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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N |
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管理番号 | 1359078 |
審判番号 | 不服2018-17127 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-12-25 |
確定日 | 2020-01-16 |
事件の表示 | 特願2017- 77295「中継装置及びFAX送受信プログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 7月 6日出願公開、特開2017-121090〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年3月12日に出願した特願2013-49544号の一部を平成29年4月10日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成30年 1月26日付け:拒絶理由通知 同年 4月 4日 :手続補正、意見書の提出 同年 9月19日付け:拒絶査定 同年12月25日 :審判請求 第2 本願発明 本願の請求項に係る発明は、平成30年4月4日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 なお、本願発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成A?構成Eと称する。 (本願発明) (A)ファクシミリ送信機能を有しない末端装置から私設網を介して複数のファクシミリ送信指示を受け付ける受付手段と、 (B)前記受付手段が受け付けた前記複数のファクシミリ送信指示に基づいて、公衆網を介して外部に順次ファクシミリ送信するファクシミリ通信手段と、 (C)前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前に、前記ファクシミリ送信が現在通信中であることを示す情報、前記ファクシミリ送信の成功を示す情報、及び前記ファクシミリ送信の失敗を示す情報を含む、通信結果情報を作成する作成手段と、 (D)前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前に、前記作成手段が作成した前記通信結果情報を前記受付手段がファクシミリ送信指示を受け付けた前記末端装置に送信する送信手段とを有する (E)中継装置。 第3 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の理由1は、概略、以下のとおりである。 (理由1)この出願の請求項1?11に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 ・請求項 1?4、7、11 ・引用文献等 1?5 ・請求項 5 ・引用文献等 1?6 ・請求項 6 ・引用文献等 1?5、7 ・請求項 8 ・引用文献等 1?5、8?9 ・請求項 9?10 ・引用文献等 1?5、10 <引用文献等一覧> 1.特開平11-150557号公報 2.特開平3-104376号公報 3.特開2004-193954号公報 4.特開平10-243151号公報 5.特開2005-223947号公報 6.特開平5-14582号公報 7.特開平3-195239号公報 8.特開平6-311282号公報 9.特開平5-284273号公報 10.特開2004-356826号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1 (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開平11-150557号公報には、蓄積型通信装置に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。 ア「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、通信端末から通信回線を介して入出力された情報を蓄積し、この情報を複数の宛先に同報配送を行う蓄積型通信処理の方法およびそのための装置に関するものである。より詳細には、同報配送に関わる宛先を通知する方法およびその方法に基づいて同報配送を行う蓄積型通信方法および装置に関するものである。」 イ「【0027】最初に、通信回線を介して発信者通信端末(送信元通信端末)から送信データを電子メールの手順で受信部1で着信する。電子メールとは、SMTP(RFC821)やPOP3(RFC1939)などのプロトコルを用いたデータの送受信方法である。なお、SMTPはSimple Mail TransferProtocolを、POP3はPost Office ProtocolVersion3を、RFCはRequest for Commentsを表している。通信開始時に受信部1は、送信データの中に送信宛先のリストを持っているかどうか否かを判別する。この判別は、本実施形態例では、送信元通信端末からの電子メールの送信フィールドに記述されるダイヤル手順からサービスの種類を受信部1が読み取ることにより行われる。 