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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C11B |
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管理番号 | 1359387 |
審判番号 | 不服2018-2114 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-15 |
確定日 | 2020-01-29 |
事件の表示 | 特願2016-550645「臭気マスキングアミン組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月13日国際公開、WO2015/118254、平成29年 6月15日国内公表、特表2017-515917〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)2月3日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2014年(平成26年)2月6日 フランス(FR))を国際出願日とする特許出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 8月24日 :翻訳文の提出 平成29年 9月 1日付け:拒絶理由通知 同年10月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年 同月25日付け:拒絶査定 平成30年 2月15日 :審判請求書、手続補正書の提出 同年 3月22日付け:前置報告 同年 8月29日 :上申書の提出 同年10月26日付け:当審による拒絶理由通知 平成31年 4月26日 :意見書、誤訳訂正書の提出 第2 当審拒絶理由の概要 平成30年10月26日付けで当審が通知した拒絶理由は、要するに、本願は、請求項1の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件(サポート要件)を満たしていない、という理由を含むものである。 第3 サポート要件についての当審の判断 当審は、平成31年4月26日提出の意見書及び誤訳訂正書の内容を斟酌しても、上記の当審拒絶理由は、依然として妥当なものであると判断する。 以下、その理由について詳述する。 1 サポート要件の判断手法について 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に係る規定(いわゆる「明細書のサポート要件」)に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か(以下、両範囲をまとめて「発明の詳細な説明の記載から、当業者において、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲」という。)を検討して判断すべきものであるから(知財高裁特別部判決平成17年(行ケ)第10042号参照)、以下、当該観点に立って検討をする。 2 特許請求の範囲の記載 本願の特許請求の範囲の記載は、平成31年4月26日に提出された誤訳訂正書による手続補正後の特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりであり、その請求項1の記載は、次のとおりである(以下、当該請求項1に記載された発明を、単に「本願発明」という。)。 「【請求項1】 a)組成物の総重量に対して少なくとも99重量%の少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミンおよび b)組成物の総重量に対して最大1%の臭気マスキング剤(b)を含む組成物であって、 前記臭気マスキング剤が:臭気マスキング剤の総重量に対する重量%として、 10%から98%のフェノキシベンゼン、ジフェニルエーテル、メトキシナフタレン、1-メトキシ-4-メチル-(4-メチルアニソール)、2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、メトキシメタン、メトキシエタン、エトキシエタン、2-エトキシプロパン、オキサシクロプロパン、オキサシクロペンタン、オキサシクロヘキサン、1,4-ジオキサシクロヘキサン、ジメトキシメタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ピラン、ジヒドロピラン、フェニルピラン、ジヒドロフェニルピラン、ならびにフェニルおよびアルキルで置換されたピランおよびジヒドロピラン、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのエーテル(b1): 10%から98%のテルピネン、ミルセン、リモネン、テルピノレン、ピネン、サビネン、カンフェン、オシメン、ユーカリプトール、シトラール、メントール、カンファー、メントン、テルピネオール、イソボルネオール、ネロール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ゲラニオールおよびミルセノール、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物、ならびにテルペンおよび/またはテルペノイドをベースとする精油から選択される少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)、ならびに 1%から2%のシンナムアルデヒドオキシム、2-メチルブタナールオキシム、3-メチルブタナールオキシム、メチルエチルケトキシム、3-ヘプタノンオキシム、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、グリオキシム、ジメチルグリオキシム、ジアミノグリオキシム、プラリドキシム、オビドキシム、ペリラルチン、アソキシムクロリドおよびサリチルアルドキシム、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物から選択される少なくとも1つのオキシム(b3)、 を含み、エーテル(b1)、テルペンおよび/またはテルペノイド(b2)ならびにオキシム(b3)の和は、100%以下である、組成物。」 3 発明の詳細な説明の記載 本願明細書の発明の詳細な説明の記載は、平成31年4月26日提出の誤訳訂正書による手続補正後の明細書の発明の詳細な説明に記載された、次のとおりのものである。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、臭気マスキングアミン組成物、これらの調製方法、および前記臭気マスキングアミン組成物の使用に関する。 【背景技術】 【0002】 アミンは、多くの工業分野において、例えばポリマー合成、特にポリウレタン合成の分野における触媒または架橋剤として、あるいは潤滑剤、塗料およびその他における添加剤として、現在非常に広範に使用されている有機化合物である。 【0003】 有機アミンの1つの欠点は、有機アミンの臭気から生じることがあり、この臭気は多かれ少なかれ強く、多かれ少なかれ顕著であり、多かれ少なかれきわめて不快である。幾つかのアミンは、このような強いおよび/または不快な臭気を発散さえするので、密閉チャンバ内であるいは技術者向けの呼吸装置をも用いて取り扱う必要があり、これにより物流上の問題やそれに関連コストを伴う。 【0004】 このため例えばアミン、より具体的には第三級アミンまたは第三級アミンの混合物は考えられる利用分野を幾つか挙げると、現在、自動車用シートを製造するための、鋳型のコアおよびその他を製造するためのポリマー、例えばポリウレタンの製造で使用されている。 