削り魚節の製造方法に用いる調理液、固化剤、削り魚節の種類や量についての一般的な説明がされ、上記(3)エに、具体的な製造方法が記載されている。
そして、上記(3)イ及びエから、本件特許発明1?4の固化剤被覆削り魚節の製造方法を採用することで、固化剤被覆削り魚節を簡便に得ることができるとともに、内部の削り魚節が固化剤により被覆されているため直接外部の空気と接触することがなく、内部の削り魚節の風味が経時的に減少することを遅延することができるものであることも説明されている。
上記の本件特許明細書の記載から、当業者であれば、本件特許発明1の上記(4)の課題を解決できると認識できるといえる。

そして、上記(3)ウには、固化剤被覆削り魚節の製造方法に使用する削り魚節を、先端にスリットを備えた切削刃を用いて得る工程について、図面を伴い記載されており、上記(3)ウ及びエには、固化剤としてゼラチン粉末(固形ゼラチン)が、削り魚節に使用される魚節としてかつおが例示されるとともに具体的に記載されている。
したがって、上記の本件特許明細書の記載から、当業者であれば、本件特許発明2?4の上記(4)の課題を解決できると認識できるといえる。

(6)申立人の主張について
申立人は、特許異議申立書7?8頁において、概略、本件特許発明1?4は、請求項に数値限定がされている発明であるのに、実施例は一点のみで、比較例もないため、数値限定の範囲とすることによって格別顕著な効果が得られるか否かが不明であると主張する。
しかしながら、本件特許発明1?4がサポート要件を満たすことは、上記(1)の前提に基づいて、上記(5)で判断したとおりである。
そして、上記(3)イ?エに、調理液に対する固化剤の割合、溶液に対する削り魚節の範囲及び好ましい範囲、使用する削り魚節の肉厚についても記載されている。
よって、申立人の主張は採用することができない。

(7)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1?4は、本件特許明細書の発明の詳細な説明において、本件特許発明1?4の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲内のものであるから、本件特許発明1?4が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満足しないとはいえない。

2 理由2(進歩性)について
(1)甲1に記載された発明
甲1は、調味料、セルロース、及びゲル化剤を含むゼリー状調味料に関する技術を開示するものであるところ(前記(甲1a))、該ゼリー状調味料に対応するものの製造方法について説明した記載(前記(甲1d))からみて、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。

甲1発明:
「水に、調味料、ゲル化剤、セルロース、必要に応じてその他食品素材・食品添加物をいれ、ゲル化剤が溶解する温度(例えば、ゼラチンの場合、通常は60℃以上)まで加熱・撹拌して、ゲル化剤を十分に溶解した後、冷却などの操作によりゼリー状に固めることによる、ゼリー状調味料の製造方法であって、ゼリー状調味料中のセルロースの含有量が0.1?15質量%であり、ゲル化剤の含有量が1?15質量%であるゼリー状調味料の製造方法。」

(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
本件特許発明1の「調理液」について、本件特許明細書【0042】に、醤油、みりん、ソースなどの液体調味料が例示されており、一方、甲1発明の「調味料」について、前記(甲1c)に、醤油、ソースなどが例示されている。したがって、甲1発明の「調味料」は、本件特許発明1の「調理液」に該当する。
本件特許発明1の「固化剤」について、本件特許明細書【0049】に、寒天、ゼラチンが例示されており、一方、甲1発明の「ゲル化剤」について、前記(甲1d)に、ゼラチン、寒天などが例示されている。したがって、甲1発明の「ゲル化剤」は、本件特許発明1の「固化剤」に該当する。
甲1発明の「食品素材・食品添加物」は、本件特許発明1の「削り魚節」とは、「食品材料」であるかぎりにおいて共通する。
甲1発明の「ゼリー状調味料の製造方法」は、本件特許発明1の「お湯と混合させるための固化剤被覆削り魚節の製造方法」と、「食品の製造方法」であるかぎりにおいて共通する。
そして、甲1発明の製造方法の工程と、本件特許発明1の製造方法の工程とは、材料を加熱して溶解させる工程と、冷却して固める工程とを含む点で共通する。
以上のことから、両発明は、以下の一致点及び相違点を有する。

一致点:
「調理液、固化剤、食品材料を、加熱して溶解させる工程と、冷却して固める工程とを含む、食品の製造方法。」である点。

相違点1:
「食品材料」について、本件特許発明1は、「削り魚節」であって、その「肉厚が、平均で20?100μmの範囲である」と特定しているのに対し、甲1発明は、「食品素材・食品添加物」である点。

