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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G07C
管理番号 1359291
審判番号 不服2019-1833  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-02-08 
確定日 2020-02-18 
事件の表示 特願2015-12012号「開閉手段用警戒システムにおける警戒判定器」拒絶査定不服審判事件〔平成28年8月4日出願公開、特開2016-139169号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年1月26日の出願であって、平成30年1月17日に手続補正書が提出され、同年8月28日付けで拒絶理由が通知され、同年10月15日に意見書が提出され、同年11月1日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対し、平成31年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願の請求項1?4、7及び9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1及び2に基いて、本願の請求項5及び6に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?3に基いて、本願の請求項8に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された以下の刊行物1?4に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物一覧
刊行物1:特開2013-194952号公報
刊行物2:特開2009-99059号公報
刊行物3:特開2011-210216号公報
刊行物4:特開昭60-184174号公報
以下それぞれ「引用文献1ないし4」という。

第3 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」?「本願発明4」という。)は、平成31年2月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
進入が制限された第1の制限区域と、第2の区域とからなる2つの区域の間に設けられた開閉手段に関係して警戒状態を判定する開閉手段用警戒システムにおける警戒判定器であって、前記開閉手段用警戒システムは、
前記第1の区域に進入しようとする物体の権限の有無を判定する認証装置であって、前記物体は権限を有すると判定した場合に限り、前記開閉手段が開放されるか、または前記開閉手段の開放が許可される、認証装置と、
前記開閉手段の全閉を検知する全閉検知装置と、
前記2つの区域のそれぞれの範囲内であって、前記開閉手段近傍の2つの検知エリア内における物体をそれぞれ検知する2つの物体検知センサを有する物体検知装置と、
当該警戒判定器とを備え、
当該警戒判定器は、前記全閉検知装置および前記物体検知装置に接続され、
前記全閉検知装置による検知もしくは非検知と前記物体検知装置による物体検知もしくは物体非検知とが所定の組合せの発生を経た後に、警戒状態を判定する警戒状態判定手
段を備え、
前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないことであり、
前記警戒状態判定手段は、この組合せの発生を経た後に、前記第2の区域内における検知エリアで権限のない物体が検知され、それに続いて前記第1の区域内における検知エリアで物体が検知される場合に、不正進入を推定して、警戒状態であると判定する、警戒判定器。
【請求項2】
請求項1に記載の警戒判定器において、
前記開閉手段が自動ドアまたは自動シャッタである、警戒判定器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の警戒判定器において
前記開閉手段が開放から閉鎖へ移行している間に、前記2つの物体検知センサの少なくとも一方が対応する前記検知エリア内において物体を検知すると、前記開閉手段を開放させる、警戒判定器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の警戒判定器を備えた、前記開閉手段用警戒システム。」

