• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1359064
審判番号 不服2018-6923  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-22 
確定日 2020-01-16 
事件の表示 特願2017-504530「カードレスシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月15日国際公開、WO2016/143127〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月12日の国際出願に係る特願2017-504530号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年 4月19日付:拒絶理由通知
平成29年 6月23日 :意見書、手続補正書
平成29年 8月 2日付:拒絶理由通知(最後)
平成30年 2月20日付:拒絶査定
平成30年 5月22日 :手続補正書、審判請求
令和 元年 5月30日付:拒絶理由通知
令和 元年 8月 2日 :意見書、手続補正書
(以下、この手続補正書による補正を「本件補正」という。)

第2 本願発明
本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりである。

「 各ユーザがそれぞれ所有するポイント又は現金をデータとして記録するデータベースと、
前記各ユーザがそれぞれ所有する携帯端末から出力され前記各ユーザに対応するコードを生成する制御装置と、
を備え、
前記コードは、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金を使用する際に前記携帯端末の画面に出力されて用いられる消費用ワンタイムコードであり、
前記消費用ワンタイムコードが無断で撮影されて悪用されることを防止するように、前記消費用ワンタイムコードが読み取られ、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高の更新に合わせて一度使われた前記消費用ワンタイムコードと同一の前記消費用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされており、
商品棚に露出された状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成され、前記商品の購入の特典として前記ポイント又は前記現金を加算するための蓄積用ワンタイムコードを有し、
前記蓄積用ワンタイムコードは、前記商品の購入手続きが完了してから前記蓄積用ワンタイムコードとして機能するように設定されており、
前記商品の購入手続きが完了してから機能した前記蓄積用ワンタイムコードを読み取ることにより、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高を更新可能とし、該更新に合わせて一度使われた前記蓄積用ワンタイムコードと同一の前記蓄積用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされることを特徴とするカードレスシステム。」

第3 拒絶の理由
令和元年5月30日付で当審より通知した拒絶理由の理由1?理由3は、次のとおりのものである。(本件補正による補正後の請求項1は、補正前の請求項5に対応する。)

(理由1:進歩性)この出願の請求項5に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献1に記載された発明、引用文献7に記載された発明、及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献
1.特開2014-157430号公報
2.再公表特許2001/097118号(周知例)
3.特開2008-152338号公報(周知例)
4.特開2011-43983号公報(周知例)
5.?6.略
7.特開2002-157405号公報

(理由2:実施可能要件)この出願は、発明の詳細な説明の記載が、請求項5に示された「有効化処理」について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

(理由3:サポート要件)この出願は、特許請求の範囲の記載が、請求項5に示された「有効化処理」について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第4 引用文献の記載及び引用発明(下線は、当審で付した。以下、同様。)

1 引用文献1の記載、引用発明1
(1)引用文献1には、以下の事項が記載されている。
「【0025】[2.確認画像配信システム]
次に、図2を用いて、実施形態に係る確認画像配信システム1について説明する。図2は、実施形態に係る確認画像配信システム1の構成例を示す図である。図2に示すように、確認画像配信システム1には、ユーザ端末10と、店舗端末20と、バーコードサーバ100と、決済サーバ200と、ウォレットサーバ300とが含まれる。ユーザ端末10と、店舗端末20と、バーコードサーバ100と、決済サーバ200とは、ネットワークNを介して、有線または無線により通信可能に接続される。また、ウォレットサーバ300は、決済サーバ200と有線または無線により通信可能に接続される。なお、図2では、確認画像配信システム1に、1台のユーザ端末10と、1台の店舗端末20とが含まれる例を示したが、確認画像配信システム1には、複数台のユーザ端末10および店舗端末20が含まれてもよい。」

「【0044】[5.バーコードサーバの構成]
次に、バーコードサーバ100の構成について説明する。図2に示すように、バーコードサーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。バーコードサーバ100は、発行手段を構成する。なお、バーコードサーバ100は、バーコードサーバ100の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(液晶ディスプレイ等)を有してもよい。」

「【0054】(制御部130について)
図2の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPUやMPU等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0055】 かかる制御部130は、図2に示すように、発行部131と、参照部132と、削除部133とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。」

「【0056】(発行部131について)
発行部131は、ユーザ端末10から受信したユーザID(PINと共に受信する構成でもよい)、利用ポイントおよびアプリVerに基づいて、バーコードを発行する。発行部131は、バーコードとしてバーコード数値を発行してバーコード画像を生成し、画像記憶部121に格納されている確認画像データから画像IDを選択して、当該画像IDの画像ファイルにアクセスする背景URLを生成する。発行部131は、生成したバーコード数値、背景URL、ユーザID、利用ポイントおよびアプリVerを、バーコード管理情報記憶部122に格納する。発行部131は、バーコード管理情報記憶部122への格納が成功すると、バーコード数値およびバーコード画像をバーコードデータとし、背景URLとともに、ユーザ端末10に送信する。ここで、発行されるバーコードは、ワンタイムパスワードを発行して、当該ワンタイムパスワードの数値をバーコード数値とする構成であってもよい。」

「【0079】(決済部233について)
決済部233は、ユーザIDおよび店舗ID等に基づいて、ユーザと店舗間で代金の決済をする。決済部233は、ゲートウェイ部231から、ユーザID、利用ポイント、店舗ID、M-key、価格、ウォレット情報およびメールアドレスを受信し、これらに基づいて決済を実行する。決済部233は、合計金額から利用ポイント数を引き、残った金額をカード決済金額としてクレジットカードによる決済を行う。決済部233は、カード決済金額について、図示しないクレジットカード会社のシステムに決済を要求して決済を実行する。決済部233は、決済完了情報をゲートウェイ部231に送信する。」

