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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41M
管理番号 1359185
審判番号 不服2018-10751  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-06 
確定日 2020-01-23 
事件の表示 特願2014-128619「画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月18日出願公開、特開2016- 7737〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成26年6月23日の出願であって、平成29年12月28日付けで拒絶理由が通知され、平成30年3月15日に意見書の提出とともに手続補正がなされ、同年5月9日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、同年8月6日に拒絶査定不服審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。
その後、令和元年8月16日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月17日に意見書の提出とともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされた。


2 本件発明
本願の請求項1?4に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定されるとおりのものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、以下のとおりである。
「 光硬化型インクである第1のインクを被記録媒体上に穴あき状態になるように吐出し、光を照射して上記第1のインクを硬化させることで第1の下地層を形成する第1の下地層形成工程、
ここで、上記穴あき状態とは被記録媒体上に吐出された紫外線硬化型インクの液滴の密度が不均一化され、第1のインクによって形成される第1の下地層の平滑度合いが被記録媒体上において不均一になる状態であり、
当該第1の下地層形成工程を複数回行なうことにより、大きな凹凸を、間引き処理を行なった印刷データに従って、当該凹凸の大きさを調整するようにして形成する;と、
上記第1の下地層が形成された上記被記録媒体上に第2のインクを吐出することで、第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しつつ、第1の下地層の表面における上記大きな凹凸より細かい凹凸を解消する第2の下地層を形成する第2の下地層形成工程;と、
上記第2の下地層上にカラーインクを吐出し、カラーインク層を形成するカラーインク層形成工程;と、
を包含し、
上記第2のインクは光硬化型インクであって、
上記第2の下地層形成工程では、上記第2のインクを吐出した後、光を照射して上記第2のインクを、上記細かい凹凸を解消する程度の流動性を保持しつつ、上記第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しながら上記第2のインクが印刷領域から流出しない程度に増粘させるように仮硬化させ、
更に光を照射することで、仮硬化した上記第2のインクを完全に硬化させることを特徴とする画像形成方法。」


3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の理由2(進歩性)の概要は、本願の請求項1?4に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

なお、当審拒絶理由の理由2において引用された引用文献は、次のとおりであり、主引用例は引用文献1であり、引用文献2は副引用例、引用文献3から引用文献6は、周知技術を例示する文献である。
引用文献1:特開2013-193434号公報
引用文献2:国際公開第2011/099560号
引用文献3:特開2012-192652号公報
引用文献4:国際公開第2014/065096号
引用文献5:特開2004-306469号公報
引用文献6:特開2008-213151号公報


4 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本件出願前の平成25年9月30日に頒布された刊行物である引用文献1(特開2013-193434号公報)には、以下の記載事項がある。なお、合議体が発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。以下の文献でも同様である。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、形成画像面に立体画像のように高低差のある画像や油絵調画像のように凹凸のある画像を印刷された記録媒体に発生し勝ちな記録媒体の反りを抑制する印刷物、印刷方法、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に文字、絵、写真等(以下、一括して画像という)を印刷する装置としてインクジェットプリンタが知られている。一般に、インクジェットプリンタのインクの素材として、アクリル樹脂等の樹脂系のインクが用いられる。
【0003】
アクリル等の樹脂系のインクの材質と、このインクで画像を印刷されるパルプ系の用紙の材質とは、異なる材質であるため、印刷時の用紙の湿気、保存時の湿度環境の変化等により用紙に収縮が発生し、画像を形成しているインク面と用紙本体との間に収縮差を生じて、用紙に円弧形の反りや、極端な場合は円柱状に丸まる変形を引き起こすことがある。

(中略)

【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、形成画像面に立体画像のように高低差のある画像や油絵調画像のように凹凸のある画像を印刷された記録媒体に発生し勝ちな記録媒体の反りを抑制する印刷物、印刷方法、及び、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の印刷物は、高低差を有する印刷が一方の面に施された平板状の記録媒体の他方の面に、均一な高さの凸部が印刷されている、ように構成される。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の反り防止印刷方法は、高低差を有する印刷が施される平板状の記録媒体の一方の面とは反対側である他方の面に均一な高さの凸部を印刷し、次いで、上記平板状の記録媒体の一方の面に、上記高低差を有するように立体画像を印刷する、ように構成される。

(中略)

【発明の効果】
【0018】
本発明は、表面に立体画像や油絵調画像のように形成画像面に高低差や凹凸のある画像を印刷された記録媒体の印刷インクと記録媒体の材質の違いにより生じる反りを抑制するという効果を奏する。」

イ 「【実施例1】
【0021】
図1は、実施例1に係る反り防止印刷方法で印刷物を作成する画像形成装置の外観斜視図である。同図に示すように、画像形成装置1は、本体2及びヘッド移動部3を備えている。本体2は内部に詳しくは後述する制御部を備えている。

(中略)

【0024】
また、本体2の長手方向(ヘッド移動部3の移動方向)の側面には、インクカートリッジ挿入部6が形成されている。インクカートリッジ挿入部6には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、白(W)の紫外線硬化型アクリル系インク(以下、UVインクという)を収容した5個のインクカートリッジがそれぞれ着脱可能に装着される。

(中略)

【0028】
ヘッド部12は、中央部にヘッド本体13を備えている。ヘッド本体13は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインクをアート紙4の面に向けて吐出する4個のラインヘッド14(14c、14m、14y、14k)を備えている。なお、図1には白(W)のインクを吐出するラインヘッドの図示を省略している。

(中略)

【0040】
画像に凹凸を付けて印刷する技術としては、点字向け印刷、物理的押し出し法、3次元プリンタなどにより実現されている。ここでは、その一例としてUVインクによる重ね塗り方式を取り上げて簡単に説明する。
【0041】
図4(a)は、アート紙4と、その上に塗り重ね印刷して凹凸を形成する凹凸UVインク層50の各層の印刷データ(凹凸データ)、白UVインク層24の印刷データ、および、白の下地上に印刷するカラー画像21の画像データに対応するカラーUVインク層25の印刷データのそれぞれの平面展開模式図であり、図4(b)は、最終的に形成される凹凸付き画像の一部断面拡大図である。なお、実際には、凹凸UVインク層50をアート紙4の上面の一部のみに再現したい凹凸に対応するように設けるものであるが、図4(a)では、層構造を明確に示すため、凹凸UVインク層50をベタ印刷してアート紙4の上面全体に設けた場合を示している。また、図4(b)では、層構造を明確に示すため、凹凸UVインク層50、白UVインク層24、および、カラーUVインク層25の各層間に隙間を設けて、各層を分離して示している。
【0042】
図4(a)の平面展開図に示すように、最下部のアート紙4の上には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のUVインクを印刷することによって凹凸UVインク層50が形成される。図4(a)の例では、最大2層の塗り重ね印刷が行われることを示している。この際、各色のUVインクの消費量の偏りを避けるために、CMYKの4色のUVインクが凹凸の各層ごとに同時に使用される。
【0043】
この塗り重ね印刷後の凹凸面に、白UVインク層24が塗布(ベタ印刷)される。これで白い下地の凹凸面が形成される。この凹凸のある白色の下地面に、カラー画像21の画像データに対応するカラーUVインク層25が印刷される。これで図4(b)に示すように、画像面に凹凸のある立体画像又は油絵調画像(以下、一括して特殊画像という)26がアート紙4に形成される。
【0044】
図5は、上記のように構成されて上記のように動作する画像形成装置1の動作を制御する本体2の内部に備えられている制御部の構成を示す回路ブロック図である。同図に示すように、制御部27は、CPU(central processing unit)28を中心部に備えている。

(中略)

