• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1360129
審判番号 不服2017-18669  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-15 
確定日 2020-02-26 
事件の表示 特願2016-530245「イベントに応じたアクションの決定」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月28日国際公開、WO2015/076793、平成29年 1月26日国内公表、特表2017-502851〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年(2013年)11月20日を国際出願日とする国際特許出願(特願2016-530245号)であって、平成29年4月11日付けで拒絶理由が通知され、同年6月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月9日付けで拒絶査定(発送日:同年8月15日、以下「原査定」という。)がなされた。
これに対して同年12月15日に拒絶査定不服審判の請求がされ、当審において平成31年2月27日付けで拒絶理由が通知され、令和1年5月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、令和1年5月22日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)はつぎのとおりのものである。

「【請求項1】
少なくとも1つのデバイスのための少なくとも1つのコンポーネントに関するイベントを受信するイベント処理ルールエンジンを備えたシステムであって、
前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定するものであり、
前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記イベントと特定された前記コンポーネント補充サービスのタイプとに応じて前記少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクションを決定するものであり、前記決定は、コンポーネント補充サービスの複数のタイプの各々について、前記イベントに応じて取るべきアクションを定めた少なくとも1つのルールの適用に基づくものであり、
前記イベント処理ルールエンジンと直接的にインタラクトすることができないレガシー機械可読命令と、前記イベント処理ルールエンジンとの間の橋渡しをするリダイレクタエンジンを更に備え、
前記レガシー機械可読命令により、前記コンポーネントの補充に関するアラートが前記リダイレクタエンジンへ送信され、
前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、
直接購入サービスに関する第2のルールとを含み、
前記第1のルールは、前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め、
前記第2のルールは、前記システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める、システム。」

第3 引用文献1ないし4の記載事項、引用文献1ないし4に記載された発明及び技術。

1.引用文献1(特開2011-238155号公報)

(1)引用文献1の記載事項
平成31年2月27日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)において、引用され、本願の国際出願日前に出願公開がされた引用文献1には、つぎの事項が記載されている。

ア.「【0011】・・・はじめに本発明によるプリンター保守システムの実施形態について概要を説明する。図1に示すようにプリンター保守システムは、プリンター5に接続された複数のクライアント装置1と、電気通信回線としてのインターネット7を介してクライアント装置1に接続されるサーバー装置8と、インターネット7を介してサーバー装置8に接続される保守センター端末9とを含む。」(下線は強調のために当審で付した。以下同じ。)

イ.「【0016】 3.プリンター保守方法
図3は上述したプリンター保守システムによるプリンター保守方法を示すシーケンスチャートである。
販売事業者とユーザーとの間でプリンター5の保守契約が締結されると、サーバー装置8のユーザーDB82にプリンター5の機体番号、契約番号、契約日、保守契約形態等のクライアント情報が販売事業者によって登録される(S201)。クライアント情報は機体毎あるいは契約毎に保守契約の履行を管理するための情報である。このため、本実施形態におけるクライアント情報は契約番号毎にユニークなレコードとする。すなわち1つの契約番号が特定されると、その契約番号によって特定される保守契約の対象となるプリンター、契約日、保守契約形態等が一通りに決まる。また本実施形態においては、保守契約形態として、契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”と、契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”とが定められているものとする。」

