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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61K 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61K |
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管理番号 | 1360042 |
審判番号 | 不服2019-1316 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-01-31 |
確定日 | 2020-02-21 |
事件の表示 | 特願2014-206479「生体内酸化還元状態改善剤」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月21日出願公開、特開2015- 96494〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 この出願は、平成26年10月7日(優先権主張 平成25年10月7日)の出願であって、平成26年10月8日付けで物件提出書が出され、平成30年5月28日付けで拒絶理由が通知され、同年8月6日に意見書、手続補正書が提出され、同年11月1日付けで拒絶査定され、平成31年1月31日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 第2 平成31年1月31日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成31年1月31日にされた手続補正を却下する。 1 補正の内容 平成31年1月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について、平成30年8月6日付け手続補正により補正された請求項1 「【請求項1】 セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有することを特徴とするプロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品。」 を 「【請求項1】 プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品であって、該生体内の酸化還元状態の改善が、ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させることであり、セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有することを特徴とする飲食品。」(下線部は、補正箇所である。)とする補正を含むものである。 2 補正の適否 (1)本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「生体内の酸化還元状態の改善」に関して、「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」であると限定するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2項に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するか否か)について検討する。 (2)本願補正発明 本願補正発明は、前記1に記載したとおりのものである。 (3)引用刊行物 刊行物1:特開2010-202559号公報(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5) 刊行物2:特開平6-2279779号公報(原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3) 刊行物3:特開平8-208685号公報 (原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4) (4)刊行物の記載事項 ア 刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2010-202559号公報には、以下の記載がある。 (1a)「【請求項1】 セサミン類、式(I)の化合物、 【化1】 ・・・ 式(II)の化合物、 【化2】 ・・・ 式(III)の化合物、および 【化3】 ・・・ 式(IV)の化合物 【化4】 ・・・ からなる群から選択される一種以上を有効成分とする神経細胞分化誘導剤。 【請求項2】 セサミン類が、セサミン、エピセサミン、又はそれらの混合物である、請求項1記載の神経細胞分化誘導剤。 【請求項3】 有効成分が、式(I)の化合物、 【化5】 式(III)の化合物、または 【化6】 式(IV)の化合物 【化7】 である、請求項1記載の神経細胞分化誘導剤。 【請求項4】 神経細胞分化誘導作用によって脳機能障害が予防または改善される、請求項1?3のいずれか一項に記載の神経細胞分化誘導剤。 【請求項5】 脳機能障害が老人性痴呆である、請求項4記載の神経細胞分化誘導剤。 【請求項6】 神経成長因子(NFG)との併用で使用する請求項1?5のいずれか一項に記載の神経細胞分化誘導剤。 【請求項7】 請求項1?6のいずれか一項に記載の神経細胞分化誘導剤を配合してなる、脳機能障害改善用飲食品。 【請求項8】 請求項1?6のいずれか一項に記載の神経細胞分化誘導剤を有効成分として配合してなる、脳機能障害改善用医薬組成物。 【請求項9】 セサミン類、式(I)の化合物、 【化8】 ・・・ 式(II)の化合物、 【化9】 ・・・ 式(III)の化合物、および 【化10】 ・・・ 式(IV)の化合物 【化11】 からなる群から選択される一種以上を有効成分とするNGF作用の増強剤。」 (1b)「【技術分野】 【0001】 本発明は、神経細胞分化誘導剤、NGF作用の増強剤及びそれを含有する飲食品又は医薬組成物に関する。より詳細には、セサミン類またはその代謝物を含む神経細胞分化誘導剤、セサミン類またはその代謝物を含むNGF作用の増強剤、及び前記神経細胞分化誘導剤を含有してなる飲食品、医薬組成物に関する。」 (1c)「【0006】 ゴマやゴマ油に含まれるリグナン化合物の1種であるセサミンおよびエピセサミンは、抗酸化作用など様々な生理作用を有することが知られている。例えば、PC12細胞に酸化ストレス(H_(2)O_(2))若しくは低酸素負荷を加える実験系において、セサミンとセサモリンが用量依存的に細胞死を抑制するといった報告や(非特許文献3-4)、ロテノン誘発パーキンソンモデルラットにセサミンをロテノン処理の2週間前から7週間経口投与することで、パーキンソン病の症状である寡動や筋固縮が予防できることが示されている(非特許文献5)。ロテノン誘発モデルは、ミトコンドリア内膜に存在する複合体Iに高い親和性で結合するロテノンを用いて電子伝達系を阻害することにより、ミトコンドリアからの活性酸素産生を増加させ、ミトコンドリア機能不全、更にはドーパミンニューロンに酸化的傷害を引き起こして、パーキンソン病の病態を誘導するとされている(非特許文献6)。そして、ロテノン処理による細胞傷害を抗酸化物質が救済することが示されている(非特許文献7)ことから、これらの作用は何れも酸化ストレス下におけるセサミンの抗酸化作用に基づくものと考えられる。 ・・・ 【発明が解決しようとする課題】 【0009】 上記のように、病態の進行抑制が有効手段とされ、根本的な治療法が確立されていない疾患に対しては、既に神経ネットワークの障害が進行している状態からでも、神経機能を正常に近づけることのできる医薬品、機能性食品の開発が求められている。 【0010】 本発明の目的は、安全性に優れ長期摂取が可能であり、かつ効果的に神経細胞の分化を誘導し、神経網の形成促進作用を示す物質を有効成分とする神経細胞分化誘導剤を提供することである。」 (1d)「【発明の効果】 【0021】 本発明の有効成分であるセサミン類またはその代謝物は、神経細胞分化誘導作用を有する。また、セサミン類またはその代謝物は、神経細胞に直接的に、あるいはNGF作用を増強することにより間接的に作用し、神経ネットワーク・機能を修復・再生する。従って、加齢に伴い徐々に障害を受ける神経ネットワーク・機能を修復・再生することにより、認知・記憶障害の発症を予防するだけでなく、一旦発症した場合にも、残存する神経細胞に働きかけ、神経ネットワーク・機能の修復・再生に効果を示す。また、セサミン、エピセサミンは古くから食品として摂取されてきた成分であり、安全性に優れることから長期摂取が可能であるため、本発明の神経細胞分化誘導剤またはNGF作用の増強剤は、老人性痴呆の発症を予防・改善作用を有する医薬品、機能性食品に応用することができる。」 (1e)「【発明を実施するための形態】 【0023】 以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。 (神経細胞分化誘導剤またはNGF作用の増強剤) 本発明における神経細胞分化誘導作用とは、神経細胞の神経突起を形成、伸長させ、神経網の形成を促す作用、あるいは未分化の神経細胞を神経細胞に分化させる作用などを意味する。本発明の神経細胞分化誘導剤は、神経分化誘導作用を有するセサミン類、SC-1、SC-2、EC-1およびEC-1’からなる群から選択される一種以上を有効成分として含有する。本発明の神経細胞分化誘導剤は、神経細胞に直接的に作用して神経突起を伸長させ、神経ネットワークの形成を促進させる、あるいは未分化の神経細胞を神経細胞に分化させる等の作用を示すことにより、脳機能障害の予防または治療改善効果を示す。 【0024】 本発明におけるNGF作用の増強とは、NGFの作用である神経突起伸長作用、神経網形成促進作用、あるいは神経細胞分化誘導作用を増強することをいう。本発明のNGF作用の増強剤は、NGFの作用を相乗的に高める作用により、脳機能障害の予防または治療改善効果を示す。 【0025】 脳機能障害の例としては、痴呆、特に脳血管性又はアルツハイマー型痴呆を含む老人性痴呆また、認知症の初期の段階とされる軽度認知機能障害(Mild cognitive impairment)が挙げられる。ここで、痴呆(認知症)は、「一度正常に発達した知的機能が後天的な脳の器質障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活が営めなくなっている状態で、それが意識障害のないときにみられる」と定義されている(International Statistical Classification of Disease and Related Health Problems Tenth Revision;ICD10(2003)、The Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders-?IV;DMS-IV(1994))。 【0026】 本発明の神経細胞分化誘導剤またはNGF作用の増強剤の有効成分であるセサミン類は、セサミン及びその類縁体を含む。セサミン類縁体としては、エピセサミンの他、セサミノール、エピセサミノール、セサモリンを例示できる。なかでもセサミン、エピセサミン又はセサミンとエピセサミンの混合物が好ましい。」 (1f)「【0028】 (飲食品) 本発明の脳機能障害改善用飲食品は、上記神経細胞分化誘導剤またはNGF作用の増強剤を有効成分として配合することによって調製することができる。 【0029】 本発明の飲食品は、脳機能障害改善効果を増強させるために、葉酸、ビタミンB6,ビタミンB12などのビタミン類、NGFなどの神経栄養因子などを添加してもよい。 さらに、セサミン類又はその代謝物の効果を損なわない、すなわち、セサミン類又はその代謝物との配合により好ましくない相互作用を生じない限り、必要に応じて、他の生理活性成分、ミネラル、ビタミン類、香料、色素などを混合することができる。これらの添加物はいずれも飲食品に一般的に用いられるものが使用できる。 【0030】 本発明の飲食品は、上記神経細胞分化誘導剤またはNGF作用の増強剤を有効成分として配合することによって調製でき、具体的には、ジュース、牛乳、コーヒー飲料、茶飲料等の飲料、スープ等の液状食品、ヨーグルト等のペースト状食品、ゼリー、グミ等の半固形状食品、クッキー、ガム等の固形状食品、ドレッシング、マヨネーズ等の油脂含有食品等が挙げられる。また、サプリメントのようにセサミン類又はその代謝物そのものを有効成分とする飲食品、ならびに一般の飲食品にセサミン類又はその代謝物を配合して、その飲食品に脳機能障害改善効果を付与した機能性食品(健康補助食品、栄養機能食品、特別用途食品、特定保健用食品等の健康食品、動物用サプリメントを含む)、動物用飼料等、経口摂取される形態のものを挙げることができる。本発明ではこれらを総称して飲食品という。 【0031】 本発明の飲食品は有効成分であるセサミン類又はその代謝物を、好ましくは0.001?10重量%、より好ましくは0.01?5重量%、さらに好ましくは0.05?5重量%で含有する。」 イ 刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平6-2279779号公報には、以下の記載がある。 (2a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】セサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする生体内活性酸素消去剤。 【請求項2】生体内活性酸素がOHラジカルであることを特徴とする請求項1記載の消去剤。」 (2b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、強力な生物活性作用を有する活性酸素、特にOHラジカルに対する特異的な捕捉作用を有するセサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする生体内活性酸素消去剤に関する。」 (2c)「【0002】 【従来の技術】酸素の必須性は感覚的にも理解しやすいが、一方、酸素が生物に障害を与えていることも事実である。この酸素障害は反応性の高い酸素の還元分子種であるスーパーオキシドラジカル(O^(2 - )) 、過酸化水素(H_(2) O_(2) )、OHラジカル(・OH)および励起分子種である一重項酸素(^(1 )O_(2 ))が標的分子を酸化することによって生じるものであり、これらの分子種はまとめて活性酸素と呼ばれている。 【0003】また細胞成分とくに不飽和脂質の酸化物である不飽和脂肪酸ペルオキシラジカル(LOO・)、不飽和脂肪酸ラジカル(L・)、不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシド(LOOH)、不飽和脂肪酸アルコキシラジカル(LO・)も同じ作用を示すため、これらも含めて活性酸素と呼ばれることもある。生物はこの酸素障害を防ぐために、まず活性酸素の生成量を低く保ち、さらに生成した活性酸素を消去することによって標的分子の酸化を防いでいる。