【0055】
図6は、上記構成の制御部27のCPU28により、図3(a),(b)及び図4(a),(b)で述べた通常のカラー画像を表面に凹凸のある特殊画像として印刷する処理の動作を説明するフローチャートである。
【0056】
先ず、画像形成装置1及び外付けの周辺機器に電源が投入され、画像形成装置1の印刷物載置面5に所望のサイズのアート紙4が載置され、通常画像データと特殊画像への印刷様式その他の指定がスイッチ操作部39からキー入力、あるいは第1ネットワーク接続部36に接続するホスト機器からの信号として入力されると、処理が開始される。
【0057】
処理が開始されると、先ず初期設定として、前述したようにヘッド移動部3が本体2の上部の印刷物載置面5に載置されたアート紙4のサイズに応じた最初の画像形成位置に移動して停止する。次にヘッド部12がヘッド支持部11の左端部まで移動して停止する。印刷に先立って、写真データ(通常画像データも含む)を元に、高低差のデータ(凹凸層データ)を含む立体画像データを生成する。本実施形態において、この凹凸層データは、印刷の高さを5段階で表現したデータである。なお、この立体画像データ生成処理は、少なくとも後述のステップ2よりも前に実行するとよい。
【0058】
そして、図6に示す処理が開始される。この処理では、先ず、画像形成装置1の印刷物載置面5に載置された状態のアート紙4の上面に均一な高さのリブを形成する(ステップS1)。リブの構造および形成方法については後述する。なお、アート紙4の一方の面、すなわち、画像形成装置1の印刷物載置面5に載置された状態のアート紙4の下面には立体画像が印刷されるが、これとは反対側の面(他方の面)にリブを形成する。アート紙4の他方の面にリブを形成し終えたら、アート紙4の上下面を入れ替えて、画像形成装置1の印刷物載置面5に載置する。そして再び、先ず初期設定として、前述したようにヘッド移動部3が本体2の上部の印刷物載置面5に載置されたアート紙4のサイズに応じた最初の画像形成位置に移動して停止する。次にヘッド部12がヘッド支持部11の左端部まで移動して停止する。このように、印刷画像を印刷する前に、アート紙4の他方の面に均一な高さのリブを形成することによって、続けて一方の面に立体画像を印刷すべくアート紙4の上下面を入れ替えたときに、アート紙4を画像形成装置1の印刷物載置面5に安定して載置することができる上、アート紙4の一方の面への印刷も安定して行うことができる。
【0059】
次に、立体画像データを第1層データから第5層データまで分割して印刷処理を開始する(ステップS2)。なお、この処理では、印刷領域に必ず第1層データから第5層データまで作成される分けではなく、凹凸層データに含まれる5段階で表現された印刷の高さに応じて、第1層のみ、第1層および第2層、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる。つまり最大で第5層までの印刷となる。
【0060】
続いて、第1層のみ、第1層および第2層、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる領域に対して、一層の高さ分のUVインクが塗布(吐出印刷)される(ステップS3)。この処理では、前述したように、ヘッド部12がヘッド支持部11の左端から右端方向へ移動しながら、ヘッド本体13の各ラインヘッド14のノズル列からUVインクを予め定められた一層の高さに応じて吐出する。
【0061】
また、このとき、これも前述したように、各色のUVインクの消費量の偏りを避けるための、CMYKの4色のUVインクが同時に使用される。
【0062】
続いて、紫外線照射してUVインクを硬化させる(ステップS4)。この処理では、前述したように、ヘッド本体13の移動方向上流側の紫外線照射部15a又は15bが発光駆動される。したがって、上記のようにヘッド部12が左端から右端へ移動しながらインクを吐出したときは、紫外線照射部15aが発光駆動される。
【0063】
次に、CPU28は、指定されている層までインクを塗布したか否かを判別する(ステップS5)。この処理では、ステップS2の処理で立体画像データが第1層データから第何層データまで分割されているかの分割数と、現在第何層まで塗布したかの塗布回数を比較する処理である。
【0064】
そして、まだ指定された層まで塗布していないときは(S5の判別がNo)、ステップS3の処理に戻って、ステップS3?S5の処理を繰り返す。この処理では、これも前述したように、ヘッド移動部3の副走査方向移動部8は静止したままで、ヘッド部12のみが駆動される。
【0065】
すなわち、2回目のUVインク塗布処理(ステップS3)では、第1層および第2層、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる領域に対して、一層の高さ分のUVインクが塗布(吐出印刷)され、続いて、UVインクに紫外線を照射してUVインクを硬化させる(2回目のステップS4)。同様に、3回目には、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる領域に対して、一層の高さ分のUVインクを塗布して、紫外線を照射する。以下、4回目、5回目についても同様である。
【0066】
やがて、ステップS5の判別で、指定されている層までインクを塗布したと判別されたときは(S5の判別がYes)、下地としての白UVインクを塗布する(ステップS6)。この処理では、凹凸の別なくアート紙4の全面に白UVインクがベタ印刷される。なお、CPU28は、上述のステップS2?S5を実行する立体画像印刷部として機能する。
【0067】
上記の白UVインクがベタ印刷に引き続き、紫外線照射によりUVインクを硬化させる(ステップS7)。この処理も、ヘッド本体13の移動方向上流側の紫外線照射部15a又は15bが発光駆動される。
【0068】
上記に続いて、上述の絵画表現層データである、元画像データに基づくフルカラーの印刷を行う(ステップS8)。この処理では、ステップS1で立体画像の元データとなった写真データに基づくフルカラーの印刷が実行される。
【0069】
そして、紫外線照射によりUVインクを硬化させる(ステップS9)。これにより、図4(b)に示した凹凸のある特殊画像がアート紙4上に実現する。なお、図4(b)に示した特殊画像の凹凸の層は、2層で構成されている。
【0070】
このように、本例の特殊画像印刷方法によれば、凹凸印刷のそれぞれの層ごとの印刷時にCMYKデータを使用するが、色にこだわらず、総体のインク塗布量により凹凸の程度を表現する。例えば、CMYKが全て100%の使用量のときは最高凸量、0%の時は凸無しの凹凸印刷結果になる。これが印刷ドットにより細かく打ち出される。」
なお、図4(a)、図4(b)、図5、図6は、以下に示すとおりのものである。


ウ 「【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、画像を印刷された記録媒体に発生し勝ちな記録媒体の反りを防止する反り防止印刷方法、それを用いた画像形成装置、及びその印刷物に利用することができる。」

(2)引用文献1に記載された発明
引用文献1の記載事項イに基づけば、引用文献1には、UVインクによる重ね塗り方式による画像に凹凸を付けて印刷する方法として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「各インクをアート紙の面に向けて吐出するラインヘッドを備える、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、白(W)の紫外線硬化型アクリル系インク(以下、UVインクという)を収容した5個のインクカートリッジが装着される画像形成装置で印刷物を作成する反り防止印刷方法において、アート紙の上面の一部のみに、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のUVインクを印刷することによって再現したい凹凸に対応するように凹凸UVインク層が形成される塗り重ね印刷が行われ、この塗り重ね印刷後の凹凸面に、白UVインク層が塗布(ベタ印刷)され、これで白い下地の凹凸面が形成され、この凹凸のある白色の下地面に、カラー画像の画像データに対応するカラーUVインク層が印刷される、画像面に凹凸のある立体画像又は油絵調画像(以下、一括して特殊画像という)がアート紙に形成される方法であって、
印刷に先立って、写真データ(通常画像データも含む)を元に、高低差のデータ(凹凸層データ)を含む立体画像データを生成して、通常のカラー画像を表面に凹凸のある特殊画像として印刷するステップS1?ステップS9の処理が開始され、
(ステップS1)先ず、アート紙の下には立体画像が印刷される面は反対側の面に均一な高さのリブを形成し、
(ステップS2)次に、立体画像データを第1層データから第5層データまで分割して印刷処理を開始し、
(ステップS3)第1層のみ、第1層および第2層、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる領域に対して、一層の高さ分のUVインクを塗布(吐出印刷)し、
(ステップS4)続いて、紫外線照射してUVインクを硬化させ、
(ステップS5)次に、指定されている層までインクを塗布したか否かを判別し、まだ指定された層まで塗布していないときはステップS3の処理に戻って、ステップS3?S5の処理を繰り返し、
(ステップS6)ステップS5の判別で、指定されている層までインクを塗布したと判別されたときは下地としての白UVインクを塗布し、この処理で、凹凸の別なくアート紙の全面に白UVインクがベタ印刷され、
(ステップS7)白UVインクのベタ印刷に引き続き、紫外線照射によりUVインクを硬化させ、
(ステップS8)続いて、絵画表現層データである、元画像データに基づくフルカラーの印刷を行い、
(ステップS9)そして、紫外線照射によりUVインクを硬化させる、
特殊画像印刷方法。」

(3)引用文献2の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本件出願前の2011年(平成23年)8月18日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された引用文献2(国際公開第2011/099560号)には、以下の記載事項がある。

ア 「技術分野
[0001] 本発明は、紫外線硬化型インクを吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法に関する。
背景技術
[0002] 一般に、インクジェットプリンタなどの画像形成装置では、スクリーン印刷などを行って記録媒体であるメディアに画像を形成することが知られている。そして、このような画像形成装置では、インクの種類を変更することで、多様な質感の画像を形成するも可能であった。

(中略)

