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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01D
管理番号 1358995
審判番号 不服2018-14561  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-02 
確定日 2020-01-14 
事件の表示 特願2014-33「タービンロータブレードに対する内部構成」拒絶査定不服審判事件〔平成26年7月24日出願公開、特開2014-134201〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)1月6日(パリ条約による優先権主張2013年1月9日、米国)の出願であって、平成28年12月22日に手続補正書が提出され、平成29年10月5日付け(発送日:同年10月17日)で拒絶理由が通知され、平成30年1月29日に意見書、誤訳訂正書及び手続補正書が提出されたが、同年6月29日付け(発送日:同年7月3日)で拒絶査定がされ、これに対して同年11月2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年11月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成30年11月2日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前(平成30年1月29日の手続補正書)の請求項1に、
「【請求項1】
燃焼タービンエンジンのブレードの翼形部内に形成された内部冷却構成であって、
並列に構成されたセグメントを備える第1の流路及び第2の流路と、
第1の流路と第2の流路との間に延在し、第1の流路を第2の流路と流体連通する複数の横方向の横断通路であって、千鳥配置されている横断通路と
を備え、横断通路は、並列に構成されたセグメント内において長手方向に離間配置され、
横断通路の各々が、第1の流路にポートにおいて接続し、第1の流路の内壁上で長手方向に延在する線状の基準軸の周りに第1の流路のポートが千鳥配置されるように横断通路が千鳥配置されている、内部冷却構成。」
とあったものを、
「【請求項1】
燃焼タービンエンジンのブレードの翼形部内に形成された内部冷却構成であって、
並列に構成されたセグメントを備える第1の流路及び第2の流路と、
第1の流路と第2の流路との間に延在し、第1の流路を第2の流路と流体連通する複数の横方向の横断通路であって、非直線状に配置されている横断通路と、
を備え、
横断通路は、並列に構成されたセグメント内において長手方向に離間配置され、
横断通路の各々が、第1の流路にポートにおいて接続し、第1の流路の内壁上で長手方向に延在する線状の基準軸の周りに第1の流路のポートが非直線状に配置されるように横断通路が非直線状に配置され、
横断通路が長円形状の断面形状を有していて、
長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される、
内部冷却構成。」
と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために請求人が付した。)。
上記補正は、補正前の請求項1に記載の「千鳥配置」(3箇所)を「非直線状に配置」とする補正(以下「補正事項1」という。)及び補正前の請求項1に「横断通路が長円形状の断面形状を有していて、長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される、」という発明特定事項を付加する補正(以下「補正事項2」という。)からなる。
補正事項1は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められ、発明特定事項を実質的に変更するものではない。
補正事項2は、「横断通路」について「横断通路が長円形状の断面形状を有していて、長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される」との限定を付すものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 引用文献、引用発明
原査定の拒絶の理由で引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2012-154232号公報(以下「引用文献」という。)には、「ガスタービン翼」に関して、図面(特に、図10ないし12を参照。)とともに、次の事項が記載されている(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

