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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05K
管理番号 1360212
審判番号 不服2018-4415  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-03 
確定日 2020-02-25 
事件の表示 特願2016-531771「基体に配置した表示回路を有するヒンジ式のポータブル電子デバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月19日国際公開、WO2015/023417、平成28年 9月 8日国内公表、特表2016-527728〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2014年(平成26年)7月24日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2013年8月15日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成29年1月31日付け拒絶理由通知に対して同年5月2日付けで手続補正がなされたが、同年11月29日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成30年4月3日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、平成31年4月12日付け当審の拒絶理由通知に対して令和1年7月12日付けで手続補正がなされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和1年7月12日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「基体を有し、前記基体に対して回転する蓋を有する筐体と、
前記筐体において、表示層を有するディスプレイと、
リジッドフレックスプリント配線であって、
前記蓋に第1のリジッドプリント配線板部分と、
前記基体に第2のリジッドプリント配線板部分と、
前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記第2のリジッドプリント配線板部分との間に延在する第1のフレキシブルプリント配線部分と、
前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記表示層との間に延在する第2のフレキシブルプリント配線部分であって、前記第1のリジッドプリント配線板部分を形成する一組の層のうちのフレキシブルなサブセットから形成される前記第2のフレキシブルプリント配線部分と、
前記第1のリジッドプリント配線板部分、前記第2のリジッドプリント配線板部分及び前記第1のフレキシブルプリント配線部分のそれぞれの一部を形成する単一の金属信号ライン層と、を有するリジッドフレックスプリント配線と、
前記基体内の前記第2のリジッドプリント配線板部分の上に搭載されたディスプレイタイミングコントローラ集積回路と、
を備えることを特徴とする、電子デバイス。」


第3 引用文献
平成31年4月12日付け当審の拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)で引用された特開2001-83902号公報(以下「引用文献1」という。)には、「液晶表示装置及びこれを有する情報処理装置」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

ア.「0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶表示装置に関するものであり、もう少し具体的には、情報処理機能を遂行することができて、その大きさを最小化できる液晶表示装置に関するものである。」

イ.「【0006】ノートブックコンピュータにおいて、モニター装置は液晶表示装置とケースを含んで、液晶表示装置は液晶表示パネルアセンブリ、バックライトアセンブリ、モールドフレームそしてシャーシを有する。また、液晶表示パネルアセンブリは液晶パネル、信号転送フィルム、ソース印刷回路基板、ゲート印刷回路基板及びコントロールボードを含む。」

ウ.「【0030】図1は本発明の望ましい一実施例による液晶表示装置を有するコンピュータシステムを示す斜視図である。
【0031】図1を参照すれば、携帯用コンピュータシステムの本体100は回動部材(図示せず)によりモニター装置110と結合される。
【0032】モニター装置110は本体100からの信号により駆動される液晶表示装置(以下、“LCD”と称する)300及び液晶表示装置300を内蔵して保護するためのケース200を有する。ケース200は液晶表示装置300の画面がディスプレーされる部分と一致するように底面が開放されたフロントケース210及び液晶表示装置300を収納してフロントケース210と対向して結合するリアケース220を有する。
【0033】液晶表示装置300はフロントケース210とリアケース220との間に収納されて、本体100と液晶表示装置300は可撓性印刷回路基板120により電気的に結合されて相互に信号を転送する。
【0034】図2は図1に図示された液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。図2を参照すれば、液晶表示装置300は収納空間が形成されたモールドフレーム310を有する。バックライトアセンブリ330はモールドフレーム310の収納空間に収納されて、光を発生してガイド(案内)する。液晶表示パネルアセンブリ350はバックライトアセンブリ330の上部に収納されて光の提供を受けて、画像をディスプレーする。シャーシ370はモールドフレーム310と対向するように結合されて、バックライトアセンブリ330及び液晶表示パネルアセンブリ350をモールドフレーム310の収納空間に密着固定させる。」

