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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 G01N 審判 一部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 G01N 審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 G01N 審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載 G01N |
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管理番号 | 1363137 |
異議申立番号 | 異議2019-700398 |
総通号数 | 247 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2020-07-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-05-20 |
確定日 | 2020-04-13 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6425250号発明「体液中の固形腫瘍の新たなバイオマーカーの捕獲、特定及び使用」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6425250号の特許請求の範囲を令和1年12月10日付け訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1?24]、[25?41]及び45について訂正することを認める。 特許第6425250号の請求項1?41に係る特許を維持する。 特許第6425250号の請求項45に係る特許についての特許異議の申立を却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6425250号の請求項1?45に係る特許についての出願は、平成25年5月31日(パリ条約による優先権主張 2012年6月1日米国、2013年3月5日米国、2013年3月15日米国)に出願され、平成30年11月2日にその特許権の設定登録がされ、平成30年11月21日に特許公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和1年 5月20日付け 特許異議申立人所智恵子による請求項1?41及び45に係る特許に対する特許異議の申立て 令和1年 9月 4日付け 取消理由通知書 令和1年12月10日付け 特許権者による意見書及び訂正請求書 なお、令和1年12月10日付け訂正請求に対して、特許異議申立人は意見書を提出しなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和1年12月10日付け訂正請求書において特許権者が請求する訂正(以下、「本件訂正」という。)は、一群の請求項[1?24]、[25?41]及び45について訂正事項1?6の訂正を求める、次のとおりのものである。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「CAMLが、20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」と記載されているのを、「CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する」に訂正する。 請求項1を引用する請求項2?5、13?24も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項6に「CAMLが、20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」と記載されているのを、「CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する」に訂正する。 請求項6を引用する請求項7、13?24も同様に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8に「CAMLが、20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」と記載されているのを、「CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する」に訂正する。 請求項8を引用する請求項9、14?24も同様に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項10に「CAMLが、20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」と記載されているのを、「CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する」に訂正する。 請求項10を引用する請求項11、12、14?24も同様に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項25に「CAMLが、20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」と記載されているのを、「CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する」に訂正する。 請求項25を引用する請求項26?41も同様に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項45を削除する。 