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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47L
管理番号 1362607
審判番号 不服2018-3209  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2020-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-06 
確定日 2020-05-19 
事件の表示 特願2015- 83213号「清掃具」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月16日出願公開,特開2015-202413号〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成27年 4月15日(パリ条約による優先権主張 2014年 4月16日,英国)の特許出願であって,平成27年 6月12日に翻訳文が提出され,平成28年 2月24日付けで拒絶理由を通知し(発送日:同年 2月29日),平成28年 6月21日に意見書,手続補正書が提出され,同年11月29日付けで拒絶理由を通知し(発送日:同年12月 5日),平成29年 5月 1日に意見書,手続補正書が提出されたが同年10月30日付けで拒絶査定(送達日:同年11月 6日)がなされ,これに対して,平成30年 3月 6日に本件拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出された。
そして,平成31年 2月13日付けで当審により拒絶理由を通知し(発送日:同年 2月18日),令和元年 8月15日に意見書,手続補正書が提出された。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし13に係る発明は,令和元年 8月15日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものと認められるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりである。
「【請求項1】
分離器と,空気流発生器と,利用の際に携行式真空掃除機を操作するためのハンドルと,第1のコネクタとを備えている前記携行式真空掃除機と,
清掃器具が前記分離器と流通するように前記第1のコネクタと係合する第2のコネクタを備えている前記清掃器具であって,前記第2のコネクタがキャッチを備えている,前記清掃器具と,
を備えている清掃具において,
前記キャッチが,前記第2のコネクタが前記第1のコネクタから接続解除されることが防止される第1の状態と,前記第2のコネクタが前記第1のコネクタから接続解除可能とされる第2の状態とを有しており,
前記第2のコネクタが,挿入部分を有しているオス型コネクタとされ,
前記第1のコネクタが,前記第2のコネクタの前記挿入部分を受容するように構成されている受容部分を有しているメス型コネクタとされ,
前記第2のコネクタの前記挿入部分が,円筒状に形成されており,前記第2のコネクタの係合軸線を規定している長手方向軸線を有していることを特徴とする清掃具。」

第3 当審の拒絶の理由
当審が通知した拒絶の理由のうち理由Aの概要は,以下のとおりである
A.本件出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用文献等 1?7
・備考
引用文献1を主引用例とする拒絶理由として,引用発明1(引用文献1に記載された発明)に引用文献3?引用文献6に記載された周知の事項を適用することにより,請求項1に係る発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。
引用文献2を主引用例とする拒絶理由として,引用発明2(引用文献2に記載された発明)に引用文献3?引用文献6に記載された周知の事項を適用することにより,請求項1に係る発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。
引用文献3を主引用例とする拒絶理由として,引用発明3(引用文献3に記載された発明)に引用文献1,引用文献2,引用文献7に記載された周知の事項を適用することにより,請求項1に係る発明の構成とすることは,当業者が適宜なし得たものである。

・請求項 2?13
・引用文献等 1?7
・備考
請求項2?9が特定する事項は,引用文献3?6に記載されている。
請求項10が特定する事項は,引用文献4に記載されている。
請求項11が特定する事項は,引用文献1?4,7に記載されている。
請求項12,13が特定する事項は,引用文献1,2,7に記載されている。

引 用 文 献 等 一 覧
1.米国特許出願公開第2012/0030896号明細書
2.特開2011-189132号公報
3.特開平8-516号公報
4.特開2003-116754号公報
5.米国特許第2444888号明細書
6.米国特許第2516883号明細書
7.特開2012-50565号公報

第4 引用文献
