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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1362014
審判番号 不服2019-6174  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-05-13 
確定日 2020-04-30 
事件の表示 特願2017-196504号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年12月28日出願公開、特開2017-225893号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月28日(以下「出願遡及日」という。)に出願した特願2013-245554号の一部を平成29年10月10日に新たな特許出願(特願2017-196504号)としたものであって、平成30年8月31日付けで拒絶の理由が通知され、同年11月8日に意見書及び手続補正書が提出され、同年同月26日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成31年1月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年2月7日付け(謄本送達日:同年同月19日)で、同年1月30日付け手続補正書による補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、令和1年5月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、これに対し、当審において、同年11月22日付けで拒絶の理由が通知され、令和2年1月21日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年1月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである(A?Dは、本願発明を分説するために当審で付与した)。
「【請求項1】
A 遊技の進行を管理し、所定の遊技媒体を検出したことに対応して遊技者に遊技価値を付与する制御を行う遊技制御手段を有する遊技制御装置と、
B その装飾態様を変化させることが可能な装飾装置と、
C 遊技の進行に合わせて前記装飾装置の装飾態様を制御する演出制御手段を有する演出制御装置と、を備えた遊技機において、
A 前記遊技制御装置には、
A1 前記所定の遊技媒体を検出するための遊技媒体検出手段からの入力を受けて対応する遊技媒体検出信号を前記遊技制御手段に対して出力する機能を有するインタフェース手段と、
A2 複数の抵抗素子と、該複数の抵抗素子の一方の端子が共に接続されて所定の電圧が印加される共通端子と、前記複数の抵抗素子の他方の端子が素子毎に接続された複数の個別端子と、を有する複合型抵抗器と、を設け、
A3 前記インタフェース手段から前記遊技制御手段へ前記遊技媒体検出信号を伝達するための信号線に、前記複合型抵抗器のいずれかの個別端子を接続し、
C 前記演出制御手段は、
C1 前記遊技制御装置から開始指令を受信したことに対応して、前記装飾装置に供給される電力が減少する節電状態を発生させるための制御を開始し、
C2 前記節電状態を発生させるための制御の開始から所定期間経過した場合に、前記装飾装置の装飾態様を所定の節電装飾態様に変更し、
C3 前記節電状態において前記遊技制御装置から解除指令を受信したことに対応して、前記節電状態を解除し、
C4 前記所定期間に前記遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、該所定期間が経過しても該異常が解消していない場合は、異常報知を行うとともに、前記節電状態を発生しないようにし、
C5 前記節電状態において前記遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出した場合は、該異常が解消されるまでの間に亘って、前記遊技制御装置から指令を受信しなくても前記節電状態を一時的に解除して異常報知を行い、該演出制御手段が監視する所定の操作を検出している場合は、前記節電状態には復帰しないようにする
D ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
令和1年11月22日付けの当審における拒絶の理由の概要は、以下のとおりのものである。
なお、令和1年11月22日付けの当審における拒絶の理由の引用例に関する「・引用例 1?6」(下線は当審で付した。以下同じ。)という記載は、「・引用例 1?7」の誤記である。請求人は、令和2年1月21日付け意見書において、引用例1?7に基いて主張しており、上記誤記に関わらず、引用例1?7に基く拒絶の理由は、請求人に通知されたものである。

(進歩性)本件出願の請求項1に記載された発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(進歩性)について
●請求項1に記載された発明について
・引用例 1?7

引用例1:特開2013-183928号公報
引用例2:特開2012-217669号公報
引用例3:特開2013-215241号公報
引用例4:特開2008-54914号公報
引用例5:特開2008-11976号公報
引用例6:特開2011-87780号公報
引用例7:特開2013-188324号公報

第4 引用例に記載された事項
1 引用例1
当審における拒絶の理由(令和1年11月22日付け拒絶理由通知書)に引用例1として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2013-183928号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ)。

(1)「【0022】
具体的には、封入球式遊技機10(以下、単に「遊技機10」と称する。)は、図1に示すように、前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ12aを介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図3参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材であれば、透明のプラスチックボード等であってもよい。)13aを備えたガラス枠13が開閉可能に取り付けられている。」

(2)「【0057】
始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は、それぞれは内部に設けられた始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される。始動入賞口36へ入賞した遊技球は第1特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第1始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶されるとともに、普通変動入賞装置37へ入賞した遊技球は第2特図変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、第2始動記憶として所定の上限数(例えば、4個)を限度に記憶される。
また、この始動入賞球の検出時にそれぞれ大当り乱数値や大当り図柄乱数値、並びに各変動パターン乱数値が抽出され、抽出された乱数値は、遊技制御装置100(図4参照)内の特図記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として各々所定回数(例えば、最大で4回分)を限度に記憶される。そして、この特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動記憶数報知用の記憶表示部(特図1保留表示器、特図2保留表示器)に表示されるとともに、センターケース40の表示装置41においても飾り特図始動記憶表示として表示される。」

(3)「【0064】
図4は、本実施形態の遊技機10の制御システムのブロック図である。
遊技機10は遊技制御装置100を備え、遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)であって、遊技用マイクロコンピュータ(以下「遊技用マイコン」と称する。)111を有するCPU部110と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、CPU部110と入力部120と出力部130との間を接続するデータバス140などからなる。
【0065】
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。」

(4)「【0070】
遊技用マイコン111は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段を構成している。具体的には、遊技用マイコン111は、CPU(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)111A、読出し専用のROM(リードオンリメモリ)111B及び随時読出し書込み可能なRAM(ランダムアクセスメモリ)111Cを備える。」

(5)「【0079】
近接I/F121の出力はすべて第2入力ポート122へ供給されデータバス140を介して遊技用マイコン111に読み込まれるとともに、主基板100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へ供給されるようになっている。また、近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、第2入力ポート122の他、反転回路112を介して遊技用マイコン111へ入力されるように構成されている。反転回路112を設けているのは、遊技用マイコン111の信号入力端子が、マイクロスイッチなどからの信号が入力されることを想定し、かつ負論理、すなわち、ロウレベル(0V)を有効レベルとして検知するように設計されているためである。」

(6)「【0092】
次に、図5を用いて、演出制御装置300の構成について説明する。
演出制御装置300は、遊技用マイコン111と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)311と、該1stCPU311の制御下でもっぱら映像制御を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)312と、該2ndCPU312からのコマンドやデータに従って表示装置41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)313と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19a,19bから再生させるため音の出力を制御する音源LSI314と、を備えている。
【0093】
上記主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(プログラマブルリードオンリメモリ)からなるプログラムROM321、322がそれぞれ接続され、VDP313にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM323が接続され、音源LSI314には音声データが記憶された音声ROM324が接続されている。
主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI314への再生音の指示、装飾ランプの点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。主制御用マイコン(1stCPU)311と映像制御用マイコン(2ndCPU)312の作業領域を提供するRAMは、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAMはチップの外部に設けるようにしてもよい。
【0095】
VDP313から主制御用マイコン311へは表示装置41の映像と前面枠12や遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯を同期させるために垂直同期信号VSYNCが入力される。さらに、VDP313から映像制御用マイコン312へは、VRAMへの描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0?n及び映像制御用マイコン312からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが入力される。また、映像制御用マイコン312から主制御用マイコン311へは、映像制御用マイコン312が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが入力される。主制御用マイコン311と音源LSI314との間は、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け(コール)信号CTSと応答(レスポンス)信号RTSが交換される。」

(7)「【0098】
また、演出制御装置300には、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332、前面枠12に設けられているLED(発光ダイオード)を有する枠装飾装置(例えば、枠装飾装置15等)を駆動制御する枠装飾LED制御回路333、遊技盤30(センターケース40を含む)に設けられている盤演出装置44(例えば、表示装置41における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物等)を駆動制御する盤演出モータ/SOL制御回路334、前面枠12に設けられている枠演出装置45(例えば、前記ムービングライト14を動作させるモータ等)を駆動制御する枠演出モータ制御回路335が設けられている。なお、ランプやモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332?335は、アドレス/データバス340を介して主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている。
【0099】
さらに、演出制御装置300には、前面枠12に設けられた演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aや上記盤演出装置44内のモータの初期位置を検出する演出モータスイッチのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336、前面枠12に設けられた上スピーカ19aを駆動するオーディオパワーアンプなどからなるアンプ回路337a、前面枠12に設けられた下スピーカ19bを駆動するアンプ回路337bが設けられている。」

(8)「【0121】
遊技場内部管理装置2000が有する持球管理装置2300は、カード管理装置2100、ホールコンピュータ2200、遊技機10等と接続され、遊技機10からの情報に基づいて遊技者が獲得している持球数の情報(遊技価値情報)を記憶管理するような制御を行う。また、持球管理装置2300は、例えば、景品POS装置3000にて遊技カードC1等の持球数を景品交換する際に、遊技者が保有する持球数と遊技カードC1等の持球数との情報の双方が合致しているか判断する等の制御処理も行う。」

