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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06Q
管理番号 1361381
審判番号 不服2018-12573  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-20 
確定日 2020-04-15 
事件の表示 特願2015-553748「自己主導された点検計画」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 7月31日国際公開、WO2014/116403、平成28年 5月12日国内公表、特表2016-513302〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2014年(平成26年)1月6日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年1月22日,米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成30年 1月 9日付け:拒絶理由通知書
平成30年 4月11日 :意見書,手続補正書の提出
平成30年 5月11日付け:拒絶査定
平成30年 9月20日 :審判請求書,手続補正書の提出


第2 平成30年9月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年9月20日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正による補正前後の特許請求の範囲は,次のとおりである。
ア 補正前特許請求の範囲
【請求項1】
プロセッサが,点検工程(300)内の現在の状態を決定することと,
前記プロセッサが,前記点検工程(300)内の前記現在の状態に対応する点検工程(300)の第1の部分を決定することであって,前記点検工程(300)は,点検工程(300)に対応する複数のステップを備える,決定することと,
前記プロセッサが,前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助を提示することと,
前記プロセッサが,前記第1の部分の完了を決定することと,
前記現在の状態が,前記前記第1の部分の完了後であって,前記点検工程(300)の第2の部分に対応する前の状態の場合,前記プロセッサが,移行インストラクション援助を提示することと,
前記現在の状態が前記点検工程(300)の前記第2の部分に対応する場合,前記プロセッサが,前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助を自動で提示することと,
を備える,方法。
【請求項2】
前記現在の状態を決定することは,点検されている対象物に関連する点検機器(330)の少なくとも一部分の場所を決定することを備える,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記場所を決定することは,前記場所を決定するために,全地球測位システム,無線周波数識別信号,画像認識論理,またはそれらの組み合わせを使用することを備える,請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記点検機器(330)の前記一部分の向きに少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
ボアスコープ(14,372)の挿入管(118,374)の長さに少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ボアスコープ(14,372)のカメラ先端部と格納式開口部(396)との間の距離
に少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
点検されている対象物に関連する点検機器(330)の一部分の現在の場所を識別するように構成された機械可読命令を備える位置検出論理(344)と,
前記現在の場所に関連づけられた点検工程(300)の特定の部分を決定するように構成された機械可読命令を備えるステップ検出論理(342)と,
前記特定の部分に関連づけられたインストラクション援助を提示するように構成された提示ハードウェアと,
前記位置検出論理(344),前記ステップ検出論理(342),および前記提示ハードウェアの制御,またはそれらの任意の組み合わせを実現するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(15,19,23,93,97,101)と,
を備え,
前記少なくとも1つのプロセッサ(15,19,23,93,97,101)は,
前記特定の部分の完了を決定して,点検工程(300)の2つの特定の部分間の移行を決定し,
前記移行中に移行インストラクション援助を提示するように構成される,
システム。
【請求項8】
前記提示ハードウェアは,
映像,画像,またはその両方を提示するように構成された電子ディスプレイ,または
音声を提示するように構成された少なくとも1つのスピーカー(346),または
その両方
を備える,請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記点検機器(330)を備え,前記点検機器(330)は,前記位置検出論理(344),前記ステップ検出論理(342),前記提示ハードウェア,またはそれらの任意の組み合わせを備える,請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記点検機器(330)は,前記点検工程(300)の機械可読バージョンがデータプロバイダ(334)から受信され得るように,前記データプロバイダ(334)と通信可能に結合するように構成された通信回路を備える,請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記位置検出論理(344)は,前記点検機器(330)の一部分の前記場所を決定するために,全地球測位システム信号,無線周波数識別信号,画像認識論理,またはそれらの任意の組み合わせにアクセスするように構成される,請求項7から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記点検機器(330)は,ボアスコープ(14,372)を備える,請求項7から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記点検機器(330)の前記一部分は,前記ボアスコープ(14,372)のカメラ先端部を備える,請求項12に記載のシステム。

イ 補正後特許請求の範囲(下線は,補正箇所)
【請求項1】
プロセッサが,点検工程(300)内の現在の状態を決定することと,
前記プロセッサが,前記点検工程(300)内の前記現在の状態に対応する点検工程(300)の第1の部分を決定することであって,前記点検工程(300)は,点検工程(300)に対応する複数のステップを備える,決定することと,
前記プロセッサが,第1の場所で実行される前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助を提示することと,
前記プロセッサが,前記第1の部分の完了を決定することと,
前記現在の状態が,前記前記第1の部分の完了後であって,前記点検工程(300)の第2の部分に対応する前の状態の場合,前記プロセッサが,移行インストラクション援助を提示することと,
前記現在の状態が前記点検工程(300)の前記第2の部分に対応する場合,前記プロセッサが,前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助を自動で提示することと,
を備える,方法。
【請求項2】
前記現在の状態を決定することは,点検されている対象物に関連する点検機器(330)の少なくとも一部分の場所を決定することを備える,請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記場所を決定することは,前記場所を決定するために,全地球測位システム,無線周波数識別信号,画像認識論理,またはそれらの組み合わせを使用することを備える,請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記点検機器(330)の前記一部分の向きに少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
ボアスコープ(14,372)の挿入管(118,374)の長さに少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ボアスコープ(14,372)のカメラ先端部と格納式開口部(396)との間の距離に少なくとも部分的に基づいて前記場所を決定することを備える,請求項2から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
点検されている対象物に関連する点検機器(330)の一部分の現在の場所を識別するように構成された機械可読命令を備える位置検出論理(344)と,
前記現在の場所に関連づけられた点検工程(300)の特定の部分を決定するように構成された機械可読命令を備えるステップ検出論理(342)と,
前記特定の部分に関連づけられたインストラクション援助を提示するように構成された提示ハードウェアと,
前記位置検出論理(344),前記ステップ検出論理(342),および前記提示ハードウェアの制御,またはそれらの任意の組み合わせを実現するように構成された少なくとも1つのプロセッサ(15,19,23,93,97,101)と,
を備え,
前記少なくとも1つのプロセッサ(15,19,23,93,97,101)は,
前記特定の部分の完了を決定して,点検工程(300)の2つの特定の部分間の移行を決定し,
前記移行中に移行インストラクション援助を提示するように構成され,
前記2つの特定の部分のそれぞれは,互いに異なる特定の場所で実行される,
システム。
【請求項8】
前記提示ハードウェアは,
映像,画像,またはその両方を提示するように構成された電子ディスプレイ,または
音声を提示するように構成された少なくとも1つのスピーカー(346),または
その両方
を備える,請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記点検機器(330)を備え,前記点検機器(330)は,前記位置検出論理(344),前記ステップ検出論理(342),前記提示ハードウェア,またはそれらの任意の組み合わせを備える,請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記点検機器(330)は,前記点検工程(300)の機械可読バージョンがデータプロバイダ(334)から受信され得るように,前記データプロバイダ(334)と通信可能に結合するように構成された通信回路を備える,請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記位置検出論理(344)は,前記点検機器(330)の一部分の前記場所を決定するために,全地球測位システム信号,無線周波数識別信号,画像認識論理,またはそれらの任意の組み合わせにアクセスするように構成される,請求項7から10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記点検機器(330)は,ボアスコープ(14,372)を備える,請求項7から11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記点検機器(330)の前記一部分は,前記ボアスコープ(14,372)のカメラ先端部を備える,請求項12に記載のシステム。