(1)当審の拒絶の理由に引用された引用文献3(特開平8-516号公報)には,図面と共に以下の事項が記載されている(下線部は当審が付した。以下同様。)。
・「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は,集塵室を設けた電気掃除機本体と,電気掃除機本体に接続されるホースと,このホースの他端に設けられたパイプ部材と,このパイプ部材に設けられた把手部とを備え,前記パイプ部材には,吸込口体に接続される接続管が着脱可能に接続される電気掃除機に関する。」
・「【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は,上記目的を達成するために,集塵室を設けた電気掃除機本体と,一端が前記電気掃除機本体に接続されるホースと,このホースの他端に設けられたパイプ部材と,このパイプ部材に設けられた把手部とを備え,前記パイプ部材には,吸込口体に接続される接続管が着脱可能に接続されて前記吸込口体に吸引された塵埃を前記接続管,パイプ部材およびホースを介して前記集塵室へ吸引する電気掃除機において,前記パイプ部材に係合部を設け,前記パイプ部材に前記接続管を接続した際,前記係合部に係合して該接続管をパイプ部材に固定するフックを接続管に設け,前記係合を解除するための解除操作部を前記接続管側に設けたことを特徴とする。
【0011】
【作用】この発明は,パイプ部材に接続管を接続した際,係合部に係合して該接続管をパイプ部材に固定するフックを接続管に設け,前記係合を解除するための解除操作部を接続管側に設けたものであるから,一方の手で把手部を持った掃除状態から他方の手で接続管の解除操作部を操作してフックの係合を解除させて接続管をパイプ体から取り外すことができる。すなわち,把手部を持っていた手を持ち直すことなく接続管をパイプ部材から取り外すことができる。」
・「【0012】
【実施例】以下,この発明に係わる電気掃除機の実施例を図面に基づいて説明する。
【0013】図1において,10は電気掃除機本体で,この本体10内には集塵室11を負圧にする電動送風機12が設けられ,集塵室11には集塵フィルタ13が設けられている。14は一端が電気掃除機本体10に着脱可能に接続されているホースで,このホース14の他端にはパイプ体20が設けられている。
【0014】パイプ体20の先端には,延長管(接続管)30が着脱可能に接続され,延長管30には他の延長管(接続管)31が着脱可能に接続されている。また,延長管31には吸込口体40に設けられた接続パイプ41が着脱可能に接続されている。そして,吸込口体40の下面に設けた開口(図示せず)と電気掃除機本体10の集塵フィルタ13とが接続パイプ41,延長管31,30,パイプ体20およびホース14を介して連通され,吸込口体40で吸引される塵埃を接続パイプ41,延長管31,30,パイプ体20およびホース14を介して集塵フィルタ12へ吸引するようになっている。
【0015】吸込口体40には,上記開口に臨ませて配置された回転ブラシ42とこの回転ブラシ42を回転させるブラシモータ43等が設けられている。ブラシモータ43は,ホース14,パイプ体20,延長管31,30および接続パイプ(接続管)41内に配設された電源供給線(図示せず)によって電気掃除機本体10から電力が供給されるようになっている。
【0016】パイプ体20は,ホース14の他端に設けたパイプ部材21と,パイプ部材21に設けられた把手部22と操作部23とを備えている。操作部23には電動送風機11のオン・オフスイッチ23aと電動送風機11のパワーを設定する設定スイッチ23bとブラシモータ43のオン・オフスイッチ23c等が設けられている。24はパイプ部材21の先端部の上部から把手部22にかけて取り付けられたカバー部材である。
【0017】パイプ体20の先端部の端面20Aには,図2および図3に示すように,後述するフック50のアーム部51が挿入される挿入孔25が設けられており,パイプ部材20の外周面であって且つ挿入孔25の後方位置には突起26が形成されている。また,端面20Aには後述するピン56,57が挿入されるピン孔27a,27bが設けられており,このピン孔27a,27bには図示しないメスコネクタが取り付けられている。メスコネクタには,パイプ部材21とカバー部材24との間に配線された電源供給線(図示せず)が接続されている。
【0018】延長管30は,筒状の延長管本体33と,この延長管本体33の上に設けられたカバー部材34とを備えている。延長管本体33の一端には小径の接続部35が連続形成され,接続部35の外径は延長管本体33の内径と同一に設定されているとともに,上述したパイプ部材21の内径と同一に設定されている。
【0019】延長管本体33とカバー34との間に且つ延長管本体33の後部には長手方向に沿って延びたフック50が設けらている。フック50は後方に延びたアーム部51を有しており,このアーム部51が図4に示す延長管30の後部の端面30Aに設けた孔35から突出している。」
【0020】このアーム部51の巾とパイプ体20の挿入孔25の巾とがほぼ同一に設定され,アーム部51の突出した長さは後述するピン56,57の長さより長く設定されている。
