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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1360138
審判番号 不服2018-8191  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-14 
確定日 2020-02-26 
事件の表示 特願2016-114743「無線通信システムで設定されたリソースの使用方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月 5日出願公開、特開2017- 5708〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年6月8日(パリ条約による優先権主張 2015年6月12日 米国、2015年6月12日 米国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成29年 9月11日付け 拒絶理由通知書
平成29年12月20日 意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月 1日付け 拒絶査定
平成30年 6月14日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書、誤
訳訂正書の提出
令和 元年 5月21日付け 拒絶理由通知書
令和 元年 8月28日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1?16に係る発明は、令和元年8月28日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。

「 シグナリングを受信してアップリンクリソースを設定し、該アップリンクリソースは複数の送信時間間隔(TTI)で使用可能であり、該複数の送信時間間隔は第1のTTIおよび第2のTTIを含み、
ユーザ端末(UE)が送信に使用可能なデータを保持していない状態で、TTIが、UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられるか否かに基づいて、前記設定されたアップリンクリソースを用いて該TTIで第1の送信を行うか否かを該UEが決定し、
前記UEは、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられる前記第1のTTIにて前記設定されたアップリンクリソースを使用して前記第1の送信を実行し、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられない前記第2のTTIでは前記第1の送信を行わず、
前記シグナリングは、半永続的割当て(SPS)を開始または再開させるためのものであることを特徴とする、設定されたアップリンクリソースの無線通信システムのユーザ端末(UE)での使用方法。」

第3 拒絶の理由
令和元年5月21日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。」、
「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」、
というものであり、請求項1に対してNokia Siemens Networks,Padding BSR and Empty Transmission Buffers,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #71bis,R2-105318,2010年10月5日アップロード,URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71bis/Docs/R2-105318.zipが引用されている。

第4 引用発明について
当審拒絶理由で引用されたNokia Siemens Networks,Padding BSR and Empty Transmission Buffers,3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #71bis,R2-105318,2010年10月5日アップロード,URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_71bis/Docs/R2-105318.zip(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

1.「2 Blind Scheduling
Blind scheduling consists in the eNB blindly allocating uplink resources to a UE even if the UE does not have any data to transmit.(中略)
In Rel-8/9 a UE receiving an UL grant and having no data to transmit is mandated to transmit a MAC CE PDU with padding Buffer Status Report (BSR) indicating buffer filling level 0 (i.e. empty BSR) [1]. While receiving an empty BSR is useful for the eNB to clearly recognize the situation where a UE does not have any data to transmit in uplink, always requiring the UE to transmit an empty BSR might not be optimal in terms of UE power consumption, especially if the eNB is extensively using blind scheduling to reduce latency. 」(1葉)
(当審訳:
2 ブラインドスケジューリング
ブラインドスケジューリングは、UEが送信すべきデータを全く有していなくても、eNBがアップリンクリソースをUEに盲目的に割り当てることからなる。(中略)
Rel-8/9では、ULグラントを受信し、送信するデータを有しないUEは、バッファ充填レベル0を示すパディングバッファステータスレポート(BSR)(すなわち空のBSR)を有するMAC CE PDUを送信するように命令される[1]。空のBSRを受信することは、アップリンクで送信すべきデータがない状況をeNBが明確に認識するのに有用であるが、特にeNBは待ち時間を減らすためにブラインドスケジューリングを広く使用しているときには、空のBSRを送信することをUEに常に要求することは、UE電力消費に関して最適ではないかもしれない。。

