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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01G
管理番号 1361386
審判番号 不服2018-15286  
総通号数 245 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-11-19 
確定日 2020-04-14 
事件の表示 特願2016- 55546「固体電解コンデンサアセンブリのためのハウジング構成」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月28日出願公開、特開2016-136642〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年2月16日(パリ条約による優先権主張2011年4月7日、米国)に出願した特願2012-48539号の一部を平成28年3月18日に新たな特許出願としたものであって、同年4月8日付けで手続補正がなされ、平成29年3月29日付け拒絶理由通知に対して同年7月3日付けで手続補正がなされ、平成30年1月29日付け拒絶理由通知に対して同年5月2日付けで意見書が提出されたが、同年7月10日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年11月19日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、平成31年1月4日付けで前置報告がなされたのに対して令和1年6月10日付けで上申書が提出されたものである。

第2 平成30年11月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年11月19日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正について
平成30年11月19日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするもので、特許請求の範囲の請求項1については、
本件補正前に、
「 【請求項1】
横方向に延びる基部と、該基部の上にある蓋部とを含んでこれらの間に内部キャビティを定めるハウジングを備え、前記蓋部が、外壁と、該外壁から前記基部に向かって縦方向に延びる側壁とを含み、該側壁からは、該側壁の外周を越えて存在する周縁部を有するリップが、前記縦方向に対してある角度をなして延びるとともに前記基部に対して密封され、
陽極酸化した焼結多孔質体から形成された陽極と、該陽極の上にある固体電解質とを含む、前記内部キャビティ内に位置して前記ハウジングの前記基部に接続されたコンデンサ素子と、
前記陽極体に電気的に接続された陽極端子と、
前記固体電解質に電気的に接続された陰極端子と、
をさらに備え、
前記リップと前記基部の間に密封部材が配置され、
前記密封部材がガラス及び金属を含むガラス対金属シールであり、
前記内部キャビティが、不活性ガスを含む気体雰囲気を有し、
前記密封部材は、前記リップの前記周縁部が、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にあり、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にある周縁部を有する、
ことを特徴とするコンデンサアセンブリ。」とあったところを、

本件補正により、
「 【請求項1】
横方向に延びる基部と、該基部の上にある蓋部とを含んでこれらの間に内部キャビティを定めるハウジングを備え、前記蓋部が、外壁と、該外壁から前記基部に向かって縦方向に延びる側壁とを含み、該側壁からは、該側壁の外周を越えて存在する周縁部を有するリップが、前記縦方向に対してある角度をなして延びるとともに前記基部に対して密封され、
陽極酸化した焼結多孔質体から形成された陽極と、該陽極の上にある固体電解質とを含む、前記内部キャビティ内に位置して前記ハウジングの前記基部に接続されたコンデンサ素子と、
前記陽極体に電気的に接続された陽極端子と、
前記固体電解質に電気的に接続された陰極端子と、
をさらに備え、
前記リップと前記基部の間に密封部材が配置され、
前記密封部材がガラス及び金属を含むガラス対金属シールであり、
前記内部キャビティが、不活性ガスを含む気体雰囲気を有し、
前記密封部材は、前記リップの前記周縁部が、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にあり、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にある周縁部を有し、
前記蓋部は、前記コンデンサ素子の表面に接触しない、
ことを特徴とするコンデンサアセンブリ。」とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。

上記の補正は、基部の上にある蓋部について「コンデンサ素子の表面に接触しない」と限定したものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、特許請求の範囲の減縮を目的とする本件補正の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-253278号公報(以下「引用文献」という。)には、「密封されたコンデンサアセンブリ」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、下線は当審で付与した。

(1)「【請求項1】
アノードと、該アノードの上に重なる誘電体層と、該誘電体層の上に重なり、導電性ポリマーを有するカソードとを含む電解コンデンサと、
不活性ガスを含有する気体雰囲気を有する内部空洞を形成し、前記電解コンデンサが内部に封入されて密封されたセラミックハウジングと、
前記カソードと電気的に接続し、前記セラミックハウジングの外部に位置するカソード端子と、
前記アノードと電気的に接続し、前記セラミックハウジングの外部に位置するアノード端子と、
を含むことを特徴とするコンデンサアセンブリ。」