【0005】 より具体的には、鋳型のコアの製造は、「アシュランド法」(あるいは「コールドボックス法」)と呼ばれる方法を利用し、この方法では、硬化させる砂の塊にポリオール樹脂およびイソシアネートを含むバインダを添加する。次にエアゾール形態の重合剤を、バインダを含む硬化させる砂の塊に注入して、樹脂を瞬時に硬化させる。硬化は、重合剤の存在下でのポリオール樹脂とイソシアネートとの間の重付加反応によって得られる。 【0006】 この方法では、使用した重合剤は、アミンまたはアミンの混合物、より具体的には第三級アミンよりなり、第三級アミンは強く非常に不快な臭気を有することがほとんどである。アミンを注入して硬化が得られると、過剰なアミンは処理前に浄化気流によって除去される。微量の残留アミンが存在して、厄介な悪臭を発生することは不可避であり、この悪臭は工業現場の作業者にとってまさに有害である。 【0007】 悪臭化合物の大気中への放出を除去するために、鋳造工場では一般に化学洗浄が使用される。このような洗浄塔は、交換カラムにより気相からの悪臭分子を液相に変換できる吸収技術を利用している。しかし、この処理によって、これらのアミンが上流で、即ち工場で作業者がアミンを使用する前に発生する不快な臭気を除去する、またはせめて効果的に低減することは不可能である。 【0008】 特許出願JP8302383は、C_(6)-C_(15)炭素系鎖を有する少なくとも1つのアルデヒドおよび少なくとも1つのエステルを含む芳香組成物を提案している。この組成物によって、第三級アミン、とりわけポリウレタンの製造で重合剤として使用される第三級アミンの厄介な臭気を、この着香組成物を前記アミンの臭気で汚染されたチャンバの空気中に噴霧することによりマスキングすることができる。 【0009】 国際出願WO2012/121359は、活性剤としての少なくとも1つのジカルボン酸および少なくとも1つのトリカルボン酸ならびに金属酸塩を含む脱臭組成物を提案している。この脱臭組成物は、アミン臭気の除去を可能にするとして記載されている。実際に、カルボン酸および金属酸塩は、アミン残基を中和するのに使用され、アミン残基はこのため塩化される。 【0010】 このため、現在知られている解決策のいずれも、上述の欠点を克服できず、アミン、特に第三級アミンが発生する不快な臭気を経済的で簡単な方法によって除去する、またはせめて効果的に低減する切実な要求が残されている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0011】 【特許文献1】特許第8302383号公報 【特許文献2】国際公開第2012/121359号 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 発明者らは今や、使用者および環境にとってきわめて不快で厄介であるアミンの臭気を完全にまたは少なくともきわめて本質的にマスキングするために、アミンへの着香が可能であることを発見した。 【課題を解決するための手段】 【0013】 このため、本発明の第1の主題は、組成物であって、a)組成物の総重量に対して少なくとも90重量%、よりなお優先的には少なくとも95重量%、有利には少なくとも99重量%、よりなお有利には少なくとも99.5重量%の少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミンおよび b)組成物の総重量に対して最大10%、よりなお優先的には最大5%、有利には最大1%、よりなお有利には最大0.5%、特に好ましくは最大0.25%、よりなお好ましくは最大0.2%、特に好ましくは最大0.1%、よりなお好ましくは最大0.08重量%の臭気マスキング剤(b)を含む組成物である。 【発明を実施するための形態】 【0014】 一実施形態により、本発明による組成物中に存在する前記少なくとも1つのアミンは、式(I)のアミンであり: 【0015】 【化1】 式中 R_(1)、R_(2)およびR_(3)は、同一であっても異なってもよく、水素原子、1から12個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基および3から12個の炭素原子を含むシクロアルキル基から互いに独立して選択され、 R_(1)、R_(2)およびR_(3)から選択される置換基のうち2個は、場合によりこれらが結合されている窒素原子と共に、2から12個の炭素原子を含み、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子を場合により含む環構造を形成し、環構造はヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択される1個以上の官能基によって場合により置換される。 【0016】 一実施形態により、前記臭気マスキング剤は: 式(b1)の少なくとも1つのエーテル: 【0017】 【化2】 (式中: R_(4)およびR_(5)は同一であっても異なってもよく、1から12個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から12個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から12個の炭素原子を含むアルケニル基、3から12個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から互いに独立して選択され、 R_(4)およびR_(5)は場合により、これらが結合されている酸素原子と共に、3から20個の原子を含み、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子を場合により含む環構造を形成し、前記環構造がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択される1個以上の基によって場合により置換される)、 場合により、しかし好ましくは少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)ならびに 場合により、しかし好ましくは式(b3)の少なくとも1つのオキシム: 【0018】 【化3】 (式中: R_(6)は1から24個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から24個の炭素原子を含むアルケニル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から選択され、ならびにR_(7)は水素原子および1から24個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から24個の炭素原子を含むアルケニル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から選択され、 R_(6)およびR_(7)は場合により、これらが結合されている炭素原子と共に、3から20個の原子を含み、酸素、窒素、硫黄およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子を場合により含む環構造を形成し、前記環構造がヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択される1個以上の基によって場合により置換される)オキシム を含む。 