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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02C
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02C
管理番号 1360348
審判番号 不服2018-6129  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-04-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-07 
確定日 2020-03-04 
事件の表示 特願2015-530472「航空機ターボエンジンを始動させるための方法およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年3月13日国際公開、WO2014/037649、平成27年10月8日国内公表、特表2015-529770〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)8月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年9月10日、フランス共和国)を国際出願日とする出願であって、平成29年5月23日付け(発送日:平成29年5月30日)で拒絶理由が通知され、平成29年10月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年1月10日付け(発送日:平成30年1月16日)で拒絶査定がされ、これに対して平成30年5月7日に拒絶査定不服審判が請求され、平成30年12月25日付け(発送日:平成31年1月8日)で当審より拒絶理由が通知され、平成31年4月5日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年5月17日付け(発送日:令和元年5月21日)で当審より拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和元年8月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし9に係る発明は、令和元年8月20日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】
航空機ターボシャフトエンジンを始動させるための方法にして、前記ターボシャフトエンジン(100)は、燃焼室(120)と、圧縮機ホイール(160)が圧縮空気を前記燃焼室(120)に供給するように取り付けられる圧縮機軸(140)と、軸(140)を回転駆動するために特定の始動トルクを軸(140)に与えるように、前記軸(140)に接続される少なくとも1つのスタータ(180)とを備え、
第1の始動段階(P1)中に圧縮機軸(140)を加速させる加速ステップ(E1)と、次いで、
燃料を燃焼室(120)に噴射できるようにし、燃料を点火できるようにするように、第2の始動段階(P2)中に圧縮機軸(140)の回転速度を安定化する安定化ステップ(E2)とを含む方法であって、
軸(140)の加速度が実質的に一定のままでありかつゼロよりも大きいように、軸(140)の回転速度が加速ステップ(E1)中に調整され、軸(140)の加速度が実質的にゼロのままであるように、軸(140)の回転速度が安定化ステップ(E2)中に調整され、
加速ステップ(E1)中に、
時間間隔にわたって加速度値を得るステップであって、軸(140)の回転速度が周期的に測定され、次いで、2つの速度測定の間の各時間間隔について、この時間間隔にわたる軸(140)の加速度が計算される、加速度値を得るステップと、
得られた加速度値と基準加速度値との間の差を計算するステップと、
計算された差を所定の閾値と比較するステップと、
前記閾値を超える場合には計算された差から速度またはトルク基準を決定するステップと
を含み、
速度基準は、軸(140)の加速度が基準値にまたは先の2つの速度測定の間の時間間隔で得られた加速度値に戻されるように、軸(140)が到達する必要がある速度を示し、トルク基準は、軸(140)の加速度が基準値にまたは先の2つの速度測定の間の時間間隔で得られた加速度値に戻されるように、軸(140)が到達する必要がある軸(140)のトルクを示すことを特徴とする、方法。」

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は、次のとおりである。

1.(進歩性)本願の請求項1ないし9に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2.(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

●理由1(進歩性)について
請求項1及び2:引用文献1及び3ないし7
請求項3ないし9:引用文献1ないし7

●理由2(明確性)について
本願の請求項1ないし9に係る発明は明確でない。

引用文献等一覧
1.米国特許第6035626号明細書
2.特開2003-201864号公報
3.特開昭58-96131号公報(周知技術を示す文献)
4.特開昭58-186055号公報(周知技術を示す文献)
5.特開平11-118965号公報(周知技術を示す文献)
6.特開平11-278105号公報(周知技術を示す文献)
7.特開平11-311317号公報(周知技術を示す文献)

第4 引用文献、引用発明
1 引用文献1
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許第6035626号明細書(以下「引用文献1」という。)には、「Gas turbine starter assist torque control system」に関して、図面と共に次の事項が記載されている。なお、下線は理解の一助とするために当審で付与したものである。

