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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G01L
管理番号 1360488
異議申立番号 異議2019-700292  
総通号数 244 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-04-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-04-16 
確定日 2020-02-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6409123号発明「センサ組立体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6409123号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-15〕について訂正することを認める。 特許第6409123号の請求項2ないし15に係る発明についての特許を維持する。 特許第6409123号の請求項1に係る発明についての特許に対する特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6409123号(請求項の数15。以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし請求項15に係る発明は、2014年(平成26年)5月1日(以下、「優先日」という。)にオランダ王国でした特許出願に基づくパリ条約の優先権を主張して平成27年5月1日にした外国語特許出願(特願2017-510287)に係る発明である。そして、平成30年9月28日にその特許権の設定の登録がされ、同年10月17日にその特許掲載公報が発行された。
特許異議申立人は、平成31年4月16日に、請求項1ないし請求項15に係る発明についての特許に対して特許異議の申立てをした。
審判長は、令和元年7月1日付けで、請求項1ないし請求項10に係る発明についての特許に対して取消理由を通知した。
特許権者は、同年10月3日に特許請求の範囲についての訂正(以下、「本件訂正」という。)を請求するとともに、意見書を提出した。
特許異議申立人は、同年11月28日に意見書を提出した。

第2 訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正は、特許請求の範囲の請求項1、請求項2、請求項10及び請求項11についての訂正である。そして、本件訂正前の請求項2ないし請求項15は、本件訂正前の請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されているから、本件訂正は、一群の請求項である請求項1ないし請求項15について請求されたものである。
特許権者は、本件訂正の請求書において、本件訂正後の請求項11及び本件訂正後の請求項11の記載を直接又は間接的に引用して記載された本件訂正後の請求項12ないし請求項15については、これらの請求項についての訂正が認められる場合は、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。

(1)訂正事項
本件訂正の請求書に記載された訂正事項は、以下のとおりである。

ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する訂正を行う。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「請求項1に記載のセンサ組立体において、」と記載されているのを、「センサ組立体(100)であって、少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、前記センサ組立体は、」に訂正する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項2に「前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持」との記載を追加する訂正を行う。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1?9のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備えるセンサ組立体。」と記載されているのを、「請求項2?9のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備えるセンサ組立体。」に訂正する。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に「請求項10に記載のセンサ組立体において、さらに、前記検知本体(50)の第1の本体端部(51;52)に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)は前記第1の分離機構を横断しているセンサ組立体。」と記載されているのを、「センサ組立体(100)であって、少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備え、前記センサ組立体は、さらに、前記検知本体(50)の第1の本体端部(51;52)に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)は前記第1の分離機構を横断しているセンサ組立体。」に訂正する。

(2)本件訂正前後の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1、請求項2、請求項10及び請求項11の記載並びに本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。下線は、訂正箇所を示すために当合議体が付した。

ア 本件訂正前
「【請求項1】
センサ組立体(100)であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、
前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、
前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲するセンサ組立体。
【請求項2】
請求項1に記載のセンサ組立体において、
さらに毛細管(40)を備え、
前記光ファイバ(30)は、前記毛細管(40)内に配置され、
前記光ファイバの前記取付点は、前記検知本体(50)の前記本体端部(51、52)に前記毛細管(40)を介して取り付けられているセンサ組立体。」

「【請求項10】
請求項1?9のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備えるセンサ組立体。
【請求項11】
請求項10に記載のセンサ組立体において、
さらに、前記検知本体(50)の第1の本体端部(51;52)に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)は前記第1の分離機構を横断しているセンサ組立体。」

イ 本件訂正後
「【請求項1】(削除)
【請求項2】
センサ組立体(100)であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、
前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、
前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、
前記センサ組立体は、さらに毛細管(40)を備え、
前記光ファイバ(30)は、前記毛細管(40)内に配置され、
前記光ファイバの前記取付点は、前記検知本体(50)の前記本体端部(51、52)に前記毛細管(40)を介して取り付けられ、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持するセンサ組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ組立体において、
前記光ファイバ(30)は、少なくとも部分的に前記毛細管(40)に取り付けられ、
前記毛細管(40)は、前記光ファイバ(30)を前記毛細管(40)に取り付けるための接着剤(41)で充填されているセンサ組立体。
【請求項4】
請求項2または3に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)の少なくとも全長または実質的に全長にわたって延在するセンサ組立体。
【請求項5】
請求項2、3または4に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)に隣接するファイバ部分にわたって延在する毛細管部分(43、45)を有し、前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)は毛細管(40)を有しないセンサ組立体。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ組立体において、
毛細管部分が、前記検知本体の前記本体端部から前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)に隣接する位置まで延在するセンサ組立体。
【請求項7】
請求項2?6のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)を超えて延在して前記光ファイバ(30)を保護するセンサ組立体。
【請求項8】
請求項2?7のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体(50)の外径は、1?5mmの範囲内であるセンサ組立体。
【請求項9】
請求項2?8のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記センサ組立体は、インビボおよび/または血管内血圧測定用であり、
少なくとも前記毛細管(40)は生体適合性材料製であるセンサ組立体。
【請求項10】
請求項2?9のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備えるセンサ組立体。
【請求項11】
センサ組立体(100)であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、
前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、
前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、
前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備え、
前記センサ組立体は、
さらに、前記検知本体(50)の第1の本体端部(51;52)に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)は前記第1の分離機構を横断しているセンサ組立体。
【請求項12】
請求項11に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体の前記第1の本体端部(51;52)に対向する前記検知本体(50)の第2の本体端部(51;52)に当接する第2の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)が前記第2の分離機構を横断しているセンサ組立体。
【請求項13】
請求項11または12に記載のセンサ組立体において、
前記第1および/または第2の分離機構は、圧力吸収体(151、152)であるセンサ組立体。
【請求項14】
請求項13に記載のセンサ組立体において、
前記圧力吸収体(151、152)の軸方向の剛性は、前記検知本体(50)の軸方向の剛性よりも低いセンサ組立体。
【請求項15】
請求項11?14のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記第1または第2の圧力吸収体(151、152)を横断する前記光ファイバ(30)の部分(131、132)が、その端部セクション(137、138)において、前記第1または第2の圧力吸収体(151、152)に取り付けられ、前記光ファイバの前記部分は、さらに、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32、33)を備えるセンサ組立体。」

2 当合議体の判断
本件訂正は、一群の請求項である請求項1ないし請求項15について請求されたものである。そして、これらの請求項は、いずれも特許異議の申立てがされた請求項であるから、本件訂正には、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の要件(独立特許要件)は課されない。
その他の訂正要件についての判断は、以下のとおりである。
なお、以下では、本件特許の願書に添付した明細書及び図面を、それぞれ「本件特許明細書」及び「本件特許図面」ということがある。

(1)訂正事項1
ア 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除する訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正である。

イ 本件訂正前の請求項1を削除する訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の記載から「請求項1に記載のセンサ組立体において、」という記載を削除し、本件訂正前の請求項2の記載に「センサ組立体(100)であって、少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、前記センサ組立体は、」という記載を追加して、本件訂正後の請求項2の記載とする訂正である。
この追加された記載は、本件訂正前の請求項1の記載と実質的に同じであるから、訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の記載を引用することによって本件訂正前の請求項2に記載されていた事項を、そのまま具体的に書き表して本件訂正後の請求項2の記載とする訂正である。すなわち、訂正事項2は、本件訂正前の請求項2の記載を、その記載の内容を変更することなく、本件訂正前の請求項1の記載を引用しないものにする訂正である。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる事項(いわゆる引用関係の解消)を目的とする訂正である。

イ 訂正事項2は、本件訂正前の請求項1の記載を引用することによって本件訂正前の請求項2に記載されていた事項を、そのまま具体的に書き表して本件訂正後の請求項2の記載とする訂正であり、記載の内容を変更するものではないから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正事項3は、本件訂正前の請求項2の記載に「前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持する」という記載を追加して、本件訂正後の請求項2の記載とする訂正であり、「毛細管(40)」を「前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持する」ものに限定する訂正である。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正である。

イ 訂正事項3は、本件特許明細書の以下の(ア)ないし(ウ)の記載並びに本件特許図面の図4A及び図4Bの記載に基づくものであるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(ア)「この別の解決策では、ファイバは、該ファイバよりも剛性の高い毛細管により半径方向に支持される。この別の解決策は、図4に示されている。」(【0052】)

(イ)「毛細管40は、ファイバ30の全長にわたって延在していてもよい。検知本体50内では、毛細管40はファイバ30を半径方向に支持してファイバ30が座屈するのを防止する。検知本体50外では、毛細管40は環境に対すファイバ30の保護物として役立つ。」(【0054】)

(ウ)「なお、ファイバの保護および/またはファイバと周囲との接触を考慮する必要がない場合、検知本体50の外側では毛細管40は省略してもよい。」(【0057】)

