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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F28F 審判 全部申し立て 2項進歩性 F28F |
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管理番号 | 1360436 |
異議申立番号 | 異議2019-700440 |
総通号数 | 244 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-04-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-05-28 |
確定日 | 2020-01-09 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6435220号発明「空気調和機の室外機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6435220号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。 特許第6435220号の請求項1、3ないし7に係る特許を維持する。 特許第6435220号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6435220号の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成27年3月20日に出願され、平成30年11月16日にその特許権の設定登録がされ、平成30年12月5日に特許掲載公報が発行された。 本件異議申立ての経緯は、次のとおりである。 令和1年5月28日:特許異議申立人 松本 征二(以下、「異議申立人」という。)による請求項1ないし7に係る特許に対する異議の申立て 令和1年9月2日付け:取消理由通知書 令和1年11月5日:特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和1年11月11日付け:訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項) 令和1年12月12日:異議申立人による意見書の提出 第2 訂正の請求 1 訂正の内容 令和1年11月5日付けの訂正請求書による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項よりなる(なお、下線を付した箇所は訂正箇所である。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されていることを特徴とする空気調和機の室外機。」とあるのを、 「上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されているとともに、前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、 前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする空気調和機の室外機。」と訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載の」とあるのを、「請求項1に記載の」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4の「前記室外熱交換手段は、前記中心軸を通る前記仮想水平面を基準にして上下対称に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気調和機の室外機。」とあるうち、請求項1を引用するものについて独立形式に改め、 「上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置され、 前記室外熱交換手段は、前記中心軸を通る前記仮想水平面を基準にして上下対称に構成されていることを特徴とする空気調和機の室外機。」と改め、新たに請求項4とする。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1又は3に記載の」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1、3又は5に記載の」と訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の」とあるのを、「請求項1、3、5又は6に記載の」と訂正する。 (8)訂正事項8 願書に添付した明細書の段落【0006】に記載の「配置されていることを特徴とする。」を「配置されているとともに、前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする。」と訂正する。 2 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の「空気調和機の室外機」の「伝熱管」、「室外熱交換手段」、及び「プロペラファン」に対して、「前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっている」ことを限定するものである。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、本願明細書の段落【0021】、【0023】及び【0027】並びに図3の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、上記アのように訂正前の請求項1に記載された事項をさらに限定するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について 訂正事項2は、請求項2を削除するというものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が、請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用せず、請求項1を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正前の請求項3が、請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用せず、請求項1のみを引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項3は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1から3のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用せずに引用請求項数を削減したうえで、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改めるための訂正であるから、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項5が、請求項1ないし4のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1又は3を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アに記載したとおり、訂正前の請求項5が、請求項1ないし4のいずれか1項の記載を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1又は3を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項5は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア 訂正の目的について 訂正事項6は、訂正前の請求項6が、請求項1から請求項5のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1、3又は5を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アで記載したとおり、訂正前の請求項6が、請求項1から請求項5のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1、3又は5を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項6は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア 訂正の目的について 訂正事項7は、訂正前の請求項7が、請求項1から請求項6のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1、3、5又は6を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること、及び実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アで記載したとおり、訂正前の請求項7が、請求項1から請求項6のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び4を引用せず、請求項1、3、5又は6を引用する記載とすることにより引用請求項数を削減するものであるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正であり、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア 訂正の目的について 訂正事項8は、上記訂正事項1による特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項8は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項8は、本願明細書の段落【0021】、【0023】及び【0027】並びに図3の記載に基づく訂正であるから、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した範囲内の訂正である。 したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アで記載したとおり、訂正事項8は、上記訂正事項1による特許請求の範囲の請求項1の訂正に伴って、特許請求の範囲と明細書の記載との整合を図るための訂正であるから、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 3 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1ないし7〕について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 本件訂正により訂正された請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1」ないし「訂正発明7」という。また、これらを総称して「訂正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されているとともに、前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、 前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする空気調和機の室外機。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記伝熱管は、各段毎または複数段毎に、前記中心軸から離れるほど前記仮想水平面に対する傾斜角度が大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。 【請求項4】 上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置され、 前記室外熱交換手段は、前記中心軸を通る前記仮想水平面を基準にして上下対称に構成されていることを特徴とする空気調和機の室外機。 【請求項5】 前記室外熱交換手段は、空気の流れ方向に沿って複数列に配置され、一の前記室外熱交換手段の前記伝熱管の延長線上に他の前記室外熱交換手段の前記伝熱管が配置されていないことを特徴とする請求項1又は3に記載の空気調和機の室外機。 【請求項6】 前記中心軸に近い側における前記伝熱管同士の間隔は、前記中心軸から遠い側における前記伝熱管同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1、3又は5に記載の空気調和機の室外機。 【請求項7】 前記伝熱管は、前記上下方向の断面視において翼形状であることを特徴とする請求項1、3,5又は6に記載の空気調和機の室外機。」 第4 取消理由について 1 取消理由の概要 請求項1ないし3及び5ないし7に係る特許に対して当審が令和1年9月2日付け取消理由により特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。 [理由1]本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 [理由2]本件特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (当審注:以下、甲第○号証を「甲○」、甲第○号証に係る発明を「甲○発明」、及び甲第○号証に記載された事項を甲○記載事項、本件特許の請求項○に係る発明を「本件発明○」という。) 記 1-1 [理由1]について (1)請求項1 本件発明1は、甲1発明、甲2、4、5、6にみられるような周知技術(以下、「周知技術1」という。)及び甲6記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)請求項2 本件発明2は、 ア 甲2発明、甲1、4、5、7にみられるような周知技術(以下、「周知技術2」という。)