• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1361109
審判番号 不服2019-8737  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-07-01 
確定日 2020-03-26 
事件の表示 特願2017-171964号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日出願公開、特開2017-225858号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年10月22日(以下「出願遡及日」という。)に出願した特願2009-243428号の一部を平成26年11月5日に新たな特許出願(特願2014-225264号)とし、さらにその一部を平成28年8月31日に新たな特許出願(特願2016-170329号)とし、さらにその一部を平成29年9月7日に新たな特許出願(特願2017-171964号)としたものであって、平成30年8月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月1日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年4月22日付け(送達日:令和1年5月7日)で拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年7月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成30年11月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである(A?Kは、本願発明を分説するために当審で付した)。

「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記リールの周面に配された複数の図柄の一部を表示する表示窓と、
C 遊技者の開始操作を受け付ける開始操作手段と、
D 遊技者により前記開始操作手段が操作されることに応じて、前記リールを回転させることにより、前記表示窓に表示されている図柄を変動させる図柄変動手段と、
E 遊技者により前記開始操作手段が操作されることに応じて、複数の役の中から内部当籤役を決定する内部抽籤手段と、
F 複数の前記リールのそれぞれに対応して設けられ遊技者の停止操作を受け付ける複数の停止操作手段と、
G 遊技者により前記停止操作手段が操作されることに応じて、前記内部抽籤手段により決定された内部当籤役に基づいて、前記リールの回転を停止させることにより、前記表示窓に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
H 前記リール停止制御手段により前記図柄の変動が停止されたときに、前記表示窓において表示された図柄の組合せに応じて、利益を付与する利益付与手段と、
I 前記リールの回転開始を遅らせる第1フリーズ演出を実行可能であるとともに、当該第1フリーズ演出が実行された遊技において、さらに前記リールの回転開始後遊技者による前記停止操作手段の操作を受け付けない第2フリーズ演出を実行可能なフリーズ演出実行手段と、
J 前記第2フリーズ演出中に遊技者による特定の操作が行われたことに応じて、特定の演出を実行可能な特定演出実行手段と、
K を備えたことを特徴とする遊技機。」

第3 原査定の拒絶の理由
拒絶査定の理由である、平成30年8月28日付け拒絶理由通知書に記載した理由は、概略、次のとおりのものである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項 1-2
・引用文献等 1-3

引用文献等一覧
1.特開2009-34217号公報
2.特開2009-5929号公報
3.特開2004-337451号公報


第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2009-34217号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

ア 「【0038】
<<<第1の実施の形態>>>
<<スロットマシン10の構成>>
図1は、本実施形態に係るスロットマシン10の前面を示す正面図である。また、図2は、スロットマシン10の内部構造を示す図である。」

イ 「【0042】
<スタートスイッチ42>
上述したスタートスイッチ42は、単位遊技を進めるために遊技者によって操作されるスイッチである。スタートスイッチ42を遊技者が操作することによって、スタートスイッチ42から始動信号が発せられる。スタートスイッチ42から発せられた始動信号は、後述するメイン制御基板32に供給される。メイン制御基板32は、始動信号を検出することによって、後述する3つのリール30L、30C及び30Rの回転駆動の制御を開始する。
【0043】
<ストップスイッチ44a、44b及び44c>
上述した3つのストップスイッチ44a、44b及び44cも、単位遊技を進めるために遊技者によって操作されるスイッチである。3つのストップスイッチ44a、44b及び44cを遊技者が操作することによって、3つのストップスイッチ44a、44b及び44cの各々から別個に停止信号が発せられる。3つのストップスイッチ44a、44b及び44cの各々から発せられた停止信号は、後述するメイン制御基板32に供給される。メイン制御基板32は、停止信号を検出することによって、後述する3つのリール30L、30C及び30Rの停止駆動の制御を別個に開始する。
【0044】
<リール表示窓51とリール30L,30C,30R>
図1及び図2に示すように、前面扉40には、前面枠50が形成されている。前面枠50の略中央部には、リール表示窓51が形成されている。図2に示すように、3つのリール30L,30C,30Rは、リールユニット28内に回転可能に収容されている。リールユニット28は、前面29が開放されており、後述するように、遊技者はリールユニット28の前面29に位置した図柄の種類を視認することができる。リールユニット28は、基体部20に固定された支持板26によって支持されている。前面扉40が閉じられたときには、リール表示窓51は、リールユニット28の前面29の前方に位置する。リール表示窓51は、透明な部材で覆われており、前面扉40が閉じられたときには、遊技者は、リール表示窓51を介して3つのリール30L,30C,30Rに描かれている図柄の種類を視認することができる。
【0045】
3つのリール30L,30C,30Rの各々は、複数のスポーク部と円環状の枠体とを有する。複数のスポーク部の各々は、3つのリール30L,30C,30Rの各々の回転中心となる軸部から外周に向かって半径方向に延びるように形成されている。円環状の枠体は、樹脂等からなり、21個の図柄が描かれた帯が、枠体に貼り付けられている。このようにすることで、3つのリール30L,30C,30Rの各々に21個の図柄を付すことができる。」

ウ 「【0053】
<リール30L,30C,30Rとストップスイッチ44a,44b,44c>
左リール30Lは、左側のストップスイッチ44aに対応する。遊技者が、左側のストップスイッチ44aを操作したときには左リール30Lが停止する。中リール30Cは、中央のストップスイッチ44bに対応する。遊技者が、中央のストップスイッチ44bを操作したときには中リール30Cが停止する。右リール30Rは、右側のストップスイッチ44cに対応する。遊技者が、右側のストップスイッチ44cを操作したときには右リール30Rが停止する。」