【0021】アーム部51の後端には爪51aが設けられ,フック50の先端側には解除操作部52が設けられており,解除操作部52がカバー34の上面34aに設けた孔36から突出している。すなわち,解除操作部52は延長管30側に設けられた状態となっている。
【0022】フック50の中間部には,軸部53が設けられており,この軸部53が延長管本体33の上面33aに形成された軸受部54に回動自在に係合され,フック50が軸部53を支点にして回動可能となっている。また,フック50の解除操作部52の下面には凹部52aが形成され,この凹部52aと延長管本体33の上面33aとの間にスプリング55が設けられている。このスプリング55は,フック50を軸部53を支点にして時計方向へ回動するように付勢している。33bはスプリング55を保持する突起である。
【0023】また,延長管本体33の端面33Aには,フック50の先端部51を挟む位置であってその先端部51と同方向に延びた2つのピン56,57が設けられている。ピン56,57は,延長管本体33とカバー34との間に配設された電源供給線(図示せず)に接続されている。
【0024】延長管31の先端部はパイプ体20の先端部と同様な構成であり,延長管32は延長管31と全く同様な構成となっており,接続パイプ41は延長管31の後部と同様な構成となっているので,それら説明は省略する。
【0025】延長管30をパイプ体20のパイプ部材21に接続するには,図2に示す延長管本体33の接続部35をパイプ部材21に挿入させるとともに,フック50のアーム部51をパイプ体20の端面20Aの挿入孔25に挿入させる。
【0026】アーム部51は,挿入孔25に挿入されると,アーム部51の巾と挿入孔25の巾とがほぼ同一に設定されていることにより,延長管30はパイプ部材21の周方向に対する位置が決定され,これによりピン56,57をピン孔27a,27bの位置に一致させる位置決め部材として機能する。そして,延長管30をさらに矢印方向に挿入させると,ピン56,57がピン孔27a,27bに挿入される。この際,アーム部51はピン56,57をピン孔27a,27bに挿入させるガイド部材として機能する。
【0027】延長管本体33の接続部35が図3に示すようにパイプ部材21に完全に挿入されると,フック50の爪51aがパイプ部材21の突起26に係合する。この係合により延長管30はパイプ体20から外れなくなる。」
・「【0029】延長管31や吸込口体40の接続パイプ41を接続する場合も上記と同様にして行うものである。
【0030】次に,図1の状態から,例えば,パイプ体20から延長管30を外す際には,先ず,一方の手は把手部22を持ったまま,すなわち掃除を行っていたときの状態のまま,他方の手で延長管30を持つ。そして,この他方の手でフック50の解除操作部52を押圧する。この押圧により,フック50が回動して爪51aの突起26への係合が解除され,解除操作部52を押圧したまま,延長管30を矢印方向へ引っ張ることにより該延長管30はパイプ体20から外れることとなる。
【0031】すなわち,一方の手は把手部22を持ったままでよく,掃除を行っていたときの状態から他方の手だけの操作で延長管30を外すことができる。他の延長管31や吸込口体40の接続パイプ41を外す場合も同様である。
【0032】このように,一方の手が把手部22を持って掃除を行っていたときの状態から片方の手の操作で延長管30,31や吸込口体40の接続パイプ41を外すことができるので,吸込口体40と他のアタッチメント(丸ブラシ,ノズル)とを交換する際に,その交換操作は早く,しかも簡単に行うことができる。
【0033】勿論,吸込口体40の接続パイプ41にパイプ体20を接続した場合も同様に取り外すことができる。」

ア.段落【0013】の下線部の記載事項と図1の図示内容からみて,電気掃除機本体10には,集塵室11を負圧にする電動送風機12と集塵フィルタ13が設けられていることが理解できる。
イ.段落【0016】,【0017】の下線部の記載内容と図1の図示内容からみて,電気掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20は,パイプ部材21と,パイプ部材21に設けられた把手部22と操作部23と,パイプ部材21に形成された突起26を備えていることが理解できる
ウ.上記アとイから,電気掃除機本体10には,集塵フィルタ13と,集塵室11を負圧にする電動送風機12が設けられ,電気掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20は,電気掃除機本体10を操作するための把持部22と操作部23と,パイプ部材21及びパイプ部材21に形成された突起26とを備えていることが理解できる。
エ.段落【0014】の下線部の記載内容と図2の図示内容からみて,吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30と集塵フィルタ13とが連通され,塵埃を吸引するようにパイプ部材21と係合する延長管30を備えている,吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30が理解できる。