及び甲2記載事項、 または、 イ 甲3発明、周知技術1及び甲6記載事項 に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)請求項5 本件発明5は、 ア 甲1発明、周知技術1、甲6、8及び10記載事項、 イ 甲2発明、周知技術2、甲2、甲8及び10記載事項、 または、 ウ 甲3発明、周知技術1、甲6、8及び10記載事項 に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4)請求項7 本件発明7は、 ア 甲1発明、周知技術1、甲6、8、10、12及び13記載事項 イ 甲2発明、周知技術2、甲2、甲8、10、12及び13記載事項 または、 ウ 甲3発明、周知技術1、甲6、8,10、12及び13記載事項 に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 1-2 [理由2]について (1)請求項1、3及び5ないし7について 請求項1に係る発明においては、「前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されていること」が特定されている。 そして、上記請求項1に係る発明においては、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管の傾斜状態について特定されていない以上、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管が、水平であって傾斜しない、あるいは、上流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されているものも含みうる。 しかし、そのような形態については発明の詳細な説明において記載されていない。 また、「プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管」が水平であって傾斜しない場合は、「熱交換器の排水性を確保する」(本件特許明細書段落【0004】及び【0005】を参照)という課題を「下方に位置する前記伝熱管」に関しては解決することができない。 そうすると、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明の記載された範囲を超えるものであって、かつ、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 請求項1を引用する請求項3及び5ないし7についても同様である。 (2)請求項2、3及び5ないし7について 請求項2に係る発明においては、「前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が上方を向くように傾斜状態で配置されていること」が特定されている。 そして、上記請求項2に係る発明においては、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管の傾斜状態について特定されていない以上、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する伝熱管が水平であって傾斜しない、あるいは、伝熱管の下流側が上方を向くように傾斜状態で配置されているものも含みうる。 しかし、そのような形態については発明の詳細な説明において記載されていない。 また、「上方に位置する前記伝熱管」が水平であって傾斜しない場合は、「熱交換器の排水性を確保する」(本件特許明細書段落【0004】及び【0005】を参照)という課題を「プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管」に関しては解決することができない。 そうすると、請求項2に係る発明は、発明の詳細な説明の記載された範囲を超えるものであって、かつ、発明の詳細な説明において、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものである。 請求項2を引用する請求項3及び5ないし7についても同様である。 2 甲号証一覧 異議申立人が提出した甲号証は以下のとおりのものである。 甲1:特開平8-247678号公報 甲2:特開平1-306797号公報 甲3:特開平7-91873号公報 甲4:特開2012-93010号公報 甲5:特開2004-108647号公報 甲6:特開2013-148231号公報 甲7:特開2003-148889号公報 甲8:特開2012-26615号公報 甲9:特開平5-312352号公報 甲10:特開2007-183088号公報 甲11:特開2014-74563号公報 甲12:特開2002-139282号公報 甲13:実願平3-73147号(実開平5-25173号)のCD-ROM 甲14:実願昭60-183486号(実開昭62-93571号)のマイクロフィルム 甲15:特開平10-288034号公報 3 甲1ないし15の記載等 (1)甲1について ア 甲1の記載(なお、下線は、当審において付したものである。)。 1a)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数のアルミニウム製フィンと複数のアルミニウム製チューブとからなるアルミニウム製熱交換器において、フィンとしてプレートフィンを用い、チューブとして複数の小径孔を有する押出偏平伝熱管を用いてなるアルミニウム製熱交換器。 【請求項2】 偏平伝熱管群の両端に冷媒用ヘッダー管を結合してなる請求項1記載のアルミニウム製熱交換器。 【請求項3】 ヘッダー管が左右に配置される場合に、互いに平行な偏平伝熱管群を、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に下流側を下方に傾けてなる請求項1記載のアルミニウム製熱交換器。 【請求項4】 ヘッダー管が上下に配置される場合に、互いに平行な偏平伝熱管群を、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に下流側を下方に傾けてなる請求項1記載のアルミニウム製熱交換器。」 1b)「【0011】この発明の第三のアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器は、図5・図6では偏平伝熱管32は傾斜させてないが、図7・図8に示すように、冷媒用ヘッダー管が左右に配置される場合に、プレートフィン31を貫通する互いに平行な偏平伝熱管32群を、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に傾け、空気流の上流側より下流側を下方に位置させた構造を有している。符号33はフィンカラー部である。」 1c)「【0015】本発明のアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器によれば、偏平伝熱管群の両端をヘッダー管にて密閉接合する構造を有するので、従来のプレートフィンチューブ熱交換器のように冷媒通路が蛇行することなく、いわゆるパラレルフロー構造を形成する。したがって、冷媒圧損が小さくなる。また、本発明の図7・図8に示す構造では、フィン31は所定間隔へだてて垂直で平行に配置されているので、図14に示すような従来のコルゲートフィンの場合とは異なり、蒸発器として機能する時は、凝縮水の水はけ性が良く、また偏平伝熱管32が水平に対して下流側が下方に傾斜しているので、凝縮水が偏平伝熱管32の偏平部に保持されることが少なくなる。その結果、コア全体として、凝縮水あるいは霜によるフィン31間のブリッジングが軽減され、伝熱特性の大幅な低下を回避できるというメリットがある。」 1d)「【0019】本実施例のオールアルミニウムプレートフィン熱交換器を夏季冷房時の室外機すなわち凝縮機として使用することを想定して、風洞試験にて熱通過率を測定した。結果を図13に示す。図中、実線は本実施例を、破線は従来例を示す。従来型のプレートフィンチューブ (銅チューブ) 熱交換器よりはるかに優れた伝熱特性を有することがわかる。実際に本実施例のオールアルミニウムプレートフィンチューブ熱交換器を室外機としてヒートポンプ式空調機に組み込み、室内冷房状態にて運転したところ、従来方式からなる比較例の空調比較例より42%小さいことから、単位容積当たりの放熱量は約 1.7倍の高い性能を示した。」 1e)「【0027】本発明のアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器は、ヒートポンプ式空調機に組み込んで使用するとき、同一の熱交換機が凝縮器あるいは蒸発器としていずれの機能の場合でも、極めて高い総括伝熱特性を発揮することができる。特に冬季の低温暖房時の室外熱交換機すなわち蒸発器として機能するときも高伝熱特性を維持できるというバランスの取れた熱交換器となり得る。」 1f)図7及び図8から、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器が偏平伝熱管32及びプレートフィン31を含むものであって、偏平伝熱管32が上下方向に複数段配置されており、プレートフィン31が上下方向に直線状に延びる構造であること、及び偏平伝熱管32は扁平形状であることが看取できる。 1g)上記1d)から、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器はヒートポンプ式空調機の室外機に用いられることが分かる。 1h)「 」 1i)「 」 イ 甲1発明 上記アを総合すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 「上下方向に複数段に配置された偏平伝熱管32およびプレートフィン31を含むアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器を備え、プレートフィン31は上下方向に直線状に延び、偏平伝熱管32は扁平形状であり、偏平伝熱管32は、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に傾けたものであり、空気流の上流側より下流側を下方に配置した、ヒートポンプ式空調機の室外機。」 ウ 甲1記載事項 上記アからみて、甲1には、次の事項(以下、「甲1記載事項」という。)が記載されていると認める。 「フィンとしてプレートフィン31を用いたアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器。」 (2)甲2について ア 甲2の記載 2a)「2、特許請求の範囲 中仕切板を有し水平面に対して傾斜させて設置された偏平伝熱管と、偏平伝熱管相互間に配設しろう付接合され偏平伝熱管より奥行寸法を大きくしたフィンと、偏平伝熱管の両端に接続された連結パイプとからなる熱交換器。」(第1ページ左欄第4ないし9行) 2b)「3、産業上の利用分野 本発明は空調機器分野の蒸発器や凝縮器等に使用される熱交換器に関するものである。」(第1ページ左欄第11ないし13行) 2c)「実施例 以下、本発明の実施例を図面にもとづいて説明する。第1図、第2図、第3図において、1は偏平伝熱管で水平面に対して傾斜させて設置されており、フィン2は偏平伝熱管1より奥行寸法を大きくし偏平伝熱管1相互間に配設しろう付接合されている。連結パイプ3,4で偏平伝熱管1の両端が接続され熱交換器5を構成している。送風ファン6を偏平伝熱管1の後面に位置させ、強制送風させて熱交換する。ケース7は熱交換器5と送風ファン6を収納している。 上記構成において、屋外に設置したときの作用を説明すると、第3図において雨天のとき偏平伝熱管1やフィン2に付着した雨水8は傾斜させた偏平伝熱管1の表面に沿って移動し送風ファン6の反対側である熱交換器5の前面の下端9に集められ重力作用によって滴下される。また、蒸発器として使用したとき偏平伝熱管1の表面に発生した結露水10についても傾斜させた偏平伝熱管1の表面に沿って移動し送風ファン6の反対側である熱交換器5の前面の下端9に集められ重力作用によって滴下される。従って、偏平伝熱管1の表面にある雨水8や結露水10は偏平伝熱管1表面に沿って傾斜させた下端に集められ滴下され、送風ファン6の反対側である熱交換器5の前面方向へ速やかに排出されるので、水分が偏平伝熱管1に長時間残留することがなく耐食劣化が少なくなり、また、熱交換器5後面への水分の浸入も防止できるのでケース7の耐食劣化や絶縁低下も無くすことができる。さらに送風ファン6の運転による結露水10の飛散も防止できる。」(第2ページ左上欄第2行ないし右上欄第12行) 2d)第3図から、熱交換器5が偏平伝熱管1及びフィン2を含むものであって、 ・偏平伝熱管1が上下方向に複数段配置されており、偏平伝熱管1は扁平形状であること ・熱交換器5の下流側に送風ファン6が配置されるとともに、熱交換器5は送風ファン6と対向して配置されており、全ての偏平伝熱管1は下流側が上方を向くように傾斜して配置されていること、 ・フィン2が偏平伝熱管1の間に、偏平伝熱管1と同じ傾斜角で設けられていること、 ・偏平伝熱管1が、送風ファン6の中心軸に直交する上下方向に複数段配置されること。 が、それぞれ看取できる。 2e)「 」 イ 甲2発明 上記アを総合すると、甲2には、次の事項からなる発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されていると認める。 「上下方向に複数段に配置された偏平伝熱管1およびフィン2を含む熱交換器5と、熱交換器5の下流側に配置される送風ファン6と、を備え、熱交換器5は送風ファン6と対向して配置されるとともに、フィン2が偏平伝熱管1の間に、偏平伝熱管1と同じ傾斜角で設けられており、偏平伝熱管1は扁平形状であって、全ての偏平伝熱管1は下流側が上方を向くように傾斜して配置されている、屋外に設置され、ケース7に収納された、空調機器分野の蒸発器や凝縮器等として使用される熱交換器5及び送風ファン6。」 ウ 甲2記載事項 上記アからみて、甲2には、次の事項が記載されていると認める。 「屋外に設置され、ケース7に収納された空調機器分野の蒸発器や凝縮器等として使用される熱交換器5の下流側に送風ファン6が配置されているとともに、熱交換器5は送風ファン6と対向して配置されること。」(以下、「甲2記載事項1」という。) 「熱交換器5の偏平伝熱管1が、送風ファン6の中心軸に直交する上下方向に複数段配置されること。」(以下、「甲2記載事項2」という。) (3)甲3について ア 甲3の記載 3a)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、ルームエアコン,パッケージエアコンなどのヒートポンプ用熱交換器に係り、室内熱交換器にも室外熱交換器にも適用可能であり、特に暖房時室外熱交換器として使用した時、着霜性能を改善するのに好適なフィンアンドチューブ形熱交換器に関する。」 