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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1362146
審判番号 不服2019-5278  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-22 
確定日 2020-05-07 
事件の表示 特願2015-57472号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月6日出願公開、特開2016-174742号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月20日の出願であって、平成30年3月13日に手続補正書が提出され、平成30年11月8日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年1月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年1月17日付け(送達日:平成31年1月22日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成31年4月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ、これに対し、当審において、令和1年11月1日付けで拒絶の理由が通知され、令和1年12月23日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
令和1年12月23日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである(A?Lについては、発明特定事項を分説するため当審で付した。)。

「A 時間情報を計時する計時手段と、
B 前記計時手段により計時される前記時間情報を取得し、この時間情報に基づいて特別演出を実行することが可能な演出制御手段と、を備えた遊技機であって、
C 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられ、遊技球が進入可能な始動領域と、
D 前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
E 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与することとなる特別遊技情報であるか否かを判定する遊技情報判定手段と、
F 前記遊技情報判定手段による判定が行われると、この判定結果を、当該判定が行われた前記判定情報に対応付けられた変動時間の経過後に導出する判定結果導出手段と、
G 前記遊技情報判定手段により前記特別遊技情報であると判定されたことに基づいて、前記判定結果導出手段により当該特別遊技情報に対応付けられた特別遊技情報結果が導出されると、前記遊技領域に設けられた特別可変入賞装置が所定態様にて開放する特別遊技を実行させる特別遊技制御手段と、
H 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報を保留として所定の記憶領域に記憶する保留記憶手段と、
I 取得した前記判定情報を事前に判定する事前判定手段と、
を備え、
J 前記特別演出中は、可動体の少なくとも一部が表示装置と重なる特定位置に位置する状態とし、
K 前記演出制御手段は、
K1 前記事前判定手段による事前判定結果に基づいて、前記保留に前記特別遊技情報があることを示唆する先読み演出を実行可能とし、
K2 前記先読み演出は前記時間情報に基づく前記特別演出とは異なる態様の演出であり、
K3 複数の前記保留の判定情報に基づいて、前記保留として記憶されている前記判定情報に対応付けられた演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間以下である場合に、前記先読み演出の実行を許容するようにし、該演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間を超える場合に、前記先読み演出の実行をしない、
L ことを特徴とする遊技機。」

第3 拒絶の理由
令和1年11月1日の当審が通知した拒絶理由のうちの理由1は、次のとおりのものである。
本願発明は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた下記の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない、というものである。

先願:特願2015-27869号(特開2016-150049号)

第4 先願明細書等に記載された発明
先願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

(1)「【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

(2)「【0019】
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
・・・
【0027】
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、普通電動役物用となるソレノイド81によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
・・・
【0029】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。」

(3)「【0046】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。
・・・
【0048】
特図ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示されて特定表示結果としての「大当り」となった後、大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間(例えば29秒間や0.1秒間)が経過するまでの期間あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とする。これにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)とするラウンドが実行される。
【0049】
ラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤2の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置7を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。大入賞口の開放サイクルであるラウンドは、その実行回数が所定の上限回数(例えば「15」など)に達するまで、繰り返し実行可能となっている。なお、ラウンドの実行回数が上限回数に達する前であっても、所定条件の成立(例えば大入賞口に遊技球が入賞しなかったことなど)により、ラウンドの実行が終了するようにしてもよい。」

(4)「【0110】
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。」

(5)「【0142】
図2に示すように、演出制御基板12には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM121と、演出制御用CPU120のワークエリアを提供するRAM122と、画像表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部123と、演出制御用CPU120とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路124と、I/O125とが搭載されている。また、演出制御基板12には、リアルタイムクロック126も搭載されている。リアルタイムクロック126は、年/月/日/曜日や時/分/秒の情報を含む時刻情報を出力する機能を備える。」

(6)「【0147】
図2に示す演出制御基板12に搭載されたROM121には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM121には、演出制御用CPU120が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。
・・・
【0151】
図9(A)は、演出制御パターンの構成例を示している。特図変動時演出制御パターンや各種演出制御パターンといった、それぞれの演出制御パターンは、例えば演出制御プロセスタイマ判定値、表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、操作検出制御データ、終了コードといった、各種の演出動作を制御するための制御データから構成され、時系列的に、各種の演出制御の内容や、演出制御の切換タイミング等が設定されていればよい。その他にも、演出制御パターンには、例えば遊技領域の内部または外部に設けられた可動部材における動作制御の内容等を指定する可動部材制御データなどが、含まれていてもよい。演出制御プロセスタイマ判定値は、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵された演出制御用RAMの所定領域に設けられた演出制御プロセスタイマの値(演出制御プロセスタイマ値)と比較される値(判定値)であって、各演出動作の実行時間(演出時間)に対応した判定値が予め設定されている。なお、演出制御プロセスタイマ判定値に代えて、例えば主基板11から所定の演出制御コマンドを受信したことや、演出制御用マイクロコンピュータ120において演出動作を制御するための処理として所定の処理が実行されたことといった、所定の制御内容や処理内容に対応して、演出制御の切換タイミング等を示すデータが設定されていてもよい。」