2 補正の適否
本件補正は,
補正前請求項1の「前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助」について,「第1の場所で実行される」ことを付加して限定をし,
補正前請求項1の「前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助」について,「前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される」ことを付加して限定し,
補正前請求項7に,「前記2つの特定の部分のそれぞれは,互いに異なる特定の場所で実行される」ことを付加して限定する補正を含むものである。

本件補正は,発明の詳細な説明【0065】?【0069】,【図9】等の記載に基づいており,新規事項を追加するものではない。
また,補正前請求項1,7に記載された発明と,補正後請求項1,7に記載された発明とは,産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1(1)イに記載したとおりのものである。

(2)引用文献1に記載されている事項
原査定の拒絶の理由で引用された,本願優先権主張の前に,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,特開2005-338551号公報(平成17年12月8日出願公開,以下「引用文献1」という。)には,次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。


「【0001】
この発明は,人の入り込みにくい機械内部や管腔内等を観察する工業用内視鏡装置に関するものである。」


「【0005】
ところで,従来の工業用内視鏡装置を用いて航空機エンジンや配管等の内部検査を行う場合,上述のように,内視鏡プローブを操作する作業者がリアルタイム映像を見ながら自らの判断で各検査部位に内視鏡プローブを移動させ,その観察を行っていた。
【0006】
この場合,観察すべき部位を間違いなく観察したかどうかは観察者の判断次第であり,客観的に確認する手だてがなかった。また,熟練していない観察者が操作した場合には,検査対象内における自らの位置(内視鏡プローブの先端位置)を見失う等してなかなか目標とする検査部位に達することができない場合もあった。したがって,場合によっては検査すべき個所を見逃して不完全な検査結果を招いてしまう虞があった。
【0007】
そこでこの発明は,内視鏡プローブの先端部の位置を客観的に判断しつつ,被観察物内の目的部位に内視鏡プローブ先端を容易にかつ確実に誘導することのできる工業用内視鏡装置を提供しようとするものである。」


「【0016】
次に,この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
まず,図1を参照してこの実施形態の工業用内視鏡装置1のシステム構成を説明する。
図1に示すように,この工業用内視鏡装置1は,光学アダプタ2と,この光学アダプタ2が着脱自在に接続される内視鏡プローブ3を有する内視鏡本体4と,内視鏡本体4が収納されるコントロールユニット(本体)6と,各種動作制御を実行させるための操作を行うリモートコントローラ7と,内視鏡画像や操作制御内容(例えば処理メニュー),さらにはナビゲーション情報等が表示される表示部である液晶モニタ(以下,LCDと称する)8と,通常の内視鏡画像,あるいはその内視鏡画像をステレオ画像として立体視可能なフェイスマウントディスプレイ(以下,FMDと称する)9と,このFMD9に画像データを供給するFMDアダプタ9aとを備えて概略構成されている。
【0017】
前記内視鏡プローブ3は,その先端部3aに撮像手段である図示しないCCD(電荷結合素子)を内蔵した細長いケーブルであり,コントロールユニット6から引き出して被観察物(被観察物)内に挿入することが可能となっている。そして,この内視鏡プローブ3の先端部3aには,立体視観察用であるステレオ測定用の光学アダプタ2の他に,通常観察用の比較計測用光学アダプタ10も着脱自在に接続できるようになっている。」


「【0019】
続いて,図2を参照しながら工業用内視鏡装置1の内部構造の詳細説明を以下に行う。
同図に示すように,内視鏡プローブ3の基端部は,コントロールユニット6内の内視鏡ユニット15に接続されている。この内視鏡ユニット15の内部には,撮影時に必要な照明光を内視鏡プローブ3に内蔵されたライトガイドに供給する光源16や,内視鏡プローブ3に内蔵された湾曲部(図示せず)を電気的に湾曲動作させる電動湾曲装置(図示せず)等が内蔵されている。また,内視鏡プローブ3の先端部3aにはこの発明におけるセンサSEの構成部品が取り付けられている。
【0020】
このセンサSEは,内視鏡プローブ3の先端部3aの変位量を検出するものであり,この実施形態では,内視鏡プローブ3の先端部3a側にマーカー(例えば,コイル,超音波発信器,LED)が取り付けられ,被観察物の内部または外部にマーカーの変位量を検出する検出器本体(マーカーの方式応じて,磁気方式,超音波方式,光学方式等を採用。)が固定設置されている。なお,このセンサSEは,ジャイロセンサ,地磁気センサ等単体で情報(例えば,位置または姿勢)を検出できる性質のものも採用可能であり,その場合には,センサSEの単体が内視鏡プローブ3の先端部3aに取り付けられる。また,センサSEは,位置と姿勢,速度と角速度,加速度と角加速度等を変位量情報として検出する。尚,この実施形態では,センサSEは,位置と姿勢,速度と角速度のように位置関係情報と姿勢(角度)関係情報を対にして求めるようにしているが,被観察物の検査条件等によっては位置関係情報と姿勢関係情報の一方のみを検出するものであっても良い。」
【0021】
内視鏡プローブ3の先端部3a内には,前記CCDが内蔵されており,このCCDから出力される撮像信号が,画像処理部であるカメラコントロールユニット(以下,CCUと称する)17に入力されるようになっている。このCCU17は,入力された撮像信号を例えばNTSC信号等の映像信号に変換して,コントロールユニット6内の制御部CUに供給するように構成されている。
【0022】
コントロールユニット6内に搭載される前記制御部CUは,CPU18,ROM19,RAM20,PCカードインターフェイス(以下,PCカード I/Fと称する。)21a,USBインターフェイス(以下,USB I/Fと記載する。)21b,RS-232Cインターフェイス(以下,RS-232C I/Fと記載する。)21c,音声信号処理回路22,映像信号処理回路23,そして記録部Rを備えて構成されている。
【0023】
前記CPU18は,主要プログラムに基づいて各種機能を実行/動作させる制御と,計測処理とを行うマイクロプロセッサーである。そして,このCPU18は,ROM19に格納されているプログラムを実行し,目的に応じた処理を行うことでシステム全体の動作制御を行うようになっている。」


