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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41F
管理番号 1363147
異議申立番号 異議2018-700127  
総通号数 247 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2020-07-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-02-16 
確定日 2020-04-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6181556号発明「デコレータ構成部品の識別及びその選択調整のための方法及びシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6181556号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕、〔17-25〕、〔26、27〕、28、29について訂正することを認める。 特許第6181556号の請求項1ないし14、16ないし19及び21ないし29に係る特許を維持する。 特許第6181556号の請求項15及び20に係る特許についての特許異議の申立を却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6181556号(以下「本件特許」という。)に係る特許出願は、2011年10月19日(パリ条約に基づく優先権主張 2010年10月19日(以下「優先日」という。) (US)アメリカ合衆国)の国際出願であって、平成29年7月28日にその特許権の設定登録がされ、同年8月16日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後の経緯は以下のとおりである。

平成30年 2月16日 特許異議申立人アプライド ヴィジョン コ
ーポレーション(以下「申立人」という。)
による特許異議申立書の提出
同年 3月14日 上申書の提出(申立人)
同年 4月18日付け 審尋(申立人に対して)
同年 7月19日 回答書の提出(申立人)
同年 8月13日 上申書の提出(申立人)
同年10月18日付け 取消理由通知
平成31年 1月21日 意見書及び訂正請求書の提出
同年 4月26日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和 1年 8月 8日 意見書及び訂正請求書の提出
同年 9月30日付け 訂正拒絶理由通知
同年 9月30日付け 審尋(申立人に対して)
同年11月27日 意見書及び手続補正書の提出
同年12月 5日 上申書の提出(特許権者)
同年12月 5日 上申書の提出(特許権者)

なお、申立人は意見書の提出を希望しており、当審は令和1年8月8日提出の訂正請求書による訂正の請求について、令和1年9月30日付け審尋によって意見を提出する機会を与えたが、申立人から期間内に応答はなかった。また、令和1年11月27日提出の手続補正書による訂正請求書の補正は、下記「第2 1.」のとおり訂正請求書の要旨を変更せず、実質的な判断に影響を与えるものではないから、申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないものと判断した。
なお、平成31年1月21日になされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否についての判断

1.訂正請求の補正について
令和1年8月8日提出の訂正請求書(以下「訂正請求書」という。)及びこれに添付した訂正特許請求の範囲は、令和1年11月27日提出の手続補正書により補正されたので、まず当該補正の適否について検討する。

(1)補正の内容
上記手続補正書による補正の内容は以下のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。

ア.訂正請求書の訂正事項1ないし5のそれぞれについて、訂正事項1ないし5のうち「モジュールまたは」を削除する。

イ.訂正請求書の訂正事項3に「自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されていて、」とあるのを「自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されること、」と補正する。

(2)補正の適否
ア.上記「(1)ア.」の補正は、それぞれ請求項1、17、26、28及び29の訂正事項を削除する補正であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。

イ.上記「(1)イ.」の補正は、補正前の請求項26の「自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されていて、」が、「缶修飾機における円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法」を構成するステップを特定する事項であるところ、請求項26において当該方法を構成する他の各ステップの末尾が「ことと、」とされているのに合わせて、末尾を「自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されること、」と補正するものであるから、軽微な瑕疵の修正であって、補正の前後でその実質的な内容は同一であるから、訂正請求書の要旨を変更するものではない。

ウ.したがって、上記手続補正書による補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第131条の2第1項の規定に適合するので、当該補正を認める。

2.訂正の内容
令和1年8月8日提出の訂正請求書による訂正請求(同年11月27日提出の補正書により補正されたもの。以下単に「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許権者が令和1年12月5日に提出した上申書の内容も考慮すると、本件特許の特許請求の範囲を、補正書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし29について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に、
「各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、」
とあるのを、
「各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、」
と訂正し、
「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、」
とあるのを、
「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、カメラ画像検査システムと、」
と訂正し、
「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、」
とあるのを、
「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと、」
と訂正し、
「制御システムと、」の後に、
「個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベースと、」
を加える。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項17に、
「マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷することと、」
とあるのを、
「マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷することと、」
と訂正し、
「前記個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、検査システムによって、前記円筒状容器を検査することと、」
とあるのを、
「前記個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含み、個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムによって、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査することと、」
と訂正し、
「印刷の修正を図るために、制御システムによって、前記欠陥又は変動情報を処理することと、」
とあるのを、
「欠陥または変動情報に基づいて当該印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブランケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、」
と訂正し、
「処理することと、」の後に、
「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、」
を加える。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項26に、
「円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、」
とあるのを、
「缶修飾機における円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、」
と訂正し、
「各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することと、」
とあるのを、
「印刷後直ぐに生産速度で各缶胴の周面の全周の画像を検査するための複数のカメラと個々の撮像される缶の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の缶胴の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されること、」
と訂正し、
「パターンを印刷することと、」
とあるのを、
「パターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷することと、」
と訂正し、
「印刷することと、」
の後に、
「円対称照明モジュールがストロボ照射している間に自動カメラ検査システムが有する複数のカメラによって、個々の缶胴のそれぞれの周面の全周の画像を得ることと、」を加え、
「前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動ビジョン検査システムによって、個々の缶を検査することと、」
とあるのを、
「前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動カメラ検査システムによって、個々の缶を画像に基いて検査することと、」
と訂正し、
「装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、」
とあるのを、
「装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは他の機械部品に関連する調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、」
と訂正し、
「電気信号を送ることと、」
の後に、
「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも1つのデータベースに保持することと、」
を加える。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項28に、
「各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する印刷用ブランケットホイール」
とあるのを、
「各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する印刷用ブランケットホイール」
と訂正し、
「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を画像検査するように機能する自動カメラ検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、自動カメラ検査システムと、」
とあるのを、
「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を画像検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、自動カメラ検査システムと、」
と訂正し、
「前記欠陥又は変動情報を受け取って、前記印刷システムの修正を図るように機能する、制御システムと」
とあるのを、
「前記欠陥又は変動情報を受け取って、前記印刷システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該印刷システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと」
と訂正し、
「制御システムと」
の後に、
「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、保持するように構成されたデータベースと、」
を加える。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項29に、
「マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面へのパターンの印刷を制御する方法であって、」
とあるのを、
「マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面へのパターンの毎分900個の容器を超える速度での印刷を制御する方法であって、」
と訂正し、
「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥または変動がないか、自動カメラ検査システムによって、前記円筒状容器を画像検査することと、」
とあるのを、
「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥または変動がないか、個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムによって、前記円筒状容器を画像検査することと、」
と訂正し、
「パターンの印刷の修正を図るために、制御システムによって、前記欠陥又は変動情報を処理することと、」
とあるのを、
「欠陥または変動情報に基づいてパターンの印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブラケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、パターンの印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、」
と訂正し、
「前記欠陥又は変動情報を処理することと、」
の後に、
「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、」
を加える。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項15を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項20を削除する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項9に
「前記検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される、請求項1に記載のシステム。」
とあるのを、
「円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、を備え、
前記検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される、
システム。」
と訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項16に
「前記ログはセキュアログである、請求項15に記載のシステム。」
とあるのを、
「前記ログはセキュアログである、請求項1に記載のシステム。」
と訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項19に
「請求項17ないし18のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?18のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項21に
「請求項請求項17ないし20のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?19のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項22に
「請求項請求項17ないし21のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?19および21のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項23に
「請求項請求項17ないし22のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項24に
「請求項請求項17ないし23のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?19および21?21のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

(15)訂正事項15
特許請求の範囲の請求項25に
「請求項請求項17ないし24のいずれかに記載の」
とあるのを、
「請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の」
と訂正する。