ウ 訂正事項3は、前記アのとおり、「毛細管(40)」を「前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持する」ものに限定する訂正である。そして、本件訂正前の請求項2に係る発明の「毛細管(40)」は、本件特許明細書の記載(前記イ(イ))に照らして、検知本体50内ではファイバ30を半径方向に支持してファイバ30が座屈するのを防止する機能を有するものと解される。
そうすると、「毛細管(40)」を「前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持する」ものに限定する訂正によって、本件訂正前の請求項2に係る発明の目的に含まれない新たな目的を達成したり、本件訂正前の請求項2に係る発明の課題に含まれない新たな課題を解決したりすることになるとは認められないから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正事項4は、本件訂正前の請求項1ないし請求項9のいずれか一項の記載を引用する本件訂正前の請求項10の記載を、本件訂正後の請求項2ないし請求項9のいずれか一項の記載を引用するものに変更して、本件訂正後の請求項10の記載とする訂正であり、記載を引用する請求項の数を単に減らす訂正である。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)を目的とする訂正である。

イ 訂正事項4は、記載を引用する請求項の数を単に減らす訂正であるから、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正事項5は、本件訂正前の請求項11の記載から「請求項10に記載のセンサ組立体において、」という記載を削除し、本件訂正前の請求項11の記載に「センサ組立体(100)であって、少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備え、前記センサ組立体は、」という記載を追加して、本件訂正後の請求項11の記載とする訂正である。
この追加された記載は、本件訂正前の請求項1及び請求項10の記載と実質的に同じである。そして、本件訂正前の請求項11は、本件訂正前の請求項10の記載を引用して記載され、本件訂正前の請求項10は、本件訂正前の請求項1ないし請求項9のいずれか一項の記載を引用して記載されていたから、本件訂正前の請求項11には、本件訂正前の請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載されていた事項と、本件訂正前の請求項10に記載されていた事項とが、これらの請求項の記載を引用することによって記載されていた。
そうすると、訂正事項5は、本件訂正前の請求項11に記載されていた事項のうち、本件訂正前の請求項2ないし請求項9のいずれか一項の記載を引用することによって記載されていた事項を、本件訂正後の請求項11の記載としない訂正である。すなわち、訂正事項5は、記載を引用する請求項の数を減らす訂正である。
また、訂正事項5は、本件訂正前の請求項11に記載されていた事項のうち、本件訂正前の請求項1及び請求項10の記載を引用することによって記載されていた事項を、そのまま具体的に書き表して本件訂正後の請求項11の記載とする訂正である。すなわち、訂正事項5は、本件訂正前の請求項11の記載を、その記載の内容を変更することなく、本件訂正前の請求項1及び請求項10の記載を引用しないものにする訂正である。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項(特許請求の範囲の減縮)及び同第4号に掲げる事項(いわゆる引用関係の解消)を目的とする訂正である。

イ 訂正事項5は、記載を引用する請求項の数を減らす訂正である。また、訂正事項5は、本件訂正前の請求項1及び請求項10の記載を引用することによって本件訂正前の請求項11に記載されていた事項を、そのまま具体的に書き表して本件訂正後の請求項11の記載とする訂正であり、記載の内容を変更するものではない。そうすると、訂正事項5は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであることが明らかである。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことも明らかである。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

3 訂正の適否についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、また、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし請求項15について訂正することを認める。

第3 本件特許に係る発明
前記第2のとおり、本件訂正が認められるから、本件特許の請求項1ないし請求項15に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明15」という。)は、本件訂正後の特許請求の範囲(前記第2の1(2)イ)の請求項1ないし請求項15に記載された事項によって特定されるとおりのものである。
なお、本件発明1は、削除された請求項1に係るものであるから、実際には存在しない。また、本件発明3ないし本件発明10は、本件発明2の構成を全て含み、本件発明12ないし本件発明15は、本件発明11の構成を全て含む。

第4 特許異議申立ての理由及び取消理由の概要
1 証拠
特許異議申立人は、書証(甲第1号証ないし甲第6号証)として以下の文献を提出した。

甲第1号証:国際公開第2013/177577号
甲第2号証:特開2007-212460号公報
甲第3号証:特開2006-47154号公報
甲第4号証:特表2004-506869号公報
甲第5号証:特表2012-528315号公報
甲第6号証:米国特許第6490931号明細書
(発行日:2002年(平成14年)12月10日)

以下では、これらの文献を、それぞれ書証番号を用いて「甲1文献」などという。
甲1文献ないし甲6文献の国際公開日、公開日、公表日又は発行日は、いずれも優先日より前である。

2 特許異議申立ての理由の概要
本件特許の請求項1ないし請求項15に係る発明は、以下のとおり、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(1)請求項1
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)請求項2
本件特許の請求項2に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、例えば甲1文献ないし甲3文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)請求項3ないし請求項9
本件特許の請求項3ないし請求項9に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、甲1文献に記載された事項と、例えば甲1文献ないし甲3文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)請求項10
本件特許の請求項10に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、甲1文献に記載された事項と、例えば甲1文献ないし甲4文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)請求項11ないし請求項14
本件特許の請求項11ないし請求項14に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、甲1文献及び甲5文献に記載された事項と、例えば甲1文献ないし甲4文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)請求項15
本件特許の請求項15に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、甲1文献、甲5文献及び甲6文献に記載された事項と、例えば甲1文献ないし甲4文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 取消理由の概要
本件特許の請求項1ないし請求項10に係る発明は、以下のとおり、甲1文献ないし甲4文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、これらの発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

(1)請求項1
本件特許の請求項1に係る発明は、甲1文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)請求項2ないし請求項9
本件特許の請求項2ないし請求項9に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、例えば甲1文献ないし甲3文献に記載された周知技術とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)請求項10
本件特許の請求項10に係る発明は、甲1文献に記載された発明と、例えば甲1文献ないし甲3文献に記載された周知技術と、甲4文献に記載された事項とに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 当合議体の判断
1 甲1文献ないし甲6文献に記載された発明等
(1)甲1文献
ア 甲1文献の記載
甲1文献には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。原文の引用の後に当合議体が作成した日本語訳を記載する。

(ア)第9ページ第5行ないし第11行
「Using one or more techniques of this disclosure, a Fiber Bragg
Grating (FBG) interferometer or other optical fiber pressure sensor
guidewire can be temperature compensated, such as for permitting
accurate pressure sensing within a body lumen. In addition, this
disclosure describes techniques for increasing the overall
sensitivity of an optical fiber pressure sensor guidewire, such as
to generate an easily detectable blood pressure indicating output
signal providing the desired resolution and accommodating the range
of pressures associated with the patient.」
「この開示の一つ以上の技術を使って、体腔内の正確な圧力検知を可能にするなどのために、ファイバ・ブラッグ格子(FBG)干渉計又は他の光ファイバ圧力センサ誘導線が温度補償され得る。さらに、この開示は、所望の分解能を提供し、患者に関連する圧力範囲に適合し、容易に検出し得る血圧指示出力信号を生成するなどのために、光ファイバ圧力センサ誘導線の全体としての感度を増加させるための技術を説明する。」

(イ)第10ページ第6行ないし第11ページ第12行
「FIG. 2 is a cross-sectional side view illustrating generally, by
way of example, but not by way of limitation, an operative example
of an interferometric FBG sensor 100. The example of FIG. 2 can
include two gratings 110A-B, which can act as mirrors that can both
be partially reflective such as for a specific range of wavelengths
of light passing through the fiber core 115. Generally, the
reflectivity of each grating of a particular pair of gratings 110A-B
will be substantially similar to the other grating in that
particular pair of gratings 110A-B, but can differ between gratings
of a particular pair of gratings 110A-B for particular
implementations, or between different pairs of gratings 110A-B, or
both. This interferometric arrangement of FBGs 110A-B can be capable
of discerning the "optical distance or optical pathlength" between
FBGs 110A-B with extreme sensitivity. The "optical distance or
pathlength" can be a function of the effective refractive index of
the material of fiber core 115 as well as the physical distance 125
between FBGs 110A-B. Thus, a change in the refractive index can
induce a change in optical path length, even though the physical
distance 125 between FBGs 110A-B has not substantially changed.
An interferometer, such as can be provided by the FBG sensor 100,
can be understood as a device that can measure the interference
between light reflected from each of the partially reflective FBGs
110A-B. When the optical path length between the FBG gratings 110A-B
is an exact integer multiple of the wavelength of the optical signal
in the optical fiber core 115, then the light that passes through
the FBG sensor 100 will be a maximum and the light reflected will be
a minimum, such that the optical signal can be substantially fully
transmitted through the FBG sensor 100. This addition or subtraction
of grating-reflected light, with light being transmitted through the
optical fiber core 115, can be conceptualized as interference. The
occurrence of full transmission or minimum reflection can be called
a "null" and can occur at a precise wavelength of light for a given
optical path length. Measuring the wavelength at which this null
occurs can yield an indication of the length of the optical path
between the two partially reflective FBGs 110A-B. In such a manner,
an interferometer, such as can be provided by the FBG optical fiber
pressure sensor 100, can sense a small change in distance, such as a
change in the optical distance 125 between FBGs 110A-B resulting
from a received change in pressure. In this manner, one or more FBG
sensors can be used to sense one or more pressures within a body
lumen of a patient. This arrangement is an example of an FBG
Fabry-Perot interferometer, which can be more particularly described
as an Etalon, because the physical distance 125 between the FBGs
110A-B is substantially fixed.」
「図2は、干渉FBGセンサ100の具体例を限定としてではなく例として一般に示す断面側面図である。図2の例は、ファイバコア115を通り抜ける光の特定の波長範囲にわたって、いずれも部分反射性であり得る鏡として機能し得る二つの格子110A-Bを含み得る。一般に、特定の一対の格子110A-Bの各格子の反射率は、その特定の一対の格子110A-Bの他方の格子と実質的に同様であるが、特定の実施のためには特定の一対の格子110A-Bの格子間で、又は異なる格子110A-B対間で、又はその両方で、異なることできる。このFBG110A-Bの干渉配置は、FBG110A-B間の「光学距離又は光路長」を超高感度で見分けることが可能であり得る。「光学距離又は光路長」は、FBG110A-B間の物理的距離125だけでなく、ファイバコア115の材料の有効屈折率の関数でもあり得る。したがって、屈折率の変化は、FBG110A-B間の物理的距離125が実質的に変化しなくても、光路長の変化を引き起こすことができる。
FBGセンサ100によって提供され得るような干渉計は、部分反射性FBG110A-Bのそれぞれから反射された光線間の干渉を測定し得る装置として理解され得る。FBG格子110A-B間の光路長が光ファイバコア115内の光信号の波長のちょうど整数倍であるとき、FBGセンサ100を通り抜ける光が最大になり、反射される光が最小になるので、光信号は実質的に全てFBGセンサ100を通って伝送され得る。格子で反射された光の、光ファイバコア115を通って伝送される光とのこの和又は差は、干渉として概念化され得る。完全伝送すなわち最小反射の発生は、「ヌル」と呼ばれることができ、そして、所与の光路長に対して、正確な光波長で発生し得る。このヌルが発生する波長の測定は、二つの部分反射性FBG110A-B間の光路長の指標をもたらし得る。そのようなやり方で、FBG光ファイバ圧力センサ100によって提供され得るような干渉計は、受けた圧力変化の結果として生じるFBG110A-B間の光学距離125の変化のような、距離の小さな変化を検出し得る。このようにして、一つ以上のFBGセンサが患者の体腔内の一つ以上の圧力を検知するために使用され得る。この配置は、FBGファブリー・ペロー干渉計の例であり、FBG110A-B間の物理的距離125が実質的に固定されているので、より具体的にはエタロンとして記述され得る。」