(7)「【0173】
図12は、特別図柄プロセス処理として、図11に示すステップS15にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この特別図柄プロセス処理において、CPU103は、まず、始動入賞判定処理を実行する(ステップS101)。図13は、始動入賞判定処理として、図12のステップS101にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0174】
図13に示す始動入賞判定処理において、CPU103は、まず、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口に対応して設けられた第1始動口スイッチ22Aからの検出信号に基づき、第1始動口スイッチ22Aがオンであるか否かを判定する(ステップS201)。このとき、第1始動口スイッチ22Aがオンであれば(ステップS201;Yes)、第1特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第1特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば上限記憶数としての「4」)となっているか否かを判定する(ステップS202)。CPU103は、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた第1保留記憶数カウンタの格納値である第1保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第1特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS202;No)、例えば遊技制御バッファ設定部155に設けられた始動口バッファの格納値を、「1」に設定する(ステップS203)。
【0175】
ステップS201にて第1始動口スイッチ22Aがオフであるときや(ステップS201;No)、ステップS202にて第1特図保留記憶数が上限値に達しているときには(ステップS202;Yes)、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口に対応して設けられた第2始動口スイッチ22Bからの検出信号に基づき、第2始動口スイッチ22Bがオンであるか否かを判定する(ステップS204)。このとき、第2始動口スイッチ22Bがオンであれば(ステップS204;Yes)、第2特図を用いた特図ゲームの保留記憶数である第2特図保留記憶数が、所定の上限値(例えば上限記憶数としての「4」)となっているか否かを判定する(ステップS205)。CPU103は、例えば遊技制御カウンタ設定部154に設けられた第2保留記憶数カウンタの格納値である第2保留記憶数カウント値を読み取ることにより、第2特図保留記憶数を特定できればよい。ステップS205にて第2特図保留記憶数が上限値ではないときには(ステップS205;No)、例えば遊技制御バッファ設定部155に設けられた始動口バッファの格納値を、「2」に設定する(ステップS206)。
・・・
【0177】
ステップS208の処理を実行した後に、CPU103は、乱数回路104や遊技制御カウンタ設定部154のランダムカウンタによって更新されている数値データのうちから、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データを、抽出する(ステップS209)。こうして抽出した各乱数値を示す数値データは、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭に、保留情報としてセットされることで記憶される(ステップS210)。例えば、始動口バッファ値が「1」であるときには、第1特図保留記憶部151Aに乱数値MR1?MR3を示す数値データがセットされる一方、始動口バッファ値が「2」であるときには、第2特図保留記憶部151Bに乱数値MR1?MR3を示す数値データがセットされる。」

(8)「【0182】
図14は、入賞時乱数値判定処理として、図13のステップS212にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。この実施の形態において、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるときには、特別図柄通常処理により、特図表示結果(特別図柄の可変表示結果)を「大当り」や「小当り」として大当り遊技状態や小当り遊技状態に制御するか否かの決定が行われる。また、変動パターン設定処理において、飾り図柄の可変表示態様を抽象的に分類した変動パターン種別の決定や、飾り図柄の可変表示態様を具体的に規定する変動パターンの決定などが行われる。他方、これらの決定とは別に、遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口または第2始動入賞口)にて検出されたタイミングで、CPU103がステップS212の入賞時乱数値判定処理を実行することにより、特図表示結果として大当り図柄や小当り図柄を導出表示すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定や、飾り図柄の可変表示態様がスーパーリーチを伴う所定表示態様となるか否かの判定などを行う。これにより、始動入賞口に進入した遊技球の検出に基づく特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されるより前に、特図表示結果が「大当り」や「小当り」となることや、飾り図柄の可変表示態様が所定表示態様となることを先読みし、この先読み結果に基づいて、演出制御基板12の側で演出制御用CPU120などにより、先読み予告演出を実行するか否かを、決定することができる。」

(9)「【0194】
ステップS110の特別図柄通常処理は、特図プロセスフラグの値が“0”のときに実行される。この特別図柄通常処理では、第1特図保留記憶部151Aや第2特図保留記憶部151Bに記憶されている保留データの有無などに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームを開始するか否かの判定が行われる。また、特別図柄通常処理では、特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に決定(事前決定)する。さらに、特別図柄通常処理では、特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果に対応して、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおける確定特別図柄(大当り図柄や小当り図柄、ハズレ図柄のいずれか)が設定される。特別図柄通常処理では、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果を事前決定したときに、特図プロセスフラグの値が“1”に更新される。なお、この実施の形態では、第2特図を用いた特図ゲームが第1特図を用いた特図ゲームよりも優先して実行されるようになっている(特図2優先消化ともいう)。そのため、特別図柄通常処理では、第1特図を用いた特図ゲームの実行条件、及び、第2特図を用いた特図ゲームの実行条件が成立している場合(第1特図保留記憶部151A及び第2特図保留記憶部151Bに保留データが記憶されている場合)には、第2特図を用いた特図ゲームの開始条件を優先的に成立させる制御が実行される。なお、これに対して、第1始動入賞口及び第2始動入賞口への遊技球の入賞順序を記憶し、入賞順に特図ゲームの開始条件を成立させるようにしてもよい(入賞順消化ともいう)。
【0195】
ステップS111の変動パターン設定処理は、特図プロセスフラグの値が“1”のときに実行される。この変動パターン設定処理には、可変表示結果を「大当り」または「小当り」とするか否かの事前決定結果などに基づき、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データを用いて変動パターン種別を複数種類のいずれかに決定する処理や、変動パターン種別の決定結果に基づき、変動パターン決定用の乱数値MR4を示す数値データを用いて変動パターンを複数種類のいずれかに決定する処理などが含まれている。変動パターン設定処理が実行されて特別図柄の可変表示が開始されたときには、特図プロセスフラグの値が“2”に更新される。
【0196】
ステップS110の特別図柄通常処理やステップS111の変動パターン設定処理により、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄や特別図柄及び飾り図柄の可変表示時間を含む変動パターンが決定される。すなわち、特別図柄通常処理や変動パターン設定処理は、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4を用いて、特別図柄や飾り図柄の可変表示態様を決定する処理を含んでいる。
【0197】
ステップS112の特別図柄変動処理は、特図プロセスフラグの値が“2”のときに実行される。この特別図柄変動処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて特別図柄を変動させるための設定を行う処理や、その特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理などが含まれている。例えば、ステップS112の特別図柄変動処理が実行されるごとに、遊技制御タイマ設定部153に設けられた特図変動タイマにおける格納値である特図変動タイマ値を1減算あるいは1加算して、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームであるか、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームであるかにかかわらず、共通のタイマによって経過時間の測定が行われる。また、計測された経過時間が変動パターンに対応する特図変動時間に達したか否かの判定も行われる。このように、ステップS112の特別図柄変動処理は、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動や、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームでの特別図柄の変動を、共通の処理ルーチンによって制御する処理となっていればよい。そして、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が特図変動時間に達したときには、特図プロセスフラグの値が“3”に更新される。
【0198】
ステップS113の特別図柄停止処理は、特図プロセスフラグの値が“3”のときに実行される。この特別図柄停止処理には、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにて特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う処理が含まれている。そして、遊技制御フラグ設定部152に設けられた大当りフラグがオンとなっているか否かの判定などが行われ、大当りフラグがオンである場合には特図プロセスフラグの値が“4”に更新される。その一方で、大当りフラグがオフであり、小当りフラグがオンである場合には、特図プロセスフラグの値が“8”に更新される。また、大当りフラグと小当りフラグがともにオフである場合には、特図プロセスフラグの値が“0”に更新される。
【0199】
ステップS114の大当り開放前処理は、特図プロセスフラグの値が“4”のときに実行される。この大当り開放前処理には、可変表示結果が「大当り」となったことなどに基づき、大当り遊技状態においてラウンドの実行を開始して大入賞口を開放状態とするための設定を行う処理などが含まれている。このときには、例えば大当り種別が「非確変」、「確変」、「突確」のいずれであるかに対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を設定するようにしてもよい。一例として、大当り種別が「非確変」または「確変」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「29秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、通常開放大当り状態とする設定が行われればよい。一方、大当り種別が「突確」に対応して、大入賞口を開放状態とする期間の上限を「0.1秒」に設定するとともに、ラウンドを実行する上限回数となる大入賞口の開放回数を「15回」に設定することにより、短期開放大当り状態とする設定が行われればよい。このときには、特図プロセスフラグの値が“5”に更新される。」