2.「3 Skipping Uplink Transmissions
In [2] it was proposed to allow the UE to skip uplink transmissions when it has no data to send. The main disadvantage of this proposal - as discussed during RAN2 meeting #69bis - is that the eNB cannot distinguish the cases where the UE buffer is empty from the cases where the PDCCH allocation (UL grant) is missed. To avoid this, the eNB must be able to control whether the UE, upon receiving an UL grant, and having neither user plane nor control plane data to transmit:
- can ignore the UL grant and avoid uplink transmission on PUSCH; or
- should (as in Rel-8/9) transmits a MAC CE PDU with empty BSR.
Introducing some kind of prohibit-timer would allow the eNB to exercise such control. For instance, after sending a padding BSR alone indicating buffer filling level 0 (i.e. empty BSR), the UE would be allowed to ignore UL grants during x TTI as long as it has no data to send, where x could be configured e.g. when setting x to 40ms, once the UE has sent a padding BSR with no other data, the UE will ignore all uplink grants during 40ms as long as it has no data to send.」(1葉)
(当審訳:
3 アップリンク送信をスキップすること
[2]では、送信すべきデータがないときに、UEがアップリンク送信をスキップすることを可能にすることが提案された。この提案の主な不利点は、RAN2会議#69bisの間に議論されたように、UEバッファが空の場合とPDCCH割り当て(ULグラント)が見逃された場合とをeNBが区別できないことである。これを回避するために、eNBは、ULグラントを受信し、送信のためのユーザプレーンも制御プレーンデータも持たないUEが次のことをするかどうかを制御できなければならない。
- ULグラントを無視し、PUSCHでのアップリンク送信を回避することができる。又は
- (Rel-8/9と同様に)空のBSRを含むMAC CE PDUを送信する。
ある種の禁止タイマを導入することは、eNBがそのような制御を行使することを可能にするであろう。例えば、バッファ充填レベル0(すなわち空のBSR)を示すパディングBSRのみを送信した後、UEは、送信するデータがない限り、xTTIの間にULグラントを無視することを許可される。xを40msに設定すると、UEが他のデータなしでパディングBSRを送信した後、UEは送信するデータがない限り40msの間にすべてのアップリンク許可を無視する。)

3.「4 Conclusion
In order to reduce the impacts of blind scheduling on UE power consumption while at the same limiting the uncertainty at the eNodeB on why there is no UL transmission, it is proposed that after sending a padding BSR alone indicating buffer filling level 0 (i.e. empty BSR), the UE would be allowed to ignore UL grants during x TTI as long as it has no data to send.
An example of the corresponding changes to MAC are given below where:
- prohibitGrant-Timer is introduced;
- prohibitGrant-Timer is started upon the first transmission of a MAC PDU containing zero MAC SDUs (same terminology as for SPS) but not originating from Msg3 buffer.
- when running, prohibitGrant-Timer inhibits all grants for first transmissions of MAC PDU containing zero MAC SDUs except for msg3.
- SPS release still works normally as the number of consecutive new MAC PDUs each containing zero MAC SDUs provided by the Multiplexing and Assembly entity on the Semi-Persistent Scheduling resource does not change.」(2葉)
(当審訳:
4 結論
eNodeBでのUL送信がない理由に関する不確実性を同時に制限しながら、UE電力消費に対するブラインドスケジューリングの影響を低減するために、バッファ充填レベル0を示すパディングBSR(すなわち空のBSR)のみを送信した後、UEは、送信するデータがない限り、xTTIの間にULグラントを無視することを許可されることが提案される。
MACに対応する変更の例を以下に示す。
- prohibitGrant-Timerが導入された。
- prohibitGrant-Timerは、ゼロのMAC SDUを含むMAC PDU(SPSと同じ用語)の最初の送信時に開始されるが、Msg3バッファからは発信されない。
- 実行時に、prohibitGrant-Timerは、msg3を除いて、ゼロのMAC SDUを含むMAC PDUの最初の送信に対するすべての許可を禁止する。
- 半永続的スケジューリングリソース上の多重化及びアセンブリエンティティによって提供されたゼロMAC SDUをそれぞれ含む連続した新しいMAC PDUの数は変わらないため、SPSリリースは依然として正常に機能する。)

上記各記載及び当業者における技術常識からみて、

a 上記「3.」の「UE電力消費に対するブラインドスケジューリングの影響を低減するために」という記載によれば、引用例はブラインドスケジューリングを前提としている。また、上記「2.」の「ULグラントを受信し、送信のためのユーザプレーンも制御プレーンデータも持たないUE」という記載によれば、UEがULグラント(アップリンクグラント)を受信している。そして、ULグラントで割り当てられるのはUEが送信で使用するTTIのアップリンクリソースであることは技術常識である。
したがって、UEは「ブラインドスケジューリングにおいて、ULグラントを受信してTTIのアップリンクリソースが割り当てられ」るといえる。

