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審決分類 |
審判 一部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) E04H 審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 E04H 審判 一部申し立て ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 E04H 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 E04H 審判 一部申し立て 2項進歩性 E04H 審判 一部申し立て 4項(134条6項)独立特許用件 E04H 審判 一部申し立て 判示事項別分類コード:857 E04H 審判 一部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 E04H |
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管理番号 | 1359517 |
異議申立番号 | 異議2018-700839 |
総通号数 | 243 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-03-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-10-15 |
確定日 | 2019-11-22 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6313266号発明「駐車装置及び駐車装置の制御方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6313266号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-2,4-5,7〕、〔3,6,8-9〕について訂正することを認める。 特許第6313266号の請求項1-2,7に係る特許を取り消す。 同請求項5に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6313266号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成27年8月6日に出願され、平成30年3月30日にその特許権の設定登録がされ、平成30年4月18日に特許掲載公報が発行されたものである。 その特許について、平成30年10月15日に特許異議申立人 中村修(以下、「申立人A」という。)により、請求項1及び7に対して特許異議の申立て(以下、「申立1」という。)がされ、平成30年10月17日に特許異議申立人 川股くみ子(以下、「申立人B」という。)により、請求項1?2及び5,7に対して特許異議の申立て(以下、「申立2」という。)がされた。 その後の経緯は、以下のとおりである。 平成30年12月17日(発送日):取消理由通知 平成31年 2月14日: 意見書の提出及び訂正の請求 (以下、「1次訂正請求」という。) 平成31年 4月11日: 申立人Aによる意見書の提出 平成31年 4月12日: 申立人Bによる意見書の提出 令和 1年 6月 7日(発送日):取消理由通知(決定の予告) 令和 1年 8月 5日: 意見書の提出及び訂正の請求 (以下、「本件訂正請求」という。) 令和 1年 9月13日: 申立人Aによる意見書の提出 令和 1年 9月13日: 申立人Bによる意見書の提出 なお、1次訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に記載された、 「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 を、 「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に記載された、 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 を、 「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、車体搬送手段を呼び出し、前記駐車装置の入出庫扉を開き、前記駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4、7も同様に訂正する)。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に 「前記ユーザが表示制御手段に対して所定の操作をすることによって、前記表示部に確認情報を表示することを特徴とする請求項2に記載の駐車装置の制御方法。」 と記載されているのを、独立形式に改め、 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じることを含み、前記ユーザが表示制御手段に対して所定の操作をすることによって、前記表示部に確認情報を表示することを特徴とする駐車装置の制御方法。」 に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項8、9も同様に訂正する)。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に 「前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項2又は3に記載の駐車装置の制御方法。」 とあるうち、請求項2を引用するものを、 「前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項2に記載の駐車装置の制御方法。」 に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に記載された、 「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 を、 「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、」 に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項7も同様に訂正する)。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に 「前記内部情報入力部に内部情報を入力した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記表示部に入力した内部情報とは異なる内部情報を入力することをさらに含む請求項5に記載の駐車装置の制御方法。」 と記載されているのを、独立形式に改め、 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信し、前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じることを含み、前記内部情報入力部に内部情報を入力した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記内部情報入力部に入力した内部情報とは異なる内部情報を入力することをさらに含む、駐車装置の制御方法。」 に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項9も同様に訂正する)。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に 「請求項1乃至6のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。」 とあるうち、請求項1、請求項2、請求項4のうち請求項2を引用する部分、および請求項5のいずれか一を引用するものを、 「請求項1、2、4および5のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。」 に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項4に 「前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項2又は3に記載の駐車装置の制御方法。」 とあるうち、請求項3を引用するものを、 「前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項3に記載の駐車装置の制御方法。」 とし、新たに請求項8として記載する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項7に 「請求項1乃至6のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。」 とあるうち、請求項3、請求項6、および請求項4のうち請求項3を引用する部分のいずれか一を引用するものを、 「請求項3、6および8のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。」 とし、新たに請求項9として記載する。 (10)別の訂正単位とする求め 訂正後の請求項3、6、8および9については、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求める。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 上記訂正事項1は、訂正前の請求項1における「操作盤入力情報」を、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される入力情報へと限定したものであるところ、上記訂正事項1に関連して、図面の【図3】には、操作盤11の操作盤情報入力部126が0?9の数字を入力できるテンキーを備える様子が図示されている。また、明細書の段落【0034】-【0035】には、 「【0034】 ・・・・・ユーザによって閉扉指示が入力されると、駐車装置は、第2の認証情報が入力されることを待機する状態となる。制御部12がゲート開閉機構14にゲートを閉じる信号を送信するタイミングについては、後述する。 【0035】 続いて、ユーザは、操作盤情報入力部126に第2の認証情報を入力する(第2のユーザ認証・S105)。この例では、第2の認証情報は、第1の認証情報と同一あることを要する。例えば、ユーザが第1の認証情報として、「1022」という4桁の数字を入力した場合には、ユーザは、第2の認証情報として「1022」を操作盤情報入力部126に入力することになる。」 と記載されている。 これらのことから、「閉扉指示が入力」されると「入力されることを待機」する「操作盤入力情報」であり、ユーザが先に入力した「認証情報」と「所定の関係を有するか否か」が判断される「操作盤入力情報」について、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される入力情報とする発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。 上記訂正事項1は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項1における「操作盤入力情報」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項2について ア 訂正目的 上記訂正事項2は、訂正前の請求項2における「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」となるまでの処理を、「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、車体搬送手段を呼び出し、駐車装置の入出庫扉を開」くものと限定するとともに、「訂正前の請求項2における「操作盤入力情報」を、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される入力情報へと限定するものである。 イ 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」となるまでの処理について 上記訂正事項2のうち、「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」となるまでの処理に関連して、明細書の段落【0022】,【0028】及び【0031】-【0045】には、 「【0022】 駐車装置100は、駐車装置操作盤(操作部)11によって操作される。駐車装置操作盤11は、駐車装置100の外側に設けられている。・・・・(中略)・・・・。 【0028】 [駐車装置操作盤] 図3は、駐車装置操作盤11の一例である。駐車装置操作盤11は、ゲート112の開閉を指示するためのゲート開閉指示部及びパレット104を移動する指示をするためのパレット指示部を備え、駐車装置操作盤11を用いて駐車装置100の基本的な操作を行うことができる。駐車装置操作盤11には操作電源スイッチ120、操作部122、操作盤情報入力部126、操作盤情報表示部124、非常停止ボタン128が設けられている。 ・・・・(中略)・・・・。 【0031】 [制御方法] 図4を用いて、駐車装置100の制御方法を説明する。図4は、本発明の第1実施形態に係る駐車装置の操作方法のフローチャートである。 【0032】 まず、ユーザは、操作盤情報入力部126に第1の認証情報を入力する(第1のユーザ認証・S101)。ここで、第1の認証情報は、呼び出したいパレットの番号であってもよいし、ユーザに予め与えられている暗証番号であってもよい。第1のユーザ認証を行った後、ユーザが操作部122の「スタート」ボタンを押すと、パレット移動機構13に第1認証情報に対応する車体搬送手段(パレット)が呼び出され、(S102)制御部12からゲートを開放する信号を受信したゲート開閉機構14がゲートを開扉する。この例では、ユーザが車体搬送手段呼び出しを行うと、車体搬送とゲート開放が連続して行われるが、別々に行ってもよい。 【0033】 続いて、ゲートが開扉されると、ユーザが車両を入出庫する作業を行うことができる(S103)。 【0034】 続いて、ユーザは、閉扉指示を行う(S104)。・・・・(中略)・・・・。 【0039】 <第2実施形態> [駐車装置の構成] 図5は、本発明の第2実施形態に係る駐車装置の概略構成図(立体図)である。第2実施形態は、第1実施形態と概ね同じ構成である。そこで、重複する点の詳細な説明は、ここでは省略する。・・・・(中略)・・・・。 【0044】 [制御方法] 図9を用いて、駐車装置200の制御方法を説明する。図9は、本発明の第2実施形態に係る駐車装置の操作方法のフローチャートである。第2実施形態に係る駐車装置の操作方法は、第1実施形態に係る駐車装置の操作方法と概ね同じである。そこで、重複する点の詳細な説明は、ここでは省略する。第2実施形態に係る駐車装置200の操作方法は、第1実施形態に係る駐車装置100の操作方法と異なり、第3の認証情報(確認情報)の表示(S204)がある。 【0045】 ユーザが車両の入出庫作業を行うステップ(S203)に続いて、表示部216は、第3の認証情報(確認情報)を表示する(S204)。これに続いて、ユーザが、閉扉指示をする(S205)と、駐車装置200は、第2の認証情報(操作盤入力情報)が入力されることを待機し、第2の認証情報が入力される(第2のユーザ認証・S206)と、第3の認証情報と第2の認証情報とが所定の関係を有するか否かを判断する。・・・・(後略)・・・・。」 と記載されている。 このことから、閉扉の際に表示された「確認情報」と「操作盤入力情報」との関係を確認する駐車装置の制御方法において、「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」となるまでの処理として、駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、車体搬送手段を呼び出し、駐車装置の入出庫扉であるゲートが開扉される、という発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。 ウ 「操作盤入力情報」について また、上記訂正事項2に関連して、図面の【図3】には、操作盤11の操作盤情報入力部126が0?9の数字を入力できるテンキーを備える様子が図示されている。そして、明細書の段落【0045】-【0046】には、 「【0045】 ユーザが車両の入出庫作業を行うステップ(S203)に続いて、表示部216は、第3の認証情報(確認情報)を表示する(S204)。これに続いて、ユーザが、閉扉指示をする(S205)と、駐車装置200は、第2の認証情報(操作盤入力情報)が入力されることを待機し、第2の認証情報が入力される(第2のユーザ認証・S206)と、第3の認証情報と第2の認証情報とが所定の関係を有するか否かを判断する。・・・・・。 【0046】 ・・・・・表示部216に第3の認証情報として、「1022」という4桁の数字が表示されると(S204)、ユーザは、第2のユーザ認証の際に、第2の認証情報として、表示部216に表示された「1022」という4桁の数字を入力しなければならない。照合処理(S207)によって、照合OKと判断される(S208でYesの場合)のは、第3の認証情報と第2の認証情報とが一致した場合である。」 と記載されている。 これらのことから、「閉扉指示が入力」されると「入力されることを待機」する「操作盤入力情報」であり、表示された「確認情報」と「所定の関係を有するか否か」が判断される「操作盤入力情報」について、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される入力情報とする発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。 エ 小括 上記ア?ウのとおり、訂正事項2は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項2における「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」となるまでの処理、及び「操作盤入力情報」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (3)訂正事項3について 上記訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項2を引用する記載であるところ、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 そして、訂正事項3は、何ら実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (4)訂正事項4について 上記訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項2又は3を引用する記載であるところ、請求項3を引用しないものとする訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとするとともに、選択肢として引用する請求項の数を減少させることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項4は、選択肢として引用する請求項の数を減少させることを除き、何ら実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (5)訂正事項5について 上記訂正事項5は、訂正前の請求項5における「操作盤入力情報」であり、「閉扉指示が入力」されると「入力されることを待機」し、先行してユーザによって入力された「内部情報」と「所定の関係を有するか否か」が判断される「操作盤入力情報」について、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力されることを限定したものである。 上記訂正事項5に関連して、図面の【図3】には、操作盤11の操作盤情報入力部126が0?9の数字を入力できるテンキーを備える様子が図示されている。また、明細書の段落【0057】-【0058】には、 「【0057】 ユーザが車両の入出庫作業を行うステップ(S303)に続いて、内部情報入力部330は、ユーザによって、第3の認証情報(内部情報)を入力される(S304)。この入力を受けて第3の認証情報を受信した駐車装置300の記憶部は、この第3の認証情報を一時的に記憶する。これに続いて、ユーザが、閉扉指示をする(S305)と、駐車装置300は、第2の認証情報(操作盤入力情報)が入力されることを待機し、第2の認証情報が入力される(第2のユーザ認証・S306)と、第3の認証情報と第2の認証情報とが所定の関係を有するか否かを判断する。・・・・・ 【0058】 ・・・・・ユーザが内部情報入力部330に第3の認証情報として、「1022」という4桁の数字を入力すると(S304)、ユーザは、第2のユーザ認証の際に、第2の認証情報として、内部情報入力部330に入力した「1022」という4桁の数字を入力しなければならない。照合処理(S307)によって、照合OKと判断される(S308でYesの場合)のは、第3の認証情報と第2の人情報とが一致した場合である。」 と記載されている。 これらのことから、「閉扉指示が入力」されると「入力されることを待機」する「操作盤入力情報」であり、ユーザによって入力された「内部情報」と「所定の関係を有するか否か」が判断される「操作盤入力情報」について、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される入力情報とする発明は、明細書又は図面に記載されているものと認められる。 上記訂正事項5は、明細書又は図面に記載された事項の範囲内において、訂正前の請求項5における「操作盤入力情報」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (6)訂正事項6 上記訂正事項6は、訂正前の請求項6が請求項5を引用する記載であるところ、独立形式請求項へ改めるための訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 また、上記訂正事項6のうち、「前記内部情報入力部に内部情報を入力した後、・・・(中略)・・・前記表示部に入力した内部情報とは異なる内部情報を入力する」を「前記内部情報入力部に内部情報を入力した後、・・・(中略)・・・前記内部情報入力部に入力した内部情報とは異なる内部情報を入力する」と訂正した点は、訂正前から「内部情報」を「入力」するのは「表示部」ではなく「内部情報入力部」であったことが明らかであるから、明瞭でない記載の釈明を目的としたものと認められる。 