(2)「【0001】
電解コンデンサ(例えば、タンタルコンデンサ)は、その体積効率、信頼性、及び処理互換性により回路の設計に益々用いられている。例えば、開発された1つのタイプのコンデンサは、アノード(例えば、タンタル)、アノード上に形成された誘電酸化物膜(例えば、五酸化タンタル、Ta_(2)O_(5))、固体電解質層、及びカソードを含む固体電解コンデンサである。固体電解質層は、Sakata他に付与された米国特許第5、457、862号、Sakata他に付与された米国特許第5、473、503号、Sakata他に付与された米国特許第5、729、428号、及びKudoh他に付与された米国特許第5、812、367号に記載されているように導電性ポリマーから形成することができる。しかし、残念ながら、導電性ポリマーの安定性は、そのドープから非ドープ状態に変形する傾向のために及びその逆も同様であるが高温では不十分である。変形の結果として、ポリマーの導電性が低下する場合があり、これは、キャパシタンス及びESRに直接に影響を与え、かつ性能劣化を引き起こす。」

(3)「【0006】
本発明の別の実施形態により、コンデンサアセンブリを形成する方法を開示する。本方法は、アノード、アノードの上に重なる誘電体層、及び誘電体層の上に重なるカソードを含む電解コンデンサを準備する段階を含み、カソードは、導電性ポリマーを含み、アノードリードが、アノードから延びている。電解コンデンサは、セラミックハウジング内に位置決めされる。カソードは、カソード端子に電気的に接続され、アノードリードは、アノード端子に電気的に接続される。蓋が、セラミックハウジングの上に位置決めされる。蓋は、不活性ガスを含有する気体雰囲気の存在下でセラミックハウジングに対して密封されている。
本発明の他の特徴及び態様を以下により詳細に示す。
当業者に向けられた本発明のその最良のモードを含む完全かつ権限を付与する開示は、添付の図を参照する本明細書の残りの部分でより詳細に示される。
本明細書及び図面の参照文字の反復使用は、本発明の同じか又は類似の特徴又は要素を表すことを意図している。
【図面の簡単な説明】」