【0028】受信部1が送信データの中に送信宛先のリストを持っていると判定した場合に、宛先リスト抽出部3に送信データを送る。宛先リスト抽出部3は、送信データから宛先のリストを取り出して、宛先リスト管理部4に送り、次に送信データから送信先のリストを削除し、送信データを画像変換部5に流す。」 ウ「【0030】図3に、送信データの例と、その中に含まれる送信先のリストと送信内容(画像情報)を取り出した例を示す。図2の例では、送信データの先頭に宛先リストが含まれているので、この部分は宛先リスト管理部4に送る。宛先リスト管理部4では、送信先のFAX番号を記載したリストを作成し、送信部7に送る。 【0031】図4は、第1頁に送信先のリストのファイルが格納され、第2頁と第3頁に画像情報が格納される例である。受信部1が送信データのファイルに宛先リストのファイルが添付、同封されていると判定した場合には、宛先リスト抽出部3は送信データの第1頁から送信宛先のリストを取り出して、宛先リスト管理部4に送り、次に送信データから第1頁の送信宛先のリストのファイルを削除し、第2頁以降のデータを画像変換部5に流す。 【0032】画像変換部5では、宛先リスト抽出部3から送られた宛先リストの削除された送信データを、ファクシミリ通信で使用するT.4形式の画像情報に変換する。変換された画像情報は、データ蓄積部6に蓄積される。 【0033】次に、送信部7が、宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎に、データ蓄積部6に蓄積されている送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する。 【0034】この送信の後、予め、送信元通信端末に対し送信結果通知を行うことが指定されていれば、通信管理部2は、送信部7での宛先リストの中の各宛先への送信の状況の情報をまとめ、まとめた情報に基づいて送信結果通知文を作成し、送信部7を介して送信元通信端末に送信する。図6に、送信結果通知文の一例を示す。この例では、通信番号、受付日時、宛先リストの送信先別の送信結果が送信状況の管理結果として通知される。」 エ「[図6] 」 (2)引用文献1に記載された発明 引用文献1に記載された発明を以下に認定する。 ア 上記(1)アによれば、引用文献1には、「通信端末から通信回線を介して入出力された情報」を、「複数の宛先に同報配送を行う蓄積型通信装置」が記載されている。 イ 上記(1)イによれば、引用文献1の「受信部1」は、「通信回線を介して発信者通信端末(送信元通信端末)から送信データを電子メールの手順で」着信すること、及び、「送信データの中に送信宛先のリストを持っていると判定した場合に、宛先リスト抽出部3に送信データを送る」ことが記載されている。 よって、これらを統合すると、引用文献1には、「通信回線を介して、発信者通信端末(送信元通信端末)から送信データを電子メールの手順で着信し、送信データの中に送信宛先のリストを持っていると判定した場合に、宛先リスト抽出部3に送信データを送る受信部1」が記載されている。 ウ 上記(1)イによれば、引用文献1の「宛先リスト抽出部3」は、「送信データから宛先のリストを取り出して」、「宛先リスト管理部4」に送ること、そして、「送信データから送信先のリストを削除し、送信データを画像変換部5に流す」ことが記載されている。 エ 上記(1)ウによれば、引用文献1の「宛先リスト管理部4」は、「送信先のFAX番号を記載したリストを作成し、送信部7に送る」ことが記載されている。 オ 上記(1)ウによれば、引用文献1の「画像変換部5」は、「宛先リスト抽出部3から送られた宛先リストの削除された送信データを、ファクシミリ通信で使用するT.4形式の画像情報に変換する」ことが記載されている。 カ 上記(1)ウによれば、引用文献1の「送信部7」は、「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎」に、「送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことが記載されている。 キ 上記(1)ウによれば、引用文献1の「通信管理部2」は、上記カの「送信部7」による送信の後、「送信部7での宛先リストの中の各宛先への送信の状況の情報をまとめ、まとめた情報に基づいて送信結果通知文を作成し、送信部7を介して送信元通信端末に送信する」ことが記載されている。さらに、上記(1)ウによれば、当該送信結果通知文には、「宛先リストの送信先別の送信結果が送信状況の管理結果として通知される」ことが記載されている。 上記(1)エによれば、当該送信結果通知文は、通信番号、受付日時の下欄に、「送信先」と「送信結果」の項目名が記載され、該「送信先」の下に「03- ……」、「03- ‥‥」、「03- ‥‥」、「0468- ‥‥」及び「0468- ‥‥」と記載され、該「送信結果」の下に「成功」、「成功」、「成功」、「成功」及び「成功」と記載されている。ここで、「成功」は、宛先リストの送信先別の送信結果である「成功を示す情報」と認められる。 よって、これらを統合すると、引用文献1には、上記カの「送信部7」による送信の後、「送信部7での宛先リストの中の各宛先への送信の状況の情報をまとめ、まとめた情報に基づいて送信結果通知文を作成し、送信部7を介して送信元通信端末に送信する通信管理部2であって、送信結果通知文には、宛先リストの送信先別の送信結果である成功を示す情報を含む、通信管理部2」が記載されている。 