発明が解決しようとする課題
[0004] しかしながら、従来の画像形成装置は、多様な質感の画像を形成するためには、所望の質感に応じて適宜インクの種類を変更しなければならないという問題があった。
[0005] そこで、本発明は、マット状、光沢、シボ状の質感の画像を1種類のインクで形成することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0006] 本発明に係る画像形成装置は、紫外線硬化型インクを液滴として吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、走査方向において往復移動可能なキャリッジに搭載されて紫外線硬化型インクを吐出するインク吐出手段と、キャリッジに搭載されるとともに少なくともインク吐出手段の走査方向後方に配置されてインク吐出手段から吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する紫外線照射手段と、インク吐出手段及び紫外線照射手段を制御する制御手段と、を備え、制御手段は、キャリッジの往路及び復路の少なくとも一方において、インク吐出手段に紫外線硬化型インクを吐出させるとともに、紫外線照射手段から紫外線を照射させる、マット状画像形成モードと、キャリッジの往路において、インク吐出手段に紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジの復路において、紫外線照射手段から紫外線を照射させる、光沢画像形成モードと、キャリッジの往路において、インク吐出手段に吐出量を変化させて紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジの復路において、紫外線照射手段から紫外線を照射させる、シボ状画像形成モードと、を選択的に切替可能であることを特徴とする。
[0007] 本発明に係る画像形成装置において、マット状画像形成モードが選択されると、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された直後に紫外線照射手段から紫外線を照射される。この結果、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが平滑化される前に硬化するため、表面が凹凸に形成されて光を発散するマット状の画像が形成される。また、光沢画像形成モードが選択されると、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された後、キャリッジが往復移動により再度同じ位置に戻ってくるまで紫外線照射手段から紫外線が照射されない。この結果、紫外線が照射されるまでの間に記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが記録媒体に沿って広がり平滑化されるため、表面が平滑化された光沢感のある画像が形成される。また、シボ状画像形成モードが選択されると、光沢画像形成モードと同様に、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された後、キャリッジが往復移動により再度同じ位置に戻ってくるまで紫外線照射手段から紫外線が照射されない。このため、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが記録媒体に沿って広がり平滑化される。このとき、インク吐出手段からは吐出量が変化されて紫外線硬化型インクが吐出されるため、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクの平滑度合いが場所によって不均一となる。この結果、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクは、平滑化されながらも適度な凹凸が生じるため、シボ状の画像が形成される。このように、3つの画像形成モードを選択的に切り替え、選択した画像形成モードに応じて、キャリッジの往路及び復路において、インク吐出手段及び紫外線照射手段を制御することで、インクの種類を変更することなく、マット状、光沢、シボ状の質感の画像を形成することができる。

(中略)

[0009] また、制御部は、シボ状画像形成モードを選択する場合、第二インク吐出手段に画素を間引いて紫外線硬化型インクを吐出させることが好ましい。このように、シボ状画像形成モードを選択した場合は、第二インク吐出手段から画素を間引いて紫外線硬化型インクを吐出させることで、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクの液滴密度を不均一化させることができる。これにより、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクを平滑化しながらも適度な凹凸を生じさせることができるため、適切にシボ状の画像を形成することができる。

(中略)

[0013] 本発明に係る画像形成方法において、マット状の画像を形成する場合は、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された直後に紫外線照射手段から紫外線を照射される。この結果、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが平滑化される前に硬化するため、表面が凹凸に形成されて光を発散するマット状の画像が形成される。また、光沢感のある画像を形成する場合は、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された後、キャリッジが往復移動により再度同じ位置に戻ってくるまで紫外線照射手段から紫外線が照射されない。この結果、紫外線が照射されるまでの間に記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが記録媒体に沿って広がり平滑化されるため、表面が平滑化された光沢感のある画像が形成される。また、シボ状の画像を形成する場合は、光沢画像形成モードと同様に、インク吐出手段から紫外線硬化型インクが吐出された後、キャリッジが往復移動により再度同じ位置に戻ってくるまで紫外線照射手段から紫外線が照射されない。このため、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクが記録媒体に沿って広がり平滑化される。このとき、インク吐出手段からは吐出量が変化されて紫外線硬化型インクが吐出されるため、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクの平滑度合いが場所によって不均一となる。この結果、記録媒体に着弾した液滴状の紫外線硬化型インクは、平滑化されながらも適度な凹凸が生じるため、シボ状の画像が形成される。このように、キャリッジの往路及び復路において、インク吐出手段及び紫外線照射手段を制御することで、インクの種類を変更することなく、マット状、光沢、シボ状の質感の画像を形成することができる。
発明の効果
[0014] 本発明によれば、マット状、光沢、シボ状の質感の画像を1種類のインクで形成することができる。」

イ 「[0017] 図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタを含むインクジェットプリンタシステムの構成を示す図である。図1に示すように、インクジェットプリンタシステム10は、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1と、パソコンなどの外部装置20とにより構成されている。そして、外部装置20には、インクジェットプリンタ1で形成する画像の画像データを作成するアプリケーション21と、この画像データに基づいてインクジェットプリンタ1で印刷するための印刷データを生成するRIP(Raster Image Processor)22とが組み込まれている。
[0018] 図2は、実施形態に係るインクジェットプリンタを示す概略図である。図2に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、走査方向Sに往復移動可能なキャリッジ2と、キャリッジ2に搭載されて複数のインクジェットヘッド6が搭載されたヘッドユニット3と、キャリッジ2に搭載されてヘッドユニット3の走査方向S前方に配置された紫外線照射装置4と、キャリッジ2に搭載されてヘッドユニット3の走査方向S後方に配置された紫外線照射装置5と、キャリッジ2、インクジェットヘッド6、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5を制御する制御部8と、を備える。

(中略)

[0026] 制御部8は、キャリッジ2、インクジェットヘッド6、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5を統括制御することにより、インクジェットプリンタ1の印刷制御を行うものである。この制御部8は、マット状の質感の画像を形成するマット状画像形成モードと、光沢感のある画像を形成する光沢画像形成モードと、シボ状の質感の画像を形成するシボ状画像形成モードとを選択的に切替可能となっている。なお、画像形成モードの選択は、RIP22から送信される印刷データに基づいて行っても良く、インクジェットプリンタ1の設定に基づいて行っても良い。そして、制御部8は、選択された画像形成モードに応じて、キャリッジ2の駆動制御と、インクジェットヘッド6のインク吐出制御と、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5の紫外線照射制御を行うことで、マット状の質感の画像と、光沢感のある画像と、シボ状の質感の画像とを、それぞれ形成することが可能となっている。なお、制御部8は、例えば、CPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されており、後述する制御部8の各制御は、CPUやRAM上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませ、CPUの制御のもとで動作させることで実現される。」
なお、図1及び図2は、以下に示すとおりのものである。


ウ 「[0027] ここで、上述したRIP22の機能について説明する。
[0028] RIP22は、アプリケーション21により作成されたEPS形式やTIFF形式などの画像データに基づいて、インクジェットプリンタ1で印刷するためのドット形式の印刷データを生成し、この印刷データをインクジェットプリンタ1に送信してインクジェットプリンタ1に画像を形成させるものである。この印刷データは、所定解像度ピッチの画像ごとに、紫外線硬化型インクの吐出の有無、紫外線硬化型インクの吐出回数、紫外線硬化型インクの吐出量などで構成されている。そして、この印刷データは、インクジェットヘッド6a?インクジェットヘッド6fにそれぞれ対応付けられており、印刷データの各画素が、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2の各ノズル(不図示)に対応付けられている。
[0029] このRIP22は、通常、全ての画素で紫外線硬化型インクが吐出される印刷データを生成するが、印刷データの一部の画素を間引く間引き処理を行うことが可能となっている。間引き処理は、所定の画素に対して、紫外線硬化型インクの吐出有無を有から無に変更する処理である。なお、間引かれる所定の画素は、所定のマスクにより特定してもよく、乱数や所定の数式などにより特定しても良い。また、この間引き処理は、印刷データを生成してから行っても良く、印刷データを生成する際に行っても良い。
[0030] ここで、一例として、全ての画素に対して紫外線硬化型インクを吐出させて、印刷濃度が100%の画像を形成する印刷データを用いて、間引き処理を説明する。この場合、間引き処理される前の印刷データのままだと、全ての画素において紫外線硬化型インクの吐出有無が有に設定されているため、全ての画素に紫外線硬化型インクが吐出される。このため、例えば、間引き処理される前の印刷データに基づいて、第二吐出領域A2におけるインクジェットヘッド6e及びインクジェットヘッド6fの双方から100%濃度の紫外線硬化型インクが吐出されると、印刷濃度が200%となり、紫外線硬化型インクの液滴密度が略均一となる。これに対して、間引き処理が行われると、印刷データにおける一部の画素に対して、紫外線硬化型インクの吐出有無が有から無に変更されるため、一部の画素には紫外線硬化型インクが吐出されない。このため、間引き処理された印刷データに基づいて、第二吐出領域A2から紫外線硬化型インクが吐出されると、メディアに吐出される紫外線硬化型インクは、一部の画素には紫外線硬化型インクが吐出されないため、印刷濃度が200%未満となり、紫外線硬化型インクの液滴密度が不均一となる。
[0031] そして、RIP22は、インクジェットプリンタ1にマット状及び光沢の質感の画像を形成させる場合、生成した印刷データのままインクジェットプリンタ1に送信する。一方、RIP22は、インクジェットプリンタ1にシボ状の質感の画像を形成させる場合、第一吐出領域A1に対応付けられた印刷データとして、生成した印刷データのままインクジェットプリンタ1に送信し、第二吐出領域A2に対応付けられた印刷データとして、間引き処理を行った印刷データ(間引きされた一部の画素からは紫外線硬化型インクが吐出されない印刷データ)をインクジェットプリンタ1に送信する。