(9)「【0127】
また、遊技制御装置100は、S-BOX情報収集端末1000に、前面枠12やガラス枠13の開放を通知するための枠開放信号、変動表示ゲームの開始を通知するためのスタート信号、高確率状態や時短状態の発生を通知するための確変・時短信号、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞を通知するための賞球信号、大入賞口(特別変動入賞装置38)への遊技球の入賞を通知するための特賞信号等を送信する。
【0128】
また、遊技制御装置100は、封入球制御装置200に、特賞信号、確変・時短信号、賞球信号等を送信したり、封入球制御装置200から、所定の異常の発生を通知するためのエラー制御信号等を受信したりする。
ここで、封入球制御装置200は、例えば、遊技機10内に封入されている遊技球の数量(封入球数)に過不足が発生している場合や、研磨装置730が動作しない場合等に、エラー制御信号を封入球制御装置200に送信するよう構成されている。そして、遊技制御装置100は、例えば、封入球制御装置200からのエラー制御信号を受信したことに応じて、所定の演出制御コマンドを演出制御装置300に送信して所定の異常の発生をスピーカ19a,19bや表示装置41等により報知するよう構成されている。」

(10)「【0139】
持球数表示部907に表示されている持球数は、例えば、球貸ボタンの操作(球貸操作)や貯球払出ボタンの操作(貯球払出操作)や賞球の発生等に応じて増加し、遊技球の発射等に応じて減少する。
具体的には、例えば、カードユニット800(或いは、封入球制御装置200であってもよい。)は、球貸操作や貯球払出操作や賞球の発生や遊技球の発射等に応じて持球数を算出し、封入球制御装置200は、当該持球数の情報(持球数情報)に基づき持球数表示信号を生成して持球数表示部907に送信する。これにより、持球数表示部907に表示されている持球数が更新される。また、カードユニット800(或いは、封入球制御装置200であってもよい。)は、持球数を算出した後、当該持球数の情報(持球数情報)を遊技者ID等とともに遊技場内部管理装置2000に送信する。これにより、遊技場内部管理装置2000に記憶されている持球数情報が更新される。
なお、遊技カードC1の持球数の情報(持球数情報)が当該遊技カードC1に記憶されている場合には、封入球制御装置200は、例えば、カードユニット800(或いは、当該封入球制御装置200)が算出した持球数の情報(持球数情報)をカード書換情報としてカードリーダライタ810に送信して、遊技カードC1に記憶されている持球数情報を書き換えさせて更新するよう構成することも可能である。」

(11)「【0390】
演出制御装置300は、例えば、節電機能を有効に設定すると、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入するよう構成されている。
ここで、所定のアイドル状態とは、例えば、メインコマンド(遊技制御装置100からのコマンド)受信後の規定動作を完了している状態や、演出ボタン25が押下されていない状態などである。
そして、演出制御装置300は、節電状態に突入すると、所定の動作を行うよう構成されている。
ここで、所定の動作とは、例えば、表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり、遊技枠LEDのうちPUSHボタン(演出ボタン18)LEDは点滅させ、それ以外のLEDはすべて消灯したり、遊技盤LEDをすべて消灯したり、すべてのスピーカ(スピーカ19a,19b)を無音(消音)にしたり、遊技枠や遊技盤の役物(可動体)の励磁をOFFにしたりする等の動作である。
その後、演出制御装置300は、所定の条件を満たした場合に、節電状態を解除するよう構成されている。
ここで、所定の条件とは、例えば、演出ボタン18が押下された場合や、遊技制御装置100からのコマンドを受信した場合や、音量調整スイッチ60の設定が変更された場合などである。」

(12)図4

図4には、遊技制御装置100において、インタフェースチップ(近接I/F)121と遊技用マイコン111の間に信号線が複数存在することが記載されている。

上記記載事項(1)?(12)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(d)は、本願発明の構成A?Dに対応した事項を示している。
(a)上記【0070】には「遊技用マイコン111は、遊技を統括的に制御する遊技制御手段を構成している」と記載され、上記【0128】には「遊技制御装置100は、封入球制御装置200に・・・賞球信号等を送信し」と記載され、上記【0127】には「遊技制御装置100は、・・・始動入賞口36、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞を通知するための賞球信号・・・を送信する」と記載され、上記【0139】には「持球数は・・・賞球の発生等に応じて増加し」と記載され、上記【0121】には「遊技者が獲得している持球数・・・(遊技価値・・・)」と記載され、上記【0064】には「遊技制御装置100は・・・遊技用マイコン・・・111を有する」と記載されているから、引用例1には、遊技を統括的に制御し、封入球制御装置200に、始動入賞口36、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞を通知するための賞球信号を送信し、賞球の発生に応じて遊技者が獲得している持球数(遊技価値)を増加させる遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100が記載されている。

(b)上記【0390】には「節電状態に突入すると、・・・表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり・・・遊技盤LEDをすべて消灯したり・・・する」と記載され、上記【0098】には「遊技盤30・・・に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42」と記載されているから、引用例1には、節電状態に突入すると、節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示する表示装置41、すべて消灯するLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42が記載されている。

(c)上記【0093】には「主制御用マイコン(1stCPU)311は、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、演出内容を決定して映像制御用マイコン312へ出力映像の内容を指示したり、・・・装飾ランプの点灯、・・・演出時間の管理などの処理を実行する」と記載され、上記【0092】には「演出制御装置300は、・・・主制御用マイコン(1stCPU)311・・・表示装置41への映像表示・・・を備えている」と記載され、上記【0095】には「遊技盤30に設けられている装飾ランプの点灯」と記載され、上記【0098】には「遊技盤30・・・に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42を駆動制御する盤装飾LED制御回路332・・・ランプ・・・を駆動制御する・・・制御回路332・・・は、・・・主制御用マイコン(1stCPU)311と接続されている」と記載され、上記【0022】には「遊技機10」と記載されているとともに、上記【0095】の「遊技盤30に設けられている装飾ランプ」は、上記【0098】の「遊技盤30・・・に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42」の「ランプ」であることは明らかであるから、引用例1には、遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、表示装置41の演出内容を決定して映像制御用マイコン(2ndCPU)312への出力映像の内容を指示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプの点灯、演出時間の管理などの処理を実行する主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300を備えた遊技機10が記載されている。

(a、a1)上記【0057】には「始動入賞口36への入賞球及び普通変動入賞装置37への入賞球は・・・始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aによって検出される」と記載され、上記【0079】には「近接I/F121の出力のうち始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は・・・遊技用マイコン111へ入力される」と記載され、上記【0065】には「入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの・・・始動入賞検出信号・・・を・・・遊技用マイコン111に入力させる」と記載され、上記【0064】には「遊技制御装置100は・・・入力部120・・・などからなる」と記載されているとともに、上記【0065】の「入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121」との記載、及び上記【0064】の記載から、「遊技制御装置100」の「入力部120」に「インタフェースチップ(近接I/F)121」が設けられているので、「遊技制御装置100」に「インタフェースチップ(近接I/F)121」が設けられていることが分かるから、引用例1には、遊技制御装置100には、始動入賞口36及び普通変動入賞装置37への入賞球を検出する始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号である始動入賞検出信号を、遊技用マイコン111に入力させるインタフェースチップ(近接I/F)121を設けることが記載されている。

(a、a3)上記図4には「遊技制御装置100において、インタフェースチップ(近接I/F)121と遊技用マイコン111の間に信号線が複数存在する」ことが記載され、上記【0065】には「インタフェースチップ(近接I/F)121からの・・・始動入賞検出信号・・・を・・・遊技用マイコン111に入力させる」と記載されているから、引用例1には、遊技制御装置100には、インタフェースチップ(近接I/F)121からの始動入賞検出信号を遊技用マイコン111に入力させる信号線が複数存在することが記載されている。

(c、c1)上記【0390】には「演出制御装置300は、・・・節電機能を有効に設定すると、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入する・・・所定のアイドル状態とは、・・・メインコマンド(遊技制御装置100からのコマンド)受信後の規定動作を完了している状態」と記載されているから、引用例1には、演出制御装置300は、遊技制御装置100からのメインコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続した場合に、節電状態に突入することが記載されている。

(c、c2)上記【0390】には「演出制御装置300は、・・・節電機能を有効に設定すると、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入する・・・所定のアイドル状態とは、・・・メインコマンド(遊技制御装置100からのコマンド)受信後の規定動作を完了している状態・・・節電状態に突入すると、・・・表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり・・・遊技盤LEDをすべて消灯したり・・・する」と記載され、上記【0098】には「遊技盤30・・・に設けられているLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42」と記載されているから、引用例1には、演出制御装置300は、所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続して節電状態に突入すると、表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42をすべて消灯したりすることが記載されている。