(10)「【0210】
次いで、演出制御用CPU120は、リアルタイムクロック126から時刻情報を読み出し(ステップS71A)、読み出した時刻情報に基づいて現在の時刻を特定し、特定した時刻に応じて時間計測タイマをセットする(ステップS71B)。この実施の形態では、毎時00分に時間計測タイマがタイムアウトするように時間計測タイマに値がセットされる。一般に、遊技店は10時頃開店することから、ステップS71Bでは、11:00にタイムアウトするように時間計測タイマをセットする。例えば、時刻情報に基づいて特定した現在の時刻が9:50であった場合には、ステップS71Bにおいて、11:00までの70分間に相当する値を時間計測タイマにセットする。
・・・
【0217】
図17は、図16に示す演出制御メイン処理における時間計測処理(ステップS74A)を示すフローチャートである。時間計測処理では、演出制御用CPU120は、まず、時間計測タイマの値を1減算し(ステップS851)、減算後の時間計測タイマがタイムアウトまであと「60秒」となったか否かを確認する(ステップS852)。タイムアウトまであと「60秒」であれば、特定演出前演出(第1のカウント演出)の開始条件が成立したことを示す前演出開始条件成立フラグをオン状態にセットする(ステップS853)。
・・・
【0220】
また、「特定演出前演出」とは、特定演出が開始するタイミングを報知する演出(一斉演出前演出:一斉演出前カウント演出)であり、例えば、所定条件の成立(例えば特定演出の開始まであと「60秒」になること)に基づいて開始され、特定演出の開始までの数値(例えば残時間など)をカウント形式で報知する態様(例えば、「60」、「59」、…、「2」、「1」、「0」などのようにカウントダウン形式で報知する)で所定期間(例えば60秒間)実行される演出である。この実施の形態では、毎時00分となる60秒前に前演出開始条件成立フラグがセットされ(ステップS852、S853参照)、前演出開始条件成立フラグがセットされたことに基づいて、後述する特定演出前演出処理(図22に示すステップS168参照)において特定演出前演出が実行される。よって、遊技店内の複数台の遊技機において一斉に実行される特定演出の開始前に、特定演出前演出が開始されるので、遊技者は特定演出の開始時期を知ることができる。」

(11)「【0229】
ステップS754において4個目の保留データ(ターゲット)に対して先読み予告演出を実行すると決定された場合(ステップS755;Yes)には、今回の変動の実行時に4個目の保留データ(ターゲット)に対しての先読み予告演出の種類を決定する先読み予告種類決定処理を実行する(ステップS756)。先読み予告種類決定処理では、例えば、先読みカウントダウン予告(第2のカウント演出)、先読み保留予告、その他の先読み予告の何れか一つが決定される。「その他の先読み予告」としては、例えば先読みチャンス目予告などがある。先読みチャンス目予告は、例えば飾り図柄が全て同色で揃うなどの飾り図柄が特殊な停止系でターゲット変動まで止まるものである。」

(12)「【0325】
次に、パチンコ遊技機1における具体的な演出動作について説明する。図29は、特定演出前演出期間以外の期間に先読みカウントダウン予告が実行される場合の画像表示装置5における表示動作例を示している。
【0326】
図29(A)に示すように、飾り図柄表示エリア(5L、5C、5R)において飾り図柄の可変表示が通常態様で実行され、左側の飾り図柄が停止し(図29(B)参照)、その後、飾り図柄がハズレ態様で変動停止したとする(図29(C)参照)。そして、このときに保留4個となり、先読み予告演出の抽選において先読みカウントダウン予告に当選したとする。そして、次の可変表示が開始され(図29(D)参照)、さらに次の可変表示が開始されると、図29(E)に示すように、保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「3」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(F)に示すように、保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「2」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(G)に示すように、保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「1」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(H)に示すように、保留1個目(ターゲット)が除去され、先読みカウントダウン予告である数値「0」の表示が実行され、今回の可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が高いことを示唆する。図29(I)に示すように、飾り図柄の可変表示が停止し、今回の可変表示結果が例えばハズレ態様で表示される。ここではハズレとしたが、先読みカウントダウン予告は大当り期待度が高い予告であるため、可変表示結果が「大当り」となる可能性が高い。」