(中略)

[0034] また、制御部8は、シボ状画像形成モードが選択されると、キャリッジ2の往路において、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2から、RIP22から送信された印刷データに基づいて吐出量を変化させて紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ2の復路において、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5の少なくとも一方から紫外線を出射させる。なお、本実施形態では、キャリッジ2の往路において、第二吐出領域A2から、RIP22にて間引き処理された印刷データに基づいて紫外線硬化型インクを吐出させ、キャリッジ2の復路において、紫外線照射装置4からのみ紫外線を出射させるものとする。」

エ 「[0044] 次に、図5A及び図5Bを参照して、シボ状画像形成モードが選択された場合について説明する。シボ状画像形成モードでは、まず、RIP22が、アプリケーション21で生成された画像データに基づいて印刷データを生成する。このとき、RIP22は、第二吐出領域A2に対応付けられた印刷データに対して間引き処理を行う。そして、RIP22は、この印刷データをインクジェットプリンタ1に送信する。一方、インクジェットプリンタ1は、RIP22から送信された印刷データを取得すると、キャリッジ2を走査方向Sにおいて往復移動させてスキャンする。
[0045] そして、図5Aに示すように、キャリッジ2が走査方向Sにおいて往動するキャリッジ2の往路では、第一吐出領域A1を駆動して、第一吐出領域A1から印刷データに基づいて紫外線硬化型インクの液滴を吐出させ、第二吐出領域A2を駆動して、第二吐出領域A2から間引き処理した印刷データに基づいて紫外線硬化型インクの液滴を吐出させるとともに、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5を消灯させる。すると、第二吐出領域A2からは、画素が間引きされて紫外線硬化型インクの液滴が吐出され、間引きされた画素には紫外線硬化型インクが吐出されない。そして、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2から吐出された液滴状の紫外線硬化型インクは、光沢画像形成モードと同様に、メディアに着弾した後、メディア上において徐々に広がって厚みが小さくなる。このとき、第二吐出領域A2のうち間引きされた画素からは紫外線硬化型インクが吐出されておらず、穴あき状態となるため、メディア上の紫外線硬化型インクの液滴密度が不均一化され、紫外線硬化型インクの平滑度合いも場所により不均一となる。このため、メディアに着弾した液滴状の紫外線硬化型インクは、平滑化されながらも適度な凹凸が生じる。
[0046] 一方、図5Bに示すように、キャリッジ2が走査方向Sにおいて復動するキャリッジ2の復路では、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2の駆動を停止して紫外線硬化型インクの吐出を停止させ、紫外線照射装置4を点灯させるとともに、紫外線照射装置5を消灯させる。すると、キャリッジ2の往路において吐出されてメディアに着弾した紫外線硬化型インクに紫外線が照射され、紫外線硬化型インクが硬化するが、キャリッジ2の往路で紫外線硬化型インクが吐出されてからキャリッジ2の復路で紫外線が照射されるまでの間に、平滑化されながらも適度な凹凸が生じる。そして、このように、紫外線硬化型インクが適度な凹凸が生じた状態で硬化するため、シボ状の質感の画像が形成される。
[0047] このように、本実施形態によれば、マット状画像形成モード、光沢画像形成モード及びシボ状画像形成モードを選択的に切り替え、第一吐出領域A1、第二吐出領域A2、紫外線照射装置4及び紫外線照射装置5を各画像形成モードに応じて制御することで、紫外線硬化型インクの種類を変えることなく、一種類の紫外線硬化型インクで、マット状、光沢、シボ状の質感の画像を形成することが可能となる。
[0048] そして、マット状画像形成モードを選択した場合は、第一吐出領域A1及び第二吐出領域A2の双方から紫外線硬化型インクを吐出させることで、画像形成速度を高速化することができる。また、光沢画像形成モードを選択した場合は、一走査における紫外線硬化型インクの吐出量を増やすことで、紫外線硬化型インクの平滑化を促進させることができる。また、シボ状画像形成モードを選択した場合は、第二吐出領域A2から画素を間引いて紫外線硬化型インクを吐出させることで、メディアに着弾した液滴状の紫外線硬化型インクの液滴密度を不均一化させることができる。これにより、メディアに着弾した液滴状の紫外線硬化型インクを平滑化しながらも適度な凹凸を生じさせることができるため、適切にシボ状の画像を形成することができる。」
なお、図5は以下のとおりのものである。


(4)引用文献3の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本件出願前の平成24年10月11日に頒布された刊行物である引用文献3(特開2012-192652号公報)には、以下の記載事項がある。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、液状体を吐出して被描画媒体上に着弾させることによって、被描画媒体上に液状体を配置し、配置した液状体によって被描画媒体上に画像を描画する描画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸収体である紙面以外にも、非吸収媒体である樹脂シートに対して、昇華性のインク(機能液)を用いて画像を形成する方法がある。このような方法によって作成されたシートを用いて、樹脂で形成された立体物へ画像を転写し、意匠性を付加する方法が知られている。このような被吸収体への印刷手法の一つとして、紫外線硬化性インクを用いた印刷手法が注目を集めている。他の溶剤系インクを用いた方法に比べて、速乾性、低VOC(揮発性有機化合物)という観点から、今後の市場成長率も見込める分野である。さらに、インクジェット方式を用いて塗布することによって、表面凹凸の大きな成型物への塗布が可能である。
【0003】
インクジェット装置を用いる画像の形成では、インクジェット装置から吐出されたインクなどの機能液が定着し易いことが必要であり、非吸収体の形成面にインク(機能液)受容層を形成するなどの工夫がなされている。また、例えば、描画面に微小な凹凸を形成した、いわゆるマット面にすることで、風合いを出すとともに、描画面に突発的に形成される傷や盛上りを目立ち難くすることが行なわれていた。特許文献1には、拡散防止剤を含有する第一の液を付着させることで、第一の液の後から付着させる液が流動することを抑制して、液の位置ずれを防止することによって、着弾干渉による画像劣化を防止して、好ましい画像を形成することができる画像形成装置及び画像形成方法が開示されている。

(中略)

【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された画像形成装置及び画像形成方法のような装置又は方法では、流動しない液が盛上った状態で硬化する可能性が高い。すなわち、微小な凹凸が存在する画像面を有する画像が形成される可能性が高い。
しかし、形成する画像は、必ずしも微小な凹凸が存在する画像面を有することが好ましい画像ではない。形成する画像によっては、画像を形成するための機能液が濡れ広がることによって平坦な画像面が形成されることが好ましい画像も存在する。したがって、特許文献1に開示された画像形成装置及び画像形成方法のような装置又は方法では、必ずしも画像に適した画像表面状態が得られるとは限らないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかる描画方法は、液状体を液滴として吐出し、被描画媒体上に着弾させ、前記被描画媒体上に前記液状体が硬化した画像膜から成る画像を描画する描画方法であって、複数種類の前記液状体を用い、前記複数種類の液状体におけるそれぞれの前記液状体を前記被描画媒体上に着弾させる順番を、前記液状体の前記被描画媒体又は着弾して硬化した前記液状体に対する濡れ特性によって決定することを特徴とする。
【0008】
本適用例にかかる描画方法によれば、液状体を被描画媒体上に着弾させる順番を、液状体の被描画媒体又は着弾して硬化した液状体に対する濡れ特性によって決定する。被描画媒体に向けて吐出された液状体は、被描画媒体の表面又は先に着弾した液状体の上に着弾する。着弾した液状体の液滴の形状は、当該液状体の被描画媒体の表面又は先に着弾して表面が硬化し始めた液状体の表面に対する濡れ特性によって異なる。濡れ特性が親液性であるほど、濡れ広がって平らに近くなる。濡れ特性が撥液性であるほど、濡れ広がり難く、盛上った形状になる。
濡れ広がって平らに近くなった液状体の上に、盛上った形状になる液状体を配置する場合は、配置されて硬化した液状体によって形成される画像膜の表面は、後から着弾させられた液状体の盛上った形状の凹凸が目立つ面となる。盛上った形状の液状体の上に、濡れ広がり易い液状体を配置する場合には、盛上った形状の間の凹部が、後から着弾させられたぬれ広がり易い液状体によって埋められて、配置されて硬化した液状体によって形成される画像膜の表面は、凹凸が少ない面となる。したがって、液状体を被描画媒体上に着弾させる順番を、液状体の被描画媒体又は着弾して硬化した液状体に対する濡れ特性によって決定することで、形成される画像膜の表面状態を調整することができる。