(c、c3)上記【0390】には「演出制御装置300は、所定の条件を満たした場合に、節電状態を解除する・・・所定の条件とは・・・遊技制御装置100からのコマンドを受信した場合」と記載されているから、引用例1には、演出制御装置300は、遊技制御装置100からのコマンドを受信した場合に、節電状態を解除することが記載されている。

(c、c5)上記【0099】には「演出制御装置300には・・・演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18a・・・のオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336・・・が設けられている」と記載され、上記【0390】には「演出制御装置300は、・・・節電機能を有効に設定すると、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入する・・・所定のアイドル状態とは、・・・メインコマンド(遊技制御装置100からのコマンド)受信後の規定動作を完了している状態・・・演出制御装置300は、所定の条件を満たした場合に、節電状態を解除する・・・所定の条件とは・・・演出ボタン18が押下された場合」と記載されているから、引用例1には、演出制御装置300には、演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336が設けられ、遊技制御装置100からのコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入し、演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除することが記載されている。

(d)上記【0022】には「遊技機10」と記載されている。

上記記載事項(1)?(12)及び上記(a)?(d)の認定事項から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?dは、発明の構成を分説するため当審で付与した)。
「a 遊技を統括的に制御し、封入球制御装置200に、始動入賞口36、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞を通知するための賞球信号を送信し、賞球の発生に応じて遊技者が獲得している持球数(遊技価値)を増加させる遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100と、
b 節電状態に突入すると、節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示する表示装置41、すべて消灯するLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42と、
c 遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、表示装置41の演出内容を決定して映像制御用マイコン(2ndCPU)312への出力映像の内容を指示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプの点灯、演出時間の管理などの処理を実行する主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300と、を備えた遊技機10において、
a 遊技制御装置100には、
a1 始動入賞口36及び普通変動入賞装置37への入賞球を検出する始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号である始動入賞検出信号を、遊技用マイコン111に入力させるインタフェースチップ(近接I/F)121を設け、
a3 インタフェースチップ(近接I/F)121からの始動入賞検出信号を遊技用マイコン111に入力させる信号線が複数存在し、
c 主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300は、
c1 遊技制御装置100からのメインコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続した場合に、節電状態に突入し、
c2 所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続して節電状態に突入すると、表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42をすべて消灯したりし、
c3 遊技制御装置100からのコマンドを受信した場合に、節電状態を解除し、
c5 演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336が設けられ、遊技制御装置100からのコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入し、演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除する
d 遊技機10。」

2 引用例2
当審における拒絶の理由(令和1年11月22日付け拒絶理由通知書)に引用例2として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2012-217669号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0021】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態の遊技機の説明図である。
本実施形態の遊技機10は前面枠12を備え、該前面枠12は本体枠(外枠)11にヒンジ13を介して開閉回動可能に組み付けられている。遊技盤30(図2参照)は前面枠12の表側に形成された収納部(図示省略)に収納されている。また、前面枠(内枠)12には、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス(透明部材)14を備えたガラス枠15が取り付けられている。」

(2)「【0049】
上記CPU部110は、アミューズメントチップ(IC)と呼ばれる遊技用マイコン(CPU)111と、入力部120内の近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121からの信号(始動入賞検出信号)を論理反転して遊技用マイコン111に入力させるインバータなどからなる反転回路112と、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)113などを有する。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。」

(3)「【0141】
また、遊技制御装置100の基板上には、上記第2ケーブル72の終端端側のコネクタ77と接続可能な一体型のコネクタ94が設けられ、該コネクタ94と近接スイッチ用のインタフェースチップ(近接I/F)121の入力端子A1……A6とを接続するプリント配線からなる信号線91a……91gが設けられている。そして、各信号線91a……91gと接地端子GNDとの間に接続されたプルダウン抵抗Rd1……Rd6が設けられている。
【0142】
さらに、遊技制御装置100の基板上には、入力ポート122,123(図3参照)を構成するICが実装されており、上記近接I/F121の出力端子Y1……Y5と入力ポート122の入力端子A1……A5とを接続するプリント配線からなる信号線92a……92f、近接I/F121の出力端子Y6と入力ポート123の入力端子A1とを接続する信号線92gが設けられている。
従って、上記近接I/F121は検出情報伝達手段として機能する。また、近接I/F121は入力信号の異常を検出する機能と、異常を知らせる信号を出力するエラー端子Eを備えており、該エラー端子Eと入力ポート122および123の入力端子A8とを接続する信号線92gが設けられている。そして、近接I/F121の出力はオープンコレクタであるため、信号線92a……92f,92g,92hと電源電圧端子Vccとの間に接続されたプルアップ抵抗群PR3が設けられている。」

(4)「【0151】
さらに、本実施例においては、中継端子基板80にプルアップ抵抗Rp1……Rp8が設けられ、遊技制御装置100の基板上にプルダウン抵抗Rd1……Rd6が設けられているため、第2ケーブル72の始端側のコネクタ74または終端端側のコネクタ77が半差し状態になったり不正により半差し状態にされたとしても、判別回路としての近接I/F121の入力電圧Vinは、図10(B)に示す期間T5のように、“球無し”判定レベルVLよりも低い短絡判定レベルVshを横切る波形となるため異常と判定することもできるようになる。また、第2ケーブル72において断線があった場合にも、近接I/F121の入力電圧Vinが接地電位になることによって異常を判定することができる。
【0152】
従って、上記実施例においては、中継基板80と近接I/F121とを接続する信号配線に、遊技制御装置と中継基板との間の電気的な接続が切断された場合に、検出情報伝達手段としての近接I/Fに入力される電圧レベルを遊技球が非検出となる電圧レベルに保持するためのプルダウン抵抗を接続しているため、入賞口に入賞した遊技球を検出する球検出手段からの配線等に接触不良や断線が発生した場合でも、遊技制御装置へ誤った遊技球の入賞検出信号が入力されることがないので、誤った遊技価値の付与が行われないようにすることができるとともに、球検出センサの信号線を操作して遊技価値としての遊技球の払い出しを受けるゴト行為を防止することができるという利点もある。」

(5)図12

上記【0049】の「インタフェースチップ(近接I/F)121からの信号・・・を」との記載、上記【0142】の「遊技制御装置100の基板上には、・・・近接I/F121の出力はオープンコレクタであるため、信号線92a……92f,92g,92hと電源電圧端子Vccとの間に接続されたプルアップ抵抗群PR3が設けられている」との記載、を参酌すると、図12には、インタフェースチップ(近接I/F)121から信号を出力する信号線92a……92fに、複数の抵抗素子と、該複数の抵抗素子の一方の端子が共に接続されて電源電圧Vccが印加される端子と、前記複数の抵抗素子の他方の端子が素子毎に接続された複数の個別端子と、を有するプルアップ抵抗群PR3が接続されたことが記載されている。

上記記載事項(1)?(5)から、引用例2には、次の事項(以下、「引用例2に記載された事項」という。)が記載されていると認められる(a2、a3、dは、構成を分説するため当審で付与した)。
「a2、a3 インタフェースチップ(近接I/F)121から信号を出力する信号線92a……92fに、
複数の抵抗素子と、該複数の抵抗素子の一方の端子が共に接続されて電源電圧Vccが印加される端子と、前記複数の抵抗素子の他方の端子が素子毎に接続された複数の個別端子と、を有するプルアップ抵抗群PR3が接続された((5))
d 遊技機10(【0021】)。」

3 引用例3
当審における拒絶の理由(令和1年11月22日付け拒絶理由通知書)に引用例3として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2013-215241号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0062】
主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27、始動入賞口センサ38c、大入賞口センサ39c、始動ゲート通過センサ40c、一般入賞口センサ42c、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続され、各検知信号を受信可能となっている。
【0063】
磁気センサ50は、パチンコ遊技機1に磁石等を近づけた場合に、異常を検知するセンサである。また、電波センサ51は、パチンコ遊技機1に対し強い電波が発せられた場合に異常を検知するセンサであり、振動センサ52は、パチンコ遊技機1に対し強い振動が与えられた場合に異常を検知するセンサである。
・・・
【0066】
さらに、主制御基板24には、払出制御基板29が接続されている。払出制御基板29には、下貯留皿満杯センサ12cおよび扉開放センサ32が接続されているため、これらのセンサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信される。なお、払出制御基板29には、遊技球払出装置19と、発射制御基板30(さらに発射装置10aと接続)が接続している。
【0067】
次に、演出制御基板25は、その内部に、演出制御基板側CPU251と、ROM252と、RAM253を備えている。演出制御基板側CPU251はいわゆるプロセッサ部であり、主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた各種演出を制御する処理を行う。」

(2)「【0080】
「vol_3」?「vol_5」の場合(音量によって3段階)、パチンコ遊技機1は、「ホール用節電モード」の設定となる。「ホール用節電モード」に設定すると、パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動が停止して、次回変動が開始しない状態で所定時間が経過した際に、低消費電力の客待ち状態(以下では、「低消費電力状態」という)に移行する。」