(ウ)第28ページ第25行ないし第31行第8行
「FIGS. 7A-7C depict an example of a pressure sensor that can be
used to implement one or more techniques of this disclosure. The
example of the pressure sensor depicted in FIGS. 7A-7C is an example
of a standalone pressure sensor that can use one or more phase shift
gratings. The type of grating written into the fiber can be, for
example, a "phase shift" grating or a "Fabry Perot" grating. A
"standalone" sensor can be capable of sensing pressure independently
of the fiber being attached to a guide wire core subassembly. In
contrast, an "integrated" pressure sensor can involve placing the
fiber with the appropriate gratings written in it on a guide wire
core and then completing the sensor once the fiber is positioned on
the wire.
FIG. 7A is an example of a perspective view of an example of a
optical fiber pressure sensor 700 that can include an optical fiber
702, which can be configured to transmit one or more optical sensing
signals, and a temperature compensated Fiber Bragg Grating (FBG)
interferometer (shown generally at 704 in FIG. 7C) that can be
included in, or in optical communication with, the optical fiber
702. The FBG interferometer 704 can be configured to receive
pressure (e.g., from pressure waves), and to modulate, in response
to the received pressure, an optical sensing signal being delivered
via the optical fiber 702 to the FBG interferometer 704. The
pressure sensor 700 can include a sensor membrane 706, which can be
in physical communication with the FBG interferometer 704. The
sensor membrane 706 can be configured to help transmit the pressure
to the FBG interferometer 704. The pressure sensor 700 can further
include a sheath 708 that can, for example, help contain components
of the pressure sensor 700 and/or help ease the pressure sensor
through the vascular system.
FIG. 7B is an example of a cross-sectional end view of the
pressure sensor 700 of FIG. 7A. As seen in FIG. 7B, the optical
fiber 702 can extend through the pressure sensor 700, such as at
substantially an axial center of the pressure sensor 700.
FIG. 7C is an example of a cross-sectional side view of the
pressure sensor 700 of FIG. 7A, such as can be taken along section
A-A of FIG. 7B. FIG. 7C depicts the optical fiber 702 extending
through a proximal portion 710 and a distal portion 712 of the
pressure sensor 700. A proximal portion of the phase shift grating
of FBG interferometer 704 can be captured by a stiff, rigid, or
solid supporting member 714, e.g., via bonding. The supporting
member 714 can be a capillary tube, for example.
In the distal portion 712, the pressure sensor 700 can define a
cavity 716, e.g., filled with air, such as laterally below the
distal portion of the phase shift grating of FBG interferometer 704
and laterally below the remaining distal length of the fiber 702
extending distally axially beyond the phase shift grating. In the
example shown in FIG. 7C, the flexible sensor membrane 706 can be
thick enough such that it contacts the fiber 702 and the fiber 702
can be attached to the flexible sensor membrane 706, e.g., via
bonding. The flexible sensor membrane 706 can include, for example,
a thin polymer film, a heat seal film, or a thin metal foil. The
flexible sensor membrane 706 can be attached to the pressure sensor
700, such as via bonding or solder. In an example, the membrane 706
can be made by casting a silicone layer.
The pressure sensor 700 can be sealed on both the proximal end 718
and the distal end 720. In addition, the sensor membrane 706 can be
sealed creating the sealed cavity 706.
The example pressure sensor 700 of FIG. 7C depicts three FBGs,
namely FBGs 1-3, along with an optional FBG, namely FBG 4. FBG 1 is
independent of pressure and can be used for temperature measurements
to provide a temperature compensated optical fiber pressure sensor,
as described above with respect to FIG. 3 and FIG. 4A.
FBGs 2 and 3 can form a phase-shift FBG structure. The surface
area of the membrane 706 can concentrate a change in pressure and
can focus a mechanical response to the change in pressure at the
phase-shift region between FBG 2 and FBG 3. This can enhance the
sensitivity of the pressure sensor 700. The mechanical forces acting
upon the phase-shift region between FBG 2 and FBG 3 can concentrate
a stress in the phase-shift region. The concentrated stress in the
phase-shift region can change the refractive index of the optical
fiber 702, which, in turn, alters the phase relationship between
FBG 2 and FBG 3. The change in phase-shift between FBG 2 and FBG 3
can be detected and quantified, and the change in pressure can be
determined from the quantified phase-shift.
In an example, the pressure sensor 700 can optionally further
include FBG 4, e.g., located axially more proximal than FBG 1. As
described above with respect to FIG. 3 and FIG. 4C, FBGs 1 and 4 can
form a phase-shifted FBG structure that can be used to detect and
quantify a change in temperature in the pressure sensor 700, which
can be substantially independent of any pressure variations, due to
the location of FBGs 1 and 4 within the stiff, rigid, or solid
supporting member 714. In the configuration shown in FIG. 7C, the
supporting member 714 can be disposed about FBGs 1, 2, and 4.」
「図7A-図7Cは、この開示の一つ以上の技術を実現するために使用され得る圧力センサの例を示す。図7A-図7Cに示された圧力センサの例は、一つ以上の位相シフト格子を使用し得るスタンドアロン圧力センサの例である。ファイバに書き込まれた格子のタイプは、例えば、「位相シフト」格子又は「ファブリー・ペロー」格子であり得る。「スタンドアロン」センサは、誘導線コアサブアセンブリに取り付けられるファイバから独立して圧力を検出することが可能であり得る。対照的に、「一体型」圧力センサは、適切な格子が書き込まれたファイバを誘導線コア上に配置し、したがって、そのファイバがその誘導線上に配置されてしまえばセンサを完成させることを含み得る。
図7Aは、一つ以上の検知信号を伝送するように構成され得る光ファイバ702と、光ファイバ702の中に又は光ファイバ702と光学的に連通可能に含まれ得る温度補償されたファイバ・ブラッグ格子(FBG)干渉計(一般に図7Cの704で示される)とを含み得る光ファイバ圧力センサ700の例の透視図の例である。FBG干渉計704は、(例えば、圧力波から)圧力を受けて、受けた圧力に応じて光ファイバ702を経由してFBG干渉計704に伝送される光検出信号を変調するように構成され得る。圧力センサ700は、FBG干渉計704と物理的に連通し得るセンサ膜706を含み得る。センサ膜706は、FBG干渉計704に圧力を伝達することを補助するように構成され得る。圧力センサ700は、さらに、例えば圧力センサ700の構成要素を収容することを補助し得る及び/又は圧力センサを血管系にそっと通しやすくすることを補助し得るシース708を含み得る。
図7Bは、図7Aの圧力センサ700の断面端面図の例である。図7Bに示されるように、光ファイバ702は、圧力センサ700の実質的な軸中心などで圧力センサ700を通り抜けて伸長し得る。
図7Cは、図7Bの断面A-Aに沿って描かれ得るような、図7Aの圧力センサ700の断面側面図の例である。図7Cは、圧力センサ700の近位部分710及び遠位部分712を通って伸長する光ファイバ702を示す。FBG干渉計704の位相シフト格子の近位部分は、例えば接着することで、硬い、堅い又は固い支持部材714によって捕捉され得る。支持部材714は、例えば毛細管であり得る。
遠位部分712では、圧力センサ700は、FBG干渉計704の位相シフト格子の遠位部分の横方向下と、位相シフト格子を超えて軸に沿って遠位方向に伸長するファイバ702の残りの遠位長さの横方向下とに、例えば空気で満たされた空洞716を画定し得る。図7Cに示された例では、可撓性センサ膜706は、それがファイバ702と接触し、ファイバ702が例えば接着によって可撓性センサ膜706に取り付けられ得るように、十分に厚いものであり得る。可撓性センサ膜706は、例えば薄いポリマーフィルム、熱シールフィルム又は薄い金属ホイルを含み得る。可撓性センサ膜706は、接着又ははんだなどによって、圧力センサ700に取り付けられ得る。一例では、膜706は、シリコーン層を鋳造することによって作成され得る。
圧力センサ700は、近位端718及び遠位端720の両方で密封され得る。さらに、センサ膜706は、密封された空洞706を生成して密封され得る。
図7Cの例示的圧力センサ700は、三つのFBG、すなわちFBG1-3を、任意のFBG、すなわちFBG4とともに示す。FBG1は、図3及び図4Aを参照して上述されたように、圧力から独立しており、温度補償された光ファイバ圧力センサを提供するために、温度測定用に使用され得る。
FBG2及びFBG3は、位相シフトFBG構造を形成し得る。膜706の表面領域は、圧力の変化を集中させることができ、FBG2とFBG3と間の位相シフト領域での圧力の変化への機械的応答を集中させることができる。これは、圧力センサ700の感度を向上させ得る。FBG2とFBG3との間の位相シフト領域に作用する機械的な力は、応力を位相シフト領域に集中させ得る。位相シフト領域に集中された応力は、光ファイバ702の屈折率を変化させることができ、それが、今度は、FBG2とFBG3との間の位相関係を変化させる。FBG2とFBG3との間の位相シフトの変化は、検出されて定量化されることができ、圧力の変化は、定量化された位相シフトから決定され得る。
一例では、圧力センサ700は、例えばFBG1より軸方向にもっと近くに配置されたFBG4を、任意でさらに含むことができる。図3及び図4Cを参照して上述されたように、FBG1及びFBG4は、圧力センサ700における温度変化を検出して定量化するために使用され得る位相シフトされたFBG構造を形成することができ、それは、硬い、堅い又は固い支持部材714内にFBG1及びFBG4を配置することにより、いかなる圧力変動からも実質的に独立であり得る。図7Cに示された構成では、支持部材714は、FBG1、FBG2及びFBG4の周囲に配置され得る。」