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審が付した。以下同様である。)
(1a)
「【請求項1】
扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システムであって、
前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサと、
前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサと、
前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置され、記録媒体に記録された情報を読み取る外部読取装置と、
前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設定され、記録媒体に記録された情報を読み取る内部読取装置と、
前記扉の開閉を検出する扉開きセンサと、
前記外部人感センサ、前記内部人感センサ、前記外部読取装置、前記内部読取装置、及び、前記扉開きセンサと通信可能であり、前記空間の入退室権限を有する利用者を示す入退室権限情報を記憶している入退室管理装置と、
前記空間内に設置された設備の制御を行う設備管理装置と、を備え、
前記入退室管理装置は、
前記外部人感センサにより人体が検知された後、第1の一定時間内に前記外部読取装置が記録媒体を検知した場合に、前記入退室権限情報に基づいて、当該記録媒体の利用者の入室権限の有無を判定し、当該利用者が入室権限を有する場合に前記扉を開け、前記扉が開けられた後、第2の一定時間内に前記内部人感センサにより人体が検知された場合に、入室者ありと判定する入室判定手段と、
前記内部人感センサにより人体が検知された後、第3の一定時間内に前記内部読取装置が記録媒体を検知した場合に、前記入退室権限情報に基づいて、当該記録媒体の利用者の退室権限の有無を判定し、当該利用者が退室権限を有する場合に前記扉を開け、前記扉が開けられた後、第4の一定時間内に前記外部人感センサにより人体が検知された場合に、退室者ありと判定する退室判定手段と、
前記入室判定手段により判定された入室者の人数から、前記退室判定手段により判定された退室者の人数を減算して在室者数を推定する在室者数推定手段と、を備え、
前記設備管理装置は、前記在室者数に基づいて、設備の自動制御を行うことを特徴とする設備制御システム。
【請求項2】
前記入室判定手段は、前記外部人感センサにより人体が検知された後、前記第1の一定時間内に前記外部読取装置が記録媒体を検知しなかった場合には、前記扉が既に開いており、かつ、その後の第5の一定時間内に前記内部人感センサにより人体が検知された場合に入室者ありと判定し、
前記退室判定手段は、前記内部人感センサにより人体が検知された後、前記第3の一定時間内に前記内部読取装置が記録媒体を検知しなかった場合には、前記扉が既に開いており、かつ、その後の第6の一定時間内に前記外部人感センサにより人体が検知された場合に退室者ありと判定することを特徴とする請求項1に記載の設備制御システム。」
(1b)
「【0012】
本発明は、利用者の入退室を正確に検知すること、その結果として得られる正確な在室者数をもとにエリア内の照明・空調の制御を行うこと、及び、エリア内に照明・空調のレベル設定が異なる複数の小エリアを仮想的に設けて入室者の嗜好に基づきエリア内で最適と思われる着席指定場所へ入室者を誘導することにより、省エネと個人の環境満足度向上の両方の実現に効果を発揮する設備制御システムを提供することを目的とする。」
(1c)
「【0029】
本発明によれば、ビル内の所定エリアへの入退室が制御された扉で共連れがあった場合でも、当該エリアの在室者数を正確に把握できるので、室内に在留者がいるのに照明・空調が停止してしまうような具合を生じることなく、在室者の有無に応じて効果的な省エネを実現できる。また、同じ嗜好をもつ在室者が集まるように誘導して、各々の嗜好グループに適する条件での照明・空調を提供することで、快適な労働環境を実現できる。」
(1d)
「【0034】
[第1実施形態]
(構成)
図1は、第1実施形態に係る建物内設備制御システムの構成を示す。建物内設備制御システム(以下、「設備制御システム」と呼ぶ。)は、入退室管理サーバ1と、入退室判定装置2と、ローカル制御装置3と、人感センサ監視装置4と、設備管理サーバ5と、空調管理サーバ6と、を備える。
【0035】
入退室管理サーバ1は、設備が設けられた部屋への利用者の入退室を管理するものであり、具体的には、部屋に設けられた扉を通過する権限のある社員についての社員IDの管理、及び、扉を通過した社員のログを収集する。入退室管理サーバ1は、社員データベース(DB)16と、入退室ログデータベース(DB)とに接続されている。
【0036】
社員DB16には、各社員の社員IDに関連付けて、その社員の情報、例えば、氏名、年齢、所属、役職などの各種の情報が記憶されている。入退室ログDB17は、建物内の各空間に対する社員の入退室のログが記憶されている。
【0037】
入退室判定装置2は、建物内の部屋に対する利用者の入退室を判定する。具体的に、入退室判定装置2は、ローカル制御装置3、扉開きセンサ13、人感センサ監視装置4の出力に基づいて、部屋への利用者の入退室を判定する。なお、入退室の判定については後で詳しく述べる。
【0038】