(3)「【0086】
まず、図6Aを参照して主制御基板24、演出制御基板25、液晶制御基板26の制御コマンドの通信について説明する。主制御基板24は、遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信する。ここで、「遊技停止」とは、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態を意味する。従って、遊技者が遊技球の発射を継続していても主制御基板24は、「客待ちデモコマンド」を送信する。
・・・
【0088】
遊技停止から180秒経過したとき、演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「節電デモ表示コマンド」を送信する。これにより、液晶制御基板26は、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行する。これは、「節電モード」が選択された場合にのみ行われる表示である。」

(4)「【0094】
なお、ここでは主に、液晶表示装置36の表示について説明したが、「B:節電デモ表示」が実行されているとき、枠装飾LED8等は、一部を除いて消灯し、スピーカ7の音出力は行わない。」

(5)「【0114】
図9Aに示すように、低消費電力状態に移行する前に、前扉5が開放する「扉開放エラー」が発生したとする。この場合、液晶表示装置36では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われる。エラー発生中に低消費電力状態に移行する時間となっても、パチンコ遊技機1は、低消費電力状態に移行せず、そのままの状態でエラーを報知する。
・・・
【0116】
これにより、液晶表示装置36では、「A:客待ち前演出表示」と共に、「扉開放中!」等のエラー表示がなされる。このとき、スピーカ7から警告音を発生させたり、枠装飾LED8等の発光態様を変化させてエラーを報知してもよい。
・・・
【0119】
「扉開放エラー」の発生中に、パチンコ遊技機1を低消費電力状態とする時間(本実施形態では、遊技停止から180秒)となっても、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を開始せず、「A:客待ち前演出表示」のままエラー表示を行う。すなわち、演出制御基板25は、節電よりもエラーの報知を優先した制御を行う。」

(6)「【0130】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、磁気異常、電波異常、振動異常の他、球詰まりエラーや不正入賞エラー等の如何なるエラーに対しても、上記のように低消費電力状態に移行せず、エラー報知を優先して行う。
・・・
【0133】
具体的には、パチンコ遊技機1が低消費電力状態のとき、「扉開放エラー」が発生すると、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて「扉開放エラーコマンド」を送信する。また、「扉開放エラーコマンド」を受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」及び「客待ち前演出表示コマンド」を送信する。」

(7)図9A

図9Aには、遊技停止から170秒経過した時点において、扉開放エラーが発生したとすると、液晶表示装置では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われ、装飾LEDをエラー報知用点灯パターンにすることが記載されている。

上記記載事項(1)?(7)より、以下の事項が導かれる。
なお、c2、c4、dは、本願発明の構成C2、C4、Dに対応した事項を示している。
(c2)上記【0086】には「主制御基板24は、遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信する・・・「遊技停止」とは、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態」と記載され、上記【0088】には「遊技停止から180秒経過したとき、・・・液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行する」と記載され、上記【0080】には「パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動が停止して、次回変動が開始しない状態で所定時間が経過した際に、低消費電力の客待ち状態(以下では、「低消費電力状態」という)に移行する」と記載され、上記【0094】には「「B:節電デモ表示」が実行されているとき、枠装飾LED8等は、一部を除いて消灯し」と記載されているから、引用例3には、主制御基板24は、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態である遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信し、遊技停止から180秒経過したときに、低消費電力の客待ち状態である「低消費電力状態」に移行し、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行し、枠装飾LED8等は、一部を除いて消灯するパチンコ遊技機1が記載されている。

(c4)上記【0088】には「遊技停止から180秒経過したとき、・・・液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行する」と記載され、上記【0114】には「図9Aに示すように、低消費電力状態に移行する前に、・・・「扉開放エラー」が発生したとする。この場合、液晶表示装置36では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われる」と記載され、上記図9Aには「遊技停止から170秒経過した時点において、扉開放エラーが発生したとすると、液晶表示装置では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われ、装飾LEDをエラー報知用点灯パターンにする」ことが記載され、上記【0130】には「磁気異常、電波異常、振動異常・・・等の如何なるエラーに対しても・・・低消費電力状態に移行せず、エラー報知を優先して行う」と記載され、上記【0066】には「主制御基板24には、払出制御基板29が接続され・・・払出制御基板29には、・・・扉開放センサ32が接続され・・・センサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信され」と記載され、上記【0062】には「主制御基板24には、・・・磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続され、各検知信号を受信可能」と記載され、上記【0063】には「磁気センサ50は・・・異常を検知するセンサ・・・電波センサ51は・・・異常を検知するセンサ・・・振動センサ52は・・・異常を検知するセンサ」と記載され、上記【0133】には「「扉開放エラー」が発生すると、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて「扉開放エラーコマンド」を送信する。・・・「扉開放エラーコマンド」を受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」・・・を送信する」と記載され、上記【0067】には「演出制御基板25は・・・演出制御基板側CPU251・・・を備え・・・演出制御基板側CPU251は・・・主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた・・・制御する処理を行う」と記載され、上記【0116】には「枠装飾LED8等の発光態様を変化させてエラーを報知してもよい」と記載されているとともに、「扉開放エラー」だけでなく「磁気異常、電波異常、振動異常」のときにも、主制御基板24は、演出制御基板25に向けてエラーコマンドを送信し、エラーコマンドを受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信することは明らかであるから、引用例3には、低消費電力状態に移行する前である遊技停止から170秒経過した時点において、「扉開放エラー」、磁気異常、電波異常、振動異常等が発生し、扉開放センサ32、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続された主制御基板24は、センサが異常を検知すると、検知信号を受信して演出制御基板25に向けて「エラーコマンド」を送信し、「エラーコマンド」を受信した演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信し、液晶表示装置36では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われ、枠装飾LED8等の発光態様を変化させてエラーを報知することが記載されている。
また、上記【0119】には「エラー・・・の発生中に、パチンコ遊技機1を低消費電力状態とする時間(・・・遊技停止から180秒)となっても、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を開始せず、「A:客待ち前演出表示」のままエラー表示を行う・・・演出制御基板25は、節電よりもエラーの報知を優先した制御を行う」と記載され、上記【0067】には「演出制御基板25は・・・演出制御基板側CPU251・・・を備え・・・演出制御基板側CPU251は・・・制御する処理を行う」と記載され、上記【0116】には「枠装飾LED8等の発光態様を変化させてエラーを報知してもよい」と記載されているから、引用例3には、エラーの発生中に、パチンコ遊技機1を低消費電力状態とする時間(遊技停止から180秒)となっても、演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、節電よりもエラーの報知を優先した制御を行い、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を開始せず、「A:客待ち前演出表示」のままエラー表示を行い、枠装飾LED8等でエラーを報知することが記載されている。

(d)上記【0080】には「パチンコ遊技機1」と記載されている。

上記記載事項(1)?(7)及び上記(c2)、(c4)、(d)の認定事項から、引用例3には、次の事項(以下、「引用例3に記載された事項」という。)が記載されていると認められる(c2、c4、dは、発明の構成を分説するため当審で付与した)。
「c2 主制御基板24は、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態である遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信し、遊技停止から180秒経過したときに、低消費電力の客待ち状態である「低消費電力状態」に移行し、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行し、枠装飾LED8等は、一部を除いて消灯するパチンコ遊技機1において、
c4 低消費電力状態に移行する前である遊技停止から170秒経過した時点において、「扉開放エラー」、磁気異常、電波異常、振動異常等が発生し、扉開放センサ32、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続された主制御基板24は、センサが異常を検知すると、検知信号を受信して演出制御基板25に向けて「エラーコマンド」を送信し、「エラーコマンド」を受信した演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信し、液晶表示装置36では、「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」と共に、エラー表示が行われ、枠装飾LED8等の発光態様を変化させてエラーを報知し、
エラーの発生中に、パチンコ遊技機1を低消費電力状態とする時間(遊技停止から180秒)となっても、演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、節電よりもエラーの報知を優先した制御を行い、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を開始せず、「A:客待ち前演出表示」のままエラー表示を行い、枠装飾LED8等でエラーを報知する
d パチンコ遊技機1。」

4 引用例7
当審における拒絶の理由(令和1年11月22日付け拒絶理由通知書)に引用例7として引用された本願の出願遡及日前に頒布された特開2013-188324号公報(以下「引用例7」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)「【0066】
主制御基板24には、RAMクリアスイッチ27、始動入賞口センサ38c、大入賞口センサ39c、始動ゲート通過センサ40c、一般入賞口センサ42c、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続され、各検知信号を受信可能となっている。
【0067】
磁気センサ50は、パチンコ遊技機1に磁石等を近づけた場合に、異常を検知するセンサである。また、電波センサ51は、パチンコ遊技機1に対し強い電波が発せられた場合に異常を検知するセンサであり、振動センサ52は、パチンコ遊技機1に対し強い振動が与えられた場合に異常を検知するセンサである。
・・・
【0070】
さらに、主制御基板24には、払出制御基板29が接続されている。払出制御基板29には、下貯留皿満杯センサ12cおよび扉開放センサ32が接続されているため、これらのセンサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信される。なお、払出制御基板29には、遊技球払出装置19と、発射制御基板30(さらに発射装置10aと接続)が接続している。
【0071】
次に、演出制御基板25は、その内部に、演出制御基板側CPU251と、ROM252と、RAM253を備えている。演出制御基板側CPU251はいわゆるプロセッサ部であり、主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた各種演出を制御する処理を行う。」