「【0080】[7.ウォレットサーバの構成]
次に、ウォレットサーバ300の構成について説明する。図2に示すように、ウォレットサーバ300は、通信部310と、記憶部320と、制御部330とを有する。なお、ウォレットサーバ300は、ウォレットサーバ300の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0081】(通信部310について)
通信部310は、例えば、NIC等によって実現される。かかる通信部310は、決済サーバ200の通信部210と有線または無線により通信可能に接続される。
【0082】(記憶部320について)
記憶部320は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。かかる記憶部320は、ユーザデータベース321を有する。
【0083】(ユーザデータベース321について)
ユーザデータベース321は、ウォレットに登録しているユーザについて、決済に必要な情報を記憶する。例えば、ユーザデータベース321は、ユーザごとに、「ユーザID」、「メールアドレス」、「ウォレット情報」、「ポイント残高」等を記憶する。
【0084】「ユーザID」は、ユーザを識別するための識別情報を示す。「メールアドレス」は、例えば、ユーザがウォレットを利用して決済を行った場合に、メールを発信する宛先を示す。「ウォレット情報」は、ユーザのクレジットカード情報、および、ウォレットが有効か否かの有効性情報等を示す。「ポイント残高」は、ユーザが加入しているポイントサービスのポイント残高を示す。」

「【0099】バーコードサーバ100の発行部131は、受信した、ユーザID、利用ポイントおよびアプリVerに基づいて、バーコードを発行する(ステップS111)。発行部131は、バーコードとしてバーコード数値を発行してバーコード画像を生成し、画像記憶部121に格納されている確認画像データから使用可である画像IDを選択して、当該画像IDの画像ファイルにアクセスする背景URLを生成する。発行部131は、生成したバーコード数値、背景URL、ユーザID、利用ポイントおよびアプリVerを、バーコード管理情報記憶部122に格納する(ステップS112)。発行部131は、バーコード管理情報記憶部122への格納が成功すると(ステップS113)、バーコード数値およびバーコード画像をバーコードデータとし、背景URLとともに、プロキシサーバ400を経由して(ステップS114)、ユーザ端末10に送信する(ステップS115)。
【0100】ユーザ端末10の支払処理部14は、受信したバーコードデータと背景URLに基づいて、バーコード表示画面を表示部12に表示する。ここで、図8にバーコード表示画面の一例を示す。図8の例では、表示部12と入力部13とは一体となったタッチパネルで構成されており、バーコード画像A10と、背景URLにアクセスして取得した確認画像A11が、表示部12に表示されている。」

「【0101】次に、図9を用いて、実施形態に係る決済時の処理の一例について説明する。図9は、実施形態に係る決済時の一例を示すシーケンス図である。
【0102】店舗端末20は、既に企業のビジネスIDによって図示しない認証サーバでの認証により、決済サービスにログインし、店舗IDが選択された状態であり、決済処理アプリケーションが起動しているとする。店舗端末20は、店舗の店員によって価格情報が入力される(ステップS200)。ここで、価格情報の入力画面の一例を図10に示す。図10の例では、表示部22と入力部23とは一体となったタッチパネルであり、画面上半分に決済する合計金額の入力欄が表示され、画面下半分には、数値入力用のテンキーが表示される。その後、店舗端末20は、店員によって操作され、ユーザ端末10に表示されたバーコードを読み取って認識し、バーコード情報としてバーコード数値を取得する(ステップS201)。
【0103】店舗端末20は、ビジネスIDを含むクッキーとバーコード数値を、プロキシサーバ400を経由して(ステップS202)、バーコードサーバ100へ送信する(ステップS203)。バーコードサーバ100の参照部132は、バーコード管理情報記憶部122を参照して(ステップS204)、受信したバーコード数値に対応する背景URL、ユーザIDおよび利用ポイント数を取得する(ステップS205)。参照部132は、取得した背景URL、ユーザIDおよび利用ポイントを、プロキシサーバ400を経由して(ステップS206)、店舗端末20に送信する(ステップS207)。
【0104】店舗端末20の決済処理部26は、受信した背景画像URLに基づいて確認画像を取得して表示部22に表示する。また、決済処理部26は、ユーザ端末10のユーザID、利用ポイント数および価格情報に基づいて、決済確認画面を表示部22に表示する。ここで、図11に実施形態に係る店舗端末20の決済確認画面の一例を示す。図11に示す決済確認画面では、例えば、価格情報に対応する会計金額が1000円、利用ポイント数が50ポイント、支払金額が950円と表示されている。ここで、決済を申し込んだユーザ(ユーザ端末10のユーザ)により確定ボタンB22が押されると、ユーザによって確認が行われた旨の確認情報を取得する(ステップS208)。また、反転ボタンB23が押されると、画面の上下を反転する。なお、決済確認画面にて、確認画像を切替えるボタンB21を設けてもよい。また、決済確認画面に確認画像のON/OFFボタンを設けて、決済確認時に初めて確認画像をユーザ端末10および店舗端末20に配信するようにバーコードサーバ100へ指示を送るようにしてもよい。
【0105】店舗端末20の決済処理部26は、確定ボタンB22の押下により確認情報を取得すると、クッキー、バーコード数値、価格、店舗IDおよびM-keyを、プロキシサーバ400を経由して(ステップS209)、決済サーバ200へ送信する(ステップS210)。決済サーバ200のゲートウェイ部231は、受信したバーコード数値をバーコードサーバ100の参照部132に出力する(ステップS211)。バーコードサーバ100の参照部132は、バーコード数値に基づいて、バーコード管理情報記憶部122を参照して(ステップS212)、バーコード数値に対応するユーザID、利用ポイント数およびアプリVerを取得する(ステップS213)。参照部132は、取得したユーザID、利用ポイント数およびアプリVer、ならびに、バーコードの発行時刻または有効期限を、決済サーバ200のゲートウェイ部231に出力する(ステップS214)。
【0106】決済サーバ200のゲートウェイ部231は、バーコードサーバ100の参照部132からユーザID、利用ポイント、アプリVer、および、バーコードの発行時刻または有効期限が入力されると、ユーザIDを情報参照部232へ出力する(ステップS215)。情報参照部232は、ウォレットサーバ300へユーザIDを送信し(ステップS216)、ユーザIDに対応するユーザのメールアドレス、ウォレット情報およびポイント残高を取得する(ステップS217)。その後、情報参照部232は、ゲートウェイ部231に、取得したメールアドレス、ウォレット情報およびポイント残高を出力する(ステップS218)。
【0107】ゲートウェイ部231は、情報参照部232から当該ユーザIDに関するメールアドレス、ウォレット情報およびポイント残高を受信した後に、決済部233に対して、ユーザID、利用ポイント、店舗ID、M-key、価格、ウォレット情報およびメールアドレスを出力する(ステップS219)。決済部233は、ゲートウェイ部231から、ユーザID、利用ポイント、店舗ID、M-key、価格、ウォレット情報およびメールアドレスが入力され、これらに基づいて決済を実行する。決済部233は、決済完了情報をゲートウェイ部231に出力する(ステップS220)。
【0108】決済サーバ200のゲートウェイ部231は、入力された決済完了情報を、プロキシサーバ400を経由して(ステップS221)、店舗端末20に送信する(ステップS222)。ここで、図12に、実施形態に係る店舗端末20の決済完了画面の一例を示す。決済完了画面には、決済内容が表示され、完了ボタンB24を押すと、ユーザ端末10にレシート画面が表示される。図13に、実施形態に係るユーザ端末10のレシート画面の一例を示す。レシート画面には、決済完了画面と同様の内容が表示され、保存ボタンB10を押すと、ユーザ端末10は、レシート画面の内容を保存する。
【0109】また、決済サーバ200のゲートウェイ部231は、バーコードサーバ100の削除部133に対して、バーコード数値を送信する(ステップS223)。削除部133は、バーコード管理情報記憶部122の当該バーコード数値に係る管理IDの全ての情報を削除する(ステップS224)。削除部133は、削除が完了すると(ステップS225)、削除結果を決済サーバ200のゲートウェイ部231に送信する(ステップS226)。」