「【0027】
前記映像信号処理回路23は,CCU17から供給された内視鏡画像とグラフィック表示された操作メニューとを合成した合成画像を表示する機能を有しており,CCU17からの映像信号と,CPU18により生成された操作メニューの表示信号とを合成処理し,さらに,LCD8の画面上に表示するのに必要な処理を施してからLCD8に供給する。これにより,LCD8には,内視鏡画像と操作メニューとの合成画像が表示される。なお,映像信号処理回路23は,単に内視鏡画像,あるいは操作メニュー等の画像を単独で表示させるための処理を行うことも可能となっている。
【0028】
前記LCD8は,内視鏡プローブ3からの内視鏡画像(映像)や操作制御内容(例えば処理メニュー)等の表示を行う表示部であるタッチパネル式の液晶モニタである。」


「【0033】
すなわち,制御部CUは,センサSEが検出した情報を読み込み,内視鏡プローブ3のヘッド(先端部3a)の位置及び姿勢を求めることが可能となっている。
【0034】
さらに,制御部CUは,このようにして求めた内視鏡プローブ3のヘッドの位置及び姿勢を,LCD8に表示すると同時に,スピーカ22aから音声ガイドとして発することにより,観察者に,どのように内視鏡プローブ3を操作すればスムーズに検査が行えるかを常に指示することも可能としている。」


「【0036】
以下,この制御部CUの詳細について説明する。
この制御部CUでは,図3の紙面左下の符号a,bに示すように,被観察物内の内部形状を示す計算機モデル(3Dモデル)を構築し,この計算機モデルに基づいて挿入予定経路(ルート)を設定するようになっている。すなわち,制御部CUでは,これから検査を行う被観察物内の各検査箇所をどのような挿入予定経路を通って検査するかを予め決める検査計画を立てることができるようになっている。この詳細について,図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0037】
まず,検査計画設定を開始すると,ステップS1において,被観察物情報及び検査履歴情報の読み込みが実行される。この被観察物情報としては,例えば,被観察物の設計情報(CADデータ)が好適に用いられる。また,検査履歴情報としては,被観察物内の,過去に行った検査箇所の位置や,同位置で撮像された映像等の検査記録が読み込まれる。なお,設計情報の読み込みに際しては,この制御部CU内の記録部Rに保存しておいたものを使用しても良いし,または,通信回線を介して接続された他の計算機から読み込むものとしても良い。
【0038】
続くステップS2では,被観察物情報として読み込まれた被観察物の設計情報に基づいて計算機モデル(3Dモデル,形状データ)が生成される。
【0039】
ステップS3では,生成された計算機モデルに基づくチャート図を,図7に示す表示画面の表示領域A1に表示させる。このチャート図は,例えば,被観察物の三面図(平面図,正面図,側面図)及び斜視図であり,これらの全てを一括表示したり,または,これらのうちの一図または複数図を選択して表示させることが可能となっている。」


「【0041】
この表示領域A1に表示されるチャート図は,後述の検査実施時において,被観察物内における自らの位置(内視鏡プローブ3の先端位置)を知るための地図の役目を有しており,その位置を指し示すマークが図中にリアルタイムで表示されるものとなっている。」


「【0045】
再び図5に戻り,前記ステップ3に続くステップS4以降の説明を行う。このステップS4では,内視鏡挿入条件情報の入力が実行される。
【0046】
まず,サブルーチンSUBのステップS5では,内視鏡装置情報の入力または読み込みが実行される。すなわち,観察者の操作により,前記内視鏡プローブ3に装着される光学アダプタの種類,内視鏡プローブ3の径及び長さ,測定モード(通常測定モード,ステレオ測定モード等)等の入力,またはこれらの読み込みが行われる。
【0047】
続くステップS6では,観察者の操作により,前記チャート図上における内視鏡プローブ3の挿入開始位置の入力が行われる。すなわち,図8(a)で図示したアクセスポイントAPを前記チャート図上に指定する。この指定は,前記チャート図上に図示しないポインタを重ね合わせて指定することで行われる。なお,挿入口(アクセスポイントAP)が小さくて指定しづらい場合には,必要に応じて前記表示倍率操作部a1を操作して,前記チャート図を拡大表示させてから行うのが好ましい。
【0048】
さらに続くステップS7では,前記チャート図上における検査部位と,これら検査部位に達する際に通るべき通過点との入力が行われる。この入力操作は,図8(b)に示した表示内容を,図9に示す「設定モード」に変更してから行われる。この「設定モード」では,画面下部に,これから設定するポイントが検査対象である「検査部位」であるのか,または,これら「検査部位」に到達するための道標となる「通過点」であるのかを選択する選択メニューm1と,同ポイントを他のポイントと識別したり,または,最終到達点であることを示すためのID番号を入力するID入力部m2と,各入力内容を決定するためのOKボタンm3と,各入力内容をキャンセルするCANCELボタンm4とが表示される。
【0049】
例えば,図9のID番号(3)に示す位置に検査部位を設定する場合には,同図に示すポインタを動かしてジョイスティックを押下して位置を決定する。続いて,選択メニューm1上に前記ポインタを重ね合わせて押下すると,「検査部位」及び「通過点」の両表示がプルダウンメニュー表示されるので,これらのうちの「検査部位」を選択して押下する。さらに続いて,前記ポインタを今度はID入力部m2上に重ね合わせ,▲印または▼印を押下することで,ID番号を入力する。なお,このID番号の入力操作は,観察者ではなく,前記制御部CU側が自動的に昇順に設定するようにしても良い。
【0050】
以上の入力操作が正しく済んだらOKボタンm3を押下し,入力し直す場合にはCANCELボタンm4を押下する。OKボタンm3が押下された場合,前記制御部CUは,指定されたID番号が重複していないかをチェックし,重複していた場合には,再度入力を促すエラー表示を画面上に表示させる。重複せずに正しく入力された場合には,前記記録部Rに保存される。なお,ID入力部m2で「E」を選択した場合には,このポイントが最終到達点として設定保存される。」