(中略)

【0015】
[適用例5]上記適用例にかかる描画方法は、前記液状体が、紫外線硬化型の液状体であることが好ましい。
【0016】
この描画方法によれば、液状体が、紫外線硬化型の液状体である。紫外線硬化型の液状体を、濡れ特性によって着弾させる順番を決定して着弾させることで、紫外線硬化型の液状体が硬化して形成される画像膜の表面状態を、好適な状態に調整することができる。
紫外線硬化型の液状体は、紫外線を照射することで硬化させることができるため、例えば自然に硬化させる液状体にくらべて、硬化させる時点の選択の自由度が高い。この特質を利用して、着弾した液状体を短時間の間に硬化させることもできる。これにより、液状体が流動する前に硬化させることで、被浸透性が乏しいことに起因して着弾した液状体が流動しやすいような被描画媒体上に画像を形成するための液状体としても、好適に用いることができる。被浸透性が乏しい被描画媒体においては、被描画媒体上に画像を形成する膜が載った状態になるため、膜の状態が画像の質感などに与える影響が大きい。紫外線硬化型の液状体が硬化して形成される膜の状態を、好適な状態に調整することで、画像の質感などを好適に調整することができる。」

イ 「【0025】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1について、図1を参照して説明する。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0026】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、ヘッド機構部2と、ワーク機構部3と、機能液供給部4と、メンテナンス装置部5と、硬化ユニット10と、を備えている。ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド20を有している。液滴吐出ヘッド20は、紫外線硬化性を有する機能液を液滴として吐出する。ワーク機構部3は、液滴吐出ヘッド20から吐出された液滴の吐出対象であるワークWを載置するワーク載置台33を有している。機能液供給部4は、中継タンクと、給液チューブとを有し、当該給液チューブが、液滴吐出ヘッド20に接続されており、給液チューブを介して機能液が液滴吐出ヘッド20に供給される。メンテナンス装置部5は、液滴吐出ヘッド20の検査又は保守を実施する各装置を備えている。液滴吐出装置1は、また、これら各機構部などを総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。さらに、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8によって支持されており、扁平な略直方体形状を有する定盤9とを備えている。定盤9のヘッド機構部2及びワーク機構部3が配設されている面は、略長方形の平面形状を有している。当該略長方形の一辺の延在方向をX軸方向、当該一辺に略直交する他の一辺に略平行であってX軸方向に直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向と表記する。
【0027】
ヘッド機構部2は、ヘッドキャリッジ22と、Y軸移動機構26と、移動枠27と、を備えている。ヘッドキャリッジ22は、液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21と、一次硬化ユニット95(図3参照)と、を備えている。移動枠27は、Y軸移動機構26によってY軸方向に摺動自在であって任意の位置に保持可能に支持されている。ヘッドキャリッジ22は、移動枠27に懸吊されている。ヘッドキャリッジ22が備えるヘッドユニット21が有する液滴吐出ヘッド20は、ノズル基板25(図2参照)を下側に向けて、保持されている。移動枠27を、Y軸移動機構26によってY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に自在に移動させることができる。また、移動した位置に保持することができる。

(中略)

【0029】
硬化ユニット10は、紫外線を射出するUV(Ultraviolet)ランプ15を備えている。UVランプ15は、X軸移動機構36に臨んで配設されている。UVランプ15は、X軸移動機構36によってUVランプ15に臨む位置に移動させられたワーク載置台33に載置されたワークWに紫外線を照射することができる。
【0030】
液滴吐出装置1において、最初に、ワーク載置台33を、X軸移動機構36によって、X軸方向に移動させることで、ワーク載置台33に載置されたワークWを、液滴吐出ヘッド20の下方に位置させる。次に、液滴吐出ヘッド20をY軸方向に移動させながら、液滴吐出ヘッド20のY軸方向の移動に同調して、機能液を液滴として吐出する吐出走査を実施する。これにより、ユニットノズル列240A(図3参照)の長さの範囲で、任意の位置に機能液の液滴を着弾させる。吐出走査においては、着弾させた液滴に、一次硬化ユニット95によって紫外線を照射することで、着弾した機能液を仮硬化させる。X軸移動機構36によるワークWのX軸方向の移動(改行)と、吐出走査とを繰り返すことで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。
所望する平面形状に機能液を配置したワークWを、ワーク載置台33をX軸移動機構36によってX軸方向に移動させることで、硬化ユニット10のUVランプ15に臨む位置に移動させる。当該位置で、UVランプ15によって紫外線をワークW上に配置された機能液に照射することで、配置された位置において機能液を硬化させる。」
なお、図1は、以下に示すとおりのものである。


ウ 「【0037】
<ヘッドユニット及び一次硬化ユニット>
次に、ヘッド機構部2のヘッドキャリッジ22が備えるヘッドユニット21及び一次硬化ユニット95の概略構成について、図3を参照して説明する。図3は、ヘッドユニット及び一次硬化ユニットの概略構成を示す平面図である。図3に示したX軸方向及びY軸方向は、ヘッドユニット21及び一次硬化ユニット95が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、図1に示したX軸方向又はY軸方向と一致している。
【0038】
図3に示したように、ヘッドユニット21は、ユニットプレート23と、ユニットプレート23に搭載された9個の液滴吐出ヘッド20と、を有している。2個の一次硬化ユニット95が、Y軸方向において、ヘッドユニット21を挟んで両側にそれぞれ1個ずつ、配設されている。
液滴吐出ヘッド20は、図示省略したヘッド保持部材を介してユニットプレート23に固定されている。固定された液滴吐出ヘッド20は、ヘッド本体がユニットプレート23に形成された孔(図示省略)に遊嵌して、ノズル基板25が、ユニットプレート23の面より突出した位置に位置している。図3は、ノズル基板25の側から見た図である。9個の液滴吐出ヘッド20は、X軸方向に分かれて、それぞれ3個ずつの液滴吐出ヘッド20を有するヘッド組20Aを3群、形成している。それぞれの液滴吐出ヘッド20のノズル列24Aは、ヘッドユニット21が液滴吐出装置1に取り付けられた状態において、X軸方向に延在している。
【0039】
液滴吐出ヘッド20は、X軸方向において、互いに隣り合う液滴吐出ヘッド20の、一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24に対して、もう一方の液滴吐出ヘッド20の端の吐出ノズル24が半ノズルピッチずれて位置する位置に、配設されている。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20のY軸方向の位置を同じにすると、吐出ノズル24は、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔で並ぶ。すなわち、Y軸方向の同じ位置において、それぞれの液滴吐出ヘッド20が有するそれぞれのノズル列24Aを構成する吐出ノズル24から吐出された液滴は、設計上では、X軸方向に半ノズルピッチの等間隔に並んで一直線上に着弾する。
【0040】
ノズル列24Aは、例えば180個の吐出ノズル24を有しており、液滴吐出ヘッド20は、360個の吐出ノズル24を有している。9個の液滴吐出ヘッド20を有するヘッドユニット21は、3240個の吐出ノズル24を有している。一つのヘッドユニット21が備える9個の液滴吐出ヘッド20が有する18列のノズル列24Aは、1本のノズル列として扱うこともできる。当該ノズル列を「ユニットノズル列240A」と表記する。ユニットノズル列240Aは、3240個の吐出ノズル24を有している。ユニットノズル列240Aのそれぞれの吐出ノズル24から一滴ずつ吐出させて、Y軸方向が同じ位置になるように着弾させると、3240個の点が半ノズルピッチのピッチ間隔で連なる直線が形成される。
【0041】
一次硬化ユニット95は、支持枠(図示省略)と、UVLED(Ultraviolet Light Emitting Diode)96と、LED筐体97と、を備えている。UVLED96は、紫外線を射出するLEDである。
LED筐体97は、ユニットプレート23のY軸方向の側面に支持枠を介して固定されている。LED筐体97は、略直方体形状の外形を有し、内部に略直方体形状で一面が開口した筐体室が形成されている。筐体室は、ワーク載置台33に臨む側が開口している。筐体室には、UVLED96が、開口側に紫外線を射出する状態で固定されている。複数のUVLED96が、X軸方向に並んで配設されている。複数のUVLED96は、X軸方向において、ヘッドユニット21の液滴吐出ヘッド20が機能液を配置可能な幅を包含する範囲に、紫外線を照射することができる。
【0042】
上述したように、一次硬化ユニット95は、Y軸方向(吐出走査方向)において、9個の液滴吐出ヘッド20を挟んで両側に、9個の液滴吐出ヘッド20に関して略対称な状態で、配設されている。
ヘッドユニット21がY軸方向に走査されて機能液を吐出する際には、液滴吐出ヘッド20に並んで配設されたUVLED96から、略並行して、紫外線を照射させる。
走査方向において、ヘッドユニット21の後側に位置するUVLED96から紫外線を照射することで、吐出されて着弾させられた機能液に、着弾した直後に紫外線を照射することができる。機能液に紫外線を照射することで、機能液を硬化させることができる。機能液の硬化率に影響を及ぼす要因は、走査速度、UVLED96の照射領域のY軸方向における幅、UVLED96の照射強度、などである。これらの要因について、適切な値に設定することで、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる。一次硬化ユニット95から紫外線を照射させることで、例えば、着弾した機能液を仮硬化させる。仮硬化は、硬化ユニット10を用いて充分に硬化させる本硬化の前に、着弾した機能液が流動することを抑制するための硬化である。」
なお、図3は、以下に示すとおりのものである。