(4)「【0010】
従来の製作手順は、一般的にアノードを形成するのに利用することができる。一実施形態では、ある一定の粒子サイズを有するタンタル又は酸化ニオビウム粉末が最初に選択される。例えば、粒子は、薄片状、角張ったもの、結節状、及びこれらの混合物又は変形とすることができる。粒子はまた、典型的には少なくとも約60メッシュ、一部の実施形態では約60から約325メッシュ、及び一部の実施形態では約100から約200メッシュのふるいサイズ分布を有する。更に、比表面積は、約0.1から約10.0m^(2)/g、一部の実施形態では約0.5から約5.0m^(2)/g、及び一部の実施形態では約1.0から約2.0m^(2)/gである。用語「比表面積」は、吸着ガスとして窒素を用いるBruanauer、Emmet、及びTellerの物理ガス吸着(B.E.T.)法、「Journal of American Chemical Society」、60巻、309頁、1938年によって判断された表面積を意味する。同様に、かさ(又はスコット)密度は、典型的には約0.1から約5.0g/cm^(3)、一部の実施形態では約0.2から約4.0g/cm^(3)、及び一部の実施形態では約0.5から約3.0g/cm^(3)である。
【0011】
アノードの構成を容易にするために、他の構成要素を導電粒子に追加することができる。例えば、導電粒子は、結合剤及び/又は滑剤と任意的に混合し、アノード本体を形成するためにプレスされる時に粒子が互いに十分に接着することを保証することができる。好ましい結合剤は、ショウノウ、ステアリン、及び他のせっけん脂肪酸、Carbowax(ユニオン・カーバイド)、Glyptal(ゼネラル・エレクトリック)、ポリビニルアルコール、ナフタリン、植物ワックス、及びミクロワックス(精製パラフィン)を含むことができる。結合剤は、溶媒中で溶解して分散させることができる。例示的な溶媒は、水及びアルコールなどを含むことができる。利用する時に、結合剤及び/又は滑剤の割合は、全質量の重量で約0.1パーセントから約8パーセントまで変化する場合がある。しかし、結合剤及び滑剤は、本発明に必須ではない点を理解すべきである。
【0012】
得られた粉末は、あらゆる従来の粉末プレス成形を用いて圧縮することができる。例えば、プレス成形は、1つのダイ及び1つ又は複数パンチを用いて単一ステーション圧縮プレスとすることができる。代替的に、1つのダイ及び単一下部パンチを用いるアンビル型圧縮プレス成形を用いることができる。単一ステーション圧縮プレス成形は、単動式、複動式、浮ダイ、可動盤、対向ラム、スクリュー、衝撃、加熱プレス、コイニング又はサイジングのような様々な機能を有するカム、トグル/ナックル及び偏心/クランク圧力のようないくつかの基本タイプで利用することができる。粉末は、アノードワイヤ(例えば、タンタルワイヤ)の周囲で圧縮することができる。アノードワイヤは、それに代えて、アノード本体のプレス及び/又は焼結の後にアノード本体に付加する(例えば、溶接する)ことができる点を更に認めるべきである。圧縮後、あらゆる結合剤/滑剤は、数分間にわたってある一定の温度(例えば、約150℃から約500℃)での真空下でペレットを加熱することによって除去することができる。代替的に、結合剤/滑剤はまた、本明細書においてその全内容が全ての目的に対して引用により組み込まれている、Bishop他に付与された米国特許第6、197、252号に記載されているように、ペレットを水溶液と接触させることによって除去することができる。その後、ペレットを焼結して、多孔性で一体形の塊を形成する。例えば、一実施形態では、ペレットは、真空又は不活性雰囲気下で約1200℃から約2000℃、及び一部の実施形態では約1500℃から約1800℃の温度で焼結することができる。焼結すると、ペレットは、粒子間の結合の成長に起因して縮む。上述の技術に加えて、アノード本体を構成するためのあらゆる他の技術も、Galvagniに付与された米国特許第4、085、435号、Sturmer他に付与された米国特許第4、945、452号、Galvagniに付与された米国特許第5、198、968号、Salisburyに付与された米国特許第5、357、399号、Galvagni他に付与された米国特許第5、394、295号、Kulkarniに付与された米国特許第5、495、386号、及びFifeに付与された米国特許第6、322、912号に記載されているように本発明により利用することができ、これら特許の全ては、本明細書においてその全内容が全ての目的に対して引用により組み込まれている。
・・・(中略)・・・
【0014】
構成された状態で、アノードは、誘電体層がアノードの上及び/又はその中に形成されるように陽極酸化することができる。陽極酸化は、アノードを酸化して相対的に高い誘電率を有する材料を形成する電気化学処理である。例えば、酸化ニオビウム(NbO)アノードは、五酸化ニオビウム(Nb_(2)O_(5))に陽極酸化することができる。典型的には、陽極酸化は、電解質内にアノードを浸漬するなどによって初期に電解質をアノードに付与することによって実施される。電解質は、一般的には溶液(例えば、水性又は非水性)、分散、溶融などのような液体の形態である。溶媒は、水(例えば、脱イオン水)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノ-ル、及びブタノール)、トリグリセリド、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン)、エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート、ジエチレングリコールエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルカプリル/カプリン脂肪酸アミド、及びN-アルキルピロリドン)、ニトリル(例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、及びベンゾニトリル)、及びスルホキシド又はスルホン(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びスルホラン)などのような電解質で一般的には使用される。溶媒は、電解質の約50重量パーセントから約99.9重量パーセント、一部の実施形態では約75重量パーセントから約99重量パーセント、及び一部の実施形態では約80重量パーセントから約95重量パーセントを構成することができる。必ずしも必須ではないが、水性溶媒(例えば、水)の使用は、多くの場合、望ましい酸化物を達成するのを助けるために望ましい。実際に、水は、電解質で用いる溶媒の約50重量パーセント又はそれよりも多く、一部の実施形態では約70重量パーセント又はそれよりも多く、及び一部の実施形態では約90重量パーセントから100重量パーセントを構成することができる。
・・・(中略)・・・
【0016】
電流が電解質を通って流れ、誘電体層を形成する。電圧値は、誘電体層の厚みを管理する。例えば、電源は、必要な電源が達成されるまで初期に定電流モードで設定することができる。その後、電源を定電位モードに切り換えて、望ましい誘電体厚をアノードの表面上に形成することを保証することができる。勿論、パルス又はステップ定電位法のような他の公知の方法も使用することができる。電圧は、典型的には約4から約200ボルト、及び一部の実施形態では約9から約100ボルトに及ぶ。陽極酸化中に、電解質は、約30℃又はそれよりも高く、一部の実施形態では約40℃から約200℃、及び一部の実施形態では約50℃から約100℃のような高温に保持することができる。陽極酸化はまた、周囲温度又はそれより低い温度で行うことができる。得られる誘電体層は、アノードの表面上及びその孔隙内に形成することができる。

