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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06K |
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管理番号 | 1363382 |
審判番号 | 不服2019-1793 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-02-08 |
確定日 | 2020-07-07 |
事件の表示 | 特願2014-181691「コード画像表示システム、コード画像表示方法、及びコード画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月21日出願公開、特開2016- 57707、請求項の数(22)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成26年9月5日の出願であって,平成30年5月29日付けで拒絶理由通知がされ,平成30年8月6日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成30年8月24日付けで拒絶理由通知がされ,平成30年10月29日に意見書が提出されるとともに手続補正がされ,平成30年11月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,平成31年2月8日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 原査定の概要 原査定(平成30年11月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願の請求項1ないし24に係る発明は,以下の引用文献1ないし3に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引 用 文 献 等 一 覧 引用文献1.特開2007-122351号公報 引用文献2.特開2006-204410号公報 引用文献3.特開2012-83881号公報 第3 本願発明 本願請求項1ないし22に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明22」という。)は,平成31年2月8日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし22に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりのものである。 「【請求項1】 図形を表示可能な表示部と、 前記表示部を保持するケースと、 前記表示部が前記ケースに組み付けられてなる装置本体の外部からなされた外部動作を検出する外部動作検出部と、 複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形、又は情報コードを模した形で複数種類の基本パターンが配列された図形、のいずれかのコード図形が前記表示部に表示されている状態で、前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる少なくとも一部の前記基本パターンの表示状態を変化させるように前記表示部を制御する変化制御部と、 前記変化制御部の制御によって前記コード図形の表示状態が変化した後、変化前の前記コード図形とは異なる別図形を表示させるように前記表示部を制御する再表示制御部と、 前記装置本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、 を備え、 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記姿勢検出部によって検出された前記装置本体の姿勢に応じた表示状態に変化させ、 前記再表示制御部は、前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コードを表示させるように前記表示部を制御する構成であり、 前記コード図形及び前記別の情報コードは、QRコードと同様のファインダパターンが同じ隅部に配置されるように形成されることを特徴とするコード画像表示システム。 【請求項2】 前記別の情報コードは、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域と、前記データ記録領域にデータを記録する方法とは異なる方法でデータの記録又はデザインの表示の少なくともいずれかがなされる特殊領域とが、所定のコード領域内に設けられた構造であることを特徴とする請求項1に記載のコード画像表示システム。 【請求項3】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる複数の前記基本パターンが流れる表示状態となるように前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコード画像表示システム。 【請求項4】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる複数の前記基本パターンが分散する表示状態となるように前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項5】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる複数の前記基本パターンが当該コード図形の四方に分散する表示状態となるように前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項4に記載のコード画像表示システム。 