ウ.「【0022】 クライアント装置1においては、利用管理プログラム111によって随時プリンター5の利用状況が検出される(S103)。プリンター5の利用状況は、印刷ジョブ毎に検出しても良いし、プリンタードライバー112の起動毎に検出しても良いし、クライアント装置1の起動毎に検出しても良い。利用管理プログラム111は、予め決められたこれらのタイミングにおいてプリンター5のステータスをプリンタードライバー112から取得することによって利用状況を検出する。利用管理プログラム111が検出するプリンター5の利用状況として、例えばインク残量、累積インク使用量、累積印刷枚数、前回の印刷日時、最初の印刷日時、インク補充回数、印刷ヘッド交換回数等が検出される。
【0023】 クライアント装置1は、プリンター5の利用状況を検出すると、クライアント情報としてプリンター5の利用状況とプリンター5の識別情報とを利用管理プログラム111によってサーバー装置8に送信する(S104)。プリンター5の識別情報は、サーバー装置8において保守サービスを管理する対象となっている複数のプリンターから1つの機体を一意に特定するための情報である。このため本実施形態では、プリンター5の機体番号がプリンター5の識別情報としてサーバー装置8に送信される。なお、保守契約の契約番号はプリンター毎に固有であるため、プリンターの識別情報として契約番号を用いても良い。
【0024】 サーバー装置8は、クライアント装置1からクライアント情報を受信すると、プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに対応するメッセージを表示するためのメッセージ番号を保守管理プログラム81によって抽出する(S204)。プリンター5の保守契約状況は、受信した識別情報を検索キーとしてユーザーDB82から対応する保守契約状況を検索することによって特定される。プリンター5の保守履歴を特定するには、まず、受信した識別情報を検索キーとしてユーザーDB82から対応する契約番号を検索する。次に、検索した契約番号を検索キーとして保守履歴DB83から対応するインク補充日を検索すると、プリンター5の保守履歴を特定することができる。利用状況、保守契約状況および保守履歴に対応するメッセージ番号は、利用状況、保守契約状況および保守履歴に対応するアドレスにメッセージ番号が格納される3次元以上のルックアップテーブルを参照することによって抽出しても良いし、条件分岐するアルゴリズムによって抽出しても良い。
【0025】 サーバー装置8は、メッセージ番号を抽出すると、抽出したメッセージ番号を保守管理プログラム81によってクライアント装置1に送信する(S205)。このとき、メッセージテキストをクライアント装置1に送信してもよいが、表示すべきメッセージテキストをクライアント装置1において特定可能なメッセージ番号を送信することによって、ネットワークトラフィックを低減することができる。
【0026】 クライアント装置1は、サーバー装置8からメッセージ番号を受信すると、受信したメッセージ番号に対応するメッセージテキストをメッセージテーブル151から抽出し、メッセージ番号に対応するメッセージテキストに基づいて、プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに応じたメッセージをディスプレイ2に表示する(S105)。
【0027】 プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに応じて表示するメッセージとして、様々なメッセージが考えられるが、具体例を挙げると次の表1のとおりである。なお、表1に示すメッセージ番号と表示されるメッセージテキストとは、図2のメッセージDB84が示す通りに対応している。・・・
【0028】 例1の場合、”5年契約”の契約期間終了前であるため、インク残量が僅かになると、保守履歴に関わらずインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される。ポップアップウィンドウには、販売事業者のウェブサイトのURLを埋め込んだハイパーリンクテキストや、選択すると販売事業者のウェブサイトがブラウザによって表示されるボタンなどが配置される。テキストやボタンに埋め込まれるリンク情報は、メッセージテーブル151およびメッセージDB84においてメッセージ番号に対応付けて管理することができる。契約期間の終了前であるか否かは、保守契約形態によって特定される契約期間と、契約日および現在日時によって特定される経過期間とに基づいて保守管理プログラム81によって判定される。
【0029】 例3、例4および例5の場合、インク残量が僅かになると、保守契約の締結からの経過期間に関わらず、インクの補充が可能な残回数n(n=1,2,3)とともにインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。あとn回補充できます。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される。図4は、このようにポップアップ表示されるウィンドウの一例を示している。ポップアップウィンドウ20には、メッセージテキスト21と、接続ボタン22と、無視ボタン23とが配列されている。接続ボタン22には販売事業者が管理するウェブサイトのURLがリンク情報として埋め込まれている。このため、接続ボタン22が選択された場合、例えば、ユーザー認証や、氏名、回収希望場所、回収希望日時、電話番号等、販売事業者がプリンター5を回収してインクを補充するために必要な情報を入力するためのウェブページを表示することができる。」

エ.前記「(3)」の「例1の場合、”5年契約”の契約期間終了前であるため、インク残量が僅かになると、保守履歴に関わらずインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される。」(段落【0028】)の「例1の場合」とは、前記「(2)」の「保守契約形態として、契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”と、契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”とが定められている」(段落【0016】)の記載に照らすと、「5年契約」の場合のことである。

オ.前記「(3)」の「例3、例4および例5の場合、インク残量が僅かになると、保守契約の締結からの経過期間に関わらず、インクの補充が可能な残回数n(n=1,2,3)とともにインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。あとn回補充できます。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される。」(段落【0029】)の「例3、例4および例5の場合」とは、前記「(2)」の「保守契約形態として、契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”と、契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”とが定められている」(段落【0016】)の記載に照らすと、「3回契約」の場合のことである。

