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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B09B |
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管理番号 | 1361490 |
異議申立番号 | 異議2019-700986 |
総通号数 | 245 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-05-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-12-04 |
確定日 | 2020-03-27 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6527478号発明「連通管ユニット、遮水構造、および遮水工法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6527478号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6527478号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし7に係る特許についての出願は、平成28年2月29日(優先権主張 平成27年3月19日)の出願であって、令和1年5月17日にその特許権の設定登録がされ、同年6月5日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、同年12月4日に特許異議申立人より、特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件特許発明1ないし7」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された次の事項により特定されるものである。 「【請求項1】 地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造に用いられ、 貫通孔を有する平板状であって、前記遮水シートよりも剛性が高く、前記凹部の側面の一部を形成するように配置される熱可塑性樹脂製の1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される熱可塑性樹脂製の前記連通管と、 熱可塑性樹脂からなる融着材によって形成され、前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、 前記遮水シートの一部を形成し、前記遮水板が前記凹部の側面の一部を形成するように配置されたときの前記遮水板の上下方向において、前記遮水板の表面の少なくとも前記貫通孔より下側の部分に接合される第1遮水シートと、を有し、 前記第1遮水シートは、前記遮水板が前記凹部の側面の一部を形成するように配置される前に、前記遮水板に接合されたものであることを特徴とする連通管ユニット。 【請求項2】 前記連通管と前記遮水板と前記接合部が、同一の熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連通管ユニット。 【請求項3】 前記連通管と前記遮水板と前記接合部が、ポリエチレンで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の連通管ユニット。 【請求項4】 地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造であって、 貫通孔を有する平板状であって、前記遮水シートよりも剛性が高く、前記凹部の側面の一部を形成する熱可塑性樹脂製の1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される熱可塑性樹脂製の前記連通管と、 熱可塑性樹脂からなる融着材によって形成され、前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、 前記遮水シートの一部を形成し、前記遮水板の表面の少なくとも前記貫通孔より下側の部分に接合される第1遮水シートと、 前記遮水シートの一部を形成し、前記凹部の側面および底面の前記1遮水シートで覆われていない部分を覆っており、前記第1遮水シートに接合される第2遮水シートと、を有し、 前記第1遮水シートが、前記遮水板の表面の前記貫通孔より上側となる部分に接合されておらず、 前記第2遮水シートが、前記遮水板の表面の前記貫通孔より上側の部分に接合されることを特徴とする遮水構造。 【請求項5】 地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造を形成する遮水工法であって、 平坦状であって、前記遮水シートよりも剛性が高い熱可塑性樹脂製の1枚の遮水板に形成された貫通孔に、熱可塑性樹脂製の前記連通管を貫通させて、前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを、溶融した熱可塑性樹脂からなる融着材を用いて全周にわたって接合する第1接合工程と、 前記遮水シートの一部を形成する第1遮水シートを、前記遮水板の表面の少なくとも前記貫通孔より下側となる部分に接合する第2接合工程と、 前記凹部の側面の一部となる位置に、前記第1接合工程および前記第2接合工程によって前記連通管および前記第1遮水シートに接合された前記遮水板を配置した状態で、前記凹部の側壁部を形成する側壁部形成工程と、 前記側壁部形成工程の後、前記遮水シートの一部を形成する第2遮水シートを、前記第1遮水シートに接合すると共に、前記凹部の側面および底面に前記遮水シートを敷設する遮水シート敷設工程と、を有することを特徴とする遮水工法。 