「【0053】
メインルーチンのステップS9では,ステップS2で生成された計算機モデルと,ステップS4で入力された内視鏡挿入条件情報とに基づいて挿入予定経路情報の生成が行われる。すなわち,ステップS6で指定された挿入開始位置(アクセスポイントAP)から内視鏡プローブ3を挿入し,ステップS7で指定された各通過点を通って各検査部位に達するまでの最適な挿入予定経路が,制御部CUにより求められる。この挿入予定経路の設定は,全ての検査部位及び通過点を通ること,最短経路を通ること,内視鏡プローブ3の外径が通るのに狭すぎるような挿入箇所を避けること,等を判断基準として求められる。
【0054】
そして,求められた挿入予定経路は,ステップS10において,前記チャート図上に重ねて表示される。これにより,地図であるチャート図上に,出発点である挿入開始位置(アクセスポイントAP)から,各通過点を通って各検査部位に達するまでの経路が確定される。
【0055】
続くステップS11では,マーカー情報(VE情報)の生成が実行される(図3の符号c1も参照。)。すなわち,ステップS7で入力された各検査部位及び各通過点の,チャート図上における位置情報と,同位置に内視鏡プローブ3を配置して所定方向を向いたときの視線角度(姿勢情報)とが確定される。なお,ここで言う「VE」は「Virtual Endscope」の略であり,チャート図上に想定された仮想の内視鏡プローブを指し示すものとする。
【0056】
このようにして選び出されたマーカー情報(VE情報)に基づき,ステップS12ではマーカーデータ(VE画像)の生成が行われる(図3の符号c2も参照。)。すなわち,ステップS11で確定された位置情報及び視線角度に仮想の内視鏡プローブ3を配置し,そのときに見える内視鏡画像を,前記計算機モデルに基づいて生成する。」


「【0059】
このようにして生成された内視鏡画像(VE画像)は,挿入予定経路上に設定された各通過点及び各検査部位の位置における仮想の内視鏡画像(3Dコンピュータグラフィック画像)であり,ステップS13においてランドマークの表示が実行される。ここで言うランドマークとは,挿入予定経路上を進みながら検査を行う際に現在位置の確認を行うのに適した,被観察物内の特徴ポイントのことを指し示すものである。そして,これらランドマークは,図7に示すように,各検査部位及び各通過点のVE画像をサムネール表示(縮小配列表示)したものが表示領域A2に表示される。なお,同図では,明確に説明するために,図8(b)に示したID番号((1),(2),(3),・・・)に対応する番号を記している。」


「【0063】
逆に,設定した挿入予定経路で問題ないとステップS16で判断された場合には,ステップS17に進み,設定した挿入予定経路の保存が行われる。この時,併せて前記計算機モデル,チャート図,挿入開始位置,各検査部位,各通過点,前記VE画像,各ランドマーク等,後の検査実施に用いる情報も,制御部CUの記録部Rに保存される。
【0064】
以上説明の各工程を実行することにより,これから検査を行うための検査計画が立てられ,制御部CUの記録部Rに保存される。続いて,本実施形態の工業用内視鏡装置1を用いて,前記検査計画に基づいて実際に被観察物内の検査を行う方法の詳細について,以下に説明を行う。」


「【0065】
この実施形態の工業用内視鏡装置1を用いた検査方法では,センサSEによって内視鏡プローブ3の先端部3aの変位情報を収集する工程と,被観察物内における内視鏡プローブ3の先端位置及び姿勢の両方を求める工程とを有するものとなっている。なお,後においても述べるが,被観察物内における内視鏡プローブ3の先端位置及び姿勢の両方を求める工程は,リアルタイムに行うことに限らず,検査後に行うものとしても良い。
【0066】
まず,工業用内視鏡装置1を被観察物の挿入開始位置(アクセスポイントAP)近傍に配置して起動させる。この時の工業用内視鏡装置1では,前記光源16が起動して内視鏡プローブ3内のライトガイドに照明光を供給し,また,内視鏡プローブ3先端の前記CCDからのリアルタイム映像を制御部CU側に送信(図3の符号d参照。)し,図7の表示領域A4に示すLIVE画像としてLCD8に表示させる。さらに,センサSEで検知される情報が制御部CU側に送信される状態になる(図3の符号iも参照。)
【0067】
一方,制御部CU側では,前記保存情報を読み込み,図5に示した情報(チャート図,チャート図上に設定された挿入予定経路,挿入予定経路上に設定されたチェックポイントである各ランドマーク画像等)を,LCD8上に表示可能な状態になる。このようにして,検査準備が整う。
【0068】
その後,制御部CU内では,図6のステップS21に示すようにランドマークオフセットの初期化が実行される。すなわち,検査計画時に求められた各ランドマーク画像のうち,内視鏡プローブ3が最初に通るものが選定される。そして,ステップS22において,選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示(図7参照)される。これにより,全ランドマーク画像のうちのどれが現在選定されているかを観察者が一目で判るようにする。
【0069】
続くステップS23では,選定されたランドマーク画像が図7に示すカレントVE画像として拡大表示される。なお,ここで言う「カレント」とは,「現在選択されている」という意味を示す。
【0070】
この状態で,観察者は,前記挿入開始点より内視鏡プローブ3を被観察物内に挿入していく。この時の内視鏡プローブ3の先端位置及び姿勢は,図8(b)で示したように,前記チャート図上の太矢印マークとして表示される。また,この時に撮像されるリアルタイム映像は,図7の表示領域A4にLIVE画像として表示される。また,同図7の表示領域A5に示す「テキスト支援情報」の箇所には,これから向かうランドマーク(次のランドマーク)までの距離,方向や,最終到達目標(最終のランドマーク)までの距離,方向,残ランドマーク数等の文字情報が表示される。観察者は,LCD8上のこれら文字情報及び各画像情報を見て前記リモートコントローラ7を操作しながら,内視鏡プローブ3の挿入を進めていく。
【0071】
なお,以下の説明においては,制御部CU内の処理動作を中心に説明を行うが,観察者は,内視鏡プローブ3の挿入を,LCD8を介して制御部CUから送られてくる指示に従って進めながらLIVE画像を観察することで被観察物の内部検査を適宜実施する。
【0072】
ステップS24では,図3中のiでセンサ信号を収集し,センサ信号が位置姿勢を直接表さない場合に,図3中のjで位置姿勢計算を行う。具体的には,センサ信号が速度又は角速度であるときは時間で積分する。また,加速度又は角加速度であるときは,時間で2回積分する。センサ信号又は計算結果は,図3中のkの位置姿勢データとなる。
【0073】
ステップS25では,ステップS24で得られた位置姿勢データと,カレントVE画像の位置姿勢データとを比較する。比較し,一致した場合(Yesの場合)には,ステップS27へと進み,一方,一致しなかった場合(Noの場合)にはステップS26へと進む。
【0074】
前記ステップS25に続くステップS26では,LIVE画像に対してカレントVE画像の位置及び姿勢(画像の上下向きを含む)を一致させるべく,カレントVE画像側の加工表示を行う(図3の符号eも参照。)。すなわち,制御部CUは,ステップS24において求められた現在の内視鏡プローブ3の位置及び姿勢を参照し,これと一致するようにカレントVE画像の位置及び姿勢を変更する。この変更に伴い,カレントVE画像の表示内容が回転,上下移動,左右移動,拡大,縮小する等して,LIVE画像の表示内容と一致する。
【0075】
このようにして表示内容が一致した後のカレントVE画像上には,さらに内視鏡プローブ3を挿入するための挿入方向を指し示す矢印等の操作指示が表示される(図3の符号f,gも参照。)。すなわち,制御部CUは,求めた内視鏡プローブ3の位置及び姿勢と挿入予定経路との比較に基づき,この内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めて図3のgに示すようにカレントVE画像上に矢印を表示する。この時,必要に応じて前記スピーカ22aからも,音声による操作指示(「上に進んでください」,「右に進んでください」等)を行う。」