【請求項6】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によて前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる前記複数の前記基本パターンが消滅する表示状態、又は少なくともいずれかの種類の前記基本パターンの色彩又は濃度又は輝度が変化する表示状態、の少なくともいずれかの状態となるように、前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項7】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の外形が変化する表示状態、又は前記コード図形が分割する表示状態、の少なくともいずれかの状態となるように、前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項8】 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、少なくとも一部の前記基本パターンが集合する表示状態となるように、前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項9】 前記外部動作検出部は、前記装置本体から離れた位置でなされた前記外部動作を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項10】 前記外部動作検出部は、前記装置本体に吹き付けられた息を検出する息検出部を有し、 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記息検出部によって息が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を変化させることを特徴とする請求項9に記載のコード画像表示システム。 【請求項11】 前記息検出部は、前記装置本体に吹き付けられた息の強さ又は息の方向の少なくともいずれかを検出可能とされており、 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記息検出部によって息が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記息検出部によって検出された息の強さ又は息の方向の少なくともいずれかに応じた表示状態に変化させることを特徴とする請求項10に記載のコード画像表示システム。 【請求項12】 前記息検出部は、前記装置本体に設けられた1又は複数のマイクを有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載のコード画像表示システム。 【請求項13】 前記息検出部は、前記装置本体における前記表示部の表示側に配置されたタッチパネルを有することを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項14】 前記外部動作検出部は、前記装置本体に対する衝撃を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項15】 前記外部動作検出部は、前記装置本体における前記表示部の表示側の外面部に対する接触動作を検出可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項16】 前記外部動作検出部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外面部に対する前記接触動作が検出された場合に、前記表示部に表示される表示画像において前記接触動作に対応する位置を基点とし、当該基点から前記コード図形に含まれる前記基本パターンを分散させる表示を行うことを特徴とする請求項15に記載のコード画像表示システム。 【請求項17】 前記外部動作検出部は、前記外面部に対してなされる接触滑動動作を検出可能に構成されており、 前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外面部に対する前記接触滑動動作が検出された場合に、前記接触滑動動作での動作方向に前記基本パターンを流すように前記コード図形に含まれる前記基本パターンを分散させる表示を行うことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のコード画像表示システム 。 【請求項18】 前記コード図形は、写真又は絵柄の少なくともいずれかを含んだデザイン画像の一部がいずれかの種類の前記基本パターンによって隠された形で表されたものであり、 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記デザイン画像の一部を隠していた前記基本パターンを除去又は変化させる処理を行い、前記デザイン画像の表示面積を拡大する明瞭化処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項19】 前記装置本体に設けられると共に、前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に所定範囲の静止画又は動画を撮影する撮影部と 前記装置本体に設けられると共に、前記撮影部によって撮影された撮影画像を前記装置本体とは異なる外部装置に送信する送信部と、 を備え、 更に、前記装置本体又は前記装置本体とは異なる別端末に設けられ、前記別の情報コードを読み取り可能な読取部と、 前記読取部によって前記別の情報コードが読み取られた場合に、前記読取部が設けられた端末において前記撮影画像を表示する撮影画像表示制御部と、 を有することを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のコード画像表示システム。 