【0019】 本発明の主題は、: a)組成物の総重量に対して少なくとも90重量%、よりなお優先的には少なくとも95%、有利には少なくとも99%、よりなお有利には少なくとも99.5重量%の少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミンおよび b)組成物の総重量に対して最大10%、よりなお優先的には最大5%、有利には最大1%、よりなお有利には最大0.5%、特に好ましくは最大0.25%、よりなお好ましくは最大0.2%、特に好ましくは最大0.1%、よりなお好ましくは最大0.08重量%の臭気マスキング剤(b)を含む組成物であって、 前記臭気マスキング剤は: 式(b1)の少なくとも1つのエーテル: 【0020】 【化4】 (式中: R_(4)およびR_(5)は同一であっても異なってもよく、1から12個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から12個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から12個の炭素原子を含むアルケニル基、3から12個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から互いに独立して選択され、 R_(4)およびR_(5)は場合により、これらが結合されている酸素原子と共に、3から20個の原子を含み、そして酸素、窒素、硫黄およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子を場合により含む環構造を形成し、前記環構造がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択される1個以上の基によって場合により置換される)、 場合により、しかし好ましくは少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)ならびに 場合により、しかし好ましくは式(b3)の少なくとも1つのオキシム: 【0021】 【化5】 (式中: R_(6)は1から24個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から24個の炭素原子を含むアルケニル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から選択され、ならびにR_(7)は水素原子および1から24個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルキル基、2から24個の炭素原子を含むアルケニル基、3から24個の炭素原子を含むシクロアルケニル基、フェニル基およびベンジル基から選択され、 R_(6)およびR_(7)は場合により、これらが結合されている炭素原子と共に、3から20個の原子を含み、そして酸素、窒素、硫黄およびリンから選択される1個以上のヘテロ原子を場合により含む環構造を形成し、前記環構造がヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択される1個以上の基によって場合により置換される)、 を含む。 【0022】 別の実施形態により、前記臭気マスキング剤は、 a)組成物の総重量に対して少なくとも90重量%、よりなお優先的には少なくとも95%、有利には少なくとも99%、よりなお有利には少なくとも99.5重量%の少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミンおよび b)組成物の総重量に対して最大10%、よりなお優先的には最大5%、有利には最大1%、よりなお有利には最大0.5%、特に好ましくは最大0.25%、よりなお好ましくは最大0.2%、特に好ましくは最大0.1%、よりなお好ましくは最大0.08重量%の臭気マスキング剤(b)を含み、 前記臭気マスキング剤は: 上で定義したような、式(b1)の少なくとも1つのエーテル、 少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)ならびに 場合により、しかし好ましくは、上で定義したような、式(b3)の少なくとも1つのオキシム を含む。 【0023】 また別の実施形態により、前記臭気マスキング剤は: a)組成物の総重量に対して少なくとも90重量%、よりなお優先的には少なくとも95%、有利には少なくとも99%、よりなお有利には少なくとも99.5重量%の少なくとも1つの第一級、第二級または第三級アミンおよび b)組成物の総重量に対して最大10%、よりなお優先的には最大5%、有利には最大1%、よりなお有利には最大0.5%、特に好ましくは最大0.25%、よりなお好ましくは最大0.2%、特に好ましくは最大0.1%、よりなお好ましくは最大0.08重量%の臭気マスキング剤(b)を含み、 前記臭気マスキング剤は: 上で定義したような、式(b1)の少なくとも1つのエーテル、 少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)ならびに 上で定義したような、式(b3)の少なくとも1つのオキシム を含む。 【0024】 本発明の説明において、別途特に指摘しない限り、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基およびシクロアルケニル基は、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、リンおよび窒素から選択されるならびに好ましくはヒドロキシ、アルコキシ、フェニル、ベンジル、フッ素、塩素、臭素、リンおよび窒素から選択される1個以上の基によって場合により置換されてもよい。 【0025】 さらに、1から6個の炭素原子、よりなお好ましくは1から4個の炭素原子を含むアルキル基およびアルコキシ基が好ましい。 【0026】 好ましい一実施形態により、R_(1)基、R_(2)基およびR_(3)基の少なくとも1つが、水素原子を表さないのは、本発明がアンモニアに着香することを目的とするのではなく、第一級、第二級または第三級アミンに着香することを目的とするためである。 【0027】 本発明の別の好ましい実施形態により、R_(1)基、R_(2)基およびR_(3)基の少なくとも2つが水素原子を表さないのは、本発明が第二級または第三級アミンに着香することを目的とするためである。 【0028】 本発明のまた別の好ましい実施形態により、R_(1)基、R_(2)基およびR_(3)基のいずれも水素原子を表さないのは、本発明が第三級アミンに着香することを目的とするためである。 【0029】 好ましい一実施形態により、本発明は、先に定義したような式(I)の少なくとも1つのアミンおよび先に定義したような臭気マスキング剤を上で示す割合で含む組成物に関する。 【0030】 このため本発明は、アミン、好ましくは第一級、第二級または第三級アミン、好ましくは第二級または第三級アミン、なおより好ましくは第三級アミンの、しかしまたアルキルアルカノールアミン(頭字語「AAA」によって呼ばれる。)およびまた2、3または4個の窒素原子を含むアミン(名称「ポリアミン」によって呼ばれる。)の臭気をマスキングすることが可能にする簡単で、効果的で、経済的な手段を提供する。 