(13)「【0327】
図30は、特定演出前演出の実行期間に重なる先読みカウントダウン予告が禁止されて特定演出前演出と特定演出とが実行される場合の画像表示装置5における表示動作例を示している。
【0328】
図30(A)に示すように、飾り図柄表示エリア(5L、5C、5R)において飾り図柄の可変表示が通常態様で実行され、その後に、図30(B)に示すように特定演出前演出が開始され(特定演出の開始まであと60秒であることを示す数値「60秒」が表示される)、飾り図柄の可変表示と保留表示とが縮小態様に変更して表示される。特定演出前演出は、画像表示装置5の表示画面の全体領域に表示される。なお、特定演出前演出では、1秒刻みでカウントダウン表示する態様で特定演出前演出を実行してもよいが、この実施の形態では特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様としている。
【0329】
そして、図30(C)に示すように、飾り図柄がハズレ態様で変動停止したとする。このときに保留4個となり、保留4個となったときに実行される先読み予告演出の抽選において先読みカウントダウン予告に当選したが、特定演出前演出の実行期間中であるために先読み保留予告に変更される。保留4個目の保留記憶表示が通常態様から特別態様(例えば白色の表示から黒色)に変更して表示される(図30(C)参照)。一方、特定演出前演出の開始から10秒が経過したため、特定演出前演出での「50秒」との表示が実行される。そして、特定演出前演出の開始から60秒が経過すると、図30(D)に示すように、特定演出前演出での「0秒」との表示が実行され、特定演出前演出が終了する。ここでは可変表示が2回実行されたため、特別態様で表示された4個目の保留記憶表示が2個目の保留記憶表示にシフトした状態となっている。また、特定演出前演出の実行期間では、図30(B)?(D)に示すように先読みカウントダウン予告が禁止されている。カウント演出が重複する(つまり、特定演出前演出と先読みカウントダウン予告とが重複する)と、何れの演出か分かりづらくなるので、一方(ここでは、先読みカウントダウン予告)を実行しないようにしているのである。」

(14)「【0345】
また、例えば特定演出前演出(第1のカウント演出)の実行中において、有利状態となる期待度を示唆する複数種類の演出(図20(B)に示すような先読み保留予告、その他の先読み予告など)の全てを禁止する場合には遊技の興趣性が低下してしまうことになる。これに対して、上記パチンコ遊技機1の構成によれば、特定演出前演出(第1のカウント演出)の実行中は、有利状態となる期待度を示唆する演出であって第2のカウント演出とは異なる所定演出(図20(B)に示すような先読み保留予告、その他の先読み予告など)の実行が可能であるので、特定演出前演出(第1のカウント演出)の実行中においても遊技の興趣性を確保することができる。また、特定演出前演出(第1のカウント演出)の実行中は、先読みカウントダウン予告(第2のカウント演出)の実行が禁止されるので、カウント演出同士が重なり合って分かり難くなるもののみ実行しないようにすることができる。つまり、両カウント演出が重なり合って分かり難くなることを防止できる。」

(15)「【0355】
ここで、変形例1のパチンコ遊技機1について説明する。上記実施の形態では、特定演出前演出の実行期間において先読みカウントダウン予告が当選した場合に、先読みカウントダウン予告を禁止しているが、図33に示すように、特定演出前演出の直前期間において先読みカウントダウン予告が当選した場合にも、先読みカウントダウン演出の後半部分と特定演出前演出とが重なって行われる可能性がある。例えば、図33の二点鎖線円内に示すように、先読みカウントダウン予告の後半部分である数値「1」、「0」の表示が、特定演出前演出の実行と重なって行われる。このため、図33に示す変形例1のパチンコ遊技機1では、特定演出前演出の直前期間(例えば5分間など)において先読みカウントダウン予告が当選した場合にも先読みカウントダウン予告を禁止する構成とする。
・・・
【0357】
なお、特定演出前演出の直前期間としては、先読みカウントダウン予告が特定演出前演出に重なって行われることがないように予め長い時間に設定してもよい。また、ターゲット手前の全ての変動時間を計算して先読みカウントダウン予告の実行の有無を判定するようにしてもよい。」

(16)図29には、先読みカウントダウン予告の演出態様の一例が示されている。

(17)図30には、特定演出前演出の演出態様の一例が示されている。

上記(1)?(17)の記載事項から、以下の事項が導かれる。

(18)【0325】には、「図29は、・・・先読みカウントダウン予告が実行される場合の画像表示装置5における表示動作例を示している」と、【0326】には、「飾り図柄の可変表示が通常態様で実行され、・・・保留4個となり、先読み予告演出の抽選において先読みカウントダウン予告に当選したとする。そして、次の可変表示が開始され(図29(D)参照)、さらに次の可変表示が開始されると、図29(E)に示すように、保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「3」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(F)に示すように、保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「2」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(G)に示すように、保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトし、先読みカウントダウン予告である数値「1」の表示が実行される。続いて、次の可変表示が開始されると、図29(H)に示すように、保留1個目(ターゲット)が除去され、先読みカウントダウン予告である数値「0」の表示が実行され、今回の可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が高いことを示唆する」と、それぞれ、記載されている。
また、図29には、飾り図柄の可変表示が通常態様で実行されたまま、数値「3」、「2」、「1」及び「0」の表示が実行されることが示されている。
これらの記載から、先願明細書等には、「先読みカウントダウン予告は、先読みカウントダウン予告に当選した保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトすると数値「3」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトすると数値「2」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトすると数値「1」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留1個目(ターゲット)が除去されると数値「0」の表示が実行されるものであり、飾り図柄の可変表示が通常態様で実行されたまま、数値「3」、「2」、「1」及び「0」の表示が実行される」ことが示されているものと認められる。