【請求項6】 前記側壁部形成工程の前に、前記凹部の前記側壁部を形成する位置に、外側型枠を設置すると共に、前記外側型枠から所定の間隔を空けて、内側型枠と、前記第1接合工程および前記第2接合工程によって前記連通管および前記第1遮水シートに接合された前記遮水板とを設置する型枠設置工程を行い、 前記側壁部形成工程において、前記外側型枠と、前記内側型枠および前記遮水板との間に、コンクリートを流し込んで固化させた後、前記外側型枠および前記内側型枠を除去することを特徴とする請求項5に記載の遮水工法。 【請求項7】 前記第2接合工程において、前記第1遮水シートは、前記遮水板の表面の前記貫通孔より上側となる部分に接合されておらず、 前記遮水シート敷設工程において、前記第2遮水シートを、前記遮水板の表面の前記貫通孔より上側の部分に接合することを特徴とする請求項5または6に記載の遮水工法。」 第3 特許異議申立理由の概要 特許異議申立人は、証拠として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出し、本件特許の請求項1ないし請求項6に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨主張する。 <証拠方法> 甲第1号証:(仮称)クリーンセンター建設工事で使用した連通管ユニットの写真 甲第1号証-1:甲第1号証の写真の説明 甲第2号証:(仮称)クリーンセンターの落札公報 甲第3号証:鹿島のWEBサイト (http://www.kajima.co.jp/tech/indust_waste/works/index.html#anc_close_2013_03) 甲第4号証:(仮称)クリーンセンター建設工事の写真 甲第4号証-1:甲第4号証の写真の説明 甲第5号証:特開2002-126680号公報 甲第6号証:特開2000-5718号公報 甲第7号証:特開2001-239228号公報 甲第8号証:特開2010-227765号公報 甲第9号証:特開2004-261721号公報 甲第10号証:特開2002-59104号公報 甲第11号証:特開2004-325194号公報 なお、証拠の表記は、特許異議申立書の記載にしたがった。 第4 主な甲号証の記載等 1 甲第1号証の記載事項 甲第1号証は次に示すとおりのものである。 2 甲第1号証-1の記載事項 甲第1号証-1は次に示すとおりのものである。 3 甲第2号証の記載事項 甲第2号証は次に示すとおりのものである。 4 甲第3号証の記載事項 甲第3号証は次に示すとおりのものである。 5 甲第4号証の記載事項 甲第4号証は次に示すとおりのものである。 6 甲第4号証-1の記載事項 甲第4号証-1は次に示すとおりのものである。 7 甲第1号証ないし甲第4号証の記載等から導き出せる発明について 甲第1号証及び甲第4号証の写真から看取できる事項及び甲第2号証の記載を総合すると、次の発明を導き出せる。 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造に用いられ、 貫通孔を有する平板状であって、前記凹部の側面の一部を形成するように配置される1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される前記連通管と、 前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、を有する 連通管ユニット。」(以下、「引用連通管ユニット発明」という。) 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造であって、 貫通孔を有する平板状であって、前記凹部の側面の一部を形成する1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される前記連通管と、 前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、を有する 遮水構造。」(以下、「引用遮水構造発明」という。) 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造を形成する遮水工法であって、 平坦状であって、1枚の遮水板に形成された貫通孔に、前記連通管を貫通させて、前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを、全周にわたって接合する第1接合工程と、 前記凹部の側面の一部となる位置に、前記第1接合工程によって前記連通管に接合された前記遮水板を配置した状態で、前記凹部の側壁部を形成する側壁部形成工程と、を有する 遮水工法。」(以下、「引用遮水工法発明」という。また、「引用連通管ユニット発明」、「引用遮水構造発明」、「引用遮水工法発明」を総称して「引用発明」という。) 第5 対比・判断 1 引用発明が、「公然実施をされた発明」にあたるか否かの検討 引用発明が、「公然実施をされた発明」というためには、その内容が公然知られる状況または公然知られるおそれのある状況で実施された発明でなければならない。 しかしながら、甲第1号証ないし甲第4号証-1の全体を通じてみても、引用発明が「公然実施をされた」ものであること、つまり、不特定多数のものに見学をさせた、あるいは、不特定多数のものが見学し、その発明の内容を容易に知ることができるような状況であったことを示す証拠がない。 そして、引用発明は、甲第2号証及び甲第3号証に記載の建設工事におけるものと推認されるところ、一般に、施設の工事現場においては、その工事の関係者以外、つまり、不特定多数のものが現場に立ち入ることができないように管理されているものであることからしても、特段の事情がなければ、不特定多数のものが見学し、その発明の内容を知ることができる状態におかれていたと推認する事情もない。 よって、引用発明は、「公然実施をされた発明」にあたるとはいえない。 