しかし活性酸素の生成抑制や消去が十分に機能しない場合、また活性酸素の生成が増加する物理、化学的な環境条件下では、活性酸素が標的分子を酸化し、それによって種々の障害や疾患が引き起こされる。 【0004】生体内での活性酸素の消去機構としては、比較的寿命の長いスーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(-) ) 、過酸化水素(H_(2 )O_(2 ))、不飽和脂肪酸ヒドロペルオキシド(LOOH)は酸素によって消去され、その他の寿命の短い活性酸素はアスコルビン酸などの低分子化合物によって消去されると考えられている。たとえば赤血球内で生成したスーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(- )) はほとんどすべてスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)で消去され、過酸化水素(H_(2 )O_(2 ))はカタラーゼやペルオキシダーゼによって消去され、一重項酸素(^(1) O_(2 ))はβ-カロチンやトコフェロールによって消去される。また消去低分子化合物には、活性酸素のみでなく脂質ラジカルを含め有機ラジカルの消去に作用するものもあり、したがって活性酸素の生成抑制にも作用する場合も多い。 【0005】しかしながら活性酸素のうち反応性が高く、生物障害作用も最も大きいと考えられているOHラジカルに対しては、特異的な消去低分子化合物が今だ見いだされていない。またOHラジカルはほとんど細胞成分と拡散律速に近い速度で反応するため寿命が短く、これを消去する特別の機構を生物はもつことができないと考えられている。 【0006】標的分子に近接して存在する成分でその損傷が生物に障害を与えないときは、ある程度OHラジカルの消去作用をもつが、生物はむしろスーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(-) ) や過酸化水素(H_(2) O_(2 ))をできるだけ完全に消去し、さらに遷移金属イオンをOHラジカル生成触媒しない形で存在させることにより、OHラジカルの生成を抑制し、酸素障害を防いでいると考えられている。従ってOHラジカルがたまたま発生すると、最初に出くわした分子と反応しその分子が細胞の機能にとって重要であると細胞は障害を受けてしまうため、OHラジカルは活性酸素による疾患の真の原因物質とも言える。 【0007】生体内におけるこのOHラジカルの生成は、次の反応式(I):・・・ 【0008】による、スーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(- ))からの鉄触媒ハーバーバイパス反応によるものと考えられており、スーパーオキシドラジカル(O_(2 )^(- ))の不均化を触媒するSODあるいはSOD様活性物質の検討が種々行われていたが、安定性の面に問題点を有する上、直接OHラジカルを消去するものでなく、いまだ商品化に成功しているものはない。」 (2d)「【0009】 【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、強力な生物活性作用を有する活性酸素、特にOHラジカルに対し直接的な捕捉作用を有する活性酸素消去剤を提供しようとするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目的を達成するため種々研究した結果、胡麻種子、胡麻粕及び胡麻油中より単離した又は合成により得られたセサミン及び/又はエピセサミンが、過酸化水素(H_(2) O_(2) )、スーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(-) )、有機ラジカル、および一重項酸素( ^(1)O_(2) )の捕捉作用を全く示さないものの、特異的にOHラジカルを捕捉し、さらに、捕捉後セサミン及びエピセサミンの分解物(2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-シス-3,7-ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン及び2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-6-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-トランス-3,7-ジオキサビシクロ〔3,3,0〕オクタン)が過酸化水素(H_(2) O_(2) )、一重項酸素(^( 1)O_(2 ))、スーパーオキシドラジカル(O_(2) ^(- ))、OHラジカル、有機ラジカル、脂質ラジカル全ての捕捉能を有することを見出した。つまり、OHラジカルの存在する標的組織に分解されることなく致達し、OHラジカル捕捉後、全活性酸素捕捉能を有する化合物に変換されるという全く理想的な事実を見出し本発明を完成した。 【0011】従って本発明は、OHラジカルに対する特異的な捕捉作用を有するセサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする生体内活性酸素消去剤を提供しようとするものである。 【0012】 【具体的な説明】本発明において使用するセサミン及びエピセサミンは胡麻油中に約0.5%含まれていて供給面で実用性に富み、しかも安全性が高い。本発明で使用するセサミン及びエピセサミンはこれらを単独で、または混合して使用することができる。またセサミン及び/又はエピセサミンを含有する抽出物を使用してもよい。 【0013】本発明の有効成分であるセサミン及びエピセサミン並びに該化合物を主成分とする抽出物を得る方法として次の手順で行うことができる。まず、本発明の有効成分である化合物を主成分とする抽出物を胡麻油から得るには、胡麻油とは実質的に非混和性であり且つ本発明の有効成分である化合物を抽出・溶解することができる種々の有機溶剤を用いて抽出・濃縮することで得られる。このような有機溶剤として、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メタノール、エタノール等を挙げることができる。 【0014】本発明の有効成分である化合物を主成分とする抽出物を得るには、例えば胡麻油と上記の溶剤のいずれかとを均一に混合した後、低温において静置し、遠心分離等の常法に従って相分離を行い、溶剤画分から溶剤を蒸発除去することにより得られる。さらに具体的には、胡麻油を2?10倍、好ましくは6?8倍容量のアセトンに溶かし、-80℃で一晩放置する。その結果油成分が沈澱となり、濾過により得た濾液から有機溶剤を留去して、本発明化合物を主成分とする抽出物が得られる。あるいは、胡麻油を熱メタノール又は熱エタノールで混合した後、室温において静置し、溶剤画分から溶剤を蒸発除去することにより得られる。」 (2e)「【0020】また、合成によりセサミン及び/又はエピセサミンを得ることもできる。例えば、セサミン及び/又はエピセサミンについてBerozaらの方法〔J.Am.Chem.Soc.78, 1242(1986)〕で合成することができる。本発明の生体内活性酸素消去剤は、一般に使用される担体、助剤、添加剤等とともに製剤化することができ、常法に従って経口、非経口の製品として、医薬品、医薬部外品、化粧料、飲食品の分野で利用することができる。経口剤としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤等、非経口剤としては、軟膏剤、クリーム、水剤等の外用剤、筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射等の注射剤等が挙げられる。 