3b)「【0010】 【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために本発明のフィンアンドチューブ形熱交換器は、複数の切り欠きを有する垂直な平板フィンに、偏平管を側面から挿入してなるフィンアンドチューブ形熱交換器において、該偏平管を空気流れの下流方向から挿入するとともに、偏平管の断面が空気流れに対して上り傾斜となるようにフィン面上に切り欠きを設けたことを特徴とするものである。」 3c)「【0020】図1に示すように、平板フィン1が多数枚、垂直に並んでおり、フィン1に直交して偏平管2が、フィン1の空気下流方向から挿入されている。偏平管2は、左右のヘッダ7に挿入され、冷媒が流れる。冷媒の流れを矢印8で示す。偏平管2の位置は、空気流れ5に対して、フィンの下流側に位置している。このような形態の熱交換器を、ヒートポンプルームエアコン,パッケージエアコンの室外熱交換器、室内熱交換器として用いることができる。 【0021】図2に示すように、冷媒は、偏平管2の小孔内を流れつつ、蒸発したり、凝縮したりする。流入空気5は、冷媒の蒸発潜熱で冷却されたり、凝縮潜熱で加熱されたりする。偏平管2は、平板フィン1の中央より空気下流側にずれて位置しており、しかも空気流れ方向に上り傾斜に設置されている。フィン1には、切り欠き4が設けられており、切り欠きの内部に偏平管2が挿入されており、切り欠きの奥行が、偏平管2の幅より長いので、偏平管2の後端は、フィン後縁1より空気上流側に位置している。 【0022】蒸発器として用いた場合に生じる凝縮水は、偏平管2の前縁部より水滴6となって、フィン面上を流れ落ちる。この時、偏平管を空気下流側から挿入したので、偏平管は平板フィンの中心に対して空気下流側にずれて位置することになる。その結果、フィン前縁部のフィン効率は低下し、蒸発器の場合フィン先端の温度が上昇し、空気との温度差が小さくなるので、この部分での着霜量が減り、霜による目詰りが生じにくくなる。一方、偏平管を、空気流れ方向に対して上り傾斜に設置することにより、凝縮水あるいは除霜水は、偏平管上面に沿って偏平管前縁部に到り、そこから平板フィンを伝って流れ落ちるので、良好な水切り性能を得ることができる。」 3d)図1及び図2から、フィンアンドチューブ形熱交換器が偏平管2及び平板フィン1を含むものであって、偏平管2が上下方向に複数段配置されており、平板フィン1が上下方向に直線状に延びる構造であること、及び偏平管2は扁平形状であることが看取できる。 3e)上記3a)及び3c)から、フィンアンドチューブ形熱交換器は、ヒートポンプルームエアコン,パッケージエアコンの室外機に用いられることが分かる。 3f)「 」 イ 甲3発明 上記アからみて、甲3には、次の事項からなる発明(以下、「甲3発明」という。)が記載されていると認める。 「上下方向に複数段に配置された偏平管2および平板フィン1を含む室外熱交換器と、平板フィン1が上下方向に直線的に延び、偏平管2は扁平形状であり、偏平管2は空気流れ方向に対して上り傾斜に設置させた、ヒートポンプルームエアコン、パッケージエアコンの室外機。」 (4)甲4について ア 甲4の記載 4a)「【0004】 偏平チューブ4は金属を押出成型した細長い成型品であり、内部には冷媒を流通させる冷媒通路5が形成されている。偏平チューブ4は長手方向である押出成型方向を水平にする形で配置されるので、冷媒通路5の冷媒流通方向も水平になる。冷媒通路5は断面形状及び断面面積の等しいものが図8の奥行き方向に複数個並び、そのため偏平チューブ4の垂直断面はハーモニカ状を呈している。各冷媒通路5はヘッダパイプ2、3の内部に連通する。隣り合う偏平チューブ4同士の間にはフィン6が配置される。フィン6として、ここではコルゲートフィンを用いているが、プレートフィンでも構わない。」 4b)「【0043】 上記各実施形態の熱交換器1は、セパレート型空気調和機の室外機または室内機に搭載することができる。図5には室外機への搭載例を示す。 【0044】 図5の室外機20は平面形状略矩形の板金製筐体20aを備え、筐体20aの長辺側を正面20F及び背面20Bとし、短辺側を左側面20L及び右側面20Rとしている。正面20Fには排気口21が形成され、背面20Bには背面吸気口22が形成され、左側面20Lには側面吸気口23が形成される。排気口21は複数の水平なスリット状開口の集合からなり、背面吸気口22と側面吸気口23は格子状の開口からなる。正面20F、背面20B、左側面20L、右側面20Rの4面の板金部材に図示しない天板と底板が加わって六面体形状の筐体20aが形成される。 【0045】 筐体20aの内部には、背面吸気口22及び側面吸気口23のすぐ内側に平面形状L字形の熱交換器1が配置される。熱交換器1と室外空気との間で強制的に熱交換を行わせるため、熱交換器1と排気口21の間に送風機24が配置される。送風機24は電動機24aにプロペラファン24bを組み合わせたものである。送風効率向上のため、筐体20aの正面20Fの内面にはプロペラファン24bを囲むベルマウス25が取り付けられる。筐体20aの右側面20Rの内側の空間は背面吸気口22から排気口21へと流れる空気流から隔壁26で隔離されており、ここに圧縮機27が収容されている。」 4c)図5から、背面吸気口22に面した熱交換器1の下流側にプロペラファン24bを対向配置したものが看取できる。 4d)上記4a)から、熱交換器1において、偏平チューブ4を設けたフィン6をプレートフィンとすることについて記載されている。 4e)「 」 イ 甲4記載事項 上記アからみて、甲4には、次の事項が記載されていると認める。 「セパレート型空気調和機の室外機において、背面吸気口22に面した熱交換器1の下流側にプロペラファン24bを対向配置すること」(以下、「甲4記載事項1」という。) 「熱交換器1において、偏平チューブ4を設けたフィン6をプレートフィンとすること」(以下、「甲4記載事項2」という。) (5)甲5について ア 甲5の記載 5a)「【0004】 図33は、従来の熱交換器を示す斜視図である。図33において、熱交換器910は、間隔をおいて立設された複数の板状フィン911と、上記板状フィン911を貫通する互いに平行な複数の扁平管913(図中、水平方向に配置されている)と、扁平管913同士を連通する一対のヘッダ914、915とが、一体にロウ付けされてなるものである。 したがって、(イ)伝熱管が扁平であるため通気抵抗が小さく且つ近接配置が可能であるから、熱交換性能が向上し、(ロ)板状フィンのため結露水や霜の除霜時の排水が良好で、(ハ)さらに、扁平管及び板状フィンよりも融点の低いアルミニウム合金層を形成して扁平管と板状フィンとをロウ付けするので、確実且つ強固にロウ付けすることができるものである(例えば、特許文献1参照)。」 5b)図26から、フィンチューブ型熱交換器の下流側に軸流形式送風機3430を対向配置したものが看取できる。 5c)上記5a)から、熱交換器において、扁平管913を設けたフィンを板状フィン911とすることが分かる。 5d)「 」 5e)「 」 イ 甲5記載事項 上記アからみて、甲5には、次の事項が記載されていると認める。 「フィンチューブ型熱交換器の下流側に軸流形式送風機3430を対向配置したこと。」(以下、「甲5記載事項1」という。) 「熱交換器において、扁平管913を設けたフィンを板状フィン911とすること。」(以下、「甲5記載事項2」という。) (6)甲6について ア 甲6の記載 6a)「【0028】 (実施の形態1) 図1は、この発明の実施の形態1における空気調和機の室外機を示す分解組み立て図である。図1を参照して、本実施の形態における室外機10は、部屋内の空気の温度や湿度などを調整する空気調和機(エアコンディショナ)の室外機である。特に本実施の形態では、空気調和機が、冷房機能および暖房機能のうちの冷房機能のみを有する。室外機10は、図示しない室内機と組となって空気調和機を構成している。空気調和機の室外機10は、室外に設置される。」 6b)「【0040】 図1から図3を参照して、プロペラファン51は、その回転中心である中心軸101が平板形状の熱交換器41に直交するように設けられている。中心軸101の軸方向おいて、吸い込み部36、熱交換器41、モータ59、プロペラファン51および吹き出し部37が、挙げた順に背面側から前面側に向けて並んで設けられている。」 6c)上記6b)の記載「吸い込み部36、熱交換器41、モータ59、プロペラファン51および吹き出し部37が、挙げた順に背面側から前面側に向けて並んで設けられている」、及び図2から、熱交換器41の下流側にプロペラファン51の中心軸101が熱交換器41に直交するように対向配置されることが分かる。 6d)「 」 イ 甲6記載事項 上記アからみて、甲6には、次の事項が記載されていると認める。 「空気調和機の室外機に用いられる熱交換器41の下流側にプロペラファン51の中心軸101が熱交換器41に直交するように対向配置されること。」(以下、「甲6記載事項」という。) (7)甲7について ア 甲7の記載 7a)「【0002】 【従来の技術】冷凍装置やラジエータなどに用いられる熱交換器として、板状に加工されたプレートフィンや、波状に加工されたコルゲートフィンを用いたものが知られている。図15に示す熱交換器100は、一定の間隔をあけて平行に配置された複数のプレートフィン110と、これらのフィン110を貫通するように配置された複数本の管120とを有するプレートフィン型熱交換器であり、管あるいはチューブ120に冷媒などの熱交換用の流体を流すことにより、外部を流れる空気などの流体と熱交換が行われる。このプレートフィン型の熱交換器100では、フィン110に挿入された各々の管120を剛体棒または拡管子を用いて内側から押し広げる製造方法により、管120とフィン110とが機械的に接合される。管120の両端はヘッダ131および132に接続されており、ヘッダ131の供給口133から供給された媒体が、各々の管120を通ってヘッダ132の出力口134に導かれる。ヘッダ同士の間に複数の管120を配置することも可能であり、また、図15に示すように、管120の一部をU字に曲げてフィン110を横断する方向に繰り返し配置して接触面積を大きくする方法もある。この際、U字型の部分を予めU字型に成形された連結管125により製造する方法もある。」 7b)「 」 イ 甲7記載事項 上記アからみて、甲7には、次の事項が記載されていると認める。 「フィンとして、一定の間隔をあけて平行に配置された複数のプレートフィン110を用いたプレートフィン型の熱交換器100」(以下、「甲7記載事項」という。) (8)甲8について ア 甲8の記載 8a)「【0025】 ただし、扁平伝熱管6の最適な傾き角度に関しては、熱交換器4の段数、列数及び風量等によって異なってくるため、熱交換器4における風速分布をより均一にするには、室外機1に応じて各扁平伝熱管6の傾き角度を細かく調整することが必要になる。なお、この扁平伝熱管6の傾き角度をこれに限るものではなく、上部、中部、下部の3つの範囲に分けて決定してもよいし、更に範囲を細分化して決定してもよい。たとえば、図7に示すように、熱交換器4上部から下部にかけて一本単位で、きめ細かく扁平伝熱管6の傾き角度を変化させれば、熱交換器4を通過する空気の風速を、より均一に近づけることも可能である。また、図8に示すように、熱交換器4の列によって扁平伝熱管6の傾き角度を変化させるようにしてもよい。」 8b)「【0028】 このようにして、室外機1では、扁平伝熱管6の段数に応じて配置角度を変化させることにより、熱交換器4全体としての風速分布が略均一となるように改善することができる。つまり、室外機1では、熱交換器4の熱交換能力を十分に発揮させることは可能にしているのである。なお、扁平伝熱管6の配置角度は、図4に示すように熱交換器4の2段階(範囲X、範囲Y)で変化させてもよいし、状況に応じて図6に示すように熱交換器4の上部から下部にかけて徐々に変化させてもよい。図6に示すように扁平伝熱管6を配置すれば、さらに風速分布が改善され、高い効果を得ることができることになる。 【0029】 また、実施の形態1では熱交換器4を2列としている状態を図示して説明しているが、これに限定するものではなく、何列でも上記効果を得ることができることは言うまでもない。さらに、図8に示すように、1列目(外側)は風速分布が改善されるように(図6に示すように)扁平伝熱管6を傾け、2列目(内側)はファン3のベクトル方向に向くように扁平伝熱管6を配置するようにしてもよい。このように、列毎に扁平伝熱管6の配置角度を変化させることによっても、同様の効果を得ることができる。」 8c)図4から、熱交換器4において、空気の流れ方向に熱交換器が複数列配置されることが看取できる。 8d)「 」 イ 甲8記載事項 上記アからみて、甲8には、次の事項が記載されていると認める。 「室外機1における熱交換器4を空気の流れ方向に複数列配置すること。」(以下、「甲8記載事項」という。) (9)甲9について ア 甲9の記載 9a)「【0011】 【実施例】以下、図1に基いて本発明の1実施例について具体的に説明する。図1において、1は空気調和機の室外機で、同室外機1は熱交換器2とモータ4によって駆動される軸流ファン3とコンプレッサ室5によって構成されている。6は壁面である。 【0012】軸流ファン3は図示のように傾き角がβの後退翼3aを有しモータ4によって駆動されると実線矢印Fが示されているように、熱交換器2を通過するように空気を流すことによって熱交換をおこなわせる。 【0013】軸流ファン3の上流に配設された熱交換器2の傾き角αは軸流ファン3の後退翼3aの傾き角βと略平行になるように横方向にくの字型に配設されている。 【0014】熱交換器2を垂直に配設するよりも軸流ファン3の後退翼3aに略平行に傾斜させることによって室外機1の両サイドあるいは上下寄りの空気流路を大きくとることができる。 【0015】また、これにより室外機1と壁面6との隙間Lを小さくでき、据え付け面積を減ずることが可能である。その上、熱交換器2を傾斜させることにより熱交換面積を大きくした熱交換器とすることができるためにファンに対する圧力損失が減り、騒音を低減することができる。 【0016】以上の説明では、後退翼を持つ軸流ファン3によって矢印Fのように空気流を発生させる場合について説明したが、図1(a)の矢印Faのように、軸流ファンは、その翼が空気流の上流側を挟むように狭くした前進翼をもつものを採用しても同様である。 【0017】以上の構造によれば、空気流路を大きくすることができるので前述の様に熱交換器2の熱交換面積を大きくし、送風機に対する圧力損失が減り、騒音を低減することができる。 【0018】図2は第2実施例を示し、この例では、熱交換器2と軸流ファン3の翼3aとの間に軸流ファン3駆動用のモータ4を配設したもので、図1(a)と同様の作用効果を得ることができる。 