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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09K
審判 全部申し立て 2項進歩性  C09K
管理番号 1359577
異議申立番号 異議2018-700428  
総通号数 243 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-03-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-28 
確定日 2020-01-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6241534号発明「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物及びその応用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6241534号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-19〕について訂正することを認める。 特許第6241534号の請求項3、4、10-19に係る特許を維持する。 特許第6241534号の請求項1、2、5-9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6241534号の請求項1?19に係る特許(以下、各請求項に係る特許を項番号に合わせて「本件特許1」などといい、まとめて「本件特許」という。)についての出願は、平成28年11月15日(優先権主張 平成27年11月20日)に出願されたものであって、平成29年11月17日にその特許権の設定登録がされ、同年12月6日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、本件特許1?19に対して、平成30年5月28日に特許異議申立人であるザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニーにより特許異議の申立てがなされた。
本件特許異議申立事件における、その後の手続の経緯は、以下のとおりである。
平成30年 9月 7日付け:(当審)取消理由通知
同年11月12日 :(特許権者)意見書及び訂正請求書の提出
平成31年 1月23日 :(特許異議申立人)意見書の提出
同年 2月27日付け:(当審)訂正拒絶理由通知及び審尋
同年 3月29日 :(特許権者)意見書及び手続補正書の提出
同年 4月24日 :(特許権者)回答書の提出
令和元年 6月20日付け:(当審)取消理由通知(決定の予告)
同年 8月26日 :(特許権者)意見書及び訂正請求書の提出
同年10月11日 :(特許異議申立人)意見書の提出
なお、平成30年11月12日になされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 本件訂正の適否についての判断

1 本件訂正の内容(訂正事項)
令和元年8月26日になされた訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許法第120条の5第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1?19を訂正単位として訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、次のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に
「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.1重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6665x+62.786/0.7204x+31.027/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0914x^(2)-4.2444x+69.184/0.1181x^(2)-6.3648x+93.765/100-R32-R125-1234yf)、
点F(0.0323x^(2)-2.5621x+50.802/0.0346x^(2)-3.9904x+67.56/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(0.0501x^(2)-3.9756x+61.989/-0.0296x^(2)+1.5133x+30.248/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 16.1重量%>x≧14.1重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0495x^(2)-3.1434x+61.991/0.1723x^(2)-8.1236x+107.78/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.5049x+42.339/-2.6349x+55.315/100-R32-R125-1234yf)、
点E(0.2747x^(2)-9.7967x+99.415/0.6366x^(2)-25.375x+276.93/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
14.8重量%>x≧14.1重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9770x+59.575/-x+38.4)、
16.1重量%>x≧14.8重量%のときは
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.8重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.2857x+56.7/0.7747x+30.285/100-R32-R125-1234yf)、
点C(-1.5714x+49.5/-2.8043x+66.812/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.2857x+38.8/-2.4954x+53.076/100-R32-R125-1234yf)、
点E(-1.1429x+31.3/-5.3142x+118.96/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.8重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.4615x+42.854/-5.931x+142.94/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3846x+46.362/-2.5156x+61.961/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.3846x+40.462/-2.5401x+53.827/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(-1.0769x+30.192/-4.9692x+113.16/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.0442x+35.27/0.2703x^(2)-15.221x+222.52/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3145x+45.088/-2.4404x+60.615/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.2138x+37.381/-0.1576x^(2)+3.716x-7.7649/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.8869x+26.726/-4.3267x+101.52/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 21.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.875x+31.9/-4.3372x+112.98/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.25x+43.8/-2.375x+59.3/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.125x+35.6/-2.1875x+47.25/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.75x+24/-3.8831x+92.657/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 24.2重量%>x≧21.6重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.7267x+28.67/0.1603x^(2)-10.987x+181.821/00-R32-1234yf-R134a)、
点C(0.0529x^(2)-3.5375x+68.536/0.0431x^(2)-4.1038x+76.546/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.9651x+53.771/0/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.6163x+21.118/0.0663x^(2)-6.4133x+116.38/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。」
とあるのを、
「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.4515x+46.075/-2.5842x+62.058/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.3447x+41.226/0.0959x^(2)-5.7176x+82.165/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.1044x^(2)-4.7203x+63.337/0.3836x^(2)-18.386x+233.37/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-1.0442x+33.87/0.2539x^(2)-14.531x+212.38/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.3145x+45.588/-2.4717x+59.031/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.258x+39.651/0.0607x^(2)-4.7348x+75.905/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.8869x+26.126/0.1994x^(2)-11.991x+177.97/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-0.7733x+28.448/0.0598x^(2)-6.503x+129.46/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.157x+40.426/-2.1919x+53.439/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.1163x+26.822/0.0721x^(2)-5.1875x+80.404/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.7733x+25.848/0.1578x^(2)-10.613x+167.02/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。」
に訂正する(請求項3の記載を直接又は間接的に引用する請求項10?19の記載についても同様に訂正する。)。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に
「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.2重量%>x≧11.6重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
点J(-3.5769x+75.492/1.2204x+24.143/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2.3846x+61.662/-4.0172x+84.9/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 15.3重量%>x≧14.2重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
14.8重量%>x≧14.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
15.3重量%>x≧14.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
及び
点J(-3.4381x+73.493/1.1236x+25.522/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(0.9091x^(2)-29.091x+257.58/0.8579x^(2)-29.085x+267.88/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.2重量%>x≧15.3重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点J(-3.5556x+75.3/1.2095x+24.209/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2x+55.9/-3.4439x+76.392/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 17.5重量%>x≧16.2重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
点J(-1.6163x+43.882/-6.3674x+146.95/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-1.8488x+53.445/-3.1206x+71.153/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 19.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
19.0重量%>x≧18.1重量%のときは
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
及び、
点J(0.1273x^(2)-6.1109x+83.553/0.1532x^(2)-11.484x+189.57/100-R32-R125-1234yf)、
点X(-0.1696x^(2)+1.0575x+54.537/-0.2271x^(2)+15.05x-177.28/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 20.8重量%>x≧19.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
20.0重量%>x≧19.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
及び、
点Q(-0.0198x^(2)+27.157x-31.225/-0.0377x^(2)+3.0486x-17.594/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
(1)-7 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
及び、
点Q(-0.0984x^(2)+6.1633x-68.728/-0.0617x^(2)+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x^(2)+1.5234x-4.0783/-0.0503x^(2)+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
(1)-8 25.6重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-8 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
24.5重量%>x≧23.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
25.6重量%>x≧24.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
及び、
点Q(-0.0115x^(2)+2.3422x-26.868/-0.1077x^(2)+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.1398x^(2)+8.0281x-81.391/-0.0932x^(2)+5.7935x-58.514/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物8、並びに
(1)-9 26.6重量%≧x≧25.6重量%であり、
(2)-9 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点Q(8.2x-184.32/-5x+163.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(1.2x+1.88/1.246x-3.0431/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物9、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。」
とあるのを、
「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 20.0重量%>x>17.5重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
20.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
及び、
点O(-3.1554x+89.013/1.1108x+15.673/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(0.0698x^(2)-4.6141x+93.254/0.1361x^(2)-8.5106x+142.27/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 20.8重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-3.5x+95.9/1.5661x+6.5807/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-2.9691x+85.881/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 x=20.8重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-2.25x+69.9/0.3629x+31.605/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-3.0619x+87.812/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。」
に訂正する(請求項4の記載を直接又は間接的に引用する請求項10?19の記載についても同様に訂正する。)。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(7) 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8) 訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9) 訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(10) 訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に
「冷凍機油を含有する、請求項1?9のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「冷凍機油を含有する、請求項3又は4のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する(請求項10の記載を直接又は間接的に引用する請求項11?1?19の記載についても同様に訂正する。)。
(11) 訂正事項11
特許請求の範囲の請求項12に
「混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒である、請求項1、2及び4?11のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒である、請求項4、10及び11のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する(請求項12の記載を直接又は間接的に引用する請求項14?19の記載についても同様に訂正する。)。
(12) 訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13に
「HCFC冷媒であるR22の代替冷媒である、請求項1?3及び6?11のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「HCFC冷媒であるR22の代替冷媒である、請求項3、10及び11のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する(請求項13の記載を直接又は間接的に引用する請求項14?19についても同様に訂正する。)。
(13) 訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14に
「トレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項1?13のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「トレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項3、4及び10?13のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する(請求項14の記載を引用する請求項16?19の記載についても同様に訂正する。)。
(14) 訂正事項14
特許請求の範囲の請求項15に
「前記組成物が、前記フッ素化炭化水素の混合物のみからなる、請求項1?14のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「前記組成物が、前記フッ素化炭化水素の混合物のみからなる、請求項3、4、12及び13のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する(請求項15の記載を引用する請求項16?19の記載についても同様に訂正する。)。
(15) 訂正事項15
特許請求の範囲の請求項16に
「請求項1?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。」
とあるのを、
「請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。」
に訂正する。
(16) 訂正事項16
特許請求の範囲の請求項17に
「請求項1?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。」
とあるのを、
「請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。」
に訂正する。
(17) 訂正事項17
特許請求の範囲の請求項18に
「請求項1?15のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。」
とあるのを、
「請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。」
に訂正する。
(18) 訂正事項18
特許請求の範囲の請求項19に
「冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、請求項1?15のいずれかに記載の組成物。」
とあるのを、
「冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物。」
に訂正する。
(19) 訂正事項19?26
願書に添付した明細書の【表3-9】(【0102】)?【表3-16】(【0116】)の各表において、「R134a近似式」という項目に、
「100-R32-1234yf-R134a」
とあるのを、
「100-R32-R125-1234yf」
に訂正する。
(20) 訂正事項27
願書に添付した明細書の【0032】に記載された形態1-3-Aの混合物5?7における点B’、C’、F’及びE’の「R134a近似式」に、
「100-R32-1234yf-R134a」
とあるのを、
「100-R32-R125-1234yf」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1、2、5?9について
訂正事項1、2、5?9は、訂正前の請求項1、2、5?9を削除するものであるから、これらの訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
(2) 訂正事項3について
ア 訂正事項3は、大別すると、次の3つの訂正事項(訂正事項3-1?3-3)からなるものということができる。
(i)訂正事項3-1
本件訂正前(設定登録時)の請求項3には、フッ素化炭化水素の混合物は、R32、R125、1234yf及びR134a(以下、これら4成分をまとめて「基本4成分」という。)を特定組成で含有することが記載され、当該基本4成分とは異なる他の成分についての明示的な記載はなく、また、当該他の成分の含有量については何ら記載されていなかったところ、当該混合物は、「R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下」であることを規定する。
(ii)訂正事項3-2
本件訂正前の請求項3に記載されていた混合物1?7を、新たな混合物4?6とする。
(iii)訂正事項3-3
本件訂正前の請求項3には、混合物1?7からなる群から選択される「少なくとも一種を含有する」組成物と記載されていたところ、これを「一種を含有する」とする。
イ 訂正事項3-1は、明細書の【0151】?【0157】の記載に基づいて、組成物が上記基本4成分とは異なる他の成分を含有し得ることを明示した上で、その含有量の上限を規定することによって、組成物を限定するものである。
したがって、当該訂正事項3-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
ウ 訂正事項3-2は、フッ素化炭化水素の混合物の選択肢として記載されていた混合物の一部を削除するとともに、明細書の【0030】に記載された「形態1-3」、すなわち、本件訂正前の請求項3に記載されていた形態を、当該「形態1-3」の下位概念として明細書の【0032】に記載された「形態1-3-A」とするものであり、併せて、当該「形態1-3-A」に記載された混合物5及び6の点B’、C’、F’及びE’におけるR134aの濃度の誤記「100-R32-1234yf-R134a」を、明細書の【0102】【表3-9】の記載などに基づいて、「100-R32-R125-1234yf」とするものである。
したがって、当該訂正事項3-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(ただし、誤記の訂正については、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項)の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
エ 訂正事項3-3は、本件訂正前の請求項3に記載されていた、混合物1?7からなる群から選択される「少なくとも一種」(二種以上の混合物が選択されることは技術的にあり得ない。)という明瞭でない記載を、選択肢を限定することにより技術的に正して明確化するものである。
したがって、当該訂正事項3-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
(3) 訂正事項4について
ア 訂正事項4は、大別すると、次の3つの訂正事項(訂正事項4-1?4-3)からなるものということができる。
(i)訂正事項4-1
本件訂正前(設定登録時)の請求項4には、フッ素化炭化水素の混合物は、上記基本4成分を特定組成で含有することが記載され、当該基本4成分とは異なる他の成分についての明示的な記載はなく、また、当該他の成分の含有量については何ら記載されていなかったところ、当該混合物は、「R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下」であることを規定する。
(ii)訂正事項4-2
本件訂正前の請求項4に記載されていた混合物1?9を、新たな混合物1?3とする。
(iii)訂正事項4-3
本件訂正前の請求項4には、混合物1?9からなる群から選択される「少なくとも一種を含有する」組成物と記載されていたところ、これを「一種を含有する」とする。
イ 訂正事項4-1は、明細書の【0151】?【0157】の記載に基づいて、組成物が上記基本4成分とは異なる他の成分を含有し得ることを明示した上で、その含有量の上限を規定することによって、組成物を限定するものである。
したがって、当該訂正事項4-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
ウ 訂正事項4-2は、フッ素化炭化水素の混合物の選択肢として記載されていた混合物の一部を削除するとともに、明細書の【0034】に記載された「形態1-4」、すなわち、本件訂正前の請求項4に記載されていた形態を、当該「形態1-4」の下位概念として明細書の【0038】に記載された「形態1-4-B」とするものであり、併せて、当該「形態1-4-B」の混合物1における18.1重量%>x≧17.5重量%のときの点G’に関する誤記「点G’(100-R32-1234yf-R134a-/0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)」を、明細書の【0096】【表3-6】の記載などに基づいて、「点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)」とするものである。
したがって、当該訂正事項4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項(ただし、誤記の訂正については、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項)の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
エ 訂正事項4-3は、本件訂正前の請求項4に記載されていた、混合物1?9からなる群から選択される「少なくとも一種」(二種以上の混合物が選択されることは技術的にあり得ない。)という明瞭でない記載を、選択肢を限定することにより技術的に正して明確化するものである。
したがって、当該訂正事項4-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
(4) 訂正事項10?18について
訂正事項10?18は、訂正事項1、2、5?9に係る請求項1、2、5?9の削除に伴い、請求項10、12?19における引用請求項の明瞭化を図るもの、あるいは、当該引用請求項の一部を削除するものと捉えることができるから、これらの訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮又は同第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるといえるとともに、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。
(5) 訂正事項19?27について
訂正事項19?27は、明細書の【表3-9】(【0102】)?【表3-16】(【0116】)に記載された「R134a近似式」及び【0032】に記載された形態1-3-Aの混合物5?7における点B’、C’、F’及びE’に記載された「R134aの濃度」に関する明らかな誤記を訂正するものであるから、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものであるといえるとともに、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、かつ実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないから、同法同条第9項で準用する第126条第5項及び第6項の規定に適合するものと認められる。

3 小括
上記前記1、2のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項の規定に従い、一群の請求項を構成する請求項1?19を訂正単位として訂正することを求めるものであり、その訂正事項はいずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号又は第3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?19〕について訂正することを認める。

第3 本件特許請求の範囲の記載

上記第2のとおり、本件訂正は認容し得るものであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、本件訂正後の、次のとおりのものである(以下、請求項3、4、10?19に係る発明を、請求項の項番号に合わせて「本件特許発明3」などといい、まとめて「本件特許発明」という。)。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.4515x+46.075/-2.5842x+62.058/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.3447x+41.226/0.0959x^(2)-5.7176x+82.165/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.1044x^(2)-4.7203x+63.337/0.3836x^(2)-18.386x+233.37/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-1.0442x+33.87/0.2539x^(2)-14.531x+212.38/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.3145x+45.588/-2.4717x+59.031/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.258x+39.651/0.0607x^(2)-4.7348x+75.905/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.8869x+26.126/0.1994x^(2)-11.991x+177.97/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-0.7733x+28.448/0.0598x^(2)-6.503x+129.46/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.157x+40.426/-2.1919x+53.439/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.1163x+26.822/0.0721x^(2)-5.1875x+80.404/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.7733x+25.848/0.1578x^(2)-10.613x+167.02/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。
【請求項4】
フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 20.0重量%>x>17.5重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
20.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
及び、
点O(-3.1554x+89.013/1.1108x+15.673/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(0.0698x^(2)-4.6141x+93.254/0.1361x^(2)-8.5106x+142.27/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 20.8重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-3.5x+95.9/1.5661x+6.5807/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-2.9691x+85.881/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 x=20.8重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-2.25x+69.9/0.3629x+31.605/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-3.0619x+87.812/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
冷凍機油を含有する、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項11】
前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒である、請求項4、10及び11に記載の組成物。
【請求項13】
HCFC冷媒であるR22の代替冷媒である、請求項3、10及び11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
トレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項3、4及び10?13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、前記フッ素化炭化水素の混合物のみからなる、請求項3、4、12及び13のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。
【請求項17】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。
【請求項18】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。
【請求項19】
冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物。」

第4 取消理由(決定の予告)の概要

令和元年6月20日付けの取消理由(決定の予告)において、当審が指摘した取消理由は、下記のとおりである。
なお、下記取消理由1?5における本件特許発明及び本件特許の番号は、本件訂正前になされた平成30年11月12日付けの訂正(みなし取下げ)後の請求項の項番号に対応するものである。

1 サポート要件:特許法第36条第6項第1号(同法第113条第4号)
本件特許発明3?5、10?14、16?19は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないから、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件特許3?5、10?14、16?19は、同法第113条第4号に該当するため、取り消すべきものである。

2 実施可能要件:特許法第36条第4項第1号(同法第113条第4号)
発明の詳細な説明の記載は、当業者が、本件特許発明12?19を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないから、本件出願は、発明の詳細な説明の説明が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件特許12?19は、同法第113条第4号に該当するため、取り消すべきものである。

3 明確性要件:特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)
本件特許発明3、5、10?19は明確ではないから、本件出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件特許3、5、10?19は、同法第113条第4号に該当するため、取り消すべきものである。

4 新規性:特許法第29条第1項第3号(同法第113条第2号)
本件特許発明3?5、10?19は、下記甲1?5に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができない。
したがって、本件特許3?5、10?19は、同法第113条第2号に該当するため、取り消すべきものである。

5 進歩性:特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
本件特許発明3?5、10?19は、下記甲1?5に記載された発明及び甲1?9に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本件特許3?5、10?19は、同法第113条第2号に該当するため、取り消すべきものである。

<証拠一覧>
以下では、特許異議申立人が提出した甲第1?9号証を「甲1」などとした。
(主引例)
甲1:特表2013-529703号公報
甲2:特表2015-511262号公報
甲3:特表2012-509390号公報
甲4:特表2012-526182号公報
甲5:特表2014-514423号公報
(周知文献)
甲6:国際公開第2015/141676号公報
甲7:特表2008-531836号公報
甲8:特表2007-535611号公報
甲9:特表2013-530265号公報

第5 各取消理由について

上記の取消理由が、本件訂正後の本件特許発明及び本件特許に対しても当てはまるものであるか否かについて検討したところ、当審は、いずれの取消理由も本件訂正後のものに対しては妥当しないと判断する。
以下、その理由について詳述する。

1 取消理由1(サポート要件)について
(1) 前提
特許請求の範囲の記載が、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものと解される。
そこで、以下、本件特許発明が、「発明の詳細な説明の記載及び技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲」のものであるか否かについて検討する。
(2) 本件特許発明の課題
本件特許明細書の発明の詳細な説明の【0009】によれば、本件特許発明は、少なくとも、「GWPが小さく、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物を提供すること」を課題とするものと認められる。
また、同【0012】には、本件特許発明の効果として、「フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含むことにより、1500以下のGWP及びASHRAE不燃の性能を兼ね備える」ことが記載され、同【0017】、【0018】には、「本発明の組成物は、GWPが1500以下であり、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える。GWPは1500以下とすることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。また、ASHRAE不燃であることにより、可燃性冷媒に比して安全性が高く使用可能範囲が広い」ことが記載されており、さらに、図面には、GWPが1500以下である領域が図示されていることが分かる(【0013】)。
そうすると、これらの記載に接した当業者は、上記課題の「GWPが小さく」とは、GWPが1500以下であることを意味すると考えるのが合理的である。
(3) 発明の詳細な説明の記載と「発明の詳細な説明の記載及び技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲」について
本件特許明細書の発明の詳細な説明には、上記課題に係る1500以下のGWPの領域及びASHRAE不燃となる領域を、実験や「REFPROP9.0」(【0068】参照)なる計算ソフトを用いるなどして画定し、図面を作成した旨記載されているところ、当該画定に供されたフッ素化炭化水素の混合物の成分系は、R32、R125、1234yf及びR134aの4成分系(以下、「基本4成分」という。)のみである。
そうすると、当該混合物が、当該基本4成分とは異なる他の成分を含有する場合、例えば当該基本4成分とは異なる他の成分が、混合物の大半を占めるような場合については何ら検証されていないといわざるを得ず、このような場合についてまで、上記課題に係る1500以下のGWPの領域及びASHRAE不燃となる領域に属するか否か、すなわち、当該課題を解決することができるか否かは、当業者といえども、発明の詳細な説明の記載から理解することはできないというべきである。むしろ、当該基本4成分とは異なる他の成分の中には、GWPが極めて高い化合物や、可燃性の高い化合物が存在することから、これらの化合物が組成物の大半を占める場合に、上記課題が解決できるとは到底いえない。また、当該基本4成分とは異なる他の成分を多分に含有する場合においても上記課題を解決することができることを、ただちに認識するに足りる技術常識は見当たらない。
したがって、フッ素化炭化水素の混合物に関する「発明の詳細な説明の記載及び技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲」は、実質的に上記基本4成分である場合に限られると解するのが相当である。
(4) サポート要件についての当審の判断
本件特許発明3、4及びこれらを引用する本件特許発明10?19は、上記第3のとおり、その混合物中の、上記基本4成分とは異なる他の成分の含有量を、0.5重量%以下と規定していることから、当該混合物は、実質的に上記基本4成分から構成されるものということができる。
したがって、当該発明に係る混合物は、上記(3)において検討した「発明の詳細な説明の記載及び技術常識により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲」内のものと認められるから、これらの発明について特定した請求項3、4、10?19の記載は、サポート要件に適合するものである。
よって、本件特許請求の範囲の記載に特許法第36条第6項第1号所定のサポート要件違反は認められないから、同法第113条第4号に該当することを理由に、本件特許3、4、10?19を取り消すことはできない。