(エ)第62ページ第15行ないし第65ページ第23行
「FIG. 24 shows an example of a portion of a concentric pressure
sensor assembly 2400. The concentric pressure sensor assembly 2400
can include or be coupled to an optical fiber 2402, such as a
reduced-diameter longitudinally extending central optical fiber
2402. The concentric pressure sensor assembly 2400 can be located at
or near a distal region of the optical fiber 2402. In an example,
the pressure sensor assembly 2400 can include at least one Fabry-
Perot interferometer, such as in the optical fiber 2402. The Fabry-
Perot interferometer can modulate the wavelength of light in the
optical fiber 2402, such as in response to environmental pressure
variations that can stretch or compress the optical fiber 2402,
e.g., longitudinally and linearly. The modulated light in the
optical fiber 2402 can be used to communicate information about the
environmental pressure variations at or near the distal end of the
optical fiber 2402 to a proximal end of the optical fiber 2402, such
as for coupling the resulting optical signal to an optoelectronic or
other optical detector, which, in turn, can be coupled to electronic
or optical signal processing circuitry, such as for extracting or
processing the information about the sensed environmental pressure
variations.
A distal portion of the optical fiber 2402 (e.g., more distal than
the one or more Fabry-Perot interferometers) can be securely
captured, anchored, or affixed, such as at a hard, solid, or
inelastic distal disk assembly, distal endcap, or other distal
anchor 2404, such as can be located at a distal end portion of the
concentric pressure sensor assembly 2400. The hard, solid, or
inelastic material (e.g., fused silica or other suitable material)
of the distal anchor 2404 can be relatively inflexible, e.g.,
relative to the dimensional variation of the optical fiber 2402 in
response to the targeted environmental pressure variations to be
measured. In an illustrative example, any dimensional variation of
the distal anchor 2404 can be less than or equal to 1/20, 1/100, or
1/1000 of any dimensional variation of a pressure-sensing portion of
the optical fiber 2402 measured in response to the targeted
environmental pressure variations, such as the pressure variations
that can be present in a percutaneous in vivo intravascular human
blood pressure sensing application.
The tubular or other distal anchor 2404 can be attached to a hard,
solid, or inelastic (e.g., fused silica) tubular or other housing
2406, such as by a soft, flexible, elastic, or compliant gasket 2408
that can be located therebetween. A first sensing region 2410 of the
optical fiber 2402 can be securely captured, anchored, or affixed,
to the housing 2406, such as via a tubular or other attachment
(e.g., hardened epoxy or other adhesive) region 2412. A second
sensing region 2414 of the optical fiber 2402 can be located within
the housing 2406, such as suspended (e.g., freely or within a
compliant material) between the encapsulator or attachment region
2412 and the hard distal anchor 2404. The suspended portion of the
optical fiber 2402 can be installed or securely held longitudinally
under tension. This can permit both positive and negative direction
longitudinal displacement variations in the suspended portion of the
optical fiber 2402, which, in turn, can permit sensing of both
positive and negative environmental pressure variations, as
explained herein.
The gasket 2408 material (e.g., medical grade silicone) can be
relatively more flexible, soft, elastic, or compliant than the
housing 2406 and than the distal anchor 2404, such as to allow
longitudinal dimensional variation of gasket 2408 and the suspended
second sensing region 2414 of the optical fiber 2402 in response to
the targeted environmental pressure variations to be measured, such
as the pressure variations that can be present in a percutaneous in
vivo intravascular human blood pressure sensing application. The
first sensing region 2410 can be securely fixed to the hard housing
2406 by the encapsulator or attachment region 2412, while the second
sensing region 2414 can be suspended within the hard housing 2406
and subject to longitudinal dimensional variation (along with
longitudinal dimensional variation of the compliant gasket 2408).
Therefore, the first sensing region 2410 can be shielded from or
made insensitive to environmental pressure variations, but sensitive
to environmental temperature variations, while the second sensing
region 2414 can be sensitive to both environmental pressure and
temperature variations. In this way, light modulation in the first
sensing region 2410 due to temperature variations can be measured
and used to compensate for or null-out the light modulation effect
of similar temperature variations experienced by the second sensing
region 2414 that is being used to measure environmental pressure
variations. In an illustrative example, the first sensing region
2410 can include a first Fabry-Perot interferometer, and the second
sensing region 2414 can include a second Fabry-Perot interferometer.
These respective interferometers can be written with different
wavelengths. This can permit each interferometer to be individually
separately addressed by selecting a corresponding wavelength of
light to provide to the proximal end of the optical fiber 2402 to
perform the selective individual addressing of the interferometers.
FIG. 24 can be conceptualized as an arrangement in which at least
one optical fiber sensing region can be suspended from or between
two anchors (e.g., hard tubes 2404, 2406) that can be separated from
each other by a compliant region (e.g., gasket 2408) that can allow
the anchoring tubes 2404, 2406 (and hence the suspended portion of
the optical fiber 2402) to experience longitudinal displacement in
response to environmental pressure variations. Based on finite
element modeling (FEM) simulation analysis and experimental
laboratory data obtained from prototypes, corresponding to the
arrangement illustrated in FIG. 24, a pressure sensitivity can be
obtained that can be at least 100 to 150 times the pressure
sensitivity of an optical fiber without such arrangement of hard
tubes 2404, 2406 separated from each other by the compliant gasket
2408.
In an illustrative example, the entire pressure sensor assembly
2400 can be less than or equal to 1.5 millimeters in length, such as
less than or equal to 1.0 millimeter in length. The pressure sensor
assembly 2400 can have an outer diameter that can be less than or
equal to 125 micrometers. For comparison, 125 micrometers is the
outer diameter of a typical single standard optical fiber as used in
telecommunications. The tubular housing 2406 can have an inner lumen
diameter of about 50 micrometers. In an example, the entire pressure
sensor assembly 2400 can be conveniently incorporated within a
percutaneous or other guidewire, such as can be used for guiding an
intravascular device (e.g., a stent, such as a coronary stent) to a
desired location within a blood vessel. For example, the entire
pressure sensor assembly 2400 can be included within a solder or
other joint of such a guidewire, such as between spring coils
forming a body of the guidewire. Using fused silica or other glass
components for all or portions of the tubular housing 2406 or the
fused silica distal anchor 2404 can provide components that can
provide a good matching of the temperature coefficient of expansion
of these materials to the temperature coefficient of expansion of
the material of the optical fiber 2402.
The arrangement shown in the illustrative example of FIG. 24 can
advantageously be durable, can be easy to make, can perform well
such as in detecting and amplifying an environmental pressure
variation, or can consistently be made in a small form factor.」
「図24は、同軸圧力センサアセンブリ2400の一部分の例を示す。同軸圧力センサアセンブリ2400は、直径が縮小されて縦方向に伸長する中心光ファイバ2402などの光ファイバ2402を含み得るか、それに結合され得る。同軸圧力センサアセンブリ2400は、光ファイバ2402の遠位領域又はその近傍に配置され得る。一例では、圧力センサアセンブリ2400は、光ファイバ2402内などに、少なくとも一つのファブリー・ペロー干渉計を含み得る。ファブリー・ペロー干渉計は、光ファイバ2402を例えば縦方向及び線形に伸長したり圧縮したりする環境圧力変動に応じて、光ファイバ2402内の光の波長を変調し得る。光ファイバ2402内の変調された光は、光ファイバ2402の遠位端又はその近傍の環境圧力変動についての情報を、結果として生じる光信号を光電子的又は他の光検出器へと結合するために、光ファイバ2402の近位端へ通信するために使用されることができ、その光検出器が、今度は、検出された環境圧力変動についての情報を抽出又は処理するために、電子又は光信号処理回路に結合され得る。
光ファイバ2402の遠位部分(例えば、一つ以上のファブリー・ペロー干渉計よりもっと遠位)は、同軸圧力センサアセンブリ2400の遠位端部分に配置され得るように、硬い、固い又は非弾性の遠位ディスクアセンブリ、遠位エンドキャップ又は他の遠位アンカー2404などに確実に捕捉され、固定され、又は貼り付けられることができる。遠位アンカー2404の硬い、固い又は非弾性の材料(例えば、融解石英又は他の適切な材料)は、例えば測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた光ファイバ2402の寸法変動と比較して、相対的に非可撓性であり得る。一使用例では、遠位アンカー2404のいかなる寸法変動も、経皮的生体内血管内ヒト血圧検知用途で存在し得る圧力変化のような、対象となる環境圧力変動に応じて測定される光ファイバ2402の圧力検知部分のいかなる寸法変動に対しても1/20、1/100又は1/1000以下であり得る。
管状又は他の遠位アンカー2404は、硬い、固い又は非弾性の(例えば、融解石英製の)管状又は他の筐体2406へと、それらの間に配置されることができる柔らかい、可撓性の、弾性の又は順応性のガスケット2408によって取り付けられることができる。光ファイバ2402の第一の検知領域2410は、管状又は他の取り付け(例えば、硬化エポキシ又は他の接着材)領域2412などを介して、筐体2406へと確実に捕捉、固定又は貼付されることができる。光ファイバ2402の第二の検知領域2414は、カプセル化又は取り付け領域2412と硬い遠位アンカー2404との間で(例えば、自由に又は順応性材料内に)吊るされて、筐体2406内に配置されることができる。光ファイバ2402の吊るされた部分は、据え付けられるか、張力下で縦方向に確実に保持されることができる。これは、光ファイバ2402の吊るされた部分における正及び負の双方の方向の縦方向変位の変動を可能とすることができ、今度は、ここで説明されるように、正及び負の双方の環境圧力の変動の検知を可能とすることができる。
ガスケット2408の材料(例えば、医療用シリコーン)は、経皮生体内血管内ヒト血圧検知用途において存在する可能性のある圧力変動のような、測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた、ガスケット2408と光ファイバ2402の吊るされた第二の検知領域2414との縦方向の寸法変動を可能にするために、筐体2406及び遠位アンカー2404より相対的にもっと可撓性、柔らか、弾性的又は順応性とすることができる。第一の検知領域2410は、カプセル化又は取り付け領域2412によって、硬い筐体2406へと確実に固定されることができ、一方、第二の検知領域2414は、硬い筐体2406内に吊るされることができ、そして、(順応性ガスケット2408の縦方向の寸法変動に伴う)縦方向の寸法変動を受けやすくすることができる。したがって、第一の検知領域2410は、環境圧力変動から遮蔽されることができ、また、環境圧力変動への感度を低くされる一方で、環境温度変化への感度を高くすることができ、その一方、第二の検知領域2414は、環境圧力及び温度変化の双方への感度を高くすることができる。こうして、第一の検知領域2410での温度変化による光変調は、環境圧力変化を測定するために使用されている第二の検知領域2414によって経験される同様の温度変動の光変調効果を補償するために又はゼロにするために、測定され、使用されることができる。一使用例では、第一の検知領域2410は、第一のファブリー・ペロー干渉計を含むことができ、第二の検知領域2414は、第二のファブリー・ペロー干渉計を含むことができる。これらの各干渉計は、異なる波長で書き込まれ得る。これは、干渉計の選択的個別的処理を実行するために光ファイバ2402の近位端へと提供する光の対応する波長を選択することによって、各干渉計が個々別々に処理されることを可能にし得る。
図24は、環境圧力変動に応じてアンカリングチューブ2404、2406に(したがって、光ファイバ2402の吊るされた部分にも)縦方向変位を経験させることを可能にし得る順応性領域(例えば、ガスケット2408)によって互いから分離され得る二つのアンカー(例えば、硬いチューブ2404、2406)から、又はそれら二つのアンカーの間で、少なくとも一つの光ファイバ検知領域が吊され得る配置として概念化され得る。図24に示された配置に対応する、有限要素モデリング(FEM)シミュレーション分析及びプロトタイプから得られた実験的研究データに基づくと、順応性ガスケット2408によって互いから分離された硬いチューブ2404、2406のそのような配置なしの光ファイバの圧力感度の少なくとも100ないし150倍の圧力感度が獲得され得る。
一使用例では、圧力センサアセンブリ2400の全体は、1.0ミリメートル以下の長さのような、1.5ミリメートル以下の長さであり得る。圧力センサアセンブリ2400は、125マイクロメートル以下であり得る外径を有し得る。比較のために述べると、125マイクロメートルは、遠距離通信で使用されるような典型的な単一標準光ファイバの外径である。管状筐体2406は、約50マイクロメートルの内部管腔直径を有し得る。一例では、圧力センサアセンブリ2400の全体は、血管内の所望の位置へ血管内デバイス(例えば、冠動脈ステントなどのステント)を誘導するために使用し得る経皮又は他の誘導線内に簡便に組み込まれ得る。例えば、圧力センサアセンブリ2400の全体は、誘導線の胴体を形成するスプリングコイルの間など、そのような誘導線のはんだ又は他の接合の中に含まれ得る。管状筐体2406又は融解石英遠位アンカー2404の全体又は一部に融解石英又は他のガラス成分を使用することは、光ファイバ2402の材料の温度膨張係数に対する、これらの材料の温度膨張係数の良好な一致を提供し得る部材を提供し得る。
図24の一使用例に示された配置は、有利なことに耐久性を有することができ、容易に製造可能であることができ、環境圧力変動の検出、増幅などにおいて良好に機能することでき、又は小さいフォームファクターで首尾一貫して製造され得る。」