「【0077】
このようにして,現時点において見えている場所の特定がなされ,検査部位に到達した時点で,制御部CUは,LCD8上の表示画面を図7の表示内容から図12の表示内容に自動的に切り替え,「検査モード」に移る。
【0078】
図12に示すように,画面中央下部に示す表示領域A6には,検査項目のリストが一覧表示される。この検査項目のリストは,このランドマーク位置の検査箇所において検査すべき項目の見出しを一覧表示したものである。これら検査項目のリストのうちの何れかを観察者が選択すると,左側の表示領域A7に,検査項目の詳細が表示される。さらに,図12の中央上部の「参考画像」の表示A8を観察者が押すと,過去に撮影した同箇所の画像(過去画像)が記録部Rから読み出され,左側の表示領域A9に表示される。なお,表示A8を省略し,表示A6を押して表示領域A7に検査項目の詳細を表示させた時点で,自動的に表示領域A9に過去画像を表示させるように構成しても良い。
【0079】
観察者は,表示領域A7,A9に表示される情報を参考にして検査を行う。この検査においてキズ計測を行う場合には,図12の中央上部の表示A10を押下して「キズ計測モード」にすることで測定を実施する。
【0080】
この検査部位における全ての検査が終了した場合には,観察者が図12の中央上部の「確認済」の表示A11を押す。すると,表示領域A6内に「済」のマークA61が表示されると同時に,検査が済んだことが制御部CUの記録部Rに証拠記録として保存される(図3の符号hも参照。)。このようにして制御部CUに検査記録を残すことにより,検査漏れをなくすことができる上に,後の解析に利用することが可能となる。なお,この記録動作は本例のように各ランドマーク通過後に逐一行っても良いし,もしくは,後述のステップS31に説明するように,最終ランドマークを通過後に一括して保存するものとしても良い。
【0081】
制御部CUの記録部Rに保存される全記録項目の例を,図13に示す。
同図に示すように,記録部Rには,各ランドマークIDと,カレントVE画像の元となる被観察物全体の3Dモデルである検査部位モデルと,図5のステップS6において入力した内視鏡装置情報と,内視鏡プローブ3をどのような経路で挿入していったか(どの位置をどのような姿勢で通過させたか)を示す挿入軌跡情報と,前記被観察物(エンジン,パイプ等)を識別するためのユニークなIDである被検体IDとが記録される。前記挿入軌跡情報の記録が,図6のステップS27に示す挿入軌跡情報更新である。挿入軌跡情報は,ランドマークIDと関連づけて記録されている。すなわち,ランドマーク地点各々での,位置・姿勢が関連づけて記録されている。
【0082】
図13に示すように,各ランドマークIDの記録においては,このランドマークが「通過点」であるのか「検査部位」であるのかを示す識別情報も併せて保存される。そして,「通過点」の識別情報が付与されたランドマークには,この通過点をなすランドマーク位置に対応するVE画像が併せて保存される。一方,「検査部位」の識別情報が付与されたランドマークには,同ランドマーク位置に対応するVE画像に加えて,検査項目毎に取得した過去の画像(実画像)が併せて保存される。
【0083】
以上のようにして全ての検査項目の実施が済んだ後は,LCD8の表示画面を,図12の表示内容(「検査モード」)から図7の表示内容に自動的に切り替える。
【0084】
上記ステップS27に続くステップS28においては,図14に示すように,液晶ディスプレイ8上に,ランドマークオフセットの更新を行うか否かを観察者に問い合わせる表示が示される。そして,観察者が,もうしばらく現在の観察部位に止まって観察を継続して行いたい等の理由により,図14の「No」ボタンを押下すると,制御流れが図6のステップS24に戻される。そして,次のランドマーク位置に向かわずに観察を継続して行うことが可能となる。逆に,観察者が次のランドマーク位置に向かうことを決め,図14の「Yes」ボタンを押下すると,図6のステップS29に進む。
【0085】
ステップS29では,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置であるかが制御部CUによって判定される。そして,最終のランドマーク位置に達していない(No)と判断された場合には,ステップS30へと進み,ランドマークオフセットの更新が実行される。すなわち,検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)が新たな目標として選定される。
【0086】
一方,ステップS29において最終のランドマーク位置に達している(Yes)と判断された場合には,ステップS31へと進み,全てのLIVE画像や,これらLIVE画像に対応して求められた内視鏡プローブ3の先端の位置及び姿勢等,図13で説明した事項が最終的な検査記録(観察記録)として制御部CU内の記録部Rに自動的に保存される。
以上により,検査実施時における前記制御部の制御動作が完了する。」