(2)上記(1)からみて、引用文献1には、以下の発明が記載されている(以下「引用発明1」という。)。

「ユーザ端末と、店舗端末と、バーコードサーバと、決済サーバと、ウォレットサーバとを含むシステムであって(【0025】)、
バーコードサーバの発行部において発行されるバーコードは、ワンタイムパスワードを発行して、当該ワンタイムパスワードの数値をバーコード数値とする構成であってもよく(【0044】、【0054】?【0056】)、
決済サーバの決済部は、ユーザID及び店舗ID等に基づいて、ユーザと店舗間で代金の決済をするものであり、ユーザID、利用ポイント、店舗ID、価格等を受信して、これらに基づいて決済を実行し、合計金額から利用ポイント数を引き、残った金額をカード決済金額としてクレジットカードによる決済を行い、カード決済金額について、クレジットカード会社のシステムに決済を要求して決済を実行するものであり(【0079】)、
ウォレットサーバのユーザデータベースは、ユーザ毎に、ユーザID、ウォレット情報、ポイント残高等を記憶しており(【0080】、【0082】?【0084】)、
バーコードサーバの発行部は、ユーザ端末から受信したユーザID、利用ポイントおよびアプリVerに基づいて、バーコードを発行し、バーコードとしてバーコード数値を発行してバーコード画像を生成し、生成したバーコード数値、画像IDの画像ファイルにアクセスする背景URL、ユーザID、利用ポイント等をバーコード管理情報記憶部に格納し、バーコード数値およびバーコード画像をバーコードデータとし、背景URLとともにユーザ端末に送信し(【0056】、【0099】)、
ユーザ端末の支払処理部は、受信したバーコードデータと背景URLに基づいて、バーコード表示画面を表示し、その際、背景URLにアクセスして取得した確認画像が表示部に表示されており(【0100】)、
店舗端末は、価格情報が入力され、ユーザ端末に表示されたバーコードを読み取って認識し、バーコード数値を取得し(【0102】)、取得したバーコード数値をバーコードサーバに送信し(【0103】)、
バーコードサーバは、このバーコード数値に対応する背景URL、ユーザID、利用ポイント数を店舗端末に送信し(【0103】)、
店舗端末は、受信した背景URLに基づいて確認画像を表示し、ユーザID、利用ポイント数および価格情報に基づいて、決済確認画面を表示し、決済を申し込んだユーザによって確認が行われた旨の確認情報を取得すると、バーコード数値、価格、店舗ID等を決済サーバに送信し(【0104】、【0105】)、
決済サーバは、受信したバーコード数値をバーコードサーバに出力し(【0105】)、
バーコードサーバは、受信したバーコード数値に基づいてバーコード管理情報記憶部を参照して、バーコード数値に対応するユーザID、利用ポイント数等を取得し、取得した利用ポイント数等、ならびに、バーコードの発行時刻または有効期限を、決済サーバに出力し(【0105】)、
決済サーバは、ウォレットサーバにユーザIDを送信し、ユーザIDに対応するウォレット情報、ポイント残高等を取得し(【0106】)、これらに基づいて決済を実行し、決済完了情報を店舗端末に送信し(【0107】【0108】)、バーコードサーバにバーコード数値を送信し(【0109】)、
店舗端末の決済完了画面に決済内容が表示され、決済完了ボタンを押すとユーザ端末にレシート画面が表示され(【0108】)、
バーコードサーバは、バーコード数値に係る全ての情報を削除する(【0109】)、
システム。」