(2)引用文献1に記載された発明
前記「(1)」の記載を総合すると、引用文献1には、つぎの発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「プリンター5に接続された複数のクライアント装置1に、電気通信回線としてのインターネット7を介して接続されるサーバー装置8であって、
販売事業者とユーザーとの間でプリンター5の保守契約が締結されると、サーバー装置8にプリンター5の機体番号、契約番号、契約日、保守契約形態等のクライアント情報が登録され、
保守契約形態として、契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”と、契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”とが定められており、
サーバー装置8は、クライアント装置1から、クライアント情報としてプリンター5の利用状況とプリンター5の識別情報とを受信し、
プリンター5の利用状況とは、例えばインク残量、累積インク使用量、累積印刷枚数、前回の印刷日時、最初の印刷日時、インク補充回数、印刷ヘッド交換回数等であり、
サーバー装置8は、クライアント装置1からクライアント情報を受信すると、プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに対応するメッセージを表示するためのメッセージ番号を、クライアント装置1に送信して、クライアント装置1に、プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに応じたメッセージを表示させ、
5年契約の場合、”5年契約”の契約期間終了前であるため、インク残量が僅かになると、保守履歴に関わらずインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示され、
3回契約の場合、インク残量が僅かになると、保守契約の締結からの経過期間に関わらず、インクの補充が可能な残回数n(n=1,2,3)とともにインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。あとn回補充できます。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される、
サーバー装置。」

2.引用文献2(特開2004-318420号公報)の記載事項
当審拒絶理由通知において、引用され、本願の国際出願日前に出願公開がされた引用文献2には、つぎの事項が記載されている。

「【0031】図1に示されるデータ変換処理装置20は、例えば、ホスト集中型アーキテクチャのシステム等の既存のシステム、いわゆるレガシーシステム21と電気的に接続され、データ変換処理装置20が機能することによって、レガシーシステム21がXML(Extensible Markup Language)形式のデータ(以下、XMLデータとする)を利用可能となるように構成される。
【0032】また、データ変換処理装置20は、XMLデータを利用可能なオープンシステム22とも電気的に接続され、データ、ファイル、データベース(以下、DBとする)もしくはプログラム(以下、PGとする)等の電子情報のやりとりを可能に構成される。」と記載されている。
引用文献2記載の「オープンシステム22」と「レガシーシステム21」はデータ交換が直接にはできないから、「互換性の問題」があるものである。
引用文献2記載の前記「オープンシステム22」はXMLデータを利用可能であり、前記「データ変換処理装置20」は「レガシーシステム21」がXMLデータを利用可能にするものであるから、「オープンシステム22」と「レガシーシステム21」(互換性の問題があるもの)の間のデータのやりとりと可能とする(橋渡しをする)ものである。

3.引用文献3(特表2011-511559号公報)の記載事項
当審拒絶理由通知において、引用され、本願の国際出願日前に出願公表がされた引用文献3には、つぎの事項が記載されている。

「【0056】例えば、デバイス206上のアプリケーション226は、第三者により提供され、インターネット上でホストされるウェブサービスであってもよい。アプリケーション226は、サービスを使用するクライアントデバイスと通信するための特有のプロトコルのセットを使用してもよい。この例において、デバイス202は、開発者がアプリケーション226と接続を望む古いアプリケーション210を有するクライアントデバイスであってもよい。この開発者は2つのアプリケーションを接続するためにメッセージ処理エンジン216により使用されうるポリシー230を作成してもよい。メッセージ処理エンジン216は、あるプロトコルのセットと共にアプリケーション210から発信メッセージを受信し、このメッセージをデコードし、アプリケーション226が受け入れられるプロトコルのセットでメッセージをエンコードしてもよい。同様に、アプリケーション226からのメッセージは、メッセージ処理エンジン216によって受信され、デコードされ、アプリケーション210によって期待されるプロトコルのセットを使用してエンコードされてもよい。」と記載されている。
前記「アプリケーション210によって期待されるプロトコルのセット」は、文脈からみて「アプリケーション210が受け入れられるプロトコルのセット」の意味であると解される。
引用文献3の「アプリケーション226」と「古いアプリケーション210」はメッセージのやりとりが直接にはできないから、「互換性の問題」があるものである。
引用文献3の「メッセージ処理エンジン216」は、アプリケーション210から発信メッセージを受信し、このメッセージをデコードし、アプリケーション226が受け入れられるプロトコルのセットでメッセージをエンコードし、アプリケーション226からのメッセージは、メッセージ処理エンジン216によって受信され、デコードされ、アプリケーション210が受け入れられるプロトコルのセットを使用してエンコードするものであるから、アプリケーション226とアプリケーション210(互換性の問題があるもの)の間のメッセージのやり取りを可能とする(橋渡しをする)ものである。