「【0087】
以上説明のように,この実施形態の工業用内視鏡装置1によれば,センサSEからセンサ信号を収集し,必要があれば,位置姿勢計算を行い,最終的に内視鏡プローブ3の先端部3aの位置及び姿勢を求めることができる。その結果,被観察物内における内視鏡プローブ3の先端部3aの位置及び姿勢を正確かつ容易に求めることができる。
【0088】
また,LIVE画像に基づく現在観察位置の判別を観察者が行うのではなく,制御部CU側で行うものであるため,検査すべき箇所を客観的に確認することができ,これにより,検査箇所を見逃す虞を低減させることができるようになる。
【0089】
したがって,被観察物内における内視鏡プローブ3自らの位置及び姿勢を見失うことなく,かつ客観的に把握することができる。これにより,検査部位に容易に達することができ,なおかつ,検査結果を客観的記録として残すことが可能となる。
【0090】
また,この実施形態の工業用内視鏡装置1は,制御部CUが,前記チャート図上に設定される挿入予定経路をLCD8上に表示させる構成を採用した。
この構成によればLCD8上に表示される挿入予定経路に沿って各検査箇所の検査を行うことで,全ての検査箇所を見逃すことなく順番に検査できるようになる。したがって,熟練していない観察者であっても,熟練した観察者が行うように全ての検査箇所を見逃すことなく順番に観察することが可能となる。
【0091】
また,この実施形態の工業用内視鏡装置1は,制御部CUが,挿入予定経路上に設定されたランドマーク画像をLCD8に表示させる構成を採用した。
この構成によれば,各ランドマーク位置を通ったか否かをLCD8上で確認しながら検査を行うことで,挿入予定経路上における全ての検査箇所を逃さず検査したかをより確実に確認することが可能となる。また,全ての検査箇所のうちのどこまで検査できたかを確認しながら検査を行うことも可能となっている。」

タ 図2には,コントロールユニット6が,カメラコントロールユニット(CCU)17を有することが示されている

チ 図6には,「ランドマークオフセット更新」処理(ステップ30)が終わると,「カレントランドマーク画像サムネールを選択表示(太枠付き表示)」処理(ステップ22)に戻ることが示されている。

ツ 図7には,ランドマークを画像として表示することが示されている。

テ 図12には,「カレントVE画像」と「検査項目」が,同じ表示画面に表示されていることが示されている。

ト 【0059】【0081】【0082】及び図13には,ランドマークにはランドマークIDが付与され,各ランドマークIDの記録には,ランドマークが「通過点」であるのか「検査部位」であるのかを示す識別情報が保存され,ランドマークID(1),ランドマークID(2),ランドマークID(4)には「通過点」が,ランドマークID(3),ランドマークID(5)には「検査部位」が保存されていることが,示されている。

(3)引用発明
上記(2)に記載した引用文献1の記載によれば,引用文献1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

工業用内視鏡装置1のシステムが,コントロールユニット6と,内視鏡プローブ3を有する内視鏡本体4と,内視鏡画像や操作制御内容,ナビゲーション情報等が表示される表示部である液晶モニタ(LCD)8と,を有し(【0016】),
前記コントロールユニット6は,前記内視鏡本体4を収納し,制御部CU,カメラコントロールユニット(CCU)17を有し(【0016】【0021】【図2】),
前記内視鏡本体4は,被観察物内に挿入される前記内視鏡プローブ3を有し(【0016】),
前記内視鏡プローブ3は,センサSEが取り付けられた先端部3aを有し(【0019】),
前記制御部CUは,CPU18を搭載し,音声信号処理回路22,映像信号処理回路23,記録部Rを備え(【0022】),
前記CPU18は,マイクロプロセッサーであり,主要プログラムに基づいて各種機能を実行/動作させる制御と,計測処理とを行い(【0023】),
前記映像信号処理回路23は,前記CCU17からの内視鏡画像と,前記CPU18により生成された操作メニューの表示信号との合成処理し,前記LCD8の画面上に表示するのに必要な処理を施してから前記LCD8に供給し(【0027】),
前記LCD8は,前記合成処理された合成画像を表示し(【0027】),
前記制御部CUは,前記センサSEが検出した情報を読み込み,前記内視鏡プローブ3のヘッド(先端部3a)の位置及び姿勢を求め,求めた内視鏡プローブ3のヘッドの位置及び姿勢を,LCD8に表示すると同時に,スピーカ22aから音声ガイドとして発することにより,観察者に,どのように内視鏡プローブ3を操作すればスムーズに検査が行えるかを常に指示し(【0033】【0034】),
前記制御部CUは,検査計画を立てるために(【0036】),
前記被観察物の設計情報(CADデータ)に基づき,計算機モデルを生成し(【0037】【0038】),
前記計算機モデルに基づきチャート図を表示させ(【0039】),
内視鏡挿入条件情報の入力が実行させ(【0045】),
観察者の操作により,
前記チャート図上における前記内視鏡プローブ3の挿入開始位置の入力が行われ,続けて,前記チャート図上における検査部位と,これら検査部位に達する際に通るべき通過点との入力が行われ,このとき,これから設定するポイントが「検査部位」であるのか「通過点」であるかが選択され,ポイントを識別するためのID番号を入力され(【0047】【0048】),
前記計算機モデルと前記内視鏡挿入情報とに基づいて,挿入予定経路情報の生成を行い(【0053】),
前記入力された各検査部位及び各通過点の,チャート図上における位置情報と,同位置に前記内視鏡プローブ3を配置して所定方向を向いたときの視線角度(姿勢情報)が確定されたマーカー情報を生成し(【0055】),
前記マーカー情報に基づき,挿入予定経路上に設定された前記各通過点及び前記各検査部位の位置における仮想の内視鏡画像(VE画像)を生成し(【0055】【0056】【0059】),
前記挿入予定経路上を進みながら検査を行う際に現在位置の確認を行うのに適した,前記被観察物内の特徴ポイントであるランドマークを,前記各検査部位及び前記各通過点の前記VE画像をサムネール表示(縮小配列表示)したものとして表示可能にし(【0059】【図7】),
このようにして設定した前記挿入予定経路を,前記計算機モデル,前記チャート図,前記挿入開始位置,前記各検査部位,前記各通過点,前記VE画像,各ランドマーク等と併せて前記記録部Rに保存し(【0063】【0064】),
さらに,前記制御部CUの記録部Rには,
ランドマークにはランドマークIDが付与され,各ランドマークIDには「通過点」であるのか「検査部位」であるのかを示す識別情報が保存され(【0059】【0081】【0082】【図13】),
「通過点」の識別情報が付与されたランドマークには,この通過点をなすランドマーク位置に対応するVE画像が,「検査部位」の識別情報が付与されたランドマークには,同ランドマーク位置に対応するVE画像が保存され(【0082】),
前記制御部CUは,前記保存情報を読み込み,情報(チャート図,チャート図上に設定された挿入予定経路,挿入予定経路上に設定されたチェックポイントである各ランドマーク画像等)を,前記LCD8上に表示可能な状態にすることで,検査準備を整え(【0067】),
前記制御部CU内では,検査計画時に求められた各ランドマーク画像のうち,前記内視鏡プローブ3が最初に通るものが選定され,選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示され(【0068】),
選定されたランドマーク画像が,現在選択されていることを示すカレントVE画像として拡大表示され(【0069】),
前記観察者は,前記挿入開始点より前記内視鏡プローブ3を前記被観察物内に挿入し(【0070】),
前記制御部CUは,前記センサSEによりセンサ信号を収集し,現在の内視鏡プローブ3の位置及び姿勢を計算し(【0072】【0074】【図3】),
前記制御部CUは,計算して得られた位置姿勢データと,カレントVE画像の位置姿勢データとを比較し,一致すると,前記制御部CUは,求めた内視鏡プローブ3の位置及び姿勢と前記挿入予定経路との比較に基づき,この内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めて前記カレントVE画像上に矢印を表示し(【0073】【0075】【図3】),
このようにして,現時点において見えている場所を特定し,検査部位に到達した時点で,前記制御部CUは,前記LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し(【0077】),
検査モードの表示画面には,検査項目のリストが一覧表示され(【0078】),
前記観察者は,表示される情報を参考にして検査を行い(【0079】),
検査部位における全ての検査が終了した場合には,前記観察者が表示画面の「確認済」を押し(【0080】),
前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定し(【0084】【0085】),
新たな目標であるランドマーク画像が選定すると,上記「選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示され」る処理に戻る(【図6】)
方法。