2 引用文献7の記載、引用発明2
(1)引用文献7には、以下の事項が記載されている。

「【0018】【発明の実施の形態】図1は、本発明にかかる購買把握システムのシステム構成図である。本発明にかかる購買把握システムでは、特に商品又はその包装に対して印刷された個々の商品の1つ1つに固有のユニークバーコードを用いている。その例を図2に示す。図2では商品又はその包装へのユニークバーコードの付与の例を3種類挙げている。図2(a)では、パッケージ上に直接印刷している。同(b)では、パッケージに印刷して封入している。同(c)では、ユニークバーコードをシールに印刷し、商品又はその包装へ貼り付けている。」

「【0030】次に、会員である消費者がスーパーマーケットやデパート等で、ユニークバーコードが印刷された商品を購入する(S403)。そして、消費者が商品を自宅に持ち帰り、自宅のクライアント2のバーコードリーダ11により、マウスパッド12のHP立上げバーコードをスキャンする(S404)。尚、消費者は、クライアント2が携帯電話により構成される場合や携帯電話等に接続されたノート型PCにより構成される等の場合には、商品を自宅まで持ち帰る必要はなく、任意の場所でこのHP立上げバーコードをスキャンできる。但し、購入が終了していない商品をスキャンすることは禁じられる。例えば、ユニークバーコードを商品の包装の内側に設けることにより購入が終了していない商品のスキャンを禁止でき、また、販売時にPOSシステム等と連動して販売事実に関する情報が通信網4を介してサーバ3に伝達される構成とすることで、購入が終了していない商品をスキャンしたかどうかをサーバ3で判別することができる。
【0031】HP立上げバーコードのスキャンによりクライアント2のディスプレイ24にホームページが表示される(S405)。そして、消費者は、マウスパッド12に表示されたメッセージに従い、会員IDのバーコードをスキャンする(S406)。バーコードリーダ11により読み取られた会員IDのバーコード情報は、バーコードリゾルバプログラム22よりメモリ26の所定領域に格納される。
【0032】消費者は、さらに購入した商品、又はその包装に印刷されたユニークバーコードをスキャンする(S407)。バーコードリーダ11により読み取られたこのユニークバーコード情報もバーコードリゾルバプログラム22よりメモリ26の所定領域に格納される。
【0033】次に消費者は、マウスパッド12のデータ送信バーコードをスキャンする(S408)。このデータ送信バーコードのスキャンに応じて、クライアント2は、メモリ26に格納された会員IDのバーコード情報及びユニークバーコード情報を通信網4を介してサーバ3に送信する。
【0034】サーバ3では、これらの会員IDのバーコード情報及びユニークバーコード情報を受信し、バーコードデータ処理を実行する(S409)。具体的には、ユニークバーコードが以前に送信されたものでないかどうか確認する。これにより、景品の取得等の目的から同じ商品により複数回当該バーコード情報の処理を実行することを防止することができる。さらに会員IDとユニークバーコード情報を関連付け、購買データとしてデータベース33の所定の領域に格納する(S410)。」

「【0043】景品処理プログラム326は、各会員の購買状況に応じて景品を付与するかどうかを決定する処理を実行する機能を有する。決定は、例えば、後述する会員登録情報ファイル331の「ポイント数」にかかる情報に基づいて実行される。景品は、商品という形で付与してもよいが、サービスであってもよく、また一定の割引券等でもよい。」

「【0045】会員登録情報ファイル331には、会員情報が格納されている。具体的には、図7に示す情報が格納されている。この例では、「会員ID」、「氏名」、「性別」、「年齢」、「住所」、「郵便番号」、「自宅の電話番号」、「携帯電話番号」、「電子メールアドレス」、「世帯構成」、「保有しているパーソナルコンピュータ(PC)の種類」、「携帯電話の種類」、「ポイント数」が会員情報に含まれる。その他、「職業」、「趣味」等の情報を付加してもよい。基本的に、登録すべき会員情報の種類が多ければ、詳細な購買分析の結果を出力することができる。これらの会員情報は、原則として全ての情報を会員になるための必須入力事項とするが、一部の情報については、任意入力事項としてもよい。このうち、「会員ID」は、会員を識別するための情報であり、システム側より割り振られ、例えば、数字、記号等の組み合わせにより表される。また、「ポイント数」は、商品を購入し、ユニークバーコードの送信数に応じて、システム側から会員である消費者に対して付与されるポイントの数である。このポイント数に応じて、所定の景品が当該会員に対して贈呈される。これにより、消費者に対して会員になるインセンティブ及びこのサービスが適用される商品を購入するインセンティブを与えることとなる。
【0046】ユニークバーコードデータファイル332は、ユニークバーコード情報が過去に使用済みか否かの情報とともに記憶されている。このユニークバーコードデータファイル332は、ユニークバーコード情報が過去に使用済みか否かを確認するために設けられている。具体的には、ユニークバーコード情報をクライアント2から受信すると、受信したユニークバーコードが既に受信されたユニークバーコードであるかどうかが、このユニークバーコードデータファイル332に基づいて確認される。ユニークバーコードデータファイル332の例を図8に示す。フラグは、「0」の場合は未使用であることを、「1」の場合は使用済みであることを示している。この例では、「0000000」から「9999999」の1000万個のユニークバーコードが記憶されている。この例では、「0000002」のバーコードに対するフラグ領域に「1」が入力されており、このバーコードが既に使用済みであることがわかる。」