(2)「【0084】
「vol_3」?「vol_5」の場合(音量によって3段階)、パチンコ遊技機1は、「ホール用節電モード」の設定となる。「ホール用節電モード」に設定すると、パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動が停止して、次回変動が開始しない状態で所定時間が経過した際に、低消費電力状態に移行する。」

(3)「【0090】
まず、図6Aを参照して主制御基板24、演出制御基板25、液晶制御基板26の制御コマンドの通信について説明する。主制御基板24は、遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信する。ここで、「遊技停止」とは、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態を意味する。したがって、遊技者が遊技球の発射を継続していても主制御基板24は、「客待ちデモコマンド」を送信する。
【0091】
主制御基板24、演出制御基板25は共に通常状態であり、液晶制御基板26では、液晶表示装置36で「A:客待ち前演出表示(図柄停止表示)」が実行される。「A:客待ち前演出表示」は、特別図柄(装飾図柄)が停止した状態を表示するものであり、遊技停止から180秒間継続する。
【0092】
遊技停止から180秒経過したとき、演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「節電デモ表示コマンド」を送信する。これにより、液晶制御基板26は、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行する。これは、「節電モード」が選択された場合にのみ行われる表示である。
・・・
【0094】
また、「B:節電デモ表示」が実行されているとき、枠装飾LED8や盤面装飾LED35は、一部のLEDを除いて消灯し、パチンコ遊技機1は、低消費電力状態となる。」

(4)「【0118】
「節電モード」の低消費電力状態の期間において、前扉5が開放する「扉開放エラー」が発生したとする。この場合、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」と共に、エラー表示が行われる。本実施形態のパチンコ遊技機1は、低消費電力状態であっても、あらゆるエラーに対して報知を行う。
【0119】
具体的には、「扉開放エラー」が発生すると、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて「扉開放エラーコマンド」を送信する。また、「扉開放エラーコマンド」を受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信する。
【0120】
これにより、液晶表示装置36には、表示中の「B:節電デモ表示」に加えて、「扉開放中!」等のエラー表示がなされる。さらに、スピーカ7から警告音を発生させたり、発生したエラーの種類に応じて枠装飾LED8等の発光態様を変化させてもよい。」

(5)「【0124】
エラーが解消した場合には、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて「エラー解除コマンド」を送信する。また、「エラー解除コマンド」を受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示中止コマンド」を送信する。
【0125】
これにより、エラー表示が消えて液晶表示装置36は、「B:節電デモ表示」のみの画面に戻る。ここで、警告音やエラーの種類に応じたLEDの発光は、エラーが解消しても予め定めた所定の時間は継続して行うようにする。
【0126】
例えば、図9に示すように、「扉開放エラー」が20秒で解消しても、演出制御基板25は、「エラー報知用点灯パターン」に従って枠装飾LED8等を予め定めた30秒間継続して行うようにする。これにより、たとえ前扉5の開放が2?3秒のように短い期間であっても、確実にエラー報知が行われる。また、エラーの解消(上記の例では、前扉5の閉鎖時)から予め定めた所定時間、枠装飾LED8等によるエラー報知を行ってもよい。
・・・
【0128】
「エラー報知用点灯パターン」による制御期間が終了した場合には、演出制御基板25は、再度、枠装飾LED8等を「節電用点灯パターン」による制御に切替える。
【0129】
本実施形態のパチンコ遊技機1は、磁気異常、電波異常、振動異常の他、球詰まりエラーや不正入賞エラー等の如何なるエラーに対しても、仮に低消費電力状態であっても確実に報知が行える。」

上記記載事項(1)?(5)より、以下の事項が導かれる。
なお、c2、c5、dは、本願発明の構成C2、C5、Dに対応した事項を示している。
(c2)上記【0090】には「主制御基板24は、遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信する・・・「遊技停止」とは、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態」と記載され、上記【0092】には「遊技停止から180秒経過したとき、・・・液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行する」と記載され、上記【0084】には「パチンコ遊技機1は、特別図柄の変動が停止して、次回変動が開始しない状態で所定時間が経過した際に、低消費電力状態に移行する」と記載され、上記【0094】には「「B:節電デモ表示」が実行されているとき、枠装飾LED8や盤面装飾LED35は、一部のLEDを除いて消灯し」と記載されているから、引用例7には、主制御基板24は、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態である遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信し、遊技停止から180秒経過したときに、低消費電力状態に移行し、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行し、枠装飾LED8や盤面装飾LED35は、一部のLEDを除いて消灯するパチンコ遊技機1が記載されている。

(c5)上記【0118】には「低消費電力状態の期間において、・・・「扉開放エラー」が発生したとする。この場合、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」と共に、エラー表示が行われる」と記載され、上記【0129】には「磁気異常、電波異常、振動異常の他、球詰まりエラーや不正入賞エラー等の如何なるエラーに対しても、仮に低消費電力状態であっても確実に報知が行える」と記載され、上記【0070】には「主制御基板24には、払出制御基板29が接続され・・・払出制御基板29には、・・・扉開放センサ32が接続され・・・センサが異常を検知すると、検知信号は払出制御基板29から主制御基板24に送信され」と記載され、上記【0066】には「主制御基板24には、・・・磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続され、各検知信号を受信可能」と記載され、上記【0067】には「磁気センサ50は・・・異常を検知するセンサ・・・電波センサ51は・・・異常を検知するセンサ・・・振動センサ52は・・・異常を検知するセンサ」と記載され、上記【0119】には「「扉開放エラー」が発生すると、主制御基板24は、演出制御基板25に向けて「扉開放エラーコマンド」を送信する。・・・「扉開放エラーコマンド」を受信した演出制御基板25は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信する」と記載され、上記【0071】には「演出制御基板25は・・・演出制御基板側CPU251・・・を備え・・・演出制御基板側CPU251は・・・主制御基板24から送信された制御コマンドを受信し、その制御コマンドに基づいた・・・制御する処理を行う」と記載され、上記【0120】には「発生したエラーの種類に応じて枠装飾LED8等の発光態様を変化させ」と記載されているから、引用例7には、低消費電力状態の期間において、「扉開放エラー」、磁気異常、電波異常、振動異常等が発生し、扉開放センサ32、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続された主制御基板24は、センサが異常を検知すると、検知信号を受信して演出制御基板25に向けて「エラーコマンド」を送信し、「エラーコマンド」を受信した演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信し、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」と共に、エラー表示が行われ、発生したエラーの種類に応じて枠装飾LED8等の発光態様を変化させることが記載されている。
また、上記【0124】には「エラーが解消した場合には、」と記載され、上記【0125】には「エラー表示が消えて液晶表示装置36は、「B:節電デモ表示」のみの画面に戻る・・・エラーの種類に応じたLEDの発光は、エラーが解消しても予め定めた所定の時間は継続して行う」と記載され、上記【0126】には「「扉開放エラー」が20秒で解消しても、演出制御基板25は、「エラー報知用点灯パターン」に従って枠装飾LED8等を予め定めた30秒間継続して行う」と記載され、上記【0128】には「「エラー報知用点灯パターン」による制御期間が終了した場合には、演出制御基板25は、再度、枠装飾LED8等を「節電用点灯パターン」による制御に切替える」と記載され、上記【0071】には「演出制御基板25は・・・演出制御基板側CPU251・・・を備え・・・演出制御基板側CPU251は・・・制御する処理を行う」と記載されているから、引用例7には、エラーが解消した場合には、エラー表示が消えて液晶表示装置36は、「B:節電デモ表示」のみの画面に戻り、エラーの種類に応じたLEDの発光は、予め定めた所定の時間(エラー発生から30秒)は継続して行うが、「エラー報知用点灯パターン」による制御期間が終了した場合には、演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、再度、枠装飾LED8等を「節電用点灯パターン」による制御に切替えることが記載されている。