ローカル制御装置3は、各扉におけるICカードの照合を迅速に行うために入室用または退室用のカードリーダ近傍に設置される制御装置であり、入室用カードリーダ11と退室用カードリーダ12に接続されている。入室用カードリーダ11は、部屋の扉の近傍、かつ、部屋の外側に設置されており、部屋に入室しようとする利用者がかざしたICカードから社員IDを読み取り、ローカル制御装置3へ送信する。また、退室用カードリーダ12は、部屋の扉の近傍、かつ、部屋の内側に設置されており、部屋から退室しようとする利用者がかざしたICカードから社員IDを読み取り、ローカル制御装置3へ送信する。ローカル制御装置3は、この部屋への入退室が許可された社員IDを示す通過許可リストを予め記憶しており、入室用カードリーダ11又は退室用カードリーダ12が読み取った社員IDが通過許可リストに含まれる場合に、部屋の扉の電気錠を開錠する。また、ローカル制御装置3は、扉の開閉状態を入退室判定装置2へ送信する。
【0039】
人感センサ監視装置4は、人感センサにより利用者の入退室を検出するためのものであり、人感センサ14、15に接続されている。人感センサ14は、部屋の外側、かつ、部屋の扉の近くの天井又は壁面に設けられている。人感センサ15は、部屋の内側、かつ、部屋の扉の近くの天井又は壁面に設けられている。人感センサ14、15は、人体から放射される赤外線を検知するなどの原理で人体の有無を検出する。人感センサ14、15は、人体を検知すると、その検出信号を人感センサ監視装置4に送信する。人感センサ監視装置4は、人感センサ14、15から受信した検出信号を入退室判定装置2へ送信する。
・・・
【0046】
(入退室判定)
次に、入退室判定装置2による入退室の判定について説明する。入退室判定装置2は、人感センサ14、15からの検出信号と、カードリーダ11、12による読取信号と、扉開きセンサ13からの検出信号とに基づいて、利用者の入退室を判定する。
【0047】
まず、入室の判定について説明する。図2(a)?(d)は、利用者がある部屋へ入室する際に行われる入室判定手順を示している。まず、図2(a)では、ある利用者が扉に接近しているが、人感センサ14の検知領域には入っていない。利用者がさらに扉に近づくと、図2(b)に示すように、扉外側の人感センサ14が人を検知する。次に、図2(c)に示すように、その利用者が入室用カードリーダ11に自分のICカードをかざすと、入室用カードリーダ11はICカードから社員IDを読み取る。ローカル制御装置3は、上述の通過許可リストを参照してその利用者が通過許可を有するか否かを判定し、通過許可を有する場合には、部屋の扉を開ける。扉開きセンサ13は扉が開かれたことを検出する。扉が開いて利用者が入室し、扉を閉じて進むと、図2(d)に示すように、部屋内の人感センサ15が人を検知する。
【0048】
図3(a)は、入室を判定するためのタイミングチャートを示している。まず、入退室判定装置2は、部屋の外側の人感センサ14の出力を監視する。人感センサ14が人を検知した場合(時刻t1)、入退室判定装置2は、一定時間(例えば1?5秒程度)だけ有効な監視ウィンドウ1を開いて、入室用カードリーダ11の検出信号を待つ。監視ウィンドウ1が開いている間に、入室用カードリーダ11がICカードを検知すると(時刻t2)、入退室判定装置2は、次に一定時間(例えば1?5秒程度)だけ有効な監視ウィンドウ2を開いて、扉開きセンサ13の出力を監視する。扉が開かれたことが検知されると(時刻t3)、入退室判定装置2は、次に、一定時間(例えば1?5秒程度)だけ有効な監視ウィンドウ3を開いて、扉内側の人感センサ15の出力を監視する。扉内側の人感センサ15が人を検知すると(時刻t4)、入退室判定装置2は、一人の利用者が入室したと判定する。
【0049】
このように、人感センサとカードリーダとを併用することにより、一人の利用者の入室を判定することができる。但し、現実には、入室用カードリーダ11にICカードをかざさずに、前の人に続いて入室すること、いわゆる「共連れ」が見られる。共連れを防ぐためには、例えば一人しか入れない前室を設けるなどの物理的な手段も有効であるが、本実施形態によれば、ICカードをかざさない場合でも、人感センサを用いることで、精度よく入室を検知できる。
【0050】
具体的に、図3(b)は、ICカードが検知されなかった場合も、人感センサを用いて人の入室を判定するタイミングチャートを示している。判定手順は以下のとおりである。
【0051】
まず、入退室判定装置2は、扉入口の人感センサ14の出力を監視する。人感センサ14が人を検知した場合(時刻t5)、入退室判定装置2は、一定時間(入室の処理と同じく、例えば1?5秒程度)だけ有効な監視ウィンドウ1を開いて、入室用カードリーダ11の検知信号を待つ。ここで、監視ウィンドウ1が開いている間に入室用カードリーダ11がICカードを検知しなかった場合は、入退室判定装置2は、監視ウィンドウ1の終了と同時に(時刻t6)、一定時間だけ有効な監視ウィンドウ2を開き、そのときに扉開きセンサ13がオン、即ち扉が開いているか否かを判定する。なお、図3(b)は共連れのケースなので、扉開きセンサ13はオンになったままになっている。扉が開いている場合、入退室判定装置2はさらに監視ウィンドウ1の終了と同時に(時刻t6)、一定時間だけ有効な監視ウィンドウ3を開き、部屋内部の人感センサ15を監視する。そして、監視ウィンドウ3が開いている間に人感センサ15が人を検知した場合(時刻t7)、入退室判定装置2は、一人の利用者が入室したと判定する。
【0052】
以上の手法により、部屋の内外の少なくとも2箇所に設置された人感センサ14、15と、扉開きセンサ13と、カードリーダ11、12とを用いて、たとえ共連れがあったとしても、人の入室を正確に判定することができる。」