【0019】なお、モータ4は軸流ファン3の前面側に配置してもよいことはいうまでもない。」 9b)「 」 (10)甲10について ア 甲10の記載 10a)図1から、風上列の偏平状の伝熱管4aの延長線上に風下列の偏平状の伝熱管4bが配置されていないことが看取できる。 10b)「 」 イ 甲10記載事項 上記アからみて、甲10には、次の事項が記載されていると認める。 「風上列の偏平状の伝熱管4aの延長線上に風下列の偏平状の伝熱管4bが配置されていないこと。」(以下、「甲10記載事項」という。) (11)甲11について ア 甲11の記載 11a)「【0019】 次に、室外空気熱交換器103の動作について説明する。前述したように、冷媒は室外空気熱交換器103に流入する前に分流して、室外空気熱交換器103の各パスに流入する。各パスに流入した冷媒は、複数の送風機ファン202の回転によって室外空気熱交換器103を通過する空気との強制対流熱伝達により熱交換される。ここで、複数の室外空気熱交換器103はすべて同じ回転数で駆動している。 【0020】 他の条件が同じであれば、室外空気熱交換器103において通過する風量は通風抵抗により決まる。例えば、室外空気熱交換器103において通風抵抗が大きい領域では通過する風量は少なくなり、通風抵抗が小さい領域では通過する風量は大きくなる。ここで、例えば、本実施の形態の室外機110では、複数の送風機ファン202を上側に寄せて設置している。このため、送風機ファン202との距離が近い室外空気熱交換器103の上側領域に流入する風量よりも室外空気熱交換器103の下側領域に流入する風量は少なくなる。 【0021】 図4は実施の形態1における室外空気熱交換器103を通過する空気の風速分布の概略を示す図である。本実施の形態では、室外空気熱交換器103の下側領域における伝熱管301のピッチDpを上側領域よりも広くなるように構成して通風抵抗が低くなるようにする。そして、室外空気熱交換器103の下側領域では、流入する風量に対して通過する風量が増大するようにする。このため、室外機110の垂直方向における風速のばらつきを抑えることができ、風速の均一化をはかることができる。風量と風速は、次式(1)で示すように比例関係にある。このため、風量を増やすと風速が増え、風量を減らすと風速が減ることになる。 風量(m^(3)/s)=風速(m/s)×面積(m^(2)) …(1) 【0022】 ここで、特に限定するものではないが、本実施の形態の室外機110では、最も上側にある伝熱管301のピッチDpは、従来の伝熱管301におけるピッチと変わらないものとする。また、図4では連続的にピッチを広げるようにしているが、連続的であることに限定するものではない。さらに、本実施の形態では、室外空気熱交換器103と送風機ファン202との位置関係により、下側領域における伝熱管301のピッチDpを上側領域よりも広くなるようにしているが、例えば室外空気熱交換器103における風量に基づいてピッチDpを決めて構成するようにすればよい。また、送風機ファン202は1台でも3台以上でも適用可能である。」 11b)「 」 (12)甲12について ア 甲12の記載 12a)図1から、板状フィン1に設けられた伝熱管2の断面を翼形状としたことが看取できる。 12b)「 」 イ 甲12記載事項 上記アからみて、甲12には、次の事項が記載されていると認める。 「熱交換器における板状フィン1に設けられた伝熱管2の断面を翼形状としたこと。」(以下、「甲12記載事項」という。) (13)甲13について ア 甲13の記載 13a)「【0008】 【実施例】 本考案の一実施例に係る空気熱交換器を図1ないし図6によって説明する。1は冷媒が管内を流れ管外の空気を冷却する伝熱管、2はプレートフィンである。プレートフィン2は片面にろう材をコーティングしたクラッド材を用い、伝熱管1断面形状と同一の形状の複数の貫通穴を開け、伝熱管1を水平配置となるように貫通穴に挿入真空ろう付等の加工法により一体ろう付を行う。 【0009】 プレートフィン2の断面は、図6に示すように微細な複数の三角溝2aを刻んだもので、この三角溝2aは、図6の断面に対して垂直方向に延びて縦溝を形成する。フィンパターンは、図6に示すようにスリットが無いものに限られず、オフセットフィン、ルーバフィン等の適宜スリットを刻んだものであってもよい。 【0010】 伝熱管1の断面形状は、図1に示すひし形、図2に示すだ円形、図3に示す円管形、図4に示すくさび形、図5に示す翼形等上面が非偏平な形状のものが採用される。」 13b)「 」 イ 甲13記載事項 上記アからみて、甲13には、次の事項が記載されていると認める。 「空気熱交換器におけるプレートフィン2に設けられた伝熱管1の断面を翼形状としたこと。」(以下、「甲13記載事項」という。) (14)甲14について ア 甲14の記載 14a)「〔考案の目的〕 本考案はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、ファンによるコアへの強制通風の通過の効率性を維持しつつファンシュラウドを除去することにある。 〔問題点を解決するための手段〕 本考案に係る熱交換器は、一対のタンクの間に介装されたコアと、コアに対面して設けられた吸引式のファンとを備えた熱交換器において、コアの四周をファンに向けて傾斜したテーパ形状としたものである。 〔考案の作用〕 本考案に係る熱交換器は、テーパ形状としたコアの四周によってファンシュラウドの導風機能を奏させることにより、ファンシュラウドの除去を可能とするものである。 〔考案の実施例〕 以下、本考案に係る熱交換器の実施例を第1図?第6図に基づいて説明する。 第1図は本考案の基本原理を示すもので、コア3の四周A,B,C,Dをファン4に向けて傾斜したテーパ形状とし、この四周A,B,C,Dによってファン4に向けてコア3の前面部から導風するようにしたものである。 本考案は第2図に示す横流れ式の熱交換器でも第3図に示す縦流れ式の熱交換器でも実施が可能であり、前記四周A,B,C,Dはタンク1,2とレインフォース5とによって囲繞されるため、タンク1,2(座板のみでもよい)とレインフォース5とを傾斜してコア3に組み付けることにより、これ等によって従来のファンシュラウド6を構成したような構造となる。 第4図はコア3のチューブ32が偏平チューブの場合のチューブ32の取付角度の例を示したもので、偏平の長軸をテーパ形状の傾斜線と平行にしたものである。このような取付角度とすることは、前記公報記載の従来の技術におけるような通風の障害とならないようにする消極的な改良に加えて、チューブ32によっても導風機能を奏させる積極的な意義がある。 第5図はチューブ32が複数列配列場合の配列状態の例を示したもので、前後のチューブ32の通過線を前記テーパ形状の傾斜線と平行にしたものである。なお、図面では円形チューブを示しているが、偏平チューブでも同様である。また、第6図はフィン31(プレートフィン,コルゲートフィンを問わず)にルーバ31’が設けられている場合の開口角度の例を示したもので、開口面を前記テーパ形状の傾斜線と直交するようにしたものである。この第5図,第6図に示す状態は、第4図と同様に前記消極的意義に加えて積極的意義を有する。 以上のようにコア3の四周A,B,C,Dによって導風される結果、ファンシュラウド6を除去してもファン4によるコア3への強制通風の通過の効率が低下することはなくなる。また、ファンシュラウド6を除去することによって、ファン4をコア3の後面部側に近接させることができ、コア3の後面部側における熱交換器の容積がより縮少される。さらに、ファンシュラウド6の除去は、この熱交換器を自動車用ラジエータとして用いた場合、高速走行中における車速風をも加えた通風の障害が除去されることになり、自動車用エンジンの冷却性能を向上させることになる。」(明細書第3ページ第3行ないし第6ページ第6行) 14b)「 」 (15)甲15について ア 甲15の記載 15a)「【0009】 【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態による建設機械の冷却装置を搭載したエンジンルームの構成を示す図である。図1に示すように、エンジンルーム1内には、エンジン5と、エンジン冷却水を冷却するラジエータ3および熱を持った作動油を冷却するオイルクーラ4とからなる熱交換器が配置されている。エンジン5には油圧ポンプ6がクランク軸11に直結して取り付けられ、クランク軸11に取り付けられたクランクプーリ8とファンベルト12により連結されたファンプーリ7の軸には遠心型の冷却ファン2が取り付けられている。熱交換器の周辺部には、熱交換器の上流側と下流側とを分離させるための仕切部材9a,9bが設けられている 【0010】エンジンルーム1は、建屋カバー51?54により構成されている。上部の建屋カバー51には、冷却風入口開口部61,62と冷却風出口開口部63,64とが形成されている。エンジン5を構成するエンジンブロックは、ホース10a,10bによりラジエータ3の上部タンク3aおよび下部タンク3bに連通され、ホース10a,10b内部にはエンジン冷却水が流れている。エンジンブロックの内部においては、冷却水通路を通ってエンジンブロック内の各冷却部へエンジン冷却水が通水されエンジンを冷却する。冷却した後の冷却水は、一部ヒータへ通水された後、再び冷却水通路を通ってエンジンブロック側の出口へ通水され、再びラジエータ3に流入する。 【0011】図2はラジエータ3の構成を示す斜視図、図3は図2のA-A線断面図、図4は図2のB-B線断面図である。図2?図4に示すように、ラジエータ3の上部タンク3a、下部タンク3bおよび左右ブラケット12a,12bにより形成されるコア部における流路3cは、その水平方向断面および鉛直方向断面の双方が、前面から後面に向けて幅狭となる台形形状をなしている。また、図3に示すように、ラジエータ3の水平方向に延在する水平フィン14は、ラジエータ3の上下端にあるものほど流路3cの中央に向けて傾斜し、図4に示すように鉛直方向に延在する鉛直フィン15も、ラジエータ3の左右端にあるものほど流路3cの中央に向けて傾斜するように配設されている。そしてこれにより、水平フィン14および鉛直フィン15により形成される流路3cは、ラジエータ3の前面から後面に向けて、冷却風がラジエータ3の周辺部からファン2の中心に向かい、かつ徐々に断面積が小さくなるものとなっている。したがって、ラジエータ3を通過する冷却風は、ラジエータ3の前面から後面に向けて縁部から中央部に向かって流れることとなる。なお、鉛直フィン15の内部にはエンジン冷却水の流路15Aが形成されている。 【0012】図5はオイルクーラ4の構成を示す斜視図、図6は図5のC-C線断面図、図7は図5のD-D線断面図である。図5?図7に示すように、オイルクーラ4の左右タンク4a,4bおよび上下ブラケット16a,16bにより形成されるコア部における流路4cは、上記ラジエータ3と同様に、その水平方向断面および鉛直方向断面の双方が、前面から後面に向けて幅狭となる台形形状をなしている。また、図6に示すように、オイルクーラ4の水平方向に延在する水平フィン17は、オイルクーラ4の上下端にあるものほど流路4cの中央に向けて傾斜し、図7に示すように鉛直方向に延在する鉛直フィン18もオイルクーラ4の左右端にあるものほど流路4cの中央に向けて傾斜するように配設されている。そしてこれにより、水平フィン17および鉛直フィン18により形成される流路4cはオイルクーラ4の前面から後面に向けて、冷却風がラジエータ4の周辺部からファン2の中心に向かい、かつ徐々に断面積が小さくなるものとなっている。したがって、オイルクーラ4を通過する冷却風は、オイルクーラ4の前面から後面に向けて縁部から中央部に向かって流れることとなる。なお、水平フィン17の内部にはオイルの流路17Aが形成されている。また、オイルクーラ4の流路4cの後面における断面積は、ラジエータ3の流路3cの前面における断面積と略同一となるように構成されており、これにより、オイルクーラ4からラジエータ3へと冷却風が効率よく流れることとなる。」 15b)「 」 4 [理由1]についての判断 下記「(2)訂正発明5について」、及び「(3)訂正発明7について」の検討において、訂正により甲2発明又は甲3発明を引用発明とする請求項2が削除されたことに伴って、訂正前の請求項5及び7が請求項1を直接あるいは間接的に引用することによる上記1-1(3)及び(4)のアの理由(引用発明を甲1発明とするもの)のみについて検討する。 (1)訂正発明1 ア 訂正発明1と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「偏平伝熱管32」は、訂正発明1における「伝熱管」に相当し、以下同様に、「プレートフィン31」は「フィン」に、「ヒートポンプ式空調機」は「空気調和機」に、それぞれ相当する。 そして、甲1発明における「アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器」は、上記3(1)ア 1g)の甲1の記載から、室外機としてヒートポンプ式空調機に用いられることが示唆されているから、本件発明1における「室外熱交換手段」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段を備え、 前記フィンが上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状である、空気調和機の室外機。」 [相違点1] 訂正発明1においては、「空気調和機の室外機」が、「前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段」を備え、「前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置される」のに対して、 甲1発明においては、「ヒートポンプ式空調機の室外機」における「アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器」が、そのような室外送風手段を有するか不明である点。 [相違点2] 訂正発明1においては、「前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び」るのに対して、 甲1発明においては、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、「プレートフィン31」の上下方向に直線状に延びる方向が、プロペラファンの中心軸に直交するか不明である点。 [相違点3] 訂正発明1においては、「前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されている」のに対して、 甲1発明においては、「偏平伝熱管32は、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に傾けたものであり、空気流の上流側より下流側を下方に配置した」ものであって、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、さらに、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面と、偏平伝熱管32の向きとの関係が不明である点。 [相違点4] 訂正発明1においては、「前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっている」(以下、「訂正発明1における発明特定事項A」という。)のに対して、 甲1発明においては、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、さらに、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面と、偏平伝熱管32の向きとの関係、及びアルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器とプロペラファンの高さ方向の位置関係と偏平伝熱管32の傾斜角度との関係が不明である点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、上記相違点4について検討する。 [相違点4について] 上記甲2記載事項1は、「屋外に設置され、ケース7に収納された空調機器分野の蒸発器や凝縮器等として使用される熱交換器5の下流側に送風ファン6が配置されているとともに、熱交換器5は送風ファン6と対向して配置されること」、 上記甲4記載事項1は、「セパレート型空気調和機の室外機において、背面吸気口22に面した熱交換器1の下流側にプロペラファン24bを対向配置すること」、 上記甲5記載事項1は、「フィンチューブ型熱交換器の下流側に軸流形式送風機3430を対向配置したこと」、 上記甲6記載事項は、「空気調和機の室外機に用いられる熱交換器41の下流側にプロペラファン51の中心軸101が熱交換器41に直交するように対向配置されること」、 であるから、「空気調和機の室外機に用いられる熱交換器の下流側にプロペラファンなどの室外送風手段を対向配置すること」は本件特許の出願前に周知技術(以下、「周知技術1」という。)であったと認める。 また、上記甲6記載事項は、熱交換器41とプロペラファンの中心軸101が直交することについても示唆している。 しかし、上記周知技術1及び甲6記載事項は、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器とプロペラファンの高さ方向の位置関係と偏平伝熱管32の傾斜角度との関係である、上記訂正発明1における発明特定事項Aを開示や示唆するものではないから、甲1発明に上記周知技術1及び甲6記載事項を適用して、上記相違点4に係る訂正発明1とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、訂正発明1は、甲1発明、周知技術1及び甲6記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (2)訂正発明5について 上記甲8記載事項は、「室外機1における熱交換器4を空気の流れ方向に複数列配置すること。」、 上記甲10記載事項は、「風上列の偏平状の伝熱管4aの延長線上に風下列の偏平状の伝熱管4bが配置されていないこと。」である。 しかし、上記甲8記載事項及び甲10記載事項は、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器とプロペラファンの高さ方向の位置関係と偏平伝熱管32の傾斜角度との関係である、上記訂正発明1における発明特定事項Aを開示や示唆するものではない。 そして、訂正発明5は、上記で検討した訂正発明1を直接あるいは間接的に引用するものであるから、訂正発明5は、甲1発明、周知技術1、甲6記載事項、甲8記載事項及び甲10記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)訂正発明7について 上記甲12記載事項は、「熱交換器における板状フィン1に設けられた伝熱管2の断面を翼形状としたこと。」、 上記甲13記載事項は、「空気熱交換器におけるプレートフィン2に設けられた伝熱管1の断面を翼形状としたこと。」である。 しかし、上記甲12記載事項及び甲13記載事項は、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器とプロペラファンの高さ方向の位置関係と偏平伝熱管32の傾斜角度との関係である、上記訂正発明1における発明特定事項Aを開示や示唆するものではない。 そして、訂正発明7は、上記で検討した訂正発明1を直接あるいは間接的に引用するものであるから、訂正発明7は、甲1発明、周知技術1、甲6記載事項、甲8記載事項、甲10記載事項、甲12記載事項及び甲13記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 5 [理由2]についての検討 上記第3のとおり、請求項2が訂正により削除された。よって、取消理由の[理由2]における、「(1)請求項1、3及び5ないし7について」の理由についてのみ検討する。 訂正発明1においては、「前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されていること」が特定されるとともに、「前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置され」ることが特定された。 そうすると、訂正発明1は、「プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管が、水平であって傾斜しない、あるいは、上流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されている」形態について含まないことが明らかとなり、訂正発明1が、「熱交換器の排水性を確保しつつ、さらなる性能向上を図る」(本件特許明細書の段落【0004】及び【0005】を参照)という課題を解決できるものとなった。 したがって、訂正発明1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものではなく、発明の詳細な説明に記載された発明であるから、訂正発明1及び訂正発明1を直接あるいは間接的に引用する訂正発明3、5ないし7は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 異議理由について 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要は次のとおりである。 本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (1)請求項3について 本件発明3は、 ア 甲1発明、甲2発明及び甲8記載事項、 イ 甲2発明、甲1、甲5及び甲7にみられるような周知技術及び甲8記載事項、 または、 ウ 甲3発明、甲2発明及び甲8記載事項 に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)請求項4について 本件発明4は、 ア 甲1発明、甲2発明及び甲8記載事項(または甲9記載事項)、 イ 甲2発明、甲1、甲5及び甲7にみられるような周知技術及び甲8記載事項(または甲9記載事項)、 または、 ウ 甲3発明、甲2発明及び甲8記載事項(または甲9記載事項) に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)請求項6について 本件発明6は、 ア 甲1発明、甲2発明及び甲11記載事項、 イ 甲2発明、甲1、甲5及び甲7にみられるような周知技術及び甲11記載事項、 または、 ウ 甲3発明、甲2発明及び甲11記載事項 に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 2 異議理由についての検討 訂正により甲2発明又は甲3発明を引用発明とする請求項2が削除されたことに伴って、訂正前の請求項3、4、及び6が請求項1を直接あるいは間接的に引用することによる上記1(1)ないし(3)のアの理由(引用例を甲1発明とするもの)についてのみ検討する。 (1)請求項3について 訂正発明3は、訂正発明1に対して「前記伝熱管は、各段毎または複数段毎に、前記中心軸から離れるほど前記仮想水平面に対する傾斜角度が大きいこと」をさらに特定したものである。 しかし、甲8の図4、図7からみて、各板状フィンは各段毎にみると、ファン3の中心軸からは、ほぼ等しい距離に配置されており、「中心軸から離れるほど前記仮想水平面に対する傾斜角度が大きい」という構成を有するものではない。 そうすると、訂正発明3は、甲1発明、甲2発明及び甲8に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (2)請求項4について ア 訂正発明4と甲1発明とを対比する。 甲1発明における「偏平伝熱管32」は、訂正発明4における「伝熱管」に相当し、以下同様に、「プレートフィン31」は「フィン」に、「ヒートポンプ式空調機」は「空気調和機」に、それぞれ相当する。 そして、甲1発明における「アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器」は、上記3(1)ア 1g)の甲1の記載から、室外機としてヒートポンプ式空調機に用いられることが示唆されているから、本件発明4における「室外熱交換手段」に相当する。 したがって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記フィンが上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状である、空気調和機の室外機。」 [相違点5] 訂正発明4においては、「空気調和機の室外機」が、「前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段」を備え、「前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置される」のに対して、 甲1発明においては、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、さらに、「ヒートポンプ式空調機の室外機」における「アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器」が、そのような室外送風手段を有するか不明である点。 [相違点6] 訂正発明4においては、「前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び」るのに対して、 甲1発明においては、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、さらに、「プレートフィン31」の上下方向に直線状に延びる方向が、プロペラファンの中心軸に直交するか不明である点。 [相違点7] 訂正発明4においては、「前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されている」のに対して、 甲1発明においては、「偏平伝熱管32は、空気流方向に対して水平より45°以下の角度に傾けたものであり、空気流の上流側より下流側を下方に配置した」ものであって、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、さらに、プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面と、偏平伝熱管32の向きとの関係が不明である点。 [相違点8] 訂正発明4においては、「前記室外熱交換手段は、前記中心軸を通る前記仮想水平面を基準にして上下対称に構成されている」のに対して、 甲1発明においては、ヒートポンプ式空調機の室外機がプロペラファンを有するものか明らかでなく、アルミニウム製プレートフィンチューブ熱交換器がプロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対してどのような配置となるのか不明である点。 イ 判断 事案に鑑み、まず、上記相違点8について検討する。 [相違点8について] 甲2発明は、「上下方向に複数段に配置された偏平伝熱管1およびフィン2を含む熱交換器5と、熱交換器5の下流側に配置される送風ファン6と、を備え、熱交換器5は送風ファン6と対向して配置されるとともに、フィン2が偏平伝熱管1の間に、偏平伝熱管1と同じ傾斜角で設けられており、偏平伝熱管1は扁平形状であって、全ての偏平伝熱管1は下流側が上方を向くように傾斜して配置されている、屋外に設置され、ケース7に収納された、空調機器分野の蒸発器や凝縮器等として使用される熱交換器5及び送風ファン6。」であって、熱交換器5は、「全ての偏平伝熱管1」に関して「下流側が上方を向くように傾斜して配置されている」ものである。そして、第3図をみると、送風ファン6の中心軸を通る仮想水平面に対して上下対称のものではないことは明らかである。 甲8記載事項は、「室外機1における熱交換器4を空気の流れ方向に複数列配置すること。」であるが、訂正発明4における「上下方向に複数段に配置された伝熱管」と「プロペラファンの中心軸」が「仮想水平面」を構成する、すなわち、複数の伝熱管の配置される方向とプロペラファンの中心軸が延びる方向が直交することを前提とするものではない。 また、甲9に記載された事項によると、軸流ファン3の軸の上下に熱交換器2が配置されているが、熱交換器2のフィンの傾斜や配置を含めて軸流ファン3の軸が形成する仮想水平面に対して上下対称であるかは不明である。 そうすると、甲1発明に、甲8、甲9に記載された事項を適用して、上記相違点8に係る訂正発明4とすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。 