3.訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
上記訂正事項1に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1について、
「印刷用ブランケットホイール」が「毎分900個の容器を超える速度で」印刷するように機能すること、
「検査システム」が「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システム」であること、及び、円筒状容器を「前記画像に基いて」検査するように機能すること、並びに、「制御システム」が「欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する」ことを特定するとともに、
請求項1に係る発明の「システム」が「個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベース」を備えることを特定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、かかる訂正のうち「印刷用ブランケットホイール」が「毎分900個の容器を超える速度で」印刷するとの部分は、本件特許明細書の「本明細書に記載の実施形態の他の態様において、装飾機は、毎分900個の容器を超える速度で、容器に印刷する。」(段落【0033】)及び「本明細書で記載する一実施形態では、デコレータは、毎分900個を超える速度で容器に印刷する。」(段落【0042】)等の記載に基づくものである。
以下同様に、「前記円筒状容器を前記画像に基いて検査する」の部分は、「本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。統計的に有意な量の情報が、その後に続く検査によって検証されたら、複数のことのうち1つが起こり得る。」(段落【0057】)等の記載に基づくものである。
「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり」について、「個々の円筒状容器の周面の全周の画像」の部分は、本件特許明細書の「缶が検査トンネル(90)を通って進むときに、ビジョン検査システムのカメラが、少なくとも1つの方向から缶の周面を撮影している。少なくとも3つのカメラ、場合によっては4つのカメラが、検査トンネル(90)内にあって、缶の周面の全周を撮影することのほうが多い。」(段落【0058】)、「缶の周囲に撮像のための複数のカメラを用いる」(段落【0059】)及び「図3は、検査トンネル(90)の上面図と側面図を示している。上面図では、4つのカメラ(91)を示しており、それらのそれぞれのレンズ(92)は、中央に示す缶(88)に向けられている。これらのカメラによると、鏡面反射を防ぐように缶の直ぐ上に取り付けられた円対称照明モジュール(93)から発せられる光線(94)で、缶が照射されていることよって、その撮像が可能である。カメラの視野(95)を、レンズ(92)、及びカメラ(91)の位置と併せて調整することにより、イメージャが、装飾された缶の画像でできる限り満たされるようにする。」(段落【0065】)等の記載並びに図3及び図4等に基づくものである。
「個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである」の部分について、「個々の円筒状容器の周面の全周の画像」に関しては、上記段落【0058】等の記載に基づくものである。「色画像」に関しては、本件特許明細書の「企図される検査システム(これは、少なくとも一形態において、視覚検査システムである。)は、色を含む印刷パターンにおいて、欠け、スメア、明度、濃度、色抜け、ぶれ、可読性、明瞭さ、表色、コード(例えば、UPCコードなど)の明瞭さ、などの欠陥又は変動がないか検査することが可能である」(段落【0043】)及び「別の例として、自動検査技術が、deltaEをモニタリングすることにより、色空間L^(*)a^(*)b^(*)で色を特徴付けるものであると、色の変動を、どの印刷用ブランケットによるものか、あるいは場合によってどのインカーの故障によるものか、遡って追跡することを可能とするために、はるかに有効である。また、本発明は、deltaEに限定することなく、色から特定の機械部品、構成部品、機械サブシステムを追跡することが可能であることを想定するものである。」(段落【0048】)との記載等からみて、本件特許の「検査システム」は「色空間L^(*)a^(*)b^(*)」における色差「deltaE」をモニタリングして、「色抜け」や「表色」といった色に関する欠陥又は変動がないかを検査するものであるから、この時に用いられる「画像」が「色画像」であることは自明であるといえる。「綴じ合わされた画像」に関しては「カメラ自体で処理を行うこともできるが、画像を何らかの形で1つに綴じ合わせる必要があるため、画像情報は、アンビリカル配線路(101)を通して、エンクロージャ(100)内の中央ビジョンコンピュータに、更なる処理のために伝送されることのほうが多い。」(段落【0066】)等、「再構成画像」に関しては「缶の周囲に撮像のための複数のカメラを用いる場合でも、検査用の最高品質の画像を得るためには、何らかの形で再構成及び空間的操作が必要である。」(段落【0059】)等の記載に基づくものである。
「欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための調整の提案を提供するように機能する」の部分は、本件特許明細書の「本明細書に記載の実施形態の他の態様において、制御システムは、欠陥又は変動情報に基づいて、当該システムの修正調整のための提案をオペレータに伝達するように機能するビデオ検査制御システムである。」(段落【0026】)等の記載に基づくものである。
「個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを保持するように構成されたデータベース」の部分は、「本発明によれば、印刷された缶の画像を徹底的に解析することによって、個々の印刷用ブランケットと、その印刷用ブランケットのプロセス変動、ズレ、異常、色正確度、及びあらゆるタイプの欠陥に関する特定の側面とを相互に関連付けるデータベースを構築することが可能である。」(段落【0057】)及び「また、一形態において、システムは、欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証、のうち少なくとも1つのログ(例えば、セキュアログ)を保持するように機能するモジュールを備える。ログは、システム内の適当な場所に保持することができ、情報の関連付けに用いられる上記のデータベースと統合されていても、別のものであってもよい。」(段落【0064】)等の記載に基づくものである。
そうすると、訂正事項1に係る訂正は、本件特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項1は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項1は、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2ないし16についても同様に訂正するものであるが、かかる訂正についても、上記と同様に本件明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
上記訂正事項2に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項17について、
「印刷すること」が「毎分900個の容器を超える速度で」なされること、
「検査システム」が「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含み、個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システム」であること、及び、円筒状容器を「前記画像に基いて」検査すること、並びに、
「制御システム」が「欠陥または変動情報に基づいて当該印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブランケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システム」であることを特定するとともに、
請求項17に係る発明の「方法」が「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持すること」を含むことを特定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、かかる訂正は、上記「(1)」で示した訂正事項1に係る訂正と実質的に同様のものであって、上記「(1)」で示したように本件特許明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項2に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項2は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項2は、請求項17を直接的又は間接的に引用する請求項18、19及び21ないし25についても同様に訂正するものであるが、かかる訂正についても、上記と同様に本件明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
上記訂正事項3に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項26について、
「円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法」が、「缶修飾機における」円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であること、
「自動ビジョン検査システム」が「印刷後直ぐに生産速度で各缶胴の周面の全周の画像を検査するための複数のカメラと個々の撮像される缶の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の缶胴の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである」こと、
「パターンを印刷すること」が、「毎分900個の容器を超える速度で」なされること、
「個々の缶を検査すること」が「画像に基いて」なされること、
「特定の機械構成部品の調整」が「特定の機械構成部品の個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは他の機械部品に関連する調整」であることを特定し、
「円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法」が「円対称照明モジュールがストロボ照射している間に自動カメラ検査システムが有する複数のカメラによって、個々の缶胴のそれぞれの周面の全周の画像を得ること」、及び、
請求項26に係る発明の「方法」が「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも1つのデータベースに保持すること」を含むことを特定するとともに、
「前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動ビジョン検査システムによって、個々の缶を検査すること」が、個々の缶を「画像に基いて」検査することを特定したものである。
また、上記訂正事項3に係る訂正は、「自動ビジョン検査システム」を「自動カメラ検査システム」と訂正することを含むものであるが、訂正前の「自動ビジョン検査システム」は自動で視覚的な検査を行うシステムであり、訂正後の「自動カメラ検査システム」は自動でカメラを用いた検査を行うシステムであると解されるところ、カメラを用いた検査が視覚的な検査であることは明らかであるから、上記訂正は「自動ビジョン検査システム」がカメラを用いた検査である「自動カメラ検査システム」であることを特定したものであると認められる。
上記訂正事項3に係る訂正のうち、訂正前の「自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することと、」における「缶装飾機」を「缶修飾機」とする訂正は、訂正前の請求項26の「円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、」を「缶修飾機において円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、」と訂正したことに伴って、訂正後の請求項26の記載に整合させるために行った形式的な訂正であり、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そうすると、上記訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮及び同第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、かかる訂正のうち、「缶修飾機において」の部分は、本件特許明細書の「本明細書に記載の実施形態の他の態様において、本方法は、各缶を印刷後直ぐに生産速度で検査するための自動ビジョン検査システムに一体的に接続された缶装飾機を設定することと、(中略)を含む。」(段落【0039】)との記載に基づくものであり、その余の訂正も、上記「(1)」で示したように本件特許明細書等の記載に基づくもの、及び、明瞭でない記載を釈明するものであるから、訂正事項3に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項3は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
訂正事項3は、請求項26を引用する請求項27についても同様に訂正するものであるが、かかる訂正についても、上記と同様に本件明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
上記訂正事項4に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項28について、
「印刷用ブランケットホイール」が「毎分900個の容器を超える速度で」印刷するように機能すること、
「自動カメラ検査システム」が、「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである」こと、
「制御システム」が「欠陥または変動情報に基づいて当該印刷システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する」こと、及び、
「検査および制御システム」が「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを保持するように構成されたデータベース」を備えることを特定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、かかる訂正は、上記「(1)」で示したように本件特許明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項4に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項4は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
上記訂正事項5に係る訂正は、訂正前の特許請求の範囲の請求項29について、
「印刷」が、「毎分900個の容器を超える速度で」なされること、
「自動カメラ検査システム」が、「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである」こと、
「パターンの印刷の修正を図るために、制御システムによって、前記欠陥又は変動情報を処理すること」が「欠陥または変動情報に基づいてパターンの印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブラケットに関連する調整の提案を提供するように機能する」、制御システムによって、パターンの印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することであること、及び、
請求項29に係る発明の「方法」が「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持すること」を含むことをを特定したものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、かかる訂正は、上記「(1)」で示したように本件特許明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項5に係る訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではなく、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものといえる。
また、訂正事項5は、訂正の前後で特許請求の範囲に記載された発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
上記訂正事項6に係る訂正は、訂正前の請求項15を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6は、請求項を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
上記訂正事項7に係る訂正は、訂正前の請求項20を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項7は、請求項を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(8)訂正事項8について
上記訂正事項8に係る訂正は、訂正前の請求項1を引用する訂正前の請求項9について、請求項間の引用関係を解消し、独立請求項に改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書き第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項8は新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(9)訂正事項9について
上記訂正事項9に係る訂正は、訂正前の請求項15を引用する訂正前の請求項16について、訂正前の請求項15が削除されたことに伴い、訂正後の請求項1を引用するものに改めるものである。
そして、訂正前の請求項15の「欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを保持するように機能するモジュール」との発明特定事項には、訂正後の請求項1の「欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを保持するように構成されたデータベース」が対応しており、訂正後の「データベース」は訂正前の「モジュール」の種別を限定したものと認められる。
そうすると、上記の点を含む訂正事項1によって請求項1が減縮されていることから、訂正事項9に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1については上記「(1)」で検討したとおりであるから、訂正事項9も新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項9は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(10)訂正事項10について
上記訂正事項10に係る訂正は、引用する請求項を記載する書式を、訂正事項11ないし15によって訂正される請求項21ないし25の記載に整合させるために行った形式的な訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
そして、訂正事項10は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(11)訂正事項11ないし15について
上記訂正事項11ないし15に係る訂正は、請求項20が削除されたことに伴い、その請求項の記載を引用しないものとするものであり、また、訂正事項14及び15に係る訂正は、それに加えて請求項20以外の請求項の記載をも引用しないものとするものである。
そうすると、上記訂正事項11ないし15に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとともに、同第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項11ないし15は、引用する請求項を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
したがって、訂正事項11ないし15は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。

(12)独立特許要件について
本件特許異議の申立は、訂正前の全ての請求項に対してされているので、本件訂正に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。

(13)一群の請求項について
訂正事項1に係る訂正前の請求項1ないし16は、請求項2ないし16がそれぞれ請求項1を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1ないし16に対応する訂正後の請求項1ないし16は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正事項2に係る訂正前の請求項17ないし25は、請求項18ないし25がそれぞれ請求項17を直接的又は間接的に引用するものであって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項17に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項17ないし25に対応する訂正後の請求項17ないし25は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
訂正事項3に係る訂正前の請求項26及び27は、請求項27が請求項26を引用するものであって、訂正事項3によって記載が訂正される請求項26に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項26及び27に対応する訂正後の請求項26及び27は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

4.小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第6項及び第7項の規定に適合するので、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-16〕、〔17-25〕、〔26、27〕、28、29について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて

1.本件訂正特許発明
本件訂正請求により訂正された請求項1ないし29に係る発明(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」ないし「本件訂正特許発明29」という。)は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし29に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、カメラ画像検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと、
個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベースと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記欠陥又は変動情報に基づいて個々のマンドレルの自動調整を図るための、各マンドレル用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各マンドレル用の調整可能な構成部品をさらに備え、個々のマンドレルの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記欠陥又は変動情報に基づいてホイールの自動調整を図るため、前記印刷用ブランケットホイール用又は個々の印刷用ブランケット用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記個々のマンドレル、前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、印刷中の前記個々の円筒状容器への圧力の調整を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記円筒状容器は缶である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記検査システムは、部品検出光センサ、ポジション・ワン・センサ、近接センサ、カウンタおよびエンコーダのうち少なくとも1つからのデータに基づいて、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するための、識別モジュールを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、を備え、
前記検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される
システム。
【請求項10】
検査されているときの円筒状容器は、その直接隣接する円筒状容器の両方と、5度より大きく平行から外れている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報をオペレータに伝達するように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報の一部の側面を、ビデオディスプレイ上でグラフィカルに伝達する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報に基づいて、当システムの修正調整のための提案をオペレータに伝達するように機能するビデオ検査制御システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムは、当システムが盛んに印刷を行っている間に、リアルタイムで円筒状容器を検査するが、該検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
前記ログはセキュアログである、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
円筒状容器の周面上でのパターンの印刷を制御する方法であって、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷することと、
前記個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含み、個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムによって、前記円筒状容器を前記画像に基づいて検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、欠陥又は変動情報を、前記検査システムによって、生成することと、
欠陥または変動情報に基づいて当該印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブランケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、
を含む
方法。
【請求項18】
前記円筒状容器は金属缶である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記検査は、印刷が盛んに行われている間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される、請求項17?18のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項20】
(削除)
【請求項21】
前記処理は、オペレータに通知することを含む、請求項17?19のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項22】
前記印刷を手動で修正することをさらに含む、請求項17?19および21のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項23】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを手動で調整することを含む、請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項24】
前記印刷を自動で修正することをさらに含む、請求項17?19および21?21のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項25】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを自動で調整することを含む、請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項26】
缶修飾機における円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、
印刷後直ぐに生産速度で各缶胴の周面の全周の画像を検査するための複数のカメラと個々の撮像される缶の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の缶胴の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されること、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、パターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷することと、
円対称照明モジュールがストロボ照射している間に自動カメラ検査システムが有する複数のカメラによって、個々の缶胴のそれぞれの周面の全周の画像を得ることと、
前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動カメラ検査システムによって、個々の缶を画像に基いて検査することと、
前記缶装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち、少なくとも1つを特定することと、
装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは他の機械部品に関連する調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、
前記調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも1つのデータベースに保持することと、
を含む
方法。
【請求項27】
定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップを実行し、
定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために、更なる変更を勧告し、
装飾を更に最適化するための前記勧告された変更を自動で実行するため、前記制御システムに対して更なる電気信号を送る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するための印刷システムに用いられる検査および制御システムであって、
前記印刷システムは、複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能するマンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する印刷用ブランケットホイールとを備えるものであり、
前記検査および制御システムは、
個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を画像検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、自動カメラ検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、前記印刷システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該印刷システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、保持するように構成されたデータベースと、
を備える検査および制御システム。
【請求項29】
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面へのパターンの毎分900個の容器を超える速度での印刷を制御する方法であって、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥または変動がないか、個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムによって、前記円筒状容器を画像検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記自動カメラ検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、前記自動カメラ検査システムによって、欠陥又は変動情報を生成することと、
欠陥または変動情報に基づいてパターンの印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブラケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、パターンの印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、
を含む方法。」

2.取消理由(決定の予告)の概要
平成31年4月26日付け取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要は以下のとおりである。

本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって、取り消されるべきものである。

・請求項 1ないし5、7、8、14、17ないし20及び22ないし29
・引用文献 1、2及び5ないし7

・請求項 6
・引用文献 1ないし3及び5ないし7

・請求項 11ないし13、15、16及び21
・引用文献 1、2及び4ないし7

引用文献等一覧
1 米国特許第3828668号明細書(特許異議申立書における甲第1号証)
2 米国特許第7394937号明細書(同甲第9号証)
3 米国特許第6634297号明細書(同甲第17号証)
4 特開2007-144816号公報(同甲第26号証)
5 特開平7-71938号公報
6 特開平9-43157号公報
7 特開2000-180382号公報

3.引用文献
(1)引用文献1
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献1には、図面と共に次の事項が記載されている(括弧内は当審で作成した和訳である。また、下線は当審で付した。以下同様。)。

ア.「Referring to the drawings in detail, FIG. 1 shows an embodiment of the identification system of this invention as it can be employed with and as an improvement in a can decorator line or system and/or in its method of operation. The line or system is exemplary of the type of machinery with which the identification system of this invention can be employed.
More particularly, FIG. 1 shows a can decorator line generally designated 30 comprising a decorator wheel generally designated 32 mounted on a shaft 34 and having mounted around its periphery a series of eight blankets respectively designated B1 through B8 which receivedecorator material such as ink (not shown.) in a container 36 by means of a series of shaft-mounted, abuttingly-rotating rollers generally designated 38, the roller must adjacent to decorator wheel 32 here shown applying ink to blanket B1 as decorator wheel 32 rotates in a counterclockwise direction.
Abuttingly-adjacent decorator wheel 32 at about the 9 o'clock position is a mandrel turret generally designated 40, rotatingly-driven on shaft 42 by means such as a main drive motor (not shown) and having a series of mandrels designated M1 through M24 mounted substantially parallel to shaft 42 and protruding towards the reader from adajcent the periphery of mandrel turret 40. Both decorator wheel 32 and mandrel turret 40 are gear driven by the main drive motor.」(第3欄第24?50行)
(詳細について図面を参照すると、図1は、缶装飾機ライン又はシステム及び/又はその操作方法の改良として採用することができる本発明の識別システムの一実施形態を示す。当該ライン又はシステムは、本発明の識別システムを採用することができる種類の機械の代表例である。
より具体的には、図1は、シャフト34に取り付けられ、その縁部にそれぞれB1ないしB8で表される8個のブランケットが取り付けられた全体として32で表される装飾機ホイールを有し、全体として30で表される缶装飾機ラインを示す。この装飾機ホイールは、シャフトに取り付けられて当接して回転する、全体として38で示される一連のローラ群によって容器36内のインク(図示せず)のような装飾材料を受け取る。ローラは、ここに示すように、装飾機ホイール32が反時計方向に回転するにつれてブラケットB1にインクを供給するように、装飾機ホイール32に近接する必要がある。
当接し隣接する装飾機ホイール32の概ね9時の位置にあり、全体として40で表されるマンドレルタレットは、主駆動モータ(図示なし)のような手段でシャフト42上で回転駆動されており、シャフト42に実質的に平行に取り付けられ、マンドレルタレット40の縁部周辺から読取者に向かって突出するM1ないしM24で表される一連のマンドレルを有する。装飾機ホイール32及びマンドレルタレット40はともに主駆動モータによってギア駆動される。)

イ.「FIG. 2 shows a portion of the correlator means of this invention, and more particularly shows correlator disc 60 threadedly-mounted by a bolt to servo motor receiver shaft 62 and affixed thereto by pin 63. FIG. 2 shows in detail, the indicia which can be placed on the correlator disc for correlating the can sites, i.e. pins 50 and the decorated can bodies C' thereon, so that by looking at the correlated indicia aligned by suitable align or means such as pointer 64 with a particular pin 50 or can body C', a determination can be made downstream at the location of the correlator disc, which particular blanket and which particular mandrel was associated with the aligned pin 50 and/or can body C'. FIG. 2 shows two circular groups of indicia each of whose units are radially located on the disc, the circular group interiormost in relation to shaft 62 being a series of three sets of B numbers, each set running consecutively from B1 to B8. Each Bnumber corresponds to a particular blanket of the same number on decorator wheel 32. The outermost circular group of indicia, adjacent the periphery of correlated disc 60, is a series of M numbers running consecutively from M1 through M24, each M number correspond ing to a particular mandrel and to a particular corresponding transfer means having the same number on respective mandrel turret 40 and transfer turret 46.
The reason the interiormost group of indicia has three sets of B numbers is explained below. Decorator wheel 32 having eight blankets thereon rotates about three times as fast as turret 40, having 24 mandrels thereon. During one revolution of wheel 32, one blanket, say B1, applies ink to three cans on three mandrels, say, first to a can on mandrel M1, then to one on mandrel M9, and then to one on mandrel M17. As shown in FIG.2, each blanket B number that applies ink to a can on a mandrel is radially aligned with the corresponding M number of the mandrel. Thus, in the example previously mentioned, between the 9 and 10, 4 and 5, and 1 and 2 o'clock positions on correlator disc 60, the blanket number B1 is radially aligned with mandrel numbers M1, M9 and M17. A downstream monitor observing a defect in decorated can bodies C' shown in FIG. 2 or observing a bare pin 50, i.e. one not having a can thereon, can immediately read the aligned M number and B number on disc 60 and then go directly to the identified upstream responsible, defective transfer means, and/or mandrel and/or blanket here B4 and M12 for corrective action, rather than having to, for example, examine all 24 mandrels and/or eight blankets to determine which is causing or caused the defect.」(第4欄第28行?第5欄第10行)
(図2は、本発明の相関器手段の一部、より具体的には、ボルトによってサーボモータ受信シャフト62に螺合して取り付けられ、ピン63によって固定される相関器ディスク60を示す。図2が詳細に示す指標は、缶の位置、すなわちピン50及びその上の装飾された缶体C’と相関するために相関器ディスク上に配置され得て、その結果、ポインタ64等のような好適な位置合わせ手段によって特定のピン50又は缶体C’と位置合わせされた相関付けられた指標を見ることにより、相関器ディスクの下流位置で、どの特定のブランケット及びどの特定のマンドレルが位置合わせされたピン50及び/又は缶体C’と関連するのかを決定することができる。図2は、2つの環状の指標群を示し、その各ユニットはディスク上で径方向に位置し、シャフト62に対して最内側の環状の群は、3組のB番号であり、各組はB1からB8までが連続している。各々のB番号は装飾機ホイール32上の同番号の特定のブランケットに対応している。最外側の環状の群の指標は、相関するディスク60の外縁に近接し、M1からM24まで連続した一連のM番号であり、各々のM番号はそれぞれのマンドレルタレット40及び移送タレット46上の同番号を持つ特定のマンドレル及び特定の対応する移送手段に対応している。
最内側の指標群を3組のB番号とした理由は、以下の通りである。8個のブランケットを有する装飾機ホイール32は、24個のマンドレルを有するタレット40の3倍の速さで回転する。ホイール32が1回転する間に、1個のブランケット、例えばB1は3個のマンドレルの3個の缶、例えば、まずマンドレルM1、次にマンドレルM9、その次にマンドレルM17上の缶にインクを塗布する。図2に示すように、マンドレル上の缶にインクを塗布するB番号の各ブランケットは、対応するM番号のマンドレルと径方向に整列する。結果として、前述の例においては、相関器ディスクの9時と10時、4時と5時、1時と2時の位置の間で、番号B1のブランケットは番号M1、M9及びM17のマンドレルと径方向に整列する。図2に示す装飾された缶体C’の欠陥を発見したり、裸のピン50、即ち缶が載っていないものを発見した下流の監視者は、どれが欠陥を起こしている又は起こしていたのかを決定するために、24個のマンドレル、及び/又は、8個のブランケットをすべて試験しなくても、直ちに整列したディスク60上のM番号及びB番号を読み取り、特定された上流の原因となる欠陥のある移送手段、及び/又は、マンドレル、及び/又は、ブランケット、ここではB4及びM12に直接行って修正作業を行うことができる。)

ウ.「The correlator means of this invention need not be a correlator in the form of a disc as shown, but can be any suitable means having indicia which would operate in harmony with the aforementioned principles of this invention. The correlator means can be located at any suitable point downstream from the work area and the indicia can be read visually or by any other suitable means such as an electric eye, a timed strobe light, or means employed with a solid state network.」(第7欄第40?48行)
(本発明の相関器手段は、図示のようなディスクの形態の相関器である必要はないが、本発明の前述の原理と整合して動作する指標を有する任意の適切な手段であり得る。相関器手段は、作業領域の下流の任意の適切な点に配置することができ、指標は、視覚的に、またはエレクトリックアイ、同期ストロボライト又は半導体素子ネットワークに使用される手段のような他の適切な手段によって読み取ることができる。)