(1)「To start a gas turbine engine, a starter motor applies torque to the engine's shaft. As the shaft starts to rotate, air is inducted into the compressor, compressed and then discharged in the combustor. Concurrently, the engine's fuel control system feeds fuel into the combustor in accordance with a preprogrammed fuel schedule to precisely maintain the proper fuel to air ratio in the combustor. At a rotational speed of about 10 to 20 percent of the engine's operating speed, the conditions in the combustor become such that the fuel/air mixture can be ignited. This condition is generally referred to as light-off. Should the fuel to air ratio be either too rich or too lean, light-off will not occur and the engine will experience a hung start. After light-off the starter motor torque is augmented by torque from the engine's turbine. At about 50 percent of operating speed the starter motor is shut off, the engine is now self sustaining and accelerates itself to operating speed.」(第1欄第19行ないし第35行)
(当審仮訳)
「ガスタービンエンジンを始動するために、始動モータは、エンジンのシャフトにトルクを与える。シャフトが回転を開始すると、空気は、圧縮機に吸入され、圧縮され、次いで燃焼器に排出される。同時に、エンジンの燃料制御システムは、予めプログラムされた燃料スケジュールに応じて、燃焼器内に燃料を供給する燃焼器の空気比に対して燃料を正確に維持する。エンジンの運転速度の約10?20%の回転速度に達すると、燃焼器では、燃料/空気混合物を点火することができるようになっている。この状態は、一般にライトオフと呼ぶことにする。空気対燃料比が多過ぎるか又は少な過ぎる状態であっても、着火が発生しなくなり、エンジンは始動のし損ないを経験するであろう。ライトオフ後に、スターターモーターのトルクは、エンジンのタービンからのトルクによって増強される。作動速度の約50%になると、スタータモータは遮断され、エンジンは自立しており、自身を動作速度まで加速する。」

(2)「Referring to FIG. 1, a gas turbine engine to which the present invention relates is generally denoted by the reference numeral 10. For purposes of illustration, the engine 10 is depicted as an integral bleed engine even though the present invention is equally applicable to differently configured engines including those used to provide propulsion. The engine 10 includes an accessory gearbox 14 having mounted thereto a hydraulic pump 15, a lube module 16, a fuel control unit 18, and a starter/generator 17. The starter/generator 17 can be any AC synchronous generator having a converter capable of starting the generator as a synchronous motor. Examples of such converters are discussed in the "Background of the Invention" section.
The gas turbine engine 10 is comprised in flow series arrangement of an air inlet 22, a compressor 24, which includes an impeller 26 mounted for rotation on the shaft 12, a combustor 32, a turbine 34 operatively coupled to the impeller 26 via the shaft 12, and an exhaust gas outlet 36. An integral bleed port 38 having a load control valve 40 for regulating the amount of bleed flow is disposed between the compressor 24 and the combustor 32. Upon rotation of the shaft 12, air is inducted through the inlet 22 and pressurized in the compressor 24. The required bleed flow is bled off through the bleed port 38, with the remainder of the pressurized air entering the combustor 32 where it is mixed with fuel and ignited to form a hot, pressurized gas. This gas is then expanded across the turbine 34 to supply power to drive the compressor 24 and the accessory gearbox 14.
A starter control 60 is electronically integrated with the ECU 50 and receives the P2, T2, Ns, and Toil signals. The starter control 60 contains the start logic for the engine 10, which is preferably implemented by a microprocessor 90 programmed to perform the functions shown in FIG. 2. These functions can be programmed by a person skilled in the art. Alternatively, the start logic can be implemented in the form of an analog circuit.
A starter control 60 is electronically integrated with the ECU 50 and receives the P2, T2, Ns, and Toil signals. The starter control 60 contains the start logic for the engine 10, which is preferably implemented by a microprocessor 90 programmed to perform the functions shown in FIG. 2. These functions can be programmed by a person skilled in the art. Alternatively, the start logic can be implemented in the form of an analog circuit.
Referring to FIG. 2, the starter control 60 has a speed conditioner 62 that receives the Ns signal and converts it to digital form. The output of the conditioner 62 is fed to a rate generator 64 which takes derivative of the Ns signal and generates signal indicative of the engine's 10 actual angular acceleration rate, which is related to torque.」(第2欄第42行ないし第3欄第27行)
(当審仮訳)
「図1を参照すると、本発明に関するガスタービンエンジンが参照番号10で示されている。例示の目的のために、本発明は、推進力を提供するために使用されるものを含めて、異なるように構成されたエンジンにも同様に適用可能であるにもかかわらずエンジン10は統合ブリードエンジンとして示されている。エンジン10は、油圧ポンプ15、潤滑部16、燃料制御部18と、スタータ/ジェネレータ17とが取り付けられた補機ギアボックス14とを備えている。スタータ/ジェネレータ17は、発電機を同期電動機として始動させることができるコンバータを有する交流同期発電機であってもよい。このような変換器の例は、「発明の背景」において考察されている。
ガスタービンエンジン10には、直列配置された、空気入口22と、圧縮機24と、回転のために軸12に取り付けられた羽根車26と、燃焼器32と、軸12を介して羽根車26に動作可能に結合されたタービン34、および排気口36が含まれる。抽気流量を調節するための負荷制御バルブ40を有する一体型ブリードポート38が、圧縮機24と燃焼器32との間に配置されている。軸12の回転時に、空気は、入口22を介して吸入され、圧縮機24によって加圧される。ブリード流量は、ブリードポート38を介して排出され、燃焼器32に入る加圧空気の残りの部分は、燃焼器において燃料と混合されかつ点火されて、高温の加圧ガスを形成する。このガスは、タービン34で膨張し、圧縮機24および補機ギアボックス14を駆動するための動力を供給する。
ECU50は、エンジン10の全体の動作を制御する。ECU50は、デジタルであるが、アナログとすることができる。ECU50は、速度センサ52からのエンジン回転数信号Ns、寒冷浸透の度合いを示すギヤボックス14のサンプ内に取り付けられた温度センサ53からの油温、エンジン入口22内に取り付けられた圧力センサ54からの圧力信号P2と、入口22に取付けられた温度センサ55からの温度信号T2を受信する。
スタータ制御部60は、ECU50と電子的に統合され、P2、T2、Ns、Toil信号を受信する。スタータ制御部60は、好ましくは、図2に示した機能を実行するようにプログラムされたマイクロプロセッサ90によって実行されるエンジン10の始動ロジックを含む。これらの機能は、当業者によってプログラムすることができる。あるいは、始動ロジックは、アナログ回路の形式で実現することができる。
図2を参照して、スタータ制御部60は信号を受信し、それをデジタル形に変換する速度調整器62を有している。速度調整器62の出力は速度発生器64に送られ、そこで、Ns信号が微分されエンジン10の実際の角加速度を示す信号が発生する。その角加速度を示す信号はトルクに関係するものである。」