エ 「【0058】
上述したように、リール表示窓51には5本の入賞ラインL1?L5が描かれている。1ベットスイッチ62を遊技者が操作したときには、5本の入賞ラインのうちの1本、例えば入賞ラインL1が有効化される。2ベットスイッチ64を操作したときには、5本の入賞ラインのうちの3本、例えば入賞ラインL1?L3が有効化される。最大ベットスイッチ66を操作したときには、5本の入賞ラインの全て、すなわち、L1?L5が有効化される。このように3つのベットスイッチ62,64及び66は、遊技の賭けの対象となるメダルの枚数を定めると共に、入賞ラインL1?L5を有効化する有効ライン化手段として機能する。
【0059】
<有効ライン>
上述したように、3つのベットスイッチ62,64及び66は、遊技者が操作することにより、入賞ラインL1?L5を有効化する遊技媒体数設定手段として機能する。1ベットスイッチ62を遊技者が操作したときには、入賞ラインL1が有効化され、2ベットスイッチ64を操作したときには、入賞ラインL1?L3が有効化され、最大ベットスイッチ66を操作したときには、入賞ラインL1?L5の全てが有効化される。上述したように、有効化された入賞ラインを有効ラインと称する。」

オ 「【0113】
<メイン制御手段100(遊技制御手段)>
メイン制御手段100には、上述した操作手段500や遊技媒体数設定手段600のほか、サブ制御手段200や、図柄表示手段400が電気的に接続されている。メイン制御手段100は、遊技の進行等の遊技全体を制御する。このメイン制御手段100は、上述したメイン制御基板32からなるのが好ましい。」

カ 「【0130】
役抽選手段120は、例えば、乱数発生手段122と、乱数抽出手段124と、乱数判定手段126とを含む。乱数発生手段122は、役抽選処理用の乱数(ハードウェア乱数等)を発生させる。乱数抽出手段124は、乱数発生手段122によって発せられた乱数を抽出する。乱数判定手段126は、乱数抽出手段124が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する。この役抽選手段120によって、「役抽選手段」が構成され、「役抽選処理」が行われる。
【0131】
「役抽選処理」は、遊技についての「当り」又は「外れ」を定める処理である。具体的には、後述する図4のステップS407で呼び出される図5に示すサブルーチンの処理で実行される。
【0132】
<乱数発生手段122>
乱数発生手段122は、所定の正の整数の範囲(例えば10進法で0?65535)の乱数を、所定のタイミング毎に継続的に発生させる。
【0133】
<乱数抽出手段124>
乱数抽出手段124は、乱数発生手段122によって発生させた乱数を、所定のタイミングで抽出する。例えば、本実施の形態では遊技者によってスタートスイッチ42が操作されたときに乱数を抽出する。
【0134】
<乱数判定手段126>
乱数判定手段126は、乱数抽出手段124によって抽出された乱数値を、後述する確率テーブル記憶手段128に記憶された抽選確率テーブル(確率テーブル)と照合することにより、その乱数値が属する領域に対応する役を決定する。」

キ 「【0157】
<リール停止制御手段134>
リール停止制御手段134は、ストップスイッチ44a,44b又は44cが遊技者によって操作されたときのタイミングと、上述した役抽選手段120の抽選処理の結果とに基づいて、モータ86a、86b又は86cへ停止制御信号を発して、左リール30L、中リール30C又は右リール30Rの停止制御をする。」

ク 「【0201】
<フリーズ演出テーブル記憶手段180>
フリーズ演出テーブル記憶手段180は、当選役とフリーズ演出との対応関係を記憶する。具体的には、図13(a)及び(b)の第2列(当選役)及び第3列(フリーズ演出)の対応関係をデータテーブルとして記憶する。このフリーズ演出テーブル記憶手段180に記憶された対応関係を読み出して参照することによって、役抽選手段120の抽選処理による当選役に対応するフリーズ演出を決定することができる。この図13(a)及び(b)の第3列に示したフリーズ演出では、フリーズ演出の有無と、フリーズの時間とのみを定めるものを示したが、フリーズ演出をするタイミングを定めるフラグF_freeze1及びフラグF_freeze2の値を定めるデータを記憶させてもよい。フラグF_freeze1及びフラグF_freeze2の値を定めるデータを付加することによって、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ、さらに、フリーズ演出による報知の内容の判断をより困難にすることができ、遊技者に楽しませたり、疑問を感じさせたりすることができる。」

ケ 「【0213】
このサブ制御手段200は、上述したサブ制御基板52からなるのが好ましい。サブ制御手段200は、情報送信手段270を含む。」

コ 「【0221】
<メイン制御手段100における制御>
図4は、メイン制御手段100における制御を示すフローチャートである。
【0222】
最初に、フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断する(ステップS401)。フラグF_freeze1は、後述するフリーズをさせるか否かを示すフラグであり、フラグF_freeze1の値が1であるときには、フリーズをさせ、フラグF_freeze1の値が0であるときには、フリーズをさせないことを示す。ここにおけるフリーズは、単位遊技の開始を一時的に中断するものであり、以下では、フラグF_freeze1の値によるフリーズを、開始フリーズと称する。この開始フリーズの時間は、後述する図5のステップS523の処理を実行することによって定められる。
・・・
【0233】
次いで、上述したリール駆動制御手段130のリール回転制御手段132によって、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始する(ステップS414)。さらに、後述する図5に示す停止制御のサブルーチンを呼び出して、リール駆動制御手段130のリール停止制御手段134によって、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する(ステップS415)。
【0234】
ステップS415の処理を実行した後、後述する図6に示す入賞処理のサブルーチンを呼び出して、今回行われた単位遊技の入賞処理を実行し(ステップS416)、本サブルーチンを終了する。」

