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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C11D
審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C11D
管理番号 1362297
審判番号 不服2018-17293  
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-26 
確定日 2020-05-11 
事件の表示 特願2016-572335「非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤と、アルキル硫酸塩とを含む構造化プレミックス、並びにこれらを含む組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成27年12月30日国際公開、WO2015/200062、平成29年8月17日国内公表、特表2017-523262〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年(2015年)6月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 平成26年(2014年)6月25日 欧州特許庁、以下「本件優先日」という。)を国際出願日とする特許出願であって、平成30年1月30日付で拒絶理由が通知され、同年5月2日に意見書の提出とともに手続補正がされ、同月29日付で拒絶理由が通知され、同年8月27日に意見書が提出され、同月29日付で拒絶査定がされた(謄本送達は、同月31日)ところ、同年12月26日に審判請求と同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がされたものである。

第2 本件補正について
1 本件補正前の平成30年5月2日に補正された特許請求の範囲は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
a)2重量%?20重量%の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤と、
b)1重量%?45重量%のアルキル硫酸塩界面活性剤と、
を含む、構造化プレミックス。
【請求項2】
前記非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤が、水添ヒマシ油である、請求項1に記載の構造化プレミックス。
【請求項3】
前記構造化プレミックスが、8重量%?29重量%の前記アルキル硫酸塩界面活性剤を含む、請求項1?2のいずれか一項に記載の構造化プレミックス。
【請求項4】
前記アルキル硫酸塩界面活性剤が、C8?C24アルキル硫酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1?3のいずれか一項に記載の構造化プレミックス。
【請求項5】
構造化プレミックスが、2°の角度及び206マイクロメートルの間隙を有する円錐及び平板幾何形状を伴う、Anton Paar MCR 302レオメータ(Anton Paar,Graz,Austria)を使用して、定常状態の剪断速度0.01s^(-1)、25℃で測定した際に、10?10,000Pa.sの粘度を有する、請求項1?4のいずれか一項に記載の構造化プレミックス。
【請求項6】
前記構造化プレミックスが、少なくとも1つの懸濁微粒子又は液滴を更に含む、請求項1?5のいずれか一項に記載の構造化プレミックス。
【請求項7】
請求項1?6のいずれか一項に記載の構造化プレミックスを含む、液体組成物。
【請求項8】
前記液体組成物が液体洗剤組成物であって、前記液体組成物の1?70重量%のレベルで存在する少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項7に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記液体組成物が液体洗剤組成物であって、20重量%未満の水を含む、請求項7又は8に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記液体組成物が、前記構造化プレミックスに含まれた前記懸濁微粒子又は液滴に加えて、微粒子又は液滴を更に含む、請求項7?9のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項11】
請求項1?6のいずれか一項に記載の構造化プレミックスの製造方法であって、
a)アルキル硫酸塩界面活性剤の水溶液中に非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を含むエマルジョンを、80℃?98℃の第1の温度で製造する工程と、
b)前記エマルジョンを冷却する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
液体組成物を構造化するための、請求項1?6のいずれか一項に記載の構造化プレミックスの使用。」
2 本件補正後の特許請求の範囲は以下のとおりのものである。
「【請求項1】
a)2重量%?20重量%の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤と、
b)8重量%?29重量%のアルキル硫酸塩界面活性剤と、
を含み、
前記非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤が、水添ヒマシ油である、構造化プレミックス。
【請求項2】
前記アルキル硫酸塩界面活性剤が、C8?C24アルキル硫酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の構造化プレミックス。
【請求項3】
構造化プレミックスが、2°の角度及び206マイクロメートルの間隙を有する円錐及び平板幾何形状を伴う、Anton Paar MCR 302レオメータ(Anton Paar,Graz,Austria)を使用して、定常状態の剪断速度0.01s^(-1)、25℃で測定した際に、10?10,000Pa.sの粘度を有する、請求項1又は2に記載の構造化プレミックス。
【請求項4】
前記構造化プレミックスが、少なくとも1つの懸濁微粒子又は液滴を更に含む、請求項1?3のいずれか一項に記載の構造化プレミックス。
【請求項5】
請求項1?4のいずれか一項に記載の構造化プレミックスを含む、液体組成物。
【請求項6】
前記液体組成物が液体洗剤組成物であって、前記液体組成物の1?70重量%のレベルで存在する少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項5に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記液体組成物が液体洗剤組成物であって、20重量%未満の水を含む、請求項5又は6に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記液体組成物が、前記構造化プレミックスに含まれた前記懸濁微粒子又は液滴に加えて、微粒子又は液滴を更に含む、請求項5?7のいずれか一項に記載の液体組成物。
【請求項9】
請求項1?4のいずれか一項に記載の構造化プレミックスの製造方法であって、
a)アルキル硫酸塩界面活性剤の水溶液中に非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を含むエマルジョンを、80℃?98℃の第1の温度で製造する工程と、
b)前記エマルジョンを冷却する工程と、
を含む、方法。
【請求項10】
液体組成物を構造化するための、請求項1?4のいずれか一項に記載の構造化プレミックスの使用。」
3 本件補正の目的について
(1)前記1における本件補正前の請求項3は、請求項1または2を引用するものであるが、そのうち請求項2を引用する発明が本件補正後の請求項1に係る発明に相当する。
(2)そうすると、本件補正後の請求項1?10は、本件補正前の請求項1?2を削除して、本件補正前の請求項2を引用する請求項3を本件補正後の請求項1とし、本件補正前の請求項4?12が引用する請求項を整理して本件補正後の請求項2?10としたものであるから、本件補正の目的は、特許法第17条の2第5項第1号に規定する請求項の削除を目的とするものといえる。
(3)したがって、本件補正には、特許法第17条の2第6項の規定は適用されないから、いわゆる独立特許要件を要するものではない。
(4)まとめ
よって、本件補正は適切になされたものである。