(オ)図2




(カ)図7A




(キ)図7B




(ク)図7C




(ケ)図24




イ 甲1文献に記載された発明
甲1文献の前記ア(エ)及び図24の記載によれば、甲1文献には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。

「同軸圧力センサアセンブリ2400であって、
光ファイバ2402を含み、
光ファイバ2402の遠位部分は、同軸圧力センサアセンブリ2400の遠位端部分に配置されるように、非弾性の遠位アンカー2404に確実に固定され、
管状の遠位アンカー2404は、非弾性の管状の筐体2406へと、それらの間に配置される可撓性のガスケット2408によって取り付けられ、
光ファイバ2402の第一の検知領域2410は、管状の取り付け領域2412を介して、筐体2406へと確実に固定され、
光ファイバ2402の第二の検知領域2414は、取り付け領域2412と遠位アンカー2404との間で順応性材料内に吊るされて、筐体2406内に配置され、
ガスケット2408の材料は、経皮生体内血管内ヒト血圧検知用途において存在する可能性のある圧力変動のような、測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた、ガスケット2408と光ファイバ2402の吊るされた第二の検知領域2414との縦方向の寸法変動を可能にするために、筐体2406及び遠位アンカー2404より相対的にもっと可撓性であり、
第一の検知領域2410は、第一のファブリー・ペロー干渉計を含み、
第二の検知領域2414は、第二のファブリー・ペロー干渉計を含む
同軸圧力センサアセンブリ2400。」

(2)甲2文献
甲2文献には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0029】
図1は、本発明によるキャリア実装型のファイバブラッググレーティング歪みゲージの例示的な実施形態を示す。図2は、ファイバを支持するゲージのキャリア部分を示す。図3は、例示的な、ゲージキャリアの弾性領域の接近図を示す。図4は、概して本発明によるキャリア実装型の歪みゲージにおいて使用できる例示的な光ファイバ固定要素の詳細を示す。
【0030】
具体的には、図1は、適所に光ファイバを配置して組み立てたゲージ(100)の斜視図である。このゲージは、ゲージキャリア(200)と、光ファイバ(102)と、光ファイバ内のブラッググレーティング(103)と、さらに光ファイバを保護する任意のファイババッファ管(104)と、を備えている。図1は、参照の目的で、ゲージ及びこれのキャリアの長さ、幅、厚さ寸法を示している。図1は、ゲージとこれのキャリアの長手方向軸207を示す。キャリアはさらに、長手方向軸に対して垂直であり、キャリアの幅と平行な横軸(図示せず)と、長手方向軸及び横軸に対して垂直で、キャリアの厚さと平行な垂直軸(図示せず)とを有することが理解されるであろう。この3本の軸はキャリアの中心点で交差する。例示的な実施形態では、キャリアは、1本又は複数本のこれらの軸に対して実質的に対称的である。特定の実施形態では、キャリアは長手方向軸に対して実質的に対称的である。図示にあるように、光ファイバはキャリア内に保持されており、2つのファイバ固定要素(202a、202b)にてキャリアに取り付けられている。以下で詳細に説明しているように、光ファイバは、キャリアに固定する前に予めに引張しておくことが好ましい。光ファイバは、ゲージ及びこれのキャリアの長手方向軸に沿って配置される。光ファイバは、キャリアへのファイバ固定地点どうしの間のファイバの長さにかけて、少なくとも1つのファイバブラッググレーティングを設けている。」