サ 「【0253】
なお、図13(a)又は(b)に示した表には、フラグF_freeze1及びフラグF_freeze2については示していないが、図13(a)又は(b)の第3列のフリーズ演出に、フラグF_freeze1の値とフラグF_freeze2の値とについても定めるためのデータを付加すればよい。
【0254】
<リール停止制御処理>
図6は、上述した図4のサブルーチンのステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理のサブルーチンを示す。
【0255】
最初に、ストップスイッチ44a、44b又は44cが遊技者によって操作されたか否かを判断する(ステップS601)。この判断処理は、ストップスイッチ44a,44b又は44cから停止信号が発せられたか否かによって判断する。ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されていないと判別したとき(NO)には、ステップS601の判断処理を繰り返す。
【0256】
一方、遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断する(ステップS602)。フラグF_freeze2は、後述するフリーズをさせるか否かを示すフラグであり、フラグF_freeze2の値が1であるときには、フリーズをさせ、フラグF_freeze2の値が0であるときには、フリーズをさせないことを示す。ここにおけるフリーズは、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するものであり、以下では、フラグF_freeze2の値によるフリーズを、途中進行フリーズと称する。この途中進行フリーズの時間は、上述した図5のステップS523の処理を実行することによって定められる。
・・・
【0261】
ステップS609又はS610の処理を実行した後、ステップS609で決定した引き込み制御用停止位置、又はS610で決定した蹴飛ばし制御用停止位置になるように、リール駆動制御手段130のリール停止制御手段134によって、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する(ステップS611)。3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御は、リール30Lを駆動するためのモータ86aや、リール30Cを駆動するためのモータ86bや、リール30Rを駆動するためのモータ86cは、これらのモータの各々の全ての相を励磁させることで、停止させることができる。例えば、モータ86a,86b及び86cの各々が3相励磁によって駆動される場合には、各々のモータの3相の全てを同時に励磁させることによって、そのモータを停止させることができる。上述したステップS607、S608及びS609の処理を実行することにより、引き込み制御を行うことができる。一方、ステップS607、S608及びS610の処理を実行することにより、蹴飛ばし制御を行うことができる。」

シ 「【0264】
<入賞処理>
図7は、上述した図4のサブルーチンのステップS416で呼び出されて実行されるリール停止制御処理(当審注:【0234】段落の「入賞処理を実行し(ステップS416)」との記載、当段落の「<入賞処理>」との記載及び【図7】のフローチャートの開始の「入賞処理」との記載から、「リール停止制御処理」は「入賞処理」の誤記である。)のサブルーチンを示す。
・・・
【0267】
次いで、有効化された入賞ラインに停止させた図柄(以下、停止図柄と称する。)を読み出す(ステップS703)。この停止図柄は、上述した図6のステップS612で記憶されたものである。この停止図柄を読み出すことによって、当選した役に入賞したか否かを判断することができる。
【0268】
ステップS703の処理で読み出した停止図柄から、小役に入賞したか否かを判断する(ステップS704)。小役に入賞したと判別したとき(YES)には、メダルの払い出しの処理を実行する(ステップS705)。このステップS705の処理は、入賞した小役に応じた枚数のメダルを払い出す処理と、払い出したメダルを計数する処理とを実行する。このメダルの計数は、遊技状態に応じて行われ、遊技状態の終了条件を満たしたか否かの判断に用いることができる。」

ス 「【0287】
<<サブ制御側処理>>
図9は、サブ制御手段200における制御を示すフローチャートである。
【0288】
最初にメイン制御手段100から信号を受信したか否かを判断する(ステップS901)。メイン制御手段100から信号を受信したと判別したとき(YES)には、その信号が当選役を示す情報の信号であるか否かを判断する(ステップS902)。当選役を示す情報の信号であると判別したとき(YES)には、その当選役が、フリーズに関する役であるか否かを判断する(ステップS903)。当選役が、フリーズに関する役であると判別したとき(YES)には、当選役に応じた抽選テーブル選択して(ステップS904)、演出抽選処理を実行して演出を決定し(ステップS905)、決定した演出を実行して(ステップS906)、本サブルーチンを終了する。
【0289】
上述したように、サブ制御手段200の画像演出テーブル記憶手段280には、図13(a)や図13(b)に示した第1列、第2列及び第4列の対応関係が記憶されている。図13(a)や図13(b)に示すように、サブ制御手段200によって行われる演出は、メイン制御手段100で行うフリーズ演出とは別に、演出なし、外れ演出、当り演出の3種類がある。上述したステップS904及びS905の処理は、当選役の種類に応じて、これらの演出なし、外れ演出、当り演出のうちの1つを選択する処理である。
・・・
【0293】
図9に示したサブルーチンを実行して、画像演出を決定することによって、サブ制御手段200では、画像演出を実行することができる。このように、サブ制御手段200では、画像演出を実行すると共に、メイン制御手段100では、フリーズ演出を実行するので、演出の種類を増やすことができ、遊技の進行を的確に報知したり、又は逆に遊技者を惑わしたりすることができ、遊技の面白みを高めることができる。
【0294】
なお、上述した実施例では、フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定めたが、単位遊技の開始と単位遊技の途中の進行とのいずれか一方のみを中断するようにしてもよい。このようにすることで、処理を簡素にでき、メイン制御手段100の負担をさらに軽くすることができる。」

セ 図4


ソ 図6


タ 図7


チ 図13


(2)以上の記載事項から、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる(見出し(a)?(k)は、本願発明の分説A?Kに対応させて付与した)。

(a)記載事項イ(【0045】)から、各々に21個の図柄を付した3つのリール30L,30C,30Rが記載されていると認められる。

(b)記載事項イ(【0044】)から、3つのリール30L,30C,30Rに描かれている図柄の種類を視認することができるリール表示窓51が記載されていると認められる。

(c)記載事項イ(【0042】)から、単位遊技を進めるために遊技者によって操作され、遊技者が操作することによって始動信号が発せられるスタートスイッチ42が記載されていると認められる。

(d)記載事項イ(【0042】)から、スタートスイッチ42を遊技者が操作することによりスタートスイッチ42から発せられる始動信号を検出することによって、3つのリール30L、30C及び30Rの回転駆動の制御を開始するメイン制御基板32が記載されていると認められる。

(e)記載事項カから、役抽選処理用の乱数を発生させる乱数発生手段122と、遊技者によってスタートスイッチ42が操作されたときに乱数発生手段122によって発生させた乱数を抽出する乱数抽出手段124と、乱数抽出手段124が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段126と、を含み、遊技についての「当り」又は「外れ」を定める処理を行う役抽選手段120が記載されていると認められる。