第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、本件補正前の請求項3に係る発明(本件補正後の請求項1に係る発明)は本件優先日前の平成26年6月12日に頒布された刊行物である米国特許出願公開第2014/0162930号(以下「引用例」という。)に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるという理由を含むものである。

第4 判断
1 本願発明について
(1)本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2の2に記載した請求項1の記載により特定される発明である。
(2)本願明細書の記載
本願明細書には、次の記載がある。
ア 「【背景技術】
【0002】
水添ヒマシ油等の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を含む構造化プレミックスは、液体組成物を構造化及び増粘するために使用されている。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤は、溶解させ、液体組成物中に直接分散させることができるが、構造化剤は、加工性の改善、及び構造化の有効性の改善の両方のために、通常は、最初にプレミックスに形成される。故に、一般的には、まず溶解された構造化剤を水中で乳化させ、次いで、結晶化させて、構造化プレミックスを形成する。次いで、結果として得られた構造化プレミックスを、液体組成物に添加する(例えば、国際公開第2011031940号を参照)。
【0003】
そのような構造化プレミックスは、高い粘度を有し、これは、特に、プレミックスが、高レベルの非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を有するときに、構造化されるべき液体組成物にプレミックスを配合するのが殊更困難になる。更に、典型的に必要とされる高レベルの水は、存在する水の量が制限されなければならない用途に対して、そのようなプレミックスをあまり望ましくないものにはしない。一例は、水溶性フィルム中に封入されている液体組成物を含む、単位用量物品である。そのような液体組成物は、典型的に、水溶性フィルムの完全性を確保するために、15重量%未満の水分レベルを有する。
【0004】
このため、低水分液体組成物における使用により好適な、より低い粘度を有する構造化プレミックスに対する必要性が依然として存在する。」
イ 「【0021】
本発明の構造化プレミックスは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤の乳化を改善し、かつ結果として得られた液滴を安定化させるために、乳化剤として添加されるアルキル硫酸塩界面活性剤を含む。アルキル硫酸塩界面活性剤は、好ましくは、界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c)を超える濃度で添加される。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤は、これらのミセルを含有する水相中に乳化され、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤の一部はミセルに移送され、そのミセルにより安定化された液滴を形成する。アルキル硫酸塩界面活性剤は、構造化プレミックスの1重量%?45重量%、好ましくは4重量%?37重量%、より好ましくは9重量%?29重量%、最も好ましくは8重量%?24重量%のレベルで、構造化プレミックス中に存在し得る。アルキル硫酸塩界面活性剤の重量パーセントは、界面活性剤アニオンの重量パーセントに基づいて測定される。すなわち、対イオンは除外される。構造化プレミックスの25重量%を超えるアニオン性界面活性剤を使用するときには、水に加えて、有機溶媒を使用して界面活性剤を希釈することが好ましい。」
ウ 「【実施例】
【0100】
本発明の水性構造化プレミックスAを、次の手順を使用して調製した。
【0101】
水添ヒマシ油を溶解して、90+/-5℃の第1の液体を形成した。12重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む第2の液体は、90+/-5℃で調製された。第1の液体を合わせ、11工程と0.6mmの内径とを含む分割再合流型静的ミキサー(Ehrfeld,Wendelsheim,Germany)に10Kg/時の流量で通過させて、90℃でエマルジョンを形成する連続方法によって、12:88の比の第2の液体に乳化した。
【0102】
0.5Kg/時の流体を、1.5mのコイル状0.318cm(1/8”)ステンレス製管、続いて、水浴中に懸架された80cmのコイル状0.64cm(1/4”)ステンレス製管を備える熱交換器に分岐し、これを使用して、45℃の温度まで2分間未満エマルジョンを冷却させた。次いで、3mのコイル状0.318cm(1/8”)ステンレス製管、続いて、水浴中に懸架された2.3mのコイル状0.953cm(3/8”)ステンレス製管と、を備えた滞留時ユニット(residence time unit)に流体を通し、このユニットを使用して、流体を18分間71℃の温度に維持することによって、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤の粒子を形成した。
【0103】
比較水性構造化プレミックスBは、以下の手順を使用して、バッチ方法で調製された。
【0104】
水中の6.7重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、及び3.34重量%モノエタノールアミンを含む液体を、90+/-5℃で調製した。バッチ方法で、粒子化された水添ヒマシ油をかき混ぜながら、ゆっくりと液体に4:96の比で分散させた。いったん溶解された水添ヒマシ油は、液体中に乳化される。次いで、エマルジョンを、40℃の温度に到達するまでゆっくりと1℃/分の速度で冷却した。次いで、水性構造化プレミックスを貯蔵タンクに移送し、室温になるまで冷却させた。
【0105】
結果として得られた水性構造化プレミックス:本発明のプレミックスA、及び比較プレミックスBは、以下の組成を有した。
【0106】
【表1】