2 訂正の適否 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「CAML」の特徴である「14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体」を有することに「(a)」を、「20ミクロン?300ミクロンのサイズ」であることに「(c)」をそれぞれ付与し、さらに請求項42等に記載されている(b)、(d)及び(e)の特徴を有するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ 訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項6に記載された「CAML」の特徴である「14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体」を有することに「(a)」を、「20ミクロン?300ミクロンのサイズ」であることに「(c)」をそれぞれ付与し、さらに請求項42等に記載されている(b)、(d)及び(e)の特徴を有するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ウ 訂正事項3 訂正事項3は、訂正前の請求項8に記載された「CAML」の特徴である「14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体」を有することに「(a)」を、「20ミクロン?300ミクロンのサイズ」であることに「(c)」をそれぞれ付与し、さらに請求項42等に記載されている(b)、(d)及び(e)の特徴を有するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 エ 訂正事項4 訂正事項4は、訂正前の請求項10に記載された「CAML」の特徴である「14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体」を有することに「(a)」を、「20ミクロン?300ミクロンのサイズ」であることに「(c)」をそれぞれ付与し、さらに請求項42等に記載されている(b)、(d)及び(e)の特徴を有するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 オ 訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項25に記載された「CAML」の特徴である「14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体」を有することに「(a)」を、「20ミクロン?300ミクロンのサイズ」であることに「(c)」をそれぞれ付与し、さらに請求項42等に記載されている(b)、(d)及び(e)の特徴を有するものであることを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 カ 訂正事項6 訂正事項6は、訂正前の特許請求の範囲から請求項45を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とし、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。したがって、訂正後の請求項[1?24]、[25?41]及び45について訂正を認める。 第3 本件発明 本件訂正により訂正された請求項1?45に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1?45に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 癌に関して対象をスクリーニングするためのデータを収集する方法であって、対象由来の生物学的試料中で循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)を検出するステップを含み、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項2】 CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、前記対象が、癌腫又は固形腫瘍を潜在的に有すると特定される、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、前記対象が、癌腫又は固形腫瘍を有すると特定される、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 マンモグラフィー、PSA試験、又はCA125の検出が、CAMLの検出に先立っておこなわれる、請求項2又は3に記載の方法。 【請求項5】 前記生物学的試料中で循環腫瘍細胞(CTC)を検出するステップをさらに含む、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。 【請求項6】 対象において癌を診断するためのデータを収集する方法であって、対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、前記生物学的試料中におけるCAMLの検出は、前記対象が癌であることを示し、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項7】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、前記生物学的試料中におけるCAML及びCTCの検出は、前記対象が癌であることを示す、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 対象において癌の再発を検出するためのデータを収集する方法であって、癌に関してすでに治療した対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、癌の再発が検出され、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項9】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、CAML及びCTCが前記生物学的試料中で検出される場合、癌の再発が検出される、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 対象において癌の診断を確認するためのデータを収集する方法であって、癌であると診断された対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、前記生物学的試料中におけるCAMLの検出は、前記対象が癌であることを示し、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項11】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、CAML及びCTCが前記生物学的試料中におけるCAML及びCTCの検出は、前記対象が癌であることを示す、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 初期の癌診断が、マンモグラフィー、PSA試験又はCA125の検出を使用するスクリーニングによるものであった、請求項10又は11に記載の方法。 