(5)引用文献4の記載事項
当審拒絶理由に引用され、本件出願前の2014年(平成26年)5月1日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された引用文献4(国際公開第2014/065096号)には、以下の記載事項がある。

ア 「技術分野
[0001]本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関し、特にフィルム等の軟包装の記録媒体に複数色のインクを吐出して画像を形成する技術に関する。

(中略)

発明が解決しようとする課題
[0005]インクジェット記録装置は、所望の位置にインク滴を打滴することにより画像が形成される。所望の位置にインクを着弾させるためには、ヘッドのスキャン速度、スローディスタンスを精密に調整する必要がある。また、インク滴の吐出方向や速度に関しては、インクの粘度、表面張力、顔料粒径等のインク物性に大きく影響を受け、その結果、画像品質に大きな影響を与える。

(中略)

[0009]本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、柔軟性のあるインクを用いて光沢むらの無い、中間調部分における色再現性、粒状性に優れた画像を記録することができるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0010]前記目的を達成するためにインクジェット記録装置の一の態様は、活性エネルギーの付与により硬化する硬化性インクを吐出するノズルが第1の方向に間隔Pで配置されたノズル列であって、少なくともシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色の濃インクをそれぞれ吐出するN個(N≧4)の色毎のノズル列が、前記第1の方向にP/Nずつずらして配置されているインクジェットヘッドと、ノズルから吐出され、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴に活性エネルギーを付与する活性エネルギー付与手段と、インクジェットヘッドと活性エネルギー付与手段とを第1の方向に直交する第2の方向に沿って配置して保持する保持手段と、保持手段と記録媒体とを第2の方向に0.9m/s以上の速度で相対的に走査させる走査手段と、走査手段による走査毎に、保持手段と記録媒体とを第1の方向に相対的に移動させる移動手段と、保持手段により保持されたインクジェットヘッド及び活性エネルギー付与手段を記録媒体の各領域に対して相対的に複数回走査させながら記録媒体の記録面に画像を形成させる制御手段と、を備え、硬化性インクは、インク顔料と、少なくともN-ビニルラクタム類を含有する重合性化合物と、を含み、インク顔料の粒径の体積累積分布90%径が500nm以下であり、かつ、N-ビニルラクタム類の含有率が3%?24%である。

(中略)

[0021]活性エネルギー付与手段は、走査手段による1回の走査において、記録媒体の記録面に打滴されたインク滴を不完全に硬化させる程度の活性エネルギーを付与することが好ましい。これにより、光沢性を増すことができる。
[0022]活性エネルギー付与手段によって活性エネルギーが付与されたインク滴に対してさらに活性エネルギーを付与することでインク滴を本硬化させる第2の活性エネルギー付与手段を備えたことが好ましい。これにより、適切にインクを硬化させることができる。

(中略)

発明の効果
[0028]本発明によれば、柔軟性のあるインクを用いて光沢むらの無い、中間調部分における色再現性、粒状性に優れた画像を記録することができる。」

イ 「[0031]<第1の実施形態> 〔インクジェット記録装置の概略〕 図1は、インクジェット記録装置100の構成の概要を説明するための説明図である。また、図2は、インクジェット記録装置100のシステム構成図である。
[0032]インクジェット記録装置100は、インクジェットヘッド110、硬化光源116R、116L、これらインクジェットヘッド110及び硬化光源116R、116Lを搭載したキャリッジ118(保持手段の一例)、キャリッジ118を主走査方向(第2の方向の一例)に伸延されたガイド119に沿って走査(スキャン)可能に構成されたキャリッジ走査機構130(走査手段の一例)、上面に載置された記録媒体120を主走査方向に直交する副走査方向(第1の方向の一例)に移動可能に構成された記録媒体搬送機構132(移動手段の一例)、有線又は無線の通信インターフェースを介して画像データを取得する画像入力インターフェース134、入力された画像データに所望の画像処理を施す画像処理部136、インクジェット記録装置100を統括制御する制御部138、等から構成される。

(中略)

[0043]硬化光源116R、116L(活性エネルギー付与手段の一例)は、それぞれ複数個のUV-LED(Ultraviolet-Light Emitting Diode)を備えている。硬化光源116R、116Lは、制御部138により、キャリッジ118の主走査の上流側に位置するUV-LEDが消灯され、下流側に位置するUV-LEDが点灯される。この点灯されたUV-LEDにおいて、各色ヘッド112から記録媒体120に打滴された各色インクのインク滴に対して紫外線を照射し、不完全に硬化(半硬化)させる。
[0044]即ち、キャリッジ118が図1の右方向に移動しながら各色ヘッド112のノズル114からインクを吐出する場合には、走査の下流側に位置する硬化光源116LのUV-LEDによりインク滴に紫外線を照射する。また、キャリッジ118が図1の左方向に移動しながら各色ヘッド112のノズル114からインクを吐出する場合には、走査の下流側に位置する硬化光源116RのUV-LEDによりインク滴に紫外線を照射する。
[0045]記録媒体120に打滴されたインク滴は、硬化光源116R、116Lによる1回の紫外線照射では完全には硬化せず、半硬化状態となる。ここで、半硬化状態とは、インクが硬化を開始してから本硬化状態に至るまでの間の硬化状態を指す。半硬化状態のインク滴は、その後記録媒体120の搬送方向の下流側に配置された図示しない本硬化光源によってさらに紫外線が照射されて本硬化状態となり、これにより記録媒体120の記録面に画像が記録される。なお、本硬化状態とは、記録媒体120のハンドリングを行っても画像劣化しない程度にインク滴が硬化している状態を指す。即ち、本硬化とは必ずしも硬化反応が完了していることを意味するものではない。一方、不完全な硬化状態とは、インク滴の硬化そのものは開始しているものの、記録媒体120のハンドリングを行う際に、画像劣化してしまう程度に硬化した状態をいうものである。
[0046]なお、硬化光源116R、116Lの照射光量と本硬化光源の照射光量は別個に設定することができる。前述のように、半硬化時の照射光量を低減することで、記録画像の光沢性を増加させることができる。」
なお、図1及び図2は、以下に示すとおりのものである。