【0031】 本発明で使用され得る第一級アミンとしては、非限定的に、プロパン-1-アミン、プロパン-2-アミン、シクロペンタンアミン、2-メチルプロパン-2-アミン、フェニルメタンアミン、2-アミノペンタン、3-アミノペンタン、1,2-ジメチルプロピルアミン、ヘキシルアミン、1,3-ジメチルブチルアミン、n-ヘプチルアミン、n-オクチルアミン、2-アミノオクタン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアミン、エチルアミン(MEA)、イソプロピルアミン、sec-ブチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-(2-メトキシエトキシ)プロピルアミン、3-ブトキシプロピルアミン、3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3-イソプロポキシプロピルアミンおよび3-メトキシプロピルアミンならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0032】 本発明で使用され得る第二級アミンの例としては、非限定的に、N-メチルエタンアミン、N-エチルエタンアミン、N-メチルペンタン-3-アミン、N-3-ジメチルブタン-2-アミン、ジ(sec-ブチル)アミン、ジアミルアミン、イソプロピルベンジルアミン、ジヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-イソプロピルメチルアミン、N-ブチルメチルアミン、N-(sec-ブチル)メチルアミン、N-イソブチルメチルアミン、N-(tert-ブチル)メチルアミン、N-メチルペンチルアミン、N-ヘキシルメチルアミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-ヘプチルメチルアミン、N-オクチルメチルアミン、N-エチルメチルアミン、N-エチルプロピルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N-ブチルエチルアミン、N-(sec-ブチル)エチルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミンおよびN-エチルベンジルアミンならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0033】 本発明で使用され得る第三級アミンの例としては、非限定的に、トリメチルアミン、N-メチルアジリジン、ジメチルエチルアミン(DMEA)、N-メチルアゼチジン、N-エチルアジリジン、ジエチルメチルアミン(DEMA)、ジメチルイソプロピルアミン(DMIPA)、ジメチル(n-プロピル)アミン(DMPA)、N-(n-プロピル)アジリジン、N-イソプロピルアジリジン、N-エチルアゼチジン、N-メチルピロリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノメタン、トリエチルアミン(TEA)、メチルエチル(n-プロピル)アミン、メチルエチルイソプロピルアミン、ジメチル(n-ブチル)アミン、ジメチル(sec-ブチル)アミン、ジメチルイソブチルアミン、ジメチル(tert-ブチル)アミン、N-エチルピロリジン、N-メチルピペリジン、ヘキサメチレンテトラミン、ジメチルピペラジン、N,N,N’,N’-テトラメチルジアミノエタン、ジメチルペンチルアミン、メチルエチルブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルメチルアミン、N-プロピルピロリジン、N-エチルピペリジン、ジメチルヘキシルアミン、メチルエチルペンチルアミン、ジエチルブチルアミン、ジプロピルエチルアミン、N-ブチルピロリジン、N-プロピルピペリジン、ジエチルピペラジン、ジメチルヘプチルアミン、メチルエチルヘキシルアミン、ジエチルペンチルアミン、トリプロピルアミン、N-ペンチルピロリジン、N-ブチルピペリジン、ジメチルオクチルアミン、メチルエチルヘプチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、エチルプロピルペンチルアミン、ジプロピルブチルアミン、N-ペンチルピペリジンおよびエチルジイソプロピルアミンならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0034】 本発明で使用され得る式(I)のアルキルアルカノールアミンの例としては、非限定的に、アミノプロピルジエタノールアミン、2,2´-(ヘプチルアミノ)ビスエタノール、アラニノール、2-(エチルアミノ)エタノール、2-イソプロピルアミノエタノール、2-ブチルアミノエタノール、2-ベンジルアミノエタノール、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、2-オクチルアミノエタノール、2-sec-ブチルアミノエタノール、N-ブチルジエタノールアミン、N-sec-ブチルジエタノールアミン、2-(ジブチルアミノ)エタノール、N-ベンジル-N-メチルエタノールアミン、N-ヘプチルジエタノールアミン、N-オクチルジエタノールアミンならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0035】 本発明で使用され得るポリアミンの例としては、非限定的に、テトラメチルプロピレンジアミン(TMPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、ジメチルアミノプロピルアミノプロピルアミン(DMAPAPA)、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N-プロピル-1,3-プロパンジアミン、N-イソプロピル-1,3-プロパンジアミン、N,N,N´-トリメチル-1,3-プロパンジアミン、1-(3-アミノプロピル)-2-ピロリジン、3-モルホリノプロピルアミン、1-(3-アミノプロピル)ピペリジン、1-(3-アミノプロピル)-2-ピペコリン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、3-(ジブチルアミノ)プロピルアミン、2-(3-アミノプロピルアミノ)エタノール、N-(アミノプロピル)ジエタノールアミン(APDEA)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、ビス(3-アミノプロピル)アミン、メチル-ビス-(3-アミノプロピル)アミン、N-(3-アミノプロピル)-1,4-ジアミノブタン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、1,2-ビス(3-アミノプロピルアミノ)エタン、N,N´-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-プロパンジアミン、1,4-ビス-(3-アミノプロピル)ピペラジンならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0036】 本発明の組成物で使用される最も特に好ましいアミンは、DMEA、DMIPA、DEMA、DMPAおよびTEAならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物から選択される第三級アミンである。DMEA、およびDMEAと式(I)の1つ以上の他のアミンとの組合せは、最も特に好ましい。 【0037】 本発明により、定義したばかりであるような、第一級、第二級および/または第三級アミン、特に式(I)のアミン、任意の割合でのこれの2つ以上の混合物の臭気を現在ではマスキングすることが可能である。好ましくは、臭気マスキング剤は着香されるアミンと反応してはならず、一般に、とりわけ貯蔵条件下でアミン官能基と化学的に反応しない官能基を持つ臭気マスキング剤から選択される。このため酸、エステル、アルデヒドおよび他の官能基を持つ化合物を有さない臭気マスキング剤が好ましい。しかし、このような臭気マスキング剤は、臭気マスキング剤の総重量に対して、限界値を除いて、0.5重量%を超えない、好ましくは0.4重量%を超えない、またよりなお優先的には0.2重量%を超えない割合で、それにもかかわらず使用することができる。さらに、長期間にわたって安定であり、1か月を超える、好ましくは3か月を超える、優先的には6か月を超える、またより優先的には12か月を超える最低保存寿命を有する組成物が好ましい。以下で指摘するように、アミンの臭気は、式(b1)の少なくとも1つのエーテル、場合により、しかし好ましくは少なくとも1つのテルペンおよび/または1つのテルペノイド(b2)ならびに場合により、しかし好ましくは少なくとも1つのオキシム(b3)を含む臭気マスキング剤によって効果的にマスキングされる。 