【0021】本発明の対象となる疾患は、例えば虚血再灌流障害(心筋障害、胃粘膜障害、肝臓などの臓器障害)、炎症(血管透過性亢進、血管内皮障害などに基づく組織障害)、動脈硬化(血管内皮細胞障害、過酸化LDLの産生)、消化器疾患(ストレス、ショック、虚血性の組織障害)、腎臓疾患(虚血性急性腎不全、糸球体腎炎など、メチルグアニジン産生)、内分泌疾患(糖尿病など)、白内障、癌、老化、自己免疫障害、成人病、紫外線障害(日焼け)、ニキビ、シミ等の美容上の障害、慢性皮膚病、アレルギー性疾患、てんかん、薬物中毒病、ベーチェット病等、活性酸素による細胞膜脂質の過酸化、蛋白質の変性、核酸の障害等に起因する種々の疾患、症状があげられる。 【0022】これらの製品を医薬として投与するときは、投与の目的や投与対象者の状態等により異なるが、経口投与の場合は一般に1?100mg/日、非経口投与の場合は0.1?20mg/日である。本発明の化合物は医薬品として生理的に認められるベヒクル、担体、賦形剤、統合剤、防腐剤、安定剤、香味剤等とともに要求される単位用量形態に混和される。 ・・・ 【0024】本発明の化合物を飲食品として用いる場合には、上記製剤の形態でもよいが、所要量の本発明化合物を食品原料に加えて、一般の製造法により加工製造することができる。この際、食品の種類、形態は特に限定されない。また健康食品、機能性食品としての摂取は、病気予防、健康維持に用いられるので、経口摂取として1?100mg/日を含む加工品として摂取されることが望ましい。またビタミンC、ビタミンE、β-カロチン、SOD等、他の活性酸素消去剤と併用することができる。特にビタミンC、ビタミンE等の抗酸化性を有する化合物は、本発明化合物の安定化剤としての作用も有し、併用することが有用であり、ビタミンEは本発明化合物の効果を増強させることが期待できる。」 (2f)「【0048】 【発明の効果】実施例の結果から、セサミン及び/又はエピセサミンを含んで成る本発明の活性酸素消去剤は、虚血再灌流障害(心筋障害、胃粘膜障害、肝臓などの臓器障害)、炎症(血管透過性亢進、血管内皮細胞障害、過酸化LDLの産生)、消化器疾患(ストレス、ショック、虚血性の組織障害)、腎臓疾患(虚血性急性腎不全、糸球体腎炎などメチルグアニジン産生)、内分泌疾患(糖尿病など)、白内障等の原因である活性酸素、なかでも最も反応性が高く、生体での防御機構を持たないOHラジカルに対し特異的に捕捉・消去し、セサミン及び/エピセサミンが生体内標的組織において代謝を受けた後、その分解物が、有機ラジカル、スーパーオキシドラジカルなどの活性酸素、フリーラジカルに対しても捕捉・消去能を有することより、本発明が極めて有用なものであることは明らかである。」 ウ 刊行物3 原査定の拒絶の理由に引用された本願の優先日前に頒布された刊行物である特開平8-208685号公報には、以下の記載がある。 (3a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 セサミノール、P-1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体(以下リグナン配糖体という)を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤。 【請求項2】 リグナン配糖体が糖残基としてジグルコシド残基および/またはトリグルコシド残基を有する水溶性グルコシドリグナンである請求項1に記載のヒドロキシラジカル消去活性剤。 【請求項3】 リグナン配糖体が少なくとも下記の構造式(I-a)で示されるセサミノールジグルコシドおよび/または下記の構造式(I-b)で示されるセサミノールトリグルコシド 【化1】 ・・・ (式(I-a)中、Glcはグルコース残基を表す。) 【化2】 ・・・ (式(I-b)中、Glcはグルコース残基を表す。)を含むものである請求項1または2に記載のヒドロキシラジカル消去活性剤。 【請求項4】 リグナン配糖体がゴマ種子の加湿物もしくは発芽物の粉砕物またはその脱脂粕を含水低級アルコールで抽出して得られる成分である請求項1?3のいずれか1項に記載のヒドロキシラジカル消去活性剤。」 (3b)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、リグナン配糖体を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤に係わる。さらに詳しくは、ごま種子を原料として得られる特定の構造をもつリグナン配糖体を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤に関する。本発明のヒドロキシラジカル消去活性剤は、食品分野のほか医薬品分野、農薬分野、化粧品分野等において幅広く利用されるものである。」 (3c)「【0002】 【従来の技術】生物は、酸素を利用することによって生存に必要なエネルギーを効率的に得ている。しかしながら、このようなエネルギー代謝のうち、酸素が水に変換される過程で、中間体として活性酸素種を生じる。一般に活性酸素種としては、マクロファージの刺激等によって放出されるスーパーオキシドアニオン、放射線の被爆等によって生成されるヒドロキシラジカル、脂質の過酸化等により連鎖的に生成する有機ラジカル等が知られている。これらの活性酸素種は化学的反応性が高く、脂質や核酸、蛋白質等と反応し、さまざまな疾病に繋がる酸化的障害をもたらす。そして過度の放射線や紫外線の照射、化学物質やタバコの摂取等がこれらの外的誘因となる。これらのうち、例えば放射線の照射によりもたらされる生体障害の重要な原因は、放射線の照射によって生体中の水分子から産生されるヒドロキシラジカルである。 【0003】このヒドロキシラジカルは、活性酸素種の中でも最も反応性が高いものの一つで、生体内に存在する脂質、蛋白質、核酸または糖質等と直ちに化学反応し、これらの酸化、変性あるいは分解等をもたらす。これにより遺伝子や生体膜、組織等は著しい損傷を受け、発ガン、動脈硬化、心臓疾患、炎症または細胞老化等の様々な疾患の原因となると考えられている(Halliwell B. and Gutteridge M.C.、Biochem. J. 、第219巻、第1-14頁、1984年)。 【0004】従って、このような毒性を持つ活性酸素種を効率的に消去する機能を有する物質は、生体内または食品や医薬品、農薬等に含まれる成分の酸化的劣化の防御剤として有用であり、食品分野、特に健康食品、栄養食品のほか、医薬品・農薬分野や化粧品分野等において実用的な利用が期待されているものである。なお、トコフェロールやアスコルビン酸等の公知の酸化防止剤は、ヒドロキシラジカル消去能についていえば、ビタミンEのように活性を有するものもあるが、未だ不明なものが多い。 【0005】近年、このような活性酸素種、特にヒドロキシラジカルの生体に対する毒性が明らかになるにつれ、これを効率的に消去する活性を有する物質の有用性が注目され、さまざまな物質が主に天然物由来の成分として検討されている。ヒドロキシラジカル消去活性を有する代表的なものとしてマニトール、トリプトファン、ギ酸等があげられ、これらのヒドロキシラジカル消去活性が調べられている(例えば、大柳善彦著、「SODと活性酸素種調節剤-その薬理的作用と臨床応用」、第224?228頁、日本医学館、1989年)。 【0006】しかしながら、極めて微量で実用的に効果のあるヒドロキシラジカル消去活性を有する物質は未だほとんどなく、これを工業的に多量かつ安定に入手することは困難であるのが現状である。