(3)「Predetermined angular acceleration rates for the engine 10 are stored in a function generator 68 as sets of discrete points. The acceleration rates are predetermined by the use of computer modeling of the engine in combination with test results. The function generator 68 receives input signals T2, P2, Toil, and Ns. In response to these input signals, the function generator 68 provides a desired acceleration rate signal. The function generator 68 includes a four-dimensional table that indicates desired acceleration rates as a function of the input signals. For input signals that fall between discrete points, the function generator 68 performs a quadruple interpolation to derive the corresponding acceleration rate. Quadruple interpolation routines are well known in the art as are four dimensional function generators. Alternatively, an algorithm describing the predetermined schedule can be programmed into the function generator 68.
A dwell point is programmed into the start logic. At a preselected speed, the function generator 68 drops the desired acceleration rate to zero halting the acceleration of the engine 10 so that the engine 10 maintains the preselected speed. The ECU 50 commands the control 60 to resume acceleration of the engine 10 after receiving an EGT signal indicating ignition has occurred. Alternatively, after a preselected period of time, measured by a timer 63, the function generator resumes generating a desired acceleration schedule, and the engine 10 accelerates. This pause in the acceleration of the engine 10 is called a dwell point, and assures that ignition is occurring in the combustor 32. The timer 63 can be the crystal in the microprocessor 90 or in analog form a conventional timer circuit.」(第3欄第28行ないし第57行)
(当審仮訳)
「エンジン10の所定角加速度は、離散的な点のセットとして関数発生器68に記憶されている。所定角加速度は、エンジンのコンピュータモデリングの使用によって試験結果との組み合わせで予め決められている。関数発生器68は、入力信号T2、P2、ToilとNsを受け取る。これらの入力信号に応じて、関数発生器68は、所望の加速度信号を提供する。関数発生器68は、入力信号に応じて、所望の加速度を表す4次元のテーブルを含む。個別の点の間にある入力信号のために、関数発生器68は、対応する加速度を導出するために、4倍補間を行う。4倍補間ルーチンは、4次元関数発生器として当分野で公知である。あるいは、予め定められたスケジュールを記述するアルゴリズムは、関数発生器68にプログラムすることができる。
ドエルポイントは、スタートロジックにプログラムされている。予め選択された速度で、関数発生器68は、エンジン10が予め選択された速度を維持するように、エンジン10の加速を停止させるように加速度を0にする。ECU50は、制御手段60に指令を出し、着火が発生したことを示すEGT信号を受信した後、エンジン10の加速を再開する。あるいは、予め定めた時間の間、タイマー63によって測定された後に、関数発生器は、所望の加速スケジュールの生成を再開すると、エンジン10は加速される。このエンジン10の加速の休止は、ドエルポイントと呼ばれ、燃焼器32内で点火することを保証する。タイマ63は、マイクロプロセッサ90に、アナログ形式での、従来のタイマー回路であってもよい。」