(2)引用文献1に記載された発明
摘記(1a)から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システムであって、
前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサと、
前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサと、
前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置され、記録媒体に記録された情報を読み取る外部読取装置と、
前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設定され、記録媒体に記録された情報を読み取る内部読取装置と、
前記扉の開閉を検出する扉開きセンサと、
前記外部人感センサ、前記内部人感センサ、前記外部読取装置、前記内部読取装置、及び、前記扉開きセンサと通信可能であり、前記空間の入退室権限を有する利用者を示す入退室権限情報を記憶している入退室管理装置と、
前記空間内に設置された設備の制御を行う設備管理装置と、を備え、
前記入退室管理装置は、
前記外部人感センサにより人体が検知された後、第1の一定時間内に前記外部読取装置が記録媒体を検知した場合に、前記入退室権限情報に基づいて、当該記録媒体の利用者の入室権限の有無を判定し、当該利用者が入室権限を有する場合に前記扉を開け、前記扉が開けられた後、第2の一定時間内に前記内部人感センサにより人体が検知された場合に、入室者ありと判定する入室判定手段と、
前記内部人感センサにより人体が検知された後、第3の一定時間内に前記内部読取装置が記録媒体を検知した場合に、前記入退室権限情報に基づいて、当該記録媒体の利用者の退室権限の有無を判定し、当該利用者が退室権限を有する場合に前記扉を開け、前記扉が開けられた後、第4の一定時間内に前記外部人感センサにより人体が検知された場合に、退室者ありと判定する退室判定手段と、
前記入室判定手段により判定された入室者の人数から、前記退室判定手段により判定された退室者の人数を減算して在室者数を推定する在室者数推定手段と、を備え、
前記設備管理装置は、前記在室者数に基づいて、設備の自動制御を行い、
前記入室判定手段は、前記外部人感センサにより人体が検知された後、前記第1の一定時間内に前記外部読取装置が記録媒体を検知しなかった場合には、前記扉が既に開いており、かつ、その後の第5の一定時間内に前記内部人感センサにより人体が検知された場合に入室者ありと判定し、
前記退室判定手段は、前記内部人感センサにより人体が検知された後、前記第3の一定時間内に前記内部読取装置が記録媒体を検知しなかった場合には、前記扉が既に開いており、かつ、その後の第6の一定時間内に前記外部人感センサにより人体が検知された場合に退室者ありと判定する、
設備制御システム。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
(2a)
「【0009】
上記関連技術の様に、様々な観点から共連れ問題の解決を試みているが、未だ解決したとは言い難い現状である。
【0010】
そこで、新たな観点から共連れ問題の解決を図る。既存のゲートシステムには、引戸型やスライド型、フラッパー型、シャッター型など複数の種類があり、これらのゲートシステムでは、IDカード等によって認証した者が通過した直後は未だゲートが通過許可状態(開状態等)である。多くのゲートシステムでは、急ぎ通過不許可状態(閉状態等)に遷移する様に設計されているが、安全面や構造上、コスト上の問題から、若干の時間を置いて通過不許可状態に遷移している。多くの不正入退出者は、このゲートの状態遷移に要する若干の時間を利用し、ゲートの通過を行なっている。
【0011】
具体的な例としては、引戸型のゲートシステムでは、正規の入退室者が認証して扉(ゲート)を開けた状態(通過許可状態)から、入退室者が通過後に、扉が閉まった状態(通過不許可状態)に遷移するまでに数秒の時間が掛かる。これは、ドアクローザによって入退出者の挟み込みを防止する為であるが、この数秒の時間を利用し、不正入退出者は扉を開けて不正入室を行なっている。
【0012】
また、スライド型のゲートシステムにおいても引戸型のゲートシステムと同様であり、自動的に閉まる扉には挟み込み防止センサが設けられ、挟み込み防止を図っているが為に、不正入室者が再度扉を開けることが可能である。
【0013】
また、フラッパー型も同様であり、正規の通過者通過後、通過許可状態から通過不許可状態に遷移するまでに、不正通過者が通過を試みている。尚、フラッパー型は応答速度や通過率、安全面を考慮している為、フラッパーに接触しても通過可能である時間が長く、不正通過者は少々フラッパーに接触しても強引に通過している。
【0014】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて成されたものであり、ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知するゲートシステム及びゲート制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のゲートシステムは、通過者に対して選択的に通過の許可を与えるゲートシステムにおいて、前記通過者の到来を検出する第1の検出手段と、前記通過者が、予め定められた通過を許可される者か通過を許可されない者かを識別する認証手段と、前記ゲートの状態を識別し、ゲート状態識別信号を出力する第1の識別手段と、前記認証手段で行う識別結果と前記第1の検出手段の検出結果とを用いて、前記ゲートの通過許可状態と通過不許可状態を制御するゲート制御手段と、を備え、前記ゲート制御手段は、更に、前記第1の識別手段から前記ゲート状態識別信号を受け、前記第1の検出手段の検出結果と前記ゲート状態識別信号とから、通過を許可された者以外の者の通過を報知する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ゲートが通過許可状態から通過不許可状態に遷移する時間に、不正入退出者を検知するゲートシステム及びゲート制御方法を提供できる。」
(2b)
「【0035】
一方、通過を許可された者の後に不正入退室者が通過するときのゲート110の動作は、(1)通過を許可された者によってゲート110が開けられる。(2)通過を許可された者がゲートシステム100を通過する。(3)ゲート110が自動的に閉まりかける。(4)不正入退室者によってゲート110が再度開けられる。(5)不正入退室者がゲートシステム100を通過する。(6)ゲート110が自動的に閉まる。
【0036】
前記した(4)の動作を検出した場合、即ち、通過を許可された者以外の者がゲート110を再度開けた場合(影響を与えた場合)に異常(不正入退出者)と判別し、報知処理を行う。具体的な動作例を図5に示す。
・・・
【0040】
(3)制御部130がゲート状態識別センサ160を用いて、ゲート110が閉まりかけることを検出する(ステップS503)。尚、検出方法の一つとしては、ゲート110の角度が閉じる方向に縮小することを判別しても良いし、加速度センサで加速度を検出し、予め記録されたゲート110の閉じる方向への加速度と比較することで、自動的に閉じてきていることを判別しても良い。
【0041】
(4)制御部130がゲート状態識別センサ160を用いて、不正入退室者によってゲート110が再度開けられたことを検出する(ステップS504)。尚、検出方法の一つとしては、ゲート110が閉状態(ロック状態)になる前に、ゲート110の角度が再度開く方向に稼働することを検出すれば良い。また、ゲート110が閉じ始めてから閉状態になる前に停止した場合も、ゲート110が再度開けられた場合と同様に検出しても良い。またこのときに、認証者検出センサ150を同時的に判別手段として用いれば、更に精度良く不正入出者を検出できる。
【0042】
このようにして、制御部130が不正入出者を判別した場合に報知処理を行う。尚、報知処理は、各種センサの検出値等を考慮し、ブザーやランプの点灯を行なうだけでなく、不正入出者に認証処理を行うことを促す様にしたり、警備部門に通報したりすることが望ましい。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
(3a)
「【0032】
次に、利用者Zが、共用通路側の出入口近傍の所定領域である電気錠付き扉D1前の監視領域C1にて、所定時間以上の間、滞留した場合の動作について説明する。
【0033】
利用者Zが携行するIDカードホルダ30は、IDカードホルダ30ごとに付与されている自己のホルダIDを監視領域C1の内側に入ると、送受信装置R1へ送信する。ホルダIDを受信した送受信装置R1は、当該ホルダIDを通信網2経由で管理装置1に送信する。
【0034】
ホルダIDを受信した管理装置1は、利用者ZのIDカードホルダ30が監視領域C1の内側に入ったことを検出し、監視領域C1に継続して所在している時間である滞留時間の計時を開始する。ここでは、利用者Zは、室Aへの入室のためのIDカード3をカードリーダCR1にかざさない。このため、管理装置1は、当該滞留時間が予め設定された監視領域C1における滞留制限時間を超え、利用者ZのIDカードホルダ30に対して、通信網2および送受信装置R1経由で滞留警告状態の表示命令を送信する。
【0035】
利用者ZのIDカードホルダ30は、管理装置1から滞留警告状態の表示命令を受信すると、表示部34に滞留警告状態を表示する。これにより、利用者Zが監視領域C1内で長時間滞留していることを周囲の利用者に対して明示できる。したがって、周囲の利用者は、利用者Zが共連れ等を行う恐れのある者でことについて気付き、共連れ等がされる前に警戒することができる。」