このように、ヒドロキシラジカルを消去する活性を有する有効成分の安定供給が望まれているにもかかわらず、これまで工業的に実用化された例はほとんどない。 【0007】ところで、食品用原材料として常用される天然物の一つにゴマ種子がある。ゴマ種子は古くから食用に供されてきた油糧種子の一種であり、その薬理的効果も伝承されている。ゴマは現在でも熱帯地方をはじめ世界各地で栽培され、その油脂や種子の独特の風味が好まれて食されている。すなわちゴマは、比較的多量にまた安定して入手可能な植物材料であり、しかも人体に対して安全な原料であるといえる。また、ゴマ種子の中には特徴的な化合物としてリグナン類が含まれており、その抗酸化活性をはじめ種々の生理活性機能に関する研究がなされている(例えば並木満夫、小林貞作編、「ゴマの科学」、朝倉書店、1989年)。 【0008】ゴマ種子中には、優れた抗酸化活性を有するリグナン類、すなわちセサミノール:テトラヒドロ-1-〔6-ヒドロキシ-3,4-(メチレンジオキシ)フェニル〕-4-〔3,4-(メチレンジオキシ)フェニル〕-1H,3H-フロ〔3,4-C〕フラン、P-1:テトラヒドロ-1-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔3,4-(メチレンジオキシ)フェニル〕-1H,3H-フロ〔3,4-C〕フラン、セサモリノール:テトラヒドロ-1-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェノキシ)-4-〔3,4-(メチレンジオキシ)フェニル〕-1H,3H-フロ〔3,4-C〕フラン、ピノレジノール:テトラヒドロ-1,4-ジ(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)-1H,3H-フロ〔3,4-C〕フラン等のフェノール性リグナン類が含まれ、その多くは糖化合物(リグナン配糖体)としてゴマ種子またはその脱脂粕中に存在することが明らかにされている(Biosci. Biotech. Biochem. 、第56巻、第2087?2088頁、1992年)。 【0009】また、ゴマ種子の粉砕物からピノレジノール配糖体が得られ、該配糖体は脂質の酸化に対する抗酸化効果を有することが公知である(特開平6-116282号公報)。しかしながら同公報では、ピノレジノール配糖体以外のリグナン配糖体については言及されていない。一方、ゴマ種子を発芽させると、その発芽物中にトコフェロールやセサモール以外のフェノール性の抗酸化性物質が生成されることが報告されている(日本食品工業学会誌、第32巻、第407?412頁、1985年)。さらにゴマ種子の植物成体から誘導した培養細胞を用いて抗酸化性物質あるいは抗光酸化性物質を抽出することも知られている(日本農業化学会1991年度大会要旨集、第236頁、1991年、特公平4-21475号公報、特開平5-124949号公報)。しかし、これらに開示されている物質は、いずれも前記フェノール性リグナン類とは別異のものである。」 (3d)「【0010】 【発明が解決しようとする課題】したがって本発明は、新規なヒドロキシラジカル消去活性剤、とりわけゴマ種子中の成分を利用するヒドロキシラジカル消去活性剤を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討の結果、特定のリグナン配糖体がヒドロキシラジカルを効果的に消去し得る活性をもつことを見い出し、本発明を完成するに至った。 【0012】すなわち本発明の要旨は、セサミノール、P-1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体(以下、リグナン配糖体という)を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤にある。」 (5)刊行物記載の発明 ア 刊行物1記載の発明 刊行物1には、「【請求項2】 セサミン類が、セサミン、エピセサミン、又はそれらの混合物である、請求項1記載の神経細胞分化誘導剤。 ・・・ 【請求項7】 請求項1?6のいずれか一項に記載の神経細胞分化誘導剤を配合してなる、脳機能障害改善用飲食品。」(摘記(1a))。」(下線は当審にて追加。以下同様。)との記載があり、摘記(1d)摘記(1e)摘記(1f)には、上記特許請求の範囲の記載に対応した内容の実質的記載があるので、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる。 「セサミン、エピセサミン、又はそれらの混合物であるセサミン類からなる神経細胞分化誘導剤を配合してなる、脳機能障害改善用飲食品。」 イ 刊行物2記載の発明 刊行物2には、「【請求項1】セサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする生体内活性酸素消去剤。」(摘記(2a))との記載及び「【0024】本発明の化合物を飲食品として用いる場合には、上記製剤の形態でもよいが、所要量の本発明化合物を食品原料に加えて、一般の製造法により加工製造することができる。この際、食品の種類、形態は特に限定されない。」(摘記(2e))との記載があり、摘記(2d)摘記(2e)には、それらの記載に対応した具体的製造方法の記載もあるので、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が記載されていると認められる。 「セサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする生体内活性酸素消去剤を含む飲食品。」 ウ 刊行物3記載の発明 刊行物3には、「【請求項1】 セサミノール、P-1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体(以下リグナン配糖体という)を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤。」(摘記(3a)との記載及び「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、リグナン配糖体を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤に係わる。さらに詳しくは、ごま種子を原料として得られる特定の構造をもつリグナン配糖体を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤に関する。本発明のヒドロキシラジカル消去活性剤は、食品分野のほか医薬品分野、農薬分野、化粧品分野等において幅広く利用されるものである。」(摘記(3b))との記載があり、摘記(3c)には、特許請求の範囲の記載に対応した発明の効果の記載があり、それらの記載より刊行物3には次の発明(以下「刊行物3発明」という。)が記載されていると認められる。 「セサミノール、P-1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体(以下リグナン配糖体という)を有効成分とするヒドロキシラジカル消去活性剤を含む食品。」 (6)対比・判断 ア 刊行物1発明との対比 (ア)対比 本願補正発明と刊行物1発明を対比する。 摘記(1c)に記載されるように、セサミンおよびエピセサミンがゴマやゴマ油に含まれるリグナン化合物の1種であることは自明であるから、刊行物1発明の「セサミン、エピセサミン、又はそれらの混合物であるセサミン類からなる神経細胞分化誘導剤を配合してなる」ことは、本願補正発明の「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有すること」に該当するのは明らかである。 