「【0056】そして、サーバ3は、バーコードデータ処理プログラム322に基づいて、受信したユニークバーコード情報に応じた処理を実行する。具体的な処理フローを図13に示す。ユニークバーコード情報を受信し(S1301)、図8に示すテーブルを用いて初めて受信したデータかどうかを判定する(S1302)。既に使用済みのバーコードデータであった場合には、不正データを送信したとして、会員情報中にその旨の情報を格納する(ステップS1305)。
【0057】初めて受信したバーコードデータであった場合には、図8に示すテーブルにおいて、当該バーコードデータに対応するフラグ格納領域に「1」を格納し、フラグを立てる(ステップS1303)。そして、会員登録情報ファイル331の「ポイント数」にかかる情報を加算処理する(S1304)。その後、サーバ3、獲得したポイント数情報又は登録済みデータである旨の通知を通信網4を介して当該会員のクライアント2に対して送信する(S1306)。」

(2)上記(1)からみて、引用文献2には、以下の発明が記載されている(以下「引用発明2」という。)。

「例えば、パッケージ上への直接印刷、パッケージに印刷して封入、ユニークバーコードをシールに印刷し、商品又はその包装へ貼り付ける等により、商品又はその包装に対して印刷された個々の商品の1つ1つに固有のユニークバーコードを用いるものであり(【0018】)、
スーパーマーケットやデパート等で、ユニークバーコードが印刷された商品を購入して自宅に持ち帰った会員である消費者が購入した商品又はその包装に印刷されたユニークバーコードをスキャンすることによって読み取られたユニークバーコード情報がサーバに送信され(【0030】?【0032】)、
サーバの景品処理プログラムは、会員の購買状況に応じて景品を付与するかを決定する処理を実行機能を有するものであり、この決定は、商品を購入し、ユニークバーコードの送信数に応じて、システム側から会員である消費者に対して付与されるポイントの数である「ポイント数」に係る情報に基づいて実行されるものであり(【0043】、【0045】)、
ユニークバーコード情報が過去に使用済みか否かの情報とともに記憶されており、具体的には、図8に例示されるように、ユニークバーコードと「0」の場合は未使用、「1」の場合は使用済みであることを示すフラグからなるユニークバーコードデータファイルが記憶されており(【0046】)、
ユニークバーコードを受信したサーバでは、ユニークバーコードが以前に送信されたものでないかどうか確認し、これにより、同じ商品により複数回当該バーコード情報の処理を実行することを防止することができ(【0034】)、図8に示すテーブルを用いて初めて受信したデータかどうかを判定し、既に使用済みのバーコードデータ出会った場合には、不正データを送信したとし、(【0056】)、
初めて受信したバーコードデータであった場合には、図8のテーブルにおいて、当該バーコードデータに対応して「1」のフラグを立て、会員の「ポイント数」を加算するものであり(【0057】)、
購入が終了していない商品をスキャンすることは禁じられ、例えば、ユニークバーコードを商品の包装の内側に設けることにより購入が終了していない商品のスキャンを禁止でき、また、販売時にPOSシステム等と連動して販売事実に関する情報がサーバに伝達される構成とすることで、購入が終了していない商品をスキャンしたかどうかをサーバで判別することができる(【0030】)、
システム。」

3 各周知例の記載
(1)引用文献2
(「3-2.ワンタイムIDの使用(小口口座からの支払い)」のパラグラフ)
「ワンタイムIDには有効日が付与されており、小口口座の残高はその有効日までしか実在店舗での決済に使用することができない。ワンタイムIDは実在店舗での決済に1回使用すれば無効になるようにしてもよい。」

「ワンタイムIDを1次元または2次元バーコードのイメージとし、実在店舗での決済の際には携帯電話機13に表示されたバーコードをPOS端末27のリーダで光学的に読取るようにしてもよい。」

(2)引用文献3
「【0042】・・・ 次に、加盟店情報と、取引情報と、カード情報と、ワンタイムカード情報と、使用実績とを関連付けて、カード会社決済情報テーブル117に記憶する。このとき使用実績の値は未使用とする(ステップ507)。・・・」

「【0044】次に、決済執行プロセスの処理の流れを図6に示す。
カード会員101は、携帯電話機アプリケーション108の決済準備完了画面901を確認後、決済執行準備画面701が備える決済執行ボタン703を押下する。
PCブラウザ107は、決済執行ボタン703が押下されると、セッションIDを加盟店サーバ110へ送信する(ステップ601)。
加盟店サーバ110は、受信したセッションIDと、加盟店決済情報テーブル112のセッションID201とを比較し、同じセッションIDに関連付けられて記憶されている取引情報202とワンタイムカード情報203、及び、加盟店情報113とを含む与信要求を生成し、カード会社サーバ115へ送信する(ステップ602)。
【0045】カード会社サーバ115は、与信要求を受信すると、以下三点の認証を実行する。
第一に、与信要求に含まれるワンタイムカード情報が、カード会社決済情報テーブル1
17に記憶されていることを認証する。
第二に、当該ワンタイムカード情報に関連付けられてカード会社決済情報テーブル117に記憶されている使用実績305が、未使用であることを認証する。
第三に、与信要求に含まれる取引情報及び加盟店情報と、当該ワンタイムカード情報に関連付けられてカード会社決済情報テーブル117に記憶されている取引情報302及び加盟店情報301の内容が、一致することを認証する。
そして、上記三点の認証に全て成功した場合、カード会社サーバ115は、与信要求に含まれるワンタイムカード情報を、当該ワンタイムカード情報に関連付けられてカード会社決済情報テーブル117に記憶されているカード情報303に置き換えて与信照会情報を生成する。その後、使用実績305を使用済に変更し、ステップ604へ進む。
上記三点の認証のうちひとつでも失敗した場合は、カード会社サーバ115は、加盟店サーバ110に決済の中断を通知し、直ちに決済処理を終了する。決済の中断の通知を受けた加盟店サーバ110は、PCブラウザ107に決済の中断を通知し、直ちに決済処理を終了する(ステップ603)。
与信照会情報に基づき、与信処理を行う(ステップ604)。」