【0038】 臭気マスキング剤の構成成分として使用され得るエーテル(b1)の例としては、非限定的に、フェノキシベンゼン、ジフェニルエーテル、メトキシナフタレン、1-メトキシ-4-メチル-(4-メチルアニソール)、2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサン、メトキシメタン、メトキシエタン、エトキシエタン、2-エトキシプロパン、オキサシクロプロパン、オキサシクロペンタン、オキサシクロヘキサン、1,4-ジオキサシクロヘキサン、ジメトキシメタン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ピラン、ジヒドロピラン、フェニルピラン、ジヒドロフェニルピランならびにフェニルおよびアルキル(例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル)ならびにその他によって置換されたピランおよびジヒドロピラン、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物が挙げられる。 【0039】 臭気マスキング剤の構成成分として使用され得るテルペンおよびテルペノイド(b2)としては、非限定的に、テルピネン、ミルセン、リモネン、テルピノレン、ピネン、サビネン、カンフェン、オシメン、ユーカリプトール、シトラール、メントール、カンファー、メントン、テルピネオール、イソボルネオール、ネロール、シトロネラール、シトロネロール、リナロール、ゲラニオールおよびミルセノール、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物、またテルペンおよび/またはテルペノイドをベースとする精油、とりわけこれらの構成成分を含むものが挙げられる。 【0040】 臭気マスキング剤(b)は、1つ以上のオキシム(b3)、最も具体的にはアルドキシムまたはケトキシム、好ましくはケトキシムも含んでもよい。オキシム(b3)のうち、非限定的な例として、R_(7)が水素原子またはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルから選択される基を表し、そしてR_(6)が、1から12個の炭素原子を、好ましくは1から8個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキル基から、よりなお好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ネオペンチルおよび直鎖または分枝ヘキシル基から選択される、オキシムが挙げられる。 【0041】 好ましい一態様により、オキシム(b3)の非限定的な例は、シンナムアルデヒドオキシム、2-メチルブタナールオキシム、3-メチルブタナールオキシム、メチルエチルケトキシム、3-ヘプタノンオキシム、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、グリオキシム、ジメチルグリオキシム、ジアミノグリオキシム、プラリドキシム、オビドキシム、ペリラルチン、アソキシムクロリドおよびサリチルアルドキシム、ならびに任意の割合でのこれらの2つ以上の混合物を含む。 【0042】 範囲という場合、「…から…」に及ぶという型の表現は、範囲の限界値を含む。これに対して、「…と…の間の」という型の表現は、範囲の限界値を除外する。値閾値という場合、「最大で」または「最小で」という表現はそれぞれ、最大値および最小値を除外する。別途指摘しない限り、パーセンテージは重量値として示す。 【0043】 臭気マスキング剤(b)の各構成成分(b1)、(b2)および(b3)のそれぞれの量は、構成成分(b1)、(b2)および(b3)の性質に従ってならびに臭気のマスキングが望まれる1つまたは複数のアミンの性質に従って、広範な割合の範囲内で変動し得る。 【0044】 好ましい一実施形態により、本発明による組成物は、臭気マスキング剤の総重量に対する重量%として: 1%から100%、好ましくは2%から100%、好ましくは5%から100%、よりなお好ましくは10%から100%の少なくとも1つのエーテル(b1)、 0%から99%、好ましくは1%から99%、好ましくは2%から99%、好ましくは5%から99%、よりなお好ましくは10%から99%の少なくとも1つのテルペンおよび/またはテルペノイド(b2)、 0から50%、好ましくは0から20%、有利には0から10%の少なくとも1つのオキシム(b3)および 場合により、100%まで適量の、1つ以上の添加剤 を含む。 【0045】 より好ましい一実施形態により、本発明による組成物は、臭気マスキング剤の総重量に対する重量%として: 1%から99%、好ましくは2%から99%、好ましくは5%から99%、よりなお好ましくは10%から99%の少なくとも1つのエーテル(b1)、 1%から99%、好ましくは2%から99%、好ましくは5%から99%、よりなお好ましくは10%から99%の少なくとも1つのテルペンおよび/またはテルペノイド(b2)、 0%から10%、好ましくは0%から5%、好ましくは0%から2%、よりなお好ましくは0%から1%の少なくとも1つのオキシム(b3)および 場合により、100%まで適量の、1つ以上の添加剤 を含む。 【0046】 特に好ましい一実施形態により、本発明による組成物は、臭気マスキング剤の総重量に対する重量%として: 1%から98.9%、好ましくは2%から98.9%、好ましくは5%から98.9%、よりなお好ましくは10%から98.9%の少なくとも1つのエーテル(b1)、 1%から98.9%、好ましくは2%から98.9%、好ましくは5%から98.9%、よりなお好ましくは10%から98.9%の少なくとも1つのテルペンおよび/またはテルペノイド(b2)、 0.1%から10%、好ましくは0.1%から5%、好ましくは0.1%から2%、よりなお好ましくは0.1%から1%の少なくとも1つのオキシム(b3)および 場合により、100%まで適量の、1つ以上の添加剤 を含む。 【0047】 別の特に好ましい実施形態により、本発明による組成物は、臭気マスキング剤の総重量に対する重量%として: 1%から98%、好ましくは2%から98%、好ましくは5%から98%、よりなお好ましくは10%から98%の少なくとも1つのエーテル(b1)、 1%から98%、好ましくは2%から98%、好ましくは5%から98%、よりなお好ましくは10%から98%の少なくとも1つのテルペンおよび/またはテルペノイド(b2)、 1%から10%、好ましくは1%から5%、よりなお好ましくは1%から2%の少なくとも1つのオキシム(b3)および 場合により、100%まで適量の、1つ以上の添加剤 を含む。 【0048】 臭気マスキング剤(b)のうち、さらに、少なくとも2つの異なるエーテルを含むもの、よりなお好ましくは少なくとも3つの異なるエーテルを含むものが好ましい。 ・・・(中略)・・・ 【0055】 このように定義した臭気マスキング剤(b)によって、アミンおよび特に第三級アミンの化学構造を修飾することなく、これらのアミンの不快な臭気を特に効果的にマスキングする利点が得られる。さらに、先に指摘したように、臭気マスキング剤は着香されるアミンと反応してはならず、また本発明により臭気マスキング剤が包含されている組成物中で、長期にわたって安定でなければならない。 ・・・(中略)・・・ 【0061】 驚くべきことに、少なくとも1つの臭気マスキング剤(b)を式(I)の少なくとも1つのアミン中に添加することにより、前記少なくとも1つのアミンから厄介なまたは非常に不快な臭気を全体として満足に低減する、または除去することさえ可能となることが見出されている。 ・・・(中略)・・・ 【0064】 本発明により定義したばかりの、式(I)の少なくとも1つのアミンおよび少なくとも1つの臭気マスキング剤(b)を含む組成物は、多くの用途に使用することができ、一般に臭気マスキング剤を含まないいずれのアミン組成物とも同様に使用することができる。実際に、別の利点として、本発明の組成物は安定であり、本組成物に含まれるアミンは、分解、例えば特性の消失、黄変その他が起きない。 【0065】 このため本発明による組成物は、臭気マスキング剤を含まないその他のアミンまたはアミン混合物と同様に使用することができ、本発明の組成物は、臭気マスキング剤(b)を含まない同じアミンと比べ臭気の改善が認められる。 ・・・(中略)・・・ 【0075】 以下の実施例は、本発明を限定することなく、本発明を例証する。 【実施例】 【0076】 [実施例1] 臭気マスキング第三級アミンをベースとする組成物 マスキング剤として作用する、即ち第三級アミンの臭気の改善、低減または除去を可能にする芳香組成物をキャラクタリゼーションするために、嗅覚試験手順および安定性試験を開発した。 【0077】 操作条件: この嗅覚試験を行うために、1mlの量の組成物(アミンおよび臭気マスキング剤)を容器に入れる。次に、組成物を含有する容器を10リットルデシケーターに入れる。 【0078】 デシケーターを室温(25℃)にて屋外に放置する。完全蒸発後(およそ30分)、10名で構成されるパネルが組成物を吸入して臭気を段階評価するする(嗜好性試験)。 【0079】 パネリストが組成物を嗅ぎ、組成物の臭気を記録する。パネリストは、自分の好みに応じて、試験する各組成物に1つ以上の+を割り当てる。パネリストが付けた+の数は、1(最も不快な製品)から3(最も快適な製品)の範囲に及ぶ。 【0080】 安定性試験では、組成物を1か月から1年超の範囲に及ぶ期間、室温(25℃)にて保存する。 【0081】 試験片の調製: 各組成物は、アルケマが提供する第三級アミンである、ジメチルエチルアミン(DMEA)を用いて調製する。DMEAは、99%以上の純度を有する。 【0082】 参照サンプルは、純粋なDMEAを用いて製造し、A1と名付ける。サンプルの総重量に対して99.92重量%のDMEAおよびサンプルの総重量に対して0.08重量%の芳香組成物を含む3つのサンプルも調製する。サンプルをA_(2)、A_(3)およびA_(4)と名付ける。 【0083】 サンプルA_(2)、A_(3)およびA_(4)それぞれのマスキング剤の性質を以下に示し、パーセンテージをマスキング剤の総重量に対する重量で表す: サンプルA_(2)(比較試験):臭気マスキング剤:OMA-A2 30%から70%のエステル(2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、3-メチルブチルブチレート、2-プロピレン-3-シクロヘキシルプロパノエート、4-ウンデカノリド、イソペンチルアセテート)、 15%から35%のケトン(5-メチル-3-ヘプタノン、1-シクロオクタ-3-エニルエタンオン)、 15%から35%のエーテル(1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチルインデノ[5,6-c]ピラン)、 ここで構成成分の和は、マスキング剤の100重量%に相当する。 【0084】 サンプルA_(3)(比較試験):臭気マスキング剤:OMA-A3 30%から50%のエステル(3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1-インデン-5(6)-イルアセテート、メチルベンゾエート、2-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン)、 30%から50%のケトンおよびアルデヒド(3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、2-メチルウンデカナール、ヘプタン-2-オン、1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ペンタ-1-エン-3-オン、3-フェニル-2-プロペナール、3-フェニルブタナール)、 1%から10%のアルコール(3,7-ジメチルオクタン-3-オール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール)、 1%から10%のエーテル(2-メトキシナフタレン)、 ここで構成成分の和は、マスキング剤の100重量%に相当する。 【0085】 サンプルA_(4)(本発明による):臭気マスキング剤:OMA-B1 10%から98%のエーテル(フェノキシベンゼン、2-メトキシナフタレン)、 10%から98%のテルペン/テルペノイド(リモネン、ユーカリプトール)、 1%から10%のオキシム(5-メチル-3-ヘプタノンオキシム)、 0.1%から1%の添加剤、主にエステル(トリエチルシトレート、イソプロピルテトラデカノエート)、 ここで構成成分の和は、マスキング剤の100重量%に相当する。 【0086】 結果: 実施例1の結果を以下の表1に再現する: 【0087】 【表1】 【0088】 本発明の実施例1では、本発明による組成物A4の臭気の臭覚は、サンプルA_(1)、A_(2)およびA_(3)よりも著しく心地良いものである。 【0089】 さらにサンプルA_(4)は、室温で3ケ月間保存した後でも無色で安定した状態を保っているが、サンプルA_(2)およびA_(3)は不安定であり、室温で1ケ月間保存した後では黄変する。 【0090】 [実施例2] 本発明による臭気マスキング第三級アミンをベースとする組成物 下に示すように、マスキング剤の含有量に関してサンプルA_(4)とは異なる、2つの新たなサンプルA_(5)およびA_(6)を調製するために、実施例1の操作手順を再現する: サンプルA_(4)(本発明による): DMEA:サンプルの総重量に対して99.92重量%および 臭気マスキング剤OMA-B1:サンプルの総重量に対して0.08重量%。 【0091】 サンプルA_(5)(本発明による): DMEA:サンプルの総重量に対して99.86重量%および 臭気マスキング剤OMA-B1:サンプルの総重量に対して0.14重量%。 【0092】 サンプルA_(6)(本発明による): DMEA:サンプルの総重量に対して99.75重量%および 臭気マスキング剤OMA-B1:サンプルの総重量に対して0.25重量%。 【0093】 結果: 実施例2の結果を以下の表2に再現する: 【0094】 【表2】 【0095】 表2の結果は、本発明による組成物A_(4)、A_(5)およびA_(6)の臭気の臭覚がサンプルA_(1)よりも著しく心地良いものであることと、臭気マスキング剤の用量の増加によって、組成物の心地良い臭覚がやや低下することを示している。 【0096】 さらにサンプルA_(4)、A_(5)およびA_(6)は、DMEA中に包含されたマスキング剤の量と無関係に、室温で3ケ月間保存した後では無色で安定した状態を保っている。」 4 「発明の詳細な説明の記載から、当業者において、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲」について (1) 本願発明が解決しようとする課題について ア 本願明細書の【0001】?【0012】には、本願発明の【技術分野】、【背景技術】及び【発明が解決しようとする課題】について記載され、本願発明が解決しようとする課題に関し、以下の点を理解することができる。 (ア) アミンは、多くの工業分野において、例えばポリマー合成、特にポリウレタン合成の分野における触媒または架橋剤として、あるいは潤滑剤、塗料およびその他における添加剤として、現在非常に広範に使用されている有機化合物であるところ(【0002】)、有機アミンの1つの欠点は、有機アミンの臭気から生じることがあり、この臭気は多かれ少なかれ強く、多かれ少なかれ顕著であり、多かれ少なかれきわめて不快であり、幾つかのアミンは、このような強いおよび/または不快な臭気を発散さえするので、密閉チャンバ内であるいは技術者向けの呼吸装置をも用いて取り扱う必要があり、これにより物流上の問題やそれに関連コストを伴うこと(【0003】)。 (イ) アミン、より具体的には第三級アミンまたは第三級アミンの混合物は現在、自動車用シートを製造するための、鋳型のコアおよびその他を製造するためのポリマー、例えばポリウレタンの製造で使用され、より具体的には、鋳型のコアの製造において重合剤として使用されること(【0004】、【0005】)。 (ウ) 当該重合剤は、アミンまたはアミンの混合物、より具体的には第三級アミンよりなり、第三級アミンは強く非常に不快な臭気を有することがほとんどであるところ、アミンを注入して硬化が得られると、過剰なアミンは処理前に浄化気流によって除去されるが、微量の残留アミンが存在して、厄介な悪臭を発生することは不可避であり、この悪臭は工業現場の作業者にとってまさに有害であること(【0006】)。 (エ) そのため、悪臭化合物の大気中への放出を除去するために、鋳造工場では一般に化学洗浄が使用され、その洗浄塔は、交換カラムにより気相からの悪臭分子を液相に変換できる吸収技術を利用しているが、この処理によって、これらのアミンが上流で、即ち工場で作業者がアミンを使用する前に発生する不快な臭気を除去する、またはせめて効果的に低減することは不可能であること(【0007】)。 (オ) 現在知られている解決策のいずれも、上述の欠点を克服できず、アミン、特に第三級アミンが発生する不快な臭気を経済的で簡単な方法によって除去する、またはせめて効果的に低減する切実な要求が残されていること(【0008】?【0011】)。 イ また、【0012】には、「発明者らは今や、使用者および環境にとってきわめて不快で厄介であるアミンの臭気を完全にまたは少なくともきわめて本質的にマスキングするために、アミンへの着香が可能であることを発見した。」と記載され、【0030】には、「このため本発明は、アミン・・・の臭気をマスキングすることが可能にする簡単で、効果的で、経済的な手段を提供する。」と記載されている。 ウ これらを合わせて考えると、本願発明は、上記ア(オ)の要求、すなわち、「アミン、特に第三級アミンが発生する不快な臭気を経済的で簡単な方法によって除去する、またはせめて効果的に低減する切実な要求」にかんがみてなされたものと解され、そして、上記イによると、アミンへの着香を可能とし、「使用者および環境にとってきわめて不快で厄介であるアミンの臭気を完全にまたは少なくともきわめて本質的にマスキングする」ことを解決課題としたものであると認められるから、整理すると、本願発明の解決課題は、「アミン、特に第三級アミンが発生する不快な臭気を経済的で簡単な方法によって除去、または効果的に低減する、アミンへの着香によるアミンの臭気のマスキングを実現すること」(以下、当該課題を単に「アミン臭気のマスキング」という。)にあるということができる。 (2) 実施例以外の記載に基づく標記範囲の認定 ア 上記(1)ウのとおり、本願発明の解決課題は、「アミン臭気のマスキング」にあるから、これに寄与する要因に着目しながら、まず、本願明細書の発明の詳細な説明のうち、実施例以外の記載を仔細にみると、【課題を解決するための手段】及び【発明を実施するための形態】の項目(【0013】?【0074】)には、おおよそ次の点に関する開示を認めることができる。 ・アミンと臭気マスキング剤を含む組成物について(【0013】、【0 019】?【0023】、【0029】) ・アミンについて(【0014】、【0015】、【0025】?【00 28】、【0031】?【0036】) ・マスキング剤の構成成分について(【0016】?【0018】、【0 038】?【0041】) ・マスキング剤の含有量・組成について(【0037】、【0043】? 【0048】) ・本願発明の目的・効果・効用などについて(【0030】、【0037 】、【0055】、【0061】、【0064】、【0065】) イ しかしながら、これらの記載をみても、本願発明の解決課題である「アミン臭気のマスキング」に対して、臭気マスキング剤の構成成分がどのように寄与しているのか(各構成成分の特定の化学構造が「アミン臭気のマスキング」に関与しているといった、当該マスキングが可能になる要因やそのメカニズムなど)を理解するに足りる記載は見当たらない。 ウ さらに、当該要因やメカニズムを示す技術常識も見当たらない。 エ 確かに、当該実施例以外の箇所をみると、【0030】には、本願発明は、アミンの臭気のマスキングを可能にする、簡単で、効率的で、経済的な手段を提供することが、【0037】、【0055】には、本願発明の臭気マスキング剤は、アミンの臭気を効果的にマスキングできることなどが、【0061】には、臭気マスキング剤(b)の添加により、アミン臭気の低減または除去が可能となることが、【0064】、【0065】には、本願発明の組成物は、臭気マスキング剤を含まないアミン組成物と同様に使用することができる安定な組成物であり、当該アミン組成物に比べ臭気の改善が認められることが、それぞれ記載され、これらは、本願発明の臭気マスキング剤(b)の添加などによって、「アミン臭気のマスキング」という本願発明の課題を解決することができる旨(臭気マスキング剤(b)の効果ということもできる。)を記載したものといえる。 しかしながら、上記のとおり、技術常識に照らしても、実施例以外の記載から、上記要因やメカニズムを理解することができない状況にかんがみると、広範な成分組成の組成物を内包する臭気マスキング剤(b)が、その全体にわたって、上記効果を奏するものとは到底考えられない。そうである以上、当該実施例以外の記載は、上記効果(本願発明の課題を解決することができること)について、形式的に記載したにすぎないものであって、実体的なものではないと解するのが合理的である。 オ そうすると、上記実施例以外の箇所には、臭気マスキング剤(b)の添加などによって、「アミン臭気のマスキング」という本願発明の課題を解決することができる旨が記載されているとしても、これは、形式的な記載というほかなく、実体を伴う実質的な記載であるとは認められないから、実施例以外の記載に接した当業者は、技術常識を参酌しても、実質的に、当該課題が解決できると認識することはできないというべきである。 (3) 実施例の記載に基づく標記範囲の認定 ア 次に、実施例の記載についてみると、発明の詳細な説明の【実施例】の項目(【0075】?【0095】)には、本願発明に係る組成物の具体例として、サンプルA_(4)?A_(6)が挙げられ、これらのサンプルが、3ヶ月後においても安定であり、マスキング剤を添加していないサンプルA_(1)よりも心地良い臭覚を示す旨の実験結果が記載されている(【表1】、【表2】)。 なお、当該サンプルA_(4)?A_(6)において使用されているマスキング剤は、次のものである(【0085】)。 <臭気マスキング剤:OMA-B1> ・10%から98%のエーテル(フェノキシベンゼン、2-メトキシナフ タレン) ・10%から98%のテルペン/テルペノイド(リモネン、ユーカリプト ール) ・1%から10%のオキシム(5-メチル-3-ヘプタノンオキシム) ・0.1%から1%の添加剤、主にエステル(トリエチルシトレート、イ ソプロピルテトラデカノエート) ここで構成成分の和は、マスキング剤の100重量%に相当する。 イ 上記臭気マスキング剤「OMA-B1」は、「エーテル」、「テルペン/テルペノイド」及び「オキシム」の各成分の含有量を、それぞれ「10%から98%」、「10%から98%」及び「1%から10%」と規定するものであるが、当該含有量は広範にわたるため、その具体的な組成は不明であるというほかない。その上、各成分の内訳についても、「フェノキシベンゼン、2-メトキシナフタレン」、「リモネン、ユーカリプトール」及び「5-メチル-3-ヘプタノンオキシム」とするのみで、その詳細(各化合物の含有割合)は不明である。 