ウ 「[0073]<他の実施形態> 〔インクジェット記録装置の全体構成〕 図7は、他の実施形態に係るインクジェット記録装置の外観斜視図である。このインクジェット記録装置10は、紫外線硬化型インク(UV硬化インク)を用いて記録媒体12上にカラー画像を形成するワイドフォーマットプリンタである。ワイドフォーマットプリンタとは、大型ポスターや商業用壁面広告など、広い描画範囲を記録するのに好適な装置である。ここでは、A3ノビ以上に対応するものを「ワイドフォーマット」と呼ぶ。
[0074]インクジェット記録装置10は、装置本体20と、この装置本体20を支持する支持脚22とを備えている。装置本体20には、記録媒体(メディア)12に向けてインクを吐出するドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド24と、記録媒体12を支持するプラテン26と、ヘッド移動手段としてのガイド機構28及びキャリッジ30(走査手段の一例)が設けられている。
[0075]ガイド機構28は、プラテン26の上方において、記録媒体12の搬送方向(X方向)に直交し且つプラテン26の媒体支持面と平行な走査方向(Y方向)に沿って延在するように配置されている。キャリッジ30は、ガイド機構28に沿ってY方向に往復移動可能に支持されている。キャリッジ30には、インクジェットヘッド24が搭載されるとともに、記録媒体12上のインクに紫外線を照射する仮硬化光源32A、32Bと、本硬化光源34A、34Bとが搭載されている。
[0076]仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化(半硬化)させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A、34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。
[0077]キャリッジ30上に配置されたインクジェットヘッド24、仮硬化光源32A、32B及び本硬化光源34A、34Bは、ガイド機構28に沿ってキャリッジ30と共に一体的に(一緒に)移動する。」
なお、図7は、以下に示すとおりのものである。


5 対比
本件発明と引用発明とを対比する。

(1)第1の下地層形成工程
引用発明における「アート紙」は、その上に特殊画像を形成するものである。そうすると、引用発明の「アート紙」は、本件発明の「被記録媒体」に相当する。また、引用発明における「UVインク」は、紫外線照射により硬化されるものであるから、技術的にみて、本件発明の「光硬化型インク」であるといえる。さらに、引用発明における「凹凸UVインク層」は、「白い下地の凹凸面」を形成する「白UVインク層」と「アート紙」との間に形成されるものである。そうすると、引用発明の「凹凸UVインク層」は、本件発明の「第1の下地層」に相当する。
そして、引用発明における「(ステップS3)」の「第1層のみ、第1層および第2層、第1層乃至第3層、第1層乃至第4層、又は第1層乃至第5層までの印刷が行われる領域に対して、一層の高さ分のUVインクを塗布(吐出印刷)」するステップは、「凹凸UVインク層」が形成される領域である「アート紙の上面の一部のみ」に、UVインクを、「吐出」するステップであるといえる。したがって、引用発明の「(ステップS3)」は、本件発明の「光硬化型インクである第1のインクを被記録媒体上に」「吐出」する工程に相当する。
また、引用発明における「(ステップS4)」の「続いて、紫外線照射してUVインクを硬化させ」るステップは、技術的にみて、本件発明の「光を照射して上記第1のインクを硬化させる」工程に相当する。
さらに、引用発明は、(ステップS5)の判別結果に応じて「(ステップS3)」及び「(ステップS4)」を繰り返し、「凹凸UVインク層」を形成している。したがって、引用発明において繰り返される「(ステップS3)」及び「(ステップS4)」は、本件発明の「第1の下地層を形成する第1の下地層形成工程」に相当しており、本件発明の「第1の下地層形成工程を複数回行なう」とする要件を満たしている。
ここで、引用発明は、「(ステップS3)」及び「(ステップS4)」を繰り返すことにより所定の高さの凹凸を形成しているから、凹凸の大きさを調整しているといえる。また、引用発明は、「印刷に先立って、写真データ(通常画像データも含む)を元に、高低差のデータ(凹凸層データ)を含む立体画像データを生成」し、生成した「立体画像データ」に基づいて凹凸を形成している。そうすると、引用発明は、本件発明の「大きな凹凸」を、「印刷データに従って、当該凹凸の大きさを調整するようにして形成する」という構成を具備するものである。そして、そのようにして形成される「凹凸UVインク層」は、「アート紙」の上に「塗布(吐出印刷)」された「UVインク」の液滴の密度が不均一化されたものとなっており、凹凸が形成される結果、「凹凸UVインク層」の平滑度合いが「アート紙」上において不均一になる状態を示すものといえる。したがって、引用発明は、「(ステップS3)」において、「被記録媒体上に吐出された紫外線硬化型インクの液滴の密度が不均一化され、第1のインクによって形成される第1の下地層の平滑度合いが被記録媒体上において不均一になる状態」である、本件発明でいうところの「穴あき状態」となるように、UVインクを吐出しているといえる。

(2)第2の下地層形成工程
引用発明における「(ステップS6)」の「下地としての白UVインクを塗布」するステップは、「凹凸UVインク層」の上に「白(W)の紫外線硬化型アクリル系インク」を「アート紙の面に向けて吐出するラインヘッド」を用いて「白UVインク層」を形成するステップである。そうすると、引用発明の「白UVインク」及び「白UVインク層」は、それぞれ、本件発明の「第2のインク」及び「第2の下地層」に相当する。また、引用発明の「(ステップS6)」は、本件発明の「上記第1の下地層が形成された上記被記録媒体上に第2のインクを吐出することで」、「第2の下地層を形成する第2の下地層形成工程」に相当する。
そして、引用発明における「(ステップS6)」は、「凹凸の別なくアート紙4の全面に白UVインクがベタ印刷され」るステップである。そうすると、「(ステップS6)」において、引用発明も、本件発明と同様に、「第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しつつ、第1の下地層の表面における上記大きな凹凸より細かい凹凸を解消」するように白UVインクを塗布しているといえる。
さらに、引用発明の「白UVインク」は、「(ステップS7)」において「紫外線照射」により「硬化させ」られるものであるから、技術的にみて、「光硬化型インク」であるといえる。そうすると、引用発明の「白UVインク」は、本件発明の「上記第2のインクは光硬化型インク」であるとする要件を満たしている。

(3)カラーインク層形成工程
引用発明における「(ステップS8)」は、(ステップS7)に続いて、「各インクをアート紙の面に向けて吐出するラインヘッド」を用いて「絵画表現層データである、元画像データに基づくフルカラーの印刷を行」うステップである。そうすると、引用発明の「(ステップS8)」は、白UVインクのベタ印刷の上に、各インクを「吐出」して行う「フルカラーの印刷」によりカラーインク層を形成しているといえる。
したがって、引用発明の「(ステップS8)」は、本件発明の「上記第2の下地層上にカラーインクを吐出し、カラーインク層を形成するカラーインク層形成工程」に相当する。

(4)画像形成方法
引用発明の「特殊画像印刷方法」は、(ステップS2)?(ステップS9)を包含する方法であって、「特殊画像」をアート紙に形成する方法であるといえる。
したがって、引用発明の「特殊画像印刷方法」は、本件発明の、「第1の下地層形成工程」、「第2の下地層形成工程」と、「カラーインク層形成工程」と、「を包含し」とされる、「画像形成方法」に相当する。

(5)以上より、本件発明と引用発明とは、
「光硬化型インクである第1のインクを被記録媒体上に穴あき状態になるように吐出し、光を照射して上記第1のインクを硬化させることで第1の下地層を形成する第1の下地層形成工程、
ここで、上記穴あき状態とは被記録媒体上に吐出された紫外線硬化型インクの液滴の密度が不均一化され、第1のインクによって形成される第1の下地層の平滑度合いが被記録媒体上において不均一になる状態であり、
当該第1の下地層形成工程を複数回行なうことにより、大きな凹凸を、印刷データに従って、当該凹凸の大きさを調整するようにして形成する;と、
上記第1の下地層が形成された上記被記録媒体上に第2のインクを吐出することで、第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しつつ、第1の下地層の表面における上記大きな凹凸より細かい凹凸を解消する第2の下地層を形成する第2の下地層形成工程;と、
上記第2の下地層上にカラーインクを吐出し、カラーインク層を形成するカラーインク層形成工程;と、
を包含し、
上記第2のインクは光硬化型インクである画像形成方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1]印刷データが、本件発明では、「間引き処理を行なった」印刷データであるのに対し、引用発明では、そのように特定されていない点。
[相違点2]第2の下地層形成工程が、本件発明は、「上記第2のインクを吐出した後、光を照射して上記第2のインクを、上記細かい凹凸を解消する程度の流動性を保持しつつ、上記第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しながら上記第2のインクが印刷領域から流出しない程度に増粘させるように仮硬化」させ、「更に光を照射することで、仮硬化した上記第2のインクを完全に硬化させる」のに対し、引用発明は、仮硬化させる工程を有していない点。