(3)引用文献4
「【0016】本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、クレジット・カードとは異なり、デビット・サービスでは、デビット・サービス利用と、代金振り替えとを実質的に同期化できるので、購入契約完了と同時にデビット・カードを無効化しても、デビット・カードの利用と代金決済とを独立して管理することが可能であることに着目し、デビット・サービスによる決済を承認し、デビット・サービス利用の承認と同時に無効化される決済承認番号を、ワンタイムデビット番号として発行する。」

「【0034】・・・銀行ノードは、ユーザ・ノードからのアクセス要求を受領すると、当該ユーザ・ノードからのアクセス要求について、認証処理を実行し、認証処理に成功すると、レスポンスとして決済承認番号を発行する。
・・・
【0036】ユーザ・ノードは、決済承認番号を取得すると、リクエスト(2)で、ネットワークを介してネットワーク上で商品/サービスを提供するためのウェブ・サイトを開設する加盟店ノードに対して、購入リクエストを発行し、購入/利用したいサービスを特定した後、決済承認番号などを送付する。・・・加盟店ノードは、ユーザ・ノードからの購入リクエストを受領すると、リクエスト(3)およびリクエスト(3-2)でアクワイアラ・ノードおよび発行者ノードに対して決済承認番号の認証を送付する。
【0037】なお、本実施形態でアクワイアラは、加盟店と契約締結し、管理するエンティティであり、アクライアラ・ノードとは、アクワイアラが、ネットワークを介して加盟店を管理するため、サーバなどを利用してネットワーク上に特定のURI(Uniform Resource Identifier)などによりネットワーク・ノードとして機能する情報処理装置を意味する。アクワイアラ・ノードは、加盟店ノードや発行者ノードとの間でトランザクションを行い、口座引落代行などの処理を実行する。また、本実施形態で発行者とは、キャッシュレス・サービスを提供するための固有番号など、キャッシュレス取引識別値を発行するビジネス・エンティティを意味し、発行者ノードは、当該発行者がネットワーク上でその機能を実行させる情報処理装置である。発行者ノードは、アクワイアラ・ノードに対する代金支払などを代行し、サーバなどの情報処理装置として実装されている。
【0038】アクワイアラ・ノードは、加盟店ノードからのリクエスト(3)を受領すると、リクエスト(3-2)を銀行ノードおよび発行者ノードへと送付する。銀行ノードは、当該リクエスト(3-2)を受領すると、リクエスト(3-2)が含む、決済承認番号、購買内容、およびタイムスタンプを取得し、当該決済承認番号の有効性を検査する。銀行ノードは、決済承認番号が有効であると判断した場合、リクエスト(3-2)のレスポンスとして該当する決済承認番号が有効である通知を、アクワイアラ・ノードに送付する。アクワイアラ・ノードは、リクエスト(3)のレスポンスとして決済承認番号が有効であるとの通知を加盟店ノードに送付する。この段階で、ユーザ・ノードおよび加盟店ノードの間で契約が締結され、商品発送手配やサービス提供開始が行われる。
【0039】 図1のキャッシュレス・サービスのコンテキストを、デビット・サービスに適用する場合、銀行ノードは、発行者ノートの機能を含むことになり、キャッシュレス・サービスをデビット・サービスとする場合、銀行ノードは、図1中、破線で示すように発行者ノードの機能を有することになる。銀行ノードは、購買契約完了の通知をアクワイアラ・ノードといった適切なネットワーク・ノードから受領すると、当該決済承認番号を保有するユーザ・ノードの口座番号から、リクエスト(3-2)が含む決済承認番号に対応付けて登録された口座番号から購入金額の決済を行い、発行者ノードに対する代金決済を完了する。その後、銀行ノードは、直ちに、行使された決済承認番号を銀行ノードが管理するユーザ・データベース(以下、ユーザDBとして参照する。)から削除し、銀行ノードが管理する決済ログ・データベース(以下、決済ログDBとして参照する。)に移転して決済記録として保存する。」

第5 理由1について
1 対比
(1)本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりである。

引用発明1の「ユーザ端末」は、本願発明の「携帯端末」に相当し、引用発明1のシステムは、携帯端末を用いてカードを用いることなくポイントを利用した決済を行うから、下記の相違点を除いて、本願発明と同様の「カードレスシステム」であるといえる。

引用発明1の「ウォレットサーバのユーザデータベース」は、ユーザ毎に「ウォレット情報、ポイント残高等」を記憶するものであるから、本願発明の「各ユーザがそれぞれ所有するポイント又は現金をデータとして記録するデータベース」に相当する。

引用発明1の「バーコード数値およびバーコード画像」は、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金を使用する際に携帯端末の画面に出力されて用いられるものである点で、本願発明の「コード」に対応する。
さらに、引用発明1では、「ワンタイムパスワードを発行して、当該ワンタイムパスワードの数値をバーコード数値とする構成であってもよい」のであるから、引用発明1の、ワンタイムパスワードの数値を用いた「バーコード数値およびバーコード画像」を用いたコードは、下記の相違点を除けば、ワンタイムのコードである点で、本願発明の「消費用ワンタイムコード」に対応している。

引用発明1の「バーコードサーバ」は、その「発行部」において、「ユーザ端末から受信したユーザID」等に基づいてワンタイムのコードを発行し生成するから、ワンタイムのコードについての下記の相違点を除けば、本願発明の「前記各ユーザがそれぞれ所有する携帯端末から出力され前記各ユーザに対応するコードを生成する制御装置」に対応する。

(2)してみると、本願発明と引用発明1とは、次の点で一致する。

(一致点)
各ユーザがそれぞれ所有するポイント又は現金をデータとして記録するデータベースと、
前記各ユーザがそれぞれ所有する携帯端末から出力され前記各ユーザに対応するコード
を生成する制御装置と、
を備え、
前記コードは、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金を使用する際
に前記携帯端末の画面に出力されて用いられるワンタイムのコードである、
カードレスシステム。