上記「2.」及び「3.」には、バッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信していることが記載されており、バッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIがあることは明らかである。また、上記「2.」及び「3.」ではxTTIの間にULグラントを無視することから、ULグラントを無視するxTTIがあることも明らかである。
よって、「複数のTTIはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIとULグラントを無視するxTTIを含」むことは明らかである。

b 上記「2.」の「UEバッファが空の場合」及び「ULグラントを受信し、送信のためのユーザプレーンも制御プレーンデータも持たないUE」という記載によれば、「UEバッファが空の場合」を前提としていることは明らかである。
また、上記「1.」の「空のBSRを受信することは、アップリンクで送信すべきデータがない状況をeNBが明確に認識するのに有用である」という記載によれば、UEは、UEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信していることは明らかである。
そして、上記「2.」の「バッファ充填レベル0(すなわち空のBSR)を示すパディングBSRのみを送信した後、UEは、送信するデータがない限り、xTTIの間にULグラントを無視することを許可される。」という記載及び「3.」の「バッファ充填レベル0を示すパディングBSR(すなわち空のBSR)のみを送信した後、UEは、送信するデータがない限り、xTTIの間にULグラントを無視することを許可されることが提案される。」という記載によれば、バッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信することはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIにて行われており、ULグラントを無視するxTTIではULグラントを無視することで送信を行っていないといえる。
したがって、UEは、「UEバッファが空の場合、UEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIにてバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信し、ULグラントを無視するxTTIでは何も送信しない」といえる。

c a、bによれば、UEの動作は「無線通信システムのUEでのアップリンクリソースの使用方法」といえる。

以上を総合すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「 ブラインドスケジューリングにおいて、ULグラントを受信してTTIのアップリンクリソースが割り当てられ、複数のTTIはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIとULグラントを無視するxTTIを含み、
UEバッファが空の場合、UEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIにてバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信し、ULグラントを無視するxTTIでは何も送信しない、
無線通信システムのUEでのアップリンクリソースの使用方法。」

第5 対比及び判断
本願発明と引用発明とを対比する。

1.引用発明の「ULグラント」は「シグナリング」に含まれる。また、引用発明の「アップリンクリソースが割り当てられ」とは本願発明の「アップリンクリソースを設定」したことに含まれる。そして、引用発明の「バッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTI」を「第1のTTI」と称することは任意であり、「ULグラントを無視するxTTI」を「第2のTTI」と称することも任意である。
また、引用発明では「ULグラントを受信してTTIのアップリンクリソースが割り当てられ、複数のTTIはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIとULグラントを無視するxTTIを含み」であることから、アップリンクリソースは複数の送信時間間隔(TTI)で使用可能であり、複数のTTIはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIとULグラントを無視するxTTIを含むといえる。
したがって、引用発明の「ULグラントを受信してTTIのアップリンクリソースが割り当てられ、複数のTTIはバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIとULグラントを無視するxTTIを含み」は、本願発明の「シグナリングを受信してアップリンクリソースを設定し、該アップリンクリソースは複数の送信時間間隔(TTI)で使用可能であり、該複数の送信時間間隔は第1のTTIおよび第2のTTIを含み」に含まれる。