(5)「【0018】
陽極酸化された部分は、その後、導電性ポリマーカソードを形成する段階を受ける。導電性ポリマーコーティングは、1つ又はそれよりも多くのポリ複素環化合物(例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDT)、ポリアニリン)、ポリアセチレン、ポリ-p-フェニレン、ポリフェノラート、及びこれらの誘電体を含有することができる。更に、必要に応じて、導電性ポリマーコーティングはまた、複数導電性ポリマー層から形成することができる。例えば、一実施形態では、導電性ポリマーカソードは、PEDTから形成された1つの層とポリピロールから形成された別の層とを収容することができる。様々な方法を利用して、導電性ポリマーコーティングをアノード部上に付加することができる。例えば、電解重合、スクリーン印刷、浸漬、電着被覆、及び溶射のような従来の技術を用いて導電性ポリマーコーティングを形成することができる。一実施形態では、例えば、導電性ポリマー(例えば、3、4-エチレンジオキシチオフェン)を形成するのに用いるモノマーは、初期に重合触媒と混合して溶液を形成することができる。例えば、1つの好ましい重合触媒は、トルエンスルホン酸鉄IIIであり、かつ「H.C.Starck」によって販売されている「BAYTRON C」である。「BAYTRON C」は、3、4-エチレンジオキシチオフェンである「BAYTRON M」に対する市販の触媒であり、PEDTモノマーも「H.C.Starck」によって販売されている。触媒分散が形成された状態で、次に、アノード部は、ポリマーがアノード部の表面上で形成するように分散中に浸漬することができる。代替的に、触媒及びモノマーはまた、別の部分に別々に付加することができる。一実施形態では、例えば、触媒は、溶媒(例えば、ブタノール)中に溶解し、次に、浸漬溶液としてアノード部に付加することができる。次に、アノード部を乾燥して、そのアノード部から溶媒を除去することができる。その後、アノード部は、適切なモノマーを含有する溶液中に浸漬することができる。モノマーが触媒を含有するアノード部の表面に接触すると、モノマーは、その表面上で化学的に重合する。更に、触媒(例えば、「BAYTRON C」)はまた、用いる材料と混合して任意的な保護コーティング(例えば、樹脂材料)を形成することができる。そのような場合には、次に、アノード部は、モノマー(BAYTRON M)を含有する溶液内に浸漬することができる。その結果、モノマーは、保護コーティングの表面内及び/又はその上で触媒と接触してその触媒と反応し、導電性ポリマーコーティングを形成することができる。様々な方法を上述したが、導電性コーティングをアノード部に付加するためのあらゆる他の方法も本発明で利用することができる点を理解すべきである。例えば、そのような導電性ポリマーコーティングを付加するための他の方法は、Sakata他に付与された米国特許第5、457、862号、Sakata他に付与された米国特許第5、473、503号、Sakata他に付与された米国特許第5、729、428号、及びKudoh他に付与された米国特許第5、812、367号に説明されていると考えられ、これら特許の全ては、本明細書においてその全内容が全ての目的に対して引用により組み込まれている。
・・・(中略)・・・
【0021】
具体的な形成方法に関係なく、セラミックハウジングは、本発明により提供されてコンデンサを封入して密封する。一般的には、セラミックハウジング内のコンデンサの密封は、使用中に導電性ポリマーカソードの酸化を抑制するように少なくとも1つの不活性ガスを含有する気体雰囲気の存在下で行われる。不活性ガスは、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトン、ラドンなど、並びにこれらの混合物を含むことができる。典型的には、不活性ガスは、大気の約50重量パーセントから約100重量パーセント、一部の実施形態では約75重量パーセントから100重量パーセント、及び一部の実施形態では約90重量パーセントから約99重量パーセントのようなセラミックハウジング内の大気の大部分を構成する。必要に応じて、二酸化炭素、酸素、水蒸気などのような比較的少量の不活性ガスも使用することができる。しかし、そのような場合には、不活性ガスは、典型的にはセラミックハウジング内の大気の15重量パーセント又はそれ未満、一部の実施形態では10重量パーセント又はそれ未満、一部の実施形態では約5重量パーセント又はそれ未満、一部の実施形態では約1重量パーセント又はそれ未満、及び一部の実施形態では約0.01重量パーセントから約1重量パーセントを構成する。例えば、水分含量(相対湿度に関して表される)は、約10パーセント又はそれ未満、一部の実施形態では約5パーセント又はそれ未満、一部の実施形態では約1パーセント又はそれ未満、及び一部の実施形態では約0.01から約5パーセントとすることができる。」