(d)上記【0084】には「パチンコ遊技機1」と記載されている。

上記記載事項(1)?(5)及び上記(c2)、(c5)、(d)の認定事項から、引用例7には、次の事項(以下、「引用例7に記載された事項」という。)が記載されていると認められる(c2、c5、dは、発明の構成を分説するため当審で付与した)。
「c2 主制御基板24は、特別図柄の変動が停止した時点で、保留球がない状態である遊技停止の際に、演出制御基板25に向けて「客待ちデモコマンド」を送信し、遊技停止から180秒経過したときに、低消費電力状態に移行し、液晶表示装置36で「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」を実行し、枠装飾LED8や盤面装飾LED35は、一部のLEDを除いて消灯するパチンコ遊技機1において、
c5 低消費電力状態の期間において、「扉開放エラー」、磁気異常、電波異常、振動異常等が発生し、扉開放センサ32、磁気センサ50、電波センサ51、振動センサ52が接続された主制御基板24は、センサが異常を検知すると、検知信号を受信して演出制御基板25に向けて「エラーコマンド」を送信し、「エラーコマンド」を受信した演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、液晶制御基板26に向けて「エラー表示コマンド」を送信し、液晶表示装置36では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」と共に、エラー表示が行われ、発生したエラーの種類に応じて枠装飾LED8等の発光態様を変化させ、
エラーが解消した場合には、エラー表示が消えて液晶表示装置36は、「B:節電デモ表示」のみの画面に戻り、エラーの種類に応じたLEDの発光は、予め定めた所定の時間(エラー発生から30秒)は継続して行うが、「エラー報知用点灯パターン」による制御期間が終了した場合には、演出制御基板25の演出制御基板側CPU251は、再度、枠装飾LED8等を「節電用点灯パターン」による制御に切替えるパチンコ遊技機1。」

第5 対比、判断
本願発明と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「遊技球」、「遊技用マイコン111」及び「遊技制御装置100」は、それぞれ、本願発明の「所定の遊技媒体」、「遊技制御手段」及び「遊技制御装置」に相当する。
また、引用発明の「遊技用マイコン111」は「遊技を統括的に制御し」ているから、遊技の進行を管理していることは明らかである。
したがって、引用発明の「遊技を統括的に制御し、封入球制御装置200に、始動入賞口36、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞を通知するための賞球信号を送信し、賞球の発生に応じて遊技者が獲得している持球数(遊技価値)を増加させる遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100」は、
本願発明の「遊技の進行を管理し、所定の遊技媒体を検出したことに対応して遊技者に遊技価値を付与する制御を行う遊技制御手段を有する遊技制御装置」に相当する。

(b)引用発明の「表示装置41」及び「LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42」は、本願発明の「装飾装置」に相当する。
したがって、引用発明の「節電状態に突入すると、節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示する表示装置41、すべて消灯するLED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42」は、
本願発明の「その装飾態様を変化させることが可能な装飾装置」に相当する。

(c)引用発明の「主制御用マイコン(1stCPU)311」、「演出制御装置300」、「遊技機10」は、それぞれ、本願発明の「演出制御手段」、「演出制御装置」、「遊技機」に相当する。
また、引用発明の「主制御用マイコン(1stCPU)311」は「演出時間の管理などの処理を実行」しているから、遊技の進行に合わせた制御を行っていることも明らかである。
したがって、引用発明の「遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、表示装置41の演出内容を決定して映像制御用マイコン(2ndCPU)312への出力映像の内容を指示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプの点灯、演出時間の管理などの処理を実行する主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300と、を備えた遊技機10」は、
本願発明の「遊技の進行に合わせて前記装飾装置の装飾態様を制御する演出制御手段を有する演出制御装置と、を備えた遊技機」に相当する。

(a、a1)引用発明の「始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37a」、「始動入賞検出信号」及び「インタフェースチップ(近接I/F)121」は、それぞれ、本願発明の「遊技媒体検出手段」、「遊技媒体検出信号」及び「インタフェース手段」に相当する。
したがって、引用発明の「始動入賞口36及び普通変動入賞装置37への入賞球を検出する始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号である始動入賞検出信号を、遊技用マイコン111に入力させるインタフェースチップ(近接I/F)121 」は、
本願発明の「前記所定の遊技媒体を検出するための遊技媒体検出手段からの入力を受けて対応する遊技媒体検出信号を前記遊技制御手段に対して出力する機能を有するインタフェース手段」に相当する。

(a、a3)引用発明の「信号線」は、本願発明の「信号線」に相当する。
しかしながら、引用発明は、本願発明の「複合型抵抗器」に相当する構成を有するか不明である。
したがって、引用発明の「インタフェースチップ(近接I/F)121からの始動入賞検出信号を遊技用マイコン111に入力させる信号線が複数存在」することは、
本願発明の特定事項A3と「前記インタフェース手段から前記遊技制御手段へ前記遊技媒体検出信号を伝達するための信号線」を有する点で共通している。

(c、c1)引用発明の「メインコマンド」及び「節電状態」は、それぞれ、本願発明の「開始指令」及び「節電状態」に相当する。
また、引用発明の特定事項cは「遊技用マイコン111からのコマンドを解析し、表示装置41の演出内容を決定して映像制御用マイコン(2ndCPU)312への出力映像の内容を指示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプの点灯、演出時間の管理などの処理を実行する主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300」であり、「主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300」(演出制御装置)の制御は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)により実行されるから、引用発明の特定事項c1?c3、c5の制御は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)により実行されていることは明らかである。
したがって、引用発明の「遊技制御装置100からのメインコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続した場合に、節電状態に突入」することは、
本願発明の「前記遊技制御装置から開始指令を受信したことに対応して、前記装飾装置に供給される電力が減少する節電状態を発生させるための制御を開始」することに相当する。

(c、c2)引用発明の「所定時間(10分間)」は、本願発明の「所定期間」に相当する。
したがって、引用発明の「所定のアイドル状態が所定時間(10分間)継続して節電状態に突入すると、表示装置41に節電用画面(白画面の背景に節電中の画像をベタ絵で表示した画面等)を表示したり、LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42をすべて消灯したり」することは、
本願発明の「前記節電状態を発生させるための制御の開始から所定期間経過した場合に、前記装飾装置の装飾態様を所定の節電装飾態様に変更」することに相当する。

(c、c3)引用発明の「コマンド」は、本願発明の「解除指令」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技制御装置100からのコマンドを受信した場合に、節電状態を解除する」ことは、
本願発明の「前記節電状態において前記遊技制御装置から解除指令を受信したことに対応して、前記節電状態を解除」することに相当する。

(c、c5)引用発明の「演出ボタン18が押下され」ることは、本願発明の「所定の操作」に相当する。
また、引用発明の「演出制御装置300」(演出制御装置)には、「演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336が設けられ」ており、上記(c、c1)において既に検討したように、「主制御用マイコン(1stCPU)311を備えている演出制御装置300」(演出制御装置)の制御は「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)により実行されるから、「演出ボタン18が押下され」ること(所定の操作)は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が監視している。
しかしながら、引用発明は、節電状態に異常が発生した場合、どのような制御を行うか不明である。
したがって、引用発明の「演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336が設けられ、遊技制御装置100からのコマンド受信後、所定のアイドル状態が所定時間(例えば、10分間)継続した場合に、節電状態に突入し、演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除する」ことは、
本願発明の特定事項C5と「該演出制御手段が監視する所定の操作を検出」する点で共通する。

(d)引用発明の「遊技機10」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

上記(a)?(d)から、本願発明と引用発明とは、
[一致点]
「A 遊技の進行を管理し、所定の遊技媒体を検出したことに対応して遊技者に遊技価値を付与する制御を行う遊技制御手段を有する遊技制御装置と、
B その装飾態様を変化させることが可能な装飾装置と、
C 遊技の進行に合わせて前記装飾装置の装飾態様を制御する演出制御手段を有する演出制御装置と、を備えた遊技機において、
A 前記遊技制御装置には、
A1 前記所定の遊技媒体を検出するための遊技媒体検出手段からの入力を受けて対応する遊技媒体検出信号を前記遊技制御手段に対して出力する機能を有するインタフェース手段を設け、
A3’ 前記インタフェース手段から前記遊技制御手段へ前記遊技媒体検出信号を伝達するための信号線を有し、
C 前記演出制御手段は、
C1 前記遊技制御装置から開始指令を受信したことに対応して、前記装飾装置に供給される電力が減少する節電状態を発生させるための制御を開始し、
C2 前記節電状態を発生させるための制御の開始から所定期間経過した場合に、前記装飾装置の装飾態様を所定の節電装飾態様に変更し、
C3 前記節電状態において前記遊技制御装置から解除指令を受信したことに対応して、前記節電状態を解除し、
C5’該演出制御手段が監視する所定の操作を検出する
D 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項A、A2)
本願発明は、「前記遊技制御装置には、」「複数の抵抗素子と、該複数の抵抗素子の一方の端子が共に接続されて所定の電圧が印加される共通端子と、前記複数の抵抗素子の他方の端子が素子毎に接続された複数の個別端子と、を有する複合型抵抗器と、を設け」たのに対して、
引用発明は、「複合型抵抗器」に相当する構成を有するか不明であるため、本願発明のような構成でない点。

[相違点2](特定事項A、A3)
「前記インタフェース手段から前記遊技制御手段へ前記遊技媒体検出信号を伝達するための信号線」を有する「前記遊技制御装置」に関して、
本願発明は、「前記インタフェース手段から前記遊技制御手段へ前記遊技媒体検出信号を伝達するための信号線に、前記複合型抵抗器のいずれかの個別端子を接続し」ているのに対して、
引用発明は、「複合型抵抗器」に相当する構成を有するか不明であるため、本願発明のような構成でない点。