4.引用文献4(特開2007-265197号公報)の記載事項
当審拒絶理由通知において、引用され、本願の国際出願日前に出願公開がされた引用文献4には、つぎの事項が記載されている。

「【0015】データ変換装置1は、例えば、ホスト集中型アーキテクチャのシステム等、既存のシステム(以下、レガシーシステムとする)2,3で使用されるデータ形式の異なるデータをレガシーシステム2,3で相互利用できるようにデータ変換を行う。つまり、レガシーシステム2で使用されるデータをレガシーシステム3で使用する、または、レガシーシステム3で使用されるデータをレガシーシステム2で使用することができるようにデータ変換を行う。」と記載されている。
引用文献4の「レガシーシステム2」と「レガシーシステム3」は互いにデータ形式が異なりデータ交換が直接にはできないから、「互換性の問題」があるものである。
引用文献4の「データ変換装置1」は、データ形式の異なるデータをレガシーシステム2,3で相互利用できるようにデータ変換を行うから、「レガシーシステム2」と「レガシーシステム3」(互換性の問題があるもの)の間のデータのやり取りを可能とする(橋渡しをする)ものである。

5.引用文献2、3、4に記載された技術。
よって、引用文献2、3、4の前記それぞれの記載により、互換性の問題があるもの同士の橋渡しをするものが本願出願前に周知の技術(以下「周知技術2」という。)であったといえる。

第4 当審の判断

1.本願発明1と引用発明1との対比

(1)引用発明1の「サーバー装置8」は、本願発明1の「システム」に相当し、以下同様に「プリンター5」は「デバイス」に、「インク」は「コンポーネント」に、「保守契約形態として、契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”と、契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”」は「コンポーネント補充サービスのタイプ」に、「インク」は「コンポーネント」に、「インク残量が僅かになる」ことは「少なくとも1つのコンポーネントに関するイベント」に、それぞれ相当する。

(2)引用発明1において、「サーバー装置8は、クライアント装置1から、クライアント情報としてプリンター5の利用状況とプリンター5の識別情報とを受信」するものである。
ここで、「プリンター5の利用状況」とは、「例えばインク残量・・・等」であり、引用発明1における「インク残量が僅かになる」ことは、「インク残量」に関する「プリンター5の利用状況」のことであると解されるから、引用発明1のサーバー装置8はプリンター5の「インク残量が僅かになる」ことを受信するものである。
前記「(1)」で検討したように引用発明1の「インク残量が僅かになる」ことは本願発明1の「少なくとも1つのコンポーネントに関するイベント」に相当する。
引用発明1の「サーバー装置8」は、前記「プリンター5の利用状況・・・を受信」するものであるから、該受信をするために、本願発明1の「少なくとも1つのデバイスのための少なくとも1つのコンポーネントに関するイベントを受信する」「イベント処理ルールエンジン」と同様の働きをするものを備えていると解される。
よって、引用発明1の「サーバー装置8」と、本願発明1の「システム」は、「少なくとも1つのデバイスのための少なくとも1つのコンポーネントに関するイベントを受信するイベント処理ルールエンジンを備えたシステム」であることで共通する。

(3)引用発明1は「プリンター5の保守契約が締結されると、サーバー装置8にプリンター5の機体番号、契約番号、契約日、保守契約形態等のクライアント情報が登録され」るものである。
ここで、前記「保守契約形態」とは、「5年契約」と、「3回契約」のことであり、前記「(1)」で検討したように、本願発明1の「コンポーネント補充サービスのタイプ」に相当する。
そして、引用発明1は、「5年契約の場合、”・・・”というテキストがポップアップ表示され、3回契約の場合、・・・というテキストがポップアップ表示される」ように、5年契約か3回契約のいずれかで、表示の内容を変更されているので、プリンター5の保守契約形態は5年契約か3回契約のいずれかであるかを特定しているといえるから、引用発明1と、本願発明1は「少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定する」ことで共通する。
引用発明1は前記「保守契約形態」の「5年契約か3回契約」を特定するために、本願発明1の「少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定する」「イベント処理ルールエンジン」と同様の働きをするものを備えているといえる。
よって、引用発明1の「サーバー装置8」と、本願発明1の「システム」の、「イベント処理ルールエンジンは更に、前記少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定するものであ」ることで共通する。