【請求項20】 図形を表示可能な表示部と、前記表示部を保持するケースと、を備え、前記表示部が前記ケースに組み付けられて装置本体が構成される表示端末を用いた表示方法であって、 複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形、又は情報コードを模した形で複数種類の基本パターンが配列された図形、のいずれかのコード図形が前記表示部に表示されている状態で前記装置本体の外部から所定の外部動作がなされた場合に、外部動作検出部によって前記外部動作を検出するステップと、 前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる少なくとも一部の前記基本パターンの表示状態を変化させるように変化制御部によって前記表示部を制御するステップと、 前記変化制御部によって前記コード図形の表示状態を変化させるステップがなされた場合に、前記変化制御部の制御によって前記コード図形の表示状態が変化した後、変化前の前記コード図形とは異なる別図形を表示させるように再表示制御部によって前記表示部を制御するステップと、 姿勢検出部によって前記装置本体の姿勢を検出するステップと、 を備え、 前記変化制御部によって前記表示部を制御するステップでは、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記姿勢検出部によって検出された前記装置本体の姿勢に応じた表示状態に変化させるように前記表示部を制御し、 前記再表示制御部によって前記表示部を制御するステップでは、前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コードを表示させるように前記表示部を制御し、 前記コード図形及び前記別の情報コードは、QRコードと同様のファインダパターンが同じ隅部に配置されるように形成されることを特徴とするコード画像表示方法。 【請求項21】 前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記装置本体に設けられた撮影部によって所定範囲の静止画又は動画を撮影するステップと、 前記撮影部によって静止画又は動画が撮影された場合に、その撮影された撮影画像を、前記装置本体に設けられた送信部によって前記装置本体とは異なる外部装置に送信するステップと、 前記表示部に表示された又は前記表示部とは異なる媒体に表示された前記別の情報コードを、前記装置本体又は前記装置本体とは異なる別端末に設けられた読取部によって読み取るステップと、 前記読取部によって前記別の情報コードが読み取られた場合に、撮影画像表示制御部により、前記読取部が設けられた端末において前記撮影画像を表示するステップと、 を含むことを特徴とする請求項20に記載のコード画像表示方法。 【請求項22】 図形を表示可能な表示部と、 前記表示部を保持するケースと、 前記表示部が前記ケースに組み付けられてなる装置本体の外部からなされた外部動作を検出する外部動作検出部と、 複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形、又は情報コードを模した形で複数種類の基本パターンが配列された図形、のいずれかのコード図形が前記表示部に表示されている状態で、前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形に含まれる少なくとも一部の前記基本パターンの表示状態を変化させるように前記表示部を制御する変化制御部と、 前記変化制御部の制御によって前記コード図形の表示状態が変化した後、変化前の前記コード図形とは異なる別図形を表示させるように前記表示部を制御する再表示制御部と、 前記装置本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、 を備え、 前記変化制御部は、前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記姿勢検出部によって検出された前記装置本体の姿勢に応じた表示状態に変化させ、 前記再表示制御部は、前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コードを表示させるように前記表示部を制御する構成であり、 前記コード図形及び前記別の情報コードは、QRコードと同様のファインダパターンが同じ隅部に配置されるように形成されることを特徴とするコード画像表示装置。」 第4 引用文献,引用発明等 1.引用文献1について 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された,特開2007-122351号公報(以下,これを「引用文献1」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審により付与。以下同じ。) a.「【発明の効果】 【0007】 本発明に係る携帯端末は、上述の構成を備えることにより、画像を読み込む側の携帯端末は、画像を読み込むことができた場合に特定の音を発して読込めたことを伝えることができるので、画像を表示する側は、読込まれたことを確認してから次の画像を表示することができるようになる。 従って、連続する複数の画像データを読み込む場合に、読み飛ばしが発生することがないので、確実にすべての画像を読み込むことが出来るようになる。」 b.「【0021】 以下、本発明の実施形態に係る画像読取システムについて説明する。 <構成> 図1は、画像読取システムの構成例を表す図である。 携帯電話機1000は、画像を送信する側であり、携帯電話機2000は、画像を受信する側である。 【0022】 簡単に動作を説明すると、携帯電話機1000は、ディスプレイ1710に送信するQRコードを表示しており、携帯電話機2000は、備え付けのカメラ2610で、表示中のQRコードを読む込み、読み込みと同時に、読込完了通知のシャッター音を発する。