[相違点3](特定事項C、C4)
本願発明は、「前記演出制御手段は、」「前記所定期間に前記遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、該所定期間が経過しても該異常が解消していない場合は、異常報知を行うとともに、前記節電状態を発生しないようにし」ているのに対して、
引用発明は、所定のアイドル状態(所定期間)に異常が発生した場合、どのような制御を行うか不明であるため、本願発明のような構成でない点。

[相違点4](特定事項C、C5)
「該演出制御手段が監視する所定の操作を検出」する「前記演出制御手段」に関して、
本願発明は、「前記演出制御手段は、」「前記節電状態において前記遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出した場合は、該異常が解消されるまでの間に亘って、前記遊技制御装置から指令を受信しなくても前記節電状態を一時的に解除して異常報知を行い、該演出制御手段が監視する所定の操作を検出している場合は、前記節電状態には復帰しないようにする」のに対して、
引用発明は、「演出ボタン18に内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)「へ検出信号を入力するスイッチ入力回路336が設けられ」、「節電状態に突入し、演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除する」するが、節電状態に異常が発生した場合、どのような制御を行うか不明であるため、本願発明のような構成でない点。

[判断]
ア 相違点1?2について(特定事項A、A2?A3)
相違点1?2は、関連するのでまとめて検討する。

引用例2には、上記第4「2 引用例2」において既に検討した、引用例2に記載された事項が記載されている。

また、引用発明と引用例2に記載された事項とは共に、インタフェースチップ(近接I/F)から信号を出力する信号線を有する遊技機に関するものであり、技術分野及び機能が共通している。
そして、例えば、上記第4 2の(3)?(5)に記載されているように、引用例2の「遊技制御装置100の基板上」の「コネクタ94と」「インタフェースチップ(近接I/F)121」「とを接続する」「信号線91a……91g」に「プルダウン抵抗Rd1……Rd6」(【0141】、図12)を設けることにより、「入賞口に入賞した遊技球を検出する球検出手段からの配線等に接触不良や断線が発生した場合でも」「誤った遊技球の入賞検出信号が入力されることがない」(【0152】)ようにすること、すなわち、プルアップ又はプルダウン抵抗を接続することによって、ノイズの対策をすることは技術常識であるから、引用例2に記載された事項の「インタフェースチップ(近接I/F)121から信号を出力する信号線92a……92fに」「プルアップ抵抗群PR3」を「接続」する目的も、同様の目的であるといえる。
そして、引用発明の「インタフェースチップ(近接I/F)121からの始動入賞検出信号を遊技用マイコン111に入力させる信号線」が、「入賞口に入賞した遊技球を検出する球検出手段からの配線等に接触不良や断線が発生」する等してノイズが生じた場合でも、「誤った遊技球の入賞検出信号が入力されることがない」ようにする必要があることは、その明示がなくても明らかである。

そうすると、引用発明の「インタフェースチップ(近接I/F)121からの始動入賞検出信号を遊技用マイコン111に入力させる信号線」に、引用例2に記載された事項の「複数の抵抗素子と、該複数の抵抗素子の一方の端子が共に接続されて電源電圧Vccが印加される端子と、前記複数の抵抗素子の他方の端子が素子毎に接続された複数の個別端子と、を有するプルアップ抵抗群PR3」を接続するようにして、上記相違点1?2に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点3について(特定事項C、C4)
引用例3には、上記第4「3 引用例3」において既に検討した、引用例3に記載された事項が記載されている。
また、引用例3に記載された事項の「低消費電力状態に移行する前」は、本願発明の「所定期間」に含まれる。
そして、引用例3に記載された事項の「低消費電力状態」、「エラー」及び「演出制御基板25の演出制御基板側CPU251」は、それぞれ、本願発明の「節電状態」、「異常」及び「演出制御手段」に相当し、引用例3に記載された事項の「液晶表示装置36」及び「枠装飾LED8等」は、本願発明の「装飾装置」に相当する。

さらに、遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行うことは、例えば、
引用例4(遊技の総括的制御を行う遊技制御装置100と(【0052】)、画像表示装置34等を制御する演出制御装置110(【0063】)を備えたパチンコ機2において(【0069】)、遊技制御装置100の入力インターフェース102には(【0053】)、主変動入賞装置36の主大入賞口に入賞した遊技球を1個ずつ検出するセンサである(【0054】)カウントセンサ53、内枠開放センサ58及びガラス枠開放センサ59からの信号が入力され(【0053】)、遊技制御装置100が大入賞口不正入賞(エラーA1)、内枠開放(エラーD1)、ガラス枠開放(エラーD2)の発生を検出した場合に、遊技制御装置100から演出制御装置110に異常発生通知が送信され(【0122】、図8)、演出制御装置110のCPU111が(【0117】、図9)、受信した遊技制御装置からの信号が、不正入賞通知か否かを判定し(S105)、その結果、不正入賞通知とすると(【0120】、図9)、異常報知の実行を開始すると共に(【0120】、図9のS108)、演出制御装置110の入力インターフェース118には、磁気検出センサ46、電波検出センサ47及び振動検出センサ83からの信号が入力され(【0067】)、演出制御装置110のCPU111が(【0117】、図9)、振動検出センサ83、磁気検出センサ46、及び電波検出センサ47から出力される信号を検出して、振動、磁気又は電波を使用した不正な遊技が行われていないかを監視し(S102)(【0118】、図9)、不正な遊技が行われていると判定されたならば(S103)(【0119】、図9)、異常報知の実行を開始する(【0120】、図9のS108)、パチンコ機2(【0069】)、が記載されている。図5も参照。)、
引用例5(遊技の進行を制御するメイン制御装置としての遊技制御装置20と、装飾表示装置43、スピーカ27、装飾LED28などの制御を行う演出制御装置30等を備えている遊技機100において(【0042】)、遊技制御装置20の入力インタフェース(I/F)22には(【0043】)、カウントセンサ45a、残存球センサ491bが接続されており、これらからの各種信号が入力され(【0044】)、変動入賞装置3に入賞した遊技球は、カウントセンサ45aにより検出され(【0040】)、変動入賞装置3から流出される遊技球を検出する残存球センサ491bが設けられ(【0039】)、一回の始動遊技において、カウントセンサ45aで検出した遊技球の個数から、残存球センサ491bで検出した遊技球の個数を減算することで、変動入賞装置3内に存在する遊技球の数を検出でき(【0040】)、残存球センサ491bで変動入賞装置3に入賞したすべての遊技球が流出されたことを確認するが(【0041】)、遊技状態表示LED7で残存球エラーを表示すると共に(【0027】)、演出制御装置30は、振動検出装置50の振動検出センサ51から出力され入力された検知信号に基づいて、遊技機100を叩く等の遊技機100に生じた不正による衝撃(振動)を検出して、スピーカ27から所定の音を発音させたり装飾LED28を発光させる制御を行う(【0050】、【0075】)遊技機100(【0042】)、が記載されている。図4も参照)、
引用例6(遊技の進行を制御するメイン制御装置としての遊技制御装置30と、この遊技制御装置30の制御下で各種の演出に関する制御を行うサブ制御装置としての演出制御装置40とを備えている遊技機100において(【0053】)、演出制御装置40は(【0064】、図5)、遊技制御装置30から異常発生の報知を指令するエラーコマンド(技機枠開放スイッチ121、ガラス枠開放スイッチ146などによって不正な行為が検出された場合など)を受信した場合や、演出制御装置40と接続されている音センサ148から非可聴帯域の音信号を検出しない場合、各々のエラーに対応する音を設定するためのエラー報知処理を行う(【0065】)、遊技機100(【0053】)、が記載されている。)にそれぞれ記載されているように、周知(以下、「周知技術」という。)である。

しかも、引用発明と引用例3に記載された事項とは共に、表示装置等の装飾装置を節電状態とすることが可能な遊技機に関するものであり、技術分野及び機能が共通している。

そうすると、「遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行う」という上記周知技術をも併せて考慮すれば、引用発明に、引用例3に記載された事項である「低消費電力状態に移行する前」(所定期間)において、「エラー」「が発生し」「センサが異常を検知すると、検知信号を受信し」、「エラーの発生中に」「低消費電力状態とする時間」(所定期間)「となっても、演出制御基板25の演出制御基板側CPU251」(演出制御手段)「は、節電よりもエラーの報知を優先した制御を行」う技術事項を適用して、引用発明の「所定のアイドル状態」(所定期間)に、「遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100」(遊技制御装置)が検出する異常とは異なる異常の発生を、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が検出し、「所定のアイドル状態」(所定期間)が経過しても異常が解消しない場合、異常報知を行うとともに、節電状態を発生しないようにして、上記相違点3に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 相違点4について(特定事項C、C5)
上記「イ 相違点3について(特定事項C、C4)」において既に検討したように、遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行うことは、周知技術である。