ア 「【0001】
本発明はガスタービンに使用されるガスタービン翼に係わり、特に翼の内部に冷却流体を流通させる冷却媒体流路を有するガスタービン翼に関する。」

イ 「【0041】
本発明の第3実施例について、図10から図12を用いて説明する。
【0042】
図10はガスタービン翼1cをガスタービン回転軸に垂直な半径方向線と平行に矢視を取って見た時の断面図である。図11はガスタービン翼1cをガスタービン回転周方向線と平行に矢視を取って見た時の断面図である。図10の断面図は図11中の線B-Bをガスタービン回転軸で回転してできる回転面で切断した時の切り口である。また、図11の断面図は図10中の線A-Aを半径方向に移動してできる面で切断した時の切り口である。図12は図10中の冷却媒体流路4の壁面14を矢視Cから見た図である。なお、図1から図3に示す符号と同一の符号を持つ要素は同様の機能を有するものとする。
【0043】
冷却媒体流路5の、ガスタービン主流方向上流側には冷却媒体流路4が形成されている。この冷却媒体流路4は、複数個の噴出孔9cを介して冷却媒体流路5と接続している。この噴出孔9cは冷却媒体流路4と冷却媒体流路5の隔壁表面に対してほぼ垂直に開けられているが、図12に示すように冷却媒体流路4の壁面14上に存在する噴出孔9cの出口開口部の内、半径方向一部が千鳥配列になっている。また、冷却媒体流路5の壁面15上に存在する噴出孔9cの入口開口部の内、半径方向一部が千鳥配列になっている。一般に、隔壁には大きい熱応力が発生することが知られている。具体的には、図10においては各冷却媒体流路の隔壁の中央付近に、図12においては横方向における中央付近に特に大きな熱応力が発生する。これは翼表面に近い壁面の温度が高く熱膨張率が大きいのに対し、隔壁は冷却媒体に接しており熱膨張率が小さいためである。本実施例では一部、具体的には特に応力集中の発生しやすい端部において、隔壁中央部の熱応力の高い部分を外して穿孔してある。そのため、孔周りに発生する応力集中を避けているため信頼性が高い。
【0044】
また、本実施例では更に冷却媒体流路6の隔壁に半径方向の一部に、噴出口10cが設けられている。噴出孔9cと同じく対向する壁面をインピンジメント冷却するために設けたものであるが、その他に冷却媒体を所定の流量だけショートカットさせ、半径方向に所望する冷却条件を作り出す機能も持たせている。
【0045】
なお、連結孔10cで示したように、穿孔する孔の向きは任意である。例えば噴出孔9cを翼外側に向け、噴出孔7が形成された部分よりも下流側側壁を冷却することも可能である。すなわち、より細かく局所的に冷却条件を調整することが可能であり、冷却性能或いは信頼性の向上を図ることができる。
【0046】
本実施例の噴出孔を適用すれば、第1実施例と同様の効果を得ることができる。冷却効率向上に伴いガスタービン熱効率の向上を図ることができる。また、被インピンジメント冷却面を均一的に冷却することができるために、熱応力を緩和することができガスタービンの信頼性を向上させることができる。また、中子の剛性を強くすることができ、ガスタービン翼の歩留まりを向上させることができ、コストを低減することができる。」

ウ 「【0050】
孔形状に関し、第1から第3実施例では円孔或いは楕円孔であるとしたが、必ずしもその必要はなく、任意の形状でよい。本実施例ではスリット状の孔の端面を、集中応力緩和のため中央部のスリット幅よりも大きな曲率で開けた鉄アレイを半分にしたような形状であることを特徴としている。翼の長さ方向で2列に噴出孔が配置され、内側に鉄アレイの凹部を配置した形状とすることで、翼の幅方向の力に対して強い構造となっている。この実施例においても、図15に示すように冷却媒体流路4の壁面14上の噴出孔9dの出口開口部が千鳥配列になっている。また、冷却媒体流路5の壁面15上の噴出孔9dの入口開口部が千鳥配列になっている。」

エ 上記アから、引用文献には、内部冷却構成に係る発明が記載されているといえる。

オ 図11の図示内容から、冷却媒体流路4及び冷却媒体流路5は、並列に構成されたセグメントを備えるといえる。

カ 図11及び12の図示内容から、噴出孔9cは、並列に構成されたセグメント内において長手方向に離間配置されているといえる。

キ 上記ウから、噴出孔9cは楕円形状の断面形状を有しているといえる。

上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容から、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)及び事項(以下「引用文献記載事項」という。)が記載されている。

〔引用発明〕
「ガスタービン翼1cの内部に形成された内部冷却構成であって、
並列に構成されたセグメントを備える冷却媒体流路4及び冷却媒体流路5と、
冷却媒体流路4と冷却媒体流路5との間に延在し、冷却媒体流路4を冷却媒体流路5と接続する複数の噴出孔9cであって、その内の半径方向一部が千鳥配列されている噴出孔9cと、
を備え、
噴出孔9cは、並列に構成されたセグメント内において長手方向に離間配置され、
噴出孔9c各々が、冷却媒体流路4に出口開口部において接続し、冷却媒体流路4の壁面14上で冷却媒体流路4の出口開口部の内、半径方向一部が千鳥配列されるように噴出孔9cがその内の半径方向一部が千鳥配列され、
噴出孔9cが楕円形状の断面形状を有している、
内部冷却構成。」