また、刊行物1発明の「脳機能障害改善用飲食品」は、本願補正発明の「飲食品」に該当する。 そうすると、本願補正発明と刊行物1発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1:飲食品について、本願補正発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品であって、該生体内の酸化還元状態の改善が、ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」が特定されているのに対して、刊行物1発明では、「神経細胞分化誘導剤を配合」する点と「脳機能障害改善用」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願補正発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び、「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 (イ)相違点の判断 上記相違点1について検討する。 a 本願補正発明にいう「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」とは、本願明細書の「プロテアソームが阻害されて発症する疾病としては、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが知られており、本発明によりこれらの疾病による症状の緩和を図る物質を提供しようとしている。」(段落【0010】)、「プロテアソーム異常によって適切な分解が破綻するとたんぱく質の過剰が発生してその結果異常たんぱく質が蓄積され、多用な細胞障害、個体の異常を生じることで、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが発症することが知られている。」(段落【0018】)などの記載からみて、老化した高齢者やアルツハイマー病の患者などを含むものと認められる。 b 一方、刊行物1には、刊行物1発明がアルツハイマー型痴呆を含む老人性痴呆の予防または治療のためのものであることが記載されている(段落【0023】?段落【0025】)から、刊行物1発明も「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に用いられるものといえる。 したがって、刊行物1発明は「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途を含んでいるといえるから、用途の限定の有無は相違点とはいえない。 c 本願補正発明では、ごまリグナンを含有する飲食品が生体内で発揮する機能も特定されているが、刊行物1発明の飲食品は本願補正発明の飲食品と同じくごまリグナンを含有するものであり、刊行物1発明の飲食品を摂取すれば、本願補正発明と同様に「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能を発揮するといえるから、機能の限定の有無も相違点とはいえない。 d したがって、上記相違点1は実質的なものとはいえず、本願補正発明は刊行物1に記載された発明である。 e 審判請求人の主張について (a)審判請求人は、審判請求書8?9,16頁において、本願補正発明は、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態を改善する」ことを対象としている点で、神経細胞の分化誘導機能を有する刊行物1発明から自明な事項として把握できない旨指摘し、両者は、「プロテアソーム活性低下条件下にある」との用途の有無で相違している旨主張している。 しかしながら、刊行物1発明は、正常な状態の生体に対する予防だけでなく、一旦発症した生体に対しても、改善作用を有することが記載されていることは、摘記(1d)摘記(1e)のとおりであり、刊行物1発明は飲食品の発明であるから、元々正常な状態の人だけでなく、症状を発症した人をも対象にしていることを前提とした発明であって、「プロテアソーム活性低下条件下にある」との特定をしたからといって実質的に用途が相違したことにはならない。 また、本願明細書に従来技術として記載される特開2002-29996号公報の従来の技術として、【0003】には、「【0003】細胞の機能低下の原因としては、細胞内の蓄積タンパク質の増加が知られている。実際に老化し機能の低下した細胞内では不要になったタンパク質の蓄積が観察されている。細胞内には不要になったタンパク質を積極的に分解する経路があり、プロテアソームと呼ばれるタンパク分解酵素が重要な働きを担っている。先の老化した細胞ではプロテアソームの活性低下も同時に観察されている。従ってプロテアソーム活性を促進し蓄積タンパク質の増加を抑制することは、細胞の機能低下を防ぐこととなり、皮膚を始めとする細胞組織の老化を防ぐうえで重要である。」との認識が記載されているのであるから、細胞の機能低下とプロテアソームの活性低下と細胞組織の老化が密接に関係していることは、従来技術として知られている。 したがって、「プロテアソーム活性低下条件下にある」との条件は、細胞の機能低下状態として良く知られた状態を特定しているものにすぎず、その観点からも実質的に用途が相違したことにはならない。 (b)審判請求人は、審判請求書8頁において、刊行物1には、プロテアソーム活性条件下にある生体内酸化還元状態を改善するという実験的裏付けがない点を指摘し、刊行物1の抽象的な単なる願望でない技術思想として評価できる程度の具体性・客観性を有していない記載から引用発明を認定している点に誤りがある旨主張している。 しかしながら、刊行物1は、具体的なゴマに含まれるリグナン化合物の1種であるセサミン等の構造を特定した上で、アルツハイマー型痴呆を含む老人性痴呆を例とした脳機能障害の患者等を対象とするもので、神経細胞機能の修復再生に効果のあったことを具体的に確かめているもので、抽象的な単なる願望でなく技術思想として評価できる程度のまとまりをもった記載であることは明らかである。 そして、ゴマに含まれるリグナン化合物の1種であるセサミン等に抗酸化作用のあることや、「プロテアソーム活性低下条件下にある」との条件は、細胞の機能低下状態として良く知られた状態であることも考慮すると、刊行物1の記載から前記刊行物1発明(引用発明)を認定することに何ら問題はなく、審判請求人の上記主張を採用することはできない。 さらに、審判請求人は、刊行物1の生体内の実験的裏付けの欠如を主張しながら、本願明細書においても生体内の実験ではなく、細胞を用いただけのvitroの実験が示されているだけであり、上記主張は、本願明細書の記載に基づかない主張であるともいえる。 (c)審判請求人は、審判請求書16頁において、プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態を改善するという作用機序が新規であるから本願補正発明の「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善もための」という用途と刊行物1発明の「神経細胞の分化誘導による脳機能障害改善用」という用途には、少なくとも「プロテアソーム活性低下条件下において」の有無に相違がある旨主張している。 