(6)「【0025】
図1を参照すると、例えば、セラミックハウジング120及び電解コンデンサ20を収容するそのようなコンデンサアセンブリ100の一実施形態が示されている。セラミックハウジング120は、その間にコンデンサ20を含む空洞126を形成する下壁122及び2つの対向側壁124を含む。下壁122及び側壁124は、上述のようにセラミック材料の1つ又はそれよりも多くの層から形成される。この詳細な実施形態では、下壁122はまた、コンデンサ20のアノードリード80及びカソード82にそれぞれ電気的に接続した導電トレース127及び129を収容する。リード80及びカソード82に対するトレース127及び129の接続は、溶接、レーザ溶接、導電接着剤などのようなあらゆる公知の技術を用いて行うことができる。1つの詳細な実施形態では、例えば、導電接着剤131を用いて、リード80を導電トレース127に接続する。同様に、導電接着剤133を用いて、カソード82を導電トレース129に接続する。導電接着剤は、樹脂組成物を含有する導電性金属粒子から形成することができる。金属粒子は、銀、銅、金、プラチナ、ニッケル、亜鉛、ビスマスなどとすることができる。樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)、硬化剤(例えば、酸無水物)、及び結合剤(例えば、シラン結合剤)を含むことができる。好ましい導電接着剤は、Osako他に付与された米国特許出願公報第2006/0038304号に記載されており、この特許は、本明細書においてその全内容が全ての目的に対して引用により組み込まれている。
・・・(中略)・・・
【0027】
コンデンサ20が、セラミックハウジング120内に位置決めされた状態で、蓋125が、次に、側壁124の上面上に設けられる。蓋125は、セラミック及び金属(例えば、鉄、銅、ニッケル、コバルトなど、並びにこれらの合金)などから形成することができる。一実施形態では、例えば、蓋は、ニッケル-コバルト鉄合金である「Kovar(登録商標)」(カーペンター・テクノロジー・コーポレーション)を含有する。ハウジング120のサイズは、一般的には蓋125が汚染されないように、蓋125がコンデンサ20のあらゆる表面と接触しないようにするようなものである。望ましい位置に設けられると、蓋125は、溶接(例えば、抵抗溶接、レーザ溶接、その他)、半田などのような公知の技術を用いて側壁124に対して密封される。密封は、一般的には、得られるアセンブリに酸素又は水蒸気のような反応ガスが実質的にないように、上述の不活性ガスの存在下で行われる。」

(7)「【0031】
70、000μFV/gタンタル粉末(HC Starck)をプレスして、ペレットにした。次に、陽極酸化が、リン酸を含有する水溶液中で実施された。電圧は、10.0ボルトの定格電圧で33μFのターゲットキャパシタンスを得るように選択された。陽極酸化の後に、ペレットは、当業者に公知の従来の技術によるPEDT導電性ポリマー層、グラファイトコーティング、及び銀コーティングで被覆された。コンデンサ本体は、2.44ミリメートルx1.78ミリメートルx0.68ミリメートルのサイズを有していた。」