(4)「A summing junction 70 combines the actual acceleration signal from the rate generator 64 with the predetermined acceleration signal from the function generator 68 to produce an error signal equal to their difference. This error signal is then processed, in a manner familiar to those skilled in the art, by a conventional proportional, integral, derivative controller, into a torque control signal indicative of the difference between desired torque and actual torque.
A second function generator 74 receives the Ns signal from the conditioner 62 and in response thereto generates a signal indicative of a maximum torque. The maximum torque is selected so that under the worst conditions for startup, (cold soak at altitude), sufficient torque is available to accelerate the engine without over torquing the engine. Over torquing can structurally damage the engine. The function generator 74 has an external input so that the maximum torque schedule can be adjusted after it is programmed into the microprocessor 90.」(第3欄第58行ないし第4欄第8行)
(当審仮訳)
「加算接合70は、速度発生器64からの実加速度信号と関数発生器68からの予め定められた加速度信号との差である偏差信号を生成する。この偏差信号は、次に、当業者によく知られた方法で処理されて、一般的な比例、積分、微分コントローラによって、目標トルクと実際トルクとの間の差を示すトルク制御信号に変換される。
第2関数発生器74は、調整器62からNs信号を受け取り、それに応じて最大トルクを示す信号を生成する。最大トルクが選択されるので最悪の始動条件(高高度における寒冷浸透)でも、トルク過剰とならずに、十分なトルクがエンジンの加速に利用される。過剰トルクは、エンジンを損傷する可能性がある。なお、関数発生器74は外部入力を有するので、マイクロプロセッサ90にプログラムすることにより最大トルクスケジュールを調整することができる。」

(5)「A preselected start schedule for the engine 10 is programmed into the control system 60. In the preferred embodiment, this start schedule calls for accelerating the engine at a rate of 3% per second until the engine reaches a speed of about 15% of its operating speed. Then holding the engine at 15% of its operating speed, (i.e. no acceleration), for 5 seconds to assure that ignition has occurred. After the 5 seconds, accelerating the engine at a rate of about 1% per second until the engine reaches 60% of its operating speed. At about 20% of its operating speed the engine is able to accelerate itself. However, to prevent excessive temperatures in the engine, the schedule calls for torque from the starter/generator until 60% speed. The advantage of the present invention is that for a particular start schedule, the starter/generator delivers the optimum torque. That is it only delivers the amount of torque necessary to keep the engine on the schedule. This is shown in FIG. 3, where the difference between a dashed line and a solid line for a given inlet temperature is that amount of torque necessary to drive the engine along the preselected schedule.」(第4欄第46行ないし第65行)
(当審仮訳)
「エンジン10の事前選択された始動スケジュールは、制御システム60内にプログラムされている。好ましい実施形態では、始動スケジュールは、エンジンがその作動速度の約15%の速度に達するまで毎秒3%の割合でエンジンを加速することを要求する。その後、5秒間エンジンをその作動速度の15%に保持する(すなわち、加速はしない。)。5秒間というのは、確実に点火するための時間である。5秒後に、エンジンは、その作動速度の60%に達するまで毎秒約1%の速度でエンジンを加速する。エンジンそれ自体は、その作動速度の約20%で加速させることができる。しかし、エンジンの過剰な温度を防止するために、始動スケジュールは、エンジン速度が作動速度の60%まで、スタータ/ジェネレータからのトルクを要求するようになっている。本発明の利点は、特に、始動スケジュールにおいて、スタータ/ジェネレータが、最適なトルクを供給することである。すなわち、エンジンをスケジュール通りに維持するのに必要なトルクを供給することである。これは、図3に示されており、点線と所定の入口温度を与える実線との間の差が、所定のスケジュールに沿ったエンジンの駆動に必要なトルクの量である。」