(4)引用発明1において、「” インクが残り僅かです。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示され」る(以下、「ポップアップ表示1」という。)ことや、「” インクが残り僅かです。あとn回補充できます。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される」(以下、「ポップアップ表示2」という。)ことは、本願発明1の「少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクション」に相当する。
また、引用発明1において、「保守契約状況」が、5年契約の場合、”5年契約”の契約期間終了前であるため、インク残量が僅かになると、保守履歴に関わらずインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示され」、「3回契約の場合、インク残量が僅かになると、保守契約の締結からの経過期間に関わらず、インクの補充が可能な残回数n(n=1,2,3)とともにインク補充手続を案内するメッセージとして” インクが残り僅かです。あとn回補充できます。インク補充のため販社サイトに接続してください。”というテキストがポップアップ表示される」から、「5年契約」であるか「3回契約」であるか(コンポーネント補充サービスの複数のタイプの各々)について、「インク残量が僅かになると」(イベントに応じて)、ポップアップ表示1またはポップアップ表示2(取るべきアクション)をすることを定めたルールが存在すると解され、該ルールは、本願発明1の「イベントに応じて取るべきアクションを定めた少なくとも1つのルール」に相当する。
引用発明1は前記「ルール」に基づいて「ポップアップ表示1」か「ポップアップ表示2」のいずれかをするか決定するために、本願発明1の「前記イベントと特定された前記コンポーネント補充サービスのタイプとに応じて前記少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクションを決定する」「イベント処理ルールエンジン」と同様の働きをするものを備えているといえる。
よって、引用発明1の「サーバー装置8」と、本願本願発明1の「システム」の「イベント処理ルールエンジンは更に、前記イベントと特定された前記コンポーネント補充サービスのタイプとに応じて前記少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクションを決定するものであり、前記決定は、コンポーネント補充サービスの複数のタイプの各々について、前記イベントに応じて取るべきアクションを定めた少なくとも1つのルールの適用に基づくものであ」ることで共通する。

2.一致点・相違点
前記「1.」の検討をふまえれば、本願発明1と引用発明1とは、つぎの一致点で一致し、各相違点で相違するものである。

<一致点>
「少なくとも1つのデバイスのための少なくとも1つのコンポーネントに関するイベントを受信するイベント処理ルールエンジンを備えたシステムであって、
前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定するものであり、
前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記イベントと特定された前記コンポーネント補充サービスのタイプとに応じて前記少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクションを決定するものであり、前記決定は、コンポーネント補充サービスの複数のタイプの各々について、前記イベントに応じて取るべきアクションを定めた少なくとも1つのルールの適用に基づくものであるシステム。」

<相違点1>
本願発明1が「前記イベント処理ルールエンジンと直接的にインタラクトすることができないレガシー機械可読命令と、前記イベント処理ルールエンジンとの間の橋渡しをするリダイレクタエンジンを更に備え、
前記レガシー機械可読命令により、前記コンポーネントの補充に関するアラートが前記リダイレクタエンジンへ送信され」るとの発明特定事項(以下「発明特定事項1」という。)を備えているのに対して、引用発明1は前記発明特定事項1が特定されていない点。

<相違点2>
本願発明1の「前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、
直接購入サービスに関する第2のルールとを含み、
前記第1のルールは、前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め、
前記第2のルールは、前記システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める」との発明特定事項(以下「発明特定事項2」という。)を備えているのに対して、引用発明1は前記発明特定事項2が特定されていない点。

