• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B32B
管理番号 1359454
審判番号 不服2019-5394  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-23 
確定日 2020-02-06 
事件の表示 特願2015-212030「光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 5月18日出願公開、特開2017- 81010〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年10月28日の出願であって、平成30年7月2日付けで拒絶理由が通知され、平成30年11月6日に意見書及び手続補正書が提出され、平成31年1月30日付けで拒絶査定がされた。これに対し、平成31年4月23日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正書が提出されたものである。


第2 平成31年4月23日付けの手続補正の補正却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年4月23日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
本件補正は、平成30年11月6日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1の
「透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、粘着剤層が形成されてなり、前記粘着剤層の表面に、剥離シートが貼合してなる帯電防止表面保護フィルムであって、
前記剥離シートが、基材の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、帯電防止剤とを含有する樹脂組成物により形成された剥離剤層を有してなり、
前記基材が、紙を含む基材であり、上質紙、アート紙、クラフト紙、ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種であることを特徴とする帯電防止表面保護フィルム。」を
「透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、粘着剤層が形成されてなり、前記粘着剤層の表面に、剥離シートが貼合してなり、前記粘着剤層を介して、光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルムであって、
前記粘着剤層には、帯電防止剤が含有されておらず、
前記剥離シートが、ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種からなる基材の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、帯電防止剤とを含有する樹脂組成物により形成された剥離剤層を有してなり、
前記剥離剤層の前記帯電防止剤が、前記粘着剤層の表面に転写されてなることを特徴とする光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルム。」とする補正を含むものである。

そして、この補正は、特許請求の範囲に記載した発明を特定するために必要な事項である、帯電防止表面保護フィルムについて「前記粘着剤層を介して、光学用フィルムに用いる」こと及び「前記剥離剤層の前記帯電防止剤が、前記粘着剤層の表面に転写されてなる」こと、粘着剤層について「帯電防止剤が含有されておら」ないこと、並びに剥離シートの基材について「ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種からなる」ことの限定を付加するものであり、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。

よって、本件補正における特許請求の範囲の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的とするものである。

2 独立特許要件についての検討
(1)そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について検討する。