ク まとめ 以上によれば、引用文献1には、以下のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 なお、引用発明の各構成の符号(a)?(g)は、説明のために付与したものであり、以下、構成a?構成gと称する。 (引用発明) (a)通信回線を介して、発信者通信端末(送信元通信端末)から送信データを電子メールの手順で着信し、送信データの中に送信宛先のリストを持っていると判定した場合に、宛先リスト抽出部3に送信データを送る受信部1と、 (b)送信データから宛先のリストを取り出して、宛先リスト管理部4に送り、送信データから送信先のリストを削除し、送信データを画像変換部5に流す宛先リスト抽出部3と、 (c)送信先のFAX番号を記載したリストを作成し、送信部7に送る宛先リスト管理部4と、 (d)宛先リスト抽出部3から送られた宛先リストの削除された送信データを、ファクシミリ通信で使用するT.4形式の画像情報に変換する画像変換部5と、 (e)宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する送信部7と、 (f)この送信の後、送信部7での宛先リストの中の各宛先への送信の状況の情報をまとめ、まとめた情報に基づいて送信結果通知文を作成し、送信部7を介して送信元通信端末に送信する通信管理部2であって、送信結果通知文には、宛先リストの送信先別の送信結果である成功を示す情報を含む、通信管理部2、とを有する (g)通信端末から通信回線を介して入出力された情報を、複数の宛先に同報配送を行う蓄積型通信装置。 2 引用文献2 (1)引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開平3-104376号公報には、蓄積交換装置に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。 ア「本発明は、発信元データ通信端末より送信された例えばファクシミリデータなどのデータを受信し、この受信したデータを上記発信元データ通信端末が指示する複数の送信先データ通信端末に対して順次送信する中継同報機能を有した例えば蓄積交換装置などのデータ通信装置に関する。」(第1頁右下欄第4行?第9行) イ「ところで、主制御部1は例えばマイクロコンピュータを主制御回路として有するものであり、蓄積交換装置としての周知の一般的な制御手段に加えて、通知表作成手段1aと、通知表送信手段1bとを有している。ここで通知表作或手段1aは、同報受付け票や同報結果票の作成および、同報通信中においてそれまでの通信状況に関する情報(以下、同報配信状況と称する)を表す同報配信状況票を作成する。また通知表送信手段1bは、通知表作成手段1aによって作成された通知表(同報受付け票および同報結果票、同報配信状況票)を発信元ファクシミリ端末に送信する。従って、通知表作成手段1aおよび通知表送信手段1bは、発信元に対して通信状況情報を通知する通信状況情報通知手段としての機能を有している。」(第3頁右上欄第7行?左下欄第1行) ウ「ここで例えば第4図中のファクシミリ端末TE1から発呼があり、同報通信の依頼がなされると、主制御部1は処理をステップbに移行し、このステップbにおいてファクシミリ端末TE1から送られてくるファクシミリ情報(同報原稿)の受信を行う。なお、この受信した同報原稿は、メモリ6へと格納される。」(第3頁左下欄第13行?第19行) エ「つづいて、主制御部1はステップeにおいて、宛先ファクシミリ端末のうちの一つのファクシミリ端末を配信を行うファクシミリ端末(以下、配信宛先と称する)に決定(例えば、ファクシミリ端末TE2→ファクシミリ端末TE3→ファクシミリ端末TE4→ファクシミリ端末TE2の順番に設定されており、最初はファクシミリ端末TE2に決定される)し、次にステップfにおいて配信宛先に対する同報原稿の配信を行う。そしてステップgにおいて正常に配信できたか否かの判断を行う。」(第3頁右下欄第9行?第19行) オ「ここで、全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了していたら、主制御部1はステップlにおいて、通知表作成手段1aによって同報結果票(ファクシミリ情報の形態)を作成し、この作成した同報結果票を通知表送信手段1bによって送信制御部2,通信制御装置4,公衆通信網41を介して発信元ファクシミリ端末TE1へと送信する。これにより、発信元ファクシミリ端末TE1では同報結果票が画像として出力される。 一方、ステップhにおいて、全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了していないと、主制御部1は処理をステップdに移行し、このステップdにおいて自己の有するタイマを参照して配信状況表出力タイムが経過しているか否かの判断を行う。この配信状況表出力タイミングは、同報通信の開始時点および前回の配信状況票送信時点から所定時間が経過した時点である。なおこの所定時間は、発信元ファクシミリ端末TE1や入力部7からのコマンド入力によって任意に設定される。 ステップdにおいて、配信状況表出力タイミングではなかった場合、主制御部1はステップeにおいて配信宛先を前述した順番に従って次の宛先ファクシミリ端末に変更したのち、ステップf以降の処理を繰返す。 