そして、訂正事項6は、実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (7)訂正事項7 上記訂正事項7は、訂正前の請求項7が請求項1から6のいずれか一を引用する記載であるところ、請求項3および6を引用しないものとする訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに、選択肢として引用する請求項の数を減少させることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項7は、選択肢として引用する請求項の数を減少させることを除き、何ら実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (8)訂正事項8 上記訂正事項8は、訂正前の請求項4が請求項2または3を引用する記載であるところ、請求項2を引用しない部分を新たな請求項8とする訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに、選択肢として引用する請求項の数を減少させることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項8は、選択肢として引用する請求項の数を減少させることを除き、何ら実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (9)訂正事項9 上記訂正事項9は、訂正前の請求項7が請求項1から6のいずれか一を引用する記載であるところ、請求項1,2,4および5を引用しないものとする訂正であるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに、選択肢として引用する請求項の数を減少させることから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして、訂正事項9は、選択肢として引用する請求項の数を減少させることを除き、何ら実質的な内容の変更を伴うものでないから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (10)独立特許要件について 訂正後の請求項1及び7は、訂正前の請求項1及び7に対して、訂正事項1による減縮が行われているが、本件においては訂正前の請求項1及び7について特許異議申立がされているため、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は、訂正後の請求項1及び7には課されない。 訂正後の請求項2,4及び7は、訂正前の請求項2,4及び7に対して、訂正事項2による減縮が行われているが、本件においてはこのうち訂正前の請求項2及び7について特許異議申立がされているため、訂正後の請求項2及び7には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は、課されない。一方、訂正後の請求項4は、特許異議の申立がされていない訂正前の請求項4に係る発明をさらに限定したものであり、異議申立において提出された証拠を検討しても、訂正後の請求項4について、特許出願の際に独立して特許を受けることができなかったとする理由を発見しない。そのため、訂正後の請求項4は、訂正の要件としての独立特許要件を満たしている。 訂正後の請求項3及び6は、訂正前の請求項3及び6について、訂正事項3及び6により、引用していた他の請求項の記載を引用しないものに変更した点及び明瞭でない記載の釈明をした点を除き、他の訂正事項によっても減縮あるいは内容の変更を伴う誤記の訂正は行われていないので、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は、訂正後の請求項3及び6には課されない。 訂正後の請求項5及び7は、訂正前の請求項5及び7に対して、訂正事項5による減縮が行われているが、本件においては訂正前の請求項5及び7について特許異議申立がされているため、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は、訂正後の請求項5及び7には課されない。 訂正後の請求項8及び9は、訂正前の請求項4及び7に対して、訂正事項8及び9により、引用していた他の請求項の記載を引用しないものに変更するとともに、選択肢として引用していた請求項の数を減少させる減縮が行われている。そして、本件においては、訂正後の請求項8及び9は、特許異議の申立てがされていなかった訂正前の請求項4の選択肢を分離したもの、あるいは、特許異議の申立てがされていなかった訂正前の請求項3,4及び6のみに従属する訂正前の請求項7を分離したものであり、特許異議の申立てがされていた訂正前の請求項7についても、申立ての理由は特許法第29条第1項第3号または同条第2項であるから、特許異議の申立てがされていなかった訂正前の請求項3,4又は6の構成を全て含む訂正後の請求項8及び9は、実質的に見て特許異議の申立てがされていなかった請求項である。そして、訂正後の請求項8及び9は、特許異議の申立てがされていない訂正前の請求項3,4又は6の構成を全て含むものであり、異議申立において提出された証拠を検討しても、訂正後の請求項8及び9について、特許出願の際に独立して特許を受けることができなかったとする理由を発見しない。そのため、訂正後の請求項8及び9は、訂正の要件としての独立特許要件を満たしている。 (11)一群の請求項について 訂正前の請求項1?7について、請求項7が請求項1?6を引用しているから、訂正事項1?9のいずれかによって、訂正前の請求項1?7のいずれかは連動して訂正がされるものである。そのため、訂正前の請求項1?7は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項に該当する。 すなわち、訂正事項1ないし9の訂正は、訂正前の一群の請求項[1?7]に対して請求されたものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項から第7項までの規定に適合する。 したがって、訂正事項1ないし9による訂正を認める。 本件訂正請求においては、訂正が認められる場合には、訂正後の請求項3,6,8および9については、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とする求めがされている。そして、訂正後の請求項3,6,8および9は、訂正後の請求項1-2,4-5,7のいずれとも、直接又は間接的な引用関係にない。 よって、訂正後の請求項〔1-2,4-5,7〕、〔3,6,8-9〕について、訂正を認める。 第3 本件訂正発明 1 異議申立の対象請求項について 本件では訂正前の請求項1,2,5及び7に係る発明について特許異議の申立がされている。 その後になされた本件訂正請求について、上記第2で判断したとおり、訂正は全て認められるところ、訂正後の請求項1ないし9に係る発明と、訂正前の請求項1ないし7に係る発明との対応関係は、以下のとおりである。 (1)訂正後の請求項1: 訂正前の請求項1を減縮した。 (2)訂正後の請求項2: 訂正前の請求項2を減縮した。 (3)訂正後の請求項3: 訂正前の請求項3(異議申立なし)を独立化した。 (4)訂正後の請求項4: 訂正前の請求項4(異議申立なし)のうち、請求項2を引用する部分を減縮した。 (5)訂正後の請求項5: 訂正前の請求項5を減縮した。 (6)訂正後の請求項6: 訂正前の請求項6(異議申立なし)を独立化するとともに、明瞭でない記載を釈明した。 (7)訂正後の請求項7: 訂正前の請求項7のうち、請求項1,請求項2,請求項2を引用する請求項4,及び請求項5を引用する部分を減縮した。 (8)訂正後の請求項8: 訂正前の請求項4のうち、請求項3を引用する部分(異議申立なし)を、新たな請求項とした。 (9)訂正後の請求項9: 訂正前の請求項7のうち、請求項3、請求項3を引用する請求項4、及び請求項6を引用する部分(いずれも異議申立なし)を、新たな請求項とした。 上記訂正前後の請求項の対応関係から、本件訂正後の請求項についてみれば、請求項1,2,5及び7に係る発明が、異議申立がされた訂正前の請求項1,2,5及び7に係る発明を減縮するか、その一部を新たな請求項としたものであり、実質的に見ても異議申立がされていないと扱うべき事情のない請求項である。 2 本件訂正発明の認定 本件訂正請求により訂正された請求項1ないし9に係る発明のうち、異議申立がなされた訂正前の請求項1,2,5及び7に係る発明を減縮するか、あるいはその一部を新たな請求項としたものであり、かつ、実質的に見ても異議申立がされていないと扱うべき事情のない、訂正後の請求項1,2,5及び7に係る発明(以下、「本件訂正発明1」等という。)は、その訂正特許請求の範囲の請求項1,2,5及び7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 (1)本件訂正発明1 「【請求項1】 駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、 車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 (2)本件訂正発明2 「【請求項2】 駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 前記駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 (3)本件訂正発明5 「【請求項5】 駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 (4)本件訂正発明7 「【請求項7】 請求項1、2、4および5のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。」 第4 取消理由の概要 1次訂正請求後の請求項1,2及び7に係る特許に対して、当審が令和1年6月7日(発送日)に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 1次訂正請求後の本件特許の請求項1及び7に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された文献1に記載された発明、及び文献2又は文献3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 1次訂正請求後の本件特許の請求項2及び7に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された文献2に記載された発明、及び文献6に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 第5 刊行物の記載 1 各刊行物 申立1及び2において提出された証拠は、重複する証拠を整理すると、以下のとおりである。 文献1:特許第5710042号公報(平成27年4月30日発行) (申立1の甲第1号証) 文献2:特開2006-118216号公報 (申立1の甲第2号証、申立2の甲第1号証) 文献3:特許第5480423号公報(平成26年4月23日発行) (申立1の甲第3号証、申立2の甲第2号証) 文献4:特開2003-328577号公報 (申立1の甲第4号証) 文献5:特開2005-194733号公報 (申立1の甲第5号証) 文献6:特開平7-62918号公報 (申立2の甲第3号証) 文献7:特開2015-48595号公報(平成27年3月16日発行) (申立2の甲第4号証) 文献8:特開2006-11657号公報 (申立2の甲第5号証;平成31年4月12日付け意見書に添付) 文献9:特開2012-26121号公報 (申立2の甲第6号証;平成31年4月12日付け意見書に添付) 文献10:公益社団法人 立体駐車場工業会のウェブサイト、 「新着情報一覧」のページ(URL http://www.ritchu.or.jp/news/) (申立1の甲第6号証の1; 令和1年9月13日付け意見書に添付) 文献11:「機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準 平成26年12月5日 公益社団法人 立体駐車場工業会」 と題された資料 (申立1の甲第6号証の2; 令和1年9月13日付け意見書に添付) 2 刊行物に記載された事項 (1)文献1 ア 文献1の記載 文献1には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は、当審で付加した。以下、同様。)。 (ア) 「【背景技術】 【0002】 オフィスビルやマンション等に併設されている機械式立体駐車場では、契約したユーザーだけが使用するため、予め各ユーザーに暗証番号や、暗証カードあるいはリモコンといった専用の認証手段を貸与しておき、各ユーザーが車両を入出庫させる際には上記認証手段の情報を操作盤に入力または受信させることによって、車体搬送手段(パレット、リフト等)の呼び出しと、入出庫扉の開閉操作を行わせている。このため、駐車場の管理人(オペレータ)による操作を特に必要とせず、各ユーザー自身によって入出庫操作を遂行することができる。 【0003】 ところが、このように駐車場の管理人による操作を必要とせずに、ユーザー自身によって入出庫扉の開閉操作等を行うことができるため、ユーザーの確認不足により、車庫装置内に他の人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられ、車庫装置が起動してしまうことがあり得る。そこで、このような事態を避けるため、例えば特許文献1に開示されている機械式立体駐車場が提案されている。 【0004】 特許文献1の機械式立体駐車場は、入出庫扉を開く操作をリモコンによって遠隔操作できるようにして利便性を高めるとともに、入出庫扉を閉じる際には、入出庫扉の近傍のみでしかリモコンによる閉扉操作ができないようにしており、これによってユーザーがリモコンで閉扉操作する際に、目視によって車庫装置内に人が残っていないかどうかの安全確認が必然的になされるようになっていた。これにより、入出庫扉が閉じられる際に車庫装置内に人が取り残されて、そのまま車庫装置が起動してしまうといった不具合を少なからず防止することができる。 ・・・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかしながら、特許文献1の機械式立体駐車場をもってしても、例えばあるユーザーが車庫装置内に居る時に、次のユーザーが入出庫のために訪れ、前のユーザーが居ることに気付かずに誤って入出庫扉を閉じて車庫装置を起動させてしまう可能性が少なくない。 【0007】 特に、昨今では電動車両用の充電設備を備えた機械式立体駐車場が普及しつつあり、このような駐車場にあっては、ユーザーが、車庫内に駐車された電動車両の車体に設けられた充電口と、車庫内に設置された充電用コンセントとの間を充電ケーブルで接続する、あるいは接続を切り離して充電ケーブルを回収する、といった作業を行わなければならない。得てしてこの作業は時間を要し、しかもユーザーは車体の傍らに屈み込んで作業しなければならない。薄暗い車庫装置内でこのように屈み込んで充電作業をしているユーザーは、他のユーザーから認識されにくく、このため他のユーザーが車庫装置内に人が居ないと誤認して入出庫扉を閉じてしまう虞がある。 【0008】 本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車庫装置内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止して安全に運行することのできる機械式立体駐車場の制御方法およびこの制御方法により制御される機械式立体駐車場を提供することを目的とする。」 (イ) 「【発明を実施するための形態】 【0024】 以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、モータの動力により車両を移動させる機能を有する機械式立体駐車場であれば幅広く適用できるものであって、以下の説明にある垂直循環式立体駐車場に限定されるものではない。 【0025】 図1は、本発明に係る制御方法を適用し得る機械式立体駐車場の一例を示す斜視図である。この機械式立体駐車場1は、オフィスビルやマンション等に併設される契約者専用のものである。機械式立体駐車場1は、複数の車両2を収容可能な垂直循環式の立体駐車場施設であり、地上部に車両2の入出庫口3が開口する塔状の車庫装置(駐車塔)4内に複数のパレット5(車体搬送手段)が収容されている。各パレット5は車庫装置4内で上下に駆動される搬送チェーン6にアーム7を介して所定間隔で設けられたケージ8に吊設されており、搬送チェーン6の位置に拘らず常に水平な姿勢を保たれている。 【0026】 図1には図示しないパレット駆動機構25(図2参照)に備えられた昇降用モータにより搬送チェーン6が駆動されると、各パレット5が水平な姿勢で車庫装置4内を上下に循環し、最下部の位置でパレット5が地上レベルの高さとなり、入出庫口3から車両2の積み降ろしが行われる。また、車両2は入出庫口3の前に設けられたターンテーブル9により向きを変えられ、例えば常に前向きでパレット5上に載置される。ターンテーブル9は図示しないパレット旋回機構に備えられた旋回用モータにより旋回駆動される。 【0027】 入出庫口3には、車両の入出庫時にのみ、ユーザーの操作によって開扉される入出庫扉11が設けられている。また、入出庫口3の近傍には、図2にも示す操作盤12が設けられ、機械式立体駐車場1に車両を駐車させるユーザーは、この操作盤12を後述するように操作して入出庫扉11の開閉と車両の入出庫作業を行う。操作盤12は、車庫装置4の外部、且つ車庫装置4の内部を目視可能な位置に設けられている。なお、同じく入出庫口3の近傍には管理人室13が設けられており、ここに駐在する管理人が、必要に応じてユーザーのアシストを行うようになっている。この管理人室13は必ずしもこの位置になくてもよく、遠隔位置に設けてユーザーとの対話を行いながらユーザーをアシストするようにしてもよい。 【0028】 このように構成された機械式立体駐車場1は、図2に概略的に示す制御系統の下で、本発明に係る制御方法により制御される。この制御系統15は制御装置16を有し、制御装置16には主制御部17と、この主制御部17に統括制御される入出庫扉開閉制御部18およびパレット駆動制御部19が含まれている。また、主制御部17には認証照合部21が含まれている。 【0029】 入出庫扉開閉制御部18には、入出庫扉11を開閉させる入出庫扉開閉機構22と、入出庫扉11の開位置および閉位置を検出して入出庫扉開閉制御部18にフィードバックする入出庫扉位置センサ23が接続されている。また、パレット駆動制御部19には、パレット5を駆動するパレット駆動機構25と、パレット5の位置を検出してパレット駆動制御部19にフィードバックするパレット位置センサ26が接続されている。さらに、図示しないが、主制御部17には、ターンテーブル9を駆動するターンテーブル駆動機構と、ターンテーブル9の位置を検出してターンテーブル駆動機構にフィードバックするターンテーブル位置センサが接続されている。 【0030】 操作盤12は主制御部17に接続されている。この操作盤12には、表示画面31と、音声スピーカ32と、テンキー操作部33と、ICカードリーダー34と、起動ボタン35と、閉扉ボタン36等が設けられている。表示画面31と音声スピーカ32は、画面および音声によってユーザーに操作方法を指示するものであり、テンキー操作部33はユーザーに暗証番号によって認証を行わせるものであり、ICカードリーダー34はユーザーにICカードによって認証を行わせるものである。また、起動ボタン35は、認証操作を終えたユーザーがパレット5の呼び出しを行うスイッチであり、閉扉ボタン36はユーザーが入出庫扉11を閉じるためのスイッチである。 【0031】 このように構成された機械式立体駐車場1にユーザーが車両を入庫させる時の手順は次の通りである。 まず、図3に示すように、車両2を入出庫扉11の前(ターンテーブル9の上)に停車させ、同乗者を降車させ、ドアミラーを畳み、アンテナを下げる。次に、図4に示すように、ユーザー(車両のドライバー)は、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行う。この第1の認証操作に基づき、主制御部17の認証照合部21において、ユーザーが機械式立体駐車場1の正式な契約者であるか否かの判定が行われる。仮に非契約者が認証操作を行っても、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。 【0032】 この第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われる。この機械式立体駐車場1では、例えば図示しないICカードが暗証記号媒体として用いられており、ユーザーはICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させる。 【0033】 第1の認証操作でユーザーが正式な契約者であると認証されると、表示画面31と音声スピーカ32によってユーザーに起動ボタン35を押すように指示がなされる。ユーザーは起動ボタン35を押して再び車両に乗り込む。主制御部17は、ユーザーの認証内容によって入庫か出庫かを見分け、起動ボタン35が押されると同時に図2に示すパレット駆動機構25を起動させて空のパレット5を入出庫口3の位置に搬送させる。空のパレット5が到着すると、入出庫扉開閉制御部18と入出庫扉開閉機構22が自動的に入出庫扉11を開扉させ、同時に入出庫口3の上方に設けられた入庫管制灯38が赤から青に変わる。 【0034】 次に、ユーザーは、図5に示すように車両を前進させて入出庫口3に進入し、パレット5上の規定位置に車両を停車させる。図6に示すように、パレット5の前方となる壁面には電光板39が設けられており、この電光板39には、「前進」、「停車」、「後退」といった表示ランプ41,42,43と、各種の注意事項が記載された注意表示部44,45が設けられている。ユーザーは、電光板の「前進」の表示ランプ41が「停車」の表示ランプ42に切り替わるまで車両を前進させて停車する。前に進み過ぎた場合は「後退」の表示ランプ43が点灯するため、ユーザーは「後退」の表示ランプ43が「停車」の表示ランプ42に切り替わるまで車両を後退させて位置を調整する。 【0035】 車両をパレット5の規定位置に停車させたら、ユーザーはパーキングブレーキを掛けてエンジンを停止させ、ドアミラーが畳まれているか、アンテナが下がっているか、ドアや窓が開いていないか、貴重品が残ってないか等を確認し、図7に示すように降車してキーロックを掛ける。ここで、例えば車両がバッテリーの充電を要する電動車両であり、パレット5に充電用の充電用コンセントが設置されている場合には、ユーザーは充電用コンセントと、車体側に設けられた充電口との間を充電ケーブルで接続する作業を行い、図示しない操作部を操作して充電を開始させる。 【0036】 次に、ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、図8に示すように再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行う。第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作である。この第2の認証操作では、第1の認証操作を行ったユーザーと、第2の認証操作を行ったユーザーとが同一人物であるか否かの判定が行われる。仮に第2の認証操作を行ったユーザーが第1の認証操作を行ったユーザーと異なる場合、例えば第1のユーザーが車庫装置4の中に居る時に次のユーザーが訪れて第1の認証操作を行った場合には、第1の認証操作と第2の認証操作の認証情報が一致しないため、表示画面31と音声スピーカ32によりエラー表示がなされ、機械式立体駐車場1は動作しない。このため、前のユーザーがまだ車庫装置4の中に居る状態で入出庫扉11が閉じられてパレット駆動機構25が起動してしまうことが防止される。 【0037】 第2の認証操作において、主制御部17の認証照合部21が第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定すると、表示画面31と音声スピーカ32により、ユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされる。これに従いユーザーは車庫装置4内に人が残っていないかどうかを確認してから閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じる。 【0038】 操作盤12は入出庫口3の近傍に設けられていて、ここから車庫装置4の内部を目視可能であるため、ユーザーは庫内の安全確認をたやすく行うことができる。そして、入出庫扉11を閉じたユーザーは機械式立体駐車場1から立ち去ることができる。」 