【0107】
本発明のプレミックスは、アルキル硫酸塩に加え、12重量%の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を含んでいたが、依然として容易にポンプ圧送可能であり、かつ容易に処理され得る。」
エ 「【0108】
11.3重量%のMEAで中和したLASを含んだ、非構造化洗剤組成物を生成するために、16重量%のMEAで中和したLAS溶液を水と混合することによって、洗剤溶液を調製した。プレミックスAを洗剤組成物に配合し、IKAラボミキサーを使用して、下掲の構造化液体洗剤組成物を形成した。
【0109】
【表2】


オ 「【0110】
【表3】

^(1) 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の重量パーセントには、プレミックスを介して組成物に添加されたものの重量パーセントが含まれる。
^(2) 1個の-NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。
^(3) PEG-PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリ酢酸ビニル側鎖とを有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドのポリ酢酸ビニルに対する重量比は、約40対60であり、50エチレンオキシド単位当たり1グラフト点を超えない。」
カ 「【0111】
【表4】

^(1) 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の重量パーセントには、プレミックスを介して組成物に添加されたものの重量パーセントが含まれる。
^(2) 1個の-NH当たり20個のエトキシレート基を有する、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。」
2 引用例の記載事項
引用例には、次の記載がある。翻訳文として、特表2016-505367号公報の対応部分を併記する。
(1)「What is claimed is:
1. An aqueous structuring premix comprising water and a non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent in the form of threads, wherein at least about 15% by number of the threads have a length greater than about 10 microns.
・・・
7. The structuring premix according to claim 1, wherein the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent is hydrogenated castor oil.」
[【請求項1】
水、並びに、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤を糸状物質の形態で含み、数にして少なくとも15%の前記糸状物質が10μmを超える長さを有する、水性構造化プレミックス。
・・・
【請求項7】
前記非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が水添ヒマシ油である、請求項1に記載の構造化プレミックス。」
(2)「The Aqueous Structuring Premix:
[0020]The aqueous structuring premix of the present invention comprises water, which forms the balance of the structuring premix, after the weight percentage of all of the other ingredients are taken into account. Water is preferably present at a level of from 45% to 97%, more preferably from 55% to 93%, even more preferably from 65% to 87% by weight of the aqueous structuring premix.]
[【0021】
水性構造化プリミックス
本発明の水性構造化プレミックスは、全ての他の成分の重量%を考慮した後の、構造化プレミックスの残部を形成する水分を含む。水分は、好ましくは水性構造化プレミックスの45重量%?97重量%、より好ましくは55重量%?93重量%、更により好ましくは65重量%?87重量%の濃度で存在する。]
(3)「[0024] As mentioned earlier, the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent is preferably hydrogenated castor oil. Castor oil is a triglyceride vegetable oil, comprising predominately ricinoleic acid, but also oleic acid and linoleic acids. When hydrogenated, it becomes castor wax, otherwise known as hydrogenated castor oil. The hydrogenated castor oil may comprise at least 85% by weight of the castor oil of ricinoleic acid. Preferably, the hydrogenated castor oil comprises glyceryl tris-12-hydroxystearate (CAS 139-44-6). In a preferred embodiment, the hydrogenated castor oil comprises at least 85%, more preferably at least 95% by weight of the hydrogenated castor oil of glyceryl tris-12-hydroxystearate. However, the hydrogenated castor oil composition can also comprise other saturated, or unsaturated linear or branched esters. In a preferred embodiment, the hydrogenated castor oil has a melting point in the range of from 45℃ to 95℃, as measured using ASTM D3418 or ISO 11357. ・・・」
[【0025】上記のように、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤は、水添ヒマシ油であることが好ましい。ヒマシ油は、主にリシノール酸を含むが、オレイン酸及びリノール酸も含むトリグリセリド植物油である。水素化の際、これはヒマシワックス(当審注:硬化ヒマシ油ともいい、固体になる。)になるが、さもなければ水添ヒマシ油として既知である。水添ヒマシ油は、ヒマシ油の少なくとも85重量%のリシノール酸を含み得る。好ましくは、水添ヒマシ油は、グリセリルトリス-12-ヒドロキシステアレート(CAS 139-44-6)を含む。好ましい実施形態において、水添ヒマシ油は、水添ヒマシ油の少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも95重量%のグリセリルトリス-12-ヒドロキシステアレートを含む。しかしながら、水添ヒマシ油組成物は、他の飽和又は不飽和の直鎖又は分岐鎖エステルも含み得る。好ましい実施形態では、水添ヒマシ油はASTM D3418、又はISO 11357の方法で測定された場合、45℃?95℃の範囲にある融点を有する。・・・]