エ.FIG.1からは、mandrel(マンドレル)M15及びM18がそれぞれcan body(缶体)Cを保持する点を看取することができるから、「各マンドレルがそれぞれ缶体を保持する」といえる。

オ.上記「イ.」の「each blanket B number that applies ink to a can on a mandrel」(マンドレル上の缶にインクを塗布するB番号の各ブランケット)との記載を踏まえると、FIG.1からは、「ブランケットがマンドレル上の缶体の周面にインクを塗布する」点を看取することができる

カ.FIG.1におけるcan body(缶体)C及びFIG.3におけるcan body(缶体)C'の形状を総合すると、「缶体が円筒状である」点を看取することができる

上記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。

「缶装飾機システムであって、
縁部周辺から突出する一連のマンドレルを有し、各マンドレルがそれぞれ缶体を保持する、マンドレルタレットと、
縁部に8個のブランケットが取り付けられ、各ブランケットはマンドレル上の円筒状の缶体の周面にインクを塗布する、装飾機ホイールと、
缶の位置、すなわちピン及びその上の装飾された缶体と相関するために相関器ディスク上に配置される指標と、
相関器手段の一部であって、指標を見ることにより、どの特定のブランケット及びどの特定のマンドレルが缶体と関連するのかを決定することができる相関器ディスクとを有し、
装飾された缶体の欠陥を発見した監視者は、どれが欠陥を起こしている又は起こしていたのかを決定するために、直ちに整列した相関器ディスクのM番号及びB番号を読み取り、特定された上流の原因となる欠陥のあるマンドレル、及び/又は、ブランケットに直接行って修正作業を行うことができ、
相関器手段は、作業領域の下流の任意の適切な点に配置することができ、指標は、視覚的に、またはエレクトリックアイ、同期ストロボライト又は半導体素子ネットワークに使用される手段のような他の適切な手段によって読み取ることができる
缶装飾機システム。」

(2)引用文献2
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献2には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「Examples of such processes include package printing processes, soda can printing processes, and other processes which may employ more complex color schemes that are repeated or are placed next to each other in use. Besides merely color concerns, these complex colorschemes may have spatial or pattern defects.」(第1欄第57?62行)
(このようなプロセスの例は、反復されたり使用時に互いに隣接して配置されるより複合的なカラースキームが採用されるパッケージ印刷プロセス、ソーダ缶印刷プロセス、及び、他のプロセスを含む。単に色に関するほかにも、これらの複合的なカラースキームは空間やパターンの欠陥を有し得る。)

イ.「FIG. 6 illustrates an embodiment of a vision monitoring system 600 for monitoring a process, in accordance withvarious aspects of the present invention. The process may be continuously monitored in real-time or periodically, in accordance with various aspects of the present invention. The monitoring system 600 includes an imaging assembly 610 which includes a source of illumination 611 and a color camera 612 to collect images of monitored objects 613 on a process line. The monitoring system 600 also includes a computer-based platform 620 connected to the color camera 612 in order to store and process image data collected by the color camera 612 of the monitored object 613.」(第6欄第59行?第7欄第3行)
(図6は、本発明の様々な態様による、プロセスを監視するための視覚監視システム600の実施形態を示す。本発明の様々な態様に従って、リアルタイムで、または周期的に、プロセスを連続的に監視することができる。監視システム600は、処理ライン上の監視オブジェクト613の画像を収集するための照明源611とカラーカメラ612とを含む撮像アセンブリ610を含む。監視システム600はまた、監視オブジェクト613のカラーカメラ612によって収集された画像データを記憶し処理するためにカラーカメラ612に接続されたコンピュータベースのプラットフォーム620を含む。)

ウ.「As an example, FIG. 9 illustrates an exemplary reference image 910 which is to be compared to an exemplary monitored image 920, in accordance with the method 700 of FIG. 7 and FIG. 8. The reference image 910 and the monitored image 920 are a matched pair of aligned color images which are a result of steps 710 - 732 of the method 700. The matched pair of images 910 and 920 correspond to a vertical section of the printed outside surface of a common, largely cylindrical soda can. The pixels making up the two images 910 and 920 are represented as RGB data (i.e., the characteristic parameter is RGB color data).
FIG. 10 illustrates an exemplary comparison image 1000 generated by subtracting the reference image 910 of FIG.9 from the monitored image 920 of FIG. 9 on a pixel-by-pixel basis, in accordance with the method 700 of FIG. 7 and FIG. 8. The comparison. image 1000 is a result of step 733 of the method 700. In step 733, the pixel values ofthe resultant comparison image 1000 are ΔRΔGΔB data values. The comparison image 1000 indicates any difference between the ideal reference image 910 and the monitored image 920. A subtle difference in RGB color (i.e., ΔRΔGΔB data values) 1001 is seen in the comparison image 1000 which may be due to a deviation in one of the colors of ink used to print the soda can.(中略)
In step 740 , at least one process deviation signal is generated from the comparison image data. For example, the values ΔRΔGΔB of the comparison image 1000 of FIG. 10 are converted to ΔE (Euclidean distance) values for each pixel of the comparison image as(中略)
Each ΔE value for each pixel is compared to a predetermined threshold. A count value is generated corresponding to the number of comparison image pixels whose ΔE values are greater than (or, alternatively, less than) the predetermined threshold. This count value is output as the process deviation signal 625 (see FIG. 6) by the computer based platform 620 and may indicate a pass or a fail condition when compared to another predetermined pass/fail threshold. The process deviation signal 625 may be used as an input to an adaptive process control system 630 to bring the process back into spec (seeFIG. 6).」(第9欄第34行?第10欄第11行)
(例として、図9は、図7及び8の方法700の方法に従った代表的な監視画像920及び比較される代表的な基準画像910を示す。基準画像910及び監視画像920は、方法700のステップ710-732の結果であるマッチングされたカラー画像の一致対である。マッチングされた一対の画像910及び920は、一般的なほぼ円筒形のソーダ缶の印刷された外面の垂直部分に対応する。2つの画像910及び920を構成する画素はRGBデータとして表される(すなわち、特性パラメータはRGBカラーデータである。)。
図10は、図7及び図8の方法に従って、ピクセル単位で図9の監視画像920から図9の基準画像910を減算することによって生成された代表的な比較画像1000を示す。ステップ733において、得られた比較画像1000の画素値はΔRΔGΔBデータ値である。比較画像1000は、理想基準画像910と監視画像920との間の差を示す。ソーダ缶を印刷するために使用されるインクの色のうちの一つの偏差に起因するものであり得るRGBカラー(すなわちΔRΔGΔB値)のわずかな差1001が比較画像1000に見られる。(中略)
ステップ740において、少なくとも1つのプロセス偏差信号が比較画像データから生成される。例えば、図10の比較画像1000の値ΔRΔGΔBは、以下のように、比較画像の各画素についてΔE(ユークリッド距離)値に変換される。(中略)
各画素についての各ΔE値は所定の閾値と比較される。ΔE値が所定の閾値より大きい(あるいは、小さい)比較画像の画素数に一致するカウント値が生成される。このカウント値はコンピュータベースのプラットフォーム620によりプロセス偏差信号625(図6参照)として出力され、他の所定の合否の閾値と比較された際の合否条件を示してもよい。プロセス偏差信号625は、プロセスを仕様に戻すために、適応プロセス制御システム630への入力として使用されてもよい。)

エ.「Instead, it is important to obtain a good sampling of the soda cans as they go by such that the process deviation signal 625 is monitored over time to make sure the process (e.g., color printing process of the soda cans) is not getting out of control.」(第10欄第39?43行)
(代わりに、(例えばソーダ缶のカラー印刷プロセスのような)プロセスの制御が利かなくなることが確実にないようにプロセス偏差信号625が経時的に監視されて、缶が通過する際に良好なサンプリングが得られることが重要である。)

オ.「When reference images are captured bythe training system 100, the reference images are corrected for lighting non-uniformity by the correct color image tool 1110. Similarly, when monitored images are captured by the monitoring system 600, the monitored images are corrected for lighting non-uniformity by the correct color image tool 1110.」(第10欄第61?66行)
(基準画像がトレーニングシステム100によってキャプチャされると、基準画像は、補正カラー画像ツール1110によって照明不均一性が補正される。同様に、監視画像が監視システム600によってキャプチャされると、監視画像は、補正カラー画像ツール1110によって照明不均一性が補正される。)

カ.「As described before, a process deviation signal 625 may be generated using thresholding and counting techniques, or other techniques as well, in accordance with various embodiments of the present invention. Again, the process deviation signal 625 may be used as an input to an adaptive process control system 630 to bring the process back into control. Alternatively, the process deviation signal may be used by an operator to manually adjust the process.」(第11欄第60?67行)
(前述のとおり、プロセス偏差信号625は、本発明の様々な実施態様に従って、閾値化及び計数技術やその他の技術を用いて生成されてもよい。さらに、プロセス偏差信号625は、プロセスを制御下に復帰させるための適応プロセス制御システム630への入力として使用されてもよい。あるいは、プロセス偏差信号は、オペレータによってプロセスを手動で調整するために使用されてもよい。)

上記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。

「プロセスを監視するための視覚監視システムであって、
リアルタイムで、または周期的に、プロセスを連続的に監視することができ、
処理ライン上の監視オブジェクトの画像を収集するための照明源とカラーカメラとを含む撮像アセンブリを含み、
プロセスは空間やパターンの欠陥を有し得る複合的なカラースキームが採用されるソーダ缶印刷プロセスであり、
監視画像及び基準画像は一般的なほぼ円筒形のソーダ缶の印刷された外面の垂直部分に対応し、
監視画像は監視システムによってキャプチャされ、
監視画像から基準画像を減算することによって比較画像が生成され、
ソーダ缶を印刷するために使用されるインクの色のうちの一つの偏差に起因するものであり得るRGBカラーのわずかな差が比較画像に見られ、
比較画像の各画素についての各ΔE値は所定の閾値と比較され、ΔE値が所定の閾値より大きい(あるいは、小さい)比較画像の画素数に一致するカウント値が生成され、このカウント値はプロセス偏差信号として出力され、
比較画像からプロセス偏差信号が生成され、
プロセス偏差信号は、他の所定の合否の閾値と比較された際の合否条件を示し、
プロセス偏差信号は経時的に監視され、
プロセス偏差信号は、プロセスを制御下に復帰させるための適応プロセス制御システムへの入力として使用されてもよく、オペレータによってプロセスを手動で調整するために使用されてもよい
視覚監視システム。」