イ 文献1に記載された発明の認定 文献1には、上記アを踏まえると、次の発明(以下、「文献1方法発明」という。)が記載されていると認められる。 「機械式立体駐車場1の制御方法であって、 機械式立体駐車場1は、塔状の車庫装置(駐車塔)4内に複数のパレット5(車体搬送手段)が収容され、入出庫口3には、車両の入出庫時にのみユーザーの操作によって開扉される入出庫扉11が設けられ、車庫装置4の外部に操作盤12が設けられ、操作盤12には、表示画面31と、音声スピーカ32と、テンキー操作部33と、ICカードリーダー34と、起動ボタン35と、閉扉ボタン36等が設けられており、 機械式立体駐車場1の制御系統15は、制御装置16を有し、制御装置16には主制御部17と、この主制御部17に統括制御される入出庫扉開閉制御部18およびパレット駆動制御部19が含まれ、また主制御部17には認証照合部21が含まれており、 ユーザーが車両を入庫させる時には、 ユーザーは、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行い、第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体であるICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させることによって行われ、 第1の認証操作でユーザーが正式な契約者であると認証されると、起動ボタン35を押すように指示がなされ、起動ボタン35が押されると、パレット駆動機構25を起動させて空のパレット5を入出庫口3の位置に搬送させ、空のパレット5が到着すると、入出庫扉開閉制御部18と入出庫扉開閉機構22が自動的に入出庫扉11を開扉させ、 車両をパレット5の規定位置に停車させたら、ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行い、第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作であり、 第2の認証操作において、主制御部17の認証照合部21が第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定すると、表示画面31と音声スピーカ32により、ユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされ、これに従いユーザーは車庫装置4内に人が残っていないかどうかを確認してから、閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じる、 機械式立体駐車場1の制御方法。」 また文献1には、次の発明(以下、「文献1装置発明」という。)も、記載されていると認められる。 「文献1方法発明の制御方法を実行する、制御系統15及び制御装置16を有する、機械式立体駐車場1の車庫装置4。」 (2)文献2 ア 文献2の記載 文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア) 「【0012】 駐車装置1は、車両を搭載するパレットを12体備え、最大12台の車両を駐車することができる装置である。駐車装置1は後述する利用者の操作に従って、当該利用者の利用に係るパレットを地上面Gの位置へ移動させ、ゲート21を開いて、当該パレットから地上面Gへ矢印A1方向に車両を出庫させ、或いは地上面Gから当該パレットへ矢印A2方向に車両を入庫させることが可能である。駐車装置1は、ゲート21が閉ざされた状態で利用者を待機するようになっており、安全上の観点からこのゲート21が閉ざされた状態が駐車装置1の待機状態として定められている。」 (イ) 「【0023】 また、この駐車装置1には、駐車装置1の稼働時における安全性を向上させるために、駐車装置1内への人の進入を防止し、また、地下への人などの転落を防止するために、車両入出庫口Q1にゲート21が設けられている。このゲート21は、車両入出庫口Q1を閉じる閉位置22aと、車両入出庫口Q1を開く開位置22bとの間を移動(昇降)可能に設けられている。ゲート21を移動させる昇降機構は、それ自体公知のものであり、チェーン、駆動モータ等を含んでいる。ゲート21の開位置22bの高さには、支柱5に固定されたリミットスイッチ24が設けられている。リミットスイッチ24は、ゲート21に接触することでゲート21が開位置22bへの移動したことを検知する検知手段として機能する。 【0024】 正面の支柱5には、利用者が操作を行う操作盤23が配設されている。操作盤23は、図3に示すように、カード読取部25、警告灯27、表示部29、指示入力部31、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34等を含んでいる。カード読取部(情報読取手段)25は、例えば、外部情報記憶媒体としてのICカード91(後述する)が近づくことにより、ICカード91を検出し、ICカード91との間で電波の授受によってICカード91に記憶された情報を読み込む、いわゆる非接触型のICカード読取装置が用いられる。カード読取部25は、ICカード91が通信可能な所定の距離範囲内に存在する場合にはICカード91を検出した旨の電気信号を統括制御部37(後述する)へ送信する。表示部29は、表示制御部49に制御され、ICカード91から読み込んだ情報の中のパレット番号や駐車装置1の動作状態等を表示する。警告灯27は、所定の場合に点灯又は点滅することによって動作状態を周囲に表示する。非常停止ボタン33は、例えば非常の際に利用者に操作されることによって駐車装置1の動作を停止させる。指示入力部31はテンキーを含む入力装置であり、利用者の指示が必要な所定の場合に、利用者による入力を受け付ける。ロック解除ボタン34は、駐車装置1が操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除する。操作ロック状態とは、利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないように、操作盤23による利用者の操作が受け付けられなくなる状態である。操作ロック状態においては、操作盤23からの入力に関わらず各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される。 【0025】 駐車装置1の背面には、各パレットを駆動するためのパレット駆動モータ、ゲート21を駆動するゲート駆動モータ、及び操作盤23の動作等を制御するための制御盤35が、地上面G上に臨んだ状態で配設されている。 【0026】 図4は、駐車装置1の制御構成を示すブロック図である。制御盤35は、たとえばROM及びRAMを含む制御用CPU(図示せず)等を有している。制御用CPUは、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行うことにより、図4に示されるように、統括制御部37、諸元データ記憶部41、通信制御部43、入力制御部47、表示制御部49、モータ制御部50等を含むように構成されることになる。」 (ウ) 「【0029】 ICカード91としては、例えば、いわゆる非接触型ICカードが用いられる。ICカード91はデータ記憶部93及び通信部95を有している。ICカード91は通常、駐車装置1の利用者に保持されており、データ記憶部93には所望のパレットに関する情報としてパレット番号が記憶されている。本実施形態では、データ記憶部93にはパレット番号の他、利用者IDも記憶されている。利用者IDとは、駐車装置1を利用する利用者を識別するためのIDデータであり、利用者毎に固有の情報である。パレット番号とは、当該ICカード91を保持する利用者が利用するパレットに関する情報であって、当該利用者が何れのパレットを利用するか(例えば、1番?12番)を示すデータである。このパレット番号は、駐車装置1の各パレットに採番されたパレット番号に対応して記憶されている。通信部95はカード読取部25との間での情報の通信を行う。データ記憶部93に記憶された情報は通信部95を介して駐車装置1側へと伝達される。」 (エ) 「【0032】 図5は、駐車装置1における車両の入出庫処理のフロー図である。本図を参照しながら、駐車装置1の入出庫処理及び利用者の動作について説明する。 【0033】 まず、車両を入出庫しようとする利用者は、駐車装置1のカード読取部25にICカード91を接触させる。待機状態(S202)にあった駐車装置1では、カード読取部25でICカード91が検出されて(S204)、電源が入り、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれる(S206)。そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされる(S208)。この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認される。このとき、読み込まれた利用者ID又はパレット番号が不当であると判断された場合は、ICカード91が正当なカードではなく、カードの保持者に駐車装置1の操作の権限がないものとみなして、処理はS202の待機状態へ戻る。 【0034】 S208において、ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始される(S216)。このパレットの移動は、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレット(所望のパレット)を下段駐車領域T1の着床位置P1(入出庫位置)へ移動させるべく、あらかじめ定められた順序で行われる。このとき、着床位置P1に移動させるべきパレットは複数ある下段駐車領域T1のうち、何れの着床位置P1へ移動されてもよい。なお、このパレット移動中には、ICカード91から読み込まれた利用者ID、パレット番号、及び所定のメッセージ等が表示部29に表示されてもよい。上記パレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動される(S218)。そして、リミットスイッチ24によってゲート21が完全に開いたことが検知された後(S222)、駐車装置1は操作ロック状態とされ(S224)、ロック解除ボタン34が操作されるまで待機される(S226)。 【0035】 このように、駐車装置1は、ICカード91に記憶されたパレット番号をカード読取部25で読み取ることができ、統括制御部37はパレット番号のキー入力等を利用者へ要求することなく、着床位置P1へ移動させるべきパレット番号を直接認識することができる。よって、車両を入出庫しようとする利用者は、ICカード91をカード読取部25に接触させる動作のみで、所望のパレットを着床位置P1へ移動し、ゲート21を開き、操作ロックを行うという一連の入出庫の準備を自動的に行わせることができる。 【0036】 その後、駐車装置1が操作ロック状態にある間に、利用者は、着床位置P1のパレットに車両Cを入庫、或いは着床位置P1のパレットから車両Cを出庫する。車両Cを入庫する場合にあっては、利用者は、着床位置P1に移動したパレットへ車両Cごと進入し、その後車両Cを降りて駐車装置1から離れる。また、車両Cを出庫する場合にあっては、利用者は、駐車装置1内へ進入し、着床位置P1に移動したパレット上にある車両Cに搭乗し、車両Cごと駐車装置1から出る。 【0037】 このような入出庫が行われている最中に、パレット11等やゲート21が誤って動いてしまうと危険であるので、上記のように自動的に駐車装置1を操作ロック状態にすることとしている。この操作ロックによって、車両の入出庫時にパレット11等やゲート21の移動が禁止されるように制御されるので、利用者が安全に車両の入出庫を行うことができる。なお、操作ロック状態にある間は、その旨を利用者に確認させるため、表示部29に操作ロック状態である旨が表示されてもよく、警告灯27を点灯させる等の動作がされてもよい。 【0038】 続いて、車両の入出庫を終えた利用者は、操作盤23のロック解除ボタン34の操作(例えば、ボタンの押下)を行う。駐車装置1ではロック解除ボタン34の操作が検出され(S226)、操作ロック状態が解除される(S228)。このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。 【0039】 操作ロック状態の解除の後、利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させる。駐車装置1では、検出されたICカードが、先のS204に用いられたカードと同じであることが確認され(S232)、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S234)。そして、ゲート21が閉じ切った後(S236)には、入出庫が終了した旨のメッセージが表示部29に表示され(S238)、電源が切られて待機状態(S202)へ戻る。なお、ゲート21が閉じきった後(S236の後)に、ICカード91を再びカード読取部25に接触させることを要求する処理を加えてもよい。このようにすれば、ゲート21が閉じきる前に利用者が立ち去ることを抑制することができるので、安全性を高めることができる。また、このとき、ICカード91が接触されなかった場合には、利用者が安全確認を怠ったことへのペナルティとして、当該利用者のICカード91を次回から使用不可能とする処理をしてもよい。」 イ 文献2に記載された発明の認定 文献2には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献2方法発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両を搭載するパレットを備え、車両入出庫口Q1にゲート21が設けられ、正面の支柱5には、利用者が操作を行う操作盤23が配設されている、駐車装置1において、 操作盤23は、カード読取部25、警告灯27、表示部29、利用者の指示が必要な所定の場合に利用者による入力を受け付けるテンキーを含む指示入力部31、非常停止ボタン33、ロック解除ボタン34等を含んでおり、 ロック解除ボタン34は、利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないよう、駐車装置1が各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除するものであり、 駐車装置1の制御盤35は、ROMに記憶された制御プログラムを読み出して制御を行い、 車両の入出庫処理においては、 車両を入出庫しようとする利用者が、駐車装置1のカード読取部25に、データ記憶部93及び通信部95を有するICカード91を接触させると、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ、諸元データ記憶部41に記憶されたデータとの比較が行われ、 ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始され、パレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され、ゲート21が完全に開いた後、駐車装置1はロック解除ボタン34が操作されるまで操作ロック状態とされ、 駐車装置1が操作ロック状態にある間に、利用者は、車両Cを入庫する場合にあっては、着床位置P1に移動したパレットへ車両Cごと進入し、その後車両Cを降りて駐車装置1から離れ、車両Cを出庫する場合にあっては、駐車装置1内へ進入し、車両Cに搭乗して駐車装置1から出、 続いて、車両の入出庫を終えた利用者が、操作盤23のロック解除ボタン34の操作を行うと、操作ロック状態が解除され、このようにロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができ、 操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される、 入出庫処理の制御方法。」 また文献2には、次の発明(以下、「文献2装置発明」という。)も、記載されていると認められる。 「文献2方法発明の制御方法を実行する、制御盤35を有する、駐車装置1。」 (3)文献3 ア 文献3の記載 文献3には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア) 「【0001】 本発明は、機械式駐車場設備に係り、特に車両の入出庫操作時に、その入出庫操作を行う操作者の認証が行われる機械式駐車場設備の制御装置、これを備えた機械式駐車場設備、および機械式駐車場設備の制御方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 オフィスビルやマンション等に併設されている機械式駐車場設備(立体駐車場)では、契約利用者のみが使用するため、予め各利用者に暗証番号を付与しておき、各利用者が車両を入出庫させる際には、各自で操作盤に暗証番号を入力することによって、車体搬送手段(パレット、リフト等)の呼び出しと、入出庫扉の開閉操作を行っている。 【0003】 また、マンション等の集合住宅と、店舗や娯楽設備等の商業施設とが一体化された建造物等に併設されている機械式駐車場設備においては、集合住宅の住人のように駐車場を月極め等で賃貸されている契約利用者と、商業施設を利用しに来た一時利用者とが混在することになる。 このような機械式駐車場設備においては、契約利用者は各自で入出庫操作を行い、一時利用者の入出庫操作(パレットの呼び出しや入出庫扉の開閉操作)は駐車場管理者が代行するようになっているものが多い。 【0004】 特許文献1には、このように契約利用者と一時利用者とが共用する機械式駐車場設備において、契約利用者が操作する操作盤と、一時利用者の入出庫操作を代行する駐車場管理者が操作する操作盤とを、契約利用者または駐車場管理者が運転切り替えスイッチを手動操作して切り替えるようにした機械式駐車場設備の操作盤が記載されている。例えば契約利用者は、運転切り替えスイッチを操作して操作盤を暗証番号の入力ができる暗証番号入力方式に切り替え、自身で暗証番号を入力して認証を行い、車両の入出庫操作を行う。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0005】 【特許文献1】特開2004-60365号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 従来の機械式駐車場設備において、契約利用者は、上記のように各自で認証操作を行う必要があり、操作盤に暗証番号を入力する作業が煩わしかった。 【0007】 また、特許文献1に記載されている機械式駐車場設備においては、契約利用者が誤って駐車場管理者用の操作盤を操作してしまうことがあり、駐車場の運用に支障を来す場合があった。 【0008】 さらに、契約利用者または駐車場管理者が認証された後、何らかの事情によりその場を立ち去ってしまった場合(例えば契約利用者が忘れ物を取りに自宅に戻った場合等)に、その後で他の利用者や部外者が認証無しで入出庫扉を開閉したり、車両搬送機を起動させたりすることができ、保安上好ましくなかった。 【0009】 あるいは、契約利用者または駐車場管理者が入出庫操作を行っている最中に、何らかの事情により操作盤の前から離れた場合(例えば電動車両の充電作業のために乗入室の中に入っている時等)に、他の利用者が来場して操作盤を操作してしまい、入出庫扉を閉じて車両搬送機を起動させる可能性がある。そうなると、予期しない動作により、機械式駐車場設備の安全性が損なわれる懸念があり、駐車場の運行にも支障を来す。 【0010】 本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、認証を容易にして利便性を高めるとともに、初回の認証から入出庫扉が開かれて入出庫が行われ、最後に入出庫扉が閉じられるまで、終始一貫して同一操作者により操作がなされるようにし、保安性および運用性を高めることができる機械式駐車場設備の制御装置、これを備えた機械式駐車場設備、および機械式駐車場設備の制御方法を提供することを目的とする。」 (イ) 「【0029】 立体駐車場1は、複数の車両2を収容可能なタワー型の駐車塔3を備えている。駐車塔3の一階部分には車両2を入出庫させる入出庫口4が設けられており、その外側上部に雨よけの庇5が設けられている。入出庫口4にはスライド式の入出庫扉4aが設けられている。」 (ウ) 「【0036】 図2は、乗入室7を示す斜視透視図である。外側から見て、入出庫口4に向かって左側に非常用出入口20があり、入出庫口4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。また、入出庫口4に向かって右側に操作盤22が設けられている。この操作盤22は、立体駐車場1の利用者が各自操作するものであり、図1および図5に示すように、庇5の下に設けられて風雨から保護されている。」 (エ) 「【0038】 さらに、図1、図2および図5に示すように、乗入室7の内部等に、この立体駐車場1の全体の制御を行う主制御部30が設置されている。主制御部30は、入出庫口4、ターンテーブル8、リフト14等による一連の入出庫動作を実行する装置であり、操作盤22が接続されていて、後述するように操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行する。 【0039】 図3および図4に示すように、操作盤22は、手前側に開口する筐体33と、この筐体33の開口部を覆う開閉可能な蓋34とを備えており、筐体33の内部には、例えばタッチパネル式の液晶画面である操作画面35と、認証用のICカードリーダー36、非常停止ボタン37等が配置されている。操作画面35を使用しない時には、蓋34を閉じることで操作画面35を外部から覆い、風雨から保護するとともに、部外者による悪戯等を防止する。」 (オ) 「【0059】 [入出庫制御の第1実施形態] 制御装置50における主制御部30の演算処理部30aは、契約利用者(操作者)が操作盤22を操作するのに先立ち、アンテナ43が取得した認証情報によって契約利用者の初回認証を自動的に行い、この初回認証が成功した時にのみ操作盤22のタッチパネル式の操作画面35を操作可能にする制御を行う。この制御の流れを、図7?図12を参照しながら説明する。 【0060】 まず、演算処理部30aは、前述したように操作盤22の蓋34が開錠されると、操作画面35に図7に示す認証画面を表示し、契約利用者に認証ボタン51をタッチさせる。この認証ボタン51がタッチされると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われる。 【0061】 そして、この初回認証が成功すると、立体駐車場1の中に当該契約利用者の車両が収容されているか否かによって入庫なのか出庫なのかが判定され、入庫の場合には図8に示す入庫確認画面が表示される。また、出庫の場合には図示しない出庫確認画面が表示される。以下では入庫の場合について説明する。 【0062】 演算処理部30aは、初回認証が成功して操作画面35に図8の入庫確認画面を表示した後、所定時間(例えば10秒間)が経過しても操作画面35の操作がなされない場合には、操作画面35の表示を認証前の画面、つまり図7の認証画面に戻すようになっている。これにより、例えば初回認証を受けた契約利用者が忘れ物を取りに自宅に戻ってしまったとしても、10秒後に操作画面35が認証画面に戻されるため、その後で他の利用者や部外者が認証無しで入出庫扉4aを開閉操作することはできない。 【0063】 さて、図8の入庫確認画面には、契約者の番号、車種と、「入庫しますか?」という案内、および「はい」、「いいえ」というボタン53,54が表示される。契約利用者が「はい」のボタン53にタッチすると、図9に示す待機指示画面に変わり、空きパレット18が乗入室7に到着するまでのカウントダウン等が表示される。 