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
(4a)
「そして一旦、開き動作(22)を起こすとドア寸開信号(23)が連続的に出力し、この信号(23)により電気錠(2)の解錠指令(F_(1))を保持させ、又、前記寸開信号(23)を、入域許可信号(Q)を出力する内部スイッチ(10)又は(12)の回線にOR回路(b)を介して接続する。これにより、入域許可信号(Q)の消滅後も寸開信号(23)により入域許可信号(Q’)を出力するのでマットスイッチ(5)又は(8)が検知信号(P)を出力している限りドア(1)が閉じることなく、閉じる途中でも再び開き動作をして開動するので、外来者に同伴した子供達の通行に安全である。」(3ページ右上欄5?17行)

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(ア)
引用発明において直接特定されているものではないが、引用発明は、「外側空間」、「内側空間」、これらの空間に対応する各「検知エリア」を備えていることが、以下のとおり、明らかである。
(イ)
引用発明の「前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサ」及び「前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサ」の配置ないし機能に鑑みると、引用発明の「扉で仕切られた空間」は、「外側空間」と「内側空間」とを備えていることが、明らかである。
(ウ)
また、引用発明の「前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサ」及び「前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサ」は、上記の「外側空間」と「内側空間」とにそれぞれ設けられていることが明らかであり、それぞれ、「外側空間」の範囲内で、「扉の近傍」の「検知エリア」内における「人」を検知し、「内側空間」の範囲内で、「扉の近傍」の「検知エリア」内における「人」を検知することも、明らかである。