オ.段落【0018】,【0019】,【0027】の下線部の記載事項と図2,図3の図示内容からみて,延長管30に備えた延長管本体33の接続部35がパイプ部材21に完全に挿入されると,延長管本体33の後部に設けられたフック50の爪51aがパイプ部材21の突起26に係合することが理解でき,言い換えると,延長管30に備えた延長管本体33の接続部35及び延長管本体33の後部に設けられたフック50がパイプ部材21及び突起26に係合することが理解できる。
カ.上記エとオから,吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30が集塵フィルタ13と連通され塵埃を吸引するように,パイプ部材21及び突起26と係合する延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50を備えている,前記吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30が理解でき,延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50がフック50を備えていることは当然である。
キ.段落【0027】の下線部と段落【0030】の下線部の記載事項と,図1及び図3の図示内容からみて,フック50が,延長管本体33の接続部35及びフック50がパイプ本体21及び突起26に係合している状態と,延長管本体33の接続部35及びフック50とパイプ部材21及び突起26との係合が解除される状態とを有していることが理解できる。
ク.段落【0025】の下線部の記載事項と図2の図示内容からみて,「延長管本体33の接続部35をパイプ部材21に挿入させる」から,延長管本体33の接続部35及びフック50がパイプ部材21に挿入される接続部35を有しているコネクタとされていること,及び,パイプ部材21及び突起26のパイプ部材21が延長管本体33の接続部35及びフック50の挿入される接続部35を受容するように構成されている部分を有しているコネクタとされていることが理解できる。
ケ.図2及び図4の図示内容からみて,延長管本体33の接続部35及びフック50の挿入される接続部35が円筒状に形成されていること,および,延長管本体33の接続部35及びフック50の係合軸線を規定する長手方向軸線を有していることが理解できる。
そうすると,引用文献3には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「集塵フィルタ13と,集塵室11を負圧にする電動送風機12とが設けられた電気掃除機本体10と,
電気掃除機本体10を操作するための把持部22と操作部23と,パイプ部材21及びパイプ部材21に形成された突起26とを備え,電気掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20と,
吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30が前記集塵フィルタ13と連通され塵埃を吸引するように,前記パイプ部材21及び突起26と係合する延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50を備えている,前記吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30であって,前記延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50がフック50を備えている,前記吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30と,
を備えている電気掃除機において,
前記フック50が,前記延長管本体33の接続部35及びフック50が前記パイプ部材21及び突起26に係合している状態と,前記延長管本体33の接続部35及びフック50と前記パイプ部材21及び突起26との係合が解除される状態とを有しており,
前記延長管本体33の接続部35及びフック50がパイプ部材21に挿入される接続部35を有しているコネクタとされ,
前記パイプ部材21及び突起26のパイプ部材21が,前記延長管本体33の接続部35及びフック50の前記挿入される接続部35を受容するように構成されている部分を有しているコネクタとされ,
前記延長管本体33の接続部35及びフック50の前記挿入される接続部35が,円筒状に形成されており,前記延長管本体33の接続部35及びフック50の係合軸線を規定する長手方向軸線を有している,
電気掃除機。」

(2)当審の拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2012/0030896号明細書)には,図面と共に以下の事項が記載されている({}内は当審による翻訳である。)。
・「TECHNICAL FIELD AND INDUSTRIAL APPLICABILITY OF THE INVENTION
【0002】
The present invention relates generally to the cleaning appliance field and, more particularly, to a combined hand-held and conversion vacuum cleaner.」