(8)引用文献の図1によると、内部空洞は、側壁124よりも下壁122が長く形成されたセラミックハウジング120と、該セラミックハウジング120の上にある蓋125の間に形成されるものである。また蓋125は、コンデンサアセンブリ100の外壁の一部といえる。そして電解コンデンサ20は、セラミックハウジング120に導電トレース129及び導電接着剤133を介して接続されていることが見てとれるので、該電解コンデンサ20は、セラミックハウジング120に接続されるものであるといえる。

・上記(1)及び(5)によれば、コンデンサアセンブリは、アノードと、該アノードの上に重なる誘電体層と、該誘電体層の上に重なり、導電性ポリマーを有するカソードとを含む電解コンデンサと、不活性ガスを含有する気体雰囲気を有する内部空洞を形成し、前記電解コンデンサが内部に封入されて密封されたセラミックハウジングと、前記カソードと電気的に接続するカソード端子と、前記アノードと電気的に接続するアノード端子と、を含むものである。
・上記(2)によれば、固体電解質層は、導電性ポリマーから形成されるものである。
・上記(3)によれば、蓋は、セラミックハウジングに対して密封されるものである。
・上記(4)及び(7)によれば、アノードは、タンタル粉末をプレスしてペレットにし、該ペレットを焼結して多孔性で一体形の塊を形成するものである。そして、誘電体層は、アノードの表面上及びその孔隙内に形成されるようにアノードを陽極酸化したものである。
・上記(6)によれば、蓋は、電解コンデンサのあらゆる表面と接触しないものである。
・上記(8)によれば、内部空洞は、側壁よりも下壁が長く形成されたセラミックハウジングと、該セラミックハウジングの上にある蓋の間に形成されるものである。また、蓋は、コンデンサアセンブリの外壁の一部である。そして、電解コンデンサは、セラミックハウジングに接続されるものである。

上記摘示事項及び図面を総合勘案すると、引用文献には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「アノードと、該アノードの上に重なる誘電体層と、該誘電体層の上に重なり、固体電解質層である導電性ポリマーを有するカソードとを含み、セラミックハウジングに接続された電解コンデンサと、
不活性ガスを含有する気体雰囲気を有する内部空洞を形成し、前記電解コンデンサが内部に封入されて密封されたセラミックハウジングと、
前記カソードと電気的に接続するカソード端子と、
前記アノードと電気的に接続するアノード端子と、
を含む、コンデンサアセンブリであって、
前記内部空洞は、側壁よりも下壁が長く形成された前記セラミックハウジングと、前記セラミックハウジングの上にある蓋の間に形成され、
前記蓋は、前記コンデンサアセンブリの外壁の一部であり、
前記蓋は、前記セラミックハウジングに対して密封されるものであり、
前記蓋は、前記電解コンデンサのあらゆる表面と接触しないものであり、
前記アノードは、タンタル粉末をプレスしてペレットにし、該ペレットを焼結して多孔性で一体形の塊で形成され、
前記誘電体層は、前記アノードの表面上及びその孔隙内に形成されるように前記アノードを陽極酸化したものである、コンデンサアセンブリ。」

3.対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「セラミックハウジング」は、側壁よりも下壁が長く形成されているので、本願補正発明の「横方向に延びる基部」に相当する。

(2)引用発明の「該セラミックハウジングの上にある蓋」及び「内部空洞」は、本願補正発明の「該基部の上にある蓋部」及び「内部キャビティ」に相当する。また、引用発明の「蓋」は、コンデンサアセンブリの外壁の一部であるから、本願補正発明の「蓋部」とは「蓋部が、外壁」「を含」む点で共通する。そして、引用発明の「セラミックハウジング」及び「蓋」は、該セラミックハウジングと該蓋の間に内部空洞を形成するものであるから、本願補正発明の「横方向に延びる基部と、該基部の上にある蓋部とを含んでこれらの間に内部キャビティを定めるハウジング」に相当する。さらに、引用発明の「蓋」は、セラミックハウジングに対して密封されるものであるから、本願補正発明の「蓋部」とは「基部に対して密封され」る点で共通するといえる。
ただし、蓋部が基部に対して密封されることについて、本願補正発明は「蓋部が」「該外壁から前記基部に向かって縦方向に延びる側壁」「を含み、該側壁からは、該側壁の外周を越えて存在する周縁部を有するリップが、前記縦方向に対してある角度をなして延びるとともに前記基部に対して密封され」るのに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない。