2 取消理由2(実施可能要件)について
本件特許発明12、13は、本件特許発明3、4(さらには冷凍機油を含有する本件特許発明10、11)に係る特定の混合物を含有する組成物が、R404AないしR22の代替冷媒であることを特定するものである。
そして、そのような代替冷媒となるには、GWP1500以下やASHRAE不燃といった要件のほかに、CAP、COP、吐出温度などの諸特性が既存冷媒と同等又はそれ以上であるという要件を満足する必要があるところ、当該混合物が、上記基本4成分のみからなる場合については、本件特許明細書の【表5-5】?【表5-11】、【表6-7】?【表6-13】の実験データなどからみて、それらの要件を満足するものと解することができる。
例えば、本件特許発明3の混合物4についていうと、本件特許明細書【0205】の【表5-5】には、当該混合物4に属する、x=16.1の場合の四角形B’C’F’E’に関する実験データが記載されているところ、同表の実施例2-36、2-41?2-43に記載された各頂点の性能(成績係数(対R22%)、冷凍能力(対R22%)、吐出温度(℃)、吐出圧力(対R22%))の数値から、当該四角形B’C’F’E’の各頂点の組成比を有する混合物は、上記の要件を満足していることが見て取れる。また、基本4成分の組成比と当該性能の数値との関係(基本4成分の組成比が変化した場合の、当該性能の数値の増減傾向)もおおよそ看取できるから(上記表中の各点の性能の数値に加え、特許権者が令和元年8月26日に提出した意見書の第11頁に記載された図も参酌した。)、当該四角形B’C’F’E’の範囲に含まれる組成比を有するものであれば、上記の要件を満足していることが理解できる。
さらに、本件訂正により、本件特許発明3、4の混合物は、上記基本4成分とは異なる他の成分の含有量が0.5重量%以下と規定され、実質的に基本4成分から構成されるものに限定されることとなったため、当該混合物についても、その効用が検証された基本4成分のみからなる混合物と同様の効用を示すものと解するのが合理的である。
そうすると、当業者であれば、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載及び本件出願時の技術常識に基づいて、本件特許発明3、4(さらには本件特許発明10、11)に係る特定の混合物を含有する組成物を、R404AないしR22の代替冷媒として使用することができるものと認められ、当該発明の詳細な説明の記載は、本件特許発明12及び13、並びにこれらを引用する本件特許発明14?19を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものであるということができるから、実施可能要件に適合するものである。
したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載に特許法第36条第4項第1号所定の実施可能要件違反は認められないから、同法第113条第4号に該当することを理由に、本件特許3、4、10?19を取り消すことはできない。

3 取消理由3(明確性要件)について
(1) 先の取消理由通知において明確性要件違反を指摘した事項は以下のとおりである。
『請求項4には、混合物1に関する、「点・・・を頂点とする点又は三角形」との記載があるが、当該「点・・・を頂点とする点」の内容が明確でない(3点のうちの、どの点を指すのかが明確でない。)。
同様に、請求項5には、混合物6に関する、「点・・・を頂点とする五角形又は三角形」との記載があるが、「点・・・を頂点とする三角形」の内容が明確でない(5点のうちの、どの3点を選択した三角形であるのかが明確でない。)。
これらの請求項を引用する請求項10?19の記載についても同様である。
したがって、本件特許発明3、5、10?19は明確とはいえず、請求項3、5、10?19の記載は、特許法第36条第6項第2号明確性要件に適合するものではない。』
(2) 上記の指摘事項は、本件訂正において、請求項4における「点・・・を頂点とする点又は三角形」は「点・・・を頂点とする三角形」とされ、また、請求項5は削除されたことにより、解消したものと認められる。
(3) したがって、本件特許請求の範囲の記載に特許法第36条第6項第2号所定の明確性要件違反は認められないから、同法第113条第4号に該当することを理由に、本件特許3、4、10?19を取り消すことはできない。

4 取消理由4及び5(新規性進歩性)について
(1) 主引例である甲1?5の記載事項
ア 甲1の記載事項
・「【請求項1】
ジフルオロメタンと、ペンタフルオロエタンと、1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとを含む、熱伝達組成物。
【請求項2】
重量ベースで1%?97%のジフルオロメタンと、1%?97%のペンタフルオロエタンと、1%?97%の1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、1%?97%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとを含む、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
重量ベースで約10%?35%のジフルオロメタンと、約10%?35%のペンタフルオロエタンと、約10%?60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、約10%?60%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとを含む、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項4】
重量ベースで約15%?30%のジフルオロメタンと、約15%?30%のペンタフルオロエタンと、約15%?40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタンと、約15%?40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとを含む、請求項1に記載の熱伝達組成物。」
・「【請求項23】
潤滑剤をさらに含む、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項24】
前記潤滑剤がポリオールエステル油、ポリグリコール、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン油、ポリアルファオレフィン及びその混合物から選択される、請求項23に記載の熱伝達組成物。」
・「【背景技術】
【0002】
規制上の継続的な圧力に伴って、オゾン層破壊ポテンシャル及び地球温暖化ポテンシャルがより低い冷媒、熱伝達流体、発泡剤、溶媒及びエアロゾルのための環境的により持続可能な代替品を特定する必要性が高まってきている。これらの利用分野のために広く使用されているクロロフルオロカーボン(CFC)とヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、オゾン層破壊性物質であり、モントリオール議定書のガイドラインにしたがって廃止されつつある。ヒドロフルオロカーボン(HFC)は、多くの利用分野におけるCFC及びHCFCの主要な代替品である。これはオゾン層に「優しい」ものとみなされているが、それでも一般に高い地球温暖化ポテンシャルを有する。
【0003】
例えば、オゾン層破壊ポテンシャル(ODP)を有するHCFC冷媒であるR-22を代替するためにいくつかのHFC系冷媒が開発されてきた。これらには、R-404A、R-407C、R-407A、R-417A、R-422D、R-427A、R-438A他が含まれる。しかしながら、HFC系のR-22代替品の大部分は、R-22よりも高い地球温暖化ポテンシャルを有し、しかも同時に性能特性も低下させる。例えばR-404A及びR-407Aは、一部の条件下でR-22よりわずかに高い冷凍能力(CAP)を有するものの、性能(COP)はより低いものである可能性がある;R-407Cは、わずかに低いGWPを有するが、同様に冷凍の利用分野におけるCAP及びCOPも低い;他の多くのR-22代替品は、GWPがより高いものであるばかりでなく、CAP及びCOPも低い。図3はR22及びいくつかのR-22代替品のGWPの比較を示している。
【0004】
別の制約条件は、大部分のHFCに適切な性能を提供するのに必要な鉱油などの従来の潤滑剤との混和性が欠如しているという点にある。その結果、鉱油の代りにポリオールエステル(POE)油、ポリアルキレングリコール(PAG)油、及びポリビニルエーテル(PVE)油などの酸素処理された潤滑剤が導入されることになった。これらの新しい潤滑剤は、従来の鉱油潤滑剤に比べてはるかに高価であり得る上に、吸湿性が極めて高い可能性がある。
【0005】
鉱油との混和性を改善し、かくして油の戻りを改善する目的で、ブタン、プロパン又はペンタンなどの低沸点炭化水素を少量取込んだR-422D及びR-438Aなどの複数の冷媒組成物が開発されてきた。しかしながら、米国特許第6,655,160号明細書及び米国特許第5,688,432号明細書に教示されているように、安全上の理由から冷媒組成物の可燃性を低下させるために、冷媒組成物中の炭化水素の量を最小限に抑えるべきであるということが認識されてきた。
【0006】
R-22の代替品として用いるように設計されたHFC製品の中でも、R-407Cは特に、空調の利用分野においてR-22に代替するために開発されてきた。この製品は、R32、R-125及びR-134aを23/25/52重量%の割合で組合せた混合物である。R-32は、ジフルオロメタンを表わし、R-125はペンタフルオロエタンを表わし、R-134aは1,1,1,2-テトラフルオロエタンを表わす。R-407Cは、R-22の熱力学特性と非常に類似した熱力学特性を有する。この理由から、R-407Cは、R-22を用いて作動するように設計された旧システムにおいて使用可能であり、したがって、これらの旧システムを転換させるための手順の中で成層圏オゾン層に関してより安全であるHFC流体をHCFCに代って使用することが可能になる。関係する熱力学特性は、当業者にとって周知であり、詳細には、冷凍能力、性能係数(つまりCOP)及び凝縮圧力である。
【0007】
冷凍能力は、所与の圧縮機に対して冷媒が提供する冷凍力を表わす。R-22の代替品となるためには、R-22のものに近い高い冷凍能力を有する流体を入手することが不可欠である。
【0008】
COPは、蒸気状態の冷媒を圧縮するために圧縮機に適用されるエネルギーに対する送出された冷凍エネルギーの比を表わしている。R-22の代替品に関しては、プラントの電力消費量の増加が許容される場合、R-22のものより低い冷媒COP値が好適である。
【0009】
最後に、凝縮圧力は、冷凍回路の対応する機械的部分に対して冷媒が及ぼす応力を表わす。R-22用に設計された冷凍システム内でR-22の代替品となり得る冷媒は、R-22のものよりも有意に大きい凝縮圧力を示してはならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては、低いGWPのみならず能力と性能の間の予想外に優れた平衡を有する熱伝達組成物が発見された。好ましくは、本発明の熱伝達組成物は低い可燃性を有し、より好ましくは本発明の熱伝達組成物は不燃性であり、さらに一層好ましくは、本発明の熱伝達組成物は不燃性でかつさまざまな漏洩シナリオの後でも不燃性であり続け、さらに一層好ましくは、ASHRAE SSPC34にしたがった不燃性を有する。本発明の別の実施形態は、R-422Dなどの少量の炭化水素を取込んだものを含め、熱伝達装置内においてHFC冷媒に比べ改善された油の戻り特性を有する冷媒組成物である。いかなる形であれ本発明の範囲を限定することは意図されていないものの、本発明の熱伝達組成物は、新規の冷凍、空調、ヒートポンプ又は他の熱伝達装置において有用である。別の実施形態において、本発明の熱伝達組成物は、R-22、R-407C、R-427A、R-404A、R-407A、R-417A、R-422D他を含む(ただしこれらに限定されない)既存の装置内の冷媒のためのレトロフィットとして有用である。」
・「【0019】
本発明の熱伝達組成物は、既存の冷媒、特により高いオゾン層破壊ポテンシャル(ODP)又はより高い地球温暖化ポテンシャル(GWP)を有する冷媒の代替品として使用することができる。・・・一実施形態において、本発明の熱伝達組成物はR-22又はR-404Aの代替品として使用でき、好ましくはここで本発明の熱伝達組成物は、約10wt%?50wt%のR-32、より好ましくは約10wt%?30wt%のR-32を含む。
【0020】
本発明の一実施形態において、本発明の熱伝達組成物は、5wt%?40wt%のR-32、5wt%?40wt%のR-125、5wt%?60wt%のR-134a、及び5wt%?75wt%のR-1234yfを含み、好ましくはここでR1234yfとR-134aの組合せ合計は30wt%?80wt%である。本発明の別の実施形態において、これらの熱伝達組成物は、R-22の代替品として特に有用である。」
・「【0026】
本発明の範囲を何らかの形で限定することが意図されているわけではないが、R-22及びR-404Aの代替品として使用するための本発明の熱伝達組成物の実施例が表1に示されている。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明の範囲を何らかの形で限定することが意図されているわけではないが、R-22の代替品として使用するための本発明の熱伝達組成物の実施例が表2に示されている。
【0029】
【表2ー1】

【0030】
【表2ー2】

【0031】
【表2ー3】


・「【0041】
本発明の一実施形態は、低いGWP値を伴う熱伝達組成物であり、好ましくはここで、GWPは2000未満、より好ましくは1500未満、より好ましくは1400未満そしてさらに一層好ましくは1000未満である。」
・「【0043】
本発明の熱伝達組成物は、潤滑油と組合せて使用されてよい。例示的潤滑油には、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、ポリグリコール、ポリビニルエーテル、鉱油、アルキルベンゼン油、ポリアルファオレフィン及びその混合物が含まれる。本発明の潤滑油は、極低粘度のものから高粘度のものまであり、好ましくは100°Fで15?800cSt、そしてより好ましくは20?100cStの粘度を有する。本発明において使用される典型的な冷凍用潤滑油は、100°Fで15、32、68及び100cStの粘度を有していた。」
・「【0064】
本発明の熱伝達組成物は、染料、安定剤、酸スカベンジャー、酸化防止剤、粘度調整剤、流動点降下剤、腐食防止剤、ナノ粒子、界面活性剤、相溶化剤、可溶化剤、分散剤、難燃剤、火炎抑制剤、製剤、滅菌剤、ポリオール、ポリオールプレミックス構成成分、化粧品、洗浄剤、フラッシング剤、消泡剤、油、着臭剤、トレーサー化合物及びその混合物と組合せた形で使用されてよい。」
・「【0067】
本発明の範囲を何らかの形で限定することが意図されているわけではないが、本発明の熱伝達組成物は、新規の冷凍、空調、ヒートポンプ又は他の熱伝達装置において有用である。別の実施形態において、本発明の熱伝達組成物は、R-22、R-407C、R-427A、R-404A、R-407A、R-417A、R-422D他を含めた(ただしこれらに限定されない)既存の装置内の冷媒に対するレトロフィットとして有用である。本発明の熱伝達組成物を既存の装置内の他の冷媒に対するレトロフィットとして使用する場合、圧力、吐出温度、質量流量などの作動特性が、代替される冷媒の作動特性と類似したものであることが好ましい。さらに一層好ましい実施形態において、本発明の熱伝達組成物は、熱膨張弁(TXV)の交換など、装置に追加の変更を加える必要性を回避するため代替される冷媒に充分近い作動特性を有している。」
・「【0072】
本発明の熱伝達組成物は、可動又は固定システム内で有用である。固定型空調及びヒートポンプとしては、冷却装置、高温ヒートポンプ、住宅用及び軽商業及び商業用空調システムが含まれるが、これらに限定されない。固定型冷凍利用分野としては、家庭用冷蔵庫、製氷機、ウォークイン及びリーチインクーラー及び冷凍庫等の設備及びスーパーマーケットシステムが含まれるが、これらに限定されない。本明細書中で使用される可動冷凍システム又は可動空調システムは、道路、鉄道、海上又は航空用輸送ユニット内に内蔵されるあらゆる冷凍又は空調器具を意味する。本発明は、自動車の空調器具又は冷凍式道路輸送設備などの、道路輸送用冷凍又は空調器具のために特に有用である。」
・「【実施例】
【0096】
実施例1
高圧シリンダに、21wt%のR-32(ジフルオロメタン)、25wt%のR-125(ペンタフルオロエタン)、22wt%のR-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプロペン)及び32wt%のR-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)を含む組成物を添加した。その後、シリンダの内容物の液体及び蒸気画分をガスクロマトグラフィによって分析して、組成を決定した。組成物は表6に示され、組成物の各々は、不燃性であるか又は非常に低い可燃性特性を有する。
【0097】
【表6】

【0098】
実施例:冷凍装置の試験
空調及び冷凍装置の試験向けに設計された並列断熱チャンバで構成される環境的に制御された施設内で、装置の試験を実施した。各チャンバは、広範囲の環境条件下でフルスケールHVACRシステムの性能を特徴づけする目的で、温度、湿度及び空気流を調節するために独立した制御システムを使用している。中乃至低温のウォークインクーラータイプR-22冷凍システムに制御システムを設置した。このシステムは、整合したBohn蒸発器とSporlan恒温膨張弁を伴う1-1/2HPの半密封Copeland圧縮機で駆動される。システム内の主要箇所における冷媒状態を判定するため全体にわたって圧力トランスジューサ及び抵抗温度検出器を設置する。冷媒流量を測定するためにはCoriolis計を使用し、一方システム及びその構成要素の電力消費量を測定するためには、電力計を使用する。最後に、圧縮機点検窓内のオイルのレベルを遠隔監視するためには、ビデオカメラを使用する。
【0099】
システム性能を、さまざまなシステム条件において評価することができた。冷媒の熱力学特性とシステム条件の測定値を用いて、運転の後に、能力(CAP)と性能(COP)の値を計算した。圧縮機点検窓内の液面を監視することによって、油の戻りを評価し、OEMのガイドライン内にとどまる安定した運転時液面を生じさせた冷媒/油の組合せを合格とみなした。
【0100】
非混和性又は部分混和性の潤滑剤を用いるシステム内の油ロギング(oil logging)も同様に、非混和性又は部分混和性の潤滑剤を使用した場合の冷媒の性能及び作動条件(例えば温度、圧力、流速)と、混和性潤滑剤を使用した場合の性能及び作動条件とを比較することによって、推測することができた。
・・・
【0106】
実施例7
冷媒が約21重量%のR-32、25重量%のR-125、22重量%のR-1234yf及び32重量%のR-134aの配合物(実施例7)であったという点を除いて、比較例3の場合と同様に冷凍システムを作動させた。全ての条件において、充分な油の戻りがあった。各々のボックス温度について、R-22に比べた能力及びCOPが表7に示されている。
【0107】
図1は、R-407CのCAPとの関係におけるR-422D、R-427A、R-438A及び、実施例7のCAPの比較を示す。実施例7の能力は、試験対象の全ての条件において、特により低いボックス温度において、他のR-22代替品の能力よりも大きかった。
【0108】
図2は、R-407CのCOPとの関係におけるR-422D、R-427A、R-438A及び実施例7のCOPの比較を示す。実施例7のCOPは、25°F及び50°Fのボックス温度でR-422Dのものよりも有意に高く、R-407C、R-438A及びR-427AのCOPに近いものであった。0°Fのボックス温度で、実施例7はR-407C、R-427A、R-438A又はR-422Dよりも大きいCOPを有していた。
【0109】
図3は、R-22、実施例7及び、比較例3、4、5及び6のものを含めた数多くのR-22レトロフィットについての計算上のGWPを示す。実施例7のGWPは、R-407C又はR-22のものよりも17%?18%低く、R-422Dのものよりも約45%低いものである。
【0110】
【表7】


・「【0114】
実施例10:性能データ
冷凍及び空調条件下での本発明の熱伝達組成物の性能データは、表8、9及び10に示されている。表8中、結果は、R-22、R-404A及びR-407Cに比較したものである。表9では、結果はR-134aに比較されている。表10は、結果はR-410Aに比較されている。各組成物についての構成成分(R-1234yf、R-32、R-134a、R-125)の値は、重量百分率として示されている。
【0115】
結果は以下の条件に基づくものである。
【0116】
【表8】

【0117】
圧縮機等エントロピー効率は、作動条件における圧縮比の計算された関数であり、S.K.Wang、「Handbook of air conditioning and refrigeration」、2nd ed.McGraw Hill(2000);及び2004 ASHRAE Handbook:HVAC Systems and Equipment中のデータにしたがって決定された。システムは内部熱交換器を有し、蒸発器及び凝縮器は、逆流モードにある。
【0118】
Tevap-outは、蒸発器の出口温度である。Tcomp-outは、圧縮器の出口温度である。Pevapは、蒸発器圧力である。Pcondは、凝縮器圧力である。CAPは能力であり、表8ではR-22、表9ではR-134aそして表10ではR-410Aの能力との関係において表わされている。%-COP/COP-Lは、ローレンツ成績係数との関係における成績係数である。
【0119】
【表9ー1】