{技術分野及び発明の産業上利用可能性
【0002】 本発明は,一般的に洗浄機器に関し,より詳細には組み合わされた手持ち式真空掃除機に関するものである。}
・「【0022】Reference is now made to FIGS. 1 and 2 illustrating the hand-held and conversion vacuum cleaner 10 of the present invention. The vacuum cleaner 10 includes a housing 12 having a body 14 , an integral control handle 16 and two support members 18 , 20 . The main body 14 of the housing 12 defines a compartment 22 receiving a suction generator 24 . As illustrated, the suction generator 24 is positioned beneath the control handle 16 as well as above and between the support members 18 , 20 . This is done for balance and ease of operation as will be described in greater detail below.」
{ここで,本発明の手持ち式真空掃除機10を示す図1および図2を参照する。真空掃除機10は,本体14,一体型ハンドル16および2の支持部材18,20を有するハウジング12を含む。ハウジング12の本体部14には,吸引発生装置24を収容する室22を画定する。図示のように,吸引力発生装置24は,制御ハンドル16及び上記のような支持部材18,20間の下方に配置されている。以下でより詳細に説明するように,これは,動作のバランスとを容易にするために行われる。}
・「【0033】
In one embodiment of the present invention illustrated in FIG. 6 , the connector 122 provides for female mechanical connection. In this embodiment the vacuum cleaner 10 may be connected directly to the connector 122 of the cleaning attachment 100 . In order to do this, the nose tool 72 is removed and the male mechanical connector 44 is plugged directly into the mechanical and electrical connector 122 . The male mechanical connector 44 also includes an electric terminal 45 that is aligned with and engages the electric terminal 124 of the connector 122 . When the connectors 44 , 122 and terminals 45 , 124 are fully connected, the spring loaded detent 76 engages in a cooperating locking aperture (not shown) provided on the connector 122 . Accordingly, the vacuum cleaner 10 is securely locked to the cleaning attachment 100 .」
{【0033】 図6に示す本発明の一実施形態では,コネクタ122は,雌型の機械的接続を与える。この実施形態では,真空掃除機10は,清掃用アタッチメント100のコネクタ122に直接接続されてもよい。これを行うために,先端工具72を外して雄型機械コネクタ44が機械的および電気的コネクタ122に直接接続される。雄型機械コネクタ44も,位置合わせされた電気端子45を備え,コネクタ122の電気端子124と係合する。コネクタ44,122および端子45,124が完全に接続されると,バネ荷重戻り止め76がコネクタ122に設けられた協働ロック孔(図示せず)に係合する。従って,真空掃除機10は,清掃用アタッチメント100に堅固に固定される。}
・図6からみて,手持ち式真空掃除機10の本体14に雄型機械コネクタ44が設けられていることが理解できる。

(3)当審の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2011-189132号公報)には,図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