そして、特許異議申立人の申立理由は、引用発明が「公然実施をされた発明」であることを基礎とするものであるから、引用発明が「公然実施をされた発明」にあたらない以上、他の点については検討するまでもなく成り立たない。 2 引用発明が、「公然実施をされた発明」にあたるものとした場合の検討 上記1で検討のとおり、引用発明は、「公然実施をされた発明」にあたらないものであるが、仮に、引用発明が「公然実施をされた発明」にあたるものとした場合について、以下検討する。 (1) 本件特許発明1について ア 本件特許発明1と引用連通管ユニット発明との対比 本件特許発明1と引用連通管ユニット発明とを対比すると、両者は、 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造に用いられ、 貫通孔を有する平板状であって、前記凹部の側面の一部を形成するように配置される1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される前記連通管と、 前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、を有する 連通管ユニット。」 で一致し、次の点で相違する。 相違点1:本件特許発明1の遮水板は遮水シートよりも剛性が高いのに対し、引用連通管ユニット発明ではそのようには特定されていない点 相違点2:本件特許発明1の遮水板と連通管が熱可塑性樹脂製であるのに対し、引用連通管ユニット発明ではそのようには特定されていない点 相違点3:本件特許発明1の接合部は熱可塑性樹脂からなる融着材で形成されているのに対し、引用連通管ユニット発明ではそのようには特定されていない点 相違点4:本件特許発明1は、遮水シートの一部を形成し、遮水板が凹部の側面の一部を形成するように配置されたときの遮水板の上下方向において、遮水板の表面の少なくとも貫通孔より下側の部分に接合される第1遮水シートを有するのに対し、引用連通管ユニット発明ではそのようには特定されていない点 相違点5:本件特許発明1では、第1遮水シートは、遮水板が凹部の側面の一部を形成するように配置される前に、遮水板に接合されたものであるであるのに対し、引用連通管ユニット発明ではそのようには特定されていない点 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 引用連通管ユニット発明において、遮水板と連通管の材質は不明である。そして、他の甲号証を見ても、遮水板(遮水シートではない)と連通管の材質を「熱可塑性樹脂」とすることの記載がなく、かつ、優先権主張日の技術常識からみて、遮水板と連通管の材質を「熱可塑性樹脂」とすべき事情があったものということもできない。 なお、特許異議申立人は、特許異議申立書の3(4)ウ(ア-1-2)の「相違点2について」の項で、甲第5号証ないし甲第7号証の記載を参照しつつ、「遮水板や連通管等の部材がポリエチレン等の熱可塑性樹脂製であることは周知であり、遮水板と連通管がポリエチレン製である蓋然性が高い。・・・たとえ、ポリエチレン製でないとしても、周知技術から接合が容易となるように遮水板と連通管を同じポリエチレン製にすることは極めて容易である。」と主張する。 しかしながら、甲第5号証ないし甲第7号証に記載されているのはそれぞれ、「遮水板」には相当しない「遮水シート」と別の部材(甲第5号証では「止水材」、甲第6号証では「遮水シート用給排具(特に接着用シート)」、甲第7号証では「排水管」)の接合に関するものであって、いずれも、「遮水板」を用いること及びその材質についての記載はなく、さらに、他の甲号証の記載を参照しても、「遮水板」の材質を示唆する記載もない。 してみれば、「遮水板や連通管等の部材がポリエチレン等の熱可塑性樹脂製であることは周知」とする特許異議申立人の主張は採用できない。 したがって、他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用連通管ユニット発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (2) 本件特許発明2ないし3について 本件特許発明2ないし3はいずれも、直接又は間接的に請求項1を引用する発明であり、本件特許発明1の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(1)のとおり、本件特許発明1は、引用連通管ユニット発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明2ないし3も同様に、引用連通管ユニット発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3) 本件特許発明4について ア 本件特許発明4と引用連遮水構造発明との対比 本件特許発明4と引用遮水構造発明とを対比すると、両者は、 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造であって、 貫通孔を有する平板状であって、前記凹部の側面の一部を形成する1枚の遮水板と、 前記遮水板の前記貫通孔を貫通しており、その一端が前記凹部内に露出するように前記凹部の側壁部に埋設される前記連通管と、 前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを全周にわたって接合する接合部と、を有する 遮水構造。」 で一致し、次の点で相違する。 