(19)【0327】には、「図30は、・・・特定演出前演出・・・が実行される場合の画像表示装置5における表示動作例を示している」と、【0328】?【0329】には、「図30(B)に示すように特定演出前演出が開始され(特定演出の開始まであと60秒であることを示す数値「60秒」が表示される)、飾り図柄の可変表示と保留表示とが縮小態様に変更して表示される。特定演出前演出は、画像表示装置5の表示画面の全体領域に表示される。・・・特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様としている。・・・特定演出前演出の開始から10秒が経過したため、特定演出前演出での「50秒」との表示が実行される。そして、特定演出前演出の開始から60秒が経過すると、図30(D)に示すように、特定演出前演出での「0秒」との表示が実行され、特定演出前演出が終了する」と、それぞれ、記載されている。
また、図30には、特定演出前演出が開始されると、特定演出の開始までの数値を示す「60秒」、「50秒」及び「0秒」の表示が、単位である「秒」を含む態様で実行されることが示されている。
これらの記載から、先願明細書等には、「特定演出前演出は、特定演出前演出が開始されると、特定演出の開始まであと60秒であることを示す数値「60秒」が画像表示装置5の表示画面の全体領域に表示され、飾り図柄の可変表示と保留表示とが縮小態様に変更されて表示され、特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様とし、特定演出前演出の開始から10秒が経過すると「50秒」と表示され、特定演出前演出の開始から60秒が経過すると「0秒」と表示され特定演出前演出が終了するものであり、特定演出の開始までの数値を示す「60秒」、「50秒」及び「0秒」の表示は、単位である「秒」を含む態様で実行される」ことが示されているものと認められる。

(1)?(17)の記載事項、(18)、(19)の認定事項からみて、先願明細書等には、以下の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。

「 時刻情報を出力する機能を備えるリアルタイムクロック126と(【0142】)、
主基板11に搭載され、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU103と(【0110】)、
演出制御基板12に搭載され、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPU120と(【0142】)、
遊技球が打ち込まれる遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられ、この画像表示装置5の下方に形成され、遊技球が進入する第1始動入賞口及び第2始動入賞口と、を備えたパチンコ遊技機1であって(【0015】、【0019】、【0027】、【0029】)、
前記CPU103は、
第1始動入賞口に遊技球が通過して、第1始動入賞口に対応して設けられた第1始動口スイッチ22Aがオンになると、または、第2始動入賞口に遊技球が通過して、第2始動入賞口に対応して設けられた第2始動口スイッチ22Bがオンになると、特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データを抽出し、抽出した各乱数値を示す数値データを、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭に、保留情報としてセットすることで記憶する始動入賞判定処理と(【0029】、【0173】?【0175】、【0177】)、
遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口または第2始動入賞口)にて検出されたタイミングで、特図表示結果として大当り図柄を導出表示すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定などを行う入賞時乱数値判定処理と(【0182】)、
特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを、その可変表示結果が導出表示される以前に事前決定する特別図柄通常処理と(【0194】)、
可変表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果に基づき、特別図柄の変動を開始してからの経過時間が、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4を用いて決定された変動パターンに対応する特図変動時間に達したときに、特別図柄の変動を停止させ、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)する特別図柄停止処理と(【0195】?【0198】)、を実行し、
さらに、前記CPU103は、
可変表示結果が「大当り」となったことに基づき、遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する大当り遊技状態において、特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間が経過するまでの期間あるいは所定個数の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とするラウンドを、その実行回数が所定の上限回数に達するまで繰り返し実行し(【0046】、【0048】、【0049】、【0193】、【0199】)、
演出制御基板12に搭載されたROM121に記憶されている演出制御パターンには、遊技領域の内部に設けられた可動部材における動作制御の内容等を指定する可動部材制御データが含まれ(【0147】、【0151】)、
前記演出制御用CPU120は、
リアルタイムクロック126から時刻情報を読み出し、時間計測タイマをセットし、時間計測タイマがタイムアウトまであと「60秒」になると特定演出前演出を開始し(【0210】、【0217】、【0220】)、
入賞時乱数値判定処理における、特図表示結果が「大当り」となることの先読み結果に基づいて、先読みカウントダウン予告を実行するか否かを決定し(【0182】、【0229】)、
先読みカウントダウン予告は、先読みカウントダウン予告に当選した保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトすると数値「3」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトすると数値「2」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトすると数値「1」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留1個目(ターゲット)が除去されると数値「0」の表示が実行されるものであり、飾り図柄の可変表示が通常態様で実行されたまま、数値「3」、「2」、「1」及び「0」の表示が実行され(認定事項(18))、
特定演出前演出は、特定演出前演出が開始されると、特定演出の開始まであと60秒であることを示す数値「60秒」が画像表示装置5の表示画面の全体領域に表示され、飾り図柄の可変表示と保留表示とが縮小態様に変更されて表示され、特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様とし、特定演出前演出の開始から10秒が経過すると「50秒」と表示され、特定演出前演出の開始から60秒が経過すると「0秒」と表示され特定演出前演出が終了するものであり、特定演出の開始までの数値を示す「60秒」、「50秒」及び「0秒」の表示は、単位である「秒」を含む態様で実行され(認定事項(19))、
特定演出前演出の直前期間において先読みカウントダウン予告が当選した場合、先読みカウントダウン予告の後半部分と特定演出前演出とが重なって行われる可能性があるから、先読みカウントダウン予告が特定演出前演出に重なって行われることがないように、先読みカウントダウン予告の実行の有無は、ターゲット手前の全ての変動時間を計算して判定し(【0355】、【0357】)、
特定演出前演出の実行中においても遊技の興趣性を確保するために、特定演出前演出の実行中は、先読みカウントダウン予告とは異なる所定演出の実行を可能とする(【0345】)
パチンコ遊技機1(【0015】)。」

第5 対比
本願発明と先願発明とを対比する。なお、見出しは(a)?(l)とし、本願発明の分説に対応させている。

(a、b、l)先願発明の「時刻情報を出力する機能を備えるリアルタイムクロック126」は、本願発明の「時間情報を計時する計時手段」の機能を備えるものである。
また、先願発明の「リアルタイムクロック126から時刻情報を読み出し、時間計測タイマをセットし、時間計測タイマがタイムアウトまであと「60秒」になると特定演出前演出を開始する」ことは、本願発明の「前記計時手段により計時される前記時間情報を取得し、この時間情報に基づいて特別演出を実行する」ことに相当するから、先願発明の「演出制御用CPU120」は、本願発明の「演出制御手段」の機能を備えるものである。
そして、先願発明の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当するから、先願発明の「リアルタイムクロック126と、」「演出制御用CPU120と、」「を備えたパチンコ遊技機1」は、本願発明の構成A、B、Lに相当する。