〔引用文献記載事項〕
「冷却媒体流路4と冷却媒体流路5との間に延在し、冷却媒体流路4を冷却媒体流路5と接続する複数の噴出孔9cの穿孔する向きは任意に設定できること。」

3 対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「ガスタービン翼1cの内部」は、その機能、構成又は技術的意義から本件補正発明における「燃焼タービンエンジンのブレードの翼形部内」に相当し、以下同様に、「冷却媒体流路4」は「第1の流路」に、「冷却媒体流路5」は「第2の流路」に、「接続する」は「流体連通する」に、「噴出孔9c」は「横方向の横断通路」又は「横断通路」に、「その内の半径方向一部が千鳥配列」は「非直線状に配置」に、「出口開口部」は「ポート」に、「壁面14」は「内壁」に、「楕円」は「長円」に、それぞれ相当する。
本件補正発明の「長手方向に延在する線状の基準軸の周りに第1の流路のポートが非直線状に配置されるように」について、本願の明細書(平成30年1月29日の誤訳訂正書。以下「誤訳訂正書」という。)の段落【0038】に「基準軸は、ポート49をその周りに千鳥配置することが非直線的な配列になる限り、任意に規定してもよい。」との記載がある。すなわち、基準軸は任意に規定できるものであるから、引用発明における「冷却媒体流路4の出口開口部の内、半径方向一部が千鳥配列されるように」は、本件補正発明の「長手方向に延在する線状の基準軸の周りに第1の流路のポートが非直線状に配置されるように」に相当するといえる。

よって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
「燃焼タービンエンジンのブレードの翼形部内に形成された内部冷却構成であって、
並列に構成されたセグメントを備える第1の流路及び第2の流路と、
第1の流路と第2の流路との間に延在し、第1の流路を第2の流路と流体連通する複数の横方向の横断通路であって、非直線状に配置されている横断通路と、
を備え、
横断通路は、並列に構成されたセグメント内において長手方向に離間配置され、
横断通路の各々が、第1の流路にポートにおいて接続し、第1の流路の内壁上で長手方向に延在する線状の基準軸の周りに第1の流路のポートが非直線状に配置されるように横断通路が非直線状に配置され、
横断通路が長円形状の断面形状を有している、
内部冷却構成。」

〔相違点〕
本件補正発明においては「長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される」ものであるのに対して、引用発明においては、かかる事項を備えているか不明である点。