一方、ステップdにおいて配信状況表出力タイムであると、主制御部1は処理をステップmに移行し、このステップmにおいて、通知表作成手段1aによって同報配信状況票(ファクシミリ情報の形態)を作成し、この作成した同報配信状況票を通知表送信手段1bによって送信制御部2,通信制御装置4,公衆通信網41を介して発信元ファクシミリ端末TE1へと送信する。これにより、発信元ファクシミリ端末TE1では例えば第3図に示すような同報配信状況票が画像として出力される。こののち、主制御部1はステップd以降の処理を繰返す。なお、第3図中において、31で示される部分は未配信の宛先ファクシミリ端末を表わしており、ファクシミリ端末TE2は前回の配信は通信エラーによって配信ができず、またファクシミリ端末TE4はビジーであるために配信ができなかった旨を示している。」(第4頁右上欄第1行?右下欄第1行) カ「第2図 」 キ「第3図 」 (2)引用文献2に記載された技術 上記(1)によれば、引用文献2には、以下の技術(以下、「文献2技術」という。)が記載されていると認められる。 (文献2技術) 発信元データ通信端末より送信されたファクシミリデータなどのデータを受信し、この受信したデータを上記発信元データ通信端末が指示する複数の送信先データ通信端末に対して順次送信する中継同報機能を有した蓄積交換装置において、 ファクシミリ端末TE1から発呼があり、同報通信の依頼がなされると、ファクシミリ端末TE1から送られてくるファクシミリ情報(同報原稿)の受信を行い、 宛先ファクシミリ端末のうちの一つのファクシミリ端末を配信を行うファクシミリ端末(以下、配信宛先と称する)に決定し、配信宛先に対する同報原稿の配信を行い、 全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了していたら、同報結果票(ファクシミリ情報の形態)を作成し、この作成した同報結果票を発信元ファクシミリ端末TE1へと送信する一方、全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了していないと、かつ、配信状況表出力タイムであると、同報配信状況票を作成し、この作成した同報配信状況票を発信元ファクシミリ端末TE1へと送信し、 ここで、当該同報配信状況票は、ファクシミリ端末TE2は前回の配信は通信エラーによって配信ができず、また、ファクシミリ端末TE4はビジーであるために配信ができなかった旨を示す、技術。 3 引用文献4 (1)引用文献4の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用された特開平10-243151号公報には、データ通信装置に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付したものである。 ア「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、データ処理端末と接続可能なデータ通信装置、そのデータ処理端末の制御方法及びプログラムを格納した記憶媒体に関するものである。」 イ「【0012】(第1の実施形態)図1は、本発明の実施形態例であるPCとファクシミリ装置(点線内)を接続したシステムの構成を示すブロック図である。 ウ「【0020】また、このファクシミリ装置は操作部112からの指示に基づくファクシミリデータの送信の他に、PCi/f117を介してPC118からの送信指示コマンドを受け取ることにより通信回線119を介してファクシミリデータの送信を実行可能である。」 エ「【0024】各通信毎に固有の送信受付番号と送信受付時刻を設定した後(ステップS6)、スキャナ111の原稿台上の原稿の画像を読み取り、通信回線119を介してITU-TのT.30に従い、ステップS5で確定した宛先にファクシミリデータスキャナ111で読み取った画像データの送信を行う(ステップS7)。送信終了後、送信情報をPCインターフェース117を経由してPC118に自動的に通知する(ステップS8)。 【0025】送信情報通知は、送信後に一括して通知しても良いし、送信状態が変化する毎に、例えばダイヤル開始、前手順開始、各ページの画像データ送信開始、通信終了などのタイミングで逐時、必要な情報を通知する方法でも良い。 【0026】図3は図2のステップS8における送信情報通知処理の流れを示すフローチャートである。 【0027】通知のタイミングはRAM103に予め設定しておくものとし、送信終了後に一括して通知するよう設定されている場合は全ての送信情報を一度にPC118に通知し、送信状態が変化する毎に逐時通知するよう設定されている場合は通知すべき送信情報が一つ確定する毎に一つずつPC118に通知する。 【0028】まず、送信宛先に関する情報、送信開始時刻および終了時刻、通信時間、通信結果(OKまたはNG)、送信ページ数などの通知すべき送信情報のうち確定しているものをRAM103内の通知データバッファにセットする(ステップS11)。送信情報に送信画像データを含めるか否かの設定をチェックする(ステップS12)。送信画像データも通知(転送)する設定である時は通知データバッファに送信画像データの識別情報をセットする(ステップS13)。」 オ「【0032】図4はPC118による処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートはPC118のハードディスクにインストールされたプログラムに基づきPC118のCPUにより実行される処理の流れを示すものである。 