(c)先願発明の「遊技球が打ち込まれる遊技領域の中央付近に設けられた画像表示装置5の下方」は、本願発明の「遊技球が流下可能な遊技領域」に相当する。
そして、先願発明の「第1始動入賞口及び第2始動入賞口」は、「遊技球が進入する」から、本願発明の「遊技球が進入可能な」「始動領域」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成Cを備える。

(d)先願発明の「第1始動入賞口に遊技球が通過」、または、「第2始動入賞口に遊技球が通過」することは、本願発明の「前記始動領域へ」「遊技球」が「入球」することに相当する。
そして、先願発明の「第1始動入賞口に遊技球が通過して、第1始動入賞口に対応して設けられた第1始動口スイッチ22Aがオンになると、または、第2始動入賞口に遊技球が通過して、第2始動入賞口に対応して設けられた第2始動口スイッチ22Bがオンになると」「抽出」されることは、本願発明の「前記始動領域への遊技球の入球により」「取得」されることに相当し、先願発明の「特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データ」は、本願発明の「判定情報」に相当する。
そうすると、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「判定情報取得手段」の機能を備えるものである。
よって、先願発明は、本願発明の構成Dの機能を備える。

(e)上記(d)より、先願発明の「特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データ」は、本願発明の「前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報」に相当する。
また、先願発明の「可変表示結果が「大当り」となったことに基づき、遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する」ことは、本願発明の「遊技者に有利な遊技利益を付与する」ことに相当するものである。
そうすると、先願発明において、「特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄の可変表示結果を「大当り」とするか否かを」「事前決定」することは、本願発明の「前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与することとなる特別遊技情報であるか否かを判定する」ことに相当するから、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「遊技情報判定手段」の機能を備えるものである。
よって、先願発明は、本願発明の構成Eの機能を備える。

(f)先願発明の「可変表示結果を「大当り」とするか否かの事前決定結果に基づき」「停止表示(導出)」される「特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄」は、本願発明の「前記遊技情報判定手段による判定が行われると」、「導出」される「判定結果」に相当する。
そして、先願発明の「確定特別図柄」は、「特別図柄の変動を開始してからの経過時間が、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4を用いて決定された変動パターンに対応する特図変動時間に達したときに」「停止表示(導出)」されるものであり、上記(d)より、先願発明の「特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3」は、本願発明の「判定情報」に相当するから、先願発明の「特別図柄の変動を開始してからの経過時間が、特図表示結果決定用の乱数値MR1、大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3、変動パターン決定用の乱数値MR4を用いて決定された変動パターンに対応する特図変動時間に達したとき」は、本願発明の「当該判定が行われた前記判定情報に対応付けられた変動時間の経過後」に相当する。
そうすると、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「判定結果導出手段」の機能を備えるものである。
よって、先願発明は、本願発明の構成Fの機能を備える。

(g)上記(e)における検討を踏まえると、先願発明の「特図表示結果決定用の乱数値MR1を示す数値データに基づき、特別図柄の可変表示結果を「大当り」とする」と「事前決定」されたことは、本願発明の「前記遊技情報判定手段により前記特別遊技情報であると判定されたこと」に相当する。
ここで、先願発明は、「可変表示結果が「大当り」とするか否かの事前決定結果に基づき」、「特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄を停止表示(導出)させ」、「可変表示結果が「大当り」となったことに基づき」、「大当り遊技状態」となるものであるから、先願発明の「可変表示結果が「大当り」と」なる「確定特別図柄」は、本願発明の「当該特別遊技情報に対応付けられた特別遊技情報結果」に相当する。
そして、先願発明の「特別可変入賞球装置7の大入賞口扉が、所定の上限時間が経過するまでの期間あるいは所定個数の入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を開放状態とするラウンドを、その実行回数が所定の上限回数に達するまで繰り返し実行する」「大当り遊技状態」は、本願発明の「前記遊技領域に設けられた特別可変入賞装置が所定態様にて開放する特別遊技」に相当する。
そうすると、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「特別遊技制御手段」の機能を備えるものである。
よって、先願発明は、本願発明の構成Gの機能を備える。

(h)上記(d)より、先願発明の「特図表示結果決定用の乱数値MR1や大当り種別決定用の乱数値MR2、変動パターン種別決定用の乱数値MR3を示す数値データ」は、本願発明の「判定情報」に相当する。
そうすると、先願発明の「抽出した各乱数値を示す数値データを、始動口バッファ値に応じた特図保留記憶部における空きエントリの先頭に、保留情報としてセットすることで記憶する」ことは、本願発明の「前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報を保留として所定の記憶領域に記憶する」ことに相当するから、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「保留記憶手段」の機能を備えるものである。
よって、先願発明は、本願発明の構成Hの機能を備える。

(i)先願発明の「遊技球が始動入賞口(第1始動入賞口または第2始動入賞口)にて検出されたタイミングで、特図表示結果として大当り図柄を導出表示すると決定される乱数値MR1であるか否かの判定などを行う入賞時乱数値判定処理」は、本願発明の「取得した前記判定情報を事前に判定する」ことに相当するから、先願発明の「CPU103」は、本願発明の「事前判定手段」の機能を備えているといえる。
よって、先願発明は、本願発明の構成Iの機能を備える。

(j)先願発明の「演出制御基板12に搭載されたROM121」は、「遊技領域の内部に設けられた可動部材」を「動作制御」する「演出制御パターン」を「記憶」していることから、先願発明が、可動部材を備えていることは自明である。
そして、先願発明の「可動部材」は、本願発明の「可動体」に相当する。
また、先願発明の「画像表示装置5」は、本願発明の「表示装置」に相当する。
よって、先願発明の「遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられ」、「可動部材」を備えることは、本願発明の構成Jと、可動体と表示装置を備える点で共通する。