上記相違点について検討する。
上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項のうち「第1の流路及び第2の流路を二分する基準面」に関して、誤訳訂正書の段落【0029】ないし【0031】には次の記載がある。
「【0029】
本発明によれば、横断通路43を千鳥配置してもよい。ある実施形態では、横断通路43を、基準面44に対して千鳥配置してもよいし、又はその周りに千鳥配置してもよい。すなわち、基準面44によって基本的に、千鳥た非直線構成を実現するために横断通路43を配置する相対位置を示す目印が得られる。基準面44を、本発明により、複数の方法で規定してもよい。
【0030】
基準面44によって流路36は二分されていることが分かる。各流路36を、近接内壁46を備えるとして説明する場合がある。近接内壁46は、他方の流路に「面する」か又はそれに向けられた内壁である。図8及び9に、異なる断面形状を有する流路36の概略図を示す。近接内壁46をそれぞれにおいて示して、この用語の意味に関する例を示す。図8では、流路36の断面形状が矩形であり、近接内壁46は、他方の流路に面する矩形の一面である。図9では、流路36の断面形状はより曲線的であり、近接内壁46は、他方の流路に面する円形の円周の略半分であり、これは、並列流路36の他方の視野から「見える」であろう内壁46を指していると記述してもよい。このことを念頭において、基準面44を、内側の対向壁46をそれぞれ二分するものと記述してもよい。
【0031】
基準面44を、近接内壁46の寸法に対して、より具体的に規定してもよい。たとえば、各近接内壁46上にある半径方向に延在する基準線を、たとえば、内側の対向壁の外縁又は中心を基準にして規定してもよい。したがって、ある場合には、この半径方向に延在する基準線は、内側の対向壁46を二分する中心線として規定してもよく、又は、他の場合には、内側の対向壁46の外縁の1つから特定の距離だけずれて存在する基準線として規定してもよい。次に基準面44を、このようにして内側の対向壁46上に形成された各基準線を含む滑らかな面として規定してもよいことが分かる。図8及び9の両方において、基準面44が各流路36の近接内壁46の略中央に配置されていることが分かる。」
との記載がある。
当該記載によれば、「第1の流路及び第2の流路を二分する基準面」は、横断通路43を千鳥配置するための相対位置を示す目印で、流路36を二分するものであればよく、例えば、流路36(第1の流路)の近接内壁46(又は対向壁46)の中心線と流路36(第2の流路)の近接内壁46(又は対向壁46)の中心線を含む滑らかな面として理解できる。
この理解に基づけば、引用発明においても、冷却媒体流路4の壁面14の中心線と冷却媒体流路5の壁面15の中心線を含む滑らかな面として基準面を有しているといえる。
そして、引用文献記載事項は上記のとおり「冷却媒体流路4と冷却媒体流路5との間に延在し、冷却媒体流路4を冷却媒体流路5と接続する複数の噴出孔9cの穿孔する向きは任意に設定できること。」というものであるから、引用発明において、引用文献記載事項を参酌すれば、噴出孔9cを、基準面に対して異なる角度方向で配置すること(例えば、当該噴出孔9cを基準面とは平行ではない方向や基準面と交差する方向で配置することや、噴出孔9cごとに基準面に対する角度方向を互いに異ならせること)は、当業者が容易に想到できたことである。
ところで、請求人は審判請求書の「(3)補正の内容」において、「かかる補正内容は、本願明細書の記載(段落0038?0040など)および図面(図13など)から明らかであるものと思料いたします。」と述べている。そして、誤訳訂正書の段落【0040】の「ある実施形態では、図13に示すように、横断通路43は、非対称な断面形状を有していてもよい。このような場合、本発明による千鳥構成には、非対称に形成された横断通路43の基準面44に対する角度方向を変えることが含まれていてもよい。好ましい実施形態では、非対称な形状の横断通路43は長円形状を有していてもよい。例示したように、長円形状の主軸の角度方向を、交互に、基準面44に平行か又は垂直にしてもよい。図11?13は、特定の好ましいか又は典型的な配置を表しており、他の千鳥配置が可能であることが分かる。」との記載及び図13の図示内容を参酌すると、本件補正発明における「長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される」とは、「長円形状の主軸の角度方向が、基準面に対して異なる角度方向で配置される」ことを含む上位概念と解し得る。
しかしながら、仮にそのように限定的に解したとしても、引用文献の段落【0050】の「孔形状に関し、第1から第3実施例では円孔或いは楕円孔であるとしたが、必ずしもその必要はなく、任意の形状でよい。」との記載から、孔形状に関して、その方向も含めて最適化ないし好適化することにより「長円形状の主軸の角度方向が、基準面に対して異なる角度方向で配置される」ように構成することも、当業者の通常の創作能力の範囲で適宜なし得たことであり、それによる格別な作用効果も認められない。
よって、上記相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、引用発明及び引用文献記載事項に基いて、当業者が容易になし得たことである。

そして、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものとはいえない。

したがって、本件補正発明は、引用発明及び引用文献記載事項に基いて、当業者が容易になし得たものである。

4 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成30年1月29日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由の概要は次のとおりである。

(新規性)本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



新規性及び進歩性について
請求項1に対して:引用文献1(特開2012-154232号公報)
(請求項2ないし15については省略)

3 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2012-154232号公報)の記載事項及び引用発明は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 当審の判断
前記「第2〔理由〕1」で述べた補正事項1及び補正事項2に鑑みれば、本願発明は、本件補正発明において「横断通路」について「横断通路が長円形状の断面形状を有していて、長円形状の断面形状を有する横断通路の少なくとも1つが、第1の流路及び第2の流路を二分する基準面に対して異なる角度方向で配置される」との限定を省いたものに実質的に相当する。
そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本件補正発明が、前記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明及び引用文献記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-08-20 
結審通知日 2019-08-23 
審決日 2019-09-03 
出願番号 特願2014-33(P2014-33)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 倉田 和博西中村 健一  
特許庁審判長 渋谷 善弘
特許庁審判官 金澤 俊郎
鈴木 充
発明の名称 タービンロータブレードに対する内部構成  
代理人 小倉 博  
代理人 田中 拓人  

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