したがって、他の相違点について検討するまでもなく、訂正発明4は、甲1発明、甲2発明、甲8及び甲9記載事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (3)請求項6について 訂正発明6は、訂正発明1、3又は5に対して「前記中心軸に近い側における前記伝熱管同士の間隔は、前記中心軸から遠い側における前記伝熱管同士の間隔よりも狭いこと」をさらに特定したものである。 しかし、甲2には第3図等から見て偏平伝熱管同士の間隔は、ほぼ等しいものである。 また、甲11には、「室外空気熱交換器103と送風機ファン202との位置関係により、下側領域における伝熱管301のピッチDpを上側領域よりも広くなるようにしている」(甲11の段落【0022】参照。)ものであるが、送風ファン202の中心軸に近い側における伝熱管301のピッチを、中心軸から遠い側における伝熱管同士の間隔より狭くするものは示されていない。 そうすると、訂正発明6は、甲1発明、甲2及び甲11に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第6 令和1年12月12日提出の異議申立人による意見書について 異議申立人は、令和1年12月12日に意見書とともに甲14号証及び甲第15号証を提出し、訂正発明1は甲14発明、甲15記載事項及び甲8記載事項に基いて、訂正発明4は、甲14発明及び甲15記載事項に基いて、それぞれ当業者が容易に発明することができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものであると主張しているので、その点について以下検討する。 1 訂正発明1 異議申立人は、意見書において、甲14発明は、「上下方向に複数段に配置されたチューブ及びフィンを含む熱交換器と、熱交換器の下流側に配置されるファンとを備え、熱交換器は、ファンと対向して配置されるとともに、フィンがファンの中心軸に直行する上下方向に直線状に延び、チューブは、扁平形状であり、熱交換器は、ファンの中心軸を通る仮想水平面を基準にして上下対称に構成されている、熱交換装置」(意見書3ページ下から3行ないし4ページ2行)であり、 甲15記載事項は、「熱交換器において、ファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置するチューブの下流側が当該仮想水平面側を向くように傾斜状態で配置されていること」(意見書4ページ6ないし9行)であるとしている。 また、甲8の段落【0025】には、「熱交換器4における風速分布をより均一にするには、室外機1に応じて各扁平伝熱管6の傾き角度を細かく調整することが必要になる」こと、及び「熱交換器4上部から下部にかけて一本単位で、きめ細かく扁平伝熱管6の傾き角度を変化させれば、熱交換器4を通過する空気の風速を、より均一に近づけることも可能である」ことについて記載されている。 しかし、甲14発明、甲15記載事項及び甲8記載事項は、熱交換器とファンとの高さ方向の位置関係と、偏平状のチューブの傾斜角度との関係である、上記訂正発明1における発明特定事項Aを開示や示唆するものではないから、訂正発明1は、甲14発明、甲15記載事項及び甲8記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 2 訂正発明4 訂正発明4は、訂正前の請求項4が請求項1から3のいずれか1項を引用する記載であるところ、請求項2及び3を引用しないものとしたうえで、請求項1を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して独立形式請求項に改める訂正事項4によるものであるから、訂正前の請求項4に係る発明と実質変わるところはないから、甲14、甲15の提出は、実質的に請求項4の訂正に伴ったものとはいえない。 そうすると、特許異議の申立ての理由に対して実質的に新たな証拠を追加するものであるから採用できない。 また、仮に採用したとしても、甲14は自動車用ラジエータの熱交換器に関するものであって、空気調和機の室外機の室外機の熱交換手段に関するものではないから技術分野が異なるとともに、熱交換器がファンの中心軸を通る仮想水平面を基準として上下対称であるという記載はなく、図面を併せてみても熱交換器がファンの中心軸を通る仮想水平面を基準として上下対称といえるかは不明である。 甲15は、建設機械の冷却装置における熱交換器に関するものであって、空気調和機の室外機の室外機の熱交換手段に関するものではないから技術分野が異なるとともに、ファンは遠心型冷却ファンであってプロペラファンとは異なるから直ちに甲14発明には適用できない。 したがって、訂正発明4は、甲14発明及び甲15記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、本件請求項1、3ないし7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、3ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2に係る特許は、本件訂正により削除されたため、本件特許の請求項2に対して異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 空気調和機の室外機 【技術分野】 【0001】 本発明は、空気調和機の室外機に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、扁平管を用いた熱交換器としては、複数の扁平管が一定間隔で水平に配置されたものが提案されている。このような熱交換器では、扁平管の平面部が水平であり、蒸発器として作用している際に凝縮水が滞留し易くなり、滞留した凝縮水が平面部に付着することで空気と冷媒との熱交換が阻害されて蒸発性能が低下したり、また着霜し易くなるという問題があった。このため、扁平管を傾斜させることにより、扁平管の平面部に水滴が滞留し難いようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】特開2010-14329号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、特許文献1に記載の技術では、凝縮水の排水性については確保できるものの、送風機の形態による風速分布については考慮されていなかった。 【0005】 本発明の目的は、熱交換器の排水性を確保しつつ、さらなる性能向上を図ることが可能な空気調和機の室外機を提供するものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されているとともに、前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、熱交換器の排水性を確保しつつ、さらなる性能向上を図ることが可能な空気調和機の室外機を提供できる。 【図面の簡単な説明】 【0008】 【図1】本発明の実施形態に係る空気調和機を示す構成図である。 【図2】室外熱交換器の概略構造を示す斜視図である。 【図3】第1実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図4】図3の熱交換部の一部拡大図である。 【図5】第1実施形態におけるファン回転時に形成される空気の流れ図である。 【図6】第2実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図7】第2実施形態における伝熱管の周囲に形成される空気の流れを示し、(a)は千鳥状に配置された場合、(b)はタンデム状に配置された場合である。 【図8】第3実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図9】第4実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図10】第5実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図11】第6実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 【図12】伝熱管の変形例を示す縦断面図である。 【発明を実施するための形態】 【0009】 以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各実施形態で共通する部材については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、図11に示す第6実施形態については、参考形態とする。 図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機を示す構成図である。 図1に示すように、空気調和機100は、室外機(室外ユニット)8と室内機(室内ユニット)9とが、接続配管10,11によって接続されることで冷房および暖房が可能な冷凍サイクルを構成している。室外機8は、圧縮機1と、流路切替手段としての四方弁2と、室外熱交換器(熱交換部)3と、冷暖房運転用の絞り装置(流量制御弁)4と、室外送風手段6と、を備えて構成されている。室内機9は、室内熱交換器5と、貫流ファンなどの室内送風手段7と、を備えて構成されている。 【0010】 空気調和機100において冷房運転する場合には、破線矢印で示すように、圧縮機1で圧縮された高温・高圧のガス冷媒が四方弁2を通って室外熱交換器3に流れ、外気(空気)と熱交換することで凝縮し、高圧の液冷媒となる。液冷媒は、絞り装置4の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、接続配管11を通じて室内機9に流れる。室内機9に入った冷媒は、室内熱交換器5で室内空気の熱と熱交換することで蒸発する。室内熱交換器5で蒸発した冷媒は、接続配管10を通じて、室外機8に戻り、四方弁2を通って再び圧縮機1で圧縮される。 【0011】 空気調和機100において暖房運転する場合には、実線矢印で示すように、圧縮機1で圧縮された高温・高圧のガス冷媒が四方弁2および接続配管10を通って室内機9に流れる。室内機9に入ったガス冷媒は、室内熱交換器5で室内空気と熱交換することで凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は、接続配管11を通って室外機8に流れる。室外機8に入った高圧の液冷媒は、絞り装置4の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、室外熱交換器3に流れ、室外空気の熱と熱交換することで蒸発し、ガス冷媒となる。室外熱交換器3でガス状となった冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1で圧縮される。 【0012】 図2は、室外熱交換器の概略構造を示す斜視図である。 図2に示すように、室外熱交換器3は、クロスフィンチューブ型であり、板厚方向に所定の間隔を置いて設けられた複数の板状フィン(冷却フィン)12と、各板状フィン12を板厚方向に貫通し、所定間隔で上下方向に複数段(図2では、10段)に配置された伝熱管13と、を含む熱交換部3S,3Sを備えている。また、熱交換部3S,3Sは、空気の流れ方向Aに沿って2列に配置されて構成されている。 【0013】 板状フィン12と伝熱管13とは、板状フィン12に挿通された伝熱管13を液圧または機械的に拡管することにより密着している。なお、図示省略しているが、伝熱管13の端部には、他の伝熱管13の端部とリターンベンドを介して溶接などで接続され、冷媒流路を構成している。また、伝熱管13の段数は、10段に限定されるものではなく、9段以下であっても、11段以上であってもよい。 【0014】 例えば、板状フィン12は、アルミニウム合金などの金属製の薄板(例えば、厚さ0.1mm)によって形成されている。伝熱管13は、アルミニウム合金などの金属製であり、伝熱管13の一部である上下に平行に配置された平面部13a,13bと、長手方向の両端に配置されて平面部13a,13b同士を繋ぐ曲面部13c,13dと、を備えた扁平形状である。また、伝熱管13は、内部が複数の隔壁で区画された流路を備えている。 【0015】 なお、室外熱交換器3の構成としては、図2に示すような板状フィン12と伝熱管13との組み合わせに限定されるものではなく、扁平管(伝熱管13)と扁平管(伝熱管13)との間に、波型(ひだ状)のフィンを溶着したものでもよく、また櫛歯状に切り欠かれた板状フィンに伝熱管13を挿入して溶着したものであってもよい。 【0016】 (第1実施形態) 図3は、第1実施形態における室外機の内部構造を示す側面図、図4は、図3の熱交換部の一部拡大図である。なお、図3では、圧縮機1、四方弁2および絞り装置4の図示を省略している。また、図4(a)?(g)は、熱交換部3Aのプロペラファン60の中心軸Oよりも上側の伝熱管13について、中心軸Oに近い側から順に示したものである。 【0017】 図3に示すように、室外機8は、室外熱交換器3(室外熱交換手段)および室外送風手段6が四角箱型の筺体21内に収容されて構成されている。また、筺体21内において、室外熱交換器3が後側(背面側)に配置され、室外送風手段6が前側(正面側)に配置されている。 【0018】 室外送風手段6は、軸流ファンであるプロペラファン(送風機)60およびベルマウス61によって構成されている。プロペラファン60は、回転中心に設けられた円筒状のボス60aと、このボス60aの周囲に設けられた複数枚の羽根60bとによって構成され、図示しない電動機によって回転駆動される。ベルマウス61は、プロペラファン60の軸方向に沿う略円筒形状であり、羽根60bの外周に沿って配置されている。 【0019】 室外熱交換器3は、プロペラファン60と対向して配置されている。なお、室外熱交換器3の形状は、平板状のものに限定されず、L字状、コ字状など従来からある形状を採用することもできる。 【0020】 また、室外熱交換器3は、熱交換部3A,3Bが空気の流れ方向(図4参照)に沿って配置され、熱交換部3Aの前面と熱交換部3Bの背面とが互いに接するように配置されている。また、室外熱交換器3は、プロペラファン60の直径Rよりも上下方向に長く形成され、室外熱交換器3の上端3aがプロペラファン60の上端60cの上方に位置し、室外熱交換器3の下端3bがプロペラファン60の下端60dの下方に位置している。また、図示していないが、室外熱交換器3は、プロペラファン60の直径Rよりも左右方向(図3の紙面垂直方向)に長く形成されている。つまり、室外熱交換器3は、プロペラファン60の軸方向からの平面視において、プロペラファン60の全体が室外熱交換器3(熱交換部3A,3B)に含まれるように配置されている。 