(3)引用文献3
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献3には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「The printing machine frame 1, 2 is provided with additional ink system brackets (not illustrated), on which the printing and engraved rollers 8 can be moved in a suitable manner, thus providing only the single counter-impression roller 3 for all of the printing cylinders.
In principle the flexographic press of the invention can be equipped with respect to its mechanical design in the same way as the flexographic presses described in the DE 29 41 521 A1, DE 37 42 129 A1,and DE 40 01 735 A1.」(第4欄第36?44行)
(印刷機フレーム1、2は、更に、インク装置ブラケット(図示せず)を備え、このインク装置ブラケットの上で、印刷ローラ7及び彫刻ローラ8を適当な仕方で動かすことができ、かくして、すべての印刷用シリンダ又はローラについて単一の圧胴3だけを有している。
原則として、本発明のフレキソ印刷機は、ドイツ特許第2941521A1号、同第3742129A1号及び同第4001735A1号に記載されているフレキソ印刷機と同じような機械デザインを有している。

イ.「Owing to the printing roller 7, employed at the counter-impression roller 3, the paper web 17, running over the counter-impression roller 3 in the direction of the arrows C and D, is printed with a printed image 10 , which is shown in the shape of rectangles for the sake of simplicity.(中略)
As soon as the printing roller 7 has been moved by means of adjustments to a position that produces the qualitatively best printed images, the set values are deposited in a storage of the controland regulating unit so that the optimal setting of the printing and engrave drollers 7, 8 can be found again, if necessary.」(第4欄第50行?第5欄第13行)
(圧胴3に採用されている印刷ローラ7のため、圧胴3上を矢印C及びD方向に移動している紙ウエブ17に、簡略的に矩形形状で示されている画像10が印刷される。(中略)
印刷ローラ7が調整によって品質的に最良の画像を作成する位置に移動されたらすぐに、必要に応じ印刷ローラ7及び彫刻ローラ8の最適な調整値を再び見つけることができるように、調整値を制御調整ユニットの記憶装置に記憶する。)

上記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の事項(以下「引用文献3記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「印刷機において、
インク装置ブラケットの上で、圧胴に採用されている印刷ローラを適当な仕方で動かすことができ、
印刷ローラが調整によって品質的に最良の画像を作成する位置に移動されたらすぐに、必要に応じ印刷ローラの最適な調整値を再び見つけることができるように、調整値を制御調整ユニットの記憶装置に記憶する点。」

(4)引用文献4
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献4には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0027】
以下の説明では、印刷装置としてオフセット輪転機に色調監視装置を取り付けた構成を例に挙げて説明する。図1は、オフセット輪転機の概略を示す構成図である。オフセット輪転機101は、給紙装置102にセットされたロールRから連続紙Pを供給し、印刷ユニット103でブラック(Black:以下、Bと称する。)・シアン(Cyan:以下、Cと称する。)・マゼンタ(Magenta:以下、Mと称する。)・イエロー(Yellow:以下、Yと称する。)の順に連続紙Pの両面を印刷し、ドライヤ104で連続紙Pを加熱して乾燥させる。そして、冷却胴105で連続紙Pを冷却して、アジャストローラ106でカットオフ調整を行い、ウェブガイド装置107で連続紙Pの蛇行補正を行って、三角板108で連続紙Pを所定のサイズに折り曲げる。ウェブガイド装置107と三角板108との間には撮像センサ21A,21Bが設けられており、撮像センサ21Aは、印刷ユニット103でY・M・C・Kの各インキの印刷が完了して走行している印刷紙面の表面(表胴側)を、撮像センサ21Bは印刷紙面の裏面(裏胴側)を撮像する。また、印刷ユニット103には、インキキー調整装置109が設置されており、このインキキー調整装置109は色調監視装置1からの制御信号により、またはオペレータの操作に応じて、インキキーの開度を調整する。
【0028】
図2は、本発明の実施形態に係る色調監視装置の概略構成を示したブロック図である。ここで、図2には、撮像部(撮像センサ)21Aによって撮像した画像の色調を監視する構成についてのみ示したが、撮像部(撮像センサ)21Bにより連続紙Pに印刷された画像を撮像して色調を監視する構成は、図2に示す構成と同様の構成である。
【0029】
図2に示すように、色調監視装置1は、オフセット輪転機101において走行中の連続紙Pに印刷された画像を連続的に撮像し、この画像の色調変化に基づいてインキ濃度の変化を監視し、インキ濃度の推移を表示する。
【0030】
色調監視装置1は、撮像部(撮像センサ)21A、積算器22、積算メモリ23、最大値比較器24、最大値メモリ25、最小値比較器26、最小値メモリ27、減算器28、変動量メモリ29、データ処理用CPU31、ワークメモリ32、制御用CPU41、表示灯42、表示用モニタ43、操作パネル44、及びメモリ45を備えている。」

イ.「【0043】
また、データ処理用CPU31は、画像における画素単位のインキ濃度の変化量を求めた結果をワークメモリ32に蓄え、例えばインキキーの制御幅等の領域で集計してから、監視結果として制御用CPU41に結果を出力する。」

ウ.「【0045】
制御用CPU41は、データ処理用CPU31から受け取った監視結果に基づいて、表示用モニタ43にインキ濃度の変化量のグラフを表示させたり、インキ濃度の変化量の大きさを表示灯42のランプの点灯数や点灯色でオペレータに報知させたりする処理を行う。また、制御用CPU41は、必要に応じてオフセット輪転機101と制御線で接続しておき、他の警報装置へ制御信号を出力したり、オフセット輪転機101の状態信号を入力することにより、監視結果の処理に変化を持たせるように処理することが可能である。さらに、制御用CPU41は、メモリ45に監視結果を記録しており、ユーザは操作パネル44を操作することで、監視結果を随時参照することができる。」

エ.「【0046】
また、制御用CPU41は、インキ濃度の変化量の大きさや印刷の欠陥の発生を表示灯42のランプの点灯数や点灯色によりオペレータに報知させる処理を行う。
【0047】
制御用CPU41は、印刷物におけるインキ濃度などの変化の推移を表示するグラフなどを表示用モニタ43に表示させる。
【0048】
また、制御用CPU41は、オフセット輪転機101に取り付けられたインキキー調整装置109に制御信号を出力して、インキキーの開度の調整を行わせることも可能である。」

オ.「【0053】
また、色調監視装置1は、インキ濃度の変化量に応じた内容を表示灯42や表示用モニタ43によって報知するので、オペレータはオフセット輪転機101におけるインキ濃度の変化を容易に知ることができ、この情報に基づいてインキ濃度を調整することができる。」

カ.「【0074】
また、制御用CPU41は、画像の色調が、オペレータによって設定されたインキ濃度の監視精度に応じた閾値以上変化していること検出すると(s8)、データ処理用CPU31から受け取った監視結果に基づいて、インキ濃度の変化量の大きさを表示灯42のランプの点灯数や点灯色でオペレータに報知させる処理を行う(s9)。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献4には、次の事項(以下「引用文献4記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「オフセット輪転機において、
色調監視装置は、データ処理用CPU、制御用CPU、表示灯、表示用モニタ、操作パネル、及びメモリを備えており、
データ処理用CPUは、画像における画素単位のインキ濃度の変化量を求めた結果を、インキキーの制御幅等の領域で集計してから、監視結果として制御用CPUに結果を出力し、
制御用CPUは、データ処理用CPUから受け取った監視結果に基づいて、表示用モニタにインキ濃度の変化量のグラフを表示させたり、インキ濃度の変化量の大きさを表示灯のランプの点灯数や点灯色でオペレータに報知させ、
制御用CPUは、メモリに監視結果を記録しており、ユーザは操作パネルを操作することで、監視結果を随時参照することができ、
制御用CPUは、インキ濃度の変化量の大きさや印刷の欠陥の発生を表示灯のランプの点灯数や点灯色によりオペレータに報知させる処理を行い、印刷物におけるインキ濃度などの変化の推移を表示するグラフなどを表示用モニタに表示させ、オフセット輪転機に取り付けられたインキキー調整装置に制御信号を出力して、インキキーの開度の調整を行わせることも可能であり、
色調監視装置は、インキ濃度の変化量に応じた内容を表示灯や表示用モニタによって報知するので、オペレータはオフセット輪転機におけるインキ濃度の変化を容易に知ることができ、この情報に基づいてインキ濃度を調整することができる点。」

(5)引用文献5
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献5(特開平7-71938号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、検査対象物の外観をテレビジョンカメラ等の撮影装置で撮像した画像を用いて製品の外観の欠陥や異種検査を行う外観検査装置に関し、より詳しくは、ファクトリオートメーション等において飲料缶やシャンプーの容器等のように曲面あるいは多角形で構成された容器や外装を有する検査対象物としての製品の外観を検査する外観検査装置に関する。」

イ.「【0123】すなわち、実施例4にかかる外観検査装置は、図6に示すように、90度の角度間隔をおいて配置された第1から第4の4台のカメラ3a,3b,3cおよび3dを用いて、検査対象物1の外側の円筒面を、その全体のちょうど1/4づつを撮像する。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献5には、次の事項(以下「引用文献5記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「飲料缶のように曲面で構成された容器の外観を検査する外観検査装置において、
90度の角度間隔をおいて配置された第1から第4の4台のカメラを用いて、検査対象物の外側の円筒面を、その全体のちょうど1/4づつを撮像する点。」

(6)引用文献6
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献6(特開平9-43157号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【請求項1】図1の如く、円筒缶○5を(当審注:「○5」は丸数字の5を表す。以下、同様。)○1?○4のカラーラインセンサーで撮像し図2のABCDの如く、缶の円周を展開表示する場合に於て、図5のカラーラインセンサー○1の撮像点▲19▼までの距離差(▲17▼→▲19▼、▲17▼’→▲19▼)による円周移行量をデータテーブル▲16▼よりの指示で○7にて等分化し、画角差(▲17▼→▲19▼、▲17▼”→▲19▼)も又、データテーブル▲16▼の指示で○7で同じ缶高さに換算する。カラーラインセンサー○2の系統も同様とする。一連化する為に○3と○4のカラーラインセンサーのデータをメモリーし、読み出しに於て▲14▼メモリーを逆読み出しとし、次いで▲13▼メモリーを又逆読み出しして、連続一連化した円周の画像ABCDを作る方式で、進行する円筒缶のパターンマッチング用の外面をカラーラインセンサで撮像する方法である。」

イ.「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は円筒形のビール缶、飲料缶、その他食品缶の外面の検査装置用の入力装置に関する。」

ウ.「【0011】
【作用】上記の様に構成した方式で直進する缶を撮像すると、図1の○1○2○3○4のカラーラインセンサーは単独にその分担の1/4周の画像を撮像する。その時、45度で通り過ぎる缶周の等分化、遠近差による高さ差、円周の4分割化、○3と○4の逆読取り、その上○3と○4の順番逆を図4の▲16▼のデータテーブルで制御し○7○8○9▲10▼で実施する。尚、データは▲11▼▲12▼▲13▼▲14▼にメモリーされ○1を読出し、次に○2を読出し、次に○4を逆読み出しして、最後に○3を逆読み出しして図2の缶全周を展開した画像としてとり出せる。」