また、当該「OMA-B1」は広範な成分組成を内包することから、当業者であれば、上記サンプルA_(4)?A_(6)の実験結果が、内包するすべての成分組成を網羅的に検証した結果であると看取することはない、と考えるのが合理的である。 そうすると、当業者といえども、当該臭気マスキング剤「OMA-B1」の記載から、実際にサンプルとして使用された組成物の成分組成を把握することは不可能であるといわざるを得ない。そうである以上、当該実施例(サンプルA_(4)?A_(6))に接した当業者は、技術常識に照らしても、具体的に、どのような臭気マスキング剤を使用すれば、「アミン臭気のマスキング」という本願発明の課題を解決することができるのかを、到底認識することはできないというべきである。 ウ さらにいうと、仮に、当該実施例(サンプルA_(4)?A_(6))について、当業者が、本願発明の課題を解決することができると認識できたとしても、それは、当該サンプルA_(4)?A_(6)において実際に使用された具体的化合物及びその組合せ(ただし、これ自体がそもそも不明であることは、上記イにおいて既に説示したとおり。)に限られると解すべきである。なぜなら、上記(2)イ、ウのとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識を斟酌しても、アミン臭気のマスキングを可能にする要因やメカニズム(マスキング剤の特定の化学構造が「アミン臭気のマスキング」に関与していることなど)を理解することはできないのであるから、当該実施例(サンプルA_(4)?A_(6))に係る具体的化合物及びその組合せを拡張ないし一般化したものまでが、同様の実験結果をもたらすとは推認できないからである。 (4) 平成31年4月26日に提出された意見書における請求人の主張について 当該意見書において、請求人は、平成31年4月26日提出の誤訳訂正書による手続補正により、本願発明に係る組成物における各成分の種類及び量を特定したことによって、本願発明に係る組成物は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載された実施例2に係る組成物(サンプルA_(4)、A_(5)及びA_(6))に準ずるものとなったため、本願発明に係る組成物は、本願発明の課題が解決できることが検証された当該実施例2に係る組成物における各成分の種類及び量を妥当に一般化したものであって、当業者が、当該実施例2の記載に基づいて、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲内のものである旨主張し、併せて、上記実施例2には、臭気マスキング剤におけるエーテル(フェノキシベンゼン、2-メトキシナフタレン)、テルペン/テルペノイド(リモネン、ユーカリプトール)及びオキシム(5-メチル-3-ヘプタノンオキシム)の各々の化合物の配合量は記載されていないが、各構成成分の重量%は、「10%から98%のエーテル、10%から98%のテルペン/テルペノイド、1%から2%のオキシム」の範囲であれば、同様のアミン臭気のマスキング効果を有する旨釈明する。 しかしながら、(i)上記実施例2に供された「臭気マスキング剤:OMA-B1」は、「0.1%から1%の添加剤、主にエステル(トリエチルシトレート、イソプロピルテトラデカノエート)」を含むものであり、当該添加剤による上記課題解決への影響は否めないから、当該添加剤について規定しない本願発明が、当該実施例2に準ずるものとなったと直ちに認めることはできないこと、(ii)上記実施例2に供された「臭気マスキング剤:OMA-B1」における、本願発明のb1?b3成分にあたる「エーテル」、「テルペン/テルペノイド」及び「オキシム」の合計量は、99?99.1%(残部は添加剤)であるのに対して、本願発明における、当該b1?b3成分の合計量は、21%(10+10+1)であればよく、それ以外の成分を最大で79%も含有することを許容するものであるから、このようにb1?b3以外の成分が大半を占めるような組成物についてまで、上記実施例2に準ずるものということは到底できないこと、(iii)本願発明では、個々の成分・化合物の組合せが重要であるところ(例えば、比較例であるサンプルA_(3)では、本願発明のb1にあたる「2-メトキシナフタレン」を有しているが、全体の成分構成が本願発明と異なっているため、所望の特性を発現していない。すなわち、所望の特性が発現するか否かは、組成物全体の成分構成が重要であることが理解できる。)、本願発明は、上記実施例2における臭気マスキング剤「OMA-B1」を構成しない多くの成分・化合物を許容するものであって、その成分構成(化合物の組合せ)は、実施例2のそれをはるかに超え、多岐にわたるため、このような本願発明について、上記実施例2に準ずるものということはできないこと、及び(iv)請求人の上記釈明には根拠がなく信憑性に乏しいこと、を併せ考えると、上記の請求人の主張・釈明は、当を得たものとは認められず採用できない。 (5) 以上のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の実施例以外の記載をみても、その実施例の記載をみても、さらには技術常識を参酌しても、当業者において、実質的に、本願発明の課題が解決できると認識することはできないのであるから、これらの記載に「発明の詳細な説明の記載から、当業者において、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲」を見いだすことはできない。また、仮に見いだし得たとしても、それは上記実施例2に準ずる、ごく限られた範囲のものであって、本願発明が画定する広範な範囲にまで拡張ないし一般化できるものではない。 5 本願発明のサポート要件適合性 上記4のとおり、本願明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識を参酌しても、「発明の詳細な説明の記載から、当業者において、本願発明の課題が解決できると認識できる範囲」を見いだすことはできないか、その範囲はごく限られたものにすぎないのであるから、当該範囲に対して、本願発明(特許請求の範囲の請求項1に記載された発明)が超過していることは明らかである。 したがって、本願の特許請求の範囲の記載(請求項1の記載)は、サポート要件に適合しないものというべきである。 第4 むすび 以上の検討のとおり、特許請求の範囲の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する明細書のサポート要件に適合するものでなく、本願発明(請求項1に記載された発明)は、本願明細書の発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、本願は、同条第6項に規定する要件を満たしていない。 したがって、本願は、請求項2ないし11について検討するまでもなく、特許法第49条第4号の規定に該当し、拒絶されるべきものである。 よって結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-08-22 |
結審通知日 | 2019-08-27 |
審決日 | 2019-09-10 |
出願番号 | 特願2016-550645(P2016-550645) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WZ
(C11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 井上 恵理 |
特許庁審判長 |
冨士 良宏 |
特許庁審判官 |
木村 敏康 日比野 隆治 |
発明の名称 | 臭気マスキングアミン組成物 |
代理人 | 特許業務法人川口國際特許事務所 |