(2)引用例
ア 引用例1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-24630号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与した。)。
(ア)「【請求項1】
透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に粘着剤層が形成され、該粘着剤層の上に、剥離剤層を有する剥離フィルムが貼合された表面保護フィルムにおいて、該剥離フィルムが、樹脂フィルムの片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、該剥離剤と反応しない帯電防止剤とを含有する剥離剤層を積層してなり、前記帯電防止剤の成分が、前記剥離フィルムから前記粘着剤層の表面に転写され、前記粘着剤層を被着体から剥離するときの剥離帯電圧が低減されてなることを特徴とする表面保護フィルム。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光板、位相差板、ディスプレイ用のレンズフィルムなどの光学部品(以下、光学用フィルムと称する場合もある。)の表面に貼合される、表面保護フィルムに関する。さらに詳細には、被着体に対する汚染が少ない表面保護フィルム、さらには、経時劣化しないで優れた剥離帯電防止性能を有する表面保護フィルム、及びそれが貼合された光学部品を提供するものである。」
(ウ)「【0023】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の表面保護フィルムの、概念を示した断面図である。この表面保護フィルム10は、透明な基材フィルム1の片面の表面に、粘着剤層2が形成されている。この粘着剤層2の表面には、樹脂フィルム3の表面に剥離剤層4が形成された剥離フィルム5が、貼合されている。
【0024】
本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される基材フィルム1としては、透明性及び可撓性を有する樹脂からなる基材フィルムが用いられる。これにより、表面保護フィルムを、被着体である光学部品に貼合した状態で、光学部品の外観検査を行うことができる。基材フィルム1として用いる透明性を有する樹脂からなるフィルムは、好適には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルムが用いられる。ポリエステルフィルムのほか、必要な強度を有し、かつ光学適性を有するものであれば、他の樹脂からなるフィルムも使用可能である。基材フィルム1は、無延伸フィルムであっても、一軸または二軸延伸されたフィルムであってもよい。また、延伸フィルムの延伸倍率や、延伸フィルムの結晶化に伴い形成される軸方法の配向角度を、特定の値に制御してもよい。
本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される基材フィルム1の厚みは、特に限定はないが、例えば、12?100μm程度の厚みが好ましく、20?50μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
また、必要に応じて、基材フィルム1の粘着剤層2が形成された面の反対側の面に、表面の汚れを防止する防汚層、帯電防止層、傷つき防止のハードコート層などを設けることができる。また、基材フィルム1の表面に、コロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗付などの易接着処理を施してもよい。
【0025】
また、本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される粘着剤層2は、被着体の表面に接着し、用済み後に簡単に剥がせ、かつ、被着体を汚染しにくい粘着剤であれば特に限定されるものではないが、光学用フィルムに貼合後の耐久性などを考慮すると、(メタ)アクリレート共重合体を架橋させてなる粘着剤を用いるのが一般的である。
【0026】
(メタ)アクリレート共重合体としては、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソノニルアクリレートなどの主モノマーと、アクリロニトリル、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、エチルアクリレートなどのコモノマー、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N-メチロールメタクリルアミドなどの官能性モノマーを共重合した共重合体を挙げることができる。(メタ)アクリレート共重合体は、主モノマー及び他のモノマーがすべて(メタ)アクリレートであってもよく、主モノマー以外のモノマーとして、(メタ)アクリレート以外のモノマーを1種又は2種以上含んでもよい。
【0027】
また、(メタ)アクリレート共重合体にポリオキシアルキレン基を含有する化合物を共重合したり、混合してもよい。共重合可能なポリオキシアルキレン基を含有する化合物としては、ポリエチレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート、ポリプロピレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリプロピレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(400)メタクリレートなどが挙げられる。これらのポリオキシアルキレン基を含有するモノマーを、前記(メタ)アクリレート共重合体の主モノマーや官能性モノマーと共重合することにより、ポリオキシアルキレン基を含有する共重合体からなる粘着剤を得ることができる。
【0028】
(メタ)アクリレート共重合体に混合可能なポリオキシアルキレン基を含有する化合物としては、ポリオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリレート共重合体が好ましく、ポリオキシアルキレン基を含有する(メタ)アクリル系モノマーの重合物がより好ましく、例えば、ポリエチレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリエチレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリエチレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(400)メタクリレート、ポリプロピレングリコール(400)モノアクリル酸エステル、ポリプロピレングリコール(400)モノメタクリル酸エステル、メトキシポリプロピレングリコール(400)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(400)メタクリレートなどの重合物が挙げられる。これらのポリオキシアルキレン基を含有する化合物を、前記(メタ)アクリレート共重合体と混合することにより、ポリオキシアルキレン基を含有する化合物が添加された粘着剤を得ることができる。
【0029】
粘着剤層2に添加する硬化剤としては、(メタ)アクリレート共重合体を架橋させる架橋剤として、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物、金属キレート化合物などが挙げられる。また、粘着付与剤としては、ロジン系、クマロンインデン系、テルペン系、石油系、フェノール系などが挙げられる。
【0030】
本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される粘着剤層2の厚みは、特に限定はないものの、例えば、5?40μm程度の厚みが好ましく、10?30μm程度の厚みがより好ましい。表面保護フィルムの被着体の表面に対する剥離強度(粘着力)が、0.03?0.3N/25mm程度の、微粘着力を有する粘着剤層2であることが、被着体から表面保護フィルムを剥がす時の操作性に優れることから好ましい。また、表面保護フィルム10から剥離フィルム5を剥がす時の操作性に優れることから、剥離フィルム5の粘着剤層2からの剥離力が、0.2N/50mm以下であることが好ましい。
【0031】
また、本発明に係わる表面保護フィルム10に使用される剥離フィルム5は、樹脂フィルム3の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、該剥離剤と反応しない帯電防止剤とを含有する剥離剤層4が積層されている。
【0032】
樹脂フィルム3としては、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルムなどが挙げられるが、透明性に優れていることや価格が比較的に安価であることから、ポリエステルフィルムが特に好ましい。樹脂フィルムは、無延伸フィルムであっても、一軸または二軸延伸されたフィルムであってもよい。また、延伸フィルムの延伸倍率や、延伸フィルムの結晶化に伴い形成される軸方法の配向角度を、特定の値に制御してもよい。
樹脂フィルム3の厚みは、特に限定はないが、例えば、12?100μm程度の厚みが好ましく、20?50μm程度の厚みであれば取り扱い易く、より好ましい。
また、必要に応じて、樹脂フィルム3の表面に、コロナ放電による表面改質、アンカーコート剤の塗付などの易接着処理を施してもよい。」
(ウ)「【0042】
図2は、本発明の表面保護フィルムから、剥離フィルムを剥がした状態を示す断面図である。
図1に示した表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に、転写される(付着する)。そのため、図2においては、表面保護フィルムの粘着剤層2の表面に付着した帯電防止剤を、符号7の斑点で模式的に示している。帯電防止剤7の成分が、剥離フィルム5から粘着剤層2の表面に転写されることにより、転写する前の粘着剤層2に比べて、粘着剤層2の被着体からの剥離帯電圧が低減される。なお、粘着剤層を被着体から剥離する際の剥離帯電圧は、公知の方法で測定可能である。例えば、表面保護フィルムを偏光板などの被着体に貼り合せた後、高速剥離試験機(テスター産業製)を用いて毎分40mの剥離速度で表面保護フィルムを剥離しながら、被着体表面の表面電位を、表面電位計(キーエンス(株)製)を用いて10ms毎に測定したときの、表面電位の絶対値の最大値を、剥離帯電圧(kV)として測定する。
本発明に係わる表面保護フィルムでは、図2に示した剥離フィルムを剥がした状態の表面保護フィルム11を、被着体に貼合するに当たり、この粘着剤層2の表面に転写された、帯電防止剤が、被着体の表面に接触する。そのことにより、再度、被着体から表面保護フィルムを剥がす時の剥離帯電圧を低く抑えることができる。」
(オ)「