(3)引用発明の「アノードと、該アノードの上に重なる誘電体層」は、タンタル粉末をプレスしてペレットにし、該ペレットを焼結して多孔性で一体形の塊を形成し、陽極酸化したものであるから、本願補正発明の「陽極酸化した焼結多孔質体から形成された陽極」に相当する。

(4)引用発明の「固体電解質層である導電性ポリマー」は、本願補正発明の「該陽極の上にある固体電解質」に相当する。

(5)上記(1)ないし(4)を踏まえると、引用発明の「電解コンデンサ」は、アノードと、該アノードの上に重なる誘電体層と、該誘電体層の上に重なり、固体電解質層である導電性ポリマーを有するカソードとを含み、セラミックハウジングの内部に封入され、セラミックハウジングに接続されるものであるから、本願補正発明の「陽極酸化した焼結多孔質体から形成された陽極と、該陽極の上にある固体電解質とを含む、前記内部キャビティ内に位置して前記ハウジングの前記基部に接続されたコンデンサ素子」に相当する。

(6)引用発明の「アノードと電気的に接続するアノード端子」及び「カソードと電気的に接続するカソード端子」は、本願補正発明の「前記陽極体に電気的に接続された陽極端子」及び「前記固体電解質に電気的に接続された陰極端子」に相当する。

(7)引用発明の「内部空洞」が「不活性ガスを含有する気体雰囲気を有する」ことは、本願補正発明の「前記内部キャビティが、不活性ガスを含む気体雰囲気を有」することに相当する。

(8)引用発明の「前記蓋は、前記電解コンデンサのあらゆる表面と接触しない」ことは、本願補正発明の「前記蓋部は、前記コンデンサ素子の表面に接触しない」ことに相当する。

(9)本願補正発明は「前記リップと前記基部の間に密封部材が配置され、前記密封部材がガラス及び金属を含むガラス対金属シールであり、」「前記密封部材は、前記リップの前記周縁部が、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にあり、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にある周縁部を有」するのに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、
「横方向に延びる基部と、該基部の上にある蓋部とを含んでこれらの間に内部キャビティを定めるハウジングを備え、前記蓋部が、外壁を含み、前記基部に対して密封され、
陽極酸化した焼結多孔質体から形成された陽極と、該陽極の上にある固体電解質とを含む、前記内部キャビティ内に位置して前記ハウジングの前記基部に接続されたコンデンサ素子と、
前記陽極体に電気的に接続された陽極端子と、
前記固体電解質に電気的に接続された陰極端子と、
をさらに備え、
前記内部キャビティが、不活性ガスを含む気体雰囲気を有し、
前記蓋部は、前記コンデンサ素子の表面に接触しない、
ことを特徴とするコンデンサアセンブリ。」の点で一致し、
以下の点で相違する。

<相違点1>
蓋部が基部に対して密封されることについて、本願補正発明は「蓋部が」「該外壁から前記基部に向かって縦方向に延びる側壁」「を含み、該側壁からは、該側壁の外周を越えて存在する周縁部を有するリップが、前記縦方向に対してある角度をなして延びるとともに前記基部に対して密封され」るのに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点。

<相違点2>
本願補正発明は「前記リップと前記基部の間に密封部材が配置され、前記密封部材がガラス及び金属を含むガラス対金属シールであり、」「前記密封部材は、前記リップの前記周縁部が、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にあり、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にある周縁部を有」するのに対し、引用発明にはその旨の特定はされていない点。