このシャッター音を携帯電話機1000のマイク1610が拾い、次のQRコードをディスプレイ1710に表示する。 【0023】 この繰り返しによって、複数のQRコードを順次読込んでいく。 図2は、本発明にかかる携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。 まず、画像送信側の携帯電話機1000から説明し、次に画像受信側の携帯電話機2000を説明する。尚、携帯電話機の一般的な機能、例えば、基地局と無線通信を行なう機能部、などは当然備えるが、図示していない。」 c.「【0024】 <携帯電話機1000> 携帯電話機1000は、操作部1100、制御部1200、表示制御部1300、QRコード記憶部1400、シャッター音記憶部1500、音声検知部1600及び表示部1700から構成される。 まず、操作部1100は、テンキー等のボタンを含み、それらの押下等の操作を検知し、制御部1200に通知する機能を有する。 【0025】 制御部1200は、図示しないCPU、メモリ等を備え、通信制御等、携帯電話機に必要な一般的な制御処理を行う他、本発明に特有の制御処理を行う。 また、表示部1700は、液晶等のディスプレイ1710を含み、表示制御部1300から依頼された画像等を表示する機能を有する。 表示制御部1300は、QRコード記憶部1400から、次に表示するQRコードを読出し、表示部1700にその表示を依頼する機能を有する。 【0026】 音声検知部1600は、自機外部の音を検知する機能を有する。また、制御部1200の指示に応じて、検知した音をシャッター音記憶部1500に記憶させる機能と、検知した音がシャッター音記憶部1500に記憶されている音と同じか否か判断する機能とを有する。 シャッター音記憶部1500は、次のQRコードを表示する合図となる音を記憶する機能を有する。 【0027】 本実施形態では、予め、携帯電話機2000のシャッター音を音声検知部1600がシャッター記憶部1500に記憶させてあるものとする。 次に、QRコード記憶部1400は、QRコードを記憶している。記憶しているQRコードの詳細を、図4を用いて以下に説明する。 図4は、連続するQRコードの例を表す図である。 【0028】 本実施形態では、交換するデータである文字データ10を、予め、複数のQRコード(30、31?32)に変換してあるものとする。 ここでは、文字データ10は、1つのQRコードでは収まらない量であるものとする。それを分割して複数の分割データ(20、21?22)を作成し、その分割データには、その分割の順番を示す情報を付加する。 【0029】 例えば、分割データ20の順番201は「1」番目であり、分割データ21の順番211は「2」番目である等である。 また、最後の分割データ22の順番221には、最後の分割データである旨のコードが入っているものとする。例えば、「END」である。 これらのQRコードの表示順序は、QRコード記憶部1400が管理しているものとする。」 d.「【0034】 この画像を自動で読み込んだ場合にも、ユーザがシャッターを押した場合と同様に、シャッター音が鳴るものとする。ここで制御部1100等の各部による各処理の全部または一部は、CPUが各種プログラムを実行することにより実現されるものである。 <動作> 以下、上述した画像読取システムの動作について図3を用いて説明する。 【0035】 図3は、携帯電話機1000と携帯電話機2000の処理を示すフローチャートである。 まず、QRコードを表示する側の携帯電話機1000のユーザは、表示するQRコードを指定し、表示を指示する。QRコードの指定は、例えば、QRコード記憶部1400に記憶されているQRコードの一覧をディスプレイ1710に表示し、カーソルで選択する。 【0036】 操作部1100は、表示するQRコードの指定を受け付け、制御部1200に通知する(ステップS100)。 通知を受取った制御部1200は、表示制御部1300に指定されたQRコードの表示を依頼し、音声検知部1600にシャッター音の検知を依頼する。 QRコードの表示依頼を受けた表示制御部1300は、該当するQRコードの最初のQRコードをQRコード記憶部1400から読出し、表示部1700に表示依頼をする。 【0037】 表示依頼を受けた表示部1700は、ディスプレイに最初のQRコードを表示する(ステップS110)。 一方、QRコードを読み取る側の携帯電話機2000では、ユーザはQRコードの読み取りを指示する。例えば、メニューから「QRコード読取」を選択する等で指示する。 操作部2100は、QRコード読取指示があった旨を制御部2200に通知し(ステップS200)、通知を受けた制御部2200は、撮像部2600にQRコードの撮影を依頼する。 【0038】 QRコードの撮影を依頼された撮像部2600は、撮影される画像がQRコードであると確認できたら画像4000を取り込み、画像比較部2300に送る(ステップS210)。 それと同時に、音源部2500に対して、シャッター音を出すように指示し、指示を受けた音源部2500は、シャッター音3000を発音する(ステップS220)。 【0039】 撮影したQRコードの画像を撮像部2600から受取った画像比較部2300は、逆変換して分割データを作成し、1つ前に撮影して画像記憶部2400に記憶してある分割データと同じか否かを判断する(ステップS230)。 同じであった場合(ステップS230:YES)には、その旨を制御部2200に伝え、制御部2200は、撮像部2600にQRコードの撮影を依頼する(ステップS210)。すなわち、今読込んだQRコードは、直前に読込んだQRコードと同じであったため、保存しない。 【0040】 また、QRコードが異なっていた場合(ステップS230:NO)には、画像比較部2300は、今撮影したQRコードの分割データを画像記憶部2400に記憶する(ステップS240)。 さらに、画像比較部2300は、今撮影したQRコードが最後のQRコードか否かを判断し、制御部2200にその旨を通知する。