(3)そして、両者は、次の相違点1及び相違点2で相違する。

(相違点1)
本願発明の「ワンタイムのコード」は、「消費用ワンタイムコード」であって、「前記消費用ワンタイムコードが無断で撮影されて悪用されることを防止するように、前記消費用ワンタイムコードが読み取られ、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高の更新に合わせて一度使われた前記消費用ワンタイムコードと同一の前記消費用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」のに対し、
引用発明1の「ワンタイムのコード」は、「消費用ワンタイムコード」でなく、「前記消費用ワンタイムコードが無断で撮影されて悪用されることを防止するように、前記消費用ワンタイムコードが読み取られ、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高の更新に合わせて一度使われた前記消費用ワンタイムコードと同一の前記消費用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」ものでない点

(相違点2)
本願発明は、「商品棚に露出された状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成され、前記商品の購入の特典として前記ポイント又は前記現金を加算するための蓄積用ワンタイムコード」を有し、この「蓄積用ワンタイムコード」が「前記商品の購入手続きが完了してから前記蓄積用ワンタイムコードとして機能するように設定されており、前記商品の購入手続きが完了してから機能した前記蓄積用ワンタイムコードを読み取ることにより、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高を更新可能とし、該更新に合わせて一度使われた前記蓄積用ワンタイムコードと同一の前記蓄積用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」ものであるのに対し、引用発明1は、「商品棚に露出された状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成され、前記商品の購入の特典として前記ポイント又は前記現金を加算するための蓄積用ワンタイムコード」を有するものでなく、この「蓄積用ワンタイムコード」が「前記商品の購入手続きが完了してから前記蓄積用ワンタイムコードとして機能するように設定されており、前記商品の購入手続きが完了してから機能した前記蓄積用ワンタイムコードを読み取ることにより、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高を更新可能とし、該更新に合わせて一度使われた前記蓄積用ワンタイムコードと同一の前記蓄積用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」ものでもない点

2 相違点の判断
(1)相違点1について
ワンタイムのコードとして、一度使われたコードと同一のコードが使えないようにする即時無効化処理が行われるものを用いることは、周知技術であり、このことは、「第4」の3において上述した周知例の記載(引用文献2?4の記載)からみて、明らかである。
そして、引用発明1のワンタイムのコードである「バーコード数値およびバーコード画像」は、明示されていないもののワンタイムといえる短い有効期限が設定され、コードをワンタイムとすることによってバーコードとして表示されたコードの悪用を防止する効果が見込めることを前提としたものであり、さらには、引用文献2には、「ワンタイムIDを1次元または2次元バーコードのイメージとし、実在店舗での決済の際には携帯電話機13に表示されたバーコードをPOS端末27のリーダで光学的に読取るようにしてもよい。」との記載を示しつつ上記周知技術が記載されているのであって、ここに示されているように、上記周知技術は、バーコードとして表示されたコードの悪用を防止するための技術として用いられ得るものである。
してみると、引用発明1におけるコードをワンタイムのコードとするための構成として上記周知技術を採用し、短い有効期限を設定するのではなく一度使われたコードと同一のコードが使えないようにする即時無効化処理を行うようにして、コードが無断で撮影される等して悪用されることを防止することは、当業者が適宜なし得ることである。

(2)相違点2について
ア 「第4」の「2」において上述したとおり、引用文献7には、引用発明2が記載されている。
そして、この引用発明2の「ユニークバーコード」は、「シールに印刷し、商品又はその包装へ貼り付ける」等によって商品又はその包装に対して印刷され、個々の商品の1つ1つに固有のユニークバーコードが商品又はその包装に常時表示されるものであり、これに基づきポイント加算(ポイント更新)がなされ、このポイント加算の際使用済みを示す「1」のフラグが立てられ、「一度使われた」コードと同一の「コード」が「使えないようにする即時無効化処理」がなされるところ、この「ユニークバーコード」は、「商品」と「商品の包装」のうち、「商品」に「貼り付ける」「シール」に印刷されて商品に付されたものを含み、そのような商品は、一般に商品棚に露出された状態で並べられ得るものであり、さらには、商品の購入の特典としてポイント又は現金を加算するためのコードであって、「購入が終了していない商品」のスキャンが禁止され、購入手続き完了後に有効とされているから、本願発明の「商品棚に露出された状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成され、商品の購入の特典として前記ポイント又は前記現金を加算するための蓄積用ワンタイムコード」であって、「前記商品の購入手続きが完了してから前記蓄積用ワンタイムコードとして機能するように設定されて」いるものに相当し、さらに、このように商品の購入手続きが完了してから機能した蓄積用ワンタイムコードの読取りによって「前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高を更新可能とし、該更新に合わせて一度使われた前記蓄積用ワンタイムコードと同一の前記蓄積用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」ものである点においても、本願発明の「蓄積用ワンタイムコード」に相当する。
いうなれば、引用文献7には、「商品棚に露出された状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成され、前記商品の購入の特典として前記ポイント又は前記現金を加算するための蓄積用ワンタイムコード」を有し、この「蓄積用ワンタイムコード」が「前記商品の購入手続きが完了してから前記蓄積用ワンタイムコードとして機能するように設定されており、前記商品の購入手続きが完了してから機能した前記蓄積用ワンタイムコードを読み取ることにより、前記データベースに記録された前記ポイント又は前記現金の残高を更新可能とし、該更新に合わせて一度使われた前記蓄積用ワンタイムコードと同一の前記蓄積用ワンタイムコードが使えないようにする即時無効化処理がなされる」ものが記載されているといえる。
そして、引用発明1と引用発明2とは、ワンタイムのコードを用いるものであり、これらを単に組み合わせることに困難性はなく、当業者が適宜なし得たことである。