【請求項13】 前記対象が、癌を有する疑いがある、請求項1?7のいずれか一項に記載の方法。 【請求項14】 CAMLが、サイズ排除方法、赤血球溶解、FICOLL、マイクロ流体チップ、及びフローサイトメトリー、又はそれらの組合せからなる群から選択される1つ又は複数の手段を使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項15】 前記サイズ排除方法が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターの使用を含む、請求項14に記載の方法。 【請求項16】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 CAML及びCTCが、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターを使用して同時に検出される、請求項5、7、9又は11のいずれか一項に記載の方法。 【請求項18】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項17に記載の方法。 【請求項19】 CAMLが、物理的サイズベースの選別、流体力学的サイズベースの選別、グループ分け、捕捉、免疫捕獲、大細胞の濃縮、又はサイズに基づく小細胞の排除に基づいて、マイクロ流体チップを使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項20】 CAMLが、低圧精密濾過アッセイを使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項21】 前記癌が固形腫瘍である、請求項1?20のいずれか一項に記載の方法。 【請求項22】 前記癌が、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIVの癌である、請求項1?21のいずれか一項に記載の方法。 【請求項23】 前記癌が上皮細胞癌である、請求項1?22のいずれか一項に記載の方法。 【請求項24】 前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌又は大腸癌である、請求項1?23のいずれか一項に記載の方法。 【請求項25】 癌治療の効力をモニタリングするためのデータを収集する方法であって、(a)癌治療前に、対象由来の生物学的試料中でCAMLの数を決定するステップと、(b)(a)で決定したCAMLの前記数を、治療後の1つ又は複数の時点で同じ対象由来の類似する生物学的試料から決定したCAMLの数と比較するステップとを含み、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項26】 CAMLの前記数における変化が、治療効力の指標である、請求項25に記載の方法。 【請求項27】 前記変化が増加である、請求項26に記載の方法。 【請求項28】 前記変化が減少である、請求項26に記載の方法。 【請求項29】 前記癌治療が、化学療法又は放射線療法である、請求項25?28のいずれか一項に記載の方法。 【請求項30】 (c)(a)の前記生物学的試料中でCTCの数を決定するステップと、(d)(c)で決定したCTCの前記数を(b)の前記生物学的試料から決定したCTCの数と比較するステップとをさらに含む、請求項25?29のいずれか一項に記載の方法。 【請求項31】 CAMLの前記数が、サイズ排除方法、赤血球溶解、FICOLL、マイクロ流体チップ、及びフローサイトメトリー、又はそれらの組合せからなる群から選択される1つ又は複数の手段を使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項32】 前記サイズ排除方法が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターの使用を含む、請求項31に記載の方法。 【請求項33】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項32に記載の方法。 【請求項34】 CAML及びCTCの前記数が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターを使用して同時に決定される、請求項30に記載の方法。 【請求項35】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項34に記載の方法。 【請求項36】 CAMLの前記数が、物理的サイズベースの選別、流体力学的サイズベースの選別、グループ分け、捕捉、免疫捕獲、大細胞の濃縮、又はサイズに基づく小細胞の排除に基づいて、マイクロ流体チップを使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項37】 CAMLの前記数が、低圧精密濾過アッセイを使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項38】 前記癌が固形腫瘍である、請求項25?37のいずれか一項に記載の方法。 【請求項39】 前記癌が、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIVの癌である、請求項25?38のいずれか一項に記載の方法。 【請求項40】 前記癌が上皮細胞癌である、請求項25?39のいずれか一項に記載の方法。 【請求項41】 前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌又は大腸癌である、請求項25?40のいずれか一項に記載の方法。 【請求項42】 以下の特徴:(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する単離循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)。 【請求項43】 以下のさらなる特徴:(f)ほぼ均一な分布を有する拡散性EpCAMの発現、(g)原発性腫瘍の1つ又は複数のマーカーの発現、(h)単球CD11C及びCD14マーカーの発現、及び(i)内皮CD146、CD202b及びCD31マーカーの発現、のうちの1つ又は複数を有する、請求項42に記載の単離循環癌関連マクロファージ様細胞。 