イ 引用例1に記載された発明
引用例1の請求項1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「透明な基材フィルム1の片面の表面に、粘着剤層2が形成され、この粘着剤層2の表面に、樹脂フィルム3の表面に剥離剤層4が形成された剥離フィルム5が貼合されている、剥離帯電防止性能を有する表面保護フィルムにおいて、
剥離フィルム5は、樹脂フィルム3の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、該剥離剤と反応しない帯電防止剤とを含有する剥離剤層4が積層されてなり、
表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に転写される(付着する)、光学用フィルムの表面に貼合される剥離帯電防止性能を有する表面保護フィルム。」

ウ 引用例2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-236268号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光学部材表面の保護のために使用される表面保護フィルム用粘着剤組成物、及びこれを用いた表面保護フィルムに関するものである。詳しくは、光学部材表面に一時的に貼り付けられ、その後剥離される表面保護フィルム用粘着剤組成物であって、帯電が少なく、剥離時の作業性が良い表面保護フィルム用粘着剤組成物、及びこれを用いた表面保護フィルムに関する。」
(イ)「【0076】
粘着剤層の形成方法としては、本発明の表面保護フィルム用粘着剤組成物を、そのまま、又は必要に応じて適宜溶媒で希釈し、基材上に直接塗布・乾燥する方法を採用することができる。また、予めシリコーン樹脂等により離型処理が施された紙やポリエステルフィルム等からなる剥離シート上に、本発明の表面保護フィルム用粘着剤組成物を塗布し、乾燥して粘着剤層を形成させ、次いで該剥離シートの粘着剤層側を基材に圧接して該粘着剤層を該基材に転写させることもできる。」