3.各相違点についての当審の判断

(1)相違点1について
相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「イベント処理ルールエンジンと直接的にインタラクトすることができないレガシー機械可読命令」と、「イベント処理ルールエンジンとの間の橋渡しをするリダイレクタエンジン」について検討すると、仕様や開発時期の違い等が原因で、種類やバージョンが異なるシステムやソフトウェアの間で、通信やデータ交換が出来ないこと(以下「互換性の問題」という。)がある。
企業等において複数のシステムやソフトウェアを使用することは普通のことであるから、前記互換性の問題が生じる状況が起こりえることが考えられるが、その状況下では企業等内で使用される複数のシステムやソフトウェアの間で、通信やデータ交換が出来ることが望ましいことはいうまでもない。
互換性の問題が生じる状況下に引用発明1がおかれて利用されることは、通常、想定できる範囲内である。
前記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項の「イベント処理ルールエンジン」と「レガシー機械可読命令」は、前記「互換性の問題があるもの」に相当するといえる。
そうすると、引用発明1に周知技術2(互換性の問題があるもの同士の橋渡しをするもの)を採用して、前記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「前記イベント処理ルールエンジンと直接的にインタラクトすることができないレガシー機械可読命令と、前記イベント処理ルールエンジンとの間の橋渡しをするリダイレクタエンジンを更に備え」るとの発明特定事項を想到することは当業者にとって格別困難なことではない。
ここで、相違点1に係る本願発明1の発明特定事項である「コンポーネントの補充に関するアラート」について検討する。
引用発明1は、「サーバー装置8は、クライアント装置1からクライアント情報を受信すると、プリンター5の利用状況と保守契約状況と保守履歴とに対応するメッセージを表示するためのメッセージ番号を保守管理プログラム81によって抽出してクライアント装置1に送信」するものであり、前記「プリンター5の利用状況」には「インク残量」が含まれ、引用発明1において前記「インク残量が僅かになるとメッセージが表示される」ことは、前記「コンポーネントの補充に関するアラート」に相当すると解されるから、、引用発明1に周知技術2を採用すれば、前記前記「インク残量が僅かになるとメッセージが表示される」(コンポーネントの補充に関するアラート)ことは前記互換性の問題があるもの同士の橋渡しをするものに送信されることになるといえる。
そうすると、本願発明1記載の発明に周知技術2(互換性の問題があるもの同士の橋渡しをするもの)を採用して、前記相違点1に係る本願発明1の発明特定事項とすることは当業者にとって格別困難なことではない。

(2)相違点2について
相違点2に係る本願発明1の「前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、
直接購入サービスに関する第2のルールとを含み、
前記第1のルールは、前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め、
前記第2のルールは、前記システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める」との発明特定事項について検討する。

ア.文献5、6の記載事項と、文献5、6に記載された技術
本願国際出願日以前に出願公開された特開2007-246238号公報(以下「文献5」という。)、特開2007-302007号公報(以下「文献6」という。)にはそれぞれ以下の記載がある。

(ア)特開2007-246238号公報(文献5)

a.「【0014】ラベルプリンタ100に複数種類のラベルを装着することができる場合、現在装着されているラベルの種類を特定するために商品番号やロット番号等を装着時にユーザが操作部4を操作して入力し、入力された商品番号やロット番号をフラッシュROM9に記憶させておく。あるいは、CPU1が消耗品の商品番号やロット番号を自動認識し、フラッシュROM9に記憶させるようにすることもできる。
【0015】また、ユーザは、予め、図3のフローチャートにおいて実行される発注方法として所望の発注方法を選択し、設定しておく必要がある。上述したように、この例では選択可能な発注方法は、「自動発注」、「メール通知」、および「メッセージ表示」のいずれかである。CPU1は、図4に示すように、表示部5に上記発注方法を選択するための発注方法選択画面を表示し、ユーザが所望の発注方法が表示された領域に対応するタッチパネル6上の領域を押圧して選択すると、選択された発注方法を示すデータを発注方法設定情報としてフラッシュROM9に供給して記憶させる。」