相違点6:本件特許発明4の遮水板は遮水シートよりも剛性が高いのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点7:本件特許発明4の遮水板と連通管が熱可塑性樹脂製であるのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点8:本件特許発明4の接合部は熱可塑性樹脂からなる融着材で形成されているのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点9:本件特許発明4は、遮水シートの一部を形成し、遮水板の表面の少なくとも貫通孔より下側の部分に接合される第1遮水シートを有するのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点10:本件特許発明4は、遮水シートの一部を形成し、凹部の側面および底面の第1遮水シートで覆われていない部分を覆っており、第1遮水シートに接合される第2遮水シートを有するのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点11:本件特許発明4は、第1遮水シートが、遮水板の表面の貫通孔より上側となる部分に接合されていないのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 相違点12:本件特許発明4が、第2遮水シートが、遮水板の表面の貫通孔より上側の部分に接合されるのに対し、引用遮水構造発明ではそのようには特定されていない点 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、まず、相違点7について検討する。 相違点7は、相違点2と同旨である。そして、相違点2については、上記(1)イで検討したとおりであるから、他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明4は、引用遮水構造発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (4) 本件特許発明5について ア 本件特許発明5と引用遮水工法発明との対比 本件特許発明5と引用遮水工法発明とを対比すると、両者は、 「地面に形成された凹部の側面および底面に遮水シートを敷設して、前記凹部の内外を連通管によって連通させる遮水構造を形成する遮水工法であって、 平坦状であって、1枚の遮水板に形成された貫通孔に、前記連通管を貫通させて、前記第1接合工程によって前記連通管に接合された前記遮水板の前記貫通孔の縁部と前記連通管の外周面とを、全周にわたって接合する第1接合工程と、 前記凹部の側面の一部となる位置に、前記遮水板を配置した状態で、前記凹部の側壁部を形成する側壁部形成工程と、を有する 遮水工法。』 で一致し、次の点で相違する。 相違点13:本件特許発明5の遮水板は遮水シートよりも剛性が高いのに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 相違点14:本件特許発明5の遮水板と連通管が熱可塑性樹脂製であるのに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 相違点15:本件特許発明5の接合部は熱可塑性樹脂からなる融着材で形成されているのに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 相違点16:本件特許発明5は、遮水シートの一部を形成する第1遮水シートを、遮水板の表面の少なくとも貫通孔より下側となる部分に接合する第2接合工程を有するのに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 相違点17:本件特許発明5は、凹部の側面の一部となる位置に、第2接合工程によって第1遮水シートに接合された遮水板を配置した状態で、凹部の側壁部を形成する側壁部形成工程を有するに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 相違点18:本件特許発明5は、側壁部形成工程の後、遮水シートの一部を形成する第2遮水シートを、第1遮水シートに接合すると共に、凹部の側面および底面に遮水シートを敷設する遮水シート敷設工程を有するのに対し、引用遮水工法発明ではそのようには特定されていない点 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、まず、相違点14について検討する。 相違点14は、相違点2と同旨である。そして、相違点2については、上記(1)イで検討したとおりであるから、他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明5は、引用遮水工法発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。 (5) 本件特許発明6ないし7について 本件特許発明6ないし7はいずれも、直接又は間接的に請求項5を引用する発明であり、本件特許発明5の特定事項を全て有するものである。 そして、上記(4)のとおり、本件特許発明5は、引用遮水工法発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明6ないし7も同様に、引用遮水工法発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 結論 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2020-03-16 |
出願番号 | 特願2016-37097(P2016-37097) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(B09B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 柴田 啓二 |
特許庁審判長 |
大島 祥吾 |
特許庁審判官 |
植前 充司 加藤 友也 |
登録日 | 2019-05-17 |
登録番号 | 特許第6527478号(P6527478) |
権利者 | 三ツ星ベルト株式会社 |
発明の名称 | 連通管ユニット、遮水構造、および遮水工法 |
代理人 | 特許業務法人梶・須原特許事務所 |