エ 引用例3
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2010-209189号公報(以下「引用例3」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離剤層表面に凹凸形状(凹凸構造)を有するセパレータを粘着剤層面に貼着した粘着シートであって、該セパレータを剥離することのよる静電気の発生を抑制することができる粘着シートに関する。本発明の粘着シートは、静電気が発生しやすいプラスチック製製品、静電気を嫌う電子機器、静電気により埃等が付着することを嫌う場面等において好適に使用される。」
(イ)「【背景技術】
【0002】
粘着シートは、常温で短時間、わずかな圧力を加えるだけで接着することができるため、各種物品の接合において様々な用途で用いられている。例えば、光学用途において液晶ディスプレイのパネルは液晶セルに粘着剤を介して偏光板や波長板等の光学部材を貼り合せることにより形成されている。さらにまた、粘着シートは適度に接着する反面、硬い平滑面から再剥離することもでき、表面保護フィルムとしても利用されている。より具体的な使用態様としては、機能性フィルム、導電性フィルム、表面保護フィルム、支持体の両面に粘着剤を塗布した両面粘着シート、支持体を持たない基材レスの両面粘着シート等粘着加工した粘着加工品形態等が挙げられる。
【0003】
そして、これらの多くの場合、粘着剤層を保護する目的でセパレータ等が用いられている。セパレータは、紙、プラスチックフィルム、プラスチックラミネート紙等の基材の少なくとも片面に、シリコーン等の剥離剤を塗布し、乾燥及び/又は硬化させて剥離剤層を設けたものであり、粘着シート、粘着テープ、ラベル等の粘着剤層表面を保護するために該粘着剤層表面に貼着して用いられ、光学部材等の被着体に貼り合わせる際に剥離して除去される。」

オ 引用例4
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2004-151696号公報(以下「引用例4」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に用いられる液晶偏光板を保護するために使用する粘着フィルムであって、液晶偏光板に添付したまま透視検査できる液晶偏光板保護用透明粘着フィルムに関するものである。」
(イ)「【0042】
(2)その他の剥離シートとしては、紙、合成紙、不職布などのウェブ上に、前記した(1)のフィルムを積層したものである。合成紙の場合、その上に直接シリコーン樹脂等を塗布しても良い。」

カ 引用例5
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2002-338909号公報(以下「引用例5」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着シートに関するものであり、更に詳しくは、その粘着シートの表面基材に炭酸カルシウムを含む紙層pHの高い紙基材を使用した場合にも、粘着剤が十分な粘着性能を発揮し得る、保存性に優れた粘着シートに関するものである。」
(イ)「【0003】粘着シートの表面基材には、紙、合成紙、フィルム、金属フォイル等が使用されている。中でも紙としては、キャスト紙、アート紙、上質紙等の印刷用紙、これらの紙に機能性の層を設けた感熱紙、インクジェット紙等の情報用紙が広く使用されている。剥離シートは、一般的に剥離シート用基材にシリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤を塗布したものが使用され、剥離シート用基材としては、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙や上質紙などにポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネート加工したラミネート紙、あるいはクラフト紙や上質紙等にポリビニルアルコール、澱粉などの水溶性高分子等と顔料とを主成分とする塗被層を設けた樹脂コーティング紙等が使用される。また、粘着剤としては、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等のエマルジョン、溶剤又は無溶剤型の各種粘着剤が使用される。」

キ 引用例6
原査定の拒絶の理由に引用された特開2015-120775号公報(以下「引用例6」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器を構成する様々な部材、特にLED等の発熱部材の固定に使用可能な熱伝導性粘着シートに関する。」
(イ)「【0090】
前記剥離ライナーとしては、例えばクラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙;ポリエチレン、ポリプロピレン(OPP、CPP)、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム;前記紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したものの片面もしくは両面に、シリコーン系樹脂等の剥離処理を施したもの等を用いることができる。」