【0120】
【表9ー2】

【0121】
【表9ー3】


イ 甲2の記載事項
・「【請求項1】
a.20質量パーセント?25.5質量パーセントのHFO-1234yfと、
b.20質量パーセント?24.5質量パーセントのHFC-32と、
c.24.5質量パーセント?30質量パーセントのHFC-125と、
d.25.5質量パーセント?30質量パーセントのHFC-134aと、
e.約0.0001質量パーセント?約10質量パーセントのトランス-HFO-1234zeと
から本質的になる非引火性冷媒混合物。
・・・
【請求項4】
(i)非引火性冷媒成分と、任意選択で
(ii)非冷媒成分と
からなる組成物であって、前記冷媒成分が請求項1に記載の非引火性冷媒混合物である組成物。
【請求項5】
前記冷媒成分が、
a.23質量パーセント?25.5質量パーセントのHFO-1234yfと、
b.22質量パーセント?24.5質量パーセントのHFC-32と、
c.24.5質量パーセント?27質量パーセントのHFC-125と、
d.25.5質量パーセント?28質量パーセントのHFC-134aと、
e.約0.0001質量パーセント?約5質量パーセントのトランス-HFO-1234zeと
から本質的になる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記非冷媒成分が存在し、潤滑剤、色素(UV色素を含む)、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、ペルフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食および酸化防止剤、金属表面エネルギー低下剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、発泡調節剤、粘度指数改善剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記非冷媒成分が、鉱油、アルキル置換芳香族化合物、アルキルベンゼン、合成パラフィンおよびナフテン、ポリ(アルファオレフィン)、ポリグリコール、ポリアルキレングリコール、二塩基酸エステル、ポリエステル、ポリオールエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル、ペルフルオロポリエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステル、ポリカーボネートおよびこれらの混合物からなる群から選択される潤滑剤である、請求項6に記載の組成物。
・・・
【請求項18】
R-404AおよびR-507からなる群から選択される冷媒を置換するための方法であって、請求項1に記載の冷媒混合物または請求項4に記載の組成物を冷凍装置に充填することを含む方法。」
・「【背景技術】
【0002】
冷凍産業では、過去数十年の間、モントリオール議定書(Montreal Protocol)の結果として段階的に廃止されつつある、オゾン層を破壊するクロロフルオロカーボン(CFC)およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の代替冷媒を見出す努力がなされてきた。ほとんどの冷媒製造業者にとっての解決法は、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒の商業化であった。現時点で最も広く使用されている新しいHFC冷媒のHFC-134aはオゾン層破壊係数がゼロであり、従って、モントリオール議定書の結果としての現規制の段階的廃止による影響を受けない。
【0003】
さらなる環境規制により、最終的には、特定のHFC冷媒の世界的な段階的廃止へと至り得る。現在、産業界は、移動空調で使用される冷媒についての地球温暖化係数(GWP)に関する規制に直面している。将来的に規制がより広く適用されれば、例えば固定空調および冷凍システムでは、冷凍および空調産業の全ての分野で使用することができる冷媒に対してさらにより大きい必要性が感じられるであろう。GWPに関連する最終的な規制要件についての不確実性によって、産業界は、複数の候補化合物および混合物を考慮することを強いられている。
【0004】
これまで提案されたHFC冷媒および冷媒ブレンドの代替冷媒としては、HFC-152a、純粋な炭化水素(例えば、ブタンまたはプロパンなど)、または「天然」冷媒(例えば、CO2など)が挙げられる。これらの提案された代替品のそれぞれは毒性、引火性、低エネルギー効率を含む問題を有するか、あるいは大きな装置設計の変更を必要とする。また、とりわけHCFC-22、R-134a、R-404A、R-507、R-407CおよびR-410Aに対して、新しい代替品も提案されている。GWPに関連して最終的にどんな規制要件が採用されるかについての不確実性によって、産業界は、低GWP、非引火性に対する必要性と現存のシステム性能パラメータとのバランスをとる複数の候補化合物および混合物を考慮することを強いられている。
【0005】
テトラフルオロプロペン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエタンおよびテトラフルオロエタンを含む特定の組成物は、現在使用されているGWPのより高い冷媒、特にR-404AおよびR507の代替品としてのその使用を可能にする適切な特性を有することが見出された。」
・「【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の任意選択の非冷媒成分(本明細書では添加剤とも呼ばれる)は、潤滑剤、色素(UV色素を含む)、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、ペルフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食および酸化防止剤、金属表面エネルギー低下剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、発泡調節剤、粘度指数改善剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含むことができる。実際には、これらの任意選択の非冷媒成分の多くはこれらのカテゴリーの1つまたは複数に当てはまり、1つまたは複数の性能特性を達成するために役立つ性質を有し得る。
・・・
【0056】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の合成潤滑剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、合成潤滑剤は、アルキル置換芳香族化合物(線状アルキル基、分枝状アルキル基、または線状および分枝状アルキル基の混合物によって置換されたベンゼンまたはナフタレンなどであり、一般的にアルキルベンゼンと称されることが多い)、合成パラフィンおよびナフテン、ポリ(αオレフィン)、ポリグリコール(ポリアルキレングリコールを含む)、二塩基酸エステル、ポリエステル、ポリオールエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル(PVE)、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステル、ポリカーボネートならびにこれらの混合物(この段落で開示される潤滑剤のいずれかの混合物を意味する)からなる群から選択される。」
・「【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される冷媒混合物は、特に、中温または低温の冷凍を含む冷凍用途において有用であり得る。中温冷凍システムは、飲料、乳製品、生鮮食品輸送および冷凍を必要とする他の品目のためのスーパーマーケットおよびコンビニエンスストアの冷凍ケースを含む。低温冷凍システムは、スーパーマーケットおよびコンビニエンスストアの冷凍キャビネットおよびディスプレイ、製氷機、ならびに冷凍食品輸送を含む。他の特定の使用は、商業用、工業用または住宅用の冷蔵庫および冷凍庫、製氷機、内蔵型クーラーおよび冷凍庫、スーパーマーケットのラックおよび分配システム、ウォークインおよびリーチインクーラーおよび冷凍庫、ならびに組み合わせシステムにおけるものであり得る。特に注目すべきは、本発明の組成物を含有する低温冷凍システムである。」
・「【0097】
本明細書に開示される組成物は、R404A(44質量パーセントのR125、52質量パーセントのR143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、および4.0質量パーセントのR134aのブレンドに対するASHRAE名称)およびR507(50質量パーセントのR125および50質量パーセントのR143aのブレンドに対するASHRAE名称)を含む現在使用されている冷媒に対する低GWP(地球温暖化係数)代替品として有用であり得る。
【0098】
多くの場合、代替冷媒は、異なる冷媒のために設計された元の冷凍装置において使用可能であれば最も有用である。さらに、本明細書に開示される組成物は、R404AまたはR507のために設計されたいくらかのシステム修正を有する装置において、R404AまたはR507に対する代替品として有用であり得る。さらに、HFO-1234yf、HFC-32、HFC-125、HFC-134a、および任意選択でHFO-1234zeを含む本明細書に開示される組成物は、HFO-1234yf、HFC-32、HFC-125、HFC-134a、および任意選択でHFO-1234zeを含むこれらの新しい組成物のために特別に修正されるか、あるいは完全にこれらの新しい組成物のために製造された装置において、R404AまたはR507を置換するために有用であり得る。」
・「【0120】
実施例1
蒸気漏出の影響
表示された温度で初期組成物を容器の90%まで充填し、組成物の初期蒸気圧を測定する。初期組成物の50質量パーセントが除去されるまで、温度を一定に保持しながら組成物を容器から漏出させ、その時点で、容器内に残存する組成物の蒸気圧を測定する。蒸気圧の変化は表1に記載される。
【0121】
【表1】

【0122】
本発明によって定義される組成物は、組成物の50%が漏出した後に蒸気圧の変化が10%未満であるため、共沸混合物様であることが分かる。
【0123】
実施例2
引火性
引火性混合物は、ASTM(米国材料試験協会)E681-04に基づき、電子点火源を用いて試験することによって同定され得る。このような引火性試験を冷媒混合物において50パーセント相対湿度で行った。
【0124】
引火限界(flammability boundary)を決定するために、90%の液体が充填された容器について、-36℃(ASHRAE Standard 34において指定されるように泡立ち点よりも10度高い)において液相および蒸気相の両方で、2つの冷媒混合物の引火性を決定した。組成物は、HFO-1234yf/HFC-32/HFC-125/HFC-134aを表2に示される濃度で含有した。
【0125】
【表2】

【0126】
明らかに、約24.5質量パーセントよりも多いHFC-32および約24.5質量パーセントよりも少ないHFC-125を有する組成物は、引火性冷媒に分類されるであろう。
【0127】
実施例3
冷凍性能
表3は、R-404Aと比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表3において、Evap Tempは蒸発器温度であり、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Compr Exit Tempは圧縮器出口温度(圧縮器排出温度と呼ばれることもある)であり、COPは性能係数(エネルギー効率と類似)であり、CAPは冷却容積である。データは以下の条件に基づく。
凝縮器温度 40℃
過冷却量 10K
圧縮器効率は75%である。
【0128】
【表3】

【0129】
結果は、本発明の組成物がR-404Aに匹敵する冷却容量を提示することを示し、このことは、これらの組成物が現存のR-404Aシステムを改造するのに適切であり得るか、あるいは新しい冷凍システムにおいて有用であり得ることも実証する。組成物は、R-404Aよりも高いエネルギー効率も示す。
【0130】
実施例4
冷凍性能
表4は、R404Aおよび比較例(A)および(B)と比較して、いくつかの例示的な組成物の性能を示す。表4において、Evap Presは蒸発器圧力であり、Cond Presは凝縮器圧力であり、Compr Exit Tempは圧縮器出口温度(圧縮器排出温度と呼ばれることもある)であり、COPは性能係数(エネルギー効率と類似)であり、CAPは冷却容積である。データは以下の条件に基づく。
蒸発器温度 -10℃
戻りガス温度 10℃
凝縮器温度 40℃
過冷却量 10K
圧縮器効率は75%である。
【0131】
【表4】

【0132】
結果は、本発明の組成物が、R-404Aに対して改善されたエネルギー効率を提供することを示す。さらに、本発明の組成物は、R-404Aのわずか数パーセント以内の冷却容量を提供する。比較例(B)は他の組成物の冷却容量には程遠いことに注目されたい。また、比較例(A)は同様の冷却性能を提供するが、より高い圧縮器出口温度を示すことにも注目されたい。圧縮器温度がより高いと、圧縮器寿命の低減が予想され、従って、システムの運転コストが増大する。」
ウ 甲3の記載事項(下線は当審が付したもの)
・「【請求項1】
HFO-1234yf、HFC-152a、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-125、およびHFC-152a;
HFO-1234yf、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-32、およびHFC-134a;
HFO-1234yf、HFC-32、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234zeおよびHFC-32;
HFO-1234zeおよびHFC-125;
HFO-1234ze、HFC-125、およびHFC-152a;
HFO-1234ze、HFC-125、およびHFC-134a;
HFO-1234ze、HFC-32、およびHFC-134a;ならびに
HFO-1234ze、HFC-32、HFC-125、およびHFC-134a;
を含む組成物からなる群から選択される組成物。
・・・
【請求項3】
約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-152a、および約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-134a;
約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-152a、および約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-125;
約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-125、および約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-134a;
約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約4質量パーセントのHFC-32、および約1質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-134a;
約1質量パーセント?約55重量パーセントのHFO-1234yf、約45質量パーセント?約98質量パーセントのHFC-32、および約1質量パーセント?約55質量パーセントのHFC-134a;
約1質量パーセント?約97質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約97質量パーセントのHFC-134a、約1質量パーセント?約97質量パーセントのHFC-125、および約1質量パーセント?約5質量パーセントのHFC-32;
約1質量パーセント?約35質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約40質量パーセントのHFC-134a、約30?78質量パーセント?約97質量パーセントのHFC-125、および約6質量パーセント?約39質量パーセントのHFC-32;または
約1質量パーセント?約50質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約40質量パーセントのHFC-134a、約1質量パーセント?約50質量パーセントのHFC-125、および約40質量パーセント?約97質量パーセントのHFC-32;
を含む近共沸組成物を含む、請求項1に記載の組成物。
・・・
【請求項8】
鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、二塩基酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの滑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
・・・
【請求項11】
R12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508を使用するシステム、これらを使用したシステム、またはこれらを使用するように設計されたシステムにおいて、R12、R134a、R22、R404A、R407A、R407C、R408A、R410A、R413A、R417A、R419A、R422A、R422B、R422C、R422D、R423A、R424A、R426A、R428A、R430A、R434A、R437A、R438A、R502、R507A、R507B、およびR508を置換するための方法であって、請求項1に記載の組成物を該システムに提供することを含む、上記方法。」
・「【0049】
【表1】


・「【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物中の任意的な他の成分(本明細書では、添加剤とも呼ばれる)は、潤滑剤、色素、可溶化剤、相溶化剤、安定剤、トレーサー、ペルフルオロポリエーテル、摩耗防止剤、極圧添加剤、腐食および酸化防止剤、金属表面エネルギー低下剤、金属表面不活性化剤、フリーラジカル捕捉剤、発泡調節剤、粘度指数改善剤、流動点降下剤、洗剤、粘度調整剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含むことができる。実際には、これらの任意的な他の成分の多くはこれらのカテゴリーの1つまたは複数に当てはまり、1つまたは複数の性能特性を達成するために役立つ性質を有し得る。」
・「【0059】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、鉱油(鉱物起源の油)、合成潤滑剤、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、開示される組成物は、さらに、鉱油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテン、ポリαオレフィン、ポリアルキレングリコール、二塩基酸エステル、ポリエステル、ネオペンチルエステル、ポリビニルエーテル、シリコーン、ケイ酸エステル、フッ素化化合物、リン酸エステルおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの潤滑剤を含む。」
・「【0114】
本明細書に開示される組成物は、R134a(またはHFC-134a、1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、R22(またはHCFC-22、クロロジフルオロメタン)、R404A(44重量パーセントのR125、52重量パーセントのR143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、および4.0重量パーセントのR134aのブレンドに対するASHRAE名称)、・・・を含むがこれらに限定されない、現在使用されている冷媒に対する低GWP(地球温暖化係数)代替品として有用であり得る。」
エ 甲4の記載事項
・「【請求項1】
(a)約10重量%?約35重量%のHFC-32;(b)約10重量%?約35重量%のHFC-125;(c)約20重量%?約50重量%のHFO-1234ze、HFO-1234yf、およびこれらの組み合わせ物;ならびに(d)約15重量%?約35重量%のHFC-134a;を含み、ここで該重量%が組成物中の成分(a)?(c)の総重量を基準としている、熱伝達組成物。」
・「【0020】
上記のとおり、本発明の組成物は、達成困難な特性の組み合わせ(特に低GWPを含む)を達成することができる、ということを出願者らは見出した。非限定的な例として、下記の表Aは、HFC-404AのGWP(3922というGWPを有する)と比べて、本発明の特定の組成物によって示されるGWPが実質的に改善されたことを示す。
【0021】
【表1】


・「【0022】
本発明の組成物は、組成物の特定の機能を高めるために、あるいは組成物に特定の機能を付与するために、あるいは場合によっては、組成物のコストを低減させるために、他の成分を含んでよい。例えば、本発明による冷媒組成物(特に、蒸気圧縮システムにおいて使用される冷媒組成物)は、潤滑剤(lubricant)を、一般的には組成物の約30重量%?約50重量%の量、場合によっては約50重量%を超える量で、そして別の場合には約5重量%という少量で含む。本発明の組成物はさらに、潤滑剤の相溶性及び/又は溶解性を高めるために、プロパン等の相溶化剤を含んでよい。プロパン、ブタン、およびペンタンを含めたこのような相溶化剤は、組成物の約0.5重量%?約5重量%の量で存在することが好ましい。米国特許第6,516,837号明細書(該特許文献の開示内容を参照より本明細書に含める)に開示されているように、界面活性剤と可溶化剤との組み合わせ物を本発明の組成物に加えて、油溶性を高めることもできる。一般的に使用されている冷却潤滑剤[例えば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷却機械装置において使用されるポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼ(AB)、およびポリ(α-オレフィン)(PAO)等]を本発明の冷媒組成物と共に使用することができる。商業的に入手可能な鉱油としては、Witco社から商業的に入手可能であるWitoco LP250(登録商標)、Shrieve Chemical社から市販のZerol 300(登録商標)、Witco社から市販のSunisco 3GS、およびCalumet社から市販のCalumet R015などがある。商業的に入手可能なエステルとしては、ネオペンチルグリコールジペラルゴネート[Emery2917(登録商標)として入手可能〕やHatcol2370(登録商標)などがある。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、およびフルオロエステルなどがある。幾つかのケースでは、炭化水素油は、ヨードカーボンで構成される冷媒に対して十分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油との組み合わせ物は、他のタイプの潤滑油より安定であると思われる。したがって、このような組み合わせ物が有利である場合がある。好ましい潤滑油としては、ポリアルキレングリコールとエステルがある。ポリアルキレングリコールは、可動性の空調等の特定の用途に現在使用されているので、特定の実施態様において特に好ましい。当然ながら、異なるタイプの潤滑剤の種々の混合物を使用することができる。
【0023】
本明細書に記載の開示内容を考慮して、当業者によっては、本発明の新規で基本的な特徴を逸脱せずに、本明細書に記載されていない他の添加剤も含めることができる。
熱伝達方法と熱伝達システム
したがって、本発明の方法、システム、および組成物は、さまざまの一般的な熱伝達システムおよび特定の冷却システム[例えば、空調システム(固定空調システムとモバイル空調システムを含む)、冷却システム、およびヒートポンプシステム等]と接続して使用するように調整することができる。特定の好ましい実施態様では、本発明の組成物は、HFC冷媒(例えばR-404)と共に使用するよう最初に設計された冷却システムにおいて使用される。本発明の好ましい組成物は、R-404Aの望ましい特性の多くを示す傾向があるが、R-404AのGWPより実質的に低いGWPを有すると共に、R-404Aと実質的に同等であるか、あるいはR-404Aに匹敵する容量及び/又は効率、そして好ましくはR-404Aより高い容量及び/又は効率を有する。特に、本発明の組成物の特定の好ましい実施態様は、比較的低い地球温暖化係数(GWP)を示す傾向があり、好ましくは約2500未満であり、さらに好ましくは約2400未満であり、さらに好ましくは約2300以下である、ということを出願者らは認めた。特定の実施態様では、本発明の組成物は、約1500以下のGWPを有し、約1000未満のGWPを有するのがさらに好ましい。
【0024】
他の特定の実施態様では、本発明の組成物は、R-404Aが組み込まれている冷却システム、及び/又は、最初からR-404Aと共に使用するように設計されている冷却システムにおいて使用される。本発明の好ましい冷却組成物は、従来R-404Aと共に使用されている潤滑剤(例えば、鉱油、ポリアルキルベンゼン油、およびポリアルキレングリコール油等)を含む冷却システムにおいて使用することもできるし、あるいは、従来HFC冷媒と共に使用されている他の潤滑剤と共に使用することもできる。本明細書で使用されている「冷却システム」という用語は、一般的には、冷却を実現するために冷媒を使用する任意のシステムもしくは装置、またはこのようなシステムもしくは装置の任意の部位もくしは部分を表わす。このような冷却システムとしては、例えば、空調装置、電気冷蔵庫、および冷却装置(遠心圧縮機を使用する冷却装置を含む)などがある。」
オ 甲5の記載事項
・「【請求項1】
(a)約20重量%?約30重量%のHFC-32;(b)約20重量%?約30重量%のHFC-125;(c)約0重量%?約15重量%のHFO-1234yf、及び約10重量%?約30重量%のHFO-1234ze;(d)約15重量%?約30重量%のHFC-134a;を含み、重量%は組成物中の成分(a)?(d)の合計を基準とするものである熱伝達組成物。」
・「【0019】
熱伝達組成物:
本発明の組成物は、概して、熱伝達用途において用いるように適合させることができ、即ち加熱及び/又は冷却媒体として適合させることができるが、上記において言及したように、中温及び低温冷却システム、及び好ましくはこれまでHFC-404Aを用いていた低温システム、及び/又はこれまでR-22を用いていたシステムにおいて用いるのに特によく適している。」
・「【0023】
上記で言及したように、本出願人らは、本発明の組成物によって、特に低いGWPなどの達成するのが困難な複数の特性の組合せを達成することができることを見出した。非限定的な例の目的で、下表Aに、3922のGWPを有するHFC-404AのGWPと比較した、本発明の幾つかの組成物によって示されるGWPの実質的な向上を示す。
【0024】
【表1ー1】