しかしながら、本願補正発明と刊行物1発明は、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び、「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能の特定の有無において相違しているものの、対象用途の重なりの点や、機能記載にすぎない点から実質的相違点といえないことは上述のとおりである。 また、セサミン等のごまリグナンの生体内の酸化ストレス下における抗酸化作用に基づく作用機序は広く知られており、「プロテアソーム活性低下条件下にある」との条件は、細胞の機能低下状態として良く知られた状態であること、飲食品は、元々正常な状態の人だけでなく、症状を発症した人をも対象にしていることを考慮すると、プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態を改善するという作用機序が新規であるという上記主張を、セサミン等のごまリグナンを含有する飲食品の発明において採用することもできない。 (ウ)小括 本願補正発明は、刊行物1に記載された発明である。 イ 刊行物2発明との対比 (ア)対比 本願補正発明と刊行物2発明を対比する。 刊行物2発明のセサミンおよびエピセサミンがゴマやゴマ油に含まれるリグナン化合物の1種であることは自明であるから、刊行物2発明の「セサミン及び/又はエピセサミンを有効成分とする」ことは、本願補正発明の「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有すること」に該当するのは明らかである。 また、刊行物2発明の「生体内活性酸素消去剤を含む飲食品」は、本願補正発明の「飲食品」に該当する。 そうすると、本願補正発明と刊行物2発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点2:飲食品について、本願補正発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品であって、該生体内の酸化還元状態の改善が、ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」が特定されているのに対して、刊行物2発明では、「生体内活性酸素消去剤を含む」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願補正発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び、「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 (イ)相違点の判断 上記相違点2について検討する。 a 本願補正発明にいう「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」とは、本願明細書の「プロテアソームが阻害されて発症する疾病としては、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが知られており、本発明によりこれらの疾病による症状の緩和を図る物質を提供しようとしている。」(段落【0010】)、「プロテアソーム異常によって適切な分解が破綻するとたんぱく質の過剰が発生してその結果異常たんぱく質が蓄積され、多用な細胞障害、個体の異常を生じることで、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが発症することが知られている。」(段落【0018】)などの記載からみて、老化した高齢者や動脈硬化、白内障の患者などを含むものと認められる。 b 一方、刊行物2には、刊行物2発明が動脈硬化、腎臓疾患、糖尿病などの内分泌疾患、白内障、老化、紫外線障害(日焼け)等を対象とするものであることが記載されている(段落【0020】?段落【0021】)から、刊行物2発明も「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に用いられるものといえる。 したがって、刊行物2発明は「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途を含んでいるといえるから、用途の限定の有無は相違点とはいえない。 c 本願補正発明では、ごまリグナンを含有する飲食品が生体内で発揮する機能も特定されているが、刊行物2発明の飲食品は本願補正発明の飲食品と同じくごまリグナンを含有するものであり、刊行物2発明の飲食品を摂取すれば、本願補正発明と同様に「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能を発揮するといえるから、機能の限定の有無も相違点とはいえない。 d したがって、上記相違点2は実質的なものとはいえず、本願補正発明は刊行物2に記載された発明である。 (ウ)小括 本願補正発明は、刊行物2に記載された発明である。 ウ 刊行物3発明との対比 (ア)対比 本願補正発明と刊行物3発明を対比する。 刊行物3発明の「セサミノール、P-1およびセサモリノールからなる群より選ばれる1種のリグナンの配糖体(以下リグナン配糖体という)を有効成分とする」ことは、本願補正発明の「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有すること」に該当するのは明らかである。 刊行物3発明の「ヒドロキシラジカル消去活性剤を含む食品」は、本願補正発明の「飲食品」に該当する。 そうすると、本願補正発明と刊行物3発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点3:飲食品について、本願補正発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品であって、該生体内の酸化還元状態の改善が、ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」が特定されているのに対して、刊行物3発明では、「ヒドロキシラジカル消去活性剤を含む」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願補正発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び、「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 (イ)相違点の判断 上記相違点3について検討する。 a 本願補正発明にいう「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」とは、本願明細書の「プロテアソームが阻害されて発症する疾病としては、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが知られており、本発明によりこれらの疾病による症状の緩和を図る物質を提供しようとしている。」(段落【0010】)、「プロテアソーム異常によって適切な分解が破綻するとたんぱく質の過剰が発生してその結果異常たんぱく質が蓄積され、多用な細胞障害、個体の異常を生じることで、老化、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体病、トリプレットリピート病、筋萎縮性側索硬化症、白内障、動脈硬化、糖尿病性腎症、皮膚の光老化などが発症することが知られている。」(段落【0018】)などの記載からみて、多様な細胞障害を生じた動脈硬化、老化の患者などを含むものと認められる。 b 一方、刊行物3には、刊行物3発明が動脈硬化、細胞老化等を対象とするものであることが記載されている(段落【0003】?