4.判断
上記相違点について検討する。

<相違点1>及び<相違点2>について
蓋部が、外壁から基部に向かって縦方向に延びる側壁を含み、該側壁からは該側壁の外周を越えて存在する周縁部を有するリップが前記縦方向に対してある角度をなして延びるとともに前記基部に対して密封され、前記リップと前記基部の間に密封部材が配置され、前記密封部材は、前記リップの前記周縁部が前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にあり、前記基部の周縁部とほぼ同一平面上にある周縁部を有することは、例えば特開2010-141026号公報(筒状部21の鍔21c、板状部22、及びシールリング23の周縁部がほぼ同一平面上にある点。段落【0016】ないし【0018】、図2を参照。以下「周知例1」という。)、及び特開2005-286273号公報(蓋体4のフランジ部、基体6、及びろう材5の周縁部がほぼ同一平面上にある点。段落【0010】、【0020】、【0027】ないし【0029】、図2を参照。以下「周知例2」という。)に記載されているように、周知の技術事項である。また、密封部材をガラス及び金属を含むガラス対金属シールとすることも、例えば特開2000-124359号公報(封止材7がガラス成分に金属フィラーを含有させたものである点。段落【0018】、【0027】及び【0032】を参照。)に記載されているように、周知の技術事項である。
そうすると、引用発明の蓋をセラミックハウジングに対して密封する構成をどのようなものとするかは密封性、製造容易性、及び製造コスト等を考慮して当業者が適宜選択すれば良いところ、周知の技術事項を採用して上記相違点1及び2の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。

この点について、審判請求人は、上申書にて「『電子部品を収容するセラミックハウジングとフランジ部を有する金属からなる蓋とを接合する際に、終縁部をほぼ同一平面上となる』構成が、周知の構成だったとしても、引用文献7に記載の発明は、電子部品への接続点として蓋を利用するので、蓋は電子部品に接触しなければならない。そのため、引用文献7に記載の蓋の構成は、引用文献1に記載の発明に適用することを阻害する阻害要因であります。したがって、当業者は、引用文献1に記載の発明のハウジングに、引用文献7に記載の金属製の蓋部を適用することはありません。」旨を主張している。ここで、引用文献7とは上記の周知例1である。
しかしながら、蓋を電子部品に接触させるかどうかは、収容される電子部品に応じて適宜変更する程度の事項に過ぎないものであり、たとえ周知例1の筒状部21(蓋)が蓄電素子10(電子部品)に接触していたとしても、このこと自体が周知例1に記載されたハウジングの密封に関する周知の技術事項を引用発明に適用することを妨げるような阻害要因とはならない。なお、周知の技術事項として提示した周知例2は、蓋と電子部品が接触していないものである。
よって、請求人の上記主張は採用できない。

なお、審判請求人は、上申書にて「平成30年11月19日付け手続補正書(審判請求時の手続補正書)の内容についてご検討いただき、本願発明に対して新規性及び進歩性が肯定できる技術的特徴が見出せるのであれば、必要に応じて、本願発明を補正させて頂く用意はあります。」旨を主張している。
しかしながら、平成30年11月19日付け手続補正書の内容について検討したが、新規性及び進歩性が肯定できる技術的特徴が見出せないので、補正の機会は与えられない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用文献及び周知の技術事項から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について

1.本願発明
平成30年11月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成29年7月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記「第2[理由]1.」に記載したとおりものである。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献の記載事項及び引用発明は、上記「第2[理由]2.」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]」で検討した本件補正発明から「前記蓋部は、前記コンデンサ素子の表面に接触しない」という事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記「第2[理由]3.及び4.」に記載したとおり、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知の技術事項から当業者が容易になし得たものである。

4.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-11-12 
結審通知日 2019-11-18 
審決日 2019-11-29 
出願番号 特願2016-55546(P2016-55546)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01G)
P 1 8・ 575- Z (H01G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 多賀 和宏多田 幸司  
特許庁審判長 酒井 朋広
特許庁審判官 佐々木 洋
山田 正文
発明の名称 固体電解コンデンサアセンブリのためのハウジング構成  
代理人 近藤 直樹  
代理人 上杉 浩  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 那須 威夫  
代理人 須田 洋之  
代理人 工藤 嘉晃  
代理人 弟子丸 健  
代理人 西島 孝喜  
代理人 大塚 文昭  
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