【0021】 熱交換部3Aにおいては、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面S(図3では、線状に図示)を基準にして、上側に複数段(図3では、7段)の伝熱管13A,13B,13C,13D,13E,13F,13Gが配置され、下側に複数段(図3では、7段)の伝熱管13H,13I,13J,13K,13L,13M,13Nが配置されている。また、伝熱管13A?13G(13H?13N)は、上下方向に等間隔に配置されている。 【0022】 また、伝熱管13A?13Gは、長手方向の下流側P1(曲面部13d)が中心軸O側を向くように傾斜して配置される。換言すると、伝熱管13A?13Gは、空気吸込み側の曲面部13cが上向きで、逆側の曲面部13dが下向きとなるように、傾斜状態で配置される。 【0023】 また、伝熱管13H?13Nは、長手方向の下流側P2(曲面部13d)が中心軸O側を向くように傾斜して配置される。換言すると、伝熱管13H?13Nは、空気吸込み側の曲面部13cが下向きで、逆側の曲面部13dが上向きとなるように、傾斜状態で配置される。 【0024】 図4(a)?(g)に示すように、伝熱管13A?13Gの仮想水平面S(図3参照)に対する傾斜角度をそれぞれα1,α2,α3,α4,α5,α6,α7としたときに、α1<α2<α3<α4<α5<α6<α7の関係が成り立つように設定されている。つまり、伝熱管13A?13Gは、プロペラファン60の中心軸Oから離れるほど仮想水平面Sに対する傾斜角度が大きくなるように設定されている。 【0025】 また、伝熱管13H?13Nは、中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準にして上下対称に構成されている。よって、伝熱管13H?13Nの傾斜角度についても、伝熱管13A?13Gの傾斜角度α1?α7と同様な傾斜状態で配置されている。つまり、伝熱管13H?13Nは、プロペラファン60の中心軸Oから離れるほど仮想水平面Sに対する傾斜角度が大きくなるように設定されている。 【0026】 このように、熱交換部3Aにおいて、伝熱管13A?13Gと伝熱管13H?13Nとは、中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成されている。また、熱交換部3Aの空気の流れ方向の下流側に配置される熱交換部3Bについても、熱交換部3Aと同様にして構成されている。 【0027】 なお、本実施形態では、中心軸Oが、室外熱交換器3の高さ方向(上下方向)の中心Pと一致するように構成されているが、必ずしも一致させる必要はない(上下非対称であってもよい)。例えば、室外熱交換器3の上端3aとプロペラファン60の上端60cとの長さL1(図3参照)が、室外熱交換器3の下端3bとプロペラファン60の下端60dとの長さL2(図3参照)よりも長く形成されている場合、室外熱交換器3の下端側に位置する伝熱管13の傾斜角度よりも、室外熱交換器3の上端側に位置する伝熱管13の傾斜角度が大きくなるように設定される。 【0028】 図5は、第1実施形態におけるファン回転時に形成される空気の流れ図である。 図5に示すように、室外機8では、プロペラファン60とベルマウス61とによって室外送風手段6が構成されているので、プロペラファン60が回転することで、室外機8の背面側から空気を巻き込むようにして吸い込まれる。すなわち、室外熱交換器3の中心軸Oより上側では、室外熱交換器3の上端3aよりも上側の空気を取り込み、室外熱交換器3の中心軸Oより下側では、室外熱交換器3の下端3bよりも下側の空気を取り込むように、空気の流れが形成される。すなわち、プロペラファン60の中心軸Oに近い側においては、矢印A1,A2で示すように、仮想水平面Sに対する空気の流入角度が小さく、中心軸Oに遠くなるにつれて矢印A3,A4で示すように、仮想水平面Sに対する空気の流入角度が大きくなる。 【0029】 このように、通常、プロペラファン60の直径Rよりも室外熱交換器3の高さが高く(大きく)形成されているため、プロペラファン60の外側に配置される部分の室外熱交換器3にも空気が十分に流れるように、プロペラファン60が形成する空気流れがプロペラファン60の上流側で広く、下流側で絞られるように、羽根60bの角度が調整されている。したがって、図5に示すように、室外熱交換器3の上流側での空気の流れ方向は、中心軸Oの上側で矢印A3方向、下側で矢印A4方向となり、空気が上下方向から中心軸Oに向かって斜めに流入する。このとき、空気が流入する角度は、中心軸Oから離れるほど中心軸Oを通る水平面(仮想水平面S)に対して大きくなる。 【0030】 そこで、図3および図4において説明したように、第1実施形態では、空気の流入角度分布に合うように、中心軸Oから離れた位置の伝熱管13ほど仮想水平面Sに対する角度を大きくしている。例えば、伝熱管13A?13Gにおいては、中心軸Oに近い側から一段毎に3°ずつ増加している。 【0031】 続いて、このように構成された空気調和装置の室外機8の動作について、図1?図5を参照して説明する。 暖房運転時においては、冷媒が実線方向(図1参照)に流れるように四方弁2を切換え、冷媒を図1の実線矢印方向(図1の時計回り方向)に、圧縮機1、四方弁2、室内熱交換器5、絞り装置4、室外熱交換器3の順に流す。このとき、絞り装置4は、空調負荷に応じた適度な開度に調整され、凝縮器として働く室内熱交換器5で十分に凝縮して液化した冷媒は絞り装置4で気液二相流となって、室外熱交換器3に流入する。 【0032】 室外送風手段6であるプロペラファン60は、所定の回転速度で回転しており、矢印A1?A4で示すように外気(空気)が室外熱交換器3に流入する。ところで、伝熱管13の仮想水平面Sに対する傾斜角度が0°である(伝熱管13と仮想水平面Sとが平行である)と、特にプロペラファン60の中心軸Oから遠い側に位置する伝熱管13では、流入した空気が伝熱管に衝突して、空気の流れ方向が大きく変わり、空気の流れに剥離(かい離)が生じる。そこで、第1実施形態では、図3および図4に示すように、伝熱管13(13A?13N)の平面部13aを傾斜させることで、プロペラファン60への空気の流れを整流することが可能になる。これにより、プロペラファン60の動力を減少させることができるだけでなく、伝熱管13(13A?13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。 【0033】 流入した空気は、伝熱管13(13A?13N)を介して冷媒と熱交換し、空気の温度が低下する。例えば、外気温度が7℃のとき、伝熱管13の温度を1℃とすると、空気はおよそ3℃程度まで低下する。このとき、空気に水分が含まれていると、伝熱管13の表面で空気が露点温度まで冷やされた際に水分が結露し、水滴となる。第1実施形態のように、伝熱管13の平面部13aを傾斜させることで、水滴が平面部13aの傾斜に沿って流れ、滞留することがないため、通風抵抗はほとんど増加しない。また、伝熱管13の平面部13aを傾斜配置したことで、伝熱管13に水滴が滞留するのを低減でき、空気と冷媒との熱交換が阻害されて蒸発性能が低下したり、また着霜し易くなるのを防止できる。その後、冷媒は、蒸発器として働く室外熱交換器3で十分蒸発してガス化した後、圧縮機1に戻る。 【0034】 一方、冷房運転時においては、四方弁2を冷媒が図1の破線矢印方向に流れるように切換え、冷媒を図1の破線矢印方向(図1の反時計回り方向)に、圧縮機1、四方弁2、凝縮器として働く室外熱交換器3、絞り装置4、蒸発器として働く室内熱交換器5の順に流す。このとき、圧縮機1を出た高温、高圧のガス冷媒は、凝縮器として働く室外熱交換器3に流入する。 【0035】 図5に示すように、室外送風手段6であるプロペラファン60は、所定の回転速度で回転しており、矢印A1?A4で示すように空気が室外熱交換器3に流入する。図3および図4に示すように、伝熱管13の平面部13aを傾斜させることで、伝熱管13の傾斜角度が空気の流入角度に近づくので、プロペラファン60への空気の流れを整流でき(空気の剥離を低減でき)、プロペラファン60の動力を低減させることができ、また伝熱管13(13A?13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。 【0036】 流入した空気は、伝熱管13(13A?13N)を介して冷媒と熱交換し、空気の温度が低下する。例えば、外気温度が35℃のとき、伝熱管13の温度を45℃とすると、空気はおよそ40℃程度まで上昇する。その後、冷媒は、絞り装置弁4によって空調負荷に応じた適度な開度に調整され、室外熱交換器3によって十分に凝縮して液化し、絞り装置4によって減圧膨張して蒸発器として働く室内熱交換器5で十分蒸発して、圧縮機1に戻る。 【0037】 なお、伝熱管13の傾斜角度は、プロペラファン60の直径Rと室外熱交換器3の高さ(大きさ)、室外熱交換器3の通風抵抗やプロペラファン60の性能によって適正角度があるため、実験や流れ解析により微調整することが好ましい(以下の実施形態においても同様)。 【0038】 以上説明したように、第1実施形態では、伝熱管13A?13Nが扁平形状であって、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して当該伝熱管13A?13Nの長手方向の下流側P1,P2が中心軸O(仮想水平面S)を向くように傾斜している。これにより、室外熱交換器3が蒸発器として作用している際に発生する湿り空気の凝縮水をスムーズに下方に流すことができ、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を最小限に抑えることができる。なお、室外熱交換器3の中心軸Oより上側では、伝熱管13A?13Gに付着した凝縮水が、平面部13aに沿って流れ、筺体21の内側に落下し、中心軸Oより下側では、伝熱管13H?13Nに付着した凝縮水が、平面部13aに沿って流れ、筺体21の外側に落下する。 【0039】 また、第1実施形態によれば、前記のように伝熱管13A?13Nを傾斜して配置したことで、プロペラファン60への空気の流れを整流し、プロペラファン60に必要な動力を低減することができる。さらに、伝熱管13(13A?13N)を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。 【0040】 ところで、前記したように、プロペラファン60の中心軸Oに近い側で空気の流入角度が小さく(図4の矢印A1,A2参照)、中心軸Oに遠くなるにつれて流入角度(図4の矢印A3,A4参照)が大きくなる。そこで、第1実施形態では、各段毎(1段毎)に、伝熱管13A?13G(13H?13N)の仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしているので、各高さ位置における空気の流入角度に合わせることができ、プロペラファン60への空気の流れをさらに整流でき、熱交換性能をさらに向上できる。 【0041】 また、第1実施形態では、熱交換部3A,3Bが中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成されているので、中心軸Oより上側だけでなく、中心軸Oより下側についても室外熱交換器3が蒸発器として作用している際に発生する湿り空気の凝縮水をスムーズに下方に流すことができ、凝縮水の滞留による通風抵抗の増加を最小限に抑えることができる。また、プロペラファン60への空気の流れを整流し、プロペラファン60に必要な動力を低減することができるとともに、室外熱交換器3を通過する上下の風速分布が均一化されるため、熱交換性能が向上する。このように、室外熱交換器3の上下方向の全体における熱交換性能を向上できる。 【0042】 (第2実施形態) 図6は、第2実施形態における室外機の内部構造を示す側面図、図7は、第2実施形態における伝熱管の周囲に形成される空気の流れを示し、(a)は千鳥状に配置された場合、(b)はタンデム状に配置された場合である。第2実施形態の空気調和機の室外機8Aは、第1実施形態の室外熱交換器3に替えて室外熱交換器30としたものである。 【0043】 図6に示すように、室外熱交換器30は、熱交換部30A(一の熱交換部)の各伝熱管13A?13Gの延長線E1?E7(1点鎖線参照)上に熱交換部30B(他の熱交換部)の各伝熱管13A´?13G´が配置されないように構成されている。なお、熱交換部30A,30Bは、第1実施形態の熱交換部3A,3Bと基本的な構成は同じである。 【0044】 すなわち、熱交換部30Aの伝熱管13Aの延長線E1と伝熱管13Bの延長線E2との中間に熱交換部30Bの伝熱管13A´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Bの延長線E2と伝熱管13Cの延長線E3との中間に熱交換部30Bの伝熱管13B´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Cの延長線E3と伝熱管13Dの延長線E4との中間に熱交換部30Bの伝熱管13C´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Dの延長線E4と伝熱管13Eの延長線E5との中間に熱交換部30Bの伝熱管13D´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Eの延長線E5と伝熱管13Fの延長線E6との中間に熱交換部30Bの伝熱管13E´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Fの延長線E6と伝熱管13Gの延長線E7との中間に熱交換部30Bの伝熱管13F´が位置している。また、熱交換部30Bの伝熱管13G´は、熱交換部30Aの伝熱管13Gの延長線E7よりも上側に位置している。なお、図6に示す実施形態では、熱交換部30Bの伝熱管13A´?13G´が、熱交換部30Aの伝熱管13A?13Gよりも高い位置に配置(上側にオフセットして配置)されているが、その逆に配置(下側にオフセットして配置)されていてもよい。 