この判断は、分割データの順番221が「END」である場合に、最後であると判断する。 【0041】 最後のQRコードである旨(ステップS250:無)を通知された制御部2200は、QRコードの読取処理を終了する処理を行う。この終了処理では、記憶されている分割データをつなげて、文字データとする処理などを行う。 また、最後のQRコードではない旨(ステップS250:有)を通知された制御部2200は、撮像部2600にQRコードの撮影を依頼する(ステップS210)。 【0042】 一方、QRコードを表示する側の携帯電話機1000では、制御部1200からシャッター音の検知を依頼された音声検知部1600が、外部で音が鳴るのを待っており、音を拾ったら、その音とシャッター音記憶部1500に記憶されているシャッター音とを比較し、同じ音を拾うまで、待ち続ける(ステップS120:NO)。 拾った音と記憶するシャッター音とが同じであった場合(ステップS120:YES)には、その旨を制御部1200に通知する。 【0043】 通知を受けた制御部1200は、表示制御部1300に次のQRコードの表示を依頼する。 依頼を受けた表示制御部1300は、次のQRコードをQRコード記憶部から読み出して表示部1700に表示依頼を行う(ステップS140:有)。 読み出すQRコードがない場合、すなわち、最後のQRコードまでを表示した場合(ステップS140:無)には、その旨を制御部1200に返し、制御部1200は、QRコードの表示処理を終了する処理を行う。」 e.「 」 f.「 」 g.「 」 ・上記b.の段落【0021】及び図1(上記e.)によれば,引用文献1には,“画像を送信する側である携帯電話機1000と,画像を受信する側である携帯電話機2000からなる画像読取システム”が記載されている。 ・上記c.の段落【0024】には,“携帯電話機1000は,操作部1100,制御部1200,表示制御部1300,QRコード記憶部1400,シャッター音記憶部1500,音声検知部1600及び表示部1700から構成される”ことが記載されている。 ・上記c.の段落【0025】には,“制御部1200は,通信制御等,携帯電話機に必要な一般的な制御処理を行う他,特有の制御処理を行う”ものであること,また,“表示部1700は,液晶等のディスプレイ1710を含み,表示制御部1300から依頼された画像等を表示する機能を有する”ものであること,さらに,“表示制御部1300は,QRコード記憶部1400から,次に表示するQRコードを読出し,表示部1700にその表示を依頼する機能を有する”ことが記載されている。 ・上記c.の段落【0026】には,“音声検知部1600は,自機外部の音を検知する機能を有し,また,制御部1200の指示に応じて,検知した音をシャッター音記憶部1500に記憶させる機能と,検知した音がシャッター音記憶部1500に記憶されている音と同じか否か判断する機能とを有する”ことが記載されている。 ・上記c.の段落【0027】には,“QRコード記憶部1400は,QRコードを記憶する”ことが,また,段落【0028】及び図4(上記g.)には記憶しているQRコードの例として,“文字データ10が,1つのQRコードでは収まらない量の際には、それを分割して複数の分割データ(20,21?22)を作成し,これらを複数のQRコード(30,31?32)に変換し記憶する”ことが記載されている。 してみると,引用文献1には,QRコード記憶部1400は,1つのQRコードでは収まらない量の文字データ10を複数のQRコード(30、31?32)に変換して記憶するものであることが記載されているといえる。 ・上記d.の段落【0037】及び図3(上記f.)には,“携帯電話機1000のディスプレイ1710に最初のQRコードを表示する”ことが,また,段落【0037】,【0038】には,“携帯電話機2000では,撮像部2600でQRコードを撮像し,撮影された画像がQRコードであると確認できたら,シャッター音3000を発音する”こと,さらに,段落【0042】,【0043】には,“携帯電話機1000では音声検知部1600で拾った音と記憶するシャッター音とが同じであった場合には,その旨を制御部1200に通知し,通知を受けた制御部1200は,表示制御部1300に次のQRコードの表示を依頼し,依頼を受けた表示制御部1300は,次のQRコードをQRコード記憶部から読み出して表示部1700に表示依頼を行う”ことが記載されている。 ・上記a.には,引用文献1では,“連続する複数の画像データを読み込む場合に,読み飛ばしが発生することがないので,確実にすべての画像を読み込むことが出来るようになる”ことが記載されている。 したがって,上記引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されている。 「画像を送信する側である携帯電話機1000と,画像を受信する側である携帯電話機2000からなる画像読取システムにおける携帯電話機1000であって, 携帯電話機1000は,操作部1100,制御部1200,表示制御部1300,QRコード記憶部1400,シャッター音記憶部1500,音声検知部1600及び表示部1700から構成され, 制御部1200は,通信制御等,携帯電話機に必要な一般的な制御処理を行う他,特有の制御処理を行うものであり, 表示部1700は,液晶等のディスプレイ1710を含み,表示制御部1300から依頼された画像等を表示する機能を有するものであり, 表示制御部1300は,QRコード記憶部1400から,次に表示するQRコードを読出し,表示部1700にその表示を依頼する機能を有するものであり, 音声検知部1600は,自機外部の音を検知する機能を有し,また,制御部1200の指示に応じて,検知した音をシャッター音記憶部1500に記憶させる機能と,検知した音がシャッター音記憶部1500に記憶されている音と同じか否か判断する機能とを有するものであり, QRコード記憶部1400は,1つのQRコードでは収まらない量の文字データ10を複数のQRコード(30,31?32)に変換して記憶するものであって, 