(6)「5. A method for controlling the amount of torque applied by a starter/generator to a gas turbine engine during startup, wherein said engine accelerates along a predetermined schedule, said method comprising the steps of:(a) accelerating said engine at a rate of about 3% per second up until said engine reaches a speed of about 15% of its operating speed;(b) holding said engine at 15% of its operating speed, while igniting a fuel/air mixture in said engine;(c) after ignition of said engine, accelerating said engine at about 1% per second;(d) after said engine reaches 60% of its operating speed, shutting down said starter generator; and(e) accelerating said engine in a self sustaining manner to its operating speed.」(第6欄第28行ないし第42行)
(当審仮訳)
「5.始動時のガスタービンエンジンに、前記エンジンを所定のスケジュールにしたがって加速させるために、スタータ/ジェネレータにより加えられるトルクの量を制御するための方法であって、その方法は以下のステップを含む。(a)前記エンジンを毎秒約3%以上の割合で、上記エンジンの運転速度の約15%の速度に達するまで加速する。(b)前記エンジンをその作動速度の15%に保持し、前記エンジン内の燃料/空気混合物を点火する。(c)前記エンジンの点火の後に、前記内燃機関を毎秒約1%で加速する。(d)前記エンジンが運転速度の60%に達した後に、前記スタータ/ジェネレータをシャットダウンする。(e)その作動速度まで、前記エンジン自身により加速させる。」

(7)上記(4)(特に、「The maximum torque is selected so that under the worst conditions for startup, (cold soak at altitude), sufficient torque is available to accelerate the engine without over torquing the engine. 」の記載を参照。)及び図1上方の「PNEUMATIC BLEED TO AIRCRAFT」(当審仮訳:航空機への気体の抽気)の記載からみて、引用文献1に記載のガスタービンエンジン10は航空機用であることが分かる。

上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容からみて、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「航空機ガスタービンエンジン10を始動させるための方法にして、前記航空機ガスタービンエンジン10は、燃焼器32と、羽根車26が圧縮空気を前記燃焼器32に供給するように取り付けられる軸12と、軸12を回転駆動するために特定の始動トルクを軸12に与えるように、前記軸12に接続される少なくとも1つのスタータ/ジェネレータ17とを備え、
航空機ガスタービンエンジン10を、毎秒3%の割合で、その運転速度の15%の速度になるまで加速するステップと、次いで、
航空機ガスタービンエンジン10を、その運転速度の15%に保持し、その間に燃料/空気混合物に点火するステップとを含む方法であって、
軸12の加速度がゼロよりも大きいように、軸12の回転速度が加速するステップ中に調整され、軸12の加速度が実質的にゼロのままであるように、軸12の回転速度が点火するステップ中に調整され、
加速するステップ中に、
実加速度信号を得るステップと、
得られた実加速度信号と関数発生器68からの予め定められた加速度信号との間の偏差信号を生成するステップと、
生成された偏差信号からトルク制御信号を演算するステップと
を含む、方法。」

2 引用文献3
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭58-96131号公報(以下「引用文献3」という。)には、その記載事項(第1ページ左下欄第20行ないし右下欄第11行を参照。)からみて、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。

「加速度制御系11は起動時のタービン加速度が定められた値を超えないように制御すること。」

3 引用文献4
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開昭58-186055号公報(以下「引用文献4」という。)には、その記載事項(第2ページ左上欄第6行ないし第8行を参照。)からみて、次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。

「加速度制御系11は起動時のタービン加速度が定められた値を超えないように制御すること。」

4 引用文献5
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-118965号公報(以下「引用文献5」という。)には、その記載事項(段落【0009】ないし【0012】及び図4を参照。)からみて、次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。

「ステージの加速度が目標加速度の下限値を下回るときにステージを加速させるようにリニアモータ推力付与を行い、ステージの加速度が目標加速度の上限値を上回るときにステージを減速させるようにリニアモータ逆推力付与を行い、ステージの加速度が目標加速度の下限値と上限値の間にあるときは、リニアモータによる推力付与を停止することで、ステージの加速度を目標加速度の上限値と下限値の範囲内に保つこと。」

5 引用文献6
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-278105号公報(以下「引用文献6」という。)には、その記載事項(段落【0103】ないし【0107】及び【0113】並びに図11を参照。)からみて、次の事項(以下「引用文献6記載事項」という。)が記載されている。

「加速度αが所望の範囲内“α1≦α≦α2”にあるかどうかを判断し、加速度αが所望の範囲外にあると判断された場合、目標加速度α1あるいはα2との偏差に基づいて、目標駆動軸トルク補正量の変化分deltT2(k)を算出し、加速度αが所望の範囲の範囲内にあると判断された場合、目標駆動軸トルク補正量の変化分deltT2(k)を算出しないようにすること。」