・「【0025】
本発明の組成物には、組成物の幾つかの機能性を向上させるか又は組成物に幾つかの機能性を与えるか、或いは幾つかの場合においては組成物のコストを減少させる目的のために他の成分を含ませることができる。例えば、本発明による冷媒組成物、特に蒸気圧縮システムにおいて用いるものは、一般に組成物の約30?約50重量%の量、及び幾つかの場合においては、場合によって約50%より多い量、並びに他の場合においては約5%程度の低い量の潤滑剤を含む。更に、本組成物にはまた、潤滑剤の相溶性及び/又は可溶性を促進する目的のために、プロパンのような相溶化剤を含ませることもできる。プロパン、ブタン類、及びペンタン類などのかかる相溶化剤は、好ましくは組成物の約0.5?約5重量%の量で存在させる。米国特許6,516,837(その開示事項を参照として本明細書中に包含する)によって開示されているように、界面活性剤と可溶化剤との組み合わせを本組成物に加えて油溶性を促進させることもできる。ヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒を用いる冷却機械において用いられるポリオールエステル(POE)及びポリアルキレングリコール(PAG)、PAGオイル、シリコーンオイル、鉱油、アルキルベンゼン(AB)、及びポリ(α-オレフィン)(PAO)のような通常用いられる冷却潤滑剤を、本発明の冷媒組成物と共に用いることができる。商業的に入手できる鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手できるアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手できるエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手できるネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、ホスフェートエステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。幾つかの場合においては、炭化水素ベースのオイルはヨードカーボンを含む冷媒と十分な可溶性を有しており、ヨードカーボンと炭化水素オイルとの組み合わせは他のタイプの潤滑剤よりもより安定である可能性がある。したがってかかる組み合わせは有利である可能性がある。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。ポリアルキレングリコールは、自動車空調のような特定の用途において現在用いられているので、幾つかの態様においては非常に好ましい。勿論、異なるタイプの潤滑剤の異なる混合物を用いることができる。」
(2) 甲1?5に記載された発明
ア 甲1発明
甲1の請求項1?4には、熱伝達組成物が記載されている。そして、これらの熱伝達組成物は、甲1の【0019】、【0020】、【0026】?【0031】、【0119】?【0121】の記載からみて、R-22又はR-404Aの代替品として使用することを予定したものであるということができる。
そうすると、甲1には、次の熱伝達組成物(以下、まとめて「甲1発明」という。)が記載されている。
なお、請求項1?4に記載されたジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンは、それぞれ冷媒番号で表示すると、R32、R125、R134a及びR1234yfとなるから、括弧内に当該冷媒番号を示した。
・「ジフルオロメタン(R32)と、ペンタフルオロエタン(R125)と、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)と、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)とを含む、R-22又はR-404Aの代替品として使用するための熱伝達組成物。」
・「重量ベースで1%?97%のジフルオロメタン(R32)と、1%?97%のペンタフルオロエタン(R125)と、1%?97%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)と、1%?97%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)とを含む、R-22又はR-404Aの代替品として使用するための熱伝達組成物。」
・「重量ベースで約10%?35%のジフルオロメタン(R32)と、約10%?35%のペンタフルオロエタン(R125)と、約10%?60%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)と、約10%?60%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)とを含む、R-22又はR-404Aの代替品として使用するための熱伝達組成物。」
・「重量ベースで約15%?30%のジフルオロメタン(R32)と、約15%?30%のペンタフルオロエタン(R125)と、約15%?40%の1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)と、約15%?40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(R1234yf)とを含む、R-22又はR-404Aの代替品として使用するための熱伝達組成物。」
イ 甲2発明
甲2の請求項1には、次の冷媒混合物(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。
・「a.20質量パーセント?25.5質量パーセントのHFO-1234yfと、
b.20質量パーセント?24.5質量パーセントのHFC-32と、
c.24.5質量パーセント?30質量パーセントのHFC-125と、
d.25.5質量パーセント?30質量パーセントのHFC-134aと、
e.約0.0001質量パーセント?約10質量パーセントのトランス-HFO-1234zeと
から本質的になる非引火性冷媒混合物。」
ウ 甲3発明
甲3の請求項3及び【0049】【表1】には、次の組成物(以下、「甲3発明」という。)が記載されている(なお、請求項3の記載には一部誤記がみられるが、【表1】の記載を参酌して正しく理解した。)。
「約1質量パーセント?約35質量パーセントのHFO-1234yf、約1質量パーセント?約40質量パーセントのHFC-134a、約30質量パーセント?約78質量パーセントのHFC-125、および約6質量パーセント?約39質量パーセントのHFC-32を含む組成物。」
エ 甲4発明
甲4の請求項1には、次の熱伝達組成物(以下、「甲4発明」という。)が記載されている。
・「(a)約10重量%?約35重量%のHFC-32;(b)約10重量%?約35重量%のHFC-125;(c)約20重量%?約50重量%のHFO-1234ze、HFO-1234yf、およびこれらの組み合わせ物;ならびに(d)約15重量%?約35重量%のHFC-134a;を含み、ここで該重量%が組成物中の成分(a)?(c)の総重量を基準としている、熱伝達組成物。」
オ 甲5発明
甲5の請求項1及び【表1-1】のA2には、次の熱伝達組成物(以下、まとめて「甲5発明」という。)が記載されている。
・「(a)約20重量%?約30重量%のHFC-32;(b)約20重量%?約30重量%のHFC-125;(c)約0重量%?約15重量%のHFO-1234yf、及び約10重量%?約30重量%のHFO-1234ze;(d)約15重量%?約30重量%のHFC-134a;を含み、重量%は組成物中の成分(a)?(d)の合計を基準とするものである熱伝達組成物。」
・「25重量%のHFC-32、25重量%のHFC-125、20重量%のHFC-134a、30重量%のHFO-1234yfからなる熱伝達組成物。」
(3) 甲1発明に基づく新規性進歩性
ア 本件特許発明3について
(ア) 本件特許発明3と甲1発明とを対比すると、両者は、R32、R125、1234yf及びR134aの基本4成分のみから構成されるフッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物である点で一致し、他方、両者は、当該混合物の組成比(R32、R125、R1234yf及びR134aの濃度により画定される領域)が異なる点(ただし、一部重複する部分が存在する。)で相違する。
(イ) 当該相違点について検討する。
甲1発明の実施例(具体例)を記載した甲1の【0027】【表1】などには、x(R32の濃度)=15重量%のときの具体的組成物(R32、R125、R1234yf、R134a=15、25、25、35重量%)が記載され、これは、本件訂正前(設定登録時)の請求項3の混合物2に属していたものである。そして、本件訂正により、当該具体的組成物は、本件特許発明3に属するものではなくなった(本件特許発明3におけるxの範囲は16.1≦x<22.6となった。)。
また、x=19重量%のときの具体的組成物など、甲1発明の実施例のうち、本件特許発明3のxの範囲に属する他の実施例の組成比は、本件特許発明3が画定する領域からは外れている。
このように、甲1発明の実施例として甲1に記載された具体的組成物には、本件特許発明3が画定する領域に属するものは存在しない。
確かに、甲1発明の具体的組成物が、本件特許発明3(16.1≦x<22.6)の混合物4?6に属していないとしても、甲1発明は、xを10≦x≦30などと規定するものであるから、本件特許発明3が規定するxが16.1≦x<22.6である場合を排除しているわけではないし、具体的組成物が開示されていない領域が、ただちに甲1発明が内包しない領域となるわけではない。また、本件特許発明3は、GWP、不燃性、及びR22に対する圧縮器出口圧力(吐出圧力)に基づいて上記組成比を画定し、かつ、R32の濃度xを境界値として、各混合物を分類するものであるが、当該境界値及び混合物の分類自体に、特別な意味があるわけではない。さらにいうと、概して、代替冷媒には、低GWP、低ODP、不燃性、低毒性、潤滑剤との混和性といった冷媒一般に求められる要請事項のほかに、既存冷媒の代替(レトロフィット、ドロップイン置換)を可能にするために、代替冷媒の性能パラメーター(CAP、COPなど)や、レトロフィットパラメーター(圧縮器出口圧力(凝縮器圧力)、圧縮器出口温度など)が、既存冷媒と同等又はそれ以上となることが求められており(甲1の【0002】?【0010】、【0067】、【0110】、【0118】?【0121】、甲2の【0002】?【0005】、【0127】?【0132】など)、甲1発明においても、R22の代替冷媒とすることが予定され、GWP、不燃性、及びR22に対する圧縮器出口圧力などの諸要件が、考慮すべき事項として記載されている(甲1の【0002】?【0010】、【0019】、【0020】、【0026】?【0031】、【0041】、【0067】。R404Aの代替についても同様。)。
しかしながら、R22の代替冷媒となるための厳しい要件については知られていても、それらの要件を満たすために、上記基本4成分をどのような構成とするかについては、甲1及びその他の証拠には記載も示唆もされておらず、広範な成分組成の中から、当該要件に合致する代替冷媒を見いだすことは非常に困難であるといわざるを得ない。
そして、本件特許発明3は、GWP、不燃性、及びR22に対する圧縮器出口圧力(吐出圧力)に基づいて当該領域を画定し、かつ、このように画定された領域は、R22の代替冷媒となるために要求される、冷凍能力(CAP)、成績係数(COP)、圧縮器出口温度(吐出温度)などの諸特性に関する要件をも満たすものと認められ(本件特許明細書の【表5-5】?【表5-11】の実験データ、さらには、特許権者が令和元年8月26日に提出した意見書の第11頁に記載された図などを参酌した。)、さらに、当該要件を満たす混合冷媒を見いだすことは困難であることが当該技術分野における技術常識であることを斟酌すると、R22の代替冷媒となるための厳しい要件を満たすことができる本件特許発明3は、甲1発明に対して有利な効果を奏するものということができる。
したがって、本件特許発明3は、甲1発明に対して新規性及び進歩性がないとはいえない。
イ 本件特許発明4について
(ア) 本件特許発明4と甲1発明とを対比すると、本件特許発明3と同様、両者は、R32、R125、1234yf及びR134aの基本4成分のみから構成されるフッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物である点で一致し、他方、両者は、当該混合物の組成比(R32、R125、R1234yf及びR134aの濃度により画定される領域)が異なる点(ただし、一部重複する部分が存在する。)で相違する。
(イ) 当該相違点について検討する。
甲1発明の実施例(具体例)を記載した甲1の【0030】【表2-2】などには、x(R32の濃度)=25重量%のときの具体的組成物(R32、R125、R1234yf、R134a=25、25、35、15重量%、25、30、30、15重量%)が記載され、これは、本件訂正前(設定登録時)の請求項4の混合物8に属していたものである。そして、本件訂正により、当該具体的組成物は、本件特許発明4に属するものではなくなった(本件特許発明4におけるxの範囲は17.5<x≦20.8となった。)。
また、x=19重量%のときの具体的組成物など、甲1発明の実施例のうち、本件特許発明4のxの範囲に属する他の実施例の組成比は、本件特許発明4が画定する領域からは外れている。
このように、甲1発明の実施例として甲1に記載された具体的組成物には、本件特許発明4が画定する領域に属するものは存在しない。
確かに、甲1発明の具体的組成物が、本件特許発明4(17.5<x≦20.8)の混合物1?3に属していないとしても、甲1発明は、xを10≦x≦30などと規定するものであるから、本件特許発明4が規定するxが17.5<x≦20.8である場合を排除しているわけではないし、具体的組成物が開示されていない領域が、ただちに甲1発明が内包しない領域となるわけではない。また、本件特許発明4は、GWP、不燃性、R404Aに対するCAP、及び吐出温度に基づいて上記組成比を画定し、かつ、R32の濃度xを境界値として、各混合物を分類するものであるが、当該境界値及び混合物の分類自体に、特別な意味があるわけではない。さらにいうと、概して、代替冷媒には、低GWP、低ODP、不燃性、低毒性、潤滑剤との混和性といった冷媒一般に求められる要請事項のほかに、既存冷媒の代替(レトロフィット、ドロップイン置換)を可能にするために、代替冷媒の性能パラメーター(CAP、COPなど)や、レトロフィットパラメーター(圧縮器出口圧力(凝縮器圧力)、圧縮器出口温度など)が、既存冷媒と同等又はそれ以上となることが求められており(甲1の【0002】?【0010】、【0067】、【0110】、【0118】?【0121】、甲2の【0002】?【0005】、【0127】?【0132】など)、甲1発明においても、R404Aの代替冷媒とすることが予定され、GWP、不燃性、及び吐出温度などの諸要件が、考慮すべき事項として記載されている(甲1の【0010】、【0019】、【0026】、【0027】、【0041】、【0067】など)。
しかしながら、R404Aの代替冷媒となるための厳しい要件については知られていても、それらの要件を満たすために、上記基本4成分をどのような構成とするかについては、甲1及びその他の証拠には記載も示唆もされておらず、広範な成分組成の中から、当該要件に合致する代替冷媒を見いだすことは非常に困難であるといわざるを得ない。
そして、本件特許発明4は、GWP、不燃性、R404Aに対するCAP、及び吐出温度に基づいて当該領域を画定し、かつ、このように画定された領域は、R404の代替冷媒となるために要求されるCOPなどの諸特性に関する要件をも満たすものと認められ(本件特許明細書の【表6-7】?【表6-13】の実験データなどを参酌した。)、さらに、当該要件を満たす混合冷媒を見いだすことは困難であることが当該技術分野における技術常識であることを斟酌すると、R404の代替冷媒となるための厳しい要件を満たすことができる本件特許発明4は、甲1発明に対して有利な効果を奏するものということができる。
したがって、本件特許発明3と同様、本件特許発明4についても、甲1発明に対して新規性及び進歩性がないとはいえない。
ウ 本件特許発明10?19について
本件特許発明10?19は、上記ア、イにおいて検討した本件特許発明3ないし4の発明特定事項をすべて具備するものであるから、これらの発明についても、本件特許発明3ないし4と同様の理由により、甲1発明に対して新規性及び進歩性がないとはいえない。
(4) 甲2?5発明に基づく新規性進歩性
本件特許発明3、4、10?19と甲2?5発明とを対比・検討した場合も、上記(3)における甲1発明との対比・検討と状況に変わりはなく、両者は、R32、R125、1234yf及びR134aの基本4成分のみから構成されるフッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物である点で一致し、当該混合物の組成比(R32、R125、R1234yf及びR134aの濃度により画定される領域)が異なる点で相違するところ、甲2?5を子細にみても、甲2?5発明に係る具体例として、本件特許発明3、4が画定する領域に属するものは存在せず、また、本件特許発明3、4は、R22ないしR404の代替冷媒となるための厳しい要件を満たすことができるという、甲2?5発明に対する有利な効果を奏するものであることを斟酌すると、本件特許発明3、4及びそれらの発明特定事項をすべて具備する本件訂正発明10?19についても、甲2?5発明に対して新規性及び進歩性がないとはいえない。
(5) 取消理由4及び5(新規性進歩性)についてのまとめ
以上検討のとおり、本件特許発明3、4、10?19は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、同条第2項の規定により特許を受けることができないものでもないから、同法第113条第2号に該当することを理由に、本件特許3、4、10?19を取り消すことはできない。

第6 特許異議申立理由について

特許異議申立人は、上記取消理由と同旨の特許異議申立理由のほか、甲6?9を主引例とする特許法第29条第1項及び第2項所定の規定違反(新規性進歩性)、同法第36条第6項第1号及び第2号所定の規定違反(サポート要件、明確性要件)について主張するものであるが、本件訂正により、当該新規性進歩性及びサポート要件について主張されていた請求項6などは削除された。そのため、これらの特許異議申立理由によって、本件訂正後の本件特許を取り消すことはできない。
また、明確性要件違反の指摘は、(i)請求項1などに記載された組成物は、2種以上の混合物を含有することはあり得ないにもかかわらず、同請求項1などには「混合物1・・・および混合物6からなる群から選択される2種以上を含有する組成物」と記載されていたこと、(ii)同請求項2の混合物3における点I’、並びに、その請求項4の混合物6及び請求項5の混合物5における点Qは、相図における有効な組成比を示していないこと、(iii)同請求項15に記載された発明は、同請求項1?14において、フッ素化炭化水素の混合物のみからなることを特徴とする発明であるところ、同請求項10、11、14に記載された発明は、当該混合物に加え、さらに冷凍機油などを含有することを特徴とする発明であるから、請求項15の記載には矛盾があり明確とはいえないこと、などの記載不備を指摘するものであったところ、これらの記載不備については、本件訂正により治癒していると認められる。
したがって、特許異議申立人が主張する特許異議申立理由によっても、本件訂正後の本件特許を取り消すことはできない。