本発明は,真空掃除機の分野に関し,より具体的には,細長吸引ワンドによって床ツールに接続された可搬型吸引ユニットを一般的に含むタイプの「スティックバキューム」掃除機に関する。
・「【0029】
図1は,可搬型真空掃除機3,細長ワンド5,及び床ツール7の形態の可搬型吸引ユニットを含むスティックバキューム掃除機1を示している。
【0030】
図2を参照すると,可搬型真空掃除機3は,可搬型真空掃除機3の前部に位置決めされた吸引ノズル11を通って空気を吸い込むためにモータケーシング9の内側に配置された電動ファンを含む。吸引ノズル11を通して吸い込んだ汚れた空気は,サイクロン分離システム13を通ってファン発生吸引圧力の下でダクトを通され,そこで,ごみは,比較的清浄な空気が次に1つ又はそれよりも多くの微粒子フィルタ(見えない)を通じて周囲に排出されて戻される前に,空気から分離される。サイクロン分離システム13の内側の空気流から分離されたごみは,廃棄するためのごみ容器15に収集される。可搬型真空掃除機3は,バッテリパック17に収容されたマルチセル再充電可能バッテリで作動する。
【0031】
使用時には,可搬型真空掃除機3は,ハンドル19を用いて手で運ばれる。
【0032】
可搬型掃除機3は,比較的小型である。それにも関わらず,手における均衡した感覚を容易にするために,モータ及びバッテリパック17のようなより重い構成要素は,意図的にハンドル19の比較的の近くに位置し,ごみ容器15のような比較的軽い構成要素は,ハンドル19から更に離れて位置する。従って,可搬型掃除機3の質量の大部分は,可搬型掃除機3の後部の方向に分配される。
【0033】
細長ワンド5は,吸引ノズル11に接続され,床ツール7は,次に,ワンド5の下端に接続される。汚れた空気は,床ツール5の下部の吸引開口部を通して吸い込まれ,ワンド5を通じて吸引ノズル11に移動する。
【0034】
キャッチ21は,可搬型掃除機3をスティックバキューム掃除機1の一部としてではなく可搬型掃除機として使用することができるように,可搬型掃除機3からワンド5を切り離すために設けられる。キャッチ22はまた,可搬型掃除機3及びワンド5が,スティックバキューム掃除機1の一部として用いられるのではなく,代替的に何らかの他の吸引ツールと組み合わせて用いられて部屋などの上部コーナ内を清掃するために「遠くまで届く」可搬型真空掃除機を形成することができるように,ワンド5から床ツール7を切り離すために設けられる。」

(4)当審の拒絶の理由に引用された引用文献7(特開2012-50565号公報)には,図面と共に以下の事項が記載されている。
・「【技術分野】
【0001】
この発明は,ハンディタイプ電気掃除機に関する。」
・「【0024】
以下には,図面を参照して,この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は,この発明の一実施形態に係るハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。図2は,吸込具4のシャッター54を開いた状態におけるハンディタイプ電気掃除機1の右側面図である。
以下では,図1におけるハンディタイプ電気掃除機(以下では,単に「掃除機」という)1の姿勢を基準として,掃除機1の前後左右方向を規定する。図1において,左側が前側であり,右側が後側であり,奥側が左側であり,手前側が右側である。また,左右方向は,幅方向と同義である。
【0025】
掃除機1は,掃除機本体2と,掃除機本体2から前方へ延びる延長管3と,延長管3の先端に取り付けられた吸込具4とを有している。この掃除機1で掃除をする際,掃除機本体2を手で持って宙に浮かせて操作し,この状態で掃除機1全体を移動させる。
<掃除機本体>
図1を参照して,掃除機本体2は,中空の略円筒状をなす本体部5を備えている。本体部5は,その内部に収納される電動送風機6と,電動送風機6の前方に設けられた空間をなす集塵室7とを備えている。掃除機本体2では,重量物である電動送風機6を含む本体部5が重心となる。」
・「【0033】
そして,図1に示すように,延長管3が連結部材8に連結された状態では,本体部5(掃除機本体2)と,本体部5に内蔵された電動送風機6と,連結部材8と,連結部材8に連結された延長管3とは,本体部5の中心軸Jに沿って一直線状に延びている。延長管3は,本体部5の集塵室7の前方に位置している。
<吸込具>
吸込具4は,ハウジング50と,ベンド51とを含んでいる。」

第5 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,後者の「集塵フィルタ13」は塵埃を吸引した流れから分離するので前者の「分離器」に相当し,以下同様に,「電動送風機12」は「空気流発生器」に,「把持部22」は「ハンドル」に,「パイプ部材21及びパイプ部材21に形成された突起26」又は「パイプ部材21及び突起26」は「第1のコネクタ」に,「吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30」は「清掃器具」に,「連通され塵埃を吸引する」ことは「流通する」ことに,「延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50」又は「延長管本体33の接続部35及びフック50」は「第2のコネクタ」に,「フック50」は「キャッチ」に,「係合している状態」は「接続解除されることが防止される第1の状態」に,「係合が解除される状態」は「接続解除可能とされる第2の状態」に,「パイプ部材21に挿入される接続部35」又は「挿入される接続部35」は「挿入部分」に,それぞれ相当する。