(f)記載事項イ(【0043】)及びウから、3つのストップスイッチ44a、44b及び44cであって、左リール30Lは、左側のストップスイッチ44aに対応し、中リール30Cは、中央のストップスイッチ44bに対応し、右リール30Rは、右側のストップスイッチ44cに対応し、遊技者が操作することによって、各々から別個に停止信号が発せられる3つのストップスイッチ44a、44b及び44cが記載されていると認められる。

(g)記載事項キから、ストップスイッチ44a,44b又は44cが遊技者によって操作されたときのタイミングと、役抽選手段120の抽選処理の結果とに基づいて、左リール30L、中リール30C又は右リール30Rの停止制御をするリール停止制御手段134が記載されていると認められる。

(h)記載事項エ、コ(【0221】、【0233】-【0234】)及びシから、リール表示窓51には5本の入賞ラインL1?L5が描かれており、遊技者が3つのベットスイッチ62,64及び66を操作することにより入賞ラインL1?L5を有効化し、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する処理を実行した後、今回行われた単位遊技の入賞処理として、有効化された入賞ラインに停止させた図柄から、小役に入賞したと判別したときには、メダルの払い出しの処理を実行する制御を行う、メイン制御手段100が記載されていると認められる。

(i)記載事項ク、サ(【0253】)及びス(【0294】)から、当選役とフリーズ演出との対応関係を記憶し、フリーズ演出の有無と、フリーズの時間と、フリーズ演出をするタイミングを定めるフラグF_freeze1及びフラグF_freeze2の値を定めるデータを記憶させることで、フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定め、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ、さらに、フリーズ演出による報知の内容の判断をより困難にすることができ、遊技者を楽しませたり、疑問を感じさせたりすることができる、フリーズ演出テーブル記憶手段180が記載されていると認められる。
また、記載事項オ、コ(【0221】-【0222】、【0233】)及びサ(【0254】-【0256】、【0261】)から、フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断し(ステップS401)、フラグF_freeze1の値が1であるときには、開始フリーズをさせ、その後に、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始し(ステップS414)、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行し(ステップS415)、ここで、ステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理として、ストップスイッチ44a、44b又は44cが遊技者によって操作されたか否かを判断し(ステップS601)、遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断し(ステップS602)、フラグF_freeze2の値が1であるときには、途中進行フリーズをさせ、その後に、リール駆動制御手段130のリール停止制御手段134によって、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する(ステップS611)、処理を行う、メイン制御基板32からなるメイン制御手段100が記載されていると認められる。

(j)記載事項ケ及びス(【0287】-【0289】)から、メイン制御手段100から信号を受信したと判別したときに、その信号が当選役を示す情報の信号であると判別したときに、その当選役が、フリーズに関する役であると判別したときには、当選役に応じた抽選テーブル選択して、演出抽選処理を実行して、メイン制御手段100で行うフリーズ演出とは別に、演出なし、外れ演出、当り演出の3種類から、演出を決定し、決定した演出を実行する、サブ制御基板52からなるサブ制御手段200が記載されていると認められる。

(k)記載事項アから、スロットマシン10が記載されていると認められる。

(3)以上の記載事項ア?チ及び認定事項(a)?(k)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(分説a?kは、本願発明の分説A?Kに対応させて付与した)。
「a 各々に21個の図柄を付した3つのリール30L,30C,30Rと、
b 3つのリール30L,30C,30Rに描かれている図柄の種類を視認することができるリール表示窓51と、
c 単位遊技を進めるために遊技者によって操作され、遊技者が操作することによって始動信号が発せられるスタートスイッチ42と、
d スタートスイッチ42を遊技者が操作することによりスタートスイッチ42から発せられ始動信号を検出することによって、3つのリール30L、30C及び30Rの回転駆動の制御を開始するメイン制御基板32と、
e 役抽選処理用の乱数を発生させる乱数発生手段122と、遊技者によってスタートスイッチ42が操作されたときに乱数発生手段122によって発生させた乱数を抽出する乱数抽出手段124と、乱数抽出手段124が抽出した乱数値に基づいて、役の当選の有無及び当選役を判定する乱数判定手段126と、を含み、遊技についての「当り」又は「外れ」を定める処理を行う役抽選手段120と、
f 3つのストップスイッチ44a、44b及び44cであって、左リール30Lは、左側のストップスイッチ44aに対応し、中リール30Cは、中央のストップスイッチ44bに対応し、右リール30Rは、右側のストップスイッチ44cに対応し、遊技者が操作することによって、各々から別個に停止信号が発せられる3つのストップスイッチ44a、44b及び44cと、
g ストップスイッチ44a,44b又は44cが遊技者によって操作されたときのタイミングと、役抽選手段120の抽選処理の結果とに基づいて、左リール30L、中リール30C又は右リール30Rの停止制御をするリール停止制御手段134と、
h リール表示窓51には5本の入賞ラインL1?L5が描かれており、遊技者が3つのベットスイッチ62,64及び66を操作することにより入賞ラインL1?L5を有効化し、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する処理を実行した後、今回行われた単位遊技の入賞処理として、有効化された入賞ラインに停止させた図柄から、小役に入賞したと判別したときには、メダルの払い出しの処理を実行する制御を行う、メイン制御手段100と、
i 当選役とフリーズ演出との対応関係を記憶し、フリーズ演出の有無と、フリーズの時間と、フリーズ演出をするタイミングを定めるフラグF_freeze1及びフラグF_freeze2の値を定めるデータを記憶させることで、フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定め、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ、さらに、フリーズ演出による報知の内容の判断をより困難にすることができ、遊技者を楽しませたり、疑問を感じさせたりすることができる、フリーズ演出テーブル記憶手段180と、
フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断し(ステップS401)、フラグF_freeze1の値が1であるときには、開始フリーズをさせ、その後に、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始し(ステップS414)、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行し(ステップS415)、ここで、ステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理として、ストップスイッチ44a、44b又は44cが遊技者によって操作されたか否かを判断し(ステップS601)、遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断し(ステップS602)、フラグF_freeze2の値が1であるときには、途中進行フリーズをさせ、その後に、リール駆動制御手段130のリール停止制御手段134によって、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行する(ステップS611)、処理を行う、メイン制御基板32からなるメイン制御手段100と、
j メイン制御手段100から信号を受信したと判別したときに、その信号が当選役を示す情報の信号であると判別したときに、その当選役が、フリーズに関する役であると判別したときには、当選役に応じた抽選テーブル選択して、演出抽選処理を実行して、メイン制御手段100で行うフリーズ演出とは別に、演出なし、外れ演出、当り演出の3種類から、演出を決定し、決定した演出を実行する、サブ制御基板52からなるサブ制御手段200と、
k を備えたスロットマシン10。」