引用発明の「前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置され、記録媒体に記録された情報を読み取る外部読取装置」、「前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設定され、記録媒体に記録された情報を読み取る内部読取装置」及び「入退室管理装置」の「前記外部人感センサにより人体が検知された後、第1の一定時間内に前記外部読取装置が記録媒体を検知した場合に、前記入退室権限情報に基づいて、当該記録媒体の利用者の入室権限の有無を判定し、当該利用者が入室権限を有する場合に前記扉を開け、前記扉が開けられた後、第2の一定時間内に前記内部人感センサにより人体が検知された場合に、入室者ありと判定する入室判定手段」の機能、並びに、上記ア(イ)の「外側空間」及び「内側空間」を踏まえると、
引用発明の「外部読取装置」及び「入退室管理装置」の「入室判定手段」は、「内側空間」に「入室」すなわち進入しようとする「利用者の入室権限の有無を判定し」、「利用者が入室権限を有する場合に」「扉を開け」るといえる。

上記イを踏まえると、引用発明の「内側空間」は、「利用者が入室権限を有する場合に」限り、「入室」すなわち進入できる空間であるから、本願発明1の「進入が制限された第1の制限区域」に相当する。
引用発明の「外側空間」は、本願発明1の「第2の区域」に相当する。
引用発明の「扉」は、本願発明1の「開閉手段」に相当する。
引用発明の「扉の開閉を検出する扉開きセンサ」は、本願発明1の「開閉手段の全閉を検知する全閉検知装置」に相当する。
引用発明の「人」、「人体」及び「利用者」は、いずれも、本願発明1の「物体」に相当する。
引用発明の「入室権限」は、本願発明1の「権限」に相当する。

上記ア(ウ)のとおり、引用発明の「前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサ」及び「前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサ」は、それぞれ、「外側空間」の範囲内で、「扉の近傍」の「検知エリア」内における「人」を検知し、「内側空間」の範囲内で、「扉の近傍」の「検知エリア」内における「人」を検知するから、上記ウを踏まえると、それぞれ、「進入が制限された第1の制限区域」の範囲内で、「開閉手段近傍」の「検知エリア」内における「物体」を検知し、「第2の区域」の範囲内で、「開閉手段近傍」の「検知エリア」内における「物体」を検知するといえる。
したがって、引用発明の「前記扉の近傍かつ前記空間の外側に設置された外部人感センサ」及び「前記扉の近傍かつ前記空間の内側に設置された内部人感センサ」は、本願発明1の「前記2つの区域のそれぞれの範囲内であって、前記開閉手段近傍の2つの検知エリア内における物体をそれぞれ検知する2つの物体検知センサを有する物体検知装置」に相当する。