(k、k1)上記(i)より、先願発明の「入賞時乱数値判定処理における」「先読み結果」は、本願発明の「事前判定手段による事前判定結果」に相当する。
そして、先願発明の「特図表示結果が「大当り」となることの先読み結果」は、本願発明の「前記保留に前記特別遊技情報がある」ことを示す「事前判定結果」に相当するから、先願発明の「先読みカウントダウン予告を実行するか否かを決定することができ」ることは、本願発明の「先読み演出を実行可能と」することに相当する。
そうすると、先願発明の「演出制御用CPU120」は、本願発明の「演出制御手段」に相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成K、K1を備える。

(k2)上記(k、k1)より、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、本願発明の「先読み演出」に相当する。
また、上記(b)より、先願発明の「特定演出前演出」は、本願発明の「特別演出」に相当する。
そして、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、「先読みカウントダウン予告に当選した保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトすると数値「3」の表示が実行され」、「保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトすると数値「2」の表示が実行され」、「保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトすると数値「1」の表示が実行され」、「保留1個目(ターゲット)が除去されると数値「0」の表示が実行されるものであり」、「数値「3」、「2」、「1」及び「0」の表示が実行され」るものである。
つまり、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、保留がシフトするタイミングで、数値「3」、「2」、「1」及び「0」の表示が実行されるものといえる。
また、先願発明の「特定演出前演出」は、「特定演出の開始まであと60秒であることを示す数値「60秒」が」「表示され」、「特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様とし、特定演出前演出の開始から10秒が経過すると「50秒」と表示され、特定演出前演出の開始から60秒が経過すると「0秒」と表示され特定演出前演出が終了するものであり、特定演出の開始までの数値を示す「60秒」、「50秒」及び「0秒」の表示は、単位である「秒」を含む態様で実行され」るものである。
つまり、先願発明の「特定演出前演出」は、特定演出の開始までの残りの秒数を、特定演出の開始まであと10秒となるまでは、5秒刻みでカウントダウン表示する態様とし、特定演出の開始までの数値を、単位である「秒」を含む態様で、「60秒」、「50秒」及び「0秒」と表示するものである。
そうすると、先願発明の「先読みカウントダウン予告」と「特定演出前演出」は、いずれも数値がカウントダウンする態様の演出ではあるものの、「先読みカウントダウン予告」では数値を数字のみで表示するのに対し、「特定演出前演出」では数値を数字と単位を含む態様で表示する点で異なり、また、数値がカウントダウンするタイミングも、「先読みカウントダウン予告」では、保留がシフトするタイミング、すなわち、可変表示の変動時間に応じて一定のタイミングではないのに対し、「特定演出前演出」では、5秒刻みと一定のタイミングである点で異なるものであるから、先願発明の「先読みカウントダウン予告」と「特定演出前演出」は、互いに異なる態様の演出である。
さらに、先願発明において、「先読みカウントダウン予告」は、「飾り図柄の可変表示が通常態様で実行されたまま」実行される演出であり、「特定演出前演出」は、「飾り図柄の可変表示と保留表示とが縮小態様に変更して表示され」て実行される演出である点でも、両者は互いに異なる態様の演出といえる。
よって、先願発明は、本願発明の構成K2を備える。

(k3)上記(k、k1)より、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、本願発明の「先読み演出」に相当する。
また、上記(a、b、l)より、先願発明の「特定演出前演出」は、本願発明の「特別演出」に相当する。
そして、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、「特定演出前演出に重なって行われることがないように」、「先読みカウントダウン予告の実行の有無」を「判定する」ものであるから、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は、「特定演出前演出に重な」らないときには実行され、「特定演出前演出に重な」るときには実行されないものである。
ここで、先願発明の「特定演出前演出」は、「リアルタイムクロック126から」「読み出し」た「時刻情報」に基づいて「開始する」演出であるから、「先読みカウントダウン予告」が「特定演出前演出に重な」るか否かは、「先読みカウントダウン予告」の演出実行時間と「特定演出前演出」の開始時間までの時間とを比較することにより判定できるものであり、「先読みカウントダウン予告」の演出実行時間が「特定演出前演出」の開始時間までの時間以下である場合には、「特定演出前演出」に重ならないので「先読みカウントダウン予告」を実行し、「先読みカウントダウン予告」の演出実行時間が「特定演出前演出」の開始時間までの時間よりも長い場合には、「特定演出前演出」に重なるので「先読みカウントダウン予告」を実行しないものである。
そして、先願発明の「先読みカウントダウン予告」は「先読みカウントダウン予告に当選した保留4個目(ターゲット)が保留3個目にシフトすると数値「3」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留3個目(ターゲット)が保留2個目にシフトすると数値「2」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留2個目(ターゲット)が保留1個目にシフトすると数値「1」の表示が実行され、次の可変表示が開始されて、保留1個目(ターゲット)が除去されると数値「0」の表示が実行される」ことから、その演出実行時間は、「ターゲット手前の全ての変動時間」であり、本願発明の「複数の前記保留の判定情報に基づいて、前記保留として記憶されている前記判定情報に対応付けられた演出時間」に相当する。
また、先願発明の「特定演出前演出」の開始時間までの時間は、本願発明の「前記特別演出が実行されるまでの残り時間」に相当する。
そうすると、先願発明の「ターゲット手前の全ての変動時間」が「特定演出前演出」の開始時間までの時間以下である場合には、「先読みカウントダウン予告」を実行し、「ターゲット手前の全ての変動時間」が「特定演出前演出」の開始時間までの時間よりも長い場合には、「先読みカウントダウン予告」を実行しないことは、本願発明の「複数の前記保留の判定情報に基づいて、前記保留として記憶されている前記判定情報に対応付けられた演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間以下である場合に、前記先読み演出の実行を許容するようにし、該演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間を超える場合に、前記先読み演出の実行をしない」ことに相当する。
よって、先願発明は、本願発明の構成K3を備える。