【請求項44】 前記さらなる特徴のそれぞれを有する、請求項43に記載の単離循環癌関連マクロファージ様細胞。 【請求項45】 (削除)」 (以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」等という。これらをまとめて「本件発明」ということもある。) 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?41及び45に係る特許に対して、当審が令和1年9月4日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 (1)取消理由1(サポート要件) 本件特許は、特許請求の範囲の請求項1?41及び45の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)取消理由2(実施可能要件) 本件特許は、請求項1?41及び45について発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 (3)取消理由3(新規性) 請求項1?3、5?11、13、21?30及び38?41に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (4)取消理由4(進歩性) 請求項4、12、14?20及び31?37に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された下記甲1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (5)引用文献等 甲1:Clinical Cancer Research, vol.10,pp.6897-6904 (2004) 甲4:特表2011-510304号公報 甲5:特表2013-537469号公報 甲6:特表2012-522217号公報 2 当審の判断 上記取消理由についての当審の判断は次のとおりである。 (1) 取消理由1(サポート要件)及び取消理由2(実施可能要件)について ア 取消理由の具体的内容 訂正前の請求項1?41及び45において、「CAML」は「20ミクロン?300ミクロンのサイズであり、14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体を有する」(訂正後請求項1の特徴(c)及び(a)に該当する。)ものであると特定されている。 それに対して、発明の詳細な説明には、本発明は、固形腫瘍の検出、並びに化学療法及び放射線療法の治療の効力のモニタリングに使用することができる、体液中のバイオマーカーを提供するという課題をCAMLにより解決したものであることが記載され、実施例において各種癌患者の体液から見出されたCAMLは、いずれも、上記特徴(a)及び(c)のみならず、(b)拡散し、或いは、空胞及び/又は摂取材料に付随する、サイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型という特徴を併せ持つものである。そして、上記特徴(a)及び(c)さえ有する細胞であれば、上記特徴(a)?(e)の全てを兼ね備えた細胞と同様に癌のバイオマーカーとして使用できることについて、発明の詳細な説明には何ら記載がないし、それが本願出願日当時の技術常識であるとも認められない。 したがって、訂正前の請求項1?41及び45に係る発明は、発明の詳細な説明に当業者が課題を解決できることを認識できるように記載された範囲を超えるものである。また、発明の詳細な説明は、訂正前の請求項1?41及び45に係る発明について当業者が実施することができるように記載されたものということはできない。 イ 判断 上記第2及び第3のとおり、本件訂正により、請求項1?41においてCAMLが上記特徴(a)?(e)の全てを兼ね備えたものであることが特定された。これにより、請求項1?41に記載された発明は、実施例の結果から当業者が課題を解決できると認識できる範囲のものとなった。また、請求項45は削除された。 したがって、取消理由1及び2は理由がない。 (2)取消理由3(新規性)について ア 甲1の記載事項 本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布され、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲1には、次の事項が記載されている。 (ア) 「目的: 本研究の目的は、CellSearchシステムの正確度、精度、及び直線性の測定と、健常者、非悪性疾患患者及び様々な転移性癌患者由来の血液7.5mLあたりの循環腫瘍細胞(CTC)数の評価である。」(第6897頁左欄第2?7行) (イ) 「結論: CellSearchシステムは多くの施設において標準化することが可能であり、CTCの臨床有用性立証に利用できる可能性がある。CTCは、健常者や非悪性疾患患者では極めて少数であるが、様々な転移性癌患者からは広範囲の分布で存在する。」(第6897頁右欄第1?6行) (ウ) 「CTCは癌の原発巣のクローンに由来することから、CTCは癌の進行段階の全てのステージにおいて癌組織の量を反映する可能性を示唆している。したがって、CTCは、癌の早期診断や予後判定に使用出来る可能性があるだけでなく、癌の進行に伴う遺伝子及び免疫表現型の変化を明らかにし、それにより癌の標的療法を導き出すことに大きな役割を果たすかもしれない。」(第6897頁右欄第15?21行) (エ) 「血液中の上皮細胞の単離における試料調製法 CellSearchシステム(VeridexLLC)は、CellPrepシステム、CellSearch Epithelial Cell KitとCellSpotter解析装置から構成されている。CellPrepシステムは、半自動の試料調製システムであり、CellSearch Epithelial Cell Kitは、免疫磁気的に上皮細胞を濃縮するための上皮細胞特異的な抗EpCAM抗体が修飾された磁性粒子、サイトケラチン8、18、19に結合する2種のPhycoerythrin結合抗体、Allophycocyaninに結合した抗CD45抗体、・・・から構成される。」(第6898頁左欄第43?54行) (オ) 「転移性癌患者における循環腫瘍細胞 様々な転移性癌の患者964名から得られた2,183の血液試料の中からCTCの計数を行った。