(4)引用発明との対比
ア 引用発明の「検査項目のリスト」,「検査部位」,は,それぞれ,本件補正発明の「インストラクション援助」,インストラクション援助が関連付けられた「部分」に相当する。
また,引用発明の,内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めてカレントVE画像上に表示される「矢印」は,本件補正発明の「移行インストラクション援助」に相当する。

イ 引用発明は,(a)「前記制御部CUは,前記保存情報を読み込み,情報(チャート図,チャート図上に設定された挿入予定経路,挿入予定経路上に設定されたチェックポイントである各ランドマーク画像等)を,前記LCD8上に表示可能な状態にすることで,検査準備を整え」,(b)「制御部CU内では,検査計画時に求められた各ランドマーク画像のうち,前記内視鏡プローブ3が最初に通るものが選定され」,(c)「選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示され」,(d)「前記制御部CUは,計算して得られた位置姿勢データと,カレントVE画像の位置姿勢データとを比較し,一致すると,前記制御部CUは,求めた内視鏡プローブ3の位置及び姿勢と前記挿入予定経路との比較に基づき,この内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めて前記カレントVE画像上に矢印を表示し」,(e)「現時点において見えている場所を特定し,検査部位に到達した時点で,前記制御部CUは,前記LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し」,(f)「検査モードの表示画面には,検査項目のリストが一覧表示され」,(g)「前記観察者は,表示される情報を参考にして検査を行い」,(h)「前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定し」,(i)「新たな目標であるランドマーク画像が選定すると,上記「選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示され」る処理に戻る」(上記(c)に戻る),ものであり,このことから,引用発明において,上記(a)?(i)の処理をひとまとめにしたものは,本件補正発明の「点検工程(300)」に相当し,引用発明において,上記(a)?(j)の各処理fを備えることは,本件補正発明の「前記点検工程(300)は,点検工程(300)に対応する複数のステップを備える」ことに相当する。

ウ 引用発明は,「前記制御部CU内では,検査計画時に求められた各ランドマーク画像のうち,前記内視鏡プローブ3が最初に通るものが選定され,選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示」され,「前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定」するものである。このことから,最初に通る「通過点」を保存するランドマークID(1)のランドマーク画像が,選定されたランドマーク画像として太枠付き表示され,その後,「通過点」を保存するランドマークID(2)が新たな目標として選定され,ランドマークID(2)のランドマーク画像が太枠付き表示され,さらに続けて,「検査部位」を保存するランドマークID(3)が新たな目標として選定され,以下同様に,ランドマークID(4),ランドマークID(5)が順に新たな目標として選定される。
そうすると,これらの処理は制御部CUにより実行されるものの,引用発明における,新たな目標であるランドマークIDが選定され,選定されたランドマークIDのランドマーク画像が,選定されたランドマーク画像として太枠付き表示される点は,本件補正発明の「点検工程(300)内の現在の状態を決定すること」に対応する。

エ 引用発明は,「前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定」するものであり,内視鏡プローブ3の「現時点において見えている場所を特定し,検査部位に到達した時点で,前記制御部CUは,前記LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し」,「検査モードの表示画面には,検査項目のリストが一覧表示」するものである。このことから,制御部CUにより,新たな目標として「検査部位」を保存するランドマークID(3)が選定されると,内視鏡プローブ3が検査部位に到達した時点で,制御部CUは,LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し,検査モードの表示画面には,検査項目のリストが一覧表示されるものである。
そうすると,これらの処理は制御部CUにより実行されるものの,引用発明における,ランドマークID(3)の位置である検査部位に到達した時点で,ランドマークID(3)に対応する検査項目のリスト一覧が表示される点は,本件補正発明の「前記点検工程(300)内の前記現在の状態に対応する点検工程(300)の第1の部分を決定する」こと,「第1の場所で実行される前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助を提示すること」に対応する。

オ 引用発明の「検査部位における全ての検査が終了した場合には,観察者が表示画面の「確認済」を押し」は,観測者が行うことを除き,本件補正発明の「前記第1の部分の完了を決定すること」に対応する。