以上より、本願発明と先願発明とは、

「A 時間情報を計時する計時手段と、
B 前記計時手段により計時される前記時間情報を取得し、この時間情報に基づいて特別演出を実行することが可能な演出制御手段と、を備えた遊技機であって、
C 遊技球が流下可能な遊技領域に設けられ、遊技球が進入可能な始動領域と、
D 前記始動領域への遊技球の入球により判定情報を取得する判定情報取得手段と、
E 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報が、遊技者に有利な遊技利益を付与することとなる特別遊技情報であるか否かを判定する遊技情報判定手段と、
F 前記遊技情報判定手段による判定が行われると、この判定結果を、当該判定が行われた前記判定情報に対応付けられた変動時間の経過後に導出する判定結果導出手段と、
G 前記遊技情報判定手段により前記特別遊技情報であると判定されたことに基づいて、前記判定結果導出手段により当該特別遊技情報に対応付けられた特別遊技情報結果が導出されると、前記遊技領域に設けられた特別可変入賞装置が所定態様にて開放する特別遊技を実行させる特別遊技制御手段と、
H 前記判定情報取得手段により取得された前記判定情報を保留として所定の記憶領域に記憶する保留記憶手段と、
I 取得した前記判定情報を事前に判定する事前判定手段と、
を備え、
J’可動体と表示装置とを備え、
K 前記演出制御手段は、
K1 前記事前判定手段による事前判定結果に基づいて、前記保留に前記特別遊技情報があることを示唆する先読み演出を実行可能とし、
K2 前記先読み演出は前記時間情報に基づく前記特別演出とは異なる態様の演出であり、
K3 複数の前記保留の判定情報に基づいて、前記保留として記憶されている前記判定情報に対応付けられた演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間以下である場合に、前記先読み演出の実行を許容するようにし、該演出時間が前記特別演出が実行されるまでの残り時間を超える場合に、前記先読み演出の実行をしない、
L 遊技機。」

である点で一致し、以下の点で一応相違する。

[相違点](構成J)
本願発明は、「特別演出中は、可動体の少なくとも一部が表示装置と重なる特定位置に位置する状態とし」ているのに対し、先願発明は、「遊技領域の中央付近には画像表示装置5が設けられ」、「演出制御基板12に搭載されたROM121に記憶されている演出制御パターンには、遊技領域の内部に設けられた可動部材における動作制御の内容等を指定する可動部材制御データが含まれ」るとしているものの、その「動作制御の内容」が不明である点。

第6 判断
1 上記相違点について検討する。
時間情報に基づいて実行される特別演出中に、可動体の少なくとも一部が表示装置と重なる特定位置に位置する状態とすることは周知技術であり(例えば、特開2014-140391号公報には、毎時00分になったことにもとづいて開始されるカウントダウン演出中、可動部材78が動作し、演出表示装置9の表示画面に進入した態様に制御し続けることが記載され(【0242】、図26)、特開2014-195580号公報には、毎時00分になったことにもとづいて開始されるカウントダウン演出中、継続して実行される導光板演出において、導光板を可動可能に構成し、演出表示装置9の表示画面の前面に重なる位置に動作させて発光制御させることが記載され(【0284】、【0423】、図35)、特開2013-46848号公報には、図柄表示装置25の表示面と遊技盤20との間に配置され、図柄表示装置25の表示領域外の「収納位置」と、図柄表示領域25の表示領域内の「露出位置」とに移動可能となっている演出部材100を備え、前回の共通演出終了時から所定時間が経過すると、演出部材100を露出状態にする共通演出が開始されることが記載されている(【0029】、【0030】、【0131】?【0133】、図3、図13)。)、これによって、特別演出中に、可動体を可動させることにより興趣を高めるという遊技機の技術分野において自明の課題を解決するものである。
そして、先願発明も、画像表示装置5と可動部材を備えるものであり、また、時間情報に基づいて実行される特定演出前演出の実行中においても遊技の興趣性を確保するために、所定演出の実行を可能とするものであるから、先願発明に、上記周知技術を付加して、特定演出前演出中は、可動部材の少なくとも一部が画像表示装置5と重なる特定位置に位置する状態とすることで、当該相違点に係る構成とすることは、特定演出前演出の実行中における興趣を高めるという課題解決のための具体化手段における微差であり、かつ、当該相違点に係る構成とすることによる効果は、演出の興趣を高めるという、遊技機の技術分野において広く知られた効果に過ぎず、新たな効果を奏するものではない。
したがって、本願発明と先願発明は実質的に同一である。

2 請求人の主張について
令和1年12月23日提出の意見書において、請求人は「次に、相違点2として、本願発明は「前記先読み演出は前記時間情報に基づく前記特別演出とは異なる態様の演出であり、」という構成を備えていますが、先願発明において上記構成を備えているとはいえません。
拒絶の理由の説明では、先願発明の「先読みカウントダウン予告(本願発明の「先読み演出」相当。)」は、ターゲットの保留記憶表示までの保留の個数を「3」、「2」、「1」、「0」と表示する先読み予告であり、先願発明の「特定演出前演出(本願発明の「特別演出」に相当。)」は、特定演出の開始までの残り時間を「60秒」、「50秒」、・・・、「0秒」と表示する演出であるから、両者は、互いに「異なる態様の演出」であるとしています。
しかしながら、残り時間を「60」秒、「50」秒、・・・「0」秒というのは、変化する部分は数字であるから、遊技者の目に入るのは数字の変化です。したがって、数字が変化する点で共通している演出(しかも、両者ともカウント演出)を、互いに「異なる態様の演出」ということはできません。」と述べている。
しかしながら、上記「第5 対比(k2)」にて検討したとおり、先願発明の「先読みカウントダウン予告」と「特定演出前演出」は、数値の表示の態様(前者は数字のみ、後者は数字と単位を含む態様)、数値が変わるタイミング(前者は保留シフト時、後者は5秒刻み)の、いずれもが異なるものであり、また、演出中の飾り図柄の可変表示の態様も、前者は通常態様であるのに対し、後者は縮小態様に変更して表示されることから、先願発明の「先読みカウントダウン予告」と「特定演出前演出」は、互いに「異なる態様の演出」ということができるので、この主張は採用できない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2020-03-04 
結審通知日 2020-03-10 
審決日 2020-03-24 
出願番号 特願2015-57472(P2015-57472)
審決分類 P 1 8・ 161- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 正樹  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 蔵野 いづみ
木村 隆一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所  

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