6 引用文献7
当審拒絶理由において引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-311317号公報(以下「引用文献7」という。)には、その記載事項(段落【0046】及び【0047】並びに図7及び9を参照。)からみて、次の事項(以下「引用文献7記載事項」という。)が記載されている。

「入力軸の実際の回転速度が、目標回転加速度の上限値ω1max及び下限値ω1min範囲内にある場合、フィードバック量は0に設定され、当該所定範囲内から外れている場合フィードバック指令を行うこと。」

第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「航空機ガスタービンエンジン10」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明の「航空機ターボシャフトエンジン」に相当し、以下同様に、「燃焼器32」は「燃焼室(120)」に、「羽根車26」は「圧縮機ホイール(160)」に、「軸12」は「圧縮機軸(140)」及び「軸(140)」に、「スタータ/ジェネレータ17」は「スタータ(180)」に、「毎秒3%の割合で、その運転速度の15%の速度になるまで加速するステップ」は「第1の始動段階(P1)中に圧縮機軸(140)を加速させる加速ステップ(E1)」に、「その運転速度の15%に保持するステップであって、その間に燃料/空気混合物に点火するステップ」は「燃料を燃焼室(120)に噴射できるようにし、燃料を点火できるようにするように、第2の始動段階(P2)中に圧縮機軸(140)の回転速度を安定化する安定化ステップ(E2)」に、「軸12の回転速度が加速するステップ中に調整され」は「軸(140)の回転速度が加速ステップ(E1)中に調整され」に、「軸12の回転速度が点火するステップ中に調整され」は「軸(140)の回転速度が安定化ステップ(E2)中に調整され」に、「実加速度信号」は「加速度値」に、「関数発生器68からの予め定められた加速度信号」は「基準加速度値」に、「偏差信号」は「差」に、「生成」は「計算」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「軸12の加速度がゼロよりも大きいように」と、本願発明の「軸(140)の加速度が実質的に一定のままでありかつゼロよりも大きいように」とは、「軸の加速度がゼロよりも大きいように」という限りにおいて一致しており、同様に、「生成された偏差信号からトルク制御信号を演算するステップ」と「計算された差を所定の閾値と比較するステップと、前記閾値を超える場合には計算された差から速度またはトルク基準を決定するステップ」とは、「計算された差からトルク基準を決定するステップ」という限りにおいて一致している。

よって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「航空機ターボシャフトエンジンを始動させるための方法にして、前記ターボシャフトエンジンは、燃焼室と、圧縮機ホイールが圧縮空気を前記燃焼室に供給するように取り付けられる圧縮機軸と、軸を回転駆動するために特定の始動トルクを軸に与えるように、前記軸に接続される少なくとも1つのスタータとを備え、
第1の始動段階中に圧縮機軸を加速させる加速ステップと、次いで、
燃料を燃焼室に噴射できるようにし、燃料を点火できるようにするように、第2の始動段階中に圧縮機軸の回転速度を安定化する安定化ステップとを含む方法であって、
軸の加速度がゼロよりも大きいように、軸の回転速度が加速ステップ中に調整され、軸の加速度が実質的にゼロのままであるように、軸の回転速度が安定化ステップ中に調整され、
加速ステップ中に、
加速度値を得るステップと、
得られた加速度値と基準加速度値との間の差を計算するステップと、
計算された差からトルク基準を決定するステップと
を含む、方法。」

[相違点1]
軸の回転速度が加速ステップ中に調整される点に関して、本願発明においては、軸(140)の加速度が「実質的に一定のままであり」かつゼロよりも大きいように調整されるものであるのに対して、引用発明においては、軸12の加速度がゼロよりも大きいように調整されるが、実質的に一定のままであるか否か不明な点。

[相違点2]
「加速度値を得るステップ」に関して、本願発明においては「時間間隔にわたって加速度値を得るステップであって、軸(140)の回転速度が周期的に測定され、次いで、2つの速度測定の間の各時間間隔について、この時間間隔にわたる軸(140)の加速度が計算される」ものであるのに対して、引用発明においては、かかる事項を備えるのか不明な点。

[相違点3]
「計算された差からトルク基準を決定するステップ」に関して、本願発明においては「計算された差を所定の閾値と比較するステップと、前記閾値を超える場合には計算された差から」トルク基準を決定するステップであるのに対して、引用発明においては、生成された偏差信号からトルク制御信号を演算するステップである点。