2 引用文献2
(1)原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2009-5929号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した)。

ア 「【0033】
図4および図5は、上述したパチスロ機1の遊技処理動作を制御するメイン制御基板61およびサブ制御基板62a,62bに構成された回路構成を示している。メイン制御基板61には主制御回路が構成されており、サブ制御基板62aには画像制御回路(gSub)、サブ制御基板62bには音・ランプ制御回路(mSub)が構成されている。」

イ 「【0140】
次に、図25?図31を参照して、サブ制御基板62aの画像制御CPU81によって制御される遊技処理について説明する。
【0141】
図25は、画像制御CPU81によって電源投入時に行われるリセット割込処理の概略を示すフローチャートである。
【0142】
この処理では、まず始めに、パチスロ機1に電源が投入され、画像制御CPU81のリセット端子に信号が入力されると、画像制御CPU81は、制御RAM88や、ビデオRAM89、ワークRAM83などの初期化や、割り込みを許可する初期化処理を実行する(図25,S301参照)。次に、画像制御CPU81は、選択ボタン23および決定ボタン24といった操作部などからの検知信号を監視する入力監視処理を行なう(S302)。続いて、画像制御CPU81は、後述するコマンド入力処理(S303)、および演出内容決定処理(S304)を行なう。その後、画像制御CPU81は、コマンド出力処理を行なう(S305)。このコマンド出力処理では、画像制御CPU81は、S304の演出内容決定処理で決定した演出識別子に対応する演出を液晶パネル39dに画像表示するために、VDP86へコマンドを出力する処理を行なう。また、シリアルポート80bを介してサブ制御基板62bの音・ランプ制御CPU90に信号を送出し、LED類99およびランプ類98の点灯やスピーカ101,101の出音により、S304の演出内容決定処理で決定した演出識別子に対応する演出を行なわせるためのコマンドを出力する処理などを行なう。」

ウ 「【0148】
図28は、図25のS304に示す演出内容決定処理の詳細を示すフローチャートである。
【0149】
演出内容決定処理では、まず、画像制御CPU81は、スタートレバー30の操作時にメイン制御基板61から送信されるスタートコマンド(図16,S9参照)を受信しているか否かを判別する(図28,S341参照)。この判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、スタートコマンドに含まれる当籤役情報に「スイカ」の小役の単独当籤情報がある場合、ワークRAM83の当籤情報記憶手段に、「スイカ」の小役が当籤役として決定され、「BB1」または「BB2」が同時に当籤役として決定されなかった当籤情報を記憶させた後、後述する演出抽籤処理を行う(S342)。
【0150】
また、S341の判別が“NO”である場合、画像制御CPU81は、停止ボタン31?33が押圧操作されたときにメイン制御基板61から送信される停止コマンド(図21,S122参照)を受信しているか否かを判別する(S343)。この判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、ロックフラグが“オン”になっているか否かを判別する(S344)。この判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、上述したフリーズ演出処理中に後述するミニゲーム処理を行う(S345)。」