核の存在、サイトケラチンの発現、細胞形態及びCD45発現の欠如を、CTCの必須の特徴とした。形態学的には、CTCは、癌患者内及び癌患者間で幅広い不均一性があった。図4Aは、それぞれ異なる患者由来のCTCの画像集であり、円形ないし楕円形であり、欠損していない核を有し、細胞質全体でサイトケラチンの染色が見られたCTCを示す。細胞のサイズは、同じ患者由来のCTCであっても4μmから30μmの広い幅をもって変化していた。それほどの頻度ではないが、二個の細胞が凝集したもの、クラスター化したもの、細長い細胞を含む不規則な形のもの、そして多核化したCTCが存在した(図4B)。・・・核の大きさと細胞質に対する核の比は幅広く変化しているため、細胞の同定には使用しなかった。」(第6900頁右欄第13行?第6901頁左欄第14行) イ 判断 上記ア(ア)?(オ)によれば、甲1には、次のとおりの発明が記載されていると認められる。 「癌の早期診断や予後判定をするためのデータを収集する方法であって、対象由来の血液中で循環腫瘍細胞(CTC)を検出するステップを含み、 CTCが、円形ないし楕円形であり、欠損していない核を有し、細胞質全体でサイトケラチンの染色が見られ、細胞のサイズは同一対象由来であっても4μmから30μmの広い幅で変化し、二個の細胞が凝集したもの、クラスター化したもの、細長い細胞を含む不規則な形のもの、または多核化したものである場合もあり、核の大きさと細胞質に対する核の比は幅広く変化しており、サイトケラチン8、18、19を発現し、CD45の発現を欠如するものである、方法。」(以下、「引用発明」という。) 引用発明の「癌の早期診断や予後判定」及び「血液」は、それぞれ本件発明1の「癌に関して」及び「生物学的試料」に相当し、引用発明の「循環腫瘍細胞(CTC)」と本件発明1の「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」はいずれも循環細胞という点で共通するから、両者は、「癌に関して対象をスクリーニングするためのデータを収集する方法であって、対象由来の生物学的試料中で循環細胞を検出するステップを含む方法。」という点で一致し、循環細胞が、本件発明1では「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」であるのに対して、引用発明では「循環腫瘍細胞(CTC)」である点で相違する。そして、本件発明1の「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」は「(e)CD45陽性表現型を有する」のに対して、引用発明の「循環腫瘍細胞(CTC)」は「CD45の発現を欠如する」のであるから、両者が別異の細胞であることは明らかである。 したがって、本件発明1は引用発明と同一であるということはできない。また、本件発明1と同様に「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」を構成要件に含む本件発明2、3、5?11、13、21?30及び38?41も、甲1に記載された発明であるとはいうことはできない。以上により、取消理由3は理由がない。 (3)取消理由4(進歩性)について 上記(2)のとおり、本件発明のCAMLと甲1に記載されたCTCとは別異の細胞である。また、甲1に記載された発明において、CD45の発現を欠如するCTCに換えてCD45陽性表現型のCAMLを用いる動機付けはないから、甲1に記載された発明に癌スクリーニングのための周知技術(例えば、甲4)や細胞の検出における周知技術(例えば、甲4?6)を組み合わせたとしても、本件発明4、12、14?20及び31?37を容易に発明をすることができたということはできない。 したがって、取消理由4は理由がない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由 訂正前の請求項1?41及び45に係る特許に対して、異議申立人が申し立てたが、当審が取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次の通りである。 (1)特許異議申立理由1(明確性) 請求項1?41及び45に記載された「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」とは、一般的な技術用語ではなく、本件特許出願人による造語であって、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、その意味内容が不明確である。 したがって、本件特許は、特許請求の範囲の請求項1?41及び45の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)特許異議申立理由2(実施可能要件)及び3(サポート要件) 本件特許は、次のア及びイの点で、請求項1?41及び45について発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、また、請求項1?41及び45の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり、取り消されるべきものである。 ア 請求項1?41及び45に記載された「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」とは、上記(1)のとおり、その意味内容が不明確であって、当業者といえども、発明の詳細な説明の記載に基づいても生物学的試料の中からどの細胞が「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」であるかを特定することができず、それを検出することも、その数を決定することもできないから、請求項1?41及び45に記載された発明を実施することができない。 イ 発明の詳細な説明においては、CAML以外の細胞(CTCなど)が含まれないようにCAMLのみを検出することにより、CAMLと癌の罹患との間に高い相関関係が見出されることが実証されている。 それに対して、請求項1?41に記載された「循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)」は、上記(1)のとおり、その意味内容が不明確であって、CTC等も含むとも解されるから、上記請求項に係る発明は、CTC等の他の細胞と区別してCAMLを検出する方法であるとはいえず、発明の詳細な説明に開示された内容を超えている。 2 当審の判断 上記1の特許異議申立理由についての当審の判断は次のとおりである。 (1)特許異議申立理由1(明確性)について 上記第2及び第3のとおり、本件訂正により、請求項1?41においてCAMLが上記特徴(a)?(e)の全てを兼ね備えたものであることが特定された。これにより、請求項の記載からCAMLがどのようなものであるかが明確となり、また、発明の詳細な説明にもそれと矛盾する記載はないのだから、請求項1?41において特許を受けようとする発明は明確である。 したがって、特許異議申立理由1は理由がない。 (2)特許異議申立理由2(実施可能要件)及び3(サポート要件)について 上記第2及び第3のとおり、本件訂正により、請求項1?41においてCAMLが特徴(a)?(e)の全てを兼ね備えたものであることが特定されて明確となり、(e)の特徴を持たないCTCやCEDと区別できるものとなった。そして、そのようなCAMLを用いる請求項1?41に記載された発明は、実施例を伴う発明の詳細な説明の開示により裏付けられており、発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に記載されたものである。 したがって、特許異議申立理由2及び3の上記ア及びイは理由がない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、請求項1?41に係る特許を取り消すことはできない。 また、請求項45に係る特許は本件訂正により削除され、請求項45に係る特許異議申立てはその対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 他に請求項1?41に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 癌に関して対象をスクリーニングするためのデータを収集する方法であって、対象由来の生物学的試料中で循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)を検出するステップを含み、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項2】 CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、前記対象が、癌腫又は固形腫瘍を潜在的に有すると特定される、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、前記対象が、癌腫又は固形腫瘍を有すると特定される、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 マンモグラフィー、PSA試験、又はCA125の検出が、CAMLの検出に先立っておこなわれる、請求項2又は3に記載の方法。 【請求項5】 前記生物学的試料中で循環腫瘍細胞(CTC)を検出するステップをさらに含む、請求項1?4のいずれか一項に記載の方法。 【請求項6】 対象において癌を診断するためのデータを収集する方法であって、対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、前記生物学的試料中におけるCAMLの検出は、前記対象が癌であることを示し、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項7】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、前記生物学的試料中におけるCAML及びCTCの検出は、前記対象が癌であることを示す、請求項6に記載の方法。 【請求項8】 対象において癌の再発を検出するためのデータを収集する方法であって、癌に関してすでに治療した対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、CAMLが前記生物学的試料中で検出される場合、癌の再発が検出され、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項9】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、CAML及びCTCが前記生物学的試料中で検出される場合、癌の再発が検出される、請求項8に記載の方法。 【請求項10】 対象において癌の診断を確認するためのデータを収集する方法であって、癌であると診断された対象由来の生物学的試料中でCAMLを検出するステップを含み、前記生物学的試料中におけるCAMLの検出は、前記対象が癌であることを示し、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項11】 前記生物学的試料中でCTCを検出するステップをさらに含み、CAML及びCTCが前記生物学的試料中におけるCAML及びCTCの検出は、前記対象が癌であることを示す、請求項10に記載の方法。 【請求項12】 初期の癌診断が、マンモグラフィー、PSA試験又はCA125の検出を使用するスクリーニングによるものであった、請求項10又は11に記載の方法。 【請求項13】 前記対象が、癌を有する疑いがある、請求項1?7のいずれか一項に記載の方法。 【請求項14】 CAMLが、サイズ排除方法、赤血球溶解、FICOLL、マイクロ流体チップ、及びフローサイトメトリー、又はそれらの組合せからなる群から選択される1つ又は複数の手段を使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項15】 前記サイズ排除方法が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターの使用を含む、請求項14に記載の方法。 【請求項16】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 CAML及びCTCが、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターを使用して同時に検出される、請求項5、7、9又は11のいずれか一項に記載の方法。 【請求項18】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項17に記載の方法。 【請求項19】 CAMLが、物理的サイズベースの選別、流体力学的サイズベースの選別、グループ分け、捕捉、免疫捕獲、大細胞の濃縮、又はサイズに基づく小細胞の排除に基づいて、マイクロ流体チップを使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項20】 CAMLが、低圧精密濾過アッセイを使用して検出される、請求項1?13のいずれか一項に記載の方法。 