(4)「[0025] The aqueous structuring premix of the present invention preferably comprises a surfactant, added as an emulsifying agent in order to improve emulsification of the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent, and to stabilize the resultant droplets. When added, the surfactant is preferably added at a concentration above the critical micelle concentration (c.m.c) of the surfactant. When the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent is emulsified into an aqueous phase containing these micelles, a portion of the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent is transferred to the micelles, to form droplets that are stabilised by the micelles. The surfactant may be present in the aqueous structuring premix at a level of from 1% to 45%, preferably from 4% to 37%, more preferably from 9% to 29% of the aqueous structuring premix. The weight percentage of surfactant is measured, based on the weight percentage of the surfactant anion. That is, excluding the counterion. When using more than 25% by weight of the structuring premix of an anionic surfactant, it is preferred to thin the surfactant using an organic solvent, in addition to water.」
[【0026】
本発明の水性構造化プレミックスは、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の乳化を改善し、得られた液滴を安定化するために、乳化剤として加えられる界面活性剤を含むのが好ましい。添加される際、この界面活性剤は、界面活性剤の臨界ミセル濃度(c.m.c)より高い濃度で添加されるのが好ましい。非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が水相でこれらのミセルを含有して乳化される際、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤の一部がミセルに移動して、ミセルによって安定化される液滴を形成する。界面活性剤は、水性構造化プレミックス中に、水性構造化プレミックスの1%?45%、好ましくは4%?37%、より好ましくは9%?29%の量で存在する。界面活性剤の重量%は、界面活性剤アニオンの重量%を基準として測定されている。すなわち、対イオンを除外している。構造化プレミックスの25重量%を超えて、アニオン性界面活性剤を用いるときには、好ましくは、水に加えて有機溶媒を用いて、その界面活性剤を希薄にする必要がある。]
(5)「[0026] Detersive surfactants are preferred, i.e. a surfactant that provides detersive effect on hard surfaces or fabrics. For example, a detersive surfactant may provide greasy stain or soil/clay stain removal from treated surfaces or substrates. For instance, the detersive surfactant may provide fabric cleaning benefits during a washing cycle. The surfactant can be selected from the group comprising anionic, non-ionic, cationic and zwitterionic surfactants. Although any suitable surfactant can be used, an anionic surfactant is preferred. Preferably, the anionic surfactant is selected from the group consisting of: alkyl sulphonate, alkylbenzene sulphonate, alkyl sulphate, alkyl alkoxylated sulphate and mixtures thereof. Depending on the pH, either the acid form or salt form of the anionic surfactant can be used. However, while the acid form of the anionic surfactant can be used, the anionic surfactant is preferably neutralized, before the addition of the non-polymeric, crystalline, hydroxyl-containing structuring agent.」
[【0027】
洗浄性界面活性剤、すなわち、硬い表面や布地に対して洗浄効果をもたらす界面活性剤が好ましい。例えば、洗浄性界面活性剤は、処理表面や基材から油汚れや泥/粘土汚れを除去することができる。例えば、洗浄性界面活性剤は洗濯サイクルにおいて、布地洗浄効果を提供する。この界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、及び両性イオン性界面活性剤を含む群から選択され得る。任意の適した界面活性剤が使用され得るが、アニオン性界面活性剤が好ましい。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。pHによって、アニオン性界面活性剤の酸形態、又は塩の形態が使用され得る。しかし、アニオン性界面活性剤が酸の形態で使用され得る際には、非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤が添加される前に、そのアニオン性界面活性剤が中和されているほうが好ましい。」
(6)「[0027] Preferred sulphonate detersive surfactants include alkyl benzene sulphonate, preferably C_(10-13) alkyl benzene sulphonate. Suitable alkyl benzene sulphonate (LAS) is preferably obtained by sulphonating commercially available linear alkyl benzene (LAB); suitable LAB includes low 2-phenyl LAB, such as those supplied by Sasol under the tradename Isochem^((R)) or those supplied by Petresa under the tradename Petrelab^((R)), other suitable LAB include high 2-phenyl LAB, such as those supplied by Sasol under the tradename Hyblene^((R)). A preferred anionic detersive surfactant is alkyl benzene sulphonate that is obtained by DETAL catalyzed process, although other synthesis routes, such as HF, may also be suitable.」
[【0028】
好ましいスルホネート洗浄界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホネート、好ましくはC_(10?13)アルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。適したアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖状アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することによって得ることができ、好ましくはそのようにして得られ、適したLABとしては、Sasolより商標名Isochem(登録商標)で供給されているもの、又はPetresaより商標名Petrelab(登録商標)で供給されているものなどの、低級2-フェニルLABが挙げられ、Sasolより商標名Hyblene(登録商標)で供給されているものなどの、高級2-フェニルLABが挙げられる。適したアニオン性洗浄界面活性剤は、DETAL触媒プロセスによって得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路もまた適する場合がある。]