段落【0004】)から、刊行物3発明も「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に用いられるものといえる。 したがって、刊行物3発明は「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途を含んでいるといえるから、用途の限定の有無は相違点とはいえない。 c 本願補正発明では、ごまリグナンを含有する飲食品が生体内で発揮する機能も特定されているが、刊行物3発明の食品は本願補正発明の飲食品と同じくごまリグナンを含有するものであり、刊行物3発明の食品を摂取すれば、本願補正発明と同様に「ミトコンドリア内活性酸素種を減少させること、ミトコンドリア活性を維持すること、または細胞生存活性を上昇させること」からなる「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能を発揮するといえるから、機能の限定の有無も相違点とはいえない。 d したがって、上記相違点3は実質的なものとはいえず、本願補正発明は刊行物3に記載された発明である。 (ウ)小括 本願補正発明は、刊行物3に記載された発明である。 (7)独立特許要件に関するまとめ したがって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明または刊行物2に記載された発明または刊行物3に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号に該当し、同法第29条第1項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 補正却下のまとめ したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明の認定 前記第2のとおり、平成31年1月31日付け手続補正は却下されたので、この出願の請求項1に係る発明は、平成30年8月6日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有することを特徴とするプロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための飲食品。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の1つ(理由1)は、概略、以下のとおりのものと認める。 この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である下記文献1または文献2または文献3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 記 文献3:特開平6-227977号公報 文献4:特開平8-208685号公報 文献5:特開2010-202559号公報 3 引用文献の記載 文献5は前記刊行物1、文献3は前記刊行物2、文献4は前記刊行物3である。 そして、各刊行物には、前記第2 2(4)に記載のとおりの記載がある。 4 対比・判断 (1)本願発明と刊行物1発明との対比 ア 対比 前記第2 2(6)ア(ア)で検討したのと同様に、本願発明と刊行物1発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点1’:飲食品について、本願発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための」との特定がされているのに対して、刊行物1発明では、「神経細胞分化誘導剤を配合」する点と「脳機能障害改善用」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 イ 相違点の判断 上記相違点1’について検討する。 前記第2 2(6)ア(イ)で検討したのと同様に、相違点1’は実質的な相違点であるとはいえない。 ウ 小括 本願発明は、文献5(刊行物1)に記載された発明である。 (2)本願発明と刊行物2発明との対比 ア 対比 前記第2 2(6)イ(ア)で検討したのと同様に、本願発明と刊行物2発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点2’:飲食品について、本願発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための」との特定がされているのに対して、刊行物2発明では、「生体内活性酸素消去剤を含む」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 イ 相違点の判断 上記相違点2’について検討する。 前記第2 2(6)イ(イ)で検討したのと同様に、相違点2’は実質的な相違点であるとはいえない。 ウ 小括 本願発明は、文献3(刊行物2)に記載された発明である。 (3)本願発明と刊行物3発明との対比 ア 対比 前記第2 2(6)ウ(ア)で検討したのと同様に、本願発明と刊行物3発明とは、 「セサミン、エピセサミン、セサミノールおよびセサミノール配糖体から選ばれる少なくとも1種のごまリグナンを含有する飲食品」 である点で一致し、以下の点で相違している。 相違点3’:飲食品について、本願発明では、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体内の酸化還元状態の改善のための」との特定がされているのに対して、刊行物3発明では、「ヒドロキシラジカル消去活性剤を含む」との特定があるものの、上記のようには特定されていない点。 すなわち、本願発明では飲食品について、「プロテアソーム活性低下条件下にある生体」に対して使用されるという用途、及び、「生体内の酸化還元状態の改善する」という機能が特定されていると認められる。 イ 相違点の判断 上記相違点3’について検討する。 前記第2 2(6)ウ(イ)で検討したのと同様に、相違点3’は実質的な相違点であるとはいえない。 ウ 小括 本願発明は、文献4(刊行物3)に記載された発明である。 5 まとめ 以上のとおり、本願発明は、文献5(刊行物1)または、文献3(刊行物2)または、文献4(刊行物3)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において頒布された刊行物1(文献5)または、刊行物2(文献3)または、刊行物3(文献4)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、その余の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第1項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-12-18 |
結審通知日 | 2019-12-20 |
審決日 | 2020-01-07 |
出願番号 | 特願2014-206479(P2014-206479) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A61K)
P 1 8・ 113- Z (A61K) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今村 明子 |
特許庁審判長 |
中島 庸子 |
特許庁審判官 |
神野 将志 瀬良 聡機 |
発明の名称 | 生体内酸化還元状態改善剤 |
代理人 | 須藤 晃伸 |
代理人 | 須藤 晃伸 |
代理人 | 鈴木 恵理子 |
代理人 | 鈴木 恵理子 |
代理人 | 須藤 阿佐子 |
代理人 | 須藤 阿佐子 |
代理人 | 榛葉 貴宏 |
代理人 | 榛葉 貴宏 |