エ.「【0037】一方、液晶表示パネルアセンブリ350は液晶パネル355、液晶(図示せず)、信号転送フィルム360、ソース印刷回路基板365を有する。
【0038】液晶パネル355はゲートライン(図示せず)、データライン(図示せず)、薄膜トランジスター及び画素電極などが形成されたTFT基板351、前記TFT基板351の上に設置されるカラーフィルター基板352を有する。
【0039】信号転送フィルム360はTFT基板351の各ゲートラインに接続されるゲート信号転送フィルム361及び各データラインに接続されるデータ信号転送フィルム363を有する。前記ゲート及びデータ信号転送フィルム361、363には各々ゲート駆動ドライブIC362及びデータ駆動ドライブIC364が実装されてゲート駆動信号及びデータ駆動信号を各々TFT基板351のゲートライン及びデータラインに提供する。
【0040】一方、ソース印刷回路基板365にはゲート及びデータ駆動信号をゲート信号転送フィルム361及びデータ信号転送フィルム363に各々提供するための信号転送用配線パターンが形成される。ゲート及びデータ駆動信号は図1に図示されたように情報処理機能を有するコンピュータシステムの本体100から提供される。すなわち、液晶パネル355を駆動するためのゲート及びデータ駆動信号を発生する液晶パネル駆動回路部153は本体100に内蔵される。」

オ.「【0045】一方、液晶パネル駆動回路部153を内蔵する本体100の構成は図3に図示されたようである。図3を参照すれば、本体100はコントロールボード150を有する。コントロールボード150は色信号(R-G-B)、クロック信号CLK及び同期信号SYNCのような制御信号を発生するためのグラフィック制御部151、外部電源を入力されて駆動電源信号を発生するための電源供給部152、そして制御信号及び駆動電源信号に応答して液晶パネル用駆動信号を発生するための液晶パネル駆動回路部153を有する。この時、コントロールボード150に実装された液晶パネル駆動回路部153と液晶表示装置300に内蔵されたソース印刷回路基板365は図1に図示されたように可撓性印刷回路基板120により電気的に連結される。
【0046】具体的に、液晶パネル駆動回路部153は色信号(R-G-B)をラッチして所定時間の間遅延させた後、出力するためのデータラッチ部154、データラッチ部154を通じ提供されるクロック信号CLK及び同期信号SYNCに応じて液晶パネル355の駆動に必要な制御信号を発生するためのタイミング発生部155、そして駆動電源信号に応じて液晶パネル355の必要な階調電圧及びゲートオン/オフ電圧を発生するための電圧発生部156を有する。
【0047】また、液晶パネル駆動回路部153からの前述した信号は可撓性印刷回路基板120及びソース印刷回路基板365を通じ液晶パネル355に提供される。
【0048】図4を参照すれば、可撓性印刷回路基板120は液晶パネル駆動回路部153から延長された第1可撓性印刷回路基板121とソース印刷回路基板365から延長された第2可撓性印刷回路基板122を有する。また、第1及び第2可撓性印刷回路基板121、122の延長された先端には第1及び第2コネクタ123、124が各々設置される。液晶パネル駆動回路部153とソース印刷回路基板365との間に信号転送路は第1コネクタ123と第2コネクタ124を結合することにより確保される。」

上記アないしオから、引用文献1には以下の事項が記載されている。

・上記ウによれば、携帯用コンピュータシステムの本体100は回動部材によりモニター装置110と結合され、モニター装置110は本体100からの信号により駆動される液晶表示装置300を有する構造である。