エ.上記「ア.」の「○1?○4のカラーラインセンサー」及び上記「ウ.」の「○1○2○3○4のカラーラインセンサー」は、「4台のカラーラインセンサー」であるといえる。

上記の記載事項を総合すると、引用文献6には、次の事項(以下「引用文献6記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「円筒形のビール缶、飲料缶、その他食品缶の外面の検査装置用の入力装置において、
円筒缶を4台のカラーラインセンサーで撮像し、4台のカラーラインセンサーは単独にその分担の1/4周の画像を撮像する点。」

(7)引用文献7
取消理由通知(決定の予告)で引用された引用文献7(特開2000-180382号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

ア.「【0011】この外観検査装置5において、カメラA,B,C,Dはラインセンサカメラではなく撮影によって二次元画像を得られるカラーエリアカメラであり、検査位置にあるアルミ缶1の周囲に互いに約90°間隔で配設されてアルミ缶1の周面3の約1/4程度以上で約1/2未満の領域をそれぞれ撮影できることで、全体でアルミ缶1の周面3全周を撮影できる。しかも搬送ライン2の進行方向前方側に位置する2台のカメラA,Bはその光軸Oが搬送ライン2を挟んでそれぞれ搬送ライン2と約45°の角度を以て位置し、搬送ライン2の後方側に位置する2台のカメラC,Dはその光軸Oが搬送ライン2を挟んでそれぞれ搬送ライン2と約45°の角度を以て位置している。しかも各カメラA,B,C,Dは光軸Oが検査位置Xで交差するように配設されている。このように構成することによって、各カメラA,B,C,Dの撮影光路Lは検査位置Xにあるアルミ缶1の前後を所定間隔で搬送される隣接するアルミ缶1,1(ここでは符号1a,1bを用いて区別する)に妨げられないように構成されている。また検査位置Xに到達したアルミ缶1を検出する検知センサー10が設けられ、更に検査位置Xの前方には搬送ライン2上の不合格とされたアルミ缶1を搬送ライン2から排除する不合格品選別手段26が設けられている。」

上記の記載事項を総合すると、引用文献7には、次の発明(以下「引用文献7記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「外観検査装置において、
カラーエリアカメラが、検査位置にあるアルミ缶の周囲に互いに約90°間隔で配設されてアルミ缶の周面の約1/4程度以上で約1/2未満の領域をそれぞれ撮影できることで、全体でアルミ缶の周面全周を撮影できる点。」

4.取消理由(決定の予告)についての判断
(1)請求項1
ア.対比
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正特許発明1」という。また、本件特許の請求項2ないし29に係る発明をそれぞれ「本件訂正特許発明2」ないし「本件訂正特許発明29」という。)と引用発明1とを対比する。

(ア)後者の「缶装飾機システム」においては「各ブランケットはマンドレル上の円筒状の缶体の周面にインクを塗布する」ところ、通常のブランケットの構造・機能を踏まえると後者の「ブランケット」が版面を転写することは明らかである。そうすると、後者の当該「缶装飾機システム」は、前者の「円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステム」に相当する。

(イ)後者の「縁部周辺から突出する一連のマンドレルを有し、各マンドレルがそれぞれ缶体を保持する、マンドレルタレット」は、前者の「複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイール」に相当する。

(ウ)後者は、「特定された上流の原因となる欠陥のあるマンドレル、及び/又は、ブランケットに直接行って修正作業を行うことができる」から、「マンドレル」及び「ブランケット」が修正可能であることは明らかである。そうすると、後者の「ブランケット」及び「装飾機ホイール」が、前者の「印刷用ブランケット」及び「印刷用ブランケットホイール」にそれぞれ相当することを踏まえれば、後者の「縁部に8個のブランケットが取り付けられ、各ブランケットはマンドレル上の缶にインクを塗布する、装飾機ホイール」は、前者の「複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイール」に相当する。

(エ)後者は、「相関器手段の一部であって、指標を見ることにより、どの特定のブランケット及びどの特定のマンドレルが缶体と関連するのかを決定することができる相関器ディスクとを有し、装飾された缶体の欠陥を発見した監視者は、どれが欠陥を起こしている又は起こしていたのかを決定するために、直ちに整列した相関器ディスクのM番号及びB番号を読み取り、特定された上流の原因となる欠陥のあるマンドレル、及び/又は、ブランケットに直接行って修正作業を行うことができ」るから、缶装飾機システム自体が「個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定する」ものとはいえないものの、監視者が缶装飾機システムの相関器ディスクの番号を読み取ることにより「個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定する」ものであるといえる。

そうすると、両者は、
「円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
を備えるシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
印刷用ブランケットホイールについて、本件訂正特許発明1では「毎分900個の容器を超える速度で」印刷するように機能するのに対して、引用発明1では印刷する速度が特定されていない点。

[相違点2]
本件訂正特許発明1が「個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、カメラ画像検査システム」を備えるのに対して、引用発明1はそのような「カメラ画像検査システム」を有するものではない点。

[相違点3]
本件訂正特許発明1が「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための調整の提案を提供するように機能する、制御システム」を備えるのに対して、引用発明1はそのような「制御システム」を有するものではない点。

[相違点4]
本件訂正特許発明1が「個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベース」を備えるのに対して、引用発明1はそのような「データベース」を有するものではない点。

イ.検討
まず上記相違点4について検討する。

(ア)相違点4に係る本件訂正特許発明1の「個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベース」は、
a.「個々の印刷用ブランケット」のそれぞれと、「プロセス変動」、「ズレ」、「異常」、「色正確度」及び「欠陥または変動情報」とを、相互に関連付ける情報と、
b.「欠陥又は変動情報」、「発せられた警告」、「統計的傾向表示」、「変動のタイムスタンプ」、「調整の提案」、「提案に従って自動調整が実行されたことの検証」のうち少なくとも1つのログと、
の両方を保持するように構成された「データベース」であると解される。

(イ)一方、引用発明2の「プロセス偏差信号」は、「経時的に監視され」、「プロセスを制御下に復帰させるための適応プロセス制御システムへの入力として使用されてもよく、オペレータによってプロセスを手動で調整するために使用されてもよい」ものであるが、引用文献2には「プロセス偏差信号」を記憶し、データベースに保持することは記載されていない。
また、引用発明2の「プロセス偏差信号」は、「ソーダ缶を印刷するために使用されるインクの色のうちの一つの偏差に起因するものであり得るRGBカラーのわずかな差が比較画像に見られ、比較画像の各画素についての各ΔE値は所定の閾値と比較され、ΔE値が所定の閾値より大きい(あるいは、小さい)比較画像の画素数に一致するカウント値が生成され、このカウント値はプロセス偏差信号として出力され」るものであるから、「比較画像の各画素についての各ΔE値」を「閾値」と比較した「画素数」の「カウント値」であって、本件訂正特許発明1のように「プロセス変動」、「ズレ」、「異常」、「色正確度」及び「欠陥または変動情報」という複数種類の情報すべてを含むものでもない。

(ウ)そうすると、引用発明2は相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項を備えるものではない。
また、引用文献5ないし7にも、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が開示されていないことは明らかである。
さらに、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が、周知技術や設計的事項であるとする根拠もない。

(エ)してみると、他の相違点について検討するまでもなく本件訂正特許発明1は、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(オ)続いて、引用文献3及び4について検討する。

(カ)引用文献3記載事項における「調整値」は、「制御調整ユニットの記憶装置に記憶」されるものであるから、「保持」されるとはいえるものの、本件訂正特許発明1の「データベース」が「系統的に整理・管理された情報の集まり。特にコンピューターで、さまざまな情報検索に高速に対応できるように大量のデータを統一的に管理したファイル。」(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』)であると解されるのに対して、引用文献3記載事項における「調整値」は、「印刷ローラが調整によって品質的に最良の画像を作成する位置に移動されたらすぐに、必要に応じ印刷ローラの最適な調整値を再び見つけることができるように」記憶されるものであり、それ自体で「印刷ローラ」の「位置」を特定する単独の情報であって、「系統的に整理・管理された情報の集まり」ではないから、「制御調整ユニットの記憶装置に記憶」された「調整値」が、「データベース」であるとはいえない。
また、引用文献3記載事項の「調整値」は、上述のとおり「印刷ローラ」の「位置」を特定する情報であって、本件訂正特許発明1のように「プロセス変動」、「ズレ」、「異常」、「色正確度」及び「欠陥または変動情報」という複数種類の情報すべてを含むものでもない。

(キ)引用文献4記載事項における「監視結果」は、「画像における画素単位のインキ濃度の変化量を求めた結果を、インキキーの制御幅等の領域で集計し」たものであるから、「インキキーの制御幅等の領域」と「インキ濃度の変化量」とを相互に関連付ける情報であると認められる。また、上記のような「監視結果」が、「インキ濃度の変化量」に関する系統的な情報の集合であることは明らかであって、「データベース」が「系統的に整理・管理された情報の集まり。特にコンピューターで、さまざまな情報検索に高速に対応できるように大量のデータを統一的に管理したファイル。」(株式会社岩波書店『広辞苑第六版』)であることに照らせば、当該「監視結果」は、「データベース」であるということができる。そして、引用文献4記載事項の「インキ濃度の変化量」は、上記「a.(a)」のように解される本件訂正特許発明1の「プロセス変動」又は「欠陥または変動情報」に相当する。
そうすると、引用文献4には「インキキーの制御幅等の領域に関連付けられたプロセス変動又は欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報を保持するように構成されたデータベース」が開示されていると認められる。
しかしながら、引用文献4には、データベースが「個々の印刷用ブランケット」とプロセス変動又は欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報を保持することや、「プロセス変動」又は「欠陥または変動情報」のいずれか一方以外の「プロセス変動」又は「欠陥または変動情報」の他方や、「ズレ」、「異常」及び「色正確度」という複数種類の情報すべてを保持することは記載されていない。

(ク)してみると、引用文献3及び4にも、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は開示されていない。

(2)請求項2ないし5、7、8及び14
ア.本件訂正特許発明2ないし5、7、8及び14は、本件訂正特許発明1を引用し、さらに限定した発明である。

イ.そうすると、本件訂正特許発明2ないし5、7、8及び14も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(3)請求項17ないし19及び22ないし25
ア.上記「(1)ア.」における対比を踏まえて本件訂正特許発明17と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも、本件訂正特許発明17が「個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持する」のに対して、引用発明1はそのようなものではない点(以下「相違点4’」という。)において相違する。

イ.相違点4’は実質的に相違点4と同様の点であり、相違点4については上記「(1)イ.」で検討したとおりであるので、本件訂正特許発明17も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

ウ.本件訂正特許発明18、19及び22ないし25は、本件訂正特許発明17を引用し、さらに限定した発明である。

エ.そうすると、本件訂正特許発明18ないし20及び22ないし25も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(4)請求項26及び27
ア.本件訂正特許発明26と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも上記「(3)ア.」の相違点4’と同様の点において相違する。

