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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G
管理番号 1360866
審判番号 不服2018-9765  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-17 
確定日 2020-03-13 
事件の表示 特願2016-216030「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月16日出願公開、特開2017- 54136〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月25日を出願日とする特願2011-183330(以下「第1原出願」という。)の一部を平成25年7月19日に新たな特許出願とした特願2013-150268号の一部をさらに平成26年6月26日に新たな特許出願とした特願2014-131755号の一部をさらに平成27年8月7日に新たな特許出願とした特願2015-157177号の一部をさらに平成28年6月10日に新たな特許出願とした特願2016-115917号の一部をさらに平成28年11月4日に新たな出願としたものであって、平成29年7月10日付けで拒絶理由が通知され、同年9月7日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成30年4月13日付けで拒絶査定(発送日:同年4月17日、以下「原査定」という。)がなされた。
これに対して同年7月17日に拒絶査定不服審判の請求がされ、当該請求と同時に手続補正書が提出され、当審において令和1年7月1日付けで拒絶理由が通知され、同年8月30日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、令和1年8月30日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであって、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)はつぎのとおりのものである。

「【請求項1】
画像形成機能を有する装置本体の筐体と、
前記筐体の正面側に設けられており、画面の角度を変更することが可能なチルト機構を有する操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記筐体の幅方向における一部の領域に配置され、
前記筐体の正面は、
第1色彩で形成された第1部分と、
前記第1色彩とは異なる第2色彩で形成された第2部分と、
を有し、
前記操作部を支持する支持部の一部は、前記第2色彩で形成されており、
前記第2色彩は、前記第1色彩よりも暗い色彩である、画像形成装置。」

第3 電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献

1.引用文献
bizhub C650,KONICA MINOLTA,[onine],日本,コニカミノルタ ビジネスソリューションズ株式会社,[検索日:2019年6月21日],インターネット・アーカイブ ウェイバック・マシン(Internet Archive Wayback Machine)の保存日:2010年10月9日,URL:https://web.archive.org/web/20101009093933/https://www.konicaminolta.jp/business/products/copiers/color/bizhub_c650/pdf/bizhub_c650.pdf(以下、「引用文献1」という。)

2.令和1年7月1日付けの当審における拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)において引用され、第1原出願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1には、つぎの事項が記載されている。
(1)引用文献1の第02ページ(引用文献1の1枚目?3枚目を第01?第03ページとし、4枚目以降は各ページの左下、右下のいずれかに記載されている表示「bizhubC650 04」等に示されている数字をページ数とする。例えば「bizhubC650 04」又は「05 bizhubC650」の表示に基づいてそれぞれ「第04ページ」、「第05ページ」という。) 左上の「bizhubは、コニカミノルタが提案する複合機のブランドです。」及び同ページ右の「そのビジネスソリューションがサプライズとなる、bizhub C650登場。」との記載から、引用文献1には「複合機bizhub C650」が記載されているといえる。
(2)引用文献1の第01ページには、「bizhub C650」の左斜め前から撮影した全体画像が、同03ページには、「bizhub C650」の右斜め前から撮影した一部画像が掲載されており、同画像によれば、bizhub C650の本体筐体と本体筐体に結合された液晶表示画面とテンキー等の入力ボタンを備える操作入力部を備えること、本体筐体の正面は、黒色部分と右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分からなり、操作入力部は、白色部分に重なるように配置されていることが見て取れる。
(3)引用文献1の第18ページには、「インテリアと調和する ブラックカラーのシンプルボディ」との表題とともに「さまざまなオフィスインテリアとの調和を研究して生まれたシンプルなフォルムと、斬新なブラック&ホワイトのボディカラーを採用しています。ホワイトライン部には情報を集中表示させる機能を持たせ、アラームや用紙補給タイミングなどを離れたところからでも分かるように光で知らせます。」と記載されていることから、「bizhub C650」の本体筐体の正面には、情報を集中表示させる機能を持たせたホワイトライン部が形成されていることが読み取れるところ、当該ホワイトライン部が本体筐体の正面の右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分を意味するものであると認められる。
(4)引用文献1の第19ページには、「ユーザビリティを追求した 角度可変・大型コントロールパネル」との表題とともに「使う人に合わせて、上下に22度(3段階)、左右に30度(無段階)動かせるチルトタイプのコントロールパネルを搭載。さらに、8.5型WVGA(800×480ドット)の大型カラーLCDパネルを採用しています。」と記載されており、これらの記載によれば、上記操作入力部が「コントロールパネル」であること、チルトタイプのコントロールパネルは、本体筐体に対して上下左右に動かすことができ、前記コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部を有していることは明らかといえる。
また、「ユーザビリティを追求した 角度可変・大型コントロールパネル」との表題下の写真によれば、コントロールパネルを形成する筐体部分と、コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部がともに白色の部材で形成されていることが見て取れる。

3.引用文献1記載の発明
以上によれば、引用文献1には、つぎの発明が記載されているものと認められる。
「本体筐体と液晶表示画面とテンキー等の入力ボタンを備えるコントロールパネルとを備え、本体筐体の正面は、黒色部分と、右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分とから形成されており、コントロールパネルが白色部分と重なるように配置されており、チルトタイプのコントロールパネルは、本体筐体に対して上下左右に動かすことができ、コントロールパネルを形成する筐体部分と、コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部がともに白色の部材で形成されている複合機bizhub C650」