(7)「[0028] Preferred sulphate detersive surfactants include alkyl sulphate, preferably C_(8-18) alkyl sulphate, or predominantly C_(12) alkyl sulphate.
[0029] Another preferred sulphate detersive surfactant is alkyl alkoxylated sulphate, preferably alkyl ethoxylated sulphate, preferably a C_(8-18) alkyl alkoxylated sulphate, preferably a C_(8-18) alkyl ethoxylated sulphate, preferably the alkyl alkoxylated sulphate has an average degree of alkoxylation of from 0.5 to 20, preferably from 0.5 to 10, preferably the alkyl alkoxylated sulphate is a C_(8-18) alkyl ethoxylated sulphate having an average degree of ethoxylation of from 0.5 to 10, preferably from 0.5 to 7, more preferably from 0.5 to 5 and most preferably from 0.5 to 3.
[0030] The alkyl sulphate, alkyl alkoxylated sulphate and alkyl benzene sulphonates may be linear or branched, substituted or un-substituted.」
[【0029】
好ましいサルフェート洗浄界面活性剤には、アルキルサルフェート、好ましくはC_(8?18)アルキルサルフェート、又は主にC_(12)アルキルサルフェートが含まれる。
【0030】
他の好ましいサルフェート洗浄界面活性剤は、アルキルアルコキシル化サルフェート、好ましくはアルキルエトキシ化サルフェート、好ましくはC_(8?18)アルキルアルコキシル化サルフェート、好ましくはC_(8?18)アルキルエトキシ化サルフェートであり、好ましくはアルキルアルコキシル化サルフェートは、0.5?20、好ましくは0.5?10の平均アルコキシル化度を有し、好ましくはアルキルアルコキシル化サルフェートは、0.5?10、好ましくは0.5?7、より好ましくは0.5?5、及び最も好ましくは0.5?3の平均エトキシル化度を有するC_(8?18)アルキルエトキシ化サルフェートである。
【0031】
アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート及びアルキルベンゼンスルホネートは、直鎖又は分枝鎖であってもよく、置換又は非置換であってもよい。」
(8)「EXAMPLES
[0107] Aqueous structuring premix A, of the present invention, was prepared in a continuous process, using the following procedure:
[0108] Hydrogenated castor oil was melted to form a first liquid at 90+/-5 ℃. A second liquid, comprising 6.7 wt% linear alkylbenzene sulphonic acid (HLAS) and 3.34 wt% monoethanolamine, in water, was prepared at 90+/-5℃. The first liquid was emulsified into the second liquid at a ratio of 4:96, via a continuous process, by combining the liquids and passing through a split-and-recombine static mixer, consisting of 11 steps and an inner diameter of 0.6 mm (Ehrfeld, Wendelsheim, Germany) at a flow rate of 10 Kg/hr, to form an emulsion at 86℃. The resultant average emulsion size was 2.88 microns.
[0109] 1 Kg/hr of the fluid was diverted to a heat exchanger, which comprised 3 m of coiled 1/8" stainless steel tubing, followed by 2 m of coiled 1/4" stainless steel tubing suspending in a water bath, which was used to cool and maintain the emulsion at a temperature of 41℃. The fluid was then passed through a second heat exchanger, which comprised 6 m of coiled 1/8" stainless steel tubing, followed by 4.6 m of coiled 3/8" stainless steel tubing suspending in a water bath, which was used to heat up and maintain the fluid at a temperature of 71℃, in order to grow the long threads. The premix was then cooled to a temperature of 20℃, and stored.」
[【実施例】
【0104】
本発明の水性構造化プレミックスAは、以下の手順に従って、連続方法で調製された:
水添ヒマシ油を溶解して、90+/-5℃の第1の液体を作製した。第2の液体は、水中の6.7重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、及び3.34重量%モノエタノールアミンを含み、90+/-5℃で調製された。第1の液体は、液体を混合し、11の工程及び0.6mmの内径を含む分割再合流型静的ミキサー(Ehrfeld,Wendelsheim,Germany)に10Kg/hrの流量で通過させて、86℃のエマルジョンを生成する連続方法を介して、4:96の比の第2の液体へと乳化した。得られた平均エマルジョンサイズは、2.88μmであった。
【0105】
1Kg/hrの流体を、3m長のコイル状0.32cm(1/8”)ステンレス製管と、続く、エマルジョンを冷却して41℃の温度に維持するために使用された、水浴に浸された2m長のコイル状0.64cm(1/4”)ステンレス製管とからなる熱交換器に分岐した。次に、流体を、6m長のコイル状0.32cm(1/8”)ステンレス製管と、続く、液体を昇温して71℃の温度に維持するための、水浴に浸された4.6m長のコイル状0.38cm(3/8”)ステンレス製管とからなる第2の熱交換器に通した。次に、プレミックスは20℃の温度に冷却され、保管された。」
(9)「[0110] Comparative aqueous structuring premix B was prepared in a batch process, using the following procedure:
[0111] A liquid, comprising 6.7 wt % linear alkylbenzene sulphonic acid (HLAS) and 3.34 wt % monoethanolamine, in water, was prepared at 90+/-5℃. Particulated hydrogenated castor oil was slowly dispersed into the liquid at a ratio of 4:96, in a batch process under agitation. Once molten, the hydrogenated castor oil is emulsified into the liquid. The emulsion was then slowly cooled at a rate 1℃/min, until a temperature of 40℃ was reached. The aqueous structuring premix was then transferred to a storage tank and allowed to cool to room temperature.
[0112] The resultant aqueous structuring premixes: premix A of the invention, and comparative premix B, both had the following composition:


[【0106】
比較例の水性構造化プレミックスBは、以下の手順を使用して、バッチ方法で調製された:
水中の6.7重量%の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、及び3.34重量%モノエタノールアミンからなる液体が、90+/-5℃で調製された。バッチ方法で、粒子化された水添ヒマシ油をかき混ぜながら、ゆっくりと液体に4:96の比で分散した。溶解すると、水添ヒマシ油は液中で乳化する。それからエマルジョンを、40℃の温度に到達するまでゆっくりと1℃/分の速度で冷却した。それから水性構造化プレミックスを保存用タンクに移送し、室温になるまで冷却した。
【0107】
得られた水性構造化プレミックス:本発明のプレミックスA、及び比較例プレミックスBはいずれも以下の組成を有した。
【0108】
【表1】

]
(10)「[0113] However, because of the different making processes, premix A, of the invention, comprised a greater proportion of longer threads:


[【0109】
しかしながら、製造方法が異なるために、本発明のプレミックスAは、より長い糸状物質をより大きな割合で含む。
【0110】
【表2】

]
(11)「[0114] Liquid compositions, having the following composition, and comprising either aqueous structuring premix A of the invention, or comparative aqueous structuring premix B, were prepared:


[【0111】
以下の組成を有し、本発明の水性構造化プレミックスA、又は比較例水性構造化プレミックスBのいずれかを含む、液体組成物を調製した。
【0112】
【表3】

]
(12)「[0120] The following are non-limiting examples of aqueous structuring premixes of the present invention, which can be made using the process described herein:


[【0119】
以下は、本明細書に記載された方法を用いて作製され得る、本発明の水性構造化プレミックスの非限定的例である。
【0120】
【表5】

]
(13)「[0121] The aqueous structuring premixes, according to the invention, can be added to unstructured treatment compositions, to form structured treatment compositions, as described below:


[【0121】
本発明による水性構造化プレミックスを、以下に記述するような構造化された処理組成物を作製するために、構造化されていない処理組成物に添加してもよい。
【0122】
【表6】