b.「【0024】ステップS23においては、CPU1により、発注方法として「自動発注」が設定されているか否かが判定される。その結果、「自動発注」が設定されていると判定された場合、ステップS24に進む。一方、「自動発注」が設定されていないと判定された場合、ステップS25に進む。
【0025】ステップS24においては、自動発注処理が実行される。即ち、CPU1より発注データが生成され、CPU1の制御下、通信インタフェース2を介して発注データがインターネット等のネットワーク経由で消耗品を販売する会社等の図示しないホストコンピュータに送信される。このホストコンピュータのIPアドレスが予めデータベース12に登録されている。
【0026】ホストコンピュータに送信される発注データは、例えば、ラベルプリンタ100の製造番号等の識別情報と、日付および時刻と、発注する消耗品の商品番号および必要であればロット番号と、発注個数等からなる。
【0027】ステップS25においては、発注方法として「メール通知」が設定されているか否かが判定される。その結果、「メール通知」が設定されていると判定された場合、ステップS26に進む。一方、「メール通知」が設定されていないと判定された場合、ステップS27に進む。
【0028】ステップS26においては、メール通知処理が実行される。即ち、CPU1の制御下、通信インタフェース2を介して、現時点の在庫数が発注基準在庫数以下となり、発注が必要であることを示すメッセージを含む電子メールがインターネット等のネットワーク経由でユーザ(操作者または管理者)の電子メールアドレス宛に送信される。ユーザの電子メールアドレスは、データベース12に予め登録されている。
【0029】ステップS27においては、発注方法として「メッセージ表示」が設定されているか否かが判定される。その結果、「メッセージ表示」が設定されていると判定された場合、ステップS28に進む。一方、「メッセージ表示」が設定されていないと判定された場合、
ステップS21に戻り、ステップS21以降の処理が繰り返し実行される。
【0030】ステップS28においては、メッセージ表示処理が実行される。即ち、CPU1の制御下、現時点の在庫数が発注基準在庫数以下となり、発注が必要であることを示すメッセージ、例えば、「ラベルの在庫数が発注基準在庫数以下となりました。発注しますか?」と、選択ボタン「はい」、および「いいえ」が表示部5の画面に表示される。また、このとき、ラベルの在庫のリストや、その他の全ての消耗品の在庫のリストも同時に表示するようにすることができる。」

(イ)特開2007-302007号公報(文献6)
「【0075】サプライ管理データ記憶部124は、サプライ品の在庫数量、発注状況などがサプライ品毎に定められた消耗品番号別に記憶している。
サプライ発注モード記憶部125は、入力部102から設定されたサプライの発注モードと消耗品毎の自動発注時の発注数量設定と、自動発注モードか手動発注モードかを記憶している。
画像形成装置110からサプライ補充要求を受けると、POS制御部101は、サプライ管理データ124の中から該当するサプライ品の在庫数を減算する。
サプライ発注モード記憶部125に自動発注モードが設定されている場合、在庫数量が所定の数量以下になると、該当する消耗品が発注済みでなければ、POS制御部101は、所定の数量以下になった消耗品を公衆回線126を介して発注する。そして、支出データ記憶部123に発注した消耗品毎に発注数、金額を記憶させる。また、サプライ管理データ記憶部124の中から該当するサプライ品の発注状況を発注済みにする。
【0076】サプライ発注モード記憶部125に手動発注モードが設定されている場合、表示部103に発注を促すメッセージを表示させる。実際に発注が行われたら、支出データ記憶部123に発注した消耗品毎に発注数、金額を記憶させる。・・・」

(ウ)文献5及び引用文献6に記載された前記事項からみて、消耗品の補充に関して、消耗品を自動的に発注することと、消耗品の発注を促すメッセージを送ることのいずれかを選択的に設定できることは周知技術である(以下、「周知技術3」という。)。

イ.周知技術3の「消耗品を自動的に発注すること」、「消耗品の発注を促すメッセージを送ること」は、それぞれ、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「コンポーネントを自動的に注文すること」、「コンポーネントの注文を促すメッセージを送ること」に相当する。
周知技術3の「消耗品を自動的に発注すること」は、発注側と受注側との間において消耗品の補充補充するための契約がなされていることが前提であると解されるので、周知技術3の前記「消耗品を自動的に発注すること」は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「契約に基づく補充サービスに関する」ことに相当するといえる。
周知技術3の「消耗品の発注を促すメッセージを送ること」は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「直接購入サービスに関する」ことであるといえる。
周知技術3において、「消耗品を自動的に発注すること」及び「消耗品の発注を促すメッセージを送ること」をするから、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項の「前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め」る「第1のルール」及び「システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める」「第2のルール」と同様のルールが周知技術においても存在することは明らかである。
よって、周知技術3は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項である「前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、
直接購入サービスに関する第2のルールとを含み、
前記第1のルールは、前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め、
前記第2のルールは、前記システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める」ことに相当している。

ウ.商品の販売において、利益や利便性の増大等の目的のために販売側が、商品の様々な販売形態を用意することは、一般的に行われている。
インク(消耗品)の補充に関する引用発明1においても、販売事業者側が利益や利便性の増大等の目的のために消耗品の補充を受注するための様々な受注(発注)の形態を用意するという動機があると考えられ、前記様々な受注の形態を用意するために、周知の受注(発注)の形態を採用することは、通常、想定できる範囲内のことである。
周知技術3は、周知の受注(発注)の形態といえるものであり、前記「イ.」で検討したように、周知技術3は、相違点2に係る本願発明1の発明特定事項に相当している。
よって、引用発明1において、周知技術3を適用して、前記相違点2に係る本願発明1の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。