ク 引用例7
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-172579号公報(以下「引用例7」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着シートまたは粘着テープに関するものである。更に詳しくは、その粘着シートおよび粘着テープが水に対して再離解性に優れ、パルプを再生する際に粘着剤および基材が悪影響を及ぼすことなく容易に再離解することのできる、リサイクル工程に混入可能な粘着シートおよび粘着テープに関するものである。」
(イ)「【0003】基材には紙、フィルム、あるいは金属フォイル等が用いられる。粘着シートの剥離シートや粘着テープ基材には、一般的にシリコーン化合物やフッ素化合物の如き剥離剤が塗布される。なお、剥離シート用基材には、グラシン紙のような高密度原紙、クレーコート紙、クラフト紙、上質紙などにポリエチレン等の樹脂フィルムをラミネート加工したラミネート紙、あるいはクラフト紙や上質紙等にポリビニルアルコール、澱粉などの水溶性高分子等と顔料とを主成分とする塗被層を設けた樹脂コーティング紙等が上げられる。中でも、ポリエチレンをラミネート加工したラミネート紙が一般的に広く使用されている。」

(3)本願補正発明と引用発明の対比
ア 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「剥離フィルム5」は、その機能及び構造から、本願補正発明の「剥離シート」に相当し、同様に「基材フィルム1」は「基材フィルム」に相当する。また、引用発明の「樹脂フィルム3」と本願補正発明の「ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種からなる基材」とは、剥離シートの基材の限りで一致する。
(イ)引用発明の「剥離フィルム5」の「ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、該剥離剤と反応しない帯電防止剤とを含有する剥離剤層4」は、本願補正発明の「剥離シート」の「ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、帯電防止剤とを含有する樹脂組成物により形成された剥離剤層」に相当する。
(ウ)引用発明の「基材フィルム1」の片面に形成された「粘着剤層2」は、本願補正発明の「基材フィルム」の片面に形成された「粘着剤層」に相当し、引用発明の「粘着剤層2の表面に、」「剥離フィルム5が、貼合されている」「光学用フィルムの表面に貼合される」「剥離帯電防止性能を有する表面保護フィルム」は、本願補正発明の「前記粘着剤層の表面に、剥離シートが貼合してなり、前記粘着剤層を介して、光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルム」に相当する。
(エ)引用発明の「表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に、転写される(付着する)」ことは、帯電防止剤が剥離剤層4に含有しているから、本願補正発明の「前記剥離剤層の前記帯電防止剤が、前記粘着剤層の表面に転写されてなること」に相当する。

イ 一致点
したがって、両者は、
「透明性を有する樹脂からなる基材フィルムの片面に、粘着剤層が形成されてなり、前記粘着剤層の表面に、剥離シートが貼合してなり、前記粘着剤層を介して、光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルムであって、
前記剥離シートが、基材の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、帯電防止剤とを含有する樹脂組成物により形成された剥離剤層を有してなり、
前記剥離剤層の前記帯電防止剤が、前記粘着剤層の表面に転写されてなることを特徴とする光学用フィルムに用いる帯電防止表面保護フィルム。」
の点で一致し、以下の点で相違している。

ウ 相違点
<相違点1>
本願補正発明は、「前記粘着剤層には、帯電防止剤が含有されておら」ないのに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。
<相違点2>
剥離シートの基材について、本願補正発明は、「ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種からなる」のに対し、引用発明は、樹脂フィルムである点。