エ 「【0160】
図31は、図28のS345に示すミニゲーム処理の詳細を示すフローチャートである。
【0161】
ミニゲーム処理では、まず、画像制御CPU81は、図28,S343で受信したと判別された停止コマンドが、左停止ボタン31が押圧操作されたときにメイン制御基板61から送信された左リール停止コマンドであるか否かを判別する(図31,S401参照)。この判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、図30,S381でセットされたミニゲーム用タイマの現在のカウント値を参照して、左リール停止コマンドの受信時が、スタートコマンドの受信時から予め設定された範囲内の時間にあったものであるか否かを判別する(S402)。本実施形態では、この予め設定された範囲内の時間は、上述したように9.5秒から10.5秒の範囲に設定されており、上記の判別でミニゲーム用タイマの現在のカウント値が、10614(=1.1173[msec]×9.5×103)から11731(=1.1173[msec]×10.5×103)の範囲内にあるか否かを判別する。スタートコマンドの受信時から左リール停止コマンドの受信時までの時間が上記範囲内にあってミニゲームに成功し、S402の判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、ポイント抽籤テーブル(図15(a)参照)を参照し、現在設定されている設定値(“1”,“4”,“6”,“High”)に応じて、ポイント付与手段によりポイントを付与するか否かのポイント抽籤を行う(S403)。続いて、画像制御CPU81は、このポイント抽籤に当籤したか否かを判別する(S404)。
【0162】
ポイント抽籤に当籤してS404の判別が“YES”である場合、画像制御CPU81は、ポイント決定処理を行う(S405)。このポイント決定処理では、画像制御CPU81は、ポイント付与テーブル(図15(b)参照)を参照して、現在の設定値に応じたポイントの付与量を決定する。続いて、画像制御CPU81は、決定したポイント付与量のポイントを遊技者に付与し、付与したポイントを現在のチェリー報知回数カウンタの値に加算して、チェリー報知回数カウンタの値を更新する(S406)。S402の判別が“NO”である場合、またはS406の処理が終了すると、画像制御CPU81は、ミニゲーム終了処理を行う(S407)。ミニゲーム終了処理では、上述したミニゲーム用タイマにセットされている数値をクリアする等の処理が行われる。
【0163】
S401の判別が“NO”である場合、またはS407の処理が終了すると、ミニゲーム処理は終了する。
【0164】
例えば、スタートレバー30の操作によって開始された単位遊技において、当籤役が単独の「スイカ」の小役であるときには、演出識別子として「演出H」が決定されると共に(図30,S380?S382参照)、ロックフラグが“オン”になって(図26,S312,S313参照)、メダルの投入操作、単位遊技の開始操作またはシンボルの停止操作の操作入力に応じた処理に伴う演出が実行されなくなるフリーズ演出処理が作動する。また、これと同時に、ミニゲームにおいて用いられるミニゲーム用タイマに初期値“0”がセットされ(図30,S381参照)、サブ制御基板62aにおいてスタートコマンドの受信時からの経過時間の計測が開始される。計測中の経過時間は、リール表示窓部39に常に表示されている(図32参照)。その後、左停止ボタン31に対する押圧操作が遊技者によって行われると、スタートコマンド受信時から、この押圧操作による左停止コマンドの受信時までの経過時間が確定し、その経過時間がリール表示窓部39に停止表示される。そして、確定した経過時間が予め設定された範囲内の時間、本実施形態では9.5秒から10.5秒の範囲内の時間に含まれている場合には、ポイント抽籤が行われ、このポイント抽籤に当籤すると、設定値に応じたポイントが付与される(図31,S402?S405参照)。この付与されたポイントの付与量に応じて報知回数が決定され、演出Fまたは演出Gが実行されることによって、RT作動中状態を終了させる「赤チェリー」または「青チェリー」の特定の役が当籤役として決定されたことの報知が行われる(図14(b)、図29,S375?S377参照)。
【0165】
このような本実施形態によるパチスロ機1によれば、上述したように、サンプリング回路70により抽出された一の乱数(図16,S5参照)が、「BB1」または「BB2」と「スイカ」の小役とが重複して当籤役として決定される予め設定された重複数値範囲(7000?7399)に属する場合には、当籤役決定手段により「BB1」または「BB2」と「スイカ」の小役とが重複して同時に当籤役として決定される(図9(a),(b)、図19,S75?S81参照)。また、サンプリング回路70により抽出された一の乱数が予め設定された重複数値範囲(7000?7399)に含まれない数値範囲(6934?6999,7400?7588)に属する場合には、「スイカ」の小役が当籤役として決定され、「BB1」または「BB2」が同時に当籤役として決定されない。この場合、操作入力無効化手段により、メダルの投入操作、単位遊技の開始操作またはシンボルの停止操作のうちの少なくともいずれか1つの操作入力に応じた処理がサブ制御基板62aにおいて実行されなくなると共に(図26,S313,S314参照)、「スイカ」の小役が当籤役として決定され、「BB1」または「BB2」が同時に当籤役として決定されなかった当籤情報が当籤情報記憶手段により記憶される。当籤情報記憶手段によりこの当籤情報が記憶されると、副遊技作動手段により、リール2?4にシンボルの組合わせを停止表示させる主遊技とは異なるミニゲームが作動させられ(図28,S345、図32参照)、特典付与手段により、作動させられたミニゲームの遊技結果に応じてポイントが付与される(図15(a),(b)、図31,S402?S405参照)。
【0166】
このため、「スイカ」の小役のみが当籤役として決定され、「BB1」または「BB2」が同時に当籤役として決定される利益を得ることができないときであっても、パチスロ機1がフリーズ状態のときに、ミニゲームの遊技結果に応じて特典付与手段によりポイントが付与されるという利益を得ることができるので、遊技者は、「BB1」または「BB2」に同時に当籤しなかったことに落胆しなくなり、パチスロ機1がフリーズ状態のときに、ミニゲームの遊技結果に応じて特典付与手段によりポイントが付与されるという利益を得られるという期待感を抱きながら、遊技を楽しむことができるようになる。また、パチスロ機1がフリーズ状態のときに、ミニゲームが行われるため、フリーズ状態が終了するまで、主遊技を進行させることができない状態が長く続いていると遊技者に対して感じさせないようにして、退屈感を抱かせないようにすることもできる。」

(2)以上の記載事項ア?エから、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「遊技処理動作を制御するメイン制御基板61およびサブ制御基板62a,62bを有し(【0033】)、
サブ制御基板62aの画像制御CPU81によって制御される遊技処理として(【0140】)、電源投入時に行われるリセット割込処理において、演出内容決定処理(S304)を行ない(【0141】-【0142】)、
演出内容決定処理では、画像制御CPU81は、停止ボタン31?33が押圧操作されたときにメイン制御基板61から送信される停止コマンドを受信している場合に(S343)、ロックフラグが“オン”になっている場合に(S344)、フリーズ演出処理中にミニゲーム処理を行うことで(S345)(【0148】-【0150】)、
スタートレバー30の操作によって開始された単位遊技において、当籤役が単独の「スイカ」の小役であるときには、メダルの投入操作、単位遊技の開始操作またはシンボルの停止操作の操作入力に応じた処理に伴う演出が実行されなくなるフリーズ演出処理が作動し、これと同時に、ミニゲームにおいて用いられるミニゲーム用タイマに初期値“0”がセットされ、サブ制御基板62aにおいてスタートコマンドの受信時からの経過時間の計測が開始され、その後、左停止ボタン31に対する押圧操作が遊技者によって行われると、スタートコマンド受信時から、この押圧操作による左停止コマンドの受信時までの経過時間が確定し、その経過時間がリール表示窓部39に停止表示され、確定した経過時間が予め設定された範囲内の時間に含まれている場合には、ポイント抽籤が行われ、このポイント抽籤に当籤すると、設定値に応じたポイントが付与されるものであり(【0160】、【0164】)、
パチスロ機1がフリーズ状態のときに、ミニゲームが行われるため、フリーズ状態が終了するまで、主遊技を進行させることができない状態が長く続いていると遊技者に対して感じさせないようにして、退屈感を抱かせないようにすることができる(【0166】)、
パチスロ機1(【0033】)。」

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する(見出し(a)?(k)は、本願発明の分説A?Kに対応させて付与した)。