第7 結び

以上のとおり、本件特許3、4、10?19は、特許法第36条第4項第1号又は第6項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとも、同法第29条の規定に違反してされたものであるともいえず、同法第113条第2号又は第4号に該当するとは認められないから、上記取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に、本件特許3、4、10?19を取り消すべき理由を発見しない。
そして、上記第2のとおり、本件訂正により、請求項1、2、5?9は削除されたため、これらの請求項に係る特許異議の申立ては、対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項において準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物及びその応用
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒等として使用されるフッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物(但し、前記混合物に含まれる基本4成分、即ちジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)のみからなる場合も含む)及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコン、冷凍機、冷蔵庫等に使用される冷媒としては、ジフルオロメタン(CH_(2)F_(2)、R32、沸点-52℃)、ペンタフルオロエタン(CF_(3)CHF_(2)、R125、沸点-48℃)、1,1,1-トリフルオロエタン(CF_(3)CH_(3)、R143a、沸点-47℃)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(CF_(3)CH_(2)F、R134a、沸点-26℃)、1,1-ジフルオロエタン(CHF_(2)CH_(3)、R152a、沸点-24℃)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CF_(3)CF=CH_(2)、1234yf、沸点-29℃)等の、その分子構造中に塩素を含まないフッ素化炭化水素の混合物が用いられている。
【0003】
これまでに、上記のフッ素化炭化水素のうち、R32/R125/R134aからなる3成分混合冷媒であって、その組成が23/25/52重量%であるもの(R407C)、R125/143a/R134aからなる3成分混合冷媒であって、その組成が44/52/4重量%であるもの(R404A)等が提案されておりR404Aが冷凍用及び冷蔵用の冷媒として現在広く用いられている(特許文献1、2等)。
【0004】
しかしながら、R404Aの地球温暖化係数(GWP)は3922と非常に高く、含塩素フッ素化炭化水素類の一つであるCHClF_(2)(R22)と同程度であることが分かっている。従って、R404Aの代替冷媒として、R404Aと同等の冷凍能力を有し、GWPが小さく、かつR404A同様に不燃冷媒(ASHRAE不燃(ANSI/ASHRAE34-2013で定義されるクラス1の冷媒))の性能を兼ね備える冷媒の開発が求められている。
【0005】
また、R404A以前に冷凍用及び冷蔵用の冷媒として使用されていた含塩素フッ素化炭化水素類(HCFC)としてCHClF_(2)(R22)を使用する冷凍機もまだ数多く残っているが、HCFCはモントリオール議定書により先進国は2020年に全廃が求められ、途上国は段階的削減(第1:10%、第2:35%)することが求められている。これらの冷凍機には、R22の代替冷媒として、冷凍サイクルにおいてR22を用いる場合と同等な圧縮機出口圧力となる冷媒(いわゆるR22レトロフィット冷媒)であって、GWPが小さく、かつR22と同様に不燃冷媒(ASHRAE不燃(ANSI/ASHRAE34-2013で定義されるクラス1の冷媒))の性能を兼ね備える冷媒の開発も求められている。
【0006】
本発明に関連する他の先行文献として、特許文献3、4等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2869038号公報
【特許文献2】米国特許第8,168,077号公報
【特許文献3】特許第5689068号公報
【特許文献4】特表2013-529703
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3及び4では、R404Aの代替冷媒として、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を含む冷媒組成物が報告されている。しかし、R404Aと同等の冷凍能力を有し、GWPが小さく、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物の開発には至っていない。
【0009】
本発明は、GWPが小さく、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物を提供することを目的とする。また、好ましい実施形態として、現在汎用されているR404Aと同等の冷凍能力を有し、GWPが小さく、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物、R22と同等の圧縮機出口圧力を有し、GWPが小さく、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える冷媒組成物などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、鋭意研究を行った結果、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含むことにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、下記の組成物及びその応用を提供するものである。
1.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.8重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5493x+45.325/-0.4243x+19.875)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9507x+60.575/-x+38.1)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.6974x+48.4)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.375x+3.25/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.1重量%>x≧14.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-R125-1234yf/-0.5736x+45.669/-0.3945x+19.443)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+59.936/-0.9723x+37.714)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.3625x+53.346)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.3625x+3.4461/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5258x+44.808/-0.4207x+19.907)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+59.698/-1.0517x+39.117)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.0517x+58.983)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.369x+3.31/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5756x+45.817/-0.4244x+19.983)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+60.283/-0.8488x+35.065)、点
I(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0407x+120.8)、及び
点D(0.3430x+3.826/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 24.5重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5283x+44.746/-0.4717x+21.054)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+60.078/-0.8428x+34.949)、
点I(100-R32-1234yf-R134a/0/-1.9435x+118.61)、及び
点D(0.3710x+3.2057/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、並びに
(1)-6 26.6重量%≧x≧24.5重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5710x+45.798/-0.4290x+20.002)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9517x+60.931/-0.7613x+32.965)、
点I(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0000x+120.00)、及び
点D(0.3323x+4.1369/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。
2.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.8重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9770x+59.575/-x+38.4)、
点I’(0/100-R32-1234yf-R134a/1.7007x+52.125)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.375x+3.25/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.1重量%>x≧14.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
点I’(0/100-R32-1234yf-R134a/1.3945x+56.657)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.3625x+3.4461/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/1.9483x+117.18)、及び
点D(0.369x+3.31/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、(1)-4 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0756x+119.72)、及び
点D(0.343x+3.826/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 24.5重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-1.9435x+116.71)、及び
点D(0.3710x+3.2057/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、並びに
(1)-6 26.6重量%≧x≧24.5重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0468x+119.26)、及び
点D(0.3323x+4.1369/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。
3.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.1重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6665x+62.786/0.7204x+31.027/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0914x^(2)-4.2444x+69.184/0.1181x^(2)-6.3648x+93.765/100-R32-R125-1234yf)、
点F(0.0323x^(2)-2.5621x+50.802/0.0346x^(2)-3.9904x+67.56/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(0.0501x^(2)-3.9756x+61.989/-0.0296x^(2)+1.5133x+30.248/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 16.1重量%>x≧14.1重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0495x^(2)-3.1434x+61.991/0.1723x^(2)-8.1236x+107.78/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.5049x+42.339/-2.6349x+55.315/100-R32-R125-1234yf)、
点E(0.2747x^(2)-9.7967x+99.415/0.6366x^(2)-25.375x+276.93/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
14.8重量%>x≧14.1重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9770x+59.575/-x+38.4)、
16.1重量%>x≧14.8重量%のときは
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、(1)-3 16.8重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.2857x+56.7/0.7747x+30.285/100-R32-R125-1234yf)、
点C(-1.5714x+49.5/-2.8043x+66.812/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.2857x+38.8/-2.4954x+53.076/100-R32-R125-1234yf)、
点E(-1.1429x+31.3/-5.3142x+118.96/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.8重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.4615x+42.854/-5.931x+142.94/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3846x+46.362/-2.5156x+61.961/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.3846x+40.462/-2.5401x+53.827/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(-1.0769x+30.192/-4.9692x+113.16/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.0442x+35.27/0.2703x^(2)-15.221x+222.52/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3145x+45.088/-2.4404x+60.615/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.2138x+37.381/-0.1576x^(2)+3.716x-7.7649/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.8869x+26.726/-4.3267x+101.52/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 21.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.875x+31.9/-4.3372x+112.98/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.25x+43.8/-2.375x+59.3/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.125x+35.6/-2.1875x+47.25/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.75x+24/-3.8831x+92.657/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 24.2重量%>x≧21.6重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.7267x+28.67/0.1603x^(2)-10.987x+181.821/00-R32-1234yf-R134a)、
点C(0.0529x^(2)-3.5375x+68.536/0.0431x^(2)-4.1038x+76.546/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.9651x+53.771/0/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.6163x+21.118/0.0663x^(2)-6.4133x+116.38/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。
4.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.2重量%>x≧11.6重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、点
J(-3.5769x+75.492/1.2204x+24.143/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2.3846x+61.662/-4.0172x+84.9/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 15.3重量%>x≧14.2重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
14.8重量%>x≧14.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
15.3重量%>x≧14.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
及び
点J(-3.4381x+73.493/1.1236x+25.522/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(0.9091x^(2)-29.091x+257.58/0.8579x^(2)-29.085x+267.88/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.2重量%>x≧15.3重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点J(-3.5556x+75.3/1.2095x+24.209/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2x+55.9/-3.4439x+76.392/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 17.5重量%>x≧16.2重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
点J(-1.6163x+43.882/-6.3674x+146.95/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-1.8488x+53.445/-3.1206x+71.153/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 19.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
19.0重量%>x≧18.1重量%のときは
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
及び、
点J(0.1273x^(2)-6.1109x+83.553/0.1532x^(2)-11.484x+189.57/100-R32-R125-1234yf)、
点X(-0.1696x^(2)+1.0575x+54.537/-0.2271x^(2)+15.05x-177.28/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 20.8重量%>x≧19.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
20.0重量%>x≧19.0重量%のときは、点
G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
及び、
点Q(-0.0198x^(2)+27.157x-31.225/-0.0377x^(2)+3.0486x-17.594/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
(1)-7 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
及び、
点Q(-0.0984x^(2)+6.1633x-68.728/-0.0617x^(2)+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x^(2)+1.5234x-4.0783/-0.0503x^(2)+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
(1)-8 25.6重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-8 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
24.5重量%>x≧23.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
25.6重量%>x≧24.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
及び、
点Q(-0.0115x^(2)+2.3422x-26.868/-0.1077x^(2)+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.1398x^(2)+8.0281x-81.391/-0.0932x^(2)+5.7935x-58.514/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物8、並びに
(1)-9 26.6重量%≧x≧25.6重量%であり、
(2)-9 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点Q(8.2x-184.32/-5x+163.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(1.2x+1.88/1.246x-3.0431/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物9、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。
5.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 15.3重量%>x≧14.2重量%であり、(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.0415x^(2)+1.0547x+21.254/0.0863x^(2)-3.628x+64.252)、
点K(0.9091x^(2)-29.091x+257.58/0.8579x^(2)-29.085x+267.88/100-R32-R125-1234yf)、及び
点U(1.3896x^(2)-47.266x+418.78/-2.8422x^(2)+97.299x-780.65/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 16.2重量%>x≧15.3重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.0508x^(2)-2.3591x+66.946/-0.0008x^(2)-0.6861x+31.798)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0415x^(2)+1.0547x+21.254/0.0863x^(2)-3.628x+64.252)、
点K(-2x+55.9/-3.4439x+76.392/100-R32-R125-1234yf)、及び
点J(-3.5556x+75.3/1.2095x+24.209/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 17.5重量%>x≧16.2重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S、点Tは、
17.0重量%>x≧16.2重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.0508x^(2)-2.3591x+66.946/-0.0008x^(2)-0.6861x+31.798)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0415x^(2)+1.0547x+21.254/0.0863x^(2)-3.628x+64.252)、
17.5重量%>x≧17.0重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x^(2)-4.5904x+87.503/0.0939x^(2)-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x^(2)+2.5779x+5.5242/0.2286x^(2)-9.3441x+120.28)、
及び、
点K(-1.8488x+53.445/-3.1206x+71.153/100-R32-R125-1234yf)、
点J(-1.6163x+43.882/-6.3674x+146.95/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 19.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x^(2)-4.5904x+87.503/0.0939x^(2)-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x^(2)+2.5779x+5.5242/0.2286x^(2)-9.3441x+120.28)、
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
点X(-0.1696x^(2)+1.0575x+54.537/-0.2271x^(2)+15.05x-177.28/100-R32-R125-1234yf)
点J(0.1273x^(2)-6.1109x+83.553/0.1532x^(2)-11.484x+189.57/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
19.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
を頂点とする六角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.8重量%>x≧19.0重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1263x^(2)-5.6749x+102.56/-0.029x^(2)+0.4298x+20.594)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.1451x^(2)-6.0744x+89.981/-0.2364x^(2)+8.5372x-51.582)、
点R(-0.0401x^(2)+3.0217x-19.198/-0.0297x^(2)+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0198x^(2)+27.157x-31.225/-0.0377x^(2)+3.0486x-17.594/100-R32-R125-1234yf)、及び点H’は、
20.0重量%>x≧19.0重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x^(2)-5.1872x+102.99/0.0034x^(2)-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x^(2)+1.1657x+15.869/-0.123x^(2)+4.4541x-15.735)、
点R(-0.0031x^(2)+1.5234x-4.0783/-0.0503x^(2)+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0984x^(2)+6.1633x-68.728/-0.0617x^(2)+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 25.4重量%≧x≧23.2重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/-0.0317x^(2)+0.4511x+43.979/0.075x^(2)-4.1913x+72.494)、
点α(0.0324x^(2)-3.5746x+95.092/0.0193x^(2)+3.2487x-59.944/100-R32-R125-1234yf)、及び
点Q(-0.0115x^(2)+2.3422x-26.868/-0.1077x^(2)+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する組成物。
6.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、HCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113及び3,3,3-トリフルオロプロピンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素化炭化水素、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する組成物。
7.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロクロロメタン、クロロメタン、2-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン及びトリフルオロエチレンからなる群から選択される少なくとも1種のハロゲン化有機化合物、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する組成物。
8.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、プロパン及びイソブタンから選択される少なくとも1種の有機化合物、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する組成物。
9.フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、R32、R125、R134a、1234yf及び水を含む組成物。
10.冷凍機油を含有する、上記項1?9のいずれかに記載の組成物。
11.前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する、上記項10に記載の組成物。
12.混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒である、上記項1、2及び4?11のいずれかに記載の組成物。
13.HCFC冷媒であるR22の代替冷媒である、上記項1?3及び6?11のいずれかに記載の組成物。
14.トレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、上記項1?13のいずれかに記載の組成物。
15.前記組成物が、前記フッ素化炭化水素の混合物のみからなる、上記項1?14のいずれかに記載の組成物。
16.上記項1?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。
17.上記項1?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。
18.上記項1?15のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。
19.冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、上記項1?15のいずれかに記載の組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含むことにより、1500以下のGWP及びASHRAE不燃の性能を兼ね備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)の基本4成分の混合物において、実験例1から求めた、R32の濃度が22.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上のASHRAE不燃限界組成(6点の○印)及びそれらを結ぶ回帰線(点G、Hを結ぶ直線及び点H、Iを結ぶ直線)を示す図である。
【図2-7】R32の濃度がそれぞれ10.8、12.4、14.8、16.1、18.1、19.0重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G、H、I、N及びDで囲まれる五角形、及び、点G’、H’、I’、N及びDで囲まれる五角形)を示す図である。線分ADから1234yf側がGWPが1500以下の領域を示し、線分GHI(線分GH及び線分HIを意味し、纏めて線分GHIという。以下同様。)からR125側がASHRAE不燃となる領域を示す。また、点GHINDで囲まれる五角形はGWPが1500以下で、かつ、ASHRAE不燃となる領域を示し、点G’H’I’NDで囲まれる五角形はGWPが1500以下で、かつ、不燃冷媒R134aとR125に後述する安全率を加味したASHRAE不燃となる領域を示す。
【図8-14】R32の濃度がそれぞれ20.0、21.6、22.6、23.2、24.5、25.6、26.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G、H、I及びDで囲まれる四角形、及び、点G’、H’、I’及びDで囲まれる四角形)を示す図である。点GHIDで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、かつ、ASHRAE不燃となる領域を示し、点G’H’I’Dで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、かつ、不燃冷媒R134aとR125に後述する安全率を加味したASHRAE不燃となる領域を示す。
【図15】R32の濃度が10.8重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B(B=C=G’)、F及びEで囲まれる三角形、及び、点B’、C’、F’及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BFEで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図16-17】R32の濃度がそれぞれ12.4、14.1重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、F及びEで囲まれる四角形、及び、点B’、C’、F’及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BCFEで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図18-19】R32の濃度がそれぞれ14.8、16.1重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、F、E及びH’で囲まれる五角形、及び、点B’、C’、F’及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BCFEH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図20-24】R32の濃度がそれぞれ16.8、18.1、18.7、20.0、21.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、F及びEで囲まれる四角形、及び、点B’、C’、F’及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BCFEで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図25】R32の濃度が22.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、D、F及びEで囲まれる五角形、及び、点B’、C’、F’(=D)及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BCDFEで囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図26】R32の濃度が24.2重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、D、及びF(F=E=I’)で囲まれる四角形、及び、点B’、C’、D、F’及びE’で囲まれる五角形)を示す図である。点BCDFで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’DF’E’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図27】R32の濃度が24.5重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、D、及びI’で囲まれる四角形、及び、点B’、C’(=D)、F’及びE’で囲まれる四角形)を示す図である。点BCDI’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’E’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図28】R32の濃度が25.1重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点B、C、D、及びI’で囲まれる四角形、及び、点B’、C’及びF’(F’=E’=I’)で囲まれる三角形)を示す図である。点BCDI’で囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±2.5%以内となる領域を示し、点B’C’F’で囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、かつ、圧縮機出口圧力がR22の圧力に対して±1.25%以内となる領域を示す。
【図29】R32の濃度が11.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点J(J=K=G’で示される)を示す図である。線分QRから1234yf側は圧縮機出口温度が115℃以下となる領域を示し、線分STからR134a側はCOPが107.75%以上となる領域を示す。また、点JはGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%となる点を示す。
【図30】R32の濃度が14.2重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、J及びKで囲まれる三角形)を示す図である。点G’JKで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。
【図31】R32の濃度が14.5重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、J及びKで囲まれる三角形、点T、K及びUで囲まれる三角形、及び点L(L=M=G’))を示す図である。点G’JKで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点TKUで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点LはGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%となる点を示す。
【図32】R32の濃度が15.3重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、J及びKで囲まれる三角形、点T、K及びU(U=J=S)で囲まれる三角形、及び、点G’、L及びMで囲まれる三角形))を示す図である。点G’JKで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点TKUで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。
【図33】R32の濃度が16.2重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、J(J=H’)及びKで囲まれる三角形、点S、T、K及びJ(J=H’)で囲まれる四角形、及び、点G’、L及びMで囲まれる三角形))を示す図である。点G’JKで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STKJで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。
【図34】R32の濃度が17.0重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、J及びKで囲まれる四角形、点S、T、K、J及びH’で囲まれる五角形、及び、点G’、L及びM(M=T)で囲まれる三角形))を示す図である。点G’H’JKで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STKJH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。
【図35】R32の濃度が17.5重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、J及びK(K=R)で囲まれる四角形、点S、T、K(K=R)、J及びH’で囲まれる五角形、点G’、L及びMで囲まれる三角形、点T、M及びVで囲まれる三角形、及び点O(O=P=G’))を示す図である。点G’H’JKで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STKJH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点TMVで囲まれた三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点O(O=P=G’)はGWPが1500で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%となる点を示す。
【図36】R32の濃度が18.0重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、J、X及びK)で囲まれる四角形、点S、T、R、X、J及びH’で囲まれる六角形、点G’、L(L=S)及びMで囲まれる三角形、点T、M及びV(V=L=S)で囲まれる三角形、及び点G’、O及びPで囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’JXKで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STRXJH’で囲まれる六角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点TMVで囲まれた三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図37】R32の濃度が18.7重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、J、X及びR)で囲まれる五角形、点S、T、R、X、J及びH’で囲まれる六角形、点G’、L(L=H’)及びMで囲まれる三角形、点S、T、M及びL(L=H’)で囲まれる四角形、及び点G’、O及びPで囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’JXKで囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STRXJH’で囲まれる六角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’LMで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STMLで囲まれた四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図38】R32の濃度が19.0重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q(Q=J)及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q(Q=J)及びH’で囲まれる五角形、点G’、H’、L及びMで囲まれる四角形、点S、T、M、L及びH’で囲まれる五角形、及び点G’、O及びPで囲まれる三角形を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’H’LMで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STMLH’で囲まれた五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。
点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図39】R32の濃度が19.3重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形、点G’、H’、L及びM(M=R)で囲まれる四角形、点S、T、M(M=R)、L及びH’で囲まれる五角形、及び点G’、O及びPで囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’H’LMで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STMLH’で囲まれた五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図40】R32の濃度が20.0重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形、点G’、H’、L、Y及びRで囲まれる五角形、点S、T、R、Y、L及びH’で囲まれる六角形、及び点G’、O及びP(P=T=W)で囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して85%以上となる領域を示す。点G’H’LYMで囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STRYLH’で囲まれた六角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図41】R32の濃度が20.8重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形、及び点G’、O(O=S=W)及びPで囲まれる三角形、及び、点T、P及びW(W=S=O)で囲まれた三角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点TPWで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図42】R32の濃度が21.2重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形、及び点G’、O(O=H’)及びP(P=R)で囲まれる三角形、及び、点S、T、P及びO(O=H’)で囲まれる四角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’OPで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点STPOで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図43】R32の濃度が21.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形、及び点G’、H’、O及びPで囲まれる四角形、及び、点S、T、R、Z、O及びH’で囲まれる六角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して90%以上となる領域を示す。点G’H’OPで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を見込んだASHRAE不燃で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点STRZOH’で囲まれる六角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図44】R32の濃度が22.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、T、R、Q及びH’で囲まれる五角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点STRQH’で囲まれる五角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図45】R32の濃度が23.2重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S(S=H’)、T(T=R)、及びQで囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点STQで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図46】R32の濃度が24.7重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q及びRで囲まれる四角形、点S、α及びQで囲まれる三角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。点SαQで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、COPがR404Aに対して107.75%以上となり、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図47】R32の濃度が25.4重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、H’、Q(Q=S)及びRで囲まれる四角形)を示す図である。点G’H’QRで囲まれる四角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図48】R32の濃度が25.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点G’、Q(Q=H’)及びRで囲まれる三角形)を示す図である。点G’QRで囲まれる三角形はGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%以上となる領域を示す。
【図49】R32の濃度が26.6重量%である場合における、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の、前記混合物の組成(点Q(Q=R=G’))を示す図である。点QはGWPが1500以下で、安全率を加味したASHRAE不燃となり、圧縮機出口温度が115℃以下で、かつ、冷凍能力がR404Aに対して95%となる領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、第一の形態?第五の形態に大別される。以下にそれぞれの形態について詳細に記載する。以下、各点の説明及び近似式の説明における「x2」は「x^(2)」を表す。
【0015】
第一の形態
本発明の第一の形態について詳細に記載する。
【0016】
組成物
本発明の第一の形態の組成物(以下、第一の形態の欄において「本発明の組成物」とも称する)は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)を特定濃度で含む。
【0017】
本発明の組成物は、GWPが1500以下であり、かつASHRAE不燃の性能を兼ね備える。
【0018】
GWPは1500以下とすることによって、地球温暖化の観点から他の汎用冷媒と比べて顕著に環境負荷を抑えることができる。また、ASHRAE不燃であることにより、可燃性冷媒に比して安全性が高く使用可能範囲が広い。
【0019】
本発明の組成物は、好ましくは冷凍能力がR404Aと同等であり、具体的には、R404Aに対する冷凍能力は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上が更に好ましく、100%以上が特に好ましい。R404Aは冷凍用及び冷蔵用の冷媒として現在広く用いられている冷媒であり、本発明の組成物はR404Aの代替冷媒であることができる。
【0020】
本発明の組成物は、冷凍サイクルでの圧縮機出口温度は、冷凍機油劣化防止の観点から130℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、115℃以下が特に好ましい。
【0021】
本発明の組成物は、冷凍サイクルで消費された動力と冷凍能力の比(成績係数(COP))が高いことが好ましく、具体的には、COPは95以上が好ましく、100以上がより好ましく、107.75以上が特に好ましい。
【0022】
本発明の組成物は、冷凍サイクルにおける圧縮機出口圧力がR22と同等(R22レトロフィット)であることが好ましい。R22は冷凍用及び冷蔵用の冷媒としてR404A普及以前の冷媒として広く使用され、R22を冷媒とした冷凍機もまだ数多く残っているが、HCFC規制により先進国では2020年にR22は廃止予定であるので、代替冷媒が強く求められている。R22を使用している冷凍機の代替冷媒となるには、冷凍サイクルにおいて最大圧力となる圧縮機出口圧力がR22と同等であることが必須で、R22に対する圧縮機出口圧力±2.5%以内が好ましく、R22に対する圧縮機出口圧力±1.25%以内がより好ましい。
【0023】
本発明の組成物は、前記混合物が基本4成分、即ちジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)のみから形成されてもよく、基本4成分に加えて基本4成分とは異なる成分(「他の成分」という)を含んでいてもよい。以下、「基本4成分」、「他の成分」と表記する。他の成分の詳細については後述する。本発明の組成物は、前記混合物のみから構成されてもよく、前記混合物に加えて後述する冷凍機油などの任意の添加剤を添加して構成されてもよい。