「【図1】



(3)甲3文献
甲3文献には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0005】
従来、装置の温度を測定する場合には熱電対を使用したり、赤外放射温度計のように非接触型の温度センサを使用していた。一方、最近は光ファイバのコアに紫外線等を照射して部分的に屈折率を上昇させてファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、FBGという)を書き込んだ光ファイバ温度センサも開発されている(例えば、特許文献1参照)。」

「【0022】
図1は本発明の光ファイバ温度センサの構成を表した縦断面図である。以下に本発明の光ファイバ温度センサの製造方法とともにその構成を説明する。
【0023】
図1において、プラスチック樹脂が被覆された光ファイバ1のプラスチック樹脂を所定長、例えば15?25mmだけ除去し、光ファイバのクラッド表面を露出させ、このクラッド表面を露出させた部分の一部のコアに紫外線等によりFBG2を書き込む。本実施の形態における光ファイバのクラッドの外径は250μmである。次いで前記プラスチック樹脂を所定長だけ除去した部分に金属薄膜3を被覆して温度感知部とする。金属薄膜は例えばニッケル(Ni)を蒸着方式や無電界メッキ方式により被覆する。金属薄膜の被覆厚は5μm以下が好ましい。金属薄膜を被覆する目的はFBGへの熱伝導率をよくするためであるが、5μmを超えるような厚さになると電力用装置の強電界の影響を受けることになるので好ましくない。また、強電界の影響を受けないようにするにはできるだけ薄い方がよいが、あまり薄くなると光ファイバの強度が弱くなり好ましくない。従って、最も好ましい厚さは1μm程度である。
【0024】
その後温度感知部の両端部のプラスチック樹脂が被覆された光ファイバ1の部分をプラスチック樹脂パイプ4に挿通し、このプラスチック樹脂パイプ4を下部パッケージ5に載置する。この時プラスチック樹脂パイプ4は光ファイバ1の前記したプラスチック樹脂を除去した端部から約5mmほどのところまで挿通する。また、プラスチック樹脂パイプ4の内径は光ファイバ1の外径より大きなものを用い、光ファイバ1がプラスチック樹脂パイプ4内でルースな状態で位置するようにする。例えばプラスチック樹脂パイプの外径は0.9mm、内径は0.5mmのようなものを用いるとよい。また、プラスチック樹脂パイプは耐低温性、耐候性、耐油性等を有する材料からなるものがよい。このような樹脂としては例えば、ハイトレル(デュポン社登録商標)が挙げられる。」

「【図1】



(4)甲4文献
甲4文献には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0002】
【技術分野】
本発明は、光ファイバ圧力センサに関し、特に、ブラッグ回折格子圧力センサに関する。」

「【0075】
図13および図14に示されているように、代わりの実施例として、回折格子12の両側の軸方向端部において、回折格子12に隣接した位置、もしくは回折格子12から所定距離L10だけ離間した位置で、管20をファイバ10に融接することができる。L10は、所望の長さにすることが可能であり、回折格子12の端部に一致させる(L10=0)こともできる。特に、管20の領域200はファイバ10に融接するが、回折格子12を取り囲んでいる中央部202はファイバ10に融接しない。回折格子12の周囲の領域202には、大気を封入したり、もしくは真空状態(もしくは他の圧力)にすることが可能である。また、接着剤(例えばエポキシ)、他の充填材料(例えばポリマやシリコン)もしくは他の材料により、その一部もしくは全体を充填することも可能である。管20の内径d6は、光ファイバ10の直径よりも約0.01?10ミクロンだけ大きい(例えば、125.01?135ミクロンである)。内径を他の大きさにすることもできるが、管20が軸方向に圧縮された場合にファイバの座屈(buckling)が生じないように、内径d6をファイバ10の外径に可能な限り近づけることによって、融接点の間における回折格子12およびファイバ10の径方向の移動を制限する必要がある。さらに、回折格子12の両側において、距離L10は対称とする必要はない。」

「【0102】
本願に記載された隔室もしくは領域34,64,74,100,116,202,306,406には、大気を封入したり、真空状態(もしくは他の圧力)としたり、その一部もしくは全体に流体(液体もしくは気体)、例えば油、を充填することができる。充填する流体のタイプは、所望の熱時定数、粘性、および所望の用途に基づく他の流体特性によって決まる。」

「【FIG13】



(5)甲5文献
甲5文献には、以下の記載がある。下線は、当合議体が付した。

「【0035】
図1は本発明の第1の実施形態による、ファイバブラッググレーティングハイドロホンの縦断面を示す。
【0036】
ファイバブラッググレーティングハイドロホンは圧縮性流体で満たされて二つの端部5a、5bを備えるケーシング4により区切られた流体キャビティ1を備える。
【0037】
ファイバブラッググレーティングハイドロホンはまたブラッググレーティング3が組み込まれた光ファイバ2を備え、レーザ空洞を形成する。ブラッググレーティング3は光ファイバ2に光蝕刻されてもよい。
【0038】
光ファイバ2は、ブラッググレーティング3が流体キャビティ1内に位置するように縦軸(X)に沿って流体キャビティ1を通って伸びている。ケーシング4の二つの端部5a、5bは光ファイバ2と一体である。
【0039】
ケーシング4は縦軸(X)に沿って伸びる伸縮自在のチューブ6a、6bにより形成された少なくとも一つの部分を備える。伸縮自在のチューブ6a、6bにより形成された部分は二つのケーシング端部5a、5bの一つと一致する外端を備える。伸縮自在のチューブ6a、6bは、縦軸(X)に沿って折り畳んだり広げたりできる柔軟性ベローズを形成する。」

「【図1】



(6)甲6文献
甲5文献には、以下の記載がある。原文の引用の後に当合議体が作成した日本語訳を記載する。

ア 第3欄第53行ないし第57行
「Referring to FIG. 1, fused tension-based fiber grating pressure
sensor 8 comprises a known optical waveguide 10, e.g., a standard
telecommunication single mode optical fiber, having a Bragg grating
12 impressed (or embedded or imprinted) in the fiber 10.」
「図1を参照すると、溶融張力ベースのファイバグレーティング圧力センサ8は、ファイバ10内に刻印された(又は埋め込まれた若しくは刻み込まれた)ブラッググレーティング12を有する既知の光導波路10、例えば標準的な電気通信シングルモード光ファイバを備えている。」

イ 第4欄第26行ないし第28行
「The fiber 10 on opposite sides of the grating 12 is fused to at
least a portion of two cylindrical glass capillary tube end caps 20
(or end tubes).」
「グレーティング12の両側のファイバ10は、2つの円筒形ガラス毛細管端部キャップ20(又は端部チューブ)のうちの少なくとも一部に取り付けられている。」

ウ 第7欄第15行ないし第18行
「An additional grating 50 may be located in the fiber 10 and fused
to one or both of the tubes 20 (in thermal proximity to the grating
12) to measure the temperature of the grating 12」
「追加のグレーティング50をファイバ10内に配置し、チューブ20の片方又は両方に(グレーティング12に熱的に近接して)取り付けて、グレーティング12の温度を測定することができる」

エ 図1




2 取消理由について
(1)本件発明2について
ア 対比
本件発明2と甲1発明(前記1(1)イ)とを対比すると、以下のとおりである。

(ア)甲1発明の「同軸圧力センサアセンブリ2400」は、本件発明2の「センサ組立体」に相当する。

(イ)甲1発明の「光ファイバ2402」は、本件発明2の「光ファイバ」に相当する。

(ウ)甲1発明の「光ファイバ2402」に「第二の検知領域2414」があることは、本件発明2の「光ファイバ」が「検知ファイバ部分を有する」ことに相当する。

(エ)甲1発明の「第二の検知領域2414は、第二のファブリー・ペロー干渉計を含む」。ここで、甲1文献の前記1(1)ア(ア)及び(イ)の記載を参照すると、甲1発明の「第二のファブリー・ペロー干渉計」は、二つの「ファイバ・ブラッグ格子(FBG)」を含むと認められる。そして、この「ファイバ・ブラッグ格子(FBG)」は、本件発明2の「ファイバ・ブラッグ・グレーティング」に相当する。
したがって、甲1発明の「第二の検知領域2414」が「第二のファブリー・ペロー干渉計を含む」ことは、本件発明2の「検知ファイバ部分」が「少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えた」ことに相当する。