[相違点4]
本願発明においては「トルク基準は、軸(140)の加速度が基準値にまたは先の2つの速度測定の間の時間間隔で得られた値に戻されるように、軸(140)が到達する必要がある軸(140)のトルクを示す」ものであるのに対して、引用発明においては、トルク制御信号が、かかる事項を示すものであるのか不明な点。

上記相違点1について検討する。
引用発明において、軸12の加速度が実質的に一定のままであるように、軸12の回転速度を加速するステップ中に調整することは、当業者の通常の創作能力の範囲で容易になし得たことである。

上記相違点2について検討する。
加速度値を得るために、速度を周期的に測定し、次いで、2つの速度測定の間の各時間間隔について、この時間間隔にわたる加速度を計算することは、例示するまでもなく、本願優先日前に周知の技術(以下「周知技術1」という。)である。
したがって、上記相違点2に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に周知技術1を適用することにより、当業者が容易になし得たものである。

上記相違点3について検討する。
引用文献1には次の記載がある。
1 「At a rotational speed of about 10 to 20 percent of the engine's operating speed, the conditions in the combustor become such that the fuel/air mixture can be ignited.」(当審仮訳)「エンジンの運転速度の約10?20%の回転速度に達すると、燃焼器では、燃料/空気混合物を点火することができるようになっている。」(上記第4 1(1)を参照。)

2 「A dwell point is programmed into the start logic. At a preselected speed, the function generator 68 drops the desired acceleration rate to zero halting the acceleration of the engine 10 so that the engine 10 maintains the preselected speed. The ECU 50 commands the control 60 to resume acceleration of the engine 10 after receiving an EGT signal indicating ignition has occurred. Alternatively, after a preselected period of time, measured by a timer 63, the function generator resumes generating a desired acceleration schedule, and the engine 10 accelerates. This pause in the acceleration of the engine 10 is called a dwell point, and assures that ignition is occurring in the combustor 32. 」(当審仮訳)「ドエルポイントは、スタートロジックにプログラムされている。予め選択された速度で、関数発生器68は、エンジン10が予め選択された速度を維持するように、エンジン10の加速を停止させるように加速度を0にする。ECU50は、制御手段60に指令を出し、着火が発生したことを示すEGT信号を受信した後、エンジン10の加速を再開する。あるいは、予め定めた時間の間、タイマー63によって測定された後に、関数発生器は、所望の加速スケジュールの生成を再開すると、エンジン10は加速される。このエンジン10の加速の休止は、ドエルポイントと呼ばれ、燃焼器32内で点火することを保証する。」(上記第4 1(3)を参照。)

3 「this start schedule calls for accelerating the engine at a rate of 3% per second until the engine reaches a speed of about 15% of its operating speed.」(当審仮訳)「始動スケジュールは、エンジンがその作動速度の約15%の速度に達するまで毎秒3%の割合でエンジンを加速することを要求する。」(上記第4 1(5)を参照。)

上記1ないし3の記載事項から、引用発明は、エンジンの点火時の速度を所定の速度に保持して点火を確実に行うことを意図しており、そのために、エンジンを始動スケジュールに沿って加速するものと理解できる。
そして、加速度が始動スケジュールから大幅に外れた場合には、点火時に所定の速度が保持できないことは、当業者が容易に理解できたことである。
そうすると、エンジンの加速度が始動スケジュールから大幅に外れないように制御することは、引用発明において自明の課題であるといえる。
また、引用文献3記載事項及び引用文献4記載事項は「加速度制御系11は起動時のタービン加速度が定められた値を超えないように制御すること。」というものであるから、タービン起動時の加速度が所定値を超えないように制御することは、本願優先日前に周知の技術(以下「周知技術2」という。」)でもある。
さらに、引用文献5記載事項は「ステージの加速度が目標加速度の下限値を下回るときにステージを加速させるようにリニアモータ推力付与を行い、ステージの加速度が目標加速度の上限値を上回るときにステージを減速させるようにリニアモータ逆推力付与を行い、ステージの加速度が目標加速度の下限値と上限値の間にあるときは、リニアモータによる推力付与を停止することで、ステージの加速度を目標加速度の上限値と下限値の範囲内に保つこと。」というものであり、引用文献6記載事項は「加速度αが所望の範囲内“α1≦α≦α2”にあるかどうかを判断し、加速度αが所望の範囲外にあると判断された場合、目標加速度α1あるいはα2との偏差に基づいて、目標駆動軸トルク補正量の変化分deltT2(k)を算出し、加速度αが所望の範囲の範囲内にあると判断された場合、目標駆動軸トルク補正量の変化分deltT2(k)を算出しないようにすること。」というものであり、引用文献7記載事項は、「入力軸の実際の回転速度が、目標回転加速度の上限値ω1max及び下限値ω1min範囲内にある場合、フィードバック量は0に設定され、当該所定範囲内から外れている場合フィードバック指令を行うこと。」というものであるから、加速度を目標値に制御する際に、加速度の目標値の上限値と下限値を設定し、実加速度が当該上限値と下限値の範囲外にあるときに、実加速度が当該上限値と下限値の範囲内となるように制御を行うことは、本願優先日前に、機械装置の分野において広く行われていた慣用技術(以下「慣用技術」という。」)であったといえる。
以上を踏まえれば、引用発明において、実加速度が、所定の範囲内となるように制御を行うことは、当業者が容易に想到できたことである。ここで、実加速度が所定の範囲内にあるか否かを、実加速度が上限値と下限値の範囲内にあるか否かで判断するか、実加速度と基準加速度との差が所定の閾値内にあるか否かで判断するかは、技術の具体化に当たって、当業者が適宜決定し得る事項である。
そうすると、実加速度信号(加速度値)と関数発生器68からの予め定められた加速度信号(基準加速度値)との間の偏差信号(差)を計算し、前記偏差信号(差)を所定の閾値と比較し、前記偏差信号(差)が前記閾値を超える場合には前記偏差信号(差)からトルク制御信号(トルク基準)を決定することは、当業者が通常の創作能力の範囲で容易になし得たことである。
よって、上記相違点3に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に、周知技術2及び慣用技術を参酌することにより、当業者が容易になし得たものである。

