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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H05K |
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管理番号 | 1363559 |
審判番号 | 不服2019-17824 |
総通号数 | 248 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2020-08-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-12-27 |
確定日 | 2020-07-14 |
事件の表示 | 特願2017-515302「フィーダの管理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月 3日国際公開、WO2016/174712、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2015年(平成27年)4月27日を国際出願日とする出願(受理官庁 日本国特許庁)であって、平成31年1月29日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月4日に意見書が提出されたが、令和1年9月27日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)された。これに対し、令和1年12月27日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。 第2 本願発明 本願請求項1?8に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載された事項により特定される次のとおりの発明である。 「【請求項1】 部品実装機の部品供給装置に用いられるフィーダを管理対象とする管理装置であって、 複数の前記フィーダの各々を特定する識別符号に、各々の前記フィーダに装填された前記電子部品の部品種が関連付けられた管理情報を有するデータ管理部と、 前記フィーダの前記識別符号に関連付けられた前記部品種の変更を伴う前記管理情報の編集を受け付けた場合に、当該フィーダにおける前記電子部品の装填状態に基づいて、当該編集の許否を判定する編集制御部と、 を備えるフィーダの管理装置。 【請求項2】 前記フィーダは、複数の前記電子部品が一定の間隔で収納されたキャリアテープを挿入部から取出し部まで送り移動させて、前記取出し部において前記電子部品を取り出し可能に供給するテープフィーダである、請求項1に記載のフィーダの管理装置。 【請求項3】 前記テープフィーダは、前記挿入部に前記キャリアテープの前記始端が挿入された場合に、当該挿入部から前記取出し部まで前記キャリアテープの前記始端を送り移動させる送り出し機構を有する、請求項2に記載のフィーダの管理装置。 【請求項4】 前記テープフィーダは、前記取出し部における前記キャリアテープの有無を検出可能な検出センサを有し、 前記編集制御部は、前記装填状態として前記検出センサによる検出結果を取得して、当該装填状態に基づいて前記管理情報の編集の許否を判定する請求項2または3に記載のフィーダの管理装置。 【請求項5】 前記装填状態には、前記テープフィーダに装填されている前記キャリアテープの数量が含まれる、請求項2?4の何れか一項に記載のフィーダの管理装置。 【請求項6】 前記編集制御部は、前記テープフィーダに装填されている前記キャリアテープの数量が0である場合に、前記編集を許可する、請求項5に記載のフィーダの管理装置。 【請求項7】 前記装填状態には、前記テープフィーダから前記キャリアテープを除去する除去処理が実行されたか否かを記録する除去情報が含まれる、請求項2?6の何れか一項に記載のフィーダの管理装置。 【請求項8】 前記装填状態の前記除去情報には、前記テープフィーダの前記挿入部を前記キャリアテープの終端が通過した後に、前記挿入部から前記取出し部までの経路の長さ以上に送り移動がされた場合に、前記除去処理が実行されたものとして記録される、請求項7に記載のフィーダの管理装置。」 第3 原査定の概要 原査定の概要は、次のとおりのものである。 本願は、請求項1?5、7及び8の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 本願請求項1?5、7及び8に係る発明は、フィーダにおける電子部品の装填状態がどのような場合に編集を許可するのかは特定されていないから、フィーダに電子部品が装填されているときに編集を許可する発明を、その範囲に含んでいる。 一方、本願発明が解決しようとする課題は、電子部品が残存した状態でフィーダの管理情報が更新されると、管理情報における部品種と相違する部品種の電子部品が供給されるおそれがあるという事情に鑑みて、フィーダに関する管理情報の編集を適正に制御して、誤った部品種の電子部品が供給されることを防止するフィーダの管理装置を提供すること(段落【0004】?【0005】)であるところ、例示した、フィーダに電子部品が装填されているときに編集を許可する発明は、電子部品が残存した状態でフィーダの管理情報が更新されて管理情報における部品種と相違する部品種の電子部品が供給されるおそれがあるから、上記の課題を解決するものではない。 