【0024】
前記混合物が他の成分を含む場合には、基本4成分の機能を阻害しない程度の量であることが好ましい。当該観点からは、混合物中の他の成分の含有量は0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。
【0025】
フッ素化炭化水素の混合物
本発明で用いるフッ素化炭化水素の混合物は、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)を含む。以下、基本4成分の濃度の違いにより、形態1-1、形態1-2、形態1-3(下位概念として形態1-3-Aを有する)、形態1-4(下位概念として形態1-4-A、1-4-Bを有する)、及び形態1-5(下位概念として形態1-5-A、1-5-Bを有する)に分けて説明する。
【0026】
(形態1-1)
第一の形態の一実施形態(形態1-1)においては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.8重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5493x+45.325/-0.4243x+19.875)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9507x+60.575/-x+38.1)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.6974x+48.4)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.375x+3.25/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.1重量%>x≧14.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-R125-1234yf/-0.5736x+45.669/-0.3945x+19.443)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+59.936/-0.9723x+37.714)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.3625x+53.346)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.3625x+3.4461/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5258x+44.808/-0.4207x+19.907)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+59.698/-1.0517x+39.117)、
点I(0/100-R32-1234yf-R134a/1.0517x+58.983)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.369x+3.31/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5756x+45.817/-0.4244x+19.983)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+60.283/-0.8488x+35.065)、
点I(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0407x+120.8)、及び
点D(0.3430x+3.826/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 24.5重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5283x+44.746/-0.4717x+21.054)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+60.078/-0.8428x+34.949)、
点I(100-R32-1234yf-R134a/0/-1.9435x+118.61)、及び
点D(0.3710x+3.2057/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、並びに
(1)-6 26.6重量%≧x≧24.5重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G(100-R32-1234yf-R134a/-0.5710x+45.798/-0.4290x+20.002)、
点H(100-R32-1234yf-R134a/-0.9517x+60.931/-0.7613x+32.965)、
点I(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0000x+120.00)、及び
点D(0.3323x+4.1369/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0027】
このような混合物(混合物1?6の少なくとも一種)であることは、GWPの低減及びASHRAE不燃の性能確保の観点から好ましい。
【0028】
(形態1-2)
第一の形態の一実施形態(形態1-2)においては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.8重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9770x+59.575/-x+38.4)、
点I’(0/100-R32-1234yf-R134a/1.7007x+52.125)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.375x+3.25/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.1重量%>x≧14.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
点I’(0/100-R32-1234yf-R134a/1.3945x+56.657)、
点N(0/0/100-x)、及び
点D(0.3625x+3.4461/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/1.9483x+117.18)、及び
点D(0.369x+3.31/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0756x+119.72)、及び
点D(0.343x+3.826/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 24.5重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-1.9435x+116.71)、及び
点D(0.3710x+3.2057/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、並びに
(1)-6 26.6重量%≧x≧24.5重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
点I’(100-R32-1234yf-R134a/0/-2.0468x+119.26)、及び
点D(0.3323x+4.1369/0/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0029】
このような混合物(混合物1?6の少なくとも一種)であることは、GWPの低減及びASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)の観点から好ましい。
【0030】
(形態1-3)
第一の形態の一実施形態(形態1-3)においては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.1重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6665x+62.786/0.7204x+31.027/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0914x2-4.2444x+69.184/0.1181x2-6.3648x+93.765/100-R32-R125-1234yf)、
点F(0.0323x2-2.5621x+50.802/0.0346x2-3.9904x+67.56/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(0.0501x2-3.9756x+61.989/-0.0296x2+1.5133x+30.248/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 16.1重量%>x≧14.1重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C(0.0495x2-3.1434x+61.991/0.1723x2-8.1236x+107.78/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.5049x+42.339/-2.6349x+55.315/100-R32-R125-1234yf)、
点E(0.2747x2-9.7967x+99.415/0.6366x2-25.375x+276.93/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
14.8重量%>x≧14.1重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9770x+59.575/-x+38.4)、
16.1重量%>x≧14.8重量%のときは
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.8重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-2.2857x+56.7/0.7747x+30.285/100-R32-R125-1234yf)、
点C(-1.5714x+49.5/-2.8043x+66.812/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.2857x+38.8/-2.4954x+53.076/100-R32-R125-1234yf)、
点E(-1.1429x+31.3/-5.3142x+118.96/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.8重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.4615x+42.854/-5.931x+142.94/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3846x+46.362/-2.5156x+61.961/100-R32-R125-1234yf)、
点F(-1.3846x+40.462/-2.5401x+53.827/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E(-1.0769x+30.192/-4.9692x+113.16/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-1.0442x+35.27/0.2703x2-15.221x+222.52/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.3145x+45.088/-2.4404x+60.615/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.2138x+37.381/-0.1576x2+3.716x-7.7649/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.8869x+26.726/-4.3267x+101.52/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 21.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.875x+31.9/-4.3372x+112.98/100-R32-1234yf-R134a)、
点C(-1.25x+43.8/-2.375x+59.3/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.125x+35.6/-2.1875x+47.25/100-R32-1234yf-R134a)、及び
点E(-0.75x+24/-3.8831x+92.657/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 24.2重量%>x≧21.6重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B(-0.7267x+28.67/0.1603x2-10.987x+181.821/00-R32-1234yf-R134a)、
点C(0.0529x2-3.5375x+68.536/0.0431x2-4.1038x+76.546/100-R32-1234yf-R134a)、
点F(-1.9651x+53.771/0/100-R32-1234yf-R134a)、及び点
E(-0.6163x+21.118/0.0663x2-6.4133x+116.38/100-R32-1234yf-R134a)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0031】
このような混合物(混合物1?7の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)及びR22に対する同等の圧縮機出口圧力(R22レトロフィット)の観点から好ましい。
【0032】
(形態1-3-A)
また、形態1-3の下位概念として、形態1-3-Aにおいては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.1重量%>x≧10.8重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.6665x+62.786/0.7204x+31.027/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(0.0902x2-4.1561x+66.56/0.117x2-6.2764x+90.341/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(0.0702x2-3.5658x+59.024/0.0958x2-5.5978x+80.381/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-2.7576x+56.987/0.784x+33.578/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 14.8重量%>x≧14.1重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.2857x+56.7/0.7747x+30.285/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.7143x+50.071/-2.8571x+65.386/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.5714x+44.857/-2.7143x+58.771/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-2.2857x+50.329/0.6717x+35.158/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.1重量%>x≧14.8重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-1.4615x+42.854/-5.931x+142.94/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.5385x+47.469/-2.7834x+64.295/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.5385x+44.369/-2.7889x+59.876/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-1.6154x+40.408/-6.3915x+139.69/100-R32-R125-1234yf)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.4515x+46.075/-2.5842x+61.058/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.3447x+41.226/0.0959x2-5.7176x+82.165/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(0.1044x2-4.7203x+63.337/0.3836x2-18.386x+233.37/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-1.0442x+33.87/0.2539x2-14.531x+212.38/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.3145x+43.588/-2.4717x+59.031/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.258x+39.651/0.0607x2-4.7348x+75.905/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.8869x+28.126/0.1994x2-11.991x+177.97/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-0.7733x+28.448/0.0598x2-6.503x+129.46/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.157x+40.426/-2.1919x+53.439/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.1163x+36.822/0.0721x2-5.1875x+80.404/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.7733x+25.848/0.1578x2-10.613x+167.02/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 25.1重量%≧x≧22.6重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-0.6809x+26.385/0.1536x2-10.827x+179.27/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-0.2417x2+10.247x-93.86/0.5728x2-28.884x+364.1/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(0.1528x2-9.0875x+138.94/0/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(0.1167x2-6.085x+86.332/0.2787x2-16.413x+236.4/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0033】
このような混合物(混合物1?7の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)及びR22に対する同等の圧縮機出口圧力(R22レトロフィット)の観点から好ましい。
【0034】
(形態1-4)
第一の形態の一実施形態(形態1-4)においては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 14.2重量%>x≧11.6重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
点J(-3.5769x+75.492/1.2204x+24.143/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2.3846x+61.662/-4.0172x+84.9/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 15.3重量%>x≧14.2重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
14.8重量%>x≧14.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
15.3重量%>x≧14.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
及び
点J(-3.4381x+73.493/1.1236x+25.522/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(0.9091x2-29.091x+257.58/0.8579x2-29.085x+267.88/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 16.2重量%>x≧15.3重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点J(-3.5556x+75.3/1.2095x+24.209/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-2x+55.9/-3.4439x+76.392/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 17.5重量%>x≧16.2重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
点J(-1.6163x+43.882/-6.3674x+146.95/100-R32-R125-1234yf)、及び
点K(-1.8488x+53.445/-3.1206x+71.153/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 19.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
19.0重量%>x≧18.1重量%のときは
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
及び、
点J(0.1273x2-6.1109x+83.553/0.1532x2-11.484x+189.57/100-R32-R125-1234yf)、
点X(-0.1696x2+1.0575x+54.537/-0.2271x2+15.05x-177.28/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 20.8重量%>x≧19.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
20.0重量%>x≧19.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
及び、
点Q(-0.0198x2+27.157x-31.225/-0.0377x2+3.0486x-17.594/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
(1)-7 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは点
G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
及び、
点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
(1)-8 25.6重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-8 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
24.5重量%>x≧23.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
25.6重量%>x≧24.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
及び、
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.1398x2+8.0281x-81.391/-0.0932x2+5.7935x-58.514/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物8、並びに
(1)-9 26.6重量%≧x≧25.6重量%であり、
(2)-9 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点Q(8.2x-184.32/-5x+163.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(1.2x+1.88/1.246x-3.0431/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物9、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0035】
このような混合物(混合物1?9の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮、及び冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減の観点から好ましい。
【0036】
(形態1-4-A)
また、形態1-4の下位概念として、形態1-4-Aにおいては、前記混合物は、
(1)-1 17.0重量%>x≧14.5重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
14.8重量%>x≧14.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5757x+45.025/-0.4243x+20.975)、
17.0重量%>x≧14.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
及び、
点L(-3.3215x+82.089/1.1147x+20.535/100-R32-R125-1234yf)、
点M(-2.238x+66.348/-3.8006x+91.779/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.0重量%>x≧17.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
点L(-3.4x+83.4/1.3x+17.378/100-R32-R125-1234yf)、及び
点M(-1.7x+57.217/-0.6939x2+21.203x-132.72/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 18.7重量%>x≧18.0重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
18.1重量%>x≧18.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
18.7重量%>x≧18.1重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
及び、
点L(-3.1429x+78.771/1.1429x+20.229/100-R32-R125-1234yf)、
点M(-1.8571x+60.029/-3.1386x+80.613/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 19.3重量%>x≧18.7重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)
点L(-1.6667x+51.167/-6.2835x+159.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点M(-1.8333x+59.567/-3.1952x+81.665/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.8重量%>x≧19.3重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は
20.0重量%>x≧19.3重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
及び、
点L(-1.3994x+46.001/-5.5605x+145.15/100-R32-R125-1234yf)、
点Y(-0.4421x2+12.862x-59.353/0.4405x2-11.34x+74.783/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
及び、点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
(1)-7 25.6重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
24.5重量%>x≧23.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
25.6重量%>x≧24.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
及び、
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.1398x2+8.0281x-81.391/-0.0932x2+5.7935x-58.514/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、並びに
(1)-8 26.6重量%≧x≧25.6重量%であり、
(2)-8 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点Q(8.2x-184.32/-5x+163.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(1.2x+1.88/1.246x-3.0431/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物8、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0037】
このような混合物(混合物1?8の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮(形態1-4よりも高い冷凍能力)、及び冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減の観点から好ましい。
【0038】
(形態1-4-B)
また、形態1-4の下位概念として、形態1-4-Bにおいては、前記混合物は、
(1)-1 20.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a-/0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
20.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
及び、
点O(-3.1554x+89.013/1.1108x+15.673/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(0.0698x2-4.6141x+93.254/0.1361*x2-8.5106x+142.27/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 20.8重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-3.5x+95.9/1.5661x+6.5807/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-2.9691x+85.881/100-R32-R125-1234yf)、を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 21.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-2.25x+69.9/0.3629x+31.605/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-3.0619x+87.812/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 22.6重量%>x≧21.2重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
点O(0.3214x2-15.507x+206.49/1.2477x2-60.003x+750.62/100-R32-R125-1234yf)、
点Z(-0.0118x2-4.1976x+121.09/-0.0544x2+8.7425x-137.98/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 23.2重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 25.6重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’、点H’は、
24.5重量%>x≧23.2重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5848x+45.537/-0.4717x+21.954)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
25.6重量%>x≧24.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-x+60.7/-0.7145x+32.001)、
及び、
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(-0.1398x2+8.0281x-81.391/-0.0932x2+5.7935x-58.514/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 26.6重量%≧x≧25.6重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5242x+44.035/-0.4290x+20.902)、
点Q(8.2x-184.32/-5x+163.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点R(1.2x+1.88/1.246x-3.0431/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0039】
このような混合物(混合物1?7の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮(形態1-4-Aよりも高い冷凍能力)、及び冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減の観点から好ましい。
【0040】
(形態1-5)
第一の形態の一実施形態(形態1-5)においては、前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 15.3重量%>x≧14.2重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.0415x2+1.0547x+21.254/0.0863x2-3.628x+64.252)、
点K(0.9091x2-29.091x+257.58/0.8579x2-29.085x+267.88/100-R32-R125-1234yf)、及び
点U(1.3896x2-47.266x+418.78/-2.8422x2+97.299x-780.65/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 16.2重量%>x≧15.3重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.0508x2-2.3591x+66.946/-0.0008x2-0.6861x+31.798)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0415x2+1.0547x+21.254/0.0863x2-3.628x+64.252)、
点K(-2x+55.9/-3.4439x+76.392/100-R32-R125-1234yf)、及び
点J(-3.5556x+75.3/1.2095x+24.209/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 17.5重量%>x≧16.2重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S、点Tは、
17.0重量%>x≧16.2重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.0508x2-2.3591x+66.946/-0.0008x2-0.6861x+31.798)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0415x2+1.0547x+21.254/0.0863x2-3.628x+64.252)、
17.5重量%>x≧17.0重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x2-4.5904x+87.503/0.0939x2-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x2+2.5779x+5.5242/0.2286x2-9.3441x+120.28)、
及び、
点K(-1.8488x+53.445/-3.1206x+71.153/100-R32-R125-1234yf)、
点J(-1.6163x+43.882/-6.3674x+146.95/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 19.0重量%>x≧17.5重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x2-4.5904x+87.503/0.0939x2-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x2+2.5779x+5.5242/0.2286x2-9.3441x+120.28)、
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
点X(-0.1696x2+1.0575x+54.537/-0.2271x2+15.05x-177.28/100-R32-R125-1234yf)
点J(0.1273x2-6.1109x+83.553/0.1532x2-11.484x+189.57/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
18.1重量%>x≧17.5重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9083x+58.536/-0.9723x+38.014)、
19.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
を頂点とする六角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、(1)-5 20.8重量%>x≧19.0重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1263x2-5.6749x+102.56/-0.029x2+0.4298x+20.594)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.1451x2-6.0744x+89.981/-0.2364x2+8.5372x-51.582)、
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0198x2+27.157x-31.225/-0.0377x2+3.0486x-17.594/100-R32-R125-1234yf)、及び点H’は、
20.0重量%>x≧19.0重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x2+1.1657x+15.869/-0.123x2+4.4541x-15.735)、
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び点H’は
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)、
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、並びに
(1)-7 25.4重量%≧x≧23.2重量%であり、
(2)-7 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/-0.0317x2+0.4511x+43.979/0.075x2-4.1913x+72.494)、
点α(0.0324x2-3.5746x+95.092/0.0193x2+3.2487x-59.944/100-R32-R125-1234yf)、及び
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物7、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0041】
このような混合物(混合物1?7の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮、冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減、及び成績係数(COP)の向上の観点から好ましい。
【0042】
(形態1-5-A)
また、形態1-5の下位概念として、形態1-5-Aにおいては、前記混合物は、
(1)-1 18.0重量%>x≧17.0重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x2+2.5779x+5.5242/0.2286x2-9.3441x+120.28)、
点M(-1.7x+57.217/-0.6939x2+21.203x-132.72/100-R32-R125-1234yf)、及び
点V(-1.3362x2+40.667x-276.87/2.2412x2-64.842x+481.81/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 18.7重量%>x≧18.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x2-4.5904x+87.503/0.0939x2-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x2+2.5779x+5.5242/0.2286x2-9.3441x+120.28)、
点M(-1.8571x+60.029/-3.1386x+80.613/100-R32-R125-1234yf)、及び
点L(-3.1429x+78.771/1.1429x+20.229/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 19.3重量%>x≧18.7重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S、点Tは、
19.0重量%>x≧18.7重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1108x2-4.5904x+87.503/0.0939x2-4.1798x+63.826)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0766x2+2.5779x+5.5242/0.2286x2-9.3441x+120.28)、
19.3重量%>x≧19.0重量%のときは、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1263x2-5.6749x+102.56/-0.029x2+0.4298x+20.594)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.1451x2-6.0744x+89.981/-0.2364x2+8.5372x-51.582)、
及び、
点M(-1.8333x+59.567/-3.1952x+81.665/100-R32-R125-1234yf)、
点L(-1.6667x+51.167/-6.2835x+159.1/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 20.8重量%>x≧19.3重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.1451x2-6.0744x+89.981/-0.2364x2+8.5372x-51.582)、
点R(-0.0401x2+3.0217x-19.198/-0.0297x2+2.7774x-22.544/100-R32-R125-1234yf)、
点Y(-0.4421x2+12.862x-59.353/0.4405x2-11.34x+74.783/100-R32-R125-1234yf)、
点L(-1.3994x+46.001/-5.5605x+145.15/100-R32-R125-1234yf)、及び、
点H’は、
20.0重量%>x≧19.3重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.8948x+58.298/-1.0517x+39.417)、
20.8重量%>x≧20.0重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
を頂点とする六角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 23.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x2+1.1657x+15.869/-0.123x2+4.4541x-15.735)、
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’は、
22.6重量%>x≧20.8重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)、
23.2重量%>x≧22.6重量%のときは、
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、並びに
(1)-6 25.4重量%≧x≧23.2重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/-0.0317x2+0.4511x+43.979/0.075x2-4.1913x+72.494)、
点α(0.0324x2-3.5746x+95.092/0.0193x2+3.2487x-59.944/100-R32-R125-1234yf)、及び
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0043】
このような混合物(混合物1?6の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮(形態1-5よりも高い冷凍能力)、冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減、及び成績係数(COP)の向上の観点から好ましい。
【0044】
(形態1-5-B)
また、形態1-5の下位概念として、形態1-5-Bにおいては、前記混合物は、
(1)-1 20.8重量%>x≧20重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点T(100-R32-1234yf-R134a/0.1451x2-6.0744x+89.981/-0.2364x2+8.5372x-51.582)、
点P(-1.75x+63.9/-2.9691x+85.881/100-R32-R125-1234yf)、及び
点W(-1.4439x2+51.537x-424.27/2.1733x2-72.785x+612.88/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 21.2重量%>x≧20.8重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x2+1.1657x+15.869/-0.123x2+4.4541x-15.735)、
点P(-1.75x+63.9/-3.0619x+87.812/100-R32-R125-1234yf)、及び
点O(-2.25x+69.9/0.3629x+31.605/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 22.6重量%>x≧21.2重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x2+1.1657x+15.869/-0.123x2+4.4541x-15.735)、
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
点Z(-0.0118x2-4.1976x+121.09/-0.0544x2+8.7425x-137.98/100-R32-R125-1234yf)、
点O(0.3214x2-15.507x+206.49/1.2477x2-60.003x+750.62/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9244x+58.883/-0.8837x+36.078)
を頂点とする六角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
(1)-4 23.2重量%>x≧22.6重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/0.1017x2-5.1872x+102.99/0.0034x2-0.7313x+30.692)、
点T(100-R32-1234yf-R134a/-0.0318x2+1.1657x+15.869/-0.123x2+4.4541x-15.735)、
点R(-0.0031x2+1.5234x-4.0783/-0.0503x2+3.6856x-32.627/100-R32-R125-1234yf)、
点Q(-0.0984x2+6.1633x-68.728/-0.0617x2+3.9141x-25.243/100-R32-R125-1234yf)、及び
点H’(100-R32-1234yf-R134a/-0.9435x+59.308/-0.8428x+35.149)
を頂点とする五角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 25.4重量%>x≧23.2重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点S(100-R32-1234yf-R134a/-0.0317x2+0.4511x+43.979/0.075x2-4.1913x+72.494)、
点α(0.0324x2-3.5746x+95.092/0.0193x2+3.2487x-59.944/100-R32-R125-1234yf)、及び
点Q(-0.0115x2+2.3422x-26.868/-0.1077x2+6.4104x-58.357/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
からなる群から選択される少なくとも一種を含有する。
【0045】
このような混合物(混合物1?5の少なくとも一種)であることは、GWPの低減、ASHRAE不燃の性能確保(更に安全率を考慮)、R404Aと同等の冷凍能力の発揮(形態1-5-Aよりも高い冷凍能力)、冷凍サイクルでの圧縮機出口温度の低減、及び成績係数(COP)の向上の観点から好ましい。
【0046】
ここで、ASHRAEによる冷媒の可燃性分類について説明する。
【0047】
ASHRAEでは、冷媒の可燃性分類はANSI/ASHRAE Standard34-2013に基づいて行われ、クラス1に分類されるものが不燃性冷媒である。つまり、本発明の組成物がASHRAE不燃であることは、本発明で用いるフッ素化炭化水素の混合物(特に基本4成分)がその可燃性分類において前記クラス1に分類されることを意味する。
【0048】
具体的には、ANSI/ASHRAE34-2013に基づいた貯蔵、輸送、使用時の漏洩試験を行うことでWCFF(Worst case of fractionation for flammability:最も燃え易い混合組成)を特定し、WCFF組成がASTM E681-2009〔化学品(蒸気及び気体)の引火性濃度限界の標準試験法〕に基づいた試験で不燃と特定できた場合がクラス1に分類される。
【0049】
下記にR32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度を22.6重量%とする場合を例示し、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が77.4重量%で示される3成分組成図におけるASHRAE不燃限界の特定方法を説明する。
【0050】
3成分組成図にてASHRAE不燃限界を特定していくには、先ず可燃性冷媒(R32、1234yf)と不燃性冷媒(R134a、R125)との2元混合冷媒の不燃限界を求める必要がある。実験例1において当該2元混合冷媒の不燃限界を求めた。
【0051】
実験例1(可燃性冷媒(R32,1234yf)と不燃性冷媒(R134a、R125)との2元混合冷媒の不燃限界)
2元混合冷媒の不燃限界は、ASTM E681-2009に基づく燃焼試験の測定装置及び測定方法に基づいて求めた。
【0052】
具体的には、燃焼の状態が目視および録画撮影できるように内容積12リットルの球形ガラスフラスコを使用し、ガラスフラスコは燃焼により過大な圧力が発生した際には上部のふたからガスが開放されるようにした。着火方法は底部から1/3の高さに保持された電極からの放電により発生させた。試験条件は以下の通りである。
<試験条件>
試験容器:280mmφ球形(内容積:12リットル)
試験温度:60℃±3℃
圧力 :101.3kPa±0.7kPa
水分 :乾燥空気1gにつき0.0088g±0.0005g
2元冷媒組成物/空気混合比:1vol.%刻み±0.2vol.%
2元冷媒組成物混合:±0.1重量%
点火方法:交流放電、電圧15kV、電流30mA、ネオン変圧器
電極間隔:6.4mm(1/4inch)スパーク:0.4秒±0.05秒
判定基準:
・着火点を中心に90度以上火炎が広がった場合=燃焼(伝播)
・着火点を中心に90度未満の火炎の広がりだった場合=火炎伝播なし(不燃)
その結果、可燃性冷媒R32と不燃性冷媒R134aとの混合冷媒では、R32=43.0重量%、R134a=57.0重量%から火炎伝播は認められなくなり、この組成を不燃限界とした。また、可燃性冷媒R32と不燃性冷媒R125では、R32=63.0重量%、R125=37.0重量%、可燃性冷媒1234yfと不燃性冷媒R134aでは、1234yf=62.0重量%、R134a=38.0重量%、可燃性冷媒1234yfと不燃性冷媒R125では、1234yf=79.0重量%、R125=21.0重量%からそれぞれ火炎伝播は認められなくなり、これらの組成を不燃限界とした。表1に結果をまとめた。
【0053】
【表1】