上記相違点4について検討する。
引用発明は、軸12を回転駆動するために特定の始動トルクを軸12に与えることによって、航空機ガスタービンエンジン10を、毎秒3%の割合(基準値)で加速させるものであることを踏まえれば、トルク制御信号を、軸12の加速度が基準値となるために軸12が到達する必要がある軸12のトルクを示すものとすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、上記相違点4に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明から、当業者が容易になし得たものである。

そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、周知技術1、周知技術2及び慣用技術から予測し得ない格別な効果を奏するものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 請求人の主張について
請求人は令和元年8月20日の意見書の「3.(3)」において次のように主張している。
「上述のように、本発明の上記特徴は、ターボシャフトエンジンのシャフトの回転速度が点火ウィンドウを超えないように加速度を制御する課題に対処することを可能にし、ターボシャフトエンジンの点火を確実にすることを可能にし、したがって、ターボシャフトエンジンの始動が中止される危険性を防止する。引用文献1-7のいずれも、請求項1の上記特徴を開示も示唆もしておらず、本願の課題を解決しようとする当業者は、引用文献1から請求項1に係る発明に容易に想到することはできないであろう。前述のように、引用文献1は、システムを、点火が起こるべき時間を示すオープンループ及びタイマによって代替的に置き換えることを示唆しているが(引用文献1の第4欄第24行-36行)、このことは、点火ウィンドウを超えることにつながる加速度超過の問題を解決するものではない。引用文献1のタイマが速度を通常の状態の合格値に到達することを可能にするのであれば、このタイマは、他の環境状態では精度が低く、ターボシャフトエンジンは、点火に失敗するであろう。」
しかしながら、上記相違点3についての検討において述べたように、引用発明も、エンジンの点火時の速度を所定の速度に保持して点火を確実に行うことを意図しており、そのために、エンジンを始動スケジュールに沿って加速するものであるから、引用発明が、ターボシャフトエンジンのシャフトの回転速度が点火ウィンドウを超えないように加速度を制御する課題に対処するためのものであることは、当業者にとって自明の事項であるといえる。
また、引用文献1の第4欄第24行ないし36行に記載された代替的に置き換えることの示唆は、当審拒絶理由では通知した事項ではなく、また、当該代替手段の存在が、引用発明の認定及び引用発明に周知技術2及び慣用技術を参酌することを阻害する格別な事情たり得るものであるともいえない。
よって、請求人の主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術1、周知技術2及び慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-10-01 
結審通知日 2019-10-08 
審決日 2019-10-21 
出願番号 特願2015-530472(P2015-530472)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (F02C)
P 1 8・ 537- WZ (F02C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松永 謙一  
特許庁審判長 水野 治彦
特許庁審判官 齊藤 公志郎
鈴木 充
発明の名称 航空機ターボエンジンを始動させるための方法およびシステム  
代理人 特許業務法人川口國際特許事務所  

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