(オ)甲1発明の「管状の遠位アンカー2404は、非弾性の管状の筐体2406へと、それらの間に配置される可撓性のガスケット2408によって取り付けられ」るから、甲1発明の「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」は、全体として一つの構造物を形成する。そして、この一つの構造物は、本件発明2の「検知本体」に相当する。

(カ)甲1発明の「ガスケット2408の材料は、」「測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた、ガスケット2408」「の縦方向の寸法変動を可能にする」から、甲1発明の「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物は、「測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた」「縦方向の寸法変動」をするものである。
ここで、甲1発明の「測定されるべき対象となる環境圧力変動」は、本件発明2の「測定される物理的性質」に相当するから、甲1発明の「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物が「測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた」「縦方向の寸法変動」をすることは、前記(オ)を踏まえると、本件発明2の「検知本体」が「測定される物理的性質に対して寸法が変化する」ことに相当する。

(キ)甲1発明の「光ファイバ2402の第二の検知領域2414」が「順応性材料内に吊るされて、筐体2406内に配置され」ることから、甲1発明の「順応性材料」は、「筐体2406内」を満たしており、したがって、甲1発明の「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物の内部空間を満たしていると認められる。
ここで、甲1発明の「順応性材料」は、本件発明2の「媒体」に相当するから、前記(オ)を踏まえると、甲1発明の「順応性材料」が「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物の内部空間を満たしていることと、本件発明2の「検知本体」が「圧縮性の媒体を用いて充填可能であ」ることとは、「検知本体」が「媒体を用いて充填可能である」点で共通する。

(ク)甲1発明の「光ファイバ2402の遠位部分は、同軸圧力センサアセンブリ2400の遠位端部分に配置されるように、非弾性の遠位アンカー2404に確実に固定され」、「光ファイバ2402の第一の検知領域2410は、管状の取り付け領域2412を介して、筐体2406へと確実に固定され」、「光ファイバ2402の第二の検知領域2414は、取り付け領域2412と遠位アンカー2404との間で」「吊るされて、筐体2406内に配置され」るから、甲1発明の「光ファイバ2402の第二の検知領域2414」は、その軸方向の両側で「非弾性の遠位アンカー2404」及び「筐体2406」にそれぞれ固定されている。そして、「非弾性の遠位アンカー2404」及び「筐体2406」は、「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物の一方の端部及び他方の端部ということができる。
そうすると、甲1発明の「光ファイバ2402の遠位部分」が「同軸圧力センサアセンブリ2400の遠位端部分に配置されるように、非弾性の遠位アンカー2404に確実に固定され」、「光ファイバ2402の第一の検知領域2410」が「管状の取り付け領域2412を介して、筐体2406へと確実に固定され」、「光ファイバ2402の第二の検知領域2414」が「取り付け領域2412と遠位アンカー2404との間で」「吊るされて、筐体2406内に配置され」ることは、前記(ウ)及び(オ)を踏まえると、本件発明2の「検知本体」が「前記検知ファイバ部分の軸方向の両側において前記光ファイバの取付点に取り付けられた本体端部を有」することに相当する。

(ケ)甲1発明の「光ファイバ2402の第二の検知領域2414」は、「取り付け領域2412と遠位アンカー2404との間で」「吊るされて、筐体2406内に配置され」るから、「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物が「光ファイバ2402の第二の検知領域2414」を包囲していることは明らかである。そして、このことは、前記(ウ)及び(オ)を踏まえると、本件発明2の「検知本体」が「前記検知ファイバ部分を包囲する」ことに相当する。

イ 一致点及び相違点
前記アの対比の結果をまとめると、本件発明2と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。

(ア)一致点
「センサ組立体であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティングを備えた検知ファイバ部分を有する光ファイバと、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体とを備え、
前記検知本体は、媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体は、前記検知ファイバ部分の軸方向の両側において前記光ファイバの取付点に取り付けられた本体端部を有し、
前記検知本体は前記検知ファイバ部分を包囲するセンサ組立体。」

(イ)相違点1
本件発明2は、「媒体」が「圧縮性の媒体」であるのに対し、
甲1発明は、「順応性材料」(本件発明2の「媒体」に相当する。)は、圧縮性であるか不明な点。

(ウ)相違点2
本件発明2は、「センサ組立体」が「さらに毛細管を備え、」「前記光ファイバは、前記毛細管内に配置され、」「前記光ファイバの前記取付点は、前記検知本体の前記本体端部に前記毛細管を介して取り付けられ、」「前記毛細管は、前記検知本体内に設けられ、前記」「媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持する」のに対し、
甲1発明は、「同軸圧力センサアセンブリ2400」(本件発明2の「センサ組立体」に相当する。)が毛細管を備えない点。

ウ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
甲1発明の「順応性材料」は、前記ア(キ)のとおり、「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が形成する一つの構造物の内部空間を満たしていると認められる。そして、この一つの構造物は、「測定されるべき対象となる環境圧力変動に応じた」「縦方向の寸法変動」をするものであるから(前記ア(カ))、その内部空間の体積が変動し得ることは、当業者が当然に想定することである。そのように体積が変動し得る内部空間を満たす「順応性材料」として、圧縮性のものを選択することは、当業者が適宜行い得る事項にすぎない。
そのような選択の結果、甲1発明が相違点1に係る本件発明2の構成を備えるようになることは、明らかである。

(イ)相違点2について
まず、甲1文献には、ファイバ・ブラッグ格子干渉計704を内部に含む光ファイバ702を備える光ファイバ圧力センサ700において、ファイバ・ブラッグ格子干渉計704の位相シフト格子の近位部分(すなわち、光ファイバ702の近位部分710)を、接着することで、毛細管である支持部材714によってシース708内に捕捉することが記載されている(前記1(1)ア(ウ))。また、甲1文献には、光ファイバ圧力センサ700は近位端718で密封されることが記載されている(同)。
光ファイバ圧力センサ700の近位端718は、光ファイバ702の近位部分710の端部であるから、光ファイバ圧力センサ700の近位端718での密封は、光ファイバ702と毛細管である支持部材714との間が密封され、かつ、毛細管である支持部材714とシース708との間が密封されることによって実現されていると解される。そうすると、毛細管である支持部材714は、シース708とシース708内にある光ファイバ702との間の空間を隙間なく埋めていることになる。このことは、甲1文献の図7Cからも見て取れる。すなわち、毛細管である支持部材714は、その内部に光ファイバ702の近位部分710が配置されているものの、その外部には媒体を用いて充填されるべき空間が存在しない。
したがって、毛細管である支持部材714は、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバ702の近位部分710を支持するものではない。
次に、甲1文献には、光ファイバ702の遠位部分712で、光ファイバ圧力センサ700が空気で満たされた空洞716を画定し、光ファイバ702が可撓性センサ膜706に取り付けられることが記載されている(前記1(1)ア(ウ))。また、甲1文献には、光ファイバ圧力センサ700は近位端718及び遠位端720の両方で密封され、さらに可撓性センサ膜706が密封された空洞716を生成して密封されることが記載されている(同)。
そうすると、光ファイバ702の遠位部分712は、媒体(空気)を用いて充填された検知本体内にあるということができる。このことは、甲1文献の図7Cからも見て取れる。しかし、光ファイバ702の遠位部分712は、毛細管である支持部材714とは関係なく、可撓性センサ膜706に取り付けられている。
したがって、毛細管である支持部材714は、媒体(空気)を用いて充填された検知本体内で光ファイバ702の遠位部分712を支持するものではない。
以上のことから、甲1文献に記載された毛細管である支持部材714は、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバ702を支持するものではない。
甲2文献には、ブラッググレーティング103を内部に含む光ファイバ102を備えるゲージ100において、光ファイバを保護するファイババッファ管104を設けることが記載されている(【0030】、図1)。しかし、ファイババッファ管104は、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバ102を支持するものではない。
甲3文献には、ファイバ・ブラッグ・グレーティング2を書き込んだ光ファイバ1を備える光ファイバ温度センサにおいて、光ファイバ1をプラスチック樹脂パイプ4に挿通することが記載されている(【0022】ないし【0024】、図1)。しかし、プラスチック樹脂パイプ4は、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバ1を支持するものではない。
甲4文献ないし甲6文献にも、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバを支持する毛細管は記載されていないし、示唆されてもいない。
以上のとおり、媒体を用いて充填された検知本体内で光ファイバを支持する毛細管は、甲1文献ないし甲6文献に記載も示唆もされていないから、相違点2に係る本件発明2の構成は、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできない。
また、相違点2に係る本件発明2の構成が周知であるとか、当業者にとって自明であると認めるに足りる証拠もない。

エ 本件発明2についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明2は、甲1文献ないし甲3文献に記載された発明に基づいて、又はさらに甲4文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

(2)本件発明3ないし本件発明10について
本件発明3ないし本件発明10は、本件発明2の構成を全て含むから、少なくとも本件発明2と甲1発明との相違点1及び相違点2(前記(1)イ(イ)及び(ウ))において甲1発明と相違する。そして、前記(1)ウ(イ)のとおり、相違点2に係る本件発明2の構成は、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点2に係る本件発明3ないし本件発明10の構成も同様である。
そうすると、本件発明3ないし本件発明10は、甲1文献ないし甲4文献に記載された発明に基づいて、又はさらに甲5文献及び甲6文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、本件発明3ないし本件発明10についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