【0064】 空きパレット18が乗入室7に到着すると、図10に示す入庫指示画面が表示されるとともに、入出庫扉4aが開く。契約利用者は車両2を運転して乗入室7に乗り入れる。車両2が乗入室7の定位置に停車すると、操作画面35の表示が図11に示す安全確認指示画面に変わり、「場内の安全を確認し、確認ボタンを押して下さい」という案内と、確認ボタン56が表示される。契約利用者は車両2のアンテナが格納されているか、ドアミラーが畳まれているか、ドアが開いていないか、エンジンが停止しているか、車体がパレットからはみ出していないか、等を一通り確認し、異常が無ければ確認ボタン56にタッチする。 【0065】 すると、図12に示す閉扉操作画面に変わり、「場内の無人を確認し、扉を閉めて下さい」という案内と、閉扉ボタン57が表示される。契約利用者は、場内の無人を再度確認してから閉扉ボタン57にタッチして入出庫扉4aを閉める。これで入庫操作が完了する。なお、出庫の場合は、図8?図12中に表示されている「入庫」の文字が「出庫」となる。」 (カ) 「【0075】 ところで、制御装置50(演算処理部30a)は、契約利用者が入出庫扉4aを閉扉操作する際に、当該契約利用者の再認証を行い、その認証結果と、初回認証時における認証結果とが一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉を許可する制御を実行するようになっている。 【0076】 この制御の流れを図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。このフローチャートにおいて、各制御ステップには符号S21,S22,S23…を付してある。 【0077】 この制御のスタート後、契約利用者が図12に示す閉扉ボタン57にタッチすると(S21)、契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され(S22)、認証情報の取得が成功したか否かが判定される(S23)。 【0078】 認証情報の取得に失敗した場合(S23→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、認証情報の取得に成功した場合(S23→YES)には、取得された認証情報が主制御部30に送られ、データベースに記憶されているユーザー登録情報と照合される(S25)。 【0079】 次に、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報であるか否かが判定される(S26)。データベースに記憶されている契約利用者の認証情報ではない場合(S26→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。 【0080】 また、取得した認証情報がデータベースに記憶されている契約利用者の認証情報である場合(S26→YES)には、この認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定される(S27)。取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致しない場合(S27→NO)には、入出庫扉4aの閉扉が不許可になる(S24)。また、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合(S27→YES)には、入出庫扉4aの閉扉が許可され(S28)、制御が終了する。 【0081】 このように、入出庫扉4aが閉じられる前に、この閉扉操作を行っている契約利用者の再認証が行われ、この再認証の結果が初回認証の結果と一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉が許可されるため、例えば初回認証を受けた契約利用者が操作盤22から離れた時(乗入室7の中に入った時等)に、認証を受けていない他の利用者が操作盤22を操作して入出庫扉4aを閉じてしまうことが規制される。 【0082】 したがって、初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで、終始一貫して同一の契約利用者のみが操作を許可され、これによって立体駐車場1の保安性および運用性を高めることができる。」 (キ) 図4には、次の図示がある。 イ 文献3に記載された発明の認定 文献3には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献3方法発明」という。)が記載されていると認められる。 「立体駐車場1の制御方法であって、 従来の立体駐車場では、利用者が操作盤に暗証番号を入力する作業が煩わしいという問題点、及び、利用者が認証された後に操作盤の前から離れた場合に、他の利用者や部外者が入出庫扉を閉じる可能性があり、安全性が損なわれる懸念があるという問題点を解決するために、 立体駐車場1は、車両2を入出庫させる入出庫口4が設けられ、その外側上部に雨よけの庇5が設けられ、庇5の下に風雨から保護されて立体駐車場1の利用者が各自操作する操作盤22が設けられ、入出庫口4にはスライド式の入出庫扉4aが設けられており、 操作盤22には、タッチパネル式の液晶画面である操作画面35と、認証用のICカードリーダー36、非常停止ボタン37等が配置されており、 立体駐車場1の全体の制御を行う主制御部30が設置され、主制御部30は操作盤22と情報を交換しながら入出庫操作を実行し、 制御の流れとして、 契約利用者が操作盤22の認証ボタン51にタッチすると、契約利用者が所持する携帯認証媒体41から発信されている認証情報を元に契約利用者の初回認証が自動的に行われ、この初回認証が成功すると、入庫なのか出庫なのかが判定され、 入庫の場合には、空きパレット18が乗入室7に到着すると、入出庫扉4aが開き、 契約利用者が車両2を乗り入れて乗入室7の定位置に停車すると、「場内の安全を確認し、確認ボタンを押して下さい」という案内と、操作盤22の操作画面35に確認ボタン56が表示され、契約利用者は一通りの確認をし、 契約利用者が確認ボタン56にタッチすると、「場内の無人を確認し、扉を閉めて下さい」という案内と、操作盤22の操作画面35に閉扉ボタン57が表示され、契約利用者は場内の無人を再度確認してから閉扉ボタン57にタッチし、 制御装置50(演算処理部30a)は、契約利用者が入出庫扉4aを閉扉操作する際に、当該契約利用者の再認証を行い、その認証結果と初回認証時における認証結果とが一致した場合にのみ入出庫扉4aの閉扉を許可する制御を実行するようになっており、 契約利用者が操作盤22の閉扉ボタン57にタッチすると、契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合には、入出庫扉4aの閉扉が許可され、制御が終了することで、 初回認証を受けた契約利用者が操作盤22から離れた時(乗入室7の中に入った時等)に、認証を受けていない他の利用者が操作盤22を操作して入出庫扉4aを閉じてしまうことを規制するとともに、初回の認証から最後に入出庫扉4aが閉じられるまで、終始一貫して同一の契約利用者のみが操作を許可され、これによって立体駐車場1の保安性および運用性を高めることができる、 制御方法。」 また文献3には、次の発明(以下、「文献3装置発明」という。)も、記載されていると認められる。 「文献3方法発明の制御方法を実行する、主制御部30を有する、立体駐車場1。」 (4)文献4 ア 文献4の記載 文献4には、図面と共に次の事項が記載されている。 「【0022】図3に示すように、駐車設備10の入出庫口21の扉22の近傍には制御装置23が設置されている。この制御装置23は、上記リモコン1から発信された赤外線パルス信号を受信するための受信器24と、扉22の開閉やパレットの搬送の指示を手動によって行うための運転操作盤25と、利用者による駐車設備の運転操作の案内をするための表示部26とを備えている。また、この制御装置23は、入出庫しようとする車両Mが入出庫口を入出したか否かを検出するためのセンサ27、上記扉22を開閉するための図示しないモータ、エレベータ等のパレット搬送装置の図示しない駆動機等の制御対象に接続されている。 【0023】リモコン1によって駐車設備10の運転操作を行う場合は、利用者がまずリモコン1の「スタート」入力部2のボタンを操作して、利用者IDが付加されたスタート信号を受信器24に向けて発信する。制御装置23においては、予め設定されている複数の利用者IDと上記発信された利用者IDとが照合され、一致するものがあれば当該駐車設備の契約者による操作であるとみなされる。そして、その利用者が駐車設備に未入庫であれば空パレットを呼び出し、入庫済みであればその入庫したパレットを呼び出す。呼び出されたパレットが入出庫階に到着すれば自動的に入出庫口の扉が開き、利用者は入庫時であれば車両を当該パレット上に進入させ、また、出庫時であれば当該パレットから車両を退出させる。車両の進入および退出はセンサ27によって判定される。 【0024】ついで、退出した車両の利用者がリモコン1によって「扉閉」入力部3のボタン操作により、利用者IDが付加された扉閉信号を受信器24に向けて発信することで、上記と同様に予め設定されている複数の利用者IDと今回発信された利用者IDとが照合される。さらには、前回スタート操作時に受け付けられた利用者IDとも照合され、全てが一致すれば扉開閉用のモータが作動して扉が閉まる。ここで、車両が退出したのではなく進入した場合には同乗者の降り残しという事態が発生する可能性があるため、センサ27との組み合わせの判定によってリモコンの扉閉操作を無効にするようにしても良い。」 イ 文献4に記載された発明の認定 文献4には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献4発明」という。)が記載されていると認められる。 「入出庫口21の扉22の近傍に制御装置23が設置された、駐車設備10の制御方法であり、 制御装置23は、リモコン1から発信された赤外線パルス信号を受信するための受信器24と、扉22の開閉やパレットの搬送の指示を手動によって行うための運転操作盤25とを備え、 リモコン1によって駐車設備10の運転操作を行う場合は、利用者がまずリモコン1の「スタート」入力部2のボタンを操作すると、利用者IDが付加されたスタート信号が受信器24に向けて発信され、発信された利用者IDと予め設定されている複数の利用者IDとが照合され、 退出した車両の利用者がリモコン1によって「扉閉」入力部3のボタンを操作すると、利用者IDが付加された扉閉信号が受信器24に向けて発信され、今回発信された利用者ID、予め設定されている複数の利用者ID、さらには前回スタート操作時に受け付けられた利用者IDとが照合され、全てが一致すれば扉開閉用のモータが作動して扉が閉まる、 制御方法。」 (5)文献5 ア 文献5の記載 文献5には、図面と共に次の事項が記載されている。 「【0032】 図5は、制御盤35における車両の入出庫処理のフロー図である。図5を参照し、駐車装置1の入出庫処理について説明する。 【0033】 まず、S202の待機状態において、カード読取部25でICカード91が検出されたら(S204)、駐車装置1の電源を入れ、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれる(S206)。そして、諸元データ記憶部41に記憶されたデータと読み込まれた利用者ID及びパレット番号との比較が行われ、ICカード91の正当性がチェックされる(S208)。この正当性チェックでは、例えば、利用者IDが正しいデータであるか否か、利用者に駐車装置1の操作の権限があるか否か、パレット番号が駐車装置1に存在するパレットか否かが確認される。読み込まれた利用者ID又はパレット番号が不当であると判断された場合は、ICカード91が正当なカードではなくカードの保持者に駐車装置1の操作の権限がないものとみなし、所定のエラー表示が表示部29に表示される(S212)。その後、カード読取部25にICカード91が検出されなくなったことが確認された後(S214)、処理はS202の待機状態へ戻る。 【0034】 S208において、ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、統括制御部37によって、着床位置P1へ移動させるべきパレットの番号が認識される。また、ICカード91から読み込まれた利用者ID、パレット番号、及び所定のメッセージが表示部29に表示される(S216)。そして、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットが移動される(S220)。このパレットの移動は、ICカード91から読み込まれたパレット番号に対応するパレット(所望のパレット)を下段駐車領域T1の着床位置P1(入出庫位置)へ移動させるべく、あらかじめ定められた順序で行われる。このとき、着床位置P1に移動させるべきパレットは複数ある下段駐車領域T1のうち、何れの着床位置P1へ移動されてもよい。 【0035】 上記パレットが着床位置P1へ移動されたら、ゲート駆動モータ63が駆動され、ゲート21が開かれる(S222)。ここで再度、カード読取部25にICカード91が検出されないことが確認された後(S224)、操作ロック状態とされ(S228)、待機される。操作ロック状態にある間は、その旨を利用者に確認させるため、表示部29に操作ロック状態である旨を表示してもよく、警告灯27を点灯させる等の動作をしてもよい。S224においてICカード91が検出される場合は表示部29にメッセージが表示され(S226)、検出されなくなるまで待機される。操作ロック状態とは、操作盤23による利用者の操作が受け付けられなくなる状態であり、操作盤23からの入力に関わらず各パレットの移動及びゲート21の昇降が禁止された状態である。操作ロック状態は、後述のS230において再び正当なICカード91がカード読取部25で検出されることによって解除される。利用者は、上記操作ロック状態にある間に、パレットへ車両を入庫し、或いはパレットから車両を出庫する。なお、この間、周囲の者に安全確認を促すべく、警告灯27が点滅する等の表示がされるようにしてもよい。 【0036】 この後、カード読取部25にICカード91が検出された場合は(S230)、S232の処理へ進む。S232では再びICカード91から利用者IDが読み込まれ、再びカードの正当性が確認される(S232)。このカードの正当性確認では、ここで読み込まれた利用者IDが、S206において読み取られた利用者IDと同一であるか否かが確認される。両者が同一でないと判断された場合には、他の者がICカードをカード読取部25に近づけたものとみなされ、駐車装置1が使用中である旨のメッセージが表示部29へ表示されて(S234)、処理はS230へ戻る。 【0037】 S232において利用者IDが同一であると判断された場合には、利用者が車両の搬入或いは搬出を終えたものとみなされ、操作ロック状態が解除される(S235)。すなわち、操作ロック状態はS206で読み取られたICカードと同一のカードを再びカード読取部25において検出した場合に解除される。操作ロック状態が解除されたら、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される(S236)。そして、S238においてカード読取部25にICカード91が検出され続けるか否かがチェックされると共に、カードの利用者IDがチェックされる。S238のチェックは、ゲート21が閉じ切った待機状態に復帰するまでの間、継続的に行われる。」 イ 文献5に記載された発明の認定 文献5には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献5発明」という。)が記載されていると認められる。 「制御盤35による、駐車装置1の入出庫処理の制御方法であって、 カード読取部25でICカード91が検出されたら、ICカード91の正当性がチェックされ、ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレットが移動され、パレットが着床位置P1へ移動されたらゲート21が開かれ、再度カード読取部25にICカード91が検出されないことが確認された後に操作ロック状態とされ、 操作ロック状態は、後に再び正当なICカード91がカード読取部25で検出されることによって解除され、 カード読取部25に再びICカード91から利用者IDが読み込まれると、再びカードの正当性が確認され、このカードの正当性確認では、ここで読み込まれた利用者IDが、先に読み取られた利用者IDと同一であるか否かが確認され、 利用者IDが同一であると判断された場合には、利用者が車両の搬入或いは搬出を終えたものとみなされて操作ロック状態が解除され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される、 制御方法。」 (6)文献6 ア 文献6の記載 文献6には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア) 「【請求項4】 出入口の側方に設けられた操作盤により機械式駐車装置が運転されるものにおいて、前記出入口に搬器が到着する度に装置内に設けられた表示装置が表示する内容と該操作盤から入力される入力内容とを比較することにより該装置内の安全確認を行う機械式駐車装置の安全確認方法。」 (イ) 「【0003】この機械式駐車装置には既に各種のものが提案され実際に実用に供されているが、一般的には駐車を希望する自動車が装置内に乗り入れるべき乗入部(出入口部)があって、ここに自動車を乗り入れ該自動車から運転者が退出したのち、操作する人(管理人あるいは利用者など)が安全確認を行ってから駐車装置の運転を開始し、複数の自動車を順次格納していくものである。」 (ウ) 「【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、管理人などが駐車装置内(塔内)の人の有無などを確認する場合は飽くまで目視で行うことになるため、駐車装置内を隅々まで見渡して確実に安全確認を行うかは偏に確認を行う人の態度にかかっており、常に安全を確保する方法としては甚だ心許ない。又、構造上自動車3の影に隠れるような死角がどうしてもできてしまい、特に通常操作盤5の付近に位置する管理人にとっては、いちいち出入口1の反操作盤側までいって駐車場内を覗き込む手間をついつい面倒がってしまい、安全確認を疎かにする虞れも考えられる。本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、安全確認を行う人がどのような人であっても間違いなく安全確認が行われる安全確認装置を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は 出入口の側方に操作盤が設けられ、該操作盤の操作により、装置内に配設された搬器が運転される機械式駐車装置において、操作盤からの死角領域には該搬器が出入口に到着する度に異なる表示を行う表示装置を設け、操作盤には表示装置の表示内容に対応する入力手段を備え、該表示内容に対応する入力手段が操作されれば搬器の運転が可能となる確認装置を設ける。 出入口の側方に設けられた操作盤により機械式駐車装置が運転されるものにおいて、出入口に搬器が到着する度に装置内に設けられた表示装置が表示する表示内容と該操作盤から入力される入力内容とを比較することにより装置内の安全確認を行う。 ものである。 【0009】 【作用】上述の如く構成すれば、駐車装置を運転操作する人に目視確認を徹底して行わせることになる。 【0010】 【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を用いて説明する。図1は本発明に係る確認装置を備えた駐車装置の平面図、図3は図1における操作盤の正面図、図4は安全確認装置のブロック図であり、図中図2と同一符号のものは同一のものを示す。 【0011】10は、安全確認を行う人の死角になりがちな塔内の奥に設けられた表示装置で、例えば各ケージ2が出入口1に到着する度に乱数を表示し乱数信号10aを出力する装置、20は出入口1の側方に設けられた操作盤で、入庫釦21と出庫釦22とテンキーボード23と2組みの数字をディジタル表示する表示器24などからなる。30は表示装置10の乱数信号10aと表示器24の出力信号24aを比較し一致していれば確認信号30aを出力して駐車装置の運転を可能にする比較装置である。 【0012】要するに、ケージ2内に自動車3が入庫されてケージ2を循環運転させるには、そのときに表示装置10により表示されている乱数と同じ数字をテンキーボード23を使って入力し表示器24に表示されない限り運転動作が不可能となるものである。 【0013】つまり、操作盤20を操作する管理人などは、駐車装置の運転に先だって必ず通常死角となる領域を自ら出入口1の反操作盤20から見渡すことにより人の有無をしっかり確認するとともに、その際表示装置10によって表示されている乱数を見て、それと同じ数字をテンキーボード23により入力して比較装置30から確認信号30aを出力させない限り駐車装置を運転させることはできない。 【0014】この表示装置10は乱数を表示する装置として説明したが、例えば赤色,青色,黄色などの色を表示する装置とし、操作盤20にはこの色に対応する釦をそれぞれ別に設けて、表示装置の色と操作盤の釦とが一致したときに確認信号を発するように構成することもでき、表示内容についてはいろいろな方法が考えられ実施例に限定されない。 【0015】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、駐車装置を運転操作する人が通常死角となる領域を自ら積極的に目視確認した後、操作盤を決められたルールに従って正確に操作しなければ運転ができないため、極めて安全な機械式駐車装置を得ることができる。」 イ 文献6に記載された発明の認定 文献6には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献6発明」という。)が記載されていると認められる。 「機械式駐車装置の安全確認方法であって、 駐車を希望する自動車が装置内に乗り入れるべき乗入部(出入口部)があって、ここに自動車を乗り入れ該自動車から運転者が退出したのち、操作する人(管理人あるいは利用者など)が安全確認を行ってから駐車装置の運転を開始し、複数の自動車を順次格納していく機械式駐車装置において、 安全確認を行う人がどのような人であっても間違いなく安全確認が行われることを目的とし、 安全確認を行う人の死角になりがちな塔内の奥に設けられた表示装置10に、例えば各ケージ2が出入口1に到着する度に乱数を表示し、 出入口1の側方に設けられた操作盤20を操作する管理人などは、駐車装置の運転に先だって必ず通常死角となる領域をしっかり確認するとともに、その際表示装置10によって表示されている乱数を見て、それと同じ数字をテンキーボード23により入力して、 比較装置30から一致を示す確認信号30aが出力されると、駐車装置の運転を可能とする、 安全確認方法。」 (7)文献7 ア 文献7の記載 文献7には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア) 「【0038】 以下に、本発明に係る機械式駐車装置及び機械式駐車装置の制御方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。 【0039】 〔第1実施形態〕 以下、本発明の第1実施形態について説明する。 【0040】 図1は、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10(立体駐車場)の外観図である。 【0041】 機械式駐車装置10は、車両12を乗入階14から入出庫させる。そして、機械式駐車装置10は、車両12を載置したパレット16を乗入階14と車両12を格納する格納庫18との間で昇降させる。