・上記イ及びウによれば、液晶表示装置300は液晶パネルアセンブリ350を有するものである。

・上記エによれば、液晶表示パネルアセンブリ350は液晶パネル355、液晶、信号転送フィルム360、ソース印刷回路基板365を有し、液晶パネル355はゲートライン、データライン、TFT基板351、カラーフィルター基板352を有するものである。
また、信号転送フィルム360はTFT基板351の各ゲートラインに接続されるゲート信号転送フィルム361及び各データラインに接続されるデータ信号転送フィルム363を有し、一方、ソース印刷回路基板365にはゲート及びデータ駆動信号をゲート信号転送フィルム361及びデータ信号転送フィルム363に各々提供するための信号転送用配線パターンが形成され、ゲート及びデータ駆動信号は情報処理機能を有するコンピュータシステムの本体100から提供されるものである。

・上記オによれば、本体100はコントロールボード150を有し、コントロールボード150に実装された液晶パネル駆動回路部153と液晶表示装置300に内蔵されたソース印刷回路基板365は可撓性印刷回路基板120により電気的に連結されているものである。
そして、液晶パネル駆動回路部153は色信号(R-G-B)をラッチして所定時間の間遅延させた後、出力するためのデータラッチ部154、データラッチ部154を通じ提供されるクロック信号CLK及び同期信号SYNCに応じて液晶パネル355の駆動に必要な制御信号を発生するためのタイミング発生部155、そして駆動電源信号に応じて液晶パネル355の必要な階調電圧及びゲートオン/オフ電圧を発生するための電圧発生部156を有するものである。

したがって、上記摘記事項および図面を総合勘案すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「携帯用コンピュータシステムの本体100は回動部材によりモニター装置110と結合され、
モニター装置110は本体100からの信号により駆動される液晶表示装置300を有し、
液晶表示装置300は液晶表示パネルアセンブリ350を有し、
液晶表示パネルアセンブリ350は液晶パネル355、液晶、信号転送フィルム360、ソース印刷回路基板365を有し、
液晶パネル355はゲートライン、データライン、TFT基板351、カラーフィルター基板352を有しており、
信号転送フィルム360はTFT基板351の各ゲートラインに接続されるゲート信号転送フィルム361及び各データラインに接続されるデータ信号転送フィルム363を有し、一方、ソース印刷回路基板365にはゲート及びデータ駆動信号をゲート信号転送フィルム361及びデータ信号転送フィルム363に各々提供するための信号転送用配線パターンが形成され、ゲート及びデータ駆動信号は情報処理機能を有するコンピュータシステムの本体100から提供されており、
本体100はコントロールボード150を有し、
コントロールボード150に実装された液晶パネル駆動回路部153と液晶表示装置300に内蔵されたソース印刷回路基板365は可撓性印刷回路基板120により電気的に連結され、
液晶パネル駆動回路部153は色信号(R-G-B)をラッチして所定時間の間遅延させた後、出力するためのデータラッチ部154、データラッチ部154を通じ提供されるクロック信号CLK及び同期信号SYNCに応じて液晶パネル355の駆動に必要な制御信号を発生するためのタイミング発生部155、そして駆動電源信号に応じて液晶パネル355の必要な階調電圧及びゲートオン/オフ電圧を発生するための電圧発生部156を有する、携帯用コンピュータシステム。」


第4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「携帯用コンピュータシステム」は、図1を参照するとノートブックコンピュータの形状をしており、引用発明の「本体100」及び「モニター装置110」が「携帯用コンピュータシステム」の筐体部分を構成することは明らかである。
引用発明の「本体100」は「回動部材によりモニター装置110と結合され」ているから、引用発明の「本体100」及び「モニター装置110」は、本願発明の「基体」及び「基体に対して回転する蓋を有する筐体」にそれぞれ相当する。

(2)引用発明の「モニター装置110」の「液晶表示装置300」は、「液晶表示パネルアセンブリ350」に「液晶パネル355」を有しているから、本願発明の「表示層を有するディスプレイ」に相当する。