イ.そうすると、本件訂正特許発明26も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

ウ.本件訂正特許発明27は、本件訂正特許発明26を引用し、さらに限定した発明である。

エ.そうすると、本件訂正特許発明27も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(5)請求項28
ア.本件訂正特許発明28と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも上記「(1)ア.」の相違点4と同様の点において相違する。

イ.そうすると、本件訂正特許発明28も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(6)請求項29
ア.本件訂正特許発明29と引用発明1とを対比すると、両者は少なくとも上記「(3)ア.」の相違点4’と同様の点において相違する。

イ.そうすると、本件訂正特許発明29も、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(7)請求項6
ア.本件訂正特許発明6は、本件訂正特許発明1を引用し、さらに限定した発明である。

イ.本件訂正特許発明1が、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認めらず、また、引用文献3にも、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が開示されていないことは、上記「(1)」に説示したとおりである。

ウ.そうすると、本件訂正特許発明6も、引用発明1及び2並びに引用文献3及び5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(8)請求項11ないし13及び16
ア.本件訂正特許発明11ないし13及び16は、本件訂正特許発明1を引用し、さらに限定した発明である。

イ.本件訂正特許発明1が、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認めらず、また、引用文献4にも、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が開示されていないことは、上記「(1)」に説示したとおりである。

ウ.そうすると、本件訂正特許発明11ないし13及び16は、引用発明1及び2並びに引用文献4ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(9)請求項21
ア.本件訂正特許発明21は、本件訂正特許発明17を引用し、さらに限定した発明である。

イ.本件訂正特許発明17が、本件訂正特許発明1と同様の理由により、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認めらないことは上記「(3)」に説示したとおりであり、また、引用文献4にも、上記相違点4に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項が開示されていないことは、上記「(1)」に説示したとおりである。

ウ.そうすると、本件訂正特許発明21は、引用発明1及び2並びに引用文献4ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(10)小括
以上のとおり、本件訂正特許発明1ないし5、7、8、14、17ないし19及び22ないし29は、引用発明1及び2並びに引用文献5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件訂正特許発明6は、引用発明1及び2並びに引用文献3及び5ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件訂正特許発明11ないし13、16及び21は、引用発明1及び2並びに引用文献4ないし7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、請求項15及び20は訂正により削除された。

5.特許異議申立理由の概要
(1)本件特許異議申立の理由の概要は以下のとおりである。

「本件特許発明1?29は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証?甲第29号証の記載事項ならびにこれらから導かれる周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるから、同法第113条第2号の規定に基づき取り消されるべきものである。」(特許異議申立書第42ページ第2?5行、平成30年8月13日付け上申書第59ページ第16?28行)

(2)申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。

甲第1号証 米国特許第3828668号明細書
(取消理由(決定の予告)における引用文献1)
甲第2号証 米国特許第4773326号明細書
甲第3号証 特開2002-86690号公報
甲第4号証 米国特許出願公開第2008/0292178号公報
甲第5号証 国際公開第02/095382号
甲第6号証 国際公開第2004/001285号
甲第7号証 米国特許第7220378号明細書
甲第8号証 米国特許第7227166号明細書
甲第9号証 米国特許第7394937号明細書
(取消理由(決定の予告)における引用文献2)
甲第10号証 米国特許第8014586号明細書
甲第11号証 米国特許第7773214号明細書
甲第12号証 米国特許第7667836号明細書
甲第13号証 独国実用新案第202004007783号明細書
甲第14号証 国際公開第2015/46119号
甲第15号証 米国特許第5591462号明細書
甲第16号証 米国特許第6948425号明細書
甲第17号証 米国特許第6634297号明細書
(取消理由(決定の予告)における引用文献3)
甲第18号証 米国特許第7444935号明細書
甲第19号証 米国特許第6227643号明細書
甲第20号証 米国特許第4498387号明細書
甲第21号証 米国特許出願公開第2001/0039889号公報
甲第22号証 米国特許第7313270号明細書
甲第23号証 米国特許出願公開第2005/199151号公報
甲第24号証 Nello Zuech、”Machine Vision in Printing Industry Applications”、2007年8月30日投稿
甲第25号証 欧州特許第3175987号明細書
甲第26号証 特開2007-144816号公報
(取消理由(決定の予告)における引用文献4)
甲第27号証 CognexPartnerTV、”Genex-OmniView animated demonstration”、<URL:https://youtube.com/watch?v=624nQpEaSLM>
甲第28号証 特開2010-249541号公報
甲第29号証 Applied Vision Corp.、”Tools for Color Measurement and Decoration Inspection for Canmakers”、2010年6月7日投稿

6.取消理由(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についての判断
上記「5.」の特許異議申立理由のうち、取消理由(決定の予告)で採用し上記「4.」で判断した以外の理由について判断する。

(1)請求項1ないし8、11ないし14、15ないし19及び21ないし29
ア.本件訂正特許発明1ないし8、11ないし14、15ないし19及び21ないし29と引用発明1とは、少なくとも上記「4.(1)ア.」に示した相違点4又は「4.(3)ア.」に示した相違点4’において相違する。

イ.相違点4については、上記「4.(1)」で検討したとおりであって、引用文献1ないし4には、上記相違点4又は相違点4’に係る本件訂正特許発明1の発明特定事項は開示されていない。

ウ.また、引用文献1ないし4として引用した甲第1号証、甲第9号証、甲第17号証及び甲第26号証以外の各甲号証にも、相違点4又は相違点4’に係る本件訂正特許発明1ないし8、11ないし14、15ないし19及び21ないし29の発明特定事項は開示されていない。
上記相違点4又は相違点4’に係る本件訂正特許発明1ないし8、11ないし14、15ないし19及び21ないし29の発明特定事項が、周知技術や設計的事項であるとする根拠もない。

エ.そうすると、本件訂正特許発明1ないし8、11ないし14、15ないし19及び21ないし29は、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証ないし甲第29号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(2)請求項9及び10
ア.請求項9
(ア)対比
上記「4.(1)ア.」における本件訂正特許発明1と引用発明1との対比を踏まえて、本件訂正特許発明9と引用発明1とを対比すると、両者は、
「円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
を備えるシステム。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点A]
本件訂正特許発明9が「個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システム」を備えるのに対して、引用発明1はそのような「検査システム」を有するものではない点。

[相違点B]
本件訂正特許発明9が「前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システム」を備えるのに対して、引用発明1はそのような「制御システム」を有するものではない点。

[相違点C]
本件訂正特許発明9においては、「検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される」のに対して、引用発明1はそのような「検査システム」を有するものではなく、相関器ディスク上においては「ピン」の上に「缶体」が位置するものの、隣接する「缶体」の長い円対称軸が、その隣接する「缶体」のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるものでもない点。

(イ)検討
まず上記相違点Cについて検討する。

a.甲第28号証
本件特許の優先日前に頒布された刊行物である甲第28号証には、図面と共に次の事項が記載されている

「【0033】
以下、本発明に係る缶体検査装置及び缶体検査方法の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は缶体1の製造ラインの一部であって、缶体検査工程に係る工程部分を示している。本実施形態に係る缶体検査装置100はこのラインの一部に組み込まれている。
なお、本実施形態において検査対象となる缶体1は、金属板に絞り・しごき加工(DI加工)を施すことで成型した、円筒状をなす胴部1aの一端に底部を1bを備えた有底筒状をなすものである。
【0034】
図1に示すようにライン最上流部には、前工程から多列状態にて運搬されてきた缶体1を単列状態に整列させる導入路2が配備されている。この導入路2を通過した缶体1は、該導入路2の下流側に設けられたターレットインデックス装置3に送り込まれる。また、ターレットインデックス装置3の下流側には、缶体1を次工程へと一つずつ搬出する搬出路4が配備されている。
【0035】
ターレットインデックス装置3は、缶体1を開口部が上向きになるように保持した状態で搬送する装置であって、ラインの上流側から下流側に向かって連続するようにして並設された7つのターレット10から構成されている。
【0036】
このターレット10は、詳しくは図2に示すように、回転軸Oを中心とした一定の厚みを有する概略円盤形状をなしており、その外周部に等間隔を空けて複数(本実施形態では8つ)の缶体保持凹部11が形成されている。この缶体保持凹部11は、外周側から径方向内側に向かって凹むとともにターレット10の両端面に亙って回転軸Oと平行に延びる凹溝状をなしている。
【0037】
この缶体保持凹部11の底部には、缶体1を吸着可能な吸着部12が設けられている。この吸着部12の表面には、ターレット10内部に形成された吸引路(図2にて図示省略)12aが開口しており、当該吸引路12aがターレット10外部の空気を吸引することで、缶体1が吸着部12に対して吸着されるようになっている。
【0038】
この吸着部12の形状は、所定の曲率半径Rを有して回転軸Oに平行に延びる凹面状をなしており、上記曲率半径Rは、缶体1の胴部1aの外周面の半径と一致している。また、この吸着部12の軸線に直交する断面における長さ、即ち、吸着部12が形成する円弧線の長さは、缶体1の胴部1aにおける外周面の周方向の長さの5%?45%とされている。これにより、吸着部12に缶体1の胴部1aが吸引された際には、該缶体1の胴部1aの周方向5%?45%の部分が吸着部12表面に密着し、缶体1の胴部1aの軸線が吸着部12の曲率半径Rの中心軸kに一致することになる。」

上記の記載事項を総合すると、甲第28号証には、次の事項(以下「甲28記載事項」という。)が記載されているものと認められる。

「缶体の製造ラインの一部である缶体検査工程に係る工程部分において、導入路を通過した缶体は、該導入路の下流側に設けられたターレットインデックス装置に送り込まれ、ターレットインデックス装置は、缶体を開口部が上向きになるように保持した状態で搬送する装置であって、ラインの上流側から下流側に向かって連続するようにして並設された7つのターレットから構成されており、ターレットは、回転軸を中心とした概略円盤形状をなしており、その外周部に等間隔を空けて複数の缶体保持凹部が形成されており、缶体保持凹部の底部には、缶体を吸着可能な吸着部が設けられており、吸着部に缶体の胴部が吸引された際には、缶体の胴部の軸線が吸着部の曲率半径の中心軸に一致する点。」

b.甲28記載事項の「缶体検査工程」は本件訂正特許発明9の「検査システム」に相当し、同様に「缶体」は「円筒状容器」に相当する。

c.本件訂正特許発明9の「ピンチェーン」は、本件特許明細書の段落【0010】に「ピンチェーンは、その長さに沿って連続的に、5.25インチごとに金属ピンを有する#60ローラチェーンである。ピンチェーンの目的は、乾いていない缶をデコレータから運び出して、乾いていない外装コーティングを「硬化」させるのに十分な熱を与えるオーブンの中に、乾いていない缶を通過させることである。」と記載されていることからみて、「缶」すなわち「円筒状容器」を搬送する装置であるところ、甲28記載事項の「ターレットインデックス装置」は「缶体を開口部が上向きになるように保持した状態で搬送する装置」であるから、本件訂正特許発明9の「ピンチェーン」と甲28記載事項の「ターレットインデックス装置」とはともに円筒状容器を搬送する装置であるといえる。

d.しかしながら、甲28記載事項の「ターレットインデックス装置」においては、「ターレットは、回転軸を中心とした概略円盤形状をなしており、その外周部に等間隔を空けて複数の缶体保持凹部が形成されており、缶体保持凹部の底部には、缶体を吸着可能な吸着部が設けられており、吸着部に缶体の胴部が吸引された際には、缶体の胴部の軸線が吸着部の曲率半径の中心軸に一致する」のだから、それぞれの缶体の胴部の軸線はターレットの回転軸と平行であり、その結果、隣接する缶体についても、缶体の胴部の軸線は平行になっているものと認められる。

e.そうすると、甲28記載事項は、上記相違点Cに係る本件訂正特許発明9の発明特定事項を備えるものではない。
また、甲第28号証以外の各甲号証にも、上記相違点Cに係る本件訂正特許発明9の発明特定事項は開示されていない。
さらに、上記相違点Cに係る本件訂正特許発明9の発明特定事項が、周知技術や設計的事項であるとする根拠もない。