^(1) 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸の重量%は、プレミックスを介して組成物に加えられたものの重量%を含む。
^(2) -NH当たり20個のエトキシレート基を備えた、分子量600g/molのポリエチレンイミンコア。
^(3) PEG-PVAグラフトコポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖と複数のポリ酢酸ビニル側鎖とを有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド主鎖の分子量は、約6000で、ポリエチレンオキシドとポリ酢酸ビニルの重量比は、約40対60であり、50エチレンオキシド単位当たり1グラフト点を超えない。
^(4 ) 本発明による水性構造化プレミックスからの。」
3 引用発明の認定
前記2(9)に摘記した「プレミックスA」は、次のとおりの発明(以下「引用発明」という。)である。
「水添ヒマシ油(HCO)4.0重量%、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)16.0重量%、モノエタノールアミンを3.2重量%、残部として水を含有する構造化プレミックス。」
4 対比、一致点及び相違点
(1)対比
ア 界面活性剤について
(ア)引用発明における「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)」は、前記2(4)及び(5)の記載からみて、酸形態のアニオン界面活性剤である。また、本件優先日前の技術常識からみて、これは引用発明における「モノエタノールアミン」により中和されて、塩の形態となっているといえる。
(イ)前記2(4)に摘記したように、「界面活性剤の重量%は、界面活性剤アニオンの重量%を基準として測定されている。すなわち、対イオンを除外している。」というのであるから、引用発明における界面活性剤の重量%は、16.0重量%であるといえる。
(ウ)一方、本願発明における界面活性剤の重量も、前記1(2)イに摘記した本願明細書の段落【0021】に、「アルキル硫酸塩界面活性剤の重量パーセントは、界面活性剤アニオンの重量パーセントに基づいて測定される。すなわち、対イオンは除外される。」とされているから、引用発明と同じ基準で、対比可能である。
(エ)引用発明における直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)16.0重量%は、本願発明におけるアルキル硫酸塩界面活性剤の「8重量%?29重量%」を充足するものである。
イ 水添ヒマシ油について
(ア)引用発明における水添ヒマシ油は、前記2(1)、(3)に摘記したとおり、「非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造剤」として添加されているものである。
(イ)また、引用発明における水添ヒマシ油の含有量である4.0重量%は、本願発明における「2重量%?20重量%」を充足するものである。
ウ 一致点
以上から、本願発明と引用発明とは次の点で一致する。
「a)2重量%?20重量%の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤と、
b’)8重量%?29重量%の界面活性剤と、
を含み、
前記非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤が、水添ヒマシ油である、構造化プレミックス。」
5 相違点についての検討
(1)相違点
本願発明と引用発明とは次の点(以下「相違点」という。)で相違する。
界面活性剤について、本願発明においては、「アルキル硫酸塩界面活性剤」が用いられてるのに対して、引用発明においては、「直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)塩」が用いられている点。
(2)前記2(5)に摘記したように、引用例には、構造化プリミックスに用いる界面活性剤として、洗浄性界面活性剤が望ましいと記載されており、このことは、前記2(13)に摘記したように、引用発明が、最終的に洗浄剤組成物に混合されるためであると解される。
(3)前記2(7)に摘記したように、好ましいサルフェート洗浄界面活性剤として、「アルキルサルフェート」すなわちアルキル硫酸塩のうち、特にC_(8?18)アルキルサルフェート、又は主にC_(12)アルキルサルフェートなどと、化学構造まで特定されている。そして、この引用例に接した当業者にとって、引用発明のアルキルベンゼンスルホン酸を、C_(8?18)アルキルサルフェート、又は主にC_(12)アルキルサルフェートに置き換えることに強い動機付けがあるといえる。
(4)以上から、本願発明は、引用発明に引用例に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
6 効果の予測性について
(1)請求人の主張