(3)引用発明の「モニター装置110」の「液晶表示装置300」は、「液晶表示パネルアセンブリ350」に「ソース印刷回路基板365」を有し、当該「ソース印刷回路基板365」は、可撓性に関する断りについて特段記載がなく、また基板を変形させる必要がないことも明らかであるから、リジッド基板を使用していると考えるのが自然である。したがって、引用発明の「モニター装置110」にある「ソース印刷回路基板365」は、本願発明の「蓋」にある「第1のリジッドプリント配線板部分」に相当する。
同様に、引用発明の「本体100」にある「コントロールボード150」も、リジッド基板を使用していると考えるのが自然であり、また「液晶パネル駆動回路153」を実装しているから、本願発明の「基体」にある「第2のリジッドプリント配線板部分」に相当する。

(4)引用発明の「コントロールボード150に実装された液晶パネル駆動回路部153」と「ソース印刷回路基板365」とを「電気的に連結」させる「可撓性印刷回路基板120」は、本願発明の「前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記第2のリジッドプリント配線板部分との間に延在する第1のフレキシブルプリント配線部分」に相当する。

(5)引用発明において「コントロールボード150」及び「ソース印刷回路基板365」が「可撓性印刷回路基板120」によって「電気的に連結」される構成は「配線」といえ、本願発明の「リジッドフレックスプリント配線」に相当する。
ただし、リジッドフレックスプリント配線について、本願発明は「前記第1のリジッドプリント配線板部分、前記第2のリジッドプリント配線板部分及び前記第1のフレキシブルプリント配線部分のそれぞれの一部を形成する単一の金属信号ライン層」を有するのに対して、引用発明はその旨の特定がない点で相違する。

(6)引用発明の「信号転送フィルム」は、【図2】より「ソース印刷回路基板365」と「液晶パネル355」の「TFT基板351」との間にあり、【0065】に折曲される記載があるように、可撓性のあるフレキシブルな素材であることが明白であり、また信号転送のための配線を含むことも明白であるから、本願発明の「前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記表示層との間に延在する第2のフレキシブルプリント配線部分」に相当する。
ただし、第2のフレキシブルプリント配線部分について、本願発明は「前記第1のリジッドプリント配線板部分を形成する一組の層のうちのフレキシブルなサブセットから形成される前記第2のフレキシブルプリント配線部分」であるのに対して、引用発明はその旨の特定がない点で相違する。

(7)引用発明の「本体100」にある「コントロールボード150に実装された液晶パネル駆動回路153」は、「データラッチ部154」、「タイミング発生部155」及び「電圧発生部156」を有しており、本願発明の「前記基体内の前記第2のリジッドプリント配線板部分の上に搭載されたディスプレイタイミングコントローラ集積回路」に相当する。

(8)引用発明の「携帯用コンピュータシステム」は、上記(1)ないし(7)のとおり、ノートブックコンピュータの本体及び液晶表示装置のそれぞれに配線板を備えた構成であり、可撓性印刷回路基板及び信号転送フィルムの2つのフレキシブル配線部分を備えたものであるから、本願発明の「電子デバイス」に相当する。

上記(1)ないし(8)から、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「基体を有し、前記基体に対して回転する蓋を有する筐体と、
前記筐体において、表示層を有するディスプレイと、
リジッドフレックスプリント配線であって、
前記蓋に第1のリジッドプリント配線板部分と、
前記基体に第2のリジッドプリント配線板部分と、
前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記第2のリジッドプリント配線板部分との間に延在する第1のフレキシブルプリント配線部分と、
前記第1のリジッドプリント配線板部分と前記表示層との間に延在する第2のフレキシブルプリント配線部分と、
を有するリジッドフレックスプリント配線と、
前記基体内の前記第2のリジッドプリント配線板部分の上に搭載されたディスプレイタイミングコントローラ集積回路と、
を備えることを特徴とする、電子デバイス。」