なお、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の構成は、一例であり、乗入階14を格納庫18よりも上層とする等、他の構成であってもよい。 【0042】 乗入階14には、格納庫18へ搬送されるパレット16に車両12が載置され、車両12の運転者が車両12に乗降可能な乗降室20が設けられている。 【0043】 また、乗降室20(乗入階14)の外側には、機械式駐車装置10の操作盤22が設けられる。 操作盤22は、機械式駐車装置10の利用者が操作可能なように、例えば、スイッチ、タッチパネル、ICカード、リモコン装置等を介して各種操作(入庫又は出庫の指示等)の入力を受け付ける。また、操作盤22は、文字や画像等を表示する液晶ディスプレイ装置、表示ランプ等の表示装置、音声合成装置による音声、警報音を出すスピーカーによって、種々の情報を利用者のために提供する。 【0044】 図2は、乗降室20の構成を示した上面図である。 【0045】 車両12及び運転者等は、入出庫口30から乗降室20へ出入りする。入出庫口30には、入出庫扉32が設けられ、乗降室20の略中央には、車両12が載置されるパレット16が配置される。 【0046】 乗降室20内には、安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による安全確認の実施状態が入力される入力手段である確認ボタン34A,34Bが備えられる。確認ボタン34A,34Bは、人によって押圧されるボタン(押ボタン)である。 本第1実施形態では、確認ボタン34A,34Bは、パレット16(車両12)を挟んだ位置、図2の例では左右の壁面35に備えられる。より具体的には、図2の例では、右奥(車両12右側前方)の壁面35に確認ボタン34Aが備えられ、左手前(車両12左側後方)の壁面35に確認ボタン34Bが備えられる。 なお、以下の説明において、各確認ボタン34を区別する場合は、符号の末尾にA,Bの何れかを付し、各確認ボタン34を区別しない場合は、A,Bを省略する。」 (イ) 「【0054】 制御装置50は、パレット16等を駆動させるための各種モータ(不図示)を制御するモータ制御部60、入退室検知センサ36からの信号を受信するセンサ信号受信部62を備える。また、制御装置50は、確認ボタン34,40の押圧状態を判定し、確認ボタン34,40の明滅を制御するボタン制御部64を備えている。 【0055】 これらCPU52、ROM54、RAM56、HDD58、モータ制御部60、センサ信号受信部62、ボタン制御部64、及び操作盤22は、システムバス66を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU52は、ROM54、RAM56、及びHDD58へのアクセス、モータ制御部60を介したモータの駆動、センサ信号受信部62を介した乗降室20内への人の入退室状態の把握、ボタン制御部64を介した安全確認状態の把握、並びに操作盤22に対する操作状態の把握及び画像の表示等、を行える。 【0056】 次に、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10の作用について説明する。 【0057】 機械式駐車装置10へ車両12を入庫させる場合、運転者以外の同乗者及び荷物等は、乗降室20へ車両12を進入させる前に車両12から降ろされる。そして、車両12を乗降室20へ進入させてパレット16に載置した後、運転者は、パレット16を動作させる前に乗降室20内の安全確認を必要とする。 【0058】 乗降室20内の安全確認は、人の有無やパレット16の搬送の障害になる物の有無等の確認である。すなわち、車両12から降りた運転者が安全確認者として、乗降室20内における安全確認の実施位置へ移動する。そして、安全確認者が安全確認を実施した後に、確認ボタン34を押圧する。これにより、安全確認終了という安全確認の実施状態が確認ボタン34に入力されることとなる。 【0059】 乗降室20内の安全確認は、運転者が乗降室20内に居るものの(時には同乗者が車両内に居残る場合がある)確実な検知方法がない。このため、乗降室20内の安全確認は、人による確認が最も効果的な方法であると考えられる。本第1実施形態によれば、確認ボタン34が安全確認の実施位置の近辺に配置されるため、安全確認者は確認ボタン34の配置位置へ移動しなければならない。安全確認者は、確認ボタン34までの移動を行う過程において必然的に周囲を目視するので、それにより安全確認が行われることとなる。なお、安全確認者は、車両12の運転者に限らず、機械式駐車装置10の管理者等でもよい。」 (ウ) 「【0064】 図4は、安全確認処理を行う場合に、制御装置50によって実行される安全確認プログラムの流れを示すフローチャートである。安全確認プログラムは、HDD58の所定領域に予め記憶されている。 なお、安全確認プログラムは、車両12がパレット16に載置された後に、開始される。また、安全確認プログラムの開始と共に、確認ボタン34の明滅が開始される。また、最終確認ボタン40に対する操作は、安全確認プログラムの開始時には無効とされている。 【0065】 まず、ステップ100では、一つめの確認ボタン34、例えば確認ボタン34Aが押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定する。確認ボタン34Aへの押圧は、確認ボタン34A近辺での安全確認の実施終了の入力を確認ボタン34Aが受け付けたこととなる。肯定判定の場合はステップ101へ移行する。 確認ボタン34Aは、押圧されるまでは明滅しているが、押圧された後、消灯する。 【0066】 ステップ101では、入退室検知センサ36が乗降室20内への人の入室を検知したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ102へ移行する。 【0067】 ステップ102では、二つめの確認ボタン34、例えば確認ボタン34Bが押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定する。確認ボタン34Bへの押圧は、確認ボタン34B近辺での安全確認の実施終了の入力を確認ボタン34Bが受け付けたこととなる。肯定判定の場合はステップ103へ移行する。 確認ボタン34Bは、押圧されるまでは明滅しているが、押圧された後、消灯する。 【0068】 上述したように確認ボタン34A,34Bは、パレット16を挟んで配置されている。従って、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、安全確認者である運転者が車両12の片側だけでなく、反対側の安全確認も行うこととなるので、より確実に乗降室20内の安全性が確保される。 【0069】 ステップ103では、入退室検知センサ36が乗降室20内への人の入室を検知したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行し、否定判定の場合はステップ104へ移行する。 【0070】 ステップ104では、入退室検知センサ36の検知結果に基づいて、乗降室20から運転者が退室したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ106へ移行する。 【0071】 ステップ106では、操作盤22に備えられる最終確認ボタン40への操作を有効とする。 乗降室20へ入室した人の退室が検知された後に、最終確認ボタン40への操作が有効とされることで、例えば安全確認者が乗降室20から出る前に他者によって最終確認ボタン40が操作されても、パレット16の搬送が実行されることは無い。 従って、本第1実施形態に係る機械式駐車装置10は、より確実に乗降室20内の安全性が確保できる。 【0072】 次のステップ107では、入退室検知センサ36が乗降室20内への人の入室を検知したか否かを判定し、肯定判定の場合はステップ114へ移行し、否定判定の場合はステップ108へ移行する。 【0073】 ステップ108では、最終確認ボタン40が押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定し、肯定判定の場合はステップ110へ移行する。 【0074】 ステップ110では、機械式駐車装置10の動作が開始され、本安全確認処理が終了する。具体的には、入出庫扉32が閉じられ、車両12が載置されたパレット16が格納庫18へ搬送される。」 (エ) 「【0109】 また、上記各実施形態では、安全確認の実施状態が入力される入力手段を押ボタンとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、入力手段は押ボタンでなくてもよい。 例えば、入力手段を、機械式駐車装置10の契約者だけが使用し携帯が可能な、認証カード、認証タグ、リモコンといった専用の携帯認証媒体に記録されている認証情報を読み取る読取手段としてもよい。 【0110】 入力手段を携帯認証媒体とした場合、安全確認者が携帯認証媒体を読取手段にかざすことによって、読取手段が携帯認証媒体に記録されている認証情報を読み取る。この読み取りによって、安全確認の実施状態が入力されることとなる。なお、携帯認証媒体が、例えば、認証情報を電波として発信する場合は、安全確認者が携帯認証媒体を読取手段にかざすことなく、読取手段が上記電波を受信することによって、安全確認の実施状態が入力されてもよい。 このように、読取手段を入力手段とすることによって、携帯認証媒体を携帯している安全確認者以外は、安全確認の実施状態を入力できない。すなわち、不特定の人が入力手段を操作できないこととなり、乗降室20内の安全性がより確実に確保される。」 イ 文献7に記載された発明の認定 文献7には、上記アを踏まえると、次の発明(以下「文献7発明」という。)が記載されていると認められる。 「機械式駐車装置の制御方法において、 機械式駐車装置10の乗降室20(乗入階14)の外側には、操作盤22が設けられ、操作盤22は、機械式駐車装置10の利用者が操作可能なように、例えば、スイッチ、タッチパネル、ICカード、リモコン装置等を介して各種操作(入庫又は出庫の指示等)の入力を受け付け、 乗降室20内には、安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による安全確認の実施状態が入力される入力手段である確認ボタン34A,34Bが備えられ、 制御装置50は、モータ制御部60を介したモータの駆動、センサ信号受信部62を介した乗降室20内への人の入退室状態の把握、ボタン制御部64を介した安全確認状態の把握、並びに操作盤22に対する操作状態の把握及び画像の表示等、を行え、 機械式駐車装置10へ車両12を入庫させる場合、車両12を乗降室20へ進入させてパレット16に載置した後、車両12から降りた運転者が安全確認者として、乗降室20内における安全確認の実施位置へ移動し、安全確認を実施した後に確認ボタン34を押圧し、 制御装置50は、一つめの確認ボタン34A及び二つめの確認ボタン34Bが押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定し、入退室検知センサ36の検知結果に基づいて乗降室20から運転者が退室したか否かを判定した後、操作盤22に備えられる最終確認ボタン40への操作を有効とし、最終確認ボタン40が押圧されたか否かをボタン制御部64によって判定し、肯定判定の場合は入出庫扉32を閉じ、車両12が載置されたパレット16を格納庫18へ搬送する制御方法であって、 安全確認の実施状態を入力する入力手段として、押ボタンに代えて、機械式駐車装置10の契約者が携帯する認証カードの認証情報を読み取る読取手段とし、安全確認者が認証カードを読取手段にかざすことによって、安全確認の実施状態が入力されることとしてもよい、 制御方法。」 (8)文献8 ア 文献8の記載 文献8には、図面と共に次の事項が記載されている。 (ア) 「【0002】 駐車場(立体駐車場など)の管理システムにおいては、各駐車スペース(ケージ等)の契約者ごとに付与された暗証番号が予め登録されており、契約者が暗証番号をテンキー入力すること或いは暗証番号を記録した磁気カードを挿入することによって入出庫操作が行われることがある。例えば、特許文献1には、テナント方式の機械式駐車装置に関するシステムが示されている。」 (イ) 「【0030】 図3は、操作盤30の構成をより詳細に示す外観図である。 【0031】 操作盤30は、図3の左側部分に配置された主操作部30Aと、図3の右側部分に配置された副操作部30Bとを有している。主操作部30Aは、一の手法MAで入出庫を行う際に操作者によって用いられる操作部であり、副操作部30Bは、別の手法MBで入出庫を行う際に操作者によって用いられる操作部である。副操作部30Bは、主として来訪者が操作する操作部であり、この副操作部30Bによれば、簡便な操作での入出庫が可能である。 【0032】 ここにおいて、手法MAは暗証番号等を用いた認証動作を伴う手法である。ビルBLなどに入居しているテナント等(契約者)のオーナーおよび従業員等は、当該テナント等の関係車両を駐車する際に、主操作部30Aを用いた手法MAを用いて車両の入出庫を行う。 【0033】 一方、手法MBは、訪問先から出庫許可を得た場合にのみ出庫が可能となることを利用する手法であり、暗証番号を用いる必要が無いなどの特徴を有している。テナント等への訪問者は、テナント等の訪問先への来訪者の車両の車両を駐車する際に、副操作部30Bを主に用いた別の手法MBを用いて車両の入出庫を行う。なお、これらの各手法MA,MBを用いた入出庫動作については、後に詳述する。 【0034】 操作盤30のうち主操作部30Aは、様々な情報を表示する表示部と、暗証番号等を用いた入出庫操作を行うための入力部とを有している。 【0035】 具体的には、主操作部30Aは、現在車両が搭載されていないケージの数(すなわち空車台数)を表示する空車台数表示部31と、現在車両が搭載されているケージの数(すなわち実車台数)を表示する実車台数表示部32と、現在入出庫口19に存在するケージの番号を表示する入口番号表示部33と、入出庫対象として呼び出すケージの番号を表示する呼番号表示部34と、目的のケージを呼び出すまでの待ち時間を表示する待時間表示部35と、車両入庫中のケージ番号に対応する部分を点灯させることによって、車両がどのケージに入庫しているかを知ることができる実車表示ランプ36とを有している。また、主操作部30Aは、暗証番号入力等に用いられる数字キー等を含むテンキー37と、暗証番号を入力することを知らせるための暗証釦38と、空のケージを呼び出す空呼釦39と、駐車装置の駆動動作を開始させるためのスタート釦40とを備えている。さらに、主操作部30Aにおいては、アクリル板45で覆われた部分において、使用頻度が少ない釦類がまとめて設けられている。図4は、このアクリル板45の下側に配置された各種の釦類を示す図である。図4に示すように、制御電源のオンおよびオフを切り替えるメインスイッチ43等が設けられている。 【0036】 一方、副操作部30Bは、来訪者から当該来訪者の訪問先に関する指定入力を受け付ける機能を有している。具体的には、副操作部30Bは、店舗あるいは会社等の各訪問先VA?VDに対応付けて設けられた複数(ここでは4つ)の訪問先指定釦48A?48D(総称する場合は訪問先指定釦48)と、磁気カード11の出し入れの際に用いられるカード出入口49とを備えている。カード出入口49は、副操作部30Bに内蔵されたカードリーダ/ライタ8の一部として構成される。なお、操作盤30に内蔵されたカードリーダ/ライタ8は、手法MBによる入庫の際に駐車カード(磁気カード11)を発行するとともに、当該手法MBによる出庫の際にその駐車カードに記録された情報を読み出す機能等を有している。 【0037】 また、駐車場管理システム1Aは、さらに訪問先端末60(図1参照)を備えている。訪問先端末60は、来訪者の訪問先(テナント等(被訪問者))ごとに設置されている。各訪問先端末60は、カードリーダ/ライタ61を有している。後述するように、来訪者がその訪問先であるテナント等を訪れた際には、このカードリーダ/ライタ61によって来訪証明情報が磁気カード11に記録される。来訪者は、来訪証明情報が付与された磁気カード11を用いることによって、自己の車両を駐車装置10から出庫することが可能になる。 【0038】 また、図5は、駐車場管理システム1Aにおける各機能を示す機能ブロック図である。図5に示すように、駐車場管理システム1Aの制御装置50は、認証部51と、入庫制御部52と、出庫制御部53と、駐車情報管理部54と、駆動制御部55とを備えている。これらの各機能部51?55は、CPU2等を用いて上述の制御プログラムを実行することによって実現される。 【0039】 認証部51は、暗証番号による認証を行う処理部である。また、入庫制御部52は、来訪者に対する入庫許可を与えるか否かについての判定等を行う処理部であり、出庫制御部53は、来訪者に対する出庫許可を与えるか否かについての判定等を行う処理部である。さらに、駐車情報管理部54は、入庫中のケージ番号等の情報を管理する処理部である。駐車情報管理部54は、空ケージを検索する機能をも有している。駆動制御部55は、駐車装置10の駆動制御を行う処理部である。これらの各機能部による動作については以下で詳述する。」 (ウ) 「【0047】 個人契約者は、入庫に際して、まず暗証釦38を押下し、続いてテンキー37を用いて暗証番号を入力する。制御装置50(認証部51)は、暗証釦38の押下と暗証番号の入力を確認(図6、ステップS11,S12)するとともに、入力された暗証番号が登録されたものであるか否かを確認する(ステップS13)。暗証番号が正規のものであることが確認された場合のみ、次のステップS14に進む。」 (9)文献9 ア 文献9の記載 文献9は、文献1の特許公報の原出願の公開公報であり、明細書の段落【0002】、【0032】には、文献1の段落【0002】、【0032】と同じ記載がある。 (10)文献10 文献10には、「新駐車場法施行規則に規定される登録認証機関となりました 平成27年1月6日」と題された記事が記載されており、同記事中には「資料-2 認証基準」とのリンクが張られている。 (11)文献11 文献11は、文献10の上記(10)で示した「資料-2 認証基準」とのリンクのリンク先であり、表紙には「機械式駐車装置の安全機能に関する認証基準 平成26年12月5日 公益社団法人 立体駐車場工業会」との記載がある。 文献11の第1頁には、次の記載がある。 「はじめに この基準は、「機械式駐車装置の構造及び設備並びに安全機能に関する基準」(平成26年国土交通省告示第1191号)に規定された安全機能を満足させるために必要な具体的な要件を示したものである。」 また、文献11の第17頁には次の記載がある。 「8.4.4.3 出入口扉の操作 a)出入口扉の閉操作は、次のいずれかの方法を用いる。 1)操作盤からの単独動作の操作。 2)前庭に停車した出庫自動車の車内から、操作認証機能と非常停止ボタンを有するリモコンを用い、乗降領域内に人がいないことを監視モニタで確認して無人確認入力器の入力を行った後に、出入口扉を閉操作する。 b)出入口扉の開操作は、単独動作に加え、自動制御を用いてもよい。」 第6 対比・判断 1 本件訂正発明1について (1)文献1方法発明との対比 文献1方法発明における「車庫装置4」は、本件訂正発明1における「駐車装置」に相当し、文献1方法発明における「車庫装置4の外部」の「操作盤12」は、本件訂正発明1における「外部に設けられた操作盤」に相当する。 文献1方法発明において、「ユーザーは、操作盤12に向かい、第1の認証操作を行い、第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力する」ことは、本件訂正発明1において「操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ」ることに相当する。 文献1方法発明における「パレット5」及び「入出庫扉11」は、それぞれ本件訂正発明1における「車体搬送手段」及び「入出庫扉」に相当し、文献1方法発明において「第1の認証操作」がされた後に「パレット駆動機構25を起動させて空のパレット5を入出庫口3の位置に搬送」すること、及び「空のパレット5が到着すると、入出庫扉開閉制御部18と入出庫扉開閉機構22が自動的に入出庫扉11を開扉」させることは、それぞれ本件訂正発明1における「車体搬送手段を呼び出し、」及び「前記駐車装置の入出庫扉を開き、」に相当する。 文献1方法発明において「ユーザー」が「再び操作盤12」に向かって行う「第2の認証操作」として、再び「第1の認証操作と同様な操作」である、「自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力する」ことは、本件訂正発明1における「操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報」を「入力」することに相当し、文献1方法発明において「第2の認証操作において、主制御部17の認証照合部21が第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定する」ことは、本件訂正発明1における「操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」することに相当する。また、文献1方法発明において、「ユーザー」が「操作盤12」の「閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示」することは、本件訂正発明1において、「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」ことに相当する。そのため、文献1方法発明において「入出庫扉11を閉じる」ための処理が、「ユーザーは、車庫装置4の外部に出て、再び操作盤12に向かい、第2の認証操作を行い、第2の認証操作において、主制御部17の認証照合部21が第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定すると、表示画面31と音声スピーカ32により、ユーザーに車庫装置4内の安全確認を行うよう報知がなされ、さらに安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされ、これに従いユーザーは車庫装置4内に人が残っていないかどうかを確認してから、閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じる」というものである点と、本件訂正発明1において、「入出庫扉を閉じる」ための処理が、「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」というものである点とは、「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」ことと、「操作盤入力情報が入力され、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断した結果」とに応じて、「前記入出庫扉を閉じる」という点で共通する。 文献1方法発明が「車庫装置4」を含む「機械式立体駐車場1の制御方法」であることは、本件訂正発明1における「駐車装置の制御方法」に相当する。 すなわち、文献1方法発明と本件訂正発明1とは、以下の点で一致する。 「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、 車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されることと、操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力され、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断した結果とに応じて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 一方、両者は、次の点で相違する。 (相違点1) 本件訂正発明1では、「入出庫扉を閉じる」処理の順序について、 「前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力され」た後に、「操作盤入力情報が入力されることを待機」し、そのうえで「操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」し、「前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」のに対し、 文献1方法発明では、まず「第2の認証操作」及びその「判定」が行われ、その後「閉扉ボタン36」が押されると、「入出庫扉11を閉じる」点。 (2)相違点についての判断 ア 文献2方法発明に基く場合 文献2方法発明は、車両の入出庫を終えた利用者が駐車装置1のゲート21を閉じる際の処理として、「利用者が、操作盤23のロック解除ボタン34の操作を行うと、操作ロック状態が解除され」、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」構成を有している。 文献2方法発明における「ロック解除ボタン34」は、「利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないよう、駐車装置1が各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除するもの」であるが、「ゲート21を開く」際には「ロック解除ボタン34」を押すことなく「ICカード91が正当なカード」であるとの判断がされるとゲートの移動が行われているとともに、文献2のその余の記載を検討しても、「ゲート21を閉じる」際にICカード91による再認証に先立って「ロック解除ボタン34」が操作されることが記載されている一方、その他の場面で「ロック解除ボタン34」が操作されることは記載されていないから、もっぱら「ゲート21を閉じる」際に操作されるボタンであると解される。その点で、文献2方法発明における、「ゲート21を閉じる」処理に先立って行われる「ロック解除ボタン34の操作」は、文献1方法発明における「閉扉ボタン36」の操作と共通する。 そして、文献2方法発明において、「ゲート21を閉じる」処理に先立って行われる、「利用者」による「ロック解除ボタン34の操作」は、後続する「確認」に関する処理を別とすれば、「ゲート21を閉じる」前に「利用者」が「操作盤23」に対して行う最後の入力であり、また後続する「確認」に関する処理が行われれば「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、上記相違点1に係る本件訂正発明1における構成のうち、「入出庫扉を閉じる」動作に先立ち、「前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」する処理より前に行われる、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」構成に相当する。 さらに、文献2方法発明において「利用者が、操作盤23のロック解除ボタン34の操作を行うと、操作ロック状態が解除され」、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」構成は、処理の順序として、相違点1に係る本件訂正発明1の「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」と、「操作盤入力情報が入力されることを待機」し、「操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」という処理順序の構成に相当する。 そして、文献1方法発明と文献2方法発明とは、駐車装置の制御方法という技術分野が共通し、かつ、入出庫扉(ゲート)を閉じる際に、ユーザー(利用者)のボタン操作と認証操作とに基いて制御を行うという点でも共通している。また、文献1方法発明と文献2方法発明とは、上記第5の2(1)ア(ア)に摘記した文献1の段落【0008】における「本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車庫装置内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止して安全に運行することのできる機械式立体駐車場の制御方法およびこの制御方法により制御される機械式立体駐車場を提供することを目的とする。」との記載、及び、上記第5の2(2)ア(ウ)に摘記した文献2の段落【0038】-【0039】における「・・・・このように、操作ロック状態を解除する際にロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促すことができる。・・・・(中略)・・・・。なお、ゲート21が閉じきった後(S236の後)に、ICカード91を再びカード読取部25に接触させることを要求する処理を加えてもよい。このようにすれば、ゲート21が閉じきる前に利用者が立ち去ることを抑制することができるので、安全性を高めることができる。また、このとき、ICカード91が接触されなかった場合には、利用者が安全確認を怠ったことへのペナルティとして、当該利用者のICカード91を次回から使用不可能とする処理をしてもよい。」との記載にも示されるように、駐車装置の入出庫扉(ゲート)を閉じる際の安全確保を目的とする点でも、共通している。 ここで、文献1方法発明においては、契約利用者の認証について、暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体であるICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させるかは、いずれも選択可能であるところ、認証についてテンキー操作部33への入力という選択肢をとる場合にも、閉扉に先立ち認証操作とボタン操作とを受け付ける処理の順序について、上記文献2方法発明の構成を採用し、入出庫扉を閉じる際に、まずユーザーによるボタン操作を行わせ、その後にテンキー操作部33への入力による認証操作と判定とを行い、判定結果が適切であれば入出庫扉が閉じられるようにして、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者にとって想到容易である。 また、文献1方法発明において、契約利用者の第1の認証操作について、暗証番号をテンキー操作部33に入力する選択肢をとったうえで、入出庫扉11を閉じる際に、再認証に先立ち「ロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促」し、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再び」再認証に成功すれば「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」という、文献2方法発明の構成を採用し、再認証については文献1方法発明における「第1の認証操作と同様な操作」として「暗証番号をテンキー操作部33に入力する」という構成を維持し、もって上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることも、当業者にとって想到容易である。 そして、そうしたことによる効果は、文献1及び文献2の開示から事前に予測される範囲を超えるものではない。 イ 文献3方法発明に基く場合 文献3方法発明は、「契約利用者が操作盤22の閉扉ボタン57にタッチすると、契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合には、入出庫扉4aの閉扉が許可され、制御が終了する」構成を有しており、当該構成は、入出庫扉4aの閉扉を行う処理の順序として、上記相違点1に係る本件訂正発明1の、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」と、「操作盤入力情報が入力されることを待機」し、「操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」という処理順序の構成に相当する。 そして、文献1方法発明と文献3方法発明とは、駐車装置の制御方法という技術分野が共通し、かつ、入出庫扉を閉じる際に、ユーザー(契約利用者)のボタン操作と認証操作とに基いて制御を行うという点でも共通している。また、文献1方法発明と文献3方法発明とは、上記第5の2(1)ア(ア)に摘記した文献1の段落【0008】における「本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、車庫装置内に人が取り残された状態で入出庫扉が閉じられてしまうことを防止して安全に運行することのできる機械式立体駐車場の制御方法およびこの制御方法により制御される機械式立体駐車場を提供することを目的とする。」との記載、及び、上記第5の2(3)ア(ア)に摘記した文献3の段落【0009】における「あるいは、契約利用者または駐車場管理者が入出庫操作を行っている最中に、何らかの事情により操作盤の前から離れた場合(例えば電動車両の充電作業のために乗入室の中に入っている時等)に、他の利用者が来場して操作盤を操作してしまい、入出庫扉を閉じて車両搬送機を起動させる可能性がある。そうなると、予期しない動作により、機械式駐車場設備の安全性が損なわれる懸念があり、駐車場の運行にも支障を来す。」との記載にも示されるように、駐車装置の入出庫扉(ゲート)を閉じる際の安全確保を目的とする点でも、共通している。 ここにおいて、文献1方法発明においては、契約利用者の認証について、暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体であるICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させるかは、いずれも選択可能であるとともに、文献1方法発明において、認証についてテンキー操作部33への入力という選択肢をとる場合にも、利用者が認証された後に操作盤の前から離れた際に、他の利用者や部外者が入出庫扉を閉じる可能性があり、安全性が損なわれる問題が生じることは、文献3が言及する従来技術の課題から明らかである。また、文献1方法発明においても、駐車装置の制御方法として、利用者の安全は重大な関心事であるから、可能な安全配慮策を採用することには動機付けがあるとともに、閉扉の際の閉扉ボタン操作と認証との順番として、文献3方法発明の構成を採用すれば、前述した課題が解決できることは、文献3に接した当業者であれば十分に理解できる。 したがって、文献1方法発明において、閉扉に先立つ認証とボタン操作とを受け付ける処理の順序について、上記文献3方法発明の構成を採用し、入出庫扉を閉じる際に、まずユーザーによる閉扉のボタン操作を行わせ、その後に認証操作と判定とを行い、判定結果が適切であれば入出庫扉が閉じられるようにして、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、当業者にとって想到容易である。 そして、そうしたことによる効果も、文献1及び文献3の開示から事前に予測される範囲を超えるものではない。 (3)小括 以上のとおり、本件訂正発明1は文献1方法発明、及び文献2方法発明又は文献3方法発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2 本件訂正発明2について (1)文献2方法発明との対比 文献2方法発明における「駐車装置1」、「利用者」、「ゲート21」は、それぞれ本件訂正発明2における「駐車装置」、「ユーザ」、「入出庫扉」に相当する。 文献2方法発明における「正面の支柱5」に配設された「操作盤23」は、「駐車装置1から出」た「車両の入出庫を終えた利用者」が操作するものであるから、「駐車装置1」の外に設けられていると解され、本件訂正発明2における「駐車装置の外部に設けられた操作盤」に相当する。 文献2方法発明において、「車両を入出庫しようとする利用者が、駐車装置1のカード読取部25に、データ記憶部93及び通信部95を有するICカード91を接触させると、カード読取部25からデータ記憶部93に記憶された利用者ID及びパレット番号が読み込まれ、諸元データ記憶部41に記憶されたデータとの比較が行われ」ることは、「カード読取部25」が「操作盤23」に設けられていることを勘案すると、本件訂正発明2において、「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ」ることに相当する。 文献2方法発明において、「ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、パレット駆動モータ61が駆動され、パレットの移動が開始され、パレットの着床位置P1への移動が完了した後、ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動され、ゲート21が完全に開いた後、駐車装置1はロック解除ボタン34が操作されるまで操作ロック状態とされ」ることは、本願訂正発明2において、「車体搬送手段を呼び出し、前記駐車装置の入出庫扉を開き、前記駐車装置の前記入出庫扉が開いた状態」となることに相当する。 そして、上記1(2)アで指摘したとおり、文献2方法発明において、「ゲート21を閉じる」処理に先立って行われる、「利用者」による「ロック解除ボタン34の操作」は、後続する「確認」に関する処理を別とすれば、「ゲート21を閉じる」前に「利用者」が「操作盤23」に対して行う最後の入力であり、また後続する「確認」に関する処理が行われれば「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、本件訂正発明1において、「入出庫扉を閉じる」動作に先立って行われ、また「前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」する処理より前に行われる、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」操作に相当する。 文献2方法発明において、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認され、ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」構成と、本件訂正発明2において、「閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」構成とは、「閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、操作盤への入力情報が入力された後、操作盤への入力情報についての照合判断が行われ、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じることを含む」という限度で共通する。 すなわち、文献2方法発明と本件訂正発明2とは、以下の点で一致する。 「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、 車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、 操作盤への入力情報が入力された後、操作盤への入力情報についての照合判断が行われ、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 一方、両者は、次の点で相違する。 (相違点2) 本件訂正発明2においては、駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、「前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示」するとともに、閉扉指示の後には当該「確認情報」と所定の関係を有する「操作盤入力情報」の「操作盤の入力キーへの操作」による入力を待機し、照合判断として「前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」したうえで、「前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じることを含む」のに対し、 文献2方法発明では、「駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示」せず、またゲート21を閉じる動作の基礎となる照合判断が、再び検出されたICカード91が、ゲート21を開く前に「先に用いられた」ICカード91と同じであることの確認であって、当該ゲート21を閉じる動作の基礎となる照合判断に、「駐車装置の内部に設けられた表示部」に表示された「確認情報」と、「操作盤の入力キーへの操作」により入力された「操作盤入力情報」とが「所定の関係を有するか否か」の判断を含まない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点2について検討する。 文献6発明は、機械式駐車装置の安全確認方法において、「安全確認を行う人の死角になりがちな塔内の奥に設けられた表示装置10に、例えば各ケージ2が出入口1に到着する度に乱数を表示し、出入口1の側方に設けられた操作盤20を操作する管理人などは、駐車装置の運転に先だって必ず通常死角となる領域をしっかり確認するとともに、その際表示装置10によって表示されている乱数を見て、それと同じ数字をテンキーボード23により入力して、比較装置30から一致を示す確認信号30aが出力されると、駐車装置の運転を可能とする」構成を有しており、当該構成は上記相違点2に係る本件訂正発明2における「確認情報」の「表示」の構成、「操作盤の入力キーへの操作」によって「操作盤入力情報が入力される」構成、及び、「操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」する構成に相当する。 そして、文献2方法発明でも、車両の入出庫を終えた利用者に対して「ロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促す」とともに、「操作盤23」自体が「テンキーを含む指示入力部31」を備えているところ、ユーザに促す安全確認の確実な実施のために、上記文献6発明における「安全確認を行う人の死角になりがちな塔内の奥に設けられた表示装置10に、例えば各ケージ2が出入口1に到着する度に乱数を表示」して「同じ数字をテンキーボード23により入力」させる構成を、文献2方法発明における安全確認処理に追加して採用し、ロック解除ボタン34の操作の後に、表示された乱数に対応する情報が利用者によって「操作盤23」の「テンキーを含む指示入力部31」に入力されるのを待機し、該入力された情報と表示された乱数との一致を確認する判断を、ゲート21を閉じるゲート駆動モータ63を駆動するための判断に追加して含めるようにし、もって上記相違点2に係る本件訂正発明2における、「前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示」したうえで、「前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じることを含む」構成に相当する構成を有するものとすることは、当業者にとって想到容易である。 なおその際、ゲート21を閉じるゲート駆動モータ63を駆動するための判断として、上記文献6発明に基いて追加した判断のほかに、文献2方法発明が有する「ICカード91」の接触及び「検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであること」の確認の判断をさらに含んでいても、ゲート21を閉じる処理が、本件訂正発明2における「表示」された「確認情報」と「操作盤の入力キーへの操作」によって入力された「前記操作盤入力情報」とが「所定の関係を有するか否か」という「判断の結果に基づいて」行われていることに変わりはないから、本件訂正発明2との間に新たな相違点が生じるものではない。 そして、文献2方法発明において、文献6発明の安全確認処理を追加したことによる効果も、文献2及び文献6の開示から事前に予測される範囲を超えるものではない。 (3)小括 以上のとおり、本件訂正発明2は、文献2方法発明及び文献6発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 3 本件訂正発明5について (1)先の取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由 申立人Bが本件訂正発明5について主張する特許異議申立理由は、訂正前の請求項5に係る発明は文献2及び文献7に記載された発明に基いて、若しくは文献3及び文献7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから(申立2の特許異議申立書第24頁2行-第27頁13行参照)、本件訂正発明5に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきである、というものである。 なお、本件訂正発明5に関して、令和1年6月7日発送の取消理由通知書(決定の予告)において、申立人Bによる上記特許異議申立理由は、採用していない。 以下、下記(2)及び(3)において、文献2方法発明及び文献7発明に基く本件訂正発明5の容易想到性、並びに、文献3方法発明及び文献7発明に基く本件訂正発明5の容易想到性について、判断する。 (2)文献2方法発明及び文献7発明に基く容易想到性 ア 文献2方法発明との対比 文献2方法発明における「駐車装置1」、「利用者」、「ゲート21」は、それぞれ本件訂正発明5における「駐車装置」、「ユーザ」、「入出庫扉」に相当する。 文献2方法発明において、入庫を行う時点から「ロック解除ボタン34の操作」までの間は、「ゲート21」は「完全に開いた後」であるから、この状態は本件訂正発明5における「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」に相当する。 文献2方法発明における「正面の支柱5」に配設された「操作盤23」は、「駐車装置1から出」た「車両の入出庫を終えた利用者」が操作するものであるから、「駐車装置1」の外に設けられていると解され、本件訂正発明5における「駐車装置の外部に設けられた操作盤」に相当する。 そして、上記1(2)アで指摘したとおり、文献2方法発明において、「車両の入出庫を終えた利用者が、操作盤23のロック解除ボタン34の操作を行うと、操作ロック状態が解除され」ることは、本件訂正発明5において、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」ことに相当する。 文献2方法発明において、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させると、駐車装置1では、検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認され」る構成と、本件訂正発明5において、「閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」構成とは、「閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、操作盤への入力情報が入力された後、照合判断が行われ、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」という限度で共通する。 すなわち、文献2方法発明と本件訂正発明5とは、以下の点で一致する。 