上記イのとおり、引用発明の「外部読取装置」及び「入退室管理装置」の「入室判定手段」は、それら両方が作動することで、「内側空間」に「入室」すなわち進入しようとする「利用者の入室権限の有無を判定し」、「利用者が入室権限を有する場合に」「扉を開け」るから、上記ウを踏まえると、「進入が制限された第1の制限区域」に進入しようとする「物体の権限の有無を判定し」、「物体が権限を有する場合に」「開閉手段を開け」るといえる。
したがって、引用発明の「外部読取装置」及び「入退室管理装置」の「入室判定手段」は、本願発明1の「前記第1の区域に進入しようとする物体の権限の有無を判定する認証装置であって、前記物体は権限を有すると判定した場合に限り、前記開閉手段が開放されるか、または前記開閉手段の開放が許可される、認証装置」に相当する。

引用発明の「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システム」が備える「入退室管理装置」は、「扉を開け」「入室者ありと判定する入室判定手段」を備えることから、開閉手段に関係して入室状態を判定する入室判定器の機能を備えるといえる。
このことから、引用発明の「入退室管理装置」を備える「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システム」は、開閉手段に関係して入室状態を判定する機能を備え、引用発明の「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システム」が備える「入退室管理装置」は、開閉手段に関係して入室状態を判定する開閉手段用システムにおける判定器であるといえる。
これらのことと、上記ア(イ)及びウを踏まえると、引用発明の「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システム」が備える「入退室管理装置」と、本願発明1の「進入が制限された第1の制限区域と、第2の区域とからなる2つの区域の間に設けられた開閉手段に関係して警戒状態を判定する開閉手段用警戒システムにおける警戒判定器」とは、「進入が制限された第1の制限区域と、第2の区域とからなる2つの区域の間に設けられた開閉手段に関係して状態を判定する開閉手段用システムにおける判定器」の限りで共通している。

引用発明の「前記外部人感センサ、前記内部人感センサ、前記外部読取装置、前記内部読取装置、及び、前記扉開きセンサと通信可能であり、前記空間の入退室権限を有する利用者を示す入退室権限情報を記憶している入退室管理装置」は、「扉開きセンサ」(本願発明1の「全閉検知装置」に相当。上記ウを参照。)および「前記外部人感センサ、前記内部人感センサ」(本願発明1の「物体検知装置」に相当。上記エを参照。)と「通信可能」であるから、それらの装置に、接続されているといえる。
このことと、上記カの「判定器」を踏まえると、引用発明の「前記外部人感センサ、前記内部人感センサ、前記外部読取装置、前記内部読取装置、及び、前記扉開きセンサと通信可能であり、前記空間の入退室権限を有する利用者を示す入退室権限情報を記憶している入退室管理装置」の構成と、本願発明1の「当該警戒判定器は、前記全閉検知装置および前記物体検知装置に接続され」る構成とは、「当該判定器は、前記全閉検知装置および前記物体検知装置に接続され」る構成の限りで共通している。

そして、引用発明の「扉で仕切られた空間に対して設置された設備制御システム」は、「外部人感センサ」及び「内部人感センサ」(本願発明1の「物体検知装置」に相当。上記エを参照。)、「外部読取装置」及び「入退室管理装置」の「入室判定手段」(本願発明1の「認証装置」に相当。上記オを参照。)、並びに、「入退室管理装置」(本願発明1の「警戒判定器」と「判定器」の限りで共通。上記カを参照。)を備えるものである。

以上から、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「進入が制限された第1の制限区域と、第2の区域とからなる2つの区域の間に設けられた開閉手段に関係して状態を判定する開閉手段用システムにおける判定器であって、前記開閉手段用システムは、
前記第1の区域に進入しようとする物体の権限の有無を判定する認証装置であって、前記物体は権限を有すると判定した場合に限り、前記開閉手段が開放されるか、または前記開閉手段の開放が許可される、認証装置と、
前記開閉手段の全閉を検知する全閉検知装置と、
前記2つの区域のそれぞれの範囲内であって、前記開閉手段近傍の2つの検知エリア内における物体をそれぞれ検知する2つの物体検知センサを有する物体検知装置と、
当該判定器とを備え、
当該判定器は、前記全閉検知装置および前記物体検知装置に接続される、判定器。」
<相違点1>
「開閉手段に関係して状態を判定する開閉手段用システム」及び「判定器」に関して、本願発明1は、開閉手段に関係して「警戒」状態を判定する開閉手段用「警戒」システム、及び、「警戒」判定器であるのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。
<相違点2>
本願発明1は、
「前記全閉検知装置による検知もしくは非検知と前記物体検知装置による物体検知もしくは物体非検知とが所定の組合せの発生を経た後に、警戒状態を判定する警戒状態判定手段を備え、
前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないことであり、
前記警戒状態判定手段は、この組合せの発生を経た後に、前記第2の区域内における検知エリアで権限のない物体が検知され、それに続いて前記第1の区域内における検知エリアで物体が検知される場合に、不正進入を推定して、警戒状態であると判定する」のに対して、
引用発明は、そのように特定されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、上記相違点2について検討する。