後者の電気掃除機の本体10内には集塵室11を負圧にする電動送風機12が設けられ,パイプ体20には,電気掃除機本体10を操作するための把持部22と,パイプ部材21及びパイプ部材21に形成された突起26が設けられているから,後者の「電気掃除機本体10」及び「電気掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20」を合わせたものと前者の「携行式真空掃除機」とは「真空掃除機」において共通し,後者の「電気掃除機」は前者の「清掃具」に相当する。
また,「電気掃除機本体10を操作するため」には,「利用の際に」「操作」されることは明らかであるから,後者の「集塵フィルタ13と,集塵室11を負圧にする電動送風機12とが設けられた電気掃除機本体10と,電気掃除機本体10を操作するための把持部22と操作部23と,パイプ部材21及びパイプ部材21に形成された突起26とを備え,電気掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20」と前者の「分離器と,空気流発生器と,利用の際に携行式真空掃除機を操作するためのハンドルと,第1のコネクタとを備えている前記携行式真空掃除機」とは,「分離器と,空気流発生器と,利用の際に真空掃除機を操作するためのハンドルと,第1のコネクタとを備えている前記真空掃除機」において共通する。
後者の「吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30が前記集塵フィルタ13と連通され塵埃を吸引するように,前記パイプ部材21及び突起26と係合する延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50を備えている,前記吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30であって,前記延長管30の延長管本体33の接続部35及びフック50がフック50を備えている,前記吸込口体40,接続パイプ41,延長管31,30」は前者の「清掃器具が前記分離器と流通するように前記第1のコネクタと係合する第2のコネクタを備えている前記清掃器具であって,前記第2のコネクタがキャッチを備えている,前記清掃器具」に相当する。
後者の「を備えている電気掃除機」は前者の「を備えている清掃具」に相当する。
後者の「前記フック50が,前記延長管本体33の接続部35及びフック50が前記パイプ部材21及び突起26に係合している状態と,前記延長管本体33の接続部35及びフック50と前記パイプ部材21及び突起26との係合が解除される状態とを有して」いることは,前者の「前記キャッチが,前記第2のコネクタが前記第1のコネクタから接続解除されることが防止される第1の状態と,前記第2のコネクタが第1のコネクタから接続解除可能とされる第2の状態とを有して」いることに相当する。
後者の「前記延長管本体33の接続部35及びフック50がパイプ部材21に挿入される接続部35を有しているコネクタとされ,前記パイプ部材21及び突起26のパイプ部材21が,前記延長管本体33の接続部35及びフック50の前記挿入される接続部35を受容するように構成されている部分を有しているコネクタとされ」ることは,「前記第2のコネクタが,挿入部分を有しているオス型コネクタとされ,前記第1のコネクタが,前記第2のコネクタの前記挿入部分を受容するように構成されている受容部分を有しているメス型コネクタとされ」ることに相当する。
後者の「前記延長管本体33の接続部35及びフック50の前記挿入される接続部35が,円筒状に形成されており,前記延長管本体33の接続部35及びフック50の係合軸線を規定する長手方向軸線を有している」ことは,前者の「前記第2のコネクタの前記挿入部分が,円筒状に形成されており,前記第2のコネクタの係合軸線を規定する長手方向軸線を有している」ことに相当する。
そうすると,両者は,
「分離器と,空気流発生器と,利用の際に真空掃除機を操作するためのハンドルと,第1のコネクタとを備えている前記真空掃除機と,
清掃器具が前記分離器と流通するように前記第1のコネクタと係合する第2のコネクタを備えている前記清掃器具であって,前記第2のコネクタがキャッチを備えている,前記清掃器具と,
を備えている清掃具において,
前記キャッチが,前記第2のコネクタが前記第1のコネクタから接続解除されることが防止される第1の状態と,前記第2のコネクタが第1のコネクタから接続解除可能とされる第2の状態とを有しており,
前記第2のコネクタが,挿入部分を有しているオス型コネクタとされ,
前記第1のコネクタが,前記第2のコネクタの前記挿入部分を受容するように構成されている受容部分を有しているメス型コネクタとされ,