相違点2:
「食品の製造方法」の工程について、本件特許発明1は、「(1)調理液100gに対し、固化剤を0.5?5.0gの割合で混合して加熱溶解させて溶液を得る工程と、(2)前記工程(1)で得られた溶液100gに対して削り魚節を1.0?50.0gの割合で分散して分散液を得る工程と、(3)前記工程(2)で得られた分散液を容器に入れて冷却し、固化体を得る工程と、(4)前記工程(3)で得られた固化体を凍結乾燥する工程」とを含むと特定しているのに対し、甲1発明は、「水に、調味料、ゲル化剤、セルロース、必要に応じてその他食品素材・食品添加物をいれ、ゲル化剤が溶解する温度(例えば、ゼラチンの場合、通常は60℃以上)まで加熱・撹拌して、ゲル化剤を十分に溶解した後、冷却などの操作によりゼリー状に固める」ことである点。

相違点3:
「食品の製造方法」について、本件特許発明1は、「お湯と混合させるための固化剤被覆削り魚節の製造方法」と特定しているのに対し、甲1発明は、「ゼリー状調味料の製造方法」である点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
甲1には、甲1発明のゼリー状調味料について、「加工適正が高く、食肉加工食品にジューシー感(肉汁の多い食感)を付与できる」ものであること(前記(甲1b))、「ドレッシングやソースのように食品に直接かけるなどの方法でも利用できるが、特に食肉加工食品の製造に好適に利用できる」こと(前記(甲1e))が記載されている。
ここで、甲1には、甲1発明のゼリー状調味料は、出汁調味料(例えば、かつお出汁、昆布出汁、チキンコンソメ、ビーフコンソメ、ポークコンソメなど)を含んでいてもよいことが記載されているが(前記(甲1c))、ここでいう「かつお出汁」は、コンソメなどと併記されていることからみて、一般的な、かつお節を除去して得られる出汁といえる(前記(甲4a)も参照)。
そしてこれ以外に、甲1発明のゼリー状調味料の具体的な用途について記載されたところはなく、食品素材・食品添加物について例示されたところもない。
そうすると、特に食肉加工食品の製造に用いて、食肉加工食品にジューシー感(肉汁の多い食感)を付与することを目的とする甲1発明のゼリー状調味料について、必要に応じていれてよいとされる食品素材・食品添加物について、削り魚節を採用する動機付けはなく、ましてや特定の肉厚の削り魚節を採用する理由もない。
甲3の前記(甲3a)には、削り魚節の厚さについて、0.2mm(200μm)以下の片状に削ったものが記載されており、甲4の前記(甲4a)に、かつお節で出汁を取る場合、水5カップ(1000ml)に対して、かつお節15?20gを用いることが記載されているが、これらを考慮しても、甲1発明のゼリー状調味料に、平均で20?100μmの肉厚の削り魚節を採用する動機付けはない。
また、甲2及び甲5に記載された技術的事項を検討しても、甲1発明において、特定の肉厚の削り魚節を採用することが動機付けられるところはない。
よって、相違点1は、当業者が容易になし得たものではない。

(イ)相違点2について
甲1には、ゼリー状調味料の製造については、前記(甲1d)の【0019】に一般的な記載がされ、前記(甲1f)の実施例では、ガラスープの素と粉末ゼラチンとを水に加え、そこにセルロース複合体を加え、70℃に加熱して、撹拌しゼラチンを完全に溶かし、得られた調味料液をそのまま冷蔵庫で固めてゼリー状調味料を得たことが記載されている。
甲1は、前記(甲1b)のとおり、加工適性が高いゼリー状調味料を得ることを目的とし、前記(甲1f)の実施例には、冷蔵庫で固めて得られたゼリー状調味料は、特に固定しなくても滑ることなく、容易に包丁で切断できる、加工適性に優れたものであったことが記載されている。甲1における加工適性とは、前記(甲1d)にあるように、例えば食肉加工品の原材料との混合の際に適度に砕けて分散するようなものを意味しているといえる。
そうすると、甲1発明のゼリー状調味料の製造方法は、ゲル化剤を溶かして得られた溶液を冷却してゼリー状に固めるという方法であり、その方法であることで、目的とする加工適性に優れた調味料が得られているのであるから、その後更に、得られたゼリー状調味料を凍結乾燥する工程を行う動機付けはない。
加えて、甲1発明について、必要に応じていれられる食品素材・食品添加物について、ゲル化剤を溶かして溶液を得た後で、食品素材・食品添加物を分散して分散液とするという特定の順序の工程にすることが動機付けられるところもない。