上記相違点2に係る本願発明1の構成(特に、「前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないことであり、前記警戒状態判定手段は、この組合せの発生を経た後に、前記第2の区域内における検知エリアで権限のない物体が検知され、それに続いて前記第1の区域内における検知エリアで物体が検知される場合に、不正進入を推定して、警戒状態であると判定する」という構成(以下「事項A」ともいう。))は、引用文献2?4のいずれにも記載も示唆もされていない(摘記(2a)?(4a)等参照)。

本願発明1は、事項Aを備えることにより、不正な共連れだけを防止する旨の課題(段落【0006】等参照)が解決できるものと理解できる。
補足すると.事項Aの「前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないこと」(図4の状態)を前提として、「不正侵入を推定」するから、図6に示すような、知人の共連れが不正侵入とみなされることはなく、上記の課題が解決できるといえる。

一方、引用文献1には、共連れ(段落【0029】、【0049】、【0051】及び【0052】について記載されているが、引用発明の課題は、「利用者の入退室を正確に検知すること、その結果として得られる正確な在室者数をもとにエリア内の照明・空調の制御を行うこと」(段落【0051】参照)であり、「たとえ共連れがあったとしても、人の入室を正確に判定することができ」(段落【0052】)、「ビル内の所定エリアへの入退室が制御された扉で共連れがあった場合でも、当該エリアの在室者数を正確に把握できるので、室内に在留者がいるのに照明・空調が停止してしまうような具合を生じることなく、在室者の有無に応じて効果的な省エネを実現できる」(段落【0029】)という効果が奏されるものである。
このように、引用文献1には、不正侵入の防止という観点は記載されておらず、「利用者の入退室を正確に検知し」「正確な在室者数」を把握することができれば、知人の共連れがある場合でも問題は発生しないものであり、不正な共連すなわち不正侵入を防止する旨の課題は記載されていない。

したがって、例えば、引用文献2に記載されるように、共連れの種類を区別せず、一定の条件に該当する場合、一律に不正侵入とみなして警報することが周知技術であったとしても、この周知技術を、引用発明に適用する動機付けがあるとはいえない。

また、仮に、引用発明に、当該周知技術を適用できたとしても、事項Aを含んでいる上記相違点2に係る本願発明1の構成(特に、事項Aの「前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないこと」を前提として、「不正侵入を推定」する構成)は、いずれの引用文献にも記載も示唆もされていないから(上記ア)、事項Aを含んでいる上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。

したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2?4について
本願発明2?4は、本願発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明及び引用文献2?4に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1?4は,事項Aすなわち「前記所定の組合せが、前記開閉手段が全閉ではなく、かつ、前記2つの検知エリア内のいずれにおいても物体が検知されていないことであり、前記警戒状態判定手段は、この組合せの発生を経た後に、前記第2の区域内における検知エリアで権限のない物体が検知され、それに続いて前記第1の区域内における検知エリアで物体が検知される場合に、不正進入を推定して、警戒状態であると判定する」という事項を有するものとなっており、上記第5で述べたとおり、拒絶査定において引用された引用発明及び引用文献2?4に記載された技術事項に基いて、当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2020-02-04 
出願番号 特願2015-12012(P2015-12012)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G07C)
最終処分 成立  
前審関与審査官 森林 宏和  
特許庁審判長 中川 真一
特許庁審判官 出口 昌哉
氏原 康宏
発明の名称 開閉手段用警戒システムにおける警戒判定器  
代理人 谷口 洋樹  
代理人 野田 雅士  
代理人 杉本 修司  
代理人 堤 健郎  

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