(ウ)まとめ
してみると、他の相違点について検討するまでもなく、本件訂正特許発明9は、甲第1号証ないし甲第29号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

イ.請求項10
(ア)本件訂正特許発明10は、本件訂正特許発明9を引用し、さらに限定した発明である。

(イ)そうすると、本件訂正特許発明10も、本件訂正特許発明9と同様の理由により、甲第1号証ないし甲第29号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとは認められない。

(3)小括
以上のとおり、本件訂正特許発明1ないし14、16ないし19及び21ないし29は、甲第1号証に記載の発明、甲第2号証ないし甲第29号証に記載された事項及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、請求項15及び20は訂正により削除された。

第5 むすび

以上のとおり、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに異議申立人が申し立てた理由及び証拠によっては、本件訂正特許発明1ないし14、16ないし19及び21ないし29に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正特許発明1ないし14、16ないし19及び21ないし29に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件訂正請求による訂正が認められることにより、本件特許異議の申立ての対象である請求項15及び20が削除されて存在しないこととなる結果、本件特許の請求項15及び20についての特許異議の申立ては、不適法なものであって、その補正をすることができないものとなるから、特許法第120条の8第1項において準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、カメラ画像検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと、
個々の印刷用ブランケットのそれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログ、を保持するように構成されたデータベースと、
を備える
システム。
【請求項2】
前記欠陥又は変動情報に基づいて個々のマンドレルの自動調整を図るための、各マンドレル用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各マンドレル用の調整可能な構成部品をさらに備え、個々のマンドレルの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記欠陥又は変動情報に基づいてホイールの自動調整を図るため、前記印刷用ブランケットホイール用又は個々の印刷用ブランケット用のモータ又はサーボ系をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、手動式であって、前記欠陥又は変動情報に基づく調整である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記個々のマンドレル、前記印刷用ブランケットホイール又は個々の印刷用ブランケットの調整は、印刷中の前記個々の円筒状容器への圧力の調整を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記円筒状容器は缶である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記検査システムは、部品検出光センサ、ポジション・ワン・センサ、近接センサ、カウンタおよびエンコーダのうち少なくとも1つからのデータに基づいて、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するための、識別モジュールを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するためのシステムであって、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能する、マンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを印刷するように機能する、印刷用ブランケットホイールと、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を検査するように機能する検査システムであって、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、当該システムの修正を図るように機能する、制御システムと、を備え、
前記検査システムは、撮像される円筒状容器の長い円対称軸が、その隣接する円筒状容器のうち少なくとも1つと実質的に非平行となるようにピンチェーンが構成されているところに、配置される、
システム。
【請求項10】
検査されているときの円筒状容器は、その直接隣接する円筒状容器の両方と、5度より大きく平行から外れている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報をオペレータに伝達するように機能する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報の一部の側面を、ビデオディスプレイ上でグラフィカルに伝達する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御システムは、前記欠陥又は変動情報に基づいて、当システムの修正調整のための提案をオペレータに伝達するように機能するビデオ検査制御システムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御システムは、当システムが盛んに印刷を行っている間に、リアルタイムで円筒状容器を検査するが、該検査データを利用してプロセスへの変更を勧告する前に、観測されたプロセス変動のいずれかが統計的に有意であるかどうか判断するための、アルゴリズムを採用している、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
(削除)
【請求項16】
前記ログはセキュアログである、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
円筒状容器の周面上でのパターンの印刷を制御する方法であって、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷することと、
前記個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含み、個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、カメラ画像検査システムによって、前記円筒状容器を前記画像に基いて検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、欠陥又は変動情報を、前記検査システムによって、生成することと、
欠陥または変動情報に基づいて当該印刷の修正のための個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブランケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、
を含む
方法。
【請求項18】
前記円筒状容器は金属缶である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記検査は、印刷が盛んに行われている間にリアルタイムで行われ、欠陥情報が略即時に提供される、請求項17?18のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項20】
(削除)
【請求項21】
前記処理は、オペレータに通知することを含む、請求項17?19のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項22】
前記印刷を手動で修正することをさらに含む、請求項17?19および21のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項23】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを手動で調整することを含む、請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項24】
前記印刷を自動で修正することをさらに含む、請求項17?19および21?21のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項25】
前記個々のマンドレル又は前記印刷用ブランケットを自動で調整することを含む、請求項17?19および21?22のいずれかひとつに記載の方法。
【請求項26】
缶修飾機における円筒状の缶胴の周面上でのパターンの印刷を制御及び最適化する方法であって、
印刷後直ぐに生産速度で各缶胴の周面の全周の画像を検査するための複数のカメラと個々の撮像される缶の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の缶胴の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムに缶修飾機が一体的に接続されること、
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持された個々の缶の周面に、速度同期した印刷用ブランケットホイールに保持された印刷用ブランケットと転がり接触させることにより、パターンを毎分900個の缶を超える速度で印刷することと、
円対称照明モジュールがストロボ照射している間に自動カメラ検査システムが有する複数のカメラによって、個々の缶胴のそれぞれの周面の全周の画像を得ることと、
前記個々の缶胴に印刷されたパターンに可視欠陥又は変動がないか、自動カメラ検査システムによって、個々の缶を画像に基いて検査することと、
前記缶装飾機において個々の缶と関係した個々のマンドレル、印刷用ブランケット、色、及び他の機械構成部品のうち、少なくとも1つを特定することと、
装飾プロセスを更に最適化又は修正するために必要とされ得る特定の機械構成部品の個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは他の機械部品に関連する調整に関連した欠陥又は変動情報を、生成及び関連付けすることと、
前記調整が必要な特定の機械構成部品への推奨調整を自動で実行するように機能する制御システムに対して、電気信号を送ることと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも1つのデータベースに保持することと、
を含む
方法。
【請求項27】
定められた変更によって実際にプロセス変動が適切に修正されたことを検証するために、その行われた変更に関連する装飾された缶をチェックする追加ステップを実行し、
定められた変更によって装飾が修正されなかった場合には、装飾プロセスを更に最適化するために、更なる変更を勧告し、
装飾を更に最適化するための前記勧告された変更を自動で実行するため、前記制御システムに対して更なる電気信号を送る、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
円筒状容器の周面にパターンを印刷するための印刷システムに用いられる検査および制御システムであって、
前記印刷システムは、
複数のマンドレルがその上に配置されたマンドレルホイールであって、該マンドレルホイールの周囲に沿って各マンドレルが個々の円筒状容器を保持するように機能するマンドレルホイールと、
複数の印刷用ブランケットがその上に配置された印刷用ブランケットホイールであって、該印刷用ブランケットホイールは調整可能であり、各印刷用ブランケットが前記マンドレルホイールの各マンドレルによって保持された個々の円筒状容器の周面にパターンを毎分900個の容器を超える速度で印刷するように機能する印刷用ブランケットホイールとを備えるものであり、
前記検査および制御システムは、
個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために、個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取るように複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムであって、個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥又は変動がないか、前記円筒状容器を画像検査するように機能し、個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルと、その個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットとを特定するように機能し、さらに、欠陥又は変動情報を生成するように機能する、自動カメラ検査システムと、
前記欠陥又は変動情報を受け取って、前記印刷システムの修正を図るように機能する、制御システムであって、欠陥または変動情報に基づいて当該印刷システムの修正のための個々のマンドレル、対応する印刷用ブランケットまたは印刷用ブランケットホイールに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムと
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、保持するように構成されたデータベースと、
を備える検査および制御システム。
【請求項29】
マンドレルホイールが有する複数のマンドレルの夫々によって保持される個々の円筒状容器の周面へのパターンの毎分900個の容器を超える速度での印刷を制御する方法であって、
個々の円筒状容器に印刷されたパターンに欠陥または変動がないか、
個々の円筒状容器の周面の全周の画像を得るために個々の撮像される円筒状容器の周囲に位置取った複数のカメラと個々の撮像される円筒状容器の上方に鏡面反射を防ぐように取り付けられた円対称照明モジュールとを含んでなり、且つ個々の円筒状容器の周面の全周の画像が、色画像、綴じ合わされた画像および再構成画像のうちの少なくとも一つである、自動カメラ検査システムによって、前記円筒状容器を画像検査することと、
個々の円筒状容器を保持していた個々のマンドレルまたはその個々の円筒状容器に印刷を施した対応する印刷用ブランケットを、前記自動カメラ検査システムによって、特定することと、
検出された欠陥又は変動と、前記特定したことに基づいて、前記自動カメラ検査システムによって、欠陥又は変動情報を生成することと、
欠陥または変動情報に基づいてパターン印刷の修正のため個々のマンドレルまたは対応する印刷用ブランケットに関連する調整の提案を提供するように機能する、制御システムによって、パターン印刷の修正を図るために、前記欠陥又は変動情報を処理することと、
個々の印刷用ブランケットのぞれぞれに関連付けられたプロセス変動、ズレ、異常、色正確度及び欠陥または変動情報を相互に関連付ける情報、および欠陥又は変動情報、発せられた警告、統計的傾向表示、変動のタイムスタンプ、調整の提案、提案に従って自動調整が実行されたことの検証のうち少なくとも1つのログを、少なくとも一つのデータベースに保持することと、
を含む
方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2020-04-16 
出願番号 特願2013-535059(P2013-535059)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (B41F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 藏田 敦之  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 森次 顕
藤本 義仁
登録日 2017-07-28 
登録番号 特許第6181556号(P6181556)
権利者 プレスコ テクノロジー インコーポレーテッド
発明の名称 デコレータ構成部品の識別及びその選択調整のための方法及びシステム  
代理人 小林 純子  
代理人 小林 浩  
代理人 菊間 忠之  
代理人 中村 佳正  
代理人 菊間 忠之  

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