2.引用発明の「UE」は本願発明の「ユーザ端末(UE)」に相当することから、引用発明の「UEバッファが空の場合」とは本願発明の「ユーザ端末(UE)が送信に使用可能なデータを保持していない状態」に含まれる。
また、引用発明のUEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIは、ULグラントが見逃された場合ではないことを示すために用いられるTTIであるから、UEがULグラントを受信したことを示すために用いられるTTIといえる。一方、ULグラントを無視するxTTIでは何も送信しないことから、ULグラントを無視するxTTIはUEがULグラントを受信したことを示すために用いられないTTIといえる。よって、TTIが、UEがULグラントを受信したことを示すために用いられるか否かに基づいて、設定されたアップリンクリソースを用いてTTIでバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信を行うか否かをUEが決定しているといえる。
そして、引用発明の「バッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信」することを第1の送信を称することは任意である。
したがって、引用発明の「UEバッファが空の場合、UEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIにてバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信し、ULグラントを無視するxTTIでは何も送信しない」は、本願発明の「ユーザ端末(UE)が送信に使用可能なデータを保持していない状態で、TTIが、UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられるか否かに基づいて、前記設定されたアップリンクリソースを用いて該TTIで第1の送信を行うか否かを該UEが決定」するに含まれる。

3.上記「2.」で述べたことによれば、引用発明の「UEバッファが空の場合、UEバッファが空の場合でありULグラントが見逃された場合ではないことを示すためにバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信するTTIにてバッファ充填レベル0を示すパディングBSRのみを送信し、ULグラントを無視するxTTIでは何も送信しない」は、本願発明の「前記UEは、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられる前記第1のTTIにて前記設定されたアップリンクリソースを使用して前記第1の送信を実行し、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられない前記第2のTTIでは前記第1の送信を行わず」に含まれる。

4.引用発明の「アップリンクリソース」は設定されたアップリンクリソースといえることから、引用発明の「無線通信システムのUEでのアップリンクリソースの使用方法」は、本願発明の「設定されたアップリンクリソースの無線通信システムのユーザ端末(UE)での使用方法」に相当する。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「 シグナリングを受信してアップリンクリソースを設定し、該アップリンクリソースは複数の送信時間間隔(TTI)で使用可能であり、該複数の送信時間間隔は第1のTTIおよび第2のTTIを含み、
ユーザ端末(UE)が送信に使用可能なデータを保持していない状態で、TTIが、UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられるか否かに基づいて、前記設定されたアップリンクリソースを用いて該TTIで第1の送信を行うか否かを該UEが決定し、
前記UEは、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられる前記第1のTTIにて前記設定されたアップリンクリソースを使用して前記第1の送信を実行し、前記UEが前記シグナリングを受信したことを示すために用いられない前記第2のTTIでは前記第1の送信を行わず、
設定されたアップリンクリソースの無線通信システムのユーザ端末(UE)での使用方法。」

(相違点)
「シグナリング」が、本願発明においては「前記シグナリングは、半永続的割当て(SPS)を開始または再開させるためのものである」のに対して、引用発明においては、ブラインドスケジューリングにおけるULグラントであるが半永続的割当て(SPS)を開始または再開させるためのものであることが特定されていない点。

以下、相違点について検討する。
(相違点について)
引用発明の前提としているブラインドスケジューリングは上記「第4」「1.」に記載されているように、「ブラインドスケジューリングは、UEが送信すべきデータを全く有していなくても、eNBがアップリンクリソースをUEに盲目的に割り当てることからなる」通信方式であり、半永続的スケジューリング(SPS)もブラインドスケジューリングの一例であることは技術常識であるところ、上記「第4」「3.」に半永続的スケジューリング(SPS)が記載されていることから、引用発明のブラインドスケジューリングとして半永続的スケジューリング(SPS)が採用されていると解される。また、仮にそうでないとしても、ブラインドスケジューリングとして半永続的スケジューリング(SPS)を採用することに格別困難なことではない。
そして、半永続的スケジューリング(SPS)は開始又は再開させるためのシグナリングにより実行されることも技術常識である。

したがって、本願発明は、引用発明と同一であり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に想到しうる。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、当業者が引用例に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-24 
結審通知日 2019-10-01 
審決日 2019-10-15 
出願番号 特願2016-114743(P2016-114743)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 113- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 相澤 祐介廣川 浩  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 畑中 博幸
中木 努
発明の名称 無線通信システムで設定されたリソースの使用方法および装置  
代理人 大貫 進介  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 伊東 忠重  

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