6 判断
(1)[相違点1]について
引用文献2には、「紫外線硬化型インクを吐出して記録媒体に画像を形成する画像形成装置及び画像形成方法」(記載事項ア段落[0001])に関して、「また、シボ状画像形成モードを選択した場合は、第二吐出領域A2から画素を間引いて紫外線硬化型インクを吐出させることで、メディアに着弾した液滴状の紫外線硬化型インクの液滴密度を不均一化させることができる。これにより、メディアに着弾した液滴状の紫外線硬化型インクを平滑化しながらも適度な凹凸を生じさせることができるため、適切にシボ状の画像を形成することができる。」(記載事項エ段落[0048])と記載されている。また、引用文献2には、「このRIP22は、通常、全ての画素で紫外線硬化型インクが吐出される印刷データを生成するが、印刷データの一部の画素を間引く間引き処理を行うことが可能となっている。間引き処理は、所定の画素に対して、紫外線硬化型インクの吐出有無を有から無に変更する処理である。なお、間引かれる所定の画素は、所定のマスクにより特定してもよく、乱数や所定の数式などにより特定しても良い。」(記載事項ウ段落[0029])との記載もある。上記記載に基づけば、紫外線硬化型インクを吐出して画像面に凹凸のある立体画像(特殊画像)を形成する方法として、印刷データの一部の画素を間引く間引き処理を行い、間引き処理を行った印刷データを用いて紫外線硬化型インクを吐出させることは、本件出願前において、当業者に知られていたことであるといえる。また、引用発明が前提とする「特殊画像」は、「画像面に凹凸のある立体画像又は油絵調画像」であるから、引用発明は、シボ状の画像のような、高低差のある画像の印刷に適したものと理解される。
したがって、「画像面に凹凸のある立体画像又は油絵調画像」(特殊画像)を形成する引用発明において、特殊画像として、シボ状画像を選択し、立体画像データとして、「間引き処理を行った印刷データ」を生成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)[相違点2]について
ア 紫外線照射により記録媒体に着弾させたUVインク液滴を硬化させるにあたり、仮硬化を行い、更に光を照射することで仮硬化したUVインクを完全に硬化させることは周知技術である。
例えば、引用文献3には、「形成する画像は、必ずしも微小な凹凸が存在する画像面を有することが好ましい画像ではない。形成する画像によっては、画像を形成するための機能液が濡れ広がることによって平坦な画像面が形成されることが好ましい画像も存在する。」(記載事項ア段落【0005】)「紫外線硬化型の液状体が硬化して形成される膜の状態を、好適な状態に調整することで、画像の質感などを好適に調整することができる。」(記載事項ア段落【0016】)、「吐出走査においては、着弾させた液滴に、一次硬化ユニット95によって紫外線を照射することで、着弾した機能液を仮硬化させる。X軸移動機構36によるワークWのX軸方向の移動(改行)と、吐出走査とを繰り返すことで、所望する平面形状の描画を実施することが可能である。」、「所望する平面形状に機能液を配置したワークWを、ワーク載置台33をX軸移動機構36によってX軸方向に移動させることで、硬化ユニット10のUVランプ15に臨む位置に移動させる。当該位置で、UVランプ15によって紫外線をワークW上に配置された機能液に照射することで、配置された位置において機能液を硬化させる。」(記載事項イ段落【0030】)、「機能液の硬化率に影響を及ぼす要因は、走査速度、UVLED96の照射領域のY軸方向における幅、UVLED96の照射強度、などである。これらの要因について、適切な値に設定することで、着弾させられた機能液を適切な硬化率に硬化させることができる。一次硬化ユニット95から紫外線を照射させることで、例えば、着弾した機能液を仮硬化させる。仮硬化は、硬化ユニット10を用いて充分に硬化させる本硬化の前に、着弾した機能液が流動することを抑制するための硬化である。」(記載事項ウ【0042】)と記載されている。また、引用文献4には、「記録媒体120に打滴されたインク滴は、硬化光源116R、116Lによる1回の紫外線照射では完全には硬化せず、半硬化状態となる。ここで、半硬化状態とは、インクが硬化を開始してから本硬化状態に至るまでの間の硬化状態を指す。半硬化状態のインク滴は、その後記録媒体120の搬送方向の下流側に配置された図示しない本硬化光源によってさらに紫外線が照射されて本硬化状態となり、これにより記録媒体120の記録面に画像が記録される。」(記載事項イ段落[0045])、「半硬化時の照射光量を低減することで、記録画像の光沢性を増加させることができる。」(記載事項イ段落[0046])、「仮硬化光源32A、32Bは、インクジェットヘッド24から吐出されたインク滴が記録媒体12に着弾した後に、隣接液滴同士が合一化しない程度にインクを仮硬化(半硬化)させるための紫外線を照射する光源である。本硬化光源34A、34Bは、仮硬化後に追加露光を行い、最終的にインクを完全に硬化(本硬化)させるための紫外線を照射する光源である。」(記載事項ウ段落[0076])と記載されている。
そして、上記の記載事項に基づけば、仮硬化は、表面に「微小な凹凸」が生じることを防止し「光沢性を増加」させる等の調整を行うためになされるものであって、「所望する平面形状の描画を実施する」ことが可能であるように、「隣接液滴同士が合一化しない程度」に硬化させるものであるから、仮硬化によってUVインクは、「細かい凹凸を解消する程度の流動性を保持しつつ」、「第2のインクが印刷領域から流出しない程度に増粘させる」ように硬化されるものといえる。
一方、引用発明は、「凹凸UVインク層」を形成する「ステップS3」及び「ステップS4」によって所望する立体形状を形成しており、引用発明の「白UVインク層」を形成する「ステップS6」及び「ステップS7」は、前記5(2)に記載したように「第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しつつ、第1の下地層の表面における上記大きな凹凸より細かい凹凸を解消」するように白UVインクを塗布し硬化させるものである。
そうすると、引用発明の紫外線照射によりUVインクを硬化させる(ステップS7)においても、上記周知技術を採用し、紫外線照射によりUVインクを増粘させることにより仮硬化させ、さらに紫外線照射することで、仮硬化した上記UVインクを完全に硬化させるように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。そして、仮硬化する工程を採用するにあたり、仮硬化が「凹凸UVインク層」によって形成された大きな凹凸を維持するようになされることは自明である。

イ 審判請求人は、令和元年10月17日に提出した意見書において、「引用文献3および4には、紫外線硬化型インクを仮硬化(半硬化)させることが開示されてはおりますが、これは、インクの流動性を抑制することが目的であり、本願発明とは、仮硬化を行う目的が相違します。」、「引用文献1記載の発明において、引用文献3および4に記載されるように、白UVインクが流動することを抑制するために仮硬化を行ったとしても、土台層の細かい凹凸は解消されません。それどころか、土台層に対する白UVインクの濡れ特性によっては、仮硬化を行うことにより、凹凸がより強調される可能性もあります。」とし、「本願発明の特徴である、上記相違点に関する構成について、何ら記載のない引用文献1?6を如何に組み合わせても、本願発明の構成には至りません。」と主張している。
しかしながら、前記5(2)に記載したとおり、引用発明における「(ステップS6)」は、「凹凸の別なくアート紙4の全面に白UVインクがベタ印刷され」るステップであるから、引用発明も、本件発明と同様に、「第1の下地層の上記大きな凹凸を維持しつつ、第1の下地層の表面における上記大きな凹凸より細かい凹凸を解消」するように白UVインクを塗布しているといえるものである。また、前記アに記載したとおり、引用文献3及び引用文献4の記載事項に基づけば、仮硬化は、UVインクの流動性を調整して、表面に「微小な凹凸」が生じることを防止し「光沢性を増加」させる等の調整を行うためになされるものであるから、上記周知技術における「仮硬化」と本件発明における「仮硬化」の構成が異なるということはできず、上記周知技術の「仮硬化」も本件発明と同様に下地の細かい凹凸を解消するものといえる。
したがって、審判請求人の意見は採用することができない。

(3)効果について
本件発明の効果は、引用文献1及び引用文献2の記載事項並びに上記周知技術に基づいて、当業者が予測し得たものである。


7 むすび
以上のとおりであるから、本件発明は、引用発明、引用文献2の記載事項及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について言及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-20 
結審通知日 2019-11-26 
審決日 2019-12-10 
出願番号 特願2014-128619(P2014-128619)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41M)
P 1 8・ 16- WZ (B41M)
P 1 8・ 537- WZ (B41M)
P 1 8・ 113- WZ (B41M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 野田 定文  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 関根 洋之
宮澤 浩
発明の名称 画像形成方法  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  

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