【0045】 また、前記と同様に、熱交換部30Aの伝熱管13Hの延長線(不図示、以下同様)と伝熱管13Iの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13H´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Iの延長線と伝熱管13Jの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13I´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Jの延長線と伝熱管13Kの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13J´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Kの延長線と伝熱管13Lの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13K´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Lの延長線と伝熱管13Mの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13L´が位置している。また、熱交換部30Aの伝熱管13Mの延長線と伝熱管13Nの延長線との中間に熱交換部30Bの伝熱管13M´が位置している。また、熱交換部30Bの伝熱管13N´は、熱交換部30Aの伝熱管13Nの延長線よりも下側に位置している。なお、図5に示す実施形態では、熱交換部30Bの伝熱管13H´?13N´が、熱交換部30Aの伝熱管13H?13Nよりも低い位置に配置(下側にオフセットして配置)されているが、その逆に配置(上側にオフセットして配置)されていてもよい。 【0046】 ところで、図7(b)に示すように、一方の熱交換部の伝熱管13と他方の熱交換部の伝熱管13をタンデム状に配置、換言すると一方の伝熱管13の長手方向と他方の伝熱管13の長手方向とが直線上に位置するように配置すると、流入した空気が、矢印A10で示すように、上流側の伝熱管13の平面部13aを通過した後に下流側の伝熱管13の平面部13aを通過する。また、流入した空気は、矢印A11で示すように、上流側の伝熱管13の平面部13bを通過した後に下流側の伝熱管13の平面部13bを通過する。このような配置の場合、一方の熱交換部の伝熱管13と他方の熱交換部の伝熱管13との間に空気が流れ難くなる空間が形成されるので、熱交換性能が低下する。 【0047】 そこで、図7(a)に示すように、熱交換部30A(一方の熱交換部)の伝熱管13A?13Nと熱交換部30B(他方の熱交換部)の伝熱管13A´?13N´とを千鳥状に(互い違いに)配置することで、流入した空気が、矢印A5で示すように、熱交換部30Aの図示上側の伝熱管13の平面部13bを通過した後に熱交換部30Bの伝熱管13の平面部13aを通過する。また、流入した空気は、矢印A6で示すように、熱交換部30Aの図示下側の伝熱管13の平面部13aを通過した後に熱交換部30Bの伝熱管13の平面部13bを通過する。このように、熱交換部30Aの伝熱管13と熱交換部30Bの伝熱管13との間に空気の流れが生じるので、熱交換性能が低下するのを抑制することができる。 【0048】 (第3実施形態) 図8は、第3実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 図8に示すように、第3実施形態の空気調和機の室外機8Bは、伝熱管13A?13G(13H?13N)を一定間隔で複数段とした室外熱交換器3(第1実施形態)に替えて、室外熱交換器40としたものである。なお、室外熱交換器40において、熱交換部40Aと熱交換部40Bとは同様の構成であるので、以下では、熱交換部40Aのみについて説明する。 【0049】 ところで、プロペラファン60が作る空気の流れは、プロペラファン60に近いほど(周囲に対して中心軸Oに近くなればなるほど)速くなり、中心軸O付近に流れ易い分布が形成される。そこで、第3実施形態では、熱交換部40Aにおいて、プロペラファン60の中心軸Oに近い側の隣り合う伝熱管13同士の距離L10(例えば、伝熱管13Aと伝熱管13Bとの距離、伝熱管13Bと伝熱管13Cとの距離)を、中心軸Oから遠い側の伝熱管13同士の距離L20(例えば、伝熱管13Cと伝熱管13Dとの距離、伝熱管13Dと伝熱管13Eとの距離、伝熱管13Eと伝熱管13Fとの距離、伝熱管13Fと伝熱管13Gとの距離)よりも狭めたものである(L10<L20)。 【0050】 これにより、第1実施形態の効果に加えて、中心軸O側の空気の流れが抑えられるので、その分中心軸Oから遠い側に空気が流れ易くなり、室外熱交換器3を通過する上下の風速分布がより均一化され、熱交換器性能が向上する。 【0051】 (第4実施形態) 図9は、第4実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 図9に示すように、第4実施形態の空気調和機の室外機8Cは、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしている。なお、熱交換部50Aと熱交換部50Bは、同様の構成であるので、以下では熱交換部50Aのみについて説明する。なお、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの伝熱管13の段数は、一例であって、本実施形態に限定されるものではない。 【0052】 伝熱管群13Pは、3本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β1に設定されている。伝熱管群13Qは、3本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β1よりも大きい傾斜角度β2に設定されている。伝熱管群13Rは、4本の伝熱管13で構成され、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β2よりも大きい傾斜角度β3に設定されている。伝熱管群13Sは、いずれの伝熱管13も仮想水平面Sに対して傾斜角度β3よりも大きい傾斜角度β4に設定されている(β1<β2<β3<β4)。 【0053】 例えば、伝熱管群13Pの傾斜角度β1を5°、伝熱管群13Qの傾斜角度β2を10°、伝熱管群13Rの傾斜角度β3を15°、伝熱管群13Sの傾斜角度β4を20°というように、伝熱管群13P,13Q,13R,13Sの各伝熱管13に対して同じ角度が適用される。 【0054】 このように、第4実施形態では、伝熱管群13P,13Q,13R,13S毎に、仮想水平面Sに対する傾斜角度を、中心軸Oから離れるほど大きくしている。これにより、各高さ位置における空気の流入角度に伝熱管13の傾斜角度β1,β2,β3,β4を近づけることができ、プロペラファン60への空気の流れを整流でき、熱交換性能を向上できる。 【0055】 図10は、第5実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 図10に示すように、第5実施形態の空気調和機の室外機8Dは、熱交換部60A,60Bにおいて、伝熱管13の傾斜角度γをひとつの角度に固定し、中心軸Oを通る仮想水平面Sに対して上下対称に構成したものである。傾斜角度γは、例えば、15°に設定される。 【0056】 このように、第5実施形態では、伝熱管13の傾斜角度γをひとつの角度に固定することで、第1実施形態の効果に加えて、室外熱交換器3を製造する際の作り勝手を向上できる(作り易くなる)。 【0057】 (第6実施形態) 図11は、第6実施形態における室外機の内部構造を示す側面図である。 図11に示すように、第6実施形態の空気調和機の室外機8Eは、上下に2分割された熱交換部70A,70Bを備えるものである。熱交換部70Aは、側面視(縦断面視)において細長四角形状を呈する板状フィン12の延在方向S1に沿って複数段に配置された伝熱管13を備えている。伝熱管13は、扁平形状であり、該伝熱管13の長手方向が延在方向S1に対して直交するように配置されている。また、各伝熱管13は、等間隔に配置されている。その他の熱交換部70Bについても、熱交換部70Aと同一形状である。 【0058】 また、熱交換部70A,70Bは、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準に分割して配置され、当該熱交換部70A,70Bが傾斜した状態で配置されることで、各伝熱管13の長手方向の下流側が中心軸Oを向くように構成されている。また、仮想水平面Sの上下において、熱交換部70Aにおける伝熱管13の傾斜角度と、熱交換部70Bにおける伝熱管13の傾斜角度は対称に構成されている。また、傾斜角度は、第1実施形態と同様に決めることができる。なお、空気調和機の室外機8Eとしての運転動作も第1実施形態と同様である。 【0059】 このように、第6実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られるとともに、熱交換部70A,70Bを同様の構成にできるので、室外熱交換器70の作り勝手を向上できる。また、室外熱交換器70を製作後に傾斜角度の調整が可能となるため、より最適な角度にすることが可能になる。 【0060】 なお、第6実施形態では、仮想水平面Sを基準にして、熱交換部70A,70Bとして2分割した場合を例に挙げて説明したが、プロペラファン60の風速分布に応じて、プロペラファン60の中心軸Oを通る仮想水平面Sを基準にして4分割としてもよく、それ以上の分割数にしてもよい。また、仮想水平面Sを基準にして上下の分割数を同じする構成に限定されるものではなく、上下で分割数を変えてもよい。 【0061】 図12は、伝熱管の形状の変形例を示す縦断面図である。 図12に示すように、伝熱管130は、13a,13bを有する扁平形状の伝熱管13(図2参照)に替えて、扁平形状である翼形状としたものである。この伝熱管130は、例えば、前縁130aから後縁130bに向けて、厚みが徐々に薄くなる形状である。このような形状であっても、伝熱管130の上面130cに付着した凝縮水の滞留を抑制できるとともに、プロペラファン60への空気を整流できる。なお、図12では、伝熱管130の断面形状を翼形状としたが、扁平形状であり、かつ、凝縮水の滞留を抑制できるものであれば、断面視扁平な楕円形状などであってもよい。 【0062】 なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更することができる。例えば、第1実施形態ないし第6実施形態の複数を選択して適用してもよい。また、図12に示す伝熱管130を第1実施形態ないし第6実施形態に適用してもよい。 【符号の説明】 【0063】 1 圧縮機 2 四方弁 3 室外熱交換器(室外熱交換手段) 4 冷暖房用の絞り装置(流量制御弁) 5 室内熱交換器 6 室外送風手段 7 室内送風手段 8 室外ユニット 9 室内ユニット 10、11 接続配管 12 板状フィン 13,13A?13N,13A´?13N´,13P?13S 伝熱管 13a,13b 平面部 60 プロペラファン 61 ベルマウス α1?α7,β1?β4 傾斜角度 A,A1、A2 空気の流れ方向 O 中心軸 S 仮想水平面 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されているとともに、前記仮想水平面に対して下方に位置する前記伝熱管のすべても下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置されており、 前記室外熱交換手段の高さ方向一端と前記プロペラファンの高さ方向一端との高さ方向長さが、前記室外熱交換手段の高さ方向他端と前記プロペラファンの高さ方向他端との高さ方向長さよりも長く形成され、前記室外熱交換手段の前記高さ方向他端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度よりも、前記室外熱交換手段の前記高さ方向一端側に位置する前記伝熱管の傾斜角度が大きくなっていることを特徴とする空気調和機の室外機。 【請求項2】(削除) 【請求項3】 前記伝熱管は、各段毎または複数段毎に、前記中心軸から離れるほど前記仮想水平面に対する傾斜角度が大きいことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。 【請求項4】 上下方向に複数段に配置された伝熱管およびフィンを含む室外熱交換手段と、 前記室外熱交換手段の下流側に配置されるプロペラファンを含む室外送風手段と、を備え、 前記室外熱交換手段は、前記プロペラファンと対向して配置されるとともに、前記フィンが前記プロペラファンの中心軸に直交する上下方向に直線状に延び、 前記伝熱管は扁平形状であり、かつ、前記プロペラファンの中心軸を通る仮想水平面に対して上方に位置する前記伝熱管のすべては下流側が前記仮想水平面を向くように傾斜状態で配置され、 前記室外熱交換手段は、前記中心軸を通る前記仮想水平面を基準にして上下対称に構成されていることを特徴とする空気調和機の室外機。 【請求項5】 前記室外熱交換手段は、空気の流れ方向に沿って複数列に配置され、一の前記室外熱交換手段の前記伝熱管の延長線上に他の前記室外熱交換手段の前記伝熱管が配置されていないことを特徴とする請求項1又は3に記載の空気調和機の室外機。 【請求項6】 前記中心軸に近い側における前記伝熱管同士の間隔は、前記中心軸から遠い側における前記伝熱管同士の間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1、3又は5に記載の空気調和機の室外機。 【請求項7】 前記伝熱管は、前記上下方向の断面視において翼形状であることを特徴とする請求項1、3、5又は6に記載の空気調和機の室外機。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-12-27 |
出願番号 | 特願2015-57303(P2015-57303) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(F28F)
P 1 651・ 121- YAA (F28F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 西山 真二 |
特許庁審判長 |
山崎 勝司 |
特許庁審判官 |
塚本 英隆 松下 聡 |
登録日 | 2018-11-16 |
登録番号 | 特許第6435220号(P6435220) |
権利者 | 日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社 |
発明の名称 | 空気調和機の室外機 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |
代理人 | 特許業務法人磯野国際特許商標事務所 |