そして、出願時の技術常識に照らしても、例示した発明をも含む請求項1?5、7及び8に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 よって、請求項1?5、7及び8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものでない。 第4 当審の判断 1 本願の願書に添付した明細書(以下、「明細書」という。)の発明の詳細な説明における、段落【0002】、【0004】及び【0005】の記載からすれば、本願の各請求項に係る発明が解決しようとする課題は、部品実装機において、テープリールや部品収容ケースを交換した場合に、フィーダ本体に交換前の電子部品が残存した状態でフィーダの管理情報が更新されると、管理情報における部品種と相違する部品種の電子部品が供給されるおそれがあるという事情に鑑みて、フィーダに関する管理情報の編集を適正に制御して、誤った部品種の電子部品が供給されることを防止するフィーダの管理装置を提供することにあるものと認められる。 かかる課題解決のために、本願の特許請求の範囲の記載並びに明細書の発明の詳細な説明における段落【0006】及び【0007】の記載によれば、本願の各請求項に係る発明は、従来の部品実装機の構成に加え、電子部品の管理情報の更新の許否を判定する編集制御部を備えるようにしたものと解され、その発明特定事項として、「当該フィーダにおける前記電子部品の装填状態に基づいて、当該編集の許否を判定する編集制御部と、を備え」たものと解される。 そして、明細書の発明の詳細な説明には、「編集制御部」が「フィーダにおける前記電子部品の装填状態に基づいて、当該編集の許否を判定する」具体的態様として、次の例が挙げられている。 ・判定基準(A) 「フィーダ50が現在リセット状態にある」場合、すなわち、「フィーダ50に装填されているキャリアテープ80の数量が0である場合」に、編集制御部44は管理情報M1の編集を許可する(段落【0053】)。 ・判定基準(B) 「除去処理が実行された後に現在のキャリアテープ80が装填された」場合、すなわち、「フィーダ50が現時点ではリセット状態にないが、現在のキャリアテープ80がリセット状態を経た後に装填されたものと認識される場合」に、編集制御部44は管理情報M1の編集を許可する(段落【0054】)。 ・他の判定基準 「例えばキャリアテープ80の終端が挿入部Niよりもリール保持部22側に位置する場合に、編集制御部44は、管理情報M1の編集を許可してもよい。」(段落【0076】) そのうえで、明細書の発明の詳細な説明には、上記の具体的態様にみるような、「フィーダにおける前記電子部品の装填状態に基づいて、当該編集の許否を判定する」「編集制御部」を備えることにより、「フィーダ50に電子部品が残存している場合などに管理情報M1に対する編集要求が拒否される」ことで、「編集によって管理情報M1における部品種と実際に装填されている電子部品の部品種が相違することが防止される。」ことが記載されている(段落【0061】)。加えて、発明の詳細な説明には、上記の具体的態様に即して、「管理情報M1における部品種と実際に装填されている電子部品の部品種が相違することが防止される」理由も記載されている。例えば、上記「判定基準(B)」については、「除去情報によりフィーダ50が一旦リセット状態とされたことが認識される場合には、作業者により意図する部品種の電子部品が装填されているものとみなすことができる。」(段落【0069】)点が、理由として説明されている。 したがって、本願の各請求項に係る発明は、上記の課題が解決できることを当業者が認識できるように発明の詳細な説明に記載された範囲内のものである、というべきである。 2 ここで、念のため、原査定について検討する。 明細書の段落【0054】には、上記「判定基準(B)」に関し、フィーダ50にキャリアテープ80(電子部品)が装填されているときであっても、当該キャリアテープ80(電子部品)がリセット状態を経た後に装填されたものであるという装填状態である場合には、管理情報M1の編集を許可する態様が記載されている。 そして、当該態様のものも、前説示のとおり、発明が解決しようとする課題が解決できるものであるといえる。 したがって、原査定の、「フィーダに電子部品が装填されているときに編集を許可する発明は、電子部品が残存した状態でフィーダの管理情報が更新されて管理情報における部品種と相違する部品種の電子部品が供給されるおそれがあるから、上記の課題を解決するものではない。」との判断は維持することはできない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1?8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。 したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2020-06-29 |
出願番号 | 特願2017-515302(P2017-515302) |
審決分類 |
P
1
8・
537-
WY
(H05K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中田 誠二郎 |
特許庁審判長 |
大町 真義 |
特許庁審判官 |
井上 信 尾崎 和寛 |
発明の名称 | フィーダの管理装置 |
代理人 | 特許業務法人 共立 |