【0033】まず、PCi/fを介してファクシミリ装置にコマンドを送出する(ステップS21)。このコマンドが送信要求コマンドであれば送信画像データ、宛先情報等をファクシミリ装置に転送し送信画像データを宛先に送信させる(ステップS22)。 【0034】一方、コマンドがポーリングコマンドであった場合はファクシミリ装置のRAM103の所定エリアの情報を確認する。ここではRAM103内で種々の情報や装置の状態に変化があったか否かを示す情報を確認し、あれば該当する情報を引き出すものである。 【0035】ステップS23ではローカル送信情報、つまりファクシミリ装置の操作部112からの指示に基づく送信に関する情報であるか否かを判断し、あればこの情報を取得し(ステップS24)、PC118のハードディスクにローカル送信かリモート送信かの情報とともに前述のような送信情報を記憶する(ステップS25)。 【0036】ステップS26ではリモート送信情報、つまりPC118からの送信要求コマンドに基づく送信に関する情報であるか否かを判断し、前述の如く送信情報の取得(ステップS27)、及び記憶(ステップS28)を行う。 【0037】ステップS25、28で記憶した情報は必要に応じてディスプレイに表示させたりプリンタでプリントアウトさせたりすることが可能である。」 カ「【0041】図6は図5に示したファクシミリ装置を接続したネットワークの構成を示す図である。 【0042】201は、図5に示したファクシミリ装置であり、直接有線LAN124および無線LAN125に接続可能なファクシミリ装置である。 【0043】202は、ファクシミリ装置201の接続されているLANのサーバマシンであり、大容量の記憶装置内でLANおよびLAN上のファイルの管理を行う。またLAN上のクライアントまたはユーザの管理プロセスとデータもこのサーバマシン上におかれる。 【0044】203および204は、有線LAN124に接続されたパーソナルコンピュータ等のクライアントマシン(情報処理端末)である。 【0045】205は、クライアントマシンからのプリント要求を受け付け、プリンタにプリントすべきデータを出力する制御を行うプリンタサーバであり、206は画像データを可視画像として記録紙上に出力するプリンタである。 【0046】207は、無線LAN125に接続されたクライアントマシンである。 【0047】208はPSTN119を通してファクシミリ装置201と通信を行うファクシミリ装置である。 【0048】209は、無線基地局であり、ファクシミリ装置201と無線回線128を通してファクシミリの通信を行う。また、無線基地局209はPSTN119経由で有線通信回線網と接続される。」 キ「【0059】図10はサーバマシン202のCPUが該サーバマシン202が備えた記憶装置にインストールされたプログラムデータに基づき実行する制御の流れを示すフローチャートである。 【0060】ステップS61では有線LANi/f122または無線LANi/f123を介してLAN上のクライアントマシンからのコマンドを受信したか判断する。コマンドを受信すると、そのコマンドが送信要求か判断し(ステップS62)、送信要求であれば送信すべきデータとともに送信要求データをファクシミリ装置201に転送する(ステップS69)。」 ク「【0069】ここで表示させる送信情報は各属性に従って検索可能なように記憶されており、例えば受付番号の入力や送信宛先の入力等、種々の方法での検索により指定可能である。また、各属性に条件をつけてソートして表示させることも可能である。またこのとき、ファクシミリ装置201の操作部112からの操作によるローカル送信かクライアントマシンからのこのアプリケーションプログラムを用いたコマンドにより画像情報をファクシミリ装置201に転送して相手先へ送信させるリモート送信かを示す情報も表示させる。」 ケ「[図6] 」 (2)引用文献4に記載された技術 上記(1)ア?オ、及び、上記(1)カ?ケのそれぞれによれば、引用文献4には、以下の各技術(以下、それぞれ、「文献4-1技術」及び「文献4-2技術」という。)が記載されていると認められる。 (文献4-1技術) PCとファクシミリ装置を接続したシステムにおいて、 ファクシミリ装置は、PC118からの送信指示コマンドを受け取ることにより通信回線119を介してファクシミリデータの送信を実行可能であり、 画像データの送信終了後、送信情報をPC118に自動的に通知し、 ここで、当該信情報通知は、送信後に一括して通知しても良いし、送信状態が変化する毎に、逐時、必要な情報を通知する方法でも良く、 送信状態が変化する毎に逐時通知するよう設定されている場合は、送信開始時刻および終了時刻などの通知すべき送信情報が一つ確定する毎に一つずつPC118に通知し、 PC118は、ファクシミリ装置にコマンドを送出し、このコマンドが送信要求コマンドであれば送信画像データ、宛先情報等をファクシミリ装置に転送し送信画像データを宛先に送信させ、 PC118からの送信要求コマンドに基づく送信に関する送信情報の取得、及び記憶を行い、 記憶した情報は必要に応じてディスプレイに表示させたりプリンタでプリントアウトさせたりする技術。 (文献4-2技術) 有線LAN124に接続されたファクシミリ装置201と、 ファクシミリ装置201の接続されているLANのサーバマシン202と、 有線LAN124に接続されたパーソナルコンピュータ等のクライアントマシン(情報処理端末)203、204と、 PSTN119を通してファクシミリ装置201と通信を行うファクシミリ装置208とを備え、 サーバマシン202は、LAN上のクライアントマシンからのコマンドを受信すると、そのコマンドが送信要求であれば、送信すべきデータとともに送信要求データをファクシミリ装置201に転送することで、クライアントマシンから、画像情報をファクシミリ装置201に転送して相手先へ送信させる技術。 第5 対比 本願発明と、引用発明を対比する。 1 構成Aについて (1)構成aの「発信者通信端末(送信元通信端末)」及び構成fの「送信元通信端末」(以下、まとめて「送信元通信端末」ということがある)は端末であり、端末とは、ネットワークに接続されたシステムにおいて末端に位置する装置であるから、構成Aの「末端装置」に相当する。 (2)ここで、当該「送信元通信端末」が、ファクシミリ送信機能を有しないものであるのか否かについて、引用発明は明示的に特定していない。 しかしながら、引用発明の「蓄積型通信装置」が、構成dの画像変換部5により、「宛先リストの削除された送信データを、ファクシミリ通信で使用するT.4形式の画像情報に変換する」処理、及び、構成eの送信部7により、「送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」処理を行っていることを考慮すると、当該「送信元通信端末」は、ファクシミリ送信機能を有しないものであることは、当業者には明らかである。 してみると、上記(1)より、構成aの「発信者通信端末(送信元通信端末)」及び構成fの「送信元通信端末」は、「ファクシミリ送信機能を有しない末端装置」であるといえる。 (3)構成aの受信部1が、電子メールの手順で着信する「送信データ」は、その中に「送信宛先のリストを持っている」と判定された場合、当該「送信宛先のリスト」に基づき、構成cの宛先リスト管理部4が「送信先のFAX番号を記載したリスト」を作成し、構成eの送信部7において、「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことが行われるから、複数のファクシミリ送信指示であるといえ、また、構成aの当該「受信部1」は、それを受け付ける受付手段であるといえる。 (4)してみると、上記(2)及び(3)より、構成aは、「ファクシミリ送信機能を有しない末端装置から、複数のファクシミリ送信指示を受け付ける受付手段」であるという点で、構成Aと共通する。 (5)しかしながら、構成aの「複数のファクシミリ送信指示」の受け付けが、本願発明は、私設網を介してなされるのに対して、引用発明は、「通信回路を介して」、「電子メールの手順」で着信することが特定されるのみであり、当該通信回路が私設網であるのか否かについて、明示されていない点で相違する。 2 構成Bについて (1)構成eの「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことは、「外部に順次ファクシミリ送信する」という点で、構成Bと一致する。 (2)ここで、当該「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号」は、構成cの宛先リスト管理部4により、「送信先のFAX番号を記載したリスト」を作成することで得られるものであり、当該「送信先のFAX番号を記載したリスト」は、構成bの宛先リスト抽出部3により、「送信データから宛先のリストを取り出して」宛先リスト管理部4に送られたものから作成されたものである。 すなわち、上記「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号」は、構成aの「送信データ」から得られるものである。 (3)そして、当該「送信データ」は、上記1(3)より、複数のファクシミリ送信指示であるといえ、また、それを受け付ける手段が構成aの「受信部1」であるから、構成eの「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号」毎に、「送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことは、「前記受付手段が受け付けた複数のファクシミリ送信指示に基づいて」、「送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことであるといえる。 (4)してみると、上記(1)及び(3)より、構成eの「宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ことは、「前記受付手段が受け付けた前記複数のファクシミリ送信指示に基づいて」、「外部に順次ファクシミリ送信する」という点で、構成Bと一致する。 (5)また、構成eの「送信部7」は、「各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」ものであるから、「ファクシミリ通信手段」であるという点で、構成Bと一致する。 (6)構成eの「外部に順次ファクシミリ送信する」ことを、公衆網を介して行うのか否かについて、引用発明は明示的に特定していない。 しかしながら、引用発明は、構成dの画像変換部5により、「宛先リストの削除された送信データ」を、公衆網を介したファクシミリ通信でも使用する「T.4形式の画像情報に変換する」処理を行い、構成eの送信部7により、「各宛先のファクシミリ番号毎に、送信データの内容(画像情報)を相手先のファクシミリ端末に送信する」処理を行っていることを考慮すると、引用発明が、公衆網を介して「外部に順次ファクシミリ送信する」ものといえることは、当業者には明らかである。 (7)してみると、上記(4)?(6)より、構成eは、「前記受付手段が受け付けた前記複数のファクシミリ送信指示に基づいて、公衆網を介して外部に順次ファクシミリ送信するファクシミリ通信手段」といえる。 したがって、構成eは、構成Bと一致する 3 構成Cについて (1)構成fの「送信結果通知文」は、「送信部7での宛先リストの中の各宛先への送信の状況の情報をまとめ、まとめた情報に基づいて」作成されるものであり、「送信」は通信であるから、「通信結果情報」であるといえ、また、構成fの通信管理部2は、それを作成しているという点で、「通信結果情報を作成する作成手段」であるといえる。 そして、当該「送信結果通知文」は、「宛先リストの送信先別の送信結果である成功を示す情報を含む」ものであり、かつ、当該送信は、構成eより、ファクシミリ送信であるから、「ファクシミリ送信の成功を示す情報を含む、通信結果情報」であるといえる。 してみると、構成fは、「ファクシミリ送信の成功を示す情報を含む、通信結果情報を作成する作成手段」であるという点で、構成Cと共通する。 (2)しかしながら、当該通信結果情報の作成が、本願発明は、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのに対し、引用発明は、構成fの「この送信の後」、すなわち、構成eの送信の後であることが特定されるのみで、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのか否かについては、明示的に特定されていない点で相違する。 また、当該通信結果情報が、本願発明は、上記「ファクシミリ送信の成功を示す情報」以外に、「前記ファクシミリ送信が現在通信中であることを示す情報」及び「前記ファクシミリ送信の失敗を示す情報」を含んでいるのに対し、引用発明は、それらを含んでいない点で相違する。 4 構成Dについて (1)構成fの通信管理部2は、送信結果通知文を「送信部7を介して送信元通信端末に送信する」ものである。 ここで、当該送信元通信端末は、上記1(1)より、「末端装置」であり、かつ、上記1(4)より、「受付手段がファクシミリ送信指示を受け付けた末端装置」であるといえる。 してみると、構成fの通信管理部2、及び、構成eの送信部7は、送信結果通知文を「受付手段がファクシミリ送信指示を受け付けた末端装置に送信する」ものであるという点で、構成Dと共通する。 (2)また、上記(1)の当該送信結果通知文は、上記3(1)より、「作成手段が作成した通信結果情報」であるといえる。 してみると、上記(1)より、構成f及び構成eは、「作成手段が作成した前記通信結果情報を前記受付手段がファクシミリ送信指示を受け付けた前記末端装置に送信する送信手段」であるという点で、構成Dと共通する。 (3)しかしながら、当該通信結果情報の送信が、本願発明は、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのに対し、引用発明は、構成fの「この送信の後」、すなわち、構成eの送信の後であることが特定されるのみで、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのか否かについては、明示的に特定されていない点で相違する。 5 構成Eについて 構成gの「蓄積型通信装置」は、通信端末と、複数の宛先のファクシミリとを、中継する装置であるといえるから、構成Eの「蓄積型通信装置」と一致する。 6 したがって、本願発明と引用発明とは、次の点で一致及び相違する。 [一致点] (A’)ファクシミリ送信機能を有しない末端装置から、複数のファクシミリ送信指示を受け付ける受付手段と、 (B)前記受付手段が受け付けた前記複数のファクシミリ送信指示に基づいて、公衆網を介して外部に順次ファクシミリ送信するファクシミリ通信手段と、 (C’)ファクシミリ送信の成功を示す情報を含む、通信結果情報を作成する作成手段と、 (D’)前記作成手段が作成した前記通信結果情報を前記受付手段がファクシミリ送信指示を受け付けた前記末端装置に送信する送信手段とを有する (E)中継装置。 [相違点] (相違点1) 「複数のファクシミリ送信指示」の受け付けが、本願発明は、私設網を介してなされるのに対して、引用発明は、「通信回路を介して」、「電子メールの手順」で着信することが特定されるのみであり、当該通信回路が私設網であるのか否かについて、明示されていない点。 (相違点2) 通信結果情報の作成が、本願発明は、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのに対し、引用発明は、構成eの送信の後であることが特定されるのみで、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのか否かについては、明示的に特定されていない点。 (相違点3) 通信結果情報が、本願発明は、「前記ファクシミリ送信が現在通信中であることを示す情報」を含んでいるのに対し、引用発明は、その情報を含んでいない点。 (相違点4) 通信結果情報が、本願発明は、「前記ファクシミリ送信の失敗を示す情報」を含んでいるのに対し、引用発明は、その情報を含んでいない点。 (相違点5) 通信結果情報の送信が、本願発明は、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのに対し、引用発明は、構成eの送信の後であることが特定されるのみで、「前記ファクシミリ通信手段が前記複数のファクシミリ送信指示の全てについてファクシミリ送信を完了するより前」であるのか否かについては、明示的に特定されていない点。 第6 判断 以下、相違点について検討する。 1 相違点について (1)相違点1について 文献4-2技術によれば、ファクシミリ通信を行う装置において、LANで接続された情報処理端末であるクライアントマシンから、送信すべきデータとともに送信要求データが転送される技術が公知のものである。 引用発明と文献4-2技術とはいずれも、ファクシミリ通信を行う装置において、情報処理端末からファクシミリ送信指示を受け取るものという点で共通するから、引用発明において、「複数のファクシミリ送信指示」である「送信データ」を、LANすなわち私設網を介して着信するようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (2)相違点2、4、5について 文献2技術によれば、発信元データ通信端末より送信されたファクシミリデータなどのデータを受信し、この受信したデータを上記発信元データ通信端末が指示する複数の送信先データ通信端末に対して順次送信する中継同報機能を有した蓄積交換装置において、全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了していないと、かつ、配信状況表出力タイムであると、すなわち、全宛先ファクシミリ端末に対する配信が終了する前に、同報配信状況票を作成し、作成した同報配信状況票を発信元ファクシミリ端末TE1へと送信し、当該同報配信状況票は、ファクシミリ端末TE2は前回の配信は通信エラーによって配信ができず、また、ファクシミリ端末TE4はビジーであるために配信ができなかった旨、すなわち、失敗した旨を含むものとする技術が公知のものである。 引用発明と文献2技術とはいずれも、ファクシミリ通信を行う装置において、送信元の端末から受信したデータを、複数の送信先に対して同報配信を行い、その状況を示す情報を作成し、当該送信元の端末に送信するものという点で共通する。 してみると、引用発明において、「通信結果情報」である「送信結果通知文」の作成及び送信を、送信部7が、宛先リスト管理部4から受け取った宛先リストに記載されている全宛先のファクシミリ番号への送信データの内容(画像情報)の送信が終了する前に行うようにすること、また、当該「送信結果通知文」に、宛先リストの送信先別の送信結果である失敗を示す情報を含めるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (3)相違点3について 文献4-1技術によれば、PC118と、PC118からの送信指示コマンドを受け取ることによりファクシミリデータの送信を実行可能なファクシミリ装置とを接続したシステムにおいて、PC118からの送信要求コマンドに基づく送信に関する送信情報であって、送信開始時刻および終了時刻などの通知すべき送信情報が、一つ確定する毎に一つずつPC118に通知し、必要に応じてディスプレイに表示させたりプリンタでプリントアウトさせる技術が公知のものである。 ここで、上記「送信開始時刻」及び「終了時刻」を含む送信情報は、一つ確定する毎に一つずつPC118に通知されるのであるから、「送信開始時刻」が確定し、かつ、「終了時刻」が確定していない時刻における送信情報は、ファクシミリ装置が、現在通信中であることを示す情報であるといえる。 そして、引用発明と文献4-1技術とはいずれも、ファクシミリ通信を行う装置において、情報処理端末からファクシミリ送信指示を受け取り、ファクシミリ送信に関する情報を当該情報処理端末に送信するものという点で共通するから、引用発明において、「通信結果情報」である「送信結果通知文」に、宛先リストの送信先別の送信結果として、確定した「送信開始時刻」又は「終了時刻」を含め、かつ、それらが一つ確定する毎に一つずつ送信するようにして、相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 2 効果等について 本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものではない。 3 まとめ 以上のように、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2及び4に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明、及び、引用文献2及び4に記載された技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-11-15 |
結審通知日 | 2019-11-19 |
審決日 | 2019-12-02 |
出願番号 | 特願2017-77295(P2017-77295) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮島 潤 |
特許庁審判長 |
鳥居 稔 |
特許庁審判官 |
菊池 智紀 渡辺 努 |
発明の名称 | 中継装置及びFAX送受信プログラム |
代理人 | 特許業務法人平田国際特許事務所 |