【請求項21】 前記癌が固形腫瘍である、請求項1?20のいずれか一項に記載の方法。 【請求項22】 前記癌が、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIVの癌である、請求項1?21のいずれか一項に記載の方法。 【請求項23】 前記癌が上皮細胞癌である、請求項1?22のいずれか一項に記載の方法。 【請求項24】 前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌又は大腸癌である、請求項1?23のいずれか一項に記載の方法。 【請求項25】 癌治療の効力をモニタリングするためのデータを収集する方法であって、(a)癌治療前に、対象由来の生物学的試料中でCAMLの数を決定するステップと、(b)(a)で決定したCAMLの前記数を、治療後の1つ又は複数の時点で同じ対象由来の類似する生物学的試料から決定したCAMLの数と比較するステップとを含み、 前記生物学的試料が、末梢血、血液及びリンパ節からなる群から選択される1つ又は複数であり、 CAMLが、(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する、方法。 【請求項26】 CAMLの前記数における変化が、治療効力の指標である、請求項25に記載の方法。 【請求項27】 前記変化が増加である、請求項26に記載の方法。 【請求項28】 前記変化が減少である、請求項26に記載の方法。 【請求項29】 前記癌治療が、化学療法又は放射線療法である、請求項25?28のいずれか一項に記載の方法。 【請求項30】 (c)(a)の前記生物学的試料中でCTCの数を決定するステップと、(d)(c)で決定したCTCの前記数を(b)の前記生物学的試料から決定したCTCの数と比較するステップとをさらに含む、請求項25?29のいずれか一項に記載の方法。 【請求項31】 CAMLの前記数が、サイズ排除方法、赤血球溶解、FICOLL、マイクロ流体チップ、及びフローサイトメトリー、又はそれらの組合せからなる群から選択される1つ又は複数の手段を使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項32】 前記サイズ排除方法が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターの使用を含む、請求項31に記載の方法。 【請求項33】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項32に記載の方法。 【請求項34】 CAML及びCTCの前記数が、7?8ミクロンの孔サイズを有するマイクロフィルターを使用して同時に決定される、請求項30に記載の方法。 【請求項35】 前記マイクロフィルターが、精密孔配置及び均一な孔分布を有する、請求項34に記載の方法。 【請求項36】 CAMLの前記数が、物理的サイズベースの選別、流体力学的サイズベースの選別、グループ分け、捕捉、免疫捕獲、大細胞の濃縮、又はサイズに基づく小細胞の排除に基づいて、マイクロ流体チップを使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項37】 CAMLの前記数が、低圧精密濾過アッセイを使用して決定される、請求項25?30のいずれか一項に記載の方法。 【請求項38】 前記癌が固形腫瘍である、請求項25?37のいずれか一項に記載の方法。 【請求項39】 前記癌が、ステージI、ステージII、ステージIII又はステージIVの癌である、請求項25?38のいずれか一項に記載の方法。 【請求項40】 前記癌が上皮細胞癌である、請求項25?39のいずれか一項に記載の方法。 【請求項41】 前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、膵臓癌又は大腸癌である、請求項25?40のいずれか一項に記載の方法。 【請求項42】 以下の特徴:(a)14?64μmのサイズを有する大異型核、複数の個々の核、又は直径14?64μmのサイズを有する大きな融合核小体、(b)拡散し、又は空胞及び/若しくは摂取材料に付随するサイトケラチン8、18及び19のうちの1つ又は複数の発現、(c)20ミクロン?300ミクロンの範囲の細胞サイズ、(d)紡錘形、オタマジャクシ形、円形、楕円形及び無定形からなる群から選択される形態学的形状、及び(e)CD45陽性表現型を有する単離循環癌関連マクロファージ様細胞(CAML)。 【請求項43】 以下のさらなる特徴:(f)ほぼ均一な分布を有する拡散性EpCAMの発現、(g)原発性腫瘍の1つ又は複数のマーカーの発現、(h)単球CD11C及びCD14マーカーの発現、及び(i)内皮CD146、CD202b及びCD31マーカーの発現、のうちの1つ又は複数を有する、請求項42に記載の単離循環癌関連マクロファージ様細胞。 【請求項44】 前記さらなる特徴のそれぞれを有する、請求項43に記載の単離循環癌関連マクロファージ様細胞。 【請求項45】(削除) |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2020-03-31 |
出願番号 | 特願2015-515239(P2015-515239) |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YAA
(G01N)
P 1 652・ 536- YAA (G01N) P 1 652・ 113- YAA (G01N) P 1 652・ 537- YAA (G01N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大瀧 真理 |
特許庁審判長 |
田村 聖子 |
特許庁審判官 |
長井 啓子 小暮 道明 |
登録日 | 2018-11-02 |
登録番号 | 特許第6425250号(P6425250) |
権利者 | クリエイティブ マイクロテック インコーポレイテッド |
発明の名称 | 体液中の固形腫瘍の新たなバイオマーカーの捕獲、特定及び使用 |
代理人 | 望月 祐子 |
代理人 | 木元 克輔 |
代理人 | 酒巻 順一郎 |
代理人 | 酒巻 順一郎 |
代理人 | 木元 克輔 |
代理人 | 望月 祐子 |
代理人 | 阿部 寛 |
代理人 | 阿部 寛 |