第4 当審の判断

1.本願発明1と引用発明1との対比
引用発明1の「複合機bizhub C650」は、本願発明1の「画像形成機能を有する装置」及び「画像形成装置」に相当し、以下同様に、「コントロールパネル」は「操作部」に相当する。
引用発明1の「チルトタイプのコントロールパネル」は、「本体筐体に対して上下左右に動かすことができ」るから、本願発明1の「画面の角度を変更することが可能なチルト機構を有する操作部」に相当する。
引用発明1において、「本体筐体の正面は、黒色部分と、右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分とから形成されており、コントロールパネルが白色部分と重なるように配置されて」いることは、本願発明1の「操作部は、前記筐体の幅方向における一部の領域に配置され」ることに相当する。
引用発明1の「本体筐体の正面は、黒色部分と右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分とから形成されて」いるのに対して、本願発明1の「筐体の正面は」、「第1色彩で形成された第1部分と、前記第1色彩とは異なる第2色彩で形成された第2部分」からなり、前記白色と、前記黒色は異なる色彩であるから、前記「白色部分」は前記「第1色彩で形成された第1部分」と前記「第2色彩で形成された第2部分」の一方に相当し、前記「黒色部分」は前記「第1色彩で形成された第1部分」と前記「第2色彩で形成された第2部分」の他方に相当するといった二通りの相当関係が考えられるが、引用発明1の「コントロールパネルと、本体筐体を接続する接続部が・・・白色の部材で形成されている」から、ここでは、引用発明1の「白色部分」、「黒色部分」はそれぞれ本願発明1の「第2色彩で形成された第2部分」、「第1色彩で形成された第1部分」に相当するものとする。
そして、引用発明1の「コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部が・・・白色の部材で形成されている」ことは、本願発明1の「操作部を支持する支持部の一部は、前記第2色彩で形成されて」いることに相当する。

2.一致点・相違点
前記「1.」の検討をふまえれば、本願発明1と引用発明1とは、つぎの一致点で一致し、各相違点で相違するものである。

<一致点>
「画像形成機能を有する装置本体の筐体と、
前記筐体の正面側に設けられており、画面の角度を変更することが可能なチルト機構を有する操作部と、
を備え、
前記操作部は、前記筐体の幅方向における一部の領域に配置され、
前記筐体の正面は、
第1色彩で形成された第1部分と、
前記第1色彩とは異なる第2色彩で形成された第2部分と、
を有し、
前記操作部を支持する支持部の一部は、前記第2色彩で形成されている、画像形成装置。」
<相違点>
本願発明1の「筐体の正面」は、「第1色彩で形成された第1部分と、前記第1色彩とは異なる第2色彩で形成された第2部分とを」「を有し」、「操作部を支持する支持部の一部は、前記第2色彩で形成されており」、「前記第2色彩は、前記第1色彩よりも暗い色彩である」であるのに対して、引用発明1の「本体筐体の正面」は、「黒色部分」と「白色部分」から形成されていることと「コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部」が白色の部材で形成されている」点。

3.相違点についての当審の判断
引用発明1は、「本体筐体の正面のデザインは、黒色部分を基調とし正面の右側部分に所定の幅で上下方向全域に形成された白色部分からなるデザイン」(上記第3の2.(3)「インテリアと調和する ブラックカラーのシンプルボディ」)を採用しているものと認められるところ、引用発明1のような「複合機」の筐体の色彩のデザインの基調となる色をどのような色とするかは、装置のイメージ、対象となるユーザや設置場所に応じて適宜決定する設計的要素にすぎない。
そして、引用発明1のような「複合機」において、本体筐体の色彩のデザインを「白色」を基調とするものは従来周知のものであることに照らせば、引用発明1の黒色部分を基調としたデザインを、周知の色彩デザインである白色基調のものとすることは、必要に応じて適宜なし得る程度のことというべきであるし、そのような白色基調のデザインを引用発明1のものに適用した場合には、本体筐体の基調色が白色となるのであるから、正面の右側部分に所定幅で上下方向全域に形成された部分は、白色以外の色を用いることになるところ、その場合には、正面の右側部分に所定幅で上下方向全域に形成された部分は白色に比べて必然的に暗い色彩となることになる。
よって、引用発明1の「本体筐体の正面」は、「黒色部分」と「白色部分」から形成されていることと「コントロールパネルと本体筐体を接続する接続部」が白色の部材で形成されている」ことを、「白色」を基調とする筐体の色彩のデザインを適用することによって、相違点に係る本願発明1の発明特定事項の如く構成することは当業者が容易に想到し得るものである。
また、前記相違点に係る本願発明1の発明特定事項により、本願発明1に格別の作用効果が生じるものでもない。

4.以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

第5 むすび
前記のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、前記の結論のとおり審決する。

 
審理終結日 2020-01-10 
結審通知日 2020-01-14 
審決日 2020-01-27 
出願番号 特願2016-216030(P2016-216030)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (G03G)
P 1 8・ 121- WZ (G03G)
P 1 8・ 537- WZ (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 畑井 順一
吉村 尚
発明の名称 画像形成装置  
代理人 特許業務法人 楓国際特許事務所  

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