<相違点1>
リジッドフレックスプリント配線について、本願発明は「前記第1のリジッドプリント配線板部分、前記第2のリジッドプリント配線板部分及び前記第1のフレキシブルプリント配線部分のそれぞれの一部を形成する単一の金属信号ライン層」を有するのに対して、 引用発明にはその旨の特定がない。

<相違点2>
第2のフレキシブルプリント配線部分について、本願発明は「前記第1のリジッドプリント配線板部分を形成する一組の層のうちのフレキシブルなサブセットから形成される前記第2のフレキシブルプリント配線部分」であるのに対して、引用発明にはその旨の特定がない。


第5 判断
(1)相違点1について
当審拒絶理由通知で引用された引用文献2(特開2004-266236号公報)の【従来の技術】には、リジッド配線板とフレキシブル配線板との接続に関し、リジッド積層板271A、272A、271B、272Bの配線膜221が、フレキシブル配線板278の配線膜212に接続され、フレキシブル配線板278の両端の表面と裏面に固定された複合配線板が記載されている。このとき【図28】-【図30】より、フレキシブル配線板の配線膜212がリジッド配線板の積層の一部となり、単一の金属信号ライン層を形成していることは明らかである。また【0008】には、当該複合配線板を携帯型コンピュータに用いる場合について記載がある(【0001】-【0008】、【図28】-【図30】参照)。
そうすると、ノートパソコンや携帯電話等の電子機器において、多層のプリント配線板を使用することは普通に行われているから、引用発明の携帯用コンピュータシステムにおいて、ソース印刷回路基板とコントロールボードを可撓性印刷回路基板により電気的に連結する構成に、引用文献2に記載されたフレキシブル配線板の配線膜がリジッド配線板の積層の一部となる複合配線板の技術を採用して、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(2)相違点2について
上記引用文献2に記載の技術は、【図30】より明らかであるように、フレキシブル配線板278のベースフィルム211及び配線膜212が、リジッド配線板の積層全体のうちの一部分、サブセットになっている。すなわち、リジッド配線板の積層全体を一組の層とすると、フレキシブル配線板のベースフィルム及び配線膜は、リジッド配線板の一組の層のうちでフレキシブルなサブセットを形成している。
引用発明の携帯用コンピュータシステムのような電子機器では、筐体内のスペースの有効利用が求められ、ソース印刷回路基板とTFT基板との配置関係によっては、信号転送フィルムを曲げて実装する必要があるから、ソース印刷回路基板と信号転送フィルムとの密着性や接続強度を高めるために引用文献2記載の技術を採用し、信号転送フィルムがソース印刷回路基板の一組の層のうちのフレキシブルなサブセットから形成されるようにして、上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

なお、審判請求人は、令和元年7月12日付け意見書において、引用文献1については「データ信号転送フィルム363はフレキシブルなプリント配線部分ではないので『第2のフレキシブルプリント配線部分』になり得ず、ましてや、リジッドプリント配線板部分を形成する層のうちのフレキシブルなサブセットから形成されるフレキシブルプリント配線部分に相当する構成要素は、何ら存在しません。」との主張をしている。
しかしながら、引用発明の信号転送フィルムは、上述したとおり、可撓性のあるフレキシブルな素材かつ配線を含む構造であることは明白であり、「フレキシブルプリント配線部分」という意味において違いはなく、上記相違点2において検討したとおり、リジッド配線板の層の一部分とすることは当業者であれば容易に想到し得ることである。
そして、本願発明が奏する効果は、引用文献1ないし2から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。
よって、審判請求人の上記主張を採用することはできない。

以上のとおりであるから、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり、審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-09-24 
結審通知日 2019-09-30 
審決日 2019-10-16 
出願番号 特願2016-531771(P2016-531771)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久松 和之  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 五十嵐 努
國分 直樹
発明の名称 基体に配置した表示回路を有するヒンジ式のポータブル電子デバイス  
代理人 西島 孝喜  
代理人 越柴 絵里  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 弟子丸 健  
代理人 大塚 文昭  
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