携帯電話機1000のディスプレイ1710に最初のQRコードを表示し,携帯電話機2000で,撮像部2600でQRコードを撮像し,撮影される画像がQRコードであると確認できたら,シャッター音3000を発音し,そして,携帯電話機1000では音声検知部1600が拾った音と記憶するシャッター音とが同じであった場合には,その旨を制御部1200に通知し,通知を受けた制御部1200は、表示制御部1300に次のQRコードの表示を依頼し,依頼を受けた表示制御部1300は,次のQRコードをQRコード記憶部から読み出して表示部1700に表示依頼を行い, 連続する複数の画像データを読み込む場合に,読み飛ばしが発生することがなく,確実にすべての画像を読み込むことが出来る携帯電話機1000。」 2.引用文献2について 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された特開2006-204410号公報(以下,これを「引用文献2」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 a.「【0074】 図4は、操作者がマイク34に息を吹きかけることで、複数の雲C1?C4を吹き飛ばしている途中の状態を示す。これらの雲Cは、(初速L×息の強さS/ベクトルAの大きさ)で、ベクトルAの向きに平行に移動する。ベクトルAは、基準点105から雲Cの中心位置に向かうベクトルである。この処理の詳細については、図10等を参照して後述する。」 3.引用文献3について 本願の出願日前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された特開2012-83881号公報(以下,これを「引用文献3」という。)には,図面とともに次の事項が記載されている。 a.「【0085】 本実施形態において、情報処理端末200は、上記平面ビューと側面ビューを切り替えて表示部11に表示することが可能である。上記斜めビューは本実施形態の説明を分かりやすくするために便宜上図示したものである。しかし、情報処理端末200が当該斜めビューを表示可能であってもよい。デフォルトのビューは例えば平面ビューとされ、当該平面ビュー上で、アイコン1を介した各コンテンツの起動操作が実行される。平面ビューが表示された状態で、ユーザが情報処理端末200を例えば表示部11の水平方向の軸回りに所定角度以上傾ける(回転させる)と、上記センサ20が当該傾きを検出してCPU15へ出力し、CPU15はそれに応じて平面ビューを側面ビューへ切り替えるように表示部11を制御する。情報処理端末200がこれとは逆方向に傾けられることで、再び平面ビューへと切り替わる。」 b.「 」 上記a.及びb.の記載から,上記引用文献3には次の技術事項(以下,「引用文献3に記載の技術事項」という。)が記載されている。 「装置を傾けると表示を切り替えること。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ・引用発明の「表示部1700」は,図形であるQRコードを表示するものであるから,本願発明1の「図形を表示可能な表示部」に相当する。 ・引用発明の「表示部1700」は「携帯電話機1000」が有するものであって,「携帯電話機1000」が「表示部1700」を保持するケース(筐体)を有していることは明らかであるから,引用発明は本願発明1の「前記表示部を保持するケース」に相当する構成を備えているといえる。 そして,引用発明の「携帯電話機1000」は,本願発明1の「前記表示部が前記ケースに組み付けられてなる装置本体」に相当する。 また,この引用発明の「音声検知部1600」は,「携帯電話機1000」が有し,自機外部の音を検知する機能を有するものであるから,本願発明1の「前記表示部が前記ケースに組み付けられてなる装置本体の外部からなされた外部動作を検出する外部動作検出部」に相当する。 ・一般に「QRコード」は,基本パターンである明色パターンと暗色パターンを配列してなる情報コードの図形であるから,引用発明の「QRコード」は,本願発明1の「複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形」に相当し,また,引用発明の「最初のQRコード」は、本願発明1の「コード図形」に相当する。 そして,引用発明の「制御部1200」は,「音声検知部1600」からシャッター音を検知したことが通知されると,次のQRコードを表示するように依頼するものであって,次のQRコードが表示される際には,「最初のQRコード」の表示は消え,その際には基本パターンの明色パターン及び暗色パターンが消え表示状態が変化していると認められる。してみると,引用発明の「制御部1200」は,本願発明1の「複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形のコード図形が前記表示部に表示されている状態で,前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に,前記コード図形に含まれる少なくとも一部の前記基本パターンの表示状態を変化させるように前記表示部を制御する変化制御部」に相当する。 ・引用発明の「最初のQRコード」及び「次のQRコード」は、各々、1つのQRコードでは収まらない量の文字データ10を複数のQRコード(30,31?32)としたものの一部であり,「最初のQRコード」と「次のQRコード」では,異なる別図形であって別の情報コードと認められることから,引用発明の「次のQRコード」は,本願発明1の「変化前の前記コード図形とは異なる別図形」,及び「前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コード」に相当する。 