ア 平成30年12月26日提出の審判請求書において、「また、引用文献1は、構造化プレミックスが、アルキルサルフェートを含み、低粘度を有し、さらにこの結果として液体組成物への配合が容易になることを何ら示唆していません。」と主張しており、これは、本願発明が引用発明に比べて予測できない作用効果を奏する旨の主張と解されるので、以下検討する。
イ 上記主張は、構造化プリミックスの界面活性剤として、引用発明のドデシルベンゼンスルフォン酸塩に替えて、アルキルサルフェートを用いることにより、プレミックスの粘度が低くなるという予測を超える効果があるとの主張と解される。
ウ 本願明細書には、プレミックスの粘度についての実測値は記載されていない。なお、前記1(2)エに摘記した本件明細書の【表2】において、粘度(12.77Pa・s)の記載は存在するが、【表2】の「組成物C」は、プレミックスを2.04重量%しか含有しない組成物であって、この粘度から、プレミックスの粘度を推定することは困難である。
エ また、前記1(2)ウに摘記した本件明細書の段落【0107】には、「12重量%の非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤を含んでいたが、依然として容易にポンプ圧送可能」と記載されており、本願発明による作用効果は、ポンプ圧送可能な程度に粘度が低いという程度でしか認識できない。
オ 一方、前記2(8)に摘記したように、引用発明に係るプレミックスについても、熱交換器を通して冷却されるのであるから、ポンプ圧送可能である。
カ したがって、本願発明に係るプレミックスの粘度が、引用発明に係るプレミックスの粘度よりも低いということはできない。
キ したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
(2)プレミックス中の水添ヒマシ油の含有量
ア 上記1(2)ウの段落【0107】に摘記したように、本願発明のプレミックスが「12重量%」の水添ヒマシ油を含有すると強調しているから、引用発明における水添ヒマシ油が4重量%に比べ、水添ヒマシ油をより多く含有できると主張しているとも解される。
イ しかしながら、本願特許請求の範囲には、水添ヒマシ油は、「2重量%?20重量%」と特定されているので、仮に、界面活性剤として、アルキルベンゼンスルホン酸を用いるより、アルキル硫酸塩を用いる方が、水添ヒマシ油の含有量が多くなるとしても、発明の構成に基づく効果ではないから、効果の予測性がないということができない。
7 請求人の主張に対して
(1)請求人は、審判請求書の5.(2)において「引用文献1の段落[0027]に記載の構造化プレミックスに使用するアルキルサルフェート界面活性剤は、単に他の適した界面活性剤と共に列挙されているだけです。実際に、引用文献1の段落[0027]には、任意の適した界面活性剤を使用できることが記載されていますが、特にアニオン性界面活性剤には限定されていません。さらに、引用文献1の全ての実施例の水性構造化プレミックスでは、界面活性剤として、アルキルサルフェートではなく、アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)が用いられています。」と主張する。
(2)しかしながら、引用発明に係る構造化プリミックスに接した当業者が、前記2(7)に摘記した引用例の列挙された界面活性剤の記載のうち、「好ましいサルフェート洗浄界面活性剤には、アルキルサルフェート、好ましくはC_(8?18)アルキルサルフェート、又は主にC_(12)アルキルサルフェートが含まれる。」にしたがって、界面活性剤をアルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)に替えて、C_(12)アルキルサルフェートを採用することは、容易に行い得ることといわざるを得ない。また、阻害事由があるとも認められない。
よって、請求人の主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用例に記載された事項に基いて、本件優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-12-10 
結審通知日 2019-12-13 
審決日 2019-12-24 
出願番号 特願2016-572335(P2016-572335)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C11D)
P 1 8・ 571- Z (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 五十棲 毅青鹿 喜芳  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 牟田 博一
門前 浩一
発明の名称 非高分子、結晶質、及びヒドロキシル含有構造化剤と、アルキル硫酸塩とを含む構造化プレミックス、並びにこれらを含む組成物  
代理人 出口 智也  
代理人 中村 行孝  
代理人 小島 一真  
代理人 永井 浩之  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 朝倉 悟  
代理人 村田 卓久  

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