4.令和1年5月22日提出の意見書(以下、「意見書」という。)における請求人の主張について

審判請求人は、意見書において、「3.理由1について
補正後の請求項1?4に係る発明は理由1に該当しないものと思料いたします。以下に説明いたします。
(1)補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1について、アルファベットによる項目名を付せば、以下のように分説されます。
A: 少なくとも1つのデバイスのための少なくとも1つのコンポーネントに関するイベントを受信するイベント処理ルールエンジンを備えたシステムであって、
B: 前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記少なくとも1つのデバイスが登録されているコンポーネント補充サービスのタイプを特定するものであり、
C: 前記イベント処理ルールエンジンは更に、前記イベントと特定された前記コンポーネント補充サービスのタイプとに応じて前記少なくとも1つのコンポーネントの補充に関するアクションを決定するものであり、前記決定は、コンポーネント補充サービスの複数のタイプの各々について、前記イベントに応じて取るべきアクションを定めた少なくとも1つのルールの適用に基づくものであり、
D: 前記イベント処理ルールエンジンと直接的にインタラクトすることができないレガシー機械可読命令と、前記イベント処理ルールエンジンとの間の橋渡しをするリダイレクタエンジンを更に備え、
E: 前記レガシー機械可読命令により、前記コンポーネントの補充に関するアラートが前記リダイレクタエンジンへ送信され、
F: 前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、直接購入サービスに関する第2のルールとを含み、
G: 前記第1のルールは、前記システムが前記コンポーネントを自動的に注文することを前記アクションとして定め、
H: 前記第2のルールは、前記システムが顧客に対し前記コンポーネントの注文を促すメッセージを送ることを前記アクションとして定める、
I: システム。

(2)引用文献との対比
補正後の請求項1に係る発明は、事項Fすなわち「前記少なくとも1つのルールは、契約に基づく補充サービスに関する第1のルールと、直接購入サービスに関する第2のルールとを含み」という事項を有しています。
これに対し、引用文献1(特開2011-238155号公報)には、「契約日から5年の期間中、何度でもインクを無償で補充できる”5年契約”」、「契約後3回までインクを無償で補充できる”3回契約”」が記載されているものの(段落[0016]、段落[0027]の表1)、上記事項Fは記載されていません。
また、引用文献2(特開2004-318420号公報)、引用文献3(特表2011-511559号公報)、及び引用文献4(特開2007-265197号公報)にも、上記事項Fは記載されていません。
補正後の請求項1に係る発明は、少なくとも、事項F及びこれを前提とする事項G及びHを有する点において、引用文献1?4のいずれとも異なると思料いたします。

(3)まとめ
事項F、G及びHの開示がない引用文献1?4の組み合わせに基づいて、事項F、G及びHを有する補正後の請求項1に係る発明をするに到ることが本願出願前において容易であったとはいえません。
よって、補正後の請求項1に係る発明は理由1に該当しないものと思料いたします。補正後の請求項1を引用する請求項2?4に係る各発明についても同様です。
」(1頁下から9行ないし2頁下から11行)と主張する。

しかしながら、請求人の主張における前記事項F、G及びHは、前記「2.」で相違点2に係る本願発明1の発明特定事項としたものであり、前記「(2)相違点2について」で検討したとおり、文献5及び文献6に記載された事項からみて、周知技術である周知技術3を、引用発明1に適用して、前記前記事項F、G及びHに係る本願発明1の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。
よって、請求人の前記主張は採用できない。

5.本願発明1の効果について
本願発明1の効果についてみても、引用発明1、周知技術2及び3に基づいて当業者が予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

6.小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1、周知技術2及び3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第5 むすび
前記のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、前記の結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-30 
結審通知日 2019-10-01 
審決日 2019-10-15 
出願番号 特願2016-530245(P2016-530245)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 道祖土 新吾  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 清水 康司
畑井 順一
発明の名称 イベントに応じたアクションの決定  
代理人 田中 祐  
代理人 奥山 尚一  
代理人 有原 幸一  
代理人 中村 綾子  
代理人 松島 鉄男  
代理人 森本 聡二  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