(a-h、k)引用発明の特定事項aないしh及びkは、それぞれ本願発明の特定事項AないしH及びKに相当する。

(i)引用発明の「フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断し(ステップS401)、フラグF_freeze1の値が1であるときには、開始フリーズをさせ」ることで、「その後に、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始(ステップS414)」させる、すなわち、3つのリールの回転開始を遅らせることは明らかである。そうすると、引用発明の「フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断し(ステップS401)、フラグF_freeze1の値が1であるときには、開始フリーズをさせ、その後に、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始」することは、本願発明の「前記リールの回転開始を遅らせる第1フリーズ演出を実行可能である」ことに相当する。
また、引用発明の「3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行」する「ステップS415」について、「ステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理」として、「遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断し(ステップS602)、フラグF_freeze2の値が1であるときには、途中進行フリーズをさせ」ることは、「遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作された」にもかかわらず、「途中進行フリーズ」をさせることによって、「3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御」をしないようにしているのであるから、実質的に「3つのストップスイッチ44a、44b及び44c」の操作を受け付けないようにしているものである。この引用発明の「途中進行フリーズ」は、「開始フリーズをさせ」、その後のリール停止制御処理において実行されるものであり、「フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定め、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ」るものであることから、「開始フリーズ」が実行された単位遊技において実行されるものである。そうすると、引用発明の「3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行し(ステップS415)、ここで、ステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理として、ストップスイッチ44a、44b又は44cが遊技者によって操作されたか否かを判断し(ステップS601)、遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断し(ステップS602)、フラグF_freeze2の値が1であるときには、途中進行フリーズをさせ」ることは、本願発明の「当該第1フリーズ演出が実行された遊技において、さらに前記リールの回転開始後遊技者による前記停止操作手段の操作を受け付けない第2フリーズ演出を実行可能」であることに相当する。
そうすると、引用発明の特定事項iは、本願発明の特定事項Iに相当する。

(j)引用発明の特定事項jは、「その当選役が、フリーズに関する役であると判別したときには」、「メイン制御手段100で行うフリーズ演出とは別に」、「演出を決定し、決定した演出を実行する」のであるから、「メイン制御手段100で行うフリーズ演出」に対応して、演出を実行可能である。そうすると、引用発明の特定事項jと、本願発明の特定事項Jとは、「J’ フリーズ演出に対応して、演出を実行可能な手段」である点で共通する。

以上の(a)?(k)から、両者は、
[一致点]
「A 複数の図柄がそれぞれの周面に配された複数のリールと、
B 前記リールの周面に配された複数の図柄の一部を表示する表示窓と、
C 遊技者の開始操作を受け付ける開始操作手段と、
D 遊技者により前記開始操作手段が操作されることに応じて、前記リールを回転させることにより、前記表示窓に表示されている図柄を変動させる図柄変動手段と、
E 遊技者により前記開始操作手段が操作されることに応じて、複数の役の中から内部当籤役を決定する内部抽籤手段と、
F 複数の前記リールのそれぞれに対応して設けられ遊技者の停止操作を受け付ける複数の停止操作手段と、
G 遊技者により前記停止操作手段が操作されることに応じて、前記内部抽籤手段により決定された内部当籤役に基づいて、前記リールの回転を停止させることにより、前記表示窓に表示されている図柄の変動を停止させるリール停止制御手段と、
H 前記リール停止制御手段により前記図柄の変動が停止されたときに、前記表示窓において表示された図柄の組合せに応じて、利益を付与する利益付与手段と、
I 前記リールの回転開始を遅らせる第1フリーズ演出を実行可能であるとともに、当該第1フリーズ演出が実行された遊技において、さらに前記リールの回転開始後遊技者による前記停止操作手段の操作を受け付けない第2フリーズ演出を実行可能なフリーズ演出実行手段と、
J’ フリーズ演出に対応して、演出を実行可能な手段と、
K を備えた遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点](特定事項J)
「J’ フリーズ演出に対応して、演出を実行可能な手段」に関して、本願発明では、「第2フリーズ演出中に遊技者による特定の操作が行われたことに応じて」、特定の演出を実行可能であるのに対し、引用発明では、演出を実行可能とするための条件については特定されておらず、演出は「演出なし、外れ演出、当り演出の3種類から」決定される点。

第6 判断
1 相違点について
以下、相違点について、検討する。
引用発明2における「ミニゲーム」は、「スタートレバー30の操作によって開始された単位遊技において」、「メダルの投入操作、単位遊技の開始操作またはシンボルの停止操作の操作入力に応じた処理に伴う演出が実行されなくなるフリーズ演出処理」の「フリーズ演出処理中にミニゲーム処理」が行われるものであり、「左停止ボタン31に対する押圧操作が遊技者によって行われると、スタートコマンド受信時から、この押圧操作による左停止コマンドの受信時までの経過時間が確定し、その経過時間がリール表示窓部39に停止表示され」ることからすると、引用発明2における「シンボルの停止操作の操作入力に応じた処理に伴う演出が実行されなくなるフリーズ演出処理」、「左停止ボタン31に対する押圧操作」、「その経過時間がリール表示窓部39に停止表示され」ること及び「サブ制御基板62aの画像制御CPU81」は、それぞれ本願発明における「第2フリーズ演出」、「特定の操作」、「特定の演出」及び「特定演出実行手段」に相当する。
そして、引用発明及び引用発明2のいずれも、フリーズ演出における演出の工夫をするものであって、引用発明では「遊技者を楽しませたり、疑問を感じさせたりすることができ」るものであり、引用発明2では「フリーズ状態が終了するまで、主遊技を進行させることができない状態が長く続いていると遊技者に対して感じさせないようにして、退屈感を抱かせないようにすることができる」ようにするものであるから、いずれも遊技者に対して遊技の面白みを高めており、両者は技術分野及び機能が共通するものである。
そうすると、引用発明に引用発明2を適用し、途中進行フリーズをさせるフラグF_freeze2の値が1となるような当選役において、フリーズ演出とは別に実行される演出として、ミニゲームを実行するようにすることで、メイン制御手段100における途中進行フリーズ(第2フリーズ演出)の間に、ストップスイッチ44aに対する押圧操作(特定の操作)が遊技者によって行われると、サブ制御手段200が、スタートスイッチ42の操作時から、この押圧操作による時までの経過時間を確定し、その経過時間を表示するような演出(特定の演出)を行わせるものとして、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。

2 効果について
本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

3 小括
したがって、本願発明は、引用発明及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第7 請求人の主張について

1 審判請求人は、令和1年7月1日に提出した審判請求書において、次のとおり主張している。

「4.本願発明が特許されるべき理由
(1)本願請求項1に係る発明は、リールの回転開始を遅らせる第1フリーズ演出と、リールの回転開始後に停止操作を受け付けない第2フリーズ演出とが同じ遊技において実行可能であり、第2フリーズ演出中に遊技者が特定の操作を行った場合には特定の演出が実行可能であるという構成を有するものであります。
(2)そして、本願請求項1に係る発明は、このような構成により、遊技の速い遊技者と遊技の遅い遊技者とで、特定の演出の実行時期を同じくすることができ、また、遊技者に確実に特定の演出を行わせることができるという格別の効果を奏するものとなっております。
(3)これに対し、引用文献1には、「フラグF_freeze1の値が1」であるとき、単位遊技の開始を一時的に中断するフリーズが実行され、「フラグF_freeze2の値が1」であるとき、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するフリーズが実行されること(例えば、引用文献1の段落[0222]及び[0256]等)は記載されているものの、本願請求項1に係る発明のように、特定の演出の実行時期を同じくすることを目的として、実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とすることについては開示も示唆もないものと思料いたします。
(4)また、引用文献2には、「フリーズ演出処理」の作動により、「メダルの投入操作、単位遊技の開始操作またはシンボルの停止操作の操作入力に応じた処理に伴う演出が実行されなくなる」こと(例えば、引用文献1の段落[0164]等)は記載されているものの、やはり、本願請求項1に係る発明のように、特定の演出の実行時期を同じくすることを目的として、実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とすることについては開示も示唆もないものと思料いたします。
(5)また、引用文献3には、「フリーズ演出」を、「リール3L、3C、3Rの回転開始の遅延とは独立したタイミングで、独自の意味を有する演出として行うものとしてもよい」こと(例えば、引用文献1の段落[0132]等)は記載されているものの、やはり、本願請求項1に係る発明のように、特定の演出の実行時期を同じくすることを目的として、実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とすることについては開示も示唆もないものと思料いたします。
(6)なお、審査官殿は、拒絶査定において、引用文献1の段落[0201]等の記載をもって、引用文献1には実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とすることが記載されていると認定されております。しかしながら、例えば、引用文献1の図13(他にも、段落[0021]、[0250]及び[0277]等)をみれば明らかなように、引用文献1では同じ遊技において1回のフリーズ演出のみが行われ得ることを前提としており、この前提の下、引用文献1の段落[0201]では「フリーズ演出をするタイミングを定めるフラグF_freeze1及びフラグF_freeze2の値を定めるデータを記憶させてもよい」ことが記載されているに過ぎません。すなわち、フリーズ演出テーブルにおいて、(行われ得る1回のフリーズ演出について)その実行時期を識別するためのデータを記憶させてもよいことが記載されているに過ぎず、実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とするといった技術思想までが記載されているものではないと思料いたします。
(7)してみれば、本願請求項1に係る発明、及びこれを引用する本願請求項2に係る発明は、仮に引用文献1乃至3に記載された発明を組み合わせた場合であっても、その構成が得られるものでなく、また、上述した格別の効果が想起されるものでもないものと思料いたします。
(8)したがいまして、本願請求項1及び請求項2に係る発明は、引用文献1乃至3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでないことから、本願に対する拒絶理由(進歩性)は解消されるものと思料いたします。」

2 上記審判請求人の主張については、以下のとおりである。
上述のとおり、引用発明は、「フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定め、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ」るものであり、「フラグF_freeze1の値が1であるか否かを判断し(ステップS401)、フラグF_freeze1の値が1であるときには、開始フリーズをさせ、その後に、3つのリール30L、30C及び30Rの回転制御を開始し(ステップS414)、3つのリール30L、30C及び30Rの停止制御を実行し(ステップS415)、ここで、ステップS415で呼び出されて実行されるリール停止制御処理として、ストップスイッチ44a、44b又は44cが遊技者によって操作されたか否かを判断し(ステップS601)、遊技者によって、ストップスイッチ44a、44b又は44cが操作されたと判別したとき(YES)には、フラグF_freeze2の値が1であるか否かを判断し(ステップS602)、フラグF_freeze2の値が1であるときには、途中進行フリーズをさせ」るものである(特定事項i)。そして、上記第5(i)にて、「この引用発明の「途中進行フリーズ」は、「開始フリーズをさせ」、その後のリール停止制御処理において実行されるものであり、「フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定め、フリーズ演出を行うタイミングを複数にすることができ」るものであることから、「開始フリーズ」が実行された単位遊技において実行されるものである」と示したとおりである。
さらに、引用文献1には、「なお、上述した実施例では、フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定めたが、単位遊技の開始と単位遊技の途中の進行とのいずれか一方のみを中断するようにしてもよい」(記載事項ス(【0294】))と記載されるとおり、「単位遊技の開始と単位遊技の途中の進行とのいずれか一方のみを中断するようにしてもよい」とする一方で、引用発明を認定した記載事項である「上述した実施例」では、「フラグF_freeze1の値によって、単位遊技の開始を一時的に中断するか否かを定め、フラグF_freeze2の値によって、単位遊技の途中の進行を一時的に中断するか否かを定めた」ものであり、単位遊技において、その開始及び進行の両方について、一時的に中断するか否かを定めたことが記載されている。そうすると、実行時期の異なる複数のフリーズ演出を同じ遊技において実行可能とすることは、引用文献1に記載されており、上記引用発明として認定したとおりである。
してみると、審判請求人の主張を採用することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-01-21 
結審通知日 2020-01-28 
審決日 2020-02-10 
出願番号 特願2017-171964(P2017-171964)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鶴岡 直樹  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 ▲高▼橋 祐介
田邉 英治
発明の名称 遊技機  
代理人 市橋 俊規  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