【0054】
次に、実験例1で求めた2元混合冷媒の不燃限界に基づいてR32=22.6%の場合のASHRAE不燃限界を以下のように計算で求めた。
【0055】
1)R32=22.6重量%、1234yf=0重量%の場合
R125+R134a=77.4重量%とし、ASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-1に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFの1234yf濃度に対する不燃限界R134a濃度(重量%)=WCFFの1234yf(重量%)×38/62=0
(2)余剰R134a濃度(重量%)=WCFFのR134a濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR125濃度に対する不燃限界R32濃度(重量%)=WCFF組成のR125濃度(重量%)×63/37
(4)(WCFFのR32濃度-(3))のR32濃度に対する不燃限界R134a濃度=(WCFFのR32濃度-(3))×57/43
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0056】
【表2-1】

【0057】
2)R32=22.6重量%、R134a=50.0重量%の場合(R32/R125≦1.70) R125+1234yf=27.4重量%とし、ASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-2に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFの1234yf濃度に対する不燃限界R134a濃度(重量%)=WCFFの1234yf(重量%)×38/62
(2)余剰R134a濃度(重量%)=WCFFのR134a濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR125濃度に対する不燃限界R32濃度(重量%)=WCFF組成のR125濃度(重量%)×63/37
(4)(WCFFのR32濃度-(3))のR32濃度に対する不燃限界R134a濃度=(WCFFのR32濃度-(3))×57/43
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0058】
【表2-2】

【0059】
3)R32=22.6重量%、R134a=20.0重量%の場合(R32/R125≦1.70)
R125+1234yf=57.4重量%とし、ASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-3に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFの1234yf濃度に対する不燃限界R134a濃度(重量%)=WCFFの1234yf(重量%)×38/62
(2)余剰R134a濃度(重量%)=WCFFのR134a濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR125濃度に対する不燃限界R32濃度(重量%)=WCFF組成のR125濃度(重量%)×63/37
(4)(WCFFのR32濃度-(3))のR32濃度に対する不燃限界R134a濃度=(WCFFのR32濃度-(3))×57/43
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0060】
【表2-3】

【0061】
4)R32=22.6%、R134a=15.9%(算出WCFF変化点)
R125+R134a=61.5重量%としASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-4に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFのR32濃度に対するR125不燃限界濃度(重量%)=WCFFのR32(量%)×37/63
(2)余剰R125濃度(重量%)=WCFFのR125濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR134aに対する不燃限界1234yf濃度(重量%)=WCFF組成の134a濃度(重量%)×62/38
(4)(WCFFの1234yf濃度-(3))の1234yf濃度に対するR125不燃限界濃度=(WCFFの1234濃度-(3))×21/79
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0062】
【表2-4】

【0063】
上記が算出WCFFが変化点であることは、R134a=15.8、15.9、16.0重量%とし、液相側からのWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-5に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFのR32濃度に対するR125不燃限界濃度(重量%)=WCFFのR32(量%)×37/63
(2)余剰R125濃度(重量%)=WCFFのR125濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR134aに対する不燃限界1234yf濃度(重量%)=WCFF組成の134a濃度(重量%)×62/38
(4)(WCFFの1234yf濃度-(3))の1234yf濃度に対するR125不燃限界濃度=(WCFFの1234濃度-(3))×21/79
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0064】
【表2-5】

【0065】
以上からWCFFは、R134a≧16.0重量%ではWCFFは気相リーク初期、R134a≦15.8重量%では液相95%リーク時となり、R134a=15.9重量%がWCFF組成の変化点になっている。
【0066】
5)R32=22.6、R125=25.0%におけるASHRAE不燃限界
1234yf+R134a=52.4重量%としASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-6に示す。WCFFはR134a≦15.8重量%なので液相95%リーク時となり、また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFのR32濃度に対するR125不燃限界濃度(重量%)=WCFFのR32(量%)×37/63
(2)余剰R125濃度(重量%)=WCFFのR125濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR134aに対する不燃限界1234yf濃度(重量%)=WCFF組成の134a濃度(重量%)×62/38
(4)(WCFFの1234yf濃度-(3))の1234yf濃度に対するR125不燃限界濃度=(WCFFの1234濃度-(3))×21/79
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0067】
【表2-6】

【0068】
6)GWP=1500におけるASHRAE不燃限界
GWPが1500となる(22.6/34.2/32.8/10.4)(R32の濃度(重量%)/R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/R134aの濃度(重量%))の組成のWCFF組成、及び、ASHRAE不燃限界に近い混合組成におけるWCFF組成をREFPROP9.0により求めた。その結果を表2-7に示す。また、求めたWCFF組成が不燃限界組成になっているかどうかは、以下の手順で調べた。
(1)WCFFのR32濃度に対するR125不燃限界濃度(重量%)=WCFFのR32(量%)×37/63
(2)余剰R125濃度(重量%)=WCFFのR125濃度(重量%)-(1)
(3)WCFFのR134aに対する不燃限界1234yf濃度(重量%)=WCFF組成の134a濃度(重量%)×62/38
(4)(WCFFの1234yf濃度-(3))の1234yf濃度に対するR125不燃限界濃度=(WCFFの1234濃度-(3))×21/79
ここで、(2)-(4)>0になった組成を計算上のASHRAE不燃限界とした。
【0069】
【表2-7】

【0070】
以上の計算上のASHRAE不燃限界組成を調べた結果を3成分組成図に示し、それらの点を結ぶ回帰線を求めた結果が、図1の点G、Hを結ぶ直線及び点H、Iを結ぶ直線である。
【0071】
実験例2(実験例1で得られた計算上の不燃限界の燃焼試験による検証)
組成(R32/R125/1234yf/R134a)=(22.6/10.9/16.5/50.0)のWCFF組成(41.7/16.2/14.4/27.7)、及び、
組成(R32/R125/1234yf/R134a)=(22.6/34.2/32.8/10.4)のWCFF組成(0.2/5.4/65.8/28.6)
を代表例として、実験例1で示したASTM E681に従って燃焼試験を行ったところ、これらのWCFF組成では、火炎伝播は認められなかった。
【0072】
従って、実験例1で求めた2元組成物の不燃限界に基づき、実験例1で計算により求めたASHRAE不燃限界は、ANSI/ASHRAE Standard34-2013に基づいたASHRAE不燃の要件を満たしている。
【0073】
また、図1(R32=22.6%の三角図)で示したようにASHRAE不燃限界は、1234yf=0重量%(前記1)の方法で求めた点、図1では点I)とR32=30%、R134a=10.3%(算出WCFF変化点)(前記4)の方法で求めた点、図1では点H)とを結ぶ直線(直線HI)及び前記点Hと、GWP=1500(前記6)の方法で求めた点、図1では点G)とを結ぶ直線(直線GH)でGWPが1500以下でのASHRAE不燃限界が示される。
【0074】
以後、本明細書におけるASHRAE不燃限界は、実験例1で求めた2元組成物の不燃限界に基づいて前記1)と4)と6)の方法により求めた回帰線(直線HI及び直線GH)により示す。表2-8には、R32濃度=10.8、12.4、14.8、16.1、18.1、19.0、20.0、21.6、22.6、23.2、24.5、25.6、26.6重量%における点Gと点Hと点IのR32濃度、R125濃度、1234yf濃度、R134a濃度を示す。
【0075】
【表2-8】

【0076】
上記により計算で求めたASHRAE不燃限界は、それぞれの冷媒の製造時の純度や混合時の誤差などを考慮するとさらに安全率を見込むことが好ましい。ASHRAE不燃限界線GHについては、不燃性冷媒R134aは、R134aと1234yfとの不燃限界混合比をもとに1234yf濃度を1.63重量%(63/37)減少させることでR134a換算では1重量%(製造時の許容濃度として±1重量%見込むことが多いため)高くなるように平行移動した線分G’H’を安全率を見込んだものとした。また、ASHRAE不燃限界線HIについては、不燃性冷媒R125は、R125と1234yfとの不燃限界混合比をもとに1234yf濃度を3.76重量%(79/21)減少させることでR125換算では1重量%(製造時の許容濃度として±1重量%見込むことが多いため)高くなるように平行移動した線分H’I’を安全率を見込んだものとした。
【0077】
この安全率を見込んだASHRAE不燃線G’H’I’は、例えばR32=22.6重量%では、R125=y重量%、1234yf=z重量%、R134a=w重量%とした場合、線分GHは、y+z+w=100重量%ととした三角図上ではz=1.2w+42.92で表されるので、42.92から1.63を引き、線分G’H’はz=1.2w+41.29とし、線分ADとの交点をG’とした。線分HIは、z=2.0309y+17.116で表されるので、17.116から3.76を引き、線分H’I’はz=2.0309y+13.356とし、線分DIとの交点をI’とした。また、H’は、G’H’の線分の式z=1.2w+41.29とH’I’の線分の式z=2.0309y+13.356の交点として求めた。
【0078】
このようにして安全率を見込んだASHRAE不燃点G’H’I’を表2-9に示す。
【0079】
【表2-9】

【0080】
前記混合物に含まれるR32、R125、1234yf及びR134aの組成比は、R32の濃度条件による制限の下、R125、1234yf及びR134aの3成分組成図上の点で表すことができる。
【0081】
すなわち、R32の濃度をx重量%とすると、R125、1234yf及びR134aの濃度の和は、(100-x)重量%となり、前記混合物に含まれるR32、R125、1234yf及びR134aの組成比は、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を(100-x)とする3成分組成図上の座標点として表すことができる。以下に具体的な座標点の求め方を示す。
【0082】
以下では、xの範囲で場合分けをし、点A、B、C、D、E、F、B’、C’、E’、F’、G、H、I、G’、H’、I’、J、K、L、M、N、O、P、Q、R、S、T、U、V、W、X、Y、Z及びαの各点の意味は次の通りであり、各点の濃度は後記の実施例1で求め、その値を示している。
A:GWP=1500であってR134aの濃度(重量%)が0重量%の組成比
D:GWP=1500であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
G:GWP=1500であってASHRAE不燃限界を示す組成比
(WCFFがStorage/Shipping conditions 95%リーク後の液相組成になる場合)
H:ASHRAE不燃限界を示す組成比
(WCFFがStorage/Shipping conditions 95%リーク後の液相組成、及び、0%リーク時の気相組成になる場合)
I:ASHRAE不燃限界であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
(WCFFはStorage/Shipping conditions 0%リーク時の気相組成)
G’:ASHRAE不燃限界を示す線分GHに対して、不燃の安全率を見込むために
不燃冷媒R134aを+1重量%上乗せした線分とGWP=1500の線分との交点を示す組成比
H’:ASHRAE不燃限界を示す線分GHに対して、不燃冷媒R134aを+1重量%上乗せした線分と不燃冷媒R125を+1重量%上乗せした線分
I’:ASHRAE不燃限界を示す線分HIに対して、不燃の安全率を見込むために
不燃冷媒R125を+1重量%上乗せした線分であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
B:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の102.5%になる組成比
C:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の102.5%になる組成比
E:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の97.5%になる組成比
F:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の97.5%になる組成比
B’:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の101.25%になる組成比
C’:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の101.25%になる組成比
E’:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の98.75%になる組成比F’:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の98.75%になる組成比
J:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が85%になる組成比
K:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が85%になる組成比
L:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が90%になる組成比
M:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が90%になる組成比
O:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が95%になる組成比
P:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が95%になる組成比
Q:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口温度が115℃になる組成比
R:GWP=1500であって圧縮機出口温度が115℃になる組成比
S:線分G’H’I’上にあってCOPが対R404Aの107.75%となる組成比
T:GWP=1500であってCOPが対R404Aの107.75%となる組成比
U:線分STと線分JKとの交点
V:線分STと線分LMとの交点
W:線分STと線分OPとの交点
X:線分QRと線分JKとの交点
Y:線分ORと線分LMとの交点
Z:線分QRと線分OPとの交点
α:線分STと線分QRとの交点
N:R125=0、R134a=0となる点(0/0/100-x)
【0083】
(1)点A、D、G、H、I、G’、H’、I’の求め方
(1-1)点Aについて
14.8重量%≧x≧10.8重量%
x=R32の濃度が10.8重量%とき、R125、1234yf及び134aの濃度の総和を(100-x)重量%とする3成分組成図上の点Aは、
(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))=(40.7/40.5/0)であり、
R32の濃度が12.4重量%のとき、R125、1234yf及び134aの濃度の総和を(100-x)重量%とする3成分組成図上の点Aは、
(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))=(40.4/47.2/0)であり、
R32の濃度が14.8重量%のとき、R125、1234yf及び134aの濃度の総和を(100-x)重量%とする3成分組成図上の点Aは、
(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))=(40.0/45.2/0)であることから、R32、R125、1234yf及び134aの濃度の総和を100重量%としたときの、R125の濃度をy重量%とすると、xy座標にプロットした上記の3点から求められる回帰直線の式は、
y=-1.743x+42.575
で表される。また、点AのR134a濃度は0重量%なので、点Aの1234yf濃度は(100-R32濃度(重量%)-R125の濃度(重量%)で表される。
【0084】
以上より、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を(100-x)とする3成分組成図上の点A(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))は、(42.575-1.743x/100-R32濃度-R125の濃度/0)で表される。
【0085】
18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について同様に計算し、表3-1に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0086】
【表3-1】

【0087】
(1-2)点Dについて
点Dについても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-2に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0088】
【表3-2】

【0089】
(1-3)点Gについて
点Gについても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-3に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0090】
【表3-3】

【0091】
(1-4)点Hについて
点Hについても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-4に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0092】
【表3-4】

【0093】
(1-5)点Iについて
点Iについても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-5に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0094】
【表3-5】

【0095】
(1-6)点G’について
点G’についても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-6に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0096】
【表3-6】

【0097】
(1-7)点H’について
点H’についても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-7に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0098】
【表3-7】

【0099】
(1-8)点I’について
点I’についても、14.8重量%≧x≧10.8重量%、18.1重量%≧x≧14.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、24.5重量%≧x≧22.6重量%、及び、26.6重量%≧x≧24.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-7に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0100】
【表3-8】

【0101】
(2)点B、C、E、F、B’、C’E’、F’の求め方
(2-1)点Bについて
点Bについても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、16.1重量%≧x≧14.1重量%、16.8重量%≧x≧16.1重量%、18.1重量%≧x≧16.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、21.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、24.2重量%≧x≧21.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-9に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0102】
【表3-9】

【0103】
(2-2)点Cについて
点Cについても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、16.1重量%≧x≧14.1重量%、16.8重量%≧x≧16.1重量%、18.1重量%≧x≧16.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、21.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、24.2重量%≧x≧21.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-10に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0104】
【表3-10】

【0105】
(2-3)点Eについて
点Eについても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、16.1重量%≧x≧14.1重量%、16.8重量%≧x≧16.1重量%、18.1重量%≧x≧16.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、21.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、24.2重量%≧x≧21.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-11に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0106】
【表3-11】

【0107】
(2-4)点Fについて
点Fについても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、16.1重量%≧x≧14.1重量%、16.8重量%≧x≧16.1重量%、18.1重量%≧x≧16.8重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、21.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、24.2重量%≧x≧21.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-12に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0108】
【表3-12】

【0109】
(2-5)点B’について
点B’についても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、14.8重量%≧x≧14.1重量%、16.1重量%≧x≧14.8重量%、18.1重量%≧x≧16.1重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、25.1重量%≧x≧22.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-13に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0110】
【表3-13】

【0111】
(2-6)点C’について
点C’についても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、14.8重量%≧x≧14.1重量%、16.1重量%≧x≧14.8重量%、18.1重量%≧x≧16.1重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、25.1重量%≧x≧22.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-14に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0112】
【表3-14】

【0113】
(2-7)点E’について
点E’についても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、14.8重量%≧x≧14.1重量%、16.1重量%≧x≧14.8重量%、18.1重量%≧x≧16.1重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、25.1重量%≧x≧22.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-15に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0114】
【表3-15】

【0115】
(2-8)点F’について
点F’についても、14.1重量%≧x≧10.8重量%、14.8重量%≧x≧14.1重量%、16.1重量%≧x≧14.8重量%、18.1重量%≧x≧16.1重量%、20.0重量%≧x≧18.1重量%、22.6重量%≧x≧20.0重量%、及び、25.1重量%≧x≧22.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-16に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0116】
【表3-16】

【0117】
(3)点J、K、L、M、O、P、Q、R、S、Tの求め方
(3-1)点Jについて
点Jについても、14.2重量%≧x≧11.6重量%、15.3重量%≧x≧14.2重量%、16.2重量%≧x≧15.3重量%、17.5重量%≧x≧16.2重量%、及び、19.0重量%≧x≧17.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-17に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0118】
【表3-17】

【0119】
(3-2)点Kについて
点Kについても、14.2重量%≧x≧11.6重量%、15.3重量%≧x≧14.2重量%、16.2重量%≧x≧15.3重量%、17.5重量%≧x≧16.2重量%、及び、19.0重量%≧x≧17.5重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-18に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0120】
【表3-18】

【0121】
(3-3)点Lについて
点Lについても、17.0重量%≧x≧14.5重量%、18.0重量%≧x≧17.0重量%、18.7重量%≧x≧18.0重量%、19.3重量%≧x≧18.7重量%、及び、20.8重量%≧x≧19.3重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-19に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0122】
【表3-19】

【0123】
(3-4)点Mについて
点Mについても、17.0重量%≧x≧14.5重量%、18.0重量%≧x≧17.0重量%、18.7重量%≧x≧18.0重量%、19.3重量%≧x≧18.7重量%、及び、20.8重量%≧x≧19.3重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-20に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0124】
【表3-20】

【0125】
(3-5)点Oについて
点Oについても、20.0重量%≧x≧17.5重量%、20.8重量%≧x≧20.0重量%、21.2重量%≧x≧20.8重量%、及び、22.6重量%≧x≧21.2重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-21に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0126】
【表3-21】

【0127】
(3-6)点Pについて
点Pについても、20.0重量%≧x≧17.5重量%、20.8重量%≧x≧20.0重量%、21.2重量%≧x≧20.8重量%、及び、22.6重量%≧x≧21.2重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-22に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0128】
【表3-22】

【0129】
(3-7)点Qについて
点Qについても、20.8重量%≧x≧17.5重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%、25.6重量%≧x≧23.2重量%及び、26.6重量%≧x≧25.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-23に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0130】
【表3-23】

【0131】
(3-8)点Rについて
点Rについても、20.8重量%≧x≧17.5重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%、25.6重量%≧x≧23.2重量%及び、26.6重量%≧x≧25.6重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-24に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0132】
【表3-24】

【0133】
(3-9)点Sについて
点Sについても、17.0重量%≧x≧14.2重量%、19.0重量%≧x≧17.0重量%、20.8重量%≧x≧19.0重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%及び、25.4重量%≧x≧23.2重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-25に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0134】
【表3-25】

【0135】
(3-10)点Tについて
点Tについても、17.0重量%≧x≧14.2重量%、19.0重量%≧x≧17.0重量%、20.8重量%≧x≧19.0重量%、23.2重量%≧x≧20.8重量%及び、25.4重量%≧x≧23.2重量%の範囲について点Aと同様に計算し、表3-26に各濃度範囲ごとのR32=x重量%としたときのxの近似式で示される(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を示す。
【0136】
【表3-26】

【0137】
(4)交点U、V、W、X、Y、Z、αの求め方
(4-1)線分JKと線分STとの交点Uについて
x=R32=14.5重量%のとき、y=R125の濃度(重量%)、z=R134aの濃度(重量%)とした場合、線分JKは表3-27に示すようにz=-4.6376y+151.27、線分STはz=-2.0815y+85.873で示され、線分JKと線分STの交点であるUはこれらの式を解くことで表3-27に示すように(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))=(25.6/32.6/27.3)となる。また、15.3重量%≧x≧14.2重量%の範囲における交点Uの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点U(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3-27に示す。
【0138】
【表3-27】

【0139】
(4-2)線分LMと線分STとの交点Vについて
x=R32=17.5重量%のときの交点Vは、表3-28に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、18.0重量%≧x≧17.0重量%の範囲における交点Vの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点V(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3-28に示す。
【0140】
【表3-28】

【0141】
(4-3)線分OPと線分STとの交点Wについて
x=R32=20.4重量%のときの交点Wは、表3-29に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、20.8重量%≧x≧20.0重量%の範囲における交点Wの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点W(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3-29に示す。
【0142】
【表3-29】

【0143】
(4-4)線分JKと線分QRとの交点Xについて
x=R32=18.0重量%のときの交点Xは、表3-30に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、19.0重量%≧x≧17.5重量%の範囲における交点Xの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点X(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3?に30示す。
【0144】
【表3-30】

【0145】
(4-5)線分LMと線分QRとの交点Yについて
x=R32=20.0重量%のときの交点Yは、表3-31に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、20.8重量%≧x≧19.3重量%の範囲における交点Yの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点Y(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3?に31示す。
【0146】
【表3-31】