カ 引用発明は,「前記制御部CU内では,検査計画時に求められた各ランドマーク画像のうち,前記内視鏡プローブ3が最初に通るものが選定され,選定されたランドマーク画像の表示が太枠付き表示され」され,「選定されたランドマーク画像が,現在選択されていることを示すカレントVE画像として拡大表示され」,「現在の内視鏡プローブ3の位置及び姿勢を得て」,「前記制御部CUは,計算して得られた位置姿勢データと,カレントVE画像の位置姿勢データとを比較し,一致すると,前記制御部CUは,内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めて前記カレントVE画像上に矢印を表示」し,「前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定」するものである。このことから,制御部CUにより,「検査部位」を保存するランドマークID(3)の次であって,「検査部位」を保存するランドマークID(5)の前である,「通過点」を保存するランドマークID(4)が,新たな目標として選定されると,ランドマークID(4)に対応するランドマーク画像がカレントVE画像として拡大表示され,得られた位置姿勢データがカレントVE画像の位置姿勢データと一致するとことで,内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めてカレントVE画像上に矢印を表示するものである。
そうすると,これらの処理は制御部CUで実行されるものの,引用発明における,ランドマークID(3)の後であって,ランドマークID(5)の前の,「通過点」を保存するランドマークID(4)が新たな目標として選定された場合,内視鏡プローブ3の移動すべき方向を求めてカレントVE画像上に矢印を表示する点は,本件補正発明の「前記現在の状態が,前記前記第1の部分の完了後であって,前記点検工程(300)の第2の部分に対応する前の状態の場合」,「移行インストラクション援助を提示すること」に対応する。

キ 引用発明は,「前記制御部CUは,次のランドマーク位置に向かうことが決まり,現在のランドマーク位置が最終のランドマーク位置に達していないと判断した場合には,前記検査計画において求められた各ランドマーク画像のうち,次に前記内視鏡プローブ3が向かうもの(次に大きいID番号を有するVE画像)を新たな目標として選定し」,内視鏡プローブ3の「現時点において見えている場所を特定し,検査部位に到達した時点で,前記制御部CUは,前記LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し」,「検査モードの表示画面には,検査項目のリストが一覧表示」するものである。このことから,「検査部位」が保存されるランドマークID(3),「通過点」が保存されるランドマークID(4),「検査部位」が保存されるランドマークID(5)の順で新たな目標が選定されるものであって,新たな目標として「検査部位」を保存するランドマークID(5)が選定され,内視鏡プローブ3がランドマークID(5)に対応する検査部位に到達した時点で,制御部CUは,LCD8上の表示画面を「検査モード」に移し,検査モードの表示画面には,ランドマークID(5)に対応する検査項目のリストが一覧表示されるものである。
そうすると,これらの処理は制御部CUで実行されるものの,引用発明における,ランドマークID(3)より後に,新たな目標として設定されたランドマークID(5)の位置である検査部位に到達した時点で,ランドマークID(5)に対応する検査項目のリスト一覧が自動で表示される点は,本件補正発明の「前記現在の状態が前記点検工程(300)の前記第2の部分に対応する場合」,「前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助を自動で提示する」に対応する。

以上によれば,本願発明と引用発明とは,以下の一致点において一致し,相違点において相違する。

<一致点>
「 点検工程(300)内の現在の状態を決定することと,
前記点検工程(300)内の前記現在の状態に対応する点検工程(300)の第1の部分を決定することであって,前記点検工程(300)は,点検工程(300)に対応する複数のステップを備える,決定することと,
第1の場所で実行される前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助を提示することと,
前記第1の部分の完了を決定することと,
前記現在の状態が,前記前記第1の部分の完了後であって,前記点検工程(300)の第2の部分に対応する前の状態の場合,移行インストラクション援助を提示することと,
前記現在の状態が前記点検工程(300)の前記第2の部分に対応する場合,前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助を自動で提示することと,
を備える,方法。」

<相違点>
(相違点1)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,点検工程(300)内の現在の状態を決定するのに対し,引用発明では,「制御部CU」が行う点。

(相違点2)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,前記点検工程(300)内の前記現在の状態に対応する点検工程(300)の第1の部分を決定するのに対し,引用発明では,「制御部CU」が行う点。

(相違点3)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,第1の場所で実行される前記第1の部分に関連づけられた第1のインストラクション援助を提示するのに対し,引用発明では,「制御部CU」が行う点。

(相違点4)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,前記第1の部分の完了を決定するのに対し,引用発明では,「観察者」が確認済みを押す点。

(相違点5)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,移行インストラクション援助を提示するのに対し,引用発明では,「制御部CU」が行う点。

(相違点6)
本件補正発明では,「プロセッサ」が,前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される前記第2の部分に対応する第2のインストラクション援助を自動で提示するのに対し,引用発明では,「制御部CU」が行う点。

(5)判断
以下,相違点について検討をする。

ア 相違点1?3,5及び6について
上記(2)エのとおり,引用文献1には,制御部CUは,主要プログラムに基づいて各種機能を実行/動作させる制御と,計測処理とを行うCPU18を備えること(【0022】【0023】【図2】)が記載されている。
そうすると,制御部CUが行う処理をプロセッサであるCPU18で行わせることで,上記相違点1?3,5及び6の構成とすることは,当業者が容易になし得た事項にすぎない。

イ 相違点4について
上記(2)イのとおり,引用発明は,検査すべき個所を見逃して不完全な検査結果を招いてしまうことを防止するためのものであるから,観察者が全ての検査を終了したことを決定する構成に代えて,制御部CUのCPU18で行わせることで,上記相違点4の構成とすることに技術的困難性は見いだせない。

ウ 以上より,本願発明に係る発明の構成は,引用文献1の記載に基づき,当業者が容易に想到することができたものである。
そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の奏する作用効果は,引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

エ したがって,本願発明は,引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3 本件補正のむすび
上記のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において,読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定のとおり決定する。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成30年9月20日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成30年4月11日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1?13に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明,引用文献2に記載された事項及び引用文献3に記載された周知技術に基づいて,又は,請求項1に記載された発明及び引用文献3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特開2005-338551号公報
引用文献2:特開2006-155584号公報
引用文献3:実願昭61-159030号(実開昭63-65406号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2004-191911号公報

3 引用文献1に記載されている事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりの事項が記載されており,引用発明は,前記第2の[理由]2(3)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から,「第1の場所で実行される」及び「前記第1の場所とは異なる第2の場所で実行される」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(4),(5)に記載したとおり,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-11-18 
結審通知日 2019-11-19 
審決日 2019-12-02 
出願番号 特願2015-553748(P2015-553748)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄塩田 徳彦  
特許庁審判長 佐藤 聡史
特許庁審判官 田中 秀樹
松田 直也
発明の名称 自己主導された点検計画  
代理人 小倉 博  
代理人 特許業務法人サカモト・アンド・パートナーズ  
代理人 田中 拓人  
代理人 荒川 聡志  
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