そして,引用発明の「表示制御部1300」は,「制御部1200」からの依頼を受けて次のQRコードを表示部1700に表示依頼するものであって,依頼を受けた表示部1700、表示制御部1300が画像を表示するものであるから,本願発明1の「前記変化制御部の制御によって前記コード図形の表示状態が変化した後、変化前の前記コード図形とは異なる別図形を表示させるように前記表示部を制御する再表示制御部」に相当し,「前記再表示制御部は、前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コードを表示させるように前記表示部を制御する構成」を有するものといえる。 ・引用発明の「最初のQRコード」及び「次のQRコード」は,いずれもQRコードであるからファインダパターンを有するものであって,また,引用文献1の図4を参照すると,ファインダパターンは複数のQRコードで同じ隅部に配置されていることから引用発明の「最初のQRコード」及び「次のQRコード」は、本願発明1の「前記コード図形及び前記別の情報コードは、QRコードと同様のファインダパターンが同じ隅部に配置されるように形成される」ことに相当する構成を備えるものである。 ・引用発明の「携帯電話機1000のディスプレイ1710」には、「QRコード」が表示されるものであるから、本願発明1と、”コード画像表示システム”である点で一致するといえる。 したがって,本願発明1と引用発明との間には,以下の一致点と相違点とがある。 〈一致点〉 「図形を表示可能な表示部と, 前記表示部を保持するケースと, 前記表示部が前記ケースに組み付けられてなる装置本体の外部からなされた外部動作を検出する外部動作検出部と, 複数種類の基本パターンを配列してなる情報コードの図形,又は情報コードを模した形で複数種類の基本パターンが配列された図形,のいずれかのコード図形が前記表示部に表示されている状態で,前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に,前記コード図形に含まれる少なくとも一部の前記基本パターンの表示状態を変化させるように前記表示部を制御する変化制御部と, 前記変化制御部の制御によって前記コード図形の表示状態が変化した後,変化前の前記コード図形とは異なる別図形を表示させるように前記表示部を制御する再表示制御部と, を備え, 前記再表示制御部は,前記別図形として前記コード図形とは異なる別の情報コードを表示させるように前記表示部を制御する構成であり, 前記コード図形及び前記別の情報コードは,QRコードと同様のファインダパターンが同じ隅部に配置されるように形成されるコード画像表示システム。」 〈相違点1〉 本願発明1では「前記装置本体の姿勢を検出する姿勢検出部」を備えているのに対して,引用発明ではそのような姿勢検出部を備えていない点。 〈相違点2〉 変化制御部が,本願発明1では「前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記姿勢検出部によって検出された前記装置本体の姿勢に応じた表示状態に変化させ」るものであるのに対して,引用発明ではその旨の特定がされていない点。 (2)相違点についての判断 上記相違点1,相違点2について検討する。 引用文献3には,装置を傾けると表示を切り替えることが記載されている。 しかしながら,引用発明は,連続する複数の画像データを読み込む場合に,読み飛ばしが発生することがなく,確実にすべての画像を読み込むことが出来るように,QRコードを表示する側の携帯端末1000が,読み取り側の携帯端末2000がQRコードを正確に読み込めた合図として発するシャッター音を検知したら表示を切り替えるものである。したがって,携帯端末1000は単に最初のQRコードから次のQRコードに表示を切り替えればよく,コード図形の表示状態を装置本体の姿勢に応じて変化させる必要はないことから,引用発明に引用文献3に記載の技術事項を組み合わせる動機付けが存在しない。 また,引用文献2には,姿勢に応じて表示を切り替えることについて記載されていない。 したがって,本願発明1が引用発明,引用文献2及び3に記載の技術事項に基づき当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2ないし22について 本願発明2ないし22は,本願発明1を更に限定したものであるか,本願発明1を別のカテゴリーで表現するものであるので,同様に,当業者であっても引用発明,引用文献2及び3に記載の技術事項基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第6 原査定について (1)特許法第29条第2項について 本願発明1ないし22は,いずれも「前記コード図形が前記表示部に表示されている状態で前記外部動作検出部によって前記外部動作が検出された場合に、前記コード図形の表示状態を前記姿勢検出部によって検出された前記装置本体の姿勢に応じた表示状態に変化させ」るとの構成を有し,上記第5 1(2)で示したとおり,当業者であっても,引用文献1ないし引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 むすび 以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-06-17 |
出願番号 | 特願2014-181691(P2014-181691) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梅沢 俊 |
特許庁審判長 |
仲間 晃 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 山崎 慎一 |
発明の名称 | コード画像表示システム、コード画像表示方法、及びコード画像表示装置 |
代理人 | 田下 明人 |