前記第2のコネクタの前記挿入部分が,円筒状に形成されており,前記第2のコネクタの係合軸線を規定する長手方向軸線を有している,清掃具。」
の点で一致し,以下の点で相違すると認められる。
<相違点>
真空掃除機について,本願発明は,「携行式真空掃除機」であるのに対して,引用発明は,集塵フィルタ13(分離器)と電動送風機12(空気流発生器)とが設けられた電気掃除機本体10と,電動掃除機本体10を操作するための把持部22(ハンドル)とパイプ部材21及び突起26(第1のコネクタ)とを備え,電動掃除機本体10にホース14を介して接続されたパイプ体20とからなり,携行式とはいえない点。

上記相違点について検討すると,携行式真空掃除機本体にハンドル及び第1のコネクタを設け,携行式真空掃除機本体に清掃器具を直接接続する構成は,例えば,引用文献1(米国特許出願公開第2012/0030896号明細書 ){the hand-held and conversionn vacuum cleaner 10のbody 14(本願発明の「携行式真空掃除機」に相当)にintegral control handle 16(本願発明の「ハンドル」に相当)とthe male mechanical connector 44(本願発明の「第1のコネクタ」に相当)を設け,the hand-held and conversionn vacuum cleaner 10のbody 14(本願発明の「携行式真空掃除機」に相当)にthe cleanning attachmenty 100(本願発明の「清掃器具」に相当)が直接接続されている点:特に,段落【0022】,【0033】,図6を参照のこと},引用文献2(特開2011-189132号公報){可搬型真空掃除機3(本願発明の「携行式真空掃除機」に相当)はハンドル19(本願発明の「ハンドル」に相当)とキャッチ21を有し,キャッチ21は,細長ワンド5,床ツール7からなるもの(本願発明の「清掃器具」に相当)を可搬型真空掃除機3から切り離すために設けられているから,可搬型真空掃除機3は,細長ワンド5,床ツール7からなるものを接続又は切り離すための接続部(本願発明の「第1のコネクタ」に相当)を有することは明らかである。:段落【0029】?【0034】,図1,図2を参照のこと},引用文献7(特開2012-50565号公報){ハンディタイプ電気掃除機1の掃除機本体2(本願発明の「携行式真空掃除機」に相当)にハンドル20(本願発明の「ハンドル」に相当)と連結部材8(本願発明の「第1のコネクタ」に相当)を設け,掃除機本体2の連結部材8に延長管3及び吸込具4からなるもの(本願発明の「清掃器具」に相当)を直接連結(接続)した点:段落【0024】,【0025】,【0033】,図1を参照のこと}に記載されており,周知の事項である。
そうすると,引用発明と上記周知の事項とは,電気掃除機を操作するためのハンドルを備えた部位に清掃器具を接続可能とする真空清掃機という点で共通し,掃除機の形状として携行式掃除機は一般的であるから,引用発明に上記周知の事項を適用し,引用発明の電気掃除機本体10を携行式真空掃除機本体とするとともに,当該携行式真空掃除機本体に把持部22(ハンドル)とパイプ部材21及び突起26(第1のコネクタ)を備えるものとして,相違点に係る本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
そして,本願発明の効果について検討しても,引用発明及び上記周知の事項から予測されるものから格別のものとはいえない。
したがって,本願発明は,引用発明,上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 請求人の主張について
請求人は,令和元年8月15日付け意見書にて,引用文献1を主引用例とした理由について反論している。
しかしながら,引用文献3を主引用例とした理由については,何ら反論しておらず,上記第5で述べたように本願発明は,引用発明(引用文献3に記載された発明)に上記周知の事項を適用することにより,当業者が容易になし得たものである。

第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,上記周知の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そうすると,本願は,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,拒絶されるべきである。
よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-12-11 
結審通知日 2019-12-16 
審決日 2020-01-06 
出願番号 特願2015-83213(P2015-83213)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 栗山 卓也  
特許庁審判長 柿崎 拓
特許庁審判官 藤井 昇
長馬 望
発明の名称 清掃具  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  

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