イ 審判請求人は、令和元年8月2日提出の意見書において、引用文献7は、ユニークバーコードを包装などで覆い隠すことで物理的にスキャンできないようにする構成を想定しており、本発明のように「商品棚に露出した状態で並べられた商品に貼着可能なシール部材で構成された」たものは開示されていない旨主張している。
しかしながら、引用文献7の段落【0030】には、「スーパーマーケットやデパート等」で「購入が終了していない商品」の「スキャン」を「禁止する」ことの例として「ユニークバーコードを商品の包装の内側に設けることにより購入が終了していない商品のスキャンを禁止」する例のみならず、「販売時にPOSシステム等と連動して販売事実に関する情報が通信網4を介してサーバ3に伝達される構成とすることで、購入が終了していない商品をスキャンしたかどうかをサーバ3で判別することができる」例が記載されており、ユニークバーコードを包装などで覆い隠すことで物理的にスキャンできないようにする構成のみを想定したものといえないし、段落【0018】のシールに印刷して商品に貼り付ける例の記載を併せてみれば、引用文献7には、「スーパーマーケットやデパート等」の商品棚に露出した状態で並べられた商品に対して貼着可能なシール部材で構成されたワンタイムコードが記載されていることが明らかである。
審判請求人の主張は、引用文献7の記載内容からみて、採用することができない。

(3)効果等について
ア 上記(1)(2)に示したとおり、相違点1及び相違点2の構成は、当業者において容易になし得たものであるといえるとともに、これらの構成を備えることによる効果は、引用発明1、引用発明2及び上記の周知技術に照らして、当業者が予測できる程度のものである。

イ 審判請求人より、令和元年10月15日の当審との面接(以下、単に「面接」という。)の際、補正により請求項1に追加された事項について、無効化によるセキュリティ確保の効果を奏することが引用例の組み合わせによって想到しない旨の主張がなされた。
しかしながら、上記(2)及び(1)において示したところに照らして、この主張を採用することはできない。
すなわち、上記(2)で示したように、引用発明2では、「表示」される「ユニークバーコード」について即時の無効化処理がなされており、(1)で示したように、周知例として示した引用文献2においても、表示されるワンタイムのコードとして即時無効化処理を行うものが記載されており、いずれについても、表示されたコードについて無効化によるセキュリティ確保の効果を奏することが明らかであるといわざるを得ないから、これらを踏まえれば、即時無効化処理が行われることを前提として表示される2次元コードのようなコードを用いることは、引用文献1との関係で本願発明の新規性を否定しない根拠となり得るもの、進歩性を肯定する根拠にならないといわざるを得ないのであり、面接の際の主張を採用することはできない。

3 してみると、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である下記の引用文献1に記載された発明、引用文献7に記載された発明、及び周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第6 理由2、理由3について
1 理由2について
請求項1の「前記蓄積用ワンタイムコードは前記商品の購入手続きが完了してから有効化処理がなされる」旨が記載における「有効化処理」について、明細書の発明の詳細な説明には、
「【0043】 図6は、カードレスシステム10のさらに他の適用例を示す図である。ここでは、コンビニエンスストアのジュース棚17に収納されたペットボトル19を購入する様子を示す図である。ペットボトル19には、期間限定でポイントを加算することを可能とするワンタイムQRコード15がシールとして貼り付けられている。ただし、このワンタイムQRコード15は、上記自動販売機7の適用例とは異なり、店舗端末30で購入手続きをしてはじめてワンタイムQRコード15として機能するように設定されている。
【0044】 ジュース棚17では、商品を購入する前にユーザ4はペットボトル19を手にすることができる。このため、商品を購入前にワンタイムQRコード15が機能していれば、ユーザ4は商品を購入することなくポイントの加算のみを行う不正をする可能性がある。しかしながら、このカードレスシステム10によれば、ペットボトル19を購入するまでワンタイムQRコード15は機能しないため、そのような不正を防止することができる。」
との記載がなされているものの、これにとどまり、「有効化処理」の具体的な内容(店舗端末30で購入手続きをしてはじめてワンタイムQRコード15として機能するように設定する処理の内容)が記載されていない。

この点、審判請求人より、面接の際、実施可能な態様が存在する旨の主張がなされたが、この主張を採用することはできない。「有効化処理」の具体的な内容は、記載の省略が許容される程度に周知な技術であるといえないし、引用発明2を参照すれば実施可能な態様が存在するといえるとしても、引用発明2は、記載の省略が許容される程度に周知な技術ではない。これらを踏まえると、この出願の発明の詳細な説明において、実施可能な態様が記載されていると認定できる程度の明確かつ十分な記載がなされてるとは認められない。

よって、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、請求項1に示された「有効化処理」について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

2 理由3について
請求項1には、「前記蓄積用ワンタイムコードは前記商品の購入手続きが完了してから有効化処理がなされる」旨の記載がある。
これに対して、明細書の発明の詳細な説明には、1で示した記載があるにとどまり、この「有効化処理」の具体的な内容が記載されていない。
よって、この出願は、特許請求の範囲の記載が、請求項1に示された「有効化処理」について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献7に記載された発明、及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
また、この出願は、発明の詳細な説明の記載が同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許請求の範囲の記載が同条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-13 
結審通知日 2019-11-19 
審決日 2019-12-02 
出願番号 特願2017-504530(P2017-504530)
審決分類 P 1 8・ 536- WZ (G06Q)
P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
P 1 8・ 537- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梅岡 信幸  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 石川 正二
相崎 裕恒
発明の名称 カードレスシステム  
代理人 植田 吉伸  
代理人 植田 吉伸  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