(4)当審の判断
上記相違点について以下検討する。
ア 相違点1について
引用発明は、「剥離フィルム5は、樹脂フィルム3の片面に、ジメチルポリシロキサンを主成分とする剥離剤と、該剥離剤と反応しない帯電防止剤とを含有する剥離剤層4が積層されて」おり、「表面保護フィルム10から、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に、転写される(付着する)」ものである。
そして、引用例1の【0025】?【0030】の記載を参酌しても、粘着剤層に帯電防止剤を含有するとは記載されていない。
そうすると、引用発明は、剥離フィルム5を剥がすことにより、剥離フィルム5の剥離剤層4に含まれる帯電防止剤(符号7)の一部が、表面保護フィルム10の粘着剤層2の表面に、転写される(付着する)ものであるから、引用発明の「粘着剤層2」には、帯電防止剤を含有しないことは明らかである。
したがって、引用発明の粘着剤層は、「帯電防止剤が含有されておらず」と表現できるものであるから、相違点1は実質的な相違点でない。
イ 相違点2について
本願補正発明の「帯電防止保護フィルム」は、「剥離シート5の基材3に、紙を含む基材を使用するため、基材フィルム1と剥離シート5とのコシ(弾性率)が異なり、帯電防止表面保護フィルムから剥離シートを剥がし易くなる。このため、帯電防止表面保護フィルムから剥離シートを剥がして、光学部品に貼合する作業の効率が良くなる。」(【0034】)ものである。
一方、引用例1には、「表面保護フィルム10から剥離フィルム5を剥がす時の操作性に優れることから、剥離フィルム5の粘着剤層2からの剥離力が、0.2N/50mm以下であることが好ましい。」(【0030】)と記載されており、引用発明において、剥離フィルムを剥がしやすくすることは、改善が求められる課題である。
そして、上記引用例2?4の摘記事項から、光学部材に用いる表面保護フィルムの剥離シート(セパレータ)の基材として離型処理された紙、プラスチックラミネート紙等の紙を用いることは、通常行われていることであるといえ、上記引用例5?7の摘記事項から、粘着シートの剥離シートの基材として、ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙を用いることは慣用手段であるといえる。
したがって、引用発明の基材は、樹脂フィルムであるところ、上記のとおり剥離シートを剥がしやすいものとすることは改善が求められる課題であるから、光学部材に用いる表面保護フィルムの剥離シート(セパレータ)の基材として周知である紙を用いることは、当業者が容易に想到し得ることであって、その際の紙として、具体的に剥離シートに用いることが慣用手段である、ポリエチレンラミネート上質紙やポリエチレンラミネートクラフト紙を用いることは、設計上適宜なし得たことである。
よって、本願補正発明の上記相違点2に係る事項は、引用発明、及び慣用手段に基いて当業者が容易に想到することができたものである。

ウ 本願補正発明の奏する作用効果
本願明細書の【0034】に記載の効果は、剥離シートの基材をポリエチレンラミネート上質紙又はポリエチレンラミネートクラフト紙としたことによる当然の効果であるから、本願補正発明により奏されるとされる効果は、引用発明、及び慣用手段からみて格別なものとはいえない。

エ まとめ
よって、本願補正発明は、引用発明、及び慣用手段に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)小括
したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3 むすび
以上のとおりであり、本件補正発明は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定により違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
平成31年4月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年11月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記「第2 平成31年4月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「1 本件補正について」の記載参照。)

2 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例1?7記載事項並びに引用発明については、上記「第2 平成31年4月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(2)引用例」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明から、帯電防止表面保護フィルムについて「前記粘着剤層を介して、光学用フィルムに用いる」こと、及び「前記剥離剤層の前記帯電防止剤が、前記粘着剤層の表面に転写されてなる」こと、粘着剤層について「帯電防止剤が含有されておら」ないこと、並びに剥離シートの基材について「ポリエチレンラミネート上質紙、ポリエチレンラミネートアート紙、ポリエチレンラミネートクラフト紙からなる群から選択した1種からなる」ことの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定するための事項をすべて含み、更に他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2 平成31年4月23日付けの手続補正の補正却下の決定」の「2 独立特許要件違反についての検討」の「(3)本願補正発明と引用発明の対比」及び「(4)当審の判断」に記載したとおりの引用発明及び慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び慣用手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


第4 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定より特許を受けることができない。
ゆえに、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-11-28 
結審通知日 2019-12-03 
審決日 2019-12-18 
出願番号 特願2015-212030(P2015-212030)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B32B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高崎 久子  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 佐々木 正章
中村 一雄
発明の名称 帯電防止表面保護フィルム  
代理人 大浪 一徳  
代理人 貞廣 知行  
代理人 田▲崎▼ 聡  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