また、引用例7には、上記第4「4 引用例7」において既に検討した、引用例7に記載された事項が記載されている。
そして、引用例7に記載された事項の「低消費電力状態」、「エラー」及び「演出制御基板25の演出制御基板側CPU251」は、本願発明の「節電状態」及び「異常」に相当し、引用例7に記載された事項の「液晶表示装置36」、「枠装飾LED8等」及び「遊技制御装置」は、本願発明の「装飾装置」に相当する。

ここで、引用例7に記載された事項の「液晶表示装置36」及び「枠装飾LED8等」(装飾装置)は、低消費電力状態(節電状態)の期間において、エラー(異常)が発生した場合、今まで表示されていなかったエラー表示が行われたり、消灯していた状態から発生したエラーの種類に応じた発光態様になると共に、エラー(異常)が解消されると、エラー表示が消えて、一部のLEDを除いて消灯する状態に戻るから、「液晶表示装置36」及び「枠装飾LED8等」は、節電状態において異常の発生を検出した場合は、異常が解消されるまでの間に亘って、節電状態を一時的に解除して異常報知を行っているといえる。

さらに、上記「第5(c、c5)」において既に検討したように、引用発明において、「演出ボタン18が押下され」ること(所定の操作)は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が監視している。
そして、引用発明は「演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除する」から、「演出ボタン18」は、「押下され」ることにより、節電状態ではない状態にするものであるといえる。

それに、引用発明と引用例7に記載された事項とは共に、表示装置等の装飾装置を節電状態とすることが可能な遊技機に関するものであり、技術分野及び機能が共通している。

そうすると、「遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行う」という上記周知技術をも併せて考慮すれば、「押下された場合、節電状態を解除する」「演出ボタン18」を有する引用発明に、引用例7に記載された事項である「低消費電力状態」(節電状態)「の期間」において、「エラー」「が発生し」「センサが異常を検知すると」、「液晶表示装置36」(装飾装置)「では、「B:節電デモ表示(節電客待ち表示)」と共に、エラー表示が行われ、発生したエラーの種類に応じて枠装飾LED8等」(装飾装置)「の発光態様を変化させ」(節電状態を一時的に解除して異常報知を行う状態)、「エラーが解消した場合には、エラー表示が消えて液晶表示装置36」(装飾装置)「は、「B:節電デモ表示」のみの画面に戻り」、「枠装飾LED8等」(装飾装置)を「節電用点灯パターン」による制御に切替える技術事項を適用して、
引用発明の「節電状態」において、「遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100」(遊技制御装置)が検出する異常とは異なる異常の発生を、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が検出した場合、「表示装置41」(装飾装置)「に節電用画面」を表示した状態でエラー表示が行われ、発生したエラーの種類に応じて「LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプ」(装飾装置)の発光態様を変化させることにより、節電状態を一時的に解除した異常報知を行い、節電状態を一時的に解除した異常報知を行っているときに、「内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)「へ検出信号」が「入力」される「演出ボタン18が押下され」ると、「節電状態を解除」し、「表示装置41」(装飾装置)の「節電用画面」が通常画面を表示した状態でエラー表示が行われ、「演出ボタン18が押下され」ている場合、エラー状態が終了しても節電状態ではない状態を維持し続け、「節電状態」に復帰しないようにして、上記相違点4に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

エ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明、引用例2?3、7に記載された事項、及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

第6 請求人の主張について
審判請求人は、令和2年1月21日付け意見書の「3.本願発明が特許されるべき理由」において、概ね以下のように主張している。

本願請求項1に係る発明は、「前記節電状態において前記遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出した場合は、該異常が解消されるまでの間に亘って、前記遊技制御装置から指令を受信しなくても前記節電状態を一時的に解除して異常報知を行い、該演出制御手段が監視する所定の操作を検出している場合は、前記節電状態には復帰しないようにする」構成(以下、「構成〔A〕」という。)を備えています。すなわち、節電状態のときに演出制御手段が監視する異常の発生を検出した場合は、節電状態の一時的な解除を開始して異常報知を開始し、該異常が解消されると節電状態の一時的な解除を終了して異常報知を終了します。例外として、演出制御手段が監視する所定の操作を検出している場合は、異常が解消された後も節電状態に復帰しない(節電状態の一時的な解除を終了しない)ようになっています。本願実施例では、例えば[図118]?[図119]に示すように、エラー状態が発生しているか否かの判定(ステップB218)よりも前に、押しボタンSWの入力があるか否かの判定(ステップB216)を行うので、押しボタンを押しっぱなしにしていれば押しボタンの押下中にエラー状態の発生が終了しても、節電機能はOFFに設定(ステップB229)され続けます。したがって、演出制御手段が監視する所定の操作を検出している場合は、異常が解消された後も(エラー状態の発生が終了した後も)節電状態に復帰しません。
例えば、異常が解消された後に節電状態に復帰すると、異常が解消された後は、元々異常が発生していない遊技機と同じ状態になるので、複数の遊技機のうちのどの遊技機で異常が発生したのかが分からなくなってしまいます。これに対し、本願発明では、所定の操作を検出している場合は異常が解消された後も節電状態に復帰しないので、異常が解消された後も、元々異常が発生していない遊技機と異なる状態となり、複数の遊技機のうちのどの遊技機で異常が発生したのかを容易に判別することが可能となります。さらに、所定の操作を行う(例えばボタンを押す)だけの簡易な手法で、異常が発生した遊技機と、元々異常が発生していない遊技機とを区別することができるため、遊技店の店員による対処の効率が向上します。また、所定の操作が検出されない場合には異常が解消された後に節電状態に復帰するので、遊技者や遊技店の店員の意思によって、所定の操作を行うか否か、すなわち異常が発生した遊技機と、元々異常が発生していない遊技機とを区別するか否か、を選択することが可能となります。
上記構成〔A〕は、引用文献1?7に記載も示唆もなく、これら引用文献1?7を組み合わせても容易に想到できるものでもありません。

しかしながら、上記第5[判断]「ウ 相違点4について(特定事項C、C5)」において既に検討したように、引用発明において、「演出ボタン18が押下され」ること(所定の操作)は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が監視しており、引用発明は「演出ボタン18が押下された場合、節電状態を解除する」から、「演出ボタン18」は、「押下され」ることにより、節電状態ではない状態にするものであるといえる。
そうすると、「遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行う」という上記周知技術をも併せて考慮すれば、「押下された場合、節電状態を解除する」「演出ボタン18」を有する引用発明に、引用例7に記載された事項を適用して、引用発明の「節電状態」において、「遊技用マイコン111を有する遊技制御装置100」(遊技制御装置)が検出する異常とは異なる異常の発生を、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が検出した場合、「表示装置41」(装飾装置)「に節電用画面」を表示した状態でエラー表示が行われ、発生したエラーの種類に応じて「LED(発光ダイオード)を有する盤装飾装置42の装飾ランプ」(装飾装置)の発光態様を変化させることにより、節電状態を一時的に解除した異常報知を行い、節電状態を一時的に解除した異常報知を行っているときに、「内蔵されている演出ボタンスイッチ18aのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)「へ検出信号」が「入力」される「演出ボタン18が押下され」ると、「節電状態を解除」し、「表示装置41」(装飾装置)の「節電用画面」が通常画面を表示した状態でエラー表示が行われ、「演出ボタン18が押下され」ている場合、エラー状態が終了しても節電状態ではない状態を維持し続け、「節電状態」に復帰しないようにして、上記相違点4に係る本願発明の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。
これらのことから、「遊技機において、演出制御手段が、遊技制御装置が検出する異常とは異なる異常の発生を検出し、異常報知を行う」という上記周知技術をも併せて考慮すれば、「押下された場合、節電状態を解除する」「演出ボタン18」を有する引用発明に、引用例7に記載された事項を適用した発明は、「主制御用マイコン(1stCPU)311」(演出制御手段)が監視する「演出ボタン18が押下され」ること(所定の操作)を検出している場合は、異常が解消された後も(エラー状態の発生が終了した後も)節電状態ではない状態を維持し続け、節電状態に復帰しないようにするものであり、「演出ボタン18が押下され」ること(所定の操作)を行うだけの簡易な手法で、異常が発生した遊技機と、元々異常が発生していない遊技機とを区別することができるとともに、区別するか否かを選択することが可能となるという、請求人が主張する本願発明と同様の効果を奏するといえる。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が引用発明、引用例2?3、7に記載された事項及び上記周知技術に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-02-25 
結審通知日 2020-03-03 
審決日 2020-03-16 
出願番号 特願2017-196504(P2017-196504)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 田邉 英治
瀬津 太朗
発明の名称 遊技機  
代理人 荒船 良男  
代理人 特許業務法人光陽国際特許事務所  

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