【0147】
(4-6)線分OPと線分QRとの交点Zについて
x=R32=21.6重量%のときの交点Zは、表3-32に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、22.6重量%≧x≧21.2重量%の範囲における交点Zの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点Z(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3?に32示す。
【0148】
【表3-32】

【0149】
(4-7)線分STと線分QRとの交点αについて x=R32=21.6重量%のときの交点αは、表3-33に示す線分の式から交点Uと同様に計算して求めた。また、25.4重量%≧x≧23.2重量%の範囲における交点αの近似式は点Aと同様に計算し、R32=x重量%としたときのxの近似式で示される交点α(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))を表3-33示す。
【0150】
【表3-33】

【0151】
本発明の第一の形態の組成物に含有される混合物(各混合物のうち少なくとも一種)は、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として水を含有することができる。
【0152】
混合物に含まれる水の濃度は、混合物の中の1234yf含有量に対して200重量ppm以下が好ましい。混合物の中の1234yf含有量に対する水濃度の下限値は特に限定されず、組成物の安定性が向上する効果が発揮される限り限定はされないが、例えば、0.1重量ppmとすることができる。
【0153】
混合物に水が含まれることにより、該混合物を含有する組成物の化学的安定性が高まるという予想外の効果を得ることができる。これは、該混合物が水を含むことで、組成物中に含まれる不飽和のフッ素化炭化水素類の分子内二重結合が安定に存在でき、また、不飽和のフッ素化炭化水素類の酸化も起こりにくくなるため、結果として組成物の安定性が向上するものと考えられる。
【0154】
本発明の第一の形態の組成物に含有される混合物は、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分(基本4成分とは異なるフッ素化炭化水素)を含有することができる。他の成分としてのフッ素化炭化水素は特に限定されず、HCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113及び3,3,3-トリフルオロプロピンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素化炭化水素が挙げられる。
【0155】
本発明の第一の形態の組成物に含有される混合物は、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として式(1):C_(m)H_(n)X_(p)[式中、Xはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種のハロゲン化有機化合物を含有することができる。他の成分としてのハロゲン化有機化合物は特に限定されず、例えば、ジフルオロクロロメタン、クロロメタン、2-クロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン、2-クロロ-1,1-ジフルオロエチレン、トリフルオロエチレン等が好ましい。
【0156】
本発明の第一の形態の組成物に含有される混合物は、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として式(2):C_(m)H_(n)X_(p)[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン原子ではない原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種の有機化合物を含有することができる。他の成分としての有機化合物は特に限定されず、例えば、プロパン、イソブタン等が好ましい。
【0157】
前述の通り、混合物が他の成分を含む場合には、混合物中の他の成分の含有量は、他の成分が単独又は2種以上で含まれるいずれの場合であっても合算量として0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。
【0158】
第二の形態?第四の形態
本発明の第二の形態の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、HCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113及び3,3,3-トリフルオロプロピンからなる群より選択される少なくとも1種のフッ素化炭化水素、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する。つまり、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分(基本4成分とは異なるフッ素化炭化水素)としてHCFC-1122、HCFC-124、CFC-1113及び3,3,3-トリフルオロプロピンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
【0159】
また、本発明の第三の形態の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、式(1):C_(m)H_(n)X_(p)[式中、Xはそれぞれ独立してフッ素原子、塩素原子又は臭素原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種のハロゲン化有機化合物、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する。つまり、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として式(1)で表されるハロゲン化有機化合物を含有する。
【0160】
さらに、本発明の第四の形態の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、式(2):C_(m)H_(n)X_(p)[式中、Xはそれぞれ独立してハロゲン原子ではない原子を表し、mは1又は2であり、2m+2≧n+pであり、p≧1である。]で表される少なくとも1種の有機化合物、R32、R125、R134a及び1234yfを含有する。つまり、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として式(2)で表される有機化合物を含有する。
【0161】
本発明の第二?第四の形態の組成物は、混合物中に含まれるR32、R125、R134a及び1234yfの組成比が特に限定されない点を除き、本発明の第一の形態の組成物と同様の組成物とすることができる。ここで、本発明の第二?第四の形態の組成物において、混合物中の他の成分の含有量は第一の形態の場合と同様に、0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。
【0162】
第五の形態
本発明の第五の形態の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、前記混合物が、ジフルオロメタン(R32)、ペンタフルオロエタン(R125)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234yf)及び水を含む。つまり、基本4成分(R32、R125、R134a及び1234yf)に加えて、他の成分として水を含有する。ここで、本発明の第五の形態の組成物において、混合物中の他の成分としての水の含有量は第一の形態の場合と同様に、0.5重量%以下が好ましく、0.3重量%以下がより好ましく、0.1重量%以下が特に好ましい。
【0163】
本発明の第五の形態の組成物に含有される混合物に含まれるR32、R125、R134a及び1234yfの組成比は特に限定されない。
【0164】
混合物に含まれる水の濃度は、混合物の中の1234yf含有量に対して200重量ppm以下が好ましい。混合物の中の1234yf含有量に対する水濃度の下限値は特に限定されず、組成物の安定性が向上する効果が発揮される限り限定はされないが、例えば、0.1重量ppmとすることができる。
【0165】
混合物に水が含まれることにより、該混合物を含有する組成物の化学的安定性が高まるという予想外の効果を得ることができる。これは、該混合物が水を含むことで、組成物中に含まれる不飽和のフッ素化炭化水素類の分子内二重結合が安定に存在でき、また、不飽和のフッ素化炭化水素類の酸化も起こりにくくなるため、結果として組成物の安定性が向上するものと考えられる。
【0166】
本発明の第五の形態の組成物は、混合物中に含まれるR32、R125、R134a及び1234yfの組成比は特に限定されない点を除き、本発明の第一の形態の組成物と同様の組成物とすることができる。
【0167】
任意の添加剤
本発明の第一?第五の形態の組成物は、フッ素化炭化水素の混合物の他に、種々の添加剤を目的に応じて適宜含むことができる。
【0168】
本発明の組成物は、冷凍機油をさらに含むことができる。冷凍機油としては、特に限定されず、一般に用いられる冷凍機油の中から適宜選択することができる。その際には、必要に応じて、前記混合物との相溶性及び前記混合物の安定性等を向上する作用等の点でより優れている冷凍機油を適宜選択することができる。
【0169】
前記混合物の安定性の評価方法は、特に限定されず、一般的に用いられる手法で評価することができる。そのような手法の一例として、ASHRAE標準97-2007にしたがって遊離フッ素イオンの量を指標として評価する方法等が挙げられる。その他にも、全酸価(total acid number)を指標として評価する方法等も挙げられる。この方法は、例えば、ASTM D 974-06にしたがって行うことができる。
【0170】
冷凍機油の種類は、より具体的には、例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。
【0171】
冷凍機油は、例えば、40℃における動粘度が5?400cStであるものを用いることができる。動粘度がこの範囲内にあると、潤滑の点で好ましい。
【0172】
冷凍機油の濃度は、特に限定されず、組成物全体に対して、通常、10?50重量%であることができる。
【0173】
本発明の第一?第五の形態の組成物は、一種以上のトレーサーをさらに含むことができる。トレーサーは、本発明の組成物が希釈、汚染、その他何らかの変更があった場合、その変更を追跡できるように検出可能な濃度で本発明組成物に添加される。トレーサーとしては、特に限定されず、ハイドロフルオロカーボン、重水素化炭化水素、重水素化ハイドロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン、フルオロエーテル、臭素化化合物、ヨウ素化化合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、亜酸化窒素(N_(2)O)等が好ましく、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロエーテルが特に好ましい。
【0174】
本発明の第一?第五の形態の組成物は、相溶化剤をさらに含むことができる。相溶化剤としては、特に限定されず、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ニトリル、ケトン、クロロカーボン、エステル、ラクトン、アリールエーテル、フルオロエーテルおよび1,1,1-トリフルオロアルカン等が好ましく、ポリオキシアルキレングリコールエーテルが特に好ましい。
【0175】
本発明の第一?第五の形態の組成物は、一種以上の紫外線蛍光染料をさらに含むことができる。紫外線蛍光染料としては、特に限定されず、ナフタルイミド、クマリン、アントラセン、フェナントレン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテン及びフルオレセイン、並びにこれらの誘導体が好ましく、ナフタルイミド及びクマリンのいずれか又は両方が特に好ましい。
【0176】
本発明の第一?第五の形態の組成物は、必要に応じて、安定剤、重合禁止剤等をさらに含むことができる。
【0177】
安定剤としては、特に限定されず、(i)ニトロメタン、ニトロエタン等の脂肪族ニトロ化合物、ニトロベンゼン、ニトロスチレン等の芳香族ニトロ化合物、(ii)1,4-ジオキサン等のエーテル類、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアミン、ジフェニルアミン等のアミン類、ブチルヒドロキシキシレン、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。安定剤は、単独で又は2種以上を組み合わせであることができる。
【0178】
安定剤の濃度は、安定剤の種類により異なるが、組成物の性質に支障を与えない程度とすることができる。安定剤の濃度は前記混合物100重量部に対して、通常、0.01?5重量部程度とすることが好ましく、0.05?2重量部程度とすることがより好ましい。
【0179】
重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、4-メトキシ-1-ナフトール、ヒドロキノン、ヒドロキノンメチルエーテル、ジメチル-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0180】
重合禁止剤の濃度は前記混合物100重量部に対して、通常、0.01?5重量部とすることが好ましく、0.05?2重量部程度とすることがより好ましい。
【0181】
本発明の第一?第五の形態の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む冷凍方法により、対象物を冷凍することができる。例えば、前記組成物を、圧縮機を介して循環させることで前記冷凍サイクルを構成することができる。
【0182】
また、圧縮機を介して前記組成物を循環させる冷凍サイクルを構成する装置とすることもできる。かかる装置を用いた冷凍方法において、前記混合物に含まれるR32、R125、R134a及び1234yfの組成比が、上記の特定の組成比であることにより、例えば、圧縮機の吐出温度を110℃以下とすることができる。圧縮機の吐出温度をかかる範囲とすることによって、組成物が冷凍機油を含む場合には、冷凍機油の劣化を抑えることができる。
【0183】
本発明の第一?第五の形態の組成物を使用できる冷凍機としては、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫等に用いられる冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機等があるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0184】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0185】
実施例1-1?3-139及び比較例1-1?3-115
R404A、並びに、R32、R125、R134a及び1234yfの混合物を含有する組成物のGWPは、IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change)第4次報告書の値に基づいて評価した。また、R404A 並びにR32、R125、R134a及び1234yfの混合物を含有する組成物の冷凍能力は、National Institute of Science and Technology(NIST)Reference Fluid Thermodynamic and Transport Properties Database(Refprop 9.0)を使い、下記条件で混合冷媒の冷凍サイクル理論計算を実施することにより求めた。
蒸発温度 -40℃
凝縮温度 40℃
過熱温度 20K
過冷却温度 0K
圧縮機効率 70%
また、燃焼性はASHRAE可燃性分類に基づいて求めた。
【0186】
また、これらの結果をもとに算出したGWP、COP、圧縮機出口圧力、圧縮機出口温度、及び、冷凍能力を表4-1?表6-21に示す。表5では、COP、冷凍能力、圧縮機出口圧力はR22に対する割合を示し、表6では、COP及び冷凍能力については、R404Aに対する割合を示す。
【0187】
成績係数(COP)は、次式により求めた。
COP=(冷凍能力又は暖房能力)/消費電力量
図15?27、30、31、33、36、44及び45において、符号以外の実施例の組成を○で示し、符号以外の比較例の組成を△で示す。
【0188】
【表4-1】

【0189】
【表4-2】

【0190】
【表4-3】

【0191】
【表4-4】

【0192】
【表4-5】

【0193】
【表4-6】

【0194】
【表4-7】

【0195】
【表4-8】

【0196】
【表4-9】

【0197】
【表4-10】

【0198】
【表4-11】

【0199】
【表4-12】

【0200】
【表4-13】

【0201】
【表5-1】

【0202】
【表5-2】

【0203】
【表5-3】

【0204】
【表5-4】

【0205】
【表5-5】

【0206】
【表5-6】

【0207】
【表5-7】

【0208】
【表5-8】

【0209】
【表5-9】

【0210】
【表5-10】

【0211】
【表5-11】

【0212】
【表5-12】

【0213】
【表5-13】

【0214】
【表5-14】

【0215】
【表6-1】

【0216】
【表6-2】

【0217】
【表6-3】

【0218】
【表6-4】

【0219】
【表6-5】

【0220】
【表6-6】

【0221】
【表6-7】

【0222】
【表6-8】

【0223】
【表6-9】

【0224】
【表6-10】

【0225】
【表6-11】

【0226】
【表6-12】

【0227】
【表6-13】

【0228】
【表6-14】

【0229】
【表6-15】

【0230】
【表6-16】

【0231】
【表6-17】

【0232】
【表6-18】

【0233】
【表6-19】

【0234】
【表6-20】

【0235】
【表6-21】

【0236】
実施例3-52、3-124及び比較例3-51、3-89
実施例3-52、3-124及び比較例3-51、3-89について、ASHRAE34-2013に従って燃焼性の検証を行った。
【0237】
WCFFを求めるために、REFPROP9.0を用いて、下記9ケースの
・Storage/Shipping Condition
漏洩温度:(1)沸点+10℃(-40℃より沸点+10℃の方が高いので)、(2)23℃、(3)54.4℃
・Equipment Condition
漏洩温度:(4)沸点+10℃(-40℃より沸点+10℃の方が高いので)、(5)23℃、(6)60℃
・Leak/Recharge Testing
漏洩温度:(7)23±3℃
漏洩計算を行った。
【0238】
その結果を表14、表15に示す。いずれもStorage/Shipping Conditionで、(1)沸点+10℃におけるボンベ充填時の気相がWCFFとなった。
【0239】
【表7】

【0240】
【表8】

【0241】
実施例3-52、3-124及び比較例3-51、3-89に示したWCFFについて、ASTM E681(引火性濃度限界の標準試験法)に従って燃焼試験を行ったところ、実施例のWCFF組成では、火炎伝播は認められず、比較例のWCFF組成では火炎伝播が認められた。
【0242】
実施例はASHRAE不燃(クラス1)、比較例はASHRAE可燃(クラス2又はクラス3)に分類される結果であった。
【符号の説明】
【0243】
A:GWP=1500であってR134aの濃度(重量%)が0重量%の組成比
D:GWP=1500であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
G:GWP=1500であってASHRAE不燃限界を示す組成比
(WCFFがStorage/Shipping conditions 95%リーク後の液相組成になる場合)
H:ASHRAE不燃限界を示す組成比
(WCFFがStorage/Shipping conditions 95%リーク後の液相組成、及び、0%リーク時の気相組成になる場合)
I:ASHRAE不燃限界であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
(WCFFはStorage/Shipping conditions 0%リーク時の気相組成)
G’:ASHRAE不燃限界を示す線分GHに対して、不燃の安全率を見込むために不燃冷媒R134aを+1重量%上乗せした線分とGWP=1500の線分との交点を示す組成比
H’:ASHRAE不燃限界を示す線分GHに対して、不燃冷媒R134aを+1重量%上乗せした線分と不燃冷媒R125を+1重量%上乗せした線分
I’:ASHRAE不燃限界を示す線分HIに対して、不燃の安全率を見込むために
不燃冷媒R125を+1重量%上乗せした線分であって1234yfの濃度(重量%)が0重量%の組成比
B:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の102.5%になる組成比
C:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の102.5%になる組成比
E:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の97.5%になる組成比
F:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の97.5%になる組成比
B’:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の101.25%になる組成比
C’:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の101.25%になる組成比
E’:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口圧力がR22圧力の98.75%になる組成比
F’:GWP=1500であって圧縮機出口圧力がR22圧力の98.75%になる組成比
J:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が85%になる組成比
K:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が85%になる組成比
L:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が90%になる組成比
M:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が90%になる組成比
O:線分G’H’I’上にあって対R404A冷凍能力が95%になる組成比
P:GWP=1500であって対R404A冷凍能力が95%になる組成比
Q:線分G’H’I’上にあって圧縮機出口温度が115℃になる組成比
R:GWP=1500であって圧縮機出口温度が115℃になる組成比
S:線分G’H’I’上にあってCOPが対R404Aの107.75%となる組成比
T:GWP=1500であってCOPが対R404Aの107.75%となる組成比
U:線分STと線分JKとの交点
V:線分STと線分LMとの交点
W:線分STと線分OPとの交点
X:線分QRと線分JKとの交点
Y:線分ORと線分LMとの交点
Z:線分QRと線分OPとの交点
α:線分STと線分QRとの交点
N:R125=0、R134a=0となる点(0/0/100-x)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-4 18.1重量%>x≧16.1重量%であり、
(2)-4 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-2.6456x+62.484/0.7929x+29.984/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.4515x+46.075/-2.5842x+61.058/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.3447x+41.226/0.0959x^(2)-5.7176x+82.165/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(0.1044x^(2)-4.7203x+63.337/0.3836x^(2)-18.386x+233.37/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物4、
(1)-5 20.0重量%>x≧18.1重量%であり、
(2)-5 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-1.0442x+33.87/0.2539x^(2)-14.531x+212.38/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.3145x+43.588/-2.4717x+59.031/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.258x+39.651/0.0607x^(2)-4.7348x+75.905/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.8869x+28.126/0.1994x^(2)-11.991x+177.97/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物5、
(1)-6 22.6重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-6 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点B’(-0.7733x+28.448/0.0598x^(2)-6.503x+129.46/100-R32-R125-1234yf)、
点C’(-1.157x+40.426/-2.1919x+53.439/100-R32-R125-1234yf)、
点F’(-1.1163x+36.822/0.0721x^(2)-5.1875x+80.404/100-R32-R125-1234yf)、及び
点E’(-0.7733x+25.848/0.1578x^(2)-10.613x+167.02/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする四角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物6、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。
【請求項4】
フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物であって、
前記混合物は、R32、R125、1234yf及びR134aのみからなる基本4成分に加えて前記基本4成分とは異なる他の成分を含んでいてもよく、前記混合物中の前記他の成分の含有量は0.5重量%以下であり、
前記混合物に含まれるフッ素化炭化水素の組成比が、R32、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和を100重量%、R32の濃度をx重量%とするとき、R125、1234yf及びR134aの濃度の総和が(100-x)重量%で示される3成分組成図において、
(1)-1 20.0重量%>x>17.5重量%であり、
(2)-1 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’は、
18.1重量%>x>17.5重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5458x+44.582/-0.4264x+21.031)、
20.0重量%>x≧18.1重量%のときは、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5277x+44.277/-0.4207x+20.907)、
及び、
点O(-3.1554x+89.013/1.1108x+15.673/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(0.0698x^(2)-4.6141x+93.254/0.1361x^(2)-8.5106x+142.27/100-R32-R125-1234yf)
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物1、
(1)-2 20.8重量%>x≧20.0重量%であり、
(2)-2 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-3.5x+95.9/1.5661x+6.5807/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-2.9691x+85.881/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物2、
(1)-3 x=20.8重量%であり、
(2)-3 R125、1234yf及び134aの濃度(R125の濃度(重量%)/1234yfの濃度(重量%)/134aの濃度(重量%))が、
点G’(100-R32-1234yf-R134a/-0.5349x+44.413/-0.4651x+21.787)、
点O(-2.25x+69.9/0.3629x+31.605/100-R32-R125-1234yf)、及び
点P(-1.75x+63.9/-3.0619x+87.812/100-R32-R125-1234yf)、
を頂点とする三角形の範囲に含まれる組成比を有する混合物3、
からなる群から選択される一種を含有する組成物。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
(削除)
【請求項10】
冷凍機油を含有する、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項11】
前記冷凍機油が、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリオールエステル(POE)及びポリビニルエーテル(PVE)からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
混合冷媒であるR404A(R125/R134a/R143a=44/4/52重量%)の代替冷媒である、請求項4、10及び11に記載の組成物。
【請求項13】
HCFC冷媒であるR22の代替冷媒である、請求項3、10及び11のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
トレーサー、相溶化剤、紫外線蛍光染料、安定剤及び重合禁止剤からなる群より選択される少なくとも1種の物質を含む、請求項3、4及び10?13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、前記フッ素化炭化水素の混合物のみからなる、請求項3、4、12及び13のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する工程を含む、冷凍方法。
【請求項17】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を用いて冷凍サイクルを運転する、冷凍機の運転方法。
【請求項18】
請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物を含む冷凍機。
【請求項19】
冷蔵庫、冷凍庫、冷水機、製氷機、冷蔵ショーケース、冷凍ショーケース、冷凍冷蔵ユニット、冷凍冷蔵倉庫用冷凍機、チラー(チリングユニット)、ターボ冷凍機及びスクリュー冷凍機からなる群から選択される少なくとも1種に使用する、請求項3、4及び10?15のいずれかに記載の組成物。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-12-23 
出願番号 特願2016-222802(P2016-222802)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C09K)
P 1 651・ 536- YAA (C09K)
P 1 651・ 537- YAA (C09K)
P 1 651・ 121- YAA (C09K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中野 孝一  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 日比野 隆治
木村 敏康
登録日 2017-11-17 
登録番号 特許第6241534号(P6241534)
権利者 ダイキン工業株式会社
発明の名称 フッ素化炭化水素の混合物を含有する組成物及びその応用  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  

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