甲1発明は、ゼリー状調味料中のゲル化剤の含有量が1?15質量%であることから、調味料液100gに対してゲル化剤を1?15gの割合で混合するものであることが理解できる。また、甲4の前記(甲4a)の記載から、かつお節で出汁をとる場合は、水1000mlに対しかつお節15?20g、すなわち、水100gに対しかつお節1.5?2gを用いることが一般的であることが理解できる。
しかしながら、これらを考慮しても、最終工程の凍結乾燥工程を有している点や、分散液を特定の順序で得ている点は、上述のとおり動機付けられないのであるから、上記判断に影響はない。

また、甲2の前記(甲2a)に、加熱された具材をゼラチンと混合し、冷却して固化して、さらに凍結乾燥する工程を有する即席スープの製造方法が記載されているが、甲2の製造方法は、(A)?(H)で特定される一連の工程からなる製造方法であるから、最後の工程である凍結乾燥工程のみを取り出して、甲1発明に適用する理由もないし、甲3及び甲5に記載された技術的事項を考慮しても、甲1発明において、さらに得られたゼリー状調味料を凍結乾燥する工程を行うことが動機付けられるところはない。

よって、相違点2は、当業者が容易になし得たものではない。

(ウ)相違点3について
上記(ア)、(イ)で検討したとおり、甲1発明のゼリー状調味料は、加工適性が高く、食肉加工品にジューシー感を付与するためのものであって、他の用途としてもドレッシングやソースのように食品に直接かける方法で利用できることが示されているに留まる。
したがって、甲1発明のゼリー状調味料をお湯と混合させるためのものとする動機付けはない。
そして、甲2?甲5に記載された技術的事項を考慮しても上記判断に影響はない。
よって、相違点3は、当業者が容易になし得たものではない。

(エ)本件特許発明の効果について
本件特許発明1は、(1)?(4)で特定される工程を含み、削り魚節の肉厚が、平均で20?200μmの範囲である、固化剤被覆削り魚節の製造方法であることで、食用に供するための固化剤被覆削り魚節が簡便に得られ、削り魚節の風味の減少が少ないなど、本件特許明細書【0014】に記載の効果を奏するものである。
したがって、本件特許発明1の効果は、製造方法も、具体的に示される用途も、異なる甲1発明からは予測もできない顕著なものであるといえる。

ウ まとめ
以上のとおりであるから、本件特許発明1は、甲1発明及び甲2?甲5に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(3)本件特許発明2について
本件特許発明2は、本件特許発明1を引用して、「先端にスリットを備えた切削刃を回転させて魚節に接触させて削り魚節を得る工程を備え、得られた削り魚節を使用する」ことを更に特定するものである。
甲5には、魚節類等の固形食物切削用刃物が記載されている(前記(甲5a)?(甲5c))ものの、甲5に記載された技術的事項を考慮しても、上記(2)で検討した本件特許発明1についての判断に影響はない。
よって、本件特許発明1のすべての発明特定事項を含む本件特許発明2についても、上記(2)で検討したのと同様の理由により、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(4)本件特許発明3について
本件特許発明3は、本件特許発明1又は2を引用して、「前記固化剤が、固形ゼラチンである」ことを更に特定するものである。
甲1発明は、ゲル化剤についてゼラチンを例示するから、この点に関しては、本件特許発明3との間に新たに相違するところはない。
しかしながら、この点を考慮しても、上記(2)で検討した本件特許発明1についての判断に影響はない。
よって、本件特許発明1のすべての発明特定事項を含む本件特許発明3についても、上記(2)で検討したのと同様の理由により、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(5)本件特許発明4について
本件特許発明4は、本件特許発明1?3を引用して、「前記削り魚節に使用される魚節が、かつお、さば、まぐろ、いわし、あじおよびあごからなる群から選ばれる少なくとも一つを原料とする」ことを更に特定するものである。
削り魚節に使用される魚節がかつおなどであることは、甲3、甲4にも記載されているように、技術常識であるといえる。
しかしながら、この点を考慮しても、上記(2)で検討した本件特許発明1についての判断に影響はない。
よって、本件特許発明1のすべての発明特定事項を含む本件特許発明4についても、上記(2)で検討したのと同様の理由により、当業者が容易に発明できたものとはいえない。

(6)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1?4は、甲1に記載された発明並びに甲2?甲5に記載の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、本件特許発明1?4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号により取り消すべきものではない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?4係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1?4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2020-01-15 
出願番号 特願2015-218949(P2015-218949)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (A23B)
P 1 651・ 121- Y (A23B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福澤 洋光  
特許庁審判長 瀬良 聡機
特許庁審判官 関 美祝
冨永 みどり
登録日 2019-04-12 
登録番号 特許第6508778号(P6508778)
権利者 マルトモ株式会社
発明の名称 固化剤被覆削り魚節の製造方法  
代理人 平野 泰弘  
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