3 取消理由としなかった特許異議の申立ての理由について
(1)本件発明11について
ア 一致点及び相違点
本件発明11と甲1発明(前記1(1)イ)とを対比すると、本件発明2と甲1発明との対比の結果(前記2(1)ア(ア)ないし(ケ))がそのまま当てはまる。
したがって、本件発明11と甲1発明との一致点は、本件発明2と甲1発明との一致点と同じであり、本件発明11と甲1発明との相違点は、以下のとおりである。

(ア)相違点3
本件発明11は、「検知本体」が「非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備え」ており、したがって、「媒体」が「非圧縮性充填材料」であるのに対し、
甲1発明は、「順応性材料」(本件発明2の「媒体」に相当する。)は、非圧縮性充填材料であるか不明な点。

(イ)相違点4
本件発明11は、「センサ組立体」が「さらに、前記検知本体の第1の本体端部に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバは前記第1の分離機構を横断している」のに対し、
甲1発明は、「同軸圧力センサアセンブリ2400」(本件発明11の「センサ組立体」に相当する。)が、「管状の遠位アンカー2404」、「非弾性の管状の筐体2406」及び「それらの間に配置される可撓性のガスケット2408」が全体として形成する一つの構造物(本件発明11の「検知本体」に相当する。)に当接する分離機構を備えない点。

イ 相違点についての判断
(ア)相違点3について
甲4文献には、ブラッグ回折格子圧力センサにおいて、光ファイバ10の回折格子12の周囲の領域202に、大気を封入したり、その全体に例えば油のような流体を充填したりすることができ、充填する流体のタイプは、所望の熱時定数、粘性、及び所望の用途に基づく他の流体特性によって決まることが記載されている(【0002】、【0075】、【0102】、図13)。
これは、甲1発明の「順応性材料」の特性を、所望の用途に応じて適宜選択することを示唆するものである。甲1発明の「順応性材料」を非圧縮性とすることは、この示唆に従い、当業者が適宜行い得ることにすぎない。
その結果、甲1発明が相違点3に係る本件発明11の構成を備えるようになることは、明らかである。

(イ)相違点4について
甲5文献には、圧縮性流体で満たされた流体キャビティ1と流体キャビティ1を通って伸びる光ファイバ2とを備えるファイバブラッググレーティングハイドロホンが記載されている(【0036】、【0038】、図1)。また、甲5文献には、流体キャビティ1は二つの端部5a、5bを備えるケーシング4により区切られており、二つの端部5a、5bは光ファイバ2と一体であることが記載されている(【0036】、【0038】)。さらに、甲5文献には、ケーシング4の両端に、伸縮自在のチューブ6a、6bにより柔軟性ベローズが形成されていることが記載されている(【0039】)。
ケーシング4の二つの端部5a、5bが光ファイバ2と一体であることから、圧縮性流体で満たされた流体キャビティ1を区切るケーシング4は、その二つの端部5a、5bで、光ファイバ2に固定されていることが分かる。
そうすると、甲5文献に記載されたファイバブラッググレーティングハイドロホンの流体キャビティ1を区切るケーシング4は、圧縮性媒体で充填された中空スペースを備える検知本体ということができる。そして、ケーシング4の両端の伸縮自在のチューブ6a、6bにより形成された柔軟性ベローズは、ケーシング4の一部をなすものであるから、検知本体の端部に当接する分離機構であるということはできない。
したがって、甲5文献には、検知本体の端部に当接する分離機構は記載されていないし、示唆されてもいない。
甲1文献ないし甲4文献及び甲6文献にも、検知本体の端部に当接する分離機構は記載されていないし、示唆されてもいない。
以上のとおり、検知本体の端部に当接する分離機構は、甲1文献ないし甲6文献に記載も示唆もされていないから、相違点4に係る本件発明11の構成は、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできない。
また、相違点4に係る本件発明11の構成が周知であるとか、当業者にとって自明であると認めるに足りる証拠もない。

ウ 本件発明11についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件発明11は、甲1文献ないし甲5文献に記載された発明に基づいて、又はさらに甲6文献に記載された発明に基づいても、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、本件発明11についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

(2)本件発明12ないし本件発明15について
本件発明12ないし本件発明15は、本件発明11の構成を全て含むから、少なくとも本件発明11と甲1発明との相違点3及び相違点4(前記(1)ア(ア)及び(イ))において甲1発明と相違する。そして、前記(1)イ(イ)のとおり、相違点4に係る本件発明11の構成は、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に思い付くものであるということはできないから、相違点4に係る本件発明12ないし本件発明15の構成も同様である。
そうすると、本件発明12ないし本件発明15は、甲1文献ないし甲6文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。
したがって、本件発明12ないし本件発明15についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては、本件発明2ないし本件発明15についての特許を取り消すべきであるということはできない。また、他に、本件発明2ないし本件発明15についての特許を取り消すべきであるとする理由を発見しない。
本件発明1についての特許に対する特許異議の申立ては、本件訂正により請求項1が削除された結果、申立ての対象が存在しないものとなった。したがって、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、却下するべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】(削除)
【請求項2】
センサ組立体(100)であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、
前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、
前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、
前記センサ組立体は、さらに毛細管(40)を備え、
前記光ファイバ(30)は、前記毛細管(40)内に配置され、
前記光ファイバの前記取付点は、前記検知本体(50)の前記本体端部(51、52)に前記毛細管(40)を介して取り付けられ、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)内に設けられ、前記圧縮性の媒体を用いて充填された前記検知本体内において前記光ファイバを半径方向に支持するセンサ組立体。
【請求項3】
請求項2に記載のセンサ組立体において、
前記光ファイバ(30)は、少なくとも部分的に前記毛細管(40)に取り付けられ、
前記毛細管(40)は、前記光ファイバ(30)を前記毛細管(40)に取り付けるための接着剤(41)で充填されているセンサ組立体。
【請求項4】
請求項2または3に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)の少なくとも全長または実質的に全長にわたって延在するセンサ組立体。
【請求項5】
請求項2、3または4に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)に隣接するファイバ部分にわたって延在する毛細管部分(43、45)を有し、前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)は毛細管(40)を有しないセンサ組立体。
【請求項6】
請求項5に記載のセンサ組立体において、
毛細管部分が、前記検知本体の前記本体端部から前記ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)に隣接する位置まで延在するセンサ組立体。
【請求項7】
請求項2?6のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記毛細管(40)は、前記検知本体(50)を超えて延在して前記光ファイバ(30)を保護するセンサ組立体。
【請求項8】
請求項2?7のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体(50)の外径は、1?5mmの範囲内であるセンサ組立体。
【請求項9】
請求項2?8のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記センサ組立体は、インビボおよび/または血管内血圧測定用であり、
少なくとも前記毛細管(40)は生体適合性材料製であるセンサ組立体。
【請求項10】
請求項2?9のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備えるセンサ組立体。
【請求項11】
センサ組立体(100)であって、
少なくとも1つのファイバ・ブラッグ・グレーティング(32)を備えた検知ファイバ部分(31)を有する光ファイバ(30)と、
測定される物理的性質に対して寸法が変化する検知本体(50)とを備え、
前記検知本体(50)は、圧縮性の媒体を用いて充填可能であり、
前記検知本体(50)は、前記検知ファイバ部分(31)の軸方向の両側において前記光ファイバ(30)の取付点(37、38)に取り付けられた本体端部(51、52)を有し、
前記検知本体(50)は前記検知ファイバ部分(31)を包囲し、
前記検知本体は、非圧縮性充填材料で充填された中空スペースを備え、
前記センサ組立体は、
さらに、前記検知本体(50)の第1の本体端部(51;52)に当接する第1の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)は前記第1の分離機構を横断しているセンサ組立体。
【請求項12】
請求項11に記載のセンサ組立体において、
前記検知本体の前記第1の本体端部(51;52)に対向する前記検知本体(50)の第2の本体端部(51;52)に当接する第2の分離機構を備え、前記光ファイバ(30)が前記第2の分離機構を横断しているセンサ組立体。
【請求項13】
請求項11または12に記載のセンサ組立体において、
前記第1および/または第2の分離機構は、圧力吸収体(151、152)であるセンサ組立体。
【請求項14】
請求項13に記載のセンサ組立体において、
前記圧力吸収体(151、152)の軸方向の剛性は、前記検知本体(50)の軸方向の剛性よりも低いセンサ組立体。
【請求項15】
請求項11?14のいずれか一項に記載のセンサ組立体において、
前記第1または第2の圧力吸収体(151、152)を横断する前記光ファイバ(30)の部分(131、132)が、その端部セクション(137、138)において、前記第1または第2の圧力吸収体(151、152)に取り付けられ、前記光ファイバの前記部分は、さらに、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(32、33)を備えるセンサ組立体。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-01-30 
出願番号 特願2017-510287(P2017-510287)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森 雅之  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 小林 紀史
濱野 隆
登録日 2018-09-28 
登録番号 特許第6409123号(P6409123)
権利者 フグロ テクノロジー ベー・フェー
発明の名称 センサ組立体  
代理人 網屋 美湖  
代理人 網屋 美湖  
代理人 池田 恵一  
代理人 池田 恵一  
代理人 大菅 義之  
代理人 永井 冬紀  
代理人 永井 冬紀  

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