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、 操作盤への入力情報が入力された後、照合判断が行われ、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 一方、両者は、次の点で相違する。 (相違点3) 本件訂正発明5においては、駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、 (ア)「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信」するとともに、 (イ)閉扉指示の後には当該「内部情報」と所定の関係を有する「記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されること」を待機し、 (ウ)「操作盤の入力キーへの操作」によって「前記操作盤入力情報が入力」された後、「前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」して出入庫扉を閉じる、 のに対し、 文献2方法発明では、 (ア’)「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信」せず、 (イ’)ロック解除ボタン34の操作の後に行われるのはICカード91のカード読み取り部25への接触であって、「操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機」するものではなく、 (ウ’)またゲート21を閉じるに際しては、「検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認」されるのであって、「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力」がされた「内部情報」と「操作盤の入力キーへの操作」によって入力された「操作盤入力情報」とが所定の関係を有するかは判断しない、 点。 イ 相違点についての判断 上記相違点3について検討する。 文献7発明は、機械式駐車装置の制御方法において、安全確認を確実とするため「乗降室20内」に「安全確認の実施位置の近辺に配置され、人による安全確認の実施状態が入力される入力手段である確認ボタン34A,34B」を設け、また乗降室20の外側の「操作盤22」に「最終確認ボタン40」を設け、確認ボタン34A,34B及び最終確認ボタン40が全て押圧されれば、安全確認が完了したとして「入出庫扉32を閉じ」る構成を備えている。また、当該構成における「安全確認の実施状態を入力する入力手段」として、「押ボタン」に代えて、「機械式駐車装置10の契約者が携帯する認証カードの認証情報を読み取る読取手段とし、安全確認者が認証カードを読取手段にかざすことによって、安全確認の実施状態が入力される」こととする代替構成も備えている。当該代替構成において、「乗降室20内」の「安全確認の実施位置」に備えられる「読取手段」は、上記相違点3に係る本件訂正発明5の「内部情報入力部」に相当し、当該読取手段が「契約者が携帯する認証カードの認証情報を読み取る」ことは、上記相違点3に係る本件発明5における「ユーザの入力による内部情報を受信」に相当する。 そして、文献2方法発明でも、車両の入出庫を終えた利用者に対して「ロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促す」とともに、最終的には「再びICカード91を」操作盤23の「カード読み取り部25へ接触させ」て、「検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであることが確認」されると「ゲート21を閉じ」ているところ、安全確認の徹底のために、上記文献7発明における「乗降室20内」の「安全確認の実施位置」に備えられる「読取手段」を追加するとともに、当該「安全確認の実施位置」で「読取手段」により「認証カード」を読み取らせ、また最終的に「乗降室20」の「外側」の「操作盤22」で再度「認証カード」を読み取らせる構成を採用するとともに、読み取らせた「カード」の情報が互いに同じであることを確認したうえでゲート21を閉じるようにすることについては、当業者にとって想到容易と言い得るとしても、そのようにして、ゲート21を閉じる前にICカード91による認証を行う文献2方法発明に、駐車場の内部における安全確認を、契約者が携帯する認証カードを乗車室20内の安全確認実施位置で読み取ることで実施する文献7発明の構成を組み合わせた場合には、駐車場の内部でカードで入力された情報と、ゲートを閉じる前にカードで読み取らせた情報とに基づいて、ゲートを閉じることとなるから、上記相違点3に係る本件訂正発明5の構成のうち、上記(イ)の「内部情報」と所定の関係を有する「操作盤入力情報」を「記操作盤の入力キーへの操作によって」入力させる構成、及び、上記(ウ)の「操作盤の入力キーへの操作」によって「前記操作盤入力情報が入力」された後、「前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」して出入庫扉を閉じる構成に、至るものではない。 そして、文献2方法発明は、操作盤23にテンキーを含む指示入力部31を備えているとはいえ、文献7発明において駐車場の内部の安全確認を安全確認実施位置で認証カードを読み取らせる構成を採用する場合に、操作盤23における最終操作をICカード91の読み取りでなくテンキー入力に変更し、しかも駐車場の内部で安全確認をした際の認証カードの読み取り内容(本件訂正発明5における「内部情報」に相当する)を、操作盤23へのテンキー入力による入力情報(本件訂正発明5における「操作盤の入力キーへの操作」により入力される「操作盤入力情報」に相当する)と比較することは、文献2及び文献7のいずれにも記載されておらず、示唆もされていない。 また、文献7のその余の記載を検討しても、駐車場内部の安全確認の実施位置で契約者が携帯する認証カードを読み取らせるという操作に代えて、当該安全確認の実施位置で契約者に暗証番号の入力等の複雑な操作をさせることは、記載も示唆もされていない。そして、文献7発明において、駐車場内部の安全確認の実施位置で契約者が携帯する認証カードを読み取らせるという操作は、当該安全確認の実施位置で単に押ボタンを押すという単純な操作の代案として位置づけられているから、文献2方法発明の操作盤23がテンキーを含む指示入力部を有しているからといって、文献2方法発明に文献7発明の安全確認策を追加する際に、文献7発明における駐車場内部の安全確認実施位置での認証カードの読み取り操作を、操作盤23が有するテンキーへの入力と同様の、テンキー入力操作へと更に変更する動機付けはなく、駐車内部で行う「内部情報」の入力を、後に「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される「操作盤入力情報」との比較に適したものに改変するとともに、併せて後続する「操作盤入力情報」の入力を「操作盤の入力キーへの操作によって」行うものとすることも、当業者にとって想到容易ということができない。 したがって、文献2方法発明において、上記相違点3に係る本件訂正発明5の構成に至ることは、文献7発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (3)文献3方法発明及び文献7発明に基く容易想到性 ア 文献3方法発明との対比 文献3方法発明における「立体駐車場1」、「契約利用者」、「入出庫扉4a」は、それぞれ本件訂正発明5における「駐車装置」、「ユーザ」、「入出庫扉」に相当する。 文献3方法発明において、初回認証の後に「入出庫扉4aが開」いている状態は、本件訂正発明5における「駐車装置の入出庫扉が開いた状態」に相当する。 文献3方法発明における「操作盤22」は、「立体駐車場1」の「外側」の「庇5の下」にあるから、本件訂正発明5における「駐車装置の外部に設けられた操作盤」に相当する。 文献3方法発明において、契約利用者が「操作盤22」の「閉扉ボタン57にタッチ」することは、本件訂正発明5において、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」ことに相当する。 文献3方法発明において、「閉扉ボタン57」への「タッチ」の後、「契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報がアンテナ43に取得され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致するか否かが判定され、取得した認証情報が初回認証時の認証情報と一致する場合には、入出庫扉4aの閉扉が許可され、制御が終了する」構成と、本件訂正発明5において、「閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」構成とは、「閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、操作盤への入力情報が入力された後、照合判断が行われ、前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる」という限度で共通する。 すなわち、文献3方法発明と本件訂正発明5とは、以下の点で一致する。 「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤への入力情報が入力されることを待機し、 操作盤への入力情報が入力された後、照合判断が行われ、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。」 一方、両者は、次の点で相違する。 (相違点4) 本件訂正発明5においては、駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、 (あ)「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信」するとともに、 (い)閉扉指示の後には当該「内部情報」と所定の関係を有する「記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されること」を待機し、 (う)「操作盤の入力キーへの操作」によって「前記操作盤入力情報が入力」された後、「前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」して出入庫扉を閉じる、 のに対し、 文献3方法発明では、 (あ’)「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信」せず、 (い’)閉扉ボタン57へのタッチの後に行われるのは契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報の取得であって、「操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機」するものではなく、 (う’)また入出庫扉4aを閉じるに際しては、「携帯認証媒体41」から取得された「認証情報」が「初回認証時の認証情報と一致」するかが確認されるのであって、「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力」がされた「内部情報」と「操作盤の入力キーへの操作」によって入力された「操作盤入力情報」とが所定の関係を有するかは判断しない、 点。 イ 相違点についての判断 上記相違点4は、上記(2)イに検討した相違点3と実質的に同一である。 そして、文献3方法発明も、上記(2)イに検討した文献2方法発明と同様、場内の安全確認を契約利用者に促しているとともに、最終的には「操作盤22」に認証される認証情報が初回の認証から終始一貫して同一であるかを確認して入出庫扉4aを閉じているから、場内の安全確認を徹底するために、上記(2)イで検討した文献7発明の「認証カード」及びその「読取手段」を用いる構成を採用することについては、当業者にとって想到容易と言い得るとしても、そのようにして、入出庫扉4aを閉じる前に携帯認証媒体41による認証を行う文献3方法発明に、駐車場の内部における安全確認を、契約者が携帯する認証カードを乗車室20内の安全確認実施位置で読み取ることで実施する文献7発明の構成を組み合わせた場合には、駐車場の内部で認証カードで入力された情報と入出庫扉を閉じる前に携帯認証媒体から取得した情報とに基づいて入出庫扉を閉じることとなるから、上記相違点4に係る本件訂正発明5の構成のうち、上記(い)の「内部情報」と所定の関係を有する「操作盤入力情報」を「記操作盤の入力キーへの操作によって」入力させる構成、及び、上記(う)の「操作盤の入力キーへの操作」によって「前記操作盤入力情報が入力」された後、「前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」して出入庫扉を閉じる構成に、至るものではない。 そして、文献3には、上記第5の2(3)ア(キ)にも摘記した図4に、操作盤22のタッチパネル式液晶画面である操作画面35に1?9の数字が付されたテンキー状の操作表示がされた様子が図示されているとはいえ、たとえ文献3方法発明の操作盤22がテンキー入力部を備えたとしても、文献7発明において駐車場の内部の安全確認を安全確認実施位置で認証カードを読み取らせる構成を採用する場合に、入出庫扉4aを閉じる前の最後の入力を携帯認証媒体41からの認証情報の取得でなくテンキー入力に変更し、しかも駐車場の内部で安全確認をした際の認証カードの読み取り内容(本件訂正発明5における「内部情報」に相当する)を、操作盤22へのテンキー入力による入力情報(本件訂正発明5における「操作盤の入力キーへの操作」により入力される「操作盤入力情報」に相当する)と比較することは、文献3及び文献7のいずれにも記載されておらず、示唆もされていない。 また、文献7のその余の記載を検討しても、先に上記(2)イで文献2方法発明と文献7発明とについて検討したと同様に、文献3方法発明に文献7発明の安全確認策を追加する際に、文献7発明における駐車場内部の安全確認実施位置での認証カードの読み取り操作を、操作盤22に設けるテンキーへの入力と同様の、テンキー入力操作へと更に変更する動機付けはなく、駐車内部で行う「内部情報」の入力を、後に「操作盤の入力キーへの操作によって」入力される「操作盤入力情報」との比較に適したものに改変するとともに、併せて後続する「操作盤入力情報」の入力を「操作盤の入力キーへの操作によって」行うものとすることも、当業者にとって想到容易ということができない。 したがって、文献3方法発明において、上記相違点4に係る本件訂正発明5の構成に至ることは、文献7発明に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。 (4)申立人Bの主張について ア 平成31年4月12日付け意見書における主張 申立人Bは、平成31年4月12日付け意見書において、訂正によって本件訂正発明5に加えられた、「前記操作盤の入力キーへの操作によって」操作盤入力情報が入力されるという構成は、文献3の従来技術覧である段落【0002】、及び同意見書に添付して提出した文献8及び9にも示される周知技術であるから、本件訂正発明5についても、文献2及び文献7に記載された発明並びに周知技術に基いて、若しくは文献3及び文献7に記載された発明並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨を主張している(同意見書第2頁下から8行?第5頁1行、及び第12頁第14行-第14頁5行参照)。 しかしながら、上記(2)及び(3)で検討したとおり、本件訂正発明5は、文献2方法発明の操作盤23がテンキーを含む指示入力部31を有し、また文献3の図4に文献3方法発明の操作盤22がテンキー状の操作入力画面を表示することが示されていても、本件訂正発明5は文献2方法発明及び文献7発明に基いて、若しくは文献3方法発明及び文献7発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。そのため、申立人Bが主張するように操作盤の入力キーへの操作によって情報を入力させるという構成自体が一般的な周知技術であることを勘案しても、本件訂正発明5は、文献2方法発明及び文献7発明並びに当該周知技術に基いて、若しくは文献3方法発明及び文献7発明並びに当該周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと言うことができない。 イ 令和1年9月13日付け意見書における主張 申立人Bは、令和1年9月13日付け意見書において、本件訂正発明5においては、操作盤における入力操作は「入力キー」から行われることが規定されている一方、「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部」に対して内部情報を入力する場合には、「ユーザに入力による内部情報」(当審注;「ユーザの入力による内部情報」の誤記を認める。)と単に表現されているに留まる旨を主張している(同意見書第9頁第6行?第12行参照)。 そして申立人Bは、文献2方法発明又は文献3方法発明に文献7発明を適用した場合には、「駐車装置の内部情報入力部に対してICカードをかざすことにより内部情報が入力され」たうえで、「ロック解除ボタン34」又は「閉扉ボタン47」が操作されると、「カード読取部25に対してICカードをかざして操作盤入力情報が入力されること」又は「契約利用者が所持している携帯認証媒体41から発信される認証情報が読み取られること」を待機し、後続する処理を行うこととなるところ、ICカードや携帯認証媒体を用いた入力手法を採用するかキー入力による入力手法を採用するかは設計事項に過ぎないから、ICカード又は携帯認証媒体41を用いた入力手法に代えてキー入力による入力手法を採用し、本件訂正発明5のように構成することは当業者が容易に想到し得る旨を主張している(同意見書第9頁第6行?第10頁第17行参照)。 しかしながら、上記(2)及び(3)で判断したとおり、文献2方法発明又は文献3方法発明において、駐車場の内部の安全確認実施位置で認証カードを読み取らせる文献7発明の構成を採用する場合に、その後の操作盤における最終操作のみをテンキー入力に変更し、しかも駐車場の内部で安全確認をした際の認証カードの読み取り内容を、その後の操作盤へのテンキー入力による入力情報と比較することは、相互に比較する入力情報の入力形態をあえて駐車場の内部と操作盤とにおいて異ならせることとなるところ、そのような特異な選択を行うことは、文献2及び文献3並びに文献7のいずれにも示唆されておらず、動機付けもないから、想到容易ではない。 また、文献7発明において、駐車場内部の安全確認の実施位置で契約者が携帯する認証カードを読み取らせるという操作は、当該安全確認の実施位置で単に押ボタンを押すという単純な操作の代案として位置づけられており、文献7のその余の記載を検討しても、当該安全確認の実施位置で契約者に暗証番号の入力等の複雑な操作をさせることは、記載も示唆もされていないから、文献2方法発明又は文献3方法発明において文献7発明の安全確認策を追加する際に、文献7発明における駐車場内部の安全確認実施位置での認証カードの読み取り操作を、操作盤23が有するテンキーへの入力と同様の、テンキー入力操作へと更に変更し、それと併せて後続する「操作盤入力情報」の入力についても「操作盤の入力キーへの操作によって」行うこととし、もって「駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部」でユーザが入力した「内部情報」と、「操作盤の入力キーへの操作によって」入力された「操作盤入力情報」との関係を判断する本件訂正発明5に係る構成とすることも、上記(2)及び(3)で判断したとおり、想到容易ではない。 したがって、申立人Bによる当該主張について検討しても、上記(2)及び(3)の判断を覆すべき事情を見いだすことはできない。 (5)小括 以上のとおりであるから、申立2において申立人Bが主張する特許異議申立理由によっては、本件訂正発明5に係る特許を取り消すことはできない。 4 本件訂正発明7について (1)本件訂正発明1を引用する本件訂正発明7 ア 文献1装置発明との対比 文献1装置発明と、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明7とは、上記1(1)で対比した文献1方法発明と本件訂正発明1との相違点1で相違し、その余の点で一致する。 イ 相違点についての判断 上記相違点1については、上記1(2)に検討したとおり、文献2方法発明に対応する文献2装置発明、又は、文献3方法発明に対応する文献3装置発明に基いて、当業者であれば想到容易である。 そして、そうしたことによる効果も、文献1及び文献2又は文献3の開示の範囲を超えるものではない。 ウ 小括 以上のとおり、本件訂正発明1を引用する本件訂正発明7は、文献1装置発明、及び文献2装置発明又は文献3装置発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)本件訂正発明2を引用する本件訂正発明7 ア 文献2装置発明との対比 文献2装置発明と、本件訂正発明2を引用する本件訂正発明7とは、上記2(1)で文献2方法発明と本件訂正発明2とを対比したとおり、相違点2において相違し、その余の点で一致する。 イ 相違点についての判断 上記相違点2については、上記2(2)に検討したとおり、文献6発明に基いて、当業者であれば想到容易である。 そして、そうしたことによる効果も、文献2及び文献6の開示の範囲を超えるものではない。 ウ 小括 以上のとおり、本件訂正発明2を引用する本件訂正発明7は、文献2装置発明及び文献6発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件訂正発明7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 5 特許権者の意見書による主張について (1)本件訂正発明1の容易想到性 ア 阻害要因、課題の認識及び動機の欠如について 特許権者は、平成31年2月14日付けの意見書(以下、「意見書1」という。)において、文献1方法発明では、第2の認証操作から閉扉ボタンの操作までの間に駐車場内への侵入を許す期間が生じるという問題点を有する旨を主張している(意見書1の第8頁22行?23行)。 また特許権者は、上記意見書1、及び令和1年8月5日付けの意見書(以下、「意見書2」という。)において、文献1の段落【0037】には、「第2の認証操作において、・・・第1の認証操作を行ったユーザーと同一であると判定すると、・・・安全確認が取れたら閉扉ボタン36を押して入出庫扉11を閉じるように指示がなされる」と記載されており、文献1では同一人物確認ができたことを前提として、一般的に要請される安全確認およびその後の閉扉指示が行われるから、第2の認証操作から閉扉ボタンの操作までの間に駐車場内への侵入が生じ得るという上述した問題点について、認識もされていない旨を主張している(意見書1の第8頁24行?32行、及び意見書2の第3頁28行?第4頁6行)。 さらに、特許権者は、このような前提を必要とする文献1方法発明において、同一人物確認を閉扉指示の後にすることは、同一人物確認ができなくても閉扉指示をすることになり、阻害要因がある旨を主張している(意見書1の第8頁32行?最終行)。 しかしながら、上記1(2)ア及びイに指摘したとおり、文献1方法発明は駐車装置の入出庫扉(ゲート)を閉じる際の安全確保を目的としているから、駐車場利用者に対する可能な安全配慮策を採用する一般的な動機付けがあるとともに、駐車装置の制御方法という技術分野、及び、入出庫扉を閉じる際に、ユーザー(契約利用者)のボタン操作と認証操作とに基いて制御を行うという技術的処理において共通し、かつ駐車装置の入出庫扉(ゲート)を閉じる際の安全確保という目的においても共通する、文献2方法発明又は文献3方法発明の手法を採用することについても動機付けがあるといえる。 また、上記1(2)イで検討したとおり、文献1方法発明において、利用者が認証された後に操作盤の前から離れた際に、他の利用者や部外者が入出庫扉を閉じる可能性があり、安全性が損なわれる問題が生じることは、文献3が言及する従来技術の課題からも明らかであるとともに、文献3には利用者の認証と扉閉指示との順序を入れ替えることで当該問題を解決するという解決策も併せて示されているから、この観点から、文献1方法発明において、文献3方法発明が有する認証と閉扉指示との順序を採用することについても、動機付けがあるということができる。 そして、文献1方法発明において、実際の扉閉の動作は同一人物確認及び閉扉指示操作の両方が行われたうえで実行されており、当該構成を維持していれば、同一人物確認なしに閉扉指示操作のみによって閉扉を実行することにはならないから、同一人物確認と扉閉指示操作の順番を入れ替えることに、特許権者が主張するような阻害要因があるということはできない。 したがって、上記特許権者の主張は採用できない。 イ 文献2方法発明に基く判断について (ア)文献2方法発明の認定・対比について 特許権者は、文献2においては、駐車場のゲート21を閉じる際に、「ロック解除ボタンの操作」および「ICカードの読み取り部への接触」の2条件を要するところ、「ロック解除ボタンの操作」は文字通り駐車装置1の操作ロック状態を解除するものであるとともに、操作ロック状態にあるときには操作盤23による利用者の操作が受け付けられない状態であるから、操作ロック状態において行われるロック解除ボタン34の操作は、利用者の操作である「閉扉指示を入力」するものに相当せず、「ロック解除ボタンの操作」を本件訂正発明1における「閉扉指示の入力」に相当すると解することはできない旨を主張している(意見書1の第3頁19行?第4頁2行)。 また特許権者は、文献2における「操作ロック状態」は、段落【0037】に記載されるように、「この操作ロックによって、車両の入出庫時にパレット11等やゲート21の移動が禁止されるように制御される」ものであり、「ロック解除ボタン34の操作」はこの状態を解除するものである旨を主張している。そして特許権者は、文献2におけるロック解除ボタン34の操作が閉扉をするために行われるとしても、ロック解除ボタン34の操作は様々な移動禁止状態を解除するものであるから、ロック解除ボタン34の操作が行われたら必ず閉扉が行われるとは想定されておらず、文献2において閉扉時以外のロック解除ボタン34の操作について記載がないのは、単に駐車装置の操作の全てを明細書に記載していないだけであり、この点からも「ロック解除ボタンの操作」は、本件訂正発明1における「閉扉指示の入力」には相当しない旨を主張している。また特許権者は、文献2において閉扉に至るために必須となるユーザの操作は複数存在するところ、そのうちの一つの操作である「ロック解除ボタンの操作」を、本件訂正発明1における「閉扉指示」に対応付けることはできない旨を主張している(意見書2の第4頁13行?第5頁14行)。 さらに特許権者は、文献2の【0034】に「ICカード91が正当なカードであると判断された場合には、・・・・ゲート21を開くべく、ゲート駆動モータ63が駆動される」と記載され、【0039】に「利用者は、再びICカード91をカード読み取り部25へ接触させる。・・・ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」と記載されているように、文献2においては、開扉の場合には「ICカードの読み取り部への接触」が開扉指示の入力と認証情報の入力との両者を共用しており、同様に閉扉の場合にも、「ICカードの読み取り部への接触」が扉閉指示の入力と認証情報の入力との両者を共用しているから、文献2において本件訂正発明1における閉扉指示の入力に対応する操作は、操作盤23のカード読み取り部25へICカード91を再び接触させることである旨を主張している(意見書1の第4頁3行?第4頁13行、意見書2の第5頁15行?30行)。 しかしながら、上記1(2)アで検討したとおり、文献2方法発明における「ロック解除ボタン34」は、「利用者が車両を入出庫させる間に各パレット11等及びゲート21が誤って動くことがないよう、駐車装置1が各パレット11等の移動及びゲート21の移動が禁止される操作ロック状態にある際に、利用者に操作されることによって、当該操作ロック状態を解除するもの」であるが、「ゲート21を開く」際には「ロック解除ボタン34」を押すことなく「ICカード91が正当なカード」であるとの判断がされるとゲートの移動が行われているとともに、文献2のその余の記載を検討しても、「ゲート21を閉じる」際にICカード91による再認証に先立って「ロック解除ボタン34」が操作されることが記載されている一方、その他の場面で「ロック解除ボタン34」が操作されることは記載されていないから、もっぱら「ゲート21を閉じる」際に操作されるボタンであると解される。そして、文献2方法発明において、「ゲート21を閉じる」処理に先立って行われる、「利用者」による「ロック解除ボタン34の操作」は、後続する「確認」に関する処理を別とすれば、「ゲート21を閉じる」前に「利用者」が「操作盤23」に対して行う最後の入力であり、また後続する「確認」に関する処理が行われれば「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」ものであるから、上記相違点1に係る本件訂正発明1における構成のうち、「入出庫扉を閉じる」動作に先立ち、「前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断」する処理より前に行われる、「操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力される」構成に相当する。 これに反して、文献2方法発明において、「ゲート21を閉じる」処理に先立って行われる「ロック解除ボタン34の操作」が、本件訂正発明1における「閉扉指示の入力」に相当することはなく、文献2方法発明において「ゲート21を閉じる」処理の前に行われる「第2の認証操作」が、本件訂正発明1において「入出庫扉を閉じる」前に行われる再認証のための「操作盤入力情報」の「入力」ではなく、「閉扉指示の入力」に対応する旨をいう特許権者の主張は、採用できない。 (イ)文献1方法発明への文献2方法発明の適用について 特許権者は、文献1方法発明における認証操作について、「ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体であるICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させることによって行われ」と認定し、「テンキー操作部33」への入力と「ICカード」の接触とを選択可能と解することは、本件訂正発明1との対比において「テンキー操作部33」への入力による場合と比較していることからすれば誤りであり、文献1方法発明は、認証操作については、「テンキー操作部33」への入力のみに限定して認定されるべきである旨を主張している(意見書2の第6頁12行?23行)。 また特許権者は、文献1方法発明における認証操作である「テンキー操作部33への入力操作」は、文献2方法発明における認証操作である「ICカード91のカード読み取り部25への接触」とは、記憶認証と所持認証として互いに認証の種類が異なり、また文献2方法発明における認証操作である「ICカード91のカード読み取り部25への接触」は、閉扉の指示でもあるから、文献1方法発明における「テンキー操作部33への入力操作」とは機能も異なるから、対応する操作ともいえない旨を主張している(意見書2の第5頁32行?第6頁11行)。 そして特許権者は、仮に文献2方法発明における「ロック解除ボタン34の操作」が本件訂正発明1における「閉扉指示の入力」に相当するものであり、文献1方法発明と文献2方法発明とを組み合わせるとしても、文献1方法発明における処理順序を変更する場合には、文献2方法発明における、「ロック解除ボタン34の操作」の後に「ICカード91のカード読み取り部25への接触」を経て閉扉を行う構成をそのまま持ってくるはずであり、文献1方法発明において文献2方法発明の如く閉扉指示と本人確認の認証の順序とを変更すること、及び、文献2方法発明における「ICカード91のカード読み取り部25への接触」を「操作盤のキー入力への操作」に置き換えたうえで文献1方法発明に適用することは、後知恵であるか2段階の改変であって、当業者が容易に想到できたものではない旨を主張している(意見書2の第6頁23行?第8頁4行)。 しかしながら、上記第5の2(1)ア(イ)に摘記した段落【0030】,【0032】及び【0036】の記載に示されるとおり、文献1においては、「操作盤12」が「テンキー操作部33と、ICカードリーダー34と」を備えたうえで、「第1の認証操作は、ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体を操作盤12に認識させることによって行われる」ものであり、「第2の認証操作は第1の認証操作と同様な操作である」のだから、文献1における認証操作として、「テンキー操作部33」への入力操作と、「暗証記号媒体」を「認識させる」操作とは、いずれも選択可能なものとして位置づけられていることは明らかである。そのため、文献1方法発明の認証操作について、上記第5の2(1)イに示したとおり「ユーザーが自分専用の暗証番号をテンキー操作部33に入力するか、自分専用に貸与された暗証記号媒体であるICカードを操作盤12のICカードリーダー34にタッチして認識させることによって行われ」ると認定した点に、特許権者が主張するような誤りはない。そして、そのように文献1の記載から認定した文献1方法発明を、本件訂正発明1と対比する際に、文献1方法発明が有する「認証操作」について、いずれでもよい2つの選択肢のうち一方の選択肢と対比を行って相違点を認定した点にも、特許権者が主張するような誤りはない。 上述したとおり、文献1方法発明において、「テンキー操作部33への入力操作」は、「暗証記号媒体」を「認識させる」操作と選択可能な認証操作として位置づけられているとともに、上記(ア)に指摘したとおり、文献2方法発明において「ゲート21を閉じる」処理の前に行われる「第2の認証操作」である「ICカード91のカード読み取り部25への接触」が、本件訂正発明1において「入出庫扉を閉じる」前に行われる再認証のための「操作盤入力情報」の「入力」ではなく、「閉扉指示の入力」に対応するものということもできないから、文献2方法発明における認証操作である「ICカード91のカード読み取り部25への接触」を、文献1方法発明における「テンキー操作部33への入力操作」と対応させることはできない旨をいう特許権者の主張も、採用することができない。 そして、文献1方法発明は、「認証操作」として「テンキー操作部33」への入力操作とする選択肢を有しており、上記認証についてテンキー操作部33への入力という選択肢をとる場合にも、上記1(2)アに判断したとおり、閉扉に先立ち認証操作とボタン操作とを受け付ける処理の順序について、文献2方法発明の構成を採用し、入出庫扉を閉じる際に、まずユーザーによるボタン操作を行わせ、その後にテンキー操作部33への入力による認証操作と判定とを行い、判定結果が適切であれば入出庫扉が閉じられるようにして、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすること、あるいは、再認証に先立ち「ロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促」し、「操作ロック状態の解除の後、利用者が、再び」再認証に成功すれば「ゲート21を閉じるべくゲート駆動モータ63が駆動される」という、文献2方法発明の構成を採用し、再認証については文献1方法発明における「第1の認証操作と同様な操作」として「暗証番号をテンキー操作部33に入力する」という構成を維持し、もって上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成とすることは、いずれも当業者にとって想到容易であるから、これに反する特許権者の主張は採用することができない。 ウ 文献3方法発明に基く判断について 特許権者は、文献1方法発明に文献3方法発明を適用する場合についても、文献1方法発明に文献2方法発明を適用する場合についてと同様の主張を行っているが(意見書2の第8頁7行?第10頁4行)、当該主張については上記イ(イ)に検討したと同様である。そして、文献1方法発明に文献3方法発明を適用して、上記相違点1に係る本件訂正発明1の構成に至ることは、上記1(2)イに判断したとおり、当業者にとって想到容易であるから、これに反する特許権者の主張は採用することができない。 (2)本件訂正発明2の容易想到性 特許権者は、本件訂正発明2と文献2方法発明とは、次の点で相違すると主張している(意見書2の第10頁16行-第11頁24行。なお、相違点の番号は、本決定中における先行する相違点1?4との区別のため、意見書2における「相違点2」?「相違点4」について、「相違点5」以降の番号を新たに付した。) (相違点5) 本件訂正発明2では、「駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示する」のに対し、 文献2方法発明では、そのような構成を有しない点。 (相違点6) 本件訂正発明2では、「駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機する」のに対し、 文献2方法発明では、「利用者によって操作盤23のロック解除ボタン34が操作されると、操作盤23のカード読み取り部25へICカード91が接触されることを待機する」点。 (相違点7) 本件訂正発明2では、「操作盤入力情報が入力された後、確認情報と操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断した結果」に基づいて閉扉するのに対し、 文献2方法発明では、「操作盤23のカード読み取り部25へICカード91を接触させた後、先に接触させた(開扉指示の際に接触させた)ICカード91の情報と今回接触させたICカード91の情報とを比較判断した結果」に基づいて閉扉する点。 そして特許権者は、文献6には入出庫扉に相当する構成の開示がなく、文献2において乱数を操作盤に入力することは、駐車装置の運転を可能にするものであって、駐車装置の運転を開始するものではないから、文献2方法発明に文献6発明を適用しても、文献2方法発明における「ロック解除ボタン34の操作」を「乱数を操作盤に入力する操作」に置き換えることが、当業者によって容易に想到されるにとどまり、本件訂正発明2の構成には至らない旨を主張している。また特許権者は、文献2方法発明における閉扉時の「ICカード91のカード読み取り部25への接触」は、開扉時の「ICカード91のカード読み取り部25への接触」によって取得した情報と照合比較するためのものであるから、文献6発明における「乱数を操作盤に入力する操作」に置き換えることはできず、文献2方法発明に文献6発明を適用しても、「ICカード91のカード読み取り部25への接触」と「乱数を操作盤に入力する操作」とを併用することが、当業者にとって容易に想到されるにとどまり、本件訂正発明2の構成には至らない旨を主張している(意見書2の第11頁30行?第13頁10行)。 しかしながら、文献2方法発明と本件訂正発明2との相違点は、上記2(1)に相違点2として認定したとおりであり、相違点2は特許権者が主張する上記相違点5?7に対応する内容を含んでいる。そして、上記相違点2については、上記2(2)に判断したとおり、文献2方法発明において「ロック解除ボタン34を操作させることで、駐車装置1が次の動作に移行することを利用者に意識させ、安全確認を促す」ための具体的な安全確認処理として、文献6発明の構成を追加することにより、当業者が容易に想到できたものであるから、これに反する特許権者の主張は採用することができない。 特許権者は、文献6には入出庫扉に相当する構成の開示がなく、文献2方法発明に文献6発明を適用しても、文献2方法発明における「ロック解除ボタン34の操作」を「乱数を操作盤に入力する操作」に置き換えることになる旨も主張しているが、上記2(2)に判断したとおり、文献2方法発明における「ロック解除ボタン34を操作」した後の追加の安全確認処理として、文献6発明の手法を採用する場合には、文献2方法発明における「ロック解除ボタン34」の操作を、乱数を操作盤に入力する操作に置き換えることとはならないから、当該特許権者の主張も採用することができない。 また特許権者は、文献2方法発明に文献6発明を適用すると、「ICカード91のカード読み取り部25への接触」と「乱数を操作盤に入力する操作」とを併用することが、当業者にとって容易に想到され、それでは本件訂正発明2の構成には至らない旨も主張しているが、上記2(2)に説示したとおり、文献2方法発明において、「ロック解除ボタン34を操作」した後の安全確認処理として文献6発明の手法を追加すれば、文献2方法発明が有する「ICカード91」の接触及び「検出されたICカードが、先に用いられたカードと同じであること」の確認の判断をさらに含んでいても、本件訂正発明2の構成に至ることとなる。そのため、当該特許権者の主張も採用することができない。なお、同様の指摘は、令和1年6月7日発送の取消理由通知(決定の予告)においても、通知している(同取消理由通知の第6の2(2)及び5(2))。 (3)本件訂正発明7について 特許権者は、本件訂正発明7は、いずれも本件訂正発明1,2,5のいずれかの発明特定事項を含むものであり、本件訂正発明1,2,5が、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではないから、本件訂正発明7も、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない旨を主張している(意見書2の第13頁16行?20行)。 しかしながら、本件訂正発明1及び2について、上記(1)及び(2)で説示したとおり、特許権者の主張は採用することができないから、本件訂正発明7に関する特許権者の主張も、採用することができない。 第7 むすび 以上のとおり、 本件訂正発明1及び7は、文献1に記載された発明、及び文献2又は文献3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件訂正発明1及び7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件訂正発明2及び7は、文献2に記載された発明及び文献6に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件訂正発明2及び7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 本件訂正発明5については、申立1及び2で提出された証拠を検討しても、本件訂正発明5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、 車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記認証情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。 【請求項2】 駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって認証情報の入力がされ、 車体搬送手段を呼び出し、 前記駐車装置の入出庫扉を開き、 前記駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。 【請求項3】 駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた表示部に確認情報を表示し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤にユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記確認情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含み、 前記ユーザが表示制御手段に対して所定の操作をすることによって、前記表示部に確認情報を表示することを特徴とする駐車装置の制御方法。 【請求項4】 前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項2に記載の駐車装置の制御方法。 【請求項5】 駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、前記操作盤の入力キーへの操作によって操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含む駐車装置の制御方法。 【請求項6】 駐車装置の入出庫扉が開いた状態で、前記駐車装置の内部に設けられた内部情報入力部でユーザの入力による内部情報を受信し、 前記駐車装置の外部に設けられた操作盤に前記ユーザによって閉扉指示が入力されると、操作盤入力情報が入力されることを待機し、 前記操作盤入力情報が入力された後、前記内部情報と前記操作盤入力情報とが所定の関係を有するか否かを判断し、 前記判断の結果に基づいて、前記入出庫扉を閉じる ことを含み、 前記内部情報入力部に内部情報を入力した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記内部情報入力部に入力した内部情報とは異なる内部情報を入力することをさらに含む、駐車装置の制御方法。 【請求項7】 請求項1、2、4および5のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。 【請求項8】 前記表示部に確認情報を表示した後、前記入出庫扉を閉じる前に、パレットの間に障害物があることを検知した場合に、前記確認情報を更新して表示することをさらに含む請求項3に記載の駐車装置の制御方法。 【請求項9】 請求項3、6および8のいずれか一に記載の駐車装置の制御方法によって制御する制御部を有することを特徴とする駐車装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-10-09 |
出願番号 | 特願2015-156178(P2015-156178) |
審決分類 |
P
1
652・
852-
ZDA
(E04H)
P 1 652・ 853- ZDA (E04H) P 1 652・ 856- ZDA (E04H) P 1 652・ 841- ZDA (E04H) P 1 652・ 851- ZDA (E04H) P 1 652・ 857- ZDA (E04H) P 1 652・ 121- ZDA (E04H) P 1 652・ 113- ZDA (E04H) |
最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 新井 夕起子 |
特許庁審判長 |
秋田 将行 |
特許庁審判官 |
有家 秀郎 住田 秀弘 |
登録日 | 2018-03-30 |
登録番号 | 特許第6313266号(P6313266) |
権利者 | 日本発條株式会社 株式会社ニッパツパーキングシステムズ